経皮作用剤流率を向上させる方法および装置
少なくとも1番目(62)と2番目(64)の微小突起物[前記1番目と2番目の微小突起物は内側(67a、b)および外側(65a、b)面を有していて前記1番目の微小突起物内側面は前記2番目の微小突起物内側面と実質的に平行に位置する]および前記1番目と2番目の微小突起物内側面の上に位置する生体適合性塗膜を有する微小突起物配列体であって、前記1番目および2番目の微小突起物は前記1番目および2番目の微小突起物を生物学的組織の中に挿入している時に起こる前記塗膜と前記組織の接触を実質的に制限するに適応する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、作用剤の経皮送達およびサンプリングに適した装置に関する。より詳細には、本発明は、作用剤を体表面経由で経皮送達することばかりでなく作用剤、例えばグルコース、他の体被分析物(body analytes)および乱用物質、例えばアルコールおよび違法薬剤などを体表面から経皮サンプリングすることに関する。
【背景技術】
【0002】
有益な作用剤、特に高分子量のペプチド、蛋白質およびオリゴヌクレオチドおよびワクチンなどの如き作用剤を体表面を貫く送達でヒトの体に経皮送達することに関する興味が増大し続けている、と言うのは、そのような医学的に有用な作用剤の数もまた増加し続けておりかつ高純度形態で多量に利用できるようになってきているからである。本明細書では用語「生物学的に活性な作用剤」、「作用剤」、「物質」および「薬剤」を互換的に用い、これらの用語に、幅広い意味で、哺乳動物(人および霊長類を包含)、鳥類、価値有る家庭、スポーツまたは農場の動物に局所的もしくは全身的効果1種または2種以上をもたらすか或は実験室動物、例えばマウス、ラット、モルモットなどに投与される生理学的もしくは薬理学的に活性のある物質を包含させる。この示した用語に、また、皮膚を通してサンプリング可能な物質、例えばグルコース、組織、間質液(組織間液(interstitial fluid))および/または血液の中に存在する他の体被分析物、アルコール、合法物質および違法薬剤なども包含させる。
【0003】
この上に示した作用剤の経皮送達は依然として大きな問題に直面している。例えば、多くの場合、そのような作用剤が皮膚を通る送達速度も流率も所望の治療効果をもたらすに充分ではない、と言うのは、それらは大きなサイズ/分子量を有しそして/または皮膚に存在する天然の経路(孔、毛包など)を通り抜けることができないからである。同様に、水溶性の低分子量(例えば200から500ダルトンの)作用剤分子もしばしば受動的流率が限られている。
【0004】
作用剤の経皮送達を向上させる1つの方法は、体表面を貫く電流をかけることによる方法であり、これは一般に「電気輸送(electrotransport)」と呼ばれる。「電気輸送」は、本技術分野で良く知られるように、一般に、有益な作用剤、例えば薬剤または薬剤前駆体などが体表面、例えば皮膚、粘膜、爪などを貫通することを指す。電位をかけることで作用剤の輸送を誘発または向上させ、その結果としてかけられた電流によって当該作用剤が送達されるか或はそれの送達が向上する。
【0005】
体表面を貫く作用剤の電気輸送はいろいろな様式で達成可能である。幅広く用いられている1つの電気輸送方法、即ちイオン導入方法は、帯電しているイオンの輸送を電気的に誘発することを伴う。別の種類の電気輸送方法である電気浸透は、電場の影響下で当該作用剤を溶媒と一緒に膜貫通移動させることを伴う。更に別の種類の電気輸送である電気せん孔法は、高い電圧の電気パルスを膜にかけることで形成させた孔に作用剤を通すことを伴う。多くの場合、そのような方法の中の2種以上がいろいろな度合で同時に実施される可能性がある。
【0006】
従って、本明細書では、用語「電気輸送」にそれの最も幅広い可能な解釈を与え、その用語に、当該作用剤の実際の輸送の具体的な機構1種または2種以上とは関係なく、少なくとも1種の帯電または非帯電作用剤またはこれらの混合物の輸送を電気的に誘発させるか或はそれを向上させることを包含させる。
【0007】
電気輸送による送達を用いると、一般に、受動的経皮送達に比べても電気的補助を行わない経皮送達に比べても作用剤、特に大きな分子量を有する種(例えばポリペプチド)の送達が向上する。しかしながら、経皮送達速度を更に向上させることができかつ経皮送達中に起こるポリペプチドの劣化を減少させることができれば、それは非常に望ましいことである。
【0008】
作用剤の経皮送達速度を向上させる1つの方法は、皮膚を有益な作用剤である皮膚透過向上剤で前以て処理しておくか或はそれと一緒に送達することを伴う。本明細書では、幅広い意味で、当該作用剤を送達する時にそれが貫通する体表面に塗布した時にそれを通る流率を向上させる物質を記述する目的で用語「透過向上剤」を用いる。その機構は、当該作用剤が通り抜ける体表面の電気抵抗を低くすること、体表面の選択透過性および/または透過性を高めること、体表面を貫く親水性経路を作り出すこと、そして/または当該作用剤が電気輸送中に起こす劣化(例えば皮膚の酵素による劣化)を低くすることを伴い得る。
【0009】
また、経皮流率を向上させる目的で皮膚を機械的に乱す試みも数多く成された(例えば特許文献1、2、3、4、5および6に開示されている如く)。その開示された装置には、典型的に、皮膚の外側層に穴を開ける目的で一般に管状もしくは円筒形の構造物が利用されているが、特許文献4には他の形状の使用も開示されている。前記特許文献に開示された穴開け要素は、一般に、薄い平らな膜、例えばパッドまたは金属シートなどから垂直に伸びている。
【0010】
より最近になって、薬剤送出経路[この経路は微小突起物(microprojection)によって角質層を貫くように切り込まれた経路である]が開放されたままであるように前記装置の小さな穴開け要素(piercing elements)を皮膚につなぎ止める試みが成された(例えば特許文献7を参照)。不幸なことに、微小突起物のサイズが極めて小さいことから、とげ(barbs)および同様なつなぎ止め要素を微小突起物の上に形成させるのは技術的に難題でありかつ費用を増加させる。
【0011】
特許文献7に開示されている微小突起物配列体(arrays)は、作用剤送出用開口部を全体に渡って多数有する薄い金属シートの形態である。そのシートは皮膚に近接する表面と皮膚から遠位の表面を有する。エッチングによって穴が開けられた多数の微小突起物が前記シートの皮膚から遠位の表面からほぼ垂直に伸びている。当該作用剤を入れる(作用剤送達の場合)か或は受け取る(作用剤サンプリングの場合)に適した貯蔵槽を前記シートの皮膚から遠位の表面に位置させている。次に、その微小突起物配列体および作用剤貯蔵槽を皮膚表面に押し付けそして接着剤層(adhesive overlay)または同様な固定手段を用いてそれを皮膚の上に保持している(特許文献7の図1に示されているように)。
【0012】
特許文献7の図1に示されておりかつ詳細に考察されているように、皮膚から遠位の表面から伸びる微小突起物4を有するシート部材6を皮膚の上に微小突起物4が皮膚表面を貫通するように位置させる。作用剤貯蔵槽27をシート6の皮膚から遠位の側に位置させることが示されている。その構造物を少なくともそれの周囲表面9の上を覆っている層(overlay)3で皮膚30の適切な場所に保持している。加うるに、その微小突起物はいろいろな皮膚保持用要素(これはまた微小突起物が皮膚の中に入ったままであるようにするに役立つ)を含有するように構成可能である。
【0013】
図1に示されている装置の作用剤貯蔵槽27は一般に柔軟で弾性のある材料、例えばゲルなどで構成されている。そのような柔軟で弾性があって流動さえする材料がシート部材6と併せて用いるに好適であった、と言うのは、そのようなゲル材料はシート部材6の開
口部の中に容易に流れ込んで皮膚30と直接接触することができるからである。
【0014】
送達すべき活性作用剤を物理的貯蔵槽に入れる代わりにそれが微小突起物を覆うようにすることも可能である[特許文献8、9、10および11(引用することによって完全に本明細書に包含される)に開示されている如く]。それによって個別の物理的貯蔵槽が必要でなくなりかつ当該貯蔵槽用の作用剤配合物も組成物も特に開発する必要がなくなる。
【0015】
しかしながら、被覆された微小突起物システムの1つの欠点は、微小突起物を皮膚(即ち角質層)の中に挿入させて貫通させている間にその塗膜が微小突起物から物理的に除去される危険性である。微小突起物を皮膚の中に挿入する時、微小突起物およびこれの上に位置させた如何なる塗膜も皮膚組織に押されかつこすられるであろう。このようにして、前記塗膜のいくらかまたは全部が除去されることで、前記塗膜のいくらかまたは全部が皮膚の中に挿入されず、間質液に接触せずかつ溶解しないことで、皮膚の中への放出で利用されない可能性がある。
【0016】
従来技術の微小突起物配列体の例を図1に示す。微小突起物配列体10は微小突起物12を有するシート14で構成されていて、前記微小突起物12はシート14から成形されたか或はエッチングされたものである。そのエッチング工程または成形工程で微小突起物12および開口部16を生じさせる。次に、その微小突起物12を上方に曲げてシート14の面から突出させることが行われている。
【0017】
図1に示すように、微小突起物12の表面いずれも保護されていない。微小突起物配列体10を体表面の上に位置させてそれの中に挿入させようとすると、前記微小突起物12の面全部が体表面および下に位置する組織との接触にさらされるであろう。図2に示すように、その微小突起物12の上に塗膜18が位置していると、そのような接触によって塗膜18が除去されかつ崩壊する可能性がある。
【0018】
その結果として、当該作用剤が間質液と接触するであろう組織の中に実質的な量で挿入されなくなってしまう可能性がある。前記塗膜の中に入っていた作用剤がそのような接触を起こさないと放出されて受容者に利用される作用剤の量は僅かになってしまうであろう(もしあるとしても)。
【特許文献1】Ganderton他に発行された米国特許第3,814,097号
【特許文献2】Gross他に発行された米国特許第5,279,544号
【特許文献3】Lee他に発行された米国特許第5,250,023号
【特許文献4】Gerstel他に発行された米国特許第3,964,482号
【特許文献5】Kravitz他に発行された米国特許第Re 25,637号
【特許文献6】PCT公開番号WO 96/37155
【特許文献7】PCT公開番号WO 97/48440
【特許文献8】米国特許出願番号10/045,842
【特許文献9】米国特許公開番号2002/0193729
【特許文献10】米国特許公開番号2002/0177839
【特許文献11】米国特許公開番号2002/0128599
【発明の開示】
【0019】
本発明は、多数の微小突起物を有する微小突起物配列体を用いて生物学的に活性な作用剤を経皮送達することで従来技術の被覆された微小突起物システムの制限を実質的に低下させるか或は克服するものであり、ここでは、前記微小突起物に内部領域を持たせて、前記内部領域を少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有させておいた固体状の実質的に乾燥した塗膜で覆い、それによって、前記塗膜が組織との物理的な接触に実質的にさらされることがないように前記微小突起物を組織(または角質層)の中に挿入して貫入させることができる。そのような生物学的に活性な作用剤の選択では、皮膚に穴を開ける多数の微小突起物の上に位置させた固体状塗膜から送達された時に有効であるに充分な効力を有するようにそれを選択する。前記塗膜の水溶性を、好適には、前記微小突起物が患者の組織の中に挿入された時に前記塗膜が容易かつ迅速に溶解して前記生物学的に活性な作用剤を放出するに充分な水溶性にする。
【0020】
従って、本発明の1つの態様は、少なくとも1番目と2番目の微小突起物[前記1番目と2番目の微小突起物は内側および外側面を有していて、前記1番目の微小突起物内側面は前記2番目の微小突起物内側面と実質的に平行に位置し、それによって、それらの間に実質的に均一な間隙(gap)が形成されている]および前記1番目および2番目の微小突起物内側面の中の少なくとも一方の上に位置する生体適合性塗膜を有する微小突起物配列体を含んで成り、ここで、前記1番目および2番目の微小突起物は前記1番目および2番目の微小突起物を生物学的組織の中に挿入させている時に起こる前記塗膜と前記表面の接触を実質的に制限するに適応している。好適には、前記生体適合性塗膜を前記1番目と2番目の微小突起物の内側面の各々の上に位置させる。
【0021】
好適な態様では、少なくとも前記1番目の微小突起物に開口部を少なくとも1個含める。
【0022】
別の態様では、前記1番目と2番目の微小突起物の各々に開口部を少なくとも1個含める。
【0023】
本発明の1つの態様では、前記1番目と2番目の微小突起物の安定性が向上するようにそれらに補強材を含めて、前記補強材を前記1番目と2番目の微小突起物の間に位置させて、前記補強材を前記1番目と2番目の微小突起物と連結させる。
【0024】
本発明の1つの態様では、前記1番目と2番目の微小突起物をステンレス鋼、チタン、ニッケルとチタンの合金および同様な生体適合性材料から成る群から選択した材料で形成させる。
【0025】
別の態様では、前記1番目と2番目の微小突起物を非導電性材料で形成させる。
【0026】
本発明のさらなる態様では、前記1番目と2番目の微小突起物を非導電性材料で被覆する。
【0027】
本発明の1つの態様では、前記1番目と2番目の微小突起物の長さを約1000ミクロン未満にする。
【0028】
前記生体適合性塗膜を好適には塗料配合物を前記微小突起物部材に塗布することで生じ
させる。
【0029】
本発明の1つの態様では、前記塗料配合物にホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似物、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似物、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Va14,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン(insulinotropin)、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリナミド)、リプレシン(liprecin)、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(epoprostenol)、ヒルログ(hirulog)、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランス(clearance)阻害剤、アンギオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン拮抗薬、セレダーゼ(ceredase)、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド(pentigetide)、蛋白質C、蛋白質S、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシン拮抗薬類似物、アルファ−1アンチトリプシン(組換え型)、TGF−ベータ、フォンダパリヌクス、アルデパリン(ardeparin)、ダルテパリン、デフィブロチド(defibrotide)、エノキサパリン(enoxaparin)、ヒルジン、ナドロパリン(nadroparin)、レビパリン(reviparin)、チンザパリン(tinzaparin)、ペントサン多硫酸(polysulfate)、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸(alendronic acid)、クロドロン酸(clodronic acid)、エチドロン酸、イバンドロン酸(ibandronic acid)、インカドロン酸(incadronic acid)、パミドロン酸(pamidronic acid)、リセドロン酸(risedronic acid)、チルドロン酸(tiludronic acid)、ゾレドロン酸、アルガトロバン(argatroban)、RWJ 445167およびRWJ−671818から成る群から選択した少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有させる。
【0030】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にインフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、組換え蛋白ワクチン、DNAワクチンおよび治療用癌ワクチンから成る群から選択した少なくとも1種のワクチンを含有させる。
【0031】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にアスコルビン酸、クエン酸、こはく酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタアクリル酸、イソクロトン酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびこれらの混合物から成る群から選択した少なくとも1種の緩衝剤を含有させる。
【0032】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にラウロアンホ酢酸ナトリウム(sodium
lauroamphoacetate)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベートおよび他のソルビタン誘導体から成る群から選択した少なくとも1種の界面活性剤を含有させる。
【0033】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)およびエチルヒドロキシ−エチルセルロース(EHEC)から成る群から選択した少なくとも1種の高分子材料を含有させる。
【0034】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択した少なくとも1種の親水性重合体を含有させる。
【0035】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にヒトアルブミン、バイオ工学処理されたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース(melezitose)、ラフィノースおよびスタキオースから成る群から選択した少なくとも1種の生体適合性担体を含有させる。
