経路案内システム及び経路案内方法
【課題】経路を適正に案内することができるようにする。
【解決手段】目的地を設定する目的地設定処理手段と、記録装置から歩行者に関する情報を取得し、注意道路を抽出する注意道路抽出処理手段と、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正するリンクコスト補正処理手段と、補正されたリンクコストに従って目的地までの経路を探索する探索処理手段と、探索された経路を案内する案内処理手段とを有する。経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストが補正され、補正されたリンクコストに従って経路が探索されるので、注意道路を構成する道路リンクが探索された経路に含まれるのを抑制することができる。
【解決手段】目的地を設定する目的地設定処理手段と、記録装置から歩行者に関する情報を取得し、注意道路を抽出する注意道路抽出処理手段と、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正するリンクコスト補正処理手段と、補正されたリンクコストに従って目的地までの経路を探索する探索処理手段と、探索された経路を案内する案内処理手段とを有する。経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストが補正され、補正されたリンクコストに従って経路が探索されるので、注意道路を構成する道路リンクが探索された経路に含まれるのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、経路案内システム及び経路案内方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、ナビゲーション装置においては、例えば、ＧＰＳ（グローバルポジショニングシステム）によって車両の現在の位置、すなわち、現在地が検出されるとともに、ジャイロセンサによって検出された車両の旋回角に基づいて、車両の方位、すなわち、自車方位が検出され、データ記録部から地図データが読み出され、表示部に地図画面が形成され、該地図画面に、現在地を表す自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位が表示されるようになっている。したがって、操作者である運転者は、前記地図画面に表示された自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【０００３】
また、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて、経路探索処理が行われ、前記地図データに従って現在地で表される出発地から目的地までの経路が探索される。そして、探索された経路、すなわち、探索経路は前記地図画面に自車位置と共に表示される。したがって、運転者は表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【０００４】
ところで、商店街、公園の付近等のように人通りの多い箇所の道路、通学路のように子供が多く利用する道路、病院の付近のように高齢者が多く利用する道路等においては、車両を走行させるのに時間がかかったり、歩行者に対して十分な注意を要したりする。そこで、前記各道路を回避して経路を探索するようにしたナビゲーション装置が提供されている（例えば、特許文献１参照。）。
【特許文献１】特開平８−２６１７８１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、前記各道路だけでなく、その周辺のすべての道路についても回避して経路が探索されるので、必ずしも回避する必要のない道路を回避する可能性があり、目的地に到達するまでの時間が無用に長くなってしまう。
【０００６】
また、商店街、公園、学校、病院等のような施設のジャンルに基づいて、所定の道路を回避するようになっているので、施設のジャンルに属さない道路においては、車両を走行させるのに注意を要する道路であっても回避することができなくなることがある。
【０００７】
したがって、経路を適正に案内することができない。
【０００８】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、経路を適正に案内することができる経路案内システム及び経路案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
そのために、本発明の経路案内システムにおいては、目的地を設定する目的地設定処理手段と、道路リンクごとに歩行者に関する情報が記録された記録装置と、該記録装置から歩行者に関する情報を取得し、注意道路を抽出する注意道路抽出処理手段と、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正するリンクコスト補正処理手段と、補正されたリンクコストに従って目的地までの経路を探索する探索処理手段と、探索された経路を案内する案内処理手段とを有する。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストが補正され、補正されたリンクコストに従って経路が探索されるので、注意道路を構成する道路リンクが探索された経路に含まれるのを抑制することができる。したがって、注意道路を回避して経路を探索することができるので、車両を円滑に走行させることができる。その結果、経路を適正に案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１２】
図１は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【００１３】
図において、１４は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、６３はネットワーク、５１は情報提供者としての情報センタであり、前記ナビゲーション装置１４、ネットワーク６３、情報センタ５１等によってナビゲーションシステムが構成される。
【００１４】
前記ナビゲーション装置１４は、現在地を検出する現在地検出部としてのＧＰＳセンサ１５、地図データのほかに各種の情報が記録されたデータ記録部１６、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部１７、自車方位を検出する方位検出部としての方位センサ１８、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第１の入力部としての操作部３４、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第１の出力部としての表示部３５、音声によって所定の入力を行うための第２の入力部としての音声入力部３６、音声によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第２の出力部としての音声出力部３７、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部３８を備え、前記ナビゲーション処理部１７に、ＧＰＳセンサ１５、データ記録部１６、方位センサ１８、操作部３４、表示部３５、音声入力部３６、音声出力部３７及び通信部３８が接続される。
【００１５】
また、前記ナビゲーション処理部１７には、必要に応じて車両の前方を監視する前方監視装置、道路の車線を区分する表示線を認識する表示線認識装置、車両の周辺を監視する周辺監視装置等を接続することができる。さらに、前記ナビゲーション処理部１７には、車両情報検出部としての、かつ、車速検出部としての車速センサ４４が配設され、該車速センサ４４によって車速が検出される。
【００１６】
前記ＧＰＳセンサ１５は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在地を検出し、併せて時刻を検出する。本実施の形態においては、現在地検出部としてＧＰＳセンサ１５が使用されるようになっているが、該ＧＰＳセンサ１５に代えて図示されない距離センサ、ステアリングセンサ、高度計等を単独で、又は組み合わせて使用することもできる。また、前記方位センサ１８としてジャイロセンサ、地磁気センサ等を使用することができる。
