説明

統合コントロールユニットのフェールセーフ回路及び電動ステアリングロック装置

【課題】2機能を1つのコントロールユニットに統合しても、統合前のレベルのフェールセーフ性を確保することができ、しかもこれを簡素な構成で済ますことができる統合コントロールユニットのフェールセーフ回路及び電動ステアリングロック装置を提供する。
【解決手段】照合ECUと電源制御ECUとを1つの統合ECU4にまとめ、統合ECU4の電源供給要求Sdnの出力経路上に保護回路38を設ける。統合ECU4は、ステアリングロックECUに作動命令、イグニッションリレー通知、そして電源供給要求Sdnを出力して制御する。作動命令はマイクロコンピュータ23から直出しされ、イグニッションリレーオフ通知はホールドラッチ回路を介して出力される。電源供給要求Sdnはマイクロコンピュータ23から出力されるが、シフトP検出が出力条件となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合コントロールユニットの制御対象のフェールセーフを高いレベルで確保する統合コントロールユニットのフェールセーフ回路及び電動ステアリングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のキーシステムとしては、利便性等の面から、車両キーである電子キーからキーコードとしてIDコードを無線通信により車両に発信して、車両にID照合を実行させる電子キーシステム(特許文献1等参照)が広く使用されている。この種の電子キーシステムには、車両からのリクエストに応答してIDコードを車両に自動発信して車両にID照合を実行させるキー操作フリーシステムがある。同システムには、車外でID照合が成立すれば実際のキー操作無しにドアロックが施解錠されるスマートエントリーシステムや、車内でID照合が成立すればエンジンスイッチの単なる押し操作のみでエンジンがかかるワンプッシュエンジンスタートシステムがある。
【0003】
図6に、この種の電子キーシステムの電気構成を示すと、車両には、電子キーのIDコードを照合する照合ECU81と、車両の電源系を管理する電源制御ECU82と、ステアリングロックの施解錠動作を制御するステアリングロックECU83とが設けられている。これらECU81〜83は、車内に設けられた通信線を介して互いに相互通信可能に接続されている。
【0004】
電源制御ECU82は、運転席等に設けられたモーメンタリ式のエンジンスイッチの押し操作を検出すると、照合ECU81の照合成立可否を確認しにいく。電源制御ECU82は、照合ECU81から照合成立の確認結果を得ると、ステアリングロックECU83に電源供給動作の実行要求として電源供給要求を送る。また、照合ECU81は、電源制御ECU82から照合成立可否の確認を受け付けた際、ID照合が成立していれば、ステアリングロックECU83に施解錠動作の実行要求として作動命令を出力する。ステアリングロックECU83は、照合ECU81から作動命令と、電源制御ECU82から電源供給要求とを受け付け、更に外部からイグニッションリレーがオフであることの通知としてイグニッションリレーオフ通知を受け付けていれば、ステアリングロックモータ84を駆動して、ドアロック施解錠を実行する。
【0005】
このように、ステアリングロックの動作開始条件は、作動命令と電源供給要求とイグニッションリレーオフ通知との3つの入力があったことが条件とされている。このように、ステアリングロックの動作開始条件を3入力とするのは、故障が原因で車両走行中においてステアリングロックが運転者の意図に沿わず勝手にロック状態をとる状態、即ち走行中のハンドルロックが発生しないように、フェールセーフを3重系とするためである。よって、この場合は、入力が3つ全て故障する3重故障とならないと走行中のハンドルロックが発生しないので、走行中の安全がより高いレベルで確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−262915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種の電子キーシステムにおいては、部品点数を削減するために、図7に示すように照合ECU81と電源制御ECU82とを1つのIC(Integrated Circuit)として統合する試みがなされている。しかし、照合ECU81と電源制御ECU82とをまとめて、これらを1つの統合ECU85とした場合には、作動命令と電源供給要求の発信元が同一ECUとなってしまうので、統合ECU85が故障した際には、作動命令と電源供給要求との両方がともにNGとなり、結果としてフェールセーフが2重系にしかならない問題が発生する。
【0008】
ここで、走行中のハンドルロックの3重系を維持するために、例えば図8に示すように、統合ECU85の中に、作動命令の発信元と電源供給要求の発信元とで、各々個別のCPUを設けることも想定される。しかし、この場合は、CPUを2つ用意しなくてはならなくなるので、その分だけ部品コストが増加する問題に繋がる。よって、照合ECU81と電源制御ECU82とを1つの統合ECU85としても、それまでの3重系を保ちつつ、しかもこれをコストが増加しない簡素な構成で満たすことのできる新たな技術が要望されていた。
【0009】
