説明

絶縁導体

【課題】導体との密着性、平滑性に優れ、絶縁特性に優れた絶縁膜を形成した絶縁導体を提供すること。
【解決手段】質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちから選ばれるいずれか一種を含有し、残部はCu及び不可避不純物からなるCu合金導体の表面に、厚さ5〜20nmのCaO・SiO複合酸化物層、3Al・2SiO複合酸化物層、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合複合酸化物層の何れかからなる厚さ5〜20nmの複合酸化物層を介して、厚さ1μm以上のSiO膜を絶縁膜として形成したCu合金導体との密着性、平滑性、絶縁特性に優れた絶縁導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導体に対する密着性に優れ、かつ、絶縁特性にも優れた絶縁膜を備えた絶縁導体、特に、平角状絶縁導体として好適な絶縁導体、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電気・電子機器の高性能化、高機能化に伴い、これら機器内部に用いられているモータやトランス等のコイル占有スペース縮小化が望まれており、そのために、絶縁導体の形状も断面丸型のものに代えて平角状の絶縁導体が使用されるようになってきている。
しかし、平角状の絶縁導体においては、特に、平角のコーナー部に電界が集中するため、コーナー部の絶縁特性改善が大きな問題となっている。
平角状絶縁導体の絶縁特性改善を目的とした技術としては、例えば、Cu合金からなる導体表面に、エポキシ・アクリル系水分散ワニスを電着後焼付け処理し、平坦部は3.0μm以下の絶縁膜を、また、コーナー部には平坦部の1.1倍以上の厚さの絶縁膜を形成した平角状絶縁導体が知られており(特許文献1)、この平角状絶縁導体により、導体占有体積割合を高く維持したままでコイル容積を小さくすることができ、さらに、コーナー部の絶縁特性が改善されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3086376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の電気・電子機器の高性能化、高機能化に伴い、絶縁導体は、益々、小型化、軽量化が望まれており、これに応えるため、平角状絶縁導体が、デジタルビデオカメラ、ノートパソコンの内蔵コイル用等、幅広い分野に利用されるようになってきている。しかし、上記従来の平角状絶縁導体においては、絶縁膜の表面粗さが大であるため、絶縁膜の平均厚さが3μm以下という薄膜である場合には、絶縁膜の膜厚に部分的な不均一が生じたり、また、絶縁膜の導体への密着性が不十分であるために、絶縁膜の薄い箇所あるいは密着性不良箇所の絶縁性が不十分となり、安定的に満足できる絶縁特性を得ることは困難であるというのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、絶縁導体、特に平角状絶縁電線において、導体への密着性にすぐれ、絶縁膜の膜厚が薄くても絶縁特性がすぐれた絶縁導体を得るべく、絶縁膜の構造について鋭意研究を行った結果、以下の知見を得た。
従来技術の平角状絶縁導体においては、エポキシ・アクリル系水分散ワニスの電着焼付けにより絶縁膜を形成していたため、絶縁膜の導体への密着性が不十分であったが、本発明者等は、特定の合金成分(Ca,Al,Mg)を微量含有するCu合金を導体とし、この表面に、スパッタリングによりSiO絶縁膜を被覆形成したところ、Cu合金導体とSiO絶縁膜との界面において、特定の複合酸化物が形成され、この複合酸化物が、Cu合金導体およびSiO絶縁膜のいずれに対しても優れた密着性を有することから、Cu合金導体とSiO絶縁膜の密着強度が向上し、かつ、表面平滑な絶縁膜であるため、絶縁膜の平均厚さを3μm程度に薄膜化した場合であっても、部分的に膜厚の不均一が生じることはないため、安定して優れた絶縁特性が発揮されることを見出したのである。
【0006】
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、
「(1) 質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちから選ばれるいずれか一種を含有し、残部はCu及び不可避不純物からなるCu合金導体の表面に、厚さ5〜20nmの複合酸化物層を介して、厚さ1μm以上のSiO膜が絶縁膜として形成されていることを特徴とする絶縁導体。
(2) 質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちから選ばれるいずれか一種を含有し、残部はCu及び不可避不純物からなるCu合金導体の表面に、厚さ5〜20nmのCaO・SiOからなる複合酸化物、3Al・2SiOからなる複合酸化物、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合複合酸化物のいずれかからなる複合酸化物層を介して、厚さ1μm以上のSiO膜が絶縁膜として形成されていることを特徴とする耐電圧300V以上の良絶縁性を備えた平角状の絶縁導体。
