説明

細胞周期キナーゼの阻害剤としての2,4−ジアミノピリミジン

本発明は下記一般式(1)の化合物(式中、R1、R2、R4、Rg、X、m、n及びpは請求項1で定義され、前記化合物は過剰な又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に適切である)、及び上記記載の特性を有する医薬組成物の製造を目的するそれらの使用を含む。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下記一般式(1)の新規な化合物、その異性体、これらピリミジンを製造する方法、及び医薬組成物としての前記の使用に関する:
【0002】
【化1】

【0003】
式中、基R1、R2、R4、Rg、X、m、n及びpは特許請求の範囲及び明細書で与えられる意味を有する。
本発明の目的は、過剰な又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の予防及び/又は治療に用いることができる新規な活性物質を提示することである。
【発明の開示】
【0004】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、一般式(1)の化合物(式中、基R1、R2、R4、Rg、X、m、n及びpは以下で与えられる意味を有する)は、特定の細胞周期キナーゼの阻害剤として機能することが見出された。したがって、本発明の化合物を、例えば特定の細胞周期キナーゼと関連し、さらに過剰な又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に用いることができる。
本発明は下記一般式(1)の新規な化合物であって、その互変異性体、ラセミ体、鏡像体、ジアステレオマー及び混合物の形態、並びに医薬的に許容できるその酸付加塩の形態にあってもよい前記化合物に関し:
【0005】
【化2】

【0006】
式中、
XはN又はCHを意味し、さらに
R1は、C3-10シクロアルキルを意味し(前記はR3によって置換されてあり、及び1つ以上のR4によって置換されてあってもよく)、さらに
R2は、水素、ハロゲン、−CN、−NO2、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル及びC7-16アリールアルキルから選択される基を意味し、さらに
R3は、C(O)Rc、−C(O)ORc、−C(O)NRcRc、−S(O)2Rc、−N(Rf)S(O)2Rc、−N(Rf)C(O)Rc、−N(Rf)C(O)ORc、及び−N(Rf)C(O)NRcRcから選択される適切な基を意味し、さらに
R4は、Ra、Rb、及び1つ以上の同一の又は異なるRc及び/又はRbによって置換されたRaから選択される基を意味し、さらに
各Raは、それぞれ互いに独立して、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキルアルキ、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルから選択され、さらに
各Rbは、適切な基を意味し、さらに各々はそれぞれ独立して、=O、−ORc、C1-3ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRc、=NRc、=NORc、−NRcRc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO2、−S(O)Rc、−S(O)2Rc、−S(O)2ORc、−S(O)NRcRc、−S(O)2NRcRc、OS(O)Rc、−OS(O)2Rc、−OS(O)2ORc、−OS(O)2NRcRc、−C(O)Rc、−C(O)ORc、−C(O)NRcRc、−CN(Rf)NRcRc、−CN(OH)Rc、−CN(OH)NRcRc、−OC(O)Rc、−OC(O)ORc、−OC(O)NRcRc、−OCN(Rf)NRcRc、−N(Rf)C(O)Rc、−N(Rf)C(S)Rc、−N(Rf)S(O)2Rc、−N(Rf)C(O)ORc、−N(Rf)C(O)NRcRc、−[N(Rf)C(O)]2Rc、−N[C(O)]2Rc、−N[C(O)]2ORc、−[N(Rf)C(O)]2ORc、及び−N(Rf)CN(Rf)NRcRcから選択され、さらに
各Rcは、それぞれ互いに独立して、水素、又はC1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキルアルキ、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルから選択される1つ以上の同一又は異なるRd及び/又はReによって置換されていてもよい基を意味し、さらに
各Rdは、それぞれ互いに独立して、水素、又はC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキルアルキ、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルから選択される1つ以上の同一又は異なるRe及び/又はRfによって置換されていてもよい基を意味し、さらに
各Reは適切な基であり、各々は独立して、=O、−ORf、C1-3ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRf、=NRf、=NORf、−NRfRf、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO2、−S(O)Rf、−S(O)2Rf、−S(O)2ORf、−S(O)NRfRf、−S(O)2NRfRf、OS(O)Rf、−OS(O)2Rf、−OS(O)2ORf、−OS(O)2NRfRf、−C(O)Rf、−C(O)ORf、−C(O)NRfRf、−CN(Rg)NRfRf、−CN(OH)Rf、−C(NOH)NRfRf、−OC(O)Rf、−OC(O)ORf、−OC(O)NRfRf、−OCN(Rg)NRfRf、−N(Rg)C(O)Rf、−N(Rg)C(S)Rf、−N(Rg)S(O)2Rf、−N(Rd)C(O)ORf、−N(Rg)C(O)NRfRf、及び−N(Rg)CN(Rf)NRfRfから選択され、さらに
各Rfは、それぞれ互いに独立して、水素、又はC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキルアルキ、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルから選択される1つ以上の同一又は異なるRgによって置換されていてもよい基を意味し、さらに
各Rgは、それぞれ互いに独立して、水素、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキル、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルを意味し、さらに
mは0又は1を意味し、さらに
nは0、1、2、3又は4を意味し、さらに
pは0、1、又は2を意味するが、
ただし下記化合物を含まないことを条件とする:
4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-ピペリジン-4-イル-ベンザミド;
2-フルオロ-4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
2-クロロ-4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
2-フルオロ-4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-ニトロ-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-フルオロ-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-クロル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-イソプロピル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[5-ブロモ-4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-ヨード-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-4-{4-[(1R,2S)-2-(ピロリドン-1-カルボニル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-シクロペンチルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-{4-[(1R,2S)-2-(1,1-ジオキソ-テトラヒドロ-1λ6-チオフェン-3-イルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)- 4-{4-[(1R,2S)-2-(2,2,2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-ベンザミド;
N-メチル-4-{4-[(1R,2S)-2-(3-メチル-ブチルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-{4-[(1R,2S)-2-(3-ジメチルアミノ-プロピルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-{4-[(1R,2S)-2-(アゼチジン-1-カルボニル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
N-メチル-4-{4-[(1R,2S)-2-(4-メチル-ピペリジン-1-カルボニル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,3S)-3-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,3S)-3-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-シアノ-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-フェニルエチニル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;及び
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-シクロプロピル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド。
【0007】
ある特徴では、本発明は一般式(1)の化合物に関し、式中XはNを意味する。
別の特徴では、本発明は一般式(1)の化合物に関し、式中mは1に等しい。
別の特徴では、本発明は一般式(1)の化合物に関し、式中R2はハロゲン及びC1-4ハロアルキルから選択される基を意味する。
別の特徴では、本発明は一般式(1)の化合物に関し、式中R2は−CF3を意味する。
別の特徴では、本発明は一般式(1)の化合物に関し、式中R1はC4-6シクロアルキルを意味する。
別の特徴では、本発明は一般式(1)の化合物に関し、式中R1はシクロペンチルを意味する。
別の特徴では、本発明は、医薬組成物として使用される、一般式(1)の化合物又は医薬的に有効なその塩に関する。
別の特徴では、本発明は、抗増殖活性を有する医薬組成物の製造のための、一般式(1)の化合物又は医薬的に有効なその塩に関する。
別の特徴では、本発明は、活性物質として、1つ以上の一般式(1)の化合物又は医薬的に有効なその塩を含み、さらに従来の賦形剤及び/又は担体と一緒に含んでもよい医薬製剤に関する。
別の特徴では、本発明は、癌、感染症、炎症及び自己免疫疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物の製造のための一般式(1)の化合物の使用に関する。
別の特徴では、本発明は、その互変異性体、ラセミ体、鏡像体、ジアステレオマー及び混合物の形態、及び医薬的に有効なその塩の形態にあってもよい一般式(1)の化合物、並びに式(1)とは異なる少なくとも1つの他の細胞増殖抑制性又は細胞傷害性活性を有する物質を含む医薬製剤に関する。
【0008】
定義
特段の規定がないかぎり、本明細書で用いられるように、以下の定義が適用される。
アルキル置換基とは、各事例において飽和、不飽和、直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基(アルキル基)を意味し、前記には飽和アルキル基並びに不飽和アルケニル及びアルキニル基の両方が含まれる。アルケニル置換基は、各事例において直鎖又は分枝鎖の不飽和アルキル基であり、前記は少なくとも1つの二重結合を有する。アルケニル置換基とは、各事例において直鎖又は分枝鎖の不飽和アルキル基を意味し、前記は少なくとも1つの三重結合を有する。
ヘテロアルキルは、1つから3つのヘテロ原子を含む非分枝又は分枝脂肪族炭化水素鎖を表し、一方、ヘテロアルキル鎖の利用可能な炭素及びヘテロ原子の各々はそれぞれ独立して置換されていてもよく、さらにヘテロ原子は互いに独立してO、N、P、PO、PO2、S、SO及びSO2から選択される(例えばジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、2-ジイソプロピルアミノエチル、ビス-2-メトキシエチルアミノ、[2-(ジメチルアミノ-エチル)-エチル-アミノ]-メチル、3[2-(ジメチルアミノ-エチル)-エチル-アミノ]-プロピル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、メトキシメチル、2-メトキシエチル)。
ハロアルキルは、1つ以上の水素原子がハロゲン原子によって置換されるアルキル基を指す。ハロアルキルには飽和アルキル基並びに不飽和アルケニル及びアルキニル基の両方、例えば-CF3、-CHF2、-CF3、-CH2F、-CF2CF3、-CHFCF3、-CH2CF3、-CF2CH3、-CHFCH3、-CF2CF2CF3、-CF2CH2CH3、-CF=CF2、-CCl=CH2、-CBr=CH2、-CI=CH2、-C≡C-CF3、-CHFCH2CH3、及び-CHFCH2CF3が含まれる。ハロゲンはフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素原子を指す。
【0009】
シクロアルキルとは単環式又は多環式環を意味し、この場合、前記環系は飽和環でもよいが、また不飽和、非芳香族環又はスピロ化合物でもよく、前記はまた二重結合を含んでもよく、例えばシクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、ノルボルニル、ノルボルネニル、インダニル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.3]オクタニル、スピロヘプタニル及びスピロ[4.2]ヘプタニルである。
シクロアルキルアルキルには先に定義した非環式アルキルが含まれ、この場合、炭素原子(通常は末端炭素原子)と結合する水素原子は、先に定義したシクロアルキル基によって置換される。
アリールは、6−12の炭素原子を有する単環式又は二環式環に合致し、例えばフェニル及びナフチルである。
アリールアルキルには先に定義した非環式アルキルが含まれ、この場合、炭素原子(通常は末端炭素原子)と結合する水素原子は、先に定義したアリール基によって置換される。
ヘテロアリールとは、1つ以上の炭素原子の代わりに1つ以上のヘテロ原子(同一でも異なっていてもよい)、例えば窒素、硫黄又は酸素原子を含む単環式又は多環式環を意味する。例には、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニルおよびトリアジニルが含まれる。二環式へテロアリール基の例は、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、イソキノリニル、キノリニル、キノキサリニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル及びベンゾトリアジニル、インドリジニル、オキサゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、ナフチリジニル、インドリニル、イソクロマニル、クロマニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソインドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、ピリドピリジニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、プリニル、ベンゾジオキソリル、トリアジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、プテリジニル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、ジヒドロベンズイソキサジニル、ベンズイソキサジニル、ベンゾキサジニル、ジヒドロベンズイソチアジニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クマリニル、イソクマリニル、クロモニル、クロマノニル、ピリジニル-N-オキシド、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロイソクマリニル、イソインドリノニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾオキサゾリノニル、ピロリル-N-オキシド、ピリダジニル-N-オキシド、ピラジニル-N-オキシド、キノリニル-N-オキシド、インドリル-N-オキシド、インドリニル-N-オキシド、イソキノリル-N-オキシド、キナゾリニル-N-オキシド、キノキサリニル-N-オキシド、フタラジニル-N-オキシド、イミダゾリル-N-オキシド、イソキサゾリル-N-オキシド、オキサゾリル-N-オキシド、チアゾリル-N-オキシド、インドリジニル-N-オキシド、インダゾリル-N-オキシド、ベンゾチアゾリル-N-オキシド、ベンズイミダゾリル-N-オキシド、ピロリル-N-オキシド、オキサジアゾリル-N-オキシド、チアジアゾリル-N-オキシド、トリアゾリル-N-オキシド、テトラゾリル-N-オキシド、ベンゾチオピラニル-S-オキシド及びベンゾチオピラニル-S,S-ジオキシドである。
【0010】
ヘテロアリールアルキルは先に定義した非環式アルキルを含み、この場合、炭素原子(通常は末端炭素原子)と結合する水素原子は、先に定義したヘテロアリール基によって置換される。
ヘテロシクロアルキルは、飽和又は不飽和の非芳香族単環式、多環式若しくは架橋多環式環又はスピロ化合物であって3−12の炭素原子を含むものに合致し、前記はヘテロ原子(例えば窒素、酸素又は硫黄)を1つ以上の炭素原子の代わりに保持する。そのようなヘテロシクリル基の例は、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモモルホリニル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル、ホモチオモルホリニル、チオモルホリニル-S-オキシド、チオモルホリニル-S,S-ジオキシド、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、ホモチオモルホリニル-S,S-ジオキシド、オキサゾリジノニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ジヒドロピラジビル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル-S-オキシド、テトラヒドロチエニル-S,S-ジオキシド、ホモチオモルホリニル-S-オキシド、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5-ジアザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、3,9-ジアザ-ビシクロ[4.2.1]ノナン及び2,6-ジアザ-ビシクロ[3.2.2]ノナンである。
ヘテロシクロアルキルアルキルは先に定義した非環式アルキルに合致し、この場合、炭素原子(通常は末端炭素原子)と結合する水素原子は、先に定義したヘテロシクロアルキル基によって置換される。
“置換される”という語は、問題の原子と直接結合している水素原子が異なる原子又は異なる原子団によって置き換えられることを意味する。二価置換基(例えば=O、=S、=NR、=NOR、=NNRR、=NN(R)C(O)NRR、=N2及び他のもの)は、問題の原子と直接結合している2つの水素原子による置換を要求する。したがって、この種の二価置換基は芳香族系では置換基でありえない。
【0011】
略語リスト

