説明

繊維機械用巻取り装置

【課題】ドラムシャフトを回転駆動するモータ及びトラバース装置を駆動するモータへの電力供給停止時に、機械的にドラムシャフトとトラバース装置とを同期させて停止させることができる繊維機械用巻取り装置を提供すること。
【解決手段】繊維機械用巻取り装置1は、巻取りパッケージ11aを回転させる巻取りドラム11bと、巻取りドラム11bが固定されているドラムシャフト11と、ドラムシャフト11を回転駆動する第1モータ2と、巻取りパッケージ11aに巻取られる糸を綾振りするトラバース装置12と、トラバース装置12を駆動する第2モータ3と、停電時にトラバース装置12の動作が停止するまでに作動し、停電時でのトラバース装置12の動力源となるドラムシャフト11の駆動力を、ドラムシャフト11の回転が停止するまでトラバース装置12に伝達する動力伝達手段13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械用巻取り装置に関し、特には、ドラムシャフトとトラバース装置が例えば停電時に同期して停止する繊維機械用巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維機械の中に、例えば、第1モータで、スピンドル、フィードローラ、巻取りドラムを駆動し、第2モータで、トラバース装置を駆動するタイプのダブルツイスタがある。このダブルツイスタでは、第1モータの駆動系と第2モータの駆動系が互いに独立していることから、第1モータと第2モータを別個に制御することができる。従って、このダブルツイスタは、第2モータとしてインバータからの出力周波数に応じて回転する誘導モータを使用すると、第1モータと関係なく加減速を自在にすることができる。これにより、誘導モータの回転数を上限値と下限値の間で周期的に切り換えて、トラバースカムを周期的に変動させたトラバース速度で駆動するディスターブ機能を備えることができる。この機能により、巻取りドラムとトラバース装置を同一のモータにより駆動させていた場合には難しかった、三角波状の基本綾角の変化の達成によるリボンの効果的な回避が可能となった。
【0003】
しかし、例えば停電により、第1及び第2モータへの電力供給が停止された時においては、巻取りドラムとトラバース装置の駆動系が異なることから、モータが停止すると巻取りドラムとトラバース装置は別個独立に停止することとなる。
【0004】
巻取りドラムが先に停止すると、糸の綾振りのみがおこなわれることから、糸切れの問題が生じる可能性がある。逆に、トラバース装置が先に停止すると、糸の綾振りがなく、糸の巻取りのみがおこなわれることから、棒巻きの問題が生じる可能性がある。
【0005】
従来の停電対策装置としては、電気的制御を用いているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11-256440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
停電時に、電気的に制御してドラムシャフトとトラバース装置とを同期させて停止させる場合、停電後にドラムシャフトとトラバース装置が同期するよう制御するためのバックアップ用電源が必要となる。しかし、あまり使用頻度が高くないこともあり、バックアップ用の電源を用いることは、コスト的に不利となる。
【0007】
そこで本発明においては、上記課題を解決すべく、ドラムシャフトを回転駆動するモータ及びトラバース装置を駆動するモータへの電力供給停止時に、機械的にドラムシャフトとトラバース装置とを同期させて停止させることができる繊維機械用巻取り装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置は、巻取りパッケージを回転させる巻取りドラムと、前記巻取りドラムが固定されているドラムシャフトと、前記ドラムシャフトを回転駆動する第1モータと、前記巻取りパッケージに巻取られる糸を綾振りするトラバース装置と、前記トラバース装置を駆動する第2モータと、前記第1及び第2モータへの電力供給停止時に前記トラバース装置の動作が停止するまでに作動し、前記第2モータへの電力供給停止時での前記トラバース装置の動力源となる前記ドラムシャフトの駆動力を、前記ドラムシャフトの回転が停止するまで前記トラバース装置に伝達する動力伝達手段と、を備える。
【0009】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置において、前記動力伝達手段は、前記第1及び第2モータへの電力供給時に空回りして動力の伝達を遮断すると共に前記第1及び第2モータへの電力供給停止時にロックして動力を伝達するワンウェイクラッチを含む、ようにすることができる。
【0010】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置において、前記ワンウェイクラッチは、同軸に配置された第1の回転部及び第2の回転部を有し、前記第1及び第2モータへの電力供給時に、前記第1の回転部は前記ドラムシャフトの回転に伴って回転すると共に前記第2の回転部は前記トラバース装置の駆動に伴って回転し、前記動力伝達手段によって前記第1の回転部と前記第2の回転部との回転数の比及びこれらの回転部の回転方向を調整して、前記第1及び第2モータへの電力供給時に前記ワンウェイクラッチを空回りさせる、ようにすることができる。
