説明

組成物

ω−3脂肪酸を含んでなる新規の組成物およびその使用が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改善されたω−3(omega−3)脂肪酸の処方物(formulations)に関する。より詳細には、本発明は改善されたω−3脂肪酸のエマルションまたはエマルション前濃縮物処方物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬製品、栄養製品または栄養補助製品(dietary supplementproduct)を含む、様々なω−3脂肪酸およびその使用は、当該技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,502,077号明細書、米国特許第5,656,667号明細書および米国特許第5,698,594号明細書を参照のこと。
【0003】
1つの医薬製品は、LOVAZA(登録商標)(活性名「ω−3−酸エチルエステル」)として公知であり、非常に高い(>500mg/dL)トリグルセリドレベルの成人患者においてトリグルセリドレベルを低下させるために、1日あたり4gの用量(単一の4g用量(4カプセル)として、または2gの2用量(2カプセルを1日2回与える)としてのいずれか)で、食事に対する補助剤としてアメリカ食品薬品局による承認された脂質調節剤である。
【0004】
LOVAZA(登録商標)は経口投与のための液体充填ゲルカプセルとして市販されている。LOVAZA(登録商標)の1グラムの各カプセルは、少なくとも900mgのω−3脂肪酸のエチルエステルを含有する。これらは、主にEPA(約465mg)およびDHA(約375mg)のエチルエステルの組合せである。LOVAZA(登録商標)カプセルは以下の非活性成分もまた含有する。4mgのαトコフェロール(大豆油を含む植物油の担体中で)、ならびにゼラチン、グリセロールおよび精製水(カプセルシェルの構成要素)。
【0005】
全米コレステロール教育プログラム(National Cholesterol Education Program)の成人高血中コレステロールの検出、評価および治療に関する専門家委員会(Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults)の第3回報告書、NIH出版第02−5215号(2002年9月)(「NCEP ATP III」としても公知である)のガイドラインにより、トリグリセリドは、正常(<150mg/dL)、高いがボーダーライン(150〜199mg/dL)、高い(200〜499mg/dL)、および非常に高い(≧500mg/dL)と分類される。LOVAZA(登録商標)は、トリグリセリドの非常に高い集団におけるトリグリセリドの低下に有効性があることが実証されているが、多くの患者のトリグリセリドは依然として正常なレベルを超えている。
【0006】
LOVAZA(登録商標)等のω−3脂肪酸組成物の療法効果を増加させること、例えば上昇したトリグリセリドの低下等の治療法の改善を提供することは有利であろう。経口投与された薬物の療法効果の増加に対する1つのアプローチは、経口投与後に薬物の曝露または吸収を増加させることである。それゆえ、経口投与後のω−3脂肪酸の曝露を増加させることは有利かもしれない。ピルまたはカプセルの積載量等の投与積載量を増加させずに、例えば投薬量および/または頻度(例えばカプセルの数および/またはサイズ)を維持または場合によっては低下させて、療法効果の増加を提供することができれば特に有利だろう。投与積載量を減少させることにより、例えば、より容易な投与が可能になり、患者コンプライアンスが改善され、曖気等の副作用が低下され、カロリー摂取量が低下され、いくつかのω−3製品中に存在し得る任意の所望されない構成要素に対する曝露が低下され、および/または療法の費用が低下される。
【0007】
文献は、魚油および/またはω−3脂肪酸組成物(いくつかの実例において乳化され得るかまたは乳化可能である組成物)に関与する研究を開示する様々な参照文献を含む。例えば、Garaiova et al.Nutrition Journal 2007,6:4(http://www.nutritionj.com/contents/6/1/4);Raatz et al.Jnl of the American Dietetic Association June 2009 Vol 109 No.6 1076−1081;2001年9月4日に交付されたMishra et al.の米国特許第6,284,268号明細書;国際公開第2008/101344号パンフレット;およびBryhn,M.et al.,Prostaglandins,Leukotrienes and Essential Fatty Acids 75:19−24 2006を参照のこと。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、新規のエマルション組成物およびエマルション前濃縮物組成物に関する。
【0009】
一態様において、本発明は、水性液体を含んでなる水相と、ω−3脂肪酸油を含んでなる油相と、界面活性剤とを含み、エマルションが約100nm〜約3μmの中央粒子サイズ(median particle size)を有する、エマルション組成物に関する。
【0010】
別の態様において、本発明は、エマルション組成物の全重量に基づいて、約65〜約80重量%の水を供給する水性液体と、約15〜約30重量%のω−3脂肪酸油と、約5〜約10重量%の界面活性剤とを含んでなる、エマルション組成物に関する。
【0011】
別の態様において、本発明は、ω−3脂肪酸油および界面活性剤を含み、前濃縮物が、水性液体と接触して、約100nm〜約3μmの中央粒子サイズを有するエマルションを形成できる、エマルション前濃縮物組成物に関する。
【0012】
本発明の別の態様は、組成物中のω−3脂肪酸油および界面活性剤の全重量に基づいて、約60〜約85重量%のω−3脂肪酸油と、約15〜約40重量%の界面活性剤とを含んでなる、エマルション前濃縮物組成物に関する。
【0013】
別の態様において、本発明は、水性液体と本発明のエマルション前濃縮物組成物を接触させることによって形成されるエマルションに関する。
【0014】
別の態様において、本発明は、本発明のエマルションまたはエマルション前濃縮物組成物を含んでなる、医薬製品、栄養製品または栄養補助製品等の経口製剤(oral dosage form)に関する。
【0015】
本発明は、ω−3脂肪酸油を用いることができる疾患、病態または同種のもののいずれかの治療に好適な、医薬製品、栄養製品または栄養補助製品の製造のための、本発明のエマルションまたはエマルション前濃縮物組成物の使用にも関する。
【0016】
本発明は、ω−3脂肪酸油を用いることができる疾患、病態または同種のもののいずれかの治療のために、本発明のエマルションまたはエマルション前濃縮物組成物をそれを必要とする被験体へ投与することを含んでなる治療方法にも関する。
【0017】
他の態様において、本発明は、本発明のエマルションまたはエマルション前濃縮物組成物を被験体へ経口投与することを含み、経口吸収がω−3脂肪酸油の経口投与後の経口吸収と比較して増加される、ω−3脂肪酸による治療を必要とする被験体におけるω−3脂肪酸の経口吸収を増加させる方法に関する。
【0018】
本発明の他の態様は本開示を考慮して理解されるだろう。
【0019】
前臨床研究において、LOVAZA(登録商標)ω−3酸エチルエステルを含んでなる本発明のエマルションおよびエマルション前濃縮物組成物(特に約100nm〜約3μmのエマルション中央粒子サイズを有するかまたは供給するもの)は、経口投与後に主要組成のω−3脂肪酸の曝露または吸収を改善することが見出されている。
【0020】
本発明のエマルションおよび/またはエマルション前濃縮物組成物は、
ω−3脂肪酸油と比較して、ω−3脂肪酸油の1つ以上の成分のω−3脂肪酸の経口吸収(曝露)、経口生体利用率、および/または経口有効性を増加させること、
改善された治療方法、例えば上昇したトリグリセリド(例えば>500mg/dL、または≧200mg/dL、または≧150mg/dLのトリグルセリドレベル)の低下等の上昇したトリグリセリドの治療を供給すること、および/または
効果的療法を達成するのに必要とされるω−3脂肪酸油の投薬レベルおよび/または頻度の低下(例えば、カプセルの数および/またはサイズの低下)を可能にすること
ができる。
【発明の具体的説明】
【0021】
特に述べられない限りまたは文脈上必要とされない限り、以下の通り定義される。
【0022】
組成物の構成要素の参照に本明細書において使用される時、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は1つまたは複数の構成要素を含む(例えば「界面活性剤」は1つまたは複数の界面活性剤などを含む)。
【0023】
値または値の範囲の参照に本明細書において使用される時、「約」は明示的に述べた値を含む(例えば「約100nm〜約3μm」は範囲100〜3μmなどを特に含む)。
【0024】
述べられた特徴を含む実施形態は、それらの特徴からも本質的にはなるか、またはそれらからもなるだろう(例えば、述べられた構成要素を含む組成物は、それらの構成要素からも本質的にはなるか、またはそれらからもなるだろう)。
【0025】
単語「含む(comprise)」、および「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」等の変化形は、述べられた整数値もしくは工程または整数値の群の包括を示唆するが、他の整数値もしくは工程または整数値もしくは工程の群を除外するものではないことが理解されるだろう。
【0026】
本発明は、本明細書において記載された特定の群および好ましい群の組合わせをすべて包含し、例えば、述べられた構成要素の「混合物」は、構成要素群間のおよび/または特定の構成要素群中の混合物を含む(例えば、酸、グリセリドエステル、およびアルコールエステルの混合物は、1)酸の混合物、2)酸、グリセリドエステル、およびアルコールエステルの混合物;などを包含する)。
【0027】
本発明のエマルションは、水相および油相を含む分散に対する従来の意味を指す。水相は、例えば水それ自体または他の水性液体が含まれる、水を含む媒質(好ましくは液体媒質)を含む。油相は少なくとも1つの疎水性(親油性)有機成分(例えばω−3脂肪酸油)を含む。
【0028】
本発明のエマルションは水中油型(o/w)エマルションであり、油相はω−3脂肪酸油を含み、水相中で分散され、油相は「微粒子」または「液滴」として従来の意味で記載することができる。しかしながら、エマルションは、わずかな程度で油中水型(w/o)エマルションまたは他の分散の特徴を示すことができる。したがって、本発明のエマルションは実質的に水中油型エマルションとして記載することができる。
【0029】
好ましい実施形態において、分散相は、約100nm〜約3μmの範囲の中央粒子サイズを有する(例えば約100nm〜約1μm、例えば約100nm〜約300nmを含む)。本明細書において使用される時「中央粒子サイズ」は、累積サイズ分布の50パーセンタイル値を指す。いくつかの実施形態において、エマルションは、約5μmまたはそれ未満(例えば約1.5μmまたはそれ未満)のx90粒子サイズ(すなわち累積サイズ分布の90パーセンタイル値)を有する。いくつかの実施形態において、分散相は前述の中央粒子サイズおよびx90粒子サイズの両方を有する。実験セクションにおいて以下に記載されるように、粒子サイズが決定される。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明のエマルションは、以下の1つまたは複数の特性を示す。
a)熱力学的に安定、すなわち常温(20〜30℃、特に25℃)で、例えば長期間にわたって、光学的に観察可能な分離、またはより大きな粒子サイズまたは沈殿の実質的な形成なしに、安定したままである。好ましいエマルションは、少なくとも3時間、より好ましくは少なくとも6時間、最も好ましくは少なくとも24時間の期間にわたって周囲温度で安定したままである。および/または
b)最小の撹拌および混合により容易にまたは自然に形成される。
【0031】
本明細書において使用される時、「エマルション前濃縮物(emulsion pre−concentrate)」は、水との接触(例えば水または水性液体への添加またはそれらとの混合)に際して、エマルションを形成することができるシステムである。エマルション前濃縮物が水と接触させられる場合、本発明の前濃縮物から好ましくは形成されるエマルションは、自発的にまたは実質的に自発的に形成される。すなわち、加熱または高剪断装置もしくは他の実質的な撹拌の使用等の実質的なエネルギーを必要とせずにエマルションが形成される。例えば、エマルションは、胃における既存の条件下で前濃縮物の経口投与後に形成され得る。生じたエマルションは、概して本明細書において定義された通り、または任意の特定の実施形態により定義された通りであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、生じたエマルションは、約100nm〜約3μm(例えば約100nm〜約1μm、約100nm〜約300nmを含む)の中央粒子サイズを有する。生じたエマルションは、約5μmまたはそれ未満(例えば約1.5μmまたはそれ未満)のx90粒子サイズをさらに有することができる。
【0032】
ω−3脂肪酸油
本発明のエマルションおよびエマルション前濃縮物組成物は、1つまたは複数のω−3脂肪酸を含むω−3脂肪酸油を含む。
【0033】
本明細書において使用される時、「ω−3脂肪酸」は、明示的に除外されない限り、天然または合成の遊離ω−3脂肪酸およびその誘導体を含む。同様に、明示的に除外されない限り、特定のω−3脂肪酸に対する参照はその誘導体を含む。
【0034】
好適なω−3脂肪酸誘導体は、医薬として許容し得るω−3脂肪酸のエステル、コンジュゲート(例えばZalogaらの米国特許出願第2004/0254357号、Horrobinらの米国特許第6,245,811号を参照されたい)、前駆体、塩または他の誘導体を含む。
【0035】
ω−3脂肪酸の具体例は、
a)ω−3多価不飽和長鎖遊離脂肪酸(例えばエイコサペンタエン酸C20:5(「EPA」)、ドコサヘキサエン酸C22:6(「DHA」)、α−リノレン酸)を含む、ω−3多価不飽和遊離脂肪酸(例えば、12〜22炭素、特に18〜22炭素の脂肪族末端を有する)と、
b)モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド等の、ω−3脂肪酸(例えばω−3多価不飽和遊離脂肪酸、例えば長鎖)のグリセロールとのエステルと、
c)脂肪酸のメチルエステルおよびエチルエステル等の、ω−3脂肪酸(例えばω−3多価不飽和遊離脂肪酸、例えば長鎖)および第一級アルコール、第二級アルコールまたは第三級アルコールのエステルと
を含む。ω−3脂肪酸油は前述のもののいずれかの混合物を含むことができる。
【0036】
好ましいω−3脂肪酸は、例えばEPA、DHA、EPAのトリグリセリド、DHAのトリグリセリド、EPAのエチルエステル、DHAのエチルエステル、およびそれらの混合物を含む、多価不飽和長鎖遊離脂肪酸、そのトリグリセリド、そのエチルエステル、およびそれらの混合物である。
【0037】
ω−3脂肪酸油は、純粋な形態で、または例えば魚油(海産性油としても公知である)、好ましくは精製魚油濃縮物、エゴマ油、海洋微細藻類油、または亜麻(亜麻仁)、チーア、キーウィフルーツ、コケモモ、カメリナ、スベリヒユもしくはクロミキイチゴの種子からの油等の海産性または植物性の油(その濃縮物を含む)等の油の構成要素として、ω−3脂肪酸を含むことができる。魚油またはその濃縮物を含むそれらの混合物等の高濃度のω−3脂肪酸を含有する油は特に有用である。「ω−3脂肪酸油」という用語は、これらの形態を包含する。
【0038】
本発明における使用に好適なω−3脂肪酸油の市販例は、Incromega F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525およびE5015(Croda International社、Yorkshire、England)、ならびにEPAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、K85TG、K85EE、K80EEおよびEPAX7010EE)(Pronova Biocare社、1327 Lysaker、Norway)を含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は脂肪酸の混合物を含む。様々な実施形態において、脂肪酸はω−3脂肪酸のみであり得るか、または1つまたは複数の非ω−3脂肪酸(例えばω−6脂肪酸、ω−9脂肪酸など)と組合わせて1つまたは複数のω−3脂肪酸を含むことができる。いくつかの実施形態において、混合脂肪酸組成は、組成物の重量に関して、重量で少なくとも25%、好ましくは重量で少なくとも40%、より好ましくは重量で少なくとも50%、さらにより好ましくは重量で少なくとも60%、さらにより好ましくは重量で少なくとも70%、最も好ましくは重量で少なくとも80%、またはなおさらに重量で少なくとも90%の濃度で脂肪酸を含んでなる。
【0040】
いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は、油中の全脂肪酸の重量に関して、重量で少なくとも25%、好ましくは重量で少なくとも40%、より好ましくは重量で少なくとも50%、さらにより好ましくは重量で少なくとも60%、さらにより好ましくは重量で少なくとも70%、最も好ましくは重量で少なくとも80%、またはなおさらに重量で少なくとも90%(例えば重量で少なくとも95%〜100%)の全濃度で1つまたは複数のω−3脂肪酸を含んでなる。組成物は純粋なω−3脂肪酸(複数可)を含むことができる。
【0041】
好ましくは、ω−3脂肪酸油は、油中の全脂肪酸の重量に関して、重量で少なくとも50%、より好ましくは重量で少なくとも60%、さらにより好ましくは重量で少なくとも70%、最も好ましくは重量で約84%など少なくとも80%のEPAおよびDHAを含んでなる。
【0042】
ω−3脂肪酸油は、油中の全脂肪酸の重量に関して、重量で約5〜約100%、より好ましくは重量で約25〜約75%、さらにより好ましくは重量で約40〜約55%、および最も好ましくは重量で約46%のEPAを含んでなることができる。
【0043】
ω−3脂肪酸油は、油中の全脂肪酸の重量に関して、重量で約5〜約100%、より好ましくは重量で約25〜約75%、さらにより好ましくは重量で約30〜約60%、および重量で最も好ましくは約38%のDHAを含んでなることができる。
【0044】
他の実施形態において、上記のパーセンテージはω−3脂肪酸油の重量によるものである。
【0045】
重量パーセントはω−3脂肪酸(および存在するならば他の脂肪酸)のエチルエステル形態に好ましくは基づくが、他の形態が本発明に従って利用されたとしても遊離酸形態またはエステル形態に基づいてもよい。本明細書において使用される時、特に述べられない限り、「EPA」および「DHA」に対する参照は、遊離酸形態およびエステル形態(例えばエチルエステル形態を特に含む)を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、EPAおよびDHAは、99:1〜1:99、例えば1:4〜4:1、例えば1:3〜3:1、または例えば1:2〜2:1のEPA:DHAの重量比である。ω−3脂肪酸油は純粋なEPAまたは純粋なDHAも含んでなることができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は、米国特許第5,502,077号、米国特許第5,656,667または米国特許第5,698,594号中で列挙された組成物である。
【0048】
油が分散可能かつエマルション形成可能であるならば、ω−3脂肪酸油は任意で賦形剤、担体、希釈剤などを含む、医薬組成物、栄養組成物、栄養補助組成物中での使用に好適な1つまたは複数の構成要素を含む。例えば、いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は、αトコフェロール等の化学的抗酸化剤、大豆油もしくは部分的に水素添加された植物油等の油、分留ヤシ油等の潤滑剤、レシチン、鉱物油またはそれらの混合物を含んでなる。
【0049】
いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は、LOVAZA(登録商標)ω−3脂肪酸エステル(K85EE、Pronova Biocare社、Lysaker、Norway)を含む混合脂肪酸組成であり、好ましくは以下の特徴を含む(ここで「EE」はエチルエステルを指す)。
【0050】
【表1】

