説明

縦シールテープシール機構、縦シール機構及び液体紙容器成形装置

【課題】 必要なヒートシール強度を確保できるようにした縦シールテープシール機構、縦シール機構及び液体紙容器成形装置を得る。
【解決手段】 継ぎ目を縦シールテープ6で被覆してなる液体紙容器を成形する装置において、帯状の包装材1の長手方向の一方の縁部1aと縦シールテープ6とをヒートシールするための縦シールテープシール機構18に、帯状の包装材1の長手方向の一方の縁部1aを加熱するヒーターヘッド4を2個以上、包装材1の流れ方向に対して直列に配置し、帯状の包装材1から形成されたチューブ状包装材11の長手方向の一方の縁部1aと他方の縁部1b、及び、該一方の縁部1aにヒートシールされてこの縁部1aより延出している縦シールテープ6と他方の縁部1bとをヒートシールするための縦シール機構26に、チューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1b内面を加熱するヒーターヘッド12を2個以上直列に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙からなるベース層の表裏両面に熱融着性合成樹脂を設けた包装材から形成される、紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を縦シールテープで融着被覆して縦シールする液体紙容器の成形に用いられる、縦シールテープシール機構、縦シール機構及び液体紙容器成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アセプティックタイプと呼ばれる液体紙容器を製造する液体紙容器用成形装置においては、帯状の液体紙容器用包装材料(本発明においては、単に包装材という。)を巻き取りロールより繰り出し、その長手方向両縁部を重ね合わせてシール(縦シール)することにより包材チューブを連続的に成形し、該包材チューブ内に液体食品等を充填し、密封することによって液体紙容器を製造するようになっている。
【0003】
図8により、従来の液体紙容器成形装置による液体紙容器の成形、充填、密封を行う各工程を説明する。
【0004】
図示のように、帯状の包装材1は巻き取りロール2に巻き取られた状態で液体紙容器成形装置にセットされ、巻き取りロール2から繰り出されて、ガイドローラー3でガイドされつつ搬送され、その長手方向の一方の縁部1aが液体紙容器成形装置に備えられている縦シールテープシール機構のヒーターヘッド4により加熱された後、この縁部1aに縦シールテープ繰出し装置5から繰出された縦シールテープ6のほぼ半幅が重ね合わせられ、1対の圧着ローラー7に挟圧されることによりヒートシールされる。
【0005】
このようにして長手方向の一方の縁部1aに縦シールテープ6が融着された包装材1は、次いで、殺菌液槽8を経て、無菌チャンバー9内に入り、成形用フォーミングローラー10で湾曲させられて、その長手方向の一方の縁部1aと他方の縁部1bとが重ね合わせられてチューブ状に形成されてチューブ状包装材11となる。そして、チューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1bの内面(重ね合わせにより一方の縁部1aと接する面)が液体紙容器成形装置に備えられている縦シール機構のヒーターヘッド12により加熱された後、チューブ状包装材11の外側に配置されたカウンターローラー(図示せず)と内側に配置されたプレッシャーローラー(図示せず)とでこの重ね合わせ部分が挟圧されて、チューブ状包装材11の一方の縁部1a外面(重ね合わせにより他方の縁部1bと接する面)と他方の縁部1b内面との間、及び、そのほぼ半幅が一方の縁部1aより延出している縦シールテープ6と他方の縁部1b内面との間でヒートシール(縦シール)が行われ、包材チューブ13が成形される。縦シールにより成形された包材チューブ13は、充填パイプ14にて飲料等の液体が充填され、次いで、横シール工程15にて上下方向に一定間隔で横シールされて密封され、横シールの中間で切断されて、枕状の個々の包装体16に分離され、最終工程でこの包装体16がブリック状に成形されて液体紙容器17として完成する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−292029
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した従来の液体紙容器成形装置では、包装材1の長手方向の一方の縁部1aを加熱するヒーターヘッド4及びチューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1bの内面(重ね合わせにより縁部1aと接する面)を加熱するヒーターヘッド12は、それぞれ1個づつ配置され、従って、ヒーターヘッド4による帯状の包装材1の一方の縁部1aの加熱も、ヒーターヘッド12によるチューブ状包装材11の他方の縁部1bの加熱も、それぞれ1段階(以下、単段階ともいう。)で行われていた。