本発明の目的は、2機能を1つのコントロールユニットに統合しても、統合前のレベルのフェールセーフ性を確保することができ、しかもこれを簡素な構成で済ますことができる統合コントロールユニットのフェールセーフ回路及び電動ステアリングロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点を解決するために、本発明では、元々は別であった2つの機能を1つのコンピュータで管理することにより、各機能のコンピュータごとに存在していた2つのコントロールユニットを1つに統合した統合コントロールユニットのフェールセーフ回路であって、制御対象に対してこれまで別々のコンピュータから出力していた各動作指令を、前記1つのコンピュータから出力させる指令出力手段と、2つ存在する前記動作指令の出力経路のうちの一方に設けられ、当該出力経路から得る動作指令と前記コンピュータの外部から取得する外部指令とから、前記制御対象を制御する新たな動作指令を生成する指令生成手段とを備え、前記指令出力手段が前記制御対象に対して直に出す第1動作指令と、前記指令生成手段が新たな動作指令として生成する第2動作指令とにより前記制御対象を制御して、当該制御対象のフェールセーフ性を統合前と同じレベルで確保することを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、各々の機能ごとに存在していたコントロールユニットが1つのユニット、即ち統合コントロールユニットとして統合される。この統合コントロールユニットは、統合前と同じく2つの動作指令(第1動作指令、第2動作指令)により制御対象を制御する。このとき、第1動作指令は、コンピュータから直に出力されるのに対し、第2動作指令は、コンピュータ外部から取り込む外部指令も出力の条件となっている。よって、もし仮にコンピュータが故障する状況に陥って第1動作指令が誤出力されても、第2動作指令は外部指令が故障しない限り誤出力されない。このため、2つのコントロールユニットを統合して信号元が同じとなっても、制御対象のフェールセーフの重系を統合前と同じ数に維持することが可能となる。
【0012】
また、2つのコントロールユニットを1つの統合コントロールユニットとして統合する場合、同コントロールユニットの動作を統括管理するコンピュータを、1つのコンピュータにより構成した。よって、第1動作指令及び第2動作指令を出力する各々に、それぞれ個別のコンピュータを用意せずに済むので、統合コントロールユニットをコンピュータが1つという簡素な構成で済ますことが可能となる。以上により、2機能を1つのコントロールユニットに統合しても統合前のレベルのフェールセーフ性を確保することが可能で、しかもこれを簡素な構成で済ますことが可能となる。
【0013】
本発明では、前記指令出力手段には、前記制御対象の動作内容を管理する動作管理手段と、前記制御対象への電源供給を管理する電源供給管理手段とが設けられ、前記動作管理手段は、前記制御対象への作動命令を前記第1動作指令として出力し、前記指令生成手段は、前記電源供給管理手段の出力経路上に設けられ、前記制御対象への電源供給要求を前記第2動作指令として出力することを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、電源供給要求側の動作指令を指令生成手段によって保護をかける構成であるので、例えば単なるH/L信号を出力する通信ライン上に指令生成手段を設けるだけの簡素な構成で済む。
【0015】
本発明では、前記指令出力手段は、前記指令生成手段に前記動作指令を出力する指令ポートが、前記制御対象に施錠動作を行わせるものと解錠動作を行わせるものとで、それぞれ別ポートとして分けられ、前記指令生成手段は、前記施錠動作側の指令ポートから前記動作指令を受け付けると、前記外部指令を加味して前記第2動作指令を出力し、前記解錠動作側の指令ポートから前記動作指令を受け付けると、無条件で前記第2動作指令を出力することを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、例えば統合前の制御対象の制御ロジックが、制御対象の施錠動作の開始に外部指令の入力が条件となり、制御対象の解錠動作の開始に外部指令の入力は条件とされない形式とる場合であっても、統合後も同様の制御ロジックを組むことが可能となる。
【0017】
本発明では、前記外部指令は、前記制御対象が搭載された車両において、当該車両のシフトレバーの操作位置が駐車位置であることを通知するシフト駐車位置信号であることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、じか線によって統合コントロールユニットに入力される構造をとることが多いシフト駐車位置信号を利用して、統合コントロールユニットのフェールセーフの重系を確保することが可能となる。
【0019】
本発明では、1つに統合された前記コントロールユニットは、前記制御対象を搭載した機器のキーから無線によりIDコードを取得して、該IDコードの正否を見る照合コントロールユニットと、前記制御対象の電源を管理する電源コントロールユニットとであることを要旨とする。
【0020】
この構成によれば、照合コントロールユニットと電源コントロールユニットとを、フェールセーフの重系の数を維持しつつ、1つの統合コントロールユニットに統合することが可能となる。
【0021】
本発明では、CPUやメモリからなるステアリングロックコントロールユニットにより動作が管理され、当該コントロールユニットによってアクチュエータを介してロック部材をステアリングホイール又はその支持部材に係脱することにより、ステアリングロックを施解錠する電動ステアリングロック装置において、前記ステアリングロックコントロールユニットに対して各種動作指令を出力する2つのコンピュータを1つとすることにより、2つのコントロールユニットが1つの統合コントロールユニットとして統合された構成であって、前記統合コントロールユニットのコンピュータから前記ステアリングロックコントロールユニットに対して各動作指令を出力させる指令出力手段と、2つ存在する前記動作指令の出力経路のうちの一方に設けられ、当該出力経路から得る動作指令と前記コンピュータの外部から取得する外部指令とから、前記ステアリングロックコントロールユニットを制御する新たな動作指令を生成する指令生成手段とを備え、前記指令出力手段が前記ステアリングロックコントロールユニットに対して直に出す第1動作指令と、前記指令生成手段が新たな動作指令として生成する第2動作指令とにより前記ステアリングロックコントロールユニットを制御して、当該ステアリングロックコントロールユニットのフェールセーフ性を統合前と同じレベルで確保することを要旨とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、2機能を1つのコントロールユニットに統合しても、統合前のレベルのフェールセーフ性を確保することができ、しかもこれを簡素な構成で済ますことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施形態における電子キーシステムの構成を示すブロック図。
