説明

置換ノルトロパンの尿素誘導体、該化合物を含有する医薬及びその使用

本発明は、有用な薬理学的活性を有する、式I[式中、基R、Y〜Y、V、W、及びXは請求項1に定義されるとおりである]により定義される化合物に関する。特に、本化合物は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1の阻害剤であり、よって、代謝疾患、特に、2型糖尿病、肥満症、及び脂質異常症などの、この酵素の阻害により影響を受けうる疾患の治療及び予防に適している。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式I:
【0002】
【化1】


[式中、基R、Y〜Y、V、W、及びXは、本明細書下記で定義されるとおりである]により構造的に定義される、上記の化学骨格に由来する化合物に関し、その互変異性体、立体異性体、混合物、及びその塩を含む。本発明は更に、本発明の式Iの化合物を含有する医薬組成物、ならび代謝障害の処置用の医薬組成物を調製するための本発明の化合物の使用に関する。加えて、本発明は、本発明の医薬組成物ならびに化合物の調製方法に関する。
【0003】
文献では、酵素の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対して阻害作用を有する化合物が、代謝症候群、特に2型糖尿病、肥満症及び脂質異常症の処置のために提案されている。
【0004】
本発明に関連して、以下の文書を考慮してもよい:
【0005】
WO 98/22462は、害虫に対抗し、かつ抑制するための、一般式P−R−Q[ここで、各P及びQは、独立して、式:
【0006】
【化2】


(式中、R、R、及びJは、文書において定義されるとおりである)で示される基である]で示される化合物を開示する。
【0007】
WO 2008/000951は、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1の活性の調節剤としての、一般式:
【0008】
【化3】


[式中、R、R、R1a、R1b、R1c、R1d、R2a、R2b、p及びrは、文書において定義されるとおりである]で示される化合物を開示する。
【0009】
発明の目的
本発明の目的は、新規なノルトロパン、特に酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対して活性なノルトロパンを発見することである。本発明の更なる目的は、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対するインビトロ及び/又はインビボの阻害作用を有しており、かつ医薬として使用するのに適切な薬理学的及び薬物動態学的特性を持つノルトロパンを発見することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、代謝障害、特に糖尿病、肥満症及び脂質異常症の予防及び/又は治療に好適な新規な医薬組成物を提供することである。
【0011】
発明の対象
本発明の他の目的は、前述及び後述の論考から直接当業者には明らかになるであろう。
【0012】
第一の態様において、本発明は、式I:
【0013】
【化4】


[式中、
は、アリール又はヘテロアリールを示し
(アリールは、フェニル又はナフチルを意味し、そして
ヘテロアリールは、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、又は
ピロリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、ピリジニル(これらそれぞれにおいて、1又は2個のCH基は、Nにより置き換えられている)、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、もしくはイソキノリニル(これらそれぞれにおいて、1〜3個のCHは、Nにより置き換えられている)を意味し
(ヘテロアリール基を含む上記Nにおいて、1又は2個の−N=CH−基は、−NH−CO−及び/又は−N(C1−4−アルキル)−CO−により場合により置き換えられており、そして
上記多環式アリール及びヘテロアリール基は、場合により部分飽和であるが、式I中のカルボニル基に結合している芳香族又は複素環式芳香族部分構造を保持しており
(部分飽和環において、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NH、N(C1−4−アルキル)、カルボニル、又はスルホニルで場合により置き換えられている)、
ここで、上記アリール、ヘテロアリール、部分飽和アリール及びヘテロアリール基は、1個以上、好ましくは1〜4個の置換基Rで場合により置換されており、
ここで、全てのヘテロアリール基は、炭素原子を介して、式I中のノルトロパン骨格に結合している)、
は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−6−アルケニル、C3−6−アルキニル、C3−6−シクロアルキル、(het)アリール、C1−4−アルキルカルボニル、C1−4−アルキルオキシカルボニル、C1−4−アルキルスルホニル、(het)アリールカルボニル、(het)アリールスルホニル
(ここで、各アルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、フッ素で場合により一又は多置換されており、そしてヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキル−アミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシ−カルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、又は(het)アリールで場合により一置換されている)を示し、
は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C3−6−シクロアルキル、C3−6−シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1−3−アルキルオキシ、テトラヒドロピラニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール、(het)アリールオキシ、
1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルキルオキシ、C1−6−アルキルアミノを示し(ここで、各基において、1個のCH基は、カルボニル又はスルホニルで場合により置き換えられており、そして、各基は、フッ素で場合により一又は多置換されており、そして、更に、
ヒドロキシ、塩素、C1−3−アルキルオキシ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、シアノ、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル、C1−4−アルキル−カルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−4−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキルスルホニル、C3−6−シクロアルキル、テトラヒドロ−フラニル、テトラヒドロピラニル、(het)アリール、又は(het)アリールオキシ、
アミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C3−6−シクロアルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルスルホニル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、
(het)アリールカルボニルアミノ、C1−4−アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、C1−4−アルキル−アミノカルボニルアミノ、(het)アリールアミノカルボニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニルアミノ、ピロリジン−1−イルカルボニルアミノ、ピペリジン−1−イルカルボニルアミノ、モルホリン−4−イル−カルボニルアミノ、ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、C1−3−アルキルアミノスルホニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−スルホニルアミノ、ピロリジン−1−イルスルホニルアミノ、ピペリジン−1−イルスルホニルアミノ、モルホリン−4−イルスルホニルアミノ、ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、(C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ)カルボニルアミノ、(het)アリールスルホニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−4−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ、N−(アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−(C1−3−アルキルアミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−[ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル]−C1−3−アルキルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールスルホニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、
カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イル−カルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−カルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールアミノカルボニル、(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、(het)アリールカルボニル、
1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、(het)アリールスルホニル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、
アミノスルホニル、C1−3−アルキルアミノスルホニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノスルホニル、ピロリジン−1−イル−スルホニル、ピペリジン−1−イルスルホニル、モルホリン−4−イルスルホニル、ピペラジン−1−イルスルホニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルスルホニルで場合により置換されており、
ここで、全ての上記飽和ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキル環は、フッ素、C1−3−アルキル、C1−3−アルコキシ、C1−3−アルコキシ−C1−3−アルキル、及びヒドロキシより独立して選択される1又は2個の基で場合により置換されている)、
Vは、CY、O、又はNRであり、
Wは存在しないか、CY、又は(CY)−(CY10)であり、
Xは存在しないか、CY1112、又は(CY1112)−(CY1314)であり、
V及びWはまた、組み合わされて、C3−6−シクロアルキル基(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加され、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして場合により部分不飽和であり、互いに独立してRより選択される置換基で場合により一又は多置換、好ましくは一〜四置換されている)を形成してもよく、
V及びWはまた、組み合わされて、(het)アリール基(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加されている)を形成してもよく、
は、ハロゲン、C1−4−アルキル、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、N−C1−3−アルキル−C1−4−アルキル−カルボニルアミノ、及び(het)アリールを示し(ここで、上記各アルキル基は、フッ素で場合により一又は多置換されており、そしてヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキル−アミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシ−カルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)−アミノカルボニル、又は(het)アリールで場合により一置換されている)、
〜Y14(同一でも、及び/又は、異なっていてもよい)は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C3−6−シクロアルキル、C3−6−シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1−3−アルキルオキシ、テトラヒドロピラニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール、(het)アリールオキシ、
1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルキルオキシ、C1−6−アルキルアミノ(各基において、1個のCH基は、場合によりカルボニル又はスルホニルにより置き換えられており、ここで、各基は、場合により一又は多フッ素化されており、そして、各基は、更に、
ヒドロキシ、塩素、C1−3−アルキルオキシ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシ−カルボニル、シアノ、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリールカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキル−スルホニル、C3−6−シクロアルキル、(het)アリール、又は(het)アリールオキシで場合により置換されている);
アミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C3−6−シクロアルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルスルホニル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、
(het)アリールカルボニルアミノ、C1−4−アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、C1−4−アルキル−アミノカルボニルアミノ、(het)アリールアミノカルボニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニルアミノ、ピロリジン−1−イルカルボニルアミノ、ピペリジン−1−イルカルボニルアミノ、モルホリン−4−イル−カルボニルアミノ、ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、C1−3−アルキルアミノスルホニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−スルホニルアミノ、ピロリジン−1−イルスルホニルアミノ、ピペリジン−1−イルスルホニルアミノ、モルホリン−4−イルスルホニルアミノ、ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、(C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ)カルボニルアミノ、(het)アリールスルホニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ、N−(アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−(C1−3−アルキル−アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−[ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル]−C1−3−アルキルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、
カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イル−カルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−カルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールアミノカルボニル、(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、
(het)アリールカルボニル、
1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、(het)アリールスルホニル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、
アミノスルホニル、C1−3−アルキルアミノスルホニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノスルホニル、ピロリジン−1−イル−スルホニル、ピペリジン−1−イルスルホニル、モルホリン−4−イルスルホニル、ピペラジン−1−イルスルホニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルスルホニルを示し
(ここで、上記飽和ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキル環は、フッ素、C1−3−アルキル、C1−3−アルコキシ、C1−3−アルコキシ−C1−3−アルキル、又はヒドロキシより独立して選択される1又は2個の基で場合により置換されている)、ならびに
同じ炭素原子に結合している2個の基Y、例えば、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y10、Y11/Y12、Y13/Y14は、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、カルボニル基又はC3−6−シクロアルキル基(ここで、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして、場合により部分不飽和であり、場合により、互いに独立してRより選択される置換基で一又は多置換、好ましくは一〜四置換されている)を形成してもよく、ならびに/あるいは
及びY、Y及びY、Y及びY、Y及びY、又はY及びY11の対のうちの1つは、組み合わされて、C1−3−アルキレン架橋(ここで、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして、場合により部分不飽和であり、場合により、互いに独立してRより選択される置換基で一又は多置換、好ましくは一〜四置換されている)を形成してもよく、ならびに/あるいは
残基Y、Y及びYは、場合により結合して、C3−6−アルキレン架橋(ここで、1個のCH基は、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により、1個のCH基は、Nにより場合により置き換えられており、そして互いに独立してRより選択される置換基で場合により一又は多置換、好ましくは一〜四置換されている)を形成し、
10は、互いに独立して、ハロゲン、C1−3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アミノスルホニル、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、又はフェニル(互いに独立して、フッ素、メチル、メトキシ、シアノ、又はヒドロキシより選択される1又は2個の置換基で場合により置換されている)を示す
(上記(het)アリールは、フェニル、ナフチル、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、又は
ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル(ここで、1又は2個のCHは、Nにより置き換えられている)、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル(ここで、1〜3個のCHは、Nにより置き換えられている)、又は
1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリジニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリジニル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−ピリダジニル、1,2,3,6−テトラヒドロ−3,6−ジオキソ−ピリダジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリミジニル、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリミジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−ピリミジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−ピラジニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−インドリル、2,3−ジヒドロベンゾ−フラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−ベンゾオキサゾリル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キノリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−イソキノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−シンノリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キナゾリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−キナゾリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−3−オキソ−キノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−キノキサリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−フタラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−ジオキソ−フタラジニル、クロマニル、クマリニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、3,4−ジヒドロ−3−オキソ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニルであり、
そして、ここで、上記(het)アリール基は、同一でも異なっていてもよい1〜3個のR10で場合により置換されており、
上記アルキル又はアルキレン部分は分岐でも非分岐でもよい)]により構造的に定義される化合物、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、及びその塩に関する。
【0014】
本発明の一般式Iの化合物及びその生理学的に許容しうる塩は、価値のある薬理学的特性、特に、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対する阻害作用を有する。
【0015】
本発明の更なる態様はまた、無機又は有機の酸との本発明の一般式Iの化合物の生理学的に許容しうる塩に関する。
【0016】
本発明の更なる態様はまた、無機又は有機の塩基との本発明の一般式Iの化合物の生理学的に許容しうる塩に関する。
【0017】
更なる態様において、本発明は、本発明の少なくとも1つの一般式Iの化合物又は生理学的に許容しうる塩を、場合により、1個以上の不活性担体及び/又は希釈剤と共に含有する医薬組成物に関する。
【0018】
更なる態様において、本発明は、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を与えることができる疾患又は症状、例えば、代謝障害の治療又は予防のための、一般式Iの化合物又はその生理学的に許容しうる塩に関する。
【0019】
更なる態様において、本発明は、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を与えることができる疾患又は症状、例えば、代謝障害の治療又は予防に好適な医薬組成物を調製するための、少なくとも1つの一般式Iの化合物又はその生理学的に許容しうる塩のうちの1つの使用に関する。
【0020】
更なる態様において、本発明は、