【0007】
一方、近年、液体紙容器内容物の風味保護のため、酸素等のバリア性に優れ、内容物に異味を与えたり、風味を吸着したりし難い、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートからなる熱融着性合成樹脂層を包装材の裏面最外層(チューブ状包装材11の内側最外層、ひいては、液体紙容器17を製造した場合の内側最外層)として用いることも検討されているが、一般に、風味保護性に優れる樹脂は、高い融点又はガラス転移点を有している。
【0008】
しかし、上記のような単段階加熱方式では、融点又はガラス転移点の高い樹脂からなる熱融着性合成樹脂層を十分に溶融又は軟化させることができず、包装材の裏面最外層として、このような熱融着性合成樹脂層を用いると、必要なヒートシール強度が得られない場合があり、これは特に、縦シール時において問題となっていた。縦シール部を挟圧するためのカウンターローラーとプレッシャーローラーのうち、装置本体を構成する架台に固定されているカウンターローラーに対して、プレッシャーローラーは、上部のみ固定された充填パイプに板バネを介して取りつけられているので、もともと、強力な圧を加え難い構造となっているからである。
【0009】
このため、チューブ状包装材11の長手方向の一方の縁部1a外面と他方の縁部1b内面との間、及び/又は、縦シールテープ6と他方の縁部1b内面との間でシール不良が発生し、出来上りの液体紙容器において、内容物の漏れや滲みを起こしたり、外部からの細菌混入により内容物を腐敗させてしまうおそれがあった。
【0010】
また、上記単段階加熱方式において、熱融着性合成樹脂層を十分に溶融又は軟化させて必要なヒートシール強度を得るため、ヒーターヘッド4及び/又はヒーターヘッド12による加熱温度を高く設定すると、包装材が焦げたり、包装材内部の水分が急激に高温で加熱されて蒸発することにより、溶融又は軟化した包装材表面の熱融着性合成樹脂層に火脹れ(ブリスター)やピンホールを発生させたり、更には、包装材1を構成しているアルミ箔等にクラックを生じさせたりして、包装材を損傷する。このため、出来上りの液体紙容器において、酸素バリア性や遮光性の低下を招く他、やはり、内容物の漏れや滲み、外部からの細菌混入による内容物の腐敗を起こすおそれがあった。
【0011】
従って、上記単段階加熱方式では、ヒーターヘッド4及び/又はヒーターヘッド12による加熱温度を、包装材1同士の間及び/又は包装材1と縦シールテープ6との間で必要なヒートシール強度を確保しつつ、包装材1に損傷を与えないよう、慎重に設定し、制御する必要があるため、かかる液体紙容器成形装置を操作するオペレーターに大きな負担がかかっていた。
【0012】
本発明の目的は、低い温度で熱融着性合成樹脂層を十分に溶融又は軟化させ、包装材同士の間及び/又は包装材と縦シールテープとの間で必要なヒートシール強度を確保できるようにした縦シールテープシール機構、縦シール機構及び液体紙容器成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成する本発明の構成を説明すると次の通りである。
【0014】
請求項1に記載の発明は、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を前記ベース層の表裏両面の最外層とする帯状の包装材から形成される、紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を縦シールテープで被覆してなる液体紙容器を成形する装置において使用される、前記帯状の包装材の長手方向の一方の縁部と縦シールテープとをヒートシールするための縦シールテープシール機構であって、前記帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱するヒーターヘッドが2個以上、包装材の流れ方向に対して直列に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初に帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱することとなる初段ヒーターヘッドが、他のヒーターヘッドよりも低い温度で該一方の縁部を加熱するようになっていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の、前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初に帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱することとなる初段ヒーターヘッドは、他のヒーターヘッドよりも小さい熱量で該一方の縁部を加熱するようになっていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を前記ベース層の表裏両面の最外