説明

給電装置

【課題】コンセントに対するプラグの差込み量を連続的に表示することで、トラッキング現象が起こり得る状態を外部から確認できる給電装置を提供する。
【解決手段】プラグ2の雄端子22の挿入量を段階的に表示する表示部10を備える。表示部10は、雄端子22が差込口32に完全に挿入された第1の位置P1と、雄端子22が第1の位置よりも引き出された状態で雌端子33と非接触となる第2の位置P2と、の間で、プラグ2の雄端子22の挿入量を連続的に表示する。これにより、使用者にプラグ2が完全に差し込まれていない微妙な位置関係にある場合は、表示部10の目視により外部から使用者に認識させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグおよびコンセントを備えた給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンセントにプラグを差し込んで配電する給電装置では、プラグが完全に差し込まれていない状態で放置した場合に、プラグの雄端子間に塵埃等が付着してトラッキング現象が起こることが知られている。このため、従来ではトラッキング現象の原因となるプラグとコンセントの不完全な接続状態を検出して、使用者に警告を発するようにした給電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
即ち、上記給電装置では、プラグとコンセントの接続状態検出部と、接続状態を知らせる報知部と、接続状態の検出結果により報知部を制御する制御部と、を備えて、不完全な接続状態の時に報知部によって警告するようになっている。
【特許文献1】特開2006−73426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の給電装置による接続状態は、例えば、プラグが差し込まれる奥側と入口側とに配置した2つのリードスイッチのいずれか一方がオンになることにより検知される。つまり、プラグとコンセントとの接続状態と非接続状態とのいずれかを検知するもので、それらの間の不完全な差し込み状態を検知できるものではない。
【0005】
このため、コンセントに対してプラグが完全に差し込まれていない微妙な位置関係では通電状態となっており、この状態で塵埃がプラグとコンセントとの隙間から入り込むと、プラグの雄端子にトラッキング現象を起こしてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、コンセントに対するプラグの差込み量を連続的または段階的に表示することで、トラッキング現象が起こり得る状態を外部から確認できる給電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にあっては、プラグ本体と当該プラグ本体から突出する雄端子とを有するプラグと、前記プラグの雄端子を受け入れる差込口を有するコンセント本体と前記差込口内に設けられ該差込口に挿入される雄端子と電気接触する雌端子とを有するコンセントと、を備えた給電装置であって、前記プラグの雄端子が前記差込口に完全に挿入された第1の位置と、前記プラグの雄端子が前記第1の位置よりも引き出された状態で前記雌端子と非接触となる第2の位置と、の間で、前記プラグの雄端子の挿入量を連続的または段階的に表示する表示部を備え、前記表示部が、前記コンセント本体と前記プラグ本体との間に介在されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明にあっては、プラグ本体と当該プラグ本体から突出する雄端子とを有するプラグと、前記プラグの雄端子を受け入れる差込口を有するコンセント本体と前記差込口内に設けられ該差込口に挿入される雄端子と電気接触する雌端子とを有するコンセントと、を備えた給電装置であって、前記プラグの雄端子が前記差込口に完全に挿入された第1の位置と、前記プラグの雄端子が前記第1の位置よりも引き出された状態で前記雌端子と非接触となる第2の位置と、の間で、前記プラグの雄端子の挿入量を連続的または段階的に表示する表示部を備え、前記表示部が、前記プラグ本体に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明にあっては、プラグ本体と当該プラグ本体から突出する雄端子とを有するプラグと、前記プラグの雄端子を受け入れる差込口を有するコンセント本体と前記差込口内に設けられ該差込口に挿入される雄端子と電気接触する雌端子とを有するコンセントと、を備えた給電装置であって、前記プラグの雄端子が前記差込口に完全に挿入された第1の位置と、前記プラグの雄端子が前記第1の位置よりも引き出された状態で前記雌端子と非接触となる第2の位置と、の間で、前記プラグの雄端子の挿入量を連続的または段階的に表示する表示部を備え、前記表示部が、前記コンセント本体に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3の何れか1項に記載の給電装置であって、前記雄端子の根本部分の所定区間に絶縁部材を被覆してあることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明あっては、請求項1〜4の何れか1項に記載の給電装置であって、前記表示部は、複数のスリットを有するカバー部と、該カバー部の裏側にスライド自在に配置されて、それのスライド位置に応じた部分が前記スリットから表示されるスライド部と、前記プラグの雄端子の挿入量を前記スライド部のスライド量に連続的に変換するプラグ挿入量変換部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
例えば、前記スライド部は、前記第1の位置で前記カバー部のスリットから露出する第1の部分と、前記第2の位置で前記カバー部のスリットから露出する第2の部分と、を備えてなり、前記第1の位置で、前記カバー部と前記スライド部の第1の部分とにより完全差し込み状態を表す模様が表示されるようにすることができる
また、前記スライド部は、前記第1の位置で前記カバー部のスリットから露出する第1の部分と、前記第2の位置で前記カバー部のスリットから露出する第2の部分と、を備えてなり、前記第2の位置で、前記カバー部と前記スライド部の第2の部分とにより完全非接触状態を表す模様が表示されるようにしてもよい。
【0013】
また、前記スライド部は、前記第1の位置で前記カバー部のスリットから露出する第1の部分と、前記第2の位置で前記カバーのスリットから露出する第2の部分と、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記カバー部のスリットから露出する中間部分と、を備えてなり、前記第1の位置と前記第2の位置との中間で、前記カバー部と前記スライド部の中間部分とにより不完全差し込み状態を表す模様が表示されるようにしてよい。
