説明

繊維補強ゴム組成物およびその製造方法ならびに弾性体補強用繊維組成物

【課題】 繊維補強ゴム組成物を得る際に、良好な分散性、及び特に10%未満の伸度において強度の方向性が少ない状態を得、かつ、特に伸度100%未満において十分な補強効果を得る事を目的とする。
【解決手段】 ゴム組成物の内部において1方向に配向した繊維および/またはその繊維束、ならびに該方向には配向していない繊維および/またはその繊維束からなる高次繊維構造によって構成されてなる繊維補強ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性体を補強する繊維組成物およびそれを用いた補強ゴム組成物ならびにその製造方法に関する。さらに詳しくはゴムホース、ゴムベルト、マット、タイヤ等の補強に利用される繊維補強ゴム組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴムを補強する一般的な方法として、ゴムの中に補強用繊維を配合する方法が良く知られている。例えば、長繊維状の補強材を製織又は製編し、これにゴムをライニングする方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。しかしながら、この方法を行う場合、工程が煩雑となり、生産効率の観点で課題となる場合がある。また、短繊維をゴム中に分散させる方法では、組成物の製造工程は、ゴムと添加剤及び補強用短繊維を混合し、押し出し成形や射出成形する事により工程は大幅に簡略化できる(例えば、特許文献2および3を参照。)。しかしながら、特殊形状の短繊維を得る事が困難な場合があった。また、ホース補強層間ゴム組成物としてアラミド短繊維を含有するゴム組成物の提案がされている(特許文献4を参照。)。しかしながら、繊維がアラミドという特殊なものを使用する事が必要で、コストや生産効率性に難点となる場合があった。また、上述の短繊維をゴム中に分散させる公知技術では、特に押し出し成形後または射出成形後のゴム組成物における成形方向(押し出し方向)に繊維の配向(配列)が偏る(例えば、成形方向に短繊維が並び、成形方向と垂直方向には繊維が並ばない)ことによって成形品の方向による強度の偏りが発生しやすく、特に成形方向(タテ)と成形方向に対する垂直方向(ヨコ)の低伸張(伸度100%以下)時での方向性による強度の偏りが大きく(いわゆるゴム組成物のタテ/ヨコ比が大きくなる)傾向に有り、用途によっては使用し難いものもあった。
【0003】
【特許文献1】特開2006−161177号公報
【特許文献2】特開昭57−10632号公報
【特許文献3】特開昭58−103539号公報
【特許文献4】特開2005−200545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上述した課題に鑑み、繊維補強ゴム組成物の内部構造および弾性体補強用繊維組成物の形状を鋭意検討した結果、弾性体補強用繊維組成物のゴム中での分散性に優れ、ゴム組成物にした時の特に低伸張(伸度100%以下)時での補強効果(形態保持性)に優れ、かつ、成形方向(タテ)と成形方向に対する垂直方向(ヨコ)の低伸張(伸度100%以下)時での方向性による強度の偏りの少ない繊維補強ゴム組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明の繊維補強ゴム組成物は、ゴム組成物の内部において1方向に配向した繊維および/またはその繊維束、ならびに該方向には配向していない繊維および/またはその繊維束からなる高次繊維構造によって構成されてなる繊維補強ゴム組成物である。
そして、繊維構造物の内部に熱可塑性樹脂を含浸・凝固し、研削処理して得られる弾性体補強用繊維組成物をゴム組成物に混入し、混練機により混合分散させる繊維補強ゴム組成物の製造方法である。
さらに、以下(1)〜(3)の工程により製造される繊維構造物を研削処理して得られる弾性体補強用繊維組成物をゴム組成物に混入し、混練機により混合分散させる繊維補強ゴム組成物の製造方法である。
(1)複合繊維からなる繊維ウェブを製造する工程
(2)繊維ウェブを絡合して繊維絡合体とする工程
(3)繊維絡合体の内部に熱可塑性樹脂を含浸・凝固する工程
また、繊維構造物の内部に熱可塑性樹脂を固着した後に、該繊維構造物を研削処理する弾性体補強用繊維組成物の製造方法であり、
さらには、以下(1)〜(3)の工程により得られる繊維構造物を研削処理する弾性体補強用繊維組成物の製造方法である。
(1)複合繊維からなる繊維ウェブを製造する工程
(2)繊維ウェブを絡合して繊維絡合体とする工程
(3)繊維絡合体の内部に熱可塑性樹脂を含浸・凝固する工程