【0036】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物に還元糖、非還元糖および多糖から成る群から選択される少なくとも1種の安定剤を含有させる。
【0037】
好適には、前記非還元糖をスクロース、トレハロース、スタキオースおよびラフィノースから成る群から選択する。
【0038】
好適には、前記多糖をデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンから成る群から選択する。
【0039】
好適には、前記還元糖をアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース(quinovose)、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース(hamamelose)、イドース、マンノース、タガトース、プリメベロース(primeverose)、ビシアノース(vicianose)、ルチノース、シラビオース(scillabiose)、セロビオース、ゲンチオビオース(gentiobiose)、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソフォロース(sophorose)およびツラノースから成る群から選択する。
【0040】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にアミデフリン(amidephrine)、カファミノール(cafaminol)、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン(indanazoline)、メチゾリン(metizoline)、ミドドリン(midodrine)、ナファゾリン、ノルデフリン(nordefrin)、オクトドリン(octodrine)、オルニプレシン(ornipressin)、オキシメタゾリン(oxymethazoline)、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物から成る群か
ら選択した少なくとも1種の血管収縮薬を含有させる。
【0041】
本発明の更に別の態様では、前記塗料配合物に浸透圧性薬剤、両性イオン化合物および抗炎症薬から成る群から選択した少なくとも1種の経路開通調節剤(pathway patentency modulator)を含有させる。
【0042】
好適には、前記抗炎症薬をベタメタゾン21−燐酸ジナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−燐酸ジナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート(hydrocortamate)、ヒドロコルチゾン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩、燐酸ジナトリウムパラメタゾンおよびプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩から成る群から選択する。
【0043】
本発明の1つの態様では、前記経路開通調節剤にクエン酸、クエン酸塩、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAから成る群から選択した抗凝血剤を含める。
【0044】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にアルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンから成る群から選択した少なくとも1種の可溶化/錯化剤を含有させる。最も好適な可溶化/錯化剤はベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンである。
【0045】
好適な態様では、前記塗料配合物の粘度を約3センチポイズ超から約500センチポイズ未満にする。
【0046】
好適には、前記塗膜の厚みを100ミクロン未満にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明を詳細に説明する前に、本発明を詳細に例示する材料にも方法にも構造物にも限定するものでなく、それら自体勿論多様であり得ると理解されるべきである。従って、本明細書に記述する材料および方法と同様または相当する数多くの材料および方法を本発明の実施で用いることができるが、好適な材料および方法を本明細書に記述する。
【0048】
また、本明細書で用いる用語は本発明の個々の態様を単に記述する目的で用いるものであり、限定することを意図するものでないことも理解されるべきである。
【0049】
本明細書で用いる技術的および科学的用語は全部特に明記しない限り本発明が関係する技術分野の通常の技術を有する技術者が通常理解する意味と同じ意味を有する。
【0050】
その上、本明細書に引用する出版物、特許および特許出願は全部、この上に引用したか或は以後に引用するかに拘わらず、引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0051】
最後に、本明細書および添付請求の範囲で用いる如き単数形「a」、「an」および「the」は、その内容で異なると明白に示さない限り、複数指示対象を包含する。従って、例えば「ある活性作用剤」を言及する場合、これは、そのような作用剤2種以上を包含し、「ある微小突起物」を言及する場合、これはそのような微小突起物2種以上を包含する、等々。
【0052】
定義
本明細書で用いる如き用語「体表面」は、一般に、動物または人の皮膚、粘膜および爪、および植物の外側表面を指す。
【0053】
本明細書で用いる如き用語「経皮」は、局所的または全身的治療の目的である作用剤を皮膚の中にそして/または皮膚経由で送達することを意味する。
【0054】
本明細書で用いる如き用語「経皮流率」は、経皮送達の速度を意味する。
【0055】
本明細書で用いる如き用語「共送達」は、当該作用剤を送達する前、当該作用剤の経皮流(transdermal flux)前および中、当該作用剤の経皮流中、当該作用剤の経皮流中および後および/または当該作用剤の経皮流後のいずれかに補足的作用剤1種または2種以上を経皮投与することを意味する。加うるに、結果として生物学的に活性な作用剤の共送達がもたらされるように2種以上の生物学的に活性な作用剤を本発明の塗料配合物の中に配合することも可能である。
【0056】
本明細書で用いる如き用語「生物学的に活性な作用剤」および「作用剤」は、治療的に有効な量で投与された時に薬理学的に有効な薬剤を含有する組成物または混合物を指す。そのような活性な作用剤の例には、これらに限定するものでないが、低分子量の化合物、ポリペプチド、蛋白質、オリゴヌクレオチド、核酸および多糖が含まれる。
【0057】
「生物学的に活性な作用剤」のさらなる例には、これらに限定するものでないが、ロイチナイジング(leutinizing)ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似物[例えばゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンおよびナプファレリン、メノトロピン(ウロホリトロピン(FSH)およびLH)]、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似物、例えばACTH(1−24)など、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Va14,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリナミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝固阻害剤)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン[ウロホリトロピン(FSH)およびLH]、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン拮抗薬、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド、蛋白質C、蛋白質S、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシン拮抗薬類似物、アルファ−1アンチトリプシン(組換え型)、TGF−ベータ、フォンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサン多硫酸、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体、例えばホルミビルセンなど、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167およびRWJ−671818も含まれる。
【0058】
その示した生物学的に活性な作用剤はまたいろいろな形態も取り得、例えば遊離塩基、酸、帯電または非帯電分子、分子複合体の成分、または非刺激性の薬理学的に受け入れられる塩などの形態も取り得る。その上、そのような活性作用剤の簡単な誘導体(例えばエーテル、エステル、アミドなど)で体のpH、酵素などで容易に加水分解を起こすものも使用可能である。
【0059】
本明細書で用いる如き用語「生物学的に活性な作用剤」は、また、「ワクチン」または他の免疫学的に活性のある作用剤、または免疫学的に活性な作用剤の産生を誘発する能力を有しかつ免疫学的に有効な量で投与された時に直接または間接的に免疫学的に有効になる作用剤を含有する組成物または混合物も指す。
【0060】
本明細書で用いる如き用語「ワクチン」は、通常および/または市販ワクチンを指し、これらには、これらに限定するものでないが、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、組換え蛋白ワクチン、DNAワクチンおよび治療用癌ワクチンが含まれる。従って、用語「ワクチン」は、これらに限定するものでないが、蛋白質、多糖、オリゴ糖、リポ蛋白質、弱毒化もしくは死(killed)ウイルス、例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパリローマウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスなど、弱毒化または死菌、例えば百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、A群溶連菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマおよびコレラ菌などおよびこれらの混合物の形態の抗原が含まれる。
【0061】
2種以上の生物学的に活性な作用剤を本発明の塗料配合物およびそれから生じさせた塗膜の中に混合することができかつ用語「生物学的に活性な作用剤」(または「活性な作用剤」)の使用は2種以上のそのような活性な作用剤の使用を決して排除するものでないと理解されるべきである。
【0062】
生物学的に活性な作用剤が薬学的に活性な作用剤である時に用語「生物学的に有効な量」または「生物学的に有効な率」を用い、これは、望まれる治療結果(しばしば有益である)をもたらすに必要な薬理学的に活性な作用剤の量または率を指す。本発明の塗料に用いる活性な作用剤の量は、そのような活性な作用剤をこれが所望の治療結果を達成するに治療的に有効な量で送達するに要する量であろう。それは、実際上、送達すべき個々の薬理学的に活性な作用剤、送達部位、治療すべき病気のひどさ、望まれる治療効果および当該塗膜から皮膚組織の中に送達される当該作用剤の放出速度に応じて幅広く多様であろう。
【0063】
また、生物学的に活性な作用剤が免疫学的に活性な作用剤である時にも用語「生物学的に有効な量」または「生物学的に有効な率」を用いるが、これは、望まれる免疫学的結果(しばしば有益である)の促進または開始に必要な免疫学的に活性な作用剤の量または率を指す。本発明の塗膜で用いる免疫学的に活性な作用剤の量は、そのような活性な作用剤をこれが所望の免疫学的結果を達成するに必要な量で送達するに要する量であろう。それ
は、実際上、送達すべき個々の免疫学的に活性な作用剤、送達部位、および皮膚組織の中に送達される当該活性作用剤の溶解速度および放出速度に応じて幅広く多様であろう。
【0064】
本明細書で用いる如き用語「作用剤」および「物質」は、また、皮膚を通してサンプリング可能な物質、例えばグルコース、組織、間質液および/または血液の中に存在する他の体被分析物、アルコール、合法物質および違法薬剤なども包含する。
【0065】
本明細書で用いる如き用語「微小突起物」は、生きている動物、特に哺乳動物、より特別にはヒトの皮膚の角質層に穴を開けるか或はそれを切り開いて下に位置する表皮層または表皮層と真皮層の中に入り込むに適応した穴開け要素を指す。従って、用語「微小突起物」は、しばしば微小刃(microblades)、ランス(rances)、極微針(microneedles)などと呼ばれる如き突起物を包含する。
【0066】
本明細書で詳細に考察するように、本発明の1つの態様における微小突起物の突起の長さは好適には1000ミクロン未満、より好適には250ミクロン未満である。
【0067】
本明細書で用いる如き用語「微小突起物配列体」は、角質層に穴を開けるに適した配列で配置している多数の微小突起物を指す。本明細書で詳細に考察するように、そのような微小突起物配列体を生じさせる時、薄いシートから多数の微小突起物をエッチングまたは打ち抜きしそしてそのような微小突起物を前記シートの面から折るか或は曲げて突出させてある形態にすることで、それらを生じさせることができる。
【0068】
本明細書で用いる如き用語「生体適合性塗料」および「塗料」は、前記微小突起物の塗布で用いる組成物を指す。本発明の少なくとも1つの態様では、そのような塗料に本明細書に示す少なくとも1種の活性作用剤と場合により生体適合性担体を含有させる。本発明に従い、そのような塗料が接着特性を有し、安定性を有し、表皮層の中で迅速に溶解する能力を有しかつ前記微小突起物の上で実質的に乾燥した時に可溶作用剤と不溶作用剤を保持する構造を形成する能力を有するように、それを選択する。
【0069】
この上に示したように、本発明は、1つの態様において、生物学的に活性な作用剤を角質層の中にそれを通して経皮送達する目的またはある作用剤を角質層経由でサンプリングする目的で角質層を貫く微小切り口を生じさせるに適した装置を包含し、前記装置は、外側領域および内側領域を有する微小突起物部材を含有するが、前記内側領域に、これの上に位置していて少なくとも1種の作用剤を含有する生体適合性塗膜を存在させ、ここで、前記微小突起物部材は、前記微小突起物を角質層の中に挿入している時に前記塗膜と前記角質層の接触を実質的に制限するに適応している。
【0070】
本発明の別の態様における本装置は、微小突起物の各々が内側領域を有していて前記内側領域が少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有する固体状の実質的に乾燥した塗膜で覆われている多数の微小突起物を含んで成り、ここで、前記微小突起物は、前記塗膜が組織との物理的な接触を実質的に受けることなく、組織(または角質層)の中にそれを貫通して挿入可能である。
【0071】
ここに、図3Aを参照して、本発明の範囲内で使用可能な1つの態様の微小突起物20を示す。図3Aに示すように、微小突起物20は標準的な中空シリンジ針に類似した形状を有する。その微小突起物20にはまたスリット22も含まれていて、それは先端部24から後方に伸びている。本発明に従い、スリット22は微小突起物20の長さの一部または全体に渡って伸びていてもよい。
【0072】
好適な態様におけるスリット22は、図3Aに示すように、縦方向に伸びており、好適
には、微小突起物20の縦軸に実質的に平行に位置する。追加的態様(示していない)におけるスリット22は、縦軸に対して螺旋形または実質的に垂直に伸びていてもよい。この示した態様では、また、スリットを2つ以上用いることも可能である。
【0073】
本発明に従い、塗料配合物(以下に詳細に考察)を微小突起物20の内側領域26に位置させて乾燥させることで固体状の塗膜28を生じさせる。その被覆を受けさせた微小突起物20を皮膚の中(即ち角質層の中そして/またはそれを通して)に挿入する時、皮膚および下に位置する組織と前記塗膜の接触は実質的に制限され、スリット22は、間質液がこれを取り巻く組織から入ってきて塗膜28と接触する手段を与え、それによって、塗膜28が溶解することでその中に位置するいかなる作用剤も放出される。
【0074】
ここに、図3Bを参照して、本発明の別の態様の微小突起物30を示す。図3Bに示すように、微小突起物30は図3Aに示した微小突起物20と同様な形状を有する。しかしながら、この態様では、微小突起物30に、スリットの代わりに、微小突起物30の壁34を貫いて伸びる穴32を多数含める。
【0075】
図3Bに示すように、内側領域36を同様に塗料配合物で覆うことで固体状塗膜28を生じさせる。本発明に従い、その被覆を受けさせた微小突起物30を皮膚の中に挿入する時、皮膚および下に位置する組織と前記塗膜の接触が同様に実質的に制限され、微小突起物30の壁34に開けられた穴32は、間質液がこれを取り巻く組織から入ってきて塗膜28と接触する手段を与え、それによって、塗膜28が溶解することでその中に位置するいかなる作用剤も放出される。
【0076】
1つの態様では、前記微小突起物20、30をステンレス鋼、チタン、ニッケルとチタンの合金または同様な生体適合性材料で構成させる。
【0077】
別の態様では、前記微小突起物20、30を非導電性材料、例えば重合体などで構成させる。別法として、前記微小突起物20、30を非導電性材料、例えばParylene(商標)など、または疎水性材料、例えばTeflon(商標)など、シリコンまたは他の低エネルギー材料などで被覆してもよい。
【0078】
前記微小突起物20、30の長さを好適には約1000ミクロン未満、より好適には約500ミクロン未満にし、外径を約20−200ミクロンの範囲にする。
【0079】
本発明に従い、固体状の生体適合性塗膜28を生じさせる目的で前記微小突起物20、30に塗布する塗料配合物には、水性配合物および非水性配合物が含まれ得る。
【0080】
