説明

絶対位置測定装置

【課題】小型であり、製造が簡便である絶対位置測定装置を提供する。
【解決手段】本体と、スピンドル300と、ロータリーエンコーダ500と、リニアエンコーダ600と、演算処理手段720と、を備える。ロータリーエンコーダ500は、スピンドル300と一体回転するロータ板520を備える。回転円筒530は、スピンドル300と一体回転するとともに雄ネジ531を有する。ナット部材610は、回り止めされた状態で回転円筒530の雄ネジ531に螺合している。リニアエンコーダ600は、ナット部材610とともにスライド移動するスライダ620およびスライダ位置を検出する検出スケール630を有する。ロータリーエンコーダ500はロータ板520の一回転以内の回転角をアブソリュート検出し、リニアエンコーダ600はスライダ620の位置をアブソリュート検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶対位置測定装置に関する。
例えば、マイクロメータヘッド、マイクロメータ、ホールテスト等において、スピンドルの位置をアブソリュート型で測定する絶対位置測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長さ、大きさまたは角度等を測定する小型測定器、例えば、マイクロメータやマイクロメータヘッドにおいては、固定部材に対する可動部材の相対移動量に関する情報を検出することによって、被測定対象の測定が行われる。固定部材に対する可動部材の相対移動量を検出する構成として、例えば、特許文献1に開示される構成がある。
【0003】
図8は、特許文献1に開示される一実施形態を示す図である。
この実施形態は、マイクロメータヘッド1であり、貫通孔21の内周に雌ねじ22を有する本体2と、本体2の貫通孔21内に挿通され前記雌ねじ22に螺合する送りねじ31を有する可動部材としてのスピンドル3と、スピンドル3の移動に応じて二つの異なる周期の位相信号を出力する位相信号発信手段4と、位相信号発信手段4からの出力信号に基づいてスピンドル3の絶対位置を算出する演算処理手段5と、演算処理手段5にて算出されたスピンドル3の絶対位置を表示する表示手段6と、を備えている。
【0004】
スピンドル3は前後に進退可能であるところ、スピンドル3の後端にはつまみ部32が設けられ、このつまみ部32によりスピンドル3が本体2に対して回転操作されると、雌ねじ22と送りねじ31との螺合によってスピンドル3が軸方向に進退される。スピンドル3には、2本のキー溝33、34が設けられていて、第1キー溝33はスピンドル3の軸と平行に直線状に設けられ、第2キー溝34は、スピンドル3に対して螺旋状に設けられている。
【0005】
位相信号発信手段4は、二組のロータリーエンコーダによって構成されており、本体2に固定された一枚のステータ41と、このステータ41を間にしてステータ41の両側にそれぞれ配置された二枚のロータ42、45と、を備えている。
【0006】
ステータ41およびロータ42、45は、スピンドル3を挿通する孔を有し、二枚のロータ42、45はスピンドル3に対して独立回転可能な回転円筒43、46の外側にそれぞれ設けられている。回転円筒43、46の内周にはスピンドル3のキー溝33、34にそれぞれ係合するキー44、47が設けられている。ここで、第1ロータ42は、第1回転円筒43に設けられ、第1回転円筒43のキー44は第1キー溝33に係合している。第2ロータ45は、第2回転円筒46に設けられ、第2回転円筒46のキー47は第2キー溝34に係合している。
【0007】
また、二つの回転円筒43、46と本体2の内壁との間にはそれぞれ図示しないコイルバネが配設され、二枚のロータ42、45がステータ41に向けて付勢されることにより、ステータ41とロータ42、45とが近接した状態でギャップが保持される。
【0008】
なお、二つのキー溝33、34は、スピンドル3の可動範囲において二つのロータ42、45から得られる回転位相の差が常に異なるように設けられており、例えば、スピンドル3の可動範囲内で第1ロータ42から100周期の位相変化が得られるとき、第2ロータ45からは99周期の位相変化が得られるようになっている。図9に、スピンドル3の回転数と二つのロータ42、45から得られる位相信号との関係の例を示す。
【0009】
このような構成において、スピンドル3が回転されると、スピンドル3が軸方向に進退される。また同時に、スピンドル3が回転されると、二つの回転円筒43、46のキー44、47がそれぞれスピンドル3のキー溝33、34に係合しているので、それぞれの回転円筒43、45がキー溝33、34の回転に従って回転される。そして、回転円筒43、46とともにそれぞれのロータ42、45が回転される。二つのロータ42、45から得られる位相信号の差はスピンドル3の可動範囲において常に異なっているので、逆に、二つのロータ42、45の位相差からスピンドル3の絶対位置が算出される。
【0010】
なお、二つのロータ42、45の位相差からスピンドル3の絶対位置を算出する方法については、演算処理手段5に予め二つのロータ42、45の位相差とスピンドル3の絶対位置との関係を記憶したテーブルを格納しておいて、ロータ42、45の位相差からスピンドル3の絶対位置を算出するようにしてもよい。あるいは、検出された二つのロータ42、45の位相差をスピンドル3の一回転によって生じる位相差で除算してスピンドル3の回転数を算出し、スピンドル3の一回転あたりのピッチに算出されたスピンドル回転数を乗算してスピンドル絶対位置を算出してもよい。
