説明

縦型多列自動包装機におけるRカッター装置の冷却機構

【課題】冷却効率が良く、且つ、Rカット打ち抜き後の包装袋を引き剥がす機能も兼ね備えたRカッター装置の冷却装置を提供する。
【解決手段】Rカッター装置の冷却機構は、包装袋裏面に対してエアーを噴出する裏面噴射部30がカッター枠24に設置されており、これに連結するように裏面噴射口32がカッター枠24内に穿孔されている。包装袋前面に対してエアーを噴出する前面噴射部31がカッター部20に設置されており、これに連結するように前面噴射口33がカッター部20内に穿孔されている。そして、Rカット前は裏面噴射口32と前面噴射口33からエアーを噴出し、Rカット時期は裏面噴射口32と前面噴射口33からのエアー噴出は停止し、Rカット後は裏面噴射口32のみからのエアー噴出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて被包装材料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、包装フィルムを断面略円筒状にフォーミングしてスティック包装袋を形成する縦型多列自動包装機におけるRカッター装置の冷却機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一度に複数本のスティックタイプの包装袋を連続的にシール成形できるように構成した縦型多列自動包装機が存在している。これは複数本に切断された包装フィルムの各々を多列式に構成した各フォーマーパイプの周囲に巻装して円筒状にフォーミングした後、縦ヒートシーラによって包装フィルムの合わせ目に対して縦シールを施して筒状形態にし、次いで、筒状になった包装フィルムの規定の位置に対して横ヒートシーラによって横シールを施している。
【0003】
そして、縦型多列自動包装機は、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填パイプを用いて被包装材料(内容物)を充填し、その後、被包装材料注入口を横シールして封止し、この封止された横シール部分の中央付近に対してカッター装置を用いて切り離し、最終的に個別包装形態のスティック状包装袋が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。このような縦型多列自動包装機の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
上記のような従来の個別包装袋では、出来上がった多数の包装袋を集積する際にカット部分の角と他の個別包装袋の袋部分とが互いに接触して包装袋部分に穴を開けてしまう事故が発生することがある。このため、横シールのカット部分の角を切り落とした形状(所謂「Rカット」形状)に加工してこのような事故を防ぐようにしている。
【0005】
Rカット形状に切り離すカッター装置では、直線カットの場合と異なり、角部分を切り取るために打ち抜き構造が必要になる。そして、この打ち抜き動作の前には、Rカットされる包装袋の打ち抜き部分(横シール部分の中央付近)を充分冷却する必要がある。これは、ヒートシール直後の温まった状態の包装袋をそのまま打ち抜くと、溶着した包装フィルムのポリエチレンが柔らかい状態になっているため、このままではきれいに打ち抜くことができず、細かな切り残しが発生して切れ味悪化、仕上げ悪化となってしまうからである。
【0006】
図10は、従来のRカッター装置の冷却装置を横から見た側面図である。図10に示すように、縦型多列自動充填包装機に設置されたRカッター装置は、一つのカッター部120が列数分だけ用意されてカッター枠124に取り付けられており、水平方向に並列設置されている。このカッター部120内にはカット刃122が組み込まれており、このカット刃122を駆動するエアーシリンダ121と駆動軸で接続されている。カット刃122の刃先と対面する位置にRカット抜き型123が一定の間隔を経て設けられており、このカット刃の刃先と抜き型123の間に切り離されていない連続したスティック状包装袋FZがセッティングされている。
【0007】
なお、カッター部120が列数分だけ取り付けられているカッター枠124には、カット刃122と抜き型123によって打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を回収するための穴が設けられており、この穴に屑取りパイプ162が嵌め込まれて抜き型123近傍まで延びている。そして、複数の屑取りパイプ162はカッター枠124裏面に設置されている集塵パイプ161に接続され、集塵機構160を構成している。
【0008】
また、打ち抜き型のカッター装置には、打ち抜き動作後の切り離された包装袋が抜き型123に付着して落下しないことがあるため、この袋を抜き型より引き剥がす引き剥がし機構170が設置されている。図10に示すように、引き剥がし機構170は、抜き型直下に設けられた引き剥がしレバー173と、包装機本体に取り付けられたエアーシリンダ171と、エアーシリンダ171の駆動軸172とで構成され、打ち抜き動作後に包装機よりエアー供給が行われてこのエアーシリンダ171の駆動軸172が前方に移動し、この駆動軸172にネジ止めされている引き剥がしレバー173が包装袋を抜き型より剥がすようにしている。
