説明

組電池

【課題】二次電池とバスバーとの電気抵抗を小さくし、かつ、バスバーの取付けの作業性を向上する。
【解決手段】二次電池1の外部正極および負極の端子61、71を接続するバスバー50は、ほぼ平坦な板状形状のベース部51およびベース部51とほぼ垂直に立設された複数の放熱用フィン52を有する。ベース部51には一対の貫通孔53が形成された取付部51aが形成されており、取付部51aには放熱用フィン52は形成されていない。貫通孔53をボルト構造の外部正極および負極の端子61、71に貫通し、ナット57によりバスバー50を電池蓋3に締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各二次電池の正・負極端子をバスバーで接続した組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の複数の角形二次電池を、相互に、バスバーで接続して構成された組電池が知られている。このような組電池は、近年、電気自動車やハイブリッド電気自動車の電源装置として注目されている。
組電池は、大電流を充放電するために発熱量が大きく、高温に昇温する。このため、冷却する必要がある。
【0003】
冷却手段として、放熱板を用いる方法が知られている。コストの低減および組立の効率化を図り、二次電池を相互に電気的に接続するバスバーに放熱用フィンを設けた構造が知られている(例えば、特許文献1、図1−3、第27段落参照)。この文献に記載された組電池では、金属板を折り曲げて3つの山および2つの谷が交互に形成されたバスバーを用いる。このバスバーを、板状に形成された隣接する二次電池の正負極端子間に、載置する。この文献には、バスバーと正負極端子との取付け構造に関しての説明は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−100840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載された組電池においては、バスバー全体が板状の放熱用フィンで構成されている。板状の放熱用フィンは板厚が小さく、正負極端子との接触面積が小さい。従って、バスバーと二次電池間の電気抵抗が大きくなる。また、バスバーの取付け構造に関する言及は無いが、バスバーに固定用の取付部が形成されていないため、取付け作業が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の組電池は、電池蓋と電池缶により構成された電池容器内に正極電極と負極電極とを含む発電要素が収容され、正極電極および負極電極に、それぞれ、接続された正極端子および負極端子が電池蓋の内部からに突き出して設けられた複数の二次電池と、各二次電池の正極端子および負極端子を接続するバスバーとを備え、バスバーは、電池蓋の上面とほぼ平行に配置された平坦な取付部と、取付部に対してほぼ垂直に設けられた複数の放熱用フィンとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の組電池によれば、バスバーは、取付部と、この取付部にほぼ垂直に設けられた放熱用フィンとを有しており、取付部によって正極および負極端子との接触面積を増大させることができる。このため、バスバーと二次電池間の電気抵抗を低減することができる。また、取付部は電池蓋の上面とほぼ平行に配置されているため、電池蓋の上方から取付部を視認しながらバスバーの取付けを行うことができるため、取付け作業の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る組電池に用いられる二次電池の一実施の形態としての外観斜視図。
【図2】図1に示された二次電池の分解斜視図。
【図3】図2のIII−III線に沿って切断した拡大断面図。
【図4】二次電池に内蔵される発電要素の一実施の形態を示し、一部を展開した状態の斜視図。
【図5】本発明による組電池の一実施の形態の外観斜視図。
【図6】(a)は図5に図示された組電池の平面図、(b)は図5に図示された組電池の正面図。
【図7】図5に図示されたバスバーの拡大斜視図。
【図8】(a)は図7に図示されたバスバーの平面図、(b)は図7に図示されたバスバーの側面図。
【図9】本発明による組電池の実施形態2の外観斜視図。
【図10】(a)は図9に図示された組電池の平面図、(b)は図9に図示された組電池の正面図。
【図11】本発明の組電池に用いられる実施形態3としてのバスバーの外観斜視図。
【図12】本発明の組電池に用いられる実施形態4としてのバスバーの外観斜視図。
【図13】本発明の組電池に用いられる実施形態5としてのバスバーの外観斜視図。
【図14】本発明の組電池に用いられる二次電池の他の実施形態としての外観斜視図。