なお、高次繊維構造とは、繊維および/またはその繊維束が1方向に配向した状態ならびに他の繊維および/またはその繊維束は該方向には配向していない状態、そして繊維束が多方向にバラけた状態や繊維同士が絡まりあった状態のいずれか1つ以上の状態をいい、好ましくは2つ以上の状態、より好ましくは全てを含んだ状態を言う。また、1方向に配向した状態とは、例えば、押し出し成形や射出成形時、押し出し成形や射出成形での流れ(成形)方向に配向した状態をいう。
【発明の効果】
【0006】
本発明の繊維補強ゴム組成物は、ゴム中での補強用繊維組成物の分散性に優れ、またゴム組成物にした時の特に低伸度(伸度100%以下)時での補強効果に優れる。さらに、押し出し成形または射出成形されたゴム組成物の強度の方向性が少ない繊維補強ゴム組成物およびそれに用いる弾性体補強用繊維組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の繊維補強ゴム組成物として用いるゴムとしては、公知のものが用いられ特に制限は無いが、従来繊維補強ゴムに用いられている天然ゴムや、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、水素化NBR等の合成ゴムやこれらの混合物が用いられる。また、通常ゴム組成物に添加されるカーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華等の無機充填剤、ゴム伸展油その他ゴム薬品は必要に応じて添加することができる。
【0008】
<弾性体補強用繊維組成物>
本発明のゴム組成物の内部に混合分散させる弾性体補強用繊維組成物に用いられる繊維は以下の方法によって得ることができる。
すなわち、繊維構造物の内部に熱可塑性樹脂を含浸・凝固し、研削処理することで得ることができる。ここでいう繊維構造物を構成する繊維の形態は、織物構造や編物構造あるいは不織布(いわゆる繊維絡合体)構造等を採用することができるが、ゴム組成物の内部において1方向に配向する状態とは異なる高次構造に分散させること、均一でなくランダムな繊維長とし易い点で繊維絡合体とすることが好ましい。
本発明の弾性体補強用繊維組成物は、例えば以下(1)〜(3)の工程により製造される繊維構造物を研削処理して得られる。
(1)複合繊維からなる繊維ウェブを製造する工程
(2)繊維ウェブを絡合して繊維絡合体とする工程
(3)繊維絡合体に熱可塑性樹脂を含浸・凝固する工程
そして、本発明の補強用繊維組成物を構成する繊維成分についてはポリスチレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、ビ二ロン、ポリプロピレンおよびポリビニルアルコールなどの公知の溶融紡糸可能なポリマーを用いる事ができる。また、その形状は特に制限されるものではないが、通常のレギュラー繊維や好ましくは分割型繊維、海島型繊維等で代表される複合繊維および/または複合繊維を変性した繊維束がゴム内部において補強用繊維組成物の高次構造が得られやすい点で用いられ、特に海島型繊維および/または海島型繊維を変性した単繊維またはその繊維束が好ましく用いられる。
【0009】
(1)複合繊維からなる繊維ウェブを製造する工程
以下、複合繊維として海島型繊維を製造する方法について詳細に説明する。
本発明の海島型繊維の島成分としては、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどが用いられ、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等のポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類等が繊維物性と軽量性を兼ね備える点で好ましく、より好ましくはポリアミドまたはポリエステル類が物性が安定する点およびゴム組成物の補強効果に優れる点で用いられる。また海島型繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリスチレン、共重合ポリエステル、熱可塑性ポリビニルアルコールなどが、後の工程で海成分を抽出除去して海島型繊維を単繊維および/または繊維束に変性し高次繊維構造とし易い点で好ましく用いられる。
上記海成分と島成分を複合紡糸用口金あるいは混合紡糸用口金から押出し、海島型繊維を溶融紡糸する。複合紡糸用口金は、海成分中に島成分が8〜100個の範囲における何れかの個数分散した断面状態を形成することができるノズル孔が直線状に多数並んだ列が並列状に複数列配置された構造のものが好ましい。
得られる繊維の断面において面積比(ポリマー体積比)で海/島=5/95〜95/5の範囲における何れかの比率となるように海成分と島成分の相対的な供給量または供給圧力を調節しつつ口金温度が180〜350℃の温度範囲における何れかの温度となるような温度条件にて溶融状態で口金から吐出する。