【0051】
いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は、米国薬局方(「USP」)、およびNational Formulary、Dietary Supplements(例えば2008年11月1日発表、公式日2009年5月1日、USP32−NF7)中で記載されている、および/またはSecond Supplement(2009年6月1日発表、公式日2009年12月1日);The United States Pharmacopeial Convention;United Book Press Baltimore MD中で補足されたような、ω−3酸を含有する魚油である。
【0052】
いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は、カタクチイワシ科、アジ科、ニシン科、キュウリウオ科、サケ科およびサバ科等の魚類の科の身の油から得られる。いくつかの実施形態において、魚油は、例えば尿素分画、続いて分子蒸留を使用して精製される。いくつかの実施形態において、前述の魚油から得られた場合を含んで、ω−3脂肪酸油は、90重量%以上のω−3脂肪酸のEPA、DHA、ドコサペンタエン酸(「DPA」)、ステアリドン酸(「SDA」)、ヘンエイコサペンタエン酸(「HPA」)、エイコサテトラエン酸(「ETA」)およびα−リノレン酸(「ALA」)、ならびに好ましくは80〜88重量%のEPAおよびDHA、43〜49.5%のEPAおよび34.7〜40.3重量%のDHAを含んでなる。
【0053】
いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は、ω−3酸エチルエステルのためのUSPモノグラフ(2009年6月30日発表、公式日2011年2月1日、USP33−NF28 2nd supplement;The United States Pharmacopeial Convention;Rockville、MD)中で記載されている。
【0054】
ω−3脂肪酸油は活性成分として存在し、それゆえ、例えば疾患または病態の診断、治癒、緩和、治療または予防において、生理学的活性もしくは薬理学的活性または他の効果を提供すること、または被験体(例えば、哺乳類、特にヒト)の身体の構造または任意の機能に影響を与えることが意図される。油中に存在するω−3脂肪酸の少なくとも1つは活性に寄与する。ω−3脂肪酸油中の1つまたは複数の他の組成が、活性に部分的に関与し得ることは当業者によって認識されるだろう。異なる組成が異なるタイプおよび/またはレベルの活性を供給し得ることも認識されるだろう。
【0055】
いくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油は、エマルションまたはエマルション前濃縮物組成物中の唯一の活性成分である。いくつかの実施形態において、存在する1つまたは複数の特定のω−3脂肪酸、および任意で存在し得る1つまたは複数の他の脂肪酸は、エマルションまたはエマルション前濃縮物組成物中の唯一の活性成分(複数可)である。
【0056】
界面活性剤
本発明のエマルションおよびエマルション前濃縮物組成物は1つまたは複数の界面活性剤をさらに含んでなる。
【0057】
界面活性剤は当該技術分野において周知であり、例えばHandbook of Pharmaceutical Excipients、Rowe, R.C. et al.編、第5版を参照されたい。好ましい実施形態において、界面活性剤(単一または組合わせとしていずれかの界面活性剤)は、1つまたは複数の以下の特徴によって特徴づけられる。
a)ω−3脂肪酸油と混和性(すなわち単相を生成)または部分的に混和性である(任意の共溶媒と共にまたはなしに使用した場合)、
b)医薬製品、栄養製品または栄養補助製品における使用に安全である(例えば、かかる製品における使用に承認され、かかる製品において安全に使用され、および/またはGRAS(安全性認定)として分類される)、
c)<5の過酸化物価および<2.0の水分含量を有する、および/または
d)高HLB(「親水‐親油性バランス」)、例えば10〜18のHLB値を有する。
【0058】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、以下のものから選択される1つまたは複数の非イオン性親水性界面活性剤を含んでなる。
a)商標名「CREMOPHOR」(BASF社、Mount Olive、NJ)下で市販のものを含む、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、特に、
CREMOPHOR ELまたはELP(PEG 35ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、マクロゴグリセロリ・リシノレアス(macrogoglyceroli ricinoleas)、マクロゴグリセロリ・ヒドロキシステアラス(macrogoglyceroli hydroxystearas、POE−35ヒマシ油、PEGリシノレアートとも称される);CREMOPHOR ELP(水、Kおよび遊離脂肪酸が低含量であり、CREMOPHOR ELの精製グレードである、ポリオキシエチレングリコール化ヒマシ油)、およびCREMOPHOR RH 40(ポリオキシル40水素添加ヒマシ油、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアリン酸、ポリオキシエチレン40水素添加ヒマシ油、PEG−40水素添加ヒマシ油とも称される)、ならびに
b)商標名「TWEEN」(ICI Americas社)下で市販のものを含む、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、特に、
TWEEN 80(80[ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン]、ポリソルベート80としても公知);ポリオキシエチレン20モノオレイン酸ソルビタン(エチレンオキシドと重合させたソルビトールおよびその無水物の部分的な脂肪酸エステル)、より具体的にはポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸モノ−オレイルエステル、(ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノレン酸、主にオレイン酸を含む脂肪酸の混合物を含む)、
TWEEN 85(85[ポリオキシエチレン(20)トリオレイン酸ソルビタン]、ポリソルベート85としても公知);ポリオキシエチレン20トリオレイン酸ソルビタン(エチレンオキシドと重合させたソルビトールおよびその無水物の部分的な脂肪酸エステル)、具体的には、ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸トリ−オレイルエステル(ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノレン酸、主にオレイン酸を含む脂肪酸の混合物を含む)、
TWEEN 20(ポリソルベート20、ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)誘導体としても公知);ポリオキシエチレン20ラウレート;ポリオキシエチレン20モノラウリン酸ソルビタン、ソルビタンモノドデカノアート;
TWEEN 60(ポリソルベート60、、ポリオキシエチレン20ステアレート(ソルビタンモノオクタデカノアートポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)誘導体としても公知)、ならびに
TWEEN 40(ポリソルベート40、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノヘキサデカノアートとしても公知)。
【0059】
いくつかの実施形態において、界面活性剤は、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(特にCREMOPHOR EL、CREMOPHOR ELP)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(特にTWEEN 80)、およびそれらの混合物から選択される。いくつかのより特定の実施形態において、界面活性剤成分は、全界面活性剤成分に基づいて、約10〜20(例えば約15)重量%のCREMOPHOR ELまたはELP、および約80〜90(例えば約85)重量%のTWEEN 80を含む。
【0060】
任意の構成要素
本発明のエマルションまたはエマルション前濃縮物組成物は1つまたは複数の共溶媒を任意で含むことができる。理論、機序または同種のものによって束縛されることは意図しないが、共溶媒を使用して、例えばω−3脂肪酸油および界面活性剤の混和性を改善することができる。いくつかの実施形態において、共溶媒は、1つまたは複数の界面活性剤と前混合される。
【0061】
いくつかの実施形態において、共溶媒は、水、C1−4アルコール(直鎖または分岐鎖、例えばエタノール、「EtOH」)、C12−22脂肪酸(例えばオレイン酸)、およびそれらの混合物から選択される。共溶媒が、生じたエマルションの粒子サイズに影響を及ぼし得ることが見出された。例えば、オレイン酸は粒子サイズを増加させる傾向があり。他の脂肪酸が同様に作用し得るという仮説を立てることができる。エタノールおよび水は粒子サイズに影響を与える傾向はないか、または粒子サイズをわずかに減少させる傾向があった。他のアルコールが同様に作用し得るという仮説を立てることができる。
【0062】
特に平衡での、本発明のエマルション前濃縮物組成物中のわずかな量の水の存在は、組成物の透明度および/またはω−3脂肪酸油および界面活性剤の混和性を改善する傾向があることが意外にも見出された。いくつかの実施形態において、水は、エマルション前濃縮物組成物の全重量に基づいて、約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.7〜約5重量%、より好ましくは約0.7〜約1.2重量%の量で存在する(カールフィッシャー滴定によって決定する;Metrohm社774/756オーブンサンプルプロセッサKF電量計または容量法を含む同等の方法を適切に使用する)。水は前濃縮物の組成物に対する直接的添加によって、および/または組成物の製造の間の水分の吸収を介して(例えば使用される材料または環境から)存在することができる。いくつかの実施形態において、水は製造の間に吸収される。例えば、水は、カプセル化エマルション前濃縮物の調製の間にカプセルの調製に使用された材料から、例えばソフトゼラチンカプセル(例えばゼラチンおよび水を含むゼラチン状の混合物)の調製に使用された材料から、吸収され得る。本発明は、かかるプロセスによって製造されたカプセル化エマルション前濃縮物組成物を含む。ソフトゼラチンカプセルおよび他のカプセルの調製は当該技術分野において周知である。例えばRemington: The Science & Practice of Pharmacy、第20版、Alfonso R. Gennaro編、Lippincott Williams & Watkins、2000年、例えば885−891を参照されたい。
【0063】
本発明のエマルションおよびエマルション前濃縮物組成物は、1つまたは複数の医薬用薬剤、獣医学用薬剤、栄養サプリメントもしくは栄養補助(例えば香草、ミネラル)、または着色剤(例えば染料、色素)、防腐剤および抗酸化剤等の賦形剤を含んでなる、他の任意の成分の担体またはベヒクルとしても働くことができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ω−3脂肪酸油以外の1つまたは複数の活性成分を含んでなる。他の活性成分(複数可)は、ω−3脂肪酸油を含んでなる混合物中に(例えば、充填がエマルション前濃縮物組成物を含んでなることを特徴とするカプセルの充填構成要素中に、エマルション前濃縮物組成物を含んでなるカプセル上のコーティング中に、エマルション前濃縮物組成物を含んでなるカプセルのカプセルシェルの少なくとも1つの構成要素の中へ取り込んで、またはその任意の組合わせで)存在することができる。
【0065】
例えば、1つまたは複数の他の活性成分は、組成物(例えばω−3脂肪酸油、界面活性剤および任意の共溶媒の混合物中の、例えばエマルション前濃縮物組成物)中に実質的に溶解されて、組成物中の活性成分(複数可)の実質的に均質な溶液を形成する。いくつかの実施形態において、本質的に均質の溶液は形成される(すなわち、組成物の重量に基づいて、他の活性成分(複数可)の10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%が溶解しないままである)。いくつかの実施形態において、活性成分(複数可)は完全に溶解される。
【0066】
他の実施形態において、少なくとも1つまたは複数の他の活性成分の一部は、組成物(例えばω−3脂肪酸油、界面活性剤および任意の共溶媒の混合物中の、例えばエマルション前濃縮物組成物)中に懸濁物として存在する。いくつかの実施形態において、懸濁物は、組成物中の1つまたは複数の他の活性成分の、固体結晶状粒子、固体非晶状粒子、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の他の活性成分の少なくとも約80〜100%(例えば少なくとも約85、90または95%を含む、少なくとも約80〜99%)は、懸濁物中で固体粒子として存在する。
【0067】
他の実施形態において、1つまたは複数の他の活性成分は、エマルション前濃縮物組成物を含有するカプセル(例えばソフトゲルカプセル)上の1つまたは複数のコーティング中に存在する。本発明において使用できる活性成分を含有するコーティングの例は、米国公開特許出願US2007/0212411A1中で開示されたものを含む。
【0068】
異なる他の活性成分を含む活性成分は、前述の形態の任意の組合わせ中に存在してもよい。好ましい実施形態において、本発明のかかる組成物は経口製剤、特にカプセル、および最も特にソフトゲルカプセルを含む。
【0069】
他の活性成分の例は、鎮痛剤、抗炎症剤、抗蠕虫剤、抗不整脈剤、抗喘息剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗凝固剤、抗認知症剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗癲癇剤、抗真菌剤、抗痛風剤、抗昇圧剤、抗マラリア剤、抗片頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗新生物剤、免疫抑制剤、抗原生動物剤、抗甲状腺剤、抗咳剤、不安緩解剤、鎮静剤、催眠剤、神経弛緩剤、神経保護剤、β−遮断剤、強心剤、細胞付着抑制剤、コルチコステロイド、サイトカイン受容体活性調節剤、利尿薬、抗パーキンソン剤、胃腸剤、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、角質溶解剤、脂質調節剤、筋弛緩剤、硝酸塩および他の抗狭心症剤、非ステロイド性抗喘息剤、栄養剤、オピオイド鎮痛剤、性ホルモン、覚せい剤ならびに抗勃起不全剤を含むが、これらに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態において、他の活性成分(複数可)は、ω−3脂肪酸油以外の脂肪酸、ステロール脂肪酸エステルまたはスタノール脂肪酸エステル、スタチン化合物、スクワレン合成抑制剤、アゼチジノンベースのコレステロール吸収抑制剤、LDL(低密度リポタンパク質)異化促進剤、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)のアゴニストおよび/またはアンタゴニスト、ナイアシンおよびニコチン酸アミド等の誘導体、胆汁酸封鎖剤、MTP抑制剤、LXRのアゴニストおよび/またはアンタゴニスト、ならびにその組合わせ等であるが、これらに限定されない脂質調節剤を含む。
【0071】
他の活性成分の特定の例は、上記の米国公開特許出願US2007/0212411A1中で開示された医薬品原薬を含む。
【0072】
本発明のエマルションおよびエマルション前濃縮物組成物
本発明の組成物中の成分の相対的比率は、例えば考慮される特定のタイプの組成物(例えばそれがエマルション前濃縮物、エマルション、エマルションから形成される経口製剤などであっても)および用いられた特定の成分に依存して変動するだろう。任意の特定の実例における実行可能な比率の決定は、概して本開示に照らして当業者の能力の範囲内であるだろう。本明細書において記載されたすべての示された比率および相対的重量範囲は、したがって、好ましいかまたはより特定の教示のみを表し、本発明をその最も広い意味で限定するものではないとして理解される。
【0073】
エマルション前濃縮物組成物
いくつかの実施形態において、本発明のエマルション前濃縮物組成物は、
約60〜約85重量%(例えば約60〜約80重量%、例えば約70重量%)のω−3脂肪酸油と、約15〜約40重量%(例えば約20〜約40重量%(例えば約30の重量%)の界面活性剤とを含み、
エマルション前濃縮物組成物の全重量に基づいて、0〜約5重量%(例えば約0.1〜約5重量%、または約0.7〜約5重量%、または約0.7〜約1.2重量%)の共溶媒を任意でさらに含んでなることができる。
【0074】
例えば、本発明のエマルション前濃縮物組成物は、
エマルション前濃縮物組成物中のω−3脂肪酸油および界面活性剤の重量に基づいて、
約60〜約80重量%のω−3脂肪酸油と、
約20〜約40重量%の界面活性剤と、任意で、
エマルション前濃縮物組成物の全重量に基づいて、約0.7〜約5重量%(例えば約0.7〜約1.2重量%)の共溶媒と
を含んでなることができ、
またはいくつかの実施形態において、
エマルション前濃縮物組成物中のω−3脂肪酸油および界面活性剤の重量に基づいて、
約70重量%のω−3脂肪酸油と、
約30重量%の界面活性剤と、任意で
エマルション前濃縮物組成物の全重量に基づいて、
約0.7〜約5重量%(例えば約0.7〜約1.2重量%)の共溶媒と
を含んでなることができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、組成物中のω−3脂肪酸油および界面活性剤の重量比は、2:1を超える(例えば2:1〜約6:1または2:1〜約4:1の範囲)。
【0076】
上述のように、エマルション前濃縮物またはエマルションは1つまたは複数のω−3脂肪酸油、界面活性剤、または/および共溶媒を含んでなることができる。上記のエマルション前濃縮物組成物のいくつかの実施形態において、ω−3脂肪酸油はK85EEであり、界面活性剤は、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(特にCREMOPHOR EL、CREMOPHOR ELP)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(特にTWEEN 80)、およびそれらの混合物から選択され、任意の共溶媒は水である。かかる組成物の一実施形態において、界面活性剤構成要素は、全界面活性剤構成要素に基づいて、約10〜20(例えば約15)重量%のCREMOPHOR ELまたはELP、および約80〜90(例えば約85)重量%のTWEEN 80を含む。
【0077】
本発明の前濃縮物は、ω−3脂肪酸油および界面活性剤構成要素を組合わせること、および組合わせが一様になるまで混合することによって形成することができる。概して、固体または半固体の形態で界面活性剤を加温して(例えば約30℃に)液化し、次いでω−3脂肪酸油と混合する。任意の成分は個別の構成要素または構成要素の混合物と組合わせて混合することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、本発明のエマルション前濃縮物は、界面活性剤(複数可)を共溶媒(例えば水)と組合わせる工程と、組合わせが一様になるまで混合する工程と、次いで混合物をω−3脂肪酸油と組合わせる工程(例えば油に混合物を添加する工程)と、次いで一様になるるまで組合わせを混合する工程とを含んでなるプロセスによって形成される。かかる実施形態において、界面活性剤(複数可)が固体または半固体の形態である場合、界面活性剤は第1に加熱して(例えば約30℃に)界面活性剤(複数可)を液化し、次いで共溶媒と組合わせて混合する。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明はハードカプセルまたはソフトカプセルを含み、充填は本発明のエマルション前濃縮物を含んでなる。ハードカプセルまたはソフトカプセルの製造は当業者に一般的に公知である。例えば、ソフトカプセルは、プレートプロセス、回転式ダイスプロセス、往復ダイスプロセス、および連続プロセスを含む様々なプロセスによって製造することができる。例えば、Remington: The Science & Practice of Pharmacy、第20版、Alfonso R. Gennaro編、Lippincott Williams & Watkins、2000年、例えば885−891;Ebert (1978)「Soft Elastic Gelatin Capsules: A Unique Dosage Form」、Pharmaceutical Technology 1(5); Reich (2004)、「Chapter 11: formulation and physical properties of soft capsules」、Pharmaceutical Capsules、第2版、Pharmaceutical Press、201−212を参照されたい。米国特許第5,478,508号および米国特許第5,882,680号、ならびに米国特許出願第US2005/0106233A1号および米国特許出願第US2007/0259097A1号で開示されたシームレスカプセルを製造する方法も参照されたい。当該技術分野において公知のようなカプセルの材料を利用することができ、カプセルの材料の例は、天然または合成ゼラチン、ペクチン、カゼイン、コラーゲン、タンパク質、修飾スターチ、ポリビニルピロリドン、アクリルポリマー、セルロース誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC))、アルギナートおよび他のポリサッカライド、ならびにその組合わせを、任意で1つまたは複数の可塑剤および/または水と共に含む。カプセルの材料はさらに1つまたは複数の防腐剤、着色剤、乳白剤、着香剤、甘味剤、糖、胃耐性物質またはその組合わせを含むことができる。現時点で好ましい実施形態において、カプセルは、ソフトゼラチンカプセル(「ソフトゲルキャップ」または「ソフトゲルカプセル」)である。
【0080】
カプセルの形状およびサイズは本発明に従って変動することができる。カプセルの形状は、球形もしくは円形、卵形、チューブ状、楕円形、ねじれた形状、または非標準形状(例えば魚、樹木、星、ハート、または熊)、好ましくは楕円形であるが、これらに限定されない。使用されるカプセルのサイズは、その中に含有されることが意図される充填組成物の体積に従って変化するだろう。
【0081】
例えば、本発明のいくつかの実施形態において、ハードゼラチンカプセルまたはソフトゼラチンカプセルは、標準的なカプセル形状を含む単一体単位として従来の方法に従って製造することができる。単一体のソフトゼラチンカプセルは、例えば3〜22ミニム(1ミニミム(minimim)は0.0616mlに等しい)のサイズで、卵形、楕円形または他の形状で、典型的には供給することができる。ゼラチンカプセルは従来の方法に従って、例えば、慣習的には(000)、(00)、(0)、(1)、(2)、(3)、(4)および(5)と表記される、典型的には標準形状および様々な標準サイズの密封または非密封のツーピースハードゼラチンカプセルとしても製造することができる。最大の数は最小のサイズを指す。非標準形状は同様に使用することができる。
【0082】
例えば、エマルション前濃縮物カプセルは、ω−3脂肪酸油および界面活性剤を含む混合物の直接的カプセル化によってソフトゼラチンカプセルへと好適に形成される。調合工程において、油および界面活性剤はブレンドされた。連続混合が適用されるか、またはあるいはもしくはさらに約1重量%の水を混合物に添加して、例えば均質の溶液の形成を支援する。装置および条件を適切に選択して酸化のリスクを最小限にし、発泡またはバブリングを除去し、例えば窒素雰囲気生成装置、再循環および真空能力を備えた密封された混合タンクが好適である。次いで、回転式のカプセル化法を適切に使用して、混合物をカプセル化する。カプセルの形成のために、溶融ゲル塊(例えば含むゼラチン、グリセロールおよび水)を2つの連続リボンへとマシンキャストし、1対のダイスと注入ウェッジとの間の収束部へと導き、それを介して充填混合物を決まった量でポンプで送り込む。カプセルの充填および密閉は本質的に同時に起こり、所望のサイズ、シェル重量、充填重量および密封厚のカプセルを形成する。カプセルは、例えば、最初に回転式乾燥機中でタンブラー乾燥され(例えば合計約60〜75分間で15分/セグメント)、続いて浅いトレー中でトンネル乾燥機によって乾燥することによって、好適な硬度(例えば少なくとも8.5ニュートン)へ乾燥される。例えばイソプロピルアルコールを使用してカプセルを適切に研磨または噴霧洗浄し、プロセスの間に使用した潤滑油を除去する。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明のカプセルは、塗膜形成材および/または結合剤等のコーティング材を含む1つまたは複数のコーティング、ならびに任意で当該技術分野において公知の他の従来の添加物によりコーティングすることができる。コーティング(複数可)は、例えば溶液、懸濁物、噴霧、粉じんまたは粉末として、パンコーティング、流動床コーティングまたは噴霧コーティング等の任意の従来の技法によって適用することができる。コーティング(複数可)は、当該技術分野において周知の方法に従って、即時放出、遅延放出、腸放出、持続放出、保護コーティング、密封コーティング、および/またはバリヤーコーティングのために配合することができる。従来のコーティング技術は、例えば、Remington: The Science & Practice of Pharmacy、第20版、Alfonso R. Gennaro編、Lippincott Williams & Watkins、2000年、例えば894−902中に記載される。塗膜形成材および従来の添加物の例は、米国公開特許出願第US2007/0212411A1号、米国特許出願第US2005/0106233A1号および米国特許出願第US2007/0259097A1号中に開示されたものを含む。上で検討されるように、1つまたは複数のコーティングは1つまたは複数の他の活性成分を含むことができる。