少なくとも1つの態様では、前記生体適合性塗料28に少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有させるが、そのような作用剤には、これらに限定するものでないが、ロイチナイジングホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似物[例えばゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンおよびナプファレリン、メノトロピン(ウロホリトロピン(FSH)およびLH)]、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似物、例えばACTH(1−24)など、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Va14,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリナミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝固阻害剤)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン[ウロホリトロピン(FSH)およびLH]、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン拮抗薬、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド、蛋白質C、蛋白質S、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシン拮抗薬類似物、アルファ−1アンチトリプシン(組換え型)、TGF−ベータ、フォンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサン多硫酸、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体、例えばホルミビルセンなど、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167およびRWJ−671818も含まれ得る。
【0081】
そのような生物学的に活性な作用剤には、更に、通常および/または市販ワクチンも含まれ得、それらには、これらに限定するものでないが、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、およびジフテリアワクチン、組換え蛋白ワクチン、DNAワクチンおよび治療用癌ワクチン、例えば蛋白質、多糖、オリゴ糖、リポ蛋白質、弱毒化もしくは死ウイルス、例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパリローマウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスなど、弱毒化または死菌、例えば百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、A群溶連菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマおよびコレラ菌などおよびこれらの混合物の形態の抗原が含まれる。
【0082】
本発明の1つの態様では、前記塗料配合物に少なくとも1種の緩衝剤を含有させる。そのような緩衝剤の例には、アスコルビン酸、クエン酸、こはく酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタアクリル酸、イソクロトン酸、□−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはこれらの混合物が含まれる。
【0083】
本発明の1つの態様では、前記塗料配合物に少なくとも1種の界面活性剤(これは両性イオン、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であり得る)を含有させるが、そのような界面活性剤には、これらに限定するものでないが、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、例えばTween 20およびTween 80など、他のソルビタン誘導体、例えばソルビタンラウレートなど、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4などが含まれる。
【0084】
本発明のさらなる態様では、前記塗料配合物に、両親媒性を有する少なくとも1種の高分子材料または重合体を含有させるが、それらには、これらに限定するものでないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)などばかりでなくプルロニックス(pluronics)などが含まれ得る。
【0085】
別の態様では、前記塗料配合物に下記の群から選択した親水性重合体を含有させる:ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物、および同様な重合体。
【0086】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物に生体適合性担体を含有させるが、それらには、これらに限定するものでないが、ヒトアルブミン、バイオ工学処理されたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースが含まれ得る。
【0087】
別の態様では、前記塗料配合物に安定剤を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、非還元糖、多糖または還元糖が含まれ得る。本発明の方法および組成物で用いるに適した非還元糖には、例えばスクロース、トレハロース、スタキオースまたはラフィノースが含まれる。本発明の方法および組成物で用いるに適した多糖には、例えばデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンが含まれる。本発明の方法および組成物で用いるに適した還元糖には、例えば単糖、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなど、および二糖、例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースなどが含まれる。
【0088】
別の態様では、前記塗料配合物に血管収縮薬を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物が含まれ得る。最も好適な血管収縮薬には、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンが含まれる。
【0089】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物に少なくとも1種の「経路開通調節剤」を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、浸透圧性薬剤(例えば塩化ナトリウム)、両性イオン化合物(例えばアミノ酸)および抗炎症薬、例えばベタメタゾン21−燐酸ジナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−燐酸ジナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩、燐酸ジナトリウムパラメタゾンおよびプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩など、および抗凝血剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAなどが含まれ得る。
【0090】
本発明の更に別の態様では、前記塗料配合物に可溶化/錯化剤を含有させるが、それには、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンが含まれ得る。最も好適な可溶化/錯化剤はベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンである。
【0091】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物に少なくとも1種の非水性溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキサイド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400などを含有させる。
【0092】
前記塗料配合物の粘度を好適には約3センチポイズ超から約500センチポイズ未満にする。
【0093】
本発明の1つの態様では、前記生体適合性塗膜の厚みを前記微小突起物表面から測定して100ミクロン未満、より好適には50ミクロン未満にする。
【0094】
ここに、図3Cを参照して、本発明の別の態様の微小突起物40を示す。本発明に従い、微小突起物40は図3Aおよび3Bに示した微小突起物20、30と同様な形状および大きさを有する。しかしながら、この態様では、微小突起物40をセラミックまたは同様な材料で形成させる。そのようなセラミック材料は好適には高い表面エネルギーを示しかつ約10−80%の範囲の全多孔率を示す。
【0095】
本発明の1つの態様では、前記セラミック材料の平均孔径を約0.5−50ミクロンの範囲にする。図3Cに示した態様では、多数のスリット42によって、その示した多孔率を助長(または向上)させる。
【0096】
本技術分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、その所望の多孔率をまた他の通常の加工手段で達成することも可能である。本技術分野の通常の技術を有する技術者が更に理解するであろうように、そのようなセラミック製微小突起物の加工で用いるセラミック材料の多孔率および/または孔径特徴は、用いる塗料配合物および/または送達すべき個々の作用剤の分子特徴を基に選択可能である。
【0097】
図3Cに示すように、微小突起物40の内側領域44を同様に塗料配合物で覆うことで固体状塗膜28を生じさせる。本発明に従い、その被覆を受けさせた微小突起物40を皮膚の中に挿入する時、皮膚および下に位置する組織と前記塗膜の接触が同様に実質的に制限され、前記多孔質セラミック材料は、間質液がこれを取り巻く組織から入ってきて塗膜28と接触する手段を与え、それによって、塗膜28が溶解することでその中に位置するいかなる作用剤も放出される。その後、その放出された作用剤は微小突起物40の内側領域44から多孔質セラミック壁を逆方向に通り抜けるか或は微小突起物40の末端部の所の開口部46を通って拡散するであろう。
【0098】
本発明に従い、固体状の塗膜を生じさせる目的で前記微小突起物40に塗布する塗料配
合物には、同様に、この上に挙げた塗料配合物のいずれも含まれ得る。前記活性作用剤には、同様に、上述した作用剤のいずれも含まれ得る。
【0099】
ここに、図3Dを参照して、本発明の更に別の態様の微小突起物50を示し、これも同様に好適には多孔質のセラミック材料で構成させる。本発明に従い、微小突起物50は図3Bに示した微小突起物30と同様な形状および大きさを有するが、多数の穴52を含有する。しかしながら、この態様では、微小突起物50の内側領域に位置させた塗膜28の溶解を補助する目的で、微小突起物50に固い穴開け用縁54および前記穴開け用縁54に近接して位置する1個以上の開口部56を含める。
【0100】
本発明に従い、開口部56に持たせる形状および大きさは間質液1種または2種以上の所望の導入および前記塗膜の中に入っている作用剤1種または2種以上の放出を達成するいろいろな形状および大きさであってもよい。好適な態様では開口部56に曲線を有するか或は貝殻の形状を持たせる。
【0101】
図3Dに示すように、微小突起物50の内側領域を同様に塗料配合物で覆うことで固体状塗膜28を生じさせる。本発明に従い、その被覆を受けさせた微小突起物50を皮膚の中に挿入する時、皮膚および下に位置する組織と前記塗膜の接触が同様に実質的に制限され、穴52、開口部56および多孔質セラミック材料は、間質液がこれを取り巻く組織から入ってきて塗膜28と接触することを可能にする手段を与え、それによって、塗膜28が溶解することでその中に位置するいかなる作用剤も放出される。その後、その作用剤は微小突起物50の内側領域から微小突起物50の穴52、開口部56または多孔質セラミック壁を逆方向に通り抜けて拡散するであろう。
【0102】
本発明に従い、固体状の塗膜を生じさせる目的で前記微小突起物50の内側領域に塗布する塗料配合物には、同様に、この上に挙げた塗料配合物のいずれも含まれ得る。前記活性作用剤には、同様に、上述した作用剤のいずれも含まれ得る。
【0103】
前記微小突起物40、50の長さを好適には約1000ミクロン未満、より好適には約500ミクロン未満にし、外径を約20−200ミクロンの範囲にする。
【0104】
ここに、図4を参照して、本発明の2番目の一般的態様を製造する時の1番目の段階を示す。最初に、薄いシート61にエッチングを受けさせて材料を除去することで開口部68を生じさせることを通して、微小突起物配列体60Aを生じさせる。図4に示すように、エッチングで生じさせた開口部68に近接して微小突起物62および64が生じる。この段階では、微小突起物62および64はまだシート61の面の中に位置する。
【0105】
ここに、図5を参照して、微小突起物62および64がシート61の面から曲げられて突出しそして間隙66によって互いに分離している微小突起物配列体60Bを示す。図5に示すように、微小突起物62、64を好適にはシート61に対して実質的に垂直に曲げて、それらが互いに実質的に平行に位置するようにする。図5に更に示すように、微小突起物62および64は互いに面する内側表面67a、67bおよび外側表面65a、65bを有する。
【0106】
本発明の好適な態様では、微小突起物62、64をシート61から曲げて突出させた後、微小突起物62、64の内側表面67a、67bの少なくとも一方、好適には両方に塗料配合物を塗布することで固体状の塗膜を生じさせる。本発明に従い、その塗膜は、微小突起物62、64のデザインおよび配向のお陰で、微小突起物62、64を皮膚の中に挿入する時に除去されることも摩耗することもないように保護されている。
【0107】
本発明のさらなる態様では、そのような塗料配合物を各微小突起物62、64に塗布する時期は、微小突起物62、64をシート61の面から曲げて突出させる前である。
【0108】
本発明の考えられるさらなる態様では、また、そのような塗料配合物を微小突起物62、64の外側表面65a、65bにも塗布することで追加的塗膜をそれの上に生じさせる。
【0109】
ここに、図6および7を参照して、本発明のさらなる態様の微小突起物配列体の形成を示す。図6に示すように、材料71の薄いシートにエッチングを受けさせて開口部78を生じさせることで、同様にして、微小突起物配列体70Aを生じさせる。微小突起物72、74が開口部78に近接して位置する。
【0110】
ここに、図7を参照して、内側表面77a、77bが互いに面して位置する微小突起物72、74を同様にシート71の面に対して実質的に垂直に曲げることで生じさせる。図6および7に示すように、各微小突起物72、74は、各微小突起物72、74の本体の中に位置する開口部79を少なくとも1個、好適には多数有する。
【0111】
本発明に従い、開口部79に持たせる形状および大きさは多様であり得る。好適な態様では、開口部の形状を実質的に長方形にする。
【0112】
本発明の好適な態様では、微小突起物72、74をシート71から曲げて突出させた後、微小突起物72、74の内側表面77a、77bの少なくとも一方、好適には両方に塗料配合物を塗布することで同様に固体状の塗膜を生じさせる。本発明のさらなる態様では、そのような塗料配合物を各微小突起物72および74に塗布する時期は、微小突起物72、74をシート71の面から曲げて突出させる前である。
【0113】
本発明に従い、開口部79は、微小突起物配列体70Bを皮膚の中に挿入した後の体の間質液と前記塗膜の接触を助長する。開口部79は、更に、微小突起物72、74の間に位置していて内側表面77a、77bで限定されている保護された空間部の中で起こる塗膜の溶解そして塗膜に含まれている作用剤の放出(体の中への)も助長する。
【0114】
本発明の考えられるさらなる態様では、また、そのような塗料配合物を微小突起物72、74の外側表面75a、75bにも塗布することで追加的塗膜をそれの上に生じさせる。
【0115】
ここに、図8を参照して、本発明の別の態様の微小突起物配列体60Cを示す。図8に示すように、微小突起物配列体60Cは図5に示した配列体60Bと同様である。しかしながら、この態様では、配列体60Cに補強材80も含めて、これを好適には微小突起物62および64の先端に固定する。本発明に従い、補強材80は、微小突起物62、64の間に位置する内側表面67a、67bに追加的な構造的剛性を与えかつそれらの間の距離(即ち間隙66)を維持するに役立つ。
【0116】
ここに、図9を参照して、本発明の更に別の態様の微小突起物配列体70Cを示す。図9に示すように、微小突起物配列体70Cは図7に示した配列体70Bと同様であり、かつこれにも同様に補強材80を含めて、それを好適には微小突起物72および74の先端に固定する。
【0117】
微小突起物62、64および72、74の間の間隙66の大きさを、好適には、微小突起物の対(例えば62、64)が単一の貫入用装置として働きかつ「コアリング(coring)」が起こらない、即ち微小突起物を皮膚の中に挿入している時に微小突起物と微
小突起物の間に組織が入り込むことが起こらないような大きさにする。微小突起物の個々の対の間の間隙66を典型的には約25ミクロンから250ミクロンの範囲にする。
【0118】
微小突起物62、64、72、74の長さを好適には約1000ミクロン未満、より好適には約500ミクロン未満にする。
【0119】
本発明の好適な態様では、微小突起物62、64、72、74をステンレス鋼、チタン、ニッケルとチタンの合金または同様な生体適合性材料で構成させる。別法として、微小突起物62、64、72、74を非導電性材料、例えばParylene(商標)など、または疎水性材料、例えばTeflon(商標)など、シリコンまたは他の低エネルギー材料などで被覆してもよい。
【0120】
考えられるさらなる態様では、微小突起物62、64、72、74を非導電性材料、例えば重合体などで構成させる。
【0121】
本発明に従い、前記塗料配合物を公知のいろいろな方法で微小突起物62、64、72、74に塗布することができる。そのような塗布方法の1つには浸漬塗布が含まれる。浸漬塗布は前記微小突起物62、64、72、74の一部または全体を塗料溶液の中に浸漬することで前記微小突起物を塗布する手段であるとして記述可能である。部分浸漬技術を用いることで、塗膜を前記微小突起物62、64、72、74の先端のみに限定することも可能である。
