説明

緊急呼の処理

緊急呼の処理
通信システムとともに使用するためのユーザ端末である。ユーザ端末は、 不揮発性メモリと、着脱可能な加入者IDモジュールに保存された加入者IDを認証するため、使用時に、前記加入者IDモジュール及び前記通信システムと通信するように構成された加入者ID認証手段とを有する。使用され認証済みの加入者IDを前記不揮発性メモリに記録する記録手段が設けられる。 さらに、加入者IDモジュールがない場合に非認証緊急呼を開始し、前記使用され認証済みの加入者IDを前記不揮発性メモリから読み出し、読み出した加入者IDを前記開始中に前記通信システムに提供するように構成された緊急呼開始手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気通信ネットワークにおいて緊急呼を処理するための方法及び装置に関し、特には本物かどうか不明な緊急呼を処理するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ電話ネットワークにおいて、未認証移動体緊急呼は、加入者が十分に認証又は登録されていない緊急呼である。緊急応答機関(PSAP)、すなわち緊急センタへの加入者番号が不明な呼もまた、未認証移動体緊急呼と見なすことができる。通常の通話サービスはそのユーザ端末で利用できなくても、緊急呼はできるようにこのような未認証呼が許されてきた。未認証呼の例は例えば以下のものを含む。
● ユーザがネットワークにログインする前になされた呼。例えば、ユーザが(電話又はSIMロックのロックを解除するための)PINコードを入力する前に行う緊急呼。この場合、ユーザはその電話機の持ち主かも知れないし、そうでないかも知れない。
● ユーザが有効な加入者であるが、ユーザがキャンプオンしているオペレータとユーザが加入しているオペレータがローミング契約を結んでいない場合。ユーザの加入しているオペレータの競合先だけがサービスを提供している領域にユーザがいる場合や、ユーザが海外旅行している場合がこれに当てはまる例である。
● ユーザが、通常の通話を禁止されている場合。これは例えばユーザが請求された料金を支払っていないか、プリペイドカードの残金がなくなった場合でありうる。
● ユーザ端末が、認証のためのクレデンシャルを有する汎用ICカード(UICC)、例えばSIMやUSIMアプリケーションを有していない場合。これは、未認証緊急呼の過半数を占める。
【0003】
スウェーデンを例に取ると、2000年における未認証緊急呼数はおよそ700000であり、移動体ネットワークからの全緊急呼の約18%に相当する。これら700000の未認証通話のうち、実際に緊急事態に関するものはたった1.5%だった。未認証通話が可能であることは、事実上匿名での発呼が可能であるため、いたずら電話を助長してしまう。英国を含む一部の国では、いたずら電話の数を削減する試みにおいて、ネットワークオペレータが移動体ネットワーク上での未認証呼を禁止している。もちろん、これにより、未認証端末だけが利用できるというまれな状況において、ユーザが正当な緊急呼をすることができなくなる。
【0004】
現状の端末及びネットワークの実装は、クレデンシャルが見当たらなければ緊急呼の設定時にユーザID(GSM/UMTSの場合は国際移動加入者識別番号(IMSI))を省くことを端末に許可している。[注:IMSIはUICCが存在し、かつロックが解除されている場合のみ、端末が利用可能である。]その代わりに、端末は(GSM/UMTSの場合の国際移動体装置識別子(IMEI)番号のような)機器識別子を呼設定要求時に含めるであろう。図1は、SIM/USIMがユーザ端末内に存在し、かつロック解除されていることを前提とした、緊急呼に係るシグナリングフローを示す。SIM/USIMが存在せずまたロック解除されていない場合、認証は失敗するであろうが、緊急呼は継続することができる。IMSI(又はTMSI)の代わりにIMEIがCMサービス要求に含められるであろう。
【0005】
