説明

細胞画像表示方法、細胞画像表示システム、細胞画像表示装置、及びコンピュータプログラム

【課題】 従来に比して細胞の分類カウント作業の効率化が可能な細胞画像表示方法、細胞画像表示システム、細胞画像表示装置、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】 複数の細胞が撮像されたバーチャルスライドが記憶されているバーチャルスライドデータベース42から、バーチャルスライドを取得するステップと、バーチャルスライドにおける細胞像の位置を示す位置情報が記憶されているコミュニケーションデータベース52から、位置情報を取得するステップと、バーチャルスライドを表示するステップと、表示されたバーチャルスライドに含まれる細胞像のうちの一つを選択するステップと、位置情報に基づいて、選択された細胞像を特定するステップとを有し、前記細胞像のうちの一つを選択するステップでは、キーボードの所定のキーの入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞像とは異なる細胞像を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞が撮像された細胞画像を表示するための細胞画像表示方法、当該細胞画像表示方法の実施に使用する細胞画像表示システム、当該細胞画像表示システムが備える細胞画像表示装置、及びコンピュータを細胞画像表示装置として機能させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液細胞の検査においては、検査対象である血液をプレパラート上に載せて作成した塗抹標本を顕微鏡で覗いて目視により検査する「鏡検」と呼ばれる方法が採られている。この鏡検では、塗抹標本を顕微鏡で覗きながら、各キーに血液細胞の分類項目が割り付けられたキーボードを備える専用の分類カウンタを用いて、たとえば、所定領域に存在する白血球の分類カウントを行うとともに、その分類カウントの作業中に赤血球や血小板の形態異常や分類項目の判断が困難な細胞(白血球)を発見した場合には、その細胞を顕微鏡に備え付けたビデオカメラ等により撮像する。そして、その撮像した血液細胞の画像を、検査対象の属性情報(カルテ番号など)と共に画像ファイリングシステムのデータベースにファイリング(保存)する。そして、検査終了後は、分類カウントの結果を印字するとともに、必要に応じて、ファイリングした血液細胞の画像を印刷して検査結果としていた。
【0003】
しかし、上記の方法では、塗沫標本を顕微鏡で覗いて目視により検査を行っているため、検査者は、顕微鏡の設置されている場所で検査を行う必要がある。このため、検査者は、場所的制約を受けるという不都合がある。
【0004】
また、細胞、特に血液細胞の検査においては、検査技師又は検査医等の検査者の検査技術の底上げに対する要望が高い。従来行われてきた検査者の指導は、被指導者が上記のような鏡検により細胞の分類を行い、指導者がその分類結果を顕微鏡を通して確認することによって行われてきた。しかしながら、このような指導方法では、顕微鏡の設置されている場所で指導を行う必要がある。また、一度顕微鏡のステージから取り外した塗抹標本を、再度ステージの同一位置に正確にセットすることは実質的に不可能であるため、被指導者が予め分類した分類結果を後に指導者が確認して指導することはできず、指導者及び被指導者が同時に顕微鏡の設置されている場所にいる必要があるという時間的制約もあった。
【0005】
その一方、従来では、血液塗抹標本を顕微鏡で撮影して血液画像を作成し、この血液画像を画面上に再生する血液診断支援システムが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された血液診断支援システムでは、検査者が画面上に再生された血液画像を目視して細胞の分類カウントを行うことができる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−170368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来技術にあっては、細胞を分類カウントするときに、検査者が検体に含まれる細胞の中から分類対象の細胞を選択すると共に、分類対象に選択した細胞を分類する必要があり、分類カウント作業に多くの手間を要していた。また、細胞の分類カウントに熟練した検査者でなければ、分類対象の細胞を適切に選択することが難しく、検査者によって分類対象細胞の選択にばらつきが生じていた。特に、細胞の分類カウントに未熟な被指導者では、適切に分類対象の細胞を選択することが困難であり、このため適切な指導を効率的に行うことができなかった。
【0008】
また、特許文献1に開示された血液診断支援システムを利用して細胞の分類カウントの指導を行う場合には、複数の被指導者が同一の検体を同時に確認し、夫々の被指導者が個別に細胞の分類作業を行うことも考えられるが、被指導者によって分類対象の細胞の選択に差が生じるため、指導者が夫々の分類結果を検討するのに多くの手間を要する。このため、実質的には一人の指導者が多数の被指導者を指導することは困難であり、各指導者の検査技術レベルによって指導内容に差が生じていた。このことは、細胞の分類基準を曖昧にし、検査者毎に細胞の分類結果に差が生じることの原因となっている。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、検査者が分類対象細胞の選択をする必要がなく、従来に比して細胞の分類カウント作業の効率化が可能な細胞画像表示方法、細胞画像表示システム、細胞画像表示装置、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の他の目的は、一人の指導者が多数の被指導者に対して細胞の分類を指導することが可能であり、細胞の分類基準の統一化に貢献することが可能な細胞画像表示方法、細胞画像表示システム、細胞画像表示装置、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る細胞画像表示方法は、複数の細胞が撮像された細胞画像が記憶されている第1データベースから、細胞画像を取得するステップと、前記細胞画像における細胞の像の位置を示す位置情報が記憶されている第2データベースから、取得した細胞画像に対応する位置情報を取得するステップと、取得した細胞画像を表示するステップと、表示された細胞画像に含まれる細胞の像のうちの一つを選択するステップと、取得した位置情報に基づいて、表示された細胞画像の中で選択された細胞の像を特定するステップとを有し、前記細胞の像のうちの一つを選択するステップでは、キーボードの所定のキーの入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る細胞画像表示システムは、複数の細胞が撮像された細胞画像が記憶されている第1データベースと、細胞画像における細胞の像の位置を示す位置情報が記憶されている第2データベースと、前記第1データベースから細胞画像を取得する細胞画像取得手段と、前記第2データベースから、前記細胞画像取得手段によって取得された細胞画像に対応する位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記細胞画像取得手段によって取得された細胞画像を表示する表示手段と、当該表示手段によって表示された細胞画像に含まれる細胞の像のうちの一つを選択する選択手段と、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報に基づいて、表示された細胞画像の中で、選択された細胞の像を特定する特定手段と、入力部とを備え、前記選択手段は、前記入力部の所定の入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る細胞画像表示装置は、画像表示部と、入力部と、細胞が撮像された細胞画像を外部から受信する第1受信手段と、当該第1受信手段によって受信した細胞画像における細胞の像の位置を示す位置情報を外部から受信する第2受信手段と、前記第1受信手段によって受信した細胞画像を表示する表示手段と、当該表示手段によって表示された細胞画像に含まれる細胞の像のうちの一つを選択する選択手段と、前記第2受信手段によって受信した位置情報に基づいて、表示された細胞画像の中で、選択された細胞の像を特定する特定手段とを備え、前記選択手段は、前記入力部の所定の入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るコンピュータプログラムは、画像表示部と、複数のキーが設けられたキーボートを有する入力部と、外部との通信が可能な通信部とを備えるコンピュータを、細胞が撮像された細胞画像を外部から受信する第1受信手段と、当該第1受信手段によって受信した細胞画像における細胞の像の位置を示す位置情報を外部から受信する第2受信手段と、前記第1受信手段によって受信した細胞画像を表示する表示手段と、当該表示手段によって表示された細胞画像に含まれる細胞の像のうちの一つを選択する選択手段と、前記第2受信手段によって受信した位置情報に基づいて、表示された細胞画像の中で、選択された細胞の像を特定する特定手段として機能させるためのコンピュータプログラムであって、前記選択手段は、前記キーボードの所定のキーの入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように前記コンピュータを機能させるべく構成されていることを特徴とする。
【0015】
このようにすることにより、検査者が入力部に所定の入力をするだけで、自動的に細胞の像が選択され、この選択された細胞が特定されるように表示されるので、検査者は、細胞の像を選択する必要がなく、選択された細胞を分類すればよいだけであり、従来に比して細胞の分類カウント作業の効率化が可能となる。また、検査者毎に分類対象の細胞の選択に差が生じず、安定した分類カウント結果を得ることが可能である。
【0016】
また、細胞の分類カウントに未熟な被指導者が、分類対象の細胞を選択する必要がなく、順次選択されていく細胞を分類していけばよいので、細胞の分類作業の適切な指導を効率的に行うことができる。また、複数の被指導者が同一の細胞画像について分類作業を行う場合であっても、被指導者間で分類対象細胞が統一されるため、一人の指導者が多数の被指導者に対して細胞の分類を指導することが可能であり、ひいては細胞の分類基準の統一化に貢献することができる。
【0017】
上記発明においては、前記特定手段は、細胞画像における選択された細胞の像の位置に、選択されていることを示すマークを表示するように構成されていることが好ましい。また、前記特定手段は、前記選択手段によって選択された細胞の像が中央に位置するように、細胞画像を表示すべく構成されていることとしてもよい。
【0018】
このようにすることにより、選択された細胞像であることを明確にすることができ、検査者、指導者、被指導者等(以下、検査者等という)が、選択された細胞像を容易に確認することができる。
【0019】
上記発明においては、前記入力部は、複数のキーが設けられたキーボードを有し、前記選択手段は、前記キーボードの所定のキーの入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、この場合においては、前記キーボードの複数のキーに、細胞の種類に応じた複数の分類項目が夫々割り当てられており、前記選択手段は、前記キーボードのキーの入力を受け付けた場合に、当該キーに割り当てられている分類項目により、選択されていた細胞の像を分類する分類手段を有する構成とすることが好ましい。
【0021】