【0011】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置において、前記第1及び第2モータへの電力供給時に、前記第1の回転部及び前記第2の回転部を同方向に回転させると共に前記第1の回転部よりも前記第2の回転部の回転速度を速くすることによって、前記ワンウェイクラッチを空回りさせ、前記第1及び第2モータへの電力供給停止時に、前記第1の回転部よりも前記第2の回転部の回転速度が低下したときに、前記ワンウェイクラッチがロックする、ようにすることができる。
【0012】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置において、前記動力伝達手段は、通電されることによって動力の伝達を遮断する状態になると共に前記第1及び第2モータへの電力供給停止時に通電されなくなることによって動力を伝達する状態になる電磁クラッチを含む、ようにすることができる。
【0013】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置において、前記トラバース装置は、前記第2モータによって回転駆動されるトラバースシャフトを含み、前記トラバースシャフトの回転を往復運動に変換して、前記巻取りパッケージに巻取られる糸を綾振りし、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバース装置に伝達するとは、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバースシャフトに伝達することである、ようにすることができる。
【0014】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置において、前記動力伝達手段は、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバースシャフトに伝達する伝達シャフトと、前記ドラムシャフトと前記伝達シャフトの間及び前記トラバースシャフトと前記伝達シャフトの間にそれぞれ設けられた回転数調整部と、を含む、ようにすることができる。
【0015】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置において、前記第1の回転部は外輪であり、前記第2の回転部は内輪であり、前記トラバース装置は、前記第2モータによって回転駆動されるトラバースシャフトを含み、前記トラバースシャフトの回転を往復運動に変換して、前記巻取りパッケージに巻取られる糸を綾振りし、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバース装置に伝達するとは、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバースシャフトに伝達することであり、前記動力伝達手段は、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバースシャフトに伝達する伝達シャフトと、前記ドラムシャフトと前記伝達シャフトの間及び前記トラバースシャフトと前記伝達シャフトの間にそれぞれ設けられた回転数調整部と、を含み、前記第1及び第2モータへの電力供給時、前記トラバースシャフトの回転数は前記ドラムシャフトの回転数より小さくされており、前記回転数調整部によって、前記第1及び第2モータへの電力供給時に、前記内輪の回転数を前記外輪の回転数より大きくして前記ワンウェイクラッチを空回りさせる、ようにすることができる。
【0016】
本発明に係るダブルツイスタは、本発明に係る繊維機械用巻取り装置を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る繊維機械用巻取り装置によれば、例えば停電により、第1及び第2モータへの電力供給が停止された時に、ドラムシャフトの駆動力が動力伝達手段を介してトラバース装置に伝わる構造になっているので、第1及び第2モータへの電力供給停止時にドラムシャフトとトラバース装置とを同期させて停止させることができる。その結果、第1及び第2モータへの電力供給停止時において、棒巻き、糸切れ等の問題の発生を防ぐことができる。
【0018】
ワンウェイクラッチを含む動力伝達手段の場合、第1及び第2モータへの電力供給停止時にワンウェイクラッチがロックすることにより、ドラムシャフトの駆動力がワンウェイクラッチを備える動力伝達手段を介してトラバース装置に伝わる構造になっているので、第1及び第2モータへの電力供給停止時にドラムシャフトとトラバース装置とを同期させて停止させることができる。
【0019】
また、第1及び第2モータへの電力供給停止時にワンウェイクラッチのロックが入らない限り、ドラムシャフトとトラバース装置が同期することはないので、第1及び第2モータへの電力供給時において、ドラムシャフトとトラバース装置を別個独立に制御することができる。
【0020】
ワンウェイクラッチでは、動力の伝達と遮断を機械的に切替えるので、これらの切替えを確実かつ安定に実行できる。
【0021】
ワンウェイクラッチに備えられる第1の回転部と第2の回転部との回転数の比及びこれらの回転部の回転方向を、動力伝達手段により調整して、第1及び第2モータへの電力供給時にワンウェイクラッチを空回りさせている。これによると、ドラムシャフトの回転数やトラバース装置の動作に影響を与えることなく、第1及び第2モータへの電力供給時にワンウェイクラッチを空回りさせることができる。
