説明

緊急エリア提示装置及び緊急エリア提示方法

【課題】移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を地域ごとに示す情報の提供が可能な緊急エリア提示装置及び緊急エリア提示方法を提供する。
【解決手段】緊急エリア提示装置Pは、移動端末から発信された緊急通報に基づいて、当該緊急通報が発信されたエリアに関する情報を提供する緊急エリア提示装置であって、移動端末から送信された、当該移動端末の現在地情報を含む緊急通報情報を受信する社会センサユニットU1と、受信された緊急通報情報が含む現在地情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報情報の送信頻度を示す犯罪マップを生成するペタマイニングユニットU2及びモバイルデモグラフィーユニットU3と、生成された犯罪マップを表示する可視化ソリューションユニットU4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末から発信された緊急通報に基づいて、当該緊急通報が発信されたエリアに関する情報を提供する緊急エリア提示装置と、当該緊急エリア提示装置が行なう緊急エリア提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動端末の詳細な位置での通信履歴に基づいて通信を行うシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、移動端末が、情報記憶装置が記憶する複数の通信履歴情報の中から当該移動端末の位置に応じた通信条件を選択し、選択した通信条件に基づいて通信中継装置と通信を行う移動通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−186820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を地域ごとに把握できるようにすることの要請が高まっている。しかしながら、上記の特許文献1に記載の移動通信システムでは、移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を地域ごとに示す情報の提供に関してはなんら考慮されていないため、利便性が低い。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を地域ごとに示す情報の提供が可能な緊急エリア提示装置及び緊急エリア提示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、上記した目的を達成するため鋭意検討し、移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報が発信された発信頻度を示す地域に関する情報の提供が可能な緊急エリア提示装置及び緊急通報発信情報提供方法を発明した。
【0007】
即ち、本発明に係る緊急エリア提示装置は、移動端末から発信された緊急通報に基づいて、当該緊急通報が発信されたエリアに関する情報を提供する緊急エリア提示装置であって、移動端末から送信された、当該移動端末の現在地情報を含む緊急通報情報を受信する受信手段と、受信手段により受信された緊急通報情報が含む現在地情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報情報の送信頻度を示す緊急エリア情報を生成する生成手段と、生成手段により生成された緊急エリア情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る緊急エリア提示装置は、まず、移動端末から送信された緊急通報情報を受信し、この緊急通報情報が含む現在地情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報情報の送信頻度を示す緊急エリア情報を生成する。そして、緊急エリア提示装置は、この緊急エリア情報を表示する。このため、緊急通報情報の送信といった移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を地域としての所定エリアごとに示す情報である緊急エリア情報の提供が可能になる。
【0009】
また、緊急通報情報は、当該緊急通報情報の送信が行なわれた時刻を示す時刻情報を含み、生成手段は、受信手段により受信された緊急通報情報が含む現在地情報及び時刻情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報情報の送信頻度を、複数の所定時間帯のそれぞれについて示す緊急エリア情報を生成するのも好ましい。
【0010】
この構成により、緊急エリア提示装置は、緊急通報情報が含む現在地情報及び時刻情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報情報の送信頻度を、複数の所定時間帯のそれぞれについて示す緊急エリア情報を生成する。このため、緊急通報の発信頻度を、複数の所定時間帯のそれぞれについて示す緊急エリア情報の提供が可能になる。
