説明

縦型充填包装機を用いる再封袋の製造方法および装置

【課題】据付面積の狭くてすむ縦型充填包装機を用いて、再封可能で袋外観の良好な密封包装袋を、高い生産性で製造可能とする。
【解決手段】咬合可能なチャック部材を、包装フィルムの所定位置に精度良く連続的に溶着し、さらに袋の側端部に相当する位置のチャックを咬合した状態で超音波装置を用いて加熱加圧してチャック端部の溶着処理を行った後に、縦型充填包装機のフォーマーに供給し、垂直方向の袋底部のシール、下部サイドシール、内容品の充填、上部サイドシールと袋の切り離しを行う。さらに高い生産性を得るためには、チャック端部の溶着処理と縦型充填包装機でのサイドシールを含めた全工程をフィルムを移送しながら連続的に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装フィルムとチャック部材を材料に、縦型充填包装機を用いて、繰り返し開閉可能に物品を密封収納した包装袋を製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
〔従来技術とその問題点〕
再開閉機能を有するチャック付き袋は、開封後一回で使い切らない多くの物品の保存や封止に便利なため、強い消費者ニーズがある。これに応えるため、チャック付き包装袋に関する種々の形状や製造方法が提案されており、そのほとんどは、凹凸形状を咬合したチャックをフィルム上に押出成形して形成するか、あらかじめテープ状に成形したチャックを熱溶着した包装フィルムを、袋に加工した製袋品として販売されている。凹凸の形状にそれぞれ押出成形した雌雄の部材を咬合したチャックは、袋側端を熱シールする時に、咬合した凹凸の間隙に残る空気によってピンホールが発生し易い。嵩高で樹脂量の多いチャック部材の端部を熱溶着させて一体化する「爪潰し工程」は、長いシール時間とより高い温度、圧力を要し、加工条件の幅が狭いため加工に熟練を要するばかりでなく、2回以上の爪潰しを行なう場合はその分長い機械長が必要となる。このためチャック袋の大部分は、大型の製袋機を用いて専門メーカーによって製造され、製袋品として販売されている。しかしながら製袋品は、割高な製袋工賃及びチャックテープによるコストアップで、袋価格がかなり高くつき同サイズのチャックなしの袋に対して2倍となる例も少なくない。さらに、内容品の充填は作業者による手詰めが多く、自動包装機を用いる場合も、生産性の低い給袋式充填包装機での充填が大部分である。近年、氷や冷凍食品、スナック、小麦粉のような年間販売量が数千万袋から数億に達する製品にも、再封袋のニーズが拡がって来ており、製袋充填包装機などの生産性が高いより高速機での自動充填包装が求められている。
【0003】
製袋と充填を連続した工程で行う製袋充填包装機も一部で使用されており、給袋式充填包装機の前段に製袋装置を設ける特許文献1の方法が知られている。従来の製袋機と同様の製袋方法で製袋した袋を回転式の充填部に供給するので、製袋品と同等の袋外観が得られるものの、装置価格が高く広い据付面積を必要とする欠点がある。必要床面積が比較的狭くてすむ縦型充填包装機を用いる特許文献2の方法も提案されている。垂直に設けたフォーマーに包装フィルムとチャック部材を供給し、フィルムの製筒、チャックテープの溶着、チャック端部の熱溶着、水平方向の下部及び上部サイドシール、内容品の充填を行なうが、一連の工程を縦型充填包装機の限られた高さの範囲で処理しなければならないスペースの制約のため、生産性の低下とともに、チャック端部の熱溶着が不足して袋端にピンホールを生じたり、ピンホールを防ぐために過度の熱及び圧力を加えると袋外観が損なわれる欠点がある。また、包装フィルムの幅の約半分の長さの特殊なチャックテープをフィルム中央部の幅方向に沿って溶着した後に、縦型充填包装機でピロー包装充填を行う特許文献3の方法もあるが、チャックテープの価格が高く、チャック溶着の位置精度が求められるため熟練を要し、生産性も低く抑えられるなどの欠点がある。
【特許文献1】特開2004−167952
【特許文献2】特開昭64−58610、特開平4−87916