【0022】
電磁クラッチを含む動力伝達手段の場合、第1及び第2モータへの電力供給停止時に電磁クラッチがロックすることにより(動力を伝達する状態)、ドラムシャフトの駆動力が電磁クラッチを備える動力伝達手段を介してトラバース装置に伝わる構造になっているので、第1及び第2モータへの電力供給停止時にドラムシャフトとトラバース装置とを同期させて停止させることができる。
【0023】
また、第1及び第2モータへの電力供給停止時に電磁クラッチのロックが入らない限り(動力の伝達を遮断する状態)、ドラムシャフトとトラバース装置が同期することはないので、第1及び第2モータへの電力供給時において、ドラムシャフトとトラバース装置を別個独立に制御することができる。
【0024】
電磁クラッチでは、クラッチの外輪と内輪の回転数の比を調整しなくても、第1及び第2モータへの電力供給時において、動力の伝達を遮断することができる。
【0025】
トラバース装置がトラバースシャフトを含む場合、第1及び第2モータへの電力供給停止時に、ドラムシャフトの駆動力は動力伝達手段を介してトラバースシャフトに伝達される。そして、動力伝達手段が、ドラムシャフトの駆動力をトラバースシャフトに伝達する伝達シャフトと、ドラムシャフトと伝達シャフトの間及びトラバースシャフトと伝達シャフトの間にそれぞれ設けられた回転数調整部と、を含む構成にすると、複数個所で回転数を調整できる。よって、動力伝達手段をコンパクトにすることができる。また、回転数調整部に含まれる部品(例えば、ギア、プーリ)の直径を小さくできるので、この点からも動力伝達手段をコンパクトにすることができる。
【0026】
ワンウェイクラッチの第1の回転部が外輪、第2の回転部が内輪の場合、回転数調整部によって、第1及び第2モータへの電力供給時に、内輪の回転数を外輪の回転数より大きくしている。これにより、第1及び第2モータへの電力供給時、トラバースシャフトの回転数がドラムシャフトの回転数より小さくても、ワンウェイクラッチを空回りさせることができる。
【0027】
本発明に係るダブルツイスタは、本発明に係る繊維機械用巻取り装置を備えていることから、第1及び第2モータへの電力供給停止時に、そのドラムシャフトとトラバース装置を同期して停止させることができる。従って、糸を撚るスピンドルの駆動系を、トラバース装置の駆動系と同一にすると、第1及び第2モータへの電力供給停止時に、スピンドルと、ドラムシャフト及びトラバース装置からなる巻取り装置とが、ドラムシャフトの慣性力により駆動され、同期して停止することとなる。
【0028】
その結果、前記ダブルツイスタは、第1及び第2モータへの電力供給停止時に、糸切れ、棒巻き等の問題が生じないだけではなく、スピンドル及び巻取り装置がドラムシャフトの慣性力により駆動されることから、撚糸及び巻取りパッケージへの撚られた糸の巻きつけをおこないながら停止することができる。従って、撚りのない糸が巻取りパッケージに巻きつけられるという問題を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下本発明に係る繊維機械用巻取り装置の実施の形態を図1から図11を用いて詳細に説明する。
【0030】
まず、図10及び図11を用いて、本発明に係る繊維機械用巻取り装置1が用いられるダブルツイスタの一実施の形態について概説する。ダブルツイスタDTは、第1モータ2、第1モータ2により駆動されるスピンドル2a、第2モータ3、及び、巻取り装置1等により主として構成されている。
【0031】
第1モータ2は、誘導電動機であり、第1モータ2のプーリ2bに巻きかけられたベルト2cを走行させ、プーリ2dに駆動力を伝える。なお、本実施形態においては、第1モータ2をインバータにより制御していないが、インバータにより制御してもよい。駆動力を受けたプーリ2dは、変速機構2eを介してプーリ2fに駆動力を伝え、プーリ2fは、ベルト2gを走行させる。多数列設されたスピンドル2aの軸部2a1はベルト2gに圧接されているので、ベルト2gの走行により、スピンドル2aは回転する。そして、スピンドル2aの回転により糸の二重撚糸がおこなわれる。図10において、矢印Zの方向にベルト2gを走行させると、糸のZ撚りがおこなわれ、矢印Sの方向にベルト2gを走行させると、糸のS撚りがおこなわれる。なお、ベルト2gの直進部の往復部分の各々に二重撚糸部を設けることで、右列二重撚糸部RTと左列二重撚糸部LTを構成することができる。
【0032】
その後ベルト2gは、プーリ2h1を介してシャフト2hを回転させ、シャフト2hの駆動力は、傘歯車2i及び傘歯車2jを経て減速機2kに伝わる。減速機2kからの駆動力は、プーリ2l、ベルト2m及びプーリ2nを経て、巻取りパッケージ11aに圧接する巻取りドラム11bを回転させるドラムシャフト11に伝わる。また、ドラムシャフト11からプーリ2o、ベルト2p及びプーリ2qを介して、シャフト2rに駆動力が分岐する。シャフト2rは、二重撚糸部からの糸を巻取りパッケージ11aに送るためのフィードローラ2sを回転させる。
【0033】
第2モータ3は誘導電動機であって、インバータ3aからの出力周波数で決まる回転数で駆動される。インバータ3aは、誘導電動機の回転数を上限値と下限値の間で周期的に切り換え、トラバース装置12を周期的に変動させたトラバース速度で駆動するディスターブ機能を有する。第2モータ3は、プーリ3b、ベルト3c及びプーリ3dを経てトラバースシャフト12aを回転させることにより、トラバース装置12を駆動する。トラバース装置12は、フィードローラ2sからの糸をガイドするトラバースガイド12cが列設されたトラバースロッド12dを矢印A及び矢印Bの方向に往復運動(トラバース)させる。