【0014】
請求項6の発明にあっては、請求項5に記載の給電装置であって、前記スライド部は、スライド位置に応じて前記スリットから露出する模様を備え、前記スライド部は模様の部分が透光素材で形成され、前記模様以外の部分が不透光素材で形成されるとともに、表示部の裏側に光源が配置されることを特徴とする。
【0015】
なお、前記表示部は、請求項5に記載の表示部に限らず、本発明では、前記プラグの挿入量に応じて光量が変化するものであってもよし、前記プラグの挿入量に応じて音色や音量が変化する鳴動機構であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、プラグの雄端子がコンセントの差込口に完全に挿入された状態を第1の位置とし、プラグの雄端子が前記第1の位置よりも引き出された状態でコンセントの雌端子と非接触となる状態を第2の位置とした場合に、表示部はそれら第1の位置と第2の位置との間でプラグの雄端子の挿入量を連続的または段階的に表示することができる。従って、プラグの差し込み状態を表示部の目視により外部から認識できるようになり、使用者にプラグが完全に差し込まれていない微妙な位置関係であることを認識させて、プラグを完全に差し込むことを促すことができる。これによって、使用者がプラグを完全に差し込むことにより、給電装置にトラッキング現象が起こり得る状況を排除することができる。
【0017】
そして、前記表示部が、前記コンセント本体と前記プラグ本体との間に介在しているため、既存のコンセント本体およびプラグ本体に変更を加える必要がなく、製造コストを低減できる。
【0018】
請求項2の発明によれば、使用者にプラグが完全に差し込まれていない状態であることを認識させて、プラグを完全に差し込むことを促すことができ、かつ、前記表示部が、プラグ本体に設けられたことにより、従来の一般的なコンセントを利用した場合にも、プラグの差し込み状態を表示部によって表示させることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、使用者にプラグが完全に差し込まれていない状態であることを認識させて、プラグを完全に差し込むことを促すことができ、かつ、前記表示部が前記コンセント本体に設けられたことにより、従来の一般的なプラグを利用した場合にも、プラグの差し込み状態を表示部によって表示させることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、前記雄端子の根本部分の所定区間に絶縁部材を被覆したので、プラグが不完全な差し込み状態である場合に、前記表示部によって使用者に認識させることと相俟って、絶縁部材で雄端子に塵埃が直接接触するのを避けてトラッキング現象の防止効果を高めることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、前記表示部は、プラグ挿入量変換部によってプラグの雄端子の挿入量がスライド部のスライド量に連続的に変換されるため、前記第1の位置と前記第2の位置の過度状態をカバー部のスリットから表示させることができる。従って、プラグの挿入量を電子部品を用いた電気的手段に頼ることなく、機械的に表示部で表示させることができるため、待機電力の発生を無くして省電力化を達成できる。
【0022】
請求項6の発明によれば、模様の部分が透光素材で形成され、模様以外の部分が不透光素材で形成されたことにより、表示部の裏側から入射される光源の光を透光素材で透過させて、模様の視認性をより高めることができる。
【0023】
なお、複数の模様を備える場合には、複数の模様のうち1つだけが透光素材で形成して、それ以外の部分が不透光素材で形成することにより特に強調したい1つの模様だけを光らせて、他の模様よりも強調することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1〜図5は本発明にかかる給電装置の第1実施形態を示し、図1は表示部およびコンセントを断面して示すプラグとコンセントを分離した給電装置の正面図である。
【0026】
図1に示すように給電装置1は、プラグ2とコンセント3とを備えて構成される。プラグ2は、プラグ本体21の一端面21aから所定間隔を設けて突出される一対の雄端子22を備える。コンセント3は、コンセント本体31のプラグ本体21に対向する対向面31aに雄端子22を受け入れる一対の差込口32が形成されるとともに、それら差込口32内に雄端子22と電気接触する雌端子33が設けられる。
【0027】
そして、プラグ2の雄端子22をコンセント3の差込口32に差し込むことにより、雄端子22と雌端子33とが電気接触して導通し、コンセント3からプラグ2に配電される。
【0028】
本実施形態では、図1に示すように、雄端子22の根本部分の所定区間Kに、絶縁部材20が被覆される。なお、所定区間Kは、プラグ2がコンセント3に不完全状態で差し込まれた際に、雄端子22がコンセント3の差込口32から突出する部分として設定されることが好ましい。
【0029】
ここで、本発明にあっては、コンセント本体31とプラグ本体21との間に、プラグ2の雄端子22の挿入量(挿入程度)を連続的(複数多段に段階的でもよい)に表示する表示部10を介在させてある。
【0030】
図2はプラグの雄端子をコンセントの差込口に差し込まれた状態を示す要部断面図であって、(a)に第1の位置を示し、(b)に第2の位置を示す図である。
【0031】
表示部10は、図2(a)に示すように、雄端子22が差込口32に完全に挿入された第1の位置P1と、図2(b)に示すように、雄端子22が第1の位置よりも引き出された状態で雌端子33と非接触となる第2の位置P2と、の間で、当該第1の位置P1および第2の位置P2とは別に、プラグ2の雄端子22の挿入量の変化を連続的に表示する。
【0032】
表示部10は、図1に示すように、複数のスリット11Sを有するカバー部11と、該カバー部11の裏側11aにスライド自在に配置されて、それのスライド位置に応じた部分がスリット11Sから表示されるスライド部12と、プラグ2の雄端子22の挿入量をスライド部12のスライド量に連続的に変換するプラグ挿入量変換部13と、を備えて構成される。
【0033】
図3は(a)に表示部のスライド部と(b)に表示部のカバー部をそれぞれ示す平面図、図4はスリット部を詳細に示す平面図である。
【0034】