【図15】図14に図示された二次電池を用いて構成される組電池に用いられる、実施形態6としてのバスバーの拡大斜視図。
【図16】(a)は図15に図示されたバスバーの平面図、(b)は図15に図示されたバスバーの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
-実施形態1-
以下、本発明に係る組電池の一実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明の組電池を構成する単電池としてのリチウムイオン角形二次電池の一実施の形態を示す外観斜視図であり、図2は、図1に示された二次電池の分解斜視図である。
二次電池1は、電池蓋3および電池缶4とから構成される薄型のほぼ直方体形状の電池容器内に、発電要素40が収容され、図示はしないが非水電解液が注入されて構成されている。電池蓋3および電池缶4は、例えば、アルミニウムにより形成される。
【0010】
電池蓋3には、正極集電板21、負極集電板31等が一体的に組み付けられ、電池蓋ユニット10として構成される。電池蓋ユニット10の正極集電板21および負極集電板31は、それぞれ、発電要素40の正極金属箔41a(図4参照)または負極集電箔42a(図4参照)に、例えば、超音波溶接により接合されて電池蓋・発電ユニットとして一体化される。
【0011】
電池缶4は、電池蓋3側に開口部4aを有する薄箱型に形成されている。発電要素40は、電池蓋・発電ユニットとされた状態で、電池缶4に収納される。発電要素40を、図示しない絶縁シート内に収納したうえ、電池缶4内に収納するようにしてもよい。
【0012】
図4は発電要素40の巻き終り側を展開した状態の外観斜視図である。
発電要素40は、正極電極41と負極電極42とを、第1、第2のセパレータ43、44を介在して図示しない軸芯の周りに扁平状に捲回して形成されたものである。
正極電極41は、例えば、アルミニウム箔等からなる正極金属箔41aの表裏両面に正極合剤層41bが形成されたものである。正極合剤層41bは、正極金属箔41aの一側縁に、正極金属箔41aが露出された正極合剤未処理部41cが形成されるように正極金属箔41aに正極合剤を塗工して形成される。
負極電極42は、例えば、銅箔等からなる負極金属箔42aの表裏両面に負極合剤層42bが塗工されたものである。負極合剤層42bは、正極合剤未処理部41cが配置された側縁と対向する側縁である他側縁に、負極金属箔42aが露出された負極合剤未処理部42cが形成されるように負極金属箔42aに負極合剤を塗工して形成される。
【0013】
正極合剤層41bは、正極活物質としてマンガン酸リチウム(化学式LiMn)100重量部に対し、導電材として10重量部の鱗片状黒鉛と結着剤(バインダ)として10重量部のPVDFとを添加し、これに分散溶媒としてNMPを添加、混練して作製する。この正極合剤を厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に正極合剤未処理部41cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断してアルミニウム箔を含まない正極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)90μmの正極電極41を得る。
【0014】
負極合剤層42bは、負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を添加し、これに分散溶媒としてN−メチルビロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練して作製する。この負極合剤を厚さ10μmの銅箔の両面に負極合剤未処理部42cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断して銅箔を含まない負極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)70μmの負極電極42を得る。
【0015】
発電要素40を形成するには、図示しない軸芯に先端部を溶着させた第1、第2のセパレータ43、44の間に、それぞれ、負極電極42の巻始め側端部を、正極電極41の巻始め側端部よりも内側に位置するように配置して捲回する。この場合、正極合剤未処理部41cと負極合剤未処理部42cとは、幅方向(捲回方向に直交する方向)の反対側の側縁に位置するように配置する。負極合剤層42bの幅は、正極合剤層41bの幅よりも広く形成されている。また、第1のセパレータ43の幅は、正極電極41の正極合剤未処理部41cを一側縁側において外部に露出する寸法とされている。第2のセパレータ44の幅は、負極電極42の負極合剤未処理部42cを他側縁側において外部に露出する寸法とされている。
