説明

給電側コネクタ

【課題】 周囲の騒音に影響されずに受電側コネクタと給電側コネクタとの嵌合を確認することができると共に、受電側コネクタと給電側コネクタとを円滑に嵌合することができ、操作性を向上させた給電側コネクタを提供するものである。
【解決手段】 給電側コネクタ100は、受電側コネクタ201の段差201bに係止される係止爪41aを有する係止部41と、係止部41の係止爪41aを被覆しており、受電側コネクタ201に当接されることにより、給電側コネクタ100の後端側にスライドして、係止部41の係止爪41aを露出させる突起規制部42と、突起規制部42がスライドすることにより、端子保持部31及び係止部41間に挿入され、係止部41の係止爪41aをケース連結部33の外周側に押し上げる突起押上部43と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(electric vehicle:EV)側に接続される充電コネクタ(車両側コネクタ、以下、受電側コネクタと称す)に電気的に接続する、充電スタンド側に接続される充電コネクタ(スタンド側コネクタ、以下、給電側コネクタと称す)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気自動車の充電用コネクタは、車体に取付けられる受電側コネクタと嵌合,ロックされる給電側コネクタのケース本体に、端子収容部内のグランド用端子,充電用端子およびその他の端子に接続される複数のリードを配設する主ケーブル通路を前記ケース本体のケーブル接続部と連通して設ける。この主ケーブル通路には前記複数のリード線に対するテンションを緩和する少なくとも2個の電線固定軸を設ける(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の電気自動車の充電用コネクタは、給電側コネクタのケース本体に照明室を設けて、二色タイプのLEDをインジケータランプとしてセットし、一方の発色光を照明用にする。給電側コネクタと受電側コネクタの嵌合中途では、中間が軸支されたロックレバーの一端の係止爪が係止突起に乗り上げ、他端の押圧部が常閉接点を有するマイクロスイッチのスイッチばねを押してオフとなるので、通電されず、完全嵌合時には該レバーがコイルばねにより弾性復帰するので通電する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、従来の給電コネクタは、給電側コネクタは筒状のケースの前半部にコネクタ本体を摺動可能に内装し、後半部にレバーの回動により該本体を相手方コネクタ側に前進させるハンドルが進退可能に設けてある。レバーには、コネクタ本体を相手方コネクタ本体と嵌合した位置でロックする1次ロック手段(解除レバー)と、該解除レバーを電磁コイルの励磁によりロックする2次ロック手段と、消磁により2次ロックが解除された解除レバーの1次ロックを解除する手段が設けてある。また、コネクタは相手方コネクタに対する仮係合手段(ロック腕)を備えると共に、該仮係合手段は相手方コネクタとの嵌合前に前記コネクタ本体の前進を阻止するストッパ手段を備えている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
さらに、従来の電気自動車のチャージ用コネクタは、チャージ用コネクタのハウジング内には、第1レバーとその後方に第2レバーが設けられており、この第2レバーの後端部(操作片)を押圧操作すると、その先端側の作用片が第1レバーの後端部(受け片)を持ち上げて第1レバーの先端のロック突部をロックの係合解除方向に変移させる(例えば、特許文献1参照)。特に、従来の電気自動車のチャージ用コネクタは、電気自動車を充電する場合に、車両側コネクタのフード部の内部にチャージ用コネクタを押し込むと、チャージ用コネクタの外周面から突出するロック突部の全面側のテーパ面がフード部と当接し、テーパ面とフード部との摺接によりロック片が下方に押し下げられ、ロック突部がハウジング内へと引っ込んだ状態となり、チャージ用コネクタがフード部内の奥まで差し込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−161884号公報
【特許文献2】特開平9−161898号公報
【特許文献3】特開平7−85926号公報
【特許文献4】特開平10−321294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電気自動車の充電用コネクタは、ロックレバーを受電側コネクタのハウジングの外側から係合させるようにしているため、係止爪がハウジングへのガイド突条の外部に配置され、その係止爪を保護するためのケース本体によって給電側コネクタ全体が大きくなってしまうという課題がある。
【0008】
また、従来の給電コネクタは、レバーの操作部を握り、作用部がレバー軸を中心に回動してコネクタ本体が前進することにより、両コネクタが嵌合するのであるが、嵌合状態では、操作部を握る前の位置にレバーが復帰することがない。このため、従来の給電コネクタは、両コネクタが確実に嵌合されているかの確認ができず、嵌合が不完全であれば、充電中に受電側コネクタから給電側コネクタが抜けてしまう恐れがある。なお、従来の給電コネクタは、給電側コネクタの係止爪と受電側コネクタの係合段差との係合時に嵌合音が生じるのであれば、充電作業者の聴覚による嵌合状態の確認が可能であるが、充電スタンドの周囲に騒音がある環境では、騒音により嵌合音が掻き消され、両コネクタが確実に嵌合されているかの確認ができないことになる。
【0009】
また、従来の電気自動車のチャージ用コネクタは、車両側コネクタのフード部の内部にチャージ用コネクタを押し込む際に、テーパ面とフード部との摺接によりロック片が下方に押し下げられるのであるが、トーションバネによって元の状態に戻ろうとする弾性力が第1レバーを介してロック突部に働き、チャージ用コネクタを押し込む際の抵抗となり、車両側コネクタとチャージ用コネクタとの嵌合が容易でないという課題がある。
【0010】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたもので、周囲の騒音に影響されずに受電側コネクタと給電側コネクタとの嵌合を確認することができると共に、受電側コネクタと給電側コネクタとを円滑に嵌合することができ、操作性を向上させた給電側コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る給電側コネクタにおいては、受電側コネクタの段差に係止される突起を有する係止部と、係止部の突起を被覆しており、受電側コネクタに当接されることにより、給電側コネクタの後端側にスライドして、係止部の突起を露出させる突起規制部と、突起規制部がスライドすることにより、端子保持部及び係止部間に挿入され、係止部の突起を押し上げる突起押上部と、を備えるものである。
【0012】
