説明

組み合わせ型光学フィルム、積層組み合わせ型光学フィルム及び画像表示装置

【課題】 複数の光学フィルムの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムであって、外観を損なうことなく、光モレを防止することができる組み合わせ型光学フィルムを提供すること。
【解決手段】 複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、突き合わせ端面は、互いの形状が略合致し、かつ突き合わせ端面は、光学フィルムの表面および裏面に対して、垂直にならない箇所を少なくとも有し、突き合わせ端面は、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の光学フィルムの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムに関する。また本発明は、組み合わせ型光学フィルムを積層した積層組み合わせ型光学フィルムに関する。また本発明は、前記組み合わせ型光学フィルムまたは積層組み合わせ型光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に関する。
【0002】
前記光学フィルムとしては、偏光子、偏光子の片面または両面に積層される保護フィルム、偏光子の片面または両面に前記保護フィルムを積層した偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルムがあげられる。これら光学フィルムは1種を単独で、または積層した状態のものを組み合わせ型光学フィルムに適用することができる。積層した状態のものは組み合わせ型光学フィルムを含んでいてもよい。また、前記光学フィルムを、それぞれに組み合わせ型光学フィルムとしたものを積層して用いることができる。
【背景技術】
【0003】
テレビやパソコン等に用いられている液晶表示装置等に代表される画像表示装置には、偏光板等に代表される光学フィルムが用いられている。また近年ではテレビ等の大型化が進み、光学フィルムにも大面積のものが必要とされるようになった。大面積の光学フィルムを製造するためにはそれに伴った大型の製造設備が必要であり、さらに、搬送は梱包の取り扱いが難しく、その分多大な費用が必要である。またその大型の製造設備を設置するためには広大なスペースが必要である。そこで、複数個の液晶表示装置を並べてその端面を突き合わせて、大型の液晶表示装置を形成する技術が提案されている。
【0004】
しかし、テレビやパソコン等の液晶表示装置は、偏光板等の光学フィルムの機能を利用して、その裏面から光の透過と遮断(吸収)により表示を行っているため、複数の液晶表示装置の端面を突き合わせた場合には、その突き合わせ部において、光モレが生じ、液晶表示装置の表面に光のスジが発生する問題がある。これに対しては、図21に示すように、複数個の液晶表示装置の突き合わせ部(突き合わせ端面のx−x間上)に、偏光板(光学フィルムA)の上からフィルムFを貼付して光モレを防止する技術が開示されている(特許文献1)。しかし、特許文献1の技術では、光モレを防止することはできるものの、偏光板の表面に貼付したフィルムにより液晶表示装置の表面外観を損なう問題がある。
【特許文献1】特開平5−88163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、複数の光学フィルムの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムであって、外観を損なうことなく、光モレを防止することができる組み合わせ型光学フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、前記組み合わせ型光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す組み合わせ型光学フィルム等より前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
突き合わせ端面は、互いの形状が略合致し、かつ突き合わせ端面は、光学フィルムの表面および裏面に対して、垂直にならない箇所を少なくとも有し、
突き合わせ端面は、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(1)、に関する。
【0009】
上記組み合わせ型光学フィルム(1)によれば、前記突き合わせ端面は、互いの形状が略合致し、かつ、光学フィルムの表面および裏面に対して垂直にならない箇所を有し、当該突き合わせ端面は、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされている。前記突き合わせ端面は、互いの形状が合致しているのが好ましい。かかる構造から、突き合わせ部では表面から裏面の間では、垂直方向で隙間が生じることなく、突き合わせ部からの光モレを防止することができる。このように、突き合わせ端面の形状を工夫することで、フィルムを貼付することなく光モレを防止することができる。そのため、当該組み合わせ型光学フィルムを、液晶表示装置等に適用した場合には、表面外観を損なうことなく、裏面からの照射光による光モレを抑えられる。
【0010】
上記組み合わせ型光学フィルム(1)において、突き合わせ端面は、光学フィルムの表面から裏面に向けて平面傾斜しているものを用いることができる。
【0011】
突き合わせ端面は、種々の形状のものを用いることができるが、平面傾斜形状の突き合わせ端面は、加工が簡単であり、また組み合わせ型光学フィルムの製造にあたって、前記突き合わせ端面を組み合わせる場合の操作も容易である。
【0012】
上記組み合わせ型光学フィルム(1)において、突き合わせ端面の傾斜角度(θ)は、当該端面と光学フィルムに対する法線方向とのなす角度が1〜89°であることが好ましい。突き合わせ端面の傾斜角度(θ)は、特に制限されないが、光モレを防止でき、かつ加工の容易さ、組み合わせる場合の操作等を考慮すれば前記範囲とするのが好ましい。より好ましくは5〜75°、さらに好ましくは10〜65°である。
【0013】
また前記突き合わせ端面の傾斜角度をθ(°)、突き合わせ部におけるフィルム間の平均隙間をt(μm)、光学フィルムの厚さをd(μm)としたとき、
t≦d×tanθ、
1°≦θ≦60°、
の関係を満足することが好ましい。
【0014】
傾斜角度θは、光学フィルムの種類や厚さdおよび光学特性、または光学フィルムの使用状況に応じて異なるため、適宜設計できる。例えば、本発明による組み合わせ型光学フィルムが、液晶表示装置への適用にあたり、液晶セルよりも視認側に設ける場合には、正面方向から見たときに光モレが生じやすくなるため、前記t≦d×tanθ、の関係を満足することが好ましい。なお、隙間tは、組み合わせ型光学フィルムの突き合わせ部における隙間の平均値である。
【0015】
また、一般にTV用途等の画像表示装置に用いる場合の傾斜角度θは、光モレの生じにくい視野の角度が広がることから、大きいほど好ましい。かかる観点からすれば、傾斜角度θは45°以上が好ましく、60°以上がより好ましく、さらには75°以上が好ましい。また、ノートパソコン等の視野角をそれほど必要としない液晶表示装置に用いる場合には、傾斜角度θは30°程度以上でよく、さらには45°以上であることが好ましい。一方、光学フィルムを突き合わせる際の加工の容易さを考慮すれば、傾斜角度は小さい方が好ましい。傾斜角度θが大きすぎると突き合わせの作業時に、突き合わせ部が互いに乗り上げやすくなったり、段差が生じたりして、一定の大きさの組み合わせ型光学フィルムが得られにくい。かかる観点からすれば、傾斜角度θは、1°以上、さらには5°以上、さらには10°以上、さらには15°以上であるのが好ましい。以上の両観点からすれば、傾斜角度θは、1°≦θ≦60°、を満足するのが好ましい。さらには、10°≦θ≦60°、15°≦θ≦60°、が好ましい。
【0016】
また本発明は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
突き合わせ端面は、光学フィルムと略同一の屈折率を有する接合剤で接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(2)、に関する。
【0017】
上記組み合わせ型光学フィルム(2)によれば、前記突き合わせ端面は、光学フィルムと略同一の屈折率を有する接合剤で接合され、突き合わせ部の隙間には接着剤が覆い込まれており、隙間による外観損失を改善することができ、かつ接合剤の屈折率は光学フィルムと略同一であるので、視認性を阻害することもない。そのため、当該組み合わせ型光学フィルムを、液晶表示装置等に適用した場合には、表面外観を損なうことなく、裏面からの照射光による光モレを抑えられる。
【0018】
また本発明は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
突き合わせ端面は、光学フィルムを溶解できる有機溶剤による溶解、固化により接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(3)、に関する。
【0019】
上記組み合わせ型光学フィルム(3)によれば、前記突き合わせ端面は、光学フィルムを溶解できる有機溶剤による溶解、固化により接合されているため、突き合わせ部は隙間なく溶解接合されており、隙間による外観損失を改善することができ、かつ接合は光学フィルムの溶解によりなされているので、視認性を阻害することもない。そのため、当該組み合わせ型光学フィルムを、液晶表示装置等に適用した場合には、表面外観を損なうことなく、裏面からの照射光による光モレを抑えられる。
【0020】
また本発明は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
突き合わせ端面は、熱融着により接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(4)、に関する。
【0021】
上記組み合わせ型光学フィルム(4)によれば、前記突き合わせ端面は、光学フィルムの熱融着により接合されているため、突き合わせ部は隙間なく溶融接合されており、隙間による外観損失を改善することができ、かつ接合は光学フィルムの溶融によりなされているので、視認性を阻害することもない。そのため、当該組み合わせ型光学フィルムを、液晶表示装置等に適用した場合には、表面外観を損なうことなく、裏面からの照射光による光モレを抑えられる。
【0022】
また本発明は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
複数枚の光学フィルムは、表面および/または裏面に、拡散層および/または光学フィルムを有することを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(5)、に関する。
【0023】
