説明

給紙装置

【課題】 原稿を変形させることなく、連続して繰り出される原稿を確実に給紙位置に待機させることによって、給紙間隔を最小限に狭くして連続搬送することのできる給紙装置を提供することである。
【解決手段】 給紙ローラ24と分離手段25との圧接位置の上流側に配置され、先行のシートと重なった状態で繰り出さる後続のシートに接触して回転すると共に、前記分離手段25にて後続のシートの移動が阻止されることによって停止するコロ(回転体)33と、このコロ33の回転・停止を検出するエンコーダ(回転検出手段)34と、前記コロ33の停止を前記エンコーダ34が検出したことに基づいて繰出ローラ23を停止させる制御部(制御手段)CONTとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙トレイに載置されたシートを連続して給紙する給紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを給紙位置や読取位置等の所定の処理位置に給紙する給紙装置にあっては、複数枚のシートを載置するための給紙トレイと、この給紙トレイに載置されているシート面に接触して読取部等が設けられている搬送路に送り込む各種のローラやシート位置を検出するための複数のセンサ類を備えている。
【0003】
前記給紙装置に備わるローラとしては、給紙トレイに載置されているシートに接触して繰り出す繰出ローラと、この繰出ローラによって繰り出されたシートを搬送路に向けて送り出す給紙ローラとがある。前記繰出ローラの下流側には、給紙ローラによって搬送路内に送り出されるシートが重ならないように、1枚に分離するための分離部材が設けられている。
【0004】
また、前記分離部材の下流側にシートの位置を検出するシート検出センサを設け、このシート検出センサによって先に搬送路に送り出されている先行シートの後端を検出した時点で、この後に続く後続シートの給紙を開始するといった制御を行う場合がある。
【0005】
上記給紙装置にあっては、シート処理の生産性を向上させるために、給紙する間隔を極力短くするのが望ましい。このため、従来の給紙装置では、シートの搬送に支障が生じない最小の間隔を保持して前記分離部材とシート検出センサとを配置していた。
【0006】
しかしながら、従来の一般的な給紙装置では、先行シートに追従する後続シートは、必ずしも分離部材に到達して分離されるものではなく、使用するシートの種類や紙質、あるいは使用環境などによって、シートの搬送位置にバラツキが生じる。つまり、先行シートの後端がシート検出センサで検出され、後続シートを繰り出す時点では、この後続シートの先端の位置は一定ではなく、不定となる場合がある。このため、シートの給紙間隔がばらつき、シート処理の生産性が低下する要因となっていた。
【0007】
上記問題を改善するための給紙機構を備えた給紙装置がいくつか提案されている。例えば、特許文献1に開示の発明では、先行シートが繰出ローラ位置を通過した後も、この繰出ローラの回転を保持した状態で後続シートを繰り出し、この後続シートがその先の給紙ローラに突き当たることによる撓み変形(ループ)が生じたことを検出後に繰出ローラを停止させる構成となっている。その後、先行シートの後端が給紙ローラの下流側に設けられているシート検出センサで検出されると、再び繰出ローラを回転させて、先端にループが生じた後続シートを送るように制御される。これによって、後続シートの給紙を開始する際には、必ずこの後続シートの先端は給紙ローラに到達していることとなるので、連続して給紙搬送されるシートの間隔を常に一定に保つことができる。
【0008】
なお、特許文献2に開示の発明も給紙間隔を一定に保つために、後続シートの先端にループを生じさせるといった点に関しては、特許文献1と同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−72268号公報
【特許文献2】特開2008−169026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1、2の発明では、後続シートの先端が給紙ローラの位置まで到達されていることを一定のループが形成されないと検出されないようになっている。このようなループが形成されると、シートにダメージを与えることになる。特に、シートの紙質が薄い場合は、ループが形成される前に先端部にしわが寄って元に戻らなくなったり、ループを検出するセンサが反応しなかったりする場合がある。一方、シートの紙質が厚い場合は、ループが形成できず、シートの先端部が分離部材と給紙ローラとの間に進入してしまう場合がある。このような場合は、後続シートが先行シートにつられて重送を引き起こし、あるいは、繰出ローラが後続シートの上を滑って、シート面にスリップ痕による汚れが生じてしまう場合があった。
【0011】
また、前記ループはシートの種類や給紙速度等に応じて形状や大きさにバラツキが生じるので、このループを検出するセンサの配置位置や感度等の調整を適宜行わなければならないといった問題もある。
【0012】