【0011】
【特許文献1】特開2003−207307号公報(図1、段落(0038)〜段落(0045))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図8に開示される構成では、一枚のステータ41を間にして二枚のロータ42、45を配置することになるので、ロータ42、45を回転させるために回転円筒43、46にそれぞれ設けられる二つのキー44、47の位置がスピンドル3の軸方向で離れてしまうことになる(図8中のL1)。
【0013】
このようにスピンドル軸方向に離れた二つのキー44、47に対してそれぞれ係合可能な二つのキー溝33、34をスピンドル3に刻まなければならないので、各キー溝33、34の始点が大きくずれることになり、結果としてキー溝33、34を刻む範囲L2がスピンドル軸方向で広範囲に及ぶことになってしまう。そして、マイクロメータヘッド1内に塵埃が進入するなどの不都合を防止するために、スピンドル3が進退したときでもスピンドル3のキー溝33、34が外部に露出しないようにスピンドル3をフレーム24で覆わなければならないので、その分、フレーム24から突出するスピンドル3の長さL3が短くなり、その結果、測長範囲が狭くなるという問題が生じる。
【0014】
その一方、測長範囲を大きくとるには、キー溝33、34が露出しないようにスピンドル3をフレーム24で覆ったうえで、さらにフレーム24からスピンドル3を長く突出させなければならないので、マイクロメータヘッド1が非常に大型化されてしまうという問題が生じる。
【0015】
二枚のロータ42、45をステータ41に向けて付勢するためには二つのコイルバネ(不図示)が必要となるところ、一枚のステータ41の両側からステータ41とのギャップを保つように二本のコイルバネ(不図示)で二枚のロータ42、45をそれぞれ付勢するのは難しく、組立て作業が非常に複雑になってしまうという問題が生じる。
また、2つのロータの回転周期が異なるようにスピンドルには螺旋状のキー溝を加工しなければならないが、このような螺旋状のキー溝を高精度にスピンドルに刻むことは非常に困難であり、加工コストが増大するという問題がある。
【0016】
本発明の目的は、小型であり、製造が簡便である絶対位置測定装置を提供することにあ
る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の絶対位置測定装置は、本体と、前記本体に螺合されているとともに回転によって軸方向進退自在に設けられたスピンドルと、前記スピンドルの回転に応じて2つの互いに異なる位相信号を発信する位相信号発信手段と、前記位相信号を演算処理し前記スピンドルの絶対位置を求める演算処理手段と、を備え、前記スピンドルには軸線に沿ってキー溝が設けられ、前記位相信号発信手段は、前記キー溝に係合するキーを有し前記スピンドルに外嵌した状態で前記スピンドルと一体回転するロータ板を備えるロータリーエンコーダと、前記キー溝に係合するキーを有し前記スピンドルに外嵌した状態で前記スピンドルと一体回転するとともに外側面に雄ネジを有する回転円筒と、回り止めされた状態で前記回転円筒の雄ネジに螺合しこの回転円筒の回転に伴ってスライド移動するナット部材と、前記ナット部材とともにスライド移動するスライダおよびこのスライダの位置を検出する検出手段を有するリニアエンコーダと、を備え、前記ロータリーエンコーダは、前記ロータ板の一回転以内の回転角をアブソリュート検出することを特徴とする。
【0018】
このような構成において、スピンドルが回転されると、スピンドルと本体との螺合によりスピンドルが本体に対して進退する。スピンドルの回転に応じて位相信号発信手段からスピンドルの回転に応じた位相信号が発信される。スピンドルが回転するとき、ロータ板のキーがスピンドルのキー溝に係合しているので、ロータ板がスピンドルと一体的に回転される。ロータ板の回転が検出されてロータリーエンコーダから位相信号が出力され、ロータ板の一回転以内の回転角がアブソリュート検出される。
また、スピンドルが回転するとき、回転円筒のキーがスピンドルのキー溝に係合しているので、回転円筒がスピンドルと一体的に回転される。回転円筒が回転すると、回転円筒の雄ネジに螺合したナット部材が雄ネジに送られてスライド移動する。すると、ナット部材とともにスライダがスライド移動する。
このスライダの位置が検出されてリニアエンコーダから位相信号が出力され、スライダ位置が検出される。
ここで、スライダ位置とスピンドル回転数との関係を予め設定しておくことにより、演算処理部においてスライダ位置からスピンドル回転数が一義的に求められる。そして、ロータ板の一回転以内の回転角とスピンドル回転数とによりスピンドルの総回転位相が算出される。このスピンドルの総回転位相とスピンドルの送りピッチとに基づいてスピンドルの総移動量、すなわちスピンドルの絶対位置が算出される。
【0019】
このような構成によれば、ロータリーエンコーダとリニアエンコーダとによりスピンドルの絶対位置を求めることができる。
このとき、スライダの位置に基づいてスピンドル回転数という粗い情報を取得し、さらに、ロータ板の回転角に基づいて一回転以内の高精度な回転位相を取得することができる。従って、スピンドル絶対位置を高精度に求めることができる。
【0020】