また本発明は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
組み合わせ型光学フィルムの表面および/または裏面に、拡散層および/または光学フィルムを設けたことを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(6)、に関する。
【0024】
上記組み合わせ型光学フィルム(5)、(6)のように、拡散層を積層したものは、拡散層にて光を拡散して、突き合わせ端面のつなぎ目を目立たなくすることができ、視認性を向上することができる。また拡散層の代わりに、または拡散層とともに、光学フィルムとして輝度向上フィルムを積層したものは、例えば、組み合わせ型偏光板において、輝度向上フィルム(直線偏光分離フィルム)を、偏光板とバックライトの間になるように配置することで、突き合わせ端面のつなぎ目を目立たなくすることができる。また組み合わせ型光学フィルム(5)、(6)では、突き合わせ端面を、上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)と同様の構造とすることができる。これにより、視認性を向上することができる。
【0025】
上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)において、光学フィルムの厚さが、500μm以下であることが好ましい。さらには、光学フィルムの厚さは、300μm以下であるのが好ましい。光学フィルムの厚さが500μmを超えるとフィルムの弾性が高いため、液晶パネルへの貼り合わせが困難になる等の不具合が生じやすくなる。
【0026】
上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)において、光学フィルムとしては各種のものを用いることができるが、例えば、偏光子、偏光子の保護フィルムまたは偏光子の片面もしくは両面側に保護フィルムを積層した偏光板が好適に用いられる。すなわち、光学フィルムとしては、偏光子または偏光子の保護フィルムを、それぞれ1種を単独で用いることができ、また偏光子の片面もしくは両面側に保護フィルムを積層した状態の偏光板にも適用できる。
【0027】
前記のように、光学フィルムとして偏光板を用いた、組み合わせ型偏光板は、当該組み合わせ型偏光板を液晶セルのバックライト側に配置し、一方、液晶セルの視認側には、偏光板(組み合わせていない)をクロスニコルに配置した液晶パネルについて測定した、組み合わせ型偏光板の突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)と周辺部輝度B(cd/cm2)の差(中心輝度A−周辺部輝度B)が、20cd/cm2以下あることが好ましい。前記差は、さらには15cd/cm2以下、さらに10cd/cm2以下、さらには5cd/cm2以下であるのが好ましい。前記差が小さいほど光モレが小さい。
【0028】
また上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)において、光学フィルムとしては、位相差板を提供することもできる。
【0029】
前記のように、光学フィルムとして位相差板を用いた、組み合わせ型位相差板は、当該組み合わせ型位相差板に液晶セルに隣接させてバックライト側に配置したものの両側に偏光板(組み合わせていない)をクロスニコルに配置した液晶パネルであって、当該バックライト側の偏光板の吸収軸が、前記組み合わせ型位相差板の遅相軸と略平行になるように配置されている液晶パネルについて測定した、組み合わせ型位相差板の突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)と周辺部輝度B(cd/cm2)の差(中心輝度A−周辺部輝度B)が、20cd/cm2以下あることが好ましい。前記差は、さらには15cd/cm2以下、さらに10cd/cm2以下、さらには5cd/cm2以下であるのが好ましい。前記差が小さいほど光モレが小さい。
【0030】
上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)において、複数枚の光学フィルムは、その表面および/または裏面に、易剥離型の保護フィルムが装着されており、組み合わせ型光学フィルムにおける突き合わせ部に対応して、隣り合う前記保護フィルム上には接着テープが貼付されており、前記保護フィルム同士がつなぎ合わせているものを用いることができる。
【0031】
前記複数枚の光学フィルムの表面または裏面に、易剥離型の保護フィルムを装着する場合には、それら保護フィルムに接着テープを貼付して、保護フィルム同士をつなぎ合わせることにより、保護フィルムを剥離する時には、隣り合う保護フィルムを一度に剥離することができ、煩わしい剥離作業を簡易化することができる。
【0032】
また本発明は、上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を少なくとも2層積層したことを特徴とする積層組み合わせ型光学フィルム(11)、に関する。
【0033】
上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)は、それぞれ積層して用いることができ、積層して得られる積層組み合わせ型光学フィルム(11)は、組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)と同様の効果を奏する。
【0034】
また本発明は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムを、複数層積層してなる積層組み合わせ型光学フィルムであって、
各層の組み合わせ型光学フィルムの少なくとも1組の突き合わせ部が、組み合わせ型光学フィルムに対する法線方向において重ならないように積層されていることを特徴とする積層組み合わせ型光学フィルム(12)、に関する。
【0035】
上記の積層組み合わせ型光学フィルム(12)によれば、組み合わせ型光学フィルムを、それぞれの突き合わせ部が、重ならないように積層しているため、各層の突き合わせ部には隙間があっても、その隙間は、積層組み合わせ型光学フィルム(12)の全体では、他の層により遮蔽される。その結果、積層組み合わせ型光学フィルム(12)では表面から裏面の間では、表面から裏面に対して垂直方向で隙間が生じることなく、突き合わせ部からの光モレを防止することができる。そのため、当該積層組み合わせ型光学フィルム(12)を、液晶表示装置等に適用した場合には、表面外観を損なうことなく、裏面からの照射光による光モレを抑えられる。
【0036】
上記の積層組み合わせ型光学フィルム(12)において、少なくとも1層の組み合わせ型光学フィルムは、上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)と同様の構成を適用できる。これにより、より効果的に、外観を損なうことなく、光モレを防止することができる。
【0037】
上記積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)において、表面および/または裏面の組み合わせ型光学フィルムを形成する、複数枚の光学フィルムは、表面、裏面および中面のいずれか1つの面に、拡散層および/または光学フィルムを有するものを用いることができる。
【0038】
また上記積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)において、積層組み合わせ型光学フィルムの表面、裏面および中面のいずれか1つの面に、拡散層および/または光学フィルムを設けたものを用いることができる。
【0039】
上記積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)に、拡散層を積層したものは、前記効果を奏することに加えて、拡散層にて光を拡散して、突き合わせ端面のつなぎ目を目立たなくすることができ、視認性をより向上することができる。また拡散層の代わりに、または拡散層とともに、光学フィルムとして輝度向上フィルムを積層したものは、例えば、組み合わせ型偏光板において、輝度向上フィルム(直線偏光分離フィルム)を、偏光板とバックライトの間になるように配置することで、突き合わせ端面のつなぎ目を目立たなくすることができる。
【0040】
上記積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)において、各層の光学フィルムの厚さが、500μm以下であることが好ましい。さらには、光学フィルムの厚さは、300μm以下であるのが好ましい。光学フィルムの厚さが500μmを超えるとフィルムの弾性が高いため、液晶パネルへの貼り合わせが困難になる等の不具合が生じやすくなる。
【0041】
上記積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)において、光学フィルムとしては各種のものを用いることができるが、例えば、1層の組み合わせ型光学フィルムにおける光学フィルムとしては、偏光子を用い、他の少なくとも1層の組み合わせ型光学フィルムにおける光学フィルムとしては、偏光子の保護フィルムを用いることにより、積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)を偏光板とすることができる。
【0042】
上記積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)において、各層の組み合わせ型光学フィルムに用いる光学フィルムとして、いずれも偏光板を選択して用いることができる。
【0043】
前記のように、各層組み合わせにより偏光板を形成した、積層組み合わせ型偏光板、または各層の組み合わせ型光学フィルムとして偏光板を用いた積層組み合わせ型偏光板は、当該積層組み合わせ型偏光板を液晶セルのバックライト側に配置し、一方、液晶セルの視認側には、偏光板(組み合わせていない)をクロスニコルに配置した液晶パネルについて測定した、積層組み合わせ型偏光板の突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)と周辺部輝度B(cd/cm2)の差(中心輝度A−周辺部輝度B)が、20cd/cm2以下あることが好ましい。前記差は、さらには15cd/cm2以下、さらに10cd/cm2以下、さらには5cd/cm2以下であるのが好ましい。前記差が小さいほど光モレが小さい。
【0044】
上記積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)において、各層の組み合わせ型光学フィルムに用いる光学フィルムとして、いずれも位相差板を選択して用いることできる。
【0045】