一般式III:
【0021】
【化5】


[式中、基Rは、本明細書で前述及び後述のとおり定義される]で示されるアミン、又は
一般式IV:
【0022】
【化6】


[式中、基Y〜Y、V、W、及びXは、本明細書で前述及び後述のとおり定義される]で示されるアミンを、一般式Y−CO−Yで示される炭酸誘導体と反応させて、一般式V又はVI:
【0023】
【化7】


[式中、
基R、Y〜Y、V、W、及びXは、本明細書で前述及び後述のとおり定義され、そして、
Yは脱離基であり、特に、フッ素、塩素、臭素、シアノ、C1−9−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1−8−アルキルスルファニル、ヘテロアリ−N−イル(heteroar-N-yl)、アリーロトリアゾール−1−イルオキシ(arylotriazol-1-yloxy)、ヘテロアリーロトリアゾール−1−イルオキシ(heteroarylotriazol-1-yloxy)、3−メチル−イミダゾール−1−イル、スクシニル−N−オキシ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニルオキシ、ピロール−1−イルカルボニルオキシ、ピペリジン−1−イル−カルボニルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニルオキシ、アリールスルファニル、又はヘテロアリールスルファニルを示し、
上記基の定義において示されたアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、互いに独立して、フッ素、塩素、C1−3−アルキル、又はC1−3−アルコキシより選択される1個以上の置換基、好ましくは1〜5個の置換基で場合により置換されており、
上記基の定義において示されたアリール基は、フェニル又はナフチルを示し、上記基の定義において示されたヘテロアリール基は、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルを示す一方、アリール及びヘテロアリール基の両方は、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ、ニトロ、シアノ、又はジ−(C1−3−アルキル)−アミノより選択される1個以上、好ましくは1〜5個の置換基で場合により置換されており、
Y−CO−Y中の2個のYは、同一でも異なっていてもよく、
置き換えられる第2のYはまた、第1のYが2個のアミンのうちの1つで置き換えられた後に、より反応性の高いYに変換されてもよい]で示される化合物のいずれかを中間体として得て、
ここで、一般式V及びVIの中間体を、場合により単離し、そして場合により精製し、その後、続いて一般式III又はIVの他のアミンと反応させて、一般式Iの化合物を得て;
(反応は、場合により、アミンなどの有機塩基、例えば、エチルジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、イミダゾール、もしくはピリジン、又は無機塩基、例えば、炭酸カリウムもしくは酸化カルシウム、及び/又は添加剤、例えば4−ジメチルアミノピリジンもしくは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下、好ましくは−10〜120℃で、好ましくはテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン、ベンゼン、及びヘキサンより選択される溶媒中で行うが、水溶液及びアルコール溶液もまた、上記組み合わせの幾つかでは使用可能であってよい);そして
必要であれば、上記反応に使用する任意の保護基を、同時に又は続いて開裂し;
所望であれば、このようにして得た一般式Iの化合物を、その立体異性体に分割し;
所望であれば、このようにして得た一般式Iの化合物を、その塩、特に、薬学的使用のために、その生理学的に許容しうる塩に変換することを特徴とする、一般式Iの化合物の調製方法に関する。
【0024】
発明の詳細な説明
特記しない限り、基、残基、及び置換基、特に、R〜R、R10、R、Y〜Y14、V、W、及びXは、本明細書で前述及び後述のとおり定義される。残基、置換基、又は基が化合物において数回現れる場合、それらは同一の又は異なる意味を有してもよい。本発明の化合物の基及び置換基の幾つかの好ましい意味を本明細書において後述する。
【0025】
本発明の好ましい実施態様は、以下の定義により特徴付けられる:
a)Rについての定義(a)(好ましさの順)昇順で、好ましくは(a)から、より好ましくは(a)を経て、最も好ましくは(a)まで:
【0026】
(a):好ましくは、Rは、フェニル、ナフチル、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、又は
ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジニル(ここで、1又は2個のCHはNにより置き換えられている)、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル(ここで、1又は2個のCHはNにより置き換えられている)、又は
インドリニル、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−インドリル、1−オキソ−2,3−ジヒドロ−イソインドリル、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾリル、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル、7−オキソ−4,7−ジヒドロ−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジニル、4−オキソ−3,4−ジヒドロ−キナゾリニル、テトラヒドロキノリニル、
(ここで、上記アリール及びヘテロアリール基は、場合により、1〜4個の異なる及び/又は同一の置換基Rで置換されており、そして、
ここで、全てのヘテロアリール基は、炭素原子を介して、ノルトロパン骨格に結合している)を示す。
【0027】
(a):より好ましくは、Rは、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル(これらは全て、互いに独立してRより選択される1〜4個の置換基で場合により置換されている)を示す。
【0028】
(a):更により好ましくは、Rは、フェニル、ナフチル、フラニル、ピリジニル、イソオキサゾリル、ピリミジニル(これらは全て、互いに独立してRより選択される1又は2個の置換基で場合により置換されている)を示す。
【0029】
(a):最も好ましくは、Rは、Rより選択される1個の置換基で場合により置換されているフェニルを示す。
【0030】
b)Rについての定義(b)(好ましさの順)昇順で、好ましくは(b)から、より好ましくは(b)を経て、最も好ましくは(b)まで:
【0031】
(b):好ましくは、Rは、水素、C1−6−アルキル、C3−6−アルケニル、C3−6−シクロアルキル、フェニル−C1−3−アルキル、C1−4−アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、C1−4−アルキルオキシカルボニル、フェニル、C1−4−アルキルスルホニル、フェニルスルホニル(ここで、各アルキル基は、フッ素で場合により一又は多置換されており、そしてヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−カルボニル又はフェニルで場合により一置換されており、そして、ここで、各フェニル基は、R10で場合により一置換されている)を示す。
【0032】
(b):より好ましくは、Rは、水素、C1−6−アルキル、C3−6−シクロアルキル、フェニル−C1−2−アルキル、C1−3−アルキルカルボニル、フェニルカルボニル、C1−3−アルキルオキシカルボニル、フェニル、C1−3−アルキルスルホニル、フェニル−スルホニル(ここで、各アルキル基は、フッ素で場合により一又は多置換されており、そしてヒドロキシ、C1−3−アルコキシ、シアノ、又はフェニルで場合により一置換されており、そして、ここで、各フェニル基は、R10で場合により一置換されている)を示す。
【0033】
(b):更により好ましくは、Rは、水素、C1−4−アルキル、C5−6−シクロアルキル、フェニルメチル、C1−3−アルキルカルボニル、C1−3−アルキルオキシカルボニル、フェニル、C1−3−アルキルスルホニル(ここで、各アルキル基は、フッ素で場合により一又は多置換されており、かつヒドロキシ、C1−3−アルコキシ、シアノ、又はフェニルで場合により一置換されており、そして、ここで、各フェニル基は、R10で場合により一置換されている)を示す。
【0034】
(b):最も好ましくは、Rは、水素、メチル、フェニルメチル、アセチル、及びメチルスルホニルを示す。
【0035】
b)Rについての定義(c)(好ましさの順)昇順で、好ましくは(c)から、より好ましくは(c)を経て、最も好ましくは(c)まで:
【0036】
(c):好ましくは、Rは、フッ素、塩素、シアノ、C1−4−アルキル、ヒドロキシ、C1−4−アルキルオキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C3−6−シクロアルキル、C3−6−シクロアルキルオキシ、C3−6−シクロアルキル−C1−3−アルキル、C3−6−シクロアルキル−C1−3−アルキルオキシ、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロ−フラニル−C1−3−アルキルオキシ、テトラヒドロピラニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール、(het)アリールオキシ、(het)アリール−C1−3−アルキル、(het)アリール−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリールオキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルカルボニル、(het)アリール−カルボニル、
アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、
1−3−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリール−カルボニルアミノ、C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ、C1−3−アルキルアミノカルボニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニルアミノ、ピロリジン−1−イルカルボニル−アミノ、ピペリジン−1−イルカルボニルアミノ、モルホリン−4−イルカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルホニル−アミノ、C1−3−アルキルアミノ−スルホニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−スルホニルアミノ、ピロリジン−1−イルスルホニルアミノ、ピペリジン−1−イルスルホニルアミノ、モルホリン−4−イルスルホニルアミノ、(het)アリール−スルホニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル−アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−[ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル]−C1−3−アルキルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールスルホニルアミノ、
カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イル−カルボニル、
カルボキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキル、シアノ−C1−3−アルキル、アミノカルボニル−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキル、ピロリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキル、ピペリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキル、モルホリン−4−イル−カルボニル−C1−3−アルキル、
カルボキシ−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、シアノ−C1−3−アルキルオキシ、アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピロリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペリジン−1−イル−カルボニル−C1−3−アルキルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、
ヒドロキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ−C1−3−アルキル、アミノ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルアミノ−C1−3−アルキル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ−C1−3−アルキル、ピロリジン−1−イル−C1−3−アルキル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、N−(C1−3−アルキル)−C1−4−アルキルカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル−C1−3−アルキル、3−オキソ−モルホリン−4−イル−C1−3−アルキル、
ヒドロキシ−C2−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルオキシ−C2−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルスルフィニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルスルホニル−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−C1−3−アルキルオキシ、2−オキソ−ピロリジン−1−イル−C2−3−アルキルオキシ、2−オキソ−ピペリジン−1−イル−C2−3−アルキルオキシ、モルホリン−4−イル−C2−3−アルキルオキシ、3−オキソ−モルホリン−4−イル−C2−3−アルキルオキシ、
アミノスルホニル、C1−3−アルキルアミノスルホニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノスルホニル、ピロリジン−1−イル−スルホニル、ピペリジン−1−イルスルホニル、モルホリン−4−イルスルホニル
(ここで、上記(het)アリールは、本明細書で前述及び後述のとおり定義される)を示す。
【0037】
(c):より好ましくは、Rは、フッ素、塩素、シアノ、C1−4−アルキル、ヒドロキシ、C1−4−アルキルオキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、C3−6−シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1−3−アルキルオキシ、テトラヒドロピラニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール、(het)アリールオキシ、(het)アリール−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキル−カルボニル、
アミノ、C1−3−アルキルアミノ、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリール−カルボニルアミノ、C1−3−アルキル−スルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールカルボニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールスルホニルアミノ、
カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン−1−イル−カルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イル−カルボニル、
カルボキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキル、シアノ−C1−3−アルキル、アミノカルボニル−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキル、ピロリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキル、ピペリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキル、モルホリン−4−イル−カルボニル−C1−3−アルキル、
シアノ−C1−3−アルキルオキシ、アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピロリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキル−オキシ、ピペリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、
ヒドロキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル−C1−3−アルキル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル−C1−3−アルキル、3−オキソ−モルホリン−4−イル−C1−3−アルキル、
ヒドロキシ−C2−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルオキシ−C2−3−アルキルオキシ、
アミノスルホニル、C1−3−アルキルアミノスルホニル、ジ−(C1−3−アルキル)アミノスルホニル
(ここで、上記(het)アリール基は、フェニル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、及びトリアジニルからなる群より選択され、ここで、各(het)アリール基は、同一の又は異なるR10で場合により一又は二置換されている)を示す。
【0038】
(c):更により好ましくは、Rは、フッ素、塩素、C1−3−アルキル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、メチルカルボニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ヒドロキシ−C1−3−アルキル、メトキシ−C1−3−アルキル、メチルカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、ヒドロキシ−C2−3−アルキルオキシ、メトキシ−C2−3−アルキルオキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、フェノキシ又はフェニル(ここで、各フェニル基は、R10で場合により一置換されている)を示す。
【0039】
(c):最も好ましくは、Rは、フッ素、メチル、イソプロピル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、フェノキシ、メトキシカルボニル、メトキシメチルを示す。
【0040】
d)V、W、及びXについての定義(d)(好ましさの順)昇順で、好ましくは(d)から、より好ましくは(d)を経て、最も好ましくは(d)まで:
【0041】
(d):好ましくは、Vは、CY、O、又はNRであり、Wは、存在しないか又はCYであり、そしてXは、存在しないか又はCY1112であるか、あるいは
Xは、存在しないか又はCY1112であり、そしてV及びWは、組み合わされて、C5−6−シクロアルキル基(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加され、そして1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、NR、カルボニル、及び/又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして互いに独立して、Rより選択される置換基で場合により一、二又は三置換されている)を形成するか、あるいは
Xは、存在しないか又はCY1112であり、そしてV及びWは、組み合わされて、ベンゾ、ピリド、ピリミド、ピラジノ、ピリダジノ、ピロロ、フロ、チエノ、オキサゾロ、イソオキサゾロ、イミダゾ、ピラゾロ、チアゾロ、又はイソチアゾロ環(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加し、そして、更に、R10より独立して選択される1、2、又は3個の置換基で場合により置換されている)を形成する。
【0042】
(d):より好ましくは、Vは、CY、O、又はNRであり、Wは、存在しないか又はCYであり、そしてXは、存在しないか又はCY1112であるか、あるいは
Xは、存在しないか又はCY1112であり、そしてV及びWは、組み合わされて、C5−6−シクロアルキル基(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加し、そして1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、NR、及び/又はカルボニルにより場合により置き換えられており、そして互いに独立して、Rより選択される置換基で場合により一又は二置換されている)を形成し、
Xは、存在しないか又はCY1112であり、そしてV及びWは、組み合わされて、ベンゾ、ピリド、フロ、チエノ、オキサゾロ、イソオキサゾロ、イミダゾ、ピラゾロ、チアゾロ、又はイソチアゾロ環(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加し、そして、更に、R10より独立して選択される1又は2個の置換基で場合により置換されている)を形成する。
【0043】
(d):最も好ましくは、Vは、CY又はOであり、Wは、CYであり、そしてXは、存在しないか又はCY1112であるか、あるいは
Xは、CY1112であり、そしてV及びWは、組み合わされて、チエノ又はイミダゾ環(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加し、そして、更に、R10より選択される1個の置換基で場合により置換されている)を形成する。
【0044】
e)Rについての定義(e)(好ましさの順)昇順で、好ましくは(e)から、より好ましくは(e)を経て、最も好ましくは(e)まで:
【0045】