以下に続く実例は、本発明をその範囲を限定することなく詳述する。
【0012】
概説
別に記載がなければ、全ての反応は、化学実験室における通常的な方法を用いて市販の装置で実施される。分析等級の使用溶媒を購入し、さらに精製することなく使用される。全ての試薬はさらに精製することなく合成に直接使用される。空気及び/又は湿気に不安定な出発材料は好ましくは保護気体下で保存し、それらを用いる対応する反応及び操作は、保護気体(窒素又はアルゴン)下で実施される。
クロマトグラフィー
調製用中等度圧クロマトグラフィー(MPLC、通常相)のために、ミリポア(Millipore)から入手したシリカゲル(Granula Silica Si-60A 35−70μm)又はマックハーレイ・ネーゲル(Macherey Nagel)から入手したC-18 RPシリカゲル(RP相)が用いられる。薄層クロマトグラフィーは、メルク(Merck)製の既製シリカゲル60DCプレート(蛍光インジケーターF-254含有)で実施する。
調製用HPLCのためには、ウォーター(Waters)製カラム(XTerra Prep. MS C18, 5μM, 30*100mm、又はXTerra Prep. MS C18, 5μm, 50*100mm OBD、又はSymmetrie C18, 5μm、19*100mm)を用い、分析用HPLC(反応モニタリング)はアジレント(Agilent)製カラム(Zorbax SB-C8, 5μm, 21.2*50mm)を用いて実施する。
キラルHPLCのためには、ダイセル・ケミカル・インダストリーズ社(Daicel Chemical Industries, Ltd.)製カラム(多様なサイズ及び5μmの材料用Chiralpak AD-H, Chiralpak AS, Chiracel OD-RH, Chiracel OD-H又はChiracel OJ-H)が用いられる。
HPLC-質量分光学/UV-分光分析
実施例の性状決定のための保持時間/MS-ESI+は、アジレント(Agilent)製のHPLC-MS装置(質量検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー)を用いて入手される。
前記装置は、クロマトグラフィー(カラム:XTerra MS C18, 2.5μm, 2.1*30nm, Messrs. Waters, Part. No. 186000592)の後に、連続連結ダイオードアレー検出器(G1315, Agilent製)及び質量検出器(1100LS-MSD SL;G1946D;Agilent)が続くように構築される。
この装置は、1.1mL/分の液流で稼動する。分離プロセスのためは、勾配は3.1分以内に流れ終える(開始時勾配:水/MeCN 95/5、終了時勾:配5/95;0.1%HCOOH(蟻酸)が前記2つの溶媒の各々に添加される)。
出発化合物の調製が記載されていない場合は、それらは市販物として入手されるか、又は公知の化合物と同じように又は本明細書に記載の方法と同じように調製される。文献に記載の物質は、公開された合成方法を用いて調製される。
【0013】
本発明の化合物の調製
本発明の化合物は、以下に記載の合成方法、前述の意味を有する一般式の置換基を用いて調製することができる。これらの方法は、本発明をそれら方法の内容に限定することなく、さらに特許請求の範囲の化合物の範囲をこれら実施例に限定することなく本発明の例示として示される。
合成模式図A
【0014】
【化3】

【0015】
合成模式図B
【0016】
【化4】

【0017】
合成模式図C
【0018】
【化5】

【0019】
合成模式図D
【0020】
【化6】

【0021】
ジアミノピリミジンの合成後、1つ以上の官能基を(FG1又はFG2)変換することも可能である。これは対応する実施例に記載される。
【0022】
合成模式図E
【0023】
【化7】

【0024】
A-1a)2,4-ジクロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン
【0025】
【化8】

【0026】
48g(267mmol)の5-トリフルオロメチルウラシルを210mLのオキシ塩化リン(POCl3)に懸濁し、その間は湿気を排除する。この溶液に47.7g(320mmol)のジエチルアニリンを、温度が25℃から30℃の間で維持されるようにゆっくりと滴々と加える。添加終了後に、前記混合物をさらに5−10分水浴中で攪拌し、さらに、5−6時間80−90℃で加熱しその間は湿気を排除する。得られた混合物を約1200gの硫酸含有氷水に攪拌しながら加え、直ちに水相を3回抽出し、各抽出で500mLのエーテル又はtert-ブチル-メチル-エーテルを用いる。一緒にしたエーテル性抽出物を300mLの硫酸含有氷水(約0.1M)で2回及び冷食塩水溶液で洗浄し、乾燥させる。脱水剤をろ過し、溶媒を真空中で除去する。残留物を短いカラム(ヘッド温度:65−70℃)で真空中(10 mbar)にて蒸留し、35.3gの液体を得て、これを保護気体下で取り出し保存する。
DC:Rf=0.83(cHex:EE=3:1)
ベンジル4-アミノベンゾエート
【0027】
【化9】

【0028】
15.01g(89.9mmol)の4-ニトロ安息香酸を500mLのMeCNに懸濁し、続いて15.03g(108.7mmol、1.2eq)の炭酸カリウムと一緒にする。15.4g(90.4mmol、1.01eq)の臭化ベンジルを攪拌しながら滴々と加え、前記反応混合物を60℃で5時間攪拌しながら加熱する。前記を750mLの蒸留水と一緒にし、250mLのEEで4回抽出し、有機相を一緒にした後、硫安上で乾燥させる。全ての揮発性成分を真空中で除去した後、粗生成物をトルエンに連続して2回懸濁し、真空中で完全に蒸発させる。20.6g(80.1mmol)のベンジル4-ニトロベンゾエートが得られ、これをさらに精製することなく次の工程で用いる。
20.6gのベンジル4-ニトロベンゾエートを30mLのジオキサンに溶解し、この溶液を6.9g(49.9mmol、0.61eq)のラニーニッケルと一緒にする。前記混合物を5バールのH2圧で16時間攪拌しながら水素添加する。触媒をろ過し、全ての揮発性成分を真空中で除去する。17gのベンジル4-アミノベンゾエートが得られる。
【0029】
A-2a)ベンジル4-(4-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-ベンゾエート
【0030】
【化10】

【0031】
10g(44mmol)のベンジル4-アミノベンゾエートを200mLのDMAに溶解し、8mLのヒューニッヒ塩基(0.97eq)を添加し、さらに、この溶液に10.4g(48.21mmol)の2,4-ジクロロ-5-トリフルオロメチルピリミジン(50mLのDMAに溶解)を室温で滴々と添加する。前記反応混合物を60℃で一晩攪拌し、続いて300mLのDCMと一緒にし、水(3回、300mL)で抽出する。有機相を乾燥させ、真空中で溶媒を除去する。粗生成物を100mLのMeOHと一緒にし、温浸し、さらに2時間放置する。続いて、前記を10分攪拌し、沈殿物をろ過し、さらにMeOHで洗浄する。最後に粗生成物を再度MeOHに懸濁し、ろ過し、少量のMeOHで洗浄し、真空乾燥器にて60℃で乾燥させる。8.5gのA-2aが得られる。
Rf=0.71(シリカゲル、cHex:EE 1:2)
MS-ESI+:408(M+H)+
【0032】
A-3a)ベンジル4-[4-((1R,2S)-2-カルボキシ-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-ベンゾエート
【0033】
【化11】

【0034】
2.05g(5mmol、1eq)のA-2a及び1gの(1S,2R)-2-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸ヒドロクロリド(6mmol、1.2eq)を18mLのEtOH(7.3mL、42.5mmol、8.5eq)中に入れ、ヒューニッヒ塩基を加え、前記混合物を70℃で4時間攪拌する。前記反応混合物を275mLの水に攪拌しながら加え、ろ過して不溶性物質を除去し、ろ液のpHを飽和KHSO4水溶液で2に調整し、5分間攪拌し、さらに形成された沈殿物を吸引ろ過する。粗生成物を水で洗浄し、真空中で乾燥させ、2.37gのA-3aが得られる。
MS-ESI+:501(M+H)+
(1R,2S)-2-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸、又は(1R*,2S*)-(±)-2-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸による合成も同様に実施される。対応する生成物を、A-2bA-2aに対してキラル、エナンチオマー)及びA-2c(ラセミ体)と称する。
【0035】
(1S,2R)-2-アミノシクロペンタンカルボン酸ヒドロクロリドの調製
【0036】
【化12】

【0037】
この合成は以下の文献にしたがって実施される:E. Forro and F. Fueloep, 2003, “Lipase-Catalyzed Enantioselective Ring Opening of Unactivated Alicyclic-Fused -Lactams in an Organic Solvent”, Org. Lett. 5:1209-1212。
A-4a)ベンジル4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-ベンゾエート
【0038】
【化13】

【0039】
2.59g(4.9mmol)のA-3a、2.21g(6.9mmol、1.4eq)及び4.21mL(24.6mmol、5eq)のヒューニッヒ塩基を75mLのDMFに溶解し、室温で20分攪拌する。続いて、0.63mL(7.38mmol、1.5eq)のイソプロピルアミンを添加し、混合物を室温で攪拌する。前記を塩基性酸化アルミニウムで吸引ろ過し、DMFで洗浄し、母液を400mLの水に攪拌しながら加え、さらに30分間攪拌し、沈殿物を吸引ろ過する。粗生成物を水で洗浄し、真空中で乾燥させる。精製のために、50mLのMeCNとともに前記を5℃で30分間攪拌し、吸引ろ過し、いくらかの冷MeCNで洗浄し、残留物を真空中で乾燥させる。2.13gのA-4aが得られる。
Rf=0.53(シリカゲル、cHex:EE 1:1)
MS-ESI+:542(M+H)+
化合物A-4d及びA-4eをそれぞれエチルアミン及びシクロプロピルアミンを用いて同様に調製し、実施例9及び10のための合成連続反応の遊離体(educts)として用いられる。
【0040】
【化14】

【0041】
A-5a)4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-安息香酸
【0042】
【化15】