【0084】
本発明のエマルション前濃縮物が経口投与される場合、エマルションは、好適な水性液体との共投与と共にまたはなしに、水性の胃液との接触に際して形成され得る。本発明のエマルション前濃縮物は投与の前に好適な水性液体により希釈することもでき(エマルションを形成するいくつかの実施形態において)、次いでそれは投与される。好適な水性液体は食用であり、水それ自体、ジュース、または水を含有する他の飲料もしくは飲用液体を含む。形成されるエマルションは、本明細書において記載されたエマルションの特徴のいずれか(例えば約100nm〜約3μmの中央粒子サイズ)を有することができる。
【0085】
エマルション組成物
いくつかの実施形態において、本発明のエマルション組成物は、
約15〜約30重量%のω−3脂肪酸油と、
約5〜約10重量%の界面活性剤と、
約65〜約80重量%の水を提供する水性液体と、
任意で約0〜約5重量%の共溶媒(水以外の)と
を含み、
重量パーセンテージはエマルション組成物の全重量に基づく。
【0086】
これらの実施形態のいくつかにおいて、ω−3脂肪酸油はK85EEであり、界面活性剤は、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(特にCREMOPHOR EL、CREMOPHOR ELP)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(特にTWEEN 80)およびそれらの混合物から選択され、任意の共溶媒は、C12−22脂肪酸(特にオレイン酸)、C1−4アルコール(特にエタノール)およびそれらの混合物から選択される。
【0087】
好適な水性液体は食用であり、水それ自体、ジュース、または水を含有する他の飲料もしくは飲用液体を含む。エマルションを得るには適切な水が必要とされることが理解されるだろう。概して、エマルション組成物は組成物の重量に基づいて、少なくとも約70重量%の水を含むだろう。
【0088】
本発明のエマルション組成物は、任意の順序で、ω−3脂肪酸油、界面活性剤および水性液体構成要素、ならびに任意の任意の構成要素を組合わせること、ならびに一様になるまで混合することによって形成することができる。他の実施形態において、エマルション組成物は、本発明のエマルション前濃縮物を水性液体(例えば少なくとも約1重量%の前濃縮物を含む)と混合することによって形成することができる。
【0089】
使用
ω−3脂肪酸油を使用することができる本発明の他の実施形態は、疾患、病態または同種のもののいずれかの治療に好適な医薬製品(または医薬品)栄養製品、栄養補助製品の製造のための本発明のエマルションまたはエマルションの前濃縮物の組成物の使用を提供する。
【0090】
ω−3脂肪酸油を使用することができる本発明の他の実施形態は、疾患、病態または同種のもののいずれかの治療のために、エマルションまたは本発明のエマルション前濃縮物組成物(その希釈バージョンを含む)をそれを必要とする被験体へ投与することを含んでなる治療方法を提供する。
【0091】
本明細書において使用される時、疾患または病態に関して「治療する」ことは以下のことを含む。(1)疾患もしくは病態、または疾患または病態の1つまたは複数の生物学的兆候を寛解または予防すること、(2)(a)疾患または病態に結びつくかまたは関与する生物学的カスケードにおける1つまたは複数の点もしくは(b)疾患または病態の1つまたは複数の生物学的兆候を妨げること、(3)疾患または病態と関連した1つまたは複数の症状または効果を緩和すること、または(4)疾患もしくは病態、または疾患または病態の1つまたは複数の生物学的兆候の推移を遅らせること。
【0092】
上で言及されるように、疾患または病態の「治療」は疾患または病態の予防を含む。当業者は、「予防」が絶対的な用語ではないことを認識するだろう。医学において、「予防」とは、疾患または病態の可能性もしくは重症度またはその生物学的兆候を実質的に減じるか、またはかかる疾患もしくは病態またはその生物学的兆候の開始を遅らせる、薬物または活性成分の予防的な投与を指すことであると理解される。したがって、予防は疾患または病態の発生のリスクを低下させることを含む。
【0093】
本明細書において使用される時、「被験体」とは、ヒトまたは他の動物(例えば哺乳類)を指す。
【0094】
エマルションまたはエマルション前濃縮物組成物は、安全で効果的な量で概して投与される。すなわち、被験体の疾患または病態を治療するには十分であるが、妥当な医学的判断の範囲内で深刻な副作用を(合理的なベネフィット/リスク比で)回避するのに十分に低い量である。安全で効果的な量は、選ばれた特定の組成物(例えば、活性成分の効能、有効性および半減期を考慮する);選ばれた投与経路;治療されている疾患または病態;治療されている疾患または病態の重症度;治療されている被験体の年齢、大きさ、体重および身体条件;治療される予定の被験体の病歴;治療の期間;併用療法の性質;所望の療法効果;および類似の因子であるが当業者によって慣例的に決定することができるものに応じて変動するだろう。
【0095】
ω−3脂肪酸油を使用することができる疾患または病態は、1つまたは複数の組成のω−3脂肪酸を使用することができる疾患または病態を含む。ω−3脂肪酸(複数可)およびω−3脂肪酸油が使用することができる疾患または病態の例は、同定できる新規用途に加えて現在公知のものも含み、1つまたは複数の異常な血漿脂質レベルまたは異常な心血管機能の治療を含む。例えば、ω−3脂肪酸油は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型脂質異常症、心血管性疾患、冠性心疾患(CHD)、血管性疾患、アテローム性動脈硬化性疾患および関連する病態からなる群から独立して選択される、少なくとも1つの病態または疾患の治療のために、ならびに/または心血管イベントおよび/もしくは血管イベント(MACE、MCEを含む)の予防または低下のために、使用することとができる。疾患または病態は、米国特許第5,502,077号、米国特許第5,656,667号または米国特許第5,698,594号で開示されたもののいずれであり得る。
【0096】
心臓血管性疾患(CVD)は様々な疾患および病態を包含する幅広い用語である。この用語は、心臓および体の全体にわたって見出されるすべての血管からなる心血管系の様々な部分のいずれかにおける任意の障害を指す。心臓の疾患は、冠動脈疾患、CHD、心筋症、心弁膜疾患、心膜疾患、先天性心疾患(例えば狭窄、心房中隔欠損症または心室中隔欠損)および心不全を含み得る。血管の疾患は、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、卒中、血管性認知症、動脈瘤、末梢動脈疾患、間欠性跛行、脈管炎、静脈弁不全、静脈血栓症、拡張蛇行静脈およびリンパ浮腫を含み得る。何人かの患者は、血管または冠動脈の再建(ステント留置ありもしくはなしの血管形成、または血管グラフト)等の、CVDのための治療を受けることができる。いくつかのタイプの心血管性疾患は先天性であるが、多くが中年期以降に獲得され、デスクワーク中心の生活様式および喫煙等の不健康な習慣に起因する。いくつかのタイプのCVDは、心筋梗塞(MI)もしくは冠動脈インターベンション等の狭心症、主要有害心血管イベント(MACE)および/もしくは主要冠動脈イベント(MCE)、または場合によっては死(心臓死または心血管死)等のさらなる心臓障害ももたらす可能性があり、CVDの治療および予防の取り組みの重要性を強調する。
【0097】
ω−3脂肪酸油を第1次予防または第2次予防に使用することができる。第1次予防の取り組みは、CVD、MACEまたはMCEの開始の遅延または予防を目的として、CVDについての既知のリスクファクターの低下、またはそれらの発生の予防に対して注目する。第2次予防取り組みは、再発性CVDの低下、および既存のCVDを持つ患者の死、MACEまたはMCEのリスクの減少に対して注目する。
【0098】
MACEは、心臓死、他の心血管死、MCE(心筋梗塞(MI)、ならびに冠動脈再建、血管形成、経皮経管冠動脈形成(PTCA)、経皮冠動脈インターベンション(PCI)および冠動脈バイパスグラフト(CABG)等の冠動脈インターベンションを含む)、不安定狭心症のための入院、卒中、一過性虚血性発作(TIA)および末梢動脈疾患(PAD)のための入院を含む。
【0099】
CHDは、MIおよび安定狭心症(または不安定狭心症)、非侵襲的検査により実証された心筋虚血症、および冠状動脈手技の履歴を含む症候性虚血性心疾患を含む(例えばNCEP ATP IIIを参照されたい)。
【0100】
本発明は、前記の疾患または病態のいずれかを治療するための本発明の組成物の使用を含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、エマルションまたはエマルション前濃縮物組成物を使用して、トリグリセリド(TG)を低下させる。したがって、いくつかの実施形態において、治療は、本発明の組成物を投与して、TGを低下させる(例えば、非常に高いトリグリセリド(>500mg/dL)または高トリグリセリド(≧200mg/dL)またはボーダーラインの高トリグリセリド(150〜199mg/dL)の患者におけるトリグリセリドを低下させる)ことを含む。例えば、非常に高いトリグリセリドの患者におけるトリグルセリドレベルを、高レベル、ボーダーラインの高レベル、または正常レベルまで低下させることができる;または、高トリグリセリドの患者におけるトリグルセリドレベルはボーダーラインの高レベルもしくは正常レベルまで低下させることができる;または、ボーダーラインの高いトリグリセリドの患者におけるトリグルセリドレベルは正常なレベル(<150mg/dL)まで低下させることができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、治療は、本発明のエマルション前濃縮物またはエマルションの組成物を投与して、1つまたは複数の他の脂質パラメータを改善することを含む。いくつかの実施形態において、HDL−C(高密度リポタンパク質コレステロール)が増加され、および/または非HDL−C(非低密度リポタンパク質コレステロール)、LDL−C(低密度リポタンパク質コレステロール)、TC(総コレステロール)、VLDL−C(超低密度リポタンパク質コレステロール)、TC:HDL−C比、およびApoB(アポリポタンパク質B)のうちの1つまたは複数の脂質パラメータが低下される。いくつかの実施形態において、治療は、本発明の組成物を投与して、TGを低下させること、および記載されるような前記の他の脂質パラメータの1つまたは複数をさらに改善するることを含む。
【0103】
例えば、いくつかの実施形態において、非HDL−Cは低下されるか、または非HDL−CおよびTGの両方は低下される。いくつかの実施形態において、非HDL−CおよびTGは、高TGとの混合型脂質異常症の患者で低下される。かかる患者は並行療法(例えばスタチン療法)を受けることができる。
【0104】
いくつかの実施形態において、治療は、本発明の組成物を投与して、食事後の脂質パラメータを改善すること、例えば、食事後のHDLを増加させること、ならびに/または1つまたは複数の食事後のTG、非HDL−C、LDL−C、TC、VLDL−C、TC:HDL比およびApoBレベルを低下させることを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、TGは、治療後に(治療前のベースラインTG値と比較して)少なくとも約5%(例えば少なくとも約10、15、20、25、30、40または60%)まで低下される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物による治療後のTGの低下は、同等またはより高い実際の用量で投与された非乳化ω−3脂肪酸油による治療後の任意のTGの低下を超える、例えば少なくとも約5%、10%、15%を超えるTGの低下である(それぞれ、治療前のベースラインTG値と比較して)。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物による治療後の1つまたは複数の他の脂質パラメータにおける改善は、同等またはより高い実際の用量で投与された非乳化ω−3脂肪酸油による治療後の任意の改善を超える。(それぞれ治療前のベースライン脂質値(複数可)と比較して、規定通りに増加または低下する)。
【0107】
いくつかの実施形態において、TGまたは他の脂質パラメータ(複数可)における改善は、非乳化ω−3脂肪酸油の用量と比較して、同等の用量またはより低い用量のω−3脂肪酸油を使用して達成される。
【0108】
いくつかの実施形態において、TGまたは他の脂質パラメータ(複数可)における改善は、4週、8週、12週、24週または1年の間の治療によって達成される。
【0109】
本発明の他の実施形態は、本発明のエマルションまたはエマルション前濃縮物組成物を被験体へ経口投与することを含み、経口吸収および/または経口生体利用率が、組成物中で使用されるω−3脂肪酸油の投与後の経口吸収および/または経口生体利用率と比較して増加される、ω−3脂肪酸による治療を必要とする被験体におけるω−3脂肪酸の経口吸収(曝露)および/または経口生体利用率を増加させる方法を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態において、吸収における増加は、測定された全ω−3脂肪酸のAUCにおける増加によって示される。いくつかの実施形態において、測定されるω−3脂肪酸はEPAおよび/またはDHAである。いくつかの実施形態において、全EPAおよび/またはDHAの血清レベルは増加され、好ましくは全EPAおよび/またはDHAの血清レベルは、組成物中で使用されるω−3脂肪酸油の投与後の全EPAおよび/またはDHAの血清レベルと比較して、少なくとも約2、3または4倍まで(例えば少なくとも約2倍から約5〜15の倍まで)増加される。いくつかの実施形態において、遊離EPAおよび/またはDHAの血清レベルも、組成物中で使用されるω−3脂肪酸油の投与後の遊離EPAおよび/またはDHAの血清レベルと比較して増加される。
【0111】
本発明のエマルションおよびエマルション前濃縮物組成物は任意の適切な様式での投与のために用いることができる。好ましい実施形態において、組成物は、例えば、ハードカプセルまたはソフトカプセルの形態(ゼラチンカプセルを含む)等の単位製剤;または飲料を含む飲用混合物を形成するために本発明のエマルションまたはエマルション前濃縮物組成物を他の成分(本明細書において記載された水性液体等)と混合することによって形成される食用液体等の飲用形態でで経口投与される。好ましい実施形態において、エマルション前濃縮物組成物は特にソフトゼラチンカプセルとしてカプセル化形態で投与される。
【0112】
エマルション前濃縮物またはエマルションの組成物は所望の治療を提供する量および頻度で投与される。一般に、前濃縮物またはエマルションの組成物は、例えば1日あたり、約0.1g〜約10g、約0.5g〜約8g、約0.75g〜約4g、約0.1g〜約2g、約0.5g〜約1.5gまたは約1gを含む、1日当たり約0.1g、0.5g、0.75gまたは約1g、〜約1g、1.5g、2g、3g、4g、8g、または10gの1日量のω−3脂肪酸油(好ましくは1日量のω−3脂肪酸)を提供するように投与される。いくつかの実施形態において、投与は、1日あたり約1〜4g(特に約1、2、3または4gを含む)のω−3脂肪酸油(好ましくはω−3脂肪酸)を提供するものである。
【0113】
ω−3脂肪酸油の1日の用量(dosage)は、1〜10の用量(例えば1日あたり1〜4または1〜2の用量)で投与されるだろう。例えば、1または2のカプセルを1日あたり2回(すなわち1日あたり2または4のカプセル)投与して、所望の合計の1日の用量を提供することができる。
【0114】
エマルション前濃縮物または組成物は所望の治療を提供し維持するのに十分な期間にわたって投与することができる。一般に、本発明の組成物は、少なくとも4週(少なくとも8週、12週または24週または少なくとも1年を含む)間投与されるだろう。
【0115】
いくつかの実施形態において、本発明のエマルション前濃縮物組成物は、好適な水性液体(水それ自体、ジュースまたは水を含有する他の飲料もしくは飲用液体を含む食用液体)と共に経口投与される。例えば、エマルション前濃縮物組成物は、最大約500mlの好適な水性液体と共に投与することができる。
【0116】
本発明の治療方法は、例えば効果的な量で投与され得る本明細書において上で開示された1つまたは複数の活性成分を用いて、単独療法として、または1つまたは複数の治療剤もしくは療法との二重もしくは複数の組合せ療法で、本発明のエマルション前濃縮物またはエマルションの組成物を使用して達成することができる。与えられたクラスまたは異なるクラスからの1つまたは複数の化合物は、本発明のエマルション前濃縮物またはエマルションの組成物と組合わせて使用することができる。組合わせでの使用は、レジメンだけでなく組合せ製品(例えば本明細書において上で記載されたものを含む製剤)を含む。したがって、活性成分(複数可)は単一のエマルション前濃縮物またはエマルションの組成物中に組合わせることができるか、または患者へ同時にもしくは異なる時間で投与される異なる組成物であり得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、本発明の治療方法は、ω−3脂肪酸油が唯一の活性成分(上記のように)である単独療法として、エマルション前濃縮物またはエマルションの組成物を使用して達成される。
【0118】
他の実施形態において、本発明の治療方法は、当該技術分野において公知の量を含む効果的な量で(例えば処方情報で)使用することができる、本明細書において記載されるような少なくとも1つの他の活性成分(例えば脂質調節剤)との組合せ療法により達成される。特定の実施形態において、少なくとも1つの他の脂質活性成分はスタチンを含む。
【実施例】
【0119】
実施例1−粒子サイズを決定する方法(中央値およびx90を含む)
静的レーザー光散乱技法を使用して粒子サイズを測定するMalvern粒子サイズ分析装置(Mastersizer 2000バージョン5.40; Malvern Instruments社、Westborough、MA、アメリカ)または同等物を用いて、前濃縮物から形成されるエマルションを含むエマルションの粒子サイズを決定する。
【0120】
例えば、本発明のエマルション前濃縮物は、室温(約25℃)で、1gの前濃縮物対20mlの水の比で、脱イオン化された水と組合わせる。この混合物を20回転倒させて(例えば試験管中で、手によって、発泡または泡を引き起こすので振らないように注意して)構成要素を分散させてエマルションを形成する。粒子サイズ分布(正規化された体積配分に基づいた頻度vs粒子直径)は、Mastersizer 2000によって決定され、中央値等の粒子サイズ統計(累積サイズ分布の50パーセンタイル値、D50と称されることもある)およびx90(累積サイズ分布の90パーセンタイル値、D90と称されることもある)として報告される。Mastersizerにおいて水を媒質として使用した。本発明の他のエマルション組成物(例えば試験液体エマルション)の中央値およびx90粒子サイズも、試験組成物を直接使用して、Mastersizer 2000を使用して決定する。
【0121】
実施例2−相対的生体利用率を決定する方法
摂食に続いて、ω−3脂肪酸エステルからのω−3脂肪酸の消化および吸収は、以下の異なる3工程を含む。ω−3脂肪酸が結合されたアルコールからの加水分解、腸の腸細胞の中への吸収/輸送、および続いて腸での使用または体への輸送のためのパッケージング(当業者によって理解されるように、対応する遊離脂肪酸の摂取に続く消化および吸収は、最後の2工程を含むだろう)。
【0122】
腸におけるエステラーゼによるω−3エチルエステルの迅速かつ完全な加水分解後に、遊離脂肪酸は腸の腸細胞の中へ吸収/輸送され、迅速に再エステル化され、キロミクロンとして胸管経由で全身循環に入る。胸管を介する通過に続いて、キロミクロンは血漿に入る。循環中のキロミクロンの正常な半減期は約10分である。毛細管床の内皮表面上に存在するリポタンパク質リパーゼは、キロミクロンのトリグリセリドコアを加水分解し、組織取り込みのために脂肪酸を遊離する。
【0123】
全身循環の中へのω−3脂肪酸の吸収は、そのエステル化形態(キロミクロン)からの遊離脂肪酸形態の遊離後に、それらの遊離形態の血漿レベルおよび全レベルを決定することによって直接測定できる。
【0124】
加えて、血清リン脂質の脂肪酸組成は、膜(例えば赤血球膜、単球膜および血小板膜)中に取り込まれたレベルと相関する(例えばKatan, MB, et al., J Lipid Res. 1997; 38:2012−22およびTremoli, E et al., Am J Clin Nutr. 1995; 67:607−13を参照されたい)。赤血球および血小板の膜のω−3脂肪酸組成物は、同様に、これらの化合物の全身含量と相関する。それゆえ、血液リン脂質の分析は、ω−3脂肪酸の全身蓄積を増加させることを意図した製品の性能を査定する適切な方法である。血漿リン脂質の分析は、例えばHarris, W. et al. Clinical Biochemistry 43 (2010) 338−340; Harris, W. et al., American Journal of Clinical Nutrition 2007; 86: 1621−5; Cao, J. et al., Clinical Chemistry 52:12 2265−2271 (2006); Harris, W. et al., Preventive Medicine 39 (2004) 212−220;および Park, Y. et al., Journal of Lipid Research 44, 2003 455−463によって記載されている。
【0125】
したがって、EPAおよびDHAを含むω−3脂肪酸の吸収を調べる場合(例えばEPAおよびDHAのエチルエステルを含むω−3−酸エチルエステルからの)、血漿中のまたは血清リン脂質中のEPAおよびDHAの増加は、吸収の測定値として使用することができる。これらの吸収の測定値は経口生体利用率の測定値として使用することができる。
【0126】
ω−3脂肪酸の吸収の測定のための方法論は、以下の実験(複数可)においてより詳細に記載される。以下の定義を本明細書において使用できる。
Cmax−観察された最大濃度
AUC−濃度−時間曲線下面積
AUC(0−x)−ゼロ(用量前)時間からある固定した基準時間までのAUC
AUC(0−t)−すべての治療にわたる被験体内の定量化可能な濃度のゼロ(用量前)から最終時間までのAUC
AUC(0−∞)−ゼロ(用量前)時間から無限時間までの推定AUC
Tmax−Cmaxの出現した時間
t1/2−最終相半減期
CV−変動係数(CVb=被験体間;CVw=被験体内)
CI−信頼区間
LS−最小二乗
他の統計用語は、特別の指示の無い限り、一般に使用される意味に沿って明示的にまたは文脈によって使用される。
【0127】
実施例3−相対的生体利用率研究
イヌにおける2つの個別の研究において、100%のK85EE油の相対的生体利用率を7つのK85EE油のエマルション処方物と比較した(5つの前濃縮物カプセルおよび2つの液体処方物)。各処方物は、26.8および20.5mg/kgのEPAおよびDHAのエチルエステル(EE)の標的用量で、単一経口投与として(液体処方物の場合は強制経口投与により)絶食させたオスのビーグル犬へそれぞれ与えた。
【0128】
非未治療のオスのビーグル犬(体重約9〜13kg)を研究において使用した。サンプリングは8時間のサンプリング周期で絶食条件下で行った。すなわち、各研究日の前に一晩イヌを絶食させ、8時間の血液採取期間後に食物(標準的なイヌ科の動物用飼料)をイヌに戻した。濾過水道水は自由に利用可能であった。
【0129】
薬物動態解析のために、用量後0、0.5、1、2、4、6および8時間で(または投薬がないならば、投薬時と同じような任意の時間で)血液サンプルを基準として採取した。採取チューブは穏やかに混合し、採取後は水を混ぜた氷上に置く。血漿サンプルは遠心分離によって採取の1時間以内に調製し、ポリプロピレンチューブの中へ分注し、遊離および全EPA(エイコサペンタエン酸)およびDHA(ドコサヘキサエン酸)の分析まで直ちに凍結した。
【0130】
血漿は、酸性消化および塩基性消化を含むトリグリセリド消化に基づく方法、続いてヘキサンによる液−液抽出を使用して、全EPAおよびDHAについて分析した。クロマトグラフ分離および検出は、0.5μg/mLの定量下限(LLQ)を備えた超高速液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(UHPLC/MS/MS)システムにより行った。血漿サンプルは、液−液抽出、続いて0.05μg/mLのLLQを備えたUHPLC/MS/MSを使用して、遊離EPAおよびDHA(トリグリセリド消化なしで)についても分析した。EPAおよびDHAの内在性レベルを考慮するために、血漿濃度データをEPAおよびDHAの用量前の値を引いて補正して、補正Cmax(Cmax corr)を得、用量前の血漿濃度に8時間を掛け、そして次いでAUC0−8から引いて、補正AUC0−8(AUC0−8 corr)値を得た。遊離濃度を引いた全濃度は、全身循環において、キロミクロンの中へ取り込まれ(「結合された」)、キロミクロン内の循環EPAまたはDHAの濃度の関数であると想定される。
【0131】
研究A
試験処方
【0132】
【表2】