【図2】統合ECUの内部構成を示す回路図。
【図3】保護回路の内部構成を示す回路図。
【図4】統合ECUが3重系をとることを示すブロック図。
【図5】統合ECU及び保護回路の構成を説明する回路図。
【図6】従来における電子キーシステムの構成の一部を示すブロック図。
【図7】照合ECUと電源制御ECUとを統合した例を示すブロック図。
【図8】照合ECUと電源制御ECUとを統合した他の例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した統合コントロールユニットのフェールセーフ回路及び電動ステアリングロック装置の一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、車両キーとして使用される電子キー2との間で無線通信によりキー照合を行って、このキー照合の成立を条件にドアロックの施解錠やエンジン始動等が許可又は実行される電子キーシステム3が設けられている。電子キー2は、車両1との間で狭域無線通信が可能であって、電子キー2が固有に持つIDコードをキーコードとして無線通信により車両1に発信して車両1にキー照合を行わせることが可能なキーのことをいう。電子キーシステム3には、電子キー2からキーコードとしてIDコードを発信するときに個別のキー操作が不要であるキー操作フリーシステムが含まれている。なお、車両1が機器に相当し、電子キー2がキーに相当する。
【0025】
キー操作フリーシステムには、ドアロックの施解錠操作の際にキー操作を必要としない機能としてスマートエントリーシステムがある。本例の場合、車両1には、同システムを統括管理するコントロールユニットとして統合ECU(Electronic Control Unit)4が設けられている。この統合ECU4は、電子キー2との間でキー照合(ID照合)を行う照合ECU(照合機能)と、車両1の電源系を管理する電源制御ECU(電源機能)とを1つのECUに統合したものであって、自身1つで照合機能と電源機能との両方が実行可能なECUとなっている。また、統合とは、これまで各々個別のコンピュータが存在していたものを1つのコンピュータにより管理可能として、1つのICユニットとすることをいう。なお、統合ECU4が統合コントロールユニットに相当し、照合ECUが照合コントロールユニットに相当し、電源制御ECUが電源コントロールユニットに相当する。
【0026】
この統合ECU4には、車外にLF(Low Frequency)帯の電波(約134KHz)を発信可能な車外発信機5と、車内に同様のLF電波を発信可能な車内発信機6、UHF(Ultra High Frequency)帯の一種であるRF(Radio Frequency:約312MHz)の電波を受信可能な車両チューナ7とが接続されている。車外発信機5は、車両1の各ドアに各々配置されている。
【0027】
また、車両1には、車載モータやリレー等の動作を管理するメインボディECU8が設けられている。メインボディECU8は、車内の一ネットワークであるLIN(Local Interconnect Network)9を介して統合ECU4に接続されている。メインボディECU8には、ドアロックの施解錠を実行するときの駆動源としてドアロックモータ10が接続されている。
【0028】
統合ECU4は、車両駐車時、車外発信機5からLF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させることにより、車両周辺にリクエスト信号Srqの車外通信エリアを形成して、狭域無線通信(以降、スマート通信と記す)の成立を試みる。電子キー2がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号Srqを受信すると、電子キー2はリクエスト信号Srqに応答する形で、自身に登録されたIDコードを乗せたID信号SidをRF帯の電波で返信する。統合ECU4は、車両チューナ7でID信号Sidを受信してスマート通信(車外通信)が確立すると、自身に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車外照合)を行う。統合ECU4は、この車外照合が成立したことを確認すると、メインボディECU8によるドアロック施解錠動作を許可又は実行する。
【0029】
また、キー操作フリーシステムには、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン11の始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステムがある。この場合、統合ECU4には、ステアリングロックの施解錠を管理するステアリングロックECU12がLIN9を介して接続されている。ステアリングロックECU12は、例えばCPU(Central Processing Unit)やメモリからなる。ステアリングロックECU12には、ステアリングロックの施解錠を実行するときの駆動源としてステアリングロックモータ13が接続されている。なお、ステアリングロックECU12が制御対象及びステアリングロックコントロールユニットを構成し、ロックモータ13がアクチュエータに相当する。
【0030】
ステアリングロックECU12は、ステアリングロック解錠の下において、ステアリングロックモータ13を一方向に回転(正転)させてロックバー14をステアリングシャフト15の溝16に係止することにより、ステアリングロックを施錠状態とする。また、ステアリングロックECU12は、ステアリングロックECU12は、ステアリングロック施錠の下において、ステアリングロックモータ13を他方向に回転させてロックバー14を溝16から離脱させることにより、ステアリングロックを解錠状態とする。なお、ロックバー14がロック部材に相当し、ステアリングシャフト15が支持部材に相当する。