カバー部1110は、図3(b)に示すように、合成樹脂を用いた不透光素材によって所定長さL1の薄肉短冊状に形成され、それの両端部の所定領域に、複数のスリット11Sが長さL1に対して直角方向を指向して、それぞれが一定のピッチpをもって平行に形成されている。短冊状に形成されたカバー部11の中央部には中央開口部11h1が形成されるとともに、その中央開口部11h1の長さL1方向両側にはプラグ2の雄端子22を挿通する一対の開口部11h2が形成されている。尚、図1,図3(b)では、便宜上、スリット11Sの数は3本となっているが、その本数は3本に限ることなく、本実施形態では図4に示すように多数本が形成される。
【0035】
また、カバー部11の裏側11aは、図1に示すように、スライド部12が挿通される程度の隙間を設けて底板11Bが取り付けられ、その底板11Bの周縁部を立ち上げてカバー部11の周囲に結合することにより、全体として扁平な箱状体が構成される。そして、その箱状となったカバー部11と底板11Bとの間に、スライド部12の両端部が摺動自在に挿入される。このとき、底板11Bには開口部11h2(図3(b)参照)と重なるようにしてプラグ2の雄端子22を挿通する一対の開口部が形成されている。尚、開口部11h2の周縁部には、雄端子22に摺動自在に嵌合されるスライダー14が取り付けられて補強されている。
【0036】
スライド部12は、図3(a)に示すように、弾性力を有する可撓性素材によって所定長さL2の薄肉短冊状に形成され、それの中央部には所定のスライド量を確保しつつプラグ2の雄端子22を挿通する一対の開口部12hが形成される。
【0037】
また、図1に示すように、スライド部12の中央部にはプラグ2方向(図中上方)に逆V字状に突出させた山形部分12M1が形成されている。そして、表示部10の組み付け時には、スライド部12の両端部をカバー部11の下側11aに挿入した状態で、山形部分12M1の頂部12M1tが、一対の雄端子22の根本部分に跨って結合した絶縁板23に、クリップや溶着等による固定部12fによって固定される。
【0038】
このとき、プラグ挿入量変換部13は、山形部分12M1と絶縁板23と固定部12fとによって構成される。
【0039】
即ち、プラグ挿入量変換部13は、プラグ2をコンセント3に差し込むことにより、コンセント3の対向面31aに底板11Bが当接して、該底板11Bがカバー部11とともにプラグ本体21方向に近接する。すると、山形部分12M1の頂部12M1tが絶縁板23に押圧されて平坦化される方向に伸展変形されるため、スライド部12の両端部は伸長し、その伸長量がスライド量となってカバー部11の裏側11aに沿ってスライドする。
【0040】
スライド部12の長さL2方向の両端部には、図3(a)に示すように、第1の位置P1でカバー部11のスリット11Sから露出する第1の部分Q1と、第2の位置P2でカバー部11のスリット11Sから露出する第2の部分Q2と、第1の位置P1と第2の位置P2との間でカバー部11のスリット11Sから露出する中間部分Qmと、が設けられている。
【0041】
次に、表示部10によって表示される模様について説明する。
【0042】
図5は、表示部によって表示される模様(完全差し込み状態を表す模様D1、不完全差し込み状態を示す模様Dm、完全脱出状態を表す模様D2)を示す説明図である。
【0043】
図5(a)に示すように、第1の位置P1では、カバー部11とスライド部12の第1の部分Q1とにより完全な差し込み状態を表す模様D1(この例では模様なし)が表示される。
【0044】
また、図5(c)に示すように、第2の位置(初期位置)P2では、カバー部11とスライド部12の第2の部分Q2とにより完全な脱出状態(非接触状態)を示す模様D2(この例では模様なし)が表示される。
【0045】
また、図5(b)に示すように、第1の位置P1と第2の位置P2との間(この例では中間位置)Pmでは、カバー部11とスライド部12の第2の部分Qmとにより不完全な差し込み状態を表す模様Dmが表示される。
【0046】
本実施形態では、図5(b)に示すように、不完全な差し込み状態を表す模様Dmは、カバー部11の一端部(図1中左端部)側のスリット形成領域A1で表示される“危”と、カバー部11の他端部(図1中右端部)側のスリット形成領域A2で表示される“険”と、によって表現される。即ち、スライド部12の第1部分Q1と第2部分Q2との間の中間部分Qmには、第1部分Q1および第2部分Q2を飛び越えて、“危”および“険”という文字からなる模様Dmが描かれている。そのため、第1の位置P1と第2の位置P2との間に対応した位置Pmにスライド部12がスライドすると、カバー部11のブラインド状部分11dに対応する部分を除いたスリット11Sから“危”および“険”の模様がスリット11Sから現れ、ブラインド状部分11dを含めて全体として“危”および“険”として錯覚により読み取ることができる。
【0047】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0048】
第2の位置(図2b、図5c)
図2(b)に示すように、プラグ2の雄端子22をコンセント3の差込口32から完全に引き抜いた状態(初期状態)では、図1に示すように、プラグ2の雄端子22がコンセント3の雌端子33に接触されず、かつ、表示部10の底板11Bがコンセント3の対向面31aに接触しない表示部10の自然状態(初期状態)である。この自然状態では山形部分12M1が全く変形されていないため、スライド部12の両端部は雄端子22側に最も短縮した位置にある。この状態では、スライド部12の第2の部分Q2がスリット11Sから露出して、図5(c)に示すように、模様D2(模様なし)が表示部10に表示される。このとき、第1の部分Q1の模様D1および中間部分Qmの模様Dmは、ブラインド状部分11dに隠される。
【0049】
第1の位置(図2a、図5a)
図2(a)に示すように、プラグ2の雄端子22をコンセント3の差込口32に完全に挿入すると、カバー部11の底板11Bがコンセント3の対向面31aに押圧されて最もプラグ本体21側に押し付けられ、スライド部12の山形部分12M1が略伸展状態となるため、スライド部12の両端部は、雄端子22から遠ざかる方向に最も伸長した位置となる。この状態では、第1の部分Q1がスリット11Sから露出して、図5(c)のように、模様D1(“安”および“全”)が表示部10に表示される。このとき、中間部分Qmの模様Dmおよび第2部分Q2の模様(模様なし)D2はブラインド状部分11dに隠される。
【0050】
中間位置(図5b)