そこで本発明は、シートを変形させることなく、連続して繰り出されるシートを確実に給紙位置に待機させることによって、給紙間隔を最小限に狭くして連続搬送することのできる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、複数枚のシートを載置する給紙トレイと、該給紙トレイに載置されたシートの上面に接触してシートを繰り出す繰出ローラと、該繰出ローラによって繰り出されたシートを搬送路に沿って搬送する給紙ローラと、該給紙ローラに圧接し、この給紙ローラによって給紙される先行のシートに続く後続のシートの移動を阻止して先行のシートから後続のシートを分離する分離手段とを備えた給紙装置において、前記給紙ローラと前記分離手段との圧接位置の上流側に配置され、先行のシートと重なった状態で繰り出さる後続のシートに接触して回転すると共に、前記分離手段で後続のシートの移動が阻止されることによって停止する回転体と、該回転体の回転・停止を検出する回転検出手段と、前記回転体の停止を前記回転検出手段が検出したことに基づいて前記繰出ローラを停止させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の給紙装置によれば、繰出ローラによって給紙トレイ上からシートを繰り出す際に、先行する上側のシートの下に重なった状態で繰り出される後続のシートが分離手段によって移動が阻止され、回転体の回転が停止することで、後続のシートの繰り出し位置を知ることができる。また、前記回転体が停止すると同時に、繰出ローラの回転を停止するように制御することで、後続のシートを過度に繰り出すことがない。これによって、後続のシートを撓み変形させることなく、給紙位置に確実に待機させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る給紙装置を備えたシート搬送装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】上記給紙装置の構成を示す側面図である。
【図3】上記給紙装置の駆動構成を示す説明図である。
【図4】上記給紙装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1の給紙動作パターンを示す説明図である。
【図6】第2の給紙動作パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る給紙装置の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の給紙装置20を備えたシート搬送装置1の全体構成を示したものである。このシート搬送装置1は、画像読取部4を有する本体ユニット2と、この本体ユニット2の上方に開閉可能に取り付けられる搬送読取ユニット3とを備えて構成されている。
【0017】
画像読取部4は、光学部5を固定した状態で第1のコンタクトガラス6の上面を通過するシートを読み取る。また、本体ユニット2の上面には、シートを載置するための平面スペースを有する第2のコンタクトガラス7が設けられ、このコンタクトガラス7上にセットされたシートに対しては前記画像読取部4の光学部5が移動することによって読み取ることができる。
【0018】
前記画像読取部4は、ランプなどの光源10、複数のミラー11、レンズ16、CCDなどの光電変換素子17等を備える。搬送あるいは載置されたシートには、第1のコンタクトガラス6又は第2のコンタクトガラス7を介して光源10から発せられる光が照射される。そして、シート面に照射されて反射した光を複数のミラー11によって何度か反射させた後、レンズ16を介して光電変換素子17で光電変換することでシートの画像が読み取られる。
【0019】
次に、搬送読取ユニット3の構成について説明する。この搬送読取ユニット3は、図1に示したように、複数枚のシートを載置可能な給紙トレイ21と、載置された複数枚のシートのシート幅方向端部を規制する規制板22と、読取処理の終了したシートを収納する排紙トレイ8とを備えている。
【0020】
また、この搬送読取ユニット3には、給紙トレイ21上に積載されている複数枚のシートから1枚ずつ給紙する給紙パス12と、この給紙パス12から第1のコンタクトガラス6を経由して延びる読取パス13と、この読取パス13から排紙トレイ8に連なる排紙パス14とからなるシートの搬送路を備える。
【0021】
前記規制板22の下流側には、本発明の給紙装置20を備える。この給紙装置20は、前記給紙トレイ21からシートを繰り出すための繰出ローラ23と、繰り出されたシートを給送する給紙ローラ24と、この給紙ローラ24に当接してシートを1枚ずつ分離する分離手段25とを備える。なお、この分離手段25には、繰出ローラ23によって繰り出されてくるシートを捌くための捌き板38が設けられる。
【0022】
前記分離手段25は、図2に示すように、搬送読取ユニット3に取り付け固定される分離フレーム30と、この分離フレーム30内にバネ部材32を介して支持され、給紙ローラ24の外周面に弾性的に圧接するように配置される分離板31とを備えて構成される。
【0023】