得られる海島型繊維の断面積は70〜350μmの範囲における何れかの値であることが好ましく、複合紡糸の単繊度は、0.9〜20dtexの範囲における何れかの値が紡糸安定性の点で好ましく、より好ましくは1.9〜17dtexの範囲における何れかの値である。
溶融紡糸された海島型繊維はカットしてステープルとしてもカットすることなくフィラメントとしてもよい。ステープルを用いる場合、複合繊維を1〜5倍の間で延伸し、捲縮を付与した後、カットし、カードで解繊した後クロスラッパーウェバー等でステープからなるウェブとする。ステープルからなるウェブを用いる場合、捲縮を繊維に付与することで、ウェブ工程、絡合工程における工程通過性と繊維絡合体を安定に製造する点、ゴム組成物の内部に高次繊維構造として存在させやすい点で好ましい。
フィラメントを用いる場合、ランダムな配向状態でネット等の捕集面状に集積して、所望の目付のフィラメントからなるウェブとする。
【0010】
(2)繊維ウェブを絡合して繊維絡合体とする工程
次に得られる繊維ウェブを以下の方法にて絡合処理して繊維絡合体とする。
前記ウェブを、必要に応じて厚さ方向に複数層重ね合わせた後、ニードルパンチング処理または高速流体処理により絡合を行うことにより繊維絡合体とする。
ニードルパンチング処理を行う場合、ニードルの少なくとも1つ以上のバーブが貫通する条件で、両面から同時または交互にニードルパンチングして繊維同士を三次元絡合させ、厚さ方向に海島型繊維が並ぶように行うことが海島型繊維が緻密に絡合した不織布構造体を得る点で好ましい。緻密な繊維構造物とすることで、後工程での研削処理の安定性に優れる。また緻密化することで繊維自体が非直線状になり易く、ゴム組成物の内部で高次構造とし易い点で好ましい。
繊維ウェブにはその製造後かつ絡合処理までのいずれかの段階で帯電防止効果を有する油剤やニードルとの摩擦抵抗をコントロールするための油剤、繊維同士の摩擦抵抗をコントロールするための油剤などを単一あるいは複数種付与してもよい。
好ましくはニードルパンチ処理後に公知の熱収縮処理または繊維絡合体の表面を加熱プレスを行うことも繊維構造物として緻密化しやすい点で好ましい。
繊維構造物の厚みは、特に制限されるものではないが、工程通過性の点で厚みは0.2〜10mm程度であることが好ましく、0.4〜5mm程度であることがより好ましい。密度は0.15g/cm〜0.60g/cmが効率的に弾性体補強用繊維組成物を製造可能な点、適度な弾性率を有することから研削処理に研削安定性に優れる点で好ましく、0.17g/cm〜0.45g/cmがより好ましい。
【0011】
(3)繊維絡合体の内部に熱可塑性樹脂を含浸・凝固する工程
次に得られる繊維絡合体を以下の方法にて熱可塑性樹脂を含浸・凝固する。
繊維絡合体の内部に含有させる熱可塑性樹脂は、特に限定しないが具体例としてはポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリルニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられ、繊維絡合体と適度な接着強力を維持する点でポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂およびアクリル系樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも1種類の平均分子量500〜3000のポリマーポリオールと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの、芳香族系、脂環族系、脂肪族系のジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種のポリイソシアネートとを主成分として組み合わせ、さらにエチレングリコール、エチレンジアミン等の2個以上の活性水素原子を有する少なくとも1種の低分子化合物を所定のモル比で組み合わせて、これらを1段階、あるいは多段階で溶融重合法、塊状重合法、溶液重合法などにより重合反応させて得た各種のポリウレタンエラストマーが挙げられ、