このようにすることにより、検査者等がキーボードのキー入力をするだけで、そのキーに割り当てられた分類項目によって細胞像が分類され、また、次の細胞像が選択されるので、より一層細胞の分類カウント作業の効率を向上させることができる。
【0022】
上記発明においては、前記表示手段は、前記分類手段によって分類された細胞の像の近傍に、当該細胞の像の分類項目を表示するように構成されていることが好ましい。
【0023】
このようにすることにより、既に分類された細胞像の分類結果を容易に確認することが可能となる。また、被指導者が予め分類した結果を、指導者が容易に確認することができるため、細胞分類の指導をより一層効率的に行うことが可能となる。
【0024】
上記発明においては、前記選択手段は、細胞画像のうち前記表示手段によって表示される領域を、上下方向に分かれた複数の視線移動領域に分割したときに、選択されていた細胞の像と同じ視線移動領域に含まれる細胞の像のうちの少なくとも一つがまだ選択されていない場合には、当該視線移動領域に含まれ、しかもまだ選択されていない細胞の像の一つを選択し、選択されていた細胞の像と同じ視線移動領域に含まれる細胞の像の全てが選択された場合には、前記視線移動領域に隣り合う視線移動領域に含まれ、しかもまだ選択されていない細胞の像の一つを選択するように構成されていることが好ましい。
【0025】
本願発明者らは、細胞の分類カウントを行う場合の検査者等の視線、特に細胞の分類作業に熟練した検査者の視線が、画面を上下方向に複数に分割した領域毎に、左から右に、又は右から左に移動し、これを繰り返すことにより、画面を上方から下方へ、又は下方から上方へ向けてZ字状に移動する場合が多いことを知見した。そこで、このようにすることにより、前記領域に対応した視線移動領域に沿って細胞像が順次選択され、また視線移動領域に含まれる全ての細胞像の選択が完了した場合には、隣の視線移動領域の細胞像が選択されるため、検査者の視線移動に適合した細胞像の選択が可能となり、細胞の分類作業において検査者が細胞像の選択に違和感を感ずることを防止することができる。
【0026】
上記発明においては、前記選択手段は、一つの視線移動領域に含まれる細胞の像を、横方向の一方から他方へと向けて順に選択するように構成されていることが好ましい。また、上記発明においては、前記選択手段は、視線移動領域を上方から下方へ、又は下方から上方へ向けて移るように細胞の像を選択すべく構成されていることが好ましい。
【0027】
これにより、視線移動領域毎に、画面を上方から下方へ、又は下方から上方へ向けてZ字状に細胞像の選択が移動することとなり、検査者の視線移動に適合した細胞像の選択が可能となり、細胞の分類作業において検査者が細胞像の選択に違和感を感ずることを防止することができる。
【0028】
上記発明においては、前記選択手段は、選択されていた細胞の像に最も近接した細胞の像を選択するように構成されていることが好ましい。
【0029】
これにより、検査者は通常、分類対象として選択した細胞像に最も近い細胞像を次に選択するという検査者の細胞像の選択順序に適合した細胞像の選択が可能となり、細胞の分類作業において検査者が細胞像の選択に違和感を感ずることを防止することができる。
【0030】
上記発明においては、前記表示手段は、前記視線移動領域を区分する区分線を前記細胞画像に重畳させて表示するように構成されていることが好ましい。
【0031】
これにより、検査者が視線移動領域を把握して分類カウントを進めることができるため、細胞像の選択順序を予想しやすく、より一層細胞の分類カウント作業を容易にすることができる。
【0032】
上記発明においては、前記第1データベースは、細胞画像を提供する細胞画像サーバ装置に設けられており、前記細胞画像取得手段、前記表示手段、前記選択手段、前記特定手段、及び前記入力部は、前記細胞画像サーバ装置から細胞画像の提供を受ける細胞画像表示装置に設けられている構成とすることが好ましい。
【0033】
このようにすることにより、1台の装置に第1データベース、前記細胞画像取得手段、前記表示手段、前記選択手段、前記特定手段、及び前記入力部を設け、細胞画像の保存、提供、表示を行う構成に比べ、細胞画像サーバ装置及び細胞画像表示装置で処理の負荷を分散させることができる。また、データ量が大きい細胞画像を細胞画像サーバ装置によって一元管理することにより、複数の細胞画像表示装置を細胞画像サーバ装置に接続して、各細胞画像表示装置で細胞画像の提供を受けることができ、夫々の装置毎に細胞画像を保存・管理する必要がないため細胞画像の管理上好ましい。また、各細胞画像表示装置には、容量の大きな記憶装置を搭載する必要がなくなり、安価なシステム構成とすることができる。
【0034】
上記発明においては、前記第2データベースは、位置情報を提供する位置情報サーバ装置に設けられており、前記位置情報取得手段は、前記細胞画像表示装置に設けられている構成とすることが好ましい。
【0035】
このようにすることにより、容量の大きい細胞画像を提供するため処理負荷の高い細胞画像サーバ装置が位置情報を管理、提供する必要がなく、処理負荷を分散させることができる。
【0036】
上記発明においては、前記細胞画像表示装置は、ユーザの認証に必要な認証情報の入力を受け付ける認証情報入力受付手段をさらに有し、当該認証情報入力受付手段が入力を受け付けた認証情報に基づいて、ユーザを認証する認証手段をさらに備え、当該認証手段によるユーザの認証が成功した場合に、前記第1データベース及び前記第2データベースから前記細胞画像表示装置へ細胞画像及び位置情報を提供するように構成されていることが好ましい。
【0037】
このようにすることにより、第1データベース及び第2データベースへのアクセスが発生したときに、夫々個別にユーザ認証を行う必要がなく、シングルサインオンを実現することができる。
【0038】
上記発明においては、前記細胞画像に撮像された細胞は血液細胞であることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る細胞画像表示方法、細胞画像表示システム、細胞画像表示装置、及びコンピュータプログラムによれば、検査者が入力部に所定の入力をするだけで、自動的に細胞の像が選択され、この選択された細胞が表示されるので、検査者は、細胞の像を選択する必要がなく、選択された細胞を分類すればよいだけであり、従来に比して細胞の分類カウント作業の効率化が可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態に係る細胞画像表示方法、細胞画像表示システム、細胞画像表示装置、及びコンピュータプログラムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態に係る細胞画像表示システム1は、本発明に係る細胞画像表示装置として機能するコンピュータ2と、画像作成装置3と、バーチャルスライドサーバ装置4と、コミュニケーションサーバ装置5と、認証サーバ装置6とから主として構成されている。画像作成装置3、バーチャルスライドサーバ装置4、コミュニケーションサーバ装置5、及び認証サーバ装置6は、例えば、病院又は病理検査施設等の医療機関の施設内に設けられており、コンピュータ2、画像作成装置3、バーチャルスライドサーバ装置4、コミュニケーションサーバ装置5、及び認証サーバ装置6は、互いにデータ通信が可能であるようにLAN又はインターネット等の通信ネットワークNWによって接続されている。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態に係るコンピュータ2の構成を示すブロック図である。コンピュータ2は、本体21と、画像表示部22と、入力部23とから主として構成されている。本体21は、CPU21aと、ROM21bと、RAM21cと、ハードディスク21dと、読出装置21eと、入出力インタフェース21fと、通信インタフェース21gと、画像出力インタフェース21hとから主として構成されている。
【0043】
CPU21aは、ROM21bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM21cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような本発明に係るコンピュータプログラムを当該CPU21aが実行することにより、コンピュータ2が本発明に係る細胞画像表示装置として機能する。
【0044】
ROM21bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU21aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0045】
RAM21cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM21cは、ROM21b及びハードディスク21dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU21aの作業領域として利用される。
【0046】
ハードディスク21dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU21aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0047】
読出装置21eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体24に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体24には、本発明に係るコンピュータプログラムが格納されており、コンピュータ2が当該可搬型記録媒体24から本発明に係るコンピュータプログラムを読み出し、当該コンピュータプログラムをハードディスク21dにインストールすることが可能である。
【0048】
なお、本発明に係るコンピュータプログラムは、可搬型記録媒体24によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ2と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、本発明に係るコンピュータプログラムがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ2がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク21dにインストールすることも可能である。
【0049】
入出力インタフェース21fは、例えばUSB,IEEE1394,RS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース21fには、キーボード及びマウスからなる入力部23が接続されており、ユーザ(例えば、検査技師、検査医、指導者、被指導者)が当該入力部23を使用することにより、コンピュータ2にデータを入力することが可能である。
【0050】
通信インタフェース21gは、例えばEthernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ2は、当該通信インタフェース21gにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続されたバーチャルスライドサーバ装置4、コミュニケーションサーバ装置5、及び認証サーバ装置6との間でデータの送受信が可能である。
【0051】
画像出力インタフェース21hは、LCD又はCRT等で構成された画像表示部22に接続されており、CPU21aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部22に出力するようになっている。画像表示部22は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0052】