【0133】
処方2は、一様になるまでCremophor ELPをK85EE油と混合し、次いで混合下で混合物を水へ添加することによって調製した。
【0134】
K85EE油または液体エマルション処方2のいずれかをイヌへ投与した。(n=8/群投薬間で2週間のウォッシュアウト期間のあるクロスオーバーデザイン;各治療日でn=4/群)。
【0135】
研究1日目に、投薬する処方物なしで、8時間の経過にわたって絶食イヌにおいて血液サンプルを採取する。研究2日目に、参照およびエマルション処方物を経口強制投与によって4匹のイヌの各々へ投与し、約10mlの水により投薬チューブをすすぐ。研究3日目に、1日目で行ったように、別のブランクプロファイルを採取する。さらに1週間後(ウォッシュアウト)、研究4日目にクロスオーバーを行った。
【0136】
最初に投与されたEPAおよびDHAの平均用量は、K85EEについては29.6および22.7mg/kg、ならびに製剤2については30.2および23.0mg/kgであり;続いて投与された平均のクロスオーバー用量は、K85EEについては29.4および22.5mg/kg、ならびに製剤2については30.0および22.8mg/kgであった。
【0137】
遊離EPAおよびDHAならびに結合されたEPAおよびDHAの両方を各サンプルごとに決定する。遠心分離によって各サンプルから血漿を生成し、分析時まで凍結する。2つのアリコートを分析のために取る。アリコートAは遊離EPAおよびDHAについて分析する。アリコートBは、キロミクロン内で血液において循環する任意の存在するTAGを消化するアルカリ加水分解を使用する消化手順、続いて遊離されたEPAおよびDHAの分析を行う。
【0138】
全EPA/DHAおよび遊離EPA/DHAの分析のために、本質的に約99%脂肪酸不含有(アガロースゲル電気泳動による)の凍結乾燥粉末ヒト血清アルブミン(Sigma社)を、代替マトリックスとしてアッセイに使用した。イヌ血漿中の内在性脂肪酸レベルのために、このマトリックスをスタンダードおよび品質管理(QC)サンプルの調製に適切な代替物として検証した。3つの異なる検体濃度で調製され、研究サンプルと共に保存されたQCサンプルは、個別に調製されたキャリブレーションスタンダードに対して、サンプルの各バッチと共に分析した。許容可能な分析のためには、1/3を超えるQC結果が基準濃度から15%を超えて外れてはならず、各QC濃度からの結果の少なくとも50%が基準の15%以内になくてはならない。
【0139】
抽出法は、UHPLC−MS/MSシステムとの互換性のために修飾された、S.A. Lagerstedt et al., Molecular Genetics and Metabolism 73, 38−45 (2001)に基づく。
【0140】
遊離DHAおよびEPAの抽出のために、50μLの試験サンプル(ヒト血漿、25μL)、スタンダードまたはQCサンプルをバイアル/チューブの中へ小分する。50μLのアセトニトリルを二重ブランクへ添加し、50μLの内部スタンダード使用溶液(500ng/mLの重水素化したEPAおよびDHA)を他のすべてのバイアル/チューブへ添加する。サンプルを酸性化し、次いでヘキサンにより抽出する。混合後に、上清をシラン化ガラスインサートを含むプレートへ移し、N下で40℃で蒸発させて、50/50のアセトニトリル/水により再構成する。次いで遊離EPAおよびDHAのための分析はUHPLC−MS/MSを使用して行うことができる。
【0141】
全DHAおよびEPAの抽出のために、50μLの試験サンプル(ヒト血漿、25μL)、スタンダードまたはQCサンプルを、マイクロニックバイアル/チューブの中へ小分する。100μLのアセトニトリルを二重ブランクへ添加し、100μLの内部スタンダード使用溶液(500ng/mLの重水素化したEPAおよびDHA)を、他のすべてのバイアル/チューブへ添加する。初期消化は、すべてのサンプルに対して90/10のアセトニトリル/6N HClの添加を含む。プレートを密封および混合し、続いて約104℃で約45分間インキュベーションする。室温へ冷却した後に、90/10のメタノール/10N NaOHをすべてのウェルへ添加し、プレートにキャップをして、混合し、次いで上記のようにインキュベーションする。室温へ冷却した後に、プレートを混合し、遠心分離し、200μLの上清を清浄なプレートへ移す。6N HCl続いてヘキサンをすべてのウェルへ添加する。プレートをキャップし、約5分間混合し、次いで遠心分離する。上清をシラン化ガラスインサートを含むプレートへ移し、N下で40℃で蒸発させる。サンプルを50/50のアセトニトリル/水により再構成し、混合し、遠心分離し、次いで全EPAおよびDHAのについて解析する。
【0142】
LC分離は、Acquity UPLC BEH C18、50×2.1mm、勾配条件の1.7μmカラムを使用して、1.5分未満で行うことができる。代りに、同等のUHPLC装置を使用し、クロマトグラフィー条件をわずかに変化させることができる。
【0143】
血漿濃度vs時間プロファイルを、1)アリコートAからの遊離EPAおよびDHA;2)アリコートBからの結合されたEPAおよびDHA;3)アリコートBからのTAGにおけるEPA+DHAの小計および4)全体的な全遊離EPAおよびDHA+結合されたEPAおよびDHAについて生成する。AUC(0−t)、CmaxおよびTmaxは、1製剤あたり1動物あたりで4つの条件の各々について計算する。相対的生体利用率(「F」)は、各試験処方物について以下のように計算することができる。
F=AUC(0−t)試験処方物/AUC(0−t)参照処方物
結果を表1中に示す:
【0144】
表1
【表3】