【0009】
そして、従来の冷却装置180は、Rカッター装置の斜め上方からRカットする包装袋に対して冷却用のエアーを噴出するようにしており、具体的には図10に示すように、Rカッター装置裏面に噴射部181が設置されている。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、従来の縦型多列自動包装機では、Rカッター装置の斜め上方からRカットする包装袋に対して冷却用のエアーを噴出しているが、冷却対象の包装袋は間歇的に下方に移動されており、この包装袋が停止するのは包装袋の打ち抜き部分がRカット位置に来た時である。即ち、包装袋が停止して冷却しようとした時には、この包装袋の打ち抜き部分は既にRカッター装置内部に入っていることになり、冷却用のエアーが打ち抜き部分を充分冷却することができないことになる。
【0011】
また、従来の縦型多列自動包装機のRカッター装置は、Rカットするカッター部以外に、上記の冷却装置180と、引き剥がし機構170が別々に組み込まれているため、Rカッター装置全体の構成が複雑になり、縦型多列自動包装機全体コストの上昇となっていた。このようなことから経済的な縦型多列自動包装機のRカッター装置が求められていた。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、冷却効率が良く、且つ、Rカット打ち抜き後の包装袋を引き剥がす機能も兼ね備えた冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)上記の課題を解決するためになされた本発明の縦型多列自動包装機は、幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、この包装袋内に被包装材料(内容物)を充填する充填装置と、この被包装材料(内容物)が充填された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、この搬送された包装袋の横シール部分に対してRカットを施して個別包装袋とするRカッター装置とを備えた縦型多列自動包装機であって、前記Rカッター装置は、Rカット打ち抜き部分を冷却する冷却機構と、Rカット形状に打ち抜くカッター部とを備え、前記冷却機構は、Rカッター装置内部に冷却用エアー噴出機構を有している。
【0014】
(2)また本発明の縦型多列自動包装機のRカッター装置は、Rカッター装置内部に冷却用エアー噴出機構を有すると共に、当該冷却用エアー噴出機構がRカット抜き型より包装袋を引き剥がす機構も兼ねている。
【0015】
(3)また本発明の縦型多列自動包装機は、幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、この包装袋内に被包装材料(内容物)を充填する充填装置と、この被包装材料(内容物)が充填された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、この搬送された包装袋の横シール部分に対してRカットを施して個別包装袋とするRカッター装置とを備えた縦型多列自動包装機であって、前記Rカッター装置は、Rカット打ち抜き部分を冷却する冷却機構と、Rカット形状に打ち抜くカッター部とを備え、前記冷却機構は、Rカット前にはRカッター装置内部より包装袋前後両面に対してエアー噴出を行って包装袋の打ち抜き部分を冷却し、Rカット時には包装袋前後両面のエアー噴出を停止し、Rカット後には包装袋前面のエアー噴出を停止すると共に包装袋裏面のエアー噴出を行ってRカット抜き型より包装袋を引き剥がすようにしている。
【0016】
(4)また本発明の縦型多列自動包装機は、幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、この包装袋内に被包装材料(内容物)を充填する充填装置と、この被包装材料(内容物)が充填された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、この搬送された包装袋の横シール部分に対してRカットを施して個別包装袋とするRカッター装置とを備えた縦型多列自動包装機であって、前記Rカッター装置は、Rカット形状に打ち抜くカッター部と、当該カッター部のカット刃内部に冷却用エアー噴出穴を設けてカット刃自体と包装袋のRカット打ち抜き部分を冷却する冷却機構と、打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を回収する集塵機構を備え、前記冷却機構は、Rカットを行うと同時にカット刃内部のエアー噴出穴よりエアー放出を行ってカット刃自体と包装袋の打ち抜き部分を冷却すると共に、打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を引き剥がしながら集塵機構に送り込むようにしている。