また、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、端子を絶縁して軸止する略円柱状の端子保持部と、端子保持部を先端として給電側コネクタの筐体を構成するケース本体部と、端子保持部及びケース本体部間に介在して当該端子保持部及びケース本体部を連結する略円筒状のケース連結部と、ケース連結部の中心軸方向に摺動可能に配設され、給電側コネクタの先端側に押圧するための押圧部を有し、当該押圧部を押圧した状態で、給電側コネクタの後端側に第1の弾性部材による付勢が与えられてケース本体部に連結される解除操作部と、を備え、係止部が、他端がケース本体部に軸支され、受電側コネクタと給電側コネクタとが非嵌合状態で、ケース連結部の中心軸側に第2の弾性部材による付勢が他端近傍に与えられ、突起規制部が、略円筒状であり、ケース本体部及びケース連結部間に介在して当該ケース連結部の中心軸方向に摺動可能に配設され、受電側コネク
タと給電側コネクタとが非嵌合状態で、給電側コネクタの先端側に第3の弾性部材による付勢が与えられ、係止部の突起を被覆しつつ、係止部の一端を端子保持部に当接させ、突起押上部が、端子保持部及びケース連結部間に介在して当該ケース連結部の中心軸方向に摺動可能に配設される環状のリング部並びに当該リング部から給電側コネクタの後端側に延在する延在部を有し、受電側コネクタと給電側コネクタとが非嵌合状態で、リング部が係止部に対して給電側コネクタの先端側に配設され、給電側コネクタの後端側に第4の弾性部材による付勢が与えられてケース本体部に連結されるものである。
【0013】
また、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、解除操作部が、給電側コネクタの先端側へ初期・給電位置から移動自在に押圧部を待機位置で支持されると共に、給電側コネクタと受電側コネクタとが嵌合することにより、待機位置から初期・給電位置に復帰するものである。
【0014】
また、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、解除操作部が、押圧部の押圧面がケース本体部内にある初期・待機位置で支持されると共に、給電側コネクタと受電側コネクタとが嵌合することにより、初期・待機位置から押圧部の押圧面がケース本体部の後端にある給電位置に移動するものである。
【0015】
さらに、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、電磁コイルの励磁によりプランジャーを上昇させ、当該励磁コイルの消磁によりプランジャーを下降させる電気ロック部を備え、通電中は、電気ロック部のプランジャーと突起押上部の延在部とが係合して、給電側コネクタの先端側への解除操作部及び突起押上部の移動が規制されるものである。
【0016】
また、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、端子が、給電用端子及び制御用端子からなり、給電用端子に接続する給電用リード線と制御用端子に接続する制御用リード線とが、シースで一体に被覆されてケーブルを構成し、ケーブル内の給電用リード線が、導体に絶縁体が被覆され、当該絶縁体に編組遮蔽が施されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る給電側コネクタにおいては、受電側コネクタの段差に係止される突起を有する係止部と、係止部の突起を被覆しており、受電側コネクタに当接されることにより、給電側コネクタの後端側にスライドして、係止部の突起を露出させる突起規制部と、突起規制部がスライドすることにより、端子保持部及び係止部間に挿入され、係止部の突起を押し上げる突起押上部と、を備えることにより、受電側コネクタと給電側コネクタとを円滑に嵌合することができ、充電作業の作業性を向上することができる。
【0018】
また、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、端子を絶縁して軸止する略円柱状の端子保持部と、端子保持部を先端として給電側コネクタの筐体を構成するケース本体部と、端子保持部及びケース本体部間に介在して当該端子保持部及びケース本体部を連結する略円筒状のケース連結部と、ケース連結部の中心軸方向に摺動可能に配設され、給電側コネクタの先端側に押圧するための押圧部を有し、当該押圧部を押圧した状態で、給電側コネクタの後端側に第1の弾性部材による付勢が与えられてケース本体部に連結される解除操作部と、を備え、係止部が、他端がケース本体部に軸支され、受電側コネクタと給電側コネクタとが非嵌合状態で、ケース連結部の中心軸側に第2の弾性部材による付勢が他端近傍に与えられ、突起規制部が、略円筒状であり、ケース本体部及びケース連結部間に介在して当該ケース連結部の中心軸方向に摺動可能に配設され、受電側コネクタと給電側コネクタとが非嵌合状態で、給電側コネクタの先端側に第3の弾性部材による付勢が与えられ、係止部の突起を被覆しつつ、係止部の一端を端子保持部に当接させ、突起押上部が、端子保持部及びケース連結部間に介在して当該ケース連結部の中心軸方向に
摺動可能に配設される環状のリング部並びに当該リング部から給電側コネクタの後端側に延在する延在部を有し、受電側コネクタと給電側コネクタとが非嵌合状態で、リング部が係止部に対して給電側コネクタの先端側に配設され、給電側コネクタの後端側に第4の弾性部材による付勢が与えられてケース本体部に連結されることにより、受電側コネクタと給電側コネクタとを円滑に嵌合することができ、充電作業の作業性を向上することができる。
【0019】
また、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、解除操作部が、給電側コネクタの先端側へ初期・給電位置から移動自在に押圧部を待機位置で支持されると共に、給電側コネクタと受電側コネクタとが嵌合することにより、待機位置から初期・給電位置に復帰することにより、両コネクタ間のロック状態を充電作業者の視覚及び聴覚により確実に確認することができ、充電作業を安全に行なうことができる。
【0020】
また、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、解除操作部が、押圧部の押圧面がケース本体部内にある初期・待機位置で支持されると共に、給電側コネクタと受電側コネクタとが嵌合することにより、初期・待機位置から押圧部の押圧面がケース本体部の後端にある給電位置に移動することにより、両コネクタ間のロック状態を充電作業者の視覚及び聴覚により確実に確認することができ、充電作業を安全に行なうことができる。
【0021】
さらに、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、電磁コイルの励磁によりプランジャーを上昇させ、当該励磁コイルの消磁によりプランジャーを下降させる電気ロック部を備え、通電中は、電気ロック部のプランジャーと突起押上部の延在部とが係合して、給電側コネクタの先端側への解除操作部及び突起押上部の移動が規制されることにより、通電中は引き抜けない機構であり、充電作業を安全に行なうことができる。
【0022】