ここで、スピンドル位置を高精度にアブソリュート検出するにあたり、スピンドルと一体回転させるのはロータリーエンコーダのロータ板だけであり、スピンドル回転数は、スピンドルの回転をスライド移動に変換してリニアエンコーダで読み取ることとしている。そのため、本発明では、スピンドルに刻むキー溝は一本でよく、加工が簡便である。
【0021】
従来は、スピンドルの絶対位置を検出するにあたり、スピンドルの回転に伴って2つのロータ板を異なる周期で回転させており、スピンドルにピッチが異なる二つのキー溝を加工していた。
しかしながら、ピッチが異なる二つの溝をスピンドルに刻むのは加工が難しく、また、
高コストとなっていた。
この点、本発明では、スピンドルに刻む溝は一本でよいので、加工が簡便である。
【0022】
また、リニアエンコーダのスライダをスライド移動させるにあたり、回り止めしたナット部材を回転円筒の雄ネジに螺合させることによりナット部材とともにスライダをスライド移動させている。回転円筒の雄ネジおよびナットの雌ネジは高精度に加工が可能であるので、スピンドルの回転をスライダのスライド量に変換する精度を高めることができ、スピンドル位置の検出精度を向上させることができる。
従来は、スピンドルに螺旋状のキー溝を刻んでいたために加工が難しく螺旋のピッチを高精度にすることが困難であった。
この点、本発明では、回転円筒の雄ネジとナット部材の雌ネジを高精度に加工することで、スピンドル位置の検出精度を容易に向上させることができる。
【0023】
また、従来ではスピンドルに2本のキー溝を刻んでいたためにスピンドルにキー溝を刻む領域が長くなり、測定装置全体としても大型化するという問題があった。
この点、本発明では、スピンドルのキー溝は一本でよいので、キー溝を刻む領域を短くして測定装置全体としても小型化することができる。
【0024】
また、従来ではスピンドルに2本のキー溝を刻んでいたためにスピンドルにキー溝を刻む領域が長くなり、測定装置全体としても大型化するという問題があった。
この点、本発明では、スピンドルのキー溝は一本でよいので、キー溝を刻む領域を短くして測定装置全体としても小型化することができる。そして、回転円筒のネジや歯車の歯のピッチを細かくすることにより、本発明の測定装置は非常に小型化できる。
【0025】
本発明では、前記リニアエンコーダは、前記スライダの位置をアブソリュート検出することが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、リニアエンコーダがアブソリュート検出したスライダの絶対位置に基づいてスピンドル回転数を高精度に算出することができる。従って、スピンドル絶対位置をより高精度に求めることができる。
例えば、リニアエンコーダは、スライダ位置に基づいてスピンドル回転数N(例えば、整数値:0、1、2、3・・)を算出する。そして、ロータリーエンコーダにより、ロータ板の一回転の回転角をアブソリュート検出する。すると、スピンドル回転数Nとロータ板の回転角とによりスピンドルの総回転位相が算出される。
なお、リニアエンコーダのスライダ位置に基づいて算出するスピンドル回転数Nは0.5、1、1.5・・・の半回転単位であってもよい。この場合、ロータリーエンコーダにより、ロータ板の半回転の回転角(0°<θ<180°)をアブソリュート検出する。すると、スピンドル回転数Nとロータ板の回転角とによりスピンドルの総回転位相が算出される。
【0027】
本発明では、リニアエンコーダは、前記スライダの位置をインクリメント検出することが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、リニアエンコーダがインクリメント検出したスライダの位置に基づいて、スピンドル回転数を取得することができる。また、インクリメント検出のエンコーダはアブソリュート検出のエンコーダよりも構造が単純なので、絶対位置測定装置の製造工程を簡略化し、製造効率を高めることができる。
【0029】
本発明では、前記ロータ板は前記回転円筒に支持されていることが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、ロータ板の回転を支持する円筒とナット部材に螺合する回転円筒とを共通にして、部品点数の削減および装置の小型化を図ることができる。
【0031】
本発明では、前記回転円筒の雄ネジは、前記スピンドルのネジよりも細かいピッチで設けられていることが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、ナット部材の移動範囲はスピンドルの可動範囲よりも狭くなるので、リニアエンコーダを小型化して装置全体を小型化することができる。
例えば、スピンドルが一回転あたり2mmピッチで12.5回転する場合、スピンドルの可動範囲は25mmである。
ここで、回転円筒の雄ネジを0.1mmピッチとすれば、ナット部材の移動範囲は1.25mmである。したがって、リニアエンコーダを非常に小型化できる。そして、リニアエンコーダでは、スピンドル回転数という粗い情報を取得できればよいので、リニアエンコーダを小型化して分解能が低くなった場合でも、ロータリーエンコーダの回転検出によってスピンドル位置を高精度に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の絶対位置測定装置に係る第1実施形態について説明する。
図1は、絶対位置測定装置の第1実施形態としてのマイクロメータヘッド100の構成を示す断面図である。