【0043】
2.13g(3.9mmol)のA-4aを150mLのTHFに溶解し、250mgの水酸化パラジウム/C触媒(木炭に20重量%のPd)を添加する。前記混合物を室温で攪拌しながら6バールのH2圧で16時間水素添加する。続いて、30mLのMeOHを添加し、触媒を珪藻土でろ過し、MeOHで洗浄し、ろ液を蒸発させる。残留物を45mLのEtOHとともに沸騰させ、ゆっくりと5℃に冷却し、さらに1時間攪拌してから吸引ろ過し、冷EtOHで洗浄する。2.46gのA-5aが得られる。
Rf=0.46(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH:AcOH 5:1:0.1)
MS-ESI+:452(M+H)+
鏡像体化合物A-5b及びラセミ体A-5cの合成も同様に実施される。
【0044】
【化16】

【0045】
A-5d)4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロブチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-安息香酸
【0046】
【化17】

【0047】
250mg(2.8mmol、1eq)のB-1aを1mLのDMAに溶解し、0.74mL(4.3mmol、5.5eq)のヒューニッヒ塩基を添加する。続いて、461mg(2.4mmol、3eq)のcis-2-アミノシクロブタン-カルボン酸アミドを添加し、前記反応混合物を70℃に加熱する。1時間後に反応を終了する。前記反応混合物をRPゲルと一緒にし、揮発性成分を真空中で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーでRP相から精製して単離する(12分で水/MeCN 78/22(+0.2%HCOOH)から水/MeCN 58/42)。対応する生成物分画を一緒にし、凍結乾燥によって溶媒から分離し、50mgのA-5dが得られる。
【0048】
メチル-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-ピペリジン-4-イル)-アミン(遊離体合成実施例1)
【0049】
【化18】

【0050】
2g(11.8mmol、1eq)の1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリドンを10mLのTHFに溶解し、3.99g(59.1mmol、5eq)のメチルアミンヒドロクロリドを添加し、前記反応混合物を室温で1時間攪拌する。続いて4.85g(59.1mmol、5eq)の酢酸ナトリウム及び2.78g(11.82mmol、1eq)のナトリウムトリスアセトキシボロハイドライドを添加し、前記反応混合物を室温で16時間攪拌する。薄層クロマトグラフィーによる反応のモニタリングによって全変換が示される。前記をろ過して不溶性物質を除去し、ろ液をシリカゲルと一緒にし、揮発性成分を真空中で除去する。カラムクロマトグラフィー(通常相、シリカゲル、DCM/MeOH/NH3(水) 7/3/0.3)による精製で373mgのアミンが得られる。
Rf=0.47(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH/NH3(水) 6/4/0.4)
【0051】
(1-エチル-ピペリジン-4-イル)-メチル-アミン(遊離体合成実施例5)
【0052】
【化19】

【0053】
10gの4-(Boc-アミノ)ピペリジン、4mLのエチルブロミド及び10gの炭酸カリウムを75mLのDMA中にて120℃で2時間攪拌する。前記反応混合物を500mLの水に攪拌しながら入れ、150mLのEEで3回抽出し、有機相をMg SO4上で乾燥させ、完全に蒸発させて残留物を300mLのジエチルエーテル中で溶解する。氷で冷却しながら前記を1,4-ジオキサン中の4Mの塩酸(20mL)と一緒にし、さらに15分0℃で攪拌し、沈殿物を吸引ろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空中で乾燥させる。11.5gのtert-ブチル(1-エチル-ピペリジン-4-イル)-カルバメートヒドロクロリドが得られる。前記をさらに精製することなく用いる。
1g(3.8mmol、1eq)のtert-ブチル(1-エチル-ピペリジン-4-イル)-カルバメートヒドロクロリドを25mLのDMFに溶解し、378mg(9.4mmol、2.5eq、油中の60%懸濁物)の水素化ナトリウムを添加し、さらに246μL(3.95mmol、1.1eq)のヨウ化メチルを添加後に、前記混合物を室温で30分攪拌する。前記反応混合物を攪拌しながら150mLの水に入れ、飽和NaHCO3水溶液によりpH8に調整し、50mLのEEで3回抽出する。有機相をMg SO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、300mgのtert-ブチル(1-エチル-ピペリジン-4-イル)-メチル-カルバメートが得られる。これを5mLのDCMに入れ、928μLの塩酸(1,4-ジオキサン中に4M、3eq)を添加し、前記混合物を室温で4時間攪拌する。変換がほぼ30%に達した後、1mLのトリフルオロ酢酸を添加し、前記混合物を室温で1時間攪拌する。前記を真空中で蒸発させ、この粗(1-エチル-ピペリジン-4-イル)-メチル-アミンをさらに精製することなくアミドカップリングに用いる。
【0054】
tert-ブチル4-イソプロピルアミノ-ピペリジン-1-カルボキシレート(実施例6の遊離体合成)
【0055】
【化20】

【0056】
500mg(2.51mmol、1eq)の1-Boc-4-ピペリジノンを7mLの1,2-ジクロロメタンに入れ、214μL(2.51mmol、1eq)のイソプロピルアミンを添加して、前記混合物を室温で20分攪拌する。145μL(2.51mmol、1eq)の氷酢酸の添加後、745mg(3.5mmol、1.4eq)のナトリウムトリスアセトキシボロハイドライドを何度かに分けて添加し、前記混合物を室温で一晩攪拌する。前記反応混合物を25mLの飽和NaHCO3水溶液と一緒にし、その後、気体発生終了後に20mLのDCMで3回抽出し、一緒にした有機相をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、527mgのアミン生成物が得られ、前記をさらに精製することなく用いる。
【0057】
(±)-cis-2-アミノシクロブタンカルボン酸アミド
【0058】
【化21】

【0059】
5g(20.1mmol、1eq)のcis-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-シクロブタンカルボン酸を10mLのTHFに溶解し、3.9g(24.1mmol、1.2eq)のカルボニルジイミダゾール(CDI)を添加する。この透明な溶液を室温で40分攪拌し、続いて26.6mLのアンモニア水溶液(1.4mmol、70eq、28−30%)を添加する。添加後30分で、前記反応混合物を攪拌しながら500mLの水に注ぎ入れ、150mLのEEで3回抽出する。有機相を一緒にした後、MgSO4上で乾燥させ、全ての揮発性成分を真空中で除去し、4.05gのN-Z-cis-2-アミノシクロブタンカルボン酸アミドが得られる。
MS-ESI+:249(M+H)+
保護基を除去するために、氷酢酸中の臭化水素の溶液(33%)100mLに2g(8.06mmol、1eq)の生成物を0℃で懸濁し、2時間0℃で攪拌する。この溶液を約500mLのジエチルエーテルに攪拌しながら入れ、沈殿物を吸引ろ過し、さらにジエチルエーテル中で2時間攪拌する。沈殿物をTHFで洗浄し、1.27gのcis-2-アミノシクロブタンカルボン酸アミドがヒドロブロミドとして得られる。
MS-ESI+:115(M+H)+
【0060】
(±)-cis-2-アミノシクロブタンカルボン酸イソプロピルアミド
【0061】
【化22】

【0062】
1g(4mmol、1eq)のcis-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-シクロブタンカルボン酸を2mLのTHFに溶解し、3.22g(10mmol、2.5eq)のTBTU及び3.43mL(20mmol、5eq)のヒューニッヒ塩基を添加する。この懸濁物を室温で30分攪拌し、続いて513μL(6.02mmol、1.5eq)のイソプロピルアミンを滴々と添加する。室温で16時間攪拌後に変換は完了し、反応混合物を攪拌しながら200mLの水に注ぎ入れる。50mLのEEで3回抽出する。有機相を一緒にした後、MgSO4上で乾燥させ、全ての揮発性成分を真空中で除去し、1.1gのN-Z-cis-2-アミノシクロブタンカルボン酸イソプロピルアミドが得られる。
Rf=0.57(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH/NH3 9/1/0.1)
MS-ESI+:291(M+H)+
保護基を除去するために、氷酢酸中の臭化水素の溶液(33%)100mLに1.1g(3.79mmol、1eq)の生成物を0℃で懸濁し、2時間0℃で攪拌する。この溶液を約500mLのジエチルエーテルに攪拌しながら入れ、沈殿物を吸引ろ過し、さらにジエチルエーテル中で2時間攪拌する。沈殿物をTHFで洗浄した後、644mgのcis-2-アミノシクロブタンカルボン酸イソプロピルアミドがヒドロブロミドとして得られる。
MS-ESI+:157(M+H)+
【0063】
B-1a)4-(4-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-安息香酸
【0064】
【化23】

【0065】
2g(4.91mmol)のA-2aを88mLのジオキサンに溶解し、220mg(1.57mmol、0.32eq)の水酸化パラジウムを添加し、3バールのH2圧で前記混合物を室温で攪拌する。反応混合物をセライト(Celite(商標))でろ過し、THFで洗浄し、このろ液を真空中で溶媒から分離して1.31gのB-1aを得て、これをさらに精製することなく用いる。
MS-ESI+:318(M+H)+
【0066】
B-2a)4-(4-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-ベンジルクロリド
【0067】
【化24】

【0068】
1.31g(4.13mmol)のB-1aを100mLのトルエンに懸濁し、360μL(4.96mmol、1.2eq)のチオニルクロリドを攪拌しながら注意深く添加し、溶液を1時間還流させる。室温に冷却した後、全ての揮発性成分を真空中で除去し、残留物B-2aをさらに精製することなく更なる反応に使用する。
【0069】
B-3a)4-(4-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ)-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
【0070】
【化25】

【0071】
1.36g(4.05mmol)のB-2aを10mLのTHFに溶解し、1.04mL(6.1mmol、1.5eq)のヒューニッヒ塩基と一緒にする。589μL(4.1mmol、1eq)の1-メチル-4-(メチルアミノ)-ピペリジンを添加した後、この溶液を室温で1時間攪拌する。反応混合物をほぼ100mLの蒸留水に注ぎ入れ、30分間攪拌し、水相を100mLのEEで3回抽出する。有機相のMgSO4上での乾燥、ろ過、及び揮発性成分の真空中での除去後、1.64gのB-3aが得られる。
Rf=0.30(シリカゲル、CH2Cl2/MeOH/NH3 5/1/0.1)
MS-ESI+:428(M+H)+
【0072】
B-4c)(±)-(1S*,2R*)-2-(2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタンカルボン酸
【0073】
【化26】

【0074】
1g(2.34mmol)のB-3aを2.9mLのDMAに溶解し、続いて1.2mL(7.01mmol、3eq)のヒューニッヒ塩基を添加する。465mg(2.81mmol、1.2eq)のcis-2-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸(ラセミ体)を添加した後、前記混合物をほぼ30分間120℃で攪拌する。前記反応混合物をRPゲルと一緒にし、揮発性成分を真空中で除去し、生成物をRP相からカラムクロマトグラフィーにより精製して単離する(10分で水/MeCN 85/15(+0.2% HCOOH)から水/MeCN 72/28)。対応する生成物分画を一緒にし、凍結乾燥により溶媒を除去し、578mgのB-4cを得る。
MS-ESI+:521(M+H)+
B-4aは、溶媒としてEtOH及び出発物質として(1S,2R)-2-アミノシクロペンタンカルボン酸を用いて同様に調製される。
【0075】
B-4a)(1S,2R)-2-(2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタンカルボン酸
【0076】
【化27】

【0077】
MS-ESI+:521(M+H)+
【0078】
B-4d)(1S,3R)-3-(2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタンカルボン酸
【0079】
【化28】

【0080】
200mg(0.46mmol、1eq)のB-3aを750μLのDMAに溶解し、160μL(0.92mmol、2eq)のヒューニッヒ塩基を添加する。続いて、72mg(0.56mmol、1.2eq)の(1S,3R)-3-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸を添加し、反応混合物を攪拌しながら40分間120℃に加熱する。前記反応混合物をRPゲルと一緒にし、揮発性成分を真空中で除去し、生成物をRP相からカラムクロマトグラフィーにより精製して単離する(20分で水/MeCN 85/15(+0.2% HCOOH)から水/MeCN 76/24)。対応する生成物分画を一緒にし、凍結乾燥により溶媒を除去し、150mgのB-4dを得る。
MS-ESI+:521(M+H)+
鏡像体化合物B-4eは、(1R,3S)-3-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸を用いて同様に調製することができる。
【0081】
【化29】