(e):好ましくは、Rは、フッ素、塩素、C1−4−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、及び(het)アリール(ここで、上記各アルキル基は、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、C1−4−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノ−カルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、又は(het)アリールで場合により一置換されている)を示す。
【0046】
(e):より好ましくは、Rは、フッ素、塩素、C1−4−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、シアノ−C1−3−アルコキシ、C1−4−アルコキシカルボニル−C1−3−アルコキシ、ヒドロキシ−C1−3−アルキル、ヒドロキシ−C2−3−アルコキシ、C1−3−アルコキシ−C2−3−アルコキシ、フェニル、フェニルメチル(ここで、各フェニル基は、R10で場合により一置換されている)を示す。
【0047】
(e):更により好ましくは、Rは、フッ素、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、シアノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ヒドロキシ、C1−3−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシ−C1−3−アルキル、フェニル、フェニルメチル(ここで、各フェニル基は、R10で場合により一置換されている)を示す。
【0048】
(e):最も好ましくは、Rは、フッ素、メチル、シアノ、ヒドロキシ、メトキシ、アセチルアミノを示す。
【0049】
f)Y〜Y14(同一であるか又は異なっている)についての定義(f)(好ましさの順)昇順で、好ましくは(f)から、より好ましくは(f)を経て、最も好ましくは(f)まで:
【0050】
(f)好ましくは、Y〜Y14は、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1−6−アルキル、C1−4−アルキルオキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロ−メトキシ、トリフルオロメトキシ、C3−6−シクロアルキル、C3−6−シクロアルキルオキシ、C3−6−シクロアルキル−C1−3−アルキル、C3−6−シクロアルキル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール、(het)アリールオキシ、(het)アリール−C1−3−アルキル、
アミノ、C1−3−アルキルアミノ、(het)アリール−C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C3−6−シクロアルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルスルホニル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、
1−3−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリールカルボニルアミノ、(het)アリール−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、C1−4−アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、C1−4−アルキルアミノカルボニルアミノ、(het)アリール−アミノカルボニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニルアミノ、ピロリジン−1−イル−カルボニルアミノ、ピペリジン−1−イルカルボニルアミノ、モルホリン−4−イルカルボニルアミノ、ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、C1−3−アルキル−スルホニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、C1−3−アルキルアミノスルホニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノスルホニルアミノ、ピロリジン−1−イルスルホニルアミノ、ピペリジン−1−イルスルホニルアミノ、モルホリン−4−イルスルホニルアミノ、ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−スルホニルアミノ、(C1−3−アルキルオキシ−カルボニルアミノ)カルボニルアミノ、(het)アリールスルホニルアミノ、(het)アリール−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ、N−(アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−(C1−3−アルキル−アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−[ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル]−C1−3−アルキルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、
カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イル−カルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−カルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールアミノカルボニル、(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、
カルボキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキル、シアノ−C1−3−アルキル、アミノカルボニル−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキル、ピロリジン−1−イル−カルボニル−C1−3−アルキル、ピペリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキル、モルホリン−4−イル−カルボニル−C1−3−アルキル、ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−カルボニル−C1−3−アルキル、
カルボキシ−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、シアノ−C1−3−アルキルオキシ、アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピロリジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペリジン−1−イル−カルボニル−C1−3−アルキルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、
ヒドロキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ−C1−3−アルキル、アミノ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルアミノ−C1−3−アルキル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ−C1−3−アルキル、ピロリジン−1−イル−C1−3−アルキル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル−C1−3−アルキル、ピペリジン−1−イル−C1−3−アルキル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル−C1−3−アルキル、モルホリン−4−イル−C1−3−アルキル、3−オキソ−モルホリン−4−イル−C1−3−アルキル、ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキル、
1−3−アルキルカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、(het)アリールカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、
ヒドロキシ−C2−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルオキシ−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルスルファニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルスルフィニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルスルホニル−C1−3−アルキルオキシ、アミノ−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルアミノ−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ−C1−3−アルキルオキシ、ピロリジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、2−オキソ−ピロリジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、ピペリジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、2−オキソ−ピペリジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、モルホリン−4−イル−C1−3−アルキルオキシ、3−オキソ−モルホリン−4−イル−C1−3−アルキルオキシ、ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、2−オキソ−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、3−オキソ−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−C1−3−アルキルオキシ、
1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキルスルホニル、(het)アリールスルホニル
(ここで、上記飽和ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキル環は、互いに独立して、フッ素、C1−3−アルキル、C1−3−アルコキシ、C1−3−アルコキシ−C1−3−アルキル、又はヒドロキシより選択される1又は2個の基で場合により置換されており、そして
ここで、上記(het)アリールは、フェニル、ナフチル、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、又は
ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル(ここで、1又は2個のCHは、Nにより置き換えられている)、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル(ここで、1〜3個のCHは、それぞれ、Nにより置き換えられている)であり、そして
ここで、上記(het)アリール基は、同一でも異なっていてもよいR10より選択される1又は2個の置換基で場合により置換されている)を示し、ならびに/あるいは
2個の基Y(同じ炭素原子に結合している)、例えば、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y10、Y11/Y12、Y13/Y14は、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、カルボニル基又はC5−6−シクロアルキル基(1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして場合により部分不飽和であり、互いに独立してRより選択される置換基で場合により一、二又は三置換されている)を形成し、ならびに/あるいは
及びY、Y及びY、Y及びY、Y及びY、又はY及びY11の対のうちの1つは、組み合わされて、C2−3−アルキレン架橋(ここで、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして、場合により部分不飽和であり、場合により、互いに独立してRより選択される置換基で一、二、又は三置換されている)を形成し、ならびに/あるいは
残基Y、Y及びYは、結合して、C4−6−アルキレン架橋(ここで、1個のCH基は、場合により、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより、1個のCH基はNにより置き換えられており、そして、場合により、互いに独立してRより選択される置換基で一、二、又は三置換されている)を形成する。
【0051】
(f)より好ましくは、Y〜Y14は、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1−4−アルキル、C1−4−アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(het)アリール、(het)アリールオキシ、(het)アリール−C1−3−アルキル、
2−オキソ−ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキルスルホニル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、
1−3−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリールカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルホニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキル−カルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキル−スルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールスルホニルアミノ、
カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキル−アミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イル−カルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールアミノカルボニル、(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、
カルボキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキル、シアノ−C1−3−アルキル、アミノカルボニル−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキル、
カルボキシ−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、シアノ−C1−3−アルキルオキシ、アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルアミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル−C1−3−アルキルオキシ、
ヒドロキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ−C1−3−アルキル、アミノ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルアミノ−C1−3−アルキル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ−C1−3−アルキル、
1−3−アルキルカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、(het)アリールカルボニルアミノ−C1−3−アルキル、
ヒドロキシ−C2−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルオキシ−C1−3−アルキルオキシ、
1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキルスルホニル、(het)アリールスルホニル
(ここで、上記飽和ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキル環は、互いに独立して、フッ素、C1−3−アルキル、C1−3−アルコキシ、C1−3−アルコキシ−C1−3−アルキル、又はヒドロキシより選択される1又は2個の基で場合により置換されており、そして
ここで、上記(het)アリールは、フェニル、ナフチル、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、もしくはイソキノリニル、又はピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル(ここで、1又は2個のCHは、Nにより置き換えられている)、又はインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル(ここで、1〜3個のCHは、それぞれ、Nにより置き換えられている)であり、そして
ここで、上記(het)アリール基は、同一でも異なっていてもよい1又は2個のR10で場合により置換されている)を示し、ならびに/あるいは
2個の基Y(同じ炭素原子に結合している)、例えば、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y10、Y11/Y12、Y13/Y14は、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、カルボニル基又はC5−6−シクロアルキル基(ここで、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして互いに独立してRより選択される置換基で場合により一又は二置換されている)を形成し、ならびに/あるいは
及びY、Y及びY、Y及びY、Y及びY、又はY及びY11の対のうちの1つは、組み合わされて、C2−3−アルキレン架橋(ここで、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして互いに独立してRより選択される置換基で場合により一又は二置換されている)を形成し、ならびに/あるいは
残基Y、Y及びYは、結合して、C−アルキレン架橋(ここで、1個のCH基は、O又はNRにより場合により置き換えられており、そして互いに独立してRより選択される置換基で場合により一又は二置換されている)を形成する。
【0052】
(f)更により好ましくは、Y〜Y14は、互いに独立して、水素、フッ素、シアノ、C1−3−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシ−カルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ヒドロキシ−C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ−C2−3−アルキル、フェニル、フェノキシ(ここで、記載のフェニル基は、1個の置換基R10で場合により置換されている)を示し、ならびに/あるいは
2個の基Y(同じ炭素原子に結合している)、例えば、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y10、Y11/Y12、Y13/Y14は、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、カルボニル基を形成し、ならびに/あるいは
対Y及びYは、組み合わされて、C2−3−アルキレン架橋(ここで、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、NR、又はカルボニルにより場合により置き換えられており、そして互いに独立してRより選択される置換基で場合により一又は二置換されている)を形成するか、あるいは
残基Y、Y及びYは、結合して、C−アルキレン架橋(互いに独立してRより選択さる置換基で場合により一又は二置換されている)を形成する。
【0053】
(f)最も好ましくは、Y〜Y14は、互いに独立して、水素、メチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシプロパ−2−イル、ヒドロキシ、メトキシ、シアノ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニルを示し、ならびに/あるいは
対Y及びYは、組み合わされて、エチレン架橋を形成する。
【0054】
g)R10についての定義(g)(好ましさの順)昇順で、好ましくは(g)から、より好ましくは(g)を経て、最も好ましくは(g)まで:
【0055】
(g)好ましくは、R10は、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、C1−3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アミノスルホニル、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、フェニル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、又はトリフルオロメトキシを示す。
【0056】
(g)より好ましくは、R10は、フッ素、塩素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メトキシ、ジフルオロメトキシ、又はトリフルオロメトキシを示す。
【0057】
(g)最も好ましくは、R10は、フッ素、メトキシ、又はメチルを示す。
【0058】
各a、b、c、d、e、f、 gは、上述の対応する置換基についての特徴的な個々の実施態様を表す。上記定義がそのように与えられるとすると、用語(a)における各文字iについて個々の数字が与えられる場合、本発明の第一の態様の好ましい個々の実施態様は、この用語により完全に特徴付けられる。指数iは互いに独立して変化する。指数iの完全な並べ替えを含む括弧内の用語により記載された全ての個々の実施態様は、上記定義を参照すると、本発明に包含されるであろう。
【0059】
以下の表1は、例示的に、最初の行から最後の行までの昇順で好ましい順に、好ましいと考えられる本発明のそのような実施態様E−1からE−18を示す。このことは、表1の最後の列の記載により表される実施態様E−18がもっとも好ましい実施態様であることを意味する。
【0060】
【表1】