【0016】
このように、発電要素40は、正極金属箔41aの正極合剤未処理部41cが外部に露出しており、負極金属箔42aの負極合剤未処理部42cが外部に露出した状態に形成されている。
【0017】
電池蓋3には非水電解液の注液口が設けられており、この注液口は、電解液注入後に注液栓15により封口される。注液栓15は、例えば、レーザ溶接によって電池蓋3の注液口の周縁部に接合される。また、電池蓋3の長手方向におけるほぼ中央には安全弁16が形成されている。安全弁16は、過充電等により電池内部に発生するガスを電池セルの外部に放出するためのものである。安全弁16は、電池蓋3を局所的に薄肉にして溝を形成し、その溝部分において開裂し易くされている。
【0018】
非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。
【0019】
上記においては、バインダとしてPVDFを例示したが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体及びこれらの混合体などを使用するようにしてもよい。
【0020】
また、非水電解液としては、上記以外に、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いるようにしてもよく、本発明は用いられるリチウム塩や有機溶媒には特に制限されない。例えば、電解質としては、LiClO、LiAsF、LiBF、LiB(C、CHSOLi、CFSOLi等やこれらの混合物を用いることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトニル等またはこれら2種類以上の混合溶媒を用いるようにしてもよく、混合配合比についても限定されるものではない。
【0021】
図3は、図2におけるIII−III線に沿って切断した拡大断面図である。
電池蓋3の周縁部3aは薄肉とされ(図4参照)、この周縁部3aを電池缶4の開口部4a周縁部に嵌合した状態で、例えば、レーザ溶接によって電池缶4に接合され、外部に対し密封構造の電池容器が形成される。
正極側には、電池蓋3に、外部正極端子(正極端子)61、正極接続端子62、正極端子板63、絶縁板64、ガスケット65および正極集電板21が 取付けられた端子構造が構成されている。
外部正極端子61、正極接続端子62、正極端子板63および正極集電板21は、アルミニウム等の導電部材により形成されている。
【0022】
正極端子板63には、開口部63aと63bが形成されている。外部正極端子61は、端子部61aとベース部61bを有するボルト構造を有しており、端子部61aの外周にはおねじ(おねじ部)が形成されている。外部正極端子61の端子部61aは、正極端子板63の開口部63aに挿通されている。外部正極端子61のベース部61bは、絶縁板64の段部64a内に収容され、絶縁板64の段部64aを介して正極端子板63と電池蓋3の段部3bとの間に挟持されている。
【0023】
ガスケット65は開口部65aを有する段付きリング状に形成されている。ガスケット65は電池蓋の開口部3cに挿通されている。正極接続端子62は、径大の下部筒部62aと径小の上部筒部62bを有する段付円柱形状に形成されている。正極接続端子62は、上部筒部62bが、ガスケット65の開口部65aおよび正極端子板63の開口部63bに挿通されている。正極端子板63は、正極接続端子62の上部筒部62bによりかしめられ、正極端子板63と共に電池蓋3に固定されている。
【0024】
正極側の端子構造を形成するには次のようにする。
先ず、絶縁板64の開口部64bを電池蓋3の開口部3cに位置合わせすると共に、絶縁板64の段部64aを電池蓋3の段部3bに収容する。次に、外部正極端子61のベース部61bを絶縁板64の段部64a内に収容する。次に、正極端子板63を、その開口部63aを外部正極端子61の端子部61aに嵌合すると共に、開口部63bを電池蓋3の開口部3cに位置合わせする。次に、ガスケット65を電池蓋3の開口部3cおよび絶縁板64の開口部64bに挿通する。この工程は、先にガスケット65を電池蓋3の開口部3cに挿通し、この後、絶縁板64を組み付けるようにしてもよい。
【0025】
一方、予め、正極集電板21を、その開口部21cを正極接続端子62の下部筒部62aに嵌合し、下部筒部62aの端面を圧着することにより、正極集電板21を正極接続端子62にかしめにより固定しておく。
そして、正極接続端子62の上部筒部62bをガスケット65の開口部65aおよび正極端子板63の開口部63bに挿通し、上部筒部62bを圧着して、正極端子板63と正極接続端子62とをかしめにより電池蓋3に固定する。
【0026】