【0034】
以上の構成によりダブルツイスタDTは、撚り数等の設定値をコントロールボックス(図示せず)に入力し、ディスターブ幅(%)及びディスターブ周期(sec)をインバータ3aに入力すると、必要な二重撚糸と巻取りを実行する。
【0035】
次に、図1から図5を用いて、巻取り装置1の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0036】
図1は、実施例1に係る巻取り装置1の拡大平面図である。図2はその装置1の拡大側面図であり、図3はその装置1の拡大背面図である。説明には、主に図1を用い、図2や図3は必要に応じて参照する。巻取り装置1は、ドラムシャフト11、トラバース装置12、及び、動力伝達手段13からなっている。図2において、ドラムシャフト11の端部付近は動力伝達手段13と重なっており、動力伝達手段13を明確にするためにドラムシャフト11の端部付近の図示を省略している。
【0037】
ドラムシャフト11には、撚られた糸を巻取るための巻取りパッケージ11aを回転させる巻取りドラム11bが固定されている。ドラムシャフト11は、図11に示す第1モータ2によって回転駆動される。
【0038】
トラバース装置12は、トラバースシャフト12a、溝付ドラム12b、溝付ドラム12bの溝に嵌合するカムシュー12b1(図11)及びトラバースガイド12c(図11)を有するトラバースロッド12d(図11)から構成されている。
【0039】
第2モータ3からの駆動力により溝付ドラム12bが回転すると、カムシュー12b1(図11)が溝付ドラム12bの溝に沿って矢印A及び矢印Bの方向に移動する。その結果、トラバースロッド12dが矢印A及び矢印Bの方向に往復運動をすることとなり、綾振りがおこなわれる。すなわち、トラバース装置12は、第2モータ3によって回転駆動されるトラバースシャフト12aの回転を往復運動に変換して、巻取りパッケージ11aに巻取られる糸を綾振りする。
【0040】
動力伝達手段13は、ドラムシャフト11とトラバース装置12のトラバースシャフト12aとを連結し、動力の伝達を可能にしている。動力伝達手段13は、伝達シャフト13a、ギア13b,13d,13e,13f及びクラッチ13cによって構成される。ギア13b及びクラッチ13cは、断面を示している。ギア13bは、伝達シャフト13aの端部にクラッチ13cを介して取り付けられている。ギア13dは、ギア13bとかみ合っており、ドラムシャフト11の端部に固定されている。ギア13eは、伝達シャフト13aに固定され、トラバースシャフト12aに固定されたギア13fとかみ合っている。ギア13bとギア13dによって、ドラムシャフト11と伝達シャフト13aの間に設けられた回転数調整部が構成される。また、ギア13eとギア13fによって、トラバースシャフト12aと伝達シャフト13aの間に設けられた回転数調整部が構成される。
【0041】
ドラムシャフト11と伝達シャフト13aとの間や伝達シャフト13aとトラバースシャフト12aとの間において、動力の伝達にギア(ギア13b,13d,13e,13f)を用いているが、ベルトとプーリを用いてもよい。ギアやプーリは、ネジ等によりドラムシャフト11、トラバースシャフト12aや伝達シャフト13aから抜け落ちないようにすることが好ましい。また、ギア13b,13d,13e,13fの位置は、特に限定されない。
【0042】
クラッチ13cとしては、ワンウェイクラッチ又は電磁クラッチが用いられる。但し、第1モータ2及び第2モータ3への電力供給停止時に、ドラムシャフト11の駆動力をトラバース装置12に伝達することができるのであれば、クラッチ13cは前記クラッチに限定されない。以下、第1モータ2及び第2モータ3への電力供給が停止される場合として停電を例に記載する。
【0043】
前記構成によると、第1モータ2で回転駆動されるドラムシャフト11と第2モータ3で駆動されるトラバース装置12は、動力伝達手段13により連結されていることとなる。従って、巻取り装置1を正常に運転させるためには、第1モータ2と第2モータ3間の駆動力の連絡をダブルツイスタDTの運転時に切断する必要がある。つまり、動力伝達手段13は、ダブルツイスタDTの運転時(したがって第1モータ2及び第2モータ3への電力供給時)に動力の伝達を遮断し、停電時に動力を伝達する構成を有する。これについて詳細に説明する。
【0044】
クラッチ13cがワンウェイクラッチの場合から説明する。図4は、クラッチ13cの一例の拡大断面図である。ワンウェイクラッチであるクラッチ13cは、外輪OR、内輪IR、並びに内輪IRに固定されたバネS及びコロRを備える。外輪ORと内輪IRは同軸に配置され、外輪ORは第1の回転部として機能し、内輪IRは第2の回転部として機能する。外輪ORは、ギア13bに固定されている。内輪IRは、伝達シャフト13aに固定されている。ダブルツイスタDT(したがって繊維機械用巻取り装置1)の運転時に、外輪OR(第1の回転部)はドラムシャフト11の回転に伴って回転し、内輪IR(第2の回転部)はトラバース装置12の駆動に伴って回転することになる。
【0045】
