説明

統合到達時間測定を用いた迅速磁気バイオセンサ

本発明は、流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定めるための方法、装置およびシステムに関し、検知表面は、少なくとも一種類の結合部位を有し、該結合部位は、前記磁性ラベルに接続された少なくとも一種類の生物学的存在物を特異付着することができ、当該検出装置は、さらに少なくとも一つの磁気検出素子を有し、当該検出装置は、さらに前記結合部位に付着した前記磁性ラベルの濃度を定める第1の手段と、前記流体の到達時間を定める第2の手段とを有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定める検出装置およびシステムに関し、そのシステムは前記検出装置を有する。さらに本発明は、前記検出装置を用いて、流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
診断の分野、特に、生体内および生体外の双方の用途における医療および食物の診断のような生物医学的な診断において、バイオセンサまたはバイオチップを使用することが知られている。これらのバイオセンサまたはバイオチップは、通常、バイオチップの微細配列の形態で使用され、この配列は、例えばDNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)、タンパク質、または例えばホルモンもしくは薬物などの小分子のような生物学的存在物を分析することができる。近年、少量の生物学的存在物、または生物学的存在物の生物学的分子もしくは小部分の分析に使用される、多くの種類の分析法があり、例えば結合分析、競合分析、置換分析、サンドイッチ分析または拡散分析などの方式がある。バックグラウンド材料の濃度が高い(例えばmmol/l)上、流体サンプル中の被検出対象分子が低濃度である(例えばpmol/l以下)ことによる、生物化学的な評価の難しさがある。対象物は、ペプチド、ホルモン、代謝体、タンパク質、核酸、ステロイド、酵素、抗原、ハプテンまたは薬物のような生物学的存在物であり得る。バックグラウンド材料またはマトリクスは、尿、血液、血清、唾液、または人の他のもしくは人以外からの液体であり得る。対象に付着されるラベルは、対象の検出限界を向上する。ラベルの例は、光学ラベル、着色ラベル、発光化学反応基、酵素、光学式バーコードもしくは磁性ラベルである。
【0003】
通常、バイオセンサには、捕獲分子を備える特定の結合部位2を有する検知表面1が用いられる。これらの捕獲分子は、流体中に存在する他の分子または分子錯体と特異結合することができる。他の捕獲分子3およびラベル4は、検出を容易にする。これは、図1に示されている。図には、バイオセンサ検知表面1が示されており、この表面には、捕獲分子が結合され、例えば、対象分子6または対象物6のような他の生物学的存在物に対する結合部位2が提供される。溶液5には、対象6およびラベル4が存在しており、これらには、別の捕獲分子3が結合される。対象6およびラベル4は、以降、「特異付着」と称する特定の方法で、バイオセンサの検知表面1の結合部位2に結合される。ただし、以降「非特異付着」と称する他の結合構造も可能である。図2a、2b、2c、3.1a、3.1b、3.2a、3.2b、3.2c、3.3には、バイオセンサの検知表面1に対するラベル4の想定される結合構造のいくつかの例が示されている。図2aおよび2bは、いわゆるタイプ1の結合構造を表しており、これにより、所望の生物学的特異付着が可能となる。図2aにおいて、所望の生物学的付着は、バイオセンサ検知表面1上の結合部位2と、ラベル4上にある捕獲分子3との間に挟まれた対象分子6の状態で示されている(サンドイッチ分析方式)。図2bでは、競合分析方式のバイオセンサの例が示されており、この場合、検知表面1上に設けられた結合部位2には、(ラベル4を備える捕獲分子3を結合部位2に付着させることにより)ラベル4と対象物6の両方を付着させることができる。対象物6は、少なくとも部分的に、結合部位2に関して、捕獲分子3と同様の形態および/または挙動を有し、捕獲分子3(すなわちラベル4)と対象物6の間で、結合部位2の競合が生じる。図2cでは、妨害分析方式のバイオセンサの例が示されており、この場合、結合部位2は、対象物6と生物学的に同様であり、ラベル4は、対象物6あるいは結合部位2のいずれかと結合し得る、捕獲分子3(または通常、生物学的存在物)に結合される。理想的には、ラベル4に(捕獲分子3を介して)結合された対象物6は、もはや結合表面2に結合されることはない。
【0004】
この検知表面1への生物学的付着に対抗して、ラベル4もまた、非特異的に検知表面1に付着することができ、すなわち、特定の対象分子6を介在させずに、表面1に結合することができる。図3.1a、3.1b、3.2a、3.2b、3.3には、そのような非特異付着が示されており、図2.2aおよび2.2bには、いわゆるタイプ2の結合構造の例が示され、この場合、ラベル4に結合された捕獲分子3とバイオセンサ検知表面1の間、および/またはラベル4と結合された捕獲分子3とバイオセンサ検知表面1に結合された結合部位2の間には、単一の非特異結合が存在する。通常、そのような単一の非特異結合のみによるタイプ2の結合は、弱く、洗浄または磁力の利用など、激しい処理で除去され得る。また、図3.2a、3.2b、3.2cに示すように、一方のラベル4(またはラベル4に結合された捕獲分子3)と、他方のバイオセンサ検知表面1および/または結合部位2の間の、大きな領域にわたる多数の非特異結合を介した、検知表面1および/または結合部位2への、いわゆるタイプ3の結合構造も可能である。タイプ3の構造では、通常、タイプ1の結合よりも強い結合力が得られる。図3.3には、タイプ1の変形形態を示す。この場合、ラベル4は、特異結合および非特異結合により、バイオセンサ検知表面1に結合される。