前記分離フレーム30には、分離板31の上流側近傍位置に回転体(コロ)33が設けられる。このコロ33は、分離フレーム30内に突出するコロ回転軸36に回転フリーに取り付けられる。本実施形態では、前記コロ33を給紙ローラ24の回転方向に沿った両端に接するように一対(33a,33b)配置した。一方のコロ33aを軸支持しているコロ回転軸36は、分離フレーム30に取り付けられている回転ギア39を介して回転板34aに連結される。
【0024】
図3に示すように、前記回転板34aには円周方向に向かって放射線状に多数の検出孔が開設されており、回転板34aと発光素子と受光素子とからなる透過型のフォトインタラプタ35とで回転検出手段(エンコーダ)34を構成している。すなわち、回転板34aはコロ33と一体で回転し、フォトインタラプタ35は回転板34aの検出孔を検出して、この回転板34aの回転に同期したパルス信号を出力する。そして、制御手段(制御部)CONTでは、フォトインタラプタ35のパルス信号を生成しているときはコロ33が回転していると判断し、パルス信号を生成していないときはコロ33が停止していると判断する。
【0025】
次に、前記給紙装置20における駆動構成を図3に基づいて説明する。この給紙装置20では、一系統の回転駆動源(給紙モータ)MTによって、繰出ローラ23、給紙ローラ24及びレジストローラ26の回転駆動を行っている。また、前記繰出ローラ23、給紙ローラ24及びレジストローラ26は、それぞれ独立したクラッチCL1,CL2,CL3を備え、エンコーダ34,分離センサ41及びレジストセンサ42からの検出信号によって、各クラッチをオンにして回転の停止動作を行うようになっている。
【0026】
前記給紙モータMTは、給紙トレイ21にシートが載置され、規制板22に備わるエンプティセンサ(図示せず)でシートの先端が検知された時点で起動し、この起動によって繰出ローラ23,給紙ローラ24及びレジストローラ26がシートの送り出し方向(図中右から左方向)に向けて回転する。前記クラッチCL1は、エンコーダ34によって、コロ33の回転が停止したことを検知するとオフ(OFF)となり、繰出ローラ23の回転を停止させる。このクラッチCL1は、先行するシート(先行シート)P1が分離センサ41を通過するまでオフ状態が継続し、前記先行シートP1の後端が検出された時点でオン(ON)となり、再び繰出ローラ23の回転が開始される。なお、クラッチCL2,CL3は、シートの搬送状態に応じてオン・オフ状態に切り替わる。
【0027】
前記レジストローラ26の下流側には、図1に示したように、第1のコンタクトガラス6を経由する読取パス13と、この読取パス13に繋がる排紙パス14が設けられている。前記読取パス13には、第1リードローラ27,第2リードローラ28が設けられ、リードセンサ43の検出状態に応じて回転停止動作を行い、シートの読み取り搬送を行う。また、排紙パス14には、シートを排紙トレイ8に送り出す排紙ローラ29が設けられ、排紙センサ44の検出状態に応じて回転停止動作を行い、読み取りが終了したシートを排紙トレイ8に向けて排紙搬送を行う。なお、前記第1リードローラ27,第2リードローラ28及び排紙ローラ29は、前記給紙装置20を駆動する給紙モータMTとは別系統の駆動モータ及びクラッチ(図示せず)によって駆動制御される。
【0028】
次に、シートの繰り出し状態の異なる2パターンの動作(図5及び図6)を図3の駆動構成図、図4(a)の給紙動作フロー及び図4(b)の繰出停止動作フローを参照しつつ説明する。ここで、図5は、先行シートP1が繰出ローラ23位置にあるときに、後続シートP2が先行シートP1と重なるようにしてコロ33に向けて連れ送りされる第1のパターンを示したものである。また、図6は、先行シートP1が繰出ローラ23位置を抜けた後に、後続シートP2が先行シートP1に連れ送りされることなく、先行シートP1の後端部と重なった状態でコロ33の位置に繰り出される第2のパターンを示したものである。
【0029】
前記第1のパターンは、図5(a)に示すように、給紙トレイ21上に複数枚のシートが載置され、エンプティセンサ(図示せず)がシートの先端を検出(ON)する(ST1)と、給紙モータMTが駆動する(ST2)。これと同時に、クラッチCL1,CL2が駆動連結(ON)され(ST3)、繰出ローラ23と給紙ローラ24が同時に回転駆動する。これによって、給紙トレイ21の最上部から1枚目のシート(先行シート)P1が繰出ローラ23によって繰り出され、給紙ローラ24を介して給紙パス12の入り口側に送り出される。このとき、図5(b)に示すように、コロ33は先行シートP1の下面に接触し、この先行シートP1の移動に伴って回転する。続く2枚目のシート(後続シート)P2及び2枚目以降のシートは、先行シートP1に連れ送りされ、給紙トレイ21上の最初に載置された位置よりも下流側に順次移動する。
【0030】
そして、図5(c)に示すように、連れ送りされた後続シートP2の先端がコロ33の上に乗り上げるようにして給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置に到達すると、この位置で分離板31が後続シートP2の移動を阻止し、後続シートP2は前記ニップ位置で停止した状態で先行シートP1と分離される。その後、先行シートP1の先端がレジストセンサ42に到達すると、このレジストセンサ42によって先行シートP1が給紙パス12内に進入したことが検出される。