【００１７】
前記データ記録部１６には、地図データファイルから成る地図データベースが形成され、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれる。また、前記データ記録部１６には、音声出力部３７によって所定の情報を音声で出力するためのデータも記録される。
【００１８】
さらに、前記データ記録部１６には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が形成され、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【００１９】
なお、前記データ記録部１６は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、ＣＤ、ＤＶＤ、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。前記データ記録部１６にメモリカード等を使用することができる。
【００２０】
本実施の形態においては、前記データ記録部１６に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が配設されるようになっているが、情報センタ５１において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を配設することもできる。
【００２１】
また、前記ナビゲーション処理部１７は、ナビゲーション装置１４の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのＣＰＵ３１、該ＣＰＵ３１が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるＲＡＭ３２、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、探索経路の案内、すなわち、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたＲＯＭ３３、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリを備える。
【００２２】
本実施の形態においては、前記ＲＯＭ３３に各種のプログラムを記録し、前記データ記録部１６に各種のデータを記録することができるが、プログラム、データ等をディスク等に記録することもできる。この場合、ディスク等から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに書き込むことができる。したがって、ディスク等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。また、車両に搭載された図示されない自動変速機の制御を行うために自動変速機制御装置が搭載されている場合には、該自動変速機制御装置の制御用のプログラム、データ等も前記ディスク等に記録することができる。さらに、通信部３８を介して前記プログラム、データ等を受信し、ナビゲーション処理部１７のフラッシュメモリに書き込むこともできる。
【００２３】
前記操作部３４は、運転者が操作することによって、走行開始時の現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したり、通過点を入力したり、通信部３８を作動させたりするためのものであり、前記操作部３４として、表示部３５とは独立に配設されたキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部３４として、前記表示部３５に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【００２４】
前記表示部３５としてはディスプレイを使用することができる。そして、表示部３５に形成された各種の画面に、現在地を表す自車位置、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができるだけでなく、前記画像操作部、操作部３４、音声入力部３６等の操作案内、操作メニュー、キーの案内を表示したり、ＦＭ多重放送の番組等を表示したりすることができる。
【００２５】
また、音声入力部３６は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部３７は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部３７から、前記探索経路、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【００２６】
前記通信部３８は、情報提供者としてのＶＩＣＳ（登録商標：Ｖｅｈｉｃｌｅ Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ ａｎｄ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ Ｓｙｓｔｅｍ）センタ等の図示されない道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するためのビーコンレシーバ、ＦＭ放送局を介してＦＭ多重放送として受信するためのＦＭ受信機等を備える。なお、前記交通情報には、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等が含まれ、一般情報には、ニュース、天気予報等が含まれる。なお、前記ビーコンレシーバ及びＦＭ受信機は、ユニット化されてＶＩＣＳレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【００２７】
また、前記交通情報は、情報の種別を表す情報種別データ、メッシュとしての２次メッシュを特定するための２次メッシュＸ、Ｙデータ、二つの地点（例えば、交差点）間を連結する道路リンクを特定し、かつ、上り／下りの別を表すリンク番号データ、該リンク番号データに対応させて提供される情報の内容を表すリンク情報を含み、例えば、交通情報が渋滞情報である場合、前記リンク情報は、前記道路リンクの始点から渋滞の先頭までの距離を表す渋滞先頭データ、渋滞の度合いを表す渋滞度、渋滞区間を前記渋滞の先頭から渋滞の末尾までの距離を表す渋滞長、各道路リンクの所要時間であるリンク所要時間等から成る。
【００２８】
そして、通信部３８は、前記情報センタ５１から交通情報、一般情報等の各種の情報を受信することもできる。
【００２９】
そのために、前記情報センタ５１は、サーバ５３、該サーバ５３に接続された通信部５７及び情報記録部としてのデータベース（ＤＢ）５８等を備え、前記サーバ５３は、情報センタ５１の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのＣＰＵ５４、ＲＡＭ５５、ＲＯＭ５６等を備える。また、前記データベース５８に、前記データ記録部１６に記録された各種のデータと同様のデータ、例えば、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等を記録する。さらに、情報センタ５１は、複数の車両（自車又は他車）から収集した走行履歴データをリアルタイムに提供することができる。
【００３０】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部１７、ＣＰＵ３１、５４等は、各種のプログラム、データ等に基づいてコンピュータとして機能する。また、データ記録部１６、ＲＡＭ３２、５５、ＲＯＭ３３、５６、データベース５８、フラッシュメモリ等によって記録装置及び記録媒体が構成される。そして、演算装置として、ＣＰＵ３１、５４に代えてＭＰＵ等を使用することもできる。
【００３１】
次に、前記構成のナビゲーションシステムを経路案内システムとして使用したときの基本動作について説明する。