IPマルチメディアサブシステム(IMS)[これは、リッチなマルチメディアサービスを3G及び他のネットワーク上で提供する3GPPイニシアチブであり、セッション開始プロトコル(SIP)シグナリングをクライアントベースのSIPユーザエージェントとIMSネットワークノードとの間のSIPシグナリングを用いる]の場合、未認証緊急呼は3GPP TS 23.167及び3GPP TS 24.229に記載されている。要するに、UEは装置識別子を含んだ匿名の緊急要求を生成し、それをIMSコア内のP-CSCFに送信する。P-CSCFは未認証緊急呼が許可されていることを調べ、もし許可されていれば要求を緊急CSCF(E-CSCF)に転送する。位置検索機能(LRF)を用い、E-CSCFは呼をルーティングすべき最も近いPSAPを見つける。従前の回線交換型(CS)呼と同様、ユーザは匿名のいたずら電話を行う可能性を有している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、電気通信ネットワークにおいて未認証呼によって生じる問題を緩和することを目的とする。一見地によれば、少なくとも、この目的は、UICCが取り外された後であってもIDを利用することができるよう、認証されたユーザIDをユーザ端末内に保存することによって達成される。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、通信システムで用いるためのユーザ端末が提供される。ユーザ端末は、不揮発性メモリと、使用時に、加入者IDモジュール内に保存された加入者IDを認証するために、着脱可能なIDモジュール及び前記通信システムと通信するように構成された加入者ID認証手段とを有することを特徴とする。使用され認証された加入者IDを前記不揮発性メモリに記録するための記録手段が提供され、緊急呼開始手段は、加入者IDモジュールがない場合に未認証緊急呼を開始し、使用され認証された加入者IDを不揮発性メモリから検索し、開始中に、検索された加入者IDを通信システムに提供するように構成される。
【0008】
本発明の実施形態はオペレータ及び当局に、いたずら及び悪意のある未認証緊急呼に関与するユーザを追跡するための手法を提供する。
【0009】
端末のユーザがIDの変更を記録手段は認証済みの加入者IDを不揮発性メモリにセキュアに記憶するように構成されてもよい。さらに、緊急呼開始手段は、通信システムに提供された加入者IDが本物であると証明するように構成されてもよい。
【0010】
本発明は、無線のセルラ通信ユーザ端末に適用可能であり、その場合には加入者ID認証手段はGSM、EPS、及びUMTS規格の1つに従って動作するように構成されてよく、加入者IDをIMSI IDであってよい。緊急呼開始手段は回線交換型緊急呼を開始し、認証済み加入者IDをCMサービス要求とともに提供するように構成されてよい。
【0011】
緊急呼開始手段は回線交換型緊急呼を開始し、認証済み加入者IDを緊急SETUP要求とともに提供するように構成されてよい。あるいは、緊急呼開始手段はIMS緊急呼を開始し、認証済み加入者IDを緊急呼INVITEとともに提供するように構成されてよい。
【0012】
追加情報を提供するため、緊急呼開始手段は、認証済み加入者IDに加えてユーザ端末IDを通信システムに提供するように構成されてもよい。ユーザ端末IDはIMEI IDであってよい。
【0013】
本発明はEDATA又はeCall端末として動作するように構成されたユーザ端末に適用可能である。
【0014】
記録手段は不揮発性メモリに、使用されかつ認証済みの加入者IDを複数保存するように構成されてもよく、緊急呼開始手段は緊急呼開始手順においてこの複数のIDを読み出して通信システムに提供するように構成される。
【0015】
本発明の第2の見地によれば、通信システムと用いるためのユーザ端末が提供される。この端末は、不揮発性メモリと、使用時に、加入者IDモジュール内に保存された加入者IDを認証するため、着脱可能な加入者IDモジュール及び通信システムと通信するように構成された加入者ID認証手段とを有する。この端末は、加入者IDモジュールがない場合に端末からなされる未認証緊急呼の詳細を不揮発性メモリに記録するための記録手段と、加入者IDモジュールのユーザ端末への再装着後および加入者のシステムによる認証時又は認証後に、不揮発性メモリから緊急呼の詳細を読み出してシステムに提供するように構成されるデータ処理手段とをさらに有する。
【0016】
本発明の第3の見地によれば、通信システムで用いるための装置であって、ユーザ端末から未認証緊急呼要求を受信し、その要求を以前用いられ認証済みの加入者IDから検索し、そのIDを保存するように構成された装置が提供される。
【0017】
この装置はGSM/UMTSネットワークで使用するための在圏MSC、IPマルチメディアサブシステムの呼セッション制御機能ノード、およびIPマルチメディアサブシステムの位置登録機能の1つであってよい。
【0018】