【0005】
迅速評価の際、例えば、交通安全のため、沿道で窓越しに唾液中の乱用薬物を評価する場合は、基本的に日々使用され、十分にロバスト性を有する評価機器を提供すること、および、十分に迅速かつ正確に結果が得られる評価方法を提供することが重要となる。そのような評価法は、いくつかの形式で実施することができ、例えば、競合または妨害検知方式で実施される。図4には、2つの異なる評価サンプルについての、対象依存センサ信号S1およびS2の長時間進行度が示されており、信号S1は、高い対象6濃度に対応し、信号S2は、低い対象6濃度に対応する。S2とS1の差は、評価サンプル中の対象分子の濃度が低いほど、捕獲分子3に付着され、検知表面1の結合部位2に結合されるラベル4の可能性が高まることによる。
【0006】
国際特許出願第WO03/054566A1号には、流体中の磁性粒子の密度を定める磁気抵抗検出装置が開示されている。この磁気抵抗検出装置またはバイオチップは、流体を支持する層構造を持つ基板を有する。この層構造は、第1のレベルの第1の表面エリアと、第2のレベルの第2の表面エリアと、流体中の少なくとも一つの磁気ポールの磁界を検出する磁気抵抗検出素子と、を有する。磁気抵抗素子は、前記第1および第2の表面エリアの間の遷移部分近傍に配置され、少なくとも一つの表面エリアと面する。そのような装置を用いることにより、流体中のラベル4の濃度を定めることが可能となる。
【特許文献1】国際公開第WO03/054566A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、十分に迅速かつ高精度な方法で、流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定めることが可能な、検出装置、システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明による検出装置、システムおよび方法によって達成される。
【0009】
本発明の第1の態様では、検出装置は、流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定めるように提供される。この検出装置は、少なくとも一つの検知表面を有し、該検知表面は、少なくとも一種類の結合部位を有し、この結合部位は、磁性ラベルに接続された少なくとも一種類の生物学的存在物を特異付着することができる。さらに当該検出装置は、少なくとも一つの磁気検出素子を有し、さらに当該検出装置は、前記結合部位に付着した前記磁性ラベルの濃度を定める第1の手段と、前記流体の到達時間を定める第2の手段とを有する。
【0010】
本発明による装置の利点は、これが、従来のものに比べてより正確かつより高精度に、磁気バイオセンサ上の生物学的分析の際に、対象分子の濃度を定めることができることである。これは驚くべきことであり、本発明による検出装置を用いて、流体の到達時間を正確に定めるとともに、検知表面で結合過程が生じる時間の間に、ラベル濃度を正確に定めることにより、検出限界および特異性が向上し、さらには結果が得られるまでの時間を短縮することができることは、当業者に予測することはできない。
【0011】
評価に必要な観点、例えば交通安全のための、例えば沿道での窓越しの薬物乱用の唾液測定の観点からは、結果が得られるまでの時間を最小限に抑え、迅速な測定を行うことが重要である。結果が得られるまでの時間は、約1分、または好ましくは、約10秒にすることが好ましい。結果が得られるまでの時間は、いくつかの方法で短縮することができ、例えば、サンプリング時間の短縮、使い捨てカートリッジの内部での生物学的過程の速度の向上、または分析の変動抑制およびデータ精度の向上により、短縮化することができる。サンプリング時間の短縮は、例えば、サンプル容積をより少なくすることにより可能となる。センサ内部での生物学的処理の速度の向上は、例えば、大きな接近速度を有する生物学的捕獲分子を用いることにより行うことができる。分析における振動の抑制およびデータ精度の向上は、例えば、分析制御の向上、測定データの向上、分析法の理解の改善、および例えば薬物またはタンパク質の濃度のような、所望のパラメータの抽出用に改良されたアルゴリズムにより行うことができる。
【0012】
これらの要望を満たすため、特に極めて短い測定時間tmでの、対象濃度のできる限り迅速で正確な抽出のため、本発明では、検出装置によって得られるデータの信頼性、特に、検出装置の検知表面への流体の到達時間twの近傍におけるデータの信頼性を高めることが提案される。
【0013】
従って、本発明では、検出装置において、第1および第2の手段を統合することが提案される。第1の手段は、サンプル中の対象分子の濃度に対して極めて高感度である。第2の手段は、検知表面上の流体の存在に対して極めて高感度であり、さらに第2の手段は、サンプル中の対象濃度に対して実質的に感度を有さない。
【0014】
本発明のある実施例では、第1および第2の手段は、検出装置上に同一構造で与えられ、例えば、検知表面上の流体中の磁性ラベルに、結果的に磁場を提供する2次元配線構造である。この実施例では、対象濃度と液体の到達時間の両方の正確な測定が可能となるように、構造を制御することができる。これは、検知表面上のラベルの対象濃度と、流体のバルクでのラベル濃度の測定結果を用いた到達時間とを、同時にあるいは連続的に測定することにより可能となる。