(3) Cu基体上に、質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちから選ばれるいずれか一種を含有し、残部はCu及び不可避不純物からなるCu合金導体が配設され、さらに、該Cu合金導体の表面に、厚さ5〜20nmのCaO・SiOからなる複合酸化物、3Al・2SiOからなる複合酸化物、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合複合酸化物のいずれかからなる複合酸化物層を介して、厚さ1μm以上のSiO膜が絶縁膜として形成されている構造を有することを特徴とする絶縁導体。」
を特徴とするものである。
【0007】
つぎに、この発明の絶縁導体について、説明する。
【0008】
Cu合金導体:
本発明では、導体として、質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちから選ばれるいずれか一種を合金成分として含有するCu合金を用いる。
上記合金成分を含有するCu合金導体表面に、例えば、スパッタリングにより、SiO絶縁膜を被覆形成すると、Cu合金導体とSiO絶縁膜の界面において、合金成分の酸化物とSiOとからなる複合酸化物が形成され、Cu合金導体とSiO絶縁膜間の密着性が向上する。
合金成分として、Ca:0.01〜10%を含有するCu合金導体の場合、SiO絶縁膜との界面には、CaO・SiOからなる複合酸化物が形成され、Al:0.01〜10%を含有するCu合金導体とSiO絶縁膜の界面には、3Al・2SiOからなる複合酸化物が形成され、また、Mg:0.01〜5%を含有するCu合金導体とSiO絶縁膜の界面には、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合複合酸化物が形成される。
上記合金成分Ca、Al、Mgの含有量が、それぞれ0.01%未満では、Cu合金導体とSiO絶縁膜の界面に形成される複合酸化物層は5nm未満の薄層であるため、密着性の改善効果は期待できず、一方、Ca含有量、Al含有量が10%を超えた場合、あるいは、Mg含有量が5%を超えたような場合には、密着性は良好であるが、Cu合金導体の電気伝導率が低下するため、Cu合金導体中に含有される合金成分Ca、Alの含有量は、0.01〜10%、また、Mg含有量は、0.01〜5%と定めた。
【0009】
なお、Cu合金導体には、積極的に添加含有させる上記合金成分Ca、Al、Mgの他、製造上の不可避不純物成分として、Pb、Fe、Sn、Zn、Mn、Ni、P等の成分が含有されることがあるが、これらの不可避不純物成分は、その合計量が0.1質量%以下であれば、Cu合金導体自体の導電性、界面に形成される複合酸化物の特性、SiO絶縁膜との密着性等には悪影響を及ぼすことはないから、Cu合金中には、合計含有量で0.1質量%以下の不可避不純物成分の含有が許容される。
【0010】
また、この発明では、上記特定量のCa、Al、Mgを合金成分として含有するCu合金導体を、5μm未満の厚さでCu基体上に配設し、この表面に上記SiO絶縁膜を形成することにより、Cu合金導体とSiO絶縁膜の界面に前記複合酸化物が形成され、Cu合金導体とSiO絶縁膜間の密着性が向上し、その結果として、Cu基体−Cu合金導体(−複合酸化物層)−SiO絶縁膜の構造からなる密着性に優れた絶縁導体を形成することができ、この構造の絶縁導体は、信頼性の高い絶縁特性を有する絶縁膜被覆Cu端子材として利用可能である。
【0011】
複合酸化物層の層厚:
Cu合金導体中に含有される合金成分に応じて形成されるCaO・SiO、あるいは、3Al・2SiOからなる複合酸化物、さらに、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合相からなる複合酸化物の層厚は、その厚さが5nm未満では、界面に複合酸化物が形成されない箇所も部分的にみられ、密着性の改善効果は期待できず、一方、その厚さが20nmを超えると、複合酸化物中にクラックが発生し、該クラックを通じて電気的に導通してしまい、耐電圧が低下するため、前記複合酸化物層の厚さは、5〜20nmと定めた。
【0012】
SiO絶縁膜の形成:
前記複合酸化物層は、SiOターゲットを用いて、例えば、Cu合金製平角状導体からなるCu合金導体表面へスパッタリングすることにより形成する。
具体的には、図1に示す対向ターゲット式マグネトロンスパッタリング装置において、被処理物支持機構にて保持されている被処理物(例えば、Cu合金製平角状導体)をガイドローラで処理室へ移送し、ゲートバルブを閉じて処理室内を1×10−5Torr以下の真空度にした後、成膜ガスとしてArガスを導入し、処理室内を1×10−3Torrとし、被処理物の上方、下方にそれぞれ配置したSiOターゲットに、RF電源からの所定電力を所定時間印加し、SiO絶縁膜を形成する。この際に、Cu合金導体表面とスパッタリングにより成膜されたSiO絶縁膜との界面に、前記複合酸化物層が形成される。