以上のような図2(a)と図2(b)との途中の状態では、つまり、第1の位置P1と第2の位置P2との間の状態では、プラグ2の不完全な差し込み状態となる。このようなプラグ2の不完全な差し込み状態では、カバー部11の底板11Bがコンセント3の対向面31aに接触されて表示部10をある程度持ち上げられた状態にある。このとき、スライド部12の山形部分12M1はある程度押し潰された状態にあり、スライド部12の両端部は図1に示す状態から所定量、雄端子22から遠ざかる方向に押し出されている。この状態では、中間部分Qmがスリット11Sから露出して、図5(b)に示すように、模様Dm(“危”および“険”)が表示部10に表示される。模様Dm(“危”および“険”)の露出量は、プラグの挿入量(スライド部のスライド量)によって連続的に変化し、、第1の位置P1と第2の位置P2のちょうど中間位置で、スリット11Sから中間部分Qmが完全に露出して、模様Dm(“危”および“険”)が最も色濃く表示される。なおこのとき、第1の部分Q1の模様D1および第2の部分Q2の模様D2はブラインド状部分11dに完全に隠される。
【0051】
そのため、プラグ2の差し込み状態が、完全な差し込み状態(図5a)と、完全な脱出状態(図5c)と、の間に在る場合には、スリット11Sから露出する模様Dmが、第1の位置P1(図5a)および第2の位置(図5c)に近づくに従って薄くなり、中間位置(図5c)に近づくに従って濃くなる。そのため、中間部分Dmの露出量つまり模様Qmの濃さを見ることによって、プラグ2の雄端子22の差し込み量を容易に認識できる。
【0052】
以下、本実施形態の効果を列挙する。
【0053】
(1)本実施形態の給電装置1によれば、プラグ2の雄端子22の挿入量を連続的に表示する表示部10を備え、この表示部10は、プラグ2の雄端子22がコンセント3の差込口32に完全に挿入された第1の位置P1と、雄端子22が第1の位置P1よりも引き出された状態でコンセント3の雌端子33と非接触となる第2の位置P2と、の間で雄端子22の挿入量を連続的に表示することができる。
【0054】
従って、プラグ2の差し込み状態が第1の位置P1と第2の位置P2との間である場合は、使用者にプラグ2が完全に差し込まれていない微妙な位置関係であることを、表示部10の目視により外部から使用者に認識させることができる。これによって、使用者がプラグ2を完全に差し込むことにより、給電装置1にトラッキング現象が起こり得る状況を排除することができる。
【0055】
(2)また本実施形態の給電装置1によれば、表示部10が、コンセント本体21とプラグ本体31との間に介在されているため、既存のコンセント本体21およびプラグ本体に変更を加える必要がなく、製造コストを低減できる。また、従来の一般的なコンセント3およびプラグ2に表示部10を後付けにより取り付けることも可能となる。
【0056】
(3)また本実施形態では、プラグ2の雄端子22の根本部分の所定区間Kに絶縁部材20を被覆したので、プラグ2が不完全な差し込み状態である場合に、表示部10によって使用者に認識させることと相俟って、絶縁部材20で雄端子22に塵埃が直接接触するのを避けて、トラッキング現象の防止効果を高めることができる。
【0057】
(4)また本実施形態では、表示部10は、カバー部11と、スライド部12と、プラグ挿入量変換部13と、を備えて構成され、プラグ挿入量変換部13によってプラグ2の雄端子22の挿入量をスライド部12のスライド量に連続的に変換するため、第1の位置P1と第2の位置P2の過度状態をカバー部11のスリット11Sから表示させることができる。
【0058】
従って、プラグ2の挿入量を電子部品を用いた電気的手段に頼ることなく、機械的に表示部10で表示させることができるため、待機電力の発生を無くして省電力化を達成できる。
【0059】
(5)また本実施形態では、スライド部12には、第1の位置P1でカバー部11のスリット11Sから露出する第1の部分Q1と、第2の位置P2でカバー部11のスリット11Sから露出する第2の部分Q2と、第1の位置P1と第2の位置P2との間(この例では中間位置Pm)でカバー部11のスリット11Sから露出する中間部分Qmと、が設けられる。そして、第1の位置P1と第2の位置P2との中間位置Pmで、カバー部11とスライド部12の中間部分Qmとにより不完全な差し込み状態を表す模様Dmを表示するようになっている。
【0060】
従って、第1の位置P1と第2の位置P2との間(この例では中間位置Pm)では、模様Dmで不完全な差し込み状態を認識できる。従って、プラグ2の雄端子22の差し込み状態が、それぞれの状態を表す模様Dmによって容易かつ間違うことなく認識することができる。
【0061】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例としては、表示部10の両端部に設けたスリット形成領域A1,A2が、プラグ本体21の側面に沿う方向に立ち上げられるようになっていてもよい。この場合、表示部10の両端部をプラグ本体21の側面に沿って立ち上げたので、側方からの視認性を向上できるとともに、コンパクト化を図ることができる。
【0062】
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。図6は表示部を断面して示すプラグとコンセントを分離した給電装置の正面図である。
【0063】
本実施形態の給電装置1Aの第1実施形態と主に異なる点は、プラグ挿入量変換部13Aを、スライド部12の中央部を分離して、対向する一対の分離端部12e側を雄端子22の先端方向に湾曲させるとともに、それぞれの分離端部12eを雄端子22に摺動自在に取り付けて構成したことにある。即ち、雄端子22にはスライダー14Aが摺動自在に嵌合されており、そのスライダー14Aに分離端部12eが結合される。そして、プラグ2をコンセント3に差し込むことによって、スライダー14Aが対向面31aに接触した後は、スライダー14Aがプラグ本体21方向に押し上げられるようになっている。
【0064】
また、本実施形態ではカバー部11の中央部分は、雄端子22が突出される一端面21aに結合されるとともに、底板11Bは長さ方向中央部が分離されて、それぞれの分離端部11eは雄端子22に挿通して取り付けられる。このとき、スライド部12の分離端部12eは、底板11Bに形成された図外の開口部を通過してスライダー14Aへと湾曲される。
【0065】
従って、本実施形態の給電装置1Aによれば、第1実施形態と同様に、雄端子22の差し込み状態に応じてスライド部12がスライドすることにより、中間部分Qmがスリット11Sから露出する露出量が変化することになり、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0066】
(第3実施形態)