その互変異性体、立体異性体、混合物、及び塩を含む。
【0061】
本発明の別の好ましい実施態様は、式I.1:
【0062】
【化8】


[式中、エチレン架橋及び残基Rは、ピペリジン環の同じ面(シス→エンド化合物)上に位置し、そして基R、Y〜Y、V、W、及びXは、本明細書で前述及び後述のとおり定義される]、その互変異性体、立体異性体、混合物、及び塩により記述される。
【0063】
その骨格内にNを含有し、窒素に隣接する炭素原子がヒドロキシ基で置換されている場合のヘテロアリール及び(het)アリールの定義に関しては、そのとき互変異性体アミド部分構造が形成されてもよく、また本発明の一部である。互変異性体アミドが形成されてもよいヘテロアリール及び(het)アリール基のそのような部分構造の例は、以下の列挙中に示される:
【0064】
【化9】

【0065】
これらの互変異性体構造は、上述の意味のヘテロアリーロ又は(het)アリール基に環付加されてもよい。
【0066】
本発明の化合物を記述するために上記及び下記で使用される幾つかの用語は、これから更に厳密に定義される。
【0067】
本明細書で使用される用語「置換されている」は、指定された原子上の任意の1個以上の水素が、指示された基からの選択肢で置き換えられていること(ただし、指定された原子の通常の原子価を超えず、この置換によって安定な化合物が得られる)を意味する。
【0068】
本明細書で使用される用語「部分不飽和」とは、指定された基又は部分において、1、2個又はそれ以上の、好ましくは、1又は2個の二重結合が存在することを意味する。好ましくは、本明細書で使用されるように、用語「部分不飽和」は、完全不飽和基又は部分を包含しない。
【0069】
用語ハロゲンは、F、Cl、Br及びIからなる群より選択される原子を示す。
【0070】
用語C1−n−アルキル(ここで、nは、1〜18の値を有してもよい)は、1〜n個のC原子を有する飽和分岐鎖状又は非分岐鎖状炭化水素基を示す。そのような基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルなどが含まれる。
【0071】
用語C2−n−アルケニル(ここで、nは3〜6の値を有する)は、2〜n個のC原子及びC=C二重結合を有する分岐鎖状又は非分岐鎖状炭化水素基を示す。そのような基の例には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが含まれる。
【0072】
用語C2−n−アルキニル(ここで、nは3〜6の値を有する)は、2〜n個のC原子及びCoC三重結合を有する分岐鎖状又は非分岐鎖状炭化水素基を示す。そのような基の例には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルなどが含まれる。特記しない限り、アルキニル基は、1位のC原子を介して分子の残りの部分に結合している。したがって、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニルなどの用語は、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、1−ブチン−1−イルなどの用語と同等である。このことは、C2−n−アルケニル基にも同様に当てはまる。
【0073】
用語C1−n−アルコキシは、C1−n−アルキル−O基(ここで、C1−n−アルキルは、本明細書で前述のとおり定義される)を示す。そのような基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、neo−ペントキシ、tert−ペントキシ、n−ヘキソキシ、イソヘキソキシなどが含まれる。
【0074】
用語C1−n−アルキルカルボニルは、C1−n−アルキル−C(=O)基(ここで、C1−n−アルキルは、本明細書で前述のとおり定義される)を示す。そのような基の例には、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、neo−ペンチルカルボニル、tert−ペンチルカルボニル、n−ヘキシルカルボニル、イソヘキシルカルボニルなどが含まれる。
【0075】
用語C3−n−シクロアルキルは、3〜n個のC原子を有する飽和モノ−、ビ−、トリ−又はスピロ炭素環式基を示す。そのような基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、ビシクロ[3.2.1.]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチルなどが含まれる。好ましくは、用語C3−7−シクロアルキルは飽和単環式基を示す。
【0076】
用語C5−n−シクロアルケニルは、本明細書で前述のとおり定義され、更に少なくとも1個の不飽和C=C二重結合を有するC5−n−シクロアルキル基を示す。
【0077】
用語C3−n−シクロアルキルカルボニルは、C3−n−シクロアルキル−C(=O)基(ここで、C3−n−シクロアルキルは、本明細書で前述のとおり定義される)を示す。
【0078】
用語C3−n−ヘテロシクロアルキルは、3−m〜n−m個のC原子(ここで、m個の炭素原子は、N、O、及びSより独立して選択されるm個のヘテロ原子で置き換えられている)を有する飽和モノ−、ビ−、トリ−又はスピロ炭素環式基(本明細書で前述のとおり定義される)を示す。そのような基の例には、アジリジニル、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、チオモルホリニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタンなどが含まれる。好ましくは、用語ヘテロシクロアルキルは、1又は2個の炭素原子が、N及び/又はOで置き換えられている飽和単環式C5−6−シクロアルキル基を示す。
【0079】
用語トリ−(C1−4−アルキル)シリルは、同一のあるいは2又は3個の異なるアルキル基を有するシリル基を含む。
【0080】
用語ジ−(C1−3−アルキル)アミノは、同一の又は2個の異なるアルキル基を有するアミノ基を含む。
【0081】
基又は残基が場合により置換されているならば、これは、その基又は残基の任意の形態に当てはまる。例えば、アルキル基が、場合により、一又は多フッ素化されている場合、これは、より大きな基、例えば、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルコキシアルキルなどの一部であるアルキル残基も含むか、あるいは(het)アリール基が、一定の置換基又は一組の置換基で場合により一又は多置換されている場合、これは、より大きな基、例えば、(het)アリール−C1−n−アルキル、(het)アリールオキシ、(het)アリールオキシ−C1−n−アルキル、(het)アリール−C1−n−アルキルオキシなどの一部である(het)アリール基も含む。したがって、Y〜Y14、R、R、又はRが、例えば、(het)アリールオキシの意味を有し、一方(het)アリール残基が、場合により、一又は多フッ素化されており、そして(het)アリールが、とりわけフェニルを示す場合、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、及びペンタフルオロ−フェノキシという意味も含まれる。同じことは、例えば、CH基が、O、S、NR、CO、又はSOで場合により置き換えられているように、基又は残基の一部が置き換えられている基又は残基に当てはまる。例えば、とりわけ、CH基がCOにより場合により置き換えられているヒドロキシ−C1−3−アルキルの意味を有する残基、これは、カルボキシ、カルボキシメチル、ヒドロキシメチルカルボニル、カルボキシエチル、ヒドロキシメチルカルボニルメチル、及びヒドロキシエチルカルボニルも含む。
【0082】
本明細書に記載される基の一部分である原子を含む全ての原子/元素は、各元素の全ての安定的な同位体形態を含む。例えば、明確に又はメチルなどの基の一部として、水素が言及されるときはいつでも、これは水素という元素の安定した同位体形態として水素及び重水素を含む。
【0083】
本発明の化合物は、原則として既知の合成方法を用いて得ることができる。好ましくは、本化合物は、本明細書においてより詳細に後述する以下の本発明の方法により得られる。
【0084】
スキーム1は、ブタン−1,4−ジオン又はその環誘導体及び1,3−アセトンジカルボン酸、アセト酢酸エステル、又はその誘導体からノルトロパン骨格を調製するための異なる方法を要約する。反応1.)及び3.)は、スクシンアルデヒド、1,3−アセトンジカルボン酸ジエステル又はアセト酢酸エステルとアミン、例えば、ベンジルアミン又はメチルアミンなどの保護されているアンモニア等価体と組み合わせて、3−オキソ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジカルボン酸ジエステルを中間体として得る例を表す。反応1.)は、好ましくは、メタノール、エタノール又はベンジルアルコールなどのアルコール、あるいは水性溶媒中で実施する。好ましい共溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、又は1,2−ジメトキシエタンである(例えば、J. Chem. Soc. 1917, 111, 766; Tetrahedron Asymmetry 2002, 21, 2351-2358; US 2845427 (1955)及びUS 2836598 (1954); DE 352981及びDE 354950;ならびにそこで引用された参考文献を参照)。反応はまた、更なる溶媒を用いずに、あるいは記載の共溶媒の1種中で実施してもよい。変換は、添加剤を用いないで行ってもよいが、しばしば、水酸化ナトリウム、メトキシド、又はtert−ブトキシドなどの塩基、あるいは塩酸などの酸の存在が、有利あるいは必須である場合もある。添加剤として塩基又は酸を使用することにより、使用するアルキルエステルに応じて、N−置換されているノルトロパノンを直接形成することができる。反応は、−30〜160℃、好ましくは−10〜120℃で実施する。カルボキシ基は、10〜140℃の温度で、エステル基の塩基性又は酸性加水分解の後、除去してもよい。前工程と同じ溶媒を適用できるので、反応は同じ反応容器中で実施しうる。反応3.)は、水溶液又はアルコール溶液中で、好ましくはアルカリ金属水酸化物の存在下で、1.)について記載したように行いうる(例えば、DE 345759を参照)。式2.)は、ジアルコキシテトラヒドロフランを、スクシンアルデヒドの代用物として用いて、ノルトロパノン骨格を調製する例を示している(例えば、J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 3825-3828; Helv. Chim. Acta 1986, 69, 887-897; J. Heterocycl. Chem. 1992, 29, 1541-1544; Helv. Chim. Acta 2003, 86, 812-826;及びそこで引用された引用例を参照)。これらの反応は、好ましくは、1,3−アセトンジカルボン酸と例えば、ベンジルアミン、メチルアミン、又は4−メトキシアニリンなどのアミンを用い、アルコール、例えば、メタノール又はエタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、あるいは1,2−ジメトキシエタンと組み合わせうる水中で実施する。全ての変換は、3つの反応工程:前駆体からのスクシンアルデヒドの遊離、スクシンアルデヒドとアミン、続いて1,3−アセトンジカルボン酸との反応(マンニッヒ反応)及び最終的なカルボキシル基の脱カルボキシル化からなる。したがって、反応条件、主に溶液のpH値は、一連の工程を通して調整されなければならない。前駆体からのスクシンアルデヒドの遊離は、好ましくは、−10〜60℃の温度で、酸、例えば、塩酸、硫酸、又はリン酸での処理により達成する。次に、アミン及び1,3−アセトンジカルボン酸を加え、溶液のpH値を、添加剤、例えば、アルカリ金属酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、又は水素リン酸塩を加えて上昇させる;この工程は、好ましくは、−10〜60℃で行われる。最終的な脱カルボキシル化は、温度を、好ましくは、30〜140℃に上げることにより達成する;例えば、塩酸を用いてpH値を下げることで有利であろう。ノルトロパノンはまた、式4.)及び5.)に例示されたN−保護されている2,5−ジアルコキシピロリジン及びジエン又はシリルエノールエーテルから調製してもよい(例えば、Chem. Commun. 2002, 2626-2627; Synlett 2004, 143-145;及びそこで引用された参考文献を参照)。これらの反応は、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、フッ素化炭化水素、エーテル、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエン、又はヘキサンなどの不活性溶媒中、無水条件下で実施する。例えば、トリメチルシリルトリフラート、三フッ化ホウ素エーテラート、又はランタニドトリフラートなどのルイス酸の存在が、反応を促進するために必須である。好ましくは、反応は、−78〜100℃の温度で行う。
【0085】
スキーム1.ノルトロパノンへの合成経路
【0086】
【化10】

【0087】
ノルトロパノン骨格への別の実行可能な合成経路をスキーム2に概説する。鍵反応は、アミン、例えば、ベンジルアミン、メチルアミン、4−メトキシアニリン、又はヒドロキシルアミンの、シクロヘプタジエノンへの添加である(例えば、J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 4433-4440; J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 2245-2258;及びそこで引用された参考文献を参照)。この反応は、好ましくは、水、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エーテル、又は1,2−ジメトキシエタンなどの溶媒と組み合わせうるアルコール、例えば、メタノール又はエタノール中、0〜120℃の範囲の温度で実施する。有益な添加剤は、例えば、炭酸カリウム、酸化カルシウム、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、又はアルカリ金属アルコキシドなどの塩基であってよい。シクロヘプタ−2,6−ジエノンは、シクロヘプタノンから、記載のとおり得てもよい(例えば、J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 2245-2258及びそこで引用された参考文献を参照)。
【0088】
スキーム2.ノルトロパノンのシクロヘプタジエノンからの合成
【0089】
【化11】