本発明の第4の見地によれば、非緊急呼に対して加入者IDの認証を必要とする通信システムにおいて未認証緊急呼を処理するための方法が提供される。方法は、ユーザ端末に装着された加入者IDモジュールに保存されている加入者IDの認証に応じて、加入者IDを、ユーザ端末の、加入者IDモジュールではない不揮発性メモリに保存するステップを有する。加入者IDモジュールがユーザ端末から外された後、未認証緊急呼が端末から開始される。使用され認証済みのIDが不揮発性メモリから読み出され、開始中に通信システムに提供される。
【0019】
この方法は、使用され認証済みの加入者IDを、CMサービス要求、緊急SETUP、およびIMS緊急INVITEの1つに含めるステップをさらに有してもよい。
【0020】
方法はGSM、EPS、又はUMTS通信システムの1つで実施されてよく、加入者IDはIMSIであってよい。
【0021】
本発明の第5の見地によれば、非緊急呼に対して加入者IDの認証を必要とする通信システムにおいて未認証緊急呼を処理するための方法が提供される。方法は、加入者IDモジュールがユーザ端末から外された後、加入者IDモジュールがない状態で端末からなされた未認証緊急呼の詳細を端末の不揮発性メモリ内に保存するステップを有する。加入者IDモジュールのユーザ端末への再装着後および加入者のシステムによる認証時又は認証後に、緊急呼の詳細が不揮発性メモリから読み出され、システムに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来技術の認証された緊急呼設定に関するシグナリングフローを示す図である。
【図2】CSの場合であって、本発明の実施形態を用いた場合の未認証緊急呼設定に関するシグナリングフローを示す図である。
【図3】使用され認証済みのIMSIを記録し、未認証緊急呼設定の間にそれらIMSIをネットワークに提供するための手順を示すフローチャートである。
【図4】ユーザ端末及びネットワークノードを模式的に示す図である。
【図5】IMSの場合であって、本発明の実施形態を用いた場合の未認証緊急呼設定に関するシグナリングフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
移動ユーザ端末又はユーザ機器(EU)に汎用ICカード(UICC)がないと、オペレータおよび関連当局の少なくとも一方は、そのUEが関連付けられている加入者のIDが絶対に確実であることを判定できないであろう。しかし、オペレータ又は当局がそのUEの使用履歴に関するある情報を取得できれば、加入者又はユーザの追跡は可能であろう。
【0024】
上述した問題に対する第1の解決策を考えると、UEは、「新たな」UICCとともに用いられた場合、加入者のID、すなわちIMSIを、加入者がネットワークによって認証された後にUEの不揮発性メモリに保存することができる。すなわち、IMSIはUICC自身とは別のメモリに保存される。この情報はUICCが取り除かれていてもUEが読むことができ、未認証緊急呼に対して装置IDであるIMEIとともに新たなパラメータとして緊急呼設定要求に含められる。緊急呼であるために加入者のIDがネットワークに認証されなくても、それはいたずら緊急呼の追跡においてオペレータ/当局にとって非常に有用であろう。ネットワークオペレータはその後一定時間、その加入者がネットワークにアタッチすることを許可しないことにより、加入者に「罰を与える」ことができる。
【0025】
まず回線交換型(CS)呼の場合を考える。ユーザが未認証CS緊急呼をしようと試みる場合、UEは不揮発性メモリから読み出した古いIMSIと、IMEIとをCMサービス要求に含めなければならない。不揮発性メモリに複数のIMSIが保存されている場合、CMサービス要求又は緊急セットアップにIMSIのリストを含めてもよい。図2は、この場合に関するシグナリングフローを示し、以下のステップを規定している。
1. UEは緊急呼に関するCMサービス要求を送信する。現在の規格では、USIMが利用できない場合にはIMEIを送信しなければならない。以前用いられたIMSI又は以前用いられた複数のIMSIのリストが含められる。
2. CMサービス要求が(完全なL3情報を通じて)在圏MSC(VMSC)に受信される。以前使用されたIMSI(又は複数のIMSI)が受信された場合、VMSCはそれらを呼確立が進むまで保存する。
3. 緊急SETUPが以前用いられたIMSI(又は以前用いられた複数のIMSIのリスト)を含んでもよい。つまり、CMサービス要求にIMSIを含ませる代わりに用いることができる。VMSCはこれらを追加情報要素(IE)としてPSAPへのNNI呼制御メッセージに含めることができる。(注:図2ではISUP IAMが示されている。しかし、BICCおよびSIP-Iといった他の呼制御プロトコルを代わりに用いてもよい。)呼制御プロトコルは、この新たな機能を可能にするために拡張されることが想定されている。