次に、画像作成装置3の構成について説明する。画像作成装置3は、血液塗抹標本に含まれる血液細胞を高倍率撮像した画像(以下、バーチャルスライドという)を作成するための装置であり、10倍、20倍、40倍、及び60倍のドライ対物レンズ、ならびに100倍の油浸対物レンズを有する光学顕微鏡30と、画像を撮像する3CCDカメラ31と、XYZ方向に自動的に位置調整が可能な顕微鏡用の自動ステージ32と、自動ステージ32の位置制御を行うための制御装置33及びジョイスティック34と、自動ステージ32の位置制御を行うとともにフォーカス合成及び画像タイリングを行うためのコンピュータ35とによって主として構成されている。なお、本実施の形態においては、光学顕微鏡30として例えばオリンパス株式会社製のBX−50シリーズを、自動ステージ32として例えばPRIOR社製のH101BXを、3CCDカメラ31として例えば日本ビクター株式会社製のKY−F70Bを夫々用いることができる。また、コンピュータ35は、画像信号伝送ケーブル36を介して3CCDカメラ31に接続されているとともに、制御信号伝送ケーブル37を介して制御装置33及びジョイスティック34に接続されている。
【0053】
また、コンピュータ35は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク等を有しており(図示せず)、ハードディスクには、自動ステージ32の位置制御、フォーカス合成、及び画像タイリングを行うためのコンピュータプログラムが格納されている。コンピュータ35は、このようなコンピュータプログラムを実行することにより、後述するような動作が可能となっている。また、コンピュータ35は、内蔵する通信インタフェース(図示せず)が通信ネットワークNWに接続されており、通信ネットワークNWを通じてバーチャルスライドサーバ装置4、コミュニケーションサーバ装置5等の他の装置とデータ通信することが可能となっている。
【0054】
図3は、本発明の実施の形態に係るバーチャルスライドサーバ装置4の構成を示すブロック図である。バーチャルスライドサーバ装置4は、画像作成装置3によって作成されたバーチャルスライドの管理、外部装置への提供、及び画像分割を行うための装置であり、CPU41aと、ROM41bと、RAM41cと、ハードディスク41dと、読出装置41eと、通信インタフェース41fとを備えるコンピュータ41によって構成されている。
【0055】
CPU41aは、ROM41bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM41cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような本発明に係るコンピュータプログラムを当該CPU41aが実行することにより、このコンピュータ41がバーチャルスライドサーバ装置4として機能する。
【0056】
ROM41bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU41aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0057】
RAM41cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM41cは、ROM41b及びハードディスク41dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU41aの作業領域として利用される。
【0058】
ハードディスク41dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU41aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0059】
また、ハードディスク41dには、バーチャルスライドデータベース42が設けられており、このバーチャルスライドデータベース42には、検体番号等の識別情報、バーチャルスライドデータ、当該バーチャルスライドから切り出された部分画像、及びアクセス制限情報を相互に関連付けて格納することができるようになっている。
【0060】
読出装置41eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体43に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体43には、コンピュータを本発明に係るバーチャルスライドサーバ装置として機能させるためのコンピュータプログラムが格納されており、当該コンピュータ41が可搬型記録媒体43からコンピュータプログラムを読み出し、当該コンピュータプログラムをハードディスク41dにインストールすることが可能である。
【0061】
なお、前記コンピュータプログラムは、可搬型記録媒体43によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ41と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、本発明に係るコンピュータプログラムがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ41がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク41dにインストールすることも可能である。
【0062】
通信インタフェース41fは、例えばEthernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ41は、当該通信インタフェース41fにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続されたコンピュータ2、画像作成装置3、コミュニケーションサーバ装置5、及び認証サーバ装置6との間でデータの送受信が可能である。
【0063】
図4は、本発明の実施の形態に係るコミュニケーションサーバ装置5の構成を示すブロック図である。コミュニケーションサーバ装置5は、バーチャルスライド上の細胞像の位置情報の管理、外部装置への提供、分類結果データの管理を行うための装置であり、CPU51aと、ROM51bと、RAM51cと、ハードディスク51dと、読出装置51eと、通信インタフェース51fとを備えるコンピュータ51によって構成されている。
【0064】
CPU51aは、ROM51bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM51cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような本発明に係るコンピュータプログラムを当該CPU51aが実行することにより、このコンピュータ51がコミュニケーションサーバ装置5として機能する。
【0065】
ROM51bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU51aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0066】
RAM51cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM51cは、ROM51b及びハードディスク51dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU51aの作業領域として利用される。
【0067】
ハードディスク51dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU51aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0068】
また、ハードディスク51dには、位置情報データベース52が設けられており、この位置情報データベース52には、検体番号等の識別情報、分類カウント結果データ(又は後述するコミュニケーションデータ)、バーチャルスライドを特定するデータ(本実施の形態では、バーチャルスライドデータのファイル名)、分類カウント結果の変更履歴データ、及びアクセス制限情報を相互に関連付けて格納することができるようになっている。図5は、分類カウント結果データの構成を示す図である。分類カウント結果データ52aは、図5に示すように、複数の分類カウント対象の細胞像毎に、細胞の部分画像のファイル名、細胞像のバーチャルスライド上における位置情報、分類名、コメント、番号、部分画像のスケール、部分画像のサイズ、分類日時、及び分類者名の各データを有している。また、位置情報データベース52には、アクセス制限情報として、かかる分類カウント結果データへのアクセスが許可されているユーザグループ(後述)が格納されるようになっている。
【0069】
読出装置51eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体53に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体53には、コンピュータを本発明に係るコミュニケーションサーバ装置として機能させるためのコンピュータプログラムが格納されており、当該コンピュータ51が可搬型記録媒体53からコンピュータプログラムを読み出し、当該コンピュータプログラムをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
【0070】
なお、前記コンピュータプログラムは、可搬型記録媒体53によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ51と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、本発明に係るコンピュータプログラムがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ51がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク51dにインストールすることも可能である。
【0071】
通信インタフェース51fは、例えばEthernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ51は、当該通信インタフェース51fにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続されたコンピュータ2、画像作成装置3、バーチャルスライドサーバ装置4、及び認証サーバ装置6との間でデータの送受信が可能である。
【0072】
図6は、本発明の実施の形態に係る認証サーバ装置6の構成を示すブロック図である。認証サーバ装置6は、ユーザの認証情報の管理、及びユーザ認証処理を行うための装置であり、CPU61aと、ROM61bと、RAM61cと、ハードディスク61dと、読出装置61eと、通信インタフェース61fとを備えるコンピュータ61によって構成されている。
【0073】
CPU61aは、ROM61bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM61cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなコンピュータプログラムを当該CPU61aが実行することにより、このコンピュータ61が認証サーバ装置6として機能する。
【0074】