【００３２】
まず、運転者によって操作部３４が操作され、ナビゲーション装置１４が起動されると、ＣＰＵ３１の図示されないナビ初期化処理手段は、ナビ初期化処理を行い、ＧＰＳセンサ１５によって検出された現在地、方位センサ１８によって検出された自車方位等を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。なお、前記ＣＰＵ３１の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた現在地の軌跡、及び現在地の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、現在地がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、現在地を特定する。
【００３３】
続いて、ＣＰＵ３１の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データをデータ記録部１６から読み出して取得するか、又は通信部３８を介して情報センタ５１等から受信して取得する。なお、情報センタ５１から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。また、地図データを通信部３８を介して取得する際にプログラムを併せて取得することもできる。
【００３４】
そして、前記ＣＰＵ３１の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部３５に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の道路地図表示処理手段は、道路地図表示処理を行い、表示部３５に地図画面を形成し、該地図画面に自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位を表示する。したがって、運転者は、前記自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【００３５】
また、運転者が操作部３４を操作して目的地を入力すると、ＣＰＵ３１の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として入力することができる。続いて、運転者が操作部３４を操作して探索条件を入力すると、ＣＰＵ３１の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【００３６】
このようにして、目的地及び探索条件が設定されると、ＣＰＵ３１の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記現在地、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部１６から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、現在地で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。この場合、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【００３７】
続いて、前記ＣＰＵ３１の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、運転者に経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。この場合、必要に応じて、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、音声出力部３７から探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【００３８】
なお、情報センタ５１において経路探索処理を行うことができる。その場合、ＣＰＵ３１は現在地、目的地、探索条件等を情報センタ５１に送信する。該情報センタ５１は、現在地、目的地、探索条件等を受信すると、ＣＰＵ５４の図示されない経路探索処理手段は、ＣＰＵ３１と同様の経路探索処理を行い、データベース５８から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。続いて、ＣＰＵ５４の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをナビゲーション装置１４に送信する。したがって、ナビゲーション装置１４において、前記基本情報取得処理手段が情報センタ５１からの経路データを受信すると、前記案内処理手段は、前述されたような経路案内を行う。
【００３９】
ところで、前記探索経路に、商店街、公園の付近等のように人通りの多い箇所の道路、通学路のように子供が多く利用する道路、病院の付近のように高齢者が多く利用する道路等が含まれると、探索経路に沿って車両を走行させるのに時間がかかったり、歩行者に対して十分な注意を要したりする。
【００４０】
そこで、本実施の形態においては、車両を走行させるに当たり、時間がかかったり、歩行者に対して十分な注意を要したりする箇所、例えば、地点、交差点、道路等を注意箇所とし、経路を探索するに当たり、注意箇所を含む道路リンクのリンクコストを変更するようにしている。
【００４１】
図２は本発明の実施の形態における経路探索処理手段の動作を示すフローチャート、図３は本発明の実施の形態における案内処理手段の動作を示すフローチャート、図４は本発明の実施の形態における注意箇所案内処理の第１の例を示す図、図５は本発明の実施の形態における注意箇所案内処理の第２の例を示す図である。
【００４２】
この場合、注意箇所を含む道路リンクを識別するために、データ記録部１６（図１）の道路データにおいて、道路リンクごとに歩行者に関する情報、すなわち、歩行者情報が記録される。
【００４３】
なお、前記歩行者情報は、例えば、国土交通省によって提供された道路交通センサスによるデータ（以下「道路交通センサス情報」という。）、駅の乗降者数データ等に基づいて作成され、歩道の有無、歩道の幅、歩行者の数、横断歩道の幅等から成る。前記横断歩道の幅については、横断歩道の位置情報としての座標等も併せて記録される。
【００４４】
そして、経路を探索するに当たり、前記経路探索処理手段の注意道路抽出処理手段は、注意道路抽出処理を行い、前記データ記録部１６を参照し、前記歩行者情報に基づいて前記注意箇所を含む道路リンクから成る注意道路を抽出する。
【００４５】
該注意道路は、歩道の有無、歩道の幅、歩行者の数、横断歩道の幅等のポイント判定指標に基づいて第１、第２の類型に分けられる。そして、第１の類型の注意道路は、歩行者に対して十分な注意を要する箇所、例えば、歩道がない道路リンク、歩道の幅が狭く（閾（しきい）値以下であり）、かつ、歩行者の数が零ではなく、わずかでもある道路リンクを含む。また、第２の類型の注意道路は、通過するのに時間がかかる箇所、例えば、歩道の幅が広い（閾値より大きい）が、横断歩道において歩行者がとぎれなく続き、右左折に時間がかかると思われる交差点等を備えた道路リンクを含む。
【００４６】
横断歩道において歩行者がとぎれなく続くかどうかは、次のように判断することができる。すなわち、青信号が点灯されている間の時間当たりの歩行者数をｎとし、交差点における横断歩道の幅をｗとし、歩行者間の間隔をｋとしたとき、
ｎ＞ｗ／ｋ
である場合、横断歩道において歩行者がとぎれなく続くと判断することができ、
ｎ≦ｗ／ｋ
である場合、横断歩道において歩行者が続かないと判断することができる。
【００４７】
また、前記歩行者数ｎは、例えば、道路交通センサス情報で得られる１２時間の歩行者数Ｎｈ、青信号の時間ｔｂに基づいて算出することができる。そして、青信号の時間ｔｂは、交差点の道路種別により算出することができ、例えば、国道と国道とが交差する交差点の場合、いずれの国道側においても、２〔分〕とし、国道と県道とが交差する交差点の場合、国道側においては３〔分〕とし、県道側においては１〔分〕とする。したがって、国道と国道とが交差する交差点における１２時間中の青信号の延時間は３６０〔分〕であるので、歩行者数ｎは、