注:ISUPへの拡張は新たなISUPパラメータ又は新たなAPMを通じて行われる。BICCが呼制御プロトコルとして用いられる場合、BICC APM(ITU-T Q.765.5)が拡張されるかもしれない。
【0026】
図3は、処理におけるキーとなるステップをさらに詳細に説明するフローチャートである。フローチャートはステップ100で開始する。ここでは、SIM/USIMを有する有効なUICCカードがUEに装着されているものとする。SIMがステップ101で認証され、ステップ102でUEは認証されたIMSIを不揮発性メモリに記録する。ステップ103で、ユーザがUICCを取り外す。その後、ユーザは非緊急呼を発信できなくなる。ステップ104でユーザは、未認証の緊急呼を開始する。これに応答してステップ105で端末は不揮発性メモリからIMSIを読み出し、未認証緊急呼設定要求に含める。ネットワークはこのIMSIを、(必要なら)後で参照するためにステップ107で保存する。処理はステップ108で終了する。
【0027】
図4はGSM/UMTSネットワークのUE1およびネットワークノード7を示している。UEはUICC3を受け入れてアクセスするためのUICCカードリーダ2を有する。UEは不揮発性メモリ4を有する。不揮発性メモリ4は、共有メモリでも専用メモリでもよい。レコーダ5は、上述したように、使用された認証済みIMSIのメモリ4への保存を処理する。緊急呼(E-call)設定部6は、ネットワークと緊急呼を確立する責を負い、必要に応じて必要な際にメモリ4からIMSI値(又はIMSIリスト)を取得する。ネットワークノード7は、メッセージハンドラ8を有する。メッセージハンドラ8は、緊急呼に関する入来CMサービス要求を処理するとともに、呼が未認証の場合にはメッセージからIMSI又はIMSIリストを抽出する。抽出結果はメモリ9に保存される。
【0028】
IMSベースの未認証緊急呼を考える。ユーザがそのような呼を試行すると、UEは、(IMEIのような)装置識別子に加えて、読み出された使用済みIMSIを含めなければならない。図5は、以下のステップを含む、可能性のある使用方法を示す。
1. UEが、IMEI及び、不揮発性メモリから読み出された、UEで用いられた最後の(1つ以上の)IMSIを含んだ未認証IMS緊急要求(INVITE)を生成する。1つ以上のIMSIは新たなヘッダに符号化されても良いし、P-Preferred-Identityヘッダのような既存のヘッダの中で搬送されてもよい。新たなヘッダを用いることによる利点は、その機能をサポートしないシステム(すなわち従前のシステム)が、その追加されたIDを安全に無視するであろうことである。
2. P-CSCFは、未認証IMS緊急要求をE-CSCFに転送する。
3. E-CSCFは、UEに最も近いPSAPの位置を検索するため、LRFを起動してもよい。
4. LRFはIMEIに基づいてUEの位置を特定するとともに最も近いPSAPを判別し、ルートをE-CSCFに返す。さらに、LRFは、受信したIMEI及び1つ以上のIMSIを、PSAPからの問い合わせに備えて保存してもよい。
【0029】
5. PSAPがIMSを介して直接到達できる(所謂IPベースのPSAP)であるか、CSドメイン内に位置するかに応じて、異なる振る舞いが提供されてよい。
a.IPベースのPSAPである場合、E-CSCFは未認証IMS緊急要求を直接PSAPに向けてルーティングする。この場合、PSAPが、追加の1つ以上のIMSIを有する追加情報を理解するであろうことが予期される。そしてPSAPはIMSIを直接用いるかも知れない。
b.CS PSAPの場合、E-CSCFは呼を、CSドメインへの脱出を提供するMGCFにルーティングする。この場合、PSAPに追加のIDを提供することは不可能であろう。しかし、1つ以上のIMSIを含むISUPメッセージに追加情報要素を付加するか、1つ以上のIMSIを後で提供可能であることを保証すること(ステップ7参照)により、この問題は解決できるかもしれない。
6. 呼設定は通常の手順に従って完了される。
7. オプションのステップとして、PSAPは、提供された発呼者に関する情報を読み出すために特別なインタフェース「Le」を用いることができる。そうする場合、ステップ4で保存された追加IDを読み出すようにLRFに要求してもよい。
8. LRFは1つ以上のIMSIを含む、要求された情報をPSAPに提供する。
