説明

縮合芳香環を含む反射防止コーティング組成物

本発明は、架橋剤および架橋剤で架橋することができる架橋可能なポリマーを含む反射防止コーティング組成物に関し、架橋可能なポリマーが以下の構造(1)で示される単位を含み:
【化1】


ここで、Aは縮合芳香環であり、Bは構造(2)を有し、
【化2】


ここで、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、C−Cアルキルである。
本発明はさらに、本組成物を使用してイメージングを形成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー主鎖中に少なくとも一つのフェニル単位、および少なくとも一つの置換又は非置換の縮合芳香環を有するポリマーを含む吸収性ハードマスク反射防止コーティング組成物、および反射防止コーティング組成物を使用してイメージを形成する方法に関する。この方法は特に、深および極紫外線(uv)領域の放射線を使用してフォトレジストをイメージングするのに有用である。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、コンピュータ・チップおよび集積回路を製造する際など、微細化電子部品を作製するためのマイクロリソグラフィ・プロセスで使用される。一般に、これらの方法では、フォトレジスト組成物の被膜の薄いコーティングを、集積回路を作製するために使用されるシリコンをベースとするウェハなどの基板材料に初めに施与する。次いで、コーティングされた基板をベーク処理して、フォトレジスト組成物中の溶媒を全て蒸発させ、コーティングを基板に固着させる。次いで、基板のベーク処理されたコーティング表面を、放射線に像様露光する。
【0003】
この放射線露光により、コーティング表面の露光領域において化学的変換が生じる。可視光線、紫外(UV)線、電子線およびX線放射エネルギーが、マイクロリソグラフィ・プロセスで現在一般的に使用されている放射線種である。この像様露光の後に、コーティング基板を現像溶液で処理して、フォトレジストの放射線露光領域または非露光領域を溶解および除去する。
【0004】
半導体デバイスが微細化する傾向により、このような微細化に随伴する困難を克服するために、ますます短い波長の放射線に反応する新たなフォトレジストが使用されるようになっており、また精巧な多層系が使用されるようになっている。
【0005】
吸収性反射防止コーティングおよび下層をフォトリソグラフィにおいて使用すると、高反射性基板からの光の裏面反射から生じる問題が軽減される。裏面反射の2つの主な欠点は、薄膜干渉作用および反射ノッチングである。薄膜干渉または定在波は、フォトレジストの厚さが変化する際のフォトレジスト被膜中の光度全体の変動により生じる臨界線幅寸法(critical line width dimensions)の変化をもたらすか、または反射および入射露光放射線の干渉は、厚みを介して放射線の均一性をひずませる定在波作用の原因となり得る。反射ノッチングは、フォトレジスト被膜に光を散乱させるトポグラフィ形態(topographical features)を含有する反射基板上でフォトレジストをパターニングする場合に、深刻になり、線幅の変動をもたらし、極端な場合には、フォトレジストが完全に失われた領域さえ生じる。フォトレジストの下かつ反射性基板の上にコーティングされた反射防止コーティングは、フォトレジストのリソグラフィ性能に著しい改善をもたらす。典型的には、底部反射防止コーティングを基板上に施与し、次いで、フォトレジスト層を反射防止コーティングの上部に施与する。反射防止コーティングを硬化させて、反射防止コーティングとフォトレジストとの混合を防ぐ。フォトレジストを像様露光して現像する。次いで、露光領域の反射防止コーティングを典型的には、様々なエッチング・ガスを使用してドライ・エッチングして、フォトレジスト・パターンを基板に転写する。複数の反射防止層および下層が、新たなリソグラフィ技術では使用されている。フォトレジストが十分なドライ・エッチング耐性をもたらさない場合には、ハードマスクとして機能し、基板エッチングの間に高度なエッチング耐性を示すフォトレジスト用の下層または反射防止コーティングが好ましく、1つの手法は、有機フォトレジスト層の下の層にシリコンを組み込むことであった。加えて、別の高炭素含分反射防止またはマスク層を、シリコン反射防止層の下に付加し、これを使用して、イメージング・プロセスのリソグラフィ性能を改善する。シリコン層は、スピン・コーティング可能か、または化学気相成長法により堆積させることができる。シリコンは、Oエッチングが使用されるプロセスで高いドライ・エッチング耐性であり、シリコン反射防止層の下に高炭素含分を有する有機マスク層を設けることにより、非常に大きなアスペクト比を得ることができる。したがって、有機高炭素マスク層は、その上のフォトレジストまたはシリコン層よりも非常に厚くすることができる。有機マスク層は、より厚い被膜として使用することができ、当初のフォトレジストよりも良好な基板エッチング・マスキングをもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,474,054号
【特許文献2】米国特許第4,200,729号
【特許文献3】米国特許第4,251,665号
【特許文献4】米国特許第5,187,019号
【特許文献5】米国特許第4,491,628号
【特許文献6】米国特許第5,350,660号
【特許文献7】米国特許第5,843,624号
【特許文献8】米国特許第6,866,984号
【特許文献9】米国特許第6,447,980号
【特許文献10】米国特許第6,723,488号
【特許文献11】米国特許第6,790,587号
【特許文献12】米国特許第6,849,377号
【特許文献13】米国特許第6,818,258号
【特許文献14】米国特許第6,916,590号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い炭素含分を有し、フォトレジスト層と基板との間で複数層のうちの1つの単一層として使用することができる新規なスピン・コーティング可能な有機反射防止コーティング組成物または有機マスク下層に関する。典型的には、新規な組成物を使用して、シリコン反射防止コーティングなどの本質的にエッチング耐性のある反射防止コーティング層の下に層を形成することができる。カーボン・ハードマスク下層としても知られている新規な反射防止コーティング中の高い炭素含分は、高解像度イメージ転写を高いアスペクト比で可能にする。新規な組成物は、フォトレジストをイメージングするために、また基板をエッチングするために有用である。新規な組成物により、フォトレジストから基板へと良好にイメージを転写することが可能であり、また反射が減り、パターン転写が増強される。加えて、反射防止コーティングとその上にコーティングされた被膜との間に、混合は実質的に存在しない。反射防止コーティングはまた、良好な溶解安定性を有し、良好なコーティング品質を有する被膜を形成し、後者は、リソグラフィに特に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、架橋剤および架橋剤で架橋することができる架橋可能なポリマーを含む反射防止コーティング組成物であって、架橋可能なポリマーが以下の構造(1)で示される単位を含み:
【0009】
【化1】