ｎ＝Ｎｈ／３６０
になる。一方、前記間隔ｋを１〔ｍ〕とすると、
Ｎｈ／３６０＞ｗ／１
Ｎｈ＞３６０×ｗ
であるとき、横断歩道において歩行者がとぎれなく続くと判断することができる。この場合、横断歩道において歩行者がとぎれなく続くかどうかの定義を適宜変更することができる。
【００４８】
なお、デパート等が密集している地域であり、該地域内に駐車場が少ないか、又はほとんど満車である場合に、所定の地点、交差点等の注意箇所を含む道路リンクによって構成される注意道路を第２の類型の注意道路として設定することができる。同様に、観光地の地域であり、該地域内に駐車場が少ないか、又はほとんど満車である場合に、所定の地点、交差点等の注意箇所を含む道路リンクによって構成される注意道路を第２の類型の注意道路として設定することもできる。
【００４９】
続いて、前記経路探索処理手段のリンクコスト補正処理手段は、リンクコスト補正処理を行い、前記経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正することによって高くし、前記注意道路を構成する道路リンクが探索経路に含まれるのを抑制する。
【００５０】
そのために、前記リンクコスト補正処理手段は、経路探索処理の対象となる各道路リンクが、第１、第２の類型の注意道路を構成するかどうかを判断し、第１の類型の注意道路を構成する場合、例えば、道路リンクのリンクコストのうちのリンク長コストを通常の４倍にし、第２の類型の注意道路を構成する場合、例えば、リンクコストのうちの右左折コストを通常の４倍にし、補正する。
【００５１】
続いて、前記経路探索処理手段の探索処理手段は、探索処理を行い、補正されたリンクコストに従って経路を探索する。そして、前記案内処理手段は、補正されたリンクコストに基づいて探索された探索経路を案内する。
【００５２】
このように、注意箇所を含む道路リンクのリンクコストが高くされるので、注意箇所を含む道路リンクが探索経路に含まれるのを抑制することができる。したがって、注意箇所を含む道路リンクから成る注意道路を回避して経路を探索することができるので、車両を円滑に走行させることができる。
【００５３】
そして、各歩行者情報は道路リンクごとに記録され、注意道路を構成する道路リンクについてだけリンクコストが変更されるので、必ずしも回避する必要のない道路を回避する可能性がなくなる。したがって、目的地に到達するまでの時間を短くすることができる。
【００５４】
また、各注意箇所は、商店街、公園、学校、病院等のような施設のジャンルに対して設定されるようになっておらず、所定の地点、交差点等に対して設定されるので、注意箇所を含む道路リンクを構成する注意道路については十分に回避することができる。したがって、経路を適正に案内することができる。
【００５５】
ところで、前記探索処理手段において、前記注意道路を構成する道路リンクは、リンクコストを高くすることによって探索経路に含まれるのが抑制されるようになっているので、前記道路リンクが探索経路に含まれるのが完全に阻止されるわけではない。
【００５６】
そこで、探索経路上に存在する注意箇所について運転者に注意を喚起するようにしている。そのために、前記案内処理手段の注意箇所判定処理手段は、注意箇所判定処理を行い、前記探索処理手段によって探索された探索経路上に注意箇所があるかどうかを判断し、探索経路上に注意箇所がある場合、前記案内処理手段の注意箇所案内処理手段は、注意箇所案内処理を行い、前記注意箇所を案内し、運転者に注意を喚起する。例えば、前記注意箇所案内処理手段は、前記地図画面に交差点拡大図を形成し、注意箇所の座標を読み込み、例えば、図４に示されるように、前記交差点拡大図の対応する箇所に注意箇所である交差点ｍ１を表示する。そして、前記音声出力処理手段は、前記交差点ｍ１の手前の所定の地点で、音声出力部３７から「この先、歩道がないため、注意して走行してください。」等のメッセージを音声で出力する。
【００５７】
また、例えば、前記注意箇所案内処理手段は、図５に示されるように、前記地図画面に交差点拡大図を形成し、該交差点拡大図に注意箇所である交差点ｍ１を表示するとともに、所定の箇所に、歩行者に対して十分な注意を要することについて、注意を喚起するためのマークａ１を表示したり、通過するのに時間がかかることについて、注意を喚起するためのマークａ２を表示したりすることができる。
【００５８】
このように、車両を走行させるのに時間がかかったり、歩行者に対して十分な注意を要したりする注意箇所について音声で、又はマークａ１、ａ２によって注意を喚起するようになっているので、経路を一層適正に案内することができる。
【００５９】
次に、図２のフローチャートについて説明する。
ステップＳ１ 注意道路を抽出する。
ステップＳ２ 注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを高くし、処理を終了する。
【００６０】
次に、図３のフローチャートについて説明する。
ステップＳ１１ 案内を開始する。
ステップＳ１２ 探索経路上に注意箇所があるかどうかを判断する。探索経路上に注意箇所がある場合はステップＳ１３に進み、ない場合は処理を終了する。
ステップＳ１３ 注意箇所案内処理を行い、処理を終了する。
【００６１】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【００６２】
【図１】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図２】本発明の実施の形態における経路探索処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図３】本発明の実施の形態における案内処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図４】本発明の実施の形態における注意箇所案内処理の第１の例を示す図である。
【図５】本発明の実施の形態における注意箇所案内処理の第２の例を示す図である。
【符号の説明】
【００６３】
１４ ナビゲーション装置
１６ データ記録部
１７ ナビゲーション処理部
３１、５４ ＣＰＵ
５１ 情報センタ
６３ ネットワーク
【技術分野】
【０００１】
本発明は、経路案内システム及び経路案内方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、ナビゲーション装置においては、例えば、ＧＰＳ（グローバルポジショニングシステム）によって車両の現在の位置、すなわち、現在地が検出されるとともに、ジャイロセンサによって検出された車両の旋回角に基づいて、車両の方位、すなわち、自車方位が検出され、データ記録部から地図データが読み出され、表示部に地図画面が形成され、該地図画面に、現在地を表す自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位が表示されるようになっている。したがって、操作者である運転者は、前記地図画面に表示された自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【０００３】
また、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて、経路探索処理が行われ、前記地図データに従って現在地で表される出発地から目的地までの経路が探索される。そして、探索された経路、すなわち、探索経路は前記地図画面に自車位置と共に表示される。したがって、運転者は表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【０００４】
ところで、商店街、公園の付近等のように人通りの多い箇所の道路、通学路のように子供が多く利用する道路、病院の付近のように高齢者が多く利用する道路等においては、車両を走行させるのに時間がかかったり、歩行者に対して十分な注意を要したりする。そこで、前記各道路を回避して経路を探索するようにしたナビゲーション装置が提供されている（例えば、特許文献１参照。）。