【0011】
また、緊急通報情報は、当該緊急通報情報を送信した移動端末を識別する識別情報を含み、受信手段により受信された緊急通報情報が含む識別情報に基づいて、移動端末のそれぞれについて当該緊急通報情報を送信した送信回数を計算する計算手段を更に備え、生成手段は、計算手段により計算された送信回数が所定回数以上である移動端末から送信された緊急通報情報が含む現在地情報を除いた残りの現在地情報に基づいて、緊急エリア情報を生成するのも好ましい。
【0012】
この構成により、緊急エリア提示装置は、緊急通報情報が含む識別情報に基づいて、移動端末のそれぞれについて当該緊急通報情報を送信した送信回数を計算し、この送信回数が所定回数以上である移動端末から送信された緊急通報情報が含む現在地情報を除いた残りの現在地情報に基づいて、緊急エリア情報を生成する。このように、緊急通報情報の送信回数が所定回数以上である移動端末から送信された緊急通報情報を除くことによって、例えば送信回数が比較的多いいたずら目的の移動端末から送信された緊急通報情報を除外することができる。この結果、より精度が高められて生成された緊急エリア情報の提供が可能になる。
【0013】
また、生成手段は、受信手段により受信された緊急通報情報が含む時刻情報及び識別情報に基づいて、同一の所定時間帯における互いに異なる当該識別情報により識別される移動端末の個数が多くなる程、当該同一の所定時間帯における当該移動端末から送信された当該緊急通報情報の送信頻度に加算する加算数を少なくする重み付けを行って緊急エリア情報を生成するのも好ましい。
【0014】
この構成により、緊急エリア提示装置は、緊急通報情報が含む時刻情報及び識別情報に基づいて、同一の所定時間帯における互いに異なる当該識別情報により識別される移動端末の個数が多くなる程、当該同一の所定時間帯における当該移動端末から送信された当該緊急通報情報の送信頻度に加算する加算数を少なくする重み付けを行って緊急エリア情報を生成する。このように、同一の所定時間帯における移動端末の個数が多くなる程、当該移動端末から送信された当該緊急通報情報の送信頻度に加算する加算数を少なくする重み付けを行なうことによって、同一の緊急事態に関する複数の緊急通報による送信頻度の増加を防ぐことができる。この結果、より精度が高められて生成された緊急エリア情報の提供が可能になる。
【0015】
また、本発明に係る緊急エリア提示方法は、移動端末から発信された緊急通報に基づいて、当該緊急通報が発信されたエリアに関する情報を提供する緊急エリア提示装置が行なう緊急エリア提示方法であって、移動端末から送信された、当該移動端末の現在地情報を含む緊急通報情報を緊急エリア提示装置が受信する受信ステップと、受信ステップで受信された緊急通報情報が含む現在地情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報情報の送信頻度を示す緊急エリア情報を緊急エリア提示装置が生成する生成ステップと、生成ステップで生成された緊急エリア情報を緊急エリア提示装置が表示する表示ステップと、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る緊急エリア提示方法では、まず、移動端末から送信された緊急通報情報を受信し、この緊急通報情報が含む現在地情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報情報の送信頻度を示す緊急エリア情報を生成する。そして、緊急エリア提示装置は、この緊急エリア情報を表示する。このため、緊急通報情報の送信といった移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を地域としての所定エリアごとに示す情報である緊急エリア情報の提供が可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を地域ごとに示す情報の提供が可能な緊急エリア提示装置及び緊急エリア提示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】緊急エリア提示装置を含むシステムの全体構成の概略を説明するための構成図である。
【図2】緊急エリア提示装置の主な機能構成を説明するための機能構成図である。
【図3】緊急エリア提示装置の物理構成を説明するための物理構成図である。
【図4】ポイントデータテーブルのテーブル構成を示すテーブル構成図である。
【図5】人口分布テーブルのテーブル構成を説明するためのテーブル構成図である。
【図6】緊急通報発生率テーブルのテーブル構成を説明するためのテーブル構成図である。
【図7】犯罪マップの一例を説明するための説明図である。
【図8】緊急エリア提示処理の全体の流れを示すシーケンス図である。
【図9】緊急エリア提示処理の一部を詳細に示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
