説明

給紙装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】 ピックアップローラの駆動及び停止を繰り返すことによるロスを生じることなく、連続給紙時の紙間のばらつきを抑制することができる給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 ピックアップローラ3と給紙ローラ4との間に、反射型フォトセンサからなる給紙前センサ18を配設し、連続給紙を行う際には、1枚目の記録用紙Pの給紙動作終了後、2枚目の記録用紙Pを給紙動作開始前に、給紙カセット2に積載されている最上位の記録用紙Pの前端を、給紙前センサ18によって検出し、その検出結果に応じてピックアップローラ3を駆動させるタイミングを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に備えられる、給紙カセットに収容された記録用紙を、画像形成部へと給送するための給紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置においては、画像形成部へと用紙を給送するための給紙装置として、用紙が積載される給紙カセットと、この給紙カセットの上方に配設され、積載された用紙を最上位紙から順に送り出すピックアップローラと、ピックアップローラの用紙搬送方向下流に配設され、ピックアップローラによって複数枚の用紙が同時に送り出された場合に、これらの用紙を捌いて1枚のみ画像形成部へと搬送する分離手段とから構成される給紙装置が多く使用されている。
【0003】
上記のように構成された給紙装置では、給紙動作時にピックアップローラは給紙カセットに積載されている最上位の用紙のみ送り出そうとするが、用紙間摩擦力が大きい場合等に2枚目以降の用紙が最上位紙に連なって搬送されることがあり、複数枚の用紙を連続して給紙する際に、送り出される用紙の搬送方向前端の位置が、ピックアップローラと分離手段との間でばらつくことがある。このような場合、ピックアップローラが一定の間隔で給紙動作を行うように構成されていると、用紙の前端位置のばらつきがそのまま紙間の変化につながってしまうこととなる。
【0004】
ところで、近年では、画像形成装置の高速化が要求されており、上記したような給紙装置による用紙給紙時の用紙搬送速度を上げたり、連続給紙時の用紙の紙間を短くしたりすることによって、画像形成装置の高速化を図られている。しかし、給紙装置による用紙搬送速度を上げる場合には給紙のタイミングをシビアに設定する必要があるため、紙間を短くする方法が採用されることが多い。そのため、上述したような用紙の搬送方向前端の位置のばらつきが無視できないようになっている。
【0005】
そこで、用紙の前端位置のばらつきを防止する種々の技術が提案されており、例えば特許文献1には、給紙カセットから用紙を送り出すピックアップローラと、用紙を分離して1枚ずつ給紙する分離手段との間に分離前センサを配設して、ピックアップローラに対し用紙の給送指令が与えられる前に、ピックアップローラを動作させて用紙が分離前センサによって検知される位置まで予め送り出すプレ給紙を行うように構成されたシート供給装置が開示されている。
【0006】
このシート給送装置では、用紙の給送指令を受ける前に予め用紙を送り出してその搬送方向前端を分離手段に近接させておくことにより、ピックアップローラによって送り出される用紙の搬送方向前端の位置のばらつきを低減させることができ、これによって、連続給紙時の紙間のばらつきを抑制することができる。
【特許文献1】特開2005−22792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシート給送装置では、給送指令が与えられる前にプレ給紙を行うことによって最上位紙の搬送方向前端の位置のばらつきを防止する構成であるが、この構成ではプレ給紙時に用紙を分離前センサで検知された位置で一旦停止させる必要があり、ピックアップローラを駆動させるモータの駆動及び停止(若しくは電磁クラッチの接続及び切断)を繰り返す時間が必要となり、その分紙間を余分に取る必要があった。
【0008】