【0082】
3-アミノ-ビシクロ[2,2,2]オクタン-2-カルボン酸
【0083】
【化30】

【0084】
9.7g(99.9mmol、1eq)のマレイミドを100mLのベンゼンに懸濁し、続いて8g(99.9mmol、1eq)のシクロヘキサジエン(20mLのベンゼンに懸濁)をゆっくりと5℃で添加する。前記反応混合物を還流温度にゆっくりと加熱し、攪拌しながら3時間還流させる。0℃に冷却後、沈殿物をろ過し、真空中で乾燥させる。14.7gのシクロ付加生成物を得る。
MS-ESI+:178(M+H)+
12.2g(68.6mmol、1eq)のシクロ付加生成物を240mLのEEに溶解し、活性化木炭上のパラジウム1.2g(20% w/w Pd, 113mmol, 0.16eq)を添加する。前記反応混合物を水素雰囲気下(5バール)で水素の取り込みがなくなるまで室温で攪拌する(20時間)。続いて、MeOH及びDCMの混合物(1/1、50mL)を添加し、触媒をろ過し、揮発性成分を真空中で除去する。12.1gの生成物を得て、これをさらに精製することなく反応させる。
0℃で、3.7mL(72.2mmol、1eq)の臭素を36.6g(652.2mmol、9eq)の水酸化カリウムの水溶液に滴々と加える。この溶液に前記水素添加生成物の13g(72.7mmol、1eq)を添加し、その間0℃に冷却し続ける。室温に温めた後、前記混合物を2.5時間60℃に加熱する。前記反応混合物を室温に冷却し、塩酸で酸性化し、全ての揮発性成分を真空中で除去する。残留物を冷水とともにすりつぶし、沈殿物をろ過してろ液を蒸発乾固させ、熱1-ブタノールとともに煎じ、再度ろ過して不溶性物質を除去し、熱1-ブタノールで洗浄する。ろ液を真空中で蒸発させ、EtOHから再結晶化させて2.4gの表題化合物を得る。
MS-ESI+:170(M+H)+
【0085】
B-4f)3-(2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロ[2,2,2]オクタン-2-カルボン酸
【0086】
【化31】

【0087】
B-4fは、溶媒としてEtOHを用い、3-アミノ-ビシクロ[2,2,2]オクタン-2-カルボン酸をB-3aと反応させることによって同様に調製される。
MS-ESI+:561(M+H)+
【0088】
B-4g)3-(2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロブタンカルボン酸
【0089】
【化32】

【0090】
B-4gは、溶媒としてEtOHを用い、cis-3-アミノ-ビシクロブタンカルボン酸をB-3aと反応させることによって同様に調製される。
【0091】
B-4h)(±)-(1S*,2R*)-2-(2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロヘキサンカルボン酸
【0092】
【化33】

【0093】
B-4hは、溶媒として1-ブタノールを用い、(±)-cis-2-アミノ-シクロヘキサンカルボン酸をB-3aと反応させることによって同様に調製される。
【0094】
B-4i)(±)-(1S*,6R*)-6-(2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロヘキサ-3-エンカルボン酸
【0095】
【化34】

【0096】
B-4iは、溶媒として1-ブタノールを用い、(±)-cis-2-アミノ-シクロヘキ-3-エンカルボン酸(Messrs, BioBlocks)をB-3aと反応させることによって同様に調製される。
【0097】
cis-(±)-2-アミノ-シクロペンタンカルボン酸-イソプロピルアミド
【0098】
【化35】

【0099】
55mg(0.43mmol)のcis-(±)-2-アミノ-シクロペンタンカルボン酸を900μL(25eq)のイソプロピルアミンに懸濁し、205mg(0.064mmol、1.5eq)のTBTU及び550μLのDMFを添加する。前記混合物を16時間攪拌し、反応混合物をDCM/MeOH/NH3(水溶液) 9/1/0.1に取り、7mLのシリカゲルと一緒にする。全ての揮発性成分を真空中で除去した後、残留物をクロマトグラフィーに付す(シリカゲルDCM/MeOH/NH3 9/1/0.1)。63mgの表題化合物が得られる。
Rf=0.33(シリカゲル、DCM/MeOH/NH3 85/15/1.5)。
キラル化合物、(1S,2R)-2-アミノシクロペンタン-カルボン酸イソプロピルアミドは、(1S,2R)-2-アミノシクロペンタンカルボン酸を用いて前記方法と同じようにして調製される。このようにして、さらに多数のアミドが2-アミノシクロペンタンカルボン酸(ラセミ又はキラル体)から出発して調製される。
【0100】
C-1型の化合物の一般的合成方法
相応にR2が置換された2,4-ジクロロピリミジンA-1(市場で入手可能であるか、又は例示としてA-1aに関して記載したように対応するウラシルの塩素化によって調製される)をTHF(ジオキサン、DMA、NMP、アセトン又はDCM)(ほぼ2−5mL/mmol)に溶解し、1−1.6eqのヒューニッヒ塩基(トリエチルアミン、炭酸カリウム又は別の適切な塩基)及び反応混合物を管理温度(非常に反応性が高いピリミジンの場合は-78℃、反応性が低いピリミジンの場合は室温若しくは上昇温度)で維持する。ほぼ0.75−1eqのアミン(対応する溶媒(上記参照)に溶解)を添加し、使用ピリミジンの反応性に応じて、前記反応混合物を対応する温度で規定の時間攪拌又は解凍又は加熱する。反応終了後に(反応はHPLC又はDCによってモニターされる)、反応混合物をシリカゲルと一緒にし、全ての揮発性成分を真空中で除去する。カラムクロマトグラフィーによる精製で、所望の置換生成物が得られる。ピリミジンのR2基に応じて、2つの可能な局所異性体が種々の比率で生成される。それらは一般的にはクロマトグラフィーによって分離される。
【0101】
C-1c)(±)-(1S*,2R*)-2-(2-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタン-カルボン酸イソプロピルアミド
【0102】
【化36】

【0103】
2g(9.2mmol)のA-1a及び1.8mL(11.2mmol、1.2eq)のヒューニッヒ塩基を60mLのTHFに溶解し、-78℃に冷却し、続いて、-78℃でcis-(±)-2-アミノシクロペンタンカルボン酸-イソプロピルアミド(60mLのTHFに溶解)を滴々とゆっくり添加する。反応混合物を攪拌しながら一晩室温で解凍する。続いて40mLのシリカゲルを添加し、全ての揮発性成分を真空中で除去する。2つの局所異性体生成物がカラムクロマトグラフィーによって分離され、所望の局所異性体は最初の溶出生成物である(シリカゲル、30分以内にcHex/EEは85/15から80/20)。590mgのC-1c及び690mgの局所異性体生成物C-1c'が単離される。
RfC-1c)=0.21(シリカゲル、cHex/EE 3/1)、[RfC-1c')=0.10]
MS-ESI+:351(M+H)+
UVmax=246nm
【0104】
C-1a)(1S,2R)-2-(2-クロロ-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタン-カルボン酸-イソプロピルアミド
【0105】
【化37】

【0106】
キラル化合物C-1aは、(1S,2R)-2-アミノシクロペンタンカルボン酸イソプロピルアミドから同様にして調製される。
【0107】
C-1d)(1S,2R)-2-(2-クロロ-5-メチル-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタン-カルボン酸イソプロピルアミド
【0108】
【化38】

【0109】
1g(6.1mmol、1eq)の5-メチル-2,4-ジクロロピリミジン(A-1aと同様に調製される)を3mLのDMAに溶解し、続いて5.3mL(30.5mmol、5eq)のヒューニッヒ塩基を滴々と加える。1.03g(6.1mmol、1eq)の(1S,2R)-2-アミノシクロペンタンカルボン酸イソプロピルアミドを添加し、反応混合物を70℃で1時間攪拌する。HPLCによるモニタリングによって、反応が完全であること及びただ1つの局所異性体が生成されることが示されル。前記反応混合物をRPゲルと一緒にし、揮発性成分を真空中で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーによってRP相から精製し、単離する(15分で水/MeCN(各事例で+0.2%HCOOH) 82/18から60/40)。対応する生成物分画を一緒にし、凍結乾燥によって溶媒から分離し、956mgのC-1dが得られる。
Rf=0.15(シリカゲル、cHex/EE 1/1)
MS-ESI+:297/299(M+H)+
【0110】
C-1e)(1S,2R)-2-(2-クロロ-5-ブロモ-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタン-カルボン酸-イソプロピルアミド
【0111】
【化39】

【0112】
C-1eは、70℃で溶媒として1-ブタノール(0.7M)を用い2時間攪拌して同様に調製される。前記は真空中での蒸発及びMeOHによる沈殿物の洗浄によって単離される。
MS-ESI+:361/363(M+H)+
【0113】
C-1f)(1S,2R)-2-(2,5-ジクロロ-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタンカルボン酸イソプロピルアミド
【0114】
【化40】

【0115】
C-1fは、溶媒としてDCM(0.3M)を用いC-1dの調製と同様にして合成される。出発化合物を0℃で一緒にし、反応混合物を室温で6時間攪拌する。
Rf=0.63(シリカゲル、EE)
【0116】
C-2a)4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-2-エトキシ-安息香酸
【0117】
【化41】

【0118】
120mg(0.34mmol、1eq)のC-1aを102mg(0.56mmol、1.7eq)の2-エトキシ-4-アミノ安息香酸とともに500μLのDMA(無水物)に懸濁し、221μLのジオキサンHCl(0.89mmol、2.6eq、4M)と一緒にし、70℃で2.5時間振盪する。反応混合物を10mLの水に注ぎ入れ、濃塩酸で酸性化し、沈殿物をろ過する。真空中で乾燥後、143mgのC-2aが得られ、これをさらに精製することなく用いる。
前記反応は他の2-アルコキシ置換安息香酸を用いて同様に実施される(実施例131、133及び134の調製のための出発化合物の合成)。実施例135の調製のためにはクロロ-4-アミノ-安息香酸が用いられる。
【0119】
2-エトキシ-4-アミノ-安息香酸
【0120】
【化42】

【0121】
4.05g(21.7mmol、1eq)の2-ヒドロキシ-4-ニトロ-安息香酸を40mLのMeOHに溶解し、1.8mL(24.8mmol、1.14eq)のチオニルクロリドを滴々とゆっくり加える。この混合物を50℃で2時間還流させ、さらに2時間攪拌する。冷却後、揮発性成分を真空中で除去し、4.36gの粗メチル2-ヒドロキシ-4-ニトロ-ベンゾエートが得られ、これをさらに精製することなく用いる。1g(5.1mmol、1eq)のメチルエステルを25mLのDMFに溶解し、2.1g(15.3mmol、3eq)の炭酸カリウムを添加し、続いて1.4mL(18.8mmol、3.7eq)のブロモエタンを滴々と添加する。前記反応混合物を室温で16時間攪拌し、100mLの水に注ぎ入れ、pHを濃塩酸でpH3に調整する。前記を100mLのEEで2回抽出し、MgSO4上で乾燥させ、全ての揮発性成分を真空中で除去した後に1.28gのメチル2-エトキシ-4-ニトロ-ベンゾエートが得られる。このニトロ化合物の1.28g(5.06mmol、1eq)を50mLのMeOHに溶解し、少量のラニーニッケルを添加し、反応混合物をオートクレーブにて4バールの水素圧下で16時間攪拌する。触媒をセライト(Celite(商標))でろ過し、真空中でろ液から全ての揮発性成分を除去する。0.99gのアニリンが得られる[MS-ESI+:351(M+H)+]。この量を5mLのMeOHに溶解し、10mLの水に0.35g(14.6mmol、2.9eq)の水酸化リチウムの溶液を添加する。室温で16時間攪拌した後、この反応混合物を真空中で濃縮し、残留物を10mLの水に入れ、塩酸で酸性化する。沈殿物をろ過し、水で洗浄し真空中で乾燥させる。392mgの2-エトキシ-4-アミノ-安息香酸が得られる。
【0122】
C-2d)4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-安息香酸
【0123】
【化43】

【0124】
956mg(3.2mmol、1eq)のC-1dを5.4mLの1-ブタノールに溶解し、この溶液を446mg(3.2mmol、1eq)の4-アミノ-安息香酸と一緒にする。105μL(0.42mmol、0.13eq)のジオキサン塩酸(4M)を添加した後、前記混合物を攪拌しながら2時間還流させる。冷却後、生成された沈殿をろ過し、2mLの冷1-ブタノールで洗浄する。真空中で乾燥させた後、1.15gのC-2dが得られ、これをさらに精製することなく用いる。
MS-ESI+:398(M+H)+
【0125】
C-2e)4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-クロロ-ピリミジン-2-イルアミノ]-安息香酸
【0126】
【化44】