上記においては、予め、正極集電板21と正極接続端子62にかしめにより固定しておくとした。しかし、正極接続端子62をガスケット65の開口部65aおよび正極端子板63の開口部63bに挿通した状態で、正極端子板63と正極集電板21とを、同時に、正極接続端子62にかしめるようにしてもよい。
これにより、電池蓋3に、正極端子板63、外部正極端子61、絶縁板64、ガスケット65、正極接続端子62および正極集電板21が固定され、一体化される。
【0027】
負極側には、電池蓋3に、外部負極端子(負極端子)71、負極接続端子72、負極端子板73、絶縁板64、ガスケット(図示せず)および負極集電板31が取付けられた端子構造が構成されている。
外部負極端子71、負極接続端子72、負極端子板73および負極集電板31は、銅等の導電部材により形成されている。外部負極端子71は、外部正極端子61と同様に、端子部とベース部を有するボルト構造を有しており、端子部の外周にはおねじ(おねじ部)が形成されている。負極集電板31は、材料が異なることと、左右対称の形状をしていることを除いて、正極集電板21と同一である。外部負極端子71、負極接続端子72および負極端子板73は材料が相違することを除いて、それぞれ対応する正極側の部材と同一である。また、負極側の絶縁板64およびガスケットは、正極側と共通部材である。
【0028】
負極側の端子構造については、上記を除いては正極側の端子構造と同様であり、また、組付け方法も同様であるので、その説明は省略する。
【0029】
図5は、本発明による組電池の一実施の形態を示す外観斜視図であり、図6(a)は図5に図示された組電池の平面図であり、図6(b)は図5に図示された組電池の正面図である。
組電池100は、一実施の形態として上述した二次電池1を複数個、厚さ方向に密着して配列して構成されている。二次電池1は、隣接する二次電池1とは、外部正極端子61と外部負極端子が71とが対向するように、交互に反対向きにして配置される。
【0030】
隣接する二次電池1の外部正極端子61と外部負極端子71とはバスバー50により電気的に接続され、二次電池1は全体が直列に接続されている。複数の二次電池1における一端側に配置された二次電池1の外部正極端子61および他端側に配置された二次電池1の外部負極端子71は、図示しない接続部材により外部装置に接続され、組電池100から放電電流が供給される。
【0031】
図7は、図5に図示されたバスバーの拡大斜視図であり、図8(a)は図7に図示されたバスバーの平面図であり、図8(b)は図7に図示されたバスバーの側面図である。
バスバー50は、矩形形状の平坦な板状のベース部51と、このベース部51に対して垂直に立設された複数の放熱用フィン52とが一体に形成されている。バスバー50は銅により、例えば、鋳造法により形成される。
【0032】
ベース部51には、外部正極端子61の端子部61aまたは外部負極端子71の端子部72aが挿通される円形の一対の貫通孔53が形成されている。ベース部51における一対の貫通孔53が形成された領域は、所定の幅に亘り取付部51aとされており、放熱用フィン52は、この取付部51aの領域内には形成されていない。すなわち、少なくとも、一対の貫通孔53の円の外径(外周縁)を結ぶ直線領域上には放熱用フィン52が形成されていない。
複数の放熱用フィン52は、それぞれ、一対の貫通孔53の中心を結ぶ直線と平行に延出された板状形状を有し、ベース部51の長さと同一の長さに形成されている。
【0033】
各バスバー50は、図6(a)に図示されるように、放熱用フィン52を内側に位置させた状態で、ベース部51の貫通孔53を隣接する一方の二次電池1の外部正極端子61と他方の二次電池1の外部負極端子71に挿通される。そして、この状態で、外部正極端子61の端子部61aと負極外部端子71の端子部71aに螺合されるナット57により二次電池1の電池蓋3に締結される。
バスバー50は、電池蓋3に固定された状態で、安全弁16に重ならない大きさとされている。安全弁16には、二次電池1からミスト状のガスが噴出した際、ガスを導出するための排出管(図示せず)が取付けられる。バスバー50は、この排出管の取付けに邪魔にならない形状、サイズおよび取付け位置関係となっているものである。
【0034】
バスバー50は、電池蓋3の上面3aと平行なベース部51を有し、ベース部51の一側縁部には、放熱用にフィン52が立設されていない取付部51aが設けられている構造を有する。このため、取付部51aは、電池蓋3の上方から視認することができ、ナット57を用いてバスバー50を電池蓋3に締結する作業を容易に行うことができる。また、取付部51aには、放熱用フィン52が立設されていないので、締結具の障害となるものがなく、ナット57による締結作業を効率的に行うことが可能となる。