前記のように、各層の組み合わせ型光学フィルムとして位相差板を用いた、積層組み合わせ型位相差板は、当該積層組み合わせ型位相差板に液晶セルに隣接させてバックライト側に配置したものの両側に偏光板(組み合わせていない)をクロスニコルに配置した液晶パネルであって、当該バックライト側の偏光板の吸収軸が、前記積層組み合わせ型位相差板の遅相軸と略平行になるように配置されている液晶パネルについて測定した、積層組み合わせ型位相差板の突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)と周辺部輝度B(cd/cm2)の差(中心輝度A−周辺部輝度B)が、20cd/cm2以下あることが好ましい。前記差は、さらには15cd/cm2以下、さらに10cd/cm2以下、さらには5cd/cm2以下であるのが好ましい。前記差が小さいほど光モレが小さい。
【0046】
上記積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)において、表面および/または裏面の組み合わせ型光学フィルムを形成する、複数枚の光学フィルムには、易剥離型の保護フィルムが装着されており、組み合わせ型光学フィルムにおける突き合わせ部に対応して、隣り合う前記保護フィルム上には接着テープが貼付されており、前記保護フィルム同士がつなぎ合わせているものを用いることができる。
【0047】
前記複数枚の光学フィルムの表面または裏面に、易剥離型の保護フィルムを装着する場合には、それら保護フィルムに接着テープを貼付して、保護フィルム同士をつなぎ合わせることにより、保護フィルムを剥離する時には、隣り合う保護フィルムを一度に剥離することができ、煩わしい剥離作業を簡易化することができる。
【0048】
また本発明は、前記組み合わせ型光学フィルムまたは前記積層組み合わせ型光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置、に関する。
【0049】
上記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、または積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)は、突き合わせ部の隙間にフィルムを貼付することなく光モレを防止したものであり、これら、液晶表示装置等に適用した場合には、表面外観を損なうことなく、裏面からの照射光による光モレを抑えられる。
【0050】
また組み合わせ型光学フィルムは、前記複数枚の光学フィルムにより作成されており、所望の大きさの光学フィルムを、従来より用いている光学フィルムを利用することにより作成することができ、大型化した光学フィルムにも好適に適用できる。また、組み合わせ型光学フィルムは、各光学フィルムをバラバラに搬送できるため、運搬が容易である。さらに突き合わせ技術によって、これまで半端な大きさで廃物となっていた余り部(光学フィルム)を再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)を、図面を参照しながら説明する。
【0052】
図1〜9は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、突き合わせ端面は、互いの形状が略合致し、かつ突き合わせ端面は、光学フィルムの表面および裏面に対して、垂直にならない箇所を少なくとも有する組み合わせ型光学フィルム(1)を例示するものである。突き合わせ端面は、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされている。図1〜9は、光学フィルムAを2枚組み合わせた場合の例である。なお、光学フィルムの表面、裏面は区別されるものではなく、いずれの側を表面または裏面としてもよい。
【0053】
組み合わせ型光学フィルム(1)において、突き合わせ端面xは、互いの形状が合致するものである。また、突き合わせ端面xは、光学フィルムAの表面および裏面に対して垂直にならない箇所を有するものであれば、特に制限はない。例えば、突き合わせ端面xの形状を図1〜図9に示す。図1、図2は、かかる突き合わせ端面xの形状が、光学フィルムAの表面から裏面に向けて平面傾斜している場合である。図3は、凹凸型を組み合わせた場合である。図4はカギ型を組み合わせた場合である。図5はV字型を組み合わせた場合である。図6は一部が光学フィルムAの表面から裏面に向けて平面傾斜し、一部が垂直になっている場合である。図7は半円型を組み合わせた場合である。図8は円傾斜型を組み合わせた場合である。図9は波型を組み合わせた場合である。
【0054】
前記組み合わせ型光学フィルム(1)における、突き合わせ端面xの形状は、前記例示のなかでも、図1、図2に示すように、光学フィルムAの表面から裏面に向けて平面傾斜している場合が好ましい。かかる平面傾斜の突き合わせ端面xでは、当該端面xと光学フィルムAに対する法線方向とのなす傾斜角度θは、光学フィルムの種類や厚さによって異なるため、適宜に設計できる。前述の通り、前記突き合わせ端面の傾斜角度をθ(°)、突き合わせ部におけるフィルム間の平均隙間をt(μm)、光学フィルムの厚さをd(μm)としたとき、t≦d×tanθ、を満足することが好ましい。また、1°≦θ≦60°、であることが好ましい。例えば、光学フィルムが偏光子で、突き合わせ隙間の精度が5μmの場合、偏光子の厚みが10μmのとき傾斜角度θは30°以上、厚みが20μmのときθは15°以上、厚みが30μmのときθは10°以上、厚みが50μmのときθは6°以上であることが好ましい。なお、突き合わせ端面は、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように、隙間tは、通常、20μm以下であることが好ましく、隙間がないことが望まれる。隙間をなくすためには、突き合わせ端面xを切削や、研磨等の方法により、精度よく加工することが好ましい。
【0055】
組み合わせる光学フィルムAは、通常は、同じものが用いられる。各図において、左右に一対で示される光学フィルムAは同じものであるのが好ましい。
【0056】
光学フィルムAとしては、各種のものを例示できる。図1では、光学フィルムAとして一層を用いた場合である。光学フィルムAは、1層でもよく、2層以上を積層したものを用いることができる。図2は、光学フィルムAとして、光学フィルムa1の両面を、光学フィルムa2で積層したものである。たとえば、図2において、a1:偏光子、a2:偏光子の保護フィルムであれば、光学フィルムAは、偏光子の両面に保護フィルムを積層した偏光板である。図2における積層は接着剤または粘着剤を用いてもよいが、図2では省略している。なお、光学フィルムとしては、前記例示のものの他に、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム等があげられる。これらの態様は、他の図に示した光学フィルムAにおいて同様である。
【0057】
図10は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、突き合わせ端面は、光学フィルムと略同一の屈折率を有する接合剤で接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(2)、を例示するものである。図10は、光学フィルムAを2枚組み合わせた場合の例である。
【0058】
図10では、突き合わせ端面xは、光学フィルムAの略同一の屈折率を有する接合剤Sで接合されている。接合剤としては、一般公知の接着剤や粘着剤が用いられる。このとき、粘着剤を用いると再剥離可能であるため、組み直しが容易であり、好ましく用いられる。光学フィルムAと接合剤Sとの屈折率差は、0.03以下、さらには0.02以下であるのが好ましい。屈折率はアッベ屈折率計により測定した波長589.3nmのときの値である。
【0059】
図11は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、突き合わせ端面は、光学フィルムを溶解できる有機溶剤による溶解、固化により接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(3)、を例示するものである。また、図11は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、突き合わせ端面は、熱融着により接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム(4)、を例示するものである。図11は、光学フィルムAを2枚組み合わせた場合の例である。
【0060】
図11では、突き合わせ端面xは、光学フィルムAの溶解、固化または溶融により、接合し一体化している。
【0061】
なお、図10または図11においても、突き合わせ端面xは、図1〜9に例示したものとすることができる。
【0062】
図12(A)は、表面に拡散層を有する複数枚の光学フィルムを用いた組み合わせ型光学フィルム(5)の例示である。図13(A)は、表面に拡散層を設けた組み合わせ型光学フィルム(6)の例示である。図12(A)、図13(A)では、突き合わせ端面xは、光学フィルムAに対して垂直であるが、突き合わせ端面xの構造は、前記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)のようにすることができる。図12(B)、図13(B)では、拡散層Dが、図1に示す組み合わせ型光学フィルム(1)の表面に設けられている場合が例示されている。なお、拡散層は、裏面に設けてもよく、両面に設けてもよい。また、前記拡散層Dの代わりに、または拡散層Dとともに、光学フィルムA´を用いることができる。光学フィルムA´は、複数枚の光学フィルムAが有していてもよく、複数枚の光学フィルムAの端面xを突き合わせた組み合わせ型光学フィルムに、1枚ものとして設けられていてもよい。図13(C)は、複数枚の光学フィルムAの端面xを突き合わせた組み合わせ型光学フィルムに、1枚ものの光学フィルムA´を設け、さらに拡散層Dを設けた場合の例である。光学フィルムA´は光学フィルムAと同様のものを用いることができる。
【0063】
図14は、組み合わせ型光学フィルムにおける複数枚の光学フィルムの表面および裏面に、易剥離型の保護フィルムが装着されており、組み合わせ型光学フィルムにおける突き合わせ部に対応して、隣り合う前記保護フィルム上には接着テープが貼付されており、前記保護フィルム同士がつなぎ合わせている場合の例である。図14では、光学フィルムAの表面には、易剥離型の保護フィルムL1(基材フィルムに易剥離性粘着層を積層したもの)が積層されている。一方、光学フィルムAの裏面には、粘着剤層Pに対する易剥離型の保護フィルムL2(セパレータ)が積層されている。保護フィルムL2(セパレータ)は、粘着剤層Pとの接着界面で剥離除去されるものであるのに対し、保護フィルムL1は、通常、基材フィルムに易剥離性粘着層を積層したものであり、粘着層とともに基材フィルムが剥離除去されるものである。なお、光学フィルムAに粘着剤層Pを積層した状態で、突き合わせ端面xの平面傾斜に加工する場合には、粘着剤層Pを含む粘着剤層付光学フィルムとして、t≦d×tanθ、1°≦θ≦60°を満足することが好ましい。