【特許文献１】特開平８−２６１７８１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、前記各道路だけでなく、その周辺のすべての道路についても回避して経路が探索されるので、必ずしも回避する必要のない道路を回避する可能性があり、目的地に到達するまでの時間が無用に長くなってしまう。
【０００６】
また、商店街、公園、学校、病院等のような施設のジャンルに基づいて、所定の道路を回避するようになっているので、施設のジャンルに属さない道路においては、車両を走行させるのに注意を要する道路であっても回避することができなくなることがある。
【０００７】
したがって、経路を適正に案内することができない。
【０００８】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、経路を適正に案内することができる経路案内システム及び経路案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
そのために、本発明の経路案内システムにおいては、目的地を設定する目的地設定処理手段と、道路リンクごとに歩行者に関する情報が記録された記録装置と、該記録装置から歩行者に関する情報を取得し、注意道路を抽出する注意道路抽出処理手段と、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正するリンクコスト補正処理手段と、補正されたリンクコストに従って目的地までの経路を探索する探索処理手段と、探索された経路を案内する案内処理手段とを有する。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストが補正され、補正されたリンクコストに従って経路が探索されるので、注意道路を構成する道路リンクが探索された経路に含まれるのを抑制することができる。したがって、注意道路を回避して経路を探索することができるので、車両を円滑に走行させることができる。その結果、経路を適正に案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１２】
図１は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【００１３】
図において、１４は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、６３はネットワーク、５１は情報提供者としての情報センタであり、前記ナビゲーション装置１４、ネットワーク６３、情報センタ５１等によってナビゲーションシステムが構成される。
【００１４】
前記ナビゲーション装置１４は、現在地を検出する現在地検出部としてのＧＰＳセンサ１５、地図データのほかに各種の情報が記録されたデータ記録部１６、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部１７、自車方位を検出する方位検出部としての方位センサ１８、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第１の入力部としての操作部３４、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第１の出力部としての表示部３５、音声によって所定の入力を行うための第２の入力部としての音声入力部３６、音声によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第２の出力部としての音声出力部３７、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部３８を備え、前記ナビゲーション処理部１７に、ＧＰＳセンサ１５、データ記録部１６、方位センサ１８、操作部３４、表示部３５、音声入力部３６、音声出力部３７及び通信部３８が接続される。
【００１５】
また、前記ナビゲーション処理部１７には、必要に応じて車両の前方を監視する前方監視装置、道路の車線を区分する表示線を認識する表示線認識装置、車両の周辺を監視する周辺監視装置等を接続することができる。さらに、前記ナビゲーション処理部１７には、車両情報検出部としての、かつ、車速検出部としての車速センサ４４が配設され、該車速センサ４４によって車速が検出される。
【００１６】
前記ＧＰＳセンサ１５は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在地を検出し、併せて時刻を検出する。本実施の形態においては、現在地検出部としてＧＰＳセンサ１５が使用されるようになっているが、該ＧＰＳセンサ１５に代えて図示されない距離センサ、ステアリングセンサ、高度計等を単独で、又は組み合わせて使用することもできる。また、前記方位センサ１８としてジャイロセンサ、地磁気センサ等を使用することができる。
【００１７】
前記データ記録部１６には、地図データファイルから成る地図データベースが形成され、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれる。また、前記データ記録部１６には、音声出力部３７によって所定の情報を音声で出力するためのデータも記録される。
【００１８】
さらに、前記データ記録部１６には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が形成され、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【００１９】
なお、前記データ記録部１６は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、ＣＤ、ＤＶＤ、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。前記データ記録部１６にメモリカード等を使用することができる。
【００２０】
本実施の形態においては、前記データ記録部１６に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が配設されるようになっているが、情報センタ５１において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を配設することもできる。
【００２１】
また、前記ナビゲーション処理部１７は、ナビゲーション装置１４の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのＣＰＵ３１、該ＣＰＵ３１が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるＲＡＭ３２、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、探索経路の案内、すなわち、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたＲＯＭ３３、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリを備える。
【００２２】
本実施の形態においては、前記ＲＯＭ３３に各種のプログラムを記録し、前記データ記録部１６に各種のデータを記録することができるが、プログラム、データ等をディスク等に記録することもできる。この場合、ディスク等から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに書き込むことができる。したがって、ディスク等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。また、車両に搭載された図示されない自動変速機の制御を行うために自動変速機制御装置が搭載されている場合には、該自動変速機制御装置の制御用のプログラム、データ等も前記ディスク等に記録することができる。さらに、通信部３８を介して前記プログラム、データ等を受信し、ナビゲーション処理部１７のフラッシュメモリに書き込むこともできる。
【００２３】