【0031】
メインボディECU8には、エンジン11の点火制御や燃料噴射制御を管理するエンジンECU17が、車内の一ネットワークであるCAN(Controller Area Network)18を介して接続されている。また、車内には、同システムの操作系としてプッシュモーメンタリ式のエンジンスイッチ19が設けられ、同スイッチ19が統合ECU4及びメインボディECU8に接続されている。エンジンスイッチ19の操作機能には、エンジン始動停止機能の他に、電源遷移機能も割り当てられている。メインボディECU8には、車載アクセサリに繋がるACC(Accessory)リレー20と、走行系の各種電装品に繋がるイグニッションリレー21と、エンジンスタータ(図示略)に繋がるスタータリレー22とが接続されている。
【0032】
統合ECU4は、例えばカーテシスイッチ(図示略)により運転者の車内への乗車を確認すると、今度は車内発信機6からリクエスト信号Srqを発信して、車内全域に車内通信エリアを形成する。統合ECU4は、電子キー2がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたID信号Sidを車両チューナ7で受信してスマート通信(車内通信)が確立すると、自身に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車内照合)を行う。統合ECU4は、この車内照合が成立したことを確認すると、ステアリングロックECU12によるステアリングロック施解錠動作を許可するとともに、エンジンスイッチ19のプッシュ操作による電源状態切り換えを許可する。
【0033】
図2に示すように、統合ECU4には、同ECU4の動作を統括制御する統合マイクロコンピュータ23が設けられている。この統合マイクロコンピュータ23は、照合機能を実行可能なコンピュータと電源機能を実行可能なコンピュータとを1コンピュータとしてまとめたマイクロコンピュータとなっている。また、統合マイクロコンピュータ23は、CPUやメモリを1つのLSI(Large Scale Integration)チップに集積した回路のことをいう。なお、統合マイクロコンピュータ23がコンピュータに相当する。
【0034】
統合マイクロコンピュータ23には、ステアリングロックの動作内容(ロック動作/アンロック動作)を決める各種命令として作動命令SsdをステアリングロックECU12に出力する作動命令出力部24が設けられている。作動命令出力部24は、ID照合及びその照合結果を管理し、このID照合成立を条件として作動命令Ssdが出力可能である。作動命令Ssdには、例えばロック動作を開始させるロック作動命令、アンロック動作を開始させるアンロック作動命令、実行中のロック動作を停止させるロック停止命令、実行中のアンロック動作を停止させるアンロック停止命令等がある。作動命令Ssdは、統合マイクロコンピュータ23の1出力ポート(出力端子)である作動命令ポート25からコンピュータ23外に出力される。なお、作動命令出力部24が指令出力手段、動作管理手段を構成し、作動命令Ssdが動作指令(第1動作指令)を構成する。
【0035】
統合ECU4には、作動命令Ssdの出力端子として作動命令出力端子26が設けられている。この作動命令出力端子26は、LIN9を介してステアリングロックECU12に接続されている。統合ECU4から出力される作動命令Ssdは、このLIN9を介してステアリングロックECU12に供給される。
【0036】
統合マイクロコンピュータ23には、イグニッションリレー21がオフであることをステアリングロックECU12に通知するイグニッションリレーオフ通知部27が設けられている。イグニッションリレーオフ通知部27は、イグニッションリレー21がオフであることを確認すると、統合マイクロコンピュータ23の1出力ポートである通知ポート28からイグニッションリレーオフ通知Sigを出力する。イグニッションリレーオフ通知Sigは、例えばHレベルの信号からなり、ホールドラッチ回路29によりラッチされる。ホールドラッチ回路29は、入力値をそのレベル値で保持して出力するラッチ回路の一種である。
【0037】
統合ECU4には、イグニッションリレーオフ通知Sigの出力端子として通知出力端子30が設けられている。この通知出力端子30は、例えば通知供給専用の電気配線31を介してステアリングロックECU12に接続されている。統合ECU4から出力されるイグニッションリレーオフ通知Sigは、この電気配線31を介してステアリングロックECU12に供給される。
【0038】
統合マイクロコンピュータ23には、ステアリングロックECU12の電源状態を管理する給電命令出力部32が設けられている。給電命令出力部32は、ステアリングロックECU12に電源供給を開始させる中間指令として電源供給命令Sdを出力する。電源供給命令Sdは、ロック時とアンロック時とで各々異なるポートから出力され、ロック動作時にはロック用電源供給命令ポート33からロック電源供給命令Sd1として出力され、アンロック動作時にはアンロック用電源供給命令ポート34からアンロック電源供給命令Sd2として出力される。これら電源供給命令Sd1,Sd2は、例えばHレベル信号(2値情報の「1」信号)により構築される。なお、給電命令出力部32が指令出力手段、電源供給管理手段を構成し、電源供給命令ポート33,34が指令ポートを構成する。
【0039】
統合ECU4のシフト位置検出用入力端子35には、車両1のシフトレバーの操作位置が駐車位置(P位置)であるか否かを検出するシフトPスイッチ(シフト駐車位置検出スイッチ)36が、じか線37を介して接続されている。なお、じか線とは、統合マイクロコンピュータ23等の電子部品が実装される基板上に設けられた配線(プリント配線)のことをいう。シフトPスイッチ36は、例えばマイクロスイッチからなり、統合ECU4の外部に配置されている。シフトPスイッチ36は、シフト位置がP位置のときにシフトP検出信号Spとしてオフ信号を出力し、シフト位置がP位置以外のときにシフトP検出信号Spとしてオフ信号を出力するローアクティブ式となっている。なお、シフトP検出信号が外部指令、シフト駐車位置信号を構成する。