【0064】
また各光学フィルムAの保護フィルムL1、L2同士は、いずれも接着テープTにより、つなぎ合わされている。なお、図14では、光学フィルムAの両側に保護フィルムL1、L2を有するが、これらはいずれか一方であってもよく、両側で同じであってもよい。また、図15は、光学フィルムAを縦横にそれぞれ2枚(計4枚)組み合わせた場合の例のである。図14、図15では、接着テープTは保護フィルムL1、L2のつなぎ目の一部に設けられているが、全部に設けてもよい。
【0065】
なお、図14、図15では、図1に示す組み合わせ型光学フィルム(1)の場合を例示したが、図1に示す以外の組み合わせ型光学フィルム(1)や、組み合わせ型光学フィルム(2)、(3)、(4)、(5)、(6)にも同様に適用できる。
【0066】
図16は、上記組み合わせ型光学フィルムを少なくとも2層積層した積層組み合わせ型光学フィルム(11)の例である。図16では、図1に示す組み合わせ型光学フィルム(1)を2枚積層した場合を例示しているが、これの他に、図1に示す以外の組み合わせ型光学フィルム(1)や、組み合わせ型光学フィルム(2)、(3)、(4)、(5)、(6)にも同様に適用できる。またこれらを組み合わせることができる。
【0067】
図17は、複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムを、複数層積層してなる積層組み合わせ型光学フィルムであって、各層の組み合わせ型光学フィルムは、それぞれの突き合わせ部が、組み合わせ型光学フィルムに対する法線方向において重ならないように積層した積層組み合わせ型光学フィルム(12)の例である。
【0068】
前記積層組み合わせ型光学フィルム(12)では、光学フィルムA1と光学フィルムA1の組み合わせ型光学フィルムと、光学フィルムA2と光学フィルムA2の組み合わせ型光学フィルムとを積層している。それぞれの突き合わせ端面xは、それぞれの光学フィルムA1またはA2に対して垂直であるが、それぞれの突き合わせ部は重ならないように配置されている。
【0069】
図16、図17において、組み合わせる光学フィルムA1、A2は、通常は、同じものが用いられる。各図において、左右に一対で示される光学フィルムA1、A2は同じものであるのが好ましい。一方、光学フィルムA1、A2は異種のものを用いることができる。例えば、光学フィルムA1を偏光子とし、光学フィルムA2を偏光子の保護フィルムとすれば、積層体を偏光板とすることができる。また、光学フィルムA1、A2のいずれも偏光板を用いることができる。また、光学フィルムA1を偏光板とし、光学フィルムA2を位相差板とすることができる。図16、図17における積層は接着剤または粘着剤を用いてもよいが、省略している。なお、光学フィルムA1、A2としては、前記例示のものの他に、光学補償フィルム、輝度向上フィルム等があげられる。これらの態様は、他の図に示し光学フィルムA1、A2において同様である。
【0070】
図18は、積層組み合わせ型光学フィルムにおいて、表面の組み合わせ型光学フィルムを形成する、複数枚の光学フィルムA1が、その表面に、拡散層Dを有する場合の例である。図19(A)は、積層組み合わせ型光学フィルムの表面に拡散層Dを設けた場合の例示である。図18、図19(A)では、拡散層Dが、図17に示す、積層組み合わせ型光学フィルムの表面に設けられているが、拡散層Dは、裏面に設けてもよく、両面に設けてもよい。また、拡散層Dは、光学フィルムA1による組み合わせ型光学フィルムと、光学フィルムA2による組み合わせ型光学フィルムの間の中面に設けてもよい。また、前記拡散層Dの代わりに、または拡散層Dとともに、光学フィルムA´を用いることができる。光学フィルムA´は、複数枚の光学フィルムA1またはA2が有していてもよく、複数枚の光学フィルムA1またはA2の端面xを突き合わせた組み合わせ型光学フィルムに、1枚ものとして設けられていてもよい。図19(B)は、図17に示す、複数枚の光学フィルムA1の端面xを突き合わせた組み合わせ型光学フィルムの両面に1枚ものの光学フィルムA´を設けたものと、複数枚の光学フィルムA2の端面xを突き合わせた組み合わせ型光学フィルムの両面に1枚ものの光学フィルムA´を設けたものを、積層して、その中面に拡散層Dを設けた場合の例である。光学フィルムA´は光学フィルムAと同様のものを用いることができる。また、図18、図19(A)、(B)の各層の突き合わせ端面xの構造は、前記組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)のようにすることができる。
【0071】
図20は、積層組み合わせ型光学フィルムにおいて、表面および裏面の組み合わせ型光学フィルムを形成する、複数枚の光学フィルムには、易剥離型の保護フィルムが装着されており、組み合わせ型光学フィルムにおける突き合わせ端面に対応して、隣り合う前記保護フィルム上には接着テープが貼付されており、前記保護フィルム同士がつなぎ合わせている場合の例である。図20では、光学フィルムA1の表面には、易剥離型の保護フィルムL1(基材フィルムに易剥離性粘着層を積層したもの)が積層されている。一方、光学フィルムA2の裏面には、粘着剤層Pに対する易剥離型の保護フィルムL2(セパレータ)が積層されている。また各光学フィルムA1、A2の保護フィルムL1、L2同士は、いずれも接着テープTにより、つなぎ合わされている。なお、図20は、光学フィルムA1、A2にそれぞれ保護フィルムL1、L2を有するが、これらはいずれか一方であってもよく、両側で同じであってもよい。図20では、接着テープTは保護フィルムL1、L2のつなぎ目の一部に設けられているが、全部に設けてもよい。
【0072】
なお、図20では、積層組み合わせ型光学フィルム(12)の場合を例示しているが、これに制限されるものではない。
【0073】
また、図16〜図20では、組み合わせ型光学フィルムを形成する光学フィルムA1、A2は、2枚を用いる場合を例示しているが、光学フィルムA1、A2を縦横にそれぞれ2枚(計4枚)組み合わせることもできる。この場合、各組み合わせ型光学フィルムのそれぞれの突き合わせ部は重ならないように配置されるが、これら突き合わせ部は線状で重ならないように配置されていればよく、点で重なっていてもよい。
【0074】
以下に本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)に用いる光学フィルムについて説明する。
【0075】
光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。たとえば、光学フィルムとしては偏光板があげられる。偏光板は偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。また、偏光子、透明保護フィルムをそれぞれ、個別に光学フィルムとして用いることができる。
【0076】
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
【0077】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0078】
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0079】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
【0080】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性などの点より1〜500μm程度である。特に、5〜200μmが好ましい。
【0081】
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)はほぼ解消することができる。厚み方向位相差(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0082】
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いても良く、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いても良い。
【0083】
なお、前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
【0084】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであっても良い。
【0085】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は他の部材の隣接層との密着防止を目的に施される。
【0086】
また、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性の場合もある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子(ビーズを含む)などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであっても良い。
【0087】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0088】
また光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0089】
特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
【0090】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0091】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また、前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0092】
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0093】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵電源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵電源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0094】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0095】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0096】
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
【0097】