【0127】
C-2eC-2dの調製と同様にして合成される。
【0128】
D-1a)(±)-4-[4-((1R*,2S*)-2-アミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
【0129】
【化45】

【0130】
500mg(1.17mmol、1eq)のB-3aを5mLの1-ブタノールに溶解し、760μL(4.44mmol、3.8eq)のヒューニッヒ塩基と一緒にする。続いて、165μL(1.40mmol、1.2eq)のcis-1,2-ジアミノシクロヘキサンを添加し、前記反応混合物をマイクロ波で15分150℃に加熱する。全ての揮発成分を真空中で除去し、残留物をDCMに入れる。続いてこの混合物を希塩化アンモニウム水溶液で2回洗浄し、有機相をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、477mgのD-1aが得られる。
MS-ESI+:506(M+H)+
【0131】
D-1b)(±)-4-[4-((1R*,2S*)-2-アミノ-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
【0132】
【化46】

【0133】
364mg(0.85mmol、1eq)のB-3aを1mLのDMAに溶解し、続いて177mg(1.02mmol、1.2eq)のcis-1,2-ジアミノシクロペンタンジヒドロクロリドを添加する。前記反応混合物を1.5mL(8.76mmol、10.3eq)のヒューニッヒ塩基と一緒にし、攪拌しながらマイクロ波で20分150℃に加熱する。続いて、全ての揮発成分を真空中で除去し、粗生成物(418mg)を精製することなくさらに反応させる。
【0134】
E-1)2-メチルスルファニル-1H-ピリミジン-4-オン
【0135】
【化47】

【0136】
20mg(153mmol)の2-チオウラシルを250mLのMeOHに懸濁し、続いて8.7g(152.9mmol、1eq)のナトリウムメトキシドを添加する。前記溶液を室温で5分間攪拌し、続いて、12.4mL(198.8mmol、1.3eq)のヨウ化メチルを滴々と添加する。前記反応混合物を一晩攪拌し、続いて水に注ぎ入れ、ほぼ150mLのクロロホルムで3回抽出する。一緒にした有機相をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、16gのE-1が得られる。
【0137】
E-2)4-(6-オキソ-1,6-ジヒドロ-2-イルアミノ)-安息香酸
【0138】
【化48】

【0139】
4.1g(28.8mmol)のE-1を10mLのジグリム(diglyme)(ジエチレングリコールジメチルエーテル)に溶解し、この溶液を4.79g(34.6mmol、1.2eq)の4-アミノ安息香酸と一緒にする。前記反応混合物を16時間還流させる。室温に冷却した後、沈殿を吸引ろ過し、少量のジグリム、続いてジエチルエーテルで洗浄し、真空中で乾燥させる。5.27gのE-2が得られる。
MS-ESI+:232(M+H)+
【0140】
E-3)4-(5-ブロモ-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-ピリミジン-2-イルアミノ)-安息香酸
【0141】
【化49】

【0142】
9g(38.9mmol)のE-2を10mLの酢酸に入れ、これに50mLの酢酸中の2.1mL(40.9mmol、1.05eq)の臭素の溶液を滴々と加え、前記混合物をほぼ1時間室温で攪拌する。前記反応混合物を攪拌しながら800mLの水に入れ、沈殿を吸引ろ過し、さらに得られた沈殿を水で洗浄し、真空中で乾燥させる。11.5gのE-3が得られる。
Rf=0.27(シリカゲル、EE:MeOH 7:3)
MS-ESI+:309/311(M+H)+
【0143】
E-5)4-(4-クロロ-5-ブロモ-ピリミジン-2-イルアミノ)-ベンジルクロリド 及び
E-4)4-(4-クロロ-5-ブロモ-ピリミジン-2-イルアミノ)-安息香酸
【0144】
【化50】

【0145】
5g(16.1mmol)のE-3を70mLのオキシ塩化リンに懸濁し、攪拌しながら1時間還流させる。前記反応混合物を激しく攪拌しながら600mLの水/氷に滴々と加え、さらに30分間攪拌し、粗酸E-4をろ過する。これを真空中で乾燥させ、さらに精製することなく用いる。
前記酸の塩化物を調製するために、前記粗酸の2.7g(8.2mmol)を20mLのトルエンに溶解し、715μL(9.9mmol、1.2eq)のチオニルクロリドを添加する。前記反応混合物を1時間還流温度で攪拌し、続いて真空中で完全に蒸発させる。真空中で乾燥後、2.9gのE-5が得られる。
【0146】
E-6)4-(5-ブロモ-4-クロロ-ピリミジン-2-イルアミノ)-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
【0147】
【化51】

【0148】
500mg(1.44mmol、1eq)のE-5を20mLのTHFに溶解し、370μL(2.16mmol、1.5eq)のヒューニッヒ塩基、続いて209μL(1.44mmol、1eq)の1-メチル-4-(メチルアミノ)-ピペリジンと混合する。前記反応混合物を16時間室温で攪拌し、続いて250mLの水に注ぎ入れる。前記を100mLのEEで4回抽出する。一緒にした有機相をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去する。418mgのE-6が得られる。
Rf=0.64(シリカゲル、DCM:MeOH:NH3 5:1:0.1)
MS-ESI+:440/442(M+H)+
【0149】
E-7a)(1S,2R)-2-(5-ブロモ-2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタンカルボン酸
【0150】
【化52】

【0151】
1.91g(4.35mmol、1eq)のE-6を5mLのDMAに懸濁し、1.5mL(8.7mmol、2eq)のヒューニッヒ塩基と混合する。865mg(5.22mmol、1.2eq)の(1S,2R)-2-アミノシクロペンタン-カルボン酸を前記溶液に添加し、反応混合物を120分、120℃で攪拌する(CEM microwave, 100W)。前記反応混合物を完全に蒸発させ、ほぼ200mLの水と攪拌し、100mLのEEで3回抽出する。一緒にした有機相をMgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空中で完全に蒸発させる。続いてRPゲルを添加し、揮発性成分を真空中で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーによりRPゲルから精製して単離する(20分で水/MeCN(各事例で+0.2%HCOOH)92/8から79/21)。対応する生成物分画を一緒にし、凍結乾燥によって溶媒から分離する。1.26gのE-7aが得られる。
MS-ESI+:531/533(M+H)+
【0152】
E-7b)(±)-(1S*,2R*)-2-(5-ブロモ-2-{4-[メチル-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-カルバモイル]-フェニルアミノ}-ピリミジン-4-イルアミノ)-シクロペンタンカルボン酸
【0153】
【化53】

【0154】
E-7bはラセミ体のcis-2-アミノ-シクロペンタンカルボン酸を用いてE-7aと同様に調製される。
【実施例】
【0155】
実施例1
4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
100mg(0.22mmol)のA-5aを2mLのDMFに溶解し、190μL(1.11mmol、5eq)のヒューニッヒ塩基及び112mg(0.35mmol、1.6eq)のTBTUを添加する。前記反応混合物を30分室温で攪拌し、続いて88mg(0.38mmol、1.7eq、含有量80%)のメチル-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-ピペリジン-4-イル)-アミンを滴々と添加する。前記混合物を室温で2日間攪拌し、反応混合物を塩基性水酸化アルミニウムでろ過し、その後RPゲルと一緒にし、揮発性成分を真空中で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーによりRP相から精製して単離する(15分で水/MeCN(各事例で+0.2%HCOOH)80/20から55/45)。対応する生成物分画を一緒にし、濃塩酸と混合し、凍結乾燥によって溶媒を除去し、61mgの化合物1がヒドロクロリドとして得られる。
実施例3、5及び8は同様にして調製される。A-5cをラセミ体の実施例2及び7の事例で用い、実施例4の事例ではA-5bA-5aの代わりに用いる。実施例9−10もまた、A-4b及びA-4cから水素添加分解によって得られる安息香酸を用いて(A-5aについて記載した方法と同様)、一般的合成模式図Aと同様にして調製され、実施例84はA-5dを用いて調製される。
【0156】
実施例6
N-イソプロピル-4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
これは、A-5aから出発してアミドカップリングにより、実施例1について記載したように合成される。この方法では、tert-ブチル4-イソプロピルアミノ-ピペリジン-1-カルボキシレートがアミン成分として用いられる。続いて、以下のようにこのカップリング成分を保護基から遊離させ、メチル化する。
A-5aとtert-ブチル4-イソプロピルアミノ-ピペリジン-1-カルボキシレートとのカップリング生成物の98mgを、2mLのDCM及び2mLのトリフルオロ酢酸中で2時間室温にて攪拌する。10mLの水を加え、炭酸ナトリウムでpH10に調整する。前記混合物を15mLのDCMで3回抽出し、有機相をMgSO4上で乾燥させ、揮発性成分を真空中で除去し、粗生成物(50mg)をさらに直接反応させる。この目的のために、50mg(0.22mmol、1eq)の前記生成物を1mLのDMAに入れ、13μLのホルムアルデヒド(水に37%、0.16mmol、2eq)を添加し、前記混合物を室温で20分攪拌する。5μLの氷酢酸を滴々と添加し、続いて92mg(0.43mmol、5eq)のナトリウムトリスアセトキシボロハイドライドを何度かに分けて(batchwise)添加し、この混合物を一晩室温で攪拌する。前記を20mLの水と一緒にし、10mLの飽和NaHCO3水溶液をゆっくりと添加し、前記混合物を10mLのDCMで3回抽出し、MgSO4上で乾燥させる。続いてRPゲルを添加し、揮発性成分を真空中で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーによりRP相から精製し単離する(15分で水/MeCN 82/18(各事例で+0.2%HCOOH)から60/40)。対応する生成物分画を一緒にし、濃塩酸と混合し、凍結乾燥によって溶媒から分離して、7mgの化合物6がヒドロクロリドとして得られる。
【0157】
実施例12
4-{4-[(1R*,2S*)-2-((R)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
80mg(0.15mmol、1eq)のB-4cを3mLのTHFに溶解し、264μL(1.54mmol、10eq)のヒューニッヒ塩基と一緒にする。69mg(0.22mmol、1.5eq)のTBTUをこの溶液に加え、前記を室温で40分攪拌する。前記懸濁物を数滴のDMFと一緒にし、その際に全ての不溶構成成分は溶液になる。続いて17mg(0.23mmol、1.5eq)のD-アラニノールを添加し、前記混合物を室温で16時間攪拌する。その後、前記反応混合物を10mLのRPゲルと一緒にし、全ての揮発性成分を真空中で除去する。前記をカラムクロマトグラフィーによりRP相から精製する(15分で水/MeCN 15/85(各事例で+0.2%HCOOH)から30/70)。生成物分画を一緒にし、塩酸(ジオキサンで4M)を添加し、凍結乾燥した後、85mgの化合物12のヒドロクロリドが得られる。
実施例13−83、85−108、125、126及び127は、対応するカルボン酸誘導体B-4及びアミン成分を用いて同様に調製されるが、TBTUの代わりにO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートをカップリング剤として用いてもよい。
実施例128−130は一般的合成模式図Aにしたがって調製され、前記一連の合成反応は、A-1aとベンジル4-アミノ-3-メトキシ-ベンゾエートとの反応で開始する。
【0158】
実施例110
(±)-4-[4-((1R*,2S*)-2-アセチルアミノ-シクロヘキシルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
50mg(0.1mmol、1eq)のD-1a(実施例109)を0.5mLのNMPに溶解し、続いて17μL(0.12mmol、1.2eq)のトリエチルアミンを添加し、さらに9μL(0.12mmol、1.2eq)の塩化アセチルを滴々と前記溶液に加える。前記反応混合物を室温で16時間攪拌し、RPゲルと一緒にし、全ての揮発性成分を真空中で除去する。前記をカラムクロマトグラフィーによりRP相から精製する。30mgの化合物110が得られる。
実施例112−114は、D-1a及び対応するカルボン酸クロリドから出発して同様に調製される。実施例120−123は、実施例110について記載した条件下でのアシル化により、D-1b(実施例124)から出発して同様に調製される。この合成方法はまた、化合物111及び115の合成のために用いられるが、この事例では、前記反応は対応するスルホン酸クロリドを用いて実施される。実施例116の事例では、尿素誘導体D-1aをN,N-ジメチルカルバモイルクロリドと実施例110について記載した条件下で反応させる。
【0159】
実施例117
117は、B-3a及び3-エンド-アミノビシクロ(2,2,1)-ヘプタ-5-エン-2-エンド-カルボン酸から出発し溶媒として1-ブタノールを用い、B-4aの調製と同様にして調製される。
実施例118
118は、B-3a及び2-アダマンタンアミン-ヒドロクロリドから出発し、B-4aの調製と同様にして調製される。
実施例119
これは、遊離体として実施例117を用い、実施例12と同様に調製される。アミドカップリングが生じた後で、触媒量のPd/Cの存在下で、ギ酸(11eq)との反応により不飽和中間体化合物をTHF中で攪拌しながら室温にて水素添加し、このようにして実施例119が得られる。
【0160】
実施例132
2-エトキシ-4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
46mg(0.09mmol、1eq)のC-2aを1.2mLのDMFに溶解し、続いて81μL(0.47mmol、5eq)のヒューニッヒ塩基及び42mg(0.13mmol、1.4eq)のTBTUを加える。前記混合物を室温で5分攪拌し、続いて21μL(0.14mmol、1.5eq)の1-メチル-4-(メチルアミノ)-ピペリジンを滴々と添加する。前記反応混合物を2時間室温で攪拌し、続いて直接クロマトグラフィーによりRP相から精製する(10分で水/MeCN(各事例で+0.2%HCOOH)83/17から65/35%)。生成物分画を一緒にし、500μLの塩酸(ジオキサンで4M)を添加し、凍結乾燥した後、47mgの化合物132のヒドロクロリドが得られる。
実施例131及び133−135は、対応する酸誘導体、C-2からアミドカップリングによって同様に調製される。前記酸誘導体C-2は、C-1a及び相応に置換された4-アミノ安息香酸から求核芳香族置換により得られる(C-2aの合成のための例として記載)。
【0161】
実施例136
(±)-4-[4-((1R*,2S*)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロブチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
150mg(0.35mmol、1eq)のB-3aを1.3mLのEtOHに溶解し、150μL(0.88mmol、2.5eq)のヒューニッヒ塩基を添加する。100mg(0.42mmol、1.2eq)の(±)-cis-2-アミノシクロブタンカルボン酸イソプロピルアミドを添加後、前記反応混合物を70℃に加熱し、この温度で16時間攪拌する。続いて反応混合物を10mLのRPゲルと一緒にし、全ての揮発性成分を真空中で除去する。前記をカラムクロマトグラフィーによりRP相から精製する(15分でMeCN/水 10/90から30/70)。生成物分画を一緒にし、100μLのジオキサン塩酸(4M)を添加し、凍結乾燥させた後、86mgの化合物136のヒドロクロリドが得られる。
【0162】
実施例139
(±)-4-[5-ブロモ-4-((1R*,2S*)-2-シクロプロピルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ)-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド
55mg(0.10mmol、1eq)のE-7bを1mLのDMFに溶解し、88μL(0.5mmol、5eq)のヒューニッヒ塩基及び46mg(0.14mmol、1.4eq)のTBTUを添加する。この反応混合物を室温で10分攪拌し、続いて11mg(0.15mmol、1.5eq)のシクロプロピルアミンを滴々と加える。前記混合物を室温で2日間攪拌し、さらに反応混合物を塩基性水酸化アルミニウムでろ過し、続いてRPゲルと一緒にし、揮発性成分を真空中で除去し、生成物をカラムクロマトグラフィーによりRP相から精製し単離する(10分で水/MeCN(各事例で+0.2%HCOOH)88/12から75/25)。対応する生成物分画を一緒にし、100μLのジオキサン塩酸(4M)と混合し、凍結乾燥により溶媒から分離し、25mgの化合物139がヒドロクロリドとして得られる。
実施例137、138、140−144及び146は同様に調製されるが、142143及び146の事例ではキラル出発化合物E-7aが用いられる。
実施例145/147
145及び147は、それぞれC-2d及びC-2eの1-メチル-4-(メチルアミノ)-ピペリジンとのアミドカップリングによって実施例1の調製と同様に合成される。
【0163】
実施例1−147
【0164】
【化54】