【0090】
残基R又はその前駆体は、スキーム3に記載のとおり導入してもよい。Rのハロゲン化マグネシウム又はリチウム誘導体を、場合によりN−保護されたノルトロパノンへ加えることにより、対応するノルトロパノールを得る。この変換は、好ましくは、エーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、N−メチルピロリジノン、又はその混合物中、−80〜60℃、好ましくは−50〜40℃の温度で行う。ノルトロペン誘導体を得るためのその後の脱水反応は、酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、又はリン酸、バージェス試薬又はマーチンスルフランなどの脱水試薬、あるいはメチルスルホニルクロリド及びトリエチルアミン、チオニルクロリド及びピリジン、又はトリフルオロメタンスルホン酸無水物及びピリジンなどの塩基と組み合わせたスルホニルクロリド又は無水物を使用して行いうる。酸を用いる反応は、好ましくは、共溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、又はN−メチルピロリジノンを含有しうる水溶液又はアルコール性溶液中、10〜140℃の温度で行う。脱水試薬を用いる変換は、好ましくは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、又は1,2−ジメトキシエタンなどの不活性溶媒中、−30〜140℃、好ましくは−10〜120℃で行う。その後、C=C二重結合を水素化して、誘導体化されたノルトロパンを得る。水素を用いる水素化に適格な触媒は、例えば、酸化白金、パラジウム担持炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル、ロジウム、ルテニウム、及びClRh(PPhであってよい。水素化は、0〜180℃、好ましくは10〜120℃の温度で、かつ1〜10bar、好ましくは1〜6barの水素圧で実施する。適合する溶媒は、水、アルコール、例えばメタノール又はエタノール、酢酸、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ヘキサン、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、又はその混合物であってよい。有益な添加剤は、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、又は酢酸などの酸であってよい。ノルトロパノール誘導体のノルトロパンへの1工程の変換も実行可能であろう。この変換は、水素を用い、上述の遷移金属の存在下、好ましくは酸の存在下で実施しうる。代替的には、還元は、シラン、例えば、トリエチルシラン、ホウ化水素、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、又はシアノ水素化ホウ素ナトリウム、あるいは水素化アルミニウム、例えば、水素化アルミニウムリチウムなどの水素化源を用い、三フッ化ホウ素、トリメチルシリルトリフラート、塩化アルミニウム、アルキルアルミニウムジクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、ランタニドトリフラート、スカンジウムトリフラート、トリフルオロ酢酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸などのルイス酸の存在下で行いうる。後者のプロセスに好ましい溶媒は、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、及びアセトニトリルであり、これらは、好ましくは、−30〜180℃、より好ましくは0〜140℃の温度で使用する。後者の条件は、電子の豊富な芳香族残基Rに適合する。
【0091】
ノルトロパノール又はノルトロペンからノルトロパンへの還元により、窒素に対して使用される保護基及び反応条件に応じて、異性体(endo及びエキソ)の混合物を得てもよい。異性体の混合物は、上述のクロマトグラフィー、蒸留、又は結晶化により、純粋な異性体に分離することができる。スキーム3に概要を述べる全工程は、本明細書で前述したとおり達成しうる保護基の除去により終了する。
【0092】
スキーム3.ノルトロパノンIの詳述
【0093】
【化12】

【0094】
スキーム4はそれぞれ誘導体化されたノルトロパンへの別の合成経路を表している。N−保護されたノルトロパノンから出発し、対応するエノールトリフラートを、ケトンを、例えば、アルカリ金属ヘキサメチルジシリルアミド、アルカリ金属ジイソプロピルアミド、リチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジド、エチルジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、tert−ブチルリチウム、又はトリチルリチウムなどの塩基で処理し、エノラートを、FCSOOSOCF、FCSOCl、又はArN(SOCF(Ar=例えば、フェニル、ピリジル、又はクロロピリジル)などのトリフルオロメチルスルホニル求電子試薬でトラップすることにより入手しうる。反応は、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、エーテル、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン又はその混合物などの溶媒中、−80〜80℃、好ましくは−70〜40℃の温度で行いうる。4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、塩化リチウム、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、又はヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)などの添加剤が有益であろう。残基Rの結合は、エノールトリフラートを、遷移金属触媒の存在下、適切なR誘導体で処理することにより達成しうる。適切なR誘導体は、例えば、リチウム(RLi)、マグネシウム、例えば、RMgCl/Br、亜鉛、例えば、RZnCl/Br/I、ボロン酸[RB(OH)]、ボロン酸エステル、例えば、RB(OMe)又はRB(OCMeCMeO)、トリフルオロホウ酸塩、例えば、RBFK、シラン、例えば、RSiF、あるいはスタンナン、例えば、RSnBu又はRSnMeから誘導する。適合する遷移金属触媒は、例えば、塩、錯体として、又は元素修飾のために使用しうるパラジウム、銅、鉄、及びニッケルから誘導化しうる。錯体は、インサイチュで、あるいは遷移金属の反応混合物への添加前に形成することができる。遷移金属の錯体中のリガンドは、例えば、ホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリフリルホスフィン、置換(2−フェニル−フェニル)−ジシクロアルキル−ホスフィン、置換(2−フェニル−フェニル)−ジ−tert−ブチル−ホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、ホスファイト、1,3−ジ置換ジヒドロイミダゾリウムカルベン、1,3−ジ置換イミダゾリウムカルベン、ニトリル、例えば、アセトニトリル又はベンゾニトリル、及びアルケン、例えば、ベンジリデンアセトン又はアリルであってよい。遷移金属の元素形態は、例えば、金属担持炭又は遷移金属のナノ粒子であってよい。好適な塩は、例えば、ハロゲン化物、トリフラート、酢酸塩又はトリフルオロ酢酸塩を含んでよい。使用するR前駆体種に応じて、好適な溶媒は変化する。好適な溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、及びポリエチレングリコールであってよいが、それらのうちの全てが、上述のR前駆体と共に用いることができるわけではない。カップリング反応は、好ましくは、−80〜180℃、より好ましくは−20〜120℃で実施する。有益な添加剤はアルカリ金属塩、例えば、塩化リチウム、テトラアルキルアンモニウム塩、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド又はヒドロキシド、銀塩、例えば、銀トリフラート、銅塩、例えば、ヨウ化銅又はチオフェン−2−カルボン酸銅、あるいは塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、アルカリ金属アルコキシド、又はアルカリ金属フッ化物であってよい。Rを導入するための示したカップリング法は、ノルトロパノンから誘導されるエノールトリフラートに限定されず、対応するアルケニルメシラート、トシラート、塩化物、臭化物、又はヨウ化物を用いて行ってもよい。スキーム4における最終工程は上述されている。
【0095】
スキーム4.ノルトロパノンIIの詳述
【0096】
【化13】