高分子素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これらの高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0098】
液晶ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどをあげられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これらの液晶ポリマーは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0099】
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであっても良い。
【0100】
また、上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0101】
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差板、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどがあげられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0102】
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコチック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0103】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合せた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性よっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一反反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0104】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0105】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0106】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を、位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0107】
可視光域等の広い波長で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差板と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0108】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組合せにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0109】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていても良い。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであっても良い。
【0110】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0111】
光学フィルムの片面または両面には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。かかる粘着剤層は、光学フィルムの積層にも用いることができ、粘着層にはセパレータを設けることができる。図14、図15、図20では、粘着層Pに対して、易剥離型の保護フィルム(セパレータ)L2が設けられている。
【0112】
粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0113】
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
【0114】
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
【0115】
光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
【0116】
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0117】
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0118】
また光学フィルムには、光学フィルムそのものを保護するために、易剥離型の保護フィルムを設けることができる。図14、図15、図20では、易剥離型の保護フィルムL1が設けられている。
【0119】
前記保護フィルムは、基材フィルムのみにても形成しうるが一般には、基材フィルムに粘着層を設けてその粘着層と共に基材フィルムを光学フィルムから剥離できるように形成される。
【0120】
なお本発明において、光学フィルム、粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0121】
以下に本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)の製法について説明する。
【0122】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を製造するにあたっては、製造しようとする組み合わせ型光学フィルムの大きさに従って、組み合わせる光学フィルムの大きさをそれぞれ調整する。組み合わせる光学フィルムの枚数は特に制限はない。また、製造しようとする組み合わせ型光学フィルムの大きさについても制限されないが、65インチサイズ以上(または縦800mm以上、横1350mm以上)の大型サイズの場合に特に有効である。一方、製造しようとする組み合わせ型光学フィルムが小さい場合にも、個々の光学フィルムを輸送・搬送し易い効果を有する。
【0123】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の製造にあたっては、突き合わせる光学フィルムの端面を、互いの形状が略合致し、光学フィルムの表面および裏面に対して、垂直にならない箇所を少なくとも有するような形状に加工する。例えば、光学フィルムの端面を、図1のように傾斜面とする場合には、光学フィルムを複数枚重ねて、切削機等により、光学フィルムの端面を所望の角度で加工することにより、光学フィルムの端面を加工できる。
【0124】
組み合わせ型光学フィルム(1)では、前記形状に加工した光学フィルムの端面を互いに突き合わせる。光学フィルムの表面または裏面の突き合わせ部では、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないようにする。
【0125】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(2)の製造にあたっては、光学フィルムの端面を互いに突き合わせて、突き合わせ部の隙間(0〜20μm程度)に、光学フィルムと略同一の屈折率を有する接合剤で接合する。接合剤は、光学フィルムの種類に応じて適宜に決定される。例えば、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系等の各種のものを用いることができる。接合剤は再剥離可能な粘着剤でも再剥離不可能な粘着剤のいずれでもよいが、粘着剤は組み替えができ輸送・収納時のコンパクト化可能の利点がある。
【0126】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(3)の製造にあたっては、光学フィルムの端面を互いに突き合わせて、突き合わせ部の隙間(0〜20μm程度)に、光学フィルムを溶解できる有機溶剤を、流し込み、有機溶剤により光学フィルムを溶解し、その後、乾燥して固化することにより、突き合わせ部を接合する。前記有機溶剤は、光学フィルムの種類応じて適宜に決定される。例えば、光学フィルム(偏光子の保護フィルム)として、トリアセチルセルロースを用いる場合には、有機溶剤としては、ハロゲン系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤を例示できる。なかでも、塩化メチレン、酢酸工チルが溶解性が良好である。光学フィルム(偏光子の保護フィルム)として、ノルボルネン系樹脂を用いる場合には、有機溶剤としては、炭化水素系溶剤を例示できる。なかでも、へキサン、へプタン、オクタン等が溶解性において良好である。
【0127】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(4)の製造にあたっては、光学フィルムの端面を互いに突き合わせて、突き合わせ部の隙間(0〜20μm程度)を熱融着により接合する。熱融着の条件は、光学フィルムの種類応じて適宜に決定される。例えば、トリアセチルセルロースフィルムの場合、160℃以上の温度で融着できる。
【0128】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(5)の製造にあたっては、拡散層を有する光学フィルムの端面を互いに突き合わせる。突き合わせ部の隙間は0〜20μm程度とするのが好ましい。
【0129】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(6)の製造にあたっては、光学フィルムの端面を互いに突き合わせた後、拡散層を設ける。突き合わせ部の隙間は0〜20μm程度とするのが好ましい。
【0130】
本発明の積層組み合わせ型光学フィルム(11)は、各層を形成する組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を順次に作成する方法、または別途作成した組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を積層することにより作成される。
【0131】
本発明の積層組み合わせ型光学フィルム(12)についても、各層を形成する組み合わせ型光学フィルムを順次に作成する方法、または別途作成した組み合わせ型光学フィルムを積層することにより作成されるが、各層の組み合わせ型光学フィルムは突き合わせ部は重ならないように作成する。相互の突き合わせ部の間隔は、光学フィルムの大きさにもよるが、通常、100mm以上、さらには200mm以上の間隔を設けるのが好ましい。