【0015】
通常、検出装置は、検知表面に特異付着したラベル(前述のタイプ1の結合)、および特異付着していないラベルであって、検知表面の近傍にあるラベルに感度を有する。この第2の代替例は、タイプ2の方法で検知表面に結合するラベル、または検知表面には付着しないが、表面近傍に位置するラベルにより実現できる。本発明では、第1の手段は、これらの異なる磁性ラベル濃度を独立に測定することができ、例えば、特異付着したラベルと非特異付着したラベルの回転および/または並進の動きの差異を通じて、特異付着した磁性ラベルと他のラベルとが識別される。例えば、磁場を印加して、易動度に依存する信号を定めることが可能である。そのような磁場は、例えば、電流線または磁石により、変調することも可能であり、磁性ラベルを検知表面の方に引き寄せたり、磁性ラベルを検知表面から遠ざけたり、磁性ラベルを検知表面上で移動させたりすることができる。磁性ラベルの異なる位置における磁気検出素子の信号の比較によって、被測定溶液中に存在する、検知表面近傍の移動可能な磁性ラベルの数を定めることができる。本発明では、第1の手段をそのように提供し、あるいは第1の手段を、異なる磁性ラベル濃度の時間分解測定が可能となるように制御することが好ましい。ここで、「時間分解」という用語は、測定インターバルの間に、第1の手段の対象依存信号Sの集合をモニターまたは測定することが可能なことを意味する。また本発明の代替例では、測定時間の終わりにおいてのみ、第1の手段の対象依存信号Sを測定することも可能である。
【0016】
本発明では、検知表面近傍での磁性ラベル濃度の測定、すなわちサンプル中の対象濃度の測定に加えて、検出装置において、検知表面上の流体の有無を測定する可能性が提案される。
【0017】
本発明の好適実施例では、第2の手段は、容量性の検出手段である。そのような容量性の検出手段は、例えば、検出装置内のキャパシタ的な構造によって実現できる。センサ上部の流体によって、センサ上の媒体の誘電率が変化し、これにより、例えば2本のワイヤまたは2つのキャパシタ板のような形態の、容量性結合を有する2つの導電体による正確な測定が可能になる。
【0018】
本発明の別の好適実施例では、第2の手段は、熱検出手段である。流体の存在により、熱状態(温度、熱伝導性)が変化するため、例えば検出装置上の温度依存抵抗器によって、これを測定することができる。
【0019】
本発明のさらに別の好適実施例では、第2の手段は、磁気検出手段である。例えば磁性ラベル、または流体のバルクに分散された他の磁性材料のような磁性粒子の存在により、磁気信号を発生させることができる。そのような信号は、流体中の対象濃度の特定には利用されない。液体のバルク中の全ラベル濃度は、対象濃度とは独立にサンプルに提供された試薬によって得られるためである。流体のバルク中の磁性粒子またはラベルは、例えば静的もしくは動的な磁気モーメントを介して、または磁場印加状態での並進もしくは回転の移動を通じて、検出することができる。第2の手段が磁気検出手段である、本発明の好適実施例では、検出装置の構造上に磁場発生手段が提供されても良い。これらの磁場発生手段は、例えば、電流線または二次元ワイヤ構造であっても良い。磁場発生手段は、回転磁場を発生しても良い。別の実施例では、磁場発生手段は、一軸方向または一次元方向の磁場を発生しても良く、例えばパルス状の一軸磁場または正弦波状の変調磁場であっても良い。第2の手段が磁気検出手段である場合、検知表面上の液体のバルク中の磁性ラベル、または検知表面の結合部位に結合された磁性ラベルの、異なる移動もしくは回転の自由度は、これらの異なるラベル濃度に関係する。
【0020】
本発明の別の好適実施例では、検出装置の第1の手段は、2つの磁場発生手段を有し、これらは、一つの磁気検出素子の各側、すなわち左右または上下に設置される。あるいは、検出素子は、例えば平行電流シートのような2本の電流線の間に設置される。本発明のこの種の実施例の利点は、検出素子の位置において、2つの磁場が相互に打ち消し合う場合、磁気検出素子が部分的にまたは完全に、2つの磁場発生手段の磁場に対して感度を有さなくなることである。従って、磁気検出素子は、検知表面上または検知表面近傍の、磁性ラベルの存在に起因する磁場のみを検知する。検出素子で検知できる正味の磁場が、2つの磁場発生手段によって相殺されるような空間に、磁気検出素子を設置することにより、想定される検出素子の飽和を回避することができる。
【0021】
本発明の別の好適実施例では、磁場発生手段は、検出装置上に設置された二次元配線構造である。
【0022】
検出装置の全ての実施例において、磁気検出素子は、AMR、GMRまたはTMR検出素子の一つであっても良い。当然のことながら、本発明では、ホール(Hall)検出素子またはSQUIDのような、他の原理に基づいた磁気検出素子も使用可能である。
【0023】