また、本発明に係る給電側コネクタにおいては、必要に応じて、端子が、給電用端子及び制御用端子からなり、給電用端子に接続する給電用リード線と制御用端子に接続する制御用リード線とが、シースで一体に被覆されてケーブルを構成し、ケーブル内の給電用リード線が、導体に絶縁体が被覆され、当該絶縁体に編組遮蔽が施されることにより、給電用リード線に流れる電流により生じるノイズをシールドして、制御用リード線に流れる制御信号にノイズが重畳されることを防止し、制御用リード線における通信障害を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は第1の実施形態に係る給電側コネクタの概略構成を示す概略構成図であり、(b)は受電側コネクタの概略構成を示す斜視図であり、(c)は図1(b)に示す受電側コネクタの断面図である。
【図2】(a)は図1(a)に示す給電側コネクタの内部構成を示す断面図であり、(b)は図2(a)に示す突起規制部がスライドした状態を示す断面図である。
【図3】(a)は図2(b)に示す突起押上部がスライドした状態を示す断面図であり、(b)は図3(a)に示す解除操作部を押圧した状態を示す断面図である。
【図4】(a)は電気自動車用エコ・ステーション急速充電システムを説明するための説明図であり、(b)は図2(a)に示すケーブルの構造を説明するための断面図である。
【図5】(a)は図2(a)に示すケース連結部の概略構成を示す正面図であり、(b)は図4(a)に示すケース連結部の右側面図であり、(c)は図4(a)に示すケース連結部の左側面図である。
【図6】(a)は図2(a)に示す係止部の概略構成を示す正面図であり、(b)は図6(a)に示す係止部の背面図である。
【図7】(a)は図2(a)に示す突起規制部の概略構成を示す正面図であり、(b)は図4(a)に示すケース連結部の右側面図であり、(c)は図4(a)に示すケース連結部の左側面図である。
【図8】(a)は図2(a)に示す突起押上部の概略構成を示す正面図であり、(b)は図8(a)に示す突起押上部の背面図であり、(c)は図8(a)に示す突起押上部の左側面図である。
【図9】(a)は第2の実施形態に係る解除操作部の初期・給電位置を説明するための説明図であり、(b)は図9(a)に示す解除操作部の待機位置を説明するための説明図である。
【図10】(a)は第3の実施形態に係る給電側コネクタの初期・待機状態における内部構成を示す断面図であり、(b)は第3の実施形態に係る給電側コネクタの給電状態における内部構成を示す断面図である。
【図11】(a)は第1の実施形態に係る解除操作部における固定ピンの初期・待機・給電位置を説明するための説明図であり、(b)は第3の実施形態に係る解除操作部における固定ピンの初期・待機位置を説明するための説明図であり、(c)は第3の実施形態に係る解除操作部における固定ピンの給電位置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態においては、給電側コネクタ100として、電気自動車(以下、車両200と称す)の充電に使用する急速充電スタンド用充電コネクタを例に挙げて説明するが、車両200の受電側コネクタ201に嵌合する給電側コネクタ100であれば、例えば、普通充電用の充電コネクタであってもよい。なお、受電側コネクタ201は、日本電動車両規格(JEVS:Japan Electric Vehicle Standard)の規格番号JEVS G 105-1993(電気自動車用エコ・ステーション急速充電システムのコネクタ)に準拠した既存の充電コネクタ(車両側コネクタ)であり、図1(b)及び図1(c)に図示するが、詳細な説明を省略する。
【0025】
給電側コネクタ100は、図1(a)、図2及び図3に示すように、大別すると、端子10、リード線20、ハウジング30、嵌合操作部40、電気ロック部50、表示ランプ60及び駆動回路70を備えている。
【0026】
端子10は、銅合金製であり、日本電動車両規格の規格番号JEVS G 105-1993に準拠して、2本の給電用端子11(給電(+)、給電(−))と7本の制御用端子12(充電開始停止1(S1端子)、充電開始停止2(S2端子)、コネクタ接続確認(C端子)、充電許可禁止(P端子)、通信1(A端子)、通信2(B端子)、アース(G端子))とから構成される。
【0027】
リード線20は、電線である導体にポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride:PVC)等の絶縁体を被覆して構成され、導体を端子10に圧縮接続する。また、リード線20は、図4に示すように、給電用端子11及び充電スタンド101(蓄電池102、充電器10
3、AC電源104)間を接続する給電用リード線21(導体21a、絶縁体21b)と、制御用端子12及び充電スタンド101間を接続する第1の制御用リード線22(導体22a、絶縁体22b)と、駆動回路70(電気ロック部50、表示ランプ60)及び充電スタンド101間を接続する第2の制御用リード線23(導体23a、絶縁体23b)とから構成される。
【0028】
なお、ハウジング30の外部では、リード線20を保護して取り扱いを容易にするため、給電用リード線21、第1の制御用リード線22及び第2の制御用リード線23は、ポリ塩化ビニル等の絶縁体(シース81)で一体に被覆してケーブル80を構成する。
【0029】
また、ケーブル80は、給電用リード線21の絶縁体21bの劣化等による亀裂が絶縁体21bの表面から導体21aまで達して漏電した状態で、鋭利な物との接触や劣化によりシース81に亀裂が入り、給電用リード線21の導体21aが露出した場合に、充電作業者が給電用リード線21の導体21aに触れることにより感電の恐れがある。このため、図4(b)に示すように、ケーブル80は、ケーブル80内の給電用リード線21に絶縁体21bの外層として編組遮蔽21cが施され、編組遮蔽21cに漏電検出部82を接続しておくことで、シース81に亀裂が入る前に、給電用リード線21の漏電の有無を検出することができ、充電作業者の感電を防止することができるという作用効果を奏する。また、編組遮蔽21cは、給電用リード線21に流れる電流により生じるノイズをシールド(電磁的遮蔽)して、第1の制御用リード線22及び第2の制御用リード線23に流れる制御信号にノイズが重畳されることを防止し、第1の制御用リード線22及び第2の制御用リード線23における通信障害を抑制することができるという作用効果を奏する。
ここで、ケーブル80の具体的な構成について下表1を用いて説明する。
【0030】
【表1】

【0031】
ケーブル80は、断面積が22平方mmである線心数2本の給電用リード線21と、断面積が0.75平方mmである線心数7本の第1の制御用リード線22及び線心数2本の第2の制御用リード線23とを内包する。
【0032】
給電用リード線21(色相:黒、白)は、導体21aとして素線径0.18mmである素線を19/45本撚り合わせて外径を7.0mmとし、絶縁体21bとして厚さ1.6mmのポリ塩化ビニルで導体21aを被覆して外径を10.2mmとし、編組遮蔽21cとして素線径0.16mmである素線を持数8本及び打数16打で編組される。
【0033】
第1の制御用リード線22(色相:黒、赤、茶、緑、青、橙、桃)は、導体22aとし
て素線径0.18mmである素線を30本撚り合わせて外径を1.1mmとし、絶縁体22bとして厚さ0.8mmのポリ塩化ビニルで導体22aを被覆して外径を2.7mmとする。