ROM61bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されてお
り、CPU61aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0075】
RAM61cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM61cは、ROM61b及びハードディスク61dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU61aの作業領域として利用される。
【0076】
ハードディスク61dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU61aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0077】
また、ハードディスク61dには、認証情報データベース62が設けられており、この認証情報データベース62には、ユーザID、ユーザグループ名及びパスワード等の認証データを格納することができるようになっている。ユーザグループは、ユーザを分類するグループであり、例えば、通常の細胞分類カウント検査を行う検査技師が属する検査技師グループ、検査技師による分類カウント結果をチェックする検査医が属する検査医グループ、バーチャルスライドを用いて細胞診断を行う臨床医が属する臨床医グループ、検査技術を指導する指導者が属する指導者グループ、指導者からの指導を受ける被指導者が属する被指導者グループ、及びシステムの管理、メンテナンスを行う管理者が属する管理者グループ等がある。
【0078】
読出装置61eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体63に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体63には、コンピュータを本発明に係る認証サーバ装置として機能させるためのコンピュータプログラムが格納されており、当該コンピュータ61が可搬型記録媒体63からコンピュータプログラムを読み出し、当該コンピュータプログラムをハードディスク61dにインストールすることが可能である。
【0079】
なお、前記コンピュータプログラムは、可搬型記録媒体63によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ61と通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、ユーザ認証に係るコンピュータプログラムがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ61がアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク61dにインストールすることも可能である。
【0080】
通信インタフェース61fは、例えばEthernet(登録商標)インタフェースであり、コンピュータ61は、当該通信インタフェース61fにより、所定の通信プロトコルを使用して通信ネットワークNWに接続されたコンピュータ2、画像作成装置3、バーチャルスライドサーバ装置4、及びコミュニケーションサーバ装置5との間でデータの送受信が可能である。
【0081】
次に、本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システム1の動作について説明する。コンピュータ2、41、51、61は、夫々ハードディスク21d、41d、51d、61dに格納されているコンピュータプログラムを実行することにより、以下のように動作する。なお、以下の説明においては、コンピュータを本発明に係る細胞画像表示装置、バーチャルスライドサーバ装置、コミュニケーションサーバ装置、及び認証サーバ装置として夫々機能させるためのコンピュータプログラムは、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のオペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0082】
細胞画像表示システム1の動作は、バーチャルスライドを作成し、バーチャルスライドデータベース42に登録するバーチャルスライド登録動作と、バーチャルスライドデータベース42に登録したバーチャルスライドをユーザが使用して、血液細胞の分類カウントを行う分類カウント動作とに分けられる。まず、バーチャルスライド登録動作について説明する。図7は、本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システム1のバーチャルスライド登録動作の手順を示すフローチャートである。図7に示すように、まず、画像作成装置3は、識別情報の入力を受け付ける(ステップS1)。ここで、バーチャルスライドを作成するオペレータは、バーチャルスライド作成対象の血液塗抹標本に付された識別情報を確認し、画像作成装置3のコンピュータ35に設けられたキーボード等の入力装置を操作することによって、当該識別情報を画像作成装置3に入力する。なお、本発明の実施の形態に係るコンピュータプログラムにおける当該ステップS1のようなデータの入力を受け付ける処理、後述するデータの送受信を行う処理、及び画像を表示する処理にあっては、オペレーティングシステムのうち入力装置(入力部)、通信インタフェース、及び画像出力インタフェースの制御を夫々司るデバイスドライバの機能は含まれず、当該デバイスドライバに対してデータの入出力を行うことにより、入力の受付、データの送受信、及び画像の表示を行う処理を意味するものとする。
【0083】
次に、画像作成装置3は、血液塗抹標本からバーチャルスライドを作成するバーチャルスライド作成処理を実行する(ステップS2)。図8は、本発明の実施の形態に係るバーチャルスライド(血液細胞画像)の作成方法を説明する概念図であり、図9は、バーチャルスライド作成処理S2の手順を詳細に説明するフローチャートである。図9に示すように、バーチャルスライド作成処理は、設定フェーズと処理フェーズとから構成されている。設定フェーズにおいては、まず、オペレータが自動ステージ32が取り付けられた光学顕微鏡30に、標本をセットする。この標本としては、図8に示すように、標本スライドガラス71の表面上の所定領域に塗抹検体72が塗り広げられたものが使用される。次に、コンピュータ35は、バーチャルスライド化する範囲の入力を受け付けたか否かを判別する(ステップS101)。ここで、オペレータは、コンピュータ35の入力装置を用いて、バーチャルスライド化する範囲(標本検体エリア:X方向及びY方向の距離)を画像作成装置3に入力する。コンピュータ35は、このようにバーチャルスライド化する範囲の入力を受け付けた場合には(図9のステップS101でYes)、バーチャルスライド化する範囲を入力値に設定する(ステップS102)。また、コンピュータ35は、ステップS101においてバーチャルスライド化する範囲の入力を受け付けない場合には(図9のステップS101でNo)、入力を受け付けるまでこのステップS101の処理を繰り返す。次に、コンピュータ35は、画像タイリングのための連続視野間の重なり率の入力を受け付けたか否かを判別する(ステップS103)。ここで、オペレータは、コンピュータ35の入力装置を使用して、当該重なり率をコンピュータ35に入力する。この重なり率は、約10%以上約40%以下に設定するのが好ましい。コンピュータ35は、このように連続視野間の重なり率の入力を受け付けた場合には(図9のステップS103でYes)、連続視野間の重なり率を入力値に設定する(ステップS104)。また、コンピュータ35は、ステップS103において連続視野間の重なり率の入力を受け付けない場合には(図9のステップS103でNo)、入力を受け付けるまでこのステップS103の処理を繰り返す。さらに、コンピュータ35は、フォーカス合成のための焦点幅(Z方向の距離)と刻み幅との入力を受け付けたか否かを判別する(ステップS105)。ここで、オペレータは、コンピュータ35の入力装置を使用して、焦点幅及び刻み幅をコンピュータ35に入力する。この焦点幅と刻み幅との設定により、同一視野で取り込む画像の枚数が決定される。本実施の形態においては、焦点幅を約1mm以下に設定するとともに、刻み幅を0.1μm程度に設定した場合について説明する。コンピュータ35は、このように焦点幅及び刻み幅の入力を受け付けた場合には(図9のステップS105でYes)、焦点幅及び刻み幅を入力値に設定する(ステップS106)。また、コンピュータ35は、ステップS105において焦点幅及び刻み幅の入力を受け付けない場合には(図9のステップS105でNo)、入力を受け付けるまでこのステップS105の処理を繰り返す。上記のステップS101〜ステップS106の処理によって、バーチャルスライド(血液細胞画像)の作成処理の設定フェーズが完了する。
【0084】
次に、処理フェーズについて説明する。処理フェーズにおいては、まず、同一視野に対し、ステップS106において決定した枚数分の画像を、3CCDカメラ12によって撮像してコンピュータ35に取り込むとともに、コンピュータ35によってフォーカス合成画像が作成される(ステップS107)。ここで、フォーカス合成とは、同一視野における焦点位置の異なる複数の画像について、各画像からピントの合っている画素を抽出し、これらを合成することにより、全体としてピントの合った1つの画像を作成する処理をいう。本実施の形態においては、このようなフォーカス合成を、同一視野において取り込まれた全画像に対して行うことにより、図8に示すように、1360dot×1024dotの解像度のフォーカス合成画像を作成する。このフォーカス合成画像の画像フォーマットには、例えばTIFF形式を用いる。
【0085】
次に、コンピュータ35は、ステップS102で設定した範囲の全体についてフォーカス合成画像を作成したか否かを判別し(ステップS108)、フォーカス合成画像を作成していない部分が残っている場合には(図9のステップS108でNo)、自動ステージ32を移動させて、3CCDカメラ12による撮像視野を移動して(ステップS109)、処理をステップS107へと戻し、新たな視野におけるフォーカス合成画像を作成する。
【0086】
ステップS108において、設定範囲の全体についてフォーカス合成画像を作成したと判別された場合には(図9のステップS108でYes)、コンピュータ35は、図8に示すように、ステップS104で設定された重なり率に従って、フォーカス合成画像同士の画像タイリングを行う(ステップS110)。このとき、コンピュータ35は、隣り合うフォーカス合成画像の重なり部分を公知のパターンマッチング処理によって認識し、夫々の画像の重なり部分を互いに合致させることにより、つなぎ目が目立たないように両画像を合成する。次に、コンピュータ35は、全てのフォーカス合成画像の画像タイリングを行ったか否かを判別し(ステップS111)、画像タイリングを行っていないフォーカス合成画像が残っている場合には(図9のステップS111でNo)、残りのフォーカス合成画像の1つを処理対象として選択し(ステップS112)、ステップS110に処理を戻して、処理対象のフォーカス合成画像に対して画像タイリングを行う。ステップS111において、全てのフォーカス合成画像の画像タイリングが完了したと判別された場合には(図9のステップS111でYes)、バーチャルスライド50が完成する。このバーチャルスライド50の画像フォーマットとしては、例えばBMP形式を用いる。なお、以上の処理で作成された本実施の形態におけるバーチャルスライド50のサイズは、220,000dot×134,000dot程度である。
【0087】