(1)緊急エリア提示装置の構成
まず、本実施形態に係る緊急エリア提示装置について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、この緊急エリア提示装置Pを含むシステムの全体構成の概略を説明するための構成図である。緊急エリア提示装置Pは、携帯電話端末といった移動端末から発信された緊急通報(例えば、110番、118番、119番等)に関する通報データ(緊急通報情報)に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報の送信頻度や送信発生率を示す犯罪マップ(即ち、犯罪多発エリアを示す緊急エリア情報)を提供する装置である。
【0021】
なお、上記の通報データは、移動端末のユーザに通信サービスを提供する通信事業者が取得して所有可能なデータであり、例えば通報データを送信した移動端末の現在位置に関する現在地情報や、通報データの送信が行なわれた時刻を示す時刻情報や、通報データを送信した移動端末を一意に識別する後述のユーザ識別子(識別情報)等が含まれている。上記の現在地情報は、例えばGPS(Global Positioning System。即ち、全地球測位システム)や携帯電話端末の無線を使った位置測位システムを利用することによって取得される。
【0022】
緊急エリア提示装置Pは、図1に示されるように、セクタ情報格納装置C1、端末位置情報格納装置C2、GPSデータ格納装置C3、地図情報格納装置C4、及び顧客情報格納装置C5等から、上記の通報データを含む各種データを受信して上記の犯罪マップを作成し、企業D1、官公庁D2、個人D3等に提供する。
【0023】
ここで、セクタ情報格納装置C1は、例えばMMS/xGSNといった移動通信交換システムであり、緊急エリア提示装置Pにセクタデータを送信する装置である。また、端末位置情報格納装置C2は、例えばEBSCP(External Business user Service Control Point)といった対プロバイダ認証接続管理装置であり、緊急エリア提示装置Pにiエリア(登録商標)−GPSデータといった現在地情報を送信する装置である。
【0024】
また、GPSデータ格納装置C3は、例えばCiRCUSといったパケット通信サービス実施システムであり、緊急エリア提示装置PにATF−GPSデータといった現在地情報を送信する装置である。
【0025】
また、緊急エリア提示装置Pは、社会センサユニットU1(受信手段)、ペタマイニングユニットU2(即ち、PMU。生成手段)、モバイルデモグラフィーユニットU3(即ち、MDU。生成手段)、及び可視化ソリューションユニットU4(即ち、VSU。表示手段)を備えて構成されている。緊急エリア提示装置Pの主な機能を有するメインユニットは、モバイルデモグラフィーユニットU3及び可視化ソリューションユニットU4であるが、メインユニットにペタマイニングユニットU2を加えた構成としてもよい。
【0026】
ここで、社会センサユニットU1は、上記の通報データを含む各種データを受信するためのサーバ群のユニットである。社会センサユニットU1は、社会センサーサーバを少なくとも数機備えて構成されている。これらの社会センサーサーバのそれぞれが、セクタ情報格納装置C1、端末位置情報格納装置C2、及びGPSデータ格納装置C3のそれぞれから各種データを受信する。
【0027】
また、ペタマイニングユニットU2は、受信された各種データに基づいて、緊急通報を行なった移動端末を特定するためのサーバ群のユニットである。ペタマイニングユニットU2は、ぺタマイニングサーバを少なくとも数十機備えて構成されている。これらのぺタマイニングサーバのそれぞれが、上記の社会センサーサーバから各種データを受信する。
【0028】
また、モバイルデモグラフィーユニットU3は、特定された移動端末に基づいて、複数の所定時間帯のそれぞれについての犯罪マップを生成するためのサーバ群のユニットである。モバイルデモグラフィーユニットU3は、モバイルデモグラフィーサーバを少なくとも数機備えて構成されている。これらのモバイルデモグラフィーサーバのそれぞれが、上記のぺタマイニングサーバから各種データを受信する。
【0029】
また、可視化ソリューションユニットU4は、生成された犯罪マップを企業D1、官公庁D2、個人D3等のそれぞれが利用する端末に送信して提供表示するためのサーバ群のユニットである。可視化ソリューションユニットU4は、可視化ソリューションサーバを数機備えて構成されている。これらの可視化ソリューションサーバのそれぞれが、上記のモバイルデモグラフィーサーバから各種データを受信する。
【0030】
なお、企業D1は、受信した犯罪マップに基づいて、店舗開発や商品開発等を行なう。また、官公庁D2は、受信した犯罪マップに基づいて、国勢調査、道路交通調査、災害対策、環境対策等を行なう。また、個人D3は、受信した犯罪マップに基づいて、店舗の混雑に関する情報や人気が出そうな地域エリアに関する予報を把握する。
【0031】
(2)緊急エリア提示装置の構成