【特許文献3】特開2005−119209
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、据付面積が比較的狭くてすむ縦型充填包装機を用いて製袋しながら充填することによって高い生産性を有し、チャック端部にピンホールを生ずることなく袋外観の良好な、再封可能な包装袋を製造する方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、垂直に設けたフォーマーに包装フィルムを巻きつけて筒状にし、重ね合わせ部を垂直方向に熱シールしさらに水平方向の下部熱シールを行って袋状に形成した後、内容品の充填と上部熱シールによる袋の密封を行なう、縦型充填包装機を用いる包装袋の製造方法において、フォーマーに供給する包装フィルムにあらかじめ前工程で、咬合可能なチャック部材を進行方向に沿って中央部に溶着し、さらに袋の側端部に相当する位置のチャックを咬合した状態で加熱プレスしてチャック端部の溶着処理を行った後にフォーマーに供給することを特徴とする、繰り返し開閉可能に物品を密封収納した包装袋を製造する方法を提供するものである。
【0006】
さらに、 包装フィルムの所定箇所に、チャック部材を位置決め手段を用いて精度よく連続的に溶着し、チャックを咬合した状態で超音波を加えながらチャック端部を加熱プレスして溶着処理を行った後に、包装フィルムを縦型充填包装機のフォーマーに連続的に供給し、包装フィルムの動きに追従して連続的に移動するシールバーにより水平方向の熱シールを行うことによって、高い生産性で、繰り返し開閉可能に物品を密封収納した包装袋を製造する方法を提供するものである。
【0007】
さらに、包装フィルムの中央部に咬合可能なチャック部材を進行方向に沿って溶着するユニットと、チャック部材を咬合するユニットと、袋の側端部に相当する位置のチャックを咬合した状態で加熱プレスしてチャック端部の溶着処理を行うユニットと、チャック部材が溶着されて嵩高となった中央部がスムーズに通過するように間隙を設けてセーラーを付設したフォーマーと、フォーマーに巻きつけたフィルムを垂直方向に移動させながらフィルムの重ね合わせ部を熱シールするユニットと、熱シールによって筒状になった包装フィルムを水平方向に熱シールするユニットと、フォーマーの中空部を通して内容品を充填するユニットとを設けることによって、繰り返し開閉可能に物品を密封収納した包装袋の製造装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、咬合可能なチャック部材を進行方向に沿って包装フィルムに溶着する工程と、袋の端部に相当する位置のチャックを咬合した状態で加熱プレスしてチャック端部の溶着一体化する「爪潰し工程」をフォーマーに供給する以前に済ませておくので、縦型充填包装機のフォーマーに供給された包装フィルムは、チャック部材のない包装袋の場合と同様に取り扱うことが可能になり、高い生産性で繰り返し開閉可能な包装袋を製造することが出来る。チャック端部には、爪潰し工程と充填部における袋側部の水平シールの少なくとも2回の加熱プレスによる溶着処理が施されるので、ピンホールを生ずることなく袋側部がシールされ、良好な袋外観が得られる。高速あるいは溶着しにくいチャック部材の場合は、爪潰しを2回に増やすこともできる。爪潰し工程で超音波を加えながら加熱プレスをするとその内部発熱効果により、電熱加熱バーの場合より包装フィルムの表面温度を低く抑えることができるので、袋外観を改善する効果がある。チャック部材を溶着した包装フィルムは中央部が嵩高となり、狭く設定してあるセーラーとフォーマーとの間隙の通過が問題となるが、中央部に嵩高を見込んだ間隙を設けることによって、包装フィルムをスムーズに通過させることが出来る。また、包装フィルムへのチャック部材の溶着は、チャック部材をガイドする位置決め手段を用いてかつ連続的に行なわれるので、高速で位置精度の良好な溶着が可能となり、高い生産性とともに、溶着位置の変動に起因してフォーマー部で包装フィルムに生ずる皺による袋外観不良を防ぐことが出来る。