ダブルツイスタDTの運転時に、ドラムシャフト11及びトラバースシャフト12aが反時計回りする制御をすることによって、外輪OR及び内輪IRが時計回りする構成にされている。図10に示すように、ベルト2gは矢印Zや矢印Sの方向に移動するが、図11に示す減速機2kによって、ベルト2gの移動方向を問わずにドラムシャフト11を反時計回りさせることができる。
【0046】
内輪IRの回転数が外輪ORの回転数より大きいと、コロRは外輪ORのカム面に入ることはなく、外輪ORは内輪IRに対して空回りする(クラッチ13cが空回りする)。よって、動力伝達手段13は動力の伝達を遮断する。したがって、ダブルツイスタDTの通常運転時、内輪IRの回転数が外輪ORの回転数より大きくなるようにする。これは、例えば、ギア13bとギア13dのギア比を調整したり、又はギア13eとギア13fのギア比を調整したりすることによって実現できる。なお、ギアの変わりにプーリとベルトを用いる場合、プーリ径比の調整により、内輪IRと外輪ORの回転数を調整する。
【0047】
動力伝達手段13を構成するギア(又はプーリとベルト)によって、外輪OR(第1の回転部)と内輪IR(第2の回転部)との回転数の比を調整して、クラッチ13cを空回りさせている。したがって、ドラムシャフト11の回転数やトラバース装置12の動作に影響を与えることなく、クラッチ13cを空回りさせることができる。
【0048】
停電によって、第1モータ2及び第2モータ3が停止すると、外輪OR及び内輪IRの回転数が低下する。外輪ORはドラムシャフト11の回転に伴って回転し、これに対して内輪IRはトラバースシャフト12aの回転に伴って回転している。巻取りドラム11bの駆動系の質量はトラバース装置12の駆動系の質量よりも大きいので、ドラムシャフト11はトラバースシャフト12aよりも大きな慣性力が作用する。したがって、回転数は内輪IRの方が外輪ORよりも先に低下する。内輪IRの回転数が外輪ORの回転数より小さくなると、バネSのスプリング作用により、コロRは外輪ORのカム面のかみ合い位置に進み、外輪カム面と内輪IRとのくさび作用により内輪IRは外輪ORによって時計回りの方向に駆動される。つまり、動力伝達手段13は、停電時にクラッチ13cがロックし、動力を伝達する。クラッチ13cのロック方向は、伝達シャフト13aの回転方向と同じ方向にされている。以上のようにして、クラッチ13cがワンウェイクラッチの場合、動力伝達手段13は、ダブルツイスタDTの運転時に動力の伝達を遮断し、停電時に動力を伝達するようにしている。
【0049】
なお、外輪OR及び内輪IRが反時計回りする構成の場合、時計回りと逆になる。すなわち、ダブルツイスタDTの通常運転時、外輪ORの回転数が内輪IRの回転数より大きくなるようにすれば、クラッチ13cが空回りする。停電時に、外輪ORの回転数が内輪IRの回転数より小さくなると、クラッチ13cがロックする。したがって、反時計回りする構成の場合、外輪ORがトラバース装置12により駆動され、内輪IRがドラムシャフト11により駆動されるようにする。ドラムシャフト11によって内輪IRを駆動するので、クラッチ13cはドラムシャフト11に取り付ける必要がある。
【0050】
次に、クラッチ13cが電磁クラッチの場合について簡単に説明する。ここでの電磁クラッチは、ダブルツイスタDTの運転時(したがって繊維機械巻取り装置1の運転時)、電磁クラッチに通電されることによって動力の伝達を遮断する状態(ロックされていない状態)となり、停電時、電磁クラッチに通電されなくなることによって動力を伝達する状態(ロック状態)となる。
【0051】
クラッチ13cが電磁クラッチの場合、電磁クラッチに通電されているか否かで動力が伝達されるか否かが決まる。したがって、ダブルツイスタDTの運転時における外輪ORと内輪IRの回転数の比を調整する必要がない。また、停電時、外輪ORと内輪IRの回転数の関係に関わらず、動力を伝達できる。これに対して、クラッチ13cがワンウェイクラッチの場合、クラッチ13cへの配線が不要であり、また、電気的に制御する電磁クラッチに比べて動力の伝達と遮断の切替えの確実性が高い。
【0052】
以上のようなワンウェイクラッチや電磁クラッチであるクラッチ13cを備える動力伝達手段13は、ダブルツイスタDTの運転時に動力の伝達を遮断する。したがって、第1モータ2の駆動力と第2モータ3の駆動力の連絡は、ダブルツイスタDTの運転時に切断されることとなる。従って、ドラムシャフト11の駆動力は、動力伝達手段13を介してトラバース装置12に伝わることはない。逆に、トラバース装置12の駆動力は、動力伝達手段13を介して、ドラムシャフト11に伝わることはない。
【0053】
上記のように第1モータ2の駆動力と第2モータ3の駆動力の連絡を切断することにより、ダブルツイスタDTの運転時にドラムシャフト11とトラバース装置12を別個に制御することが可能となる。
【0054】
図5は、伝達シャフト13a及びギア13bの回転数と時間との関係の一例を示す図である。クラッチ13cとしてワンウェイクラッチを用いている。R1は伝達シャフト13aの回転数を示し、R2はギア13bの回転数を示している。ダブルツイスタDTの運転開始により、伝達シャフト13a及びギア13bの回転数が上昇する。所定時間経過後、回転数の上昇が止まり、ダブルツイスタDTの動作、具体的には糸の撚り及び撚られた糸の巻き取りの動作が開始する。
【0055】