以下、主として、磁気ビーズまたはビーズとも呼ばれる磁性ラベルを参照して、本発明を説明する。磁性ラベルは、必ずしも球状である必要はなく、適当な形状であっても良い。例えば球、円筒、棒、四角柱、楕円などであっても良く、あるいは特定のまたは一定の形状を有さなくても良い。「磁性ラベル」という用語において、ラベルは、例えば磁気、反磁性、常磁性、超常磁性、フェロ磁性のような、一つの磁気粒子または複数の磁気粒子のいかなる適当な形態も含み、これらにおいて、磁場に永久にもしくは一時的に、磁気ポールを発生する磁力は、いかなる形態であっても良いことを理解する必要がある。本発明の実施の際、磁性ラベルの形状は限定されないが、現状では、球状のラベルが最も容易であり、安価で、信頼性のある方法で製作できる。磁性ラベルの寸法は、本発明を限定する要因とはならない。ただし、バイオセンサとの相互作用を検出する場合、小さな寸法の磁性ラベルが有意である。マイクロメートルの寸法の磁気ビーズを、磁性ラベルとして使用しても良く、これらは、小さなものに限られる。各ラベルは、少なくとも1μm2の面積を占めるためである。また、小さな磁性ラベルは、良好な拡散特性を有し、通常の場合、大きな磁気ビーズに比べて沈殿しにくい傾向を示す。本発明では、1から3000nmの間の範囲の寸法の磁性ラベルが使用され、5から500nmの間であることが好ましい。
【0024】
本発明の本願の記載および請求項において、「生物学的存在物」という用語は、広く解釈する必要がある。この用語は、タンパク質、ペプチド、RNA、DNA、脂質、リン脂質、砂糖のような糖質等の生物活性分子を含む。また「生物学的存在物」という用語は、細胞膜の一部のような細胞断片、特に受容体を含む細胞膜の一部を含んでも良い。また生物学的存在物という用語は、生物学的存在物と結合される可能性のある微小化合物に関する。例えば、ホルモン、薬物、リガンド、拮抗薬、インヒビターおよび変調器である。また生物学的存在物は、孤立または合成分子であっても良い。合成分子は、改質アミノ酸またはヌクレオチドのような非自然発生的な化合物を含む。また、生物学的存在物は、血液、血清、唾液、もしくは他の体内流体もしくは分泌物のような媒体または流体中、あるいは、食物、水サンプル等のような生物学的存在物を有する他のいかなるサンプル中で生じても良い。
【0025】
また、本発明は、流体中の、少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定めるシステムを含み、当該システムは、前述の実施例のいずれかによる検出装置を有する。当該システムは、検出装置の他、サンプリング用、サンプル前処理用、検知表面の濡れ性調整用の、パッケージ、チャンバ、チャネルまたは管などの、適当な機械的環境を有する。さらに当該システムは、検出装置の他、電源、データ収集手段、解析手段および出力手段のような、適当な電気的および/または電子的環境を有する。
【0026】
また、本発明は、前述の検出装置の実施例のいずれかによる検出装置を用いて、流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定めるための方法であって、
磁性ラベルを有する流体を、前記検知表面上に提供するステップと、
前記流体の到達時間を定めるステップと、
前記結合部位に付着された前記磁性ラベルの濃度を定めるステップと、
を有する方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明のこれらのおよび他の特徴、利点は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかであろう。添付図面は、本発明の原理を示すための一例である。説明は、単なる一例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。添付図面には、以下に示す参照図が参照される。
【0028】
ある図面を参照して、特定の実施例について本発明を説明する。ただし、本発明は、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。図面は、概略的なものであり、本発明を限定するものではない。図面において、いくつかの素子の寸法は、誇張して示されており、図は、説明用に過ぎず、スケールは示されていない。
【0029】
例えば「a」、「an」および「the」のような、単一の物を参照する際に使用される不定冠詞または定冠詞が使用された場合、これは、特に指定がない限り、複数の物を含む。
【0030】
また、明細書ならびに特許請求の範囲における第1、第2、および第3等の用語は、同様の素子を識別するために使用され、必ずしも一連の順番または時間順に記載されてはいない。使用用語は、適切な条件下で置換可能であり、ここに示された本発明の実施例は、ここに示されていない他の順番でも作動することができることを理解する必要がある。
【0031】
また、明細書ならびに特許請求の範囲における上部、底部、上、下等の用語は、描写的に使用されており、必ずしも相対的な位置を示していない。使用用語は、適切な条件下で置換可能であり、ここに示された本発明の実施例は、ここに示されていない他の配向でも作動することができることを理解する必要がある。
【0032】
本発明の明細書ならびに特許請求の範囲に使用される「有する」という用語は、以降に記載の手段に限定されると解してはならず、他の素子またはステップを排斥するものではないことに留意する必要がある。従って、「手段AおよびBを有する装置」という表現の範囲は、部材AおよびBのみからなる装置に限定されるものではないことに留意する必要がある。これは、本発明において、装置の関連部材は、AおよびBであることを意味する。
【0033】
図1乃至3は、背景の説明のところで既に示したものである。
【0034】