本発明においては上述の事情に鑑み、ピックアップローラの駆動及び停止を繰り返すことによるロスを生じることなく、連続給紙時の紙間のばらつきを抑制することができる給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、複数の記録用紙が積載された給紙カセットから記録用紙を送り出すピックアップローラと、該ピックアップローラの下流側に配置され、前記ピックアップローラからの記録用紙を搬送する給紙ローラと、該給紙ローラに圧接されニップ部を形成して、複数の記録用紙から一枚の記録用紙を分離するための分離手段と、前記ピックアップローラ及び前記給紙ローラの駆動を制御する制御手段と、を備えた給紙装置において、前記ピックアップローラの搬送方向下流側且つ前記給紙ローラの搬送方向上流側には、前記給紙カセットに積載された最上位の記録用紙の搬送方向前端の位置を検出する検出手段が配設されており、前記制御手段は、前記検出手段により検出された記録用紙の前端位置に応じて、前記ピックアップローラの駆動のタイミングを調整することを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の給紙装置において、前記検出手段には、搬送方向に沿って複数のセンサが備えられていることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の給紙装置において、前記検出手段に備えられるセンサは、発光素子および受光素子を備えた反射型フォトセンサであることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の給紙装置を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、連続して給紙を行う場合には、1枚目の給紙動作時において、最上位紙に連なって2枚目以降の記録用紙が送り出される等により、給紙前の記録用紙の搬送方向前端の位置にばらつきが生じた場合であっても、2枚目の給紙動作開始前に検出手段によって検出された記録用紙の前端の位置に応じて、ピックアップローラを駆動させるタイミングを遅らせることにより、連続して給紙される記録用紙の紙間のばらつきを抑制することができる。
【0014】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の給紙装置において、記録用紙の前端位置を検出する検出手段に複数のセンサを備えることにより、記録用紙の前端位置を段階的に検出することができ、ピックアップローラの駆動のタイミングを段階的に変化させることができるため、より簡単な構成で紙間のばらつきを抑制することができる。
【0015】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の給紙装置において、検出手段に、発光素子および受光素子を備えた反射型フォトセンサを用いることによって、記録用紙の前端が直前に給紙された記録用紙の後端と完全に重なっていない限り、記録用紙の前端位置を検知することができるため、より精度よくピックアップローラの駆動のタイミングを制御することができ、紙間のばらつきを抑制することができる。
【0016】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の給紙装置を画像形成装置に搭載することにより、ピックアップローラの駆動及び停止を繰り返すことによるロスを生じることなく、連続給紙時の紙間の変化を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係る給紙装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。なお、本実施形態においては画像形成装置の一例としてレーザービームプリンタを例示しているが、画像形成装置としてプリンタ以外の、例えば複写機、ファクシミリ装置等であっても適用できることはいうまでもない。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置1の下部には、画像形成装置1本体に対して着脱可能に構成された、記録用紙Pが収容される給紙カセット2が備えられている。そして、給紙カセット2の上方には、給紙カセット2に収容された記録用紙Pを送り出すピックアップローラ3が配置されており、このピックアップローラ3の用紙搬送方向下流には、送り出された記録用紙Pをさらに下流へと搬送する給紙ローラ4が配置されている。なお、これらのピックアップローラ3及び給紙ローラ4は駆動連結されており、給紙ローラ4に駆動が入力されることにより、ピックアップローラ3も連動するようになっている。
【0019】