【0040】
統合ECU4には、ステアリングロックECU12の3重系を確保する保護回路38が設けられている。この保護回路38は、電源供給命令ポート33,34及びシフト位置検出用入力端子35に接続され、これらから入力する電源供給命令Sd1,Sd2及びシフトP検出信号Spを基に電源供給要求Sdnを生成出力可能となっている。電源供給要求Sdnは、ステアリングロックECU12に電源供給を開始させる指令の一種である。保護回路38は、ステアリングロックECU12に電源供給要求Sdnを出力する条件にシフトP検出(シフトレバーの操作位置がP位置であること)を含んでいる。このため、保護回路38を経由する電源系(給電命令出力部32)の故障出力は、統合マイクロコンピュータ23の故障とシフトPスイッチ36の故障とが必要となり、単なる統合コントロールユニットの故障のみが誤出力の条件となる照合系(作動命令出力部24)とは系統が別のものとなる。これにより、照合系と電源系とイグニッションリレーオフ通知系とで故障の系統が各々独立するので、照合EUCと電源制御ECUとを統合して1つの統合ECU4としたとしても、ステアリングロックECU12の3重系が成立する。なお、保護回路38が指令生成手段に相当し、電源供給要求Sdnが動作指令(第2動作指令)を構成する。
【0041】
統合ECU4には、電源供給要求Sdnの出力端子として電源供給要求出力端子39が設けられている。この電源供給要求出力端子39は、例えば電源供給要求専用の電気配線40を介してステアリングロックECU12に接続されている。統合ECU4から出力される電源供給要求Sdnは、この電気配線40を介してステアリングロックECU12に供給される。
【0042】
図3に保護回路38の回路例を示すと、保護回路38は、2つのOR回路41,42、AND回路43、トランジスタ44により構成されている。OR回路41は、2入力端子のうちの一方がプルアップ抵抗45により引き上げられた状態でシフト位置検出用入力端子35に接続され、他方がOR回路42の出力端子に接続され、出力端子がAND回路43の2入力端子の一方に接続されている。AND回路43は、2入力端子の他方がロック用電源供給命令ポート33に接続され、出力端子がOR回路42の2入力端子の一方に接続されている。OR回路42は、2入力端子の他方がアンロック用電源供給命令ポート34に接続され、出力端子がトランジスタ44を介して電源供給要求出力端子39に接続されている。電源供給要求出力端子39は、プルアップ抵抗46により電圧が引き上げられ、電源供給要求Sdnをローアクティブ式に出力するようになっている。
【0043】
本例の保護回路38では、ロック動作時においてステアリングロックECU12に電源供給要求Sdnを出力する条件にシフトP位置の検出が含まれているので、統合ECU4からロック電源供給命令Sd1を受け付けても、シフト位置がP位置でないと電源供給要求Sdnを出力しない。また、電源供給命令Sd1,Sd2の出力ポートがロックとアンロックとで分けられ、アンロック電源供給命令Sd2をOR回路42に引き込むので、アンロック動作時においてはシフトP位置に拘わらず電源供給要求Sdnが出力可能となっている。
【0044】
次に、本例のステアリングロックの動作を図4及び図5に従って説明する。
まずは、ステアリングロックのロック動作について述べる。ところで、ステアリングロックをロックさせる際において統合ECU4が電源供給要求Sdnを出力する条件は、例えば、シフト位置がP位置であること、イグニッションがオフしていること、統合ECU4からロック作動命令が有ったことなどの諸条件が成立することが条件とされている。なお、イグニッションオフとは、単なるイグニッションリレー21のオフのみならず、スタータリレー22のオフも広く含むものとする。
【0045】
統合ECU4は、運転者が降車したことを例えばカーテシスイッチ等により確認すると、ステアリングロックのロック動作を開始する。このとき、まずは給電命令出力部32に電源が入る。そして、給電命令出力部32は、車内照合(ID照合)の確認要求を作動命令出力部24に出力する。作動命令出力部24は、車内照合が成立していることを確認すると、車内照合成立済みの確認結果を給電命令出力部32に返信するとともに、作動命令Ssdとしてロック作動命令を、作動命令出力端子26からLIN9を介してステアリングロックECU12に出力する。
【0046】
給電命令出力部32は、作動命令出力部24から車内照合成立済みの確認結果を受け付けると、前述した諸条件が揃っているか否かを確認する。給電命令出力部32は、これら諸条件が全て揃っていることを確認すると、ロック用電源供給命令ポート33からロック電源供給命令Sd1(Hレベル信号)を出力する。このロック電源供給命令Sd1が保護回路38に入力されると、シフトPスイッチ36がスイッチオンしていることを条件に、保護回路38から電源供給要求SdnがステアリングロックECU12に出力される。この電源供給要求SdnがステアリングロックECU12に入力されると、同ECU12において電源とステアリングロックモータ13とを繋げるFET(Field Effect Transistor:図示略)がオンし、ステアリングロックモータ13に電源が入る。
【0047】
また、イグニッションリレーオフ通知部27は、給電命令出力部32が立ち上がった際、これと同時に起動して、イグニッションリレー21のリレー状態を確認する。そして、イグニッションリレーオフ通知部27は、リレー確認が済むと、イグニッションリレー21がオフ状態をとっていれば、ホールドラッチ回路29を介してイグニッションリレーオフ通知SigをステアリングロックECU12に出力する状態をとる。
【0048】