【0122】
さらなる塗装方法にはローラーコーティングが含まれ、ローラーコーティングでは、塗膜を前記微小突起物62、64、72、74の先端に同様に限定するローラーコーティング機構を用いる。そのようなローラーコーティング方法は米国出願番号10/099,604(公開番号2002/0132054)(これは引用することによって全体が本明細書に包含される)に開示されている。この示した出願に詳細に考察されているように、ローラーコーティング方法を用いると、皮膚に穴を開けている時に塗膜が前記微小突起物62、64、72、74から除去されるのを更に制限する滑らかな塗膜が得られる。
【0123】
本発明に従い、前記微小突起物62、64、72、74に更に塗膜35の体積(volume)を受け取り(receive)そして/または向上させるに適した手段、例えば溝(grooves)(示していない)、表面の不規則さ(示していない)または同様な修飾を含めることも可能であり、そのような手段は表面積を大きくすることで塗料の付着量をより多くする。
【0124】
本発明の範囲内で使用可能なさらなる塗布方法には吹き付け塗装が含まれる。本発明に従い、吹き付け塗装は、塗料組成物のエーロゾル懸濁液を生じさせることを包含し得る。
【0125】
前記微小突起物62、64、72、74を塗装する時にまた模様塗り(pattern
coating)を用いることも可能である。付着させる液体を微小突起物表面の上に位置させる目的で分配装置(dispersing system)を用いて模様塗膜を付着させることができる。正確に計量する適切な液体分配装置の例が米国特許第5,916,524号、5,743,960号、5,741,554号および5,738,728号(これらは引用することによって完全に本明細書に包含される)に開示されている。
【0126】
また、公知の電磁弁分配装置、任意の流体移動手段および位置決め手段(これは一般に電場の使用で制御される)を利用したインクジェット技術を用いて微小突起物塗装用配合物または溶液を塗布することも可能である。本発明の模様塗膜を付着させる時、印刷産業の他の液体分配技術または本技術分野で公知の同様な液体分配技術も使用可能である。
【0127】
本発明に従い、固体状塗膜を生じさせる目的で前記微小突起物62、64、72、74に塗布する塗料配合物には、同様に、上述した塗料配合物のいずれも含まれ得る。前記活性作用剤には、同様に、上述した作用剤のいずれも含まれ得る。
【0128】
ここに、図10Aを参照して、本発明の更に別の態様を生じさせる時の1番目の段階を示す。最初に、シート90にエッチング、打ち抜きまたはレーザーによる穴開けを受けさせることで小さな開口部92の群94を1群以上生じさせる。本発明に従い、そのような開口部に持たせる大きさおよび形状はいろいろであり得る。
【0129】
2番目の段階は、群94に近接したシート90領域に変形または引き伸ばしを受けさせることで微小突起物96を1個以上生じさせることを包含する。次に、好適には、前記微小突起物96の中の1個以上の内部に塗料配合物を入れる。その配合物を乾燥させることで微小突起物96の中の1個以上の内側表面に沿って位置する固体状塗膜を生じさせる。
【0130】
本技術分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、前記被覆を受けさせた微小突起物96を組織の中に挿入する時、その塗膜は保護されておりかつ取り巻く組織と物理的に接触せず、その後、微小突起物96の中の開口部92によって前記塗膜は間質液に溶解し得る。
【0131】
本発明の考えられる追加的態様では、また、前記塗料配合物を前記微小突起物96の外側表面にも付着させてもよい。
【0132】
図10Aに示した群94は開口部92の円形配列を含有するが、開口部92およびこれらの配列に含める大きさおよび形態はいろいろであり得る。明らかに、円形が最も効率が良い、と言うのは、それによって開口部92の全部を微小突起物96の中に組み込むことができるからである。
【0133】
示してはいないが、各微小突起物96を生じさせる目的で変形させるシート90領域の面積を具体的に示した群94のいずれよりも大きくすることも可能である。それによって、結果として、開口部92は微小突起物96の先端近くのみに位置することになるであろう。
【0134】
前記微小突起物96の長さを好適には約1000ミクロン未満、より好適には約500ミクロン未満にし、最大直径を200ミクロン未満、より好適には100ミクロン未満にする。
【0135】
本明細書に開示した本発明の一般的デザインは送達すべき作用剤を含有させた塗膜を保護する微小突起物デザインに向けたものであるが、本発明をまた体液、例えば間質液などのサンプリングに関連させて用いることも可能である。前記塗膜に含有させる作用剤は、所望材料の産生を向上させる作用剤、例えばのう胞性線維症を試験する目的で発汗を高めるピロカルピンおよび/または上述した抗凝血剤または抗治療剤の中の1種であってもよい。
【0136】
本技術分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、本発明の微小突起物は受動的経皮装置およびシステム、例えば特許番号6,050,988号、6,083,196号、6,230,051号および6,219,574号に開示されている受動的経皮システム、および積極的経皮システム、例えば特許番号5,147,296号、5,080,646号、5,169,382号および5,169,383号(これらの開示は引用することによって明らかに全体が本明細書に包含される)に開示されているシステム
などで用いることも可能である。
【0137】
本発明の範囲および精神から逸脱しない本発明のいろいろな修飾形および変形が本分野の技術者に明らかになるであろう。本発明を本明細書に挙げた実例的態様および実施例で過度に限定することを意図するものでなく、そのような実施例および態様は単に例として示すものであり、本発明の範囲を本明細書に挙げる請求項のみで限定することを意図すると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、保護特徴が全く組み込まれていない従来技術の微小突起物配列体を示す透視図である。
【図2】図2は、作用剤が塗布されている図1に示した配列体と同様な従来技術の微小突起物配列体を示す透視図である。
【図3A】図3Aは、微小突起物が標準的な中空針様形態を有しかつ縦方向のスリットを有する本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図3B】図3Bは、微小突起物が標準的な中空針様形態を有しかつ壁を貫通して伸びる多数の穴を有する本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図3C】図3Cは、微小突起物が標準的な中空針様形態を有する多孔質セラミック材料を含んで成る本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図3D】図3Dは、微小突起物が標準的な中空針様形態を有する多孔質セラミック材料を含んで成る本発明の別の態様を示す透視図である。
【図4】図4は、シートからエッチングで取り除かれた後であるが微小突起物を本発明に従ってシートに対して垂直に曲げる前の多数の微小突起物を示すシート上面図である。
【図5】図5は、本発明に従って微小突起物がシート面に対して実質的に垂直に曲げられた後の図4に示したシートの透視図である。
【図6】図6は、本発明に従って微小突起物の本体の中にエッチングで取り除かれたスリットを有する多数の微小突起物を示す別の平らなシートの上面図である。
【図7】図7は、本発明に従って微小突起物がシート面に対して実質的に垂直に曲げられた後の図6に示したシートの透視図である。
【図8】図8は、図5に示した態様と同様ではあるがまた微小突起物の各対の先端と先端の間に取り付けられた支持用補強材も含有する本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図9】図9は、図7に示した態様と同様ではあるがまた微小突起物の各対の先端と先端の間に取り付けられた支持用補強材も含有する本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図10A】図10Aは、平らなシートがこの平らなシートの中にエッチングで開けられた小さい穴の群を複数有することを示す本発明の1つの態様を示す平面図である。
【図10B】図10Bは、小さい穴の群の回りの中心に位置する微小突起物が複数生じるように前記シートに修飾を受けさせた後の図10Aに示した平らなシートを示す透視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、作用剤の経皮送達およびサンプリングに適した装置に関する。より詳細には、本発明は、作用剤を体表面経由で経皮送達することばかりでなく作用剤、例えばグルコース、他の体被分析物(body analytes)および乱用物質、例えばアルコールおよび違法薬剤などを体表面から経皮サンプリングすることに関する。
【背景技術】
【0002】
有益な作用剤、特に高分子量のペプチド、蛋白質およびオリゴヌクレオチドおよびワクチンなどの如き作用剤を体表面を貫く送達でヒトの体に経皮送達することに関する興味が増大し続けている、と言うのは、そのような医学的に有用な作用剤の数もまた増加し続けておりかつ高純度形態で多量に利用できるようになってきているからである。本明細書では用語「生物学的に活性な作用剤」、「作用剤」、「物質」および「薬剤」を互換的に用い、これらの用語に、幅広い意味で、哺乳動物(人および霊長類を包含)、鳥類、価値有る家庭、スポーツまたは農場の動物に局所的もしくは全身的効果1種または2種以上をもたらすか或は実験室動物、例えばマウス、ラット、モルモットなどに投与される生理学的もしくは薬理学的に活性のある物質を包含させる。この示した用語に、また、皮膚を通してサンプリング可能な物質、例えばグルコース、組織、間質液(組織間液(interstitial fluid))および/または血液の中に存在する他の体被分析物、アルコール、合法物質および違法薬剤なども包含させる。
【0003】
この上に示した作用剤の経皮送達は依然として大きな問題に直面している。例えば、多くの場合、そのような作用剤が皮膚を通る送達速度も流率も所望の治療効果をもたらすに充分ではない、と言うのは、それらは大きなサイズ/分子量を有しそして/または皮膚に存在する天然の経路(孔、毛包など)を通り抜けることができないからである。同様に、水溶性の低分子量(例えば200から500ダルトンの)作用剤分子もしばしば受動的流率が限られている。
【0004】
作用剤の経皮送達を向上させる1つの方法は、体表面を貫く電流をかけることによる方法であり、これは一般に「電気輸送(electrotransport)」と呼ばれる。「電気輸送」は、本技術分野で良く知られるように、一般に、有益な作用剤、例えば薬剤または薬剤前駆体などが体表面、例えば皮膚、粘膜、爪などを貫通することを指す。電位をかけることで作用剤の輸送を誘発または向上させ、その結果としてかけられた電流によって当該作用剤が送達されるか或はそれの送達が向上する。
【0005】
体表面を貫く作用剤の電気輸送はいろいろな様式で達成可能である。幅広く用いられている1つの電気輸送方法、即ちイオン導入方法は、帯電しているイオンの輸送を電気的に誘発することを伴う。別の種類の電気輸送方法である電気浸透は、電場の影響下で当該作用剤を溶媒と一緒に膜貫通移動させることを伴う。更に別の種類の電気輸送である電気せん孔法は、高い電圧の電気パルスを膜にかけることで形成させた孔に作用剤を通すことを伴う。多くの場合、そのような方法の中の2種以上がいろいろな度合で同時に実施される可能性がある。
【0006】
従って、本明細書では、用語「電気輸送」にそれの最も幅広い可能な解釈を与え、その用語に、当該作用剤の実際の輸送の具体的な機構1種または2種以上とは関係なく、少なくとも1種の帯電または非帯電作用剤またはこれらの混合物の輸送を電気的に誘発させるか或はそれを向上させることを包含させる。
【0007】
電気輸送による送達を用いると、一般に、受動的経皮送達に比べても電気的補助を行わない経皮送達に比べても作用剤、特に大きな分子量を有する種(例えばポリペプチド)の送達が向上する。しかしながら、経皮送達速度を更に向上させることができかつ経皮送達中に起こるポリペプチドの劣化を減少させることができれば、それは非常に望ましいことである。
【0008】
作用剤の経皮送達速度を向上させる1つの方法は、皮膚を有益な作用剤である皮膚透過向上剤で前以て処理しておくか或はそれと一緒に送達することを伴う。本明細書では、幅広い意味で、当該作用剤を送達する時にそれが貫通する体表面に塗布した時にそれを通る流率を向上させる物質を記述する目的で用語「透過向上剤」を用いる。その機構は、当該作用剤が通り抜ける体表面の電気抵抗を低くすること、体表面の選択透過性および/または透過性を高めること、体表面を貫く親水性経路を作り出すこと、そして/または当該作用剤が電気輸送中に起こす劣化(例えば皮膚の酵素による劣化)を低くすることを伴い得る。
【0009】
また、経皮流率を向上させる目的で皮膚を機械的に乱す試みも数多く成された(例えば特許文献1、2、3、4、5および6に開示されている如く)。その開示された装置には、典型的に、皮膚の外側層に穴を開ける目的で一般に管状もしくは円筒形の構造物が利用されているが、特許文献4には他の形状の使用も開示されている。前記特許文献に開示された穴開け要素は、一般に、薄い平らな膜、例えばパッドまたは金属シートなどから垂直に伸びている。
【0010】
より最近になって、薬剤送出経路[この経路は微小突起物(microprojection)によって角質層を貫くように切り込まれた経路である]が開放されたままであるように前記装置の小さな穴開け要素(piercing elements)を皮膚につなぎ止める試みが成された(例えば特許文献7を参照)。不幸なことに、微小突起物のサイズが極めて小さいことから、とげ(barbs)および同様なつなぎ止め要素を微小突起物の上に形成させるのは技術的に難題でありかつ費用を増加させる。
【0011】
特許文献7に開示されている微小突起物配列体(arrays)は、作用剤送出用開口部を全体に渡って多数有する薄い金属シートの形態である。そのシートは皮膚に近接する表面と皮膚から遠位の表面を有する。エッチングによって穴が開けられた多数の微小突起物が前記シートの皮膚から遠位の表面からほぼ垂直に伸びている。当該作用剤を入れる(作用剤送達の場合)か或は受け取る(作用剤サンプリングの場合)に適した貯蔵槽を前記シートの皮膚から遠位の表面に位置させている。次に、その微小突起物配列体および作用剤貯蔵槽を皮膚表面に押し付けそして接着剤層(adhesive overlay)または同様な固定手段を用いてそれを皮膚の上に保持している(特許文献7の図1に示されているように)。
【0012】
特許文献7の図1に示されておりかつ詳細に考察されているように、皮膚から遠位の表面から伸びる微小突起物4を有するシート部材6を皮膚の上に微小突起物4が皮膚表面を貫通するように位置させる。作用剤貯蔵槽27をシート6の皮膚から遠位の側に位置させることが示されている。その構造物を少なくともそれの周囲表面9の上を覆っている層(overlay)3で皮膚30の適切な場所に保持している。加うるに、その微小突起物はいろいろな皮膚保持用要素(これはまた微小突起物が皮膚の中に入ったままであるようにするに役立つ)を含有するように構成可能である。
【0013】
図1に示されている装置の作用剤貯蔵槽27は一般に柔軟で弾性のある材料、例えばゲルなどで構成されている。そのような柔軟で弾性があって流動さえする材料がシート部材6と併せて用いるに好適であった、と言うのは、そのようなゲル材料はシート部材6の開
口部の中に容易に流れ込んで皮膚30と直接接触することができるからである。
【0014】
送達すべき活性作用剤を物理的貯蔵槽に入れる代わりにそれが微小突起物を覆うようにすることも可能である[特許文献8、9、10および11(引用することによって完全に本明細書に包含される)に開示されている如く]。それによって個別の物理的貯蔵槽が必要でなくなりかつ当該貯蔵槽用の作用剤配合物も組成物も特に開発する必要がなくなる。
【0015】
しかしながら、被覆された微小突起物システムの1つの欠点は、微小突起物を皮膚(即ち角質層)の中に挿入させて貫通させている間にその塗膜が微小突起物から物理的に除去される危険性である。微小突起物を皮膚の中に挿入する時、微小突起物およびこれの上に位置させた如何なる塗膜も皮膚組織に押されかつこすられるであろう。このようにして、前記塗膜のいくらかまたは全部が除去されることで、前記塗膜のいくらかまたは全部が皮膚の中に挿入されず、間質液に接触せずかつ溶解しないことで、皮膚の中への放出で利用されない可能性がある。
【0016】
従来技術の微小突起物配列体の例を図1に示す。微小突起物配列体10は微小突起物12を有するシート14で構成されていて、前記微小突起物12はシート14から成形されたか或はエッチングされたものである。そのエッチング工程または成形工程で微小突起物12および開口部16を生じさせる。次に、その微小突起物12を上方に曲げてシート14の面から突出させることが行われている。
【0017】
図1に示すように、微小突起物12の表面いずれも保護されていない。微小突起物配列体10を体表面の上に位置させてそれの中に挿入させようとすると、前記微小突起物12の面全部が体表面および下に位置する組織との接触にさらされるであろう。図2に示すように、その微小突起物12の上に塗膜18が位置していると、そのような接触によって塗膜18が除去されかつ崩壊する可能性がある。
【0018】
その結果として、当該作用剤が間質液と接触するであろう組織の中に実質的な量で挿入されなくなってしまう可能性がある。前記塗膜の中に入っていた作用剤がそのような接触を起こさないと放出されて受容者に利用される作用剤の量は僅かになってしまうであろう(もしあるとしても)。
【特許文献1】Ganderton他に発行された米国特許第3,814,097号
【特許文献2】Gross他に発行された米国特許第5,279,544号
【特許文献3】Lee他に発行された米国特許第5,250,023号
【特許文献4】Gerstel他に発行された米国特許第3,964,482号
【特許文献5】Kravitz他に発行された米国特許第Re 25,637号
【特許文献6】PCT公開番号WO 96/37155
【特許文献7】PCT公開番号WO 97/48440
【特許文献8】米国特許出願番号10/045,842
【特許文献9】米国特許公開番号2002/0193729