図7,図8は本発明の第3実施形態を示し、各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図7は表示部およびプラグの一部を断面して示すプラグとコンセントを分離した給電装置の正面図、図8は表示部およびプラグの平面図である。
【0067】
本実施形態の給電装置1Bの第1実施形態と主に異なる点は、表示部10Bがプラグ本体21に設けられたことにある。
【0068】
即ち、本実施形態では、プラグ本体21の上部両側から一体に一対の角状突出部15が突設され、その角状突出部15の図中上面がカバー部11となり、図8に示すように、そのカバー部11に複数のスリット11Sが形成される。そして、そのカバー部11の裏側11aにスライド部12が挿入される摺動空間15Sが形成され、その摺動空間15Sにスライド部12の長さ方向両端部が摺動自在に挿入される。尚、図8中、16はプラグ2のコードである。
【0069】
また、プラグ挿入量変換部13Bは、スライド部12の長さ方向中央部を雄端子22の方向(図中下方)にV字状に突出させた山形部分12M2と、プラグ本体21の一端面21aの中央部から一端部17aが摺動自在に突出する操作棒17と、を備えて構成される。操作棒17の他端部17bの先端に山形部分12M2の頂部12M2tが当接される。また、操作棒17はプラグ本体21の他端部7b側が所定区間に亘って中空状に形成され、その中空部がプラグ本体21の内側頂部から突出するガイド棒17cに摺動自在に外嵌して移動案内されるようになっている。
【0070】
従って、本実施形態の給電装置1Bによれば、プラグ2をコンセント3に差し込むことにより、操作棒17の一端部17aの先端がコンセント3の対向面31aに接触した後は、プラグ2の更なる差し込みに伴って上記操作棒17がプラグ本体21内に押し込められる。すると、操作棒17の他端面17bがスライド部12の山形部分12M2の頂部12M2tを押圧して、その山形部分12M2が伸展される方向に変形されて、スライド部12の両端部は雄端子22から遠ざかる方向にスライドする。なお、スライド部12の山形部分12M2は、操作棒17のリターンスプリングとして機能する。
【0071】
これにより、第1の位置P1と第2の位置P2との間では、第1実施形態と同様に中間部分Qmがスリット11Sから露出する露出量が変化することになり、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0072】
また、本実施形態では、表示部10Bがプラグ本体21の上部両側から突設した角状突出部15の上面に配置されたことにより、プラグ2上方からの視認性が向上される。
【0073】
(第4実施形態)
図9,図10は本発明の第4実施形態を示し、各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図9はプラグの側断面図、図10はプラグの正面図である。
【0074】
本実施形態の給電装置1Cは、第3実施形態と同様に表示部10Cがプラグ本体21に設けられるが、本実施形態が第3実施形態と主に異なる点は、上記表示部10Cがプラグ本体21に設けられたことにある。
【0075】
即ち、表示部10Cは、プラグ本体21の正面側の側壁がカバー部11となり、そのカバー部11に複数のスリット11Sが形成される。そして、そのカバー部11の裏側11aにスライド部12が挿入される摺動空間21Sが形成され、その摺動空間21Sにスライド部12の一端部12aが摺動自在に配置される。尚、スリット11Sは、その本数が図9の側面と図10の正面で便宜上異なって示されるが、勿論、実際は側面および正面で同数であって、その本数は任意に設定できる。
【0076】
スライド部12は、プラグ本体21の内部にプラグ2の差し込み方向(図中上下方向)に配置され、一端部12aがカバー部11の裏側11aに配置されるとともに、他端部12bはU字状に折り返されてプラグ本体21の内部中心側に配置される。このとき、スライド部12の折返し部12cの外側は、プラグ本体21に固定される断面三日月状のガイド18に摺接している。
【0077】
プラグ挿入量変換部13Cは、プラグ本体21の一端面21aの中央部から一端部17aが摺動自在に突出する操作棒17Aを備えて構成され、該操作棒17Aの他端部17bに、スライド部12の他端部12bがリング17rを介して回転自在に取り付けられる。
【0078】
また、本実施形態にあっても、操作棒17Aの他端部17bは、所定区間に亘って形成された中空部にガイド棒17cが摺動自在に嵌合されており、そのガイド棒17cに、操作棒17Aの一端部17aを突出させる方向に付勢するリターンスプリング17sが設けられる。
【0079】
従って、本実施形態の給電装置1Cによれば、プラグ2をコンセント3に差し込むことにより、第3実施形態と同様に、操作棒17Aの一端部17aの先端がコンセント3の対向面31aに接触した後は、プラグ2の更なる差し込みに伴って上記操作棒17Aがプラグ本体21内に押し込められる。
【0080】
すると、スライド部12の他端部12bが操作棒17Aとともに押し上げられることに伴って、折返し部12cがガイド18に案内されて一端部12aがカバー部11に沿ってスライドする。
【0081】
これにより、第1実施形態と同様に、第1の位置P1と第2の位置P2との間では、中間部分Qmのスリット11Sからの露出量が連続的に変化することになり、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0082】
また、本実施形態では、表示部10Cがプラグ本体21の正面側側面に配置されたことにより、プラグ2の側方からの視認性が向上される。
【0083】
(第5実施形態)
図11,図12は本発明の第5実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11は表示部およびコンセントを断面して示すプラグとコンセントを分離した給電装置の正面図、図12はコンセントの平面図である。
【0084】
本実施形態の給電装置1Dの第1実施形態と主に異なる点は、表示部10Dがコンセント本体31に設けられたことにある。
【0085】
即ち、表示部10Dは、コンセント本体31の一対の差込口32を挟んだ幅方向両側に配置され、コンセント3の対向面31aがカバー部11となり、そのカバー部11に複数のスリット11Sが形成される。そして、そのカバー部11の裏側11aにスライド部12が挿入される摺動空間31Sが形成され、その摺動空間31Sにスライド部12の長さ方向両端部が摺動自在に挿入される。尚、スリット11Sは、その本数が図11の正面と図12の平面で便宜上異なって示されるが、勿論、実際は正面および平面で同数であって、その本数は任意に設定できる。
【0086】