ステアリングロックECU12は、作動命令出力部24からロック動作命令を受け付ける状況下において、イグニッションリレーオフ通知Sigを入力するとともに、給電命令出力部32から電源供給要求Sdnを入力すると、ステアリングロックモータ13への通電(ロック通電)を開始する。即ち、ステアリングロックECU12は、作動命令Ssdとしてのロック動作命令、イグニッションリレーオフ通知Sig、電源供給要求Sdnの3入力を条件に、ステアリングロックのロック動作を開始する。このとき、ステアリングロックECU12は、例えばステアリングロックモータ13を一方向に回転させて、ステアリングロックをロック状態に切り換える。
【0049】
作動命令出力部24は、ロック作動命令を出力している際、ロック動作が完了時間に到達したか否かを監視する。そして、作動命令出力部24は、ロック動作が完了時間に到達したことを確認すると、今度は作動命令Ssdとしてロック停止命令をステアリングロックECU12に出力する。ステアリングロックECU12は、統合ECU4からロック停止命令を入力すると、駆動中のステアリングロックモータ13を停止してロック動作を停止する。
【0050】
続いて、今度はステアリングロックのアンロック動作について述べる。統合ECU4は、車両停車時にエンジンスイッチ19が押し操作されたことを確認すると、ステアリングロックのアンロック動作を開始する。アンロック動作時も、まずは給電命令出力部32に電源が入る。そして、給電命令出力部32は、車内照合(ID照合)の確認要求を作動命令出力部24に出力する。作動命令出力部24は、車内照合が成立していることを確認すると、車内照合成立済みの確認結果を給電命令出力部32に返信するとともに、作動命令Ssdとしてアンロック作動命令を、作動命令出力端子26からLIN9を介してステアリングロックECU12に出力する。
【0051】
ところで、ステアリングロックをアンロックさせる際において統合ECU4が電源供給要求Sdnを出力する条件は、例えば、イグニッションオフであること、統合ECU4からアンロック作動命令が有ったことなどの諸条件が成立することが条件とされている。給電命令出力部32は、作動命令出力部24から車内照合成立済みの確認結果を受け付けると、前述した諸条件が全て揃っているか否かを確認する。給電命令出力部32は、これら諸条件が全て揃っていることを確認すると、アンロック用電源供給命令ポート34からアンロック電源供給命令Sd2(Hレベル信号)を出力する。このアンロック電源供給命令Sd2が保護回路38に入力されると、これはOR回路42に供給されるので、保護回路38から無条件に電源供給要求SdnがステアリングロックECU12に出力される。この電源供給要求SdnがステアリングロックECU12に入力されると、ロック動作時と同様にステアリングロックモータ13に電源が入る。
【0052】
ステアリングロックECU12は、作動命令出力部24からアンロック動作命令を受け付ける状況下において、イグニッションリレーオフ通知Sigを入力するとともに、給電命令出力部32から電源供給要求Sdnを入力すると、ステアリングロックモータ13への通電(アンロック通電)を開始する。即ち、ステアリングロックECU12は、作動命令Ssdとしてのアンロック動作命令、イグニッションリレーオフ通知Sig、電源供給要求Sdnの3入力を条件に、ステアリングロックのアンロック動作を開始する。このとき、ステアリングロックECU12は、例えばステアリングロックモータ13を他方向に回転させて、ステアリングロックをアンロック状態に切り換える。
【0053】
作動命令出力部24は、アンロック作動命令を出力している際、アンロック動作が完了時間に到達したか否かを監視する。そして、作動命令出力部24は、アンロック動作が完了時間に到達したことを確認すると、今度は作動命令Ssdとしてアンロック停止命令をステアリングロックECU12に出力する。ステアリングロックECU12は、統合ECU4からアンロック停止命令を入力すると、駆動中のステアリングロックモータ13を停止してアンロック動作を停止する。
【0054】
ここで、車両1の運転時において運転の安全性が高いか否かを見る観点として、例えば走行中のハンドルロックというものがある。走行中のハンドルロックとは、例えばステアリングロックECU12を管理する統合ECU4が故障して、統合ECU4から誤出力が出されて、走行中にも拘わらずステアリングロックがロック状態に切り換わってしまう現象のことである。走行中にこのようなハンドルロックが発生してしまうと、その時点からステアリングホイールの操舵操作ができなくなるので、運転の安全性を確保するという観点から、走行中のハンドルロックが発生する確率を極力低く抑えなければならない現状がある。
【0055】
ところで、本例の場合、照合ECUと電源制御ECUとを1つにまとめて統合ECU4としているが、電源供給要求Sdnの出力条件にシフトP検出を含ませる保護回路38を統合ECU4に組み込んだので、電源系の出力である電源供給要求Sdnは、照合系の出力である作動命令Ssdと別系統の出力となる。即ち、ECU統合化に伴って信号元が同じとなっても、統合マイクロコンピュータ23が故障して作動命令Ssdが誤出力の状態をとったからといって、電源供給要求Sdnまでもが誤出力される状況にはならない。よって、照合ECUと電源制御ECUを統合してマイクロコンピュータ23を1つとしても、図4に示すように走行中のハンドルロックが発生するには、作動命令Ssd、電源供給要求Sdn、イグニッションリレーオフ通知Sigの3出力が全て故障(誤出力)することが要件となる。このため、統合前と同じ3重系が成立するので、統合前と同じレベルのフェール性を確保することが可能となる。
【0056】
また、アンロック動作時は電源供給要求Sdnの出力条件にシフトP検出が条件に入っていないので、統合後もこれを満足する制御ロジックとしなければならない。そこで、本例の場合は、図5の説明書きでも示すように、電源供給命令ポート33,34をロック用とアンロック用との2ポートに分け、アンロック用電源供給命令ポート34からアンロック電源供給命令Sd2がきた場合には、電源供給要求Sdnを無条件で出力させる。このため、3重系を満たすべく電源供給要求Sdnの出力条件にシフトP検出を含ませても、制御ロジックを統合前と同様のものとすることも可能となる。