【0132】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(5)、(6)、または積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)の片面または両面に設ける拡散層は、前記例示の拡散層またはアンチグレア層と同様の方法で設けることができる。また拡散層は、拡散粘着材として設けることができる。例えば特開2000−347006号公報、特開2000−347007号公報に開示されているような微粒子分散型拡散材が好適に用いられる。拡散層の厚さは、特に制限されるものではなく、光学フィルムの光学特性に不具合が生じることなく、突き合わせ部の光モレを拡散できるものが好ましい。拡散層のヘイズは0〜90%、さらには60〜90%であるのが好ましい。
【0133】
本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および積層組み合わせ型光学フィルム(11)、(12)を、図14、図15、図20のような態様で用いる場合に、保護フィルム上に貼り合わせる接着テープは、保護フィルムをつなぎ合わせて一体で剥離除去できる接着力を有するものを、特に制限なく用いることができる。
【0134】
本発明の組み合わせ型光学フィルム、積層組み合わせ型光学フィルムは液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと前記組み合わせ型光学フィルムまたは積層組み合わせ型光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては前記組み合わせ型光学フィルムまたは積層組み合わせ型光学フィルムを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプなどの任意なタイプのものを用いうる。
【0135】
液晶セルの片側又は両側に前記組み合わせ型光学フィルムまたは積層組み合わせ型光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。両側に前記組み合わせ型光学フィルムまたは積層組み合わせ型光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0136】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。本発明の組み合わせ型光学フィルムまたは積層組み合わせ型光学フィルム(偏光板等)は、有機EL表示装置においても適用できる。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組合せをもった構成が知られている。
【0137】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0138】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0139】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0140】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0141】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0142】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
【0143】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【実施例】
【0144】
以下に、実施例を記載して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0145】
実施例1
偏光板として、ポリビニルアルコール系偏光子(厚さ25μm)の両面に保護フィルムとしてトリアセチルセルロース(片面40μm、両面で厚さ80μm)をポリビニルアルコール系接着剤で貼り合わせたものを用いた。
【0146】
上記偏光板(縦400mm,横300mm)の1つの端面(縦側)を、加工端面と偏光板に対する法線方向とのなす傾斜角度が15°となるように加工した。前記加工端面を突き合わせて、組み合わせ型偏光板を作成した。突き合わせ部の隙間は10μmであったが、偏光板の法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされていた。
【0147】
実施例2
実施例1において、偏光板として、その1つの端面(縦側)を、加工端面と偏光板に対する法線方向とのなす傾斜角度が30°となるように加工したものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、組み合わせ型偏光板を作成した。
【0148】
実施例3
実施例1に記載の偏光板の片面に、シリコーン樹脂の微粒子を混入したヘイズ値80%の拡散機能を有する粘着剤を塗布して拡散層(厚み25μm)を形成した。
【0149】
上記拡散層付きの偏光板の1つの端面(縦側)を、加工端面と偏光板に対する法線方向とのなす傾斜角度が15°となるように拡散層の側から加工した。一方、同種の拡散層付きの偏光板について、前記突き合わせ端面と、互いの形状が略合致するように、加工端面と偏光板に対する法線方向とのなす傾斜角度が15°となるように偏光板の側から加工した。これらの加工端面を突き合わせて、組み合わせ型偏光板を作成した。突き合わせ部の隙間は10μmであったが、偏光板の法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされていた。
【0150】
実施例4
実施例1で作成した偏光板を、実施例1と同様にして加工した後、当該加工端面を突き合わせた。次いで、突き合わせ部の隙間に、塩化メチレンを、筆を用いてになじませてトリアセチルセルロースを溶解した後、乾燥により固化して接合して、組み合わせ型偏光板を作成した。
【0151】
実施例5
実施例1に記載の偏光板の片面に、シリコーン樹脂の微粒子を混入したヘイズ値80%の拡散機能を有する粘着剤を塗布して拡散層(厚み25μm)を形成した。
【0152】
上記拡散層付きの偏光板の1つの端面(縦側)を、偏光板に対して端面が垂直になるように加工した。これら加工端面を突き合わせて、組み合わせ型偏光板を作成した。突き合わせ部の隙間は10μmであった。
【0153】
実施例6
実施例1で作成した偏光板の1つの端面(縦側)を、偏光板に対して端面が垂直になるように加工した。これらの加工端面を突き合わせた。次いで、突き合わせ部の隙間に、塩化メチレンを、筆を用いてになじませてトリアセチルセルロースを溶解した後、乾燥により固化して接合して、組み合わせ型偏光板を作成した。
【0154】
実施例7
実施例1で作成した偏光板の1つの端面(縦側)を、偏光板に対して端面が垂直になるように加工した。これらの加工端面を、突き合わせ部の隙間が10μmになるように、突き合わせた。次いで、突き合わせ部の隙間に、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルファ,東亜合成株式会社製,接着剤の屈折率は1.52であり、偏光板(トリアセチルセルロースの部分)の屈折率1.49との差は0.03である)を用いて隙間に導入した後、接着剤を固化して接合して、組み合わせ型偏光板を作成した。なお、前記シアノアクリレート系接着剤では、トリアセチルセルロースが部分的に溶解して、その部分は、溶解・固化される。
【0155】
実施例8
実施例1で作成した偏光板の1つの端面(縦側)を、偏光板に対して端面が垂直になるように加工した。これらの加工端面を、突き合わせ部の隙間が10μmになるように、突き合わせた。別途、上記と同様にして、突き合わせ部の隙間が10μmになるように、突き合わせた。これら2つの、組み合わせ型偏光板を、相互の突き合わせ部が重ならないように重ねて(突き合わせ部の間隔は100mm)、積層組み合わせ型偏光板を作成した。
【0156】
実施例9
位相差板として、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(アートン,JSR社製)の一軸延伸フィルム(厚さ80μm,正面位相差140nm)を用いた。当該位相差板の片面には、厚み25μmのアクリル系粘着剤層を設けて粘着剤層付位相差板とした。
【0157】
上記粘着剤層付位相差板(縦400mm,横300mm)の1つの端面(縦側)を、加工端面と位相差板に対する法線方向とのなす傾斜角度が15°となるように加工した。前記加工端面を突き合わせて、組み合わせ型粘着剤層付位相差板を作成した。突き合わせ部の隙間は10μmであったが、粘着剤層付位相差板の法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされていた。
【0158】
比較例1
実施例1で作成した偏光板の1つの端面(縦側)を、偏光板に対して端面が垂直になるように加工した。これらの加工端面の隙間が10μmになるように突き合わせて、組み合わせ型偏光板を作成した。
【0159】
比較例2
実施例1において、偏光板を、突き合わせ部の隙間が50μmになるように突き合わせたこと以外は実施例1と同様にして、組み合わせ型偏光板を作成した。
【0160】
比較例3
実施例9において、粘着剤層付位相差板を、突き合わせ部の隙間が50μmになるように突き合わせたこと以外は実施例1と同様にして、組み合わせ型位相差板を作成した。
【0161】
(評価)
実施例および比較例で得られた組み合わせ型偏光板(積層の場合を含む)または組み合わせ型粘着剤層付位相差板について下記評価を行った。結果を表1に示す。
【0162】
(組み合わせ型偏光板)
液晶セル(LC−26GD1,シャープ株式会社製のAQUOSの液晶パネルから、偏光板、位相差板等の光学フィルムを取り除いたもの)の片側(視認側)に偏光板(NPF−SEG1224DU:日東電工(株)製)を貼り合わせ、もう一方の側(バックライト側)には組み合わせ型偏光板を貼り合わせた液晶パネルとした。液晶セルの両側の偏光板はクロスニコルに配置した。当該液晶パネルの組み合わせ型偏光板の側をバックライト(上記同様のLC−26GD1から取り出したもの)上に配置し、液晶表示装置とした。液晶表示装置について、電圧をかけない状態(黒表示)における隙間(突き合わせ部)からの光モレを下記基準で目視評価した。
【0163】
(組み合わせ型粘着剤層付位相差板)
液晶セル(LC−26GD1,シャープ株式会社製のAQUOSの液晶パネルから、偏光板、位相差板等の光学フィルムを取り除いたもの)の片側(視認側)に偏光板(NPF−SEG1224DU:日東電工(株)製)を貼り合わせ、もう一方の側(バックライト側)には、組み合わせ型粘着剤層付位相差を貼り合わせ、さらに、前記同様の偏光板を貼り合わせた液晶パネルとした。液晶セルの両側の偏光板はクロスニコルに配置した。バックライト側の偏光板の吸収軸は、前記組み合わせ型位相差板の遅相軸と略平行になるように配置した。当該液晶パネルの組み合わせ型粘着剤層付位相差板の側をバックライト(上記同様のLC−26GD1から取り出したもの上に配置し、液晶表示装置とした。液晶表示装置について、電圧をかけない状態(黒表示)における隙間(突き合わせ部)からの光モレを下記基準で目視評価した。