【0013】
SiO絶縁膜の膜厚:
SiO絶縁膜の膜厚が1μm未満では、耐電圧300V以上の絶縁性を得ることができないので、SiO絶縁膜の膜厚は1μm以上と定めた。
図2に示すように、この発明の絶縁導体では、SiO絶縁膜の膜厚が大きくなればそれだけ絶縁特性は向上するが、その一方、導体占有体積割合が低下するとともに、コイル容積が大きくなる。したがって、絶縁膜の膜厚上限は、所望の導体占有体積、コイル容積と絶縁特性との兼ね合いで定めればよいが、実際上、SiO絶縁膜の膜厚は、1〜5μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明の絶縁導体は、質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちの一種を合金成分として含有するCu合金(0.1質量%以下の合計含有量の不可避不純物の含有を許容)導体の表面に、厚さ5〜20nmの複合酸化物層(CaO・SiOからなる複合酸化物、3Al・2SiOからなる複合酸化物、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合複合酸化物)を介して、厚さ1μm以上のSiO膜が絶縁膜として形成されていることにより、Cu合金導体への密着性に優れるとともに、膜厚が均一であり、さらに、1μm以上の膜厚で耐電圧300V以上というすぐれた絶縁特性を備えた絶縁導体を得ることができる。
また、この絶縁導体を平角状絶縁導体として適用した場合には、導体占有体積率が高く、コイル容積率の小さい平角状の絶縁導体を得ることができるので、電気・電子機器の小型化、軽量化に有効である。
また、5μm未満の厚さで前記Cu合金導体をCu基体上に配した構造の前記絶縁導体は、信頼性の高い絶縁特性を有する絶縁膜被覆Cu端子材として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の絶縁導体のSiO絶縁膜を成膜するための対向ターゲット式マグネトロンスパッタリング装置の概略図である。
【図2】絶縁膜の耐電圧に及ぼす導体の種類、絶縁膜の種類、膜厚との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、この発明の絶縁導体を実施例により具体的に説明する。
【実施例】
【0017】
Cu合金導体として、表1に示す成分組成、サイズの平角状の導体を用意し、図1に示す対向ターゲット式マグネトロンスパッタリング装置に装入し、表2に示すスパッタリング条件でSiOターゲットを用いてスパッタリングし、Cu合金平角状導体表面に目標膜厚のSiO絶縁膜を成膜した、表3に示す本発明絶縁導体1〜15を作製した。
【0018】
比較のために、純Cu導体あるいはCu合金導体として、表1に示す成分組成、サイズの平角状の導体を用意し、図1に示す対向ターゲット式マグネトロンスパッタリング装置に装入し、表2に示すスパッタリング条件でSiOターゲット、あるいは、Alターゲットを用い、純CuあるいはCu合金平角状導体表面に目標膜厚のSiO絶縁膜あるいはAl絶縁膜を成膜することにより、表4に示す比較例絶縁導体1〜10を作製した。
【0019】
ついで、本発明絶縁導体1〜15および比較例絶縁導体1〜10のそれぞれについて、導体とSiO絶縁膜(あるいはAl絶縁膜)の界面の断面を、透過型電子顕微鏡(TEM)による格子像観察、エネルギー分散型X線分光分析(EDS)およびオージェ分光分析(AES)による元素マッピングにより、界面に形成されている組織を特定した。
この結果を、表3、表4にそれぞれ示す。
【0020】
さらに、本発明絶縁導体1〜15および比較例絶縁導体1〜10のそれぞれについて、絶縁導体として備える各種の特性(電気抵抗、耐電圧、密着性、表面平滑性)を、それぞれ以下の測定方法により測定した。
電気抵抗及び耐電圧測定:
デジタル超高抵抗/微小電流計及びレジスティビティチェンバを用いた。レジスティビティチェンバの下部電極上に、絶縁層を上面にしたサンプル、電極の順に設置する。
1分法にて、低電圧から50Vごとに各印加電圧の絶縁導体の電気抵抗を測定する。表3及び表4の絶縁導体の電気抵抗値は、50V印加時の値である。
また、耐電圧は、「電気抵抗値が1×1010(Ω・cm)未満の電気抵抗が得られた電圧」−「50V」の値である。
密着性試験:
目視による概観試験を行い、「剥離無し(=良好)」,「一部剥離」,「ほぼ全て剥離」の3段階に分類した。
表面平滑性(粗さ)測定:
レーザー顕微鏡を用いて、算術平均粗さ(Ra)について、□10μmの測定エリアで、10回測定し、その平均値を算出した。
上記の各測定結果を、表3、表4にそれぞれ示す。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
【表4】

【0025】