【0165】
【化55】

【0166】
【化56】

【0167】
【化57】

【0168】
【化58】

【0169】
【化59】

【0170】
【化60】

【0171】
【化61】

【0172】
【化62】

【0173】
【化63】

【0174】
【化64】

【0175】
【化65】

【0176】
【化66】

【0177】
【化67】

【0178】
【化68】

【0179】
【化69】

【0180】
【化70】

【0181】
【化71】

【0182】
【化72】

【0183】
【化73】

【0184】
【化74】

【0185】
【化75】

【0186】
【化76】

【0187】
【化77】

【0188】
【化78】

【0189】
【化79】

【0190】
【化80】

【0191】
【化81】

【0192】
【化82】

【0193】
本実施例は、これら実施例に本発明を限定することなく、本発明の化合物の生物学的活性について述べる。
DNA染色とそれに続くFACS又はセロミクスアレースキャン(Cellomics Array Scan)分析によって示されるように、本発明の化合物によって生じる増殖阻害は、とりわけ染色体分離における手違いによって仲介される。不完全な分離が蓄積されることにより、大量の倍数体が発生し、前記は最終的に増殖阻害又はアポトーシスさえももたらす。それらの生物学的特性に基づき、本発明の一般式(I)の化合物、その異性体及び生理学的に許容できるその塩は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に適切である。
オーロラ-Bキナーゼアッセイ例
細菌から入手し精製した、大腸菌発現組換え体アフリカツメガエル(Xenopus laevis)オーロラB野生型タンパク質を用いて、放射性酵素阻害アッセイを開発した。前記タンパク質は、アフリカツメガエルINCENP(アミノ酸790−847)との複合体のN末端にGSTタグ(アミノ酸60−361)が付加されている。同様な態様で、アフリカツメガエルINCENP790-847との複合体のアフリカツメガエルオーロラB変異体(G96V)もまた用いることができる。
発現及び精製
アフリカツメガエル由来のオーロラB60-361のコード配列を、BamHI及びSalIの切断部位を介してpGEX-6T(Amersham Biotech)の改変型でクローニングする。前記ベクターは、リボソーム結合部位によって分離される2つのクローニングカセットを含み、それらは二シストロン発現を可能にする。この構造では、アフリカツメガエルオーロラBは第一のカセットによって発現され、アフリカツメガエルINCENP790-847は第二のカセットによって発現される。生成ベクターはpAUB-IN847である。
第一に、大腸菌株BL21(DE3)にpUBS520ヘルパープラスミド及びpAUB-IN847を同時トランスフェクトし、その後、0.45−0.7のOD600で0.3MのIPTGを用いてタンパク質発現を誘発する。続いて23−25℃でほぼ12−16時間攪拌しながら発現を継続する。
続いて細菌を遠心によって除去し、溶解緩衝液(50mMトリス/Cl(pH7.6)、300mMのNaCl、1mMのDTT、1mMのEDTA、5%グリセロール、ロシュ(Roche)コンプリートプロテアーゼインヒビター錠)を大腸菌培養1リットル当たり20−30mLの溶解緩衝液で用い、超音波を使用して溶解緩衝液にペレットを溶解させる。この溶解させた材料を遠心(12000rpm、45−60分、JA20ローター)によって残屑から分離する。上清を、大腸菌培養1リットル当たり300μLの平衡化させたGSTセファロースファーストフロー(Amersham Biosciences)とともに4℃で4−5時間インキュベートする。続いて、前記カラム物質を30容積の溶解緩衝液で洗浄し、続いて30容積の洗浄緩衝液(50mMトリス/Cl(pH7.6)、150mMのNaCl、1mMのDTT、1mMのEDTA)で平衡化させる。オーロラBからGSTタグを切断するために、基質1ミリグラム当たり10ユニットのプレシジョンプロテアーゼ(Prescission Protease, Amersham Biosciences)を用い、混合物を4℃で16時間インキュベートする。切断生成物を含む上清を、イオン交換緩衝液(50mMトリス/Cl(pH7.6)、150mMのNaCl、1mMのDTT、1mMのEDTA)で平衡化させた6mLのリソースQカラム(Amersham Biosciences)にロードする。オーロラB/INCENP複合体は、前記がカラムを通過するときに捕捉され、続いて前記を濃縮し、SEC緩衝液(10mMトリス/Cl(pH7.6)、150mMのNaCl、1mMのDTT、1mMのEDTA)で平衡化させたセファデックス200サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)カラムにロードする。オーロラB/INCENP複合体を含む分画を採集し、ビバスピン(Vivaspin)濃縮装置(分子量排除3000−5000Da)を用いて最終濃度12mg/mLに濃縮する。キナーゼアッセイのためのアリコット(例えば240ng/μL)をこのストック溶液から凍結緩衝液(50mMトリス/Cl(pH8.0)、150mMのNaCl、0.1mMのEDTA、0.03%のBrij-35、10%グリセロール、1mMのDTT)に移し、-80℃で保存する。
【0194】
キナーゼアッセイ
10μM−0.0001μMの濃度枠をカバーするように、試験物質をポリプロピレンディッシュ(96ウェル、Greiner#655201)に入れる。アッセイでのDMSOの最終濃度は5%である。25%のDMSO中で提供される10μLの試験物質に、30μLのタンパク質ミックス(50mMトリス/Cl(pH7.5)、25mMのMgCl2、25mMのNaCl、167μMのATP、凍結緩衝液中の10ngのアフリカツメガエルオーロラB/INCENP複合体)をピペットで加え、これを室温で15分インキュベートする。続いて、10μLのペプチドミックス(100mMトリス/Cl(pH7.5)、50mMのMgCl2、50mMのNaCl、5μMのNaF、5μMのDTT、1μCiのガンマ-P33-ATP(Amersham)、50μMの基質ペプチド(ビオチン-EPLERRLSLVPDS若しくはそのマルチマー、又はビオチン-EPLERRLSLVPKM若しくはそのマルチマー、又はビオチン-LRRWSLGLRRWSLGLRRWSLGLRRWSLG))を添加する。前記反応物を75分インキュベートし(周囲温度)、6.4%のトリクロロ酢酸の180μLの添加によって反応を停止させ、さらに20分氷上でインキュベートする。マルチスクリーンろ過プレート(Millipore, MAIP NOB10)を、先ず100μLの70%エタノール、続いて180μLのトリクロロ酢酸で平衡化させ、前記液体を適切な吸引装置を用いて除去する。続いて、前記反応停止キナーゼ反応物を適用する。毎回180μLの1%トリクロロ酢酸による5回の洗浄工程後、ディッシュの下半分を乾燥させ(55℃で10−20分)、25μLのシンチレーションカクテル(Microscint, Packard #6013611)を添加する。取り込まれたガンマ-ホスフェートを、ウォーラック(Wallac)1450マイクロベータリキッドシンチレーションカウンターを用いて定量する。試験物質を含まない又は基質ペプチドを含まないサンプルをコントロールとして用いる。IC50値をグラフパッドプリズム(Graph Pad Prism)ソフトウェアを用いて得る。
本発明の化合物の抗増殖活性を、培養ヒト腫瘍細胞での増殖試験及び/又は、例えばNCI-H460腫瘍細胞での細胞周期分析で決定する。両方の試験方法で、化合物1147は良好から非常に良好な活性、例えばNCI-H460増殖試験では5μmol/L未満、一般的には1μmol/L未満のEC50値を示す。
【0195】
培養ヒト腫瘍細胞での増殖阻害の測定
培養ヒト腫瘍細胞での増殖阻害を測定するために、肺腫瘍細胞株NCI-H460(アメリカ菌培養集積所(ATCC)から入手)の細胞を、RPMI1640培養液(Gibco)及び10%ウシ胎児血清(Gibco)中で培養し、log増殖期に採集する。続いてNCI-H460細胞を1000細胞/ウェルの濃度で96ウェルの平底プレート(Falcon)のRPMI培養液に加え、インキュベーター(5%CO2、37℃)で一晩インキュベートする。種々の濃度(DMSOに溶解、DMSOの最終濃度は0.1%)で活性物質を細胞に添加する。72時間のインキュベーション後に、20μLのアラマーブルー(Alamar Blue)試薬(AccuMed International)を各ウェルに添加し、細胞をさらに5−7時間インキュベートする。インキュベーション後、アラマーブルー試薬の色の変化をウォラックマイクロベータ蛍光分光光度計で決定する。スタンダード・レーベンブルグ・マーカード(Standard Levenburg Marquard)アルゴリズム(GraphPadPrizm)を用いてEC50値を算出する。
細胞周期分析は、例えばFACS分析(蛍光活性化細胞分類装置(Fluorescence Activated Cell Sorter))を用いるか又はセロミクスアレースキャン(CellCycle Analysis)によって実施される。
FACS分析
ヨウ化プロピジウム(PI)は化学量論的に二本鎖DNAに結合し、したがって細胞DNA含有量を基準にしてG1、S及びG2/M期の細胞周期の細胞の割合を決定する場合に適切である。G0及びG1期の細胞は二倍体のDNA含有量(2N)を有し、一方G2又は有糸分裂期の細胞は4NのDNA含有量を有する。
PI染色のために、例えば1.75x106 NCI-H460細胞を75cm2細胞培養フラスコに播種し、24時間後に、コントロールとして0.1%のDMSOを添加するか、又は(0.1%DMSO中の)種々の濃度の前記物質を添加する。この細胞を前記物質とともに又はDMSOとともに42時間インキュベートする。続いて細胞をトリプシンで剥がし、遠心する。細胞ペレットを緩衝食塩水溶液(PBS)で洗浄し、続いて細胞を-20℃で少なくとも2時間80%で固定する。PBSによるさらに1回の洗浄工程の後で、細胞を氷上で5分間トリトンX-100(Sigma;PBSに0.25%)で透過性にし、続いて9:1の割合のヨウ化プロピジウム(Sigma;10μg/mL)及びRNAse(Serva;1mg/mL)の溶液とともに暗所で少なくとも20分インキュベートする。
DNA測定は、ベクトンディッキンソン(Becton Dickinson)FACSアナライザーでアルゴンレーザー(500mW、発光488nm)により実施する。DNAセルクェスト(Cell Quest)プログラム(BD)を用いてデータを入手し評価する。
【0196】
セロミクスアレースキャン
2000細胞/ウェルの濃度で、NCI-H460細胞を96ウェルの平底ディッシュ(Falcon)のRPMI1640培養液(Gibco)及び10%ウシ胎児血清(Gibco)に播種し、インキュベーター(5%CO2、37℃)で一晩インキュベートする。活性物質を種々の濃度(DMSOに溶解、DMSOの最終濃度は0.1%)で細胞に添加する。42時間のインキュベーション後に、培養液を吸引ろ過し、細胞を4%のホルムアルデヒド溶液及びトリトンX-100(PBSで1:200)で10分間周囲温度で固定し、同時に透過性にし、続いて0.3%のBSA溶液(Calbiochem)で2回洗浄する。続いて最終濃度300nMの4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI;Molecular Probes)を50μL/ウェルで1時間周囲温度で暗所にて添加することによりDNAを染色する。続いて前記調製物を注意深くPBSで2回洗浄し、プレートに黒い粘着フィルムを貼り付け、セルサイクルバイオアプリケーション(CellCycle BioApplication)プログラムを用いてセロミクスアレースキャンで分析し、スポットファイア(Spotfire)を用いて判定する。
本発明の物質はオーロラキナーゼ阻害物質である。それらの生物学的特性に基づき、本発明の一般式(I)の化合物、その異性体及び生理学的に許容できるその塩は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の治療に適切である。
そのような疾患には例えば以下が含まれる:ウイルス感染(例えばHIV及びカポジ肉腫);炎症性及び自己免疫疾患(例えば大腸炎、関節炎、アルツハイマー病、糸球体腎炎、及び創傷治癒);細菌、真菌、及び/又は寄生虫感染;白血病、リンパ腫及び固形腫瘍(例えば癌腫及び肉腫)、皮膚疾患(例えば乾癬);細胞(例えば線維芽細胞、肝細胞、骨及び骨髄細胞、軟骨若しくは平滑筋細胞又は上皮細胞(例えば子宮内膜過形成))の数の増加を特徴とする過形成による疾患;骨疾患及び心脈管系疾患(例えば再狭窄及び肥大)。
【0197】