給紙カセット2の内部には、用紙搬送方向上流端部を給紙カセット2に回動自在に支持された用紙積載板5と、この用紙積載板5の下流端部を下方より押圧して持ち上げるリフタ6が備えられており、これらによって、積載された記録用紙Pがピックアップローラ3に押圧されるようになっている。また、給紙カセット2には、分離手段である分離ローラ7が、前記給紙ローラ4に圧接されるように配設されている。
【0020】
この分離ローラ7は、給紙用モータ25(図3参照)とは駆動連結されておらず、その回転軸にはトルクリミッタが設けられており、ピックアップローラ3により記録用紙Pが1枚のみ送り出された場合には、トルクリミッタが作用して給紙ローラ4に従動回転するが、ピックアップローラ3により複数枚の記録用紙Pが送り出された場合には、トルクリミッタが作用せず、給紙ローラ4と分離ローラ7とのニップ部で捌くことにより、給紙ローラ4に接している最上位の記録用紙Pのみを下流側へと搬送するよう構成されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、分離ローラ7を給紙用モータ25と駆動連結させていないが、分離ローラ7を給紙用モータ25と駆動連結させて、給紙ローラ4が記録用紙Pを搬送する方向と反対方向に記録用紙Pを搬送する方向に回転させるよう構成してもよい。また、分離手段には分離ローラ7以外に分離パッドを用いることも可能である。
【0022】
また、給紙カセット2の内部の用紙搬送方向略中央部には、サイドカーソル8が備えられている。このサイドカーソル8は2個備えられており、用紙搬送方向に直交する用紙幅方向の両側から、用紙積載板5上に積載される記録用紙Pの側面に当接して、記録用紙Pの幅方向の位置決めを行う。なお、サイドカーソル8は、用紙幅方向に設けられた図示しない摺動溝に沿って変位させることができるよう構成されている。
【0023】
そして、サイドカーソル8の近傍には、用紙サイズ検知手段9が備えられている。用紙サイズ検知手段9には、フォトインタラプタ等から構成される図示しない光センサが複数備えられている。これらの光センサは、給紙カセット2に所定のサイズ用紙が積載された際に、その用紙幅に対応する位置に配置されており、この光センサが、サイドカーソル8の位置を検知することにより積載された用紙のサイズを識別できるようになっている。
【0024】
更に、画像形成装置1には、給紙カセット2から分離給送された記録用紙Pを搬送するフィードローラ対10、レジストローラ対11、電子写真感光体である感光体ドラム12aに画像を形成する画像形成手段12、画像情報に基づいた情報光Dを感光体ドラム12aへ照射するスキャナユニット13、感光体ドラム12aに形成された画像を記録用紙Pに転写する転写手段14、転写された画像を記録用紙Pに定着する定着手段15及び画像が定着された記録用紙Pを装置外へと排出する排出ローラ対16が備えられている。
【0025】
なお、画像形成手段12は、上述の感光体ドラム12aと、少なくとも1つのプロセス手段とを備え、画像形成装置1に脱着可能なプロセスカートリッジとしてユニット化されている。プロセス手段としては、例えば、感光体ドラム12aを帯電させる帯電手段、感光体ドラム12aに形成される潜像を現像する現像手段、感光体ドラム12aの表面に残るトナーをクリーニングするためのクリーニング手段等がある。
【0026】
このような構成の画像形成装置1では、画像情報に基づいた情報光Dをスキャナユニット13から感光体ドラム12aへ照射し、感光体ドラム12aに静電潜像を形成し、この静電潜像を現像することにより感光体ドラム12aにトナー像を形成する。そして、このトナー像の形成と同期させて、記録用紙Pを1枚ずつ給紙カセット2から分離給送するとともに、フィードローラ対10及びレジストローラ対11によって画像形成手段12へと搬送する。
【0027】
記録用紙Pが所定の転写位置へと搬送されると、画像形成手段12を構成する感光体ドラム12aに形成されたトナー像を、転写手段14によって記録用紙Pに転写する。このトナー像が転写された記録用紙Pは、定着手段15へと搬送され、この定着手段15によって転写トナー像が定着され、さらに排出ローラ対16によって装置外に排出される。
【0028】
続いて、図2を参照して本発明に係る給紙装置について詳細に説明する。図2は、本発明に係る給紙装置を側方から見た状態を示す模式図である。
【0029】