さらに、バスバー50は、平坦なベース部51を有しており、下面全面が電池蓋3の上面3aに接触するので、接触面積が大きくなり、二次電池1との電気抵抗を小さいものとすることができる。
【0035】
図5を参照して明確な通り、各バスバー50の放熱用フィン52は、二次電池1の配列方向と平行に延出されている。このため、空気等の冷却媒体を二次電池1の配列方向と平行に流動させることにより、二次電池1に発生した熱を、放熱用フィン52から効率的に放出して二次電池1を冷却することができる。
【0036】
なお、バスバー50に設けられた放熱用フィン52は、図6(b)に図示されるように、電池蓋3に固定された状態で、その上端52aが、外部正極および外部負極の端子61、71の端子部61a、71aの上端部61c、71cとほぼ同じ高さになる、換言すれば、ほぼ同一平面を形成するようにすることが好ましい。これにより、放熱用フィン52による冷却効果を十分なものとすることができ、かつ、組電池100の体格が大きくなるのを防止することができる。
【0037】
-実施形態2-
図9は、本発明による組電池の実施形態2の外観斜視図であり、図10(a)は、図9に図示された組電池の平面図であり、図10(b)は、図9に図示された組電池の正面図である。
実施形態2として示す組電池100Aは、バスバー50Aが、放熱用フィン52を二次電池1Aの側面側に配置した状態で、二次電池1Aの電池蓋3に取付けられている。
つまり、各二次電池1Aにおいては、外部正極および外部負極の端子61、71は中央部側、安全弁16の近傍において電池蓋3に取付けられている。そして、各バスバー50Aは、取付部51に設けられた一対の貫通孔53を、この電池蓋3の中央部側に設けられた外部正極および外部負極の端子61、71に挿通して、ナット57によりお固定されている。
【0038】
従って、各バスバー50Aの放熱用フィン52は、二次電池1Aの側面側に配置される。
実施形態2においてもバスバー50Aは、安全弁16に重ならないように取付けられている。
その他の構成は、実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
なお、実施形態2におけるバスバー50Aは実施形態1のバスバー50と同一であり、向きを180℃回転して共用することができる。
実施形態2の組電池100Aも、実施形態1の組電池100と同様な効果を奏する。
【0039】
−実施形態3-
図11は、本発明の組電池に用いられる実施形態3としてのバスバーの外観斜視図である。実施形態3のバスバー50Bは、実施形態1および2に示す組電池100、100Aを構成する二次電池1、1Aに対して適用することができる。
バスバー50Bでは、各放熱用フィン52aが、一対の貫通孔53の中心を結ぶ直線に対してほぼ垂直に延出されている。
【0040】
バスバー50Bは、実施形態1、2の場合と同様に、一対の貫通孔53を外部正極および外部負極の端子61、71に挿通してナット57により電池蓋3に締結される。この状態で、各バスバー50Bの放熱用フィン52aは、二次電池1、1Aの配列方向と垂直な方向に配置される。
従って、空気等の冷却媒体を二次電池1、1Aの配列方向と垂直な方向に流動させることにより、二次電池1、1Aに発生した熱を、放熱用フィン52aから効率的に放出して二次電池1、1Aを冷却することができる。
バスバー50Bのその他の構造は、実施形態1、2のバスバー50、50Aと同様であり、対応する部位に同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
-実施形態4-
図12は、本発明の組電池に用いられる実施形態4としてのバスバーの外観斜視図である。実施形態4のバスバー50Cは、実施形態1および2に示す組電池100、100Aを構成する二次電池1、1Aに対して適用することができる。
バスバー50Cは、放熱用フィン52bが板状ではなく、柱形状に形成されており、ベース部51の取付部51aの領域外にマトリクス状に配列されている。
このようなバスバー50Cを用いて二次電池1、1Aを接続して構成した組電池は、空気等の冷却媒体が二次電池1、1Aの配列方向と平行方向および垂直方向のどちらに流動する場合であっても、あるいは、二次電池1、1Aの配列方向に対して斜め方向に流動する場合であっても、二次電池1、1Aに発生した熱を、放熱用フィン52bから効率的に放出して二次電池1、1Aを冷却することができる。
バスバー50Cの他の構造は、実施形態1〜3のバスバー50、50A、50Bと同様であり、対応する部位に同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
−実施形態5-