【0034】
第2の制御用リード線23のうち、電気ロック部50及び表示ランプ60の駆動電源(駆動回路70)の正極側に接続されるリード線(色相:白)は、導体23aとして素線径0.18mmである素線を30本撚り合わせて外径を1.1mmとし、絶縁体23bとして厚さ1.65mmのポリ塩化ビニルで導体23aを被覆して外径を4.4mmとする。また、第2の制御用リード線23のうち、電気ロック部50及び表示ランプ60の駆動電源(駆動回路70)の負極側に接続されるリード線(色相:黄)は、導体23aとして素線径0.18mmである素線を30本撚り合わせて外径を1.1mmとし、絶縁体23bとして厚さ0.8mmのポリ塩化ビニルで導体23aを被覆して外径を2.7mmとする。
【0035】
また、ケーブル80は、シース81として厚さ2.8mmのポリ塩化ビニルで、給電用リード線21、第1の制御用リード線22及び第2の制御用リード線23を一体に被覆して、仕上りの外径を28.7mmとする。
【0036】
ハウジング30は、図1(a)、図2及び図3に示すように、端子10を絶縁して軸止する略円柱状の端子保持部31と、端子保持部31を先端として給電側コネクタ100の筐体を構成するケース本体部32と、端子保持部31及びケース本体部32間に介在して端子保持部31及びケース本体部32を連結する略円筒状のケース連結部33とから構成される。
【0037】
端子保持部31は、図2及び図3に示すように、給電側コネクタ100の先端側への突起押上部43の移動を規制する突起部31aが略中央において外周面から突出して周設される。なお、端子保持部31の嵌合面における端子配列は、JEVS G 105-1993(付図3)の通りであり、図示を省略する。また、本実施形態に係る端子保持部31は、金属を溶かして鋳型に流し込んで成型した鋳造品としているが、日本電動車両規格の規格番号JEVS G
105-1993に準拠して、合成樹脂などの難燃性絶縁材料を用いることが好ましい。
【0038】
ケース連結部33は、図2、図3及び図5に示すように、合成樹脂などの難燃性絶縁材料を用い、前端(給電側コネクタ100の先端側)において内周面から突出して端子保持部31の突起部31aと釘着させるフランジ33aと、後端(給電側コネクタ100の後端側)において外周面に周設される複数の溝33bとを備える。
【0039】
なお、本実施形態に係る溝33bは、3つの溝からなり、最前端側にある溝33bがCリング1を咬持させる溝であり、残りの2つの溝33bがケース本体部32の2つの凸部32aに噛合する溝である。また、Cリング1と突起規制部42との間には、弾性部材(例えば、圧縮コイルばね2a)が配設され、圧縮コイルばね2aは、ケース連結部33の外周面に摺接することになる。
【0040】
また、ケース連結部33は、係止部41の係止爪41aをケース連結部33内から外部に突出させるために、後端から前端にかけて延在するスリット33cを対向する2箇所に配設させる。また、ケース連結部33は、給電側コネクタ100と受電側コネクタ201との嵌合時の位置決めのためのガイド33dが、スリット33cの先端とケース連結部33の前端との間の領域において、受電側コネクタ201のガイド溝201a(図1(b)参照)に対応する位置、大きさ及び範囲で外周面から突出し、ケース連結部33の中心軸方向に延在して並設される。
【0041】
ケース本体部32は、図1(a)、図2及び図3に示すように、一対の割型ケースで構成され、リード線20、嵌合操作部40、電気ロック部50、表示ランプ60及び駆動回路70を収容し、充電作業者が把持するためのグリップ部32bを有するピストル形状である。なお、本実施形態に係るケース本体部32は、金属を溶かして鋳型に流し込んで成型した鋳造品としているが、日本電動車両規格の規格番号JEVS G 105-1993に準拠して、合成樹脂などの難燃性絶縁材料を用いることが好ましい。また、本実施形態に係るグリップ部32bは、鋳造品のケース本体部32に、合成樹脂などの難燃性絶縁材料を用いたグリップ部材9をネジ8で螺着して形成している。
【0042】
また、ケース本体部32は、一対の割型ケースをねじ8により螺着するために、一方の割型ケースに結合用ねじ台32cを有し、他方の割型ケースに貫通孔(不図示)を有する。また、ケース本体部32は、係止部41、突起押上部43及び解除操作部44に対応するピン(固定ピン5a,5b,5c、ピン41b)を嵌入して軸支する支持穴32dと、突起押上部43に対応する摺動ピン43dを摺動可能に支持する支持溝32eとを、一対の割型ケースの対向する位置にそれぞれ配設する。
【0043】
また、ケース本体部32は、前端(給電側コネクタ100の先端側)にケース連結部33が係止され、ケース本体部32とケース連結部33と突起規制部42とで囲まれた空間に、ケース連結部33に対して圧縮コイルばね2aが巻回されて配設される。
【0044】
また、ケース本体部32は、後端(給電側コネクタ100の後端側)の一部から解除操作部44の押圧部44aが露出しており、充電作業者が押圧部44aを押圧することができる構成である。
【0045】
また、ケース本体部32は、上端(給電側コネクタ100の上端側)にある開口部に表示ランプ60が係止され、下端(給電側コネクタ100の下端側)にある開口部からケーブル保護部90を介してケーブル80が導入される。
【0046】
また、ケース本体部32は、給電側コネクタ100の先端側への突起規制部42の移動を規制するフランジ32fが、前端において内周面から突出して周設される。
【0047】
また、ケース本体部32は、前端側の内壁に凸部32aが周設されており、この凸部32aとケース連結部33の溝33bとを噛合させたうえで、ケース本体部32に対するケース連結部33の回転を防止するために、ケース連結部33を楔3によりケース本体部32に係止させる。
【0048】
このように、給電側コネクタ100は、ケース本体部32とケース連結部33とが係止され、ケース連結部33と端子保持部31とが係止され、端子保持部31に端子10が軸止されることで、ケース本体部32に対する端子10の移動(特に、ケース連結部33の中心軸方向の移動)がなく、受電側コネクタ201の端子との位置合わせが容易となり、受電側コネクタ201との嵌合を円滑に行なうことができる。
【0049】
嵌合操作部40は、図2及び図3に示すように、係止部41と、突起規制部42と、突起押上部43と、解除操作部44とから構成される。
【0050】
係止部41は、図2、図3及び図6に示すように、板状体をクランク状に屈曲させて、受電側コネクタ201の段差201b(図1(c)参照)に係止される突起(係止爪41a)を一端(前端側直線部41c)に有し、ケース本体部32の支持穴32dに軸支されるピン41bを他端(後端側直線部41d)に有する。また、係止部41は、前端側直線部41cにおける端子保持部31に当接する面及び垂直面とでなす角に、テーパー41e
を形成しており、突起押上部43のリング部43aが、端子保持部31と係止部41との間に挿入され易くしている。
【0051】