次に、本実施形態に係る緊急エリア提示装置について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、緊急エリア提示装置Pの主な機能構成を説明するための機能構成図であり、図3は、緊急エリア提示装置Pの物理構成を説明するための物理構成図である。緊急エリア提示装置Pは、図3に示されるように、物理的な構成要素としてCPUP01(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAMP02(Random Access Memory)及びROMP03(Read Only Memory)、通信を行うための通信モジュールP04、並びにハードディスク等の補助記憶装置P05等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。これらの構成要素が動作することにより、緊急エリア提示装置Pの機能が発揮される。
【0032】
また、緊急エリア提示装置Pは、図2に示されるように、主な機能的な構成要素として、モバイルデモグラフィーユニットU3、可視化ソリューションユニットU4、位置情報DB11(データベース)、及び人口分布DB14(データベース)を備えて構成される。なお、モバイルデモグラフィーユニットU3は、通報抽出モジュール12、通報回数計算モジュール13(計算手段)、通報率計算モジュール15、及び各種統計DB16(データベース)を有して構成されており、可視化ソリューションユニットU4は、可視化モジュール17を有して構成されている。
【0033】
位置情報DB11は、社会センサユニットU1によって受信された各種データに基づいて、緊急通報や通常発信等を行なった移動端末の位置をポイントデータとして特定して位置情報を格納するデータベースである。
【0034】
通報抽出モジュール12は、位置が特定された移動端末を一意に識別する後述のユーザ識別子(識別情報)を含むポイントデータのうち、緊急通報の発信が実行されたか否かを示す緊急通知フラグによって緊急通報の発信の実行が示されたポイントデータを抽出して読み込むモジュールである。緊急通知フラグが示す内容は、ELIS(Emergency Location Immediate Service。即ち、緊急位置迅速サービス)や、ELRS(Emergency Location Reporting Service。即ち、緊急位置報告サービス)により決定される。抽出して読み込んだポイントデータは、通報抽出モジュール12が有する後述のポイントデータテーブルに格納される。
【0035】
通報回数計算モジュール13は、緊急通知フラグによって緊急通報の発信の実行が示されているとして抽出されたポイントデータと、このポイントデータに含まれる後述のユーザ識別子とに基づいて、移動端末のそれぞれについて緊急通報が発信された発信回数(即ち、緊急通知送信回数)の合計等の演算処理を行なうモジュールである。
【0036】
また、通報回数計算モジュール13は、通報データに含まれる時刻情報及び後述のユーザ識別子に基づいて、同一の所定時間帯(例えば、午前の時間帯や午後の時間帯)における互いに異なるユーザ識別子により一意に識別される移動端末の個数が多くなる程、この同一の所定時間帯における移動端末から送信された通報データの緊急通知送信回数に加算してカウントするカウント数(即ち、加算数)を少なくする重み付けを行なう。
【0037】
この重み付けに関して、例えば、通常のカウント数(例えば1)と、1より小さい所定の数値(例えば0.3)とを積算して得られる数値(ここでは0.3)を、加算のためのカウント数(ここでは0.3)として決定して加算してカウントする重み付けが行なわれる。そして、更にカウントが行なわれる場合は、通常のカウント数(ここでは1)と、上記の所定の数値よりも小さい数値(ここでは0.2)とを積算して得られる数値(ここでは0.2)を、加算のためのカウント数(ここでは0.2)として決定して加算してカウントする重み付けが行なわれる。
【0038】
人口分布DB14は、上記の通信事業者が管理する各地域エリアにおける人口分布データを格納するデータベースである。各地域エリアにおける人口分布データは、人口分布DB14が有する後述の町丁目別人口分布テーブルや、人口分布DB14が有する後述のメッシュ別人口分布テーブルに格納される。この町丁目別人口分布データや、メッシュ別人口分布データは、例えば国勢調査等によって得られた人口分布に関するデータであってもよく、位置情報DB11に格納された移動端末の位置情報に基づく人口分布に関するデータであってもよい。
【0039】
通報率計算モジュール15は、上記の演算処理によって求められた上記の発信回数の合計に基づいて、人口分布DB14に格納されている人口分布データを参照しながら、地域エリアごとの緊急通報が発信された通報率(即ち、緊急通報発生率)等の統計計算を行なって、犯罪マップ等の各種統計情報を生成するモジュールである。犯罪マップは、町丁目別に生成してもよく、メッシュ別に生成してもよい。
【0040】