スライド部12は、コンセント本体31の内部に一対の差込口32の対向方向、つまり、コンセント本体31の幅方向(図11中左右方向)に配置され、スライド部12の長さ方向両端部がカバー部11の裏側11aに配置される。
【0087】
プラグ挿入量変換部13Dは、スライド部12の長さ方向中央部をプラグ2とは反対方向(図中下方)にV字状に突出させた山形部分12M3と、コンセント本体31の一対の差込口32間の中央部から一端部(図中上端部)17aが摺動自在に突出する操作棒17Bと、を備えて構成される。
【0088】
操作棒17Bの他端部(図中下端部)17bの先端に、山形部分12M3の頂部12M3tの内側が当接される。操作棒17Bの他端部17bは、所定区間に亘って形成された中空部に、コンセント本体31の底部から突設するガイド棒17cが摺動自在に嵌合されている。また、そのガイド棒17cには、操作棒17Bの一端部17aを突出させる方向に付勢するリターンスプリング17sが設けられる。
【0089】
従って、本実施形態の給電装置1Dによれば、プラグ2をコンセント3に差し込むことにより、操作棒17Bの一端部17aの先端がプラグ本体21の一端面21aに接触した後は、プラグ2の更なる差し込みに伴って上記操作棒17Bがコンセント本体31内に押し込められる。すると、スライド部12の山形部分12M3が操作棒17Bの他端部17bの先端で更に押圧されて、その山形部分12M3の突出量が更に増大される方向に変形し、スライド部12の両端部はコンセント本体31の中心方向に引き寄せられる。
【0090】
これにより、第1実施形態と同様に、第1の位置P1と第2の位置P2との間では、中間部分Qmのスリット11Sからの露出量が連続的に変化することになり、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。尚、本実施形態では第1の部分Q1,中間部分Qmおよび第2の部分Q2の配置順序が第1実施形態とは逆になっている。
【0091】
また、本実施形態では、表示部10Dがコンセント本体31に設けられたことにより、従来の一般的なプラグ2を利用した場合にも、プラグ2の差し込み状態を表示部10Dによって表示させることができる。
【0092】
(第5実施形態の変形例)
ところで、第5実施形態では図12に示すように、コンセント3の一対の差込口32が2箇所設けられた場合を示したが、勿論、1箇所若しくは3箇所以上として構成することができる。また、第5実施形態では、操作棒17Bのプラグ雄端子の差込量を検出する部分17aが、コンセント本体31の上面から突出しているが、例えば、操作棒17Bのプラグ雄端子の差込量を検出する部分を、コンセント本体31の差込口32内に設けて、操作棒17Bがコンセント本体31から突出しないようにすることもできる。
【0093】
(表示部の模様の変形例)
ところで、上述の第1〜第5実施形態にあっては、第1の位置P1と第2の位置P2との間でスライド部12の中間部分Qmの模様Dm(図5b)を表示して、第1の位置P1および第2の位置P2では模様なしとしているが、本発明にあっては第1の位置P1および第2の位置P2で別途模様を設けてもよいし、模様は第1〜第5実施形態にのみ限定されない。
【0094】
(模様の第1変形例)
図13は表示部の模様の第1の変形例を示す。
【0095】
この例では、上記実施形態と同様に、スライド部12の中間部分Qmの模様Dmが第1〜第5実施形態と同様に“危険”(図13b参照)であり、スライド部12の第1の部分Q1の模様D1が“安全”(図13a参照)であり、スライド部12の第2の部分の模様D2が模様なしである。そのため、第1の位置P1(図13a)では、スライド部12の第1の部分Q1により完全な差し込み状態を表す模様D1(“安全”)が表示され、第1の位置P1と第2の位置P2との中間位置Pm(図13b)では、カバー部11とスライド部12の中間部分Qmとにより不完全な差し込み状態を表す模様Dm(“危険”)が表示される。
【0096】
従って、この第1変形例によれば、第1の位置P1では、模様D1で完全な差し込み状態を認識できるとともに、第1の位置P1と第2の位置P2との間(この例では中間位置Pm)では、模様Dmで不完全な差し込み状態を認識できる。従って、プラグ2の雄端子22の差し込み状態が、それぞれの状態を表す模様D1およびDmによって容易かつ間違うことなく認識することができ、さらに安全性が高まる。
【0097】
なお、第1の位置P1と中間位置との間では、模様D1と模様Dmとが混在することとなり、第1の位置P1に近いほど模様D1が濃く且つ模様Dmが薄くなり、中間位置P1に近いほど模様D1が薄く模様Dmが濃くなる。
【0098】
(模様の第2変形例)
図14は表示部の模様の第2の変形例を示す。
【0099】
この例では、スライド部12は、第1の部分Q1と第2の部分Q2を備えるがこれら第1の部分Q1と第2の部分Q2とは隙間無く連続しており、第1の部分Q1と第2の部分Q2との間に、上述した中間部分(Qm)が無い構造をしている(図示省略)。
【0100】
この例では、スライド部12の第1の部分Q1の模様D1が“安全”(図14a参照)であり、スライド部12の第2の部分Q2の模様D2が模様なしである。そのため、第1の位置P1(図14a)では、スライド部12の第1の部分Q1により完全な差し込み状態を表す模様D1(“安全”)が表示され、第2の位置P2(図14c)では、当該第1の部分の模様D1が完全に隠れて、スライド部12の第2の部分Q2の模様D2(模様なし)が表示される。そして、第1の位置P1と第2の位置P2との間(図14b)では、プラグ2の雄端子22の差込量に応じて、模様D1の露出量が変化するようになっている。
【0101】
従って、この第2変形例によれば、第1の位置P1では、模様D1で完全な差し込み状態を認識できるとともに、第1の位置P1と第2の位置P2との間では、プラグ2の差込量を模様D1の濃さによって認識できる。
【0102】
(模様の第3変形例)
模様の第3変形例としては、第2変形例とは逆に、スライド部12の第1の部分Q1の模様D1が模様なしとし、スライド部12の第2の部分Q2の模様D2が“安全”としてもよい。
【0103】
(模様の第4変形例)
図15は表示部の模様の第4の変形例を示す。
【0104】
この第4変形例では、カバー部11の一端部(図−2中左端部)側のスリット形成領域A1と、カバー部11の他端部(図−2中右端部)側のスリット形成領域A2とで、表示形態が異なっており、スリット形成領域A1で第2変形例の表示形態を採用し、スリット形成領域A2で第3変形例の表示形態を採用している。以下具体的に説明する。
【0105】