【0145】
エマルション処方物2の投与後に、全EPAおよびDHAについてのCmax corr値およびAUC0−8 corr値は、K85EEのこれらの値の少なくとも3または4倍を超えた。遊離EPAおよびDHAについて対応する値も、K85EEと比較して増加した。これらのデータは、K85EEと比較して、EPAおよびDHAについてエマルション製剤2の体内吸収および生体利用率が促進されている証拠を提供する。
【0146】
研究B
第2の研究において、K85EEの6つの処方物(5つの前濃縮物カプセルおよび1つの液体(強制投与による))をイヌ(n=4/群)へ投与した。研究は6つの別個の研究日に行った。
試験処方:
【0147】
【表4】

【0148】
処方物3〜6および8は、混合下で(磁気撹拌機)K85EE油へ界面活性剤(複数可)を添加することによって調製した。Cremophor ELPを使用した場合、油へ添加する前に30℃に加熱した。ピペットを使用して混合物をハードゼラチンカプセルの中へ満した。
【0149】
処方物7は、一様となるまで界面活性剤をK85EE油と混合し、次いで混合下で混合物を水へ添加することによって調製した。Cremophor ELPを使用した場合、必要に応じて30℃に加熱して融解し、他の構成要素と混合した。
【0150】
遊離および全EPAおよびDHAを上記の様式で分析した。内因性のEPAおよびDHAの適切なベースライン補正をした後に、可能な場合にPKパラメータの推定を得る非コンパートメント法を使用して、遊離および全EPAおよびDHAの血漿濃度−時間データの薬物動態(PK)分析を行った。相対的生体利用率(「F」)を以下のように計算する。
F=AUC(0−8)試験処方物/AUC(0−8)参照処方物。
【0151】
平均Cmax corrおよび平均AUC0−8 corr値を、研究AからのK85EE油(処方1)データと比較し、比として同様に表した。結果を表2中に示す。
【0152】
表2
【表5】