例えば以下の癌は本発明の化合物で治療することができる(ただしこれらに限定されない):脳腫瘍、例えば聴神経鞘腫、星状細胞腫(例えば毛嚢腫性星状細胞腫、原線維性星状細胞腫、原型質性星状細胞腫、大円形細胞性星状細胞腫、脱分化星状細胞腫及び神経膠芽細胞腫)、脳リンパ腫、脳転移、下垂体腫瘍(例えばプロラクチノーマ、HGH(ヒト成長ホルモン)産生腫瘍及びACTH(副腎皮質親和性ホルモン)産生腫瘍)、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫及び稀突起神経膠腫;神経腫瘍(新形成)、例えば不随意神経系の腫瘍(例えば交感神経系神経芽腫、神経節神経腫、傍神経節腫(クロム親和性細胞腫、非クロム親和性細胞腫)及び頸動脈小体腫瘍)、末梢神経系の腫瘍(例えば切断神経腫(amputation neuroma)、神経線維腫、神経鞘腫(ニューリレモーマ、シュワン細胞腫)及び悪性シュワン細胞腫)の他に中枢神経系の腫瘍(例えば脳及び骨髄の腫瘍);腸管の癌(例えば直腸、結腸、肛門、小腸及び十二指腸の癌);眼瞼腫瘍(例えば基底細胞腫又は基底細胞癌);膵臓癌又は膵臓の癌;膀胱癌又は膀胱の癌;肺癌(気管支癌)、例えば小細胞気管支癌(燕麦細胞癌)及び非小細胞気管支癌(例えばプレート上皮癌、腺癌及び大細胞気管支癌);乳癌、例えば乳腺癌、例えば浸潤性腺管癌、膠様癌、侵襲性小葉癌、管状腺癌、腺様嚢胞癌及び乳頭状癌;非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えばバーキットリンパ腫、低悪性非ホジキンリンパ腫(NHL)及び粘膜ポリープ症(mucosis fungoides);子宮癌又は子宮内膜癌又は子宮体癌;CUP症候群(未知の原発性癌);卵巣癌、例えば粘液性、内膜性、又は漿液性癌のような卵巣癌;胆嚢癌;胆管癌、例えばクラツキン(Klatskin)腫瘍;精巣癌、例えば精上皮腫及び非精上皮腫;リンパ腫(リンパ肉腫)、例えば悪性リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば慢性リンパ性白血病、白血病性細網症、免疫細胞腫、形質細胞腫(多発性骨髄腫)、免疫芽細胞腫、バーキットリンパ腫、T-ゾーン粘膜ポリープ症、脱分化大細胞リンパ芽腫及びリンパ芽腫;喉頭癌、例えば声帯の腫瘍、声門上、声門、声門下喉頭癌;骨癌、例えば骨軟骨腫、軟骨腫、軟骨芽腫、軟骨粘液様線維腫、骨腫、類骨骨腫、骨芽細胞腫、好酸性肉芽腫、巨細胞腫、軟骨肉腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、巨細胞腫、線維性形成異常、若年性骨嚢胞、動脈瘤性骨嚢胞;頭部及び頸部の腫瘍、例えば口唇、舌、口腔床、口腔、歯肉、口蓋、唾液腺、喉、鼻腔、副鼻腔、咽頭及び中耳の腫瘍;肝癌、例えば肝細胞癌又は肝細胞性癌(HCC);白血病、例えば急性白血病(例えば急性リンパ球性/リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML))、慢性白血病(例えば慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML));胃癌又は胃の癌腫、例えば乳頭状、管状及び粘液性腺癌、印環細胞癌、腺棘細胞癌、小細胞癌及び未分化癌;メラノーマ、例えば最表層に広がる結節性の悪性ほくろ及び末端性ほくろ性メラノーマ;腎癌、例えば腎細胞癌又は副腎腫又はグラーヴィッツ腫瘍;食道癌又は食道の癌;陰茎癌;前立腺癌;咽喉癌又は咽頭の癌、例えば鼻咽頭癌、口腔咽頭癌及び下咽頭癌;網膜芽細胞腫、例えば膣癌又は膣の癌腫;プレート上皮癌、腺癌、原発癌、悪性メラノーマ及び肉腫;甲状腺癌、例えば乳頭様、濾胞性及び髄質性甲状腺癌の他に脱分化癌;スピナリオーマ、類表皮癌(epidormoid carcinoma)及び皮膚のプレート上皮癌;胸腺腫、尿道の癌及び陰門の癌。
本新規化合物は、上記記載の疾患の予防、短期又は長期治療のために、放射線療法又は他の“従来技術”の化合物、例えば細胞増殖抑制性若しくは細胞傷害性物質、細胞増殖阻害剤、抗血管形成物質、ステロイド又は抗体と併用して用いることができる。
【0198】
一般式(1)の化合物は、それら単独で又は本発明の他の活性な物質と一緒に、又は他の薬理学的に活性な物質と一緒に用いることができる。
本発明の化合物と一緒に投与することができる化学療法剤には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):ホルモン、ホルモン類似体及び抗ホルモン(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、フルベストラン、メゲストロールアセテート、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、アミノグルテシミド、シプロテロンアセテート、フィナステリド、ブセレリンアセテート、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、メドロキシプロジェステロン、オクトレオチド)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、リアロゾール、ボロゾール、エクセメスタン、アタメスタン)、LHRHアゴニスト及びアンタゴニスト(例えばゴセレリンアセテート、ルプロリド)、増殖因子阻害剤(例えば“血小板由来増殖因子”及び“肝細胞増殖因子”のような増殖因子の阻害剤、阻害剤は例えば“増殖因子”の抗体、“増殖因子レセプター”の抗体及びチロシンキナーゼ阻害剤、例えばゲフチニブ、イマチニブ、ラパチニブセツキシマブ(Erbitux(商標))及びトラスツズマブである);抗代謝薬(例えば抗葉酸薬(例えばメトトレキセート)、ラルチトレキシド、ピリミジン類似体(例えば5-フルオロウラシル)、カペシタビン及びゲムシタビン、プリン及びアデノシン類似体(例えばメルカプトプリン、チオグアニン及びペントスタチン)、シタラビン、フルダラビン);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、マイトマイシン-C、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ストレプトゾシン);白金誘導体(例えばシスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン);アルキル化剤(例えばエスタラムスチン、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ダカルバジン、シクロホスファミド、イフォスファミド、テモゾロミド、ニトロソウレア、例えばカルムスチン及びロムスチン、チオテパ);抗有糸分裂剤(例えばツルニチニチソウのアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びビンクリスチン;及びタキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキセル);トポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えばエトポシド及びエトポフォス、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカン、ミトキサントロン)並びに多様な化学療法剤、例えばアミフォスチン、アナグレリド、クロドロナト、フィルグラスチン、インターフェロンアルファ、ロイコボリン、リツキシマブ、プロカルバジン、レバミゾール、メスナ、ミトタン、パミドロネート及びポルフィマー。
【0199】
適切な製剤には例えば錠剤、カプセル、座薬、溶液(特に注射用及び輸液用溶液(皮下、静脈内、筋肉内))、エリキシル、乳液又は懸濁性粉末が含まれる。医薬的に活性な化合物の含有量は、全体としての組成物の0.1から90重量%、好ましくは0.5から50重量%の範囲、すなわち下記に規定する用量範囲を達成するために十分な量であるべきである。必要ならば、規定ドースは1日に数回投与することができる。
適切な錠剤は、例えば活性物質を公知の賦形剤(例えば不活性な希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース)、崩壊剤(例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸)、結合剤(例えばデンプン又はゼラチン)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク)及び/又は徐放剤(例えばカルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、又は酢酸ポリビニル)と混合することによって得ることができる。錠剤はまたいくつかの層を含むことができる。
したがって、被覆錠剤は、錠剤と同様に製造したコアを錠剤コーティングに通常用いられる物質、例えばコロイドン若しくはシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖で被覆することによって調製することができる。徐放を達成するために又は不適合性を防ぐためにコアは多数の層から成りえる。同様に、徐放性を達成するために、錠剤コーティングは上記に錠剤のために記載した賦形剤を用いることによっておそらく多数の層から成りえる。
本発明の活性物質又はその組合せを含むシロップ又はエリキシルは、さらにまた甘味剤(例えばサッカリン、シクラメート、グリセロール又は砂糖)及び香味強化剤、例えば香料(例えばバニリン、オレンジ抽出物)を含むことができる。前記はまた、懸濁補助剤若しくは膨張剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム)、湿潤剤(例えば脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物)、又は保存料(例えばp-ヒドロキシベンゾエート)を含むことができる。
注射用及び輸液用溶液は、通常の方法で、例えば等張剤、保存料(例えばp-ヒドロキシベンゾエート)又は安定化剤(例えばエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩)を用い、場合により乳化剤及び/又は懸濁剤を使用し、一方、例えば水を希釈剤として用いる場合には、場合によって有機溶媒を溶媒化剤又は溶解補助剤として用い、前記を注射バイアル若しくはアンプル又は輸液ビンに移すことによって製造することができる。
1つ以上の活性物質又は活性物質の組合せを含むカプセルは、例えば活性物質を不活性担体(例えばラクトース又はソルビトール)と混合し、それらをゼラチンカプセルに詰めることによって調製することができる。
適切な座薬は、例えば前記の目的のために提供された担体、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコール又はそれらの誘導体と混合することによって製造することができる。
【0200】
使用することができる賦形剤には、例えば、水、医薬的に許容できる有機溶媒(例えばパラフィン(例えば石油分画)、植物油(例えばピーナツ又はゴマ油)、一若しくは多官能アルコール(例えばEtOH又はグリセロール)、担体(例えば、天然鉱物粉末(例えばカオリン、植土、タルク、チョーク)、合成鉱物粉末(例えば高分散性珪酸及び珪酸塩))、糖(たとえば蔗糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えばリグニン、廃亜硫酸液(spent sulphite liquors)、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)が含まれる。
製剤は、通常の方法、好ましくは経口、経皮ルートで、もっとも好ましくは経口ルートで投与される。経口投与のためには、上記記載の担体とは別に、錠剤は、もちろん添加物(例えばクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウム)を種々の添加物(例えばデンプン(好ましくはジャガイモデンプン)、ゼラチンなど)と一緒に含むことができる。さらにまた、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクは、打錠プロセスで同時に用いることができる。水性懸濁物の場合には、上記記載の賦形剤の他に活性物質は多様な香味強化剤又は着色剤を混合することができる。
非経口的使用のためには、活性物質と適切な液状担体との溶液を用いることができる。
静脈内使用の投与量は1-1000mg/時間、好ましくは5-500mg/時間である。
しかしながら、体重、投与経路、薬剤に対する個体の応答、その処方の性質、及び薬剤が投与される時間又は間隔に応じて、時には規定された量から外れることが必要であろう。したがって、いくつかの事例では、上記に提供した最少用量未満で使用しても十分であり、一方、他の事例では上限を超える必要があるかもしれない。大量投与するときは、一日全体で分散させ何回かのより低用量に分割することが推奨される。
【0201】
以下の処方例は、本発明の範囲を制限することなく本発明を例示する:
医薬処方例
A)錠剤 /錠剤
式(1)の活性物質 100mg
ラクトース 140mg
トウモロコシデンプン 240mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
計500mg
微細にすりつぶした活性物質、ラクトース及びトウモロコシデンプンのいくらかを一緒に混合する。前記混合物を篩いにかけ、続いてポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、練り混ぜ、湿式顆粒化を施し、さらに乾燥させる。前記顆粒、残りのトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウムを篩いにかけ、一緒に混ぜ合わせる。前記混合物を圧縮して適切な形状及びサイズの錠剤を製造する。
B)錠剤 /錠剤
式(1)の活性物質 80mg
ラクトース 55mg
トウモロコシデンプン 190mg
微晶質セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ナトリウム-カルボキシメチルデンプン 2mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
計400mg
微細にすりつぶした活性物質、トウモロコシデンプンのいくらか、ラクトース微晶質セルロース及びポリビニルピロリドンを一緒に混合し、前記混合物を篩いにかけ、さらに残りのトウモロコシデンプン及び水を一緒にして顆粒を形成し、この顆粒を乾燥させ篩いにかける。ナトリウムカルボキシメチルデンプン及びステアリン酸マグネシウムを加え混合し、前記混合物を圧縮して適切な形状及びサイズの錠剤を形成する。
C)アンプル溶液
式(1)の活性物質 50mg
塩化ナトリウム 50mg
注射用の水 5mL
活性物質をそれ自身のpH又は場合によってpH5.5から6.5で水に溶解し、塩化ナトリウムを添加して前記を等張にする。得られた溶液をろ過して発熱物質を除き、前記ろ液を無菌的条件下でアンプルに移し、このアンプルを続いて滅菌し、溶融によって閉じる。アンプルは5mg、25mg、及び50mgの活性物質を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)の化合物であって、その互変異性体、ラセミ体、鏡像体、ジアステレオマー及び混合物の形態、及び医薬的に許容できるその酸付加塩の形態にあってもよい前記化合物:
【化1】