【0009】
縦型充填包装機を用いているので、据付面積が比較的狭くてすむとともに生産性も高い。縦型充填包装機の生産性は、フォーマーにおける包装フィルムの送りと内容品の充填に要する時間、水平方向の下部及び上部のシールに要する時間によって決まるが、チャック付袋の場合は「爪潰し」に要する時間が水平方向のシール時間に比べて長く必要となるため、生産性が低下する。例えば、高速機に求められる毎分80袋の生産速度では、1袋当たり3/4秒の生産時間のうち約半分の3/8秒がシールに使える時間であり、この時間ではチャックなしの袋の水平方向のシールがやっとである。チャック端部の爪潰しには超音波加熱を用いても1/2秒以上を必要とする。従って、本発明ではフォーマー部で爪潰しを行なわず、充填に時間がとられずスペース的にも余裕のある前工程で爪潰し処理をしている。また、水平シールに使える時間を延長する方法として、シールバーがボックス運動により連続的に移動するタイプの縦型充填包装機を用いると、包装フィルムの送りと内容品の充填を行なっている時間の一部を水平シールに利用することが可能になり、生産性向上に役立つ。加えて、超音波ホーンとアンビルがボックス運動により連続的に移動する機構を用いて爪潰しを行えば、チャック部材の包装フィルムへの溶着、爪潰し、および縦型充填包装機における充填シールの全工程がフィルム移送中の連続工程で行うことができるので、より生産性を向上できる。
以上のように、この発明によれば、従来方法の欠点が解決された、再封可能な包装袋を製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の再封可能な包装袋を製造する方法について、実施態様を説明する。
第1図には、本発明の再封可能な包装袋を製造する方法および装置の実施形態の一例を示す。通常の縦型充填包装機に追加して、咬合可能なチャック部材2を進行方向に沿って包装フィルム1に連続的に溶着する装置と咬合させたチャック端部2’の爪潰しを行なうユニットが設けられている。チャック部材2の溶着は、チャック部材をガイドする2条の溝を中央部に設けた回転ロール3に、チャック部材の雌雄を別々にして挿入し、その上に包装フィルム1を被覆し、包装フィルム1の表面から加熱してチャック部材2とフィルム内面を溶着して行う。回転ロール3に設ける溝は、雌雄それぞれのチャック部材の幅に合せて設け、チャック部材が溝内でそれぞれ0.5mm以内の精度で所定位置に挿入されるようにする。溝幅が広すぎるとチャック部材が溝内で位置変動を生じ、雌雄のチャック部材の間隔が変動する結果、咬合して移送する間に包装フィルムに皺を作る原因になる。溝幅が狭すぎる場合も、チャック部材が溝内に挿入されず位置変動を生じ、皺の原因になる。加熱の方法は加熱ロール4を接触させる方法、バンドシーラーを用いる方法、赤外線や輻射熱による加熱などを用いる方法や、特開平9−39121に記載の曲面形状のシールバーによる方法を用いることが出来る。加熱部は、緊急停止時などのように加熱回避が必要な場合に備えて回避可能な機構を設けて、フィルムを過熱・損傷させないようにすることが望ましい。加熱ロール4を用いる第1図の場合は、フィルムの走行と連動して加熱ロール4がフィルム表面に接触する機構になっている。加熱ロールの表面はシリコーンゴムなどの非粘着性の弾性材料で被覆されていて、包装フィルムの溶着を防止すると共に、その弾性を利用して加熱接触時間を増している。チャック部材の溶着はまた、回転ロールを用いずに平面又はアーチ面を用いて行うことも出来るが、回転ロールを用いた方がスペースを最小限に抑えることが出来る。
【0011】