前記操作部３４は、運転者が操作することによって、走行開始時の現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したり、通過点を入力したり、通信部３８を作動させたりするためのものであり、前記操作部３４として、表示部３５とは独立に配設されたキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部３４として、前記表示部３５に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【００２４】
前記表示部３５としてはディスプレイを使用することができる。そして、表示部３５に形成された各種の画面に、現在地を表す自車位置、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができるだけでなく、前記画像操作部、操作部３４、音声入力部３６等の操作案内、操作メニュー、キーの案内を表示したり、ＦＭ多重放送の番組等を表示したりすることができる。
【００２５】
また、音声入力部３６は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部３７は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部３７から、前記探索経路、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【００２６】
前記通信部３８は、情報提供者としてのＶＩＣＳ（登録商標：Ｖｅｈｉｃｌｅ Ｉｎｆｏｒｍａｔｉｏｎ ａｎｄ Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎ Ｓｙｓｔｅｍ）センタ等の図示されない道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するためのビーコンレシーバ、ＦＭ放送局を介してＦＭ多重放送として受信するためのＦＭ受信機等を備える。なお、前記交通情報には、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等が含まれ、一般情報には、ニュース、天気予報等が含まれる。なお、前記ビーコンレシーバ及びＦＭ受信機は、ユニット化されてＶＩＣＳレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【００２７】
また、前記交通情報は、情報の種別を表す情報種別データ、メッシュとしての２次メッシュを特定するための２次メッシュＸ、Ｙデータ、二つの地点（例えば、交差点）間を連結する道路リンクを特定し、かつ、上り／下りの別を表すリンク番号データ、該リンク番号データに対応させて提供される情報の内容を表すリンク情報を含み、例えば、交通情報が渋滞情報である場合、前記リンク情報は、前記道路リンクの始点から渋滞の先頭までの距離を表す渋滞先頭データ、渋滞の度合いを表す渋滞度、渋滞区間を前記渋滞の先頭から渋滞の末尾までの距離を表す渋滞長、各道路リンクの所要時間であるリンク所要時間等から成る。
【００２８】
そして、通信部３８は、前記情報センタ５１から交通情報、一般情報等の各種の情報を受信することもできる。
【００２９】
そのために、前記情報センタ５１は、サーバ５３、該サーバ５３に接続された通信部５７及び情報記録部としてのデータベース（ＤＢ）５８等を備え、前記サーバ５３は、情報センタ５１の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのＣＰＵ５４、ＲＡＭ５５、ＲＯＭ５６等を備える。また、前記データベース５８に、前記データ記録部１６に記録された各種のデータと同様のデータ、例えば、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等を記録する。さらに、情報センタ５１は、複数の車両（自車又は他車）から収集した走行履歴データをリアルタイムに提供することができる。
【００３０】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部１７、ＣＰＵ３１、５４等は、各種のプログラム、データ等に基づいてコンピュータとして機能する。また、データ記録部１６、ＲＡＭ３２、５５、ＲＯＭ３３、５６、データベース５８、フラッシュメモリ等によって記録装置及び記録媒体が構成される。そして、演算装置として、ＣＰＵ３１、５４に代えてＭＰＵ等を使用することもできる。
【００３１】
次に、前記構成のナビゲーションシステムを経路案内システムとして使用したときの基本動作について説明する。
【００３２】
まず、運転者によって操作部３４が操作され、ナビゲーション装置１４が起動されると、ＣＰＵ３１の図示されないナビ初期化処理手段は、ナビ初期化処理を行い、ＧＰＳセンサ１５によって検出された現在地、方位センサ１８によって検出された自車方位等を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。なお、前記ＣＰＵ３１の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた現在地の軌跡、及び現在地の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、現在地がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、現在地を特定する。
【００３３】
続いて、ＣＰＵ３１の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データをデータ記録部１６から読み出して取得するか、又は通信部３８を介して情報センタ５１等から受信して取得する。なお、情報センタ５１から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。また、地図データを通信部３８を介して取得する際にプログラムを併せて取得することもできる。
【００３４】
そして、前記ＣＰＵ３１の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部３５に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の道路地図表示処理手段は、道路地図表示処理を行い、表示部３５に地図画面を形成し、該地図画面に自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位を表示する。したがって、運転者は、前記自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【００３５】
また、運転者が操作部３４を操作して目的地を入力すると、ＣＰＵ３１の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として入力することができる。続いて、運転者が操作部３４を操作して探索条件を入力すると、ＣＰＵ３１の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【００３６】
このようにして、目的地及び探索条件が設定されると、ＣＰＵ３１の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記現在地、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部１６から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、現在地で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。この場合、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【００３７】