【0017】
上記(1)、(2)、(3)、(4)で述べた縦型多列自動包装機によれば、Rカッター装置内部にエアー噴出を行う冷却機構を設け、この冷却機構に対するエアー供給を包装機から制御することによりRカット打ち抜き部分を効率良く冷却すると共に、Rカット打ち抜き後の包装袋を引き剥がす機能も兼ね備えた冷却機構を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、Rカット前の包装袋の打ち抜き部分(横シール部分の中央付近)を充分冷却すると共に、Rカット打ち抜き後の包装袋を引き剥がすことが可能となる縦型多列自動包装機のRカット装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明に係る縦型多列自動包装機におけるRカット冷却機構の実施の形態を図面と共に説明する。図1は本発明を実施した縦型多列自動包装機の正面図であり、図2は本発明を実施した縦型多列自動包装機の側面図である。これらの図面において各々符号1で全体的に示した自動包装機は、一度に複数本のスティック包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。なお、図1における縦型多列自動包装機の列数は6列の例で説明しているが、この列数は原反ロールフィルム幅に応じた任意の値を採用することができる。
【0020】
図1と図2に示すように、1Fは本体フレーム、2は被包装材料(内容物)を収容したホッパー、3はホッパー2から供給される被包装材料を計量した後充填パイプ4に供給する計量供給盤、4はスリットされて幅が狭くなった複数条の包装フィルムF’を略円筒状にフォーミングすると共に被包装材料の投入通路となる充填パイプ、5は縦シール装置、6はその下に設けた横シール装置、7は出来上がった連続包装袋を支える袋ガイド、8は連続包装袋の横シール中央付近に対してRカット形状に打ち抜いて角を有しない個別包装袋とするRカッター装置、9は切り離された個別包装袋を受け取るすべり台、10は操作パネルボックスである。
【0021】
図2において、FHは幅の広い包装フィルム(包材)を巻いた原反ロール、Fはこの原反ロールFHから引き出された幅の広いフィルム、FXはこの幅の広いフィルムFを上記充填パイプ4の列数に合わせて幅の狭い複数条の包装フィルムF’にスリットするスリッター装置である。そして上記横シール装置6の上下運動に従って順次下方に引き出された各包装フィルムF’は各充填パイプ4の周囲を包むように略円筒状にフォーミングされる仕組みになっている。
【0022】
上記縦型多列自動包装機は、縦シール装置5の縦ヒートシーラによって各包装フィルムF’の開放両端同士を挟み込んで縦シールして、各包装フィルムF’を略円筒形状にシール成形する。更に、この略円筒形状の包装フィルムF’に対して横シール装置6で横シールした後、上記充填パイプ4を通して各包装フィルムF’の内部に被包装材料(内容物)を投入し、同時に横シール装置9により挟持したまま1包装袋分下方に移動させて包装フィルムF’の引き出しを行うと共にこの横シール装置9を上方に復帰作動させて再度横シールを行うことによって、スティック包装袋を多列式にシール成形するものである。
【0023】
そして、上記の動作を連続して繰り返し行い、且つ各横シールの中央部分をRカッター装置8で上下に切断することにより、一度に多数本のスティックタイプ個別包装袋を連続的に生産できるように構成されている。なお、図1と同様に、2はホッパー、3は計量供給盤であり、11は計量供給盤3を駆動するモータである。
【0024】
図3は、本発明の縦型多列自動包装機におけるRカッター装置8の側面図であり、図4及び図5は、同じくRカッター装置8の上面図である。なお、図4は、カッター刃と抜き型が勘合する前の状態を表しており、図5は、カッター刃と抜き型が勘合した時の状態を表している。図3乃至図5に示すように、Rカッター装置8は、一つのカッター部20が列数分だけ用意されてカッター枠24に取り付けられており、水平方向に並列設置されている。なお、図4及び図5における列数は7列の例で説明している。
【0025】
このカッター部20内にはカット刃22が組み込まれており、このカット刃22を駆動するエアーシリンダ21と駆動軸で接続されている。カット刃22の刃先と対面する位置にRカット抜き型23が一定の間隔を経て設けられており、このカット刃の刃先と抜き型23の間に切り離されていない連続したスティック状包装袋FZがセッティングされている。
【0026】
なお、カッター部20が列数分だけ取り付けられているカッター枠24内には、カット刃22と抜き型23によって打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を回収するための集塵通路25が設けられており、このカッター装置8の直下にはすべり台9が設置されている。