ダブルツイスタDTの動作が開始すると、ギア13b(ギア13bにはドラムシャフト11からの駆動力が伝達される)の回転数R2は一定にされる。これに対して、伝達シャフト13a(伝達シャフト13aにはトラバースシャフト12aからの駆動力が伝達される)の回転数R1は、リボンブレイクを効果的におこなうためのトラバース装置12の制御の影響を受けて、三角波を描いている。上記の通り、ダブルツイスタDTの運転時に、クラッチ13cが空回りするように、内輪IRの回転数を外輪ORの回転数よりも大きくする必要がある。このため、伝達シャフト13aの回転数R1をギア13bの回転数R2よりも大きくしている。
【0056】
クラッチ13cが空回りしているとき、言い換えれば、クラッチ13cが切れているとき、図5から分かるように、伝達シャフト13aとギア13bは別個独立に回転している。これは、ドラムシャフト11とトラバースシャフト12aが別個独立に回転していることを示す。
【0057】
停電が発生すると、ダブルツイスタDTへの電力の供給が停止するので、第1モータ2及び第2モータ3が停止する。しかし、モータが停止したとしても、トラバース装置12及びドラムシャフト11は慣性力により暫く駆動し続ける。
【0058】
従って、トラバース装置12よりも巻取りドラム11bの方が重くより慣性力が働くので、第1モータ2及び第2モータ3が停止した状態では、トラバース装置12が停止しても巻取りドラム11bを多数備えるドラムシャフト11が回転し続けることとなる。その結果、パッケージ11aの同じ部分に糸が巻きつけられる棒巻きが生じる。
【0059】
クラッチ13cとしてワンウェイクラッチを備える巻取り装置1が用いられている場合、伝達シャフト13aは回転数が早く落ちるトラバース装置12により駆動され、伝達シャフト13aのギア13bは回転数が落ちにくいドラムシャフト11により駆動されていることから、伝達シャフト13aの回転数R1が伝達シャフト13aのギア13bの回転数R2よりも低くなると(Eで示す時刻)、内輪IRの回転数が外輪ORの回転数よりも小さくなるので、クラッチ13cがロックする。
【0060】
クラッチ13cがロックすると、ドラムシャフト11の駆動力は、ギア13d、ギア13b及びクラッチ13cを介して伝達シャフト13aに伝わり、伝達シャフト13aからギア13e、ギア13fを介してトラバースシャフト12aに伝わる。したがって、ドラムシャフト11の駆動力は、動力伝達手段13を介してトラバース装置12に伝わる。
【0061】
その結果、トラバース装置12がドラムシャフト11の慣性力により駆動され、ドラムシャフト11とトラバース装置12が同期して停止することとなる。トラバース装置12とドラムシャフト11が同期して停止する様子は、停電後、クラッチ13cがロックした時刻(E)以降、トラバース装置12と係合している伝達シャフト13aの回転数R1と、ドラムシャフト11と係合している伝達シャフト13aのギア13bの回転数R2が一致していることにより示される。
【0062】
クラッチ13cとして電磁クラッチを備える巻取り装置1が用いられている場合、停電により電磁クラッチへの電気の供給がなくなると、電磁クラッチは、伝達シャフト13aをロックすることとなる。
【0063】
電磁クラッチのロックが入ると、ドラムシャフト11の駆動力はドラムシャフト11と係合する伝達シャフト13aのギア13b及び電磁クラッチを介して伝達シャフト13aに伝わる。伝達シャフト13aは、トラバース装置12と係合していることから、ドラムシャフト11の駆動力は、動力伝達手段13を介してトラバース装置12に伝わる。
【0064】
その結果、トラバース装置12がドラムシャフト11の慣性力により駆動され、トラバース装置12とドラムシャフト11が同期して停止することとなる。
【0065】
なお、実施例1と同じ構成で、ワンウェイクラッチを伝達シャフト13aのギア13bではなく、トラバースシャフト12aの伝達シャフト13aと係合するギア13fに設け、動力伝達手段13がトラバース装置12のワンウェイクラッチを設けたギア13fを含むようにしてもよい。また、実施例1においては、動力伝達手段13を巻取り装置1の右側に配置しているが、巻取り装置1の左側に配置してもよい。
【0066】
さらに、実施例1と同じ構成で、電磁クラッチをギア13bではなく、ドラムシャフト11に固定されたギア13d、伝達シャフト13aに固定されたギア13e又はトラバースシャフト12aに固定されたギア13fに設け、動力伝達手段13が、電磁クラッチを設けたギア13d、ギア13e又はギア13fを含むようにしてもよい。
【0067】
以上より、実施例1によれば、停電時にトラバース装置12の動作が停止するまでに、動力伝達手段13が作動する(具体的にはクラッチ13cがロックする)。そして、停電時でのトラバース装置12の動力源となるドラムシャフト11の駆動力(回転力)を、ドラムシャフト11の回転が停止するまで、動力伝達手段13によってトラバース装置12に伝達している。したがって、ドラムシャフト11の回転停止に合わせてトラバース装置12の動作を停止させることができる。このように、実施例1によれば、停電後にトラバース装置12とドラムシャフト11が同期して停止することになるので、糸切れや棒巻き等の問題が生じることはない。なお、本明細書において、「同期」には、上記問題が発生しない範囲で、トラバース装置12の動作停止とドラムシャフト11の回転停止とに多少のずれ(例えば、0.2秒)が生じる場合も含まれる。
【0068】