【特許文献10】米国特許公開番号2002/0177839
【特許文献11】米国特許公開番号2002/0128599
【発明の開示】
【0019】
本発明は、多数の微小突起物を有する微小突起物配列体を用いて生物学的に活性な作用剤を経皮送達することで従来技術の被覆された微小突起物システムの制限を実質的に低下させるか或は克服するものであり、ここでは、前記微小突起物に内部領域を持たせて、前記内部領域を少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有させておいた固体状の実質的に乾燥した塗膜で覆い、それによって、前記塗膜が組織との物理的な接触に実質的にさらされることがないように前記微小突起物を組織(または角質層)の中に挿入して貫入させることができる。そのような生物学的に活性な作用剤の選択では、皮膚に穴を開ける多数の微小突起物の上に位置させた固体状塗膜から送達された時に有効であるに充分な効力を有するようにそれを選択する。前記塗膜の水溶性を、好適には、前記微小突起物が患者の組織の中に挿入された時に前記塗膜が容易かつ迅速に溶解して前記生物学的に活性な作用剤を放出するに充分な水溶性にする。
【0020】
従って、本発明の1つの態様は、少なくとも1番目と2番目の微小突起物[前記1番目と2番目の微小突起物は内側および外側面を有していて、前記1番目の微小突起物内側面は前記2番目の微小突起物内側面と実質的に平行に位置し、それによって、それらの間に実質的に均一な間隙(gap)が形成されている]および前記1番目および2番目の微小突起物内側面の中の少なくとも一方の上に位置する生体適合性塗膜を有する微小突起物配列体を含んで成り、ここで、前記1番目および2番目の微小突起物は前記1番目および2番目の微小突起物を生物学的組織の中に挿入させている時に起こる前記塗膜と前記表面の接触を実質的に制限するに適応している。好適には、前記生体適合性塗膜を前記1番目と2番目の微小突起物の内側面の各々の上に位置させる。
【0021】
好適な態様では、少なくとも前記1番目の微小突起物に開口部を少なくとも1個含める。
【0022】
別の態様では、前記1番目と2番目の微小突起物の各々に開口部を少なくとも1個含める。
【0023】
本発明の1つの態様では、前記1番目と2番目の微小突起物の安定性が向上するようにそれらに補強材を含めて、前記補強材を前記1番目と2番目の微小突起物の間に位置させて、前記補強材を前記1番目と2番目の微小突起物と連結させる。
【0024】
本発明の1つの態様では、前記1番目と2番目の微小突起物をステンレス鋼、チタン、ニッケルとチタンの合金および同様な生体適合性材料から成る群から選択した材料で形成させる。
【0025】
別の態様では、前記1番目と2番目の微小突起物を非導電性材料で形成させる。
【0026】
本発明のさらなる態様では、前記1番目と2番目の微小突起物を非導電性材料で被覆する。
【0027】
本発明の1つの態様では、前記1番目と2番目の微小突起物の長さを約1000ミクロン未満にする。
【0028】
前記生体適合性塗膜を好適には塗料配合物を前記微小突起物部材に塗布することで生じ
させる。
【0029】
本発明の1つの態様では、前記塗料配合物にホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似物、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似物、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Va14,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン(insulinotropin)、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリナミド)、リプレシン(liprecin)、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(epoprostenol)、ヒルログ(hirulog)、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランス(clearance)阻害剤、アンギオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン拮抗薬、セレダーゼ(ceredase)、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド(pentigetide)、蛋白質C、蛋白質S、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシン拮抗薬類似物、アルファ−1アンチトリプシン(組換え型)、TGF−ベータ、フォンダパリヌクス、アルデパリン(ardeparin)、ダルテパリン、デフィブロチド(defibrotide)、エノキサパリン(enoxaparin)、ヒルジン、ナドロパリン(nadroparin)、レビパリン(reviparin)、チンザパリン(tinzaparin)、ペントサン多硫酸(polysulfate)、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸(alendronic acid)、クロドロン酸(clodronic acid)、エチドロン酸、イバンドロン酸(ibandronic acid)、インカドロン酸(incadronic acid)、パミドロン酸(pamidronic acid)、リセドロン酸(risedronic acid)、チルドロン酸(tiludronic acid)、ゾレドロン酸、アルガトロバン(argatroban)、RWJ 445167およびRWJ−671818から成る群から選択した少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有させる。
【0030】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にインフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、組換え蛋白ワクチン、DNAワクチンおよび治療用癌ワクチンから成る群から選択した少なくとも1種のワクチンを含有させる。
【0031】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にアスコルビン酸、クエン酸、こはく酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタアクリル酸、イソクロトン酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびこれらの混合物から成る群から選択した少なくとも1種の緩衝剤を含有させる。
【0032】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にラウロアンホ酢酸ナトリウム(sodium
lauroamphoacetate)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベートおよび他のソルビタン誘導体から成る群から選択した少なくとも1種の界面活性剤を含有させる。
【0033】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)およびエチルヒドロキシ−エチルセルロース(EHEC)から成る群から選択した少なくとも1種の高分子材料を含有させる。
【0034】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択した少なくとも1種の親水性重合体を含有させる。
【0035】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にヒトアルブミン、バイオ工学処理されたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース(melezitose)、ラフィノースおよびスタキオースから成る群から選択した少なくとも1種の生体適合性担体を含有させる。
【0036】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物に還元糖、非還元糖および多糖から成る群から選択される少なくとも1種の安定剤を含有させる。
【0037】
好適には、前記非還元糖をスクロース、トレハロース、スタキオースおよびラフィノースから成る群から選択する。
【0038】
好適には、前記多糖をデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンから成る群から選択する。
【0039】
好適には、前記還元糖をアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース(quinovose)、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース(hamamelose)、イドース、マンノース、タガトース、プリメベロース(primeverose)、ビシアノース(vicianose)、ルチノース、シラビオース(scillabiose)、セロビオース、ゲンチオビオース(gentiobiose)、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソフォロース(sophorose)およびツラノースから成る群から選択する。
【0040】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にアミデフリン(amidephrine)、カファミノール(cafaminol)、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン(indanazoline)、メチゾリン(metizoline)、ミドドリン(midodrine)、ナファゾリン、ノルデフリン(nordefrin)、オクトドリン(octodrine)、オルニプレシン(ornipressin)、オキシメタゾリン(oxymethazoline)、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物から成る群か
ら選択した少なくとも1種の血管収縮薬を含有させる。
【0041】
本発明の更に別の態様では、前記塗料配合物に浸透圧性薬剤、両性イオン化合物および抗炎症薬から成る群から選択した少なくとも1種の経路開通調節剤(pathway patentency modulator)を含有させる。
【0042】
好適には、前記抗炎症薬をベタメタゾン21−燐酸ジナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−燐酸ジナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート(hydrocortamate)、ヒドロコルチゾン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩、燐酸ジナトリウムパラメタゾンおよびプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩から成る群から選択する。
【0043】
本発明の1つの態様では、前記経路開通調節剤にクエン酸、クエン酸塩、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAから成る群から選択した抗凝血剤を含める。
【0044】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物にアルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンから成る群から選択した少なくとも1種の可溶化/錯化剤を含有させる。最も好適な可溶化/錯化剤はベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンである。
【0045】
好適な態様では、前記塗料配合物の粘度を約3センチポイズ超から約500センチポイズ未満にする。
【0046】
好適には、前記塗膜の厚みを100ミクロン未満にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明を詳細に説明する前に、本発明を詳細に例示する材料にも方法にも構造物にも限定するものでなく、それら自体勿論多様であり得ると理解されるべきである。従って、本明細書に記述する材料および方法と同様または相当する数多くの材料および方法を本発明の実施で用いることができるが、好適な材料および方法を本明細書に記述する。
【0048】
また、本明細書で用いる用語は本発明の個々の態様を単に記述する目的で用いるものであり、限定することを意図するものでないことも理解されるべきである。
【0049】
本明細書で用いる技術的および科学的用語は全部特に明記しない限り本発明が関係する技術分野の通常の技術を有する技術者が通常理解する意味と同じ意味を有する。
【0050】
その上、本明細書に引用する出版物、特許および特許出願は全部、この上に引用したか或は以後に引用するかに拘わらず、引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0051】
最後に、本明細書および添付請求の範囲で用いる如き単数形「a」、「an」および「the」は、その内容で異なると明白に示さない限り、複数指示対象を包含する。従って、例えば「ある活性作用剤」を言及する場合、これは、そのような作用剤2種以上を包含し、「ある微小突起物」を言及する場合、これはそのような微小突起物2種以上を包含する、等々。
【0052】
定義
本明細書で用いる如き用語「体表面」は、一般に、動物または人の皮膚、粘膜および爪、および植物の外側表面を指す。
【0053】
本明細書で用いる如き用語「経皮」は、局所的または全身的治療の目的である作用剤を皮膚の中にそして/または皮膚経由で送達することを意味する。
【0054】
本明細書で用いる如き用語「経皮流率」は、経皮送達の速度を意味する。
【0055】
本明細書で用いる如き用語「共送達」は、当該作用剤を送達する前、当該作用剤の経皮流(transdermal flux)前および中、当該作用剤の経皮流中、当該作用剤の経皮流中および後および/または当該作用剤の経皮流後のいずれかに補足的作用剤1種または2種以上を経皮投与することを意味する。加うるに、結果として生物学的に活性な作用剤の共送達がもたらされるように2種以上の生物学的に活性な作用剤を本発明の塗料配合物の中に配合することも可能である。
【0056】
本明細書で用いる如き用語「生物学的に活性な作用剤」および「作用剤」は、治療的に有効な量で投与された時に薬理学的に有効な薬剤を含有する組成物または混合物を指す。そのような活性な作用剤の例には、これらに限定するものでないが、低分子量の化合物、ポリペプチド、蛋白質、オリゴヌクレオチド、核酸および多糖が含まれる。
【0057】
「生物学的に活性な作用剤」のさらなる例には、これらに限定するものでないが、ロイチナイジング(leutinizing)ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似物[例えばゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンおよびナプファレリン、メノトロピン(ウロホリトロピン(FSH)およびLH)]、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似物、例えばACTH(1−24)など、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Va14,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリナミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝固阻害剤)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン[ウロホリトロピン(FSH)およびLH]、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン拮抗薬、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド、蛋白質C、蛋白質S、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシン拮抗薬類似物、アルファ−1アンチトリプシン(組換え型)、TGF−ベータ、フォンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサン多硫酸、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体、例えばホルミビルセンなど、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167およびRWJ−671818も含まれる。
【0058】
その示した生物学的に活性な作用剤はまたいろいろな形態も取り得、例えば遊離塩基、酸、帯電または非帯電分子、分子複合体の成分、または非刺激性の薬理学的に受け入れられる塩などの形態も取り得る。その上、そのような活性作用剤の簡単な誘導体(例えばエーテル、エステル、アミドなど)で体のpH、酵素などで容易に加水分解を起こすものも使用可能である。
【0059】
本明細書で用いる如き用語「生物学的に活性な作用剤」は、また、「ワクチン」または他の免疫学的に活性のある作用剤、または免疫学的に活性な作用剤の産生を誘発する能力を有しかつ免疫学的に有効な量で投与された時に直接または間接的に免疫学的に有効になる作用剤を含有する組成物または混合物も指す。
【0060】
本明細書で用いる如き用語「ワクチン」は、通常および/または市販ワクチンを指し、これらには、これらに限定するものでないが、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、組換え蛋白ワクチン、DNAワクチンおよび治療用癌ワクチンが含まれる。従って、用語「ワクチン」は、これらに限定するものでないが、蛋白質、多糖、オリゴ糖、リポ蛋白質、弱毒化もしくは死(killed)ウイルス、例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパリローマウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスなど、弱毒化または死菌、例えば百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、A群溶連菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマおよびコレラ菌などおよびこれらの混合物の形態の抗原が含まれる。