【0027】
次に、本発明の冷却機構は、図3に示すように、切り離されていない連続したスティック状包装袋FZ裏面に対して冷却用エアーを噴出する裏面噴射部30がカッター枠24に取り付けられており、これに連結するように裏面噴射口32がカッター枠24内に穿孔されている。また、スティック状包装袋FZ前面に対して冷却用エアーを噴出する前面噴射部31がカッター部20に取り付けられており、これに連結するように前面噴射口33がカッター部20内に穿孔されている。
【0028】
そして、包装袋打ち抜き部分に対する冷却行為は、冷却対象の打ち抜き部分が停止しているRカッター装置内において行うのが良く、カッター枠24内に裏面のエアー噴射口が穿孔され、カッター部20内に前面のエアー噴射口が穿孔されているため、停止している打ち抜き部分に対して直接冷却用のエアーを噴出することでき、効率の良い冷却機構を構成することができる。
【0029】
そして、上記冷却機構は以下のように動作する。
(1)冷却対象の包装袋FZは間歇的に下方に移動されており、Rカットする直前に図3に示すような位置に停止する。この位置になった時、縦型多列自動包装機は裏面噴射部30と前面噴射部31に冷却用エアーを供給し、裏面噴射口32と前面噴射口33の両方からエアーが噴出されてRカット打ち抜き部分FYを冷却する。
【0030】
(2)冷却完了後にカッター部20が駆動され、切り離されていない連続したスティック状包装袋FZに対してRカットが施される。
【0031】
(3)Rカットが施された後に、縦型多列自動包装機は裏面噴射部30に対するエアー供給を行い、前面噴射部31に対するエアー供給は停止する。このようなエアー供給を行った結果Rカット後の包装袋は、裏面噴射口32からのエアー噴出により、カッター部20の抜き型23から引き剥がされることになる。
【0032】
即ち、上記の縦型多列自動包装機によるエアー供給制御は、冷却時期のみ裏面噴射口32と前面噴射口33からエアーを噴出し、Rカット時期は裏面噴射口32と前面噴射口33からのエアー噴出は停止し、Rカット後の時期は裏面噴射口32のみからのエアー噴出を行うようにしている。
【0033】
このようなエアー供給制御方法は、必要時のみエアー噴出して他の時期(包装袋の移送期間等)はできるだけエアー噴出を停止する方法である。これはエアー消費量を抑えたい場合や包装袋そのものの温度上昇が少ない場合に採用される。
【0034】
なお、上記以外の縦型多列自動包装機によるエアー供給制御方法として、下記のようにすることも可能である。
(1)裏面噴射口32からのエアー噴出はRカット時期のみ停止し、他の時期は常にエアー噴出を行う。
(2)前面噴射口33からのエアー噴出はRカット時期と、Rカット後の時期の両方とも停止し、他の時期はエアー噴出を行う。
【0035】
このようにする事により、エアー噴出時間は相対的に長くなり、出来上がった包装袋全体をできるだけ長く冷却したい場合にこのようなエアー供給制御方法を採用することになる。
【0036】
以上、図3乃至図5によって説明された本発明は、エアー供給を制御することよりRカット打ち抜き部分を効率良く冷却すると共に、Rカット打ち抜き後の包装袋を引き剥がす機能も兼ね備えた冷却機構を提供することができる。
【0037】
図6は、本発明の縦型多列自動包装機における他のRカッター装置208の側面図である。また、図7は、他のRカッター装置208のカッター部220を取り出して拡大した上面図であり、図8は、同じく他のRカッター装置208のカッター部220を取り出して拡大した側面図である。また、図9は、他のRカッター装置208におけるカッター部220のカット刃222を取り出して拡大した刃先正面図である。なお、図6乃至図8は、カッター刃と抜き型が嵌合する前の状態を表している。
【0038】
図6乃至図9に示すように、Rカッター装置208は、図3と同じく一つのカッター部220が列数分だけ用意されてカッター枠224に取り付けられており、水平方向に並列設置されている。このカッター部220内にはカット刃222が組み込まれており、このカット刃222は、駆動エアーシリンダ221に対して連結部材41によって取り付けられている。カット刃222の刃先と対面する位置にRカット抜き型223が一定の間隔を経て設けられており、このカット刃の刃先と抜き型223の間に切り離されていない連続したスティック状包装袋FZがセッティングされている。
【0039】
なお、カッター部220が列数分だけ取り付けられているカッター枠224内には、カット刃222と抜き型223によって打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を回収するための集塵通路225が設けられており、このカッター装置208の直下にはすべり台9が設置されている。
【0040】
次に、本発明の冷却機構は、図6乃至図9に示すように、以下のように構成されている。
【0041】