マイクロメータヘッド100は、本体200と、本体200に対して螺合され回転によって軸方向進退自在に設けられたスピンドル300と、スピンドル300の移動量に応じて位相信号を発信する位相信号発信手段400と、位相信号発信手段400に対する信号の送受信を制御する送受信制御部710と、位相信号を演算処理しスピンドル300の絶対位置を求める演算処理部720と、算出されたスピンドル300の絶対位置を表示する表示手段730と、を備えている。
【0034】
本体200は、貫通孔210を有する円筒状で、貫通孔210の内周には雌ネジ211が設けられている。貫通孔210内には、収納空間212を区画形成する中仕切り板213が設けられている。また、本体200の前端側の外周は外側フレーム220によって覆われている。
【0035】
スピンドル300は、本体200の貫通孔210を挿通し、両端が本体200から突出する状態に配設されている。スピンドル300の後端側の外周には本体200の雌ねじ121に螺合する送りネジ310が設けられ、回転操作により軸方向進退可能である。スピンドル300の後端には、本体200の外部からスピンドル300を回転操作するつまみ部320が設けられている。スピンドル300の中央部には、軸方向に沿って直線的にキー溝330が設けられている。
ここで、スピンドル300の送りネジ310は、2mm送りで12.5回転分が刻まれている。すなわち、スピンドル300の可動距離は25mmである。
【0036】
位相信号発信手段400について説明する。
図2は、位相信号発信手段400の構成を示す斜視図である。
位相信号発信手段400は、スピンドル300に外嵌した状態に配設されてスピンドル300と一体回転するロータ510を有するロータリーエンコーダ500と、ロータ510の回転に伴ってスライド移動するスライダ620を有するリニアエンコーダ600と、を備えている。
ロータリーエンコーダ500は、ロータ510の一回転以内の絶対角度を検出可能な一回転以内ABS(アブソリュート)型ロータリーエンコーダである。
リニアエンコーダ600は、スライダ620の絶対位置を検出可能なアブソリュート型リニアエンコーダである。
【0037】
ロータリーエンコーダ500は、スピンドル300と一体回転するロータ510と、ロータ510の回転を検出するステータ550と、を備えている。
なお、図2中では、見やすいようにロータ510とステータ550とのギャップを広くして描いている。
【0038】
ロータ510は、ステータ550と対になってステータ550と対向した状態で回転されるロータ板520と、スピンドル300を中心とするロータ板520の回転を支持する回転円筒530と、スピンドル300のキー溝330に係合するキー540と、を備える。
【0039】
ロータ板520は、スピンドル300が挿通される挿通孔521を有する小円板である。回転円筒530は、スピンドル300に外嵌する円筒状であってロータ板520の背面に接続されロータ板520の回転を支持している。回転円筒530にはキー540が螺入されており、キー540の先端がスピンドル300のキー溝330に係合している。そして、回転円筒530の外周には雄ネジ531が設けられている。雄ネジ531は細かいピッチで設けられ、例えば、0.1mmピッチである。ここで、スピンドル300が回転すると、スピンドル300のキー溝330にキー540が係合していることから、回転円筒530はスピンドル300と一体的に回転する。
回転円筒530は、本体200の前端板230と中仕切り板213とに挟まれており、軸方向の移動が規制されている。
【0040】
ステータ550は、円板の中央にスピンドル300が挿通される挿通孔551を有し、中仕切り板213に固定されている。ステータ550はロータ510に対向配置され、ロータ510の一回転以内の絶対角度を検出する。すなわち、ステータ550はロータ510の一回転あたり一周期の変化を示す位相信号を出力する。そして、ロータ510はスピンドル300とともに回転するので、ステータ550から出力される位相信号は、図3に示されるように、スピンドル300の一回転によって一周期の変化を示し、スピンドル300が12.5回転する間に12.5周期の変化を示す。
【0041】
リニアエンコーダ600は、回転円筒530の雄ネジ531に螺合してスライド移動するナット部材610と、このナット部材610に貼設されてナット部材610と一体的にスライド移動するスライダ620と、スライダ620の位置に応じた位相信号を出力する検出スケール(検出手段)630と、を備えている。
【0042】
ナット部材610は、回転円筒530に螺合する雌ネジ611を有し、回転円筒530に螺合している。そして、ナット部材610には回転止めのガイドピン612が挿通されている。ナット部材610はガイドピン612によって回り止めされているので、回転円筒530が回転するとナット部材610はスライド移動する。
【0043】
スライダ620は、ナット部材610に貼設され、ナット部材610とともに移動する。
ここで、スライダ620の移動範囲を狭くするために、回転円筒530の雄ネジ531は出来る限り細密に形成されることが好ましく、少なくともスピンドル300の送りネジ310よりも細密にすることが好ましい。
例えば、スピンドル300の送りネジ310を2mmピッチとするとき、回転円筒530の雄ネジ531を0.1mmピッチとする。すると、スピンドル300が最大12.5回転で25mm移動するのに対し、ナット部材610およびスライダ620の可動範囲は、1.25mmとなる。検出スケール630は、スライダ620に対向した状態で本体200に固定されている。そして、検出スケール630は、スライダ620の異なる位置に対しては異なる値の位相信号を出力する。従って、この位相信号に基づいてスライダ620の絶対位置が算出可能である。