また、アクリル系樹脂としては、その単独重合体のガラス転移温度が−90〜−5℃の範囲であり、好ましくは非架橋性であるようなモノマー、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどから選ばれた少なくとも1種類の軟質成分と、その単独重合体のガラス転移温度が50〜250℃の範囲であり、好ましくは非架橋性であるようなモノマー、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸などから選ばれた少なくとも1種類の硬質成分と、架橋構造を形成し得る単官能または多官能エチレン性不飽和モノマー単位、または、ポリマー鎖に導入されたエチレン製不飽和モノマー単位と反応して架橋構造を形成し得るような化合物、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどから選ばれた少なくとも1種類の架橋形成性成分からなるエチレン性不飽和モノマーを重合反応させて得た各種のアクリル系樹脂が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては水または水溶液で抽出可能なポリビニルアルコール系共重合体などの水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい
主体となる熱可塑性樹脂として上記樹脂を採用した場合、工程通過性、研削安定性および、理由は不明であるが、繊維同士のバーンダー効果や、それに伴う高次繊維構造、ゴムとの接着性効果に優れる点でゴム組成物の補強効果に優れており、さらには耐久性を含めたバランスにおいても優れている点で好ましい。
また、熱可塑性樹脂としては、異なる種類を混合して含有させたり、異なる種類を複数回に分けて含有させたりしてもよい。
【0012】
上記熱可塑性樹脂の溶液あるいは分散液などの熱可塑性樹脂液を繊維絡合体の内部に含浸し、次いで熱可塑性樹脂を従来公知の乾式法または湿式法により凝固させることで、熱可塑性樹脂により繊維絡合体を構成する繊維同士の接触点を固定したり、繊維表面の少なくとも一部を被覆したり、繊維絡合体の形態保持性を向上させる。ここでいう乾式法とは、溶剤あるいは水分散剤を乾燥等により除去することで熱可塑性樹脂を繊維絡合体の内部に固定させる方法全般を指す。感熱ゲル化剤などを添加した熱可塑性樹脂液を採用して含浸後の繊維絡合体を加熱処理したりすることにより、溶剤あるいは水分散剤を除去するに先立って繊維絡合体の内部に熱可塑性樹脂を仮に固定するか完全に固定させる方法全般を指す。なお、凝固させた熱可塑性樹脂を完全に固定させるために、溶剤あるいは分散剤を除去した後で加熱処理などのキュア処理を行うことも好ましい。
また、ここでいう湿式法とは、有機溶剤等で溶解した熱可塑性樹脂液を含浸した繊維絡合体を熱可塑性樹脂の非溶剤や凝固剤で処理する方法をとることで熱可塑性樹脂を容易に均一に存在させることが可能となり、研削安定性に優れることから本発明の弾性体補強用繊維組成物を容易に製造することが可能となる。場合により多孔質構造を形成することで、研削安定性に優れる。
熱可塑性樹脂の付着量は特に制限は無いが、繊維絡合体の1質量%以上とすることで、繊維の絡まりあった状態を維持し易く研削安定性に優れ、かつゴム成形物の補強に優れる。50質量%を以下とすることで本発明の目的とする繊維の良好な分散性に優れ、ゴム成形物の補強に優れる点で好ましい。
なお、前述の工程(3)の前または後に以下の工程(4):複合繊維を単繊維および/またはその繊維束に変性する工程を追加することが、高次繊維構造をとりやすく、分散安定性に優れる点で好ましい。
【0013】
(4)複合繊維を単繊維および/またはその繊維束に変性する工程
本発明において複合繊維、特に海島型繊維を単繊維および/または繊維束に変性して繊維絡合体とする工程は、公知の方法を用いることが可能である。
複合繊維が海島型繊維の場合、島成分および熱可塑性樹脂の非溶剤であり、かつ、海成分の溶剤または分解剤である液体を使用し、好ましくは70〜150℃で処理して、海島型繊維を単繊維および/またはその繊維束に変成する。例えば熱可塑性樹脂がポリウレタン、島成分がナイロンまたはポリエチレンテレフタレート、海成分がポリエチレンである場合には、変性する液体としてトルエン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどが使用される。また、島成分がナイロンまたはポリエチレンテレフタレートであり、海成分が易アルカリ分解性の変性ポリエステルである場合には、変性する液体として苛性ソーダ水溶液などが使用される。例えば熱可塑性樹脂がポリウレタン、島成分がナイロンまたはポリエチレンテレフタレート、海成分がポリビニルアルコールである場合には、変性する液体として水または水溶液などが使用される。
このような処理により、海島型繊維から海成分が除去されて、海島型繊維が繊維束等に変成された繊維絡合体が得られる。
変性後の繊維の平均単繊度は、高次繊維構造とし易い点で、0.0001dtex〜0.5dtexであることが好ましい。
【0014】