雌雄一対のチャック部材を中央部に片方ずつ溶着した包装フィルムは、2組のガイドロール5、5’の間でフィルム中央に押込み冶具6を用いて折込襞を形成させた状態で咬合冶具7を通過させ、雌雄のチャック部材を咬合する。包装フィルム中央の咬合したチャック部材は、爪潰し部に導かれ、超音波溶着機を用いて袋の側端部に相当する位置のチャックを加熱プレスしてチャック端部の溶着処理(爪潰し)を行う。この爪潰しは、フィルムを停止して行う方が装置が簡略になるので、あらかじめダンサーロールを用いて連続運動と間歇運動の調整を行なう。超音波を用いる溶着処理の場合、発振子に連結したホーン8と対になるアンビル9に発熱体を設けて補助的に加熱しておくと、溶着に要する時間を短くする効果がある。包装フィルムによっては、紙とアルミ箔を含むラミネートフィルムのように、加圧が強過ぎるとフィルム亀裂などの外観不良を生じたりし易い場合があり、2台の超音波溶着機を用いて2段階で徐々に加圧すると改善される。2台の超音波溶着機を用いる方法は、充填速度を速くしたい場合にも有効である。特に、毎分60袋以上の生産速度で生産する場合は、1回のフィルム送り量を袋2枚分の長さとして、それぞれの超音波溶着機で1袋分ずつ溶着処理を行えば、1袋当りの溶着時間が長くとれるため、爪潰しをしにくい包装フィルムでも良好なシール外観が得られる。また、超音波装置のホーン8とアンビル9をボックス運動させて、連続運動する包装フィルムに追従させる方法を用いると、爪潰しのための加熱時間を延長できるので、1台の超音波装置でも速度を上げることが可能になる。いずれの場合も内容品の充填部でさらに、チャック端部を含む袋端部の全幅に熱シールを行うので、合計2回以上のチャック端部の融着処理が施されることになる。
【0012】
チャック部材の溶着と端部の爪潰しを縦型充填包装機の垂直の充填部に入る前に済ませた包装フィルムは、チャック部材を溶着して嵩高になった部分にブレーキが働かないように配慮してセーラー10を通過させ垂直のフォーマー11に供給する。セーラーとフォーマーの間隙は、チャック部材を溶着した部分の厚みに合せて中央部の間隙を広げておくとともに、フィルムだけの部分の間隙は、フィルムを安定的に送り込むために適当な張力が加わるように使用する包装フィルムに合わせて調整する。チャック部材2を溶着した包装フィルム1は、フィルム送り機構12によって下方に送られるが、爪潰しとサイドシールの位置を一致させる必要から、真空ベルトを用いる方法の方が、摩擦によって送る方法よりも望ましい。充填部においては、通常のチャックなしの袋と同様の工程で、垂直方向の袋底部のシール16、下部サイドシール17、内容品の充填、上部サイドシールと袋の切り離しを行う。ここで、下部サイドシール17と一つ前の袋の上部サイドシールは、水平方向のシールバー14,14’で同時に行われるが、チャック部材を溶着した部分が袋の頭部、フィルム端の重ね合わせ部が袋の底部となるので、水平シールバー14,14’の方向はフィルムのフォーマーへの供給方向と平行、すなわちピロー袋の場合の90度回転した位置になる。シールバーをピロー包装と同じ位置に設置する場合は、フィルムの供給方向とセーラーの位置を90度回転させて設ける必要がある。
【0013】
チャック部材の溶着は、製袋機で一般的に用いられているように、咬合した状態で包装フィルムに溶着する方法を用いることも出来る。例えば、実公平4−54085には、三角板を用いて包装フィルムを中央を中心に折込み、位置決め用ガイドで所定位置にチャックを挿入し、上下のチャックガイドで雌雄のチャックの溶着を防ぎながら包装フィルムに溶着する方法が記載されている。この方法の場合は、フィルムの折込み、チャック部材の挿入と、熱シールバーによる溶着を行うためのそれぞれのスペースが必要となり、チャック部材をガイドする溝を中央部に設けた回転ロールを用いる前記の方法に比べて設置面積を広く必要とする。
【0014】
包装フィルム1としては、食品、医薬品その他に一般に用いられている各種のラミネートフィルムの他、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの単層フィルムを用いることが出来る。チャック部材は、ポリエチレン、ポリプロピレンあるいは多層構成などの材料を押出成形したものを用いるが、使用する包装フィルムの内面に溶着可能なものを選ぶ。また、チャック部材2は、長さ当りの重量が少なく、低温で融着しやすい材料から構成されているものの方が爪潰しが容易となるので、外観の良好な包装袋を高速で生産する上で望ましい。