【0044】
図4は、送受信制御部710および演算処理部720の構成を示す図である。
送受信制御部710は、ステータ550に対する信号の送受信を制御する第1送受信制御部711と、検出スケール630に対する信号の送受信を制御する第2送受信制御部714と、を備える。
【0045】
第1送受信制御部711は、第1送信制御部712と第1受信制御部713とを備え、第1送信制御部712はステータ550に所定の交流信号を送信し、第1受信制御部71
3はステータ550からの信号を受信する。
同様に、第2送受信制御部714は、第2送信制御部715と第2受信制御部716とを備え、第2送信制御部715は検出スケール630に所定の交流信号を送信し、第2受信制御部716は検出スケール630からの信号を受信する。第1受信制御部713および第2受信制御部716は、ステータ550および検出スケール630から受信した位相信号を演算処理部720に出力する。
【0046】
演算処理部720について説明する。
演算処理部720は、ロータ510の回転角θを算出する回転角算出部722と、スライダ620の絶対位置を算出する位置算出部723と、ロータ510の回転角およびスライダ620の位置に基づいてスピンドル300の回転位相を算出する回転位相算出部724と、スピンドル300の回転位相に基づいてスピンドル300の絶対位置を算出するスピンドル位置算出部727と、を備える。
【0047】
回転角算出部722は、第1受信制御部713からの信号に基づいてロータ510の回転角を算出する。回転角算出部722は、第1受信制御部713からの出力信号(図3参照)に基づいてロータ510の一回転内の絶対角度(0°<θ<360°)を算出する。第1回転角算出部722には、ロータ510の回転角と位相信号との関係が設定記憶されている。
そして、図3に示されるように、受信制御部713から出力される位相信号はロータ510の一回転以内では異なる位相であるので、この位相信号に基づいてロータ510の一回転以内の絶対角度が算出される。
なお、ロータ510はスピンドル300と一体的に回転されるので、ロータ510の一回転内の回転角はスピンドル300の一回転内の回転角と同じである。
【0048】
位置算出部723には、第2受信制御部716からの信号とスライダ620の絶対位置との関係が設定されており、位置算出部723は、第2受信制御部716からの信号に基づいてスライダ620の絶対位置を算出する。
【0049】
回転位相算出部724は、スライダ620の絶対位置に基づいてスピンドル300の回転数を算出するスピンドル回転数算出部725と、スピンドル回転数およびロータ510の回転角に基づいてスピンドル300の総回転位相を算出する総回転位相算出部726と、を備える。
【0050】
スピンドル回転数算出部725には、スライダ620の絶対位置とスピンドル回転数との関係が設定されている。スピンドル300の一回転あたりスライダ620は0.1mm変位するので、例えば、図5に示されるように、スライダ620の0.1mmの変位に対してスピンドル300の一回転を対応させる相関がスピンドル回転数算出部725に設定されている。
そして、スライダ位置に応じてスピンドル300の回転数Nが特定される。
【0051】
総回転位相算出部726は、スピンドル300の総回転位相を算出するにあたり、まず、スピンドル回転数Nに基づいてスピンドル回転数Nによる位相θ(=360°×N)を算出する。続いて、回転角算出部722にて算出されたロータ510の回転角θを先に算出されたスピンドル回転数による位相θに加算する。すると、スピンドル300の総回転位相θ(=θ+θ)が算出される。
【0052】
スピンドル位置算出部727には、スピンドル300の一回転当たりの移動ピッチ(2mm)が予め設定されている。そして、スピンドル位置算出部727において、移動ピッチ(2mm)と総回転位相θとが乗算されることにより、スピンドル300の総移動量
、すなわち、スピンドル300の絶対位置が算出される。
【0053】
表示手段730は、例えば、デジタル表示によってスピンドル300の絶対位置を表示する。
【0054】
ここで、位相信号発信手段400のロータリーエンコーダ500において、ステータ550によってロータ510の一回転内の回転角を検出する原理について簡単に説明する。
このロータリーエンコーダ500は、いわゆる一回転ABS(アブソリュート検出)のロータリーエンコーダ500である。図6は、ステータ550とロータ510との互いの対向面を示す図である。図6(A)はステータ550の一面を示す図あり、図6(B)はロータ510の一面を示す図である。
【0055】
ステータ550においてロータ510に対向する面には、内側と外側とで二重に配された電極部が設けられ、すなわち、内側に内側ステータ電極部560が設けられ、内側ステータ電極部560の外側に外側ステータ電極部570が設けられている(図6(A)参照)。ステータ電極部560、570は第1送受信制御部711に接続されている。ロータ510においてステータ550に対向する面には、内側と外側で二重に配された電極部が設けられ、すなわち、内側には内側ステータ電極部560と電磁カップリングする内側結合電極部511が設けられ、外側には外側ステータ電極部570と電磁カップリングする外側結合電極部512が設けられている(図6(B)参照)。