続いて、前記ＣＰＵ３１の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、運転者に経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。この場合、必要に応じて、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、音声出力部３７から探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【００３８】
なお、情報センタ５１において経路探索処理を行うことができる。その場合、ＣＰＵ３１は現在地、目的地、探索条件等を情報センタ５１に送信する。該情報センタ５１は、現在地、目的地、探索条件等を受信すると、ＣＰＵ５４の図示されない経路探索処理手段は、ＣＰＵ３１と同様の経路探索処理を行い、データベース５８から探索データ等を読み出し、現在地、目的地及び探索データに基づいて、出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。続いて、ＣＰＵ５４の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをナビゲーション装置１４に送信する。したがって、ナビゲーション装置１４において、前記基本情報取得処理手段が情報センタ５１からの経路データを受信すると、前記案内処理手段は、前述されたような経路案内を行う。
【００３９】
ところで、前記探索経路に、商店街、公園の付近等のように人通りの多い箇所の道路、通学路のように子供が多く利用する道路、病院の付近のように高齢者が多く利用する道路等が含まれると、探索経路に沿って車両を走行させるのに時間がかかったり、歩行者に対して十分な注意を要したりする。
【００４０】
そこで、本実施の形態においては、車両を走行させるに当たり、時間がかかったり、歩行者に対して十分な注意を要したりする箇所、例えば、地点、交差点、道路等を注意箇所とし、経路を探索するに当たり、注意箇所を含む道路リンクのリンクコストを変更するようにしている。
【００４１】
図２は本発明の実施の形態における経路探索処理手段の動作を示すフローチャート、図３は本発明の実施の形態における案内処理手段の動作を示すフローチャート、図４は本発明の実施の形態における注意箇所案内処理の第１の例を示す図、図５は本発明の実施の形態における注意箇所案内処理の第２の例を示す図である。
【００４２】
この場合、注意箇所を含む道路リンクを識別するために、データ記録部１６（図１）の道路データにおいて、道路リンクごとに歩行者に関する情報、すなわち、歩行者情報が記録される。
【００４３】
なお、前記歩行者情報は、例えば、国土交通省によって提供された道路交通センサスによるデータ（以下「道路交通センサス情報」という。）、駅の乗降者数データ等に基づいて作成され、歩道の有無、歩道の幅、歩行者の数、横断歩道の幅等から成る。前記横断歩道の幅については、横断歩道の位置情報としての座標等も併せて記録される。
【００４４】
そして、経路を探索するに当たり、前記経路探索処理手段の注意道路抽出処理手段は、注意道路抽出処理を行い、前記データ記録部１６を参照し、前記歩行者情報に基づいて前記注意箇所を含む道路リンクから成る注意道路を抽出する。
【００４５】
該注意道路は、歩道の有無、歩道の幅、歩行者の数、横断歩道の幅等のポイント判定指標に基づいて第１、第２の類型に分けられる。そして、第１の類型の注意道路は、歩行者に対して十分な注意を要する箇所、例えば、歩道がない道路リンク、歩道の幅が狭く（閾（しきい）値以下であり）、かつ、歩行者の数が零ではなく、わずかでもある道路リンクを含む。また、第２の類型の注意道路は、通過するのに時間がかかる箇所、例えば、歩道の幅が広い（閾値より大きい）が、横断歩道において歩行者がとぎれなく続き、右左折に時間がかかると思われる交差点等を備えた道路リンクを含む。
【００４６】
横断歩道において歩行者がとぎれなく続くかどうかは、次のように判断することができる。すなわち、青信号が点灯されている間の時間当たりの歩行者数をｎとし、交差点における横断歩道の幅をｗとし、歩行者間の間隔をｋとしたとき、
ｎ＞ｗ／ｋ
である場合、横断歩道において歩行者がとぎれなく続くと判断することができ、
ｎ≦ｗ／ｋ
である場合、横断歩道において歩行者が続かないと判断することができる。
【００４７】
また、前記歩行者数ｎは、例えば、道路交通センサス情報で得られる１２時間の歩行者数Ｎｈ、青信号の時間ｔｂに基づいて算出することができる。そして、青信号の時間ｔｂは、交差点の道路種別により算出することができ、例えば、国道と国道とが交差する交差点の場合、いずれの国道側においても、２〔分〕とし、国道と県道とが交差する交差点の場合、国道側においては３〔分〕とし、県道側においては１〔分〕とする。したがって、国道と国道とが交差する交差点における１２時間中の青信号の延時間は３６０〔分〕であるので、歩行者数ｎは、
ｎ＝Ｎｈ／３６０
になる。一方、前記間隔ｋを１〔ｍ〕とすると、
Ｎｈ／３６０＞ｗ／１
Ｎｈ＞３６０×ｗ
であるとき、横断歩道において歩行者がとぎれなく続くと判断することができる。この場合、横断歩道において歩行者がとぎれなく続くかどうかの定義を適宜変更することができる。
【００４８】
なお、デパート等が密集している地域であり、該地域内に駐車場が少ないか、又はほとんど満車である場合に、所定の地点、交差点等の注意箇所を含む道路リンクによって構成される注意道路を第２の類型の注意道路として設定することができる。同様に、観光地の地域であり、該地域内に駐車場が少ないか、又はほとんど満車である場合に、所定の地点、交差点等の注意箇所を含む道路リンクによって構成される注意道路を第２の類型の注意道路として設定することもできる。
【００４９】
続いて、前記経路探索処理手段のリンクコスト補正処理手段は、リンクコスト補正処理を行い、前記経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正することによって高くし、前記注意道路を構成する道路リンクが探索経路に含まれるのを抑制する。
【００５０】
そのために、前記リンクコスト補正処理手段は、経路探索処理の対象となる各道路リンクが、第１、第２の類型の注意道路を構成するかどうかを判断し、第１の類型の注意道路を構成する場合、例えば、道路リンクのリンクコストのうちのリンク長コストを通常の４倍にし、第２の類型の注意道路を構成する場合、例えば、リンクコストのうちの右左折コストを通常の４倍にし、補正する。
【００５１】
続いて、前記経路探索処理手段の探索処理手段は、探索処理を行い、補正されたリンクコストに従って経路を探索する。そして、前記案内処理手段は、補正されたリンクコストに基づいて探索された探索経路を案内する。
【００５２】
このように、注意箇所を含む道路リンクのリンクコストが高くされるので、注意箇所を含む道路リンクが探索経路に含まれるのを抑制することができる。したがって、注意箇所を含む道路リンクから成る注意道路を回避して経路を探索することができるので、車両を円滑に走行させることができる。
【００５３】
そして、各歩行者情報は道路リンクごとに記録され、注意道路を構成する道路リンクについてだけリンクコストが変更されるので、必ずしも回避する必要のない道路を回避する可能性がなくなる。したがって、目的地に到達するまでの時間を短くすることができる。
【００５４】
また、各注意箇所は、商店街、公園、学校、病院等のような施設のジャンルに対して設定されるようになっておらず、所定の地点、交差点等に対して設定されるので、注意箇所を含む道路リンクを構成する注意道路については十分に回避することができる。したがって、経路を適正に案内することができる。
【００５５】
ところで、前記探索処理手段において、前記注意道路を構成する道路リンクは、リンクコストを高くすることによって探索経路に含まれるのが抑制されるようになっているので、前記道路リンクが探索経路に含まれるのが完全に阻止されるわけではない。
【００５６】