ここで、Aは縮合芳香環であり、Bは構造(2)を有し、
【0010】
【化2】

ここで、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、C−Cアルキルである。
【0011】
本発明はさらに、本組成物を使用してイメージングを形成する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、イメージング方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、架橋剤および架橋剤で架橋することができる架橋可能なポリマーを含む吸収性反射防止コーティング組成物に関し、ポリマーはポリマー主鎖中にフェニル基を含む少なくとも一つの単位、およびポリマー主鎖中に少なくとも一つの縮合芳香族単位を含むものである。本発明はまた、新規な反射防止コーティング層の上にコーティングされたフォトレジスト層をイメージングする方法に関する。
【0014】
本発明の新規な反射防止コーティング組成物は、その上にコーティングされる材料の溶媒に対して架橋後の組成物から形成されるコーティングが不溶性になるように架橋し得る高い炭素含分の新規なポリマーを含む。新規なコーティング組成物は、自己架橋し得るか、またはポリマーと架橋し得る架橋化合物を追加的に含んでよい。組成物は、有機酸、エステル、熱酸発生剤(thermal acid generator)、光酸発生剤、界面活性剤、他の高い炭素含分のポリマーなどの他の添加剤を追加的に含んでよい。組成物は、付加的なポリマー、特に高い炭素含分のポリマーを含んでよい。新規な組成物の固体成分は、1種または複数の有機溶媒を含む有機コーティング溶媒組成物に溶解する。新規なポリマーは、有機コーティング溶媒組成物に溶解する。
【0015】
新規な組成物のポリマーは、ポリマー主鎖中に少なくとも一つの縮合芳香族単位およびフェニル基を含む少なくとも一つの単位を含む。ポリマーは構造1で示すことができる。
【0016】
【化3】

ここで、Aは縮合芳香環部分であり、Bは構造(2)を有し、
【0017】
【化4】

ここで、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、C−Cアルキルである。縮合芳香環部分は、互いに縮合した2又は3個以上の芳香族単位を含む。縮合芳香環部分は、2〜8個の芳香環、又は、2〜6個の芳香環、又は、3〜5個の芳香環、又は、3〜4個の芳香環を含んでもよい。縮合芳香環部分は3個の芳香環を含むことができる。縮合芳香環部分はアントラシルとすることができる。
【0018】
新規なポリマーは、酸触媒の存在下、フェニル部分を含むモノマーおよび縮合芳香族を含むモノマーの縮合反応により得ることができる。ポリマー中の縮合芳香環部分は、置換されている若しくは置換されていない縮合芳香環を含む。ポリマーの縮合芳香環は、2〜8員環の芳香環を含むことができる。縮合芳香環部分の例としては以下の構造3〜14がある。
【0019】
【化5】