【0097】
示された合成経路は保護基の使用に依存しうる。各官能基及びそれらの除去に好適な保護基は本明細書で前述されており、同様に用いうる(更に、Protecting Groups, Philip J. Kocienski, 3rd edition, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 2004及びそこで引用された参考文献も参照)。
【0098】
以下では、上述のように得られ、一般式Iの他の化合物又はその前駆体を作るための一定の官能基を有する一般式Iのノルトロパン又はその前駆体の幾つかの実行可能な誘導体化を代わりに要約する。この列挙は、決して完全であることを意味するものではなく、例として、ただ幾つかの可能性を示すのみである。
【0099】
本発明の製造方法において、アミノ、アルキルアミノ、又はイミノ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、アシル化又はスルホニル化により、一般式Iの対応するアシル又はスルホニル化合物に変換してもよい。
【0100】
ヒドロキシ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、アシル化又はスルホニル化により、一般式Iの対応するアシル又はスルホニル化合物に変換してもよい。
【0101】
ヒドロキシ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、アルキル化により、一般式Iの対応するエーテルに変換してもよい。
【0102】
アミノ、アルキルアミノ、又はイミノ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、アルキル化又は還元的アルキル化により、一般式Iの対応するアルキル化合物に変換してもよい。
【0103】
ニトロ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、還元により、対応するアミノ化合物に変換してもよい。
【0104】
イミノ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、ニトロソ化及びその後の還元により、対応するN−アミノ−イミノ化合物に変換してもよい。
【0105】
1−4−アルキルオキシカルボニル基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、エステルの開裂により、対応するカルボキシ化合物に変換してもよい。
【0106】
カルボキシ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、エステル化により、一般式Iの対応するエステルに変換してもよい。
【0107】
カルボキシ又はエステル基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、アミンとの反応により、一般式Iの対応するアミドに変換してもよい。
【0108】
芳香族部分構造を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、求電子置換反応により、塩素、臭素、又はヨウ素原子あるいはニトロ、スルホン酸、クロロスルホニル、又はアシル基を有する、一般式Iの対応する化合物に誘導体化してもよい。
【0109】
芳香族アミノ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、ジアゾ化、及びその後、ジアゾ基を、シアン化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヒドロキシド、硫化アルキルもしくは硫化水素、又はアジ化物とそれぞれ置き換えることにより、これを、一般式Iの対応するシアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、ヒドロキシ、メルカプト、又はアジド化合物に変換してもよい。
【0110】
芳香族アミノ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、アミノ基のジアゾ化、及びその後、得られたジアゾ基を、適合する遷移金属種により介在される適切なアリール求核試薬で置き換えることにより、これを、一般式Iの対応するアリール誘導体化芳香族化合物に変換してもよい。
【0111】
芳香族クロロ、ブロモ、又はヨード原子、あるいはトリフルオロメチルスルホニルオキシ、メシルオキシ、又はトシルオキシ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、各基を、遷移金属種介在プロセスを用い、アリール、アルケニル、アルキニル、又はアルキルで置き換えることにより、これを、一般式Iの対応するアリール、アルケニル、アルキニル、又はアルキル誘導体化化合物に変換してもよい。
【0112】
芳香族クロロ、ブロモ、又はヨード原子、あるいはトリフルオロメチルスルホニルオキシ、メシルオキシ、又はトシルオキシ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、水素で置き換えて、一般式Iの対応する芳香族化合物を得てもよい。
【0113】
アミノ及びヒドロキシ、アミノ、又はメルカプトである隣接する炭素原子において2個のヘテロ原子を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これらのヘテロ原子は、カルボキシ炭素原子を介して結合し、芳香族環の一部であってよい環状アミジン、イミノエステル、又はイミノチオエステル部分構造を形成してもよい。
【0114】
シアノ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、還元により、これを、一般式Iのアミノアルキル誘導体化化合物に変換してもよい。
【0115】
シアノ基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、ヒドロキシルアミンを用いた処理により、これを、N−ヒドロキシカルバムイミドイル基に変換してもよい。
【0116】
N−ヒドロキシカルバムイミドイル基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、カルボン酸又は関連の基を用いた処理により、これを一般式Iのオキサジアゾール誘導体化化合物に変換してもよい。
【0117】
アミノカルボニル基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、脱水により、一般式Iの対応するシアノ化合物に変換してもよい。
【0118】
ケト又はアルデヒド基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、還元により、一般式Iの対応するヒドロキシ化合物に変換してもよい。
【0119】
カルボン酸又はアミノカルボニル基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、転位反応により、一般式Iの対応するアミノ誘導体化化合物に変換してもよい。
【0120】
ケト又はアルデヒド基を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを、一般式Iのアルケニル誘導体化化合物に変換してもよい。
【0121】
オレフィンC=C二重結合又はC≡C三重結合を含有する一般式Iの化合物を得る場合、これを還元して、一般式Iの対応する飽和化合物を得てもよい。
【0122】
続くエステル化は、場合により、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン/テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどの溶媒又は溶媒混合物中、あるいは特に、有利には、対応するアルコール中、場合により、酸、例えば塩酸の存在下、あるいは脱水剤の存在下で実施する。クロロギ酸イソブチル、塩化チオニル、トリメチルクロロシラン、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、三塩化リン、五酸化リン、N,N’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、四塩化炭素と合わせたトリフェニルホスフィン、又はその組み合わせ(場合により、4−ジメチルアミノピリジン及び/又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下)は、この変換を達成するために通常用いる試薬の一つである。反応は、0〜150℃の温度で、好ましくは0〜80℃の温度で行う。
【0123】
続くエステル形成はまた、カルボキシ基を含有する化合物を、塩基の存在下で、対応するハロゲン化アルキルと反応させることにより実施してもよい。
【0124】
続くアシル化又はスルホニル化は、場合により、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン/テトラヒドロフラン、又は1,4−ジオキサンなどの溶媒又は溶媒混合物中、対応するアシル又はスルホニル誘導体を用い、場合により、第三級有機塩基、無機塩基、又は脱水剤の存在下で実施する。通常用いる試薬は、例えば、クロロギ酸イソブチル、塩化チオニル、トリメチルクロロシラン、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、三塩化リン、五酸化リン、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、四塩化炭素と合わせたトリフェニルホスフィン、又はその組み合わせ(これらは、4−ジメチルアミノピリジン及び/又は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下、0〜150℃、好ましくは0〜80℃の温度で用いてもよい)である。
【0125】
続くアルキル化は、場合により、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン/テトラヒドロフラン、又は1,4−ジオキサンなどの溶媒又は溶媒混合物中、対応するハロゲン化物又はスルホン酸エステルなどのアルキル化剤、例えば、ヨウ化メチル、臭化エチル、硫酸ジメチル、又は塩化ベンジルを用い、場合により第三級有機塩基又は無機塩基の存在下、0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度で実施する。
【0126】
続く還元的アルキル化は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトン、又はブチルアルデヒドなどの対応するカルボニル化合物を用い、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの錯体金属水素化物の存在下、好都合には、pH6〜7かつ周囲温度で、あるいは遷移金属触媒、例えば、パラジウム/炭の存在下で水素を用い、水素圧1〜5barで実施する。メチル化はまた、還元剤としてのギ酸の存在下、高温、例えば、60〜120℃で実施してもよい。
【0127】
続くニトロ基の還元は、例えば、水素及びパラジウム担持炭素、二酸化白金、又はラネーニッケルなどの触媒を用い、あるいは鉄又は亜鉛などの他の還元剤を使用し、酢酸などの酸の存在下で実施する。
【0128】
続いてN−アミノ−イミノ化合物を得るためのイミノ基のニトロ化、その後の還元は、例えば、亜硝酸イソアミルなどの亜硝酸アルキルを用いて実施して、N−ニトロソ−イミノ化合物を生成し、次に、それを、酢酸などの酸の存在下、例えば、亜鉛を使用して、N−アミノ−イミノ化合物に還元する。
【0129】
続いてカルボキシ基を得るためのC1−4−アルキルオキシカルボニル基の開裂は、例えば、塩酸又は硫酸などの酸、あるいは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いて、加水分解により実施する。
【0130】
続くアミド形成は、対応する反応性カルボン酸誘導体を、場合により、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゼン/テトラヒドロフラン、又は1,4−ジオキサンなどの溶媒又は溶媒混合物中で(一方、使用するアミンは、場合により、第三級有機塩基、無機塩基、4−ジメチルアミノピリジン及び/又は1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールの存在下、0〜150℃、好ましくは0〜80℃の温度で、溶媒として働きうる)、対応するアミンと反応させることにより実施する。カルボン酸を使用し、カルボキシ官能基を、インサイチュで、例えば、クロロギ酸イソブチル、塩化チオニル、塩化オキサリル、トリメチルクロロシラン、三塩化リン、五酸化リン、N,N’−カルボニルジイミダゾール、トリフェニルホスフィン/四塩化炭素、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、又はその組み合わせで活性化させることにより、所望のアミドを得てもよい。
【0131】
続く塩素、臭素、又はヨウ素原子の芳香族部分構造への導入は、芳香族化合物を、各ハロゲン原子の適切な求電子試薬と反応させることにより実施しうる。適合する塩素及び臭素求電子試薬は、例えば、N−ハロスクシンイミド、HOCl、HOBr、tert−BuOCl、tert−BuOBr、塩素、臭素、ジブロモイソシアヌル酸、ピリジニウムジクロロブロマート、三臭化ピリジニウム、又は塩化スルフリル(これらは、単独で、あるいは酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、もしくは酢酸、又はルイス酸、例えば、ハロゲン化鉄(III)、三フッ化ホウ素水和物、三フッ化ホウ素エーテラート、もしくはハロゲン化アルミニウムと組み合わせて使用しうる)であってよい。更に有用な組み合わせは、LiBr及び硝酸セリウムアンモニウム、KClもしくはKBrとオキソン(登録商標)、又はKBr及び過ホウ酸ナトリウムであってよい。適合するヨウ素求電子試薬は、ヨウ素と、硝酸、三酸化硫黄、二酸化マンガン、HIO、過酸化水素、過ヨウ素酸ナトリウム、ペルオキシ二硫酸塩、及びオキソン(登録商標)などの酸化剤より生成しうる。更に適合するヨウ素求電子試薬は、例えば、塩化ヨウ素、ジクロロヨウ素酸塩、及びN−ヨードスクシンイミドであってよい。これらのヨウ素求電子試薬は、添加剤なしで、あるいは、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、もしくは硫酸などの酸、又は三フッ化ホウ素水和物、もしくは銅塩などのルイス酸の存在下で使用しうる。ニトロ基が導入される場合、適切なニトロ求電子試薬は、例えば、硝酸、硝酸アセチル、硝酸セリウムアンモニウム、硝酸ナトリウム、N、硝酸アルキル、及びテトラフルオロホウ酸ニトロニウムより生成しうる。これらの試薬のうちの数種は添加剤なしで使用しうるが、それらのうちの幾つかは、より良くは、酸、例えば、硫酸又はトリフルオロメタンスルホン酸、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、ルイス酸、例えば、イッテルビウムトリフラート又は酢酸鉄、P、あるいは塩基と組み合わせて使用する。SOH基は、芳香族化合物を、例えば、濃硫酸、SO、ClSOH、又はインジウムトリフラートと組み合わせたClSONMeと反応させることにより導入しうる。芳香族化合物を、ClSOHと反応させて、対応するクロロスルホニル化誘導体を得て、それを、スルホン酸に加水分解してもよい。芳香族部分のアシル化は、アシル求電子試薬を使用して行うが、それは、各ハロゲン化アシル、例えば、塩化物、又はアシル無水物、及び、例えば、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ジエチルアルミニウム、ハロゲン化インジウム、ハロゲン化鉄(III)、ハロゲン化スズ(IV)、三フッ化ホウ素、ハロゲン化チタン(IV)などのルイス酸、又はブレンステッド酸、例えば、硫酸又はトリフルオロメタンスルホン酸より生成しうる。ホルミル基は、最良には、いわゆるヴィルスマイヤー又はヴィルスマイヤー・ハック条件:ホスゲン、塩化チオニル、POCl、又は塩化オキサリルと組み合わせたジアルキルホルムアミドを使用して導入する。記載する求電子置換のための好ましい溶媒は、用いる求電子試薬に応じて異なってもよい;以下では、幾つかのより一般的に適用しうるものが記載される:塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、エーテル、フッ素化炭化水素、ヘキサン、キノリン、及びアセトニトリル。好ましく適用される温度は、0〜180℃の範囲である。
【0132】
続く芳香族アミノ基の置換は、亜硝酸もしくはニトロソニウム源又は等価体、例としては、酸と組み合わせた亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウムと塩酸、テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム、又はアルキル亜硝酸塩、例えば亜硝酸tert−ブチル又は亜硝酸イソアミルを用いるアミノ基のジアゾ化により開始する。ジアゾ化は、場合により、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、水、酢酸エチル、アルコール、エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、又はその混合物中、−10℃〜100℃の温度で実施する(アミノ基のジアゾ化は、例えば、Angew. Chem. Int. Ed. 1976, 15, 251に詳しく述べられている)。続いて、それぞれ、シアン化−、塩化−、又は臭化銅を使用するシアノ基、塩素、又は臭素原子でのジアゾ基の置換は、ザントマイヤー反応として知られており(例えば、March's Advanced Organic Chemistry, Michael B. Smith及びJerry March, John Wiley & Sons Inc., 6. Ed., New Jersey, 2007ならびにそこで引用される参考文献を参照);この反応は、場合により、上述の溶媒の1種又は混合物中、−10〜120℃で行う。ジアゾ基のフッ素原子での置換は、テトラフルオロホウ酸塩又はテトラフルオロホウ酸を用い、20〜160℃に加熱して達成してもよく、この反応はシーマン反応と呼ばれる。ヨウ素は、ジアゾ化合物を、ヨウ化物塩、例えば、ヨウ化ナトリウムを用い、好ましくは、水又は水性溶媒混合物を使用し、0〜120℃の温度で処理することにより導入してもよい。ジアゾ基を、水又は水性溶媒混合物を用い、0〜180℃の温度で、ヒドロキシと置き換える。反応は通常更なる添加剤なしで進行するが、酸化銅又は強酸の添加が好都合であろう。メルカプト又はアルキルメルカプトを、それらの対応するジスルフィド塩又はジアルキルジスルフィドを介して、0〜120℃の温度で導入してもよく、使用する硫黄種に応じて、不活性溶媒又は水性溶媒系が好ましい(例えば、Synth. Commun. 2001, 31, 1857及びそこで引用される参考文献を参照)。
【0133】
続くアリール基による芳香族アミノ基の置換は、上述のとおり得られる対応するジアゾ化合物を介して実施してもよい。アリール求核試薬、好ましくはアリールボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロホウ酸塩、ハロゲン化亜鉛、又はスタンナンとの反応は、パラジウム、ニッケル、ロジウム、銅、又は鉄、好ましくはパラジウム由来の遷移金属種の存在下で行う。活性触媒は、例えば、ホスフィン、ホスファイト、イミダゾールカルベン、イミダゾリジンカルベン、ジベンジリデンアセトン、アリル、又はニトリルなどのリガンドを有する遷移金属錯体、パラジウム担持炭素又はナノ粒子などの遷移金属の元素形態、あるいは塩化物、臭化物、酢酸塩、又はトリフルオロ酢酸塩などの塩であってよい。これらの反応において、ジアゾ化合物は、好ましくは、場合により、水、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アルコール、エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、又はその混合物中、10〜180℃、好ましくは20〜140℃の温度で、そのテトラフルオロホウ酸塩として用いる。
【0134】
続くアリール、アルケニル、アルキニル、又はアルキル残基での芳香族クロロ、ブロモ、又はヨード原子あるいは芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ、メシルオキシ、又はトシルオキシ基の置換は、好ましくは、パラジウム、ニッケル、ロジウム、銅、又は鉄由来の遷移金属種により媒介される。活性触媒は、例えば、ホスフィン[例えば、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、置換(2−フェニル−フェニル)−ジシクロヘキシル−ホスフィン、置換(2−フェニル−フェニル)−ジ−tert−ブチル−ホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリフリルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリフェニルホスフィン]、ホスファイト、1,3−二置換イミダゾールカルベン、1,3−二置換イミダゾリジンカルベン、ジベンジリデンアセトン、アリル、又はニトリルなどのリガンドを有する遷移金属錯体、パラジウム担持炭素又は鉄もしくはパラジウムのナノ粒子などの遷移金属の元素形態、あるいは、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、酢酸塩、トリフラート、又はトリフルオロ酢酸塩などの塩であってよい。置換反応は、好ましくは、導入すべきアリール、アルケニル、又はアルキル残基のトリフルオロホウ酸塩、ボロン酸、又はボロン酸エステル(鈴木又は鈴木型反応)、ハロゲン化亜鉛(根岸又は根岸型反応)、スタンナン(スティル又はスティル型反応)、シラン(檜山又は檜山型反応)、又はハロゲン化マグネシウム(熊田又は熊田型反応)を用いて実施する。末端アルキンを、好ましくは、そのまま又はその亜鉛アセチリド誘導体として使用する。求電子及び求核反応パートナーの特性に応じて、ハロゲン化物塩、例えば、塩化リチウム、フッ化カリウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、水酸化カリウム又は炭酸カリウムなどの水酸化物源、酸化銀又は銀トリフラートなどの銀塩、塩化銅又はチオフェン−2−カルボン酸銅などの銅塩などの添加剤が有利であるか、又は必須である可能性がある。ヨウ化銅は、末端アルキンとのカップリングにおいて好ましい添加剤である(薗頭反応)。カップリング反応は、場合により、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、エーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、アルコール、水、又はその混合物中で行われるが、求核試薬によっては、それらのうちの幾つかは、それほど、あるいは全く適合しない。好ましい温度は、−10〜180℃の範囲である。
【0135】