図4には、2つの異なる試験サンプルにおける、対象依存センサ信号S1およびS2の時間が示されている。信号強度は、対象濃度に依存し、分析の種類に依存する。競合タイプまたは抑制タイプの分析の例では、信号S1は、高対象濃度に対応し、信号S2は、低対象濃度に対応する。サンドイッチ分析、抗複合分析、またはブロック剤を有する選択抗体分析の例では、反転され、すなわち信号S1は、S2よりも低い対象濃度に対応する。測定時間に対応する時間インターバルtmを超えると、十分な精度で対象濃度を測定することが可能となる。図4において、いくつかの小さな丸は、検出装置によって実際に得られた測定結果を示している。時間インターバルtmは、検出装置の結果が得られるまでの時間に対応する。測定時間インターバルの開始点は、検知表面への流体、特に液体の到達時間twである。本発明では、時間twは、第2の手段により高精度に測定される。図では、信号と時間の関係がほぼ直線となる挙動の一例が示されていることに留意する必要がある。ある場合には、例えば生物学的層の活性時間、または検知表面に向かうビーズの拡散時間もしくはドリフト時間のため、信号は、より複雑であり、例えばより高次の多項式となる。
【0035】
磁気バイオセンサでは、表面に特異結合されたビーズ(またはラベル)の濃度測定は、非結合または非特異結合ビーズ(またはラベル)の存在により摂動する。従って、ラベル濃度を介した対象濃度の測定の際に、信頼できるデータ点は、非結合および非特異結合のビーズが表面から除去された際に得られる。
【0036】
従って、以下の手順またはサイクルが繰り返される:
−ビーズを表面の方に引き寄せるステップ;これにより、結合が生じる。
−次に、ビーズは、表面から引き離される。表面への特異結合ビーズと、非特異結合または非結合ビーズとを区別するためである。
−この磁気「洗浄」ステップの後、実際の信号測定が可能となる。
【0037】
図9には、時間の関数としての予想される表面検知信号が示されており、どのように表面結合曲線の勾配を得ることができるかが示されている。本発明の範囲では、表面検知信号は、対象依存センサ信号S(または図4に示したS1、S2)の生の信号とも呼ばれる。前述の手順およびサイクルを用いて、破線で示す信号の勾配が定められる。破線によって示された信号は、対象依存センサ信号Sと等しい。従って、この信号の測定された勾配により、流体サンプル中の対象濃度を決定することができる。前述の手順またはサイクルは、図9にも示されており、この図において、参照符号210は、表面にラベルを引き寄せるステップを表し、参照符号220は、表面からラベルを引き離すステップを表す。参照符号230は、信号サンプルインターバル、または図4の小さな丸の「単一の測定」事象を表す。測定時間tm(図4参照)の間、ある数のそのようなサンプルインターバルが収集される必要がある。
【0038】
曲線の勾配は、ラベルの検知表面への結合速度に比例する。測定時間tmの間の信号の平均勾配dS/dtは、信号S(tmの終わり)を測定時間tmで除することで与えられる。対象濃度は、結合速度に関連し、これは分析法に依存する。信号が高信号対ノイズ比で記録される場合、対象濃度は、極めて高精度に定められる。磁気抵抗バイオセンサによる検出の場合、高電流により高信号対ノイズ比が得られる。高電流により、生物材料に熱または不可逆な変化が生じる。しかしながら、分析の終点で信号が測定される場合、生物材料の熱および変化は、重要ではない。換言すれば、終点の信号は、極めて高い信号対ノイズ比で測定することができ、これにより、対象濃度の決定精度が向上する。
【0039】
図5には、第2の手段12の出力信号Aの図を示す。時間twでは、出力信号はA、大きく変化し、好ましくは検出装置の基板に一体化されている電子回路により、濡れ時間とも呼ばれる、検知表面に対する流体の到達時間twを正確に推測することができる。
【0040】
図6には、システム35および検出装置10が示されている。本発明では、例えばバイオセンサまたはバイオチップのような検出装置10が得られ、これは、バイオセンサ分析への使用、すなわち単一の基板材料上に配置された複数のバイオセンサに、特に適している。センサまたはチップは、いかなる適当な機械的担体であっても良く、例えばガラス、プラスチック、シリコン、もしくはこれらの組み合わせのような有機または無機材料であっても良い。検出装置10は、本発明によるシステム35の一部である。本発明の検出装置10の好適な適用では、検出装置10は、交通安全のため、沿道での窓越しの唾液中の乱用薬物の試験用の試験キットに使用される。この装置は、例えば、競合分析タイプの方式である(図2b)。検出装置10は、検知表面1を有し、この表面には、結合部位2が配置される。結合部位2では、捕獲分子3および対象物6との特異結合が可能である。対象物6は、生物学的存在物(例えば中毒薬物)であり、捕獲分子3は、ラベル4に結合された対象のような分子である。存在物3および6は、いずれも部位2に結合し、このため、これは、競合分析方式と呼ばれる。また装置は、抑制分析タイプの方式を備えるが(図2c参照)、簡単のため、ここでは競合分析の場合についてのみ説明する。検出装置10は、基板20を有する。検出装置10は、第1の手段13に統合された、磁場発生手段を有することが好ましいが、これは必須ではない。本発明のシステム35では、少なくとも、検出装置10の基板20に磁場発生手段が設けられない場合、通常、検出装置10の外部に磁場発生装置40が設けられる。図5には、システム35の実施例が示されており、このシステム35は、検出装置10の基板20上に配置された内部磁場発生手段と、検出装置10の外部の磁場発生手段40の両方を有する。さらにシステム35は、ハウジング21を有し、このハウジングは、少なくともチャネル22またはチャンバ22等を形成し、特に、ラベル4に結合された対象のような捕獲分子3を有する液体のような流体5用の、十分な空間を提供する。また、流体5は、対象物6を有する。
【0041】