図2に示すように、本発明に係る給紙装置には、給紙ローラ4とフィードローラ対10との間には、フィード前センサ17が配設されており、ピックアップローラ3と給紙ローラ4との間に、給紙カセット2に積載された最上位の用紙の搬送方向前端の位置を検知する給紙前センサ18が配設されている。ここで、給紙前センサ18には、第1センサ18a、第2センサ18b及び第3センサ18cの3つの反射型フォトセンサが備えられており、これらのセンサをピックアップローラ3側から用紙搬送方向に沿って順に配置することによって、記録用紙Pの前端位置を段階的に検知することができるようになっている。
【0030】
なお、給紙前センサ18を構成する第1センサ18a、第2センサ18b及び第3センサ18cには、遮光片と透過型フォトセンサとから構成されるフォトインタラプタ等の他のセンサを用いることも可能であるが、発光素子および受光素子を備えた反射型フォトセンサを用いることによって、記録用紙Pの前端が直前に給紙された用紙の後端と完全に重なっていない限り、記録用紙Pの前端位置を精度よく検知することができるため、給紙前センサ18には反射型フォトセンサを用いることが好ましい。
【0031】
続いて、図3を参照して、本発明に係る給紙装置の制御系の構成について説明する。図3は本発明に係る給紙装置の制御系の構成を示すブロック図である。本発明に係る給紙装置の制御系には、主制御部20が備えられており、この主制御部20には、インターフェース21、用紙サイズ検知手段9、フィード前センサ17、給紙前センサ18、ROM22、モータ制御回路23及びクラッチ制御回路24が接続されている。
【0032】
インターフェース21は、例えば、図示しないパソコン等のホスト装置とデータの送受信を行い、主制御部20へと印刷枚数等の情報を入力する。ROM22は、記録用紙Pをピックアップローラ3から、給紙ローラ4まで用紙を送るのに要する時間や給紙ローラ4からフィードローラ対10まで用紙を送るのに要する時間、及び、ピックアップローラ3を駆動させるタイミング等を記憶している記憶手段である。
【0033】
モータ制御回路23には、ピックアップローラ3等を回転駆動させる給紙用モータ25が接続されており、主制御部20からの出力信号により給紙用モータ25を駆動させて、ピックアップローラ3等を回転駆動させるものである。クラッチ制御回路24には、給紙ローラ4に設けられた第1クラッチ26、及びフィードローラ対10に設けられた第2クラッチ27が接続されており、主制御部20からの出力信号によって第1クラッチ26及び第2クラッチ27を制御して、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4並びにフィードローラ対10のON・OFFを制御する。
【0034】
そして、主制御部20は、インターフェース21を介して受信された画像データに基づいて各種制御回路に制御信号を出力するものであり、特に、複数枚の連続印刷が入力された場合には、2枚目以降の給紙前に給紙前センサ18によって、記録用紙Pの搬送方向前端の位置を検出して、その結果に応じてピックアップローラ3及び給紙ローラ4を駆動させるタイミングを調整するようになっている。
【0035】
次に、本発明に係る給紙装置の給紙動作について、図1〜図5を参照し、図6のステップに従って説明する。図4及び図5は、連続給紙時のピックアップローラ3及びフィードローラ対10の動作、並びにフィード前センサ17及び給紙前センサ18の検知状態を示すタイミングチャートであり、図4は最上位紙のみ給送された場合を図示しており、図5は2枚目以降の用紙が連なって給送された場合を図示している。図6は、本発明の給紙装置の動作を示すフローチャートである。
【0036】
先ず、インターフェース21から給紙指令が入力されると、主制御部20は用紙サイズ検知手段9によって、給紙カセット2に積載されている記録用紙Pのサイズを検出し(ステップS1)、その記録用紙Pの搬送に要する時間等をROM22から呼び出す。用紙サイズを検出すると、給紙動作が開始され(ステップS2)、主制御部20はモータ制御回路23へ制御信号を出力して給紙用モータ25を駆動させた後、クラッチ制御回路24へ制御信号を出力して第1クラッチ26を連結させて、ピックアップローラ3を駆動させる(ステップS3)。
【0037】