各種統計DB16は、生成された犯罪マップ等の各種統計情報を格納するデータベースである。各種統計DB16は、後述の町丁目別緊急通報発生率テーブルやメッシュ別緊急通報発生率テーブルを有する。そして、生成された犯罪マップ等の各種統計情報は、この町丁目別緊急通報発生率テーブルやメッシュ別緊急通報発生率テーブルに格納される。
【0041】
可視化モジュール17は、格納された犯罪マップ等の各種統計情報を可視化した情報に編集して、企業D1、官公庁D2、個人D3等のそれぞれが利用する端末に送信して提供するモジュールである。
【0042】
(3)ポイントデータテーブルのテーブル構成
次に、上記のポイントデータテーブルのテーブル構成について、図4を用いて説明する。図4は、ポイントデータテーブルのテーブル構成を示すテーブル構成図である。ポイントデータテーブルは、データ項目として例えば、後述のユーザ識別子、緯度、経度、タイムスタンプ、位置情報種別等を有する。ユーザ識別子には、例えば“111”のように、ユーザが用いる移動端末を一意に識別するための識別子が格納される。緯度及び経度のそれぞれには、例えば“X1”及び“Y1”のそれぞれのように、GPSの利用によって特定された移動端末の現在地の緯度及び経度のそれぞれが格納される。タイムスタンプには、例えば“T1”のように、ユーザ識別子によって特定された移動端末において通報データの送信が行なわれた時刻が格納される。位置情報種別には、例えば“V1”のように、移動端末からの発信内容が緊急通報であるか否かを示すフラグ情報が格納される。この位置情報種別には、緊急通報の種別(例えば、110番、118番、119番等)が格納される構成であってもよい。
【0043】
(4)人口分布テーブルのテーブル構成
次に、上記の町丁目別人口分布テーブルのテーブル構成について、図5(a)を用いて説明する。図5(a)は、町丁目別人口分布テーブルのテーブル構成を示すテーブル構成図である。町丁目別人口分布テーブルは、データ項目として例えば、町丁目識別子、町丁目名、人口数等を有する。町丁目識別子には、例えば“N1”のように、町丁目を一意に識別するための識別子が格納される。町丁目名には、例えば“L1”のように、町丁目識別子によって識別された町丁目の名前が格納される。人口数には、例えば“P1”のように、町丁目識別子によって識別された地域エリアにおける人口数が格納される。
【0044】
次に、上記のメッシュ別人口分布テーブルのテーブル構成について、図5(b)を用いて説明する。図5(b)は、メッシュ別人口分布テーブルのテーブル構成を示すテーブル構成図である。メッシュ別人口分布テーブルは、データ項目として例えば、メッシュ識別子、人口数等を有する。メッシュ識別子には、例えば“M1”のように、地域エリアをメッシュ状に分割した場合の各メッシュを一意に識別するための識別子が格納される。人口数には、例えば“Q1”のように、メッシュ識別子によって識別された地域エリアにおける人口数が格納される。
【0045】
(5)緊急通報発生率テーブルのテーブル構成
次に、上記の町丁目別緊急通報発生率テーブルのテーブル構成について、図6(a)を用いて説明する。図6(a)は、町丁目別緊急通報発生率テーブルのテーブル構成を示すテーブル構成図である。町丁目別緊急通報発生率テーブルは、データ項目として例えば、町丁目識別子、町丁目名、緊急通報発生率等を有する。町丁目識別子には、例えば“N1”のように、町丁目を一意に識別するための識別子が格納される。町丁目名には、例えば“L1”のように、町丁目識別子によって識別された町丁目の名前が格納される。緊急通報発生率には、例えば“A1”のように、町丁目識別子によって識別された地域エリアにおいて緊急通報が発信された緊急通報発生率が格納される。
【0046】
次に、上記のメッシュ別緊急通報発生率テーブルのテーブル構成について、図6(b)を用いて説明する。図6(b)は、メッシュ別緊急通報発生率テーブルのテーブル構成を示すテーブル構成図である。メッシュ別緊急通報発生率テーブルは、データ項目として例えば、メッシュ識別子、緊急通報発生率等を有する。メッシュ識別子には、例えば“M1”のように、地域エリアをメッシュ状に分割した場合の各メッシュを一意に識別するための識別子が格納される。緊急通報発生率には、例えば“Q1”のように、メッシュ識別子によって識別された地域エリアにおいて緊急通報が発信された緊急通報発生率が格納される。
【0047】
(6)犯罪マップの一例
次に、モバイルデモグラフィーユニットU3によって生成された犯罪マップの一例について、図7を用いて説明する。図7は、犯罪マップの一例を説明するための説明図である。
【0048】
まず、犯罪マップの生成及び分析前の処理として、通報抽出モジュール12が、ユーザ識別子を含むデータであるポイントデータのうち、緊急通知フラグによって緊急通報の発信の実行が示されたポイントデータを抽出する。抽出されたポイントデータは、図7(a)に示されるように、地図上に複数のポイントPとして示される。図7(a)において、破線Laは町丁目の境界である町丁目界を示しており、十字状の実線Lbはメッシュの境界であるメッシュ界を示している。このため、図7(a)に示された地域エリアは、この町丁目界によって三分割されているとともに、メッシュ界によって四等分割されている。