次に、図7に示すように、画像作成装置3は、白血球細胞の選択条件の入力を受け付ける(ステップS3)。オペレータは、コンピュータ35の入力装置を用いて、選択対象倍率、選択個数、選択対象エリア等の選択条件を入力することができる。そして、コンピュータ35のCPUは、まず、細胞の選択個数を示す変数iに0をセットし(ステップS4)、公知のパターン認識技術を使用して、バーチャルスライド50の選択対象エリア内から分類カウント対象細胞像である白血球細胞像を自動的に認識する(ステップS5)。かかる自動認識処理は、バーチャルスライド50から赤、緑、青の3色のデジタル画像を抽出し、これらの画像間で所定の演算を行い、濃度ヒストグラムを作成することにより行われる。また、選択対象エリアが設定されていない場合には、バーチャルスライド50の全体から白血球細胞の認識が行われる。そして、コンピュータ35のCPUは、認識された白血球細胞の像を含む部分画像を、バーチャルスライド50から切り出す(ステップS6)。かかる部分画像は、概ね1つの細胞の像のみが含まれる画像である。そして、コンピュータ35のCPUは、切り出した白血球細胞像のバーチャルスライド50における位置(X座標、Y座標)を、メモリに格納し(ステップS7)、変数iを1だけインクリメントする(ステップS8)。次にコンピュータ35のCPUは、変数iが選択個数Nに到達したか否かを判別し(ステップS9)、到達していない場合には(ステップS9でNo)、処理をステップS5へと戻す。ここで、選択個数が設定されていない場合には、全白血球細胞像が切り出されるまで、ステップS5〜S8の処理が繰り返されることとなる。また、ステップS9において、変数iが選択個数Nに到達した場合(又は全白血球細胞像が切り出された場合)には(ステップS9においてYes)、コンピュータ35のCPUは、メモリに格納した白血球細胞像の位置情報及び切り出した部分画像のファイル名、スケール、サイズ等によって、このバーチャルスライド50のコミュニケーションデータを作成する(ステップS10)。このコミュニケーションデータは、分類カウント結果データ52aと同じデータ構造をしたデータであり、分類名には、未分類であることを示す「UNC」が格納される。次に、コンピュータ35のCPUは、識別情報、バーチャルスライド50、及び部分画像をバーチャルスライドサーバ装置4へ送信する(ステップS11)。バーチャルスライドサーバ装置4のCPU41aは、識別情報、バーチャルスライド50、及び部分画像を受信した場合には(ステップS12でYes)、受信した識別情報、バーチャルスライド50、及び部分画像をバーチャルスライドデータベース42に登録する(ステップS13)。このステップS13の処理では、アクセス権の設定がされる。本実施の形態においては、全てのユーザグループに対してアクセスが可能な状態に設定することとして説明する。バーチャルスライドデータベース42へのデータの登録が完了すると、CPU41aは、処理を終了する。
【0088】
また、コンピュータ35のCPUは、識別情報、コミュニケーションデータ、及び当該バーチャルスライドのファイル名をコミュニケーションサーバ装置5へ送信し(ステップS14)、処理を終了する。コミュニケーションサーバ装置5のCPU51aは、識別情報、コミュニケーションデータ、及びバーチャルスライドのファイル名を受信した場合には(ステップS15でYes)、受信した識別情報、コミュニケーションデータ、及びバーチャルスライドのファイル名を位置情報データベース52に登録する(ステップS16)。このステップS16の処理では、アクセス権の設定がされる。本実施の形態においては、全てのユーザグループに対してアクセスが可能な状態に設定することとして説明する。位置情報データベース52へのデータの登録が完了すると、CPU51aは、処理を終了する。
【0089】
次に、分類カウント動作について説明する。図10〜図12は、本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システム1の分類カウント動作の手順を示すフローチャートである。また、図13〜図15は、本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムにおける白血球の分類カウント動作の際のコンピュータ2の画面表示例を示す図である。まず、コンピュータ2は、図13に示すログイン画面を表示し、バーチャルスライドデータベース42のアクセスに必要なユーザID及びパスワードの入力を受け付けたか否かを判別し(ステップS41)、入力を受け付けるまでこの処理を繰り返して(ステップS41でNo)、入力待機する。このユーザID及びパスワードは、本実施の形態に係る細胞画像表示システム1を管理するシステム管理者によって、あらかじめ当該細胞画像表示システム1のユーザに発行されたものであり、ユーザの個人認証に用いられる。コンピュータ2は、図13に示すように、ユーザID及びパスワードの入力ボックスを有するログイン画面を表示する。そして、ユーザは、コンピュータ2の入力部23を操作することによって、ユーザID及びパスワードをコンピュータ2に入力し、画像表示部22に表示された「OK」ボタンをクリックする。こうして、ステップS41におけるユーザID及びパスワードの入力受付が行われる(ステップS41でYes)。次に、コンピュータ2は、入力されたユーザID及びパスワードのデータを認証サーバ装置6へ送信する(ステップS42)。認証サーバ装置6は、ユーザID及びパスワードのデータを受信したか否かを判別し(ステップ43)、データを受信するまでこの処理を繰り返して受信待機する(ステップS43でNo)。認証サーバ装置6は、ステップS43においてユーザID及びパスワードのデータを受信した場合には(ステップS43でYes)、認証情報データベース62にこのユーザID及びパスワードが登録されているか否かを判別することによって個人認証を行う(ステップS44)。ここで、認証に失敗した場合には、処理を終了する。また、ステップS44において、認証に成功した場合は(ステップS44でYes)、バーチャルスライドサーバ装置4は、認証成功を示すデータをバーチャルスライドサーバ装置4及びコミュニケーションサーバ装置5へ送信する(ステップS45)。バーチャルスライドサーバ装置4のCPU41aは、かかる認証成功データを受信したか否かを判別し(ステップS46)、コミュニケーションサーバ装置5のCPU51aも、認証成功データを受信したか否かを判別する(ステップS47)。
【0090】
バーチャルスライドサーバ装置4のCPU41aは、認証成功データを受信した場合には(ステップS46でYes)、バーチャルスライドの一覧リストを作成し、この一覧リストをコンピュータ2へ送信する(ステップS48)。コンピュータ2のCPU21aは、バーチャルスライドの一覧リストを受信した場合には(ステップS49でYes)、このバーチャルスライドのファイル名の一覧リストを表示し(ステップS50)、ユーザからバーチャルスライドの選択を受け付ける(ステップS51)。このとき、ユーザは入力部22を操作して、一覧表示されているバーチャルスライドのファイル名の中の一つをクリックすることにより、このバーチャルスライドを選択することができる。このように、バーチャルスライドの選択を受け付けた場合には(ステップS51でYes)、CPU21aは、選択を受け付けたバーチャルスライドのファイル名をバーチャルスライドサーバ装置4及びコミュニケーションサーバ装置5へ送信する(ステップS52)。
【0091】
バーチャルスライドサーバ装置4のCPU41a及びコミュニケーションサーバ装置5のCPU51aは、夫々バーチャルスライドのファイル名を受信した場合には(ステップS53及びS54でYes)、このファイル名に対応付けられたアクセス制限情報を確認し、アクセス許可が与えられているか否かを判別する(ステップS55,S56)。アクセス許可が与えられていない場合には(ステップS55,S56でNo)、アクセス拒否を示すアクセス拒否データを夫々コンピュータ2へ送信し(ステップS57,S58)、ステップS53,S54へ夫々処理を戻す。コンピュータ2のCPU21aは、アクセス拒否データを受信した場合には(ステップS59でYes)、ステップS50へと処理を戻す。これにより、アクセス許可が与えられていないユーザグループに対しては、このファイル名のバーチャルスライド50及びこれに対応付けられている分類カウント結果データ又はコミュニケーションデータへのアクセスが拒否される。
【0092】
一方、ステップS55,S56においてアクセス許可が与えられている場合には(ステップS55,S56でYes)、CPU41aは、このファイル名に対応するバーチャルスライド及び部分画像をバーチャルスライドデータベース42から読み出し(ステップS60)、これらのデータをコンピュータ2へ送信し(ステップS61)、CPU51aは、このファイル名に対応する分類カウント結果データ又はコミュニケーションデータを位置情報データベース52から読み出し(ステップS62)、これをコンピュータ2へ送信する(ステップS63)。コンピュータ2のCPU21aは、バーチャルスライド及び部分画像を受信し(ステップS64でYes)、分類カウント結果データ又はコミュニケーションデータを受信した場合には(ステップS65でYes)、分類カウント処理を実行する(ステップS66)。
【0093】
分類カウント処理S66について詳しく説明する。図16及び図17は、本発明の実施の形態に係る分類カウント処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU21aは、バーチャルスライド50を画像表示部22に表示させる(ステップS201)。バーチャルスライド50は非常に大きいため、画像表示部22に全てを表示させることができないので、ステップS201の処理では、バーチャルスライド50のうち、例えば左上隅の領域が画像表示部22に表示される。また、CPU21aは、バーチャルスライド50の表示領域の入力を受け付ける(ステップS202)。ここで、ユーザは、例えばマウスによるドラッグ操作を行うことにより、バーチャルスライド50の中で、所望する領域を表示させるように指示することができる。ステップS202において、表示領域の指示が入力された場合には(ステップS202においてYes)、CPU21aは、この領域を画像表示部22に表示する(ステップS203)。これによって、バーチャルスライド50の中で、分類カウントを行うべき領域が画像表示部22に表示されることとなる。なお、ステップS202,S203の処理は、ここでは説明を簡単にするために、逐次的に行われるように説明したが、実際には、イベントドリブン型の処理であり、ユーザからの入力を受け付けた場合には、いつでも表示領域を変更するようになっている。
【0094】