【0153】
エマルション処方物3、4、5または7(示されるように130nm〜1.8μmの中央粒子サイズを有する)の投与後に、EPAおよびDHAについての全AUC0−8 corr値は、少なくともK85EEのこの値の少なくとも2倍または3倍を超えた。遊離EPAおよびDHAについて対応する値も、K85EEと比較して増加した。処方物6(中央粒子サイズ6.3μm)は、K85EEと比較して、EPAおよびDHAについての全Cmax0−8 corr値およびAUC0−8 corr値における増加を、まったくまたは少ししか示さなかった。処方物8(中央粒子サイズ12.8μm)は、K85EEと比較して、曝露(全および遊離EPAおよびDHAの両方についてのCmax corr値およびAUC0−8 corr値)の低下を示した。
【0154】
実施例4−臨床研究
市販K85EE(例えばLOVAZA(登録商標)カプセル)と比較して、K85EE液体エマルションおよび/またはエマルション前濃縮物のカプセルの経口投与後の血漿中のEPAおよびDHAの相対的生体利用率、およびエマルションによる反復投薬後のリン脂質の中へのEPAおよびDHAの取り込みにおける任意の用量相関性の増加を評価する研究を行った。
【0155】
パートAは、エマルション前濃縮物カプセルまたは液体エマルションの1.68gのLOVAZA(登録商標)に対する同等物の単一用量投与を含んでいた。パートBは、エマルション前濃縮物カプセルの選択される用量の2週間の反復投薬を含んでいた。
【0156】
主要評価項目は以下のとおりであった。パートAについては、単一用量後の遊離および全EPAおよびDHAのAUC(0−∞)およびCmax(ベースラインから補正した);パートBについては、EPAおよびDHAの両方(全および遊離;ベースラインについて補正した)についてのAUC(0−24h)およびCmaxss;ならびに血漿リン脂質の中へのEPAおよびDHAの取り込み(ベースラインからの絶対的な%変化)。
【0157】
より具体的には、パートAは、カプセル化K85EEエマルション前濃縮物の単一用量の相対的生体利用率を、市販のLOVAZA(登録商標)カプセル、および前濃縮物カプセルから調製された液体エマルション処方物と比較する、健康な成人被験体における非盲検無作為化並行群間研究であった。適格基準を満たす16名の健康な被験体を、3つの並行治療群の各々に対して無作為化した(少なくとも12名の被験体が研究を完了することを目標とする)。適格な被験体は実験開始後2日目に臨床ユニットにチェックインし、実験開始後1日目および1日目で24時間のEPA/DHAの薬物動態のための採取を行った。
【0158】
エマルション前濃縮物カプセルの3用量をパートBにおいてさらに研究した。パートAからの被験体は少なくとも3週間のウォッシュアウト期間後にパートBに参加した。
【0159】
パートBは、3用量レベルのK85EEエマルション前濃縮物カプセル、およびLOVAZA(登録商標)の1用量による2週間の反復用量期間からなる単純盲検無作為化並行群間プラセボ対照研究であった。各コホート内では、少なくとも8名の健康な被験体を積極的治療群に対して無作為化し、少なくとも2名の被験体を、匹敵するプラセボ(トウモロコシ油、NF 994mgおよびD−αトコフェロール、USP 6mgを含む1000mgカプセル)に対して無作為化した。プラセボ被験体からのデータを分析のためにプールした。臨床調査ユニットにチェックインした被験体は実験開始後2日目に試験食に参加し、実験開始後1日目および1日目で24時間のベースラインEPA/DHAプロファイルを得た。被験体は2日目にクリニックを退出し、3〜12日目に毎日の投薬のために戻った(6日目に外来患者として短時間来院した)。被験体は12日目の夜にクリニックに再びチェックインし、13日目に24時間のEPA/DHAプロファイルを採取した。被験体は、試験食およびトリグリセリドサンプリングを含む手順に続いて、14日目にクリニックから退出した。
【0160】
要約すると、パートAにおいて以下の治療の1つのうちの単一用量を受けるように被験体を割り付けた。
【0161】
【表6】