【0049】
次に、通報回数計算モジュール13が、緊急通報が発信された発信回数の合計等の演算処理を行ない、通報率計算モジュール15が、この発信回数の合計に基づいて、犯罪マップ等の各種統計情報を生成する。そして、可視化モジュール17が、犯罪マップ等の各種統計情報を可視化した情報に編集する。
【0050】
ここで、町丁目別緊急通報発生率テーブルに格納された犯罪マップ等の各種統計情報は、図7(b)に示されるように、破線Laが示す町丁目界によって分割された3つの地域エリアA1,A2,A3のそれぞれにおける発生頻度が模様や色によって可視化された分析後の犯罪マップとして示される。即ち、地域エリアA1,A2,A3のそれぞれに含まれるポイントデータの数は12、6、2であり、地域エリアA1の面積に対する発生頻度は地域エリアA2,A3のそれぞれの面積に対する発生頻度よりも高いという演算結果から、地域エリアA1が、発生頻度が最も高い色としての赤色の模様によって可視化される。
【0051】
また、地域エリアA2の面積に対する発生頻度は地域エリアA3の面積に対する発生頻度よりも高いという演算結果から、地域エリアA2が、発生頻度が次に高い色としての黄色の模様によって可視化される。そして、残る地域エリアA3が、発生頻度が最も低い色としての緑色の模様によって可視化される。なお、上記の可視化した犯罪マップは、通報データの送信頻度を、複数の所定の時間帯のそれぞれ(例えば、午前の時間帯と午後の時間帯のそれぞれ)について示すものであってもよい。
【0052】
一方、メッシュ別緊急通報発生率テーブルに格納された犯罪マップ等の各種統計情報は、図7(c)に示されるように、実線Lbが示すメッシュ界によって分割された4つの地域エリアB1,B2,B3,B4のそれぞれにおける発生頻度が模様や色によって可視化された分析後の犯罪マップとして示される。即ち、地域エリアB1,B2,B3,B4のそれぞれに含まれるポイントデータの数は12、4、2、2であり、地域エリアB1の面積に対する発生頻度は地域エリアB2,B3,B4のそれぞれの面積に対する発生頻度よりも高いという演算結果から、地域エリアB1が、発生頻度が最も高い色としての赤色の模様によって可視化される。
【0053】
また、地域エリアB2の面積に対する発生頻度は地域エリアB3,B4の面積に対する発生頻度よりも高いという演算結果から、地域エリアB2が、発生頻度が次に高い色としての黄色の模様によって可視化される。そして、残る地域エリアB3,B4が、発生頻度が最も低い色としての緑色の模様によって可視化される。なお、上記の可視化した犯罪マップは、通報データの送信頻度を、複数の所定の時間帯のそれぞれ(例えば、午前の時間帯と午後の時間帯のそれぞれ)について示すものであってもよい。
【0054】
(7)緊急エリア提示処理の流れ
次に、本実施形態に係る緊急エリア提示装置Pで実行される緊急エリア提示処理アルゴリズムの流れ(緊急エリア提示方法)について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、緊急エリア提示装置Pで実行される緊急エリア提示処理の全体の流れを示すシーケンス図であり、図9は、この緊急エリア提示処理の一部を詳細に示すシーケンス図である。
【0055】
最初に、図8を用いて、緊急エリア提示処理の全体の流れを説明する。まず、通報抽出モジュール12が、ユーザ識別子を含むデータであるポイントデータを読み込む(ステップS1、受信ステップ)。そして、通報抽出モジュール12が、上記のポイントデータのうち、緊急通知フラグによって緊急通報の発信の実行が示されたポイントデータを抽出して読み込む(ステップS2)。
【0056】
次に、通報回数計算モジュール13が、緊急通知フラグによって緊急通報の発信の実行が示されているとして抽出されたポイントデータに基づいて、緊急通報が発信された緊急通知回数の合計等の計算処理を行なう(ステップS3)。そして、通報率計算モジュール15が、人口分布DB14に格納されている人口分布データに基づいて、地域エリアごとの人数を計算する(ステップS4)。
【0057】
次に、通報率計算モジュール15が、ステップS3で求められた緊急通知回数の合計と、ステップS4で求められた地域エリアごとの人数とに基づいて、地域エリアごとの緊急通報発生率等の統計計算を行なって、犯罪マップ等の各種統計情報を生成する(ステップS5、生成ステップ)。犯罪マップは、町丁目別に生成してもよく、メッシュ別に生成してもよい。そして、可視化モジュール17が、各種統計DB16に格納された犯罪マップ等の各種統計情報を可視化した情報に編集して、企業D1、官公庁D2、個人D3等のそれぞれが利用する端末に送信して表示させる(ステップS6、表示ステップ)。これにより、地域エリアごとの緊急通報発生率等が表示される。
【0058】