【0020】
単位は構造3〜14に示される構造をとることができるが、芳香族構造の任意の部位にポリマー主鎖を形成してよく、結合部位はポリマー内で変化してよい。縮合環構造は、分岐オリゴマーまたは分岐ポリマーを形成する2つを超える結合点を有することができる。ポリマーの一実施形態においては、縮合芳香族単位は他の芳香族炭素部分または他の縮合芳香族単位と結合する。縮合芳香族単位のブロックが形成されてもよく、そしてブロックはメチレンなどの飽和脂肪族炭素単位により分断されていてもよい。
【0021】
ポリマーの縮合芳香環は、非置換であるか、またはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、およびハロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、、アミノアルキル、アルコキシ、例えば、メチル基、アミノメチル基、ブロモメチル基およびクロロメチル基などの1個または複数の有機置換基で置換されていてよい。最高4個までの置換基であれば存在することができる。縮合芳香環上の置換基は、コーティング溶媒へのポリマーの溶解を促進することがある。縮合芳香族構造上の置換基の一部はまた、硬化したコーティング中には残り得ないが、それゆえ、エッチング・プロセスの間に有用な高炭素含分被膜はもたらし得るように、硬化中に熱分解してよい。
【0022】
ポリマーは、1種を超える本明細書に記載の縮合芳香族構造を含んでよい。一実施形態においては、縮合芳香族部分は非置換である。一実施形態においては、縮合芳香族部分はヒドロキシ基またはアリコキシ基を含まない。別の実施形態においては、Aの縮合芳香族部分およびBのフェニル基が非置換であり、水素のみで置換されている。
【0023】
縮合環単位に加えて、新規な反射防止コーティングは、さらに、構造1で示されるフェニル基を含む少なくとも一つの単位Bを含む。単位Bは、アルキル置換された若しくは置換されていないジビニルベンゼンなどの2個の不飽和基を含むモノマー由来でよい。ポリマーは、単位−(A)−および−(B)−を含み、ここでAは、直鎖若しくは分岐鎖でもよく、置換されていても置換されていなくてもよい、これまでに記載されたいずれかの縮合芳香族単位であり、Bは構造2に示されるように、飽和炭素によりAと結合しているフェニル基である。
【0024】
アリール基または芳香族基は、6から24個の炭素原子を含有し、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、アントラシル、ビフェニル、ビス−フェニル、トリス−フェニルなどを包含する。これらのアリール基は、上記で述べられた任意の適切な置換基、例えばアルキル、アルコキシ、アシルまたはアリール基でさらに置換されていてよい。同様に、所望の場合には適切な多価アリール基を、本発明では使用することができる。二価アリール基の代表的な例には、フェニレン、キシリレン、ナフチレン、ビフェニレンなどが包含される。アルコキシは、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシを意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノナニルオキシ、デカニルオキシ、4−メチルヘキシルオキシ、2−プロピルヘプチルオキシ、および2−エチルオクチルオキシが挙げられる。アラルキルは、結合した置換基を有するアリール基を意味する。置換基は、アルキル、アルコキシ、アシルなどのいずれでもよい。7〜24個の炭素原子を有する一価のアラルキルの例としては、フェニルメチル、フェニルエチル、ジフェニルメチル、1,1−または1,2−ジフェニルエチル、1,1−、1,2−、2,2−、または1,3−ジフェニルプロピルなどが挙げられる。本明細書に記載の、望ましい原子価を有する置換アラルキル基の適切な組合せを、多価アラルキル基として用いることができる。
【0025】
一実施形態において、新規なポリマーは、例えば、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニルなどのあらゆる脂肪族環式もしくは多環式基を含まない。他の実施形態において、新規なポリマーは、あらゆる脂肪族環式もしくは多環式基、ヒドロキシ基もしくはアルコキシ基を含まない。一実施形態において、新規なポリマーは、例えば、シクロヘキシル、アダマンチル、ノルボルニルなどの脂肪族多環式基を含むポリマーを組成物中に含まない。
【0026】
本願発明の新規な組成物のポリマーは、a)縮合環がポリマー主鎖を形成する求電子置換が可能な2または3以上の縮合芳香族環を含む少なくとも一つの芳香族化合物を、b)カルボカチオンを形成できる二つの活性部位を有する少なくとも一つの芳香族単位と、酸触媒の存在下で反応させることで合成するとよい。芳香族化合物は、所望の芳香族単位、より具体的には上に示した構造または同等物をもたらすモノマーから選択することができ、さらに、アントラセン、フェナントレン、ピレン、フルオランテン、コロネントリフェニレン、アントラセンメタノール、アントラセンメチルメトキシなどの化合物から選択できる。縮合芳香環は、求電子置換のための部位である少なくとも2個の反応性部位を提供する。
【0027】
新規なポリマー中で単位Bに使用されるモノマーは、酸の存在下で、カルボカチオンを形成できる2個の反応性部位を有するフェニル単位を含み、そして、ジビニルベンゼンなどの化合物から選択すればよい。反応を、スルホン酸などの強酸の存在下で触媒する。任意のスルホン酸を使用することができ、その例は、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ビスペルフルオロアルキルイミド、トリスペルフルオロアルキルカーバイドまたは他の強非求核酸である。反応を、溶媒を用いて、または用いずに実施することができる。溶媒が使用される場合、固体成分を溶解し得る任意の溶媒、特に、強酸に対して非反応性のものを使用してもよく、クロロホルム、ビス(2−メトキシエチルエーテル)、ニトロベンゼン、塩化メチレン、ジグリム、トリグリム、ジ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジエチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ジエチルエーテル, プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)などの溶媒を使用すればよい。反応物を、ポリマーが形成するまで、適当な温度で適当な時間混合することができる。反応時間は、約3時間から約24時間の範囲であってよく、反応温度は約80℃から約180℃の範囲であってよい。ポリマーを単離し、沈殿および洗浄を介してメタノール、ヘキサン、ヘプタンなどの適切な溶媒中で精製する。新規なポリマーは所望の分子量のフラクションを得るために分画してもよい。ポリマーを、例えばテトロヒドロフラン(THF)などの溶媒に溶解し、アルカンなどの非溶媒を溶液に加え、そして、沈殿物が形成させ、濾過する。分別プロセスは室温で行えばよい。ポリマーをさらに濾過してもよい。典型的には、低分子量部分は除去される。既存のポリマーの反応、単離、および精製技術を使用すればよい。ポリマーの重量平均分子量は、約1200〜約5,000、または、約1300〜約3,000または、約1,500〜約2,600の範囲であってよい。
【0028】
ポリマーの屈折率n(屈折率)およびk(吸収)は、193nmなどの使用される露光波長で屈折率が約1.3から約2.0および吸収が約0.05から約1.0の範囲であってよい。組成物のポリマーの炭素含分は、固体組成物の元素分析により決定される。組成物もしくはポリマーの炭素含分は、基板上にコーティングが形成され、膜を乾燥した後に測定すればよい。固体コーティング又は乾燥ポリマーの元素分析により、炭素含分が質量%として得ることになる。元素分析による架橋後のポリマーもしくは組成物の炭素含分は、80質量%より大きいか、85質量%より大きいか、または90質量%より大きい。一実施形態においては、架橋後のポリマーの炭素含分は、80〜95質量%の範囲である。
【0029】
本発明の新規な組成物は構造(15)に示される構造単位を有してもよく、ここでRおよびRは上記に示したとおりである。
【0030】
【化6】

【0031】
ポリマーを含有する本発明の新規の組成物にさらに架橋剤を含有することができる。典型的には、架橋剤は、求電子試薬として機能することができ、単独で、または酸の存在下でカルボカチオンを形成することができる化合物である。したがって、複数の求電子性部位を含有するアルコール、エーテル、エステル、オレフィン、メトキシメチルアミノ、メトキシメチルフェニルおよび他の分子などの基を含有する化合物は、ポリマーと架橋し得る。グリコールウリル、メラミンのポリマーなどのポリマー性架橋剤を使用してもよい。架橋剤であり得る化合物の例は、1,3アダマンタンジオール、1,3,5アダマンタントリオール、多官能性反応性ベンジル系化合物、構造(16)のテトラメトキシメチル−ビスフェノール(TMOM−BP)、アミノプラスト架橋剤、グリコールウリル、Cymels、Powderlinksなどである。
【0032】
【化7】