別の好適実施例では、図6の装置は、抑制分析方式である(図2c参照)。この場合、結合部位2は、検知表面1に結合された対象等の分子である。対象物6は、乱用薬物等の生物学的存在物であり、捕獲分子3は、生物学的存在物であり(例えば、抗対象抗体)、これは、対象物6および対象等の結合部位2に特異結合することができる。これは、抑制分析方式と呼ばれる。対象物6のラベル4への結合によって、対象等の結合部位2に対するラベル4の結合が、部分的に、または完全に抑制されるからである。
【0042】
前述の2つの例から明らかなように、この装置は、異なる分析方式のカテゴリーを有し、例えば競合、抑制、置換、サンドイッチ分析方式を有する。従来から明らかなように、生物学種および化学種(例えば、対象物、対象等の分子、ラベル、結合部位)は、一度に、または連続的にもたらされる。速度を高めるため、試薬を一度に合わせることが有意である。後者の場合、生物学的過程の処理速度および実際の手順は、例えば、拡散速度および結合速度に依存する。
【0043】
検出装置10の好適実施例では、基板20に電子回路30が設けられる。電子回路30は、基板20に配置された磁気検出素子11によって、収集されあるいは測定されたデータまたは信号を収集するために設けられる。また本発明の好適実施例では、電子回路30は、基板20の外側に配置されても良い。また電子回路30は、第2の手段12によって形成されまたは誘導された出力信号Aを処理し、これは、図6では、矢印12のみで示されている。
【0044】
第1の手段13の一例としての磁場発生手段は、例えば、磁性材料(回転または非回転)および/または例えば電流線のような導体であっても良い。これらの実施例のうち、磁場発生手段は、電流線で形成されることが好ましい。ラベル4の回転移動および/または並進移動の検出は、磁気的に行うことが好ましい。磁気検出は、統合磁気検出素子11を用いて行うことが好ましい。検出素子11には、様々な種類、例えばホールセンサ、磁気インピーダンス、SQUID、またはいかなる好適な磁気センサも使用できる。磁気検出素子11は、磁気抵抗素子として提供されることが好ましく、例えば、FMR、TMRまたはAMR検出素子11である。回転磁場発生手段は、電流線、および検出装置10の基板20に統合された電流発生手段によって得られる。磁気検出素子11は、例えば、長い(細長い)ストリップ状であっても良い。この場合、統合電流線への電流の通電により、磁性ラベル4に回転磁場が印加される。電流線は、これらから磁性ラベル4が存在する空間に、磁場を発生するように配置されることが好ましい。
【0045】
図7には、想定される異なる第2の手段12を有する検出装置10の概略図を示す。検出装置10上または検出装置10内には、検知表面1および検出素子11が設けられる。単純化のため、第1の手段は、図7には示されておらず、第2の手段12の3つの異なる実施例121、122、123のみが示されている。第1の実施例では、第2の手段12は、容量性の検出手段121として与えられている。第2の実施例では、第2の手段12は、熱検出手段122として与えられている。第3の実施例では、第2の手段12は、磁気検出手段123として与えられている。本発明の別の実施例では、検出装置10は、容量性の検出手段121および/または熱検出手段122および/または磁気検出手段123の2もしくは3以上の構造で、第2の手段を有しても良い。
【0046】
容量性の検出手段121は、検知表面1の上部または検知表面1の近傍の、例えばキャパシタ板またはワイヤのような、2つの電極により提供される。キャパシタ板は、検知表面1またはその近傍に、金属化領域として提供することができる。あるいは、キャパシタ板は、シリコン、ポリシリコン、または他の適当な材料などの半導体材料の領域の形態で提供することもできる。キャパシタ板は、基板20の面と実質的に平行に配置することができ、これは、基板20の面に対して直角の方向に、実質的に相互に対向して配置される。これは、重要なサンプル容積が被覆され、または到達時間twの測定が考慮される点で、有意である。あるいは、キャパシタ板は、基板20の面と平行な方向に、実質的に相互に対向するように配置されても良い。これは、検知表面1と実質的に同一面内に、キャパシタ板が製作できるという利点を有し、これにより、検出装置10の製作工程の複雑性が緩和される。
【0047】
熱検出手段122は、温度センサとして機能する電気インピーダンスの形態で提供され得る。半導体装置上にまたは他の基板上に、抵抗性の材料であって、電気伝導度に関して、比較的大きな温度係数を示す材料の層を提供することは、一般に知られている。そのような材料には、白金、アルミニウム、銅、金のような金属、合金、またはアモルファスもしくは多結晶半導体のような他の材料が含まれる。あるいは、誘電体材料を用いて、温度と
誘電特性の変化を測定しても良い。熱検出手段122は、本発明により具現化され、例えば蛇行状構造内のまたは検出装置の基板20上の、例えば電気インピーダンスを有する材料の構造化層として具現化される。
【0048】
容量性の検出手段121および熱検出手段122の双方の場合、検知表面1の先後に、または検知表面1の始まりの端部に、検出装置に導入される流体の流れ方向に、検出手段121、122の少なくとも2つの構造を提供することが可能である。これにより、より高精度に、時間twを測定することが可能となる。この場合、流体が検出装置に低速度で到達しても、容量性のおよび/または熱検出手段121、122の2つの構造によって生じまたは誘導される信号から、検知表面1の位置、すなわち生物学的過程が生じる位置の流体の実際の到達時間を正確に予測し、推定することができるからである。