図13は、本発明の組電池に用いられる実施形態4としてのバスバーの外観斜視図である。実施形態5のバスバー50Dは、実施形態1および2に示す組電池100、100Aを構成する二次電池1、1Aに対して適用することができる。
バスバー50Dは、実施形態4に示すバスバー50Cと同様に、放熱用フィン52bが板状ではなく、柱形状に形成されている。実施形態4との相違は、バスバー50Cでは、放熱用フィン52bが碁盤状に配列されているに対し、実施形態5のバスバー50Dでは、放熱用フィン52cが、1行おきに半ピッチずれた位置に配列されている点である。
【0043】
このようなバスバー50Dを用いて二次電池1、1Aを接続した組電池においても、バスバー50Cを用いた場合と同様な効果を奏する。
【0044】
−実施形態6-
図14〜16は、本発明の組電池の実施形態6を説明するための図であり、図14は、本発明の組電池に用いられる二次電池の他の実施形態としての外観斜視図であり、図15は、図14に図示された二次電池を用いて構成される組電池に用いられるバスバーの拡大斜視図である。また、図16(a)は、図15に図示されたバスバーの平面図であり、図16(b)は、図15に図示されたバスバーの側面図である。
図14に図示される二次電池1Bでは、外部正極および外部負極の端子61A、71Aはボルト構造を有するものではなく、単なる直方体形状を有する。外部正極および外部負極の端子61A、71Aは、二次電池1Bの電池蓋3に設けられた開口に取付けられた絶縁板64Aを介して電池蓋3に固定されている。
【0045】
外部正極および外部負極の端子61A、71Aは、それぞれ、平坦な上端面66、76を有しており、上端面66、76の電池蓋3の上面3aからの高さは同一である。
電池蓋3の中央部には、安全弁16Aが設けられている。安全弁16Aは、実施形態1における安全弁16とは形状が異なるが、機能は同一である。また、電池蓋3の安全弁16Aと外部負極端子71Aとの間には、注液栓15Aが設けられている。
なお、電池蓋3の外部正極端子61Aの外側に正極を示す「+」が、また、負極外部端子71Aの外側に負極を示す「−」がマーキングされている。
【0046】
バスバー50Eは、ベース部55の取付部55aに貫通孔が設けられておらず、取付部55aは単なる平板部とされている。その他の構造は、実施形態1に示すバスバー50と同様である。
バスバー50Eは、ベース部55の取付部55aを外部正極および負極の端子61A、71Aの上端面66、76上に載置し、例えば、超音波溶接またはアーク溶接等の溶接法により外部正極および負極の端子61A、71Aに接合される。
【0047】
バスバー50Eを外部正極および負極の端子61A、71Aに接合する際、バスバー50Eの取付部55aは、電池蓋3の上面3aと平行に配置されており、また、取付部55a上には放熱用フィン52が設けられていない。このため、電池蓋3の上方から、取付部55aを視認しながら接合を行うことができるので、作業性が向上する。
【0048】
このように、本発明の組電池は、外部正極および負極の端子61A、71Aがボルト構造を有していない二次電池1Bを用いて構成することができる。
図15、16において、バスバー50Eは、実施形態1として図7、8に図示されたバスバー50と同様な放熱用フィン52を有するものとして例示した。しかし、実施形態2〜5に示すバスバー50A〜50Dについても、ベース部51の取付部51aに貫通孔53を設けないようにすれば、図14に図示された二次電池1Bに対しても適用が可能となる。
【0049】
以上説明した通り、本発明の実施形態による組電池では、バスバー50、50A〜50Eは、取付部51a、55aと、この取付部51a、55aにほぼ垂直に設けられた放熱用フィン52、52a〜52cとを有しており、取付部51a、55aによって外部正極および外部負極の端子61、66、71、76との接触面積を増大させることができる。このため、バスバー0、50A〜50Eと二次電池1、1A、1B間の電気抵抗を低減することができる。
【0050】
なお、バスバー50、50A〜50Eの材質は、銅に限られるものではなく、銅の表面にニッケルめっきを施してもよい。また、銅以外に、ニッケル、アルミニウムまたはステンレス等を用いることができる。さらに、異種金属を拡散接合したクラッド材を用いるようにしてもよい。
【0051】
各実施形態においては、組電池を構成する二次電池1、1A、1Bは、6個として図示されているが、二次電池1、1A、1Bの員数は何ら限定されるものではない。
【0052】
上記実施形態では、二次電池1、1A、1Bは、前面および背面が密着した構造として例示した。しかし、二次電池1、1A、1Bは、相互に離間して配列し、二次電池1、1A、1B間に冷却媒体が流動するようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、リチウムイオン二次電池の場合で説明した。しかし、本発明は、ニッケル水素電池またはニッケル・カドミウム電池、鉛蓄電池のように水溶性電解液を用いる二次電池にも適用が可能である。