【0164】
(輝度)
また輝度計(CA−1500,ミノルタ製)により、突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)および周辺部輝度B(cd/cm2)を測定した。これらの値から差(中心輝度A−周辺部輝度B)を算出した。なお、組み合わせ型光学フィルム偏光板では、突き合わせ部(スジ)について中心輝度Aが測定され、突き合わせ部以外について周辺部輝度Bが測定される。一方、積層組み合わせ型光学フィルム偏光板では、突き合わせ部が複数できるため、中心輝度Aは、複数の突き合わせ部のなかで測定した輝度のなかで最も明るいものをものとし、周辺部輝度Bは突き合わせ部(スジ)を避けた場所について測定したものとした。組み合わせ型光学フィルム位相差板、積層組み合わせ型光学フィルム位相差板についても前記同様である。
【0165】
(目視判定基準)
サンプルとの距離50cmから目視し、突き合わせ部の光モレおよび突合せにより生じるスジについて、下記3段階で評価を行った。
◎:正面、斜め方向共に突き合わせ部を視認できない。
○:正面観察で、突き合わせ部を視認できないが、斜め方向から視認できる。
×:正面観察で、突き合わせ部を視認できる。
【0166】
【表1】

【0167】
実施例は突き合わせ部の中心輝度Aが小さく、前記差(中心輝度A−周辺部輝度B)が20cd/cm2以下であり、突き合わせ部の光モレが抑えられているが、比較例では突き合わせ部の中心輝度Aが大きく、前記差(中心輝度A−周辺部輝度B)が20cd/cm2より大きくなり、突き合わせ部が視認できる。なお、実施例1乃至4の組み合わせ型偏光板、実施例9の組み合わせ型粘着剤層付位相差板は、突き合わせ部の傾斜は、t≦d×tanθ、の関係を満足する。一方、比較例2の組み合わせ型偏光板、比較例3の組み合わせ型粘着剤層付位相差板は、突き合わせ部の傾斜は、t>d×tanθ、の関係になる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図2】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図3】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図4】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図5】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図6】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図7】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図8】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図9】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の断面部の一例である。
【図10】本発明の組み合わせ型光学フィルム(2)の断面部の一例である。
【図11】本発明の組み合わせ型光学フィルム(2)または(3)の断面部の一例である。
【図12(A)】本発明の組み合わせ型光学フィルム(5)の断面部の一例である。
【図12(B)】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)と(5)を複合化したものの断面部の一例である。
【図13(A)】本発明の組み合わせ型光学フィルム(6)の断面部の一例である。
【図13(B)】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)と(6)を複合化したものの断面部の一例である。
【図13(C)】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)と(6)を複合化したものの断面部の一例である。
【図14】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の両面に易剥離型の保護フィルムが装着され、かつ接着テープが貼付されている場合の斜視図である。
【図15】本発明の組み合わせ型光学フィルム(1)の両面に易剥離型の保護フィルムが装着され、かつ接着テープが貼付されている場合の斜視図である。
【図16】本発明の積層組み合わせ型光学フィルム(11)の断面部の一例である。
【図17】本発明の積層組み合わせ型光学フィルム(12)の断面部の一例である。
【図18】本発明の積層組み合わせ型光学フィルム(12)において、組み合わせ型光学フィルム(5)を用いたものの断面部の一例である。
【図19(A)】本発明の積層組み合わせ型光学フィルム(12)において、組み合わせ型光学フィルム(6)を用いたものの断面部の一例である。
【図19(B)】本発明の積層組み合わせ型光学フィルム(12)において、組み合わせ型光学フィルム(6)を用いたものの断面部の一例である。
【図20】本発明の積層組み合わせ型光学フィルム(12)の両面に易剥離型の保護フィルムが装着され、かつ接着テープが貼付されている場合の斜視図である。
【図21】従来の組み合わせ型光学フィルムの断面部の一例である。
【符号の説明】
【0169】
A 光学フィルム
A´ 光学フィルム
x 突き合わせ端面
D 拡散層
L1 易剥離型の保護フィルム
L2 易剥離型の保護フィルム(セパレータ)
P 粘着層
T 接着テープ
F フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
突き合わせ端面は、互いの形状が略合致し、かつ突き合わせ端面は、光学フィルムの表面および裏面に対して、垂直にならない箇所を少なくとも有し、
突き合わせ端面は、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム。
【請求項2】
突き合わせ端面は、光学フィルムの表面から裏面に向けて平面傾斜していることを特徴とする請求項1記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項3】
突き合わせ端面の傾斜角度は、当該端面と光学フィルムに対する法線とのなす角度(θ)が1〜89°であることを特徴とする請求項2記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項4】
前記突き合わせ端面の傾斜角度をθ(°)、突き合わせ部におけるフィルム間の平均隙間をt(μm)、光学フィルムの厚さをd(μm)としたとき、
t≦d×tanθ、
1°≦θ≦60°、
の関係を満足することを特徴とする請求項2または3記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項5】
複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
突き合わせ端面は、光学フィルムと略同一の屈折率を有する接合剤で接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム。
【請求項6】
複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
突き合わせ端面は、光学フィルムを溶解できる有機溶剤による溶解、固化により接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム。
【請求項7】
複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
突き合わせ端面は、熱融着により接合されていることを特徴とする組み合わせ型光学フィルム。
【請求項8】
複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
複数枚の光学フィルムは、表面および/または裏面に、拡散層および/または光学フィルムを有することを特徴とする組み合わせ型光学フィルム。
【請求項9】
複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムにおいて、
組み合わせ型光学フィルムの表面および/または裏面に、拡散層および/または光学フィルムを設けたことを特徴とする組み合わせ型光学フィルム。
【請求項10】
光学フィルムの突き合わせ端面は、互いの形状が略合致し、かつ突き合わせ端面は、光学フィルムの表面および裏面に対して、垂直にならない箇所を少なくとも有し、
突き合わせ端面は、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされていることを特徴とする請求項8または9記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項11】
突き合わせ端面は、光学フィルムの表面から裏面に向けて平面傾斜していることを特徴とする請求項10記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項12】
突き合わせ端面の傾斜角度は、当該端面と光学フィルムに対する法線とのなす角度(θ)が1〜89°であることを特徴とする請求項11記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項13】
前記突き合わせ端面の傾斜角度をθ(°)、突き合わせ部におけるフィルム間の平均隙間をt(μm)、光学フィルムの厚さをd(μm)としたとき、
t≦d×tanθ、
1°≦θ≦60°、
の関係を満足することを特徴とする請求項11または12記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項14】
光学フィルムの突き合わせ端面は、光学フィルムと略同一の屈折率を有する接合剤で接合されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項15】
光学フィルムの突き合わせ端面は、光学フィルムを溶解できる有機溶剤による溶解、固化により接合されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項16】
光学フィルムの突き合わせ端面は、熱融着により接合されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項17】
光学フィルムの厚さが、500μm以下であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項18】
光学フィルムが、偏光子、偏光子の保護フィルムまたは偏光子の片面もしくは両面側に保護フィルムを積層した偏光板であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項19】