なお、ピン41bは、板状体の両側に突出して、ケース本体部32における一対の割型ケースの対向する位置にそれぞれ配設される支持穴32dに嵌入される。また、係止爪41aは、ピン41bの突出方向と略垂直な方向に突出しており、係止部41のピン41bをケース本体部32の支持穴32dに嵌入した状態で、ケース連結部33の外周側に先端が向いている。
【0052】
また、係止部41は、受電側コネクタ201と給電側コネクタ100とが非嵌合状態で、ケース連結部33の中心軸側に弾性部材(例えば、圧縮コイルばね2b)による付勢が他端近傍に与えられる。具体的には、クランプによる前端側直線部41c及び後端側直線部41d間の段差分の高さを有するピン41fを係止爪41aの突出方向と略同一方向に後端側直線部41dから突出させ、ピン41fに圧縮コイルばね2bを軸通させ、圧縮コイルばね2bを介して係止部41をケース連結部33に当接させる。
【0053】
突起規制部42は、図2、図3及び図7に示すように、略円筒状であり、ケース本体部32及びケース連結部33間に介在してケース連結部33の中心軸方向に摺動可能に配設される。また、突起規制部42は、受電側コネクタ201と給電側コネクタ100とが非嵌合状態で、給電側コネクタ100の先端側に弾性部材(例えば、圧縮コイルばね2a)による付勢が与えられ、係止部41の係止爪41aを被覆しつつ、係止部41の前端(給電側コネクタ100の先端側)を端子保持部31に当接させる。
【0054】
また、突起規制部42は、後端(給電側コネクタ100の後端側)において外周面から突出して周設されるフランジ42aが、ケース本体部32のフランジ32fに係合し、給電側コネクタ100の先端側への突起規制部42の移動が規制される。
【0055】
また、突起規制部42は、ケース連結部33のスリット33cの幅よりも幅が狭く、ケース連結部33の厚みと略同一の長さを有する突起部42bが、後端において内周面から突設される。これにより、突起規制部42の突起部42bは、ケース連結部33のスリット33cの長さ方向に沿って摺動可能であり、係止部41の前端側直線部41cには当接し、係止部41の後端側直線部41dには当接しないことになる。
【0056】
突起押上部43は、図2、図3及び図8に示すように、端子保持部31及びケース連結部33間に介在してケース連結部33の中心軸方向に摺動可能に配設される環状のリング部43a並びにリング部43aから給電側コネクタ100の後端側に延在する延在部43bを有する。また、突起押上部43は、受電側コネクタ201と給電側コネクタ100とが非嵌合状態で、リング部43aが係止部41に対して給電側コネクタ100の先端側に配設され、給電側コネクタ100の後端側に弾性部材(例えば、引張コイルばね4a)による付勢が与えられてケース本体部32に固定ピン5aを介して連結される。なお、固定ピン5aは、ケース本体部32の支持穴32dに軸支される。
【0057】
リング部43aは、係止部41のテーパー41eに当接する位置に、テーパー41eのテーパー面に対向する面を有するテーパー43cが形成され、端子保持部31と係止部41との間にリング部43aを挿入し易くしている。
【0058】
延在部43bは、リング部43aの対向する2箇所からリング部43aに対して略垂直に延出して端子10及びリード線20を回避する空間を有し、後端側で一体となり、引張コイルばね4aのフックを支持する摺動ピン43dが配設される。なお、摺動ピン43dは、ケース本体部32の支持溝32eにより摺動可能に支持される。また、延在部43b
は、後端で上側に突出する突出片43eを有し、突出片43eが電気ロック部50のプランジャー51に係止されることになる。
【0059】
解除操作部44は、図2及び図3に示すように、ケース連結部33の中心軸方向に摺動可能に配設され、給電側コネクタ100の先端側に押圧するための押圧部44aを有する。また、解除操作部44は、押圧部44aを押圧した状態で、給電側コネクタ100の後端側に弾性部材(例えば、引張コイルばね4b)による付勢が与えられてケース本体部32に固定ピン5bを介して連結される。なお、引張コイルばね4bは、給電側コネクタ100と受電側コネクタ201とが非嵌合状態において、充電作業者が押圧部44aをケース本体部32内まで押圧して押圧を開放した後に、給電側コネクタ100の後端に押圧部44aを戻すために必要な弾性力を有している。また、固定ピン5bは、ケース本体部32の支持穴32dに軸支される。
【0060】
また、解除操作部44は、前後(ケース連結部33の中心軸方向)の移動距離を規制する所定の長さの貫通孔44bを2箇所に有し、前端側の貫通孔44bには、突起押上部43に連結する引張コイルばね4aのフックを支持する固定ピン5aが挿入され、後端側の貫通孔44bには、固定ピン5cが挿入される。なお、解除操作部44は、前端(給電側コネクタ100の先端側)及び下端(給電側コネクタ100の下端側)の一部が開放して内部に空洞を有し、この空洞に引張コイルばね4a及び引張コイルばね4bが配設され、引張コイルばね4aのフックを支持する固定ピン44cが配設される。また、固定ピン5a及び固定ピン5cは、ケース本体部32の支持穴32dにそれぞれ軸支される。
【0061】
電気ロック部50は、電磁コイル52の励磁によりプランジャー51を上昇させ、励磁コイルの消磁によりプランジャー51を下降させる。
【0062】
すなわち、通電中は、電気ロック部50のプランジャー51と突起押上部43の延在部43b(突出片43e)とが係合して、給電側コネクタ100の先端側への突起押上部43及び解除操作部44の移動が規制される。
【0063】
表示ランプ60は、通電状態を示す赤色LED(light emitting diode:発光ダイオード)61をクリアケース62に収容し、ケース本体部32の開口部の縁端部とクリアケース62の凹部とが嵌合してケース本体部32に係止されている。
【0064】
駆動回路70は、突起押上部43の後端が接点スイッチ71に当接して、閉回路を構成することで、電気ロック部50を駆動させ、電磁コイル52の励磁によりプランジャー51を上昇させると共に、表示ランプ60を駆動させ、赤色LED61を発光させる。
【0065】
つぎに、給電側コネクタ100を受電側コネクタ201に装着する場合における、給電側コネクタ100の各部位の動作について、図2及び図3を用いて説明する。
【0066】
ここで、給電側コネクタ100の初期状態として、図2(a)に示すように、解除操作部44は、引張コイルばね4bの作用により、押圧部44aが給電側コネクタ100の後端にある。また、突起規制部42は、圧縮コイルばね2aの作用により、フランジ42aがケース本体部32のフランジ32fと係合する位置にあり、突起部42bが係止部41の前端側直線部41cに当接して、係止部41の前端を端子保持部31に当接させている。また、突起押上部43は、引張コイルばね4aの作用により、給電側コネクタ100の後端側に付勢されているのであるが、ケース本体部32のフランジ32fが突起規制部42を支持し、突起規制部42の突起部42bが係止部41を支持して、係止部41と端子保持部31とが強固に当接することにより、係止部41と端子保持部31との間にリング部43aが挿入できる間隙がなく、突起押上部43のリング部43aは後退できず、係止
部41に対して給電側コネクタ100の先端側に位置することになる。