【0056】
まず、図6(A)を参照して、内側ステータ電極部560および外側ステータ電極部570について説明する。
内側ステータ電極部560は、リング状に配置された一本の電極線からなる内側送信電極部561と、内側送信電極部561の内側において所定ピッチで連続する菱形コイルをそれぞれ形成する3本の電極線562A〜Cで構成され全体としてリング状に配置された内側受信電極部562と、を備えている。
同様に、外側ステータ電極部570は、リング状に配置された一本の電極線からなる外側送信電極部571と、外側送信電極部571の内側において所定ピッチで連続する菱形コイルをそれぞれ形成する3本の電極線572A〜Cで構成され全体としてリング状に配置された外側受信電極部572と、を備えている。
【0057】
内側受信電極部562を構成する電極線(562A〜C)は、それぞれ9個(9周期)の菱形を構成しており、外側受信電極部572を構成する電極線(572A〜C)はそれぞれ10個(10周期)の菱形を構成しており、各受信電極部562、572において3本の電極線562A〜C、572A〜Cが位相をずらして重なるように配置されている。
ここで、図6(A)中、配線が交差して見える部分は紙面に直交する方向に離れており絶縁が確保されている。
【0058】
なお、内側受信電極部562および外側受信電極部572は、本来は一つ一つが独立したリング状のコイルを一本の電極線により繋げた構成に同等であり、すなわち、各菱形コイルが一つのコイルに等しい働きをする。
【0059】
ここで、送信電極部561、571の各電極線は第1送信制御部712に接続され、各電極線には第1送信制御部712から所定の交流信号が印加される。
受信電極部562、572の各電極線562A〜B、572A〜Cは第1受信制御部713に接続され、第1受信制御部713により所定のサンプリング周期で受信電極部562、572の信号がサンプリングされる。
【0060】
次に、図6(B)を参照して、内側結合電極部511および外側結合電極部512につ
いて説明する。
内側結合電極部511は、矩形波を描きつつ全体としてリング状に配された電極線により構成されている。外側結合電極部512も同様に矩形波を描きつつ全体としてリング状にされた電極線により構成されている。
なお、内側結合電極部511は9周期の矩形波であり、外側結合電極部512は10周期の矩形波である。そして、内側結合電極部511および外側結合電極部512の矩形波は、本来は、一つ一つが独立したリング状のコイルを一本の電極線によって繋げた構成に同等であり、すなわち、各矩形波が一つのコイルに等しい働きをする。
【0061】
この構成において、第1送信制御部712から内側送信電極部561と外側送信電極部571とにそれぞれ電流(交流電流)(i)が通電されると、送信電極部561、571の電極線の周囲に誘導磁界(B)が発生する。そして、内側ステータ電極部560と内側結合電極部511とが電磁カップリングされ、外側ステータ電極部570と外側結合電極部512とが電磁カップリングされているので、内側結合電極部511および外側結合電極部512には誘導電流(i)が生じるとともにこの誘導電流(i)による誘導磁界(B,B)が生じる。
【0062】
さらに、内側結合電極部511と内側受信電極部562とが電磁カップリングしており、外側結合電極部512と外側受信電極部572とが電磁カップリングしているので、内側結合電極部511および外側結合電極部512の磁界パターンによって内側受信電極部562および外側受信電極部572の電極線562A〜C、572A〜Cに誘導電流(i)が生じる。
【0063】
ここで、内側結合電極部511および内側受信電極部562は9周期であるのに対して、外側結合電極部512および外側受信電極部572は10周期であるので、ロータ510の一回転に対して、内側受信電極部562による第1の検出位相は10周期の変化を示し、外側受信電極部572による第2の検出位相は9周期の変化を示す。したがって、ロータ510の回転角θ(0°≦θ<360°)に対して、内側受信電極部562による第1の位相信号φ1と外側受信電極部572による第2の位相信号φ2とは互いに異なり、ロータ510が一回転する中では、異なるロータ510の回転角θに対して第1の位相信号φ1と第2の位相信号φ2との位相差Δφは異なる。よって、逆に、第1の位相信号φ1と第2の位相信号φ2との位相差Δφから、ロータ510の一回転以内の回転位相θが一義的に決定されることとなる。
【0064】
位相信号発信手段400のリニアエンコーダ600において、スライダ620の絶対位置を検出する原理についての詳細は割愛するが、例えば、図7(A)(B)に示される電極のカップリングによってスライダ620の移動を検出できる。
図7(A)に示す検出電極部631は、ステータ電極部560、570と類似する構成であり、送信電極部632と2本の電極線633A,633Bで構成される受信電極部633とを備えている。また、図7(B)に示す結合電極部621は、ロータ510の結合電極部511、512と基本的に同じ構成である。そして、検出スケール630に検出電極部631を設け、スライダ620に結合電極部621を設ける。このとき、検出スケール630には互いに周期が異なる2本の検出電極部631を設け、同様にスライダ620には周期が異なる2本の結合電極部621を設ける。このように検出スケール630とスライダ620とに各電極部631、621を設けた状態で検出スケール630とスライダ620とを対向させる。すると、スライダ620の位置に応じて検出電極部631から得られる信号が変化し、スライダ620の絶対位置が一義的に求められる。