次に上記で得られる繊維絡合体で代表される繊維構造物を研削処理して得られる弾性体補強用繊維組成物とする。
本発明で用いる研削処理としては、コンタクトバフ機等を使用してサンドペーパーにより得られる繊維構造物をバフ処理する方法や、ワイヤーブラシによりブラッシングする方法等の公知の方法が好ましく採用できる。その具体的方法として最も効果的、効率的方法としては、コンタクトタイプのバフ処理機による連続研削処理方法が挙げられる。コンタクトタイプのバフ処理とは、高速で回転するエンドレスのサンドペーパーを繊維構造物の表面に接触させて研削処理を行う方法の1つであり、サンドペーパーと繊維構造物の表面との接触面が、サンドペーパーの回転軸に平行な線状となる方法である。他にも、サンドペーパーと繊維構造物の表面との接触面積をより広くとることのできるエメリータイプのバフィング機や、これらの方法を組み合わせたようなタイプのバフ機などがあるが、サンドペーパーと繊維構造物の表面との接触面がより狭いので接触させた部分の面圧を高くすることのできるコンタクトタイプのバフ機の方が、繊維構造物の研削処理方法としては研削処理の初期段階で必要な研削処理強度の制御性に優れるのでより好ましく採用される。もちろん、研削処理においてコンタクトタイプのバフ機のみを使用してもよいが、他のタイプのバフ機を併用すると、コンタクトタイプのみでは得られにくいような繊維形状の弾性体補強用繊維組成物を得ることができより高次繊維構造の形態をとり易いので、これも好ましい実施態様の1つである。
繊維構造物の研削面は繊維構造物の表面が効率上好ましいが、繊維構造物の表面に垂直な面または繊維構造物を複数枚重ねた表面に垂直な面を研削面としても良い。
バフ処理に使用するサンドペーパーに特に制限は無いが、通常使用される番手の範囲は80〜1200番手であることが、繊維長が0.001mm〜10mmで、かつ、0.01mm長以下の繊維と1mm長以上の繊維を合わせた割合が全体の50%以上としやすい点で好ましい。
本発明の研削方法により得られる弾性体補強用繊維組成物の形状は、上記方法によって得られるものであれば特に限定はしないが、繊維長が0.001mm〜10mmで、かつ、0.01mm長以下の繊維と1mm長以上の繊維を合わせた割合が全体の50%以上の複合繊維、複合繊維の少なくとも一部がバラけた繊維もしくは繊維束およびそれらの混合物、またはそれらに熱可塑性樹脂が付与した状態、例えば図1または図2の図面代用写真によって表わすことができる。そして弾性体補強用繊維組成物の状態は少なくとも直線状、曲線状、捲縮状および毛玉状のいずれか1つの状態であればよいが、ゴム組成物に添加したときの繊維の配向性のランダムさ、高次繊維構造のとりやすさの点で直線の状態は少ないほうがよく、5%以下が好ましい。また繊維長を0.001mm以上とすることで十分なゴム補強効果が得られる。一方10mm以下とすることでゴム中への均一な分散が可能となり、また安定した補強効果が得られやすい。また、0.01mm長以下の繊維と1mm長以上の繊維を合わせた割合が全体の50%以上とすることで分散性と高次繊維構造をとり易い点で好ましい。
尚、本発明の弾性体補強用繊維組成物は弾性体であればゴム以外の補強効果も可能である。
【0015】
次に上記で得られた弾性体補強用繊維組成物をゴム組成物に混入し、混練機により混合分散する方法は、公知の方法を用いることが可能である。例えば、バンバリ−ミキサー等で代表される密閉式混練機を用いて弾性体補強用繊維組成物を含有するゴム組成物を練る方法としては、例えば本発明では、まず弾性体補強用繊維組成物をゴム組成物に混合させてマスターバッチを作製した後、通常ゴム組成物に添加されるカーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華等の無機充填剤、ゴム伸展油その他ゴム薬品等を練り込んで繊維補強ゴム組成物とする方法や、マトリックスとなるゴム組成物に弾性体補強用繊維組成物を練り込んで繊維補強ゴム組成物とする方法、またはあらかじめ弾性体補強用繊維組成物を少量のゴム組成物と混合して高濃度のマスターバッチを作製し、これをゴム組成物と混合して分散させる方法が用いられる。
混合時間としてはそれぞれの方法によってばらつきはあるもののバンバリ−ミキサーを用いた場合特に通常のゴム配合時と同程度の混練条件にてゴム中に十分に分散することができる。そして、その後の押し出し成形または射出成形を行うことにより弾性体補強用繊維組成物が高次構造をとることができる。
【0016】
本発明では上記して得られる繊維補強ゴム組成物を押し出し成形または射出成形によって好ましく製造することができる。