【0031】
前記レジストセンサ42によって先行シートP1が検出される過程で、繰出ローラ23の繰出停止動作(ST5)が実行される(図4(b))。この繰出停止動作では、クラッチCL1が駆動連結(ON)状態(ST11)で、分離センサ41で先行シートP1が検出状態にあるときにコロ33が停止(ST3)してクラッチCL1の駆動連結が解除(OFF)される(ST14)。すなわち、後続シートP2が給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置に到達して停止することでコロ33の回転も停止し、このコロ33の停止を検出することによって繰出ローラ23が停止することとなる。
【0032】
その後、レジストセンサ42が先行シートP1の先端を検出した時点から給紙モータMTを所定量駆動する(ST6)。これによって、先行シートのP1の先端がレジストローラ26に当接して整合される。そして、先行シートP1の先端整合が終了すると、クラッチCL2をOFF、クラッチCL3をONにする(ST7)。これによって、給紙ローラ24が停止するが、レジストローラ26は回転駆動しているため、先行シートP1は給紙パス12の下流側に向けて送り出される。
【0033】
前記レジストローラ26によって先行シートP1が送り出される過程において、再び前記繰出停止動作が実行(ST8)されることとなるが、この場合は、既に後続シートP2が給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置に到達し、クラッチCL1の駆動連結が解除(OFF)しているので、以降の処理(ST12〜ST14)は実行されない。
【0034】
そして、分離センサ41が先行シートP1の後端を検出(ST9)した時点で、給紙トレイ21上の後続シートP2の有無をエンプティセンサで確認(ST10)し、後続シートP2があればクラッチCL1,CL2を駆動連結(ON)すると共に、クラッチCL3の駆動連結を解除(OFF)する。これによって、レジストローラ26が停止し、繰出ローラ23及び給紙ローラ24が再び回転駆動し、後続シートP2の繰り出し動作が開始される。このとき、図5(d)に示すように、後続シートP2の先端は、給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置にあり、先行シートP1と後続シートP2とは、常に一定の離間間隔Lが保持されることとなる。
【0035】
前記第2のパターンは、図6(a)に示すように、給紙トレイ21上に複数枚のシートが載置され、エンプティセンサ(図示せず)がシートの先端を検出(ON)する(ST1)と、給紙モータMTが駆動する(ST2)。これと同時に、クラッチCL1,CL2が駆動連結(ON)され(ST3)、繰出ローラ23と給紙ローラ24が同時に回転駆動する。これによって、先行シートP1が繰出ローラ23によって繰り出され、給紙ローラ24によって給紙パス12に送り出される。このとき、図6(b)に示すように、コロ33は先行シートP1の下面に接触し、先行シートP1の移動に伴って回転する。一方、後続シートP2及び2枚目以降のシートは先行シートP1にほとんど連れ送りされないか、又は、捌き板31aではじかれて連れ送りが阻止されるため、給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置に到達しない。したがって、先行シートP1はそのまま給紙パス12を進み、レジストローラ26にて先端が整合される。そして、レジストローラ26にて先行シートP1の搬送が開始される(ST5〜ST7)までコロ33は回転しているため、クラッチCL1は駆動連結が解除(OFF)されずに繰出ローラ23は回転を持続する。
【0036】
そして、図6(c)に示すように、レジストローラ26によって送り出される先行シートP1の後端が繰出ローラ23を通過すると、この繰出ローラ23は後続シートP2の上面に接触して繰り出す。これによって、後続シートP2の先端が先行シートP1の後端部に続くようにして繰り出され、この後続シートP2の先端がコロ33の上に乗り上げることによって給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置に到達する。このニップ位置に到達した後続シートP2は、分離板31によって停止し、これに伴ってコロ33も回転を停止する。すなわち、先行シートP1がレジストローラ26によって給紙パス12に送り出される過程で繰出ローラ23の繰り出しが停止(ST8)したことで、コロ33が停止(ST13)したことが検出される。これによって、クラッチCL3の駆動連結が解除となり、繰出ローラ23の回転が停止することとなる。
【0037】