【0067】
この初期状態において、充電作業者は、給電側コネクタ100のグリップ部32bを把持して、受電側コネクタ201のガイド溝201aに給電側コネクタ100のガイド33dを嵌合させ、給電側コネクタ100を前方に押し、受電側コネクタ201のシェル201cに給電側コネクタ100の端子保持部31及びケース連結部33を挿入する。
【0068】
そして、突起規制部42は、図2(b)に示すように、受電側コネクタ201のシェル201cを構成する枠体201dに当接されることにより、給電側コネクタ100の後端側にスライドして、係止部41の係止爪41aを露出させる。また、突起規制部42の突起部42bが、ケース連結部33のスリット33cにおける係止部41の前端側直線部41cに対応する範囲を超えて後端側直線部41dに対応する範囲までスライドすると、係止部41がクランク形状であるため、突起部42bは、係止部41(後端側直線部41d)に当接しなくなる。
【0069】
これと同時に、突起押上部43は、図3(a)に示すように、係止部41が突起規制部42の突起部42b(ケース本体部32のフランジ32f)による支持から開放されるため、リング部43aが端子保持部31及び係止部41間に挿入可能となり、引張コイルばね4aの作用により、突起押上部43は、給電側コネクタ100の後端側にスライドする。このとき、リング部43aのテーパー43cと係止部41のテーパー41eとにより、リング部43aが端子保持部31及び係止部41間に挿入されるため、係止部41の係止爪41aは、ケース連結部33の外周側に押し上げられ、ケース連結部33の外側面から突出して、受電側コネクタ201の段差201bに係合することになる。
【0070】
また、突起押上部43は、延在部43bが解除操作部44の前端に当接すると、解除操作部44が貫通孔44bの前端に位置する固定ピン5aにより後退できないため、突起押上部43の後退が制止されることになる。このとき、延在部43bの突出片43eは、電気ロック部50のプランジャー51の上昇(下降)位置に対して給電側コネクタ100の後端側にあり、プランジャー51の上昇を妨げない(プランジャー51と突出片43eとが重畳しない)位置にある。また、突起押上部43の延在部43bは、駆動回路70の接点スイッチ71に当接し、閉回路を構成させることで、電気ロック部50を駆動させ、電磁コイル52の励磁によりプランジャー51を上昇させると共に、表示ランプ60を駆動させ、赤色LED61を発光させる。
【0071】
そして、充電中は、電気ロック部50のプランジャー51と突起押上部43の延在部43b(突出片43e)とが係合して、給電側コネクタ100の先端側への解除操作部44及び突起押上部43の移動が規制される。
【0072】
つぎに、給電側コネクタ100を受電側コネクタ201から離脱する場合における、給電側コネクタ100の各部位の動作について、図2及び図3を用いて説明する。
ここで、給電側コネクタ100の離脱可能状態として、充電完了後は、電気ロック部50のプランジャー51が下降しており、プランジャー51と突起押上部43の延在部43b(突出片43e)とが係合しておらず、給電側コネクタ100の先端側への解除操作部44及び突起押上部43の移動が可能な状態である。
この離脱可能状態において、充電作業者は、給電側コネクタ100のグリップ部32bを把持して、解除操作部44の押圧部44aを前方に押す。
【0073】
これにより、解除操作部44は、図3(b)に示すように、突起押上部43と共に、給電側コネクタ100の先端側にスライドするのであるが、突起押上部43の前端が端子保持部31の突起部31aに当接すると前進できないため、突起押上部43及び解除操作部
44の前進が制止される。
【0074】
また、端子保持部31及び係止部41間に挿入されていたリング部43aは、突起押上部43が前進することにより、端子保持部31及び係止部41間から外れる。また、係止部41は、圧縮コイルばね2bの作用により、後端側直線部41dに付勢が与えられているため、係止部41(前端側直線部41c)と端子保持部31とが当接する(係止部41の係止爪41aがケース連結部33の外側面から突出しない)ことになる。
【0075】
これにより、係止部41の係止爪41aと受電側コネクタ201の段差201bとの係合が解除され、充電作業者は、解除操作部44の押圧部44aを押した(給電側コネクタ100のグリップ部32bを把持した)状態を維持しつつ、受電側コネクタ201を後方に引くことで、給電側コネクタ100を受電側コネクタ201から離脱することができる。なお、このとき、突起規制部42は、圧縮コイルばね2aの作用により、フランジ42aがケース本体部32のフランジ32fと係合する位置に戻り、ケース連結部33のスリット33cからケース本体部32内への異物の侵入を防止することができる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る給電側コネクタ100は、受電側コネクタ201に装着する場合において、受電側コネクタ201のシェル201cへの給電側コネクタ100の端子保持部31及びケース連結部33の挿入時に、係止部41の係止爪41aがケース連結部33の外側面から突出していない。このため、充電作業者が、受電側コネクタ201のガイド溝201aに給電側コネクタ100のガイド33dを嵌合させ、給電側コネクタ100を前方に押すだけで、受電側コネクタ201と給電側コネクタ100とを円滑に嵌合することができ、充電作業の作業性を向上することができるという作用効果を奏する。
【0077】
本実施形態に係る給電側コネクタ100は、受電側コネクタ201から離脱する場合において、充電作業者が解除操作部44の押圧部44aを前方に押すことで、係止部41の係止爪41aがケース連結部33の外側面から突出していない。このため、充電作業者が、解除操作部44の押圧部44aを前方に押したまま給電側コネクタ100を後方に引くだけで、受電側コネクタ201と給電側コネクタ100とを円滑に離脱することができ、充電作業の作業性を向上することができるという作用効果を奏する。
【0078】
(本発明の第2の実施形態)
図9(a)は第2の実施形態に係る解除操作部の初期・給電位置を説明するための説明図であり、(b)は図9(a)に示す解除操作部の待機位置を説明するための説明図である。図9において、図1乃至図8と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0079】
本実施形態に係る解除操作部44は、押圧部44aが給電側コネクタ100の後端にある初期・給電位置(初期状態)から給電側コネクタ100の先端側に押圧され、ケース本体部32内の待機位置で支持される(待機状態)と共に、給電側コネクタ100と受電側コネクタ201とが嵌合することにより、待機位置から初期・給電位置に復帰する(嵌合状態)。
【0080】
このような動作を生じる機構としては、例えば、図9に示すように、解除操作部44の両側面に、当該両側面に略垂直な垂直面6aを有し、給電側コネクタ100の先端側から後端側に向かうにつれて厚みを増す傾斜面6bを有する略直角三角柱状のストッパー6を配設する。また、ケース本体部32には、解除操作部44のストッパー6と係合して給電側コネクタ100の先端側への解除操作部44の移動を抑制する垂直面7aを有し、給電側コネクタ100の後端側から先端側に向かうにつれて厚みを増す傾斜面7bを有する略