【0033】
ポリマーを含む新規な組成物はまた、酸発生剤および場合によって架橋剤も含んでよい。酸発生剤は、加熱すると強酸を生じさせ得る熱酸発生剤であってよい。本発明で使用される熱酸発生剤(TAG)は、本発明で存在するポリマーと反応し、ポリマーの架橋を伝播し得る酸を、加熱すると生じさせる任意の1種または複数であってよく、スルホン酸などの強酸が特に好ましい。好ましくは、熱酸発生剤は、90℃を超える温度で、より好ましくは120℃を超える温度で、さらにより好ましくは150℃を超える温度で活性化する。熱酸発生剤の例は、強非求核酸のトリアリールスルホニウム、ジアルキルアリールスルホニウムおよびジアリールアルキルスルホニウム塩、強非求核酸のアルキルアリールヨードニウム、ジアリールヨードニウム塩などの金属不含のスルホニウム塩およびヨードニウム塩;ならびに強非求核酸のアンモニウム、アルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム塩である。また、共有熱酸発生剤も、有用な添加剤として考えられ、例えばアルキルまたはアリールスルホン酸の2−ニトロベンジルエステルおよび熱分解して遊離スルホン酸をもたらすスルホン酸の他のエステルである。例は、ジアリールヨードニウムペルフルオロアルキルスルホネート、ジアリールヨードニウムトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチド、ジアリールヨードニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)メチド、ジアリールヨードニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、ジアリールヨードニウム第4級アンモニウムペルフルオロアルキルスルホネートである。不安定なエステルの例:トシル酸2−ニトロベンジル、トシル酸2,4−ジニトロベンジル、トシル酸2,6−ジニトロベンジル、トシル酸4−ニトロベンジル;2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−クロロベンゼンスルホネート、2−トリフルオロメチル−6−ニトロベンジル4−ニトロベンゼンスルホネートなどのベンゼンスルホネート;フェニル、4−メトキシベンゼンスルホネートなどのフェノール系スルホン酸エステル;第4級アンモニウムトリス(フルオロアルキルスルホニル)メチドおよび第4級アルキルアンモニウムビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、10−カンファースルホン酸のトリエチルアンモニウム塩などの有機酸のアルキルアンモニウム塩。様々な芳香族(アントラセン、ナフタレンまたはベンゼン誘導体)スルホン酸アミン塩をTAGとして用いることができ、米国特許第3,474,054号(特許文献1)、同第4,200,729号(特許文献2)、同第4,251,665号(特許文献3)および同第5,187,019号(特許文献4)に開示されたものが包含される。好ましくは、TAGは、170〜220℃の間の温度で非常に低い揮発性を有する。TAGの例は、NacureおよびCDXという名称でKing Industriesから販売されているものである。そのようなTAGは、Nacure 5225およびCDX−2168Eであり、これは、King Industries、Norwalk、Conn.06852、USAからプロピレングリコールメチルエーテル中25〜30%の活性で提供されるドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩である。
【0034】
新規な組成物はさらに、少なくとも1種の公知の光酸発生剤をさらに含有していてもよく、その例は、限定ではないが、オニウム塩、スルホネート化合物、ニトロベンジルエステル、トリアジンなどである。好ましい光酸発生剤は、オニウム塩およびヒドロキシイミドのスルホン酸エステル、特に、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、ジアルキルヨードニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩およびこれらの混合物である。これらの光酸発生剤は、必ずしも光分解するとは限らないが、熱分解して酸を形成する。
【0035】
本発明の反射防止コーティング組成物は、組成物中の全固形分に対して新規な縮合芳香族ポリマー1重量%から約30重量%、好ましくは4重量%から約15重量%を含有してよい。組成物中で使用する場合、架橋剤は、全固形分に対して約1重量%から約30重量%で存在してよい。熱酸発生剤は、反射防止コーティング組成物の全固形分に対して約0.1から約10重量%、好ましくは固形分に対して0.3から5重量%、より好ましくは固形分に対して0.5から2.5重量%の範囲で組み込むことができる。
【0036】
新規な組成物は、さらに第二のポリマーを含んでもよい。第二のポリマーは、また、75質量%より大きいか、80質量%より大きい炭素含分を有するポリマーとすることができる。第二のポリマーは、本明細書中に示した縮合芳香環Aを含む単位、フェニル部分B、および2個より多い芳香環により置換された縮合芳香環から選択される第三の単位を含むことができる。第三の単位は、ヒドロキシ基により置換された縮合芳香族から選択することができる。第三の単位は、ヒドロキシアントラシル部分、ヒドロキシフェニル部分、ヒドロキシナフチル部分、ヒドロキシピレニル部分、C−Cアルコキシアントラシル部分、C−Cアルキルフェニル部分、C−Cアルキルナフチル部分、C−Cアルキルピレニル部分などから選択することができる。第三の単位は、ヒドロキシフェニル、ヒドロキシナフチル、ヒドロキシフェナントリル、ヒドロキシアントラシルなどから選択することができる。第二のポリマーは、組成物中の全ポリマー濃度に対して1〜20質量%または全ポリマー濃度に対して1〜10質量%加えればよい。一実施形態においては、第二のポリマーは、あらゆる脂肪族環式もしくは多環式基を含まず、第三の単位がヒドロキシナフチルである。
【0037】
一実施形態においては、新規な組成物は、新規なポリマー、本明細書中に示した第二のポリマー、架橋剤、熱酸発生剤、任意に界面活性剤、および溶媒を含む。
【0038】
反射防止コーティング組成物の固体成分を、反射防止コーティングの固体成分を溶解する溶媒または溶媒の混合物と混合する。反射防止コーティング組成物に適した溶媒には、例えば、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル誘導体;エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテートまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル誘導体;酢酸エチル、酢酸n−ブチルおよび酢酸アミルなどのカルボキシレート;ジエチルオキシレートおよびジエチルマロネートなどの2塩基酸のカルボキシレート;エチレングリコールジアセテートおよびプロピレングリコールジアセテートなどのグリコールのジカルボキシレート;ならびに乳酸メチル、乳酸エチル、グリコール酸エチルおよびプロピオン酸エチル−3−ヒドロキシなどのカルボン酸ヒドロキシ;ピルビン酸メチルまたはピルビン酸エチルなどのケトンエステル;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチルまたはメチルエトキシプロピオネートなどのアルコキシカルボン酸エステル;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたは2−ヘプタノンなどのケトン誘導体;ジアセトンアルコールメチルエーテルなどのケトンエーテル誘導体;アセトールまたはジアセトンアルコールなどのケトンアルコール誘導体;ブチロラクトンなどのラクトン;ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミドなどのアミド誘導体、アニソールならびにこれらの混合物が包含され得る。
【0039】
反射防止コーティング組成物は、コーティングの性能を高めるために、例えばモノマー染料、低級アルコール(C〜Cアルコール)、表面レベリング剤、接着促進剤、消泡剤などの他の成分を含むことができる。
【0040】
反射防止被膜を基板の頂部にコーティングし、またドライ・エッチングに掛けるので、この被膜は、十分に低い金属イオン・レベルを有し、半導体デバイスの特性に悪影響を与えないような十分な純度を有することが企図される。イオン交換カラムにポリマー溶液を通過させるプロセス、濾過プロセスおよび抽出プロセスなどの処理を使用して、金属イオンの濃度を低下させ、粒子を減らすことができる。
【0041】
新規な組成物の吸収パラメータ(k)は、偏光解析測定によると、露光波長で約0.05から約1.0、好ましくは約0.1から約0.8の範囲である。一実施形態では、組成物は、露光波長で約0.2から約0.5の範囲のk値を有する。反射防止コーティングの屈折率(n)もまた最適化され、約1.3から約2.0、好ましくは1.5から約1.8の範囲であり得る。nおよびkの値は、J.A.Woollam WVASE VU−32(商標)Ellipsometerなどの楕円偏光計を使用して算出することができる。kおよびnに関する最適な範囲の正確な値は、使用される露光波長および塗布の種類に左右される。典型的には、193nmでは、kに関する好ましい範囲は約0.05から約0.75であり、248nmでは、kに関する好ましい範囲は約0.15から約0.8である。
【0042】
新規な反射防止コーティング組成物の炭素含分は、組成物からの乾燥膜の元素分析により測定すると80重量%を超えるか、または85重量%を超える。新規の組成物からの乾燥膜を最高400℃、最高120秒で加熱した後でさえ、組成物由来の膜の炭素含分は、80質量%のレベルを保持するか、80重量%を超える。
【0043】
反射防止コーティング組成物を、浸漬、スピン・コーティングまたは噴霧など、当業者によく知られている技術を使用して、基板上にコーティングする。反射防止コーティングの被膜の厚さは、約15nmから約400nmの範囲である。コーティングをさらに、残留溶媒をすべて除去し、架橋を誘発するのに十分に長い時間、ホットプレート上でまたは対流式炉内で加熱して、反射防止コーティングを不溶化させて、反射防止コーティングとその上にコーティングされる層とが混合することを防ぐ。温度の好ましい範囲は、約90℃から約280℃である。
【0044】
他の種類の反射防止コーティングを、本発明のコーティングの上にコーティングすることもできる。典型的には、シロキサン、官能化シロキサン、シルセスキオキサンまたはエッチング速度を低下させる他の部分などのシリコン基を含むものなどの酸素エッチングに高い耐性を有する反射防止コーティングを使用して、コーティングがパターン転写用のハードマスクとして機能し得るようにする。シリコン・コーティングは、スピン・コーティング可能であるか、または化学気相成長させることができる。一実施形態では、基板を、本発明の新規な組成物の第1の被膜でコーティングし、シリコンを含む別の反射防止コーティングの第2のコーティングを、第1の被膜上にコーティングする。第2のコーティングは、約0.05から0.5の範囲の吸収(k)値を有することができる。次いでフォトレジストの被膜を、第2のコーティング上にコーティングする。イメージング・プロセスを図1に例示する。
【0045】
フォトレジストの被膜を、最上部反射防止コーティングの頂部にコーティングし、ベーク処理して、フォトレジスト溶媒を実質的に除去する。エッジビード・リムーバを、コーティング・ステップ後に施与して、当分野でよく知られているプロセスを使用して基板の縁部を清浄にすることができる。
【0046】
反射防止コーティングがその上に形成される基板は、半導体産業で典型的に使用される任意のものであってよい。適当な基板には、限定ではないが、低誘電率材料、シリコン、金属面でコーティングされたシリコン基板、銅がコーティングされたシリコン・ウェハ、銅、アルミニウム、ポリマー樹脂、二酸化シリコン、金属、ドーピングされた二酸化シリコン、窒化シリコン、タンタル、ポリシリコン、セラミックス、アルミニウム/銅混合物;ガリウムヒ素および他のそのような第III/V族化合物が包含される。基板は、上記の材料から作製された任意の数の層を含んでよい。
【0047】