【0065】
このような構成を備える第1実施形態の動作について説明する。
つまみ部320によってスピンドル300を回転させると、本体200の雌ネジ211
とスピンドル300の送りネジ310との螺合によりスピンドル300が軸方向に進退される。スピンドル300が回転すると、スピンドル300のキー溝330に係合したキー540によって回転円筒530がスピンドル300とともに回転する。
【0066】
回転円筒530が回転すると、回転円筒530とともにロータ板520が回転する。ロータ板520の回転がステータ550によって検出されて第1受信制御部713に送られる。続いて、回転角算出部722においてロータ板520の一回転以内の回転角が算出される。ここで、ロータ板520はスピンドル300と一体回転するので、ロータ板520の一回転内の回転角とは、スピンドル300の一回転内の回転角である。
【0067】
また、回転円筒530が回転すると、回転円筒530に螺合したナット部材610がスライド移動する。このとき、ナット部材610とともにスライダ620もスライド移動する。このスライダ620の絶対位置が検出スケール630によって検出されて第2受信制御部716に送られる。続いて、スライダ620の位置に基づいてスピンドル回転数算出部725によりスピンドル300の回転数が算出される。
【0068】
回転角算出部722にて算出されたロータ板520の回転角(=スピンドル300の一回転内の回転角)とスピンドル回転数算出部725にて算出されたスピンドル回転数とに基づいて、スピンドル300の総回転位相が総回転位相算出部726にて算出される。算出された総回転位相とスピンドル300の送りピッチ(2mm)とに基づいてスピンドル300の絶対位置がスピンドル位置算出部727にて算出される。算出されたスピンドル絶対位置は表示手段730にて表示される。
【0069】
このような構成を備える第1実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)スライダ620の絶対位置に基づいてスピンドル回転数という粗い情報を取得し、さらに、ロータ板520の回転角に基づいて一回転以内の高精度な回転位相を取得することができる。
そして、これら2つの情報を併せて、スピンドル絶対位置を高精度に求めることができる。
【0070】
(2)スピンドル300と一体回転するのはロータリーエンコーダ500のロータ板520だけであるので、スピンドル300に刻むキー溝330は一本でよい。
従って、スピンドル300にキー溝330を刻む加工が簡便であり、製造コストを低減させることができる。
また、スピンドル300に刻むキー溝330は一本でよいので、キー溝330を刻む領域を短くしてマイクロメータヘッド100を小型化することができる。
【0071】
(3)回り止めしたナット部材610を回転円筒530の雄ネジ531に螺合させることによりナット部材610とともにスライダ620をスライド移動させているところ、回転円筒530の雄ネジ531およびナット部材610の雌ネジ611は高精度に加工が可能であるので、スピンドル300の回転をスライダ620のスライド量に変換する精度を高めることができる。
したがって、スピンドル位置の検出精度を向上させることができる。
【0072】
(4)リニアエンコーダ600がスライダ620の位置をアブソリュート検出するので、リニアエンコーダ600がアブソリュート検出したスライダ620の絶対位置に基づいて、スピンドル回転数を高精度に取得することができる。従って、スピンドル絶対位置をより高精度に求めることができる。
【0073】
(5)ロータ板520の回転を支持する円筒とナット部材610に螺合する回転円筒530とが共通であるので、部品点数の削減およびマイクロメータヘッド100の小型化を図ることができる。
【0074】
(6)回転円筒530の雄ネジ531は、スピンドル300の送りネジ310よりも細かいピッチで設けられているので、ナット部材610およびスライダ620の移動範囲はス
ピンドル300の可動範囲よりも狭くなる。
したがって、リニアエンコーダ600を小型化でき、結果として装置全体を小型化することができる。
【0075】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
回転円筒はロータ板を支持するとともにナット部材が螺合する雌ネジを備えており、ロータリーエンコーダとリニアエンコーダで一つの回転円筒を共用しているが、ロータ板を支持する回転円筒とナット部材が螺合する回転円筒とはそれぞれ別に設けられていてもよいことはもちろんである。
絶対位置測定装置としては、回転によって進退するスピンドルを備えていればよく、マイクロメータヘッドに限定されないのはもちろんである。
リニアエンコーダ600は、スライダ620の位置を検出できればよく、スライダ620の位置をアブソリュート検出するものに限定されないのはもちろんである。例えば、リニアエンコーダ600は、スライダ620の位置をインクリメント検出するものでもよいことはもちろんである。この場合でも、リニアエンコーダ600が検出したスライダ620の移動に基づいてスピンドル回転数を取得することができる。また、インクリメント検出のエンコーダはアブソリュート検出のエンコーダよりも構造が単純なので、マイクロメータヘッド1の製造工程を簡略化し、製造効率を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、絶対位置測定装置に利用でき、マイクロメータやマイクロメータヘッド等の回転によって移動するスピンドルを有する測定装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】絶対位置測定装置の第1実施形態としてのマイクロメータヘッドの構成を示す断面図。