次に、CPU21aは、バーチャルスライド50に重畳させて、視線移動領域101a,101b,101cを規定する視線移動領域規定線102を画像表示部22に表示させる(ステップS204)。図14及び図15に示すように、視線移動領域規定線102は、自由移動認識領域101の外郭を示す矩形の外郭線102cと、当該外郭線102cの全幅に渡って横方向へ延びた区分線102a,102bとを含んでいる。画像表示部22には、バーチャルスライド50に重畳して、このような視線移動領域規定線102が表示される。図14及び図15においては、視線移動領域規定線102には、ウィンドウのサイズよりも若干小さい外郭線102cと、2本の区分線102a,102bとが含まれている。自由移動認識領域101は、ウィンドウに表示されている全ての分類カウント対象細胞像の中から、そのときの分類対象とされる細胞像(以下、注目細胞像という)が選択される領域である。つまり、ウィンドウに表示されている分類カウント対象細胞像であっても、この自由移動認識領域101から外れている細胞像は注目細胞像として選択されないようになっている。ウィンドウの端縁部分に存在する細胞像は、その一部がウィンドウから外れて表示されない場合があり、この場合にはこの細胞像を正確に分類することが困難である。そこで、このようにすることによって、正確に分類することが困難なウィンドウの端縁部分に存在する細胞像が注目細胞像に選択されることを防止することができる。区分線102a,102bは、自由移動認識領域101を等間隔に区分するように上下に並べられる。自由移動認識領域101のうち、この区分線102a,102bによって区分される領域(視線移動領域)101a,101b,101c、即ち、外郭線102cの上側の横線、左右の縦線、及び上側の区分線102aによって囲まれる領域101a、上側の区分線102a、外郭線102cの左右の縦線、及び下側の区分線102bによって囲まれる領域101b、並びに下側の区分線102b、外郭線102cの左右の縦線、及び下側の横線によって囲まれる領域101cは、ユーザの視線移動を規定する領域である。以下に詳述するように、これらの視線移動領域101a,101b,101cのうちの1つが選択され、その選択された領域内で全ての注目細胞像が順次的に選択され、次にその隣の視線移動領域が選択され、同様の処理が繰り返されることにより、ユーザは注目細胞像だけに注目していれば、自然な視線移動が実現されることとなる。
【0095】
次に、CPU21aは、バーチャルスライド50の分類カウント対象細胞像の全部に対して、自由移動認識領域101に含まれる細胞像であるか否かを判別する(ステップS205)。この処理では、バーチャルスライド50のうち、画像表示部22に表示されている領域の位置情報と、ダウンロードした分類カウント結果データ又はコミュニケーションデータに含まれる各分類カウント対象細胞の位置情報とを比較することにより、注目している分類カウント対象細胞が自由移動認識領域101に含まれているか否かが判別される。そして、CPU21aは、ステップS205において自由移動認識領域101に含まれていると判別された分類カウント対象細胞像の部分画像を、画像表示部22に表示させる(ステップS206)。図14及び図15には、バーチャルスライド50の右隣に、部分画像103a,103b,…をマトリックス状に並べて表示している例を示している。
【0096】
次にCPU21aは、自由移動認識領域101に含まれる分類カウント対象細胞像の分類名を、ダウンロードした分類カウント結果データ又はコミュニケーションデータから読み出し、この分類名105を、バーチャルスライド50に重畳させて、対応する細胞像の近傍に表示する(ステップS207)。これにより、過去に分類カウントが行われた場合には、図14に示すように、このときの分類名105がバーチャルスライド上に表示されることとなる。したがって、例えば、被指導者の過去の分類結果を、指導者が容易に確認することができる。つまり、被指導者の過去の分類結果は、分類カウント結果データとして位置情報データベース52に長期間にわたって保存することができるため、被指導者の過去の分類結果を指導者が確認して被指導者を指導することが可能であり、指導者及び被指導者が同時にコンピュータ2が設置された場所にいなくても細胞の分類カウントの指導を行うことができる。また、ここでは、未分類の場合(分類名が「UNC」の場合)には、デフォルトではこれを表示しないこととしている。この設定は変更することが可能であり、「UNC」を表示させることも可能である。また、CPU21aは、分類カウント結果データ又はコミュニケーションデータから、各分類名毎に、分類されている細胞像の数を集計し、このカウント結果を表示する(ステップS208)。これにより、過去に分類カウントが行われた場合には、この分類カウントの結果を表示させることができる(図示せず)。
【0097】
次にCPU21aは、視線移動方向の設定を受け付ける(ステップS209)。この視線移動の方向は、視線移動領域101a,101b,101cにしたがって規定される方向であり、以下に説明するように、この方向に沿って分類カウント対象細胞像が順次選択される。例えば、視線移動方向は、図15の破線矢符にて示すように、最上の視線移動領域101aにおいては左から右へ、中間の視線移動領域101bにおいては右から左へ、最下の視線移動領域101cにおいては左から右へ向かう方向のように定められる。このような視線移動方向は、特に熟練者が細胞の分類カウント作業を行うときに、視線を移動させる方向と略同じ方向である。本願発明者らが調査した結果、分類カウント作業に従事する医師、検査技師等が、画面を上下方向に複数の領域に分割し、領域毎に、左から右に、又は右から左に視線を移動し、これを領域の一端側(例えば上端側)から他端側(例えば下端側)へと向けて繰り返すことにより、Z字状に視線を移動させることがわかった。この分類カウント処理S66において説明する視線移動方向は、かかる知見に基づき、細胞の分類カウント作業の熟練者の視線移動方向にあわせて定められるものである。
【0098】
また、図15にて示した視線移動方向の他にも、視線移動領域101a,101b,101cは上から下へ向けて順次選択され、選択された視線移動領域においては左から右へ向かう方向とすることもできるし、視線移動領域101a,101b,101cは下から上へ向けて順次選択され、最初に選択される視線移動領域101cでは右から左へ、次に選択される視線移動領域101bでは左から右へ、最後に選択される視線移動領域101aでは右から左へ向かう方向とすることもできる。本実施の形態においては、視線移動領域101a,101b,101cが上から下へ向けて順次選択され、最初に選択される視線移動領域101aでは左から右へ、次に選択される視線移動領域101bでは右から左へ、最後に選択される視線移動領域101cでは左から右へ向かう方向をデフォルトの視線移動方向とされているものとして説明する。ユーザは、入力部23を操作することによって、この視線移動方向の設定を入力することが可能である。ステップS209で視線移動方向の設定を受け付けた場合には(ステップS209でYes)、CPU21aは、この視線移動方向を設定する(ステップS210)。また、ステップS209でかかる設定を受け付けなかった場合には(ステップS209でNo)、CPU21aは、デフォルトの視線移動方向を採用する。なお、ステップS209の処理は、ここでは説明を簡単にするために、逐次的に行われるように説明したが、実際には、イベントドリブン型の処理であり、ユーザからの入力を受け付けた場合には、いつでも視線移動方向を変更するようになっている。
【0099】
次にCPU21aは、最初の視線移動領域を選択する(ステップS211)。以下では、一例としてデフォルトの視線移動方向が採用された場合における処理の流れについて説明する。デフォルトでは、視線移動領域として最初に選択されるのは、視線移動領域101aである。次に、CPU21aは、選択された視線移動領域に含まれる分類カウント対象細胞像の中から、最初の注目細胞像を選択する(ステップS212)。デフォルトの視線移動方向は、視線移動領域101aにおいては左から右へ向かう方向であるので、視線移動領域101aに含まれる分類カウント対象細胞像のうち、最も左に位置する細胞像が注目細胞像として選択されることとなる。
【0100】
次にCPU21aは、バーチャルスライド50上の注目細胞像に円形のマーク104を重畳表示する(ステップS213)。これにより、ユーザは目視で注目細胞像を確認することができる。そして、CPU21aは、この注目細胞像の分類名の入力を受け付ける(ステップS214)。入力部23が有するキーボードの複数のキーには、分類名がアサインされている。白血球の分類について例示すると、Blast(芽球)は「B」キーにアサインされ、Promyelo(前骨髄球)は「P」キーにアサインされる。このキーアサインは、ユーザによって自由に設定することが可能である。そして、例えば注目細胞像をBlast(芽球)と分類する場合には、ユーザは「B」キーを押下する。CPU21aは、このようなキー入力を受け付けた場合には(ステップS214でYes)、このキーにアサインされた分類名をこの注目細胞像に対応付けてRAM21cに格納し(ステップS215)、この分類名を注目細胞像の近傍に表示するとともに(ステップS216)、この分類名のカウントを1だけインクリメントする(ステップS217)。また、ここでは、注目細胞像に対するユーザからのコメントがあれば、この入力を受け付ける(ステップS218)。例えば、指導者が被指導者の分類結果に対してコメントを与える場合、又は診療医が細胞の形態を観察することにより、その診断結果をコメントとして付加する場合には、ここでユーザはコメントを入力することができる。CPU21aは、コメントの入力を受け付けた場合には(ステップS218においてYes)、このコメントを注目細胞像に対応付けてRAM21cに格納する(ステップS219)。
【0101】
続いて、CPU21aは、分類カウント結果データ又はコミュニケーションデータから、注目細胞像よりも視線移動方向側に分類カウント対象細胞像が存在するか否かを判別し(ステップS220)、これが存在する場合には(ステップS220においてYes)、そのうち最も注目細胞像に近い位置に存在する分類カウント対象細胞像を新たな注目細胞像として選択し(ステップS221)、この注目細胞像が選択されている視線移動領域内に存在するか否かを判別する(ステップS222)。ここで、注目細胞像が、選択されている視線移動領域内に存在するか否かの判定は、分類カウント結果データ又はコミュニケーションデータに含まれるこの注目細胞像(分類カウント対象細胞像)の位置情報に基づいて、当該注目細胞像の位置と、視線移動領域の位置(つまり、画面の上下左右端及び区分線で囲まれる領域のバーチャルスライド50上での位置)とを比較することによって行われる。ステップS222の処理において、選択した分類カウント対象細胞像が選択されている視線移動領域内に存在する場合には(ステップS222においてYes)、CPU21aは、処理をステップS213へと移す。また、ステップS222の処理において、選択した分類カウント対象細胞像が選択されている視線移動領域内に存在しない場合には(ステップS222においてNo)、CPU21aは、処理をステップS220へと戻し、その時点での注目細胞像注目細胞像よりも視線移動方向側に存在する分類カウント対象細胞像が存在するか否かを判別する。
【0102】
また、ステップS220において、注目細胞像よりも視線移動方向側に分類カウント対象細胞像が存在しない場合には(ステップS220においてNo)、CPU21aは、選択されていない視線移動領域が存在するか否かを判別し(ステップS223)、ここで選択されていない視線移動領域が存在する場合には(ステップS223においてYes)、ステップS212へと処理を移す。一方、ステップS223において、選択されていない視線移動領域が存在しない場合には(ステップS223においてNo)、CPU21aは、当該バーチャルスライド50に未分類の分類カウント対象細胞像が存在するか否かを判別し(ステップS224)、未分類の分類カウント対象細胞像が存在する場合には(ステップS224においてYes)、バーチャルスライド50の表示されている領域の隣の領域を、画像表示部22に表示して(ステップS225)、ステップS204に処理を移す。ステップS224において、当該バーチャルスライド50に未分類の分類カウント対象細胞像が存在しない場合には(ステップS224においてNo)、CPU21aは、RAM21cに格納されている分類カウント結果及びコメントにより、分類カウント結果データを作成し(ステップS226)、処理をリターンする。また、ここでは説明を省略したが、ユーザから終了指示を受け付けた場合にも、CPU21aは、分類カウント結果データを作成し、処理をリターンするようになっている。