【0057】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)照合ECUと電源制御ECUとを1つの統合ECU4にまとめ、統合ECU4の電源供給要求Sdnの出力経路上に保護回路38を設ける。そして、作動命令Ssdはマイクロコンピュータ23から直出しするとともに、イグニッションリレーオフ通知Sigはホールドラッチ回路29を介して出力しつつ、電源供給要求SdnはシフトP検出の有無が条件の出力とした。このため、統合ECU4がステアリングロックECU12を制御するのに必要な作動命令Ssd、電源供給要求Sdn、イグニッションリレーオフ通知Sigが、各々異なる系統の出力となるので、統合後も統合前の3重系を同様に維持することができる。また、統合ECU4は1つのマイクロコンピュータ23からなるので、統合ECU4をコンピュータ23が1つという簡素な構成で済ますこともできる。
【0058】
(2)保護回路38を電源供給要求Sdnの出力経路上に設けたので、単なるH/L信号(H信号又はL信号)を出力する通信ライン上に保護回路38を乗せる構成が採用可能となる。よって、例えばLIN9のような高速で各種データをやり取りする信号ライン上に保護回路38を設けずに済むので、構造の複雑化を招くことがない。
【0059】
(3)電源供給命令Sdのポートをロック用とアンロック用との2ポートに分け、ロック動作のときはシフトP検出を電源供給要求Sdnの出力条件とし、アンロック動作のときは無条件に電源供給要求Sdnを出力可能とした。このため、統合前の制御ロジックを統合後も同様にとることができる。
【0060】
(4)電源供給要求Sdnの出力可否を見る条件としてシフトP検出信号Spを使用したので、統合ECU4に外部からじか線37により入力されているシフトP検出信号Spを利用して、電源供給要求Sdnの出力の可否判定を行うことができる。よって、電源供給要求Sdnの出力可否を判定するに際して例えば新たな信号線を引くなどの構造変更が不要であるので、構造の複雑化や部品コスト増等を招くことなく、3重系の維持を図ることができる。
【0061】
(5)統合対象を照合ECUと電源制御ECUとしたので、これらECUを1つの統合ECU4にまとめることができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0062】
・ 統合対象は、必ずしも照合ECUと電源制御ECUとであることに限定されず、その組み合わせは変更可能である。また、統合するECUの数も2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0063】
・ 保護回路38は、電源供給要求Sdnの出力経路上に設けられることに限定されず、作動命令Ssdの出力経路上に設けてもよい。
・ 保護回路38の回路構成は、実施形態に述べた構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0064】
・ ステアリングロックECU12の重系の数(統合前の重系数)は、必ずしも3重系に限定されず、2重系でもよいし、或いは4重系以上でもよい。即ち、統合前後で同じ重計数をとっていればよい。
【0065】
・ 電源供給命令Sdのポートは、ロック用とアンロック用とで2ポートに分けられる必要は必ずしもなく、ロックとアンロックとでポートが共通となっていてもよい。
・ 外部指令は、必ずしもシフトP検出信号Spに限定されず、他の信号を使用してもよい。
【0066】
・ 動作指令は、2値情報「0」「1」の組み合わせからなる命令(データ)や、又は単なるHレベル又はLレベル信号の通知のどちらでもよい。
・ 第1作動指令及び第2作動指令は、作動命令Ssdと電源供給要求Sdnとに限定されず、種々の信号が採用可能である。
【0067】
・ 3重系は、必ずしも作動命令Ssd、電源供給要求Sdn、イグニッションリレーオフ通知Sigであることに限定されず、種々のものに変更可能である。
・ トランジスタ44は、FET等の種々の素子が採用可能である。
【0068】
・ シフトP検出信号Spや電源供給要求Sdnは、ローアクティブに代えてハイアクティブとしてもよい。
・ コンピュータは、必ずしも1チップICからなるものに限定されず、要は少なくともCPUを備えたものであればよい。
【0069】
・ イグニッションリレーオフ通知Sigは、必ずしも統合ECU4から出力されることに限定されず、統合ECU4の外部から取得するものでもよい。
・ ステアリングロックの構成は、ロックバー14をステアリングシャフト15の溝16に系脱することでロック/アンロックを切り換えるものに限らず、ステアリングホイールの回動操作を規制可能であれば、その構造は特に限定されない。
【0070】
・ 電子キーシステム3は、必ずしもキー操作フリーシステムに限らず、例えばイモビライザーシステムやワイヤレスキーシステムとしてもよい。また、これらシステムを車両1に共存させてもよい。
【0071】
・ 電子キーシステム3の電波周波数は、LFやRFに限定されず、これら以外の周波数を採用してもよい。
・ キー操作フリーシステムは、双方向通信の往路と復路とでそれぞれ周波数が異なることに限らず、同じとしてもよい。
【0072】
・ キー操作フリーシステムは、車両1と電子キー2とが自動で通信を実行する自動式や、車両1に加わる何らかの操作でスマート通信を開始するトリガ式のどちらを採用してもよい。
【0073】
・ 本例の思想は、必ずしも車両1にのみ搭載されることに限定されず、他の機器や装置に応用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0074】
(イ)元々は別であった2つの機能を1つのコンピュータで管理することにより、各機能のコンピュータごとに存在していた2つのコントロールユニットを1つに統合した統合コントロールユニットであって、制御対象に対してこれまで別々のコンピュータから出力していた各動作指令を、前記1つのコンピュータから出力させる指令出力手段と、2つ存在する前記動作指令の出力経路のうちの一方に設けられ、当該出力経路から得る動作指令と前記コンピュータの外部から取得する外部指令とから、前記制御対象を制御する新たな動作指令を生成する指令生成手段とを備え、前記指令出力手段が前記制御対象に対して直に出す第1動作指令と、前記指令生成手段が新たな動作指令として生成する第2動作指令とにより前記制御対象を制御して、前記制御対象のフェールセーフ性を統合前と同じレベルで確保することを特徴とする統合コントロールユニット。