そこで、探索経路上に存在する注意箇所について運転者に注意を喚起するようにしている。そのために、前記案内処理手段の注意箇所判定処理手段は、注意箇所判定処理を行い、前記探索処理手段によって探索された探索経路上に注意箇所があるかどうかを判断し、探索経路上に注意箇所がある場合、前記案内処理手段の注意箇所案内処理手段は、注意箇所案内処理を行い、前記注意箇所を案内し、運転者に注意を喚起する。例えば、前記注意箇所案内処理手段は、前記地図画面に交差点拡大図を形成し、注意箇所の座標を読み込み、例えば、図４に示されるように、前記交差点拡大図の対応する箇所に注意箇所である交差点ｍ１を表示する。そして、前記音声出力処理手段は、前記交差点ｍ１の手前の所定の地点で、音声出力部３７から「この先、歩道がないため、注意して走行してください。」等のメッセージを音声で出力する。
【００５７】
また、例えば、前記注意箇所案内処理手段は、図５に示されるように、前記地図画面に交差点拡大図を形成し、該交差点拡大図に注意箇所である交差点ｍ１を表示するとともに、所定の箇所に、歩行者に対して十分な注意を要することについて、注意を喚起するためのマークａ１を表示したり、通過するのに時間がかかることについて、注意を喚起するためのマークａ２を表示したりすることができる。
【００５８】
このように、車両を走行させるのに時間がかかったり、歩行者に対して十分な注意を要したりする注意箇所について音声で、又はマークａ１、ａ２によって注意を喚起するようになっているので、経路を一層適正に案内することができる。
【００５９】
次に、図２のフローチャートについて説明する。
ステップＳ１ 注意道路を抽出する。
ステップＳ２ 注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを高くし、処理を終了する。
【００６０】
次に、図３のフローチャートについて説明する。
ステップＳ１１ 案内を開始する。
ステップＳ１２ 探索経路上に注意箇所があるかどうかを判断する。探索経路上に注意箇所がある場合はステップＳ１３に進み、ない場合は処理を終了する。
ステップＳ１３ 注意箇所案内処理を行い、処理を終了する。
【００６１】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【００６２】
【図１】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図２】本発明の実施の形態における経路探索処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図３】本発明の実施の形態における案内処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図４】本発明の実施の形態における注意箇所案内処理の第１の例を示す図である。
【図５】本発明の実施の形態における注意箇所案内処理の第２の例を示す図である。
【符号の説明】
【００６３】
１４ ナビゲーション装置
１６ データ記録部
１７ ナビゲーション処理部
３１、５４ ＣＰＵ
５１ 情報センタ
６３ ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項１】
目的地を設定する目的地設定処理手段と、道路リンクごとに歩行者に関する情報が記録された記録装置と、該記録装置から歩行者に関する情報を取得し、注意道路を抽出する注意道路抽出処理手段と、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正するリンクコスト補正処理手段と、補正されたリンクコストに従って目的地までの経路を探索する探索処理手段と、探索された経路を案内する案内処理手段とを有することを特徴とする経路案内システム。
【請求項２】
前記歩行者に関する情報は、歩道の有無、歩道の幅、歩行者の数のうちの少なくも一つである請求項１に記載の経路案内システム。
【請求項３】
前記注意道路抽出処理手段は、前記歩道の有無に基づいて、歩道のない道路を注意道路として抽出する請求項２に記載の経路案内システム。
【請求項４】
前記注意道路取得処理手段は、前記歩道の幅及び歩行者の数に基づいて、歩道の幅が閾値以下で、かつ、歩行者数が零ではない道路を注意道路として抽出する請求項２に記載の経路案内システム。
【請求項５】
前記歩行者に関する情報は横断歩道の幅を含み、前記注意道路抽出処理手段は、前記歩行者の数及び横断歩道の幅に基づいて、横断歩道において歩行者がとぎれなく続くかどうかを判断し、歩行者がとぎれなく続く場合、前記横断歩道を含む道路を注意道路として抽出する請求項２に記載の経路案内システム。
【請求項６】
前記案内処理手段は、経路探索処理手段によって探索された経路上に注意箇所があるかどうかを判断する注意箇所判定処理手段、及び探索された経路上に注意箇所がある場合、該注意箇所を案内する注意箇所案内処理手段を備える請求項１に記載の経路案内システム。
【請求項７】
目的地を設定し、記録装置から道路リンクごとに歩行者に関する情報を取得し、注意道路を抽出し、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正し、補正されたリンクコストに従って目的地までの経路を探索し、探索された経路を案内することを特徴とする経路案内方法。
【請求項１】
目的地を設定する目的地設定処理手段と、道路リンクごとに歩行者に関する情報が記録された記録装置と、該記録装置から歩行者に関する情報を取得し、注意道路を抽出する注意道路抽出処理手段と、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正するリンクコスト補正処理手段と、補正されたリンクコストに従って目的地までの経路を探索する探索処理手段と、探索された経路を案内する案内処理手段とを有することを特徴とする経路案内システム。
【請求項２】
前記歩行者に関する情報は、歩道の有無、歩道の幅、歩行者の数のうちの少なくも一つである請求項１に記載の経路案内システム。
【請求項３】
前記注意道路抽出処理手段は、前記歩道の有無に基づいて、歩道のない道路を注意道路として抽出する請求項２に記載の経路案内システム。
【請求項４】
前記注意道路取得処理手段は、前記歩道の幅及び歩行者の数に基づいて、歩道の幅が閾値以下で、かつ、歩行者数が零ではない道路を注意道路として抽出する請求項２に記載の経路案内システム。
【請求項５】
前記歩行者に関する情報は横断歩道の幅を含み、前記注意道路抽出処理手段は、前記歩行者の数及び横断歩道の幅に基づいて、横断歩道において歩行者がとぎれなく続くかどうかを判断し、歩行者がとぎれなく続く場合、前記横断歩道を含む道路を注意道路として抽出する請求項２に記載の経路案内システム。
【請求項６】
前記案内処理手段は、経路探索処理手段によって探索された経路上に注意箇所があるかどうかを判断する注意箇所判定処理手段、及び探索された経路上に注意箇所がある場合、該注意箇所を案内する注意箇所案内処理手段を備える請求項１に記載の経路案内システム。
【請求項７】
目的地を設定し、記録装置から道路リンクごとに歩行者に関する情報を取得し、注意道路を抽出し、経路を探索するに当たり、注意道路を構成する道路リンクのリンクコストを補正し、補正されたリンクコストに従って目的地までの経路を探索し、探索された経路を案内することを特徴とする経路案内方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００６−１８４００６（Ｐ２００６−１８４００６Ａ）
【公開日】平成１８年７月１３日（２００６．７．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−３７４４１２（Ｐ２００４−３７４４１２）
【出願日】平成１６年１２月２４日（２００４．１２．２４）
【出願人】（０００１００７６８）アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年７月１３日（２００６．７．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年１２月２４日（２００４．１２．２４）
【出願人】（０００１００７６８）アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Ｆターム（参考）】
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