層とする帯状の包装材から形成される、紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を縦シールテープで被覆してなる液体紙容器を成形する装置において使用される、前記帯状の包装材から形成されたチューブ状包装材の長手方向の一方の縁部と他方の縁部、及び、該一方の縁部にヒートシールされてこの縁部より延出している縦シールテープと他方の縁部とをヒートシールするための縦シール機構であって、前記チューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱するヒーターヘッドが2個以上、チューブ状包装材の流れ方向に対して直列に配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の、前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初にチューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱することとなる初段ヒーターヘッドが、他のヒーターヘッドよりも低い温度で該他方の縁部内面を加熱するようになっていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の、前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初にチューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱することとなる初段ヒーターヘッドは、他のヒーターヘッドよりも小さい熱量で該他方の縁部内面を加熱するようになっていることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、液体紙容器成形装置において、請求項1に記載の縦シールテープシール機構及び/又は請求項4に記載の縦シール機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明は、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を前記ベース層の表裏両面の最外層とする帯状の包装材から形成される、紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を縦シールテープで被覆してなる液体紙容器を成形する装置において使用される、前記帯状の包装材の長手方向の一方の縁部と縦シールテープとをヒートシールするための縦シールテープシール機構であって、前記帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱するヒーターヘッドが2個以上、包装材の流れ方向に対して直列に配置されているので、帯状の包装材の一方の縁部を多段階で加熱できることから、従来の1段階で加熱した場合と比べ、より低い温度で均一に加熱でき、しかも急激な加熱を回避できるので、包装材に損傷を与えることなく、包装材の裏面最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させ、包装材と縦シールテープとを必要な強度で安定的にヒートシールすることができ、前記包装材が高い融点又はガラス転移点を有する熱融着性合成樹脂を裏面最外層に用いたものであっても、包装材に損傷を与えることなく、包装材の裏面最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させ、包装材と縦シールテープとを必要な強度で安定的にヒートシールすることができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初に帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱することとなる初段ヒーターヘッドが、他のヒーターヘッドよりも低い温度で該一方の縁部を加熱するようになっているので、包装材の急激な加熱が確実に回避され、包装材に損傷を与えることがなく、包装材の裏面最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の、前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初に帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱することとなる初段ヒーターヘッドが、他のヒーターヘッドよりも小さい熱量で該一方の縁部を加熱するようになっているので、包装材の急激な加熱が確実に回避され、包装材に損傷を与えることがなく、包装材の裏面最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させることができる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