また、実施例1によれば、動力伝達手段13は、伝達シャフト13aと、ドラムシャフト11と伝達シャフト13aの間及びトラバースシャフト12aと伝達シャフト13aの間にそれぞれ設けられた回転数調整部(ギア13bとギア13d、ギア13eとギア13f)と、を含んでいる。これにより、二箇所で回転数を調整できる。一つはギア13bとギア13dで構成される回転数調整部であり、もう一つはギア13eとギア13fで構成される回転数調整部である。よって、動力伝達手段13をコンパクトにすることができる。また、回転数調整部に含まれる部品(例えば、ギア、プーリ)の直径を小さくできるので、この点からも動力伝達手段13をコンパクトにすることができる。
【0069】
ダブルツイスタDTの運転時(したがって第1モータ2及び第2モータ3への電力供給時)、トラバースシャフト12aの回転数は、ドラムシャフト11の回転数より小さい。実施例1によれば、上記回転数調整部によって、ダブルツイスタDTの運転時に、内輪IRの回転数を外輪ORの回転数より大きくしていると共に動力伝達手段13によって、内輪IR及び外輪ORの回転方向を時計回りにしている。これにより、ダブルツイスタDTの運転時、トラバースシャフト12aの回転数がドラムシャフト11の回転数より小さくても、ワンウェイクラッチであるクラッチ13cを空回りさせることができる。
【0070】
次に、図6から図9を用いて、巻取り装置1の実施例2について説明する。
【実施例2】
【0071】
図6は、実施例2に係る巻取り装置1の拡大平面図である。図7はその装置1の拡大側面図であり、図8はその装置1の拡大背面図である。実施例2に係る巻取り装置1が実施例1に係る巻取り装置1と相違する点を主に説明する。
【0072】
実施例2において、動力伝達手段13は、ギア13b、クラッチ13c及びギア13dによって構成される。ギア13bは、トラバースシャフト12aの端部にクラッチ13cを介して取り付けられている。ギア13dは、実施例1と同様に、ギア13bとかみ合っており、ドラムシャフト11の端部に固定されている。ギア13bとギア13dのギア比等を適宜調整することにより、ダブルツイスタDTの運転時にクラッチ13cを空回りさせる。実施例1と同様に、ギア13b,13dの替わりに、ベルトとプーリを用いることもできる。実施例2のクラッチ13cは、実施例1と同様にワンウェイクラッチであり、ワンウェイクラッチの替わりに電磁クラッチを用いてもよい。クラッチ13cをギア13b側でなく、ギア13d側に設けてもよい。
【0073】
実施例2の動力伝達手段13は、伝達シャフトを備えていない。したがって、ダブルツイスタDTの運転時に、ドラムシャフト11が反時計回りし、トラバースシャフト12aが時計回りする制御をして、図4に示す外輪OR及び内輪IRが時計回りする構成にしている。実施例2の動力伝達手段13は、伝達シャフトを備えていないので、動力伝達手段13の部品数を実施例1に比べて少なくできる。
【0074】
図9は、トラバースシャフト12a及びギア13bの回転数と時間との関係の一例を示す図である。R3はトラバースシャフト12aの回転数を示し、R4はギア13bの回転数を示している。図9に示す回転数と時間との関係は、図5に示すそれらの関係と同様になっている。回転数R3が回転数R1に対応し、回転数R4が回転数R2に対応している。したがって、巻取り装置1を備えるダブルツイスタDTの運転時及び停電時の動作に関して、実施例2は実施例1と同様になる。
【0075】
以上より、実施例2によれば、停電後にトラバース装置12とドラムシャフト11が同期して停止することになるので、糸切れや棒巻き等の問題が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る繊維機械用巻取り装置の実施例1を示す拡大平面図である。
【図2】図1に記載の繊維機械用巻取り装置の拡大側面図である。
【図3】図1に記載の繊維機械用巻取り装置の拡大背面図である。
【図4】実施例1に係る動力伝達手段のクラッチ (ワンウェイクラッチ)部分の拡大図である。
【図5】図1に記載の繊維機械用巻取り装置の主要部材の回転数を示すグラフである。
【図6】本発明に係る繊維機械用巻取り装置の実施例2を示す拡大平面図である。
【図7】図6に記載の繊維機械用巻取り装置の拡大側面図である。
【図8】図6に記載の繊維機械用巻取り装置の拡大背面図である。
【図9】図6に記載の繊維機械用巻取り装置の主要部材の回転数を示すグラフである。
【図10】本発明に係る繊維機械用巻取り装置が用いられるダブルツイスタの一実施の形態を示す概略平面図である。
【図11】本発明に係る繊維機械用巻取り装置が用いられるダブルツイスタの一実施の形態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0077】
1・・・繊維機械用巻取り装置、2・・・第1モータ、2a・・・スピンドル、3・・・第2モータ、11・・・ドラムシャフト、11a・・・巻取りパッケージ、11b・・・巻取りドラム、12・・・トラバース装置、12a・・・トラバースシャフト、13・・・動力伝達手段、13a・・・伝達シャフト、13b・・・ギア、13c・・・クラッチ、13d,13e,13f・・・ギア、DT・・・ダブルツイスタ、OR・・・外輪(第1の回転部)、IR・・・内輪(第2の回転部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取りパッケージを回転させる巻取りドラムと、