(1)カッター部220のカット刃222には、冷却用エアー吐き出すエアー噴出穴42、43、44が設けられている。なお、今回の実施例では、三つの穴が穿孔されている例で説明しているが、このエアー噴出穴の数はカット刃222の強度や冷却用エアー噴出量等の設計事項によって任意の数を採用することができる。
【0042】
(2)このカット刃222を駆動エアーシリンダ221に取り付けている連結部材41には、エアー噴出穴42、43、44と接する中央部分に開口溝45が設けられている。
【0043】
(3)駆動エアーシリンダ221が取り付けられ、カット刃222が収納されているカッター部220の本体部分47には、エアー供給部40が設けられており、このエアー供給部40は、本体部分47の空洞部46と連結されている。
【0044】
(4)上記の構成の結果、このカッター部220に接続された冷却用エアーは、エアー供給部40、本体部分47の空洞部46、連結部材41の開口溝45を経由してカット刃222のエアー噴出穴42、43、44から噴射されてカット刃222と包装袋FZを直接冷却しており、効率の良い冷却機構を構成することができる。
【0045】
そして、上記冷却機構は、図6乃至図9に示すように、以下のように動作している。
【0046】
(1)包装袋FZは間歇的に下方に移動されており、Rカットする直前に図6に示すような位置に停止する。この位置になった時、カッター部220が駆動され、切り離されていない連続したスティック状包装袋FZに対してRカットが施される。
【0047】
(2)Rカットが施されると同時に、縦型多列自動包装機はエアー供給部40よりエアーを送り、本体部分47の空洞部46、連結部材41の開口溝45を経由してカット刃222のエアー噴出穴42、43、44からエアー噴射を行ってカット刃222を直接冷却すると共に、打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を引き剥がしながら勢い良く集塵通路225へ送り込むようにしている。
【0048】
このようなエアー供給制御方法は、Rカット時のみエアー噴出して他の時期はできるだけエアー噴出を停止する方法である。これはエアー消費量を抑えたい場合や包装袋そのものの温度上昇が少ない場合に採用される。
【0049】
なお、上記以外の縦型多列自動包装機によるエアー供給制御方法として、下記のようにすることも可能である。
【0050】
(1)冷却対象の包装袋FZは間歇的に下方に移動されており、Rカットする直前に図6に示すような位置に停止する。この位置になった時、縦型多列自動包装機はエアー供給部40よりエアーを送り、本体部分47の空洞部46、連結部材41の開口溝45を経由してカット刃222のエアー噴出穴42、43、44からエアー噴射が行われてRカット打ち抜き部分FYを冷却する。
【0051】
(2)冷却完了後にカッター部220が駆動され、切り離されていない連続したスティック状包装袋FZに対してRカットが施される。
【0052】
(3)Rカットが施されると同時に、縦型多列自動包装機は再びエアー供給部40よりエアーを送り、本体部分47の空洞部46、連結部材41の開口溝45を経由してカット刃222のエアー噴出穴42、43、44からエアー噴射を行ってカット刃222を直接冷却すると共に、打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を引き剥がしながら勢い良く集塵通路225へ送り込むようにしている。
【0053】
このようにする事により、エアー噴出時間は相対的に長くなり、出来上がった包装袋を含めて冷却したい場合にこのようなエアー供給制御方法を採用することになる。
【0054】
以上、図6乃至図9によって説明された本発明は、エアー供給を制御することよりRカット打ち抜き部分を効率良く冷却すると共に、Rカット打ち抜き時に発生する切り屑(Rカットカス)を引き剥がしながら勢い良く集塵通路225へ送り込むことができる冷却機構を提供することができる。
【0055】
なお、本明細書においてRカットとは、直線的に切断された包装袋の尖った角部分を除去するための切断処理を言う。従って、本明細書におけるRカット形状は、略曲線状に包装袋の角部分を打ち抜いて除去する場合だけではなく、その他の方法で個別包装袋同士が傷付かない程度に包装袋の角部分を除去する場合も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を実施した縦型多列自動包装機の正面図である。
【図2】本発明を実施した縦型多列自動包装機の側面図である。
【図3】本発明の縦型多列自動包装機におけるRカッター装置8の側面図である。
【図4】本発明の縦型多列自動包装機におけるRカッター装置8の上面図であり、カッター刃と抜き型が勘合する前の状態を表している。
【図5】本発明の縦型多列自動包装機におけるRカッター装置8の上面図であり、カッター刃と抜き型が勘合した時の状態を表している。
【図6】本発明の縦型多列自動包装機における他のRカッター装置208の側面図である。