を前記ベース層の表裏両面の最外層とする帯状の包装材から形成される、紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を縦シールテープで被覆してなる液体紙容器を成形する装置において使用される、前記帯状の包装材から形成されたチューブ状包装材の長手方向の一方の縁部と他方の縁部、及び、該一方の縁部にヒートシールされてこの縁部より延出している縦シールテープと他方の縁部とをヒートシールするための縦シール機構であって、前記チューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱するヒーターヘッドが2個以上、チューブ状包装材の流れ方向に対して直列に配置されているので、チューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を多段階で加熱できることから、従来の1段階で加熱した場合と比べ、より低い温度で均一に加熱でき、しかも急激な加熱を回避できるので、チューブ状包装材に損傷を与えることなく、チューブ状包装材の内側最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させ、チューブ状包装材の一方の縁部と他方の縁部、及び、該一方の縁部にヒートシールされてこの縁部より延出している縦シールテープと他方の縁部とを必要な強度で安定的にヒートシールすることができ、前記チューブ状包装材を形成する帯状の包装材が高い融点又はガラス転移点を有する熱融着性合成樹脂を裏面最外層(チューブ状包装材形成時の内側最外層)に用いたものであっても、チューブ状包装材の内側最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させ、チューブ状包装材の一方の縁部と他方の縁部、及び、該一方の縁部にヒートシールされてこの縁部より延出している縦シールテープと他方の縁部とを必要な強度で安定的にヒートシールすることができる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の、前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初にチューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱することとなる初段ヒーターヘッドが、他のヒーターヘッドよりも低い温度で該他方の縁部内面を加熱するようになっているので、チューブ状包装材の急激な加熱が確実に回避され、チューブ状包装材に損傷を与えることがなく、チューブ状包装材の内側最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の、前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初にチューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱することとなる初段ヒーターヘッドが、他のヒーターヘッドよりも小さい熱量で該他方の縁部内面を加熱するようになっているので、チューブ状包装材の急激な加熱が確実に回避され、チューブ状包装材に損傷を与えることがなく、チューブ状包装材の内側最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させることができる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、液体紙容器成形装置において、請求項1に記載の縦シールテープシール機構及び/又は請求項4に記載の縦シール機構を備えたので、包装材の裏面最外層として、様々な熱融着性合成樹脂を使い、該包装材を損傷すること無く、且つ、必要な強度で安定的にシールすることができるので、酸素バリア性や遮光性の低下、内容物の漏れや滲み、外部からの細菌混入による内容物の腐敗を起こすおそれのない液体紙容器を成形することができ、そのためのオペレーターの負担も少なく、更に、製品歩留り、操業効率の向上も図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る縦シールテープシール機構、縦シール機構及び液体紙容器成形装置を実施するための最良の形態における一例を図1乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る縦シールテープシール機構及び縦シール機構を備えた液体紙容器成形装置における液体紙容器の成形、充填、密封を行う各工程の概略図、図2は、図1に示す各工程の概略図における縦シールテープシール機構の詳細を示す斜視図、図3は図2に示す縦シールテープシール機構に設けたヒーターヘッド操作部を示す説明図、図4(A)、(B)は、図2に示す縦シールテープシール機構に設けたヒーターヘッドにおける熱風吹き出し口の説明図、図5は、図1に示す各工程の概略図における縦シール機構の詳細を示す斜視図、図6は図5に示す縦シール機構に設けたヒーターヘッドの斜視図、図7は図5に示す縦シール機構に設けたヒーターヘッド操作部を示す説明図である。なお、これらの図において前述した図8と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0030】