【0054】
その他、本発明は、発明の趣旨の範囲において、種々、変形して適用することが可能であり、要は、複数の放熱用フィンを有するバスバーに、電池蓋の上面に平行な取付部を設け、この取付部により二次電池の外部正極および外部負極の端子を接続するようにしたものであればよい。
【符号の説明】
【0055】
1、1A、1B 二次電池
3 電池蓋
3a 上面
4 電池缶
21 正極集電板
31 負極集電板
40 発電要素
41 正極電極
42 負極電極
50、50A〜50E バスバー
51、55 ベース部
51a、55a 取付部
52、52a〜52c 放熱用フィン
52a 上端
53 貫通孔
61、61A 外部正極端子(正極端子)
61c、71c 上端部
66、76 上端面
71、71A 外部負極端子(負極端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池蓋と電池缶により構成された電池容器内に正極電極と負極電極とを含む発電要素が収容され、前記正極および負極電極に、それぞれ、接続された正極端子および負極端子が前記電池蓋の内部から外部に突き出して設けられた複数の二次電池と、
前記各二次電池の前記正極および負極端子を接続するバスバーとを備え、
前記バスバーは、前記電池蓋の上面とほぼ平行に配置された平坦な取付部と、前記取付部に対してほぼ垂直に設けられた複数の放熱用フィンとを有することを特徴とする組電池。
【請求項2】
請求項1に記載の組電池において、前記正極端子および負極端子は、おねじ部を有し、前記バスバーは、前記取付部に前記おねじ部を挿通する貫通孔を有し、前記バスバーは、前記貫通孔を前記正極端子および負極端子の前記おねじ部に挿通され、ナットにより前記前記正極端子または負極端子に固定されていることを特徴とする組電池。
【請求項3】
請求項2に記載の組電池において、前記バスバーの前記各放熱用フィンの上端は、前記正極端子および負極端子の上端部とほぼ同一面を形成する高さに形成されていることを特徴とする組電池。
【請求項4】
請求項1に記載の組電池において、前記正極端子および負極端子は、前記電池蓋の上面とほぼ平行な上端面を有し、前記各バスバーは、溶接により、前記取付部を前記正極端子および負極端子の前記上端面に接合されていることを特徴とする組電池。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組電池において、前記各バスバーは、前記正極端子を挿通する前記貫通孔の外周縁と前記負極端子を挿通する前記貫通孔の外周縁とを結ぶ直線領域上に対応する平坦部領域を有し、前記平坦部領域内には前記放熱用フィンが設けられていないことを特徴とする組電池。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組電池において、前記各バスバーの複数の放熱用フィンは、前記相互に平行に延出された板状形状を有することを特徴とする組電池。
【請求項7】
請求項6に記載の組電池において、前記各バスバーの複数の放熱用フィンは、前記各電池蓋に設けられた前記正極端子と前記負極端子とを結ぶ直線に対して直交する方向に平行に延出されていることを特徴とする組電池。
【請求項8】
請求項7に記載の組電池において、前記各バスバーの前記取付部は、前記電池蓋に設けられた前記正極端子と前記負極端子との間の領域の外側に配置されていることを特徴とする組電池。
【請求項9】
請求項7に記載の組電池において、前記各バスバーの前記取付部は、前記電池蓋に設けられた前記正極端子と前記負極端子との間の領域内に配置されていることを特徴とする組電池。
【請求項10】
請求項6に記載の組電池において、前記各バスバーの複数の放熱用フィンは、前記各電池蓋に設けられた前記正極端子と前記負極端子とを結ぶ直線と平行に延出されていることを特徴とする組電池。
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組電池において、前記各バスバーの複数の放熱用フィンは、それぞれ、柱状に形成されていることを特徴とする組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−105674(P2013−105674A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250014(P2011−250014)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】