フォトレジストは、半導体産業で使用される任意の種類であってよいが、但し、フォトレジスト中の光活性化合物および反射防止コーティングが、イメージング・プロセスで使用される露光波長で実質的に吸収することを条件とする。
【0048】
今日までに、微細化に著しい進歩をもたらしたいくつかの主な深紫外線(uv)露光技術が存在し、これらの放射線は248nm、193nm、157および13.5nmである。248nmのためのフォトレジストは典型的には、米国特許第4,491,628号(特許文献5)および米国特許第5,350,660号(特許文献6)に記載されているものなど、置換ポリヒドロキシスチレンおよびそのコポリマー/オニウム塩をベースとしている。他方で、193nmおよび157nmで露光するためのフォトレジストは、芳香族がこの波長では不透明であるので、非芳香族ポリマーを必要とする。米国特許第5,843,624号(特許文献7)および米国特許第6,866,984号(特許文献8)は、193nm露光に有用なフォトレジストを開示している。一般に、脂環式炭化水素を含有するポリマーは、200nm未満で露光するためのフォトレジストに使用される。脂環式炭化水素は、多くの理由でポリマーに組み込まれるが、それというのも主に、これらはエッチング耐性を改善する比較的高い炭素と水素との比を有し、低波長でも透明性をもたらし、比較的高いガラス転移温度を有するためである。米国特許第5,843,624号(特許文献7)は、無水マレイン酸と不飽和環式モノマーとのフリーラジカル重合により得られるフォトレジストのためのポリマーを開示している。米国特許第6,447,980号(特許文献9)および米国特許第6,723,488号(特許文献10)に記載されていて、参照により本明細書に組み込まれるものなどの、任意の知られている種類の193nmフォトレジストを使用することができる。157nmに感光性があり、懸垂フルオロアルコール基を有するフッ素化ポリマーをベースとするフォトレジストの2つの基本的なクラスは、その波長で実質的に透明であることが知られている。一方のクラスの157nmフルオロアルコール・フォトレジストは、フッ素化ノルボルネンなどの基を含有するポリマーに由来し、金属触媒またはラジカル重合を使用してテトラフルオロエチレンなどの他の透明なモノマーとホモ重合または共重合される(米国特許第6,790,587号(特許文献11)および米国特許第6,849,377号(特許文献12))。一般に、これらの材料はより高い吸光度をもたらすが、それらの高い脂環式含分により、良好なプラズマ・エッチング耐性を有する。さらに最近では、ポリマー主鎖が、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンなどの不斉ジエンの環化重合(米国特許第6,818,258号(特許文献13))またはフルオロジエンとオレフィンとの共重合(米国特許第6,916,590号(特許文献14))に由来する157nmフルオロアルコール・ポリマーの群が記載された。これらの材料は、157nmで許容可能な吸光度をもたらすが、フルオロ−ノルボルネン・ポリマーに比べてその脂環式含分が低いので、より低いプラズマ・エッチング耐性を有する。これら2つの群のポリマーは、第1の種類のポリマーの高いエッチング耐性と第2の種類のポリマーの157nmでの高い透明性とのバランスをもたらすために、ブレンドし得ることが多い。13.5nmの極紫外線(EUV)を吸収するフォトレジストもまた有用であり、当分野で知られている。新規なコーティングはまた、ナノインプリンティングおよび電子線リソグラフィで使用することもできる。
【0049】
コーティング・プロセスの後に、フォトレジストをマスクとともに像様露光する。露光は、典型的な露光装置を使用して行ってもよい。露光の波長源は、如何なるものも使用できるが、248nmおよび193nmである。次いで、露光されたフォトレジストを、水性現像液で現像して、処理されたフォトレジストを除去する。現像液は好ましくは、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を含むアルカリ水溶液である。現像液の例としては、0.26Nの水性水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液である。現像液はさらに、界面活性剤(複数可)を含んでもよい。任意選択の加熱ステップを、現像前および露光後のプロセスに組み込むことができる。
【0050】
フォトレジストをコーティングおよびイメージングするプロセスは、当業者によく知られており、使用されるフォトレジストの特定の種類のために最適化される。次いで、パターニングされた基板を、適当なエッチング・チャンバ内でエッチング・ガスまたはガスの混合物でドライ・エッチングして、反射防止被膜または多数の層の反射防止コーティングの露光部分を除去することができるが、この際、残存しているフォトレジストがエッチング・マスクとして機能する。O、CF、CHF、Cl、HBr、SO、COなどを含むものなど、様々なエッチング・ガスが、有機反射防止コーティングをエッチングするために当分野では知られている。
【0051】
上記で参照された文献はそれぞれ、その全体が、あらゆる目的で、参照により本明細書に組み込まれる。下記の具体的な例では、本発明の組成物を生成および利用する方法の詳細な説明を提供する。しかしながら、これらの例は、本発明の範囲を限定または制限することを何ら意図したものではなく、本発明を実施するために専ら利用しなければならない条件、パラメータまたは値を提供していると解釈すべきではない。
【実施例】
【0052】
下記の例における炭素ハードマスク反射防止コーティングの屈折率(n)および吸収度(k)の値は、J.A.Woollam VASE32楕円偏光計で測定した。
【0053】
ポリマーの分子量を、ゲル浸透クロマトグラフで測定した。
【0054】
例1
9−アントラセンメタノール(52.06g/0.25モル)、ジビニルベンゼン(16.3g/0.125モル)を、攪拌器、凝縮器、サーモウォッチ、および窒素スイープを備えた2Lの四つ口丸底フラスコに導入した。窒素雰囲気下で213gのジ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(ジグリム)および60gのシクロペンチルメチルエーテル(CPME)を添加し、10分間混合した。2.05gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加して、10分間混合した。フラスコを140℃に加熱し、3時間還流させた。反応後、フラスコを冷却し、500mlのCPMEを添加した。反応混合物を、底出口弁を有する5Lのフラスコに移した。300mLの脱イオン(DI)水を添加し、混合し、水分離層が形成されるように静置した。ポリマー溶液を5Lのヘキサンと混合した。沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。粗製ポリマー(46.0g)をテトラヒドロフラン(THF)400mlに溶解した。溶液に4Lのヘキサンを添加し、沈殿を形成させた。ポリマーの沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させ収率54%、GPCのMwが1898、多分散性(Pd)が1.77のポリマーが得られた。得られたポリマーの元素分析は、質量%で炭素−92.29%、水素−5.91%、酸素−1.8%であった。
【0055】
例2
例1からの7.0gのポリマー、0.70gのテトラメトキシメチル−ビスフェノール(TMOM−BP)、シクロヘキサノン/PGMEA(70/30)中の10%の塩としてトリエチルアミンとともに2.80gのドデシルベンゼンスルホン酸、および89.5gのシクロヘキサノン/PGMEA(70/30)を混合した。完全な混合の後、配合物を0.04μmフィルターで濾過した。
【0056】
例3
例2の濾過した溶液を8”(インチ)のシリコン・ウェハ上に1500rpmでスピンコートした。コートされたウェハを、ホットプレート上で230℃、60秒間ベーク処理した。ウェハ表面からブレードにより薄くコートされた材料を掻き出し、そして元素分析を行った。その結果を表1に示す。例2の濾過した溶液を別のシリコン・ウェハ上に1500rpmでスピンコートし、そして、コートされたウェハを400℃、120秒間ベーク処理した。ウェハ表面からブレードによりベーク処理された材料を掻き出し、そして元素分析を行った。その結果を表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
比較例1:
ジビニルベンゼンに代えて、ジヒドロキシメチルベンゼンを使用して例2を繰り返した。得られたポリマーは、収率60%、GPCのMwが1374、Pdが1.79、元素分析は、質量%で:炭素−90.60%、水素−5.15%、酸素−2.53%であった。
【0059】
比較例2:
比較例1のポリマーを使用して例2を繰り返した。
【0060】
比較例3:
比較例2の材料を使用して例2を繰り返し、そして得られた結果を下の表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
比較組成物2は400℃で加熱した後、例2の組成物と比較してより低い炭素含分となる。ここでベーク処理後は高い炭素含分が望まれ、特に80質量%以上である。
【0063】
比較例4:
ジビニルベンゼンに代えて、ジメトキシメチルベンゼンを使用して例1を繰り返した。得られたポリマーはMw1374、Pd1.79であった。元素分析から、ポリマーは炭素−90.60%、水素−5.15%および酸素−4.25%(質量%)有している。
【0064】
比較例5:
比較例4のポリマーを使用して比較例2を繰り返した。
【0065】
比較例6:
比較例5の材料を使用して比較例3を繰り返し、そして得られた結果を下の表3に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
比較組成物5は400℃で加熱した後、例2の組成物と比較してより低い炭素含分となる。ここでベーク処理後は高い炭素含分が望まれる。
【0068】
例8
nおよびk測定:例2からの配合物をシクロヘキサノンで固形分1.25%に調節し、全ての物質が溶解するまで、混合物を混合した。均一な溶液を0.2μm膜フィルターで濾過した。この濾過された溶液を、4インチのシリコン・ウェハに2000rpmでスピン・コーティングした。コーティングされたウェハをホットプレート上、230℃で60秒間ベーク処理した。次いで、nおよびk値をJ.A. Woollam Co.Inc.製のVASE Ellipsometerで測定した。193nm放射線での被膜の光学定数nおよびkは、n=1.47、k=0.56であった。
【0069】
例9
例2の均質な溶液を0.2μm膜フィルターで濾過した。この濾過された溶液を、6インチのシリコン・ウェハに1500rpmでスピン・コーティングした。コーティングされたウェハをホットプレート上、230℃で60秒間ベーク処理した。ベーク処理の後、ウェハを室温に冷却し、PGME中に30秒間部分的に浸漬した。コーティングに損傷はなかった。ウェハの浸漬した部分と浸漬してない部分の被膜厚の変化を測定した。ベーク処理された膜の効果的な架橋のため、浸漬した部分に膜の損傷は見られなかった。
【0070】
例10
Perkin Elmer TGA 7を使用して、例1のポリマーの等温熱重量分析TGAを400℃、120分間で測定したところ、その結果はポリマーの質量損失は2.27%であり、したがって、新規なポリマーが非常に最小限の質量損失であることを示している。
【0071】
例11
表4に示した酸化的(酸素リッチ)エッチング条件およびフルオロカーボンリッチエッチング条件の両方を使用して、NE−5000N(ULVAC)上で反射防止コーティングのブランケットエッチング速度を測定した。例2および比較例2の配合物の反射防止コーティング膜を約250nmの被膜厚で、別々に、8インチのシリコン・ウェハにコーティングし、そして230℃で1分間ベーク処理した。膜のVASE分析によるCauchyの材料依存の定数および5点検討を使用したNanospec 8000の個々の被膜厚測定プログラムを20秒エッチングの前後で行った。ここで、エッチング速度はエッチング時間で分割された被膜厚の差をとることにより計算した。エッチング速度のマスキング能は、表5および6のエッチング速度データ中に示した。より低いエッチング速度が望まれるなか、比較例2は例2より高いエッチング速度を示した。
【0072】
【表4】