本発明の繊維補強ゴム組成物は押し出し成形や射出成形を行っても補強用繊維が従来のように進行方向に配向し難く、ゴム組成物の内部において1方向に配向した繊維および/またはその繊維束、ならびに該方向には配向していない繊維および/またはその繊維束からなる高次繊維構造によって構成されてなる繊維補強ゴム組成物とすることが可能である。配向状態は前述のような高次構造をとるが、具体的には例えば図3および図4の図面代用写真の状態で確認することが可能である。
本発明の繊維補強ゴム組成物は図3および図4のように弾性体補強用繊維組成物が高次構造をとってゴム組成物の内部に分散しており、結果として、ゴム組成物の内部での補強用繊維組成物の分散性に優れ、またゴム組成物にした時の特に低伸度(伸度100%以下)時での補強効果に優れる。さらに、押し出し成形または射出成形されたゴム組成物の強度の低伸度(伸度100%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下)時の方向性が少ない繊維補強ゴム組成物とすることが可能となる。
弾性体補強用繊維組成物のゴムへの添加量は各用途の必要性能に応じて決定されるべきであるが、通常0.1〜50質量%が好ましく用いられる。0.1質量%以上とすることで繊維補強効果に優れ、50質量%以下とすることで高次構造の形成性や分散安定性に優れる。
実施例
【0017】
次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。
<ゴム組成物の各伸度における強度の測定方法>
加硫ゴム物理試験方法(JIS−K6301)に準拠し、下記仕様のダンベル状のテストピース(厚み3mm)にて引っ張り試験し、10%、30%、50%および100%伸長時の荷重の値にて示す。
【実施例1】
【0018】
6−ナイロンを島成分としポリスチレンを海成分とした繊度15dtexの海島型繊維を混合紡糸にて紡糸した後、5倍に延伸し捲縮した後カット長50mmに切断してステープルとし、このステープルをカードで解繊した後、クロスラップウェバーで繊維ウェブとした。次に、得られた繊維ウェブを積層した後、ニードルパンチ処理により厚み方向に絡合させることで、厚さ2mm平均目付400g/mの繊維絡合体を得た。この繊維絡合体にポリビニルアルコールを含浸・乾式凝固し10質量%付着せしめ繊維構造物を得た。該繊維構造物の表面を240番手のサンドペーパーでコンタクトバフ処理し、バフ処理により得られた繊維組成物を得た。そして得られた繊維組成物を電子顕微鏡で観察すると、図1の通り、繊維が捲縮状、集毛状、曲線状の形状を有し、繊維長が0.001mm〜10mmで、かつ、0.01mm長以下の繊維と1mm長以上の繊維を合わせた割合が全体の50%以上であった。
得られた繊維組成物を弾性体補強用繊維組成物とし、ゴム100部に対して5部(実施例1−1)、10部(実施例1−2)となるよう組成でバンバリーミキサーを用いて混合し、押し出し機により押し出して繊維補強ゴム組成物を作成した。この時、得られた繊維補強ゴム組成物の断面を電子顕微鏡で観察(繊維配向状態が分かり難い場合、溶剤を付けた布で分割面を少し溶かすと良い。)すると、図3(実施例1−2)の通り、1方向(押し出し方向)に配向した繊維および/またはその繊維束、ならびに該方向には配向していない繊維および/またはその繊維束(例えば、図中楕円で囲んだ部分)からなる高次繊維構造によって構成からなる繊維が混在したものであった。
【0019】
【表1】

上述して得られた繊維補強ゴム組成物のゴム補強性を強伸度特性を測定する事によって調べ、その結果を表2にまとめた。図3のとおり弾性体補強用繊維組成物のゴム中への分散性は良好で、かつ、ゴム組成物のゴム補強特性は特に100%以下の伸度において十分な強度が得られ、また、特に10%以下の伸度においてタテ方向とヨコ方向における強度の差の小さいものであった。
【実施例2】
【0020】
6−ナイロンを島成分としポリエチレンを海成分とした繊度10dtexの海島型繊維を混合紡糸にて紡糸した後、2.5倍に延伸し、カット長50mmに切断してステープルとし、このステープルをカードで解繊した後、クロスラップウェバーで繊維ウェブとした。次に、得られた繊維ウェブを積層した後、ニードルパンチ処理により厚み方向に絡合させることで、厚さ1.7mm平均目付500g/mの繊維絡合体を得た。この繊維絡合体にポリエーテル系ポリウレタン14%ジメチルホルムアミド(以下DMFとする)溶液を含浸し、DMF水溶液中に浸漬して湿式凝固し、約30質量%付着せしめた。