【0103】
このような分類カウント処理S66では、検査技師、検査医等がバーチャルスライドを用いて細胞の分類カウントを行うことができるだけでなく、被指導者がバーチャルスライドを用いて細胞の分類カウントの練習、実習を行うこともでき、また、指導者が、実際に分類カウントを行わずに、被指導者が分類カウントを行った結果を確認することもできる。指導者が被指導者の分類結果を確認する場合には、分類カウント対象の細胞像の近傍に、分類結果の分類名が表示されるので、一目で分類結果が正しいか否かを判断することができる。また、細胞の分類カウントではなく、診療医が細胞の形態を目視で確認して病気の診断を行うこともできる。
【0104】
かかる分類カウント処理S66をリターンした後、CPU21aは、作成した分類カウント結果データをコミュニケーションサーバ装置5へと送信し(ステップS67)、処理を終了する。コミュニケーションサーバ装置5のCPU51aは、分類カウント結果データを受信した場合には(ステップS68においてYes)、この分類カウント結果データを、識別番号、バーチャルスライド50のファイル名、及びアクセス制限情報と共に、位置情報データベース52に登録し(ステップS69)、処理を終了する。
【0105】
以上説明したごとき構成により、予め分類カウント対象細胞像が定められているので、ユーザが分類カウント作業の途中で、分類カウント対象細胞像を選択する必要がなく、選択されている注目細胞像を分類すればよいだけであるので、従来に比して細胞の分類カウント作業の効率化が可能となる。また、ユーザ毎に分類対象の細胞の選択に差が生じず、安定した分類カウント結果を得ることが可能である。
【0106】
また、適切な分類カウント対象細胞像をユーザに示すことができるため、ユーザは、注目細胞像を確認していくだけで、どのような形態の細胞像が分類カウント対象細胞像として適切であるのかを学習することができる。
【0107】
また、コンピュータを本発明の細胞画像表示装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータ2が設置された場所であれば、検査者は場所を問わずにバーチャルスライドを用いて細胞の分類カウントを行うことができる。
【0108】
また、細胞の分類カウント作業の熟練者の視線移動に適合した視線移動方向に沿って注目細胞像が順次選択されていくため、熟練者が本実施の形態に係る細胞画像表示システム1を利用して細胞の分類カウント作業を行う場合であっても、自然な視線の移動が可能であり、分類カウント対象細胞像の選択の順序にユーザに違和感を与えることを抑制できる。
【0109】
なお、本実施の形態においては、細胞画像表示システム1が、コンピュータ2と、画像作成装置3と、バーチャルスライドサーバ装置4と、コミュニケーションサーバ装置5と、認証サーバ装置6とを備え、認証サーバ装置6でユーザ認証を行い、ユーザ認証に成功した場合には、バーチャルスライドサーバ装置4が備えるバーチャルスライドデータベース42及びコミュニケーションサーバ装置5が備える位置情報データベース52へのユーザのアクセスを許可する所謂シングルサインオン環境が構成されている場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば認証サーバ装置6の代わりに、バーチャルスライドサーバ装置4及びコミュニケーションサーバ装置5に夫々ユーザ認証サーバプログラムをインストールし、バーチャルスライドサーバ装置4のユーザ認証サーバによるユーザ認証に成功した場合には、バーチャルスライドデータベース42へのユーザのアクセスを許可し、コミュニケーションサーバ装置5のユーザ認証サーバによるユーザ認証に成功した場合には、位置情報データベース52へのユーザのアクセスを許可する構成としてもよい。
【0110】
また、画像作成装置3とバーチャルスライドサーバ装置4とを一体の装置として構成し、画像の撮像からバーチャルスライドの作成、バーチャルスライドの記憶・管理までを一つの装置で行ってもよいし、バーチャルスライドサーバ装置4とコミュニケーションサーバ装置5とを一体の装置として構成し、バーチャルスライドデータベース42及び位置情報データベース52を一つの装置に設け、バーチャルスライドを用いた分類カウント作業に必要なデータを一括して保存・管理する構成としてもよい。また、コンピュータ2、画像作成装置3、バーチャルスライドサーバ装置4、コミュニケーションサーバ装置5、及び認証サーバ装置6を一体の装置として構成し、この装置だけでバーチャルスライドによる分類カウント作業の全てを行うことができるようにしてもよい。
【0111】
また、本実施の形態においては、画像表示部22に表示されている注目細胞像に円形のマーク104を重畳表示して、注目細胞像を確認することができる構成について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、マークを注目細胞像を取り囲む四角枠としてもよく、注目細胞像をユーザが目視で確認することができれば、マークの形状は問わない。しかしながら、マークによって注目細胞像が隠れる部分が多くなると、ユーザの注目細胞像の形態を確認する作業に支障がでる場合もあることから、マークは、ユーザが通常の注意力で認識することができるのに最小限の面積とすることが好ましい。また、このように注目細胞像にマークを重畳表示する構成とすることにより、バーチャルスライド50の表示領域を固定したままで、注目細胞像が切り替わる都度、マークの位置を変化させるだけで注目細胞像がいずれの像であるのかを示すことができる。この結果、頻繁にバーチャルスライド50の表示領域が切り替わることがないので、バーチャルスライドのどの部分に存在する細胞像を注目細胞像としているのかをユーザが把握しやすく、ユーザの疲労を抑制することができる。
【0112】
また、注目細胞像にマーク104を重畳表示するこうせいではなく、注目細胞像を画像表示部22の表示面の中央に表示する構成としてもよい。この構成によれば、マークによってバーチャルスライド50の一部が隠れることがなく、ユーザは注目細胞像の形態をより一層確実に認識することができる。
【0113】
また、本実施の形態においては、入力部23のキーボードの複数のキーに細胞の分類名を夫々割り当て、分類カウント動作中に注目細胞像に対する分類名に対応するキーを押下することで、この分類名で注目細胞像を分類する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、マウスを注目細胞像の近傍でクリックした場合に、分類名一覧をプルダウンメニューとして表示し、これらのメニューの中から該当する分類名をクリックすることによって、注目細胞像をこの分類名で分類する構成としてもよい。
【0114】
また、本実施の形態においては、パターン認識により分類カウント対象細胞像を自動的に認識する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、画像作成装置3を操作するオペレータが目視でバーチャルスライド中の細胞像から分類カウント対象細胞像を選び出す構成であってもよい。この場合には、オペレータが分類カウント対象細胞像をバーチャルスライド上でクリックすることにより、この細胞像を含む部分画像の切り出し、及び位置情報の取得を行う構成とすることができる。
【0115】
また、本実施の形態においては、ウィンドウのサイズより若干小さい自動移動認識領域を、注目細胞像の選択対象領域とする構成について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、ウィンドウの全体を注目細胞像の選択対象領域とした構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明に係る細胞画像表示方法、細胞画像表示システム、細胞画像表示装置、及びコンピュータプログラムは、検査者が入力部に所定の入力をするだけで、自動的に細胞の像が選択され、この選択された細胞が表示されるので、検査者は、細胞の像を選択する必要がなく、選択された細胞を分類すればよいだけであり、従来に比して細胞の分類カウント作業の効率化が可能となる等の効果を奏し、細胞が撮像された細胞画像を表示するための細胞画像表示方法、当該細胞画像表示方法の実施に使用する細胞画像表示システム、当該細胞画像表示システムが備える細胞画像表示装置、及びコンピュータを細胞画像表示装置として機能させるためのコンピュータプログラム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るバーチャルスライドサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るコミュニケーションサーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】分類カウント結果データの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る認証サーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムのバーチャルスライド登録動作の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係るバーチャルスライドの作成方法を説明する概念図である。
【図9】バーチャルスライド作成処理S2の手順を詳細に説明するフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムの分類カウント動作の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムの分類カウント動作の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムの分類カウント動作の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムにおける白血球の分類カウント動作の際のコンピュータの画面表示例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムにおける白血球の分類カウント動作の際のコンピュータの画面表示例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る細胞画像表示システムにおける白血球の分類カウント動作の際のコンピュータの画面表示例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る分類カウント処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態に係る分類カウント処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0118】
1 細胞画像表示システム
2 コンピュータ
3 画像作成装置
4 バーチャルスライドサーバ装置
5 コミュニケーションサーバ装置
6 認証サーバ装置
21 本体
21a CPU
21b ROM
21c RAM
21d ハードディスク
21e 読出装置
22 画像表示部
23 入力部
24 可搬型記録媒体
30 光学顕微鏡
31 3CCDカメラ
32 自動ステージ
33 制御装置
35 コンピュータ
41 コンピュータ
41a CPU
41b ROM
41c RAM
41d ハードディスク
42 バーチャルスライドデータベース
51 コンピュータ
51a CPU
51b ROM
51c RAM
51d ハードディスク
52 位置情報データベース
52a 分類カウント結果データ
61 コンピュータ
61a CPU
61b ROM
61c RAM