プレート温度:20℃;RFパワー:50Wのバイアスで500W
【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
例12
例2の組成物を1500rpmで8インチのシリコン・ウェハにコーティングし、200nmの被膜厚を得て、350℃、120秒でベーク処理した。シリコン含有底反射防止コーティングAZ(登録商標) EXP ArF S24H(AZ(登録商標)Electronic Materials USA Corps,Somerville,NJより利用可能なシリコン反射防止コーティング)をその頂部にコーティングし、31nmの被膜厚を得て、230℃、60秒でベーク処理した。その後、AZ(登録商標)ArF2110P フォトレジスト(AZ(登録商標)Electronic Materials USA Corps,Somerville,NJ)から利用可能な193nmフォトレジスト)を反射防止コーティングの頂部にコーティングし、125nmの被膜厚を得て、100℃、60秒でベーク処理した。193nmの露光ツール(Nikon NSR−306D:NA=0.85,Dipole0.82/0.43)により、フォトレジストを像様露光し、110℃、60秒でベーク処理し、その後、0.26N水性水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液中で現像した。次に、ラインとスペースパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、50nmの限界寸法で1:2のピッチでパターンを分析した。フォトレジストは48.0mJ/cmの感光性を有していた。フォトレジスト・パターンは、フォトレジスト・パターンの底にフーチング(footing)や屑がない良好なパターンプロファイルを示した。フォトレジスト・パターンは、基板からパターンへ最少の反射を示す定常波を有さない。フォトレジスト・パターンは、前記のエッチング条件、または他の任意の条件により基板に転写する。パターンサンプルはCFガスを使用してエッチングし、続いてOガスを使用して、全ての残留有機物を除去する。続いて、基板をCFガスによりエッチングする。パターンの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して観察する。
【0076】
例13
9−アントラセンメタノール(166.6g/0.80モル)、ジビニルベンゼン(16.3g/0.125モル)を、攪拌器、凝縮器、サーモウォッチ、および窒素スイープを備えた2Lの四つ口丸底フラスコに導入した。窒素雰囲気下で500gのジ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(ジグリム)ジ(エチレングリコール)ジメチルエーテル(ジグリム)および150gのシクロペンチルメチルエーテルを添加し、10分間混合した。6.5gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加して、10分間混合した。フラスコを140℃に加熱し、3時間還流させた。反応後、フラスコを冷却し、500mlのCPMEを添加した。400mLの脱イオン(DI)水を添加し、混合し、水分離層が形成されるように静置した。水層を除去した。ポリマー溶液を8Lのヘキサンと混合した。沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。粗製ポリマー(154g)をテトラヒドロフラン(1386g)に溶解した。この溶液に824gのヘキサンを攪拌しながらゆっくり添加し、沈殿を形成させた。沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させ収率38%の分画されたポリマーが得られた;GPCのMwが2162、多分散性(Pd)が1.83。
【0077】
例14
例13のポリマーを使用して例2を繰り返した。
【0078】
例15:
例14の材料を使用して例3を繰り返し、そして得られた結果を下の表8に示す。
【0079】
【表7】