式中、
XはN又はCHを意味し、さらに
R1は、C3-10シクロアルキルを意味し(前記はR3によって置換されてあり、及び1つ以上のR4によって置換されてあってもよく)、さらに
R2は、水素、ハロゲン、−CN、−NO2、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル及びC7-16アリールアルキルから選択される基を意味し、さらに
R3は、C(O)Rc、−C(O)ORc、−C(O)NRcRc、−S(O)2Rc、−N(Rf)S(O)2Rc、−N(Rf)C(O)Rc、−N(Rf)C(O)ORc、及び−N(Rf)C(O)NRcRcから選択される適切な基を意味し、さらに
R4は、Ra、Rb、及び1つ以上の同一の又は異なるRc及び/又はRbによって置換されたRaから選択される基を意味し、さらに
各Raは、それぞれ互いに独立して、C1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-16シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキルアルキ、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルから選択され、さらに
各Rbは、適切な基を意味し、さらに各々はそれぞれ独立して、=O、−ORc、C1-3ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRc、=NRc、=NORc、−NRcRc、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO2、−S(O)Rc、−S(O)2Rc、−S(O)2ORc、−S(O)NRcRc、−S(O)2NRcRc、OS(O)Rc、−OS(O)2Rc、−OS(O)2ORc、−OS(O)2NRcRc、−C(O)Rc、−C(O)ORc、−C(O)NRcRc、−CN(Rf)NRcRc、−CN(OH)Rc、−CN(OH)NRcRc、−OC(O)Rc、−OC(O)ORc、−OC(O)NRcRc、−OCN(Rf)NRcRc、−N(Rf)C(O)Rc、−N(Rf)C(S)Rc、−N(Rf)S(O)2Rc、−N(Rf)C(O)ORc、−N(Rf)C(O)NRcRc、−[N(Rf)C(O)]2Rc、−N[C(O)]2Rc、−N[C(O)]2ORc、−[N(Rf)C(O)]2ORc、及び−N(Rf)CN(Rf)NRcRcから選択され、さらに
各Rcは、それぞれ互いに独立して、水素、又はC1-6アルキル、C3-10シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキルアルキ、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルから選択される1つ以上の同一又は異なるRd及び/又はReによって置換されていてもよい基を意味し、さらに
各Rdは、それぞれ互いに独立して、水素、又はC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキルアルキ、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルから選択される1つ以上の同一又は異なるRe及び/又はRfによって置換されていてもよい基を意味し、さらに
各Reは適切な基であり、各々は独立して、=O、−ORf、C1-3ハロアルキルオキシ、−OCF3、=S、−SRf、=NRf、=NORf、−NRfRf、ハロゲン、−CF3、−CN、−NC、−OCN、−SCN、−NO2、−S(O)Rf、−S(O)2Rf、−S(O)2ORf、−S(O)NRfRf、−S(O)2NRfRf、OS(O)Rf、−OS(O)2Rf、−OS(O)2ORf、−OS(O)2NRfRf、−C(O)Rf、−C(O)ORf、−C(O)NRfRf、−CN(Rg)NRfRf、−CN(OH)Rf、−C(NOH)NRfRf、−OC(O)Rf、−OC(O)ORf、−OC(O)NRfRf、−OCN(Rg)NRfRf、−N(Rg)C(O)Rf、−N(Rg)C(S)Rf、−N(Rg)S(O)2Rf、−N(Rd)C(O)ORf、−N(Rg)C(O)NRfRf、及び−N(Rg)CN(Rf)NRfRfから選択され、さらに
各Rfは、それぞれ互いに独立して、水素、又はC1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキルアルキ、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルから選択される1つ以上の同一又は異なるRgによって置換されていてもよい基を意味し、さらに
各Rgは、それぞれ互いに独立して、水素、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C4-11シクロアルキルアルキル、C6-10アリール、C7-16アリールアルキル、2−6員ヘテロアルキル、3−8員ヘテロシクロアルキル、4−14員ヘテロシクロアルキル、5−12員ヘテロアリール、及び6−18員ヘテロアリールアルキルを意味し、さらに
mは0又は1を意味し、さらに
nは0、1、2、3又は4を意味し、さらに
pは0、1、又は2を意味するが、
ただし下記化合物を含まないことを条件とする:
4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-ピペリジン-4-イル-ベンザミド;
2-フルオロ-4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
2-クロロ-4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
2-フルオロ-4-[4-((1R,2S)-2-イソプロピルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-ニトロ-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-フルオロ-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-クロル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-イソプロピル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[5-ブロモ-4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-ヨード-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-4-{4-[(1R,2S)-2-(ピロリドン-1-カルボニル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-シクロペンチルカルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-{4-[(1R,2S)-2-(1,1-ジオキソ-テトラヒドロ-1λ6-チオフェン-3-イルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)- 4-{4-[(1R,2S)-2-(2,2,2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-ベンザミド;
N-メチル-4-{4-[(1R,2S)-2-(3-メチル-ブチルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-{4-[(1R,2S)-2-(3-ジメチルアミノ-プロピルカルバモイル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-{4-[(1R,2S)-2-(アゼチジン-1-カルボニル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
N-メチル-4-{4-[(1R,2S)-2-(4-メチル-ピペリジン-1-カルボニル)-シクロペンチルアミノ]-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ}-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,3S)-3-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,3S)-3-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-トリフルオロメチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-メチル-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-シアノ-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-フェニルエチニル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド;及び
4-[4-((1R,2S)-2-カルバモイル-シクロペンチルアミノ)-5-シクロプロピル-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ベンザミド。
【請求項2】
式中、XがNを意味する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、mが1に等しい、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
式中、R2がハロゲン及びC1-4ハロアルキルから選択される基を意味する、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
式中、R2が−CF3を意味する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式中、R1がC4-6シクロアルキルを意味する、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
式中、R1がシクロペンチルを意味する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
医薬組成物として使用するための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物又は医薬的に有効なその塩。
【請求項9】
抗増殖活性を有する医薬組成物の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物又は医薬的に有効なその塩。
【請求項10】
活性物質として、1つ以上の請求項1から7のいずれかに記載の一般式(1)の化合物又は医薬的に有効なその塩を含み、さらに従来の賦形剤及び/又は担体を一緒に含んでもよい医薬製剤。
【請求項11】
癌、感染症、炎症及び自己免疫疾患の治療及び/又は予防用医薬組成物の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の一般式(1)の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1から7のいずれかに記載の一般式(1)の化合物であって、その互変異性体、ラセミ体、鏡像体、ジアステレオマー及び混合物の形態、及び医薬的に有効なその塩の形態にあってもよい前記化合物、並びに、式(1)とは異なる少なくとも1つの他の細胞増殖抑制性又は細胞傷害性活性を有する物質を含む医薬製剤。

【公表番号】特表2009−537485(P2009−537485A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510448(P2009−510448)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054723
【国際公開番号】WO2007/132010
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】