61d ハードディスク
62 認証情報データベース
101a,101b,101c 視線移動領域
102a,102b 区分線
103a,103b,103c 部分画像
104 マーク
NW 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の細胞が撮像された細胞画像が記憶されている第1データベースから、細胞画像を取得するステップと、
前記細胞画像における細胞の像の位置を示す位置情報が記憶されている第2データベースから、取得した細胞画像に対応する位置情報を取得するステップと、
取得した細胞画像を表示するステップと、
表示された細胞画像に含まれる細胞の像のうちの一つを選択するステップと、
取得した位置情報に基づいて、表示された細胞画像の中で選択された細胞の像を特定するステップとを有し、
前記細胞の像のうちの一つを選択するステップでは、キーボードの所定のキーの入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択する細胞画像表示方法。
【請求項2】
前記細胞の像を特定するステップでは、表示された細胞画像における選択された細胞の像の位置に、選択されていることを示すマークを表示する請求項1に記載の細胞画像表示方法。
【請求項3】
前記細胞画像を表示するステップでは、選択された細胞の像が中央に位置するように、細胞画像を表示する請求項1に記載の細胞画像表示方法。
【請求項4】
キーボードの複数のキーに、細胞の種類に応じた複数の分類項目が夫々割り当てられており、前記細胞の像のうちの一つを選択するステップでは、前記キーボードのキーの入力を受け付けた場合に、当該キーに割り当てられている分類項目により、選択されていた細胞の像を分類する請求項1乃至3のいずれかに記載の細胞画像表示方法。
【請求項5】
複数の細胞が撮像された細胞画像が記憶されている第1データベースと、
細胞画像における細胞の像の位置を示す位置情報が記憶されている第2データベースと、
前記第1データベースから細胞画像を取得する細胞画像取得手段と、
前記第2データベースから、前記細胞画像取得手段によって取得された細胞画像に対応する位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記細胞画像取得手段によって取得された細胞画像を表示する表示手段と、
当該表示手段によって表示された細胞画像に含まれる細胞の像のうちの一つを選択する選択手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された位置情報に基づいて、表示された細胞画像の中で、選択された細胞の像を特定する特定手段と、
入力部とを備え、
前記選択手段は、前記入力部の所定の入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように構成されている細胞画像表示システム。
【請求項6】
前記特定手段は、細胞画像における選択された細胞の像の位置に、選択されていることを示すマークを表示するように構成されている請求項5に記載の細胞画像表示システム。
【請求項7】
前記特定手段は、前記選択手段によって選択された細胞の像が中央に位置するように、細胞画像を表示すべく構成されている請求項5に記載の細胞画像表示システム。
【請求項8】
前記入力部は、複数のキーが設けられたキーボードを有し、
前記選択手段は、前記キーボードの所定のキーの入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように構成されている請求項5乃至7のいずれかに記載の細胞画像表示システム。
【請求項9】
前記キーボードの複数のキーに、細胞の種類に応じた複数の分類項目が夫々割り当てられており、
前記選択手段は、前記キーボードのキーの入力を受け付けた場合に、当該キーに割り当てられている分類項目により、選択されていた細胞の像を分類する分類手段を有する請求項8に記載の細胞画像表示システム。
【請求項10】
前記表示手段は、前記分類手段によって分類された細胞の像の近傍に、当該細胞の像の分類項目を表示するように構成されている請求項9に記載の細胞画像表示システム。
【請求項11】
前記選択手段は、細胞画像のうち前記表示手段によって表示される領域を、上下方向に分かれた複数の視線移動領域に分割したときに、選択されていた細胞の像と同じ視線移動領域に含まれる細胞の像のうちの少なくとも一つがまだ選択されていない場合には、当該視線移動領域に含まれ、しかもまだ選択されていない細胞の像の一つを選択し、選択されていた細胞の像と同じ視線移動領域に含まれる細胞の像の全てが選択された場合には、前記視線移動領域に隣り合う視線移動領域に含まれ、しかもまだ選択されていない細胞の像の一つを選択するように構成されている請求項5乃至10のいずれかに記載の細胞画像表示システム。
【請求項12】
前記選択手段は、一つの視線移動領域に含まれる細胞の像を、横方向の一方から他方へと向けて順に選択するように構成されている請求項11に記載の細胞画像表示システム。
【請求項13】
前記選択手段は、視線移動領域を上方から下方へ、又は下方から上方へ向けて移るように細胞の像を選択すべく構成されている請求項11又は12に記載の細胞画像表示システム。
【請求項14】
前記選択手段は、選択されていた細胞の像に最も近接した細胞の像を選択するように構成されている請求項11乃至13のいずれかに記載の細胞画像表示システム。
【請求項15】
前記表示手段は、前記視線移動領域を区分する区分線を前記細胞画像に重畳させて表示するように構成されている請求項11乃至14のいずれかに記載の細胞画像表示システム。
【請求項16】
前記第1データベースは、細胞画像を提供する細胞画像サーバ装置に設けられており、
前記細胞画像取得手段、前記表示手段、前記選択手段、前記特定手段、及び前記入力部は、前記細胞画像サーバ装置から細胞画像の提供を受ける細胞画像表示装置に設けられている請求項5乃至15のいずれかに記載の細胞画像表示システム。
【請求項17】
前記第2データベースは、位置情報を提供する位置情報サーバ装置に設けられており、
前記位置情報取得手段は、前記細胞画像表示装置に設けられている請求項16に記載の細胞画像表示システム。
【請求項18】
前記細胞画像表示装置は、ユーザの認証に必要な認証情報の入力を受け付ける認証情報入力受付手段をさらに有し、
当該認証情報入力受付手段が入力を受け付けた認証情報に基づいて、ユーザを認証する認証手段をさらに備え、
当該認証手段によるユーザの認証が成功した場合に、前記第1データベース及び前記第2データベースから前記細胞画像表示装置へ細胞画像及び位置情報を提供するように構成されている請求項16又は17に記載の細胞画像表示システム。
【請求項19】
前記細胞画像に撮像された細胞は血液細胞である請求項5乃至18のいずれかに記載の細胞画像表示システム。
【請求項20】
画像表示部と、
入力部と、
細胞が撮像された細胞画像を外部から受信する第1受信手段と、
当該第1受信手段によって受信した細胞画像における細胞の像の位置を示す位置情報を外部から受信する第2受信手段と、
前記第1受信手段によって受信した細胞画像を表示する表示手段と、
当該表示手段によって表示された細胞画像に含まれる細胞の像のうちの一つを選択する選択手段と、
前記第2受信手段によって受信した位置情報に基づいて、表示された細胞画像の中で、選択された細胞の像を特定する特定手段とを備え、
前記選択手段は、前記入力部の所定の入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように構成されている細胞画像表示装置。
【請求項21】
前記特定手段は、細胞画像における選択された細胞の像の位置に、選択されていることを示すマークを表示するように構成されている請求項20に記載の細胞画像表示装置。
【請求項22】
前記特定手段は、前記選択手段によって選択された細胞の像が画像表示部の画面中央に位置するように、細胞画像を表示すべく構成されている請求項20に記載の細胞画像表示装置。
【請求項23】
前記入力部は、複数のキーが設けられたキーボードを有し、
前記選択手段は、前記キーボードの所定のキーの入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように構成されている請求項20乃至22のいずれかに記載の細胞画像表示装置。
【請求項24】
前記キーボードの複数のキーに、細胞の種類に応じた複数の分類項目が夫々割り当てられており、
前記選択手段は、前記キーボードのキーの入力を受け付けた場合に、当該キーに割り当てられている分類項目により、選択されていた細胞の像を分類する分類手段を有する請求項23に記載の細胞画像表示装置。
【請求項25】
前記表示手段は、前記分類手段によって分類された細胞の像の近傍に、当該細胞の像の分類項目を表示するように構成されている請求項24に記載の細胞画像表示装置。
【請求項26】
前記選択手段は、細胞画像のうち前記表示手段によって表示される領域を、上下方向に分かれた複数の視線移動領域に分割したときに、選択されていた細胞の像と同じ視線移動領域に含まれる細胞の像のうちの少なくとも一つがまだ選択されていない場合には、当該視線移動領域に含まれ、しかもまだ選択されていない細胞の像の一つを選択し、選択されていた細胞の像と同じ視線移動領域に含まれる細胞の像の全てが選択された場合には、前記視線移動領域に隣り合う視線移動領域に含まれ、しかもまだ選択されていない細胞の像の一つを選択するように構成されている請求項20乃至25のいずれかに記載の細胞画像表示装置。
【請求項27】
前記選択手段は、一つの視線移動領域に含まれる細胞の像を、横方向の一方から他方へと向けて順に選択するように構成されている請求項26に記載の細胞画像表示装置。
【請求項28】
前記選択手段は、視線移動領域を上方から下方へ、又は下方から上方へ向けて移るように細胞の像を選択すべく構成されている請求項26又は27に記載の細胞画像表示装置。
【請求項29】
前記選択手段は、選択されていた細胞の像に最も近接した細胞の像を選択するように構成されている請求項26乃至28のいずれかに記載の細胞画像表示装置。
【請求項30】
前記表示手段は、前記視線移動領域を区分する区分線を前記細胞画像に重畳させて表示するように構成されている請求項26乃至29のいずれかに記載の細胞画像表示装置。
【請求項31】
画像表示部と、複数のキーが設けられたキーボートを有する入力部と、外部との通信が可能な通信部とを備えるコンピュータを、
細胞が撮像された細胞画像を外部から受信する第1受信手段と、
当該第1受信手段によって受信した細胞画像における細胞の像の位置を示す位置情報を外部から受信する第2受信手段と、
前記第1受信手段によって受信した細胞画像を表示する表示手段と、
当該表示手段によって表示された細胞画像に含まれる細胞の像のうちの一つを選択する選択手段と、
前記第2受信手段によって受信した位置情報に基づいて、表示された細胞画像の中で、選択された細胞の像を特定する特定手段として機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記選択手段は、前記キーボードの所定のキーの入力を受け付けた場合に、選択されていた細胞の像とは異なる細胞の像を選択するように前記コンピュータを機能させるべく構成されているコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−105695(P2006−105695A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290625(P2004−290625)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】