図示のように、板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を前記ベース層の表裏両面の最外層とする帯状の包装材1は、巻き取りロール2に巻き取られた状態で液体紙容器成形装置にセットされ、巻き取りロール2から繰り出されて、ガイドローラー3でガイドされつつ搬送され、その過程で、長手方向の一方の縁部1aが、液体紙容器成形装置に備えられた縦シールテープシール機構18に設けられたヒーターヘッド4で加熱され、この一方の縁部1aに縦シールテープ繰出し装置5から繰出された縦シールテープ6のほぼ半幅が重ね合わせられ、1対の圧着ローラー7に挟圧されることによりヒートシールされる。
【0031】
前記縦シールテープシール機構18には、包装材1の流れ方向に対して直列に配置された2個以上のヒーターヘッド4が設けられており、巻き取りロール2から繰り出された包装材1の長手方向の一方の縁部1aを、2個以上のヒーターヘッド4で多段階に加熱するようになっている。本例では2個のヒーターヘッド4a,4bが設けられており、2段階に加熱するようになっている。
【0032】
前記ヒーターヘッド4a,4bは熱風を熱源としており、所定の温度に加熱された熱風を、耐熱性素材で形成された配管19からヒーターヘッド4a,4bに供給し、帯状の包装材1の長手方向の一方の縁部1aに向かい合うヒーターヘッド4a,4bの加熱面20に設けられた吹き出し口21から吹き出すことにより、帯状の包装材1の一方の縁部1aを加熱するようになっている。前記ヒーターヘッド4a,4bの加熱面20に設けられた吹き出し口21は、図4(A)に示すように多数の孔22であっても、また、図4(B)に示すようにスリット23であってもよく、特に限定されない。
【0033】
前記2個以上のヒーターヘッド4による帯状の包装材1の長手方向の一方の縁部1aの加熱は、同じ温度の熱風で多段階に行ってもよいが、前記2個以上のヒーターヘッド4のうち、最初に帯状の包装材1の一方の縁部1aを加熱することとなる初段ヒーターヘッド4aは、該一方の縁部1aを、他のヒーターヘッド4bよりも低い温度で加熱するか、或いは小さい熱量で加熱するのが好ましい。
【0034】
個々のヒーターヘッド4について、包装材を加熱する温度、包装材に与える熱量等を調節しようとする場合、これら個々のヒーターヘッド4は、個別に加熱温度及び動作が制御され、その熱源も別系統とされることが好ましい。加熱温度や動作等は、従来から知られているシーケンサー等よりプラグラミングし、制御することができる。また、熱源が熱風である場合、熱量の調節は、ヒーターヘッド4の加熱面20に設けられた吹き出し口21の面積を調節することにより容易に行うことができる。
【0035】
前記ヒーターヘッド4a,4bは、縦シールテープシール機構18に設けたヒーターヘッド操作部24により、図3中、矢印の示す方向に進退可能となっており、液体紙容器成形装置の運転中は、図3に示す動作位置に移動するようになっている。前記ヒーターヘッド操作部24では、操作手段としてエアシリンダー25を用いている。
【0036】
上記の縦シールテープシール機構18で長手方向の一方の縁部1aに縦シールテープ6が融着された包装材1は、次いで、殺菌液槽8を経て、無菌チャンバー9内に入り、成形用フォーミングローラー10で湾曲させられて、その長手方向の一方の縁部1aと他方の縁部1bとが重ね合わせられてチューブ状に成形されてチューブ状包装材11となる。
【0037】
そして、チューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1bの内面が液体紙容器成形装置に備えられている縦シール機構26のヒーターヘッド12により加熱された後、チューブ状包装材11の外側に配置されたカウンターローラー(図示せず)と内側に配置されたプレッシャーローラー(図示せず)とでこの重ね合わせ部分が挟圧されて、チューブ状包装材11の一方の縁部1a外面と他方の縁部1b内面との間、及び、そのほぼ半幅が一方の縁部1aより延出している縦シールテープ6と他方の縁部1b内面との間でヒートシール(縦シール)が行われ、包材チューブ13が成形される。
【0038】
前記縦シール機構26には、チューブ状包装材11の流れ方向に対して直列に配置された2個以上のヒーターヘッド12が設けられており、前記チューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1b内面を2個以上のヒーターヘッド12で多段階に加熱するようになっている。本例では、前記縦シールテープシール機構18と同様に、2個のヒーターヘッド12a、12bが設けられており、2段階で加熱するようになっている。