【符号の説明】
【0075】
1…機器としての車両、2…キーとしての電子キー、4…統合コントロールユニットとしての統合ECU、12…制御対象、ステアリングロックコントロールユニットを構成するステアリングロックECU、13…アクチュエータとしてのステアリングロックモータ、14…ロック部材としてのロックバー、15…支持部材としてのステアリングシャフト、23…コンピュータとしての統合マイクロコンピュータ、24…指令出力手段、動作管理手段を構成する作動命令出力部、32…指令出力手段、電源供給管理手段を構成する給電命令出力部、33…指令ポートを構成するロック用電源供給命令ポート、34…指令ポートを構成するアンロック用電源供給命令ポート、38…指令生成手段としての保護回路、Ssd…動作指令(第1動作指令)を構成する作動命令、Sdn…動作指令(第2動作指令)を構成する電源供給要求、Sp…外部指令、シフト駐車位置信号を構成するシフトP検出信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元々は別であった2つの機能を1つのコンピュータで管理することにより、各機能のコンピュータごとに存在していた2つのコントロールユニットを1つに統合した統合コントロールユニットのフェールセーフ回路であって、
制御対象に対してこれまで別々のコンピュータから出力していた各動作指令を、前記1つのコンピュータから出力させる指令出力手段と、
2つ存在する前記動作指令の出力経路のうちの一方に設けられ、当該出力経路から得る動作指令と前記コンピュータの外部から取得する外部指令とから、前記制御対象を制御する新たな動作指令を生成する指令生成手段とを備え、
前記指令出力手段が前記制御対象に対して直に出す第1動作指令と、前記指令生成手段が新たな動作指令として生成する第2動作指令とにより前記制御対象を制御して、当該制御対象のフェールセーフ性を統合前と同じレベルで確保することを特徴とする統合コントロールユニットのフェールセーフ回路。
【請求項2】
前記指令出力手段には、前記制御対象の動作内容を管理する動作管理手段と、前記制御対象への電源供給を管理する電源供給管理手段とが設けられ、
前記動作管理手段は、前記制御対象への作動命令を前記第1動作指令として出力し、
前記指令生成手段は、前記電源供給管理手段の出力経路上に設けられ、前記制御対象への電源供給要求を前記第2動作指令として出力することを特徴とする請求項1に記載の統合コントロールユニットのフェールセーフ回路。
【請求項3】
前記指令出力手段は、前記指令生成手段に前記動作指令を出力する指令ポートが、前記制御対象に施錠動作を行わせるものと解錠動作を行わせるものとで、それぞれ別ポートとして分けられ、
前記指令生成手段は、前記施錠動作側の指令ポートから前記動作指令を受け付けると、前記外部指令を加味して前記第2動作指令を出力し、前記解錠動作側の指令ポートから前記動作指令を受け付けると、無条件で前記第2動作指令を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の統合コントロールユニットのフェールセーフ回路。
【請求項4】
前記外部指令は、前記制御対象が搭載された車両において、当該車両のシフトレバーの操作位置が駐車位置であることを通知するシフト駐車位置信号であることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の統合コントロールユニットのフェールセーフ回路。
【請求項5】
1つに統合された前記コントロールユニットは、前記制御対象を搭載した機器のキーから無線によりIDコードを取得して、該IDコードの正否を見る照合コントロールユニットと、前記制御対象の電源を管理する電源コントロールユニットとであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の統合コントロールユニットのフェールセーフ回路。
【請求項6】
CPUやメモリからなるステアリングロックコントロールユニットにより動作が管理され、当該コントロールユニットによってアクチュエータを介してロック部材をステアリングホイール又はその支持部材に係脱することにより、ステアリングロックを施解錠する電動ステアリングロック装置において、
前記ステアリングロックコントロールユニットに対して各種動作指令を出力する2つのコンピュータを1つとすることにより、2つのコントロールユニットが1つの統合コントロールユニットとして統合された構成であって、
前記統合コントロールユニットのコンピュータから前記ステアリングロックコントロールユニットに対して各動作指令を出力させる指令出力手段と、
2つ存在する前記動作指令の出力経路のうちの一方に設けられ、当該出力経路から得る動作指令と前記コンピュータの外部から取得する外部指令とから、前記ステアリングロックコントロールユニットを制御する新たな動作指令を生成する指令生成手段とを備え、
前記指令出力手段が前記ステアリングロックコントロールユニットに対して直に出す第1動作指令と、前記指令生成手段が新たな動作指令として生成する第2動作指令とにより前記ステアリングロックコントロールユニットを制御して、当該ステアリングロックコントロールユニットのフェールセーフ性を統合前と同じレベルで確保することを特徴とする電動ステアリングロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−264836(P2010−264836A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116815(P2009−116815)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】