【0080】
例16
9−アントラセンメタノール(26g/0.125モル)、ジビニルベンゼン(16.25g/0.125モル)および1−ナフトール(18g/0.125モル)を、攪拌器、凝縮器、サーモウォッチ、および窒素スイープを備えた2Lの四つ口丸底フラスコに導入した。窒素雰囲気下で210gのジグリムおよび60gのシクロペンチルメチルエーテルを添加し、10分間混合した。1.81gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加して、10分間混合した。フラスコを140℃に加熱し、3時間還流させた。反応後、フラスコを約80℃に冷却し、500mlのCPMEを添加し、1.3gのトリエチルアミンを添加した。反応混合物を、底出口弁を有する5Lのフラスコに移した。300mLのDI水を添加し、混合し、静置し、水分離層を形成させた。ポリマー溶液を3Lのヘキサンと混合した。沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。ポリマー(70.0g)をTHF(200ml)に溶解した。溶液に3Lのt−ブチルメチルエーテルを添加し、沈殿を形成させた。沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させた。ポリマーの収率は33%、GPCのMwが5561、Pdが2.04であった。元素分析:炭素−87.11%、水素−5.95%、酸素−6.95%
【0081】
例17
例13の7.35gの分画されたポリマーをボトルに添加し、1.84gの例16のポリマーを添加し、0.37gのTMOM−BPを添加し、シクロヘキサノン/PGMEA(70/30)中の2.94gのDBSAの10%溶液を添加し、70/30シクロヘキサノン/PGMEA中の1%の0.50gのFC−4430(3MCompany,MNより利用可能)および86.9gのシクロヘキサノン/PGMEA(70/30)を添加した。混合後、配合物を0.04μmのフィルターで濾過した。このろ液を1500rpmで8インチのシリコン・ウェハにスピン・コーティングした。コーティングされたウェハをホットプレート上で230℃、60分ベーク処理し、欠陥を検査した。コーティングには全く欠陥がなかった。
【0082】
例18
例17のポリマーを使用せずに、例17を繰り返し、検査の後、コーティングからはコーティングの欠陥が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋剤および架橋剤で架橋することができる架橋可能なポリマーを含む反射防止コーティング組成物であって、架橋可能なポリマーが以下の構造(1)で示される単位を含み:
【化1】