次いでトルエン溶剤中で海島型繊維を変性処理して海島型繊維中のポリエチレンを溶解除去し、6−ナイロンの極細繊維およびその繊維束からなるの繊維絡合体の内部にポリウレタンが多孔質構造となって含有した繊維構造物を得た。次いで、該繊維構造物の表面を180番手のサンドペーパーでコンタクトバフ処理し、得られた繊維組成物を電子顕微鏡で観察すると、顕微鏡写真から求めた平均単繊度0.005dtexからなる繊維および繊維束が混在状態で、図2の通り、繊維が捲縮状、集毛状、曲線状および毛玉状の形状を有し、繊維長が0.001mm〜10mmで、かつ、0.01mm長以下の繊維と1mm長以上の繊維を合わせた割合が全体の50%以上であった。
得られた繊維組成物を弾性体補強用繊維組成物とし、ゴム100部に対して5部(実施例2−1)、10部(実施例2−2)、実施例1と同様の組成でバンバリーミキサーを用いて混合し、押し出し機により押し出して繊維補強ゴム組成物(実施例2−1:ナイロン成分3.0部、ポリウレタン成分2.0部、実施例2−2 ナイロン成分6.0部、ポリウレタン分4.0部)を作成した。この時、得られた繊維補強ゴム組成物の断面を電子顕微鏡で観察すると、図4(実施例2−2)の通り、1方向(押し出し方向)に配向した繊維および/またはその繊維束、ならびに該方向には配向していない繊維および/またはその繊維束(例えば、図中楕円で囲んだ部分)からなる高次繊維構造によって構成からなる繊維が混在したものであった。
【0021】
実施例1の結果と同様、上述して得られた繊維補強ゴム組成物のゴム補強性を強伸度特性を測定する事によって調べ、その結果を表2にまとめた。図4のとおり弾性体補強用繊維組成物のゴム中への分散性は良好で、かつ、ゴム組成物のゴム補強特性は特に100%以下の伸度において十分な強度が得られ、また、特に10%以下の伸度においてタテ方向とヨコ方向における強度の差の小さいものであった。
【実施例3】
【0022】
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとする)を島成分としポリエチレンを海成分とした繊度10dtexの海島型繊維を複合紡糸にて紡糸した後、2.5倍に延伸し、カット50mmに切断してステープルとし、このステープルをカードで解繊した後、クロスラップウェバーで繊維ウェブとした。次に、得られた繊維ウェブを積層した後、ニードルパンチ処理により厚み方向に絡合させることで、厚さ2.0mm平均目付600g/mの繊維絡合体を得た。この繊維絡合体にポリエーテル系ポリウレタン14%DMF溶液を含浸し、DMF水溶液中に浸漬して湿式凝固し、約25質量%付着せしめた。
次いでパークレンで海島型繊維を変性処理して海島型繊維中のポリエチレンを溶解除去し、PETの極細繊維およびその繊維束からなる繊維絡合体の内部にポリウレタンが多孔質構造となって含有した繊維絡合体を得た。該繊維絡合体を電子顕微鏡で観察すると、顕微鏡写真から求めた平均単繊度0.15dtex、平均本数16本/束の繊維束状繊維が観察された。
次いで、該繊維絡合体の表面を180番手のサンドペーパーでバフ処理し、得られた繊維組成物を電子顕微鏡で観察すると、繊維長が0.001mm〜10mmで、かつ、0.01mm長以下の繊維と1mm長以上の繊維を合わせた割合が全体の50%であった。次に該繊維組成物を弾性体補強用繊維組成物としてゴム組成物に5部(実施例3―1)および10部(実施例3―2)添加し、実施例1と同様の組成でバンバリーミキサーを用いて繊維補強用ゴム組成物を作成した。(実施例3−1:PET成分4.0部、ポリウレタン成分1.0部、実施例3−2:PET成分8.0部、ポリウレタン成分2.0部)を作成した。この時、得られた繊維補強ゴム組成物の断面を電子顕微鏡で観察すると、1方向(押し出し方向)に配向した繊維および/またはその繊維束、ならびに該方向には配向していない繊維および/またはその繊維束からなる高次繊維構造によって構成からなる繊維が混在したものであった。
【0023】
実施例1の結果と同様、上述して得られた繊維補強ゴム組成物のゴム補強性を強伸度特性を測定する事によって調べ、その結果を表2にまとめた。弾性体補強用繊維組成物のゴム中への分散性は良好で、かつ、ゴム組成物のゴム補強特性は特に100%以下の伸度において十分な強度が得られ、また、特に10%以下の伸度においてタテ方向とヨコ方向における強度の差の小さいものであった。
【0024】
比較例1
通常ゴム補強用繊維として用いられるビニロン繊維(平均繊度1.0dtex、平均繊維長4mm)を3部(比較例1−1)および6部(比較例1−2)添加し、実施例1と同様の組成でバンバリーミキサーを用いてゴム組成物を作成した。押し出し成形によって得られたゴム組成物の断面を電子顕微鏡で確認したところ、1方向(押し出し進行方向)にほぼ全ての弾性体補強用繊維組成物が配向していた。
表2に結果を示した通り、特に10%以下の伸度において強度のタテ方向とヨコの方向における強度の差の大きいものであった。そしてゴム補強用としては用途が制限されるものであった。
【0025】
比較例2