続く水素原子での芳香族塩素、臭素、又はヨウ素原子、あるいは芳香族トリフルオロメチルスルホニルオキシ、メシルオキシ、又はトシルオキシ基の置換は、好ましくは、パラジウム、ニッケル、白金、又はロジウム由来の遷移金属種により媒介される。活性触媒は、リガンドを有する遷移金属錯体、上記遷移金属の元素形態、又は塩であってよい。ラネーニッケル又はパラジウム担持炭素は、好ましい触媒種の一つである。適合する水素源は、水素(好ましくは、1〜5barの圧力の)、シラン、例えば、トリアルコキシシラン又はポリメチルヒドロシロキサン、ボラン、水素化物、例えば、水素化ホウ素アルカリ金属、ギ酸、もしくはギ酸塩、例えば、ギ酸アンモニウムであってよい。反応は、好ましくは、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、水、酢酸エチル、アルコール、エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、又はその混合物中、−10〜180℃、より好ましくは20〜140℃で実施する。
【0136】
続く隣接する炭素原子に2個のヘテロ原子を有する化合物から出発する環化は、場合により、ニトリル、カルボン酸塩化物もしくはフッ化物、カルボン酸、ケトン、カルボン酸エステル、又はカルボン酸チオエステルなどのカルボキシ等価体を用いて行う。全変換は、2つの反応工程:カルボキシ等価体の2個のヘテロ原子のうちの1つへの結合と、それに続く他のヘテロ原子との環化とからなる。第一の工程は、本明細書において前述のとおり実施しうるアミノ官能基とのアミド形成である。その後の反応工程(第2のヘテロ原子との環化)は、酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、又は塩酸、あるいは塩基、例えば、水酸化ナトリウム、ナトリウムエトキシド、又はナトリウムtert−ブトキシドの存在下での加熱により達成しうる。無水物、例えば、無水酢酸、オルトエステル、例えば、オルトギ酸トリメチル、塩化チオニル、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、オキシ塩化リン、五塩化リン、ジアルキルカルボジイミド、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン又はトリアルキルホスフィンのアゾジカルボン酸ジアルキルとの組み合わせ、臭素、ヨウ素、又は1,2−ジハロエタン、例えば1,2−ジブロモテトラフルオロエタンなどの脱水試薬の使用は有利であろう。反応は、好ましくは、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、エーテルなどの不活性溶媒、又は混合物中で実施するが、酸又は塩基の存在下での環化は、水、又はアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはtert−ブタノール、あるいはこれらの溶媒との組み合わせ中でも行いうる。反応は、0〜200℃、好ましくは20〜140℃の温度で実施する。
【0137】
続くアミノメチル基を得るためのシアノ基の還元は、場合により、水素を用い、遷移金属種の存在下で、あるいは水素化物を用いて行う。適合する遷移金属は、例えば、パラジウム担持炭、水酸化パラジウム、酸化白金、又はラネーニッケルなどのパラジウム、ニッケル、白金、ロジウム、又はルテニウムから誘導してもよく、これらは、酢酸エチル、アルコール、例えばメタノールもしくはエタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、エーテル、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、又はN−メチルピロリジノンなどの溶媒中、水素圧1〜10bar、好ましくは1〜5bar、そして0〜180℃、好ましくは20〜120℃の温度で使用しうる。酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、又は酢酸などの添加剤が、水素化のために有益であろう。適切な水素化物源は、例えば、水素化ホウ素類、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリ−sec−ブチルホウ素カリウム、ボラン、もしくは水素化トリエチルホウ素リチウム、又は水素化アルミニウム類、例えば、水素化アルミニウムリチウムもしくは水素化ジイソブチルアルミニウムより選択しうる。これらの試薬の幾つかは、水素化ホウ素ナトリウムのように、塩化ニッケル又は塩化コバルトと組み合わせて使用するのが最も良い。これらの試薬は、例えば、テトラヒドロフラン、エーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、又はトルエン中で使用してもよく、幾つかはまた、アルコール性溶液と相溶性である。好ましい反応温度は、−80〜160℃、より好ましくは−40〜80℃の範囲である。
【0138】
続くシアノ基からのN−ヒドロキシカルバムイミドイル基の形成は、シアノ化合物をヒドロキシルアミンで処理することにより実施してもよい。反応は、好ましくは、水性又はアルコール性溶媒中、0〜140℃の温度で行う。
【0139】
続くN−ヒドロキシカルバムイミドイルからのオキサジアゾールの形成は、場合により、ニトリル、カルボン酸塩化物もしくはフッ化物、カルボン酸、ケトン、カルボン酸エステル、又はカルボン酸チオエステルなどのカルボキシ等価体を用いて行う。変換は、上述の2個の隣接するヘテロ原子から出発する環の形成に関連し、同様に実施してもよい。
【0140】
続くアミノカルボニル基からのシアノ基の形成は、場合により、例えば、無水物、例えば、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物、又はトリフルオロメタンスルホン酸無水物、ホスゲン、塩化チオニル、塩化オキサリル、POCl、PCl、P10、亜リン酸トリフェニル、あるいはテトラクロロメタン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、又は臭素と組み合わせたトリフェニル−又はトリアルキルホスフィンなどの脱水試薬を用いて行う。反応は、好ましくは、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサン、エーテル、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、その混合物中で、あるいは溶媒なしで、0〜140℃の温度にて実施する。アミン、例えば、ピリジン又はトリエチルアミン、あるいはN,N−ジメチルホルムアミドなどの添加剤は、有益であろう。
【0141】
続く第2級又は第1級アルコールを得るためのケト又はアルデヒド基の還元は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、又は水素化アルミニウムリチウムなどの錯体金属水素化物を用いて実施してもよい。還元は、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ヘキサン、エーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、アルコール、例えばメタノール、水、又はその混合物中で行ってよいが、全ての還元剤が、これらの溶媒の全てと相溶性であるわけではない。好ましい温度は、試薬の還元力に応じて、−80〜140℃である。代替的には、遷移金属触媒の存在下で、水素を還元のために使用してもよい。
【0142】
続く転位によるカルボキシ基のアミノ基への変換は、アジ化アシルを加熱してその結果、イソシアナートを形成することにより達成しうる(クルチウス転位)。イソシアナートを加水分解して、遊離アミンを生成するか、あるいは、それぞれアミン又はアルコールで処理することにより、尿素又はカルバミン酸塩誘導体に変換してもよい。アジ化アシルは、適切なアシル求電子試薬、例えば、塩化アシル、カルボン酸無水物、又はカルボン酸エステルを、アジド源、例えば、アジ化ナトリウム又はアジ化トリメチルシリルで、溶媒、例えば、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、N−メチルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、又はその混合物中で処理することにより得てもよく、一定の場合には、水又はアルコールも同様に使用しうる。反応は、通常、−10〜120℃で実施する。代替的には、アシル求電子試薬を、インサイチュで酸から生成し、次にアジ化アシルに変換してもよい。塩基、例えば、トリエチルアミン又はエチルジイソプロピルアミンの存在下、溶媒、例えば、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、又はアルコール中、高温でのジフェニルホスホリルアジドが、この直接変換のための効果的な試薬であることが証明されている。直接変換はまた、例えば、クロロホルム中、高温で、アジ化水素酸及び硫酸などの酸触媒を用いて達成してもよい(シュミット反応)。この全変換を達成するための別の方法は、ロッセン転位である:塩化アシルなどのアシル求電子試薬から出発して、対応する適合ヒドロキサム酸誘導体が形成され、それが次に転位して、塩基、例えば、水酸化ナトリウムでの処理により、それぞれ、イソシアナート及びアミンが得られる(例えば、J. Org. Chem. 1997, 62, 3858 and Synthesis 1990, 1143及びそこで引用された参考文献を参照)。
非置換のカルボン酸アミドを、いわゆるホフマン転位によりアミンに転換してもよい。この転換に適合する試薬には、NaOBr、ナトリウムメトキシドと組み合わせた臭素、N−ブロモスクシンイミド及びナトリウムメトキシド、PhI(OCOCF、及びPhI(OH)OTsがある。
【0143】
続くアルデヒド又はケト官能基のオレフィンへの変換を、例えば、いわゆるウィッティヒ反応及びその変法、ピーターソンオレフィン化、ジュリア反応及びその変法により達成してもよい。これらの反応は有機化学において多くの先例があり、例えば、March's Advanced Organic Chemistry, Michael B. Smith and Jerry March, John Wiley & Sons Inc., 6. Ed., New Jersey, 2007及びそこで引用された参考文献に詳しく述べられている。
【0144】
続くC=C二重又はC≡C三重結合の還元は、好ましくは、水素を用い、パラジウム、ニッケル、白金、ルテニウム、又はロジウム、好ましくは、ラネーニッケル、パラジウム担持炭、酸化白金、及びRhCl(PPh)由来の遷移金属種の存在下で行う。反応は、好ましくは、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、水、酢酸エチル、アルコール、エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、又はその混合物中、0〜180℃、より好ましくは20〜140℃、そして1〜10bar、好ましくは1〜5barの水素圧で実施する。
【0145】
本明細書で前述の反応において、ヒドロキシ、カルボニル、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、又はイミノなどの任意の存在する反応性基は、反応の間、従来の保護基により保護してもよく、それらは反応後再び開裂される。
【0146】
例えば、ヒドロキシ基の保護基は、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、メチル、tert−ブチル、アリル、トリチル、ベンジル、4−メトキシベンジル、テトラヒドロピラニル、メトキシメチル、エトキシメチル、又は2−トリメチルシリルエトキシメチル基であってよく、
カルボキシ基の保護基は、トリメチルシリル、メチル、エチル、tert−ブチル、アリル、ベンジル、又はテトラヒドロピラニルであってよく、
ケトン又はアルデヒドの保護基は、ケタール又はアセタールは、それぞれ、例えば、メタノール、グリコール、プロパン−1,3−ジオール又はプロパン−1,3−ジチオールから誘導されてもよく、
アミノ、アルキルアミノ、又はイミノ基の保護基は、メチル、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、4−メトキシベンジル、又は2,4−ジメトキシベンジルであってよく、更に、アミノ基には、フタリル又はテトラクロロフタリルであってよく、そして
末端アルキンの保護基は、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、又は2−ヒドロキシ−プロパ−2−イルであってよい。
【0147】
任意のアシル保護基は、例えば、水性溶媒中、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水、又は1,4−ジオキサン/水中で、トリフルオロ酢酸、塩酸、もしくは硫酸などの酸の存在下、又は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、もしくは水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基の存在下で、加水分解により、あるいは、例えば、ヨードトリメチルシランの存在下、非プロトン的に、0〜120℃、好ましくは10〜100℃の温度で開裂しうる。トリフルオロアセチル基は、好ましくは、塩酸などの酸を用い、場合により、酢酸などの溶媒中、50〜120℃の温度で処理することにより、あるいは水酸化ナトリウム水溶液を用い、場合によりテトラヒドロフラン又はメタノールなどの更なる溶媒中、0〜80℃の温度で処理することにより開裂する。
【0148】
使用する任意のアセタール又はケタール保護基は、例えば、水性溶媒中、例えば、水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水、又は1,4−ジオキサン/水中で、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、又は硫酸などの酸の存在下で加水分解により、あるいは、例えば、ヨードトリメチルシランの存在下、非プロトン的に0〜120℃、好ましくは10〜100℃の温度で開裂しうる。
【0149】
トリメチルシリル基は、例えば、水、水性溶媒混合物又はメタノールもしくはエタノールなどのアルコール中、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、又はナトリウムメトキシドなどの塩基の存在下で開裂する。例えば、塩酸、トリフルオロ酢酸、又は酢酸などの酸もまた適切であろう。この開裂は通常、比較的低温で、例えば、−60〜60℃で行われる。トリメチルシリル以外のシリル基は、酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、又は硫酸の存在下、0℃〜100℃の温度で選択的に開裂する。特に好適なシリル基の開裂方法は、フッ化物塩、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化水素、又はフッ化カリウムを、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トルエン、ベンゼン、1,2−ジクロロエタン、又はジクロロメタンなどの有機溶媒中、−20〜100℃の温度で使用することに基づく。
【0150】
ベンジル、メトキシベンジル、又はベンジルオキシカルボニル基は、有利には、例えば、水素を用い、パラジウム担持炭素、水酸化パラジウム、又は酸化白金などの触媒の存在下、メタノール、エタノール、酢酸エチル、又は酢酸などの溶媒中、場合により塩酸などの酸の存在下、0〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度で、1〜7bar、好ましくは3〜5barの水素圧で水素化分解することにより開裂される。アニソール、チオアニソール、又はペンタメチルベンゼンなどの捕捉剤の存在下、ヨウ化トリメチルシリル、三塩化ホウ素、又は三フッ化ホウ素もまた、ベンジルエーテル誘導体と共に使用しうる。メトキシベンジルなどの電子の豊富なベンジル残基もまた、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)又は硝酸セリウムアンモニウム(CAN)を用いて、好ましくはアルコール性又は水性溶媒中、10〜120℃の温度で酸化的に開裂しうる。2,4−ジメトキシベンジル基は、好ましくは、トリフルオロ酢酸中、アニソールなどの捕捉剤の存在下で開裂する。
【0151】
tert−ブチル又はtert−ブチルオキシカルボニル基は、好ましくは、トリフルオロ酢酸、硫酸、又は塩酸などの酸で処理することにより、あるいは、ヨードトリメチルシランで、場合により、塩化メチレン、1,4−ジオキサン、メタノール、イソプロパノール、水、又はジエチルエーテルなどの溶媒を使用して処理することにより開裂する。
【0152】
第3級アミンにおけるメチル基は、クロロギ酸1−クロロエチルで処理することにより開裂しうる。臭化水素酸及び三臭化ホウ素は、特に、メチルエーテルの開裂に適合する。
【0153】
一般式Iの化合物は、前述のとおり、その鏡像異性体及び/又はジアステレオマーに分割しうる。したがって、例えば、シス/トランス混合物は、そのシス及びトランス異性体に分割しえ、そしてラセミ化合物は、その鏡像異性体に分離しうる。
【0154】
シス/トランス混合物は、例えば、クロマトグラフィーにより、そのシス及びトランス異性体に分割しうる。ラセミ体として生じる一般式Iの化合物を、それ自体既知の方法(Allinger N. L. and Eliel E. L. in "Topics in Stereochemistry", Vol. 6, Wiley Interscience, 1971を参照)により、その光学対掌体に分離しえ、一般式Iの化合物のジアステレオマー混合物は、それ自体既知の方法、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶化を用い、その異なる物理化学的特性を利用することにより、そのジアステレオマーに分割しえ、その後得られた化合物がラセミ体である場合、それらを、上述のように鏡像異性体に分割しうる。
【0155】
ラセミ体は、好ましくは、キラル相のカラムクロマトグラフィーにより、又は光学活性溶媒からの結晶化により、あるいは光学活性物質と反応させて、ラセミ化合物との塩又は誘導体、例えば、エステル又はアミドを形成することにより分割する。塩は、塩基性化合物についてはエナンチオマーとして純粋な酸を用いて、そして酸性化合物についてはエナンチオマーとして純粋な塩基を用いて形成しうる。ジアステレオマー誘導体は、例えば、酸、その活性化誘導体、又はアルコールなどのエナンチオマーとして純粋な補助化合物を用いて形成する。こうして得られる塩又は誘導体のジアステレオマー混合物の分離は、その異なる物理化学的特性、例えば、溶解度の差を利用することにより達成しえ、遊離対掌体は、好適な試薬の作用により純粋なジアステレオマー塩又は誘導体から除くことができる。このような目的に常用される光学活性酸は、例えば、D−及びL−型の酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジ−o−トリル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファースルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はキナ酸である。助剤残基として適用しうる光学活性アルコールは、例えば、(+)又は(−)−メントールであってよく、そしてアミド中の光学活性アシル基は、例えば、(+)−又は(−)−メンチルオキシカルボニルであってよい。
【0156】
上述のように、式Iの化合物は、化合物Iが塩基性残基を持つとすれば、無機又は有機酸との塩、特に薬学的使用のため、生理学的に許容しうる塩に変換しうる。この目的に使用しうる酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、又はマレイン酸が含まれる。
【0157】
式Iの化合物が、例えば、カルボキシ基などの酸性残基を含有する場合、これらは、無機又は有機塩基とのその塩、特に薬学的使用のため、その生理学的に許容しうる塩に変換しうる。この目的に好適な塩基には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、カルシウムイソプロポキシド、水酸化マグネシウム、マグネシウムエトキシド、水酸化アンモニウム、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−D−グルカミン、L−リシン、L−アルギニン、及びピペラジンが含まれる。
【0158】
本発明の化合物はまた、有利には、以下の実施例に記載される方法を用いて得られ、これらの方法はまた、この目的のため、文献から当業者に既知の方法と組み合わせうる。
【0159】
既に言及したように、本発明の一般式Iの化合物及びその生理学的に許容しうる塩は、有用な薬理学的特性、特に酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1に対する阻害効果を有する。
【0160】
新規化合物の生物学的特性は以下のとおり検討しうる:
試験化合物による11β−HSD1のインビトロ阻害は、ヒト肝ミクロソームによりコルチステロン(cortisterone)から生成するコルチゾールを検出するHTRF(均一系時間分解蛍光(Homogeneous Time-Resolved Fluorescence))法(cisbio International, France)で測定する。簡単に述べると、化合物を、NADPH(200μM)及びコルチゾン(80nM)を含有するトリス緩衝液(20mMトリス、5mM EDTA、pH6.0)中、37℃で1時間インキュベーションする。次に、反応で生成したコルチゾールを、2つのHTRF結合体(XL665に結合したコルチゾール及びユーロピウムクリプタートで標識した抗コルチゾール抗体)を含む競合免疫アッセイで検出する。検出反応のためのインキュベーション時間は典型的には2時間である。コルチゾールの量は、ウェルの時間分解蛍光(Ex 320/75nm;Em 615/8.5nm及び665/7.5nm)を読みとることにより測定する。次に、2つの発光シグナルの比率を計算する(Em665*10000/Em615)。各アッセイは、非阻害コルチゾール生成のための対照として化合物の代わりに溶剤対照を有するインキュベーション(100%CTL;「高値」)、ならびに完全阻害酵素のための対照としてカルベノキソロン及びコルチゾールバックグラウンドを有するインキュベーション(0%CTL;「低値」)を包含する。各アッセイはまた、蛍光データをコルチゾール濃度に変換するコルチゾールの較正曲線を包含する。各化合物の阻害パーセント(%CTL)は、カルベノキソロンのシグナルと比較して決定し、IC50曲線を生成する。
【0161】
本発明の一般式Iの化合物は、例えば、10000nM未満、特に、1000nM未満、最も好ましくは200nM未満のIC50値を有する。1μMの濃度の幾つかの実施例化合物の%CTL値が以下の表2に記載され、ここで、100%は、阻害がないことを示し、0以下の値は完全な阻害を示す。%CTLの測定は、本明細書で後述する。
【0162】
【表2】