【0061】
2種以上の生物学的に活性な作用剤を本発明の塗料配合物およびそれから生じさせた塗膜の中に混合することができかつ用語「生物学的に活性な作用剤」(または「活性な作用剤」)の使用は2種以上のそのような活性な作用剤の使用を決して排除するものでないと理解されるべきである。
【0062】
生物学的に活性な作用剤が薬学的に活性な作用剤である時に用語「生物学的に有効な量」または「生物学的に有効な率」を用い、これは、望まれる治療結果(しばしば有益である)をもたらすに必要な薬理学的に活性な作用剤の量または率を指す。本発明の塗料に用いる活性な作用剤の量は、そのような活性な作用剤をこれが所望の治療結果を達成するに治療的に有効な量で送達するに要する量であろう。それは、実際上、送達すべき個々の薬理学的に活性な作用剤、送達部位、治療すべき病気のひどさ、望まれる治療効果および当該塗膜から皮膚組織の中に送達される当該作用剤の放出速度に応じて幅広く多様であろう。
【0063】
また、生物学的に活性な作用剤が免疫学的に活性な作用剤である時にも用語「生物学的に有効な量」または「生物学的に有効な率」を用いるが、これは、望まれる免疫学的結果(しばしば有益である)の促進または開始に必要な免疫学的に活性な作用剤の量または率を指す。本発明の塗膜で用いる免疫学的に活性な作用剤の量は、そのような活性な作用剤をこれが所望の免疫学的結果を達成するに必要な量で送達するに要する量であろう。それ
は、実際上、送達すべき個々の免疫学的に活性な作用剤、送達部位、および皮膚組織の中に送達される当該活性作用剤の溶解速度および放出速度に応じて幅広く多様であろう。
【0064】
本明細書で用いる如き用語「作用剤」および「物質」は、また、皮膚を通してサンプリング可能な物質、例えばグルコース、組織、間質液および/または血液の中に存在する他の体被分析物、アルコール、合法物質および違法薬剤なども包含する。
【0065】
本明細書で用いる如き用語「微小突起物」は、生きている動物、特に哺乳動物、より特別にはヒトの皮膚の角質層に穴を開けるか或はそれを切り開いて下に位置する表皮層または表皮層と真皮層の中に入り込むに適応した穴開け要素を指す。従って、用語「微小突起物」は、しばしば微小刃(microblades)、ランス(rances)、極微針(microneedles)などと呼ばれる如き突起物を包含する。
【0066】
本明細書で詳細に考察するように、本発明の1つの態様における微小突起物の突起の長さは好適には1000ミクロン未満、より好適には250ミクロン未満である。
【0067】
本明細書で用いる如き用語「微小突起物配列体」は、角質層に穴を開けるに適した配列で配置している多数の微小突起物を指す。本明細書で詳細に考察するように、そのような微小突起物配列体を生じさせる時、薄いシートから多数の微小突起物をエッチングまたは打ち抜きしそしてそのような微小突起物を前記シートの面から折るか或は曲げて突出させてある形態にすることで、それらを生じさせることができる。
【0068】
本明細書で用いる如き用語「生体適合性塗料」および「塗料」は、前記微小突起物の塗布で用いる組成物を指す。本発明の少なくとも1つの態様では、そのような塗料に本明細書に示す少なくとも1種の活性作用剤と場合により生体適合性担体を含有させる。本発明に従い、そのような塗料が接着特性を有し、安定性を有し、表皮層の中で迅速に溶解する能力を有しかつ前記微小突起物の上で実質的に乾燥した時に可溶作用剤と不溶作用剤を保持する構造を形成する能力を有するように、それを選択する。
【0069】
この上に示したように、本発明は、1つの態様において、生物学的に活性な作用剤を角質層の中にそれを通して経皮送達する目的またはある作用剤を角質層経由でサンプリングする目的で角質層を貫く微小切り口を生じさせるに適した装置を包含し、前記装置は、外側領域および内側領域を有する微小突起物部材を含有するが、前記内側領域に、これの上に位置していて少なくとも1種の作用剤を含有する生体適合性塗膜を存在させ、ここで、前記微小突起物部材は、前記微小突起物を角質層の中に挿入している時に前記塗膜と前記角質層の接触を実質的に制限するに適応している。
【0070】
本発明の別の態様における本装置は、微小突起物の各々が内側領域を有していて前記内側領域が少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有する固体状の実質的に乾燥した塗膜で覆われている多数の微小突起物を含んで成り、ここで、前記微小突起物は、前記塗膜が組織との物理的な接触を実質的に受けることなく、組織(または角質層)の中にそれを貫通して挿入可能である。
【0071】
ここに、図3Aを参照して、本発明の範囲内で使用可能な1つの態様の微小突起物20を示す。図3Aに示すように、微小突起物20は標準的な中空シリンジ針に類似した形状を有する。その微小突起物20にはまたスリット22も含まれていて、それは先端部24から後方に伸びている。本発明に従い、スリット22は微小突起物20の長さの一部または全体に渡って伸びていてもよい。
【0072】
好適な態様におけるスリット22は、図3Aに示すように、縦方向に伸びており、好適
には、微小突起物20の縦軸に実質的に平行に位置する。追加的態様(示していない)におけるスリット22は、縦軸に対して螺旋形または実質的に垂直に伸びていてもよい。この示した態様では、また、スリットを2つ以上用いることも可能である。
【0073】
本発明に従い、塗料配合物(以下に詳細に考察)を微小突起物20の内側領域26に位置させて乾燥させることで固体状の塗膜28を生じさせる。その被覆を受けさせた微小突起物20を皮膚の中(即ち角質層の中そして/またはそれを通して)に挿入する時、皮膚および下に位置する組織と前記塗膜の接触は実質的に制限され、スリット22は、間質液がこれを取り巻く組織から入ってきて塗膜28と接触する手段を与え、それによって、塗膜28が溶解することでその中に位置するいかなる作用剤も放出される。
【0074】
ここに、図3Bを参照して、本発明の別の態様の微小突起物30を示す。図3Bに示すように、微小突起物30は図3Aに示した微小突起物20と同様な形状を有する。しかしながら、この態様では、微小突起物30に、スリットの代わりに、微小突起物30の壁34を貫いて伸びる穴32を多数含める。
【0075】
図3Bに示すように、内側領域36を同様に塗料配合物で覆うことで固体状塗膜28を生じさせる。本発明に従い、その被覆を受けさせた微小突起物30を皮膚の中に挿入する時、皮膚および下に位置する組織と前記塗膜の接触が同様に実質的に制限され、微小突起物30の壁34に開けられた穴32は、間質液がこれを取り巻く組織から入ってきて塗膜28と接触する手段を与え、それによって、塗膜28が溶解することでその中に位置するいかなる作用剤も放出される。
【0076】
1つの態様では、前記微小突起物20、30をステンレス鋼、チタン、ニッケルとチタンの合金または同様な生体適合性材料で構成させる。
【0077】
別の態様では、前記微小突起物20、30を非導電性材料、例えば重合体などで構成させる。別法として、前記微小突起物20、30を非導電性材料、例えばParylene(商標)など、または疎水性材料、例えばTeflon(商標)など、シリコンまたは他の低エネルギー材料などで被覆してもよい。
【0078】
前記微小突起物20、30の長さを好適には約1000ミクロン未満、より好適には約500ミクロン未満にし、外径を約20−200ミクロンの範囲にする。
【0079】
本発明に従い、固体状の生体適合性塗膜28を生じさせる目的で前記微小突起物20、30に塗布する塗料配合物には、水性配合物および非水性配合物が含まれ得る。
【0080】
少なくとも1つの態様では、前記生体適合性塗料28に少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有させるが、そのような作用剤には、これらに限定するものでないが、ロイチナイジングホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似物[例えばゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリンおよびナプファレリン、メノトロピン(ウロホリトロピン(FSH)およびLH)]、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似物、例えばACTH(1−24)など、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Va14,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリナミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール(血小板凝固阻害剤)、グルカゴン、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン[ウロホリトロピン(FSH)およびLH]、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン拮抗薬、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド、蛋白質C、蛋白質S、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシン拮抗薬類似物、アルファ−1アンチトリプシン(組換え型)、TGF−ベータ、フォンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサン多硫酸、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体、例えばホルミビルセンなど、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167およびRWJ−671818も含まれ得る。
【0081】
そのような生物学的に活性な作用剤には、更に、通常および/または市販ワクチンも含まれ得、それらには、これらに限定するものでないが、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、およびジフテリアワクチン、組換え蛋白ワクチン、DNAワクチンおよび治療用癌ワクチン、例えば蛋白質、多糖、オリゴ糖、リポ蛋白質、弱毒化もしくは死ウイルス、例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパリローマウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスなど、弱毒化または死菌、例えば百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、A群溶連菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマおよびコレラ菌などおよびこれらの混合物の形態の抗原が含まれる。
【0082】
本発明の1つの態様では、前記塗料配合物に少なくとも1種の緩衝剤を含有させる。そのような緩衝剤の例には、アスコルビン酸、クエン酸、こはく酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタアクリル酸、イソクロトン酸、□−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはこれらの混合物が含まれる。
【0083】
本発明の1つの態様では、前記塗料配合物に少なくとも1種の界面活性剤(これは両性イオン、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であり得る)を含有させるが、そのような界面活性剤には、これらに限定するものでないが、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、例えばTween 20およびTween 80など、他のソルビタン誘導体、例えばソルビタンラウレートなど、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4などが含まれる。
【0084】
本発明のさらなる態様では、前記塗料配合物に、両親媒性を有する少なくとも1種の高分子材料または重合体を含有させるが、それらには、これらに限定するものでないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)などばかりでなくプルロニックス(pluronics)などが含まれ得る。
【0085】
別の態様では、前記塗料配合物に下記の群から選択した親水性重合体を含有させる:ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物、および同様な重合体。
【0086】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物に生体適合性担体を含有させるが、それらには、これらに限定するものでないが、ヒトアルブミン、バイオ工学処理されたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースが含まれ得る。
【0087】
別の態様では、前記塗料配合物に安定剤を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、非還元糖、多糖または還元糖が含まれ得る。本発明の方法および組成物で用いるに適した非還元糖には、例えばスクロース、トレハロース、スタキオースまたはラフィノースが含まれる。本発明の方法および組成物で用いるに適した多糖には、例えばデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンが含まれる。本発明の方法および組成物で用いるに適した還元糖には、例えば単糖、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなど、および二糖、例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースなどが含まれる。
【0088】
別の態様では、前記塗料配合物に血管収縮薬を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物が含まれ得る。最も好適な血管収縮薬には、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンが含まれる。
【0089】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物に少なくとも1種の「経路開通調節剤」を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、浸透圧性薬剤(例えば塩化ナトリウム)、両性イオン化合物(例えばアミノ酸)および抗炎症薬、例えばベタメタゾン21−燐酸ジナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−燐酸ジナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩、燐酸ジナトリウムパラメタゾンおよびプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩など、および抗凝血剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAなどが含まれ得る。
【0090】
本発明の更に別の態様では、前記塗料配合物に可溶化/錯化剤を含有させるが、それには、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンが含まれ得る。最も好適な可溶化/錯化剤はベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンである。
【0091】
本発明の別の態様では、前記塗料配合物に少なくとも1種の非水性溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキサイド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400などを含有させる。
【0092】
前記塗料配合物の粘度を好適には約3センチポイズ超から約500センチポイズ未満にする。
【0093】
本発明の1つの態様では、前記生体適合性塗膜の厚みを前記微小突起物表面から測定して100ミクロン未満、より好適には50ミクロン未満にする。
【0094】
ここに、図3Cを参照して、本発明の別の態様の微小突起物40を示す。本発明に従い、微小突起物40は図3Aおよび3Bに示した微小突起物20、30と同様な形状および大きさを有する。しかしながら、この態様では、微小突起物40をセラミックまたは同様な材料で形成させる。そのようなセラミック材料は好適には高い表面エネルギーを示しかつ約10−80%の範囲の全多孔率を示す。
【0095】
本発明の1つの態様では、前記セラミック材料の平均孔径を約0.5−50ミクロンの範囲にする。図3Cに示した態様では、多数のスリット42によって、その示した多孔率を助長(または向上)させる。
【0096】
本技術分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、その所望の多孔率をまた他の通常の加工手段で達成することも可能である。本技術分野の通常の技術を有する技術者が更に理解するであろうように、そのようなセラミック製微小突起物の加工で用いるセラミック材料の多孔率および/または孔径特徴は、用いる塗料配合物および/または送達すべき個々の作用剤の分子特徴を基に選択可能である。
【0097】
図3Cに示すように、微小突起物40の内側領域44を同様に塗料配合物で覆うことで固体状塗膜28を生じさせる。本発明に従い、その被覆を受けさせた微小突起物40を皮膚の中に挿入する時、皮膚および下に位置する組織と前記塗膜の接触が同様に実質的に制限され、前記多孔質セラミック材料は、間質液がこれを取り巻く組織から入ってきて塗膜28と接触する手段を与え、それによって、塗膜28が溶解することでその中に位置するいかなる作用剤も放出される。その後、その放出された作用剤は微小突起物40の内側領域44から多孔質セラミック壁を逆方向に通り抜けるか或は微小突起物40の末端部の所の開口部46を通って拡散するであろう。
【0098】