【0039】
本例のヒーターヘッド12a、12bも熱風を熱源としており、所定の温度に加熱された熱風を耐熱性素材で形成された配管27からヒーターヘッド12a,12bに供給し、チューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1bに向かい合うヒーターヘッド12a,12bの加熱面28に設けられた吹き出し口29から吹出すことにより、チューブ状包装材11の他方の縁部1bを加熱するようになっている。前記ヒーターヘッド12a,12bの加熱面28に設けられた吹き出し口29は、図6に示すような多数の孔22であっても、また、図4(B)に示すようなスリット23と同様の形状であってもよく、特に限定されない。
【0040】
前記2個以上のヒーターヘッド12によるチューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1bの加熱は、同じ温度の熱風で多段階に行ってもよいが、前記2個以上のヒーターヘッド12のうち、最初にチューブ状包装材11の他方の縁部1bを加熱することとなる初段ヒーターヘッド12aは、該他方の縁部1bを、他のヒーターヘッド12bよりも低い温度で加熱するか、或いは小さい熱量で加熱するのが好ましい。
【0041】
個々のヒーターヘッド12について、包装材を加熱する温度、包装材に与える熱量等を調節しようとする場合、これら個々のヒーターヘッド12は、個別に加熱温度及び動作が制御され、その熱源も別系統とされることが好ましい。加熱温度や動作等は、従来から知られているシーケンサー等よりプラグラミングし、制御することができる。また、熱源が熱風である場合、熱量の調節は、ヒーターヘッド12の加熱面28に設けられた吹き出し口29の面積を調節することや、熱風を供給する配管27の径を変えることにより、容易に行うことができる。
【0042】
前記ヒーターヘッド12a,12bは、縦シール機構26に設けたヒーターヘッド操作部30により、図7中、矢印の示す方向に移動可能となっており、液体紙容器成形装置の運転中は、図7に示す動作位置に移動するようになっている。前記ヒーターヘッド操作部30では、操作手段としてエアシリンダー31を用いている。
【0043】
このようにして成形された包材チューブ13は、充填パイプ14にて飲料等の液体が充填され、次いで、横シール工程15にて上下方向に一定間隔で横シールされて密封され、横シールの中間で切断されて、枕状の個々の包装体16に分離され、最終工程でこの包装体16がブリック状に成形されて液体紙容器17として完成する。
【0044】
以上のように、本発明に係る液体紙容器成形装置の縦シールテープシール機構18では、帯状の包装材1の長手方向の一方の縁部1aを加熱する2個のヒーターヘッド4a,4bが、包装材1の流れ方向に対して直列に配置されているので、帯状の包装材1の一方の縁部1aを多段階で加熱できることから、従来の1段階で加熱した場合と比べ、より低い温度で均一に加熱でき、しかも急激な加熱を回避できるので、包装材1に損傷を与えることなく、包装材1の裏面最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させ、包装材1と縦シールテープ6とを必要な強度で安定的にヒートシールすることができ、前記包装材1が高い融点又はガラス転移点を有する熱融着性合成樹脂を裏面最外層に用いたものであっても、包装材1に損傷を与えることなく、包装材1の裏面最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させ、包装材1と縦シールテープ6とを必要な強度で安定的にヒートシールすることができる。
【0045】
そして、前記2個のヒーターヘッド4a,4bのうち、最初に帯状の包装材1の長手方向の一方の縁部1aを加熱することとなる初段ヒーターヘッド4aが、他のヒーターヘッド4bよりも低い温度で該一方の縁部1aを加熱するようになっていると、包装材1の急激な加熱が確実に回避され、包装材1に損傷を与えることがなく、包装材1の裏面最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させることができる。
【0046】
また、前記2個のヒーターヘッド4a、4bのうち、初段ヒーターヘッド4aが、他のヒーターヘッド4bよりも小さい熱量で前記帯状の包装材1の長手方向の一方の縁部1aを加熱するようになっていると、前記初段ヒーターヘッド4aが、他のヒーターヘッド4bよりも低い温度で該一方の縁部1aを加熱するようになっている場合と同様に、包装材1の急激な加熱が確実に回避され、包装材1に損傷を与えることがなく、包装材1の裏面最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させることができる。
【0047】