チャック部材として、1m当たり5〜10gの重量の製品が一般的に用いられているが、さらに軽量の2〜4g/mのものを用いると、爪潰しで溶着される樹脂の量が少なくなるので、加熱加圧がより短時間で行うことが出来て好適である。軽量過ぎるとチャックの咬合強度が不足したり手で咬合し難くなる。チャック部材の包装フィルムに溶着する面の樹脂としては、低温でシール可能な材料が適し、LDPE、LLDPE、低温シール性を改良したポリエチレン、PPなどを用いることが出来る。単一材料からなるチャック部材が一般的であるが、包装フィルムに溶着する面を咬合部分と異種の溶着し易い材料を用いて、共押出法で成形した多層構成のチャックも生産性向上に効果がある。このチャック部材の内面の樹脂としてメタロセンポリプロピレンを用いて成形すると、内面がLLDPEとPPのいずれの包装フィルムにも溶着可能で、共通に使用できる利点もある。
【実施例1】
【0015】
PET12μとポリエチレン60μをラミネートした500mm幅の包装フィルムと、雌雄合計のm当たり重量が3gのポリエチレン製チャック部材を材料として用いた。チャック部材の溶着は、チャック部材をガイドする2条の溝を中央部に設けた回転ロールに、チャック部材の雌雄を別々にして挿入し、その上に包装フィルムを被覆し、包装フィルムの表面から2個の加熱ロールを接触させてチャック部材とフィルム内面を溶着して行った。回転ロールには、チャック部材の幅とほぼ同幅の雄用の1mm幅と雌用の2mm幅の溝を50mmの間隔をあけて設けた。チャック部材の溶着は、連続的に毎分約9mの速度で行なった。次に、チャック部材を溶着した包装フィルムを、ガイドロール間でフィルム中央部を押込み、折込襞を形成させた状態で咬合冶具を通過させ、雌雄のチャック部材を咬合した。雌雄のチャック部材が重なるように溝を用いてガイドしながら、両部材を一対のロールからなる咬合冶具を用いて押しつければ、容易に咬合させることが出来る。包装フィルム中央の咬合したチャック部材は、ダンサーロールによる連続運動と間歇運動の調整を経て、爪潰し部に導かれ、超音波溶着機を用いて袋の側端部に相当する位置のチャックを加熱プレスしてチャック端部の溶着処理(爪潰し)を行った。爪潰しは、超音波ホーンの受け具であるアンビルを設定温度100℃に加熱しておき、毎分60サイクルで包装フィルムを150mmづつ間歇送りしながら超音波を加えて、予熱と超音波の併用で行った。次いで、チャック部材の溶着と端部の爪潰しを済ませた包装フィルムを、縦型充填包装機のセーラーとフォーマーの間隙を通過させてフォーマーに巻きつけた。セーラーとフォーマーの間隙は、チャック部材の溶着による嵩高を考慮して中央部の間隙をフィルムだけが通過する部分より3mm多く広げておいた。フォーマーに供給された包装フィルムは、通常のチャックなしの袋と同様の工程で、袋底部を形成する垂直方向のシール、下部サイドシール、フォーマーの中空部を通して行う内容品の充填、上部サイドシールと袋の切り離しを毎分60サイクルで行い、幅150mm、高さ250mmの包装袋を毎分60袋の速度で得た。縦型充填包装機は、縦ピロー袋を充填包装するもの同様の装置構成であるが、水平方向のシールバーの位置が90°回転した位置に固定してある。 毎分60袋の速度で得られた包装袋は、チャック端部にピンホールを生ずることなく袋外観も良好で、繰り返しの開閉する機能も十分であった。
【実施例2】
【0016】
包装フィルム、チャック部材、中央にチャック部材を挿入して位置決めをする溝を設けた回転ロールと加熱ロールを組み合わせたチャック部材の溶着装置、フィルム中央部に折込襞を形成させ咬合するユニットおよびチャック部材が溶着されて嵩高となった中央部がスムーズに通過するように間隙を設けてセーラーを付設したフォーマーについては、実施例1と同様であるが、生産性をさらにあげるために、爪潰しおよびフォーマーでの充填と水平シールを連続的に包装フィルムを移送させながら行った。爪潰しユニットは、超音波ホーンとアンビルのセットにフィルムと同速で移動させた後にもとに戻るボックスモーションの機構を設け、フィルムを送りながらチャック端部を加熱プレスするように変更した。