本発明に従い、固体状の塗膜を生じさせる目的で前記微小突起物40に塗布する塗料配
合物には、同様に、この上に挙げた塗料配合物のいずれも含まれ得る。前記活性作用剤には、同様に、上述した作用剤のいずれも含まれ得る。
【0099】
ここに、図3Dを参照して、本発明の更に別の態様の微小突起物50を示し、これも同様に好適には多孔質のセラミック材料で構成させる。本発明に従い、微小突起物50は図3Bに示した微小突起物30と同様な形状および大きさを有するが、多数の穴52を含有する。しかしながら、この態様では、微小突起物50の内側領域に位置させた塗膜28の溶解を補助する目的で、微小突起物50に固い穴開け用縁54および前記穴開け用縁54に近接して位置する1個以上の開口部56を含める。
【0100】
本発明に従い、開口部56に持たせる形状および大きさは間質液1種または2種以上の所望の導入および前記塗膜の中に入っている作用剤1種または2種以上の放出を達成するいろいろな形状および大きさであってもよい。好適な態様では開口部56に曲線を有するか或は貝殻の形状を持たせる。
【0101】
図3Dに示すように、微小突起物50の内側領域を同様に塗料配合物で覆うことで固体状塗膜28を生じさせる。本発明に従い、その被覆を受けさせた微小突起物50を皮膚の中に挿入する時、皮膚および下に位置する組織と前記塗膜の接触が同様に実質的に制限され、穴52、開口部56および多孔質セラミック材料は、間質液がこれを取り巻く組織から入ってきて塗膜28と接触することを可能にする手段を与え、それによって、塗膜28が溶解することでその中に位置するいかなる作用剤も放出される。その後、その作用剤は微小突起物50の内側領域から微小突起物50の穴52、開口部56または多孔質セラミック壁を逆方向に通り抜けて拡散するであろう。
【0102】
本発明に従い、固体状の塗膜を生じさせる目的で前記微小突起物50の内側領域に塗布する塗料配合物には、同様に、この上に挙げた塗料配合物のいずれも含まれ得る。前記活性作用剤には、同様に、上述した作用剤のいずれも含まれ得る。
【0103】
前記微小突起物40、50の長さを好適には約1000ミクロン未満、より好適には約500ミクロン未満にし、外径を約20−200ミクロンの範囲にする。
【0104】
ここに、図4を参照して、本発明の2番目の一般的態様を製造する時の1番目の段階を示す。最初に、薄いシート61にエッチングを受けさせて材料を除去することで開口部68を生じさせることを通して、微小突起物配列体60Aを生じさせる。図4に示すように、エッチングで生じさせた開口部68に近接して微小突起物62および64が生じる。この段階では、微小突起物62および64はまだシート61の面の中に位置する。
【0105】
ここに、図5を参照して、微小突起物62および64がシート61の面から曲げられて突出しそして間隙66によって互いに分離している微小突起物配列体60Bを示す。図5に示すように、微小突起物62、64を好適にはシート61に対して実質的に垂直に曲げて、それらが互いに実質的に平行に位置するようにする。図5に更に示すように、微小突起物62および64は互いに面する内側表面67a、67bおよび外側表面65a、65bを有する。
【0106】
本発明の好適な態様では、微小突起物62、64をシート61から曲げて突出させた後、微小突起物62、64の内側表面67a、67bの少なくとも一方、好適には両方に塗料配合物を塗布することで固体状の塗膜を生じさせる。本発明に従い、その塗膜は、微小突起物62、64のデザインおよび配向のお陰で、微小突起物62、64を皮膚の中に挿入する時に除去されることも摩耗することもないように保護されている。
【0107】
本発明のさらなる態様では、そのような塗料配合物を各微小突起物62、64に塗布する時期は、微小突起物62、64をシート61の面から曲げて突出させる前である。
【0108】
本発明の考えられるさらなる態様では、また、そのような塗料配合物を微小突起物62、64の外側表面65a、65bにも塗布することで追加的塗膜をそれの上に生じさせる。
【0109】
ここに、図6および7を参照して、本発明のさらなる態様の微小突起物配列体の形成を示す。図6に示すように、材料71の薄いシートにエッチングを受けさせて開口部78を生じさせることで、同様にして、微小突起物配列体70Aを生じさせる。微小突起物72、74が開口部78に近接して位置する。
【0110】
ここに、図7を参照して、内側表面77a、77bが互いに面して位置する微小突起物72、74を同様にシート71の面に対して実質的に垂直に曲げることで生じさせる。図6および7に示すように、各微小突起物72、74は、各微小突起物72、74の本体の中に位置する開口部79を少なくとも1個、好適には多数有する。
【0111】
本発明に従い、開口部79に持たせる形状および大きさは多様であり得る。好適な態様では、開口部の形状を実質的に長方形にする。
【0112】
本発明の好適な態様では、微小突起物72、74をシート71から曲げて突出させた後、微小突起物72、74の内側表面77a、77bの少なくとも一方、好適には両方に塗料配合物を塗布することで同様に固体状の塗膜を生じさせる。本発明のさらなる態様では、そのような塗料配合物を各微小突起物72および74に塗布する時期は、微小突起物72、74をシート71の面から曲げて突出させる前である。
【0113】
本発明に従い、開口部79は、微小突起物配列体70Bを皮膚の中に挿入した後の体の間質液と前記塗膜の接触を助長する。開口部79は、更に、微小突起物72、74の間に位置していて内側表面77a、77bで限定されている保護された空間部の中で起こる塗膜の溶解そして塗膜に含まれている作用剤の放出(体の中への)も助長する。
【0114】
本発明の考えられるさらなる態様では、また、そのような塗料配合物を微小突起物72、74の外側表面75a、75bにも塗布することで追加的塗膜をそれの上に生じさせる。
【0115】
ここに、図8を参照して、本発明の別の態様の微小突起物配列体60Cを示す。図8に示すように、微小突起物配列体60Cは図5に示した配列体60Bと同様である。しかしながら、この態様では、配列体60Cに補強材80も含めて、これを好適には微小突起物62および64の先端に固定する。本発明に従い、補強材80は、微小突起物62、64の間に位置する内側表面67a、67bに追加的な構造的剛性を与えかつそれらの間の距離(即ち間隙66)を維持するに役立つ。
【0116】
ここに、図9を参照して、本発明の更に別の態様の微小突起物配列体70Cを示す。図9に示すように、微小突起物配列体70Cは図7に示した配列体70Bと同様であり、かつこれにも同様に補強材80を含めて、それを好適には微小突起物72および74の先端に固定する。
【0117】
微小突起物62、64および72、74の間の間隙66の大きさを、好適には、微小突起物の対(例えば62、64)が単一の貫入用装置として働きかつ「コアリング(coring)」が起こらない、即ち微小突起物を皮膚の中に挿入している時に微小突起物と微
小突起物の間に組織が入り込むことが起こらないような大きさにする。微小突起物の個々の対の間の間隙66を典型的には約25ミクロンから250ミクロンの範囲にする。
【0118】
微小突起物62、64、72、74の長さを好適には約1000ミクロン未満、より好適には約500ミクロン未満にする。
【0119】
本発明の好適な態様では、微小突起物62、64、72、74をステンレス鋼、チタン、ニッケルとチタンの合金または同様な生体適合性材料で構成させる。別法として、微小突起物62、64、72、74を非導電性材料、例えばParylene(商標)など、または疎水性材料、例えばTeflon(商標)など、シリコンまたは他の低エネルギー材料などで被覆してもよい。
【0120】
考えられるさらなる態様では、微小突起物62、64、72、74を非導電性材料、例えば重合体などで構成させる。
【0121】
本発明に従い、前記塗料配合物を公知のいろいろな方法で微小突起物62、64、72、74に塗布することができる。そのような塗布方法の1つには浸漬塗布が含まれる。浸漬塗布は前記微小突起物62、64、72、74の一部または全体を塗料溶液の中に浸漬することで前記微小突起物を塗布する手段であるとして記述可能である。部分浸漬技術を用いることで、塗膜を前記微小突起物62、64、72、74の先端のみに限定することも可能である。
【0122】
さらなる塗装方法にはローラーコーティングが含まれ、ローラーコーティングでは、塗膜を前記微小突起物62、64、72、74の先端に同様に限定するローラーコーティング機構を用いる。そのようなローラーコーティング方法は米国出願番号10/099,604(公開番号2002/0132054)(これは引用することによって全体が本明細書に包含される)に開示されている。この示した出願に詳細に考察されているように、ローラーコーティング方法を用いると、皮膚に穴を開けている時に塗膜が前記微小突起物62、64、72、74から除去されるのを更に制限する滑らかな塗膜が得られる。
【0123】
本発明に従い、前記微小突起物62、64、72、74に更に塗膜35の体積(volume)を受け取り(receive)そして/または向上させるに適した手段、例えば溝(grooves)(示していない)、表面の不規則さ(示していない)または同様な修飾を含めることも可能であり、そのような手段は表面積を大きくすることで塗料の付着量をより多くする。
【0124】
本発明の範囲内で使用可能なさらなる塗布方法には吹き付け塗装が含まれる。本発明に従い、吹き付け塗装は、塗料組成物のエーロゾル懸濁液を生じさせることを包含し得る。
【0125】
前記微小突起物62、64、72、74を塗装する時にまた模様塗り(pattern
coating)を用いることも可能である。付着させる液体を微小突起物表面の上に位置させる目的で分配装置(dispersing system)を用いて模様塗膜を付着させることができる。正確に計量する適切な液体分配装置の例が米国特許第5,916,524号、5,743,960号、5,741,554号および5,738,728号(これらは引用することによって完全に本明細書に包含される)に開示されている。
【0126】
また、公知の電磁弁分配装置、任意の流体移動手段および位置決め手段(これは一般に電場の使用で制御される)を利用したインクジェット技術を用いて微小突起物塗装用配合物または溶液を塗布することも可能である。本発明の模様塗膜を付着させる時、印刷産業の他の液体分配技術または本技術分野で公知の同様な液体分配技術も使用可能である。
【0127】
本発明に従い、固体状塗膜を生じさせる目的で前記微小突起物62、64、72、74に塗布する塗料配合物には、同様に、上述した塗料配合物のいずれも含まれ得る。前記活性作用剤には、同様に、上述した作用剤のいずれも含まれ得る。
【0128】
ここに、図10Aを参照して、本発明の更に別の態様を生じさせる時の1番目の段階を示す。最初に、シート90にエッチング、打ち抜きまたはレーザーによる穴開けを受けさせることで小さな開口部92の群94を1群以上生じさせる。本発明に従い、そのような開口部に持たせる大きさおよび形状はいろいろであり得る。
【0129】
2番目の段階は、群94に近接したシート90領域に変形または引き伸ばしを受けさせることで微小突起物96を1個以上生じさせることを包含する。次に、好適には、前記微小突起物96の中の1個以上の内部に塗料配合物を入れる。その配合物を乾燥させることで微小突起物96の中の1個以上の内側表面に沿って位置する固体状塗膜を生じさせる。
【0130】
本技術分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、前記被覆を受けさせた微小突起物96を組織の中に挿入する時、その塗膜は保護されておりかつ取り巻く組織と物理的に接触せず、その後、微小突起物96の中の開口部92によって前記塗膜は間質液に溶解し得る。
【0131】
本発明の考えられる追加的態様では、また、前記塗料配合物を前記微小突起物96の外側表面にも付着させてもよい。
【0132】
図10Aに示した群94は開口部92の円形配列を含有するが、開口部92およびこれらの配列に含める大きさおよび形態はいろいろであり得る。明らかに、円形が最も効率が良い、と言うのは、それによって開口部92の全部を微小突起物96の中に組み込むことができるからである。
【0133】
示してはいないが、各微小突起物96を生じさせる目的で変形させるシート90領域の面積を具体的に示した群94のいずれよりも大きくすることも可能である。それによって、結果として、開口部92は微小突起物96の先端近くのみに位置することになるであろう。
【0134】
前記微小突起物96の長さを好適には約1000ミクロン未満、より好適には約500ミクロン未満にし、最大直径を200ミクロン未満、より好適には100ミクロン未満にする。
【0135】
本明細書に開示した本発明の一般的デザインは送達すべき作用剤を含有させた塗膜を保護する微小突起物デザインに向けたものであるが、本発明をまた体液、例えば間質液などのサンプリングに関連させて用いることも可能である。前記塗膜に含有させる作用剤は、所望材料の産生を向上させる作用剤、例えばのう胞性線維症を試験する目的で発汗を高めるピロカルピンおよび/または上述した抗凝血剤または抗治療剤の中の1種であってもよい。
【0136】
本技術分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、本発明の微小突起物は受動的経皮装置およびシステム、例えば特許番号6,050,988号、6,083,196号、6,230,051号および6,219,574号に開示されている受動的経皮システム、および積極的経皮システム、例えば特許番号5,147,296号、5,080,646号、5,169,382号および5,169,383号(これらの開示は引用することによって明らかに全体が本明細書に包含される)に開示されているシステム
などで用いることも可能である。
【0137】
本発明の範囲および精神から逸脱しない本発明のいろいろな修飾形および変形が本分野の技術者に明らかになるであろう。本発明を本明細書に挙げた実例的態様および実施例で過度に限定することを意図するものでなく、そのような実施例および態様は単に例として示すものであり、本発明の範囲を本明細書に挙げる請求項のみで限定することを意図すると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、保護特徴が全く組み込まれていない従来技術の微小突起物配列体を示す透視図である。
【図2】図2は、作用剤が塗布されている図1に示した配列体と同様な従来技術の微小突起物配列体を示す透視図である。
【図3A】図3Aは、微小突起物が標準的な中空針様形態を有しかつ縦方向のスリットを有する本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図3B】図3Bは、微小突起物が標準的な中空針様形態を有しかつ壁を貫通して伸びる多数の穴を有する本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図3C】図3Cは、微小突起物が標準的な中空針様形態を有する多孔質セラミック材料を含んで成る本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図3D】図3Dは、微小突起物が標準的な中空針様形態を有する多孔質セラミック材料を含んで成る本発明の別の態様を示す透視図である。
【図4】図4は、シートからエッチングで取り除かれた後であるが微小突起物を本発明に従ってシートに対して垂直に曲げる前の多数の微小突起物を示すシート上面図である。
【図5】図5は、本発明に従って微小突起物がシート面に対して実質的に垂直に曲げられた後の図4に示したシートの透視図である。
【図6】図6は、本発明に従って微小突起物の本体の中にエッチングで取り除かれたスリットを有する多数の微小突起物を示す別の平らなシートの上面図である。
【図7】図7は、本発明に従って微小突起物がシート面に対して実質的に垂直に曲げられた後の図6に示したシートの透視図である。
【図8】図8は、図5に示した態様と同様ではあるがまた微小突起物の各対の先端と先端の間に取り付けられた支持用補強材も含有する本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図9】図9は、図7に示した態様と同様ではあるがまた微小突起物の各対の先端と先端の間に取り付けられた支持用補強材も含有する本発明の1つの態様を示す透視図である。
【図10A】図10Aは、平らなシートがこの平らなシートの中にエッチングで開けられた小さい穴の群を複数有することを示す本発明の1つの態様を示す平面図である。
【図10B】図10Bは、小さい穴の群の回りの中心に位置する微小突起物が複数生じるように前記シートに修飾を受けさせた後の図10Aに示した平らなシートを示す透視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的表面の中に挿入するに適した微小突起物部材であって、
少なくとも1番目と2番目の微小突起物を有していて前記1番目と2番目の微小突起物が内側および外側面を有するが、前記1番目の微小突起物内側面が前記2番目の微小突起物内側面と実質的に平行に位置していることで、それらの間に実質的に均一な間隙が形成されている微小突起物配列体、および
前記1番目と2番目の微小突起物内側面の上に位置する生体適合性塗膜、
を含んで成っていて、
前記1番目および2番目の微小突起物が前記1番目および2番目の微小突起物を前記生物学的表面の中に挿入している時に起こる前記塗膜と前記生物学的表面の接触を実質的に制限するに適応する、
微小突起物部材。
【請求項2】
少なくとも前記1番目の微小突起物が開口部を少なくとも1個含有する請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項3】
前記1番目と2番目の微小突起物の各々が開口部を少なくとも1個含有する請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項4】
該微小突起物部材が前記1番目と2番目の微小突起物の間に位置する補強材を含有していて前記補強材が前記1番目と2番目の微小突起物と連結している請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項5】
前記1番目と2番目の微小突起物がステンレス鋼、チタン、ニッケルとチタンの合金および同様な生体適合性材料から成る群から選択される材料で形成されている請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項6】
前記1番目と2番目の微小突起物が非導電性材料で形成されている請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項7】