直角三角柱状のストッパー7を備える。
【0081】
なお、本実施形態に係る解除操作部44のストッパー6は、解除操作部44の2つの貫通孔44bのうち、前端側の貫通孔44bの前端に垂直面6aの位置を合わせて配設している。また、ケース本体部32のストッパー7は、垂直面7aと解除操作部44のストッパー6の垂直面6aとの間隔を、突起押上部43(延在部43b)の後端と解除操作部44の前端との間隔より狭くし、図9(a)に示すように、初期・給電位置において解除操作部44のストッパー6に対して給電側コネクタ100の先端側に配設している。
【0082】
しかしながら、ケース本体部32のストッパー7の垂直面7aと解除操作部44のストッパー6の垂直面6aとの間隔を、突起押上部43(延在部43b)の後端と解除操作部44の前端との間隔以下とし、初期・給電位置において解除操作部44のストッパー6に対して給電側コネクタ100の先端側にケース本体部32のストッパー7を配設するのであれば、このストッパー6及びストッパー7の位置に限られるものではなく、例えば、後端側の貫通孔44bの前端にストッパー6の垂直面6aの位置を合わせて配設させてもよい。
【0083】
また、解除操作部44のストッパー6及びケース本体部32のストッパー7は、合成ゴム又は天然ゴムの弾性ゴム製である。これにより、充電作業者が解除操作部44の押圧部44aを指で押して、ストッパー6の傾斜面6bとストッパー7の傾斜面7bとが当接した場合に、ストッパー6及び/又はストッパー7の先端部分が変形し、ストッパー6がストッパー7を乗り越えることができる。
【0084】
なお、充電作業者が解除操作部44の押圧部44aから指を離すと、引張コイルばね4bの作用により、解除操作部44が初期・給電位置に戻ろうとするが、ストッパー6(垂直面6a)とストッパー7(垂直面7a)とが係合して、解除操作部44の後方への移動が制止され、図9(b)に示すように、待機位置になる。この待機位置においては、初期・給電位置においてストッパー7の垂直面7aとストッパー6の垂直面6aとの間隔が突起押上部43の後端と解除操作部44の前端との間隔より狭いため、突起規制部42の後端と解除操作部44の前端との間には間隙が生じることになる。
【0085】
そして、この待機位置において、充電作業者は、給電側コネクタ100のグリップ部32bを把持して、受電側コネクタ201のガイド溝201aに給電側コネクタ100のガイド33dを嵌合させ、給電側コネクタ100を前方に押し、受電側コネクタ201のシェル201cに給電側コネクタ100の端子保持部31及びケース連結部33を挿入する。
【0086】
これにより、第1の実施形態において前述したように、突起押上部43は、係止部41が突起規制部42の突起部42bによる支持から開放されるため、リング部43aが端子保持部31及び係止部41間に挿入可能となり、引張コイルばね4aの作用により、突起押上部43は、給電側コネクタ100の後端側にスライドする。
【0087】
このとき、待機位置において突起規制部42の後端と解除操作部44の前端との間には間隙があるため、突起押上部43が解除操作部44に衝突して、解除操作部44に撃力を与えることになる。
【0088】
そして、この撃力、引張コイルばね4a及び引張コイルばね4bの作用により、ストッパー6及び/又はストッパー7の先端部分が変形し、ストッパー6がストッパー7を乗り越え、図9(a)に示すように、解除操作部44が初期・給電位置に復帰することになる。なお、初期・給電位置においてストッパー7の垂直面7aとストッパー6の垂直面6a
との間隔を突起押上部43の後端と解除操作部44の前端との間隔と同じに設定していれば、待機位置において突起規制部42の後端と解除操作部44の前端との間には間隙がなく、突起押上部43が解除操作部44に撃力を与えることにならないが、引張コイルばね4a及び引張コイルばね4bの作用により、解除操作部44が初期・給電位置に復帰することになる。
【0089】
また、この第2の実施形態においては、解除操作部44のストッパー6及びケース本体部32のストッパー7を新たに配設するところのみが第1の実施形態と異なるところであり、後述するストッパー6及びストッパー7による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0090】
本実施形態においては、給電側コネクタ100と受電側コネクタ201とが嵌合することにより、両コネクタの嵌合音を充電作業者の聴覚を通じて確認することができると共に、解除操作部44の押圧部44aが初期・給電位置に復帰することにより、充電作業者の視覚を通じて確認することができ、両コネクタ間のロック状態を充電作業者の聴覚及び視覚で確実に確認することができ、充電作業を安全に行なうことができるという作用効果を奏する。
【0091】
(本発明の第3の実施形態)
図10(a)は第3の実施形態に係る給電側コネクタの初期・待機状態における内部構成を示す断面図であり、図10(b)は第3の実施形態に係る給電側コネクタの給電状態における内部構成を示す断面図である。図11(a)は第1の実施形態に係る解除操作部における固定ピンの初期・待機・給電位置を説明するための説明図であり、図11(b)は第3の実施形態に係る解除操作部における固定ピンの初期・待機位置を説明するための説明図であり、図11(c)は第3の実施形態に係る解除操作部における固定ピンの給電位置を説明するための説明図である。図10及び図11において、図1乃至図9と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0092】
本実施形態に係る解除操作部44は、押圧部44aの押圧面(充電作業者が指で押圧する面)がケース本体部32内にある初期・待機位置で支持される(初期・待機状態)と共に、給電側コネクタ100と受電側コネクタ201とが嵌合することにより、初期・待機位置から押圧部44aの押圧面がケース本体部32の後端にある給電位置に移動する(嵌合状態)。
【0093】
このような動作を生じる機構としては、例えば、図10及び図11に示すように、第1の実施形態に係る解除操作部44の固定ピン44cの位置(図11(a))に対して、本実施形態に係る解除操作部44の固定ピン44cの位置(図11(b)、図11(b))を、給電側コネクタ100の後端側に配設する。
【0094】
これにより、押圧部44aの押圧面がケース本体部32の後端にある状態では、引張りコイルばね4bのフックを支持する固定ピン44c及び固定ピン5b間の間隔が引張りコイルばね4bの自然長より短く、引張りコイルばね4bのつり合いの位置に戻そうとする弾性力により、押圧部44aの押圧面がケース本体部32内にある初期・待機位置となる(図10(a)、図11(b))。
【0095】
そして、この初期・待機位置において、充電作業者は、給電側コネクタ100のグリップ部32bを把持して、受電側コネクタ201のガイド溝201aに給電側コネクタ100のガイド33dを嵌合させ、給電側コネクタ100を前方に押し、受電側コネクタ201のシェル201cに給電側コネクタ100の端子保持部31及びケース連結部33を挿入する。