また、本例では、前記ヒーターヘッド4a,4bは、所定の温度に加熱された熱風を吹き出すようになっているので、加熱効率が良く、また、熱風の吹き出し量を制御するといった簡単な操作により、包装材1の長手方向の一方の縁部1aに与える熱量を容易に調節することができる。
【0048】
また、本発明に係る液体紙容器成形装置の縦シール機構26では、チューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1b内面を加熱する2個のヒーターヘッド12a,12bが、チューブ状包装材11の流れ方向に対して直列に配置されているので、チューブ状包装材11の他方の縁部1b内面を多段階で加熱できることから、従来の1段階で加熱した場合と比べ、より低い温度で均一に加熱でき、しかも急激な加熱を回避できるので、チューブ状包装材11に損傷を与えることなく、チューブ状包装材11の内側最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させ、チューブ状包装材11の一方の縁部1aと他方の縁部1b、及び、該一方の縁部1aにヒートシールされてこの縁部1aより延出している縦シールテープ6と他方の縁部1bとを必要な強度で安定的にヒートシールすることができ、前記チューブ状包装材11を形成する帯状の包装材1が高い融点又はガラス転移点を有する熱融着性合成樹脂を裏面最外層(チューブ状包装材形成時の内側最外層)に用いたものであっても、チューブ状包装材11の内側最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させ、チューブ状包装材11の一方の縁部1aと他方の縁部1b、及び、該一方の縁部1aにヒートシールされてこの縁部1aより延出している縦シールテープ6と他方の縁部1bとを必要な強度で安定的にヒートシールすることができる。
【0049】
そして、前記2個のヒーターヘッド12a、12bのうち、最初にチューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1b内面を加熱することとなる初段ヒーターヘッド12aが、他のヒーターヘッド12bよりも低い温度で該他方の縁部1b加熱するようになっていると、チューブ状包装材11の急激な加熱が確実に回避され、チューブ状包装材11に損傷を与えることがなく、チューブ状包装材11の内側最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させることができる。
【0050】
また、前記2個のヒーターヘッド12a、12bのうち、初段ヒーターヘッド12aが、他のヒーターヘッド12bよりも小さい熱量で前記帯状の包装材1の長手方向の他方の縁部1bを加熱するようになっていると、前記初段ヒーターヘッド12aが、他のヒーターヘッド12bよりも低い温度で該他方の縁部1bを加熱するようになっている場合と同様に、チューブ状包装材11の急激な加熱が確実に回避され、チューブ状包装材11に損傷を与えることがなく、チューブ状包装材11の内側最外層の熱融着性合成樹脂を十分に溶融又は軟化させることができる。
【0051】
また、本例では、前記ヒーターヘッド12a,12bは、所定の温度に加熱された熱風を吹き出すようになっているので、加熱効率が良く、また、熱風の吹き出し量を制御するといった簡単な操作により、チューブ状包装材11の長手方向の他方の縁部1bに与える熱量を容易に調節することができる。
【0052】
また、本発明に係る液体紙容器成形装置は、前記のように構成された縦シールテープシール機構18及び縦シール機構26を備えたので、包装材の裏面最外層として、様々な熱融着性合成樹脂を使い、該包装材を損傷すること無く、且つ、必要な強度で安定的にシールすることができるので、酸素バリア性や遮光性の低下、内容物の漏れや滲み、外部からの細菌混入による内容物の腐敗を起こすおそれのない液体紙容器を成形することができ、そのためのオペレーターの負担も少なく、更に、製品歩留り、操業効率の向上も図ることができる。
【0053】
なお、本例では、縦シールテープシール機構18のヒーターヘッド4、及び、縦シール機構26のヒーターヘッド12は、それぞれ2個となっているが、これらのうち一方又は両方が3個以上でもよいことは勿論である。また、本例では、ヒーターヘッド4、ヒーターヘッド12は熱風を熱源として加熱を行うようになっているが、超音波や電磁誘導加熱等、他の公知の加熱機構を利用したものを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る縦シールテープシール機構及び縦シール機構を備えた液体紙容器成形装置における液体紙容器の成形、充填、密封を行う各工程の概略図である。
【図2】図1に示す各工程の概略図における縦シールテープシール機構の詳細を示す斜視図である
【図3】図2に示す縦シールテープシール機構に設けたヒーターヘッド操作部を示す説明図である。
【図4】図2に示す縦シールテープシール機構に設けたヒーターヘッドにおける熱風吹き出し口の説明図である。
【図5】図1に示す各工程の概略図における縦シール機構の詳細を示す斜視図である。