前記1番目と2番目の微小突起物が非導電性材料で被覆されている請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項8】
前記1番目と2番目の微小突起物の長さが約1000ミクロン未満である請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項9】
前記生体適合性塗膜が塗料配合物を前記1番目と2番目の微小突起物に塗布することで生じさせた塗膜である請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項10】
前記塗料配合物がホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似物、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似物、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Va14,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリナミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン拮抗薬、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド、蛋白質C、蛋白質S、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシン拮抗薬類似物、アルファ−1アンチトリプシン(組換え型)、TGF−ベータ、フォンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサン多硫酸、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167およびRWJ−671818から成る群から選択される少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項11】
前記塗料配合物がインフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、組換え蛋白ワクチン、DNAワクチンおよび治療用癌ワクチンから成る群から選択される少なくとも1種のワクチンを含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項12】
前記塗料配合物がアスコルビン酸、クエン酸、こはく酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタアクリル酸、イソクロトン酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の緩衝剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項13】
前記塗料配合物がラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベートおよび他のソルビタン誘導体から成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項14】
前記塗料配合物がヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)およびエチルヒドロキシ−エチルセルロース(EHEC)から成る群から選択される少なくとも1種の高分子材料を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項15】
前記塗料配合物がヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の親水性重合体を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項16】
前記塗料配合物がヒトアルブミン、バイオ工学処理されたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースから成る群から
選択される少なくとも1種の生体適合性担体を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項17】
前記塗料配合物が還元糖、非還元糖および多糖から成る群から選択される少なくとも1種の安定剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項18】
前記非還元糖がスクロース、トレハロース、スタキオースおよびラフィノースから成る群から選択される請求項17記載の微小突起物部材。
【請求項19】
前記多糖がデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンから成る群から選択される請求項17記載の微小突起物部材。
【請求項20】
前記還元糖がアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトース、プリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースから成る群から選択される請求項17記載の微小突起物部材。
【請求項21】
前記塗料配合物がアミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の血管収縮薬を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項22】
前記塗料配合物が浸透圧性作用剤、両性イオン化合物および抗炎症薬から成る群から選択される少なくとも1種の経路開通調節剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項23】
前記抗炎症薬がベタメタゾン21−燐酸ジナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−燐酸ジナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩、燐酸ジナトリウムパラメタゾンおよびプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩から成る群から選択される請求項22記載の微小突起物部材。
【請求項24】
前記経路開通調節剤がクエン酸、クエン酸塩、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAから成る群から選択される抗凝血剤を含んで成る請求項22記載の微小突起物部材。
【請求項25】
前記塗料配合物がアルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンから成る群から選択される少なくとも1種の可溶化/錯化剤を含有し、最も好適な可溶化/錯化剤がベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シ
クロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンである請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項26】
前記塗料配合物が有する粘度が約3センチポイズ超から約500センチポイズ未満である請求項9記載の微小突起物。
【請求項27】
前記塗膜の厚みが100ミクロン未満である請求項1記載の微小突起物。
【請求項1】
生物学的表面の中に挿入するに適した微小突起物部材であって、
少なくとも1番目と2番目の微小突起物を有していて前記1番目と2番目の微小突起物が内側および外側面を有するが、前記1番目の微小突起物内側面が前記2番目の微小突起物内側面と実質的に平行に位置していることで、それらの間に実質的に均一な間隙が形成されている微小突起物配列体、および
前記1番目と2番目の微小突起物内側面の上に位置する生体適合性塗膜、
を含んで成っていて、
前記1番目および2番目の微小突起物が前記1番目および2番目の微小突起物を前記生物学的表面の中に挿入している時に起こる前記塗膜と前記生物学的表面の接触を実質的に制限するに適応する、
微小突起物部材。
【請求項2】
少なくとも前記1番目の微小突起物が開口部を少なくとも1個含有する請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項3】
前記1番目と2番目の微小突起物の各々が開口部を少なくとも1個含有する請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項4】
該微小突起物部材が前記1番目と2番目の微小突起物の間に位置する補強材を含有していて前記補強材が前記1番目と2番目の微小突起物と連結している請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項5】
前記1番目と2番目の微小突起物がステンレス鋼、チタン、ニッケルとチタンの合金および同様な生体適合性材料から成る群から選択される材料で形成されている請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項6】
前記1番目と2番目の微小突起物が非導電性材料で形成されている請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項7】
前記1番目と2番目の微小突起物が非導電性材料で被覆されている請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項8】
前記1番目と2番目の微小突起物の長さが約1000ミクロン未満である請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項9】
前記生体適合性塗膜が塗料配合物を前記1番目と2番目の微小突起物に塗布することで生じさせた塗膜である請求項1記載の微小突起物部材。
【請求項10】
前記塗料配合物がホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似物、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH類似物、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Va14,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)、グルカゴン、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリナミド)、リプレシン、aANF、bMSH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エポプロステノール、ヒルログ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンギオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン拮抗薬、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FABフラグメント、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド、蛋白質C、蛋白質S、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレシン拮抗薬類似物、アルファ−1アンチトリプシン(組換え型)、TGF−ベータ、フォンダパリヌクス、アルデパリン、ダルテパリン、デフィブロチド、エノキサパリン、ヒルジン、ナドロパリン、レビパリン、チンザパリン、ペントサン多硫酸、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、イバンドロン酸、インカドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸、アルガトロバン、RWJ 445167およびRWJ−671818から成る群から選択される少なくとも1種の生物学的に活性な作用剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項11】
前記塗料配合物がインフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、組換え蛋白ワクチン、DNAワクチンおよび治療用癌ワクチンから成る群から選択される少なくとも1種のワクチンを含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項12】
前記塗料配合物がアスコルビン酸、クエン酸、こはく酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタアクリル酸、イソクロトン酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の緩衝剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項13】
前記塗料配合物がラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベートおよび他のソルビタン誘導体から成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項14】
前記塗料配合物がヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)およびエチルヒドロキシ−エチルセルロース(EHEC)から成る群から選択される少なくとも1種の高分子材料を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項15】
前記塗料配合物がヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の親水性重合体を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項16】
前記塗料配合物がヒトアルブミン、バイオ工学処理されたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースから成る群から
選択される少なくとも1種の生体適合性担体を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項17】
前記塗料配合物が還元糖、非還元糖および多糖から成る群から選択される少なくとも1種の安定剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項18】
前記非還元糖がスクロース、トレハロース、スタキオースおよびラフィノースから成る群から選択される請求項17記載の微小突起物部材。
【請求項19】
前記多糖がデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンから成る群から選択される請求項17記載の微小突起物部材。
【請求項20】
前記還元糖がアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトース、プリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソフォロースおよびツラノースから成る群から選択される請求項17記載の微小突起物部材。
【請求項21】
前記塗料配合物がアミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の血管収縮薬を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項22】
前記塗料配合物が浸透圧性作用剤、両性イオン化合物および抗炎症薬から成る群から選択される少なくとも1種の経路開通調節剤を含有する請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項23】
前記抗炎症薬がベタメタゾン21−燐酸ジナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−燐酸ジナトリウム、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−燐酸ジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩、燐酸ジナトリウムパラメタゾンおよびプレドニゾロン21−こはく酸ナトリウム塩から成る群から選択される請求項22記載の微小突起物部材。
【請求項24】
前記経路開通調節剤がクエン酸、クエン酸塩、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAから成る群から選択される抗凝血剤を含んで成る請求項22記載の微小突起物部材。
【請求項25】
前記塗料配合物がアルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンから成る群から選択される少なくとも1種の可溶化/錯化剤を含有し、最も好適な可溶化/錯化剤がベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シ
クロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンである請求項9記載の微小突起物部材。
【請求項26】
前記塗料配合物が有する粘度が約3センチポイズ超から約500センチポイズ未満である請求項9記載の微小突起物。
【請求項27】
前記塗膜の厚みが100ミクロン未満である請求項1記載の微小突起物。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公表番号】特表2007−501071(P2007−501071A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522696(P2006−522696)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/025169
【国際公開番号】WO2005/016441
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/025169
【国際公開番号】WO2005/016441
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
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