前記巻取りドラムが固定されているドラムシャフトと、
前記ドラムシャフトを回転駆動する第1モータと、
前記巻取りパッケージに巻取られる糸を綾振りするトラバース装置と、
前記トラバース装置を駆動する第2モータと、
前記第1及び第2モータへの電力供給停止時に前記トラバース装置の動作が停止するまでに作動し、前記第2モータへの電力供給停止時での前記トラバース装置の動力源となる前記ドラムシャフトの駆動力を、前記ドラムシャフトの回転が停止するまで前記トラバース装置に伝達する動力伝達手段と、を備える
ことを特徴とする繊維機械用巻取り装置。
【請求項2】
前記動力伝達手段は、前記第1及び第2モータへの電力供給時に空回りして動力の伝達を遮断すると共に前記第1及び第2モータへの電力供給停止時にロックして動力を伝達するワンウェイクラッチを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の繊維機械用巻取り装置。
【請求項3】
前記ワンウェイクラッチは、同軸に配置された第1の回転部及び第2の回転部を有し、
前記第1及び第2モータへの電力供給時に、前記第1の回転部は前記ドラムシャフトの回転に伴って回転すると共に前記第2の回転部は前記トラバース装置の駆動に伴って回転し、
前記動力伝達手段によって前記第1の回転部と前記第2の回転部との回転数の比及びこれらの回転部の回転方向を調整して、前記第1及び第2モータへの電力供給時に前記ワンウェイクラッチを空回りさせる
ことを特徴とする請求項2に記載の繊維機械用巻取り装置。
【請求項4】
前記第1及び第2モータへの電力供給時に、前記第1の回転部及び前記第2の回転部を同方向に回転させると共に前記第1の回転部よりも前記第2の回転部の回転速度を速くすることによって、前記ワンウェイクラッチを空回りさせ、
前記第1及び第2モータへの電力供給停止時に、前記第1の回転部よりも前記第2の回転部の回転速度が低下したときに、前記ワンウェイクラッチがロックする
ことを特徴とする請求項3に記載の繊維機械用巻取り装置。
【請求項5】
前記動力伝達手段は、通電されることによって動力の伝達を遮断する状態になると共に前記第1及び第2モータへの電力供給停止時に通電されなくなることによって動力を伝達する状態になる電磁クラッチを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の繊維機械用巻取り装置。
【請求項6】
前記トラバース装置は、前記第2モータによって回転駆動されるトラバースシャフトを含み、前記トラバースシャフトの回転を往復運動に変換して、前記巻取りパッケージに巻取られる糸を綾振りし、
前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバース装置に伝達するとは、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバースシャフトに伝達することである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維機械用巻取り装置。
【請求項7】
前記動力伝達手段は、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバースシャフトに伝達する伝達シャフトと、前記ドラムシャフトと前記伝達シャフトの間及び前記トラバースシャフトと前記伝達シャフトの間にそれぞれ設けられた回転数調整部と、を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の繊維機械用巻取り装置。
【請求項8】
前記第1の回転部は外輪であり、前記第2の回転部は内輪であり、
前記トラバース装置は、前記第2モータによって回転駆動されるトラバースシャフトを含み、前記トラバースシャフトの回転を往復運動に変換して、前記巻取りパッケージに巻取られる糸を綾振りし、
前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバース装置に伝達するとは、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバースシャフトに伝達することであり、
前記動力伝達手段は、前記ドラムシャフトの駆動力を前記トラバースシャフトに伝達する伝達シャフトと、前記ドラムシャフトと前記伝達シャフトの間及び前記トラバースシャフトと前記伝達シャフトの間にそれぞれ設けられた回転数調整部と、を含み、
前記第1及び第2モータへの電力供給時、前記トラバースシャフトの回転数は前記ドラムシャフトの回転数より小さくされており、
前記回転数調整部によって、前記第1及び第2モータへの電力供給時に、前記内輪の回転数を前記外輪の回転数より大きくして前記ワンウェイクラッチを空回りさせる
ことを特徴とする請求項3に記載の繊維機械用巻取り装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の繊維機械用巻取り装置を備えるダブルツイスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−112625(P2007−112625A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228494(P2006−228494)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】