【0162】
パートA投薬量/投与の要約
【表7】

処方物(9):K85EEおよび界面活性剤の合計量に基づいて、K85EE 70重量%、Cremophor ELP 4.5重量%、ポリソルベート80 25.5重量%、ならびに組成物の全重量に基づいて約0.8〜0.9重量%水を含む。水中の分散に際して、生じたエマルションの中央粒子サイズは0.14μm(140nm)、x90は0.45μmであった。
リンゴジュース中の分散に際して、生じたエマルションの中央粒子サイズは150nmであった。
最低10時間の断食。
【0163】
パートBにおいて、被験体を、a)3用量レベルのK85EEエマルション前濃縮物カプセルの1つ、b)LOVAZA(登録商標)、またはc)4つの積極的治療の1つに匹敵するプラセボのいずれかに対して割り付けた。被験体は、積極的治療または対応するプラセボを受けていたかどうかに関して盲検化された。各コホート内の積極的治療:プラセボについての無作為化比は4:1であった。パートB治療を以下に要約する。
【0164】
【表8】

【0165】
パートAについて記載された様式で、K85EEエマルション前濃縮物カプセルおよびLOVAZA(登録商標)をカプセルとして毎日1回投与し、対応する積極的治療と同様にプラセボを投与した。被験体はPKサンプリング日にのみ絶食することが必要だった。
【0166】
エマルション前濃縮物処方物はパートAと同様であった。エマルション前濃縮物カプセルは、K85EE油および界面活性剤を含む混合物の直接的カプセル化によってソフトゼラチンカプセルへと形成された。K85EEおよび界面活性剤をブレンドし、約1重量%水を添加し、混合して均質の溶液を形成し、回転式のカプセル化法を使用してカプセル化し(ゼラチン、グリセロールおよび水を含むゲル塊)、675mgの基準シェル重量、1200mgの充填重量および最小0.010インチ密封厚を持つカプセルサイズ22または24の楕円形を形成した。少なくとも8.5ニュートンの硬度までカプセルを乾燥し(回転式乾燥機中で約60分間回転乾燥し、続いて浅いトレー中でトンネル乾燥機で乾燥させ、通常少なくとも1日約2回硬度をチェックする)、イソプロピルアルコールにより洗浄してプロセスの間に使用される潤滑油を除去する。
【0167】
血漿EPAおよびDHA濃度を上記の方法に従って決定した。
【0168】
血漿リン脂質中のEPAおよびDHAの濃度も決定した。血漿サンプルを解凍し、100μLをガラス試験管へ移す。2mL塩化メチレン、2mlメタノールおよび1mL蒸留水を添加し、チューブを振り(Multivortex、2分)次いで遠心分離して(3000rpm、10分)、有機層および水層を分離する。Autospotterを使用して200μLの有機物をシリカゲルG薄層クロマトグラフィープレート上にロードする。プレートをヘキサン:エチルエーテル:酢酸(240:60:4.5 v/v/v)により展開し、溶媒がプレート中線に達する時にプレートを取り出し、約5分間乾燥する(フード)。次いでプレートを元素のヨウ素のタンクの中へ置いてリン脂質バンド(起点)を検出し、取り出し、10〜15分放置してヨウ素を放散させる。250μLのBF3メタノールおよび250μLのヘキサンを含む反応バイアルの中へ、バンドをこすり落とす。バイアルにキャップし加熱する(10分、100℃)。冷却後に、250μLの水を添加し、チューブをキャップし、ボルテックスで30秒間撹拌し、上記のように遠心分離して層を分離する。50μLのヘキサン層をGC(ガスクロマトグラフィー)のバイアルに移し、GC(GC2010、Shimadzu社、Columbia MD、毛管カラムSP2560、100m、Supelco社、Bellefonte PAによる;180℃で1.75分、200℃までランプ5℃/分、200℃で1.75分、240℃までランプ10℃/分、240℃で4.5分;水素担体;または同等条件)によって解析する。
【0169】
研究結果は以下を含む。
【0170】
パートA
以下の表3〜4は、パートA中のレジメンについて得られた全および遊離EPAおよびDHA(ベースラインに対して補正した)についてのいくつかの血漿AUCおよびCmaxデータを要約する(来院1日目)。
【0171】
表3 全EPAおよびDHA−血漿AUCおよびCmax(ベースラインで補正)
【表9】

1.データは幾何平均(95%CI)CVb%として報告された。特別の指示の無い限り、各レジメンについてN=16。
レジメンの手引きは以下の通り。
A−エマルションカプセル1.68g
B−液体エマルション1.68g
C−LOVAZA 4g
【0172】
表4 遊離EPAおよびDHA−血漿AUCおよびCmax(ベースラインで補正)
【表10】

1.幾何平均(95%CI)CVb%。特別の指示の無い限り、各レジメンについてN=16。
2.n=14。
3.n=13。
レジメンの手引きは以下の通り。
A−エマルションカプセル1.68g
B−液体エマルション1.68g
C−LOVAZA 4g
【0173】
遊離および全EPAおよびDHAについての平均CmaxおよびAUC値は、LOVAZA治療と比較した場合、エマルションカプセルおよび液体エマルションを与えた被験体については数倍高かった。これらのPKパラメータは、エマルションカプセルを与えた被験体と比較して、液体エマルションを与えた被験体については2倍高かった。CmaxおよびAUCの推定について中から高程度の被験体間変動が観察された。被験体間変動は、LOVAZA治療と比較して、エマルションカプセルまたは液体エマルションを与えた被験体についてはより少なかった。それゆえ、本発明の組成物は、投薬/用量設定でより優れた予測性を提供することができる。
【0174】
統計解析は、パートAからのエマルションカプセル、液体エマルションおよびLOVAZAレジメンの、用量で正規化しベースラインで補正したCmaxおよびAUC(0−24)値の比較を含み、表5中に示される結果を含んでいた。
【0175】
表5 1日目(パートA中の処方物の単一投薬後)に用量で正規化しベースラインで補正した薬物動態学の(PK)パラメータの比較についての推定値および90%CI
【表11−1】

【表11−2】

【0176】
遊離および全EPA/DHAのCmaxおよびAUC(0−24)値は、4gのLOVAZAと比較して、エマルションカプセルおよび液体エマルションの両方で有意に高かった。LOVAZA 4gと比較して、遊離および全EPAおよびDHAのベースラインで補正したAUC(0−24)値は、エマルションカプセルについては10〜14倍高く、液体エマルションについては21〜23倍高かった。遊離および全EPAおよびDHAのベースラインで補正したAUC(0−24)値と関連した90%CIは、0.8〜1.25区間の完全に範囲外であった。
【0177】
遊離および全EPA/DHAのCmaxおよびAUC(0−24)値は、エマルションカプセルよりも液体エマルション製剤が有意に高かった。エマルションカプセルと比較して、遊離および全EPAおよびDHAのベースラインで補正したAUC(0−24)値は、液体エマルションについては33〜52%高かった。理論により束縛または限定されるものではないが、液体エマルションは胃腸管の条件および通過を含む消化活性における変動をあまり受けず、それゆえエマルション前濃縮物カプセルと比較してより高い曝露を示すと考えられる。このより高い曝露は、対応するエマルションカプセルにより潜在的に達成することができる最大曝露に近似し得る。カプセル形態は、例えば分解からの保護の提供、加えて使用容易性および患者コンプライアンスについては好ましい。
【0178】
パートB
表6および7は、パートB中のレジメンについて得られた、ベースラインについて補正した全および遊離EPA/DHAについてのいくつかの血漿AUCおよびCmaxのデータを要約する。
【0179】
表6 血漿全EPAおよびDHAの薬物動態パラメータ:パートB(0〜24時間)、ベースラインで補正した
【表12】

1. 幾何平均(95%CI)CVb%。
レジメンの手引きは以下の通り。
D=エマルションカプセル0.84g(N=11)。
E=エマルションカプセル1.68g(N=8)。
F=エマルションカプセル3.36g(N=10)。
G=LOVAZA 4g(N=9)。
P=プラセボ(プールした)(N=9)。
【0180】
表7 血漿遊離EPAおよびDHAの薬物動態パラメータ:パートB(0〜24時間)、ベースライン補正した
【表13】

【0181】
3用量レベルのエマルションカプセルまたはLOVAZAを投薬した被験体からの曝露と比較した場合、遊離および全EPA/DHA CmaxおよびAUC(0−24)値は、プールしたプラセボ群については概してはるかに低かった。CmaxおよびAUC(0−24)の値は、遊離および全EPA/DHAについては0.84g〜3.36gのK85EEエマルションカプセル用量の増加につれて増加した。遊離および全EPA/DHAのCmaxおよびAUC(0−24)値は1日目よりも13日目により高く、エマルションカプセルおよびLOVAZAの両方の反復投薬後の遊離および全EPA/DHAの蓄積を示す。遊離および全EPAおよびDHAのCmaxおよびAUC推定により、中から高程度の被験体間変動が観察された。
【0182】
反復投薬後の遊離および全EPA/DHAの蓄積の評価についてのパラメトリック分析をパートBレジメンの各々に行い、表8中に示す結果を含む。
【0183】
表8 パートB中の製剤の反復投薬後の遊離および全EPA/DHAの蓄積の評価についてのパラメトリック解析結果
【表14】

【0184】
遊離および全EPAおよびDHAのAUC(0−24)値は、エマルションカプセルおよびLOVAZA(4g)の両方についての1日目と比較して、13日目に有意に増加した。1日目と比較して、13日目の遊離および全EPAおよびDHAのAUC(0−24)値は、エマルションカプセルについては1.26〜1.95倍までおよびLOVAZA 4gについては1.67〜2.43倍まで増加した。遊離および全EPAおよびDHAのAUC(0−24)値と関連した90%CIは、13日目:1日目比較については概して0.8〜1.25区間の範囲外であった。結果は、エマルションカプセル(0.84〜3.36g K85EEおよびLOVAZA 4gの13日間の反復投薬後に遊離および全EPAおよびDHAが有意に蓄積されることを示す。
【0185】
エマルション処方物の反復投薬後のEPAおよびDHA(全および遊離)の用量比例性を査定し、表9中に示される結果を含む。
【0186】
表9 パートB中のエマルション処方物の反復投薬後の、遊離および全EPA/DHAの用量比例性の評価についての解析結果
【表15】

【0187】
全EPAおよび遊離DHAについては用量比例性からの大きな逸脱はなかった。反復投薬後の遊離EPAの曝露は用量に対する比例を超えており、反復投薬後の全DHAの曝露は用量に対する比例よりも少なかった。
【0188】
24時間の測定期間にわたる血漿リン脂質の中へのEPAの取り込みのパーセントは、24時間にわたるAUCについて表10中に示される。Cmaxについて類似パターンが観察された。
【0189】
表10 リン脂質の中へのEPAおよびDHAの取り込み−パラメータ
【表16】

【0190】
表11は、13日目の平均曝露(24で割ったAUC[0−24h]から計算したCmean)におけるベースラインからのパーセント変化を反映する。
【0191】
表11
【表17】

【0192】
Cmeanの用量比例性は、EPAについては0.77(0.55、0.99)およびDHAについては0.67(0.41および0.94)の点推定(% CI)により査定した。参照としてのLOVAZAと比較したエマルション治療選択肢のパラメトリック分析により、治療FについてはEPAおよびDHAの取り込み(Cmean)が有意に高く、治療DについてはDHA取り込みが有意に低いことが示される。
【0193】
実験開始後の用量前の1日目、1日目、6日目および13日目で血漿リン脂質中のEPAおよびDHAの取り込みを査定した。表12中に示されるように、EPAおよびDHAは投与期間にわたるすべての積極的治療群において増加し、EPAはより大きな程度で増加した。
【0194】
表12
【表18】