ピックアップローラ3及び給紙ローラ4によって記録用紙Pが搬送され、フィード前センサ17が記録用紙Pを検知すると、主制御部20はクラッチ制御回路24へ制御信号を出力して第2クラッチ26を連結させて、フィードローラ対10を駆動させる。フィード前センサ17が記録用紙Pを検知してから所定の時間t1が経過した後、すなわち、記録用紙Pがフィードローラ対10に挟持されるのを待って、主制御部20はクラッチ制御回路24へ制御信号を出力して第1クラッチ26を切断して、ピックアップローラ3の駆動を停止させる(ステップS4)。
【0038】
そして、1枚目の給紙動作が終了すると、主制御部20によってインターフェース21から連続給紙が指定されているか否かが判断され(ステップS5)、連続給紙が指定されていない場合には、ピックアップローラ3の駆動が停止された後、所定時間経過後に、主制御部20はクラッチ制御回路24へ制御信号を出力し第2クラッチ26を切断して、フィードローラ対10の駆動を停止させた後、モータ制御回路23へ制御信号を出力し第1クラッチ25を切断して、給紙用モータ25の駆動を停止させ給紙動作を終了する。
【0039】
一方、ステップS5において連続給紙が指定されている場合には、主制御部20は、1枚目の記録用紙Pの給送時にピックアップローラ3を停止させた後、所定の時間t2が経過した後、すなわち、1枚目の記録用紙Pの後端が給紙前センサ18を通過する時間が経過した後に、給紙前センサ18によって給紙カセット2に積載されている最上位紙の搬送方向前端の位置を検出する(ステップS6)。
【0040】
ここで、本発明に係る給紙装置では、連続給紙時において、2枚目以降の給紙動作開始前の給紙カセット2に積載されている最上位の記録用紙Pの前端の位置が、所定の位置よりも用紙搬送方向前方へと送り出されている場合、すなわち、記録用紙Pが給紙前センサ18に備えられた第1センサ18aによって検知されている場合には、ピックアップローラ3を駆動させるタイミングを調整するよう構成されている。
【0041】
従って、2枚目の給紙動作開始前に、主制御部20によって第1センサ18aが記録用紙Pを検知しているか否かが判断され(ステップS7)、図4に示すように、2枚目の給紙動作開始前に、第1センサ18aが記録用紙Pを検知していない場合には、主制御部20は、1枚目に給送された記録用紙Pと2枚目に給送される記録用紙Pとの間に所定の紙間が形成されるように、1枚目の記録用紙Pの給送時にピックアップローラ3を停止させてから所定の時間Tが経過した後、ピックアップローラ3を駆動させる(ステップS9)。
【0042】
一方、ステップS7において、少なくとも第1センサ18aが記録用紙Pを検知している場合には、主制御部20は、記録用紙Pの搬送方向前端の位置に応じてピックアップローラ3を駆動させるタイミングを遅らせる。すなわち、1枚目の給紙動作時において、最上位紙に連なって2枚目以降の記録用紙Pが送り出されて、給紙ローラ4と分離ローラ7とのニップ部で分離されて、例えば、図5に示すように、2枚目の給紙動作開始前に、第1センサ18a、第2センサ18b及び第3センサ18cが記録用紙Pを検知していた場合には、主制御部20は、1枚目の記録用紙Pの給送時にピックアップローラ3を停止させてから、所定の時間T+T3が経過した後、ピックアップローラ3を駆動させる。
【0043】
このように、1枚目の給紙動作時において、最上位紙に連なって2枚目以降の記録用紙Pが送り出されている場合であっても、2枚目の給紙動作開始前に検出された記録用紙Pの前端の位置に応じて、ピックアップローラ3を駆動させるタイミングを遅らせることにより、給紙前の記録用紙Pの搬送方向前端の位置にばらつきが生じても、連続して給紙される記録用紙Pの紙間のばらつきを抑制することができる。
【0044】
また、給紙前センサ18には、3つのセンサが備えられているため、上記のように全てのセンサが記録用紙Pを検知している場合には、ピックアップローラ3を駆動させるタイミングをT3遅らせ、第1センサ18a及び第2センサ18bが検知している場合には、T3よりも遅らせる時間を短くし、また、第1センサ18aのみが記録用紙Pを検知している場合には、駆動を遅らせる時間をさらに短くするというように、記録用紙Pの前端位置に応じて駆動タイミングを段階的に変化させることにより、より紙間のばらつきを抑制することができる。
【0045】
そして、ピックアップローラ3及び給紙ローラ4によって記録用紙Pが搬送され、フィード前センサ17が記録用紙Pを検知してから所定の時間t1が経過した後、主制御部20は、ピックアップローラ3の駆動を停止させる(ステップS10)。なお、連続給紙時には、フィードローラ対10は、1枚目の記録用紙Pを給送する際に駆動された後、この1枚目の記録用紙Pがレジストローラ対11に到達し、画像形成手段12へのトナー像の形成と同期させるために、レジストローラ対11に合わせて一旦停止された後、直ちに駆動が再開され、2枚目以降の給送に備えるよう構成されている。