請求項18記載の組み合わせ型光学フィルムにおいて、光学フィルムとして偏光板を用いた、組み合わせ型偏光板であって、
当該組み合わせ型偏光板は、当該組み合わせ型偏光板を液晶セルのバックライト側に配置し、一方、液晶セルの視認側には、偏光板(組み合わせていない)をクロスニコルに配置した液晶パネルについて測定した、組み合わせ型偏光板の突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)と周辺部輝度B(cd/cm2)の差(中心輝度A−周辺部輝度B)が、20cd/cm2以下であることを特徴とする請求項18記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項20】
光学フィルムが、位相差板であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項21】
請求項20記載の、光学フィルムとして位相差板を用いた、組み合わせ型位相差板であって、
当該組み合わせ型位相差板は、当該組み合わせ型位相差板を液晶セルに隣接させてバックライト側に配置したものの両側に偏光板(組み合わせていない)をクロスニコルに配置した液晶パネルであって、当該バックライト側の偏光板の吸収軸が、前記組み合わせ型位相差板の遅相軸と略平行になるように配置されている液晶パネルについて測定した、組み合わせ型位相差板の突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)と周辺部輝度B(cd/cm2)の差(中心輝度A−周辺部輝度B)が、20cd/cm2以下であることを特徴とする請求項20記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項22】
複数枚の光学フィルムは、その表面および/または裏面に、易剥離型の保護フィルムが装着されており、組み合わせ型光学フィルムにおける突き合わせ部に対応して、隣り合う前記保護フィルム上には接着テープが貼付されており、前記保護フィルム同士がつなぎ合わせていることを特徴とする請求項1〜8または10〜21のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルム。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルムを少なくとも2層積層したことを特徴とする積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項24】
複数枚の光学フィルムの少なくとも1つの端面を互いに突き合わせてなる組み合わせ型光学フィルムを、複数層積層してなる積層組み合わせ型光学フィルムであって、
各層の組み合わせ型光学フィルムの少なくとも1組の突き合わせ部が、組み合わせ型光学フィルムに対する法線方向において重ならないように積層されていることを特徴とする積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項25】
少なくとも1層の組み合わせ型光学フィルムでは、その突き合わせ端面は、互いの形状が略合致し、かつ突き合わせ端面は、光学フィルムの表面および裏面に対して、垂直にならない箇所を少なくとも有し、
突き合わせ端面は、光学フィルムの法線方向で、表面から裏面に向けて、連続した隙間を有しないように突き合わされていることを特徴とする請求項24記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項26】
突き合わせ端面は、光学フィルムの表面から裏面に向けて平面傾斜していることを特徴とする請求項25記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項27】
突き合わせ端面の傾斜角度は、当該端面と光学フィルムに対する法線とのなす角度(θ)が1〜89°であることを特徴とする請求項26記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項28】
前記突き合わせ端面の傾斜角度をθ(°)、突き合わせ部におけるフィルム間の平均隙間をt(μm)、光学フィルムの厚さをd(μm)としたとき、
t≦d×tanθ、
1°≦θ≦60°、
の関係を満足することを特徴とする請求項27記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項29】
少なくとも1層の組み合わせ型光学フィルムでは、その突き合わせ端面は、光学フィルムと略同一の屈折率を有する接合剤で接合されていることを特徴とする請求項24〜28のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項30】
少なくとも1層の組み合わせ型光学フィルムでは、その突き合わせ端面は、光学フィルムを溶解できる有機溶剤による溶解、固化により接合されていることを特徴とする請求項24〜28のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項31】
少なくとも1層の組み合わせ型光学フィルムでは、その突き合わせ端面は、熱融着により接合されていることを特徴とする請求項24〜28のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項32】
表面および/または裏面の組み合わせ型光学フィルムを形成する、複数枚の光学フィルムは、その表面、裏面および中面のいずれか1つの面に、拡散層および/または光学フィルムを有することを特徴とする請求項24〜31のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項33】
請求項24〜31のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルムの表面、裏面および中面のいずれか1つの面に、拡散層および/または光学フィルムを設けたことを特徴とする積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項34】
各層の光学フィルムの厚さが、500μm以下であることを特徴とする請求項24〜33のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項35】
1層の組み合わせ型光学フィルムにおける光学フィルムは、偏光子であり、
他の少なくとも1層の組み合わせ型光学フィルムにおける光学フィルムは、偏光子の保護フィルムであり、偏光板を形成していることを特徴とする請求項24〜34のいずれか記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項36】
各層の組み合わせ型光学フィルムに用いる光学フィルムは、いずれも偏光板であることを特徴とする請求項24〜34のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項37】
請求項35記載の各層組み合わせにより偏光板を形成した、積層組み合わせ型偏光板、または請求項36記載の各層の組み合わせ型光学フィルムとして偏光板を用いた積層組み合わせ型偏光板であって、
当該積層組み合わせ型偏光板は、当該積層組み合わせ型偏光板を液晶セルのバックライト側に配置し、一方、液晶セルの視認側には、偏光板(組み合わせていない)をクロスニコルに配置した液晶パネルについて測定した、積層組み合わせ型偏光板の突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)と周辺部輝度B(cd/cm2)の差(中心輝度A−周辺部輝度B)が、20cd/cm2以下であることを特徴とする請求項35または36記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項38】
各層の組み合わせ型光学フィルムに用いる光学フィルムは、いずれも位相差板であることを特徴とする請求項24〜34のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項39】
請求項38記載の、各層の組み合わせ型光学フィルムとして位相差板を用いた、積層組み合わせ型位相差板であって、
当該積層組み合わせ型位相差板は、当該積層組み合わせ型位相差板を液晶セルに隣接させてバックライト側に配置したものの両側に偏光板(組み合わせていない)をクロスニコルに配置した液晶パネルであって、当該バックライト側の偏光板の吸収軸が、前記積層組み合わせ型位相差板の遅相軸と略平行になるように配置されている液晶パネルについて測定した、積層組み合わせ型位相差板の突き合わせ部の中心輝度A(cd/cm2)と周辺部輝度B(cd/cm2)の差(中心輝度A−周辺部輝度B)が、20cd/cm2以下であることを特徴とする請求項38記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項40】
表面および/または裏面の組み合わせ型光学フィルムを形成する、複数枚の光学フィルムには、易剥離型の保護フィルムが装着されており、組み合わせ型光学フィルムにおける突き合わせ端面に対応して、隣り合う前記保護フィルム上には接着テープが貼付されており、前記保護フィルム同士がつなぎ合わせていることを特徴とする請求項24〜32または34〜39のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルム。
【請求項41】
請求項1〜22のいずれかに記載の組み合わせ型光学フィルムまたは請求項23〜40のいずれかに記載の積層組み合わせ型光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12(A)】
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【図12(B)】
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【図13(A)】
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【図13(B)】
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【図13(C)】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19(A)】
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【図19(B)】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−163377(P2006−163377A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324382(P2005−324382)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】