【0049】
磁気検知手段123は、基板20内のまたは基板20上のワイヤ構造の形態で提供することができ、磁性ラベル4のバルク濃度が得られやすい位置に磁場を発生する。第1の手段13が磁場発生手段を有する場合、磁気検出手段123は、第1の手段13と統合することができる。あるいは、磁気検出手段123は、第1の手段13から分離することもできる。例えば、本発明では、磁気検出手段123は、磁場発生手段(第1の手段の磁場発生手段と統合し、または分離している)の他、検出素子11とは別の検出素子であって、本発明の検出装置10に統合された検出素子を有することも可能である。これの設置により、別の検出素子を用いて、到達時間twと対象依存信号Sとを独立におよび同時に測定することが可能となる。また本発明の別の実施例では、両方の測定は、同一の一つのまたは複数の検出素子で実施することもできる。同一の電気素子を用いて、例えば、時間変調電流または電圧を使用して、異なる信号を抽出することも可能である。磁気センサが、周波数f1で電気的に励起され、隣接する電流線が周波数f2励起されると、f1および f2での信号は、容量性結合に寄与するが、f1±f2での信号は、例えば磁性粒子の存在のため、磁気クロストークに関連する。
【0050】
図8には、本発明の別の実施例による検出装置10の概略図を示す。基板20には、検知表面1および磁気検出素子11が設置される。また、検出素子10の基板20には、第1の磁場発生手段131および第2の磁場発生手段132が配置され、相互に磁場130を発生する。図8からわかるように、磁気検出素子11の位置では、第1および第2の磁場発生手段131、132によって形成される磁場の成分は、少なくとも、磁気検出素子11が反応する発生磁場の成分に関しては、相殺される。
【0051】
印加磁場130により、ラベル4にトルクが発生する。この方法では、ラベル4は、磁場130を利用して、別の部分(例えば、別のラベル4、検知表面1など)に対して回転する。前述のように、ラベル4は、従来から良く知られた磁性材料を有する。例えば、ラベル4は、磁気ビーズ、磁性粒子、磁性棒、磁性粒子の糸、または非磁性マトリクス内の磁性材料である。ラベル4の回転または移動の自由度に関するパラメータは、検出装置10により検出することができる。本発明による方法は、高周波数での運動自由度または回転自由度の測定が可能となる。この種の測定により、流体5のバルク中の磁性ラベル濃度と、検知表面近傍の磁性ラベル濃度との間の識別が可能となる。
【0052】
到達時間twの正確な情報は、バイオセンサの他の制御のために利用され得る。例えば、本発明による検出装置は、感度ゲージ内で作動し、または到達時間tw前の較正モードおよびtwの後の高検出モードで作動することが可能となる。これにより、本発明による検出装置では、より正確な結果を得ることが可能となる。到達時間twの正確な情報を利用する別の可能性は、電流を低く維持できることであり、例えば電力を抑制することができる:測定感度を最大化するため、twの後、電流は、増加させる必要がある。また、twの正確な情報を用いて、検知表面1の熱条件を最適化することができる:twの前の熱条件は、tw後の熱条件とは異なる。これは、例えば、流体サンプルの熱伝導性のためである。検知表面上の生物学的層の安定性、および迅速な特異生物学的結合のための最適条件、に有益な最適な熱条件を得るための、電流線による最適加熱条件は、twの前後で異なる場合がある。
【0053】
検知表面上の流体の存在に対して感度を有する第2の手段は、気体泡の存在に対しても高感度であることが好ましい。気体泡は、生物学的分析を妨害するため、検出データの信頼性上、気体泡の有無は、重要な点検事項である。
【0054】
前述の本発明は、複合化されたセンサおよび/または複合化されたラベルと組み合わせることができる。センサの複合化の際、各センサは、異なる結合部位2の種類に使用される。また、ラベル4上の捕獲分子3は、異なる種類であっても良い。ラベルの複合化の際、異なる種類のラベル4が使用され、例えば異なる寸法または異なる磁気特性のラベルが使用される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】捕獲分子が結合された対象物およびラベルを有する溶液中において、結合部位が結合されたバイオセンサを示す図である。
【図2a】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図2b】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図2c】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図3.1a】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図3.1b】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図3.2a】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図3.2b】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図3.2c】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図3.3】バイオセンサの検知表面に対するラベル4の想定される結合構造の例を示す図である。