この第4変形例においては、第2〜第3変形例と同様に、スライド部12が、第1の部分Q1と第2の部分Q2を備えるがこれら第1の部分Q1と第2の部分Q2とは隙間無く連続しており、第1の部分Q1と第2の部分Q2との間に中間部分がない構造をしている(図示省略)。
【0106】
まず、スリット形成領域A1について説明すると、スライド部12の第1の部分Q1の模様D1が“閉”(図15a参照)であり、スライド部12の第2の部分Q2の模様D2が模様なしである。そのため、スリット形成領域A1では、第1の位置P1(図15a)で完全な差し込み状態を表す模様D1(“閉”)が表示され、第2の位置P2(図15c)で完全な脱出状態を表す模様D2(模様なし)が表示される。そして、第1の位置P1と第2の位置P2との間(図15b)では、プラグ2の雄端子22の差込量に応じて、模様D1(“閉”)の露出量が変化するようになっている。
【0107】
また、スリット形成領域A2では、スライド部12の第1の部分Q1の模様D1が模様なしであり(図15a参照)、スライド部12の第2の部分Q2の模様D2が“開”である。そのため、第2の位置P2(図15c)では、スライド部12の第2の部分Q2により完全な脱出状態を表す模様D2(“開”)が表示され、第1の位置P1(図−10a)では、スライド部12の第1の部分Q1によって完全な脱出状態(非接触状態)を示す模様D2(模様なし)が表示される。そして、第1の位置P1と第2の位置P2との間(図15b)では、プラグ2の雄端子22の差込量に応じて、模様D1の露出量が変化するようになっている。
【0108】
従って、この第2変形例によれば、第1の位置P1では、模様D1で完全な差し込み状態を認識できるとともに、第2の位置P2では、模様D2で完全な差し込み状態を認識できるとともに、第1の位置P1と第2の位置P2との間では、プラグ2の差込量を模様D1、D2の濃さによって認識できる。
【0109】
なお、上記第1〜第5実施形態において、それぞれの表示部10,10A〜10Dでは、模様D1、Dm、D2を透光素材を形成して、それら模様D1,Dm以外の部分を不透光素材で形成して、表示部10,10A〜10Dの裏側から光を透過させることが好ましい。こうすることにより、表示部10,10A〜10Dの裏側から入射される光が透光素材で透過されるため、模様D1または模様Dmの視認性をより高めることができる。
【0110】
また、「模様の第1変形例」のように模様が複数ある場合には、特に強調したい1つの模様のみを透光素材で形成して、裏面から光りを透過させてもよい。このようにすると特に強調したい模様のみ光らせて強調することができる。
【0111】
(第6実施形態)
図16は本発明の第6実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとする。図16は表示部の作動状態を(a)〜(c)に順を追って示す要部構成の断面図である。
【0112】
この第6実施形態では、図16に示すように、スライド部12の第1の部分Q1または中間部分Qmまたは第2の部分Q2の一つ(本実施形態では中間部分Qm)を、透光素材で形成し、それ以外の部分を不透光素材で形成するとともに、表示部10Eの裏側に光源Lsを配置してある。なお、この実施形態では、第1の部分Q1が第2の部分Q2を兼ねている。
【0113】
そして、本実施形態によれば、図16(a)に示すように、第1の部分Q1(第2の部分Q2)でスリット11Sを遮蔽した状態では、光源Lsの光が透過するのが遮断され、図16(c)に示すように、中間部分Qmの全部がスリット11Sに位置した状態では全開状態となって、光源Lsの光はスリット11Sの全面積から透過され、図16(e)に示すように、第2の部分Q2(第1の部分Q1)でスリット11Sを遮蔽した状態では光源Lsの光が透過するのが遮断される。
【0114】
このとき、図16(b)および図16(d)に示すように第1の部分Q1の一部と中間部分Qmの一部とがスリット11Sに位置した状態では、光源Lsの光は中間部分Qmを透過してスリット11Sは半開状態となる。
【0115】
このように、透光素材で形成した中間部分Qmとスリット11Sとの重なり量が変化することにより、プラグ2の挿入量を透光素材を透過する光源Lsの光量変化で検出できる。
【0116】
尚、本第6実施形態では、第1の部分Q1および第2の部分Q2を透光素材で形成し、中間部分Qmを不透光素材で形成してもよい。
【0117】
また、スライド部12をスリット状にして、つまり、スライド部12の透光素材の部位を開口にして、光や音の通過量を変化させてもよい。なお音の例に関しては以下の第7実施形態で説明する。
【0118】
(第7実施形態)
つまり、本発明においては、第6実施形態と同様の原理を利用して、表示部を、プラグ2の挿入量に応じて、音色や音量が変化する鳴動機構により構成してもよい。鳴動機構としては、プラグ2の挿入量に応じて静電容量やインダクタンスあるいは電気抵抗等の電気的特性を変化させて、音色や音量の変化に対応させる構成とすることができる。
【0119】
即ち、静電容量を変化させる鳴動機構としては、カバー部11とスライド部12とを導電部材によって形成して、スライド部12にスリット11Sに対応した開口部を形成する。そして、カバー部11とスライド部12との間に僅かの隙間を設けてそれぞれに通電した状態で、スライド部12がスライドすることによってカバー部11との重なり面積が変化する。すると、両者間に蓄積される静電容量が変化することに伴って音色や音量が変化する。
【0120】
また、前記鳴動機構は、プラグの挿入量に応じて静電容量を変化させて、音色や音量の変化に対応させるようにしたので、IC等の複雑な演算回路を必要とせずに簡単な電気的構成で鳴動機構を形成でき、コストの大幅な上昇を抑制することができる。
【0121】
また、インダクタンスを変化させる鳴動機構としては、カバー部11またはスライド部12の一方に鉄芯を配置するとともに、他方にコイルを配置することにより構成することができ、同様の作用効果を奏することができる。
【0122】
また、電気抵抗を変化させる鳴動機構としては、カバー部11またはスライド部12の一方に磁石を配置するとともに、他方に磁性抵抗素子を配置することにより構成することができ、同様の作用効果を奏することができる
なお、第7実施形態を、上述の第1〜第6実施形態に組み合わせると、表示部10、10A〜10Eの目視による視覚認識に加えて、聴覚認識でもプラグの挿入状態を判断でき、プラグ挿入不良の場合の警告性をより高めることができる。
【0123】