【図6】図5に示す縦シール機構に設けたヒーターヘッドの側面図である。
【図7】図5に示す縦シール機構に設けたヒーターヘッド操作部を示す説明図である。
【図8】従来の縦シールテープシール機構及び縦シール機構を備えた液体紙容器成形装置における液体紙容器の成形、充填、密封を行う各工程の概略図である。
【符号の説明】
【0055】
1 包装材
1a 一方の縁部
1b 他方の縁部
2 巻き取りロール
3 ガイドローラー
4、4a、4b ヒーターヘッド
5 縦シールテープ繰り出し装置
6 縦シールテープ
7 圧着ローラー
8 殺菌液層
9 無菌チャンバー
10 成形用フォーミングローラー
11 チューブ状包装材
12、12a、12b ヒーターヘッド
13 包材チューブ
14 充填パイプ
15 横シール工程
16 包装体
17 液体紙容器
18 縦シールテープシール機構
19 配管
20 加熱面
21 吹き出し口
22 孔
23 スリット
24 ヒーターヘッド操作部
25 エアシリンダー
26 縦シール機構
27 配管
28 加熱面
29 吹き出し口
30 ヒーターヘッド操作部
31 エアシリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を前記ベース層の表裏両面の最外層とする帯状の包装材から形成される、紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を縦シールテープで被覆してなる液体紙容器を成形する装置において使用される、前記帯状の包装材の長手方向の一方の縁部と縦シールテープとをヒートシールするための縦シールテープシール機構であって、
前記帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱するヒーターヘッドが2個以上、包装材の流れ方向に対して直列に配置されていることを特徴とする縦シールテープシール機構。
【請求項2】
前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初に帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱することとなる初段ヒーターヘッドは、他のヒーターヘッドよりも低い温度で該一方の縁部を加熱するようになっていることを特徴とする請求項1記載の縦シールテープシール機構。
【請求項3】
前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初に帯状の包装材の長手方向の一方の縁部を加熱することとなる初段ヒーターヘッドは、他のヒーターヘッドよりも小さい熱量で該一方の縁部を加熱するようになっていることを特徴とする請求項1記載の縦シールテープシール機構。
【請求項4】
板紙をベース層とし、熱融着性合成樹脂を前記ベース層の表裏両面の最外層とする帯状の包装材から形成される、紙容器の内面に露出する縦方向の継ぎ目を縦シールテープで被覆してなる液体紙容器を成形する装置において使用される、前記帯状の包装材から形成されたチューブ状包装材の長手方向の一方の縁部と他方の縁部、及び、該一方の縁部にヒートシールされてこの縁部より延出している縦シールテープと他方の縁部とをヒートシールするための縦シール機構であって、
前記チューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱するヒーターヘッドが2個以上、チューブ状包装材の流れ方向に対して直列に配置されていることを特徴とする縦シール機構。
【請求項5】
前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初にチューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱することとなる初段ヒーターヘッドは、他のヒーターヘッドよりも低い温度で該他方の縁部内面を加熱するようになっていることを特徴とする請求項4に記載の縦シール機構。
【請求項6】
前記2個以上のヒーターヘッドのうち、最初にチューブ状包装材の長手方向の他方の縁部内面を加熱することとなる初段ヒーターヘッドは、他のヒーターヘッドよりも小さい熱量で該他方の縁部内面を加熱するようになっていることを特徴とする請求項4に記載の縦シール機構。
【請求項7】
請求項1に記載の縦シールテープシール機構及び/又は請求項4に記載の縦シール機構を備えたことを特徴とする液体紙容器成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−269353(P2007−269353A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96576(P2006−96576)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(502394520)日本紙パック株式会社 (33)
【Fターム(参考)】