ここで、図9を用いて、上記のステップS3の詳細を説明する。まず、通報回数計算モジュール13が、移動端末のユーザごとの緊急通知回数の合計等の計算処理を行なう(ステップS30)。そして、通報回数計算モジュール13が、移動端末のユーザごとに、緊急通知回数が所定回数(即ち、閾値)以上であるか否かを判定する(ステップS31)。緊急通知回数は閾値以上であると判定された場合、通報回数計算モジュール13が、この閾値以上の回数の緊急通報を行なったユーザに関するデータをいたずら目的の通報だと判断して削除して(ステップS32)、上記のステップS4に移行する。一方、緊急通知回数は閾値以上でない(即ち、閾値未満である)と判定された場合、後述のステップS34に移行する。
【0059】
ステップS34では、通報回数計算モジュール13が、所定の場所(即ち、地域エリア)及び所定の時間帯(例えば、午前の時間帯と午後の時間帯)による区分整理(即ち、クラスタ化)のための基準を決定する。
【0060】
そして、通報回数計算モジュール13が、上記の取り出したデータに関して、既に1つ以上のポイントデータが含まれているクラスタに新たに含めることができるか否かを判定する(ステップS35)。既に1つ以上のポイントデータが含まれているクラスタに新たに含めることができないと判定された場合、後述のステップS36に移行する。一方、既に1つ以上のポイントデータが含まれているクラスタに新たに含めることができると判定された場合、後述のステップS37に移行する。
【0061】
ステップS36では、通報回数計算モジュール13が、対応するクラスタにおける緊急通知送信回数に通常のカウント数を加算してカウントする処理を行なう。そして、上記のステップS4に移行する。
【0062】
ステップS37では、通報回数計算モジュール13が、対応するクラスタにおける緊急通知送信回数に加算してカウントするカウント数を少なくして加算してカウントする処理を行なう。そして、上記のステップS4に移行する。
【0063】
(8)本発明による作用及び効果
緊急エリア提示装置Pは、まず、移動端末から送信された通報データを受信し、この通報データが含む現在地情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける通報データの送信頻度を示す犯罪マップを生成する。そして、緊急エリア提示装置Pは、この犯罪マップを表示する。このため、通報データの送信といった移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を所定エリアごとに示す情報である犯罪マップ等の各種統計情報の提供が可能になる。
【0064】
また、緊急エリア提示装置Pは、通報データが含む現在地情報及び時刻情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける緊急通報情報の送信頻度を、複数の所定時間帯のそれぞれについて示す犯罪マップを生成する。このため、緊急通報の発信頻度を、複数の所定時間帯のそれぞれについて示す犯罪マップの提供が可能になる。
【0065】
また、緊急エリア提示装置Pは、通報データが含む識別情報に基づいて、移動端末のそれぞれについて緊急通知送信回数を計算し、この緊急通知送信回数が所定回数以上である移動端末から送信された通報データを除いた残りの現在地情報に基づいて、犯罪マップを生成する。このように、緊急通知送信回数が所定回数以上である移動端末から送信された通報データを除くことによって、例えば緊急通知送信回数が比較的多いいたずら目的の移動端末から送信された通報データを除外することができる。この結果、より精度が高められて生成された緊急エリア情報の提供が可能になる。
【0066】
また、緊急エリア提示装置Pは、通報データが含む時刻情報及びユーザ識別子に基づいて、同一の所定時間帯における互いに異なる当該ユーザ識別子により一意に識別される移動端末の個数が多くなる程、当該同一の所定時間帯における当該移動端末から送信された当該通報データの送信頻度に加算するカウント数を少なくする重み付けを行って犯罪マップを生成する。このように、同一の所定時間帯における移動端末の個数が多くなる程、当該移動端末から送信された当該通報データの送信頻度に加算するカウント数を少なくする重み付けを行なうことによって、同一の緊急事態に関する重複した緊急通報による送信頻度の増加を防ぐことができる。この結果、より精度が高められて生成された緊急エリア情報の提供が可能になる。
【0067】
(9)変形例
上記の実施例では、図2に示されるように、モバイルデモグラフィーユニットU3は、通報抽出モジュール12、通報回数計算モジュール13、通報率計算モジュール15、及び各種統計DB16を有する構成であるとして説明したが、同時に、図2の破線で示されるように、位置情報DB11、通報抽出モジュール12、通報回数計算モジュール13、人口分布DB14、及び通報率計算モジュール15がペタマイニングユニットU2を構成する態様としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、移動端末の通信履歴に基づいた、緊急通報の発信頻度を地域ごとに示す情報の提供が可能な緊急エリア提示装置及び緊急エリア提示方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0069】