【図7】本発明の縦型多列自動包装機における他のRカッター装置208のカッター部220を取り出して拡大した上面図である。
【図8】本発明の縦型多列自動包装機における他のRカッター装置208のカッター部220を取り出して拡大した側面図である。
【図9】本発明の他のRカッター装置208におけるカッター部220のカット刃222を取り出して拡大した刃先正面図である。
【図10】従来のRカッター装置の冷却装置を横から見た側面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 自動包装機
1F 本体フレーム
2 ホッパー
3 計量供給盤
4 充填パイプ
5 縦シール装置
6 横シール装置
7 袋ガイド
8、208 Rカッター装置
9 すべり台
10 操作パネルボックス
11 モータ
F 包装フィルム
FH 包装フィルムを巻いたロール
FX スリッター装置
FY Rカット打ち抜き部分
FZ 包装袋
20、220 カッター部
21、221 エアーシリンダ
22、222 カット刃
23、223 抜き型
24、224 カッター枠
25、225 集塵通路
30 裏面噴射部
31 前面噴射部
32 裏面噴射口
33 前面噴射口
40 エアー供給部
41 連結部材
42、43、44 エアー噴出穴
45 開口溝
46 空洞部
47 本体部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、
この包装袋内に被包装材料(内容物)を充填する充填装置と、
この被包装材料(内容物)が充填された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、
この搬送された包装袋の横シール部分に対してRカットを施して個別包装袋とするRカッター装置とを備えた縦型多列自動包装機であって、
前記Rカッター装置は、Rカット打ち抜き部分を冷却する冷却機構と、Rカット形状に打ち抜くカッター部とを備え、
前記冷却機構は、Rカッター装置内部に冷却用エアー噴出機構を有することを特徴とする縦型多列自動包装機のRカッター装置。
【請求項2】
前記冷却機構は、Rカッター装置内部に冷却用エアー噴出機構を有すると共に、当該冷却用エアー噴出機構がRカット抜き型より包装袋を引き剥がす機構も兼ねることを特徴とする請求項1記載の縦型多列自動包装機のRカッター装置。
【請求項3】
幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、
この包装袋内に被包装材料(内容物)を充填する充填装置と、
この被包装材料(内容物)が充填された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、
この搬送された包装袋の横シール部分に対してRカットを施して個別包装袋とするRカッター装置とを備えた縦型多列自動包装機であって、
前記Rカッター装置は、Rカット打ち抜き部分を冷却する冷却機構と、Rカット形状に打ち抜くカッター部とを備え、
前記冷却機構は、Rカット前にはRカッター装置内部より包装袋前後両面に対してエアー噴出を行って包装袋の打ち抜き部分を冷却し、Rカット時には包装袋前後両面のエアー噴出を停止し、Rカット後には包装袋前面のエアー噴出を停止すると共に包装袋裏面のエアー噴出を行ってRカット抜き型より包装袋を引き剥がすことを特徴とする縦型多列自動包装機のRカッター装置。
【請求項4】
幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、
この包装袋内に被包装材料(内容物)を充填する充填装置と、
この被包装材料(内容物)が充填された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、
この搬送された包装袋の横シール部分に対してRカットを施して個別包装袋とするRカッター装置とを備えた縦型多列自動包装機であって、
前記Rカッター装置は、Rカット形状に打ち抜くカッター部と、当該カッター部のカット刃内部に冷却用エアー噴出穴を設けてカット刃自体と包装袋のRカット打ち抜き部分を冷却する冷却機構と、打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を回収する集塵機構を備え、
前記冷却機構は、Rカットを行うと同時にカット刃内部のエアー噴出穴よりエアー放出を行ってカット刃自体と包装袋の打ち抜き部分を冷却すると共に、打ち抜かれた切り屑(Rカットカス)を引き剥がしながら集塵機構に送り込むことを特徴とする縦型多列自動包装機のRカッター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−206189(P2006−206189A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283292(P2005−283292)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】