【0046】
最後に、主制御部20によって給紙動作が終了したか否かが判断され(ステップS11)、処理が継続している場合はステップS6に戻って同様の手順を繰り返す(ステップS6〜S11)。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、3つの反射型フォトセンサを備えた給紙前センサ18を用いているが、これは2つ以下又は4つ以上の反射型フォトセンサを備えた給紙前センサを用いることも可能である。また、上記実施形態においては、給紙カセット2に積載された記録用紙Pのサイズを検出する用紙サイズ検出手段9を設けたが、これは用紙サイズ検出手段9を設けず、例えば、操作パネルから用紙サイズを入力するよう構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、プリンタ、複写機及びファクシミリ等の画像形成装置に備えられる、給紙カセットに収容された記録用紙を、画像形成部へと給送するための給紙装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】は、本発明に係る給紙装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図2】は、本発明に係る給紙装置を側方から見た状態を示す拡大模式図である。
【図3】は、本発明に係る給紙装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】は、最上位紙のみが給送された場合を示す、連続給紙時のピックアップローラ及びフィードローラ対の動作等を示すタイミングチャートである。
【図5】は、2枚目以降の用紙が連なって給送された場合を示す、連続給紙時のピックアップローラ及びフィードローラ対の動作等を示すタイミングチャートである。
【図6】は、本発明の給紙装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置
2 給紙カセット
3 ピックアップローラ
4 給紙ローラ
5 用紙積載板
6 リフタ
7 分離ローラ(分離手段)
8 サイドカーソル
9 用紙サイズ検知手段
10 フィードローラ対
17 フィード前センサ
18 給紙前センサ(検出手段)
20 主制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録用紙が積載された給紙カセットから記録用紙を送り出すピックアップローラと、該ピックアップローラの下流側に配置され、前記ピックアップローラからの記録用紙を搬送する給紙ローラと、該給紙ローラに圧接されニップ部を形成して、複数の記録用紙から一枚の記録用紙を分離するための分離手段と、前記ピックアップローラ及び前記給紙ローラの駆動を制御する制御手段と、を備えた給紙装置において、
前記ピックアップローラの搬送方向下流側且つ前記給紙ローラの搬送方向上流側には、前記給紙カセットに積載された最上位の記録用紙の搬送方向前端の位置を検出する検出手段が配設されており、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された記録用紙の前端位置に応じて、前記ピックアップローラの駆動のタイミングを調整することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記検出手段には、搬送方向に沿って複数のセンサが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記検出手段に備えられるセンサは、発光素子および受光素子を備えた反射型フォトセンサであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の給紙装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−56408(P2008−56408A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234248(P2006−234248)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】