通常ゴム補強用繊維として用いられるアクリル繊維(平均繊度1.3dtex、平均繊維長6mm)を3部(比較例2−1)および6部(比較例2−2)添加し、実施例1と同様の組成でバンバリーミキサーを用いてゴム組成物を作成した。押し出し成形によって得られたゴム組成物の断面を電子顕微鏡で確認したところ、1方向(押し出し進行方向)にほぼ全ての弾性体補強用繊維組成物が配向していた。
表2に結果を示した通り、特に10%以下の伸度において強度のタテ方向とヨコの方向における強度の差の大きいものであった。そしてゴム補強用としては用途が制限されるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、ゴムホース、ゴムベルト、マット、タイヤ等に利用される繊維補強ゴム組成物、及び該繊維補強ゴム組成物を得るための繊維組成物に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の弾性体補強用繊維組成物の1態様(海島型繊維)を示す図面代用写真である。
【図2】本発明の弾性体補強用繊維組成物の他の態様(単繊維)を示す図面代用写真である。
【図3】本発明の繊維補強ゴム組成物の1態様の断面を示す図面代用写真である(実施例1−2)。
【図4】本発明の繊維補強ゴム組成物の他の態様の断面を示す図面代用写真である(実施例2−2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム組成物の内部において1方向に配向した繊維および/またはその繊維束、ならびに該方向には配向していない繊維および/またはその繊維束からなる高次繊維構造によって構成されてなる繊維補強ゴム組成物。
【請求項2】
繊維および繊維束がその表面にさらに熱可塑性樹脂を付着してなる請求項1に記載の繊維補強ゴム組成物。
【請求項3】
熱可塑性樹脂がポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂およびアクリル系樹脂から選ばれる少なくとも1種からなる請求項2に記載の繊維補強ゴム組成物。
【請求項4】
繊維補強ゴム組成物が押し出し成形または射出成形によって得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維補強ゴム組成物。
【請求項5】
繊維構造物の内部に熱可塑性樹脂を含浸・凝固し、研削処理して得られる弾性体補強用繊維組成物をゴム組成物に混入し、混練機により混合分散させる繊維補強ゴム組成物の製造方法。
【請求項6】
以下(1)〜(3)の工程により製造される繊維構造物を研削処理して得られる弾性体補強用繊維組成物をゴム組成物に混入し、混練機により混合分散させる繊維補強ゴム組成物の製造方法。
(1)複合繊維からなる繊維ウェブを製造する工程
(2)繊維ウェブを絡合して繊維絡合体とする工程
(3)繊維絡合体の内部に熱可塑性樹脂を含浸・凝固する工程
【請求項7】
請求項6の工程(3)の前または後に工程(4)を行って製造される繊維構造物を用いる請求項6に記載の繊維補強ゴム組成物の製造方法。
(4)複合繊維を単繊維および/またはその繊維束に変性する工程
【請求項8】
繊維構造物が、単繊維および/または繊維束からなる請求項5〜7のいずれか1項に記載の繊維補強ゴム組成物の製造方法。
【請求項9】
繊維構造物の内部に熱可塑性樹脂を固着した後に、該繊維構造物を研削処理する弾性体補強用繊維組成物の製造方法。
【請求項10】
以下(1)〜(3)の工程により得られる繊維構造物を研削処理する弾性体補強用繊維組成物の製造方法。
(1)複合繊維からなる繊維ウェブを製造する工程
(2)繊維ウェブを絡合して繊維絡合体とする工程
(3)繊維絡合体の内部に熱可塑性樹脂を含浸・凝固する工程
【請求項11】
請求項10の工程(3)の前または後に工程(4)を行って製造される繊維構造物を用いる請求項10に記載の弾性体補強用繊維組成物の製造方法。
(4)複合繊維を単繊維および/またはその繊維束に変性する工程
【請求項12】
研削処理がバフ処理である請求項9〜11のいずれか1項に記載の弾性体補強用繊維組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の製造方法により得られる弾性体補強用繊維組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−108227(P2009−108227A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283027(P2007−283027)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】