【0030】
なお、3GPP2のような他のシステムに関しては、加入者を特定するためにIMSIを用いる代わりに、MIN又はIRMのような他の識別子(3GPP TS23.228、「IPマルチメディアサブシステム(IMS)、特には備考L.6.1を参照のこと)を用いてもよい。
【0031】
保存された使用済みIMSI(又は複数のIMSI)をユーザが改ざんするリスクを除去もしくは少なくとも最小化するために、UEは好ましくは1つ以上のIMSIを不揮発性メモリにセキュアに保存する仕組みを有することが好ましい。さらに、UEは、ネットワークが1つ以上のIMSIが本物であると認証できるような方法で、この1つ以上のIMSIをネットワークに送信する前に認証するための仕組みを有してもよい。所定のUEは既に信用できるモジュールを含んでいる。信用できるモジュールは、ユーザではなくUE自身とひもづけられた証明書又は他のセキュリティクレデンシャルを含むことができる。そのような証明書は、1つ以上のIMSIを緊急要求の中で送信する前に知らせるために用いられてもよい。
【0032】
IMSI又は複数のIMSIのリスト(又は他の加入者ID)を保存する代替方法として、UEは悪意のあるユーザを特定するために有用な他の情報を保存してもよい。例えば、UEはUEから行った全ての緊急呼を、時刻、呼の長さ、位置(GPSが利用可能な場合)、等の関連データとともに記録してもよい。
【0033】
ここで説明した手法は、緊急データ(EDATA)タイプのサービスに対しても同様に適用可能である。EDATAは”eCall”としても知られている、自動車向けに設計されたサービスであり、エアバッグの展開又は同様の緊急状況に応じて、緊急警報が自動的に緊急サービスに中継されるサービスである。EDATAは未認証緊急呼に対して同様の脆弱性を有する。EDATA車載モジュールが使用され保存されたIMSIまたは同等物を緊急呼設定要求に含めることを許可することにより、いたずら電話の可能性を低減することができる。
【0034】
本発明の範囲内で、上述した実施形態に対して様々な変更を加えうることを本技術分野に属する当業者は理解するであろう。例えば、上述の実施形態ではGSM及びUMTSに関して手法を説明してきたが、同様に拡張パケットシステム(EPS)ネットワークにも適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムとともに使用するためのユーザ端末であって、
不揮発性メモリと、
加入者IDモジュールに保存された加入者IDを認証するため、使用時に、着脱可能な加入者IDモジュール及び前記通信システムと通信するように構成された加入者ID認証手段と、
使用され認証済みの加入者IDを前記不揮発性メモリに記録する記録手段と、
加入者IDモジュールがない場合に非認証緊急呼を開始し、前記使用され認証済みの加入者IDを前記不揮発性メモリから読み出し、読み出した加入者IDを前記開始中に前記通信システムに提供するように構成された緊急呼開始手段とを有することを特徴とするユーザ端末。
【請求項2】
前記記録手段は、端末のユーザが前記加入者IDを変更できないように、前記認証された加入者IDを前記不揮発性メモリにセキュアに保存するように構成されることを特徴とする請求項1記載のユーザ端末。
【請求項3】
前記緊急呼開始手段が、前記通信システムに提供された加入者IDを、真正なものであると認証するように構成されることを特徴とする請求項2記載のユーザ端末。
【請求項4】
前記端末が無線セルラ通信ユーザ端末であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のユーザ端末。
【請求項5】
前記加入者ID認証手段が、GSM、EPS、およびUMTS規格の1つに従って動作し、前記加入者IDがIMSI識別子であることを特徴とする請求項4記載のユーザ端末。
【請求項6】
前記緊急呼開始手段が、回線交換型スイッチ緊急呼を開始し、前記認証された加入者IDをCMサービス要求とともに提供するように構成されることを特徴とする請求項5記載のユーザ端末。
【請求項7】
前記緊急呼開始手段が、回線交換型スイッチ緊急呼を開始し、前記認証された加入者IDをCMサービス要求とともに提供するように構成されることを特徴とする請求項5記載のユーザ端末。
【請求項8】
前記緊急呼開始手段がIMS緊急呼を開始し、前記認証された加入者IDを緊急呼INVITEとともに提供するように構成されることを特徴とする請求項5記載のユーザ端末。
【請求項9】