ところで、本発明の給電装置は前記各実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる表示部およびコンセントを断面して示すプラグとコンセントを分離した給電装置の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるプラグの雄端子をコンセントの差込口に差し込まれた状態を(a)に第1の位置と(b)に第2の位置で示す要部断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態で(a)に表示部のスライド部と(b)に表示部のカバー部をそれぞれ示す平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるスリット部を詳細に示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる表示部によって表示される模様を示す説明図であって、図5aはプラグがコンセントに完全に差し込まれた第1の位置での表示部の模様(完全差し込み状態を表す模様D1)を示し、図5cはプラグがコンセントに完全に抜き出された第2の位置での表示部の模様(完全脱出状態を表す模様D2)を示し、図5bは第1の位置と第2の位置との中間位置での表示部の模様(不完全差し込み状態を示す模様Dm)を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる表示部を断面して示すプラグとコンセントを分離した給電装置の正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる表示部およびプラグの一部を断面して示すプラグとコンセントを分離した給電装置の正面図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる表示部およびプラグの平面図である。
【図9】本発明の第4実施形態にかかるプラグの側断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態にかかるプラグの正面図である。
【図11】本発明の第5実施形態にかかる表示部およびコンセントを断面して示すプラグとコンセントを分離した給電装置の正面図である。
【図12】本発明の第5実施形態にかかるコンセントの平面図である。
【図13】本発明の表示部によって表示される模様の第1変形例を示す説明図である。
【図14】本発明の表示部によって表示される模様の第2変形例を示す説明図である。
【図15】本発明の表示部によって表示される模様の第4変形例を示す説明図である。
【図16】本発明の第6実施形態の表示部の作動状態を(a)〜(e)に順を追って示す要部構成の断面図である。
【符号の説明】
【0125】
1,1A,1B,1D 給電装置
2 プラグ
21 プラグ本体
22 雄端子
3 コンセント
31 コンセント本体
32 差込口
33 雌端子
10,10A,10B,10C,10D、10E 表示部
11 カバー部
11S スリット
12 スライド部
13,13A,13B,13C,13D,13D1,13D2,13D3 プラグ挿入量変換部
20 絶縁部材
P1 第1の位置
P2 第2の位置
Pm 中間位置
Q1 第1の部分
Q2 第2の部分
Qm 中間部分
D1,Dm,D2 模様
Ls 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ本体と、当該プラグ本体から突出する雄端子と、を有するプラグと、
前記プラグの雄端子を受け入れる差込口を有するコンセント本体と、前記差込口内に設けられ該差込口に挿入される雄端子と電気接触する雌端子と、を有するコンセントと、
を備えた給電装置であって、
前記プラグの雄端子が前記差込口に完全に挿入された第1の位置と、前記プラグの雄端子が前記第1の位置よりも引き出された状態で前記雌端子と非接触となる第2の位置と、の間で、前記プラグの雄端子の挿入量を連続的または段階的に表示する表示部を備え、
前記表示部が、前記コンセント本体と前記プラグ本体との間に介在されていることを特徴とする給電装置。
【請求項2】
プラグ本体と、当該プラグ本体から突出する雄端子と、を有するプラグと、
前記プラグの雄端子を受け入れる差込口を有するコンセント本体と、前記差込口内に設けられ該差込口に挿入される雄端子と電気接触する雌端子と、を有するコンセントと、
を備えた給電装置であって、
前記プラグの雄端子が前記差込口に完全に挿入された第1の位置と、前記プラグの雄端子が前記第1の位置よりも引き出された状態で前記雌端子と非接触となる第2の位置と、の間で、前記プラグの雄端子の挿入量を連続的または段階的に表示する表示部を備え、
前記表示部が、前記プラグ本体に設けられていることを特徴とする給電装置。
【請求項3】
プラグ本体と、当該プラグ本体から突出する雄端子と、を有するプラグと、
前記プラグの雄端子を受け入れる差込口を有するコンセント本体と、前記差込口内に設けられ該差込口に挿入される雄端子と電気接触する雌端子と、を有するコンセントと、
を備えた給電装置であって、
前記プラグの雄端子が前記差込口に完全に挿入された第1の位置と、前記プラグの雄端子が前記第1の位置よりも引き出された状態で前記雌端子と非接触となる第2の位置と、の間で、前記プラグの雄端子の挿入量を連続的または段階的に表示する表示部を備え、
前記表示部が、前記コンセント本体に設けられていることを特徴とする給電装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の給電装置であって、
前記雄端子の根本部分の所定区間に絶縁部材を被覆してあることを特徴とする給電装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の給電装置であって、
前記表示部は、複数のスリットを有するカバー部と、該カバー部の裏側にスライド自在に配置されて、それのスライド位置に応じた部分が前記スリットから表示されるスライド部と、前記プラグの雄端子の挿入量を前記スライド部のスライド量に連続的に変換するプラグ挿入量変換部と、を備えたことを特徴とする給電装置。
【請求項6】
請求項5に記載の給電装置であって、
前記スライド部にはスライド位置に応じて前記スリットから露出する模様を備え、前記スライド部は、模様の部分が透光素材で形成され、前記模様以外の部分が不透光素材で形成されるとともに、表示部の裏側に光源が配置されることを特徴とする給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−305637(P2008−305637A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150672(P2007−150672)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】