【0195】
血漿リン脂質の中へのEPAおよびDHA取り込みは用量相関性の増加を示し、加えて、積極的治療群については13日目で増加を示した。LOVAZA 4gについての取り込みプロファイルは、1つおよび2つのカプセルエマルション用量について観察されたものの中間だった。24時間のAUCの13日目のベースラインからの増加は、4つのカプセルエマルション用量で最も高く(EPAについては約8倍およびDHAについては約2倍);EPAについてはLOVAZA 4gについて観察したものの約2倍であった。実験開始後の用量前の1日目、1日目、6日目および13日目に測定された取り込みは、類似した用量相関性の増加を示した。反復投薬後に、リン脂質の中へのEPAおよびDHAの取り込みはすべての積極的治療群においてベースラインを超えて増加した。増加はEPAについては用量依存的であり、LOVAZA 4gについての4倍増加と比較して、エマルション4つのカプセル用量については8倍増加が観察された。より低い程度までだが、DHAの取り込みも増加した。
【0196】
加えて、食物は4gのLOVAZAの投薬後のEPAの曝露に影響を与えるが、エマルション前濃縮物カプセルではそのようなことが起こらないことが見出された。絶食状態と比較して、4g LOVAZAを高脂肪食と共に投薬した場合、AUC(0−8)値の有意な増加は遊離および全EPAについて観察された(表13)。絶食状態と比較して、エマルション前濃縮物カプセルを高脂肪食を投薬した場合、食物効果は遊離および全EPA AUC(0−8)値について観察されなかった。理論により束縛または限定されるものではないが、LOVAZA 4gの製剤は食物の消化の間に胆汁酸塩の乳化作用が役立つと考えられる。これとは対照的に、乳化可能な製剤として既に供給されていたエマルション前濃縮物は、吸収のために胆汁酸塩が役立ったり、さらなる乳化を必要とするのではないようであった。
【0197】
表13
【表19】

【0198】
上記の臨床研究は、非乳化LOVAZA製品と比較して、エマルション前濃縮物組成物(emulsion pre−concentrate composition)がEPAおよびDHAの曝露に加えて、リン脂質の中へのEPAおよびDHAの取り込みの本質的な増加を提供したことを示す。この生体利用率の増加は、治療を必要とする被験体において、非乳化LOVAZA製品と比較して、有効性の増加(例えばトリグリセリド低下の増大)を提供することができる。したがって、本発明のエマルション前濃縮物カプセルは、対応する非乳化ω−3脂肪酸油と同一または類似の有効性のために、より低用量および/またはより少ない投薬単位を可能にできる。したがって、有効性の達成のためにより少ないω−3脂肪酸油を必要とし、それはそして、環境影響、油の所望されない構成要素に対する曝露、療法の副作用、カロリー摂取量および費用を低下させる可能性がある。
【0199】
本明細書において引用される特許および特許出願を含むがこれらに限定されないすべての刊行物は、各々の個別の刊行物が完全に説明されているかのように参照として本明細書に援用されることが具体的および個別に示されるかのように、参照として本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性液体を含んでなる水相と、
ω−3脂肪酸油を含んでなる油相と、
界面活性剤と
を含んでなる、エマルション組成物であって、
エマルションが、約100nm〜約3μmの中央粒子サイズを有する、エマルション組成物。
【請求項2】
前記水相が、水である、請求項1に記載のエマルション組成物。
【請求項3】
前記水相が、水を含んでなる飲用液体である、請求項1に記載のエマルション組成物。
【請求項4】
組成物の全重量に基づいて、
約65〜約80重量%の水と、
約15〜約30重量%のω−3脂肪酸油と、
約5〜約10重量%の界面活性剤と
を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項5】
組成物の全重量に基づいて、
約65〜約80重量%の水と、
約15〜約30重量%のω−3脂肪酸油と、
約5〜約10重量%の界面活性剤と
を含んでなる、エマルション組成物。
【請求項6】
前記ω−3脂肪酸油が、a)ω−3多価不飽和遊離脂肪酸(例えば長鎖)、b)多価不飽和遊離脂肪酸(例えば長鎖)のグリセロールとのエステル、c)多価不飽和遊離脂肪酸(例えば長鎖)および第一級アルコール、第二級アルコールまたは第三級アルコールのエステル、並びにd)それらの混合物から選択されるω−3脂肪酸を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項7】
前記ω−3脂肪酸油が、重量で少なくとも40%(例えば少なくとも80%)の1つまたは複数のω−3脂肪酸を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項8】
前記ω−3脂肪酸油が、重量で少なくとも50%(例えば少なくとも80%)のEPAおよびDHAを含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項9】
前記ω−3脂肪酸油が、重量で約5〜約100%(例えば約40〜約55%)のEPAを含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項10】
前記ω−3脂肪酸油が、重量で約5〜約100%(例えば約30〜約60%)のDHAを含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項11】
前記ω−3脂肪酸油が、99:1〜1:99(例えば4:1〜1:4または2:1〜1:2)のEPA:DHAの重量比でEPAおよびDHAを含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項12】
前記ω−3脂肪酸油が、組成物中の唯一の活性成分である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えばPEG 35ヒマシ油)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば80[ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン])、およびそれらの混合物から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項14】
共溶媒をさらに含んでなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載のエマルション組成物。
【請求項15】
前記共溶媒が、C1−4アルコール(例えばEtOH)、C12−22遊離脂肪酸(例えばオレイン酸)、およびそれらの混合物から選択される、請求項14に記載のエマルション組成物。
【請求項16】
前記組成物が、組成物の重量に基づいて約0.1〜約5重量%の共溶媒を含んでなる、請求項14または15に記載のエマルション組成物。
【請求項17】
ω−3脂肪酸油と、界面活性剤とを含んでなる、エマルション前濃縮物組成物であって、前濃縮物が、水性液体と接触して、約100nm〜約3μmの中央粒子サイズを有するエマルションを形成することができる、エマルション前濃縮物組成物。
【請求項18】
前記水性液体が、水である、請求項17に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項19】
組成物中のω−3脂肪酸油および界面活性剤の全重量に基づいて、
約60〜約85重量%のω−3脂肪酸油と、
約15〜約40重量%の界面活性剤と
を含んでなる、請求項17または18に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項20】
組成物中のω−3脂肪酸油および界面活性剤の全重量に基づいて、
約60〜約85重量%のω−3脂肪酸油と、
約15〜約40重量%の界面活性剤と
を含んでなる、エマルション前濃縮物組成物。
【請求項21】
前記ω−3脂肪酸油が、a)ω−3多価不飽和遊離脂肪酸(例えば長鎖)、b)多価不飽和遊離脂肪酸(例えば長鎖)のグリセロールとのエステル、c)多価不飽和遊離脂肪酸(例えば長鎖)および第一級アルコール、第二級アルコールまたは第三級アルコールのエステル、並びにd)それらの混合物から選択されるω−3脂肪酸を含んでなる、請求項17〜20のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項22】
前記ω−3脂肪酸油が、重量で少なくとも40%(例えば少なくとも80%)の1つまたは複数のω−3脂肪酸を含んでなる、請求項17〜21のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項23】
前記ω−3脂肪酸油が、重量で少なくとも50%(例えば少なくとも80%)のEPAおよびDHAを含んでなる、請求項17〜22のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項24】
前記ω−3脂肪酸油が、重量で約5〜約100%(例えば約40〜約55%)のEPAを含んでなる、請求項17〜23のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項25】
前記ω−3脂肪酸油が、重量で約5〜約100%(例えば約30〜約60%)のDHAを含んでなる、請求項17〜24のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項26】
前記ω−3脂肪酸油が、99:1〜1:99(例えば、4:1〜1:4または2:1〜1:2)のEPA:DHAの重量比でEPAおよびDHAを含んでなる、請求項17〜25のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項27】
前記ω−3脂肪酸油が、組成物中の唯一の活性成分である、請求項17〜26のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項28】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えばPEG 35ヒマシ油)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば80[ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン]、およびそれらの混合物から選択される、請求項17〜27のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項29】
組成物中のω−3脂肪酸油および界面活性剤の全重量に基づいて、
約60〜約80重量%のω−3脂肪酸油と、
約20〜約40重量%の界面活性剤と、
を含んでなる、請求項17〜28のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項30】
組成物中のω−3脂肪酸油および界面活性剤の全重量に基づいて、
約70重量%のω−3脂肪酸油と、
約30重量%の界面活性剤と
を含んでなる、請求項29に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項31】
前記ω−3脂肪酸油対界面活性剤の重量比が、2:1を超える(例えば2:1を超える〜6:1の範囲)、請求項17〜30のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項32】
共溶媒をさらに含んでなる、請求項17〜31のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項33】
組成物の全重量に基づいて、約0.1〜約5重量%(例えば約0.7〜約5重量%または約0.7〜約1.2重量%)の共溶媒を含んでなる、請求項32に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項34】
前記共溶媒が、水、C1−4アルコール(例えばEtOH)、C12−22遊離脂肪酸(例えばオレイン酸)、およびそれらの混合物から選択される、請求項32または33に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項35】
前記共溶媒が、水である、請求項34に記載のエマルション前濃縮物組成物。
【請求項36】
請求項17〜35のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物組成物を水性液体と接触させることによって形成される、エマルション。
【請求項37】
前記エマルションが、約100nm〜約3μmの中央粒子サイズを有する、請求項36に記載のエマルション。
【請求項38】
請求項1〜37のいずれか一項に記載のエマルション組成物またはエマルション前濃縮物組成物を含んでなる、医薬製品、栄養製品、または栄養補助製品である、経口製剤。
【請求項39】
飲用液体組成物の形態である、請求項38に記載の経口製剤。
【請求項40】
請求項17〜35のいずれか一項に記載のエマルション前濃縮物を含んでなる、ハードカプセルまたはソフトカプセル(例えばソフトゼラチンカプセル)の形態である、請求項38に記載の経口製剤。
【請求項41】
ω−3脂肪酸油を用いることができる疾患、病態などのいずれかの治療に好適な、医薬製品、栄養製品、または栄養補助製品の製造のための、請求項1〜37のいずれか一項に記載のエマルション組成物またはエマルション前濃縮物組成物の使用。
【請求項42】
ω−3脂肪酸油を用いることができる疾患、病態などのいずれかの治療に好適な、薬剤の製造のための、請求項1〜37のいずれか一項に記載のエマルション組成物またはエマルション前濃縮物組成物の使用。
【請求項43】
ω−3脂肪酸油を用いることができる疾患、病態などのいずれかの治療のために、請求項1〜37のいずれか一項に記載のエマルション組成物またはエマルション前濃縮物組成物をそれを必要とする被験体(例えばヒトを含んでなる哺乳類)へ投与することを含んでなる、治療方法。
【請求項44】
前記疾患または病態が、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型脂質異常症、心血管性疾患、冠性心疾患(CHD)、血管性疾患、アテローム性動脈硬化性疾患および関連する病態、心血管イベントおよび/または血管イベント(MACE、MCEを含む)からなる群から独立して選択される、請求項41〜43のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項45】
ω−3脂肪酸による治療を必要とする被験体において、ω−3脂肪酸の経口吸収および/または経口生体利用率を増加させる方法であって、請求項1〜37のいずれか一項に記載のエマルション組成物またはエマルション前濃縮物組成物を前記被験体へ経口投与することを含んでなり、経口吸収および/または経口生体利用率が、前記組成物中で使用されるω−3脂肪酸油の投与後の経口吸収および/または経口生体利用率と比較して増加する、方法。
【請求項46】
前記ω−3脂肪酸が、EPAおよび/またはDHAである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
全EPAおよび/またはDHAの血清レベルが増加する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
全EPAおよび/またはDHAの血清レベルが、前記組成物中で使用されるω−3脂肪酸油の投与後の全EPAおよび/またはDHAの血清レベルと比較して、少なくとも約2、3または4倍(例えば約2倍〜約5倍)まで増加する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記エマルション組成物またはエマルション前濃縮物組成物が、1日あたり約0.1g〜約10g(例えば1日あたり約0.75〜約4g、または約0.1g〜約2g)の1日量のω−3脂肪酸油を提供するように投与される、請求項45〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記ω−3脂肪酸油の1日の用量が、1日あたり1〜10の用量(例えば1日あたり1〜4または1〜2の用量)で投与される、請求項49に記載の方法。

【公表番号】特表2013−508296(P2013−508296A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534391(P2012−534391)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052840
【国際公開番号】WO2011/047259
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】