前記緊急呼開始手段が、前記通信システムに、前記認証された提供された加入者IDに加えてユーザ端末IDを提供するように構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のユーザ端末。
【請求項10】
前記ユーザ端末IDがIMEI IDであることを特徴とする請求項9記載のユーザ端末。
【請求項11】
前記装置がEDATA又はeCall端末として動作するように構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のユーザ端末。
【請求項12】
前記記録手段が前記不揮発性メモリに、使用され認証済みの加入者識別子を複数記録するように構成され、
前記緊急呼開始手段が、緊急呼開始手順の間に前記複数の加入者識別子を読み出して前記通信システムに提供するように構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のユーザ端末。
【請求項13】
通信システムとともに使用するためのユーザ端末であって、
不揮発性メモリと、
加入者IDモジュールに保存された加入者IDを認証するため、使用時に、着脱可能な加入者IDモジュール及び前記通信システムと通信するように構成された加入者ID認証手段と、
加入者IDモジュールがない場合に端末からなされる未認証緊急呼の詳細を前記不揮発性メモリに記録するための記録手段と、
加入者IDモジュールの前記ユーザ端末への再装着後および加入者の前記システムによる認証時又は認証後に、前記不揮発性メモリから緊急呼の詳細を読み出して前記システムに提供するように構成されるデータ処理手段とを有することを特徴とするユーザ端末。
【請求項14】
通信システムで用いるための装置であって、使用時に、ユーザ端末から未認証緊急呼要求を受信し、前記要求を以前用いられた認証済みの加入者IDから検索し、該IDを保存するように構成された装置。
【請求項15】
前記装置が、GSM/UMTSネットワークで使用するための在圏MSC、IPマルチメディアサブシステムの呼セッション制御機能ノード、およびIPマルチメディアサブシステムの一登録機能の1つであることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
非緊急呼について加入者IDの認証を必要とする通信システムにおいて未認証緊急呼を処理する方法であって、
ユーザ端末に装着された加入者IDモジュールに保存されている加入者IDの認証に応じて、前記加入者IDを、前記ユーザ端末の、前記加入者IDモジュールではない不揮発性メモリに保存するステップと、
前記加入者IDモジュールが前記ユーザ端末から外された後、前記ユーザ端末から未認証緊急呼を開始し、使用され認証済みの加入者IDを前記不揮発性メモリから読み出し、読み出した加入者IDを前記開始中に前記通信システムに提供するステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記使用され認証済みの加入者IDを、CMサービス要求、緊急SETUP、およびIMS緊急INVITEの1つに含めるステップをさらに有することを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項18】
前記通信システムがGSM、EPS、又はUMTSシステムであり、前記加入者IDがIMSIであることを特徴とする請求項16又は請求項17記載の方法。
【請求項19】
非緊急呼について加入者IDの認証を必要とする通信システムにおいて未認証緊急呼を処理する方法であって、
加入者IDモジュールがユーザ端末から外された後、前記加入者IDモジュールがない状態で前記ユーザ端末からなされた未認証緊急呼の詳細を前記ユーザ端末の不揮発性メモリ内に保存するステップと、
前記加入者IDモジュールの前記ユーザ端末への再装着後および前記通信システムによる加入者の認証時又は認証後に、緊急呼の詳細を前記不揮発性メモリから読み出し、前記通信システムに提供するステップとを有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−516089(P2012−516089A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546621(P2011−546621)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050886
【国際公開番号】WO2010/086012
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】