ここで、Aは縮合芳香環であり、Bは構造(2)を有し、
【化2】

ここで、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、C−Cアルキルである、上記組成物。
【請求項2】
組成物中のポリマーが脂肪族多環式部分を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
がメチルであり、Rがメチルである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
縮合芳香環が、2〜5個の芳香環、好ましくは3または4の芳香環を有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
組成物がさらに好ましくは熱酸発生剤を含む、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
ポリマーが1200〜10000の重量平均分子量を有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
さらに界面活性剤を含む、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
さらに第二のポリマーを含み、第二のポリマーがヒドロキシ芳香族部分を含み、そして好ましくは、脂肪族多環を含まない、請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
固体含分で80%より大きい炭素含分を有する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
構造1のAが
【化3】

から選択される、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
マイクロ電子デバイスを製造する方法であって、
a)請求項1〜10のいずれか一つに記載の反射防止コーティング組成物の第一層を有する基板を提供し;
b)任意に、第一の反射防止コーティング組成物層の上に少なくとも第二の反射防止コーティング層を提供し;
b)反射防止コーティング層の上にフォトレジスト層をコーティングし;
c)フォトレジスト層を像様露光し;
d)水性アルカリ現像液でフォトレジスト層を現像する、ことを含む方法。
【請求項12】
第一の反射防止コーティング層が約0.05〜約1.0の範囲のk値を有し、かつ/または、第二の反射防止コーティング層が約0.05〜約0.5の範囲のk値を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第二の反射防止コーティング層がシリコンを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
フォトレジストが約240nm〜約12nmの放射線でイメージング可能である、請求項11〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
現像液が水酸基塩基を含む水性溶液である、請求項11〜14のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−515972(P2013−515972A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545468(P2012−545468)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003373
【国際公開番号】WO2011/077241
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(305010827)エイゼット・エレクトロニック・マテリアルズ・ユーエスエイ・コーポレイション (81)
【Fターム(参考)】