【0096】
これにより、第1の実施形態において前述したように、突起押上部43は、係止部41が突起規制部42の突起部42bによる支持から開放されるため、リング部43aが端子保持部31及び係止部41間に挿入可能となり、引張コイルばね4aの作用により、突起押上部43は、給電側コネクタ100の後端側にスライドする。
そして、解除操作部44は、図10(b)及び図11(c)に示すように、突起押上部43と共に給電位置に移動することになる。
【0097】
なお、この第3の実施形態においては、解除操作部44の固定ピン44cの位置を給電側コネクタ100の後端側に配設するところのみが第1の実施形態と異なるところであり、固定ピン44の位置による作用効果以外は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0098】
1 Cリング
2a,2b 圧縮コイルばね
3 楔
4a,4b 引張コイルばね
5a,5b,5c 固定ピン
6 ストッパー
6a 垂直面
6b 傾斜面
7 ストッパー
7a 垂直面
7b 傾斜面
8 ねじ
9 グリップ部材
10 端子
11 給電用端子
12 制御用端子
20 リード線
21 給電用リード線
21a 導体
21b 絶縁体
21c 編組遮蔽
22 第1の制御用リード線
22a 導体
22b 絶縁体
23 第2の制御用リード線
23a 導体
23b 絶縁体
30 ハウジング
31 端子保持部
31a 突起部
32 ケース本体部
32a 凸部
32b グリップ部
32c 結合用ねじ台
32d 支持穴
32e 支持溝
32f フランジ
33 ケース連結部
33a フランジ
33b 溝
33c スリット
33d ガイド
40 嵌合操作部
41 係止部
41a 係止爪
41b ピン
41c 前端側直線部
41d 後端側直線部
41e テーパー
41f ピン
42 突起規制部
42a フランジ
42b 突起部
43 突起押上部
43a リング部
43b 延在部
43c テーパー
43d 摺動ピン
43e 突出片
44 解除操作部
44a 押圧部
44b 貫通孔
44c 固定ピン
50 電気ロック部
51 プランジャー
52 電磁コイル
60 表示ランプ
61 赤色LED
62 クリアケース
70 駆動回路
71 接点スイッチ
80 ケーブル
81 シース
82 漏電検出部
90 ケーブル保護部
100 給電側コネクタ
101 充電スタンド
102 蓄電池
103 充電器
104 AC電源
200 車両
201 受電側コネクタ
201a ガイド溝
201c シェル
201d 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の受電側コネクタに端子保持部が嵌合し、当該端子保持部で保持される端子を介して電気的に接続する給電側コネクタにおいて、
前記受電側コネクタの段差に係止される突起を有する係止部と、
前記係止部の突起を被覆しており、前記受電側コネクタに当接されることにより、前記給電側コネクタの後端側にスライドして、前記係止部の突起を露出させる突起規制部と、
前記突起規制部がスライドすることにより、前記端子保持部及び係止部間に挿入され、前記係止部の突起を押し上げる突起押上部と、
を備えることを特徴とする給電側コネクタ。
【請求項2】
前記請求項1に記載の給電側コネクタにおいて、
前記端子を絶縁して軸止する略円柱状の端子保持部と、
前記端子保持部を先端として前記給電側コネクタの筐体を構成するケース本体部と、
前記端子保持部及びケース本体部間に介在して当該端子保持部及びケース本体部を連結する略円筒状のケース連結部と、
前記ケース連結部の中心軸方向に摺動可能に配設され、前記給電側コネクタの先端側に押圧するための押圧部を有し、当該押圧部を押圧した状態で、前記給電側コネクタの後端側に第1の弾性部材による付勢が与えられて前記ケース本体部に連結される解除操作部と、
を備え、
前記係止部が、他端が前記ケース本体部に軸支され、前記受電側コネクタと給電側コネクタとが非嵌合状態で、前記ケース連結部の中心軸側に第2の弾性部材による付勢が前記他端近傍に与えられ、
前記突起規制部が、略円筒状であり、前記ケース本体部及びケース連結部間に介在して当該ケース連結部の中心軸方向に摺動可能に配設され、前記受電側コネクタと給電側コネクタとが非嵌合状態で、前記給電側コネクタの先端側に第3の弾性部材による付勢が与えられ、前記係止部の突起を被覆しつつ、前記係止部の一端を前記端子保持部に当接させ、
前記突起押上部が、前記端子保持部及びケース連結部間に介在して当該ケース連結部の中心軸方向に摺動可能に配設される環状のリング部並びに当該リング部から前記給電側コネクタの後端側に延在する延在部を有し、前記受電側コネクタと給電側コネクタとが非嵌合状態で、前記リング部が前記係止部に対して前記給電側コネクタの先端側に配設され、前記給電側コネクタの後端側に第4の弾性部材による付勢が与えられて前記ケース本体部に連結されることを特徴とする給電側コネクタ。
【請求項3】
前記請求項2に記載の給電側コネクタにおいて、
前記解除操作部が、前記給電側コネクタの先端側へ初期・給電位置から移動自在に前記押圧部を待機位置で支持されると共に、前記給電側コネクタと前記受電側コネクタとが嵌合することにより、前記待機位置から初期・給電位置に復帰することを特徴とする給電側コネクタ。
【請求項4】
前記請求項2に記載の給電側コネクタにおいて、
前記解除操作部が、前記押圧部の押圧面が前記ケース本体部内にある初期・待機位置で支持されると共に、前記給電側コネクタと前記受電側コネクタとが嵌合することにより、前記初期・待機位置から前記押圧部の押圧面が前記ケース本体部の後端にある給電位置に移動することを特徴とする給電側コネクタ。
【請求項5】
前記請求項2乃至4のいずれかに記載の給電側コネクタにおいて、
電磁コイルの励磁によりプランジャーを上昇させ、当該励磁コイルの消磁により前記プランジャーを下降させる電気ロック部を備え、
通電中は、前記電気ロック部のプランジャーと前記突起押上部の延在部とが係合して、前記給電側コネクタの先端側への前記解除操作部及び突起押上部の移動が規制されることを特徴とする給電側コネクタ。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載の給電側コネクタにおいて、
前記端子が、給電用端子及び制御用端子からなり、
前記給電用端子に接続する給電用リード線と前記制御用端子に接続する制御用リード線とが、シースで一体に被覆されてケーブルを構成し、
前記ケーブル内の給電用リード線が、導体に絶縁体が被覆され、当該絶縁体に編組遮蔽が施されることを特徴とする給電側コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−79665(P2012−79665A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226772(P2010−226772)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】