そして、分離センサ41が先行シートP1の後端を検出(ST9)した時点で、給紙トレイ21上の後続シートP2の有無をエンプティセンサで確認(ST10)し、後続シートP2があればクラッチCL1,CL2を駆動連結(ON)すると共に、クラッチCL3の駆動連結を解除(OFF)する。これによって、レジストローラ26が停止して、繰出ローラ23及び給紙ローラ24が再び回転駆動し、後続シートP2の繰り出し動作が開始される。このとき、図6(d)に示すように、後続シートP2の先端は給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置にあり、先行シートP1と後続シートP2とは、常に一定の離間間隔Lが保持されることとなる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、後続シートP2を先行シートP1と重なった状態で給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置まで繰り出すように繰出ローラ24を制御したので、シート間の間隔が一定に保つことができ、シート処理の生産性が向上する。また、分離手段25の上流側近傍に配置されているコロ33の回転の有無によって、先行シートP1に重なって送られる後続シートP2が給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置に到達したことを容易に検出することができる。さらに、前記コロ33及びエンコーダ34によって、後続シートP2が給紙ローラ24と分離板31とのニップ位置に到達したことを検出すると、繰出ローラ23を停止させるように制御したので、過度の繰り出し動作が阻止され、後続シートの先端が撓んだり、ループが生じたりすることなく、シートの給紙異常、シートの損傷や汚れ等を未然に防ぐことができる。
【0039】
なお、本発明の給紙装置は、上記実施形態で示したシート搬送装置に限らず、コピー機本体やプリンタなどのシートを連続して給紙する機構を備えた装置に応用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 原稿搬送装置
2 本体ユニット
3 搬送読取ユニット
4 画像読取部
5 光学部
6 第1のコンタクトガラス
7 第2のコンタクトガラス
8 排紙トレイ
10 光源
11 ミラー
12 給紙パス
13 読取パス
14 排紙パス
16 レンズ
17 光電変換素子
20 給紙装置
21 給紙トレイ
22 規制板
23 繰出ローラ
24 給紙ローラ
25 分離手段
26 レジストローラ
27 第1リードローラ
28 第2リードローラ
29 排紙ローラ
30 分離フレーム
31 分離板
32 バネ部材
33 コロ(回転体)
34 エンコーダ(回転検出部材)
34a 回転板
35 フォトインタラプタ
36 コロ回転軸
38 捌き板
39 回転ギア
41 分離センサ
42 レジストセンサ
43 リードセンサ
44 排紙センサ
MT 給紙モータ
CONT 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートを載置する給紙トレイと、
該給紙トレイに載置されたシートの上面に接触してシートを繰り出す繰出ローラと、
該繰出ローラによって繰り出されたシートを搬送路に沿って搬送する給紙ローラと、
該給紙ローラに圧接し、この給紙ローラによって給紙される先行のシートに続く後続のシートの移動を阻止して先行のシートから後続のシートを分離する分離手段とを備えた給紙装置において、
前記給紙ローラと前記分離手段との圧接位置の上流側に配置され、先行のシートと重なった状態で繰り出さる後続のシートに接触して回転すると共に、前記分離手段で後続のシートの移動が阻止されることによって停止する回転体と、
該回転体の回転・停止を検出する回転検出手段と、
前記回転体の停止を前記回転検出手段が検出したことに基づいて前記繰出ローラを停止させる制御手段とを備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記分離手段に対してシートの給紙方向と直交する方向で、前記給紙ローラの一部と当接する位置に配置される請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記分離手段の下流側近傍に、この分離手段によって分離されたシートを検出する分離センサを設け、この分離センサによって、先行のシートの後端が検出された後に、前記繰出ローラによる後続のシートの繰り出し動作を開始する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記分離センサは、前記給紙ローラと回転体との当接位置の下流側近傍に設けられる請求項3に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記繰出ローラ及び給紙ローラは、それぞれ独立したクラッチを介して同一の回転駆動源に接続され、シートの送り動作と停止動作とを交互に切り替える請求項1に記載の給紙装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−140206(P2012−140206A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293304(P2010−293304)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】