【図2】第1実施形態において、位相信号発信手段の構成を示す斜視図。
【図3】第1実施形態において、ロータリーエンコーダから出力される信号を示す図。
【図4】第1実施形態において、送受信制御部および演算処理部の構成を示す図。
【図5】第1実施形態において、スライダの位置とスピンドル回転数との関係を示す図。
【図6】第1実施形態において、ステータとロータとの互いの対向面を示す図。
【図7】リニアエンコーダにおいて電磁カップリングする電極の例を示す図。
【図8】従来技術において、マイクロメータヘッドの構成を示す図。
【図9】従来技術において、スピンドルの回転数と2つのロータから得られる位相信号との関係の例を示す図。
【符号の説明】
【0078】
1…マイクロメータヘッド、2…本体、3…スピンドル、4…位相信号発信手段、5…演算処理手段、6…表示手段、21…貫通孔、24…フレーム、32…つまみ部、33…第1キー溝、34…第2キー溝、41…ステータ、42…第1ロータ、43…第1回転円筒、44…キー、45…第2ロータ、46…第2回転円筒、47…キー、100…マイクロメータヘッド、200…本体、210…貫通孔、211…雌ネジ、212…収納空間、213…中仕切り板、220…外側フレーム、230…前端板、300…スピンドル、310…送りネジ、320…つまみ部、330…キー溝、400…位相信号発信手段、500…ロータリーエンコーダ、510…ロータ、511…内側結合電極部、512…外側結合電極部、520…ロータ板、521…挿通孔、530…回転円筒、531…雄ネジ、540…キー、550…ステータ、551…挿通孔、560…内側ステータ電極部、561…内側送信電極部、562…内側受信電極部、562A-C…電極線、570…外側ステー
タ電極部、571…外側送信電極部、572…外側受信電極部、572A-C…電極線、
600…リニアエンコーダ、610…ナット部材、611…雌ネジ、612…ガイドピン、620…スライダ、630…検出スケール、710…送受信制御部、711…第1送受信制御部、712…第1送信制御部、713…第1受信制御部、714…第2送受信制御部、715…第2送信制御部、716…第2受信制御部、720…演算処理部、722…回転角算出部、723…位置算出部、724…回転位相算出部、725…スピンドル回転
数算出部、726…総回転位相算出部、727…スピンドル位置算出部、730…表示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に螺合されているとともに回転によって軸方向進退自在に設けられたスピンドルと、
前記スピンドルの回転に応じて2つの互いに異なる位相信号を発信する位相信号発信手段と、
前記位相信号を演算処理し前記スピンドルの絶対位置を求める演算処理手段と、を備え、
前記スピンドルには軸線に沿ってキー溝が設けられ、
前記位相信号発信手段は、
前記キー溝に係合するキーを有し前記スピンドルに外嵌した状態で前記スピンドルと一体回転するロータ板を備えるロータリーエンコーダと、
前記キー溝に係合するキーを有し前記スピンドルに外嵌した状態で前記スピンドルと一体回転するとともに外側面に雄ネジを有する回転円筒と、
回り止めされた状態で前記回転円筒の雄ネジに螺合しこの回転円筒の回転に伴ってスライド移動するナット部材と、
前記ナット部材とともにスライド移動するスライダおよびこのスライダの位置を検出する検出手段を有するリニアエンコーダと、を備え、
前記ロータリーエンコーダは、前記ロータ板の一回転以内の回転角をアブソリュート検出する
ことを特徴とする絶対位置測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の絶対位置測定装置において、
前記リニアエンコーダは、前記スライダの位置をアブソリュート検出する
ことを特徴とする絶対位置測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の絶対位置測定装置において、
前記リニアエンコーダは、前記スライダの位置をインクリメント検出する
ことを特徴とする絶対位置測定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の絶対位置測定装置において、
前記ロータ板は前記回転円筒に支持されている
ことを特徴とする絶対位置測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の絶対位置測定装置において、
前記回転円筒の雄ネジは、前記スピンドルのネジよりも細かいピッチで設けられている
ことを特徴とする絶対位置測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−271604(P2007−271604A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28360(P2007−28360)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】