縦型充填包装機として、水平シールバーがボックスモーションを行いシール動作中もフィルム送りが継続している方式の装置を用いた。チャック部材の包装フィルムへの溶着、爪潰し、および縦型充填包装機における充填シールの全工程がフィルムの移送中の連続工程で行うことが可能になり、毎分80袋の速度で包装袋を得ることが出来た。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の包装袋を製造する方法および装置は、繰り返し開閉可能に物品を密封収納することが出来るので、開封後一回で使い切らない多くの物品の保存や封止に便利な包装袋の製造方法および製造装置として好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の、繰り返し開閉可能に物品を密封収納した包装袋を製造する方法および装置の構成を説明する概略図である。
【図2】第1図の工程のAからDの各位置における包装フィルムの断面の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 包装フィルム
2 チャック部材
2’チャック端部(爪潰し部)
3 回転ロール
4 加熱ロール
5 ガイドロール
6 フィルム押込み冶具
7 咬合冶具、
8 超音波ホーン
9 アンビル
10 セーラー
11 フォーマー
12 フィルム送り装置
13 垂直方向のシールバー
14、14’水平方向のシールバー
15 切り離し刃
16 袋底部のシール
17 下部サイドシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直に設けたフォーマーに包装フィルムを巻きつけて筒状にし、重ね合わせ部を垂直方向に熱シールしさらに水平方向の下部熱シールを行って袋状に形成した後、内容品の充填と上部熱シールによる袋の密封を行なう、縦型充填包装機を用いる包装袋の製造方法において、フォーマーに供給する包装フィルムにあらかじめ前工程で、咬合可能なチャック部材を進行方向に沿って中央部に溶着し、さらに袋の側端部に相当する位置のチャックを咬合した状態で加熱プレスしてチャック端部の溶着処理を行った後にフォーマーに供給することを特徴とする、繰り返し開閉可能に物品を密封収納した包装袋を製造する方法。
【請求項2】
包装フィルムの所定箇所に、チャック部材を位置決め手段を用いて精度よく連続的に溶着し、チャックを咬合した状態で超音波を加えながらチャック端部を加熱プレスして溶着処理を行った後に、包装フィルムを縦型充填包装機のフォーマーに連続的に供給し、包装フィルムの動きに追従して連続的に移動するシールバーにより水平方向の熱シールを行い、包装袋を製造することを特徴とする、請求項1に記載の、繰り返し開閉可能に物品を密封収納した包装袋を製造する方法。
【請求項3】
包装フィルムの中央部に咬合可能なチャック部材を進行方向に沿って溶着するユニットと、チャック部材を咬合するユニットと、袋の側端部に相当する位置のチャックを咬合した状態で加熱プレスしてチャック端部の溶着処理を行うユニットと、チャック部材が溶着されて嵩高となった中央部がスムーズに通過するように間隙を設けてセーラーを付設したフォーマーと、フォーマーに巻きつけたフィルムを垂直方向に移動させながらフィルムの重ね合わせ部を熱シールするユニットと、熱シールによって筒状になった包装フィルムを水平方向に熱シールするユニットと、フォーマーの中空部を通して内容品を充填するユニットとを設けたことを特徴とする、請求項1に記載の、繰り返し開閉可能に物品を密封収納した包装袋を製造する製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−269347(P2007−269347A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96224(P2006−96224)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(304005509)
【Fターム(参考)】