【図4】高い対象濃度および低い対象濃度の2つの異なる試験サンプルについての、センサ信号の時間変化を示す図である。
【図5】検知表面への流体の到達が生じる時間インターバルにおける、本発明による第2の手段の信号の時間変化を示す図である。
【図6】本発明によるシステムおよび検出装置を概略的に示した図である。
【図7】第2の手段の想定される異なる検出装置を概略的に示した図である。
【図8】本発明のさらに別の実施例による装置を概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定めるための検出装置であって、
当該検出装置は、少なくとも一つの検知表面を有し、
該検知表面は、少なくとも一種類の結合部位を有し、該結合部位は、前記磁性ラベルに接続された少なくとも一種類の生物学的存在物を特異付着することができ、
さらに当該検出装置は、少なくとも一つの磁気検出素子を有し、
さらに当該検出装置は、前記結合部位に付着した前記磁性ラベルの濃度を定める第1の手段と、前記流体の到達時間を定める第2の手段とを有する、検出装置。
【請求項2】
前記第2の手段は、容量性の検出手段であることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2の手段は、熱検出手段であることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第2の手段は、磁気検出手段であることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第1の手段は、磁場を発生する磁場発生手段を有することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1の手段は、2つの磁場発生手段を有し、該2つの磁場発生手段は、一つの磁気検出素子の各側に配置されることを特徴とする請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記磁場発生手段は、当該検出装置に配置された二次元配線構造であることを特徴とする請求項5に記載の検出装置。
【請求項8】
前記磁場発生手段は、回転磁場を発生することを特徴とする請求項5に記載の検出装置。
【請求項9】
前記磁場発生手段は、一方向の磁場を発生することを特徴とする請求項5に記載の検出装置。
【請求項10】
前記磁気検出素子は、磁気抵抗検出素子であり、好ましくは、AMR、GMRまたはTMR検出素子であることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項11】
前記磁性ラベルは、磁気ビーズとして提供されることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項12】
請求項1に記載の磁気抵抗検出装置を有する、流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定めるシステム。
【請求項13】
さらに、前記磁気検出素子の磁気抵抗の変化を検出する電子回路を有し、
該電子回路は、前記基板内に存在することを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
さらに、磁場を発生する外部磁場発生手段を有することを特徴とする請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1に記載の検出装置を用いて、流体中の少なくとも一種類の偏極可能なまたは偏極された磁性ラベルの濃度を定めるための方法であって、
磁性ラベルを有する流体を、前記検知表面上に提供するステップと、
前記流体の到達時間を定めるステップと、
前記結合部位に付着された前記磁性ラベルの濃度を定めるステップと、
を有する方法。
【請求項16】
前記流体の到達時間を定めるステップならびに前記結合部位に付着された前記磁性ラベルの濃度を定めるステップは、前記流体のバルクにおけるラベルの回転および/または並進の運動と、前記結合部位に付着されたラベルの間の差異を用いて実施されることを特徴とする請求項15に記載の方法。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3.1a】
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【図3.1b】
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【図3.2a】
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【図3.2b】
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【図3.2c】
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【図3.3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−546995(P2008−546995A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516490(P2008−516490)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051914
【国際公開番号】WO2006/134569
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】