11…位置情報DB、12…通報抽出モジュール、13…通報回数計算モジュール、14…人口分布DB、15…通報率計算モジュール、16…各種統計DB、17…可視化モジュール、A1〜A3,B1〜B4…地域エリア、C1…セクタ情報格納装置、C2…端末位置情報格納装置、C3…GPSデータ格納装置、C4…地図情報格納装置、C5…顧客情報格納装置、D1…企業、D2…官公庁、D3…個人、La…破線、Lb…実線、P…緊急エリア提示装置、P01…CPU、P02…RAM、P03…ROM、P04…通信モジュール、P05…補助記憶装置、U1…社会センサユニット、U2…ペタマイニングユニット、U3…モバイルデモグラフィーユニット、U4…可視化ソリューションユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末から発信された緊急通報に基づいて、当該緊急通報が発信されたエリアに関する情報を提供する緊急エリア提示装置であって、
前記移動端末から送信された、当該移動端末の現在地情報を含む緊急通報情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記緊急通報情報が含む前記現在地情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける前記緊急通報情報の送信頻度を示す緊急エリア情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記緊急エリア情報を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする緊急エリア提示装置。
【請求項2】
前記緊急通報情報は、当該緊急通報情報の送信が行なわれた時刻を示す時刻情報を含み、
前記生成手段は、前記受信手段により受信された前記緊急通報情報が含む前記現在地情報及び前記時刻情報に基づいて、前記複数の所定エリアのそれぞれにおける前記緊急通報情報の送信頻度を、複数の所定時間帯のそれぞれについて示す緊急エリア情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の緊急エリア提示装置。
【請求項3】
前記緊急通報情報は、当該緊急通報情報を送信した前記移動端末を識別する識別情報を含み、
前記受信手段により受信された前記緊急通報情報が含む前記識別情報に基づいて、前記移動端末のそれぞれについて当該緊急通報情報を送信した送信回数を計算する計算手段を更に備え、
前記生成手段は、前記計算手段により計算された前記送信回数が所定回数以上である前記移動端末から送信された前記緊急通報情報が含む前記現在地情報を除いた残りの前記現在地情報に基づいて、前記緊急エリア情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の緊急エリア提示装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記受信手段により受信された前記緊急通報情報が含む前記時刻情報及び前記識別情報に基づいて、同一の所定時間帯における互いに異なる当該識別情報により識別される前記移動端末の個数が多くなる程、当該同一の所定時間帯における当該移動端末から送信された当該緊急通報情報の送信頻度に加算する加算数を少なくする重み付けを行って前記緊急エリア情報を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の緊急エリア提示装置。
【請求項5】
移動端末から発信された緊急通報に基づいて、当該緊急通報が発信されたエリアに関する情報を提供する緊急エリア提示装置が行なう緊急エリア提示方法であって、
前記移動端末から送信された、当該移動端末の現在地情報を含む緊急通報情報を前記緊急エリア提示装置が受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信された前記緊急通報情報が含む前記現在地情報に基づいて、複数の所定エリアのそれぞれにおける前記緊急通報情報の送信頻度を示す緊急エリア情報を前記緊急エリア提示装置が生成する生成ステップと、
前記生成ステップで生成された前記緊急エリア情報を前記緊急エリア提示装置が表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする緊急エリア提示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−252169(P2010−252169A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101093(P2009−101093)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】