表1〜4に示される結果から、質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちの一種を合金成分として含有するCu合金(0.1質量%以下の合計含有量の不可避不純物を許容)導体の表面に、厚さ5〜20nmの複合酸化物層(CaO・SiOからなる複合酸化物、3Al・2SiOからなる複合酸化物、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合複合酸化物)を介して、厚さ3μmのSiO膜を絶縁膜として形成している本発明絶縁導体1〜15は、比較例絶縁導体1〜10と同程度の電気抵抗を備えることに加え、比較例絶縁導体1〜10に比して、絶縁膜の密着性に優れ、表面粗さが小さく表面平滑性に優れ、耐電圧が1kV以上であることから絶縁性にも優れることは明らかである。
【0026】
つぎに、SiO絶縁膜の膜厚による絶縁性の影響をみるため、本発明絶縁導体5について、スパッタリングによる成膜時間を変更し、形成するSiO絶縁膜の厚さを変化させて絶縁性試験を行った。
この結果を、図2および表5に示す。
同様に、比較例絶縁導体4については、スパッタリングによる成膜時間を変更し、Al絶縁膜の厚さを変化させて絶縁性試験を行った。
その結果を、同じく、図2および表5に示す。
さらに、比較例絶縁導体7,10(導体は、純Cu)についても、スパッタリングによる成膜時間を変更し、形成するSiO絶縁膜あるいはAl絶縁膜の厚さを変化させて絶縁性試験を行った。
その結果を、同じく、図2および表5に示す。
【0027】
【表5】

【0028】
図2および表5に示される結果から、本発明の絶縁導体においては、SiO絶縁膜の厚さを増すにしたがって絶縁特性が向上し、SiO絶縁膜の膜厚が3μmを超えると耐電圧は1kV以上となり、すぐれた絶縁特性を示す。
さらに、膜厚と耐電圧はほぼ比例関係となり、膜厚1μmでも耐電圧300Vを示し、すぐれた絶縁特性を示す。
これに対して、比較例の絶縁導体においては、絶縁膜の厚さが3〜5μmの範囲で耐電圧のピークを示すが、そのピーク値はせいぜい400Vに過ぎず、また、絶縁膜の膜厚を増加しても、絶縁性が向上することはなく、むしろ絶縁特性が低下傾向を示している。
これは、絶縁膜の厚さを増加させることによって、導体と絶縁膜の界面の密着性がむしろ劣化する(表4の密着性評価の欄参照)ために、その結果として、絶縁特性が低下するものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のとおり、この発明の絶縁導体は、特定量のCa、AlまたはMgを合金成分として含有するCu合金導体の表面に、特定の複合酸化物層を介して、厚さ1μm以上のSiO膜を絶縁膜として形成していることにより、絶縁膜のCu合金導体への密着性に優れ、膜厚が均一であり、さらに、1μm以上の膜厚で耐電圧300V以上というすぐれた絶縁特性を備えた絶縁導体を得ることができる。
したがって、この絶縁導体を平角状絶縁導体として適用した場合には、導体占有体積率が高く、コイル容積率の小さい平角状の絶縁導体を得ることができるので、電気・電子機器の小型化、軽量化に有効であり、さらに、Cu基体上にこの絶縁導体を配した場合には、信頼性の高い絶縁特性を有する絶縁膜被覆Cu端子材としても利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちから選ばれるいずれか一種を含有し、残部はCu及び不可避不純物からなるCu合金導体の表面に、厚さ5〜20nmの複合酸化物層を介して、厚さ1μm以上のSiO膜が絶縁膜として形成されていることを特徴とする絶縁導体。
【請求項2】
質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちから選ばれるいずれか一種を含有し、残部はCu及び不可避不純物からなるCu合金導体の表面に、厚さ5〜20nmのCaO・SiOからなる複合酸化物、3Al・2SiOからなる複合酸化物、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合複合酸化物のいずれかからなる複合酸化物層を介して、厚さ1μm以上のSiO膜が絶縁膜として形成されていることを特徴とする耐電圧300V以上の良絶縁性を備えた平角状の絶縁導体。
【請求項3】
Cu基体上に、質量%で、Ca:0.01〜10%、Al:0.01〜10%、Mg:0.01〜5%のうちから選ばれるいずれか一種を含有し、残部はCu及び不可避不純物からなるCu合金導体が配設され、さらに、該Cu合金導体の表面に、厚さ5〜20nmのCaO・SiOからなる複合酸化物、3Al・2SiOからなる複合酸化物、2MgO・SiOとMgO・SiOの混合複合酸化物のいずれかからなる複合酸化物層を介して、厚さ1μm以上のSiO膜が絶縁膜として形成されている構造を有することを特徴とする絶縁導体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−3280(P2011−3280A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142907(P2009−142907)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】