【0163】
酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害するその能力に鑑みると、本発明の一般式Iの化合物及び対応するその薬学的に許容しうる塩は理論的には11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1活性の阻害により影響を受けうるそれら全ての症状又は疾患の治療及び/又は予防的処置に適している。したがって、本発明の化合物は、疾患、特に代謝障害、又は症状、例えば、1型及び2型糖尿病、糖尿病の合併症(例えば、網膜症、腎症又はニューロパシー、糖尿病足、潰瘍、大血管症、遅いか又は不十分な創傷治癒)、代謝性アシドーシスもしくはケトーシス、反応性低血糖、高インスリン血症、糖代謝異常、インスリン抵抗性、代謝症候群、様々な起源の脂質異常症、アテローム動脈硬化及び関連疾患、肥満症、高血圧、慢性心不全、浮腫及び高尿酸血症などの予防又は治療に特に適している。これらの物質はまた、例えば、膵β細胞のアポトーシス又は壊死などのβ細胞変性を予防するのに適している。この物質はまた、膵細胞の機能を改善又は回復するのにも、また、膵β細胞の数及びサイズを増大させるのにも適しているだろう。本発明の化合物はまた、利尿薬又は抗高血圧薬として使用することができ、そして急性腎不全の予防及び治療に適している。
【0164】
更に、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1の阻害は、高眼圧症の被験者の眼内圧を低下させることが証明されており、したがって本化合物は、緑内障を処置するために使用することができよう。
【0165】
グルココルチコイド受容体との相互作用のためのコルチゾールレベルの調節における11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1の役割、及び骨量減少における過剰グルココルチコイドの既知の役割に鑑みると、本化合物は、骨粗鬆症に対して有用な効果を有しうる。
【0166】
ストレス及び/又はグルココルチコイドは、認知機能に影響することが証明されており、過剰のコルチゾールは、脳のニューロン脱落又は機能不全に関連している。11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1阻害剤での処置は、認知障害の改善又は予防をもたらしうる。このような化合物はまた、不安又はうつ病の処置にも有用であろう。
【0167】
免疫系とHPA(視床下部・下垂体・副腎)系との間の動的相互作用が知られており、グルココルチコイドは、細胞性応答と液性応答の間の均衡をはかる。免疫反応は、結核、ハンセン病、及び乾癬などのある種の病状では、典型的には液性応答に偏っている。より適切なのは、細胞性応答であろう。11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1阻害剤は、免疫化に関連する一時的な免疫応答を高め、細胞性応答が得られ、よって免疫調節において有用であることが確証する。
【0168】
特に、本発明の化合物(その生理学的に許容しうる塩を包含する)は、糖尿病、特に1型及び2型糖尿病、及び/又は糖尿病合併症の予防又は治療に適している。
【0169】
治療又は予防のために必要な活性を達成するのに必要な用量は、通常、投与される化合物、患者、病気又は症状の性質及び重篤度、ならびに投与の方法及び頻度に依存し、患者の医師が決定すべきことである。便宜的には、用量は、静脈内経路により1〜100mg、好ましくは1〜30mg、経口により1〜1000mg、好ましくは1〜100mgであり、各場合に1日に1〜4回投与される。この目的のために、本発明により製造される式Iの化合物は、場合により他の活性物質と一緒に、1個以上の不活性の従来の担体及び/又は希釈剤と一緒に、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ブドウ糖、微晶質セルロース、ステアリン酸マグネシウム、クエン酸、酒石酸、水、ポリビニルピロリドン、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は硬化脂肪などの脂肪性物質あるいはその適切な混合物と共に処方することにより、素錠もしくはコーティング錠、カプセル剤、粉剤、懸濁剤又は坐剤などの従来のガレヌス製剤を製造しうる。
【0170】
本発明の化合物はまた、特に上述の疾患及び症状の治療及び/又は予防のために、他の活性物質と併用することができる。このような併用に適した他の活性物質には、例えば、言及される適応症の1つに対して本発明の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1アンタゴニストの治療効果を強化するもの、及び/又は本発明の11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1アンタゴニストの用量を減少させることができるものが含まれる。このような併用に適した治療剤には、例えば、メトホルミン、スルホニル尿素(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、レモグリフロジン、エタボナート、セルグリフロジン、カナグリフロジン)、PPAR−γアゴニスト(例えば、GI 262570)及びアンタゴニスト、PPAR−γ/αモジュレーター(例えば、KRP 297)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ボグリボース)、DPPIV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン)、α2−アンタゴニスト、インスリン及びインスリン類似体、GLP−1及びGLP−1類縁体(例えば、エキセンディン−4)又はアミリンなどの抗糖尿病薬が含まれる。このリストにはまた、タンパク質チロシンホスファターゼ1の阻害剤、肝臓における無秩序なグルコース産生に影響を及ぼす物質、例えば、グルコース−6−ホスファターゼ、又はフルクトース−1,6−ビスホスファターゼ、グリコーゲンホスホリラーゼの阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼもしくはピルビン酸デヒドロキナーゼの阻害剤、及びグルコキナーゼ活性化剤、例えばHMG−CoA−還元酵素阻害剤(例えば、シンバスタチン、アトルバスタチン)などの脂質低下剤、フィブラート(例えば、ベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸及びその誘導体、PPAR−αアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、ACAT阻害剤(例えば、アバシミブ)又は例えば、エゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤、例えば、コレスチラミンなどの胆汁酸結合物質、回腸胆汁酸輸送の阻害剤、CETP阻害剤もしくはABC1調節剤などのHDL上昇化合物、又はシブトラミンもしくはテトラヒドロリプスタチンなどの肥満症処置用の活性物質、SDRI類、アクソカイン、レプチン、レプチン模倣剤、カンナビノイド1受容体のアンタゴニスト、MCH−1受容体アンタゴニスト、MC4受容体アゴニスト、NPY5もしくはNPY2アンタゴニスト又はSB-418790もしくはAD-9677などのβ3−アゴニスト及び5HT2c受容体のアゴニストが含まれる。
【0171】
更に、高血圧、慢性心不全又はアテローム動脈硬化に影響を及ぼす薬物、例えば、A−IIアンタゴニストもしくはACE阻害剤、ECE阻害剤、利尿薬、β−ブロッカー、Ca−アンタゴニスト、中枢性抗高血圧薬、α2−アドレナリン作動性受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、血小板凝集阻害剤などとの併用又はこれらの組み合わせとの併用が好適である。アンギオテンシンII受容体アンタゴニストの例は、カンデサルタン・シレキセチル、ロサルタンカリウム、メシル酸エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、EXP-3174、L-158809、EXP-3312、オルメサルタン、メドキソミル、タソサルタン、KT-3-671、GA-0113、RU-64276、EMD-90423、BR-9701などである。アンギオテンシンII受容体アンタゴニストは、好ましくは高血圧及び糖尿病の合併症の治療又は予防に、しばしばヒドロクロロチアジドなどの利尿薬と併用される。
【0172】
尿酸合成阻害剤又は尿酸排泄薬との併用は、痛風の治療又は予防に適している。
【0173】
GABA受容体アンタゴニスト、Naチャネルブロッカー、トピラマート、プロテインキナーゼC阻害剤、進行性糖化最終産物阻害剤又はアルドース還元酵素阻害剤との併用は、糖尿病の合併症の治療又は予防に使用しうる。
【0174】
上述の併用パートナーの用量は、有効には通常推奨される最低用量の1/5〜通常推奨される用量の1/1である。
【0175】
したがって、別の態様において本発明は、併用パートナーとして上述の少なくとも1種の活性物質と組み合わせた、本発明の化合物又はこのような化合物の生理学的に許容しうる塩の、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を受けうる疾患又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物の調製のための使用に関する。これらの疾患は、好ましくは、代謝疾患、特に上に列挙された疾患又は症状の1つ、最も特に糖尿病又は糖尿病合併症である。
【0176】
本発明の化合物、又はその生理学的に許容しうる塩の、別の活性物質との併用での使用は、同時に又は時間差で(しかし特に短時間内に)行いうる。これらを同時に投与するならば、この2種の活性物質は、一緒に患者に与えられるが、これらを時間差で投与するならば、この2種の活性物質は、12時間以内に(しかし特に6時間以内に)患者に与えられる。
【0177】
したがって、別の態様において、本発明は、本発明の化合物又はこのような化合物の生理学的に許容しうる塩、及び併用パートナーとして上述の少なくとも1種の活性物質を、場合により1種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含む、医薬組成物に関する。
【0178】
よって、例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の式Iの化合物又はこのような化合物の生理学的に許容しうる塩と、少なくとも1種のアンギオテンシンII受容体アンタゴニストとの組合せを、場合により1種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含む。
【0179】
本発明の化合物、又はその生理学的に許容しうる塩、及びこれと併用される更なる活性物質は、両方とも1つの製剤、例えば、錠剤もしくはカプセル剤中に一緒に存在するか、あるいは2つの同一であるか又は異なる製剤中に、例えば、いわゆるキット(kit-of-parts)として別々に存在してもよい。
【0180】
以下の実施例は、本発明を説明するものであって制限するものではない:
LC方法1:
【0181】
【表3】

【0182】
出発物質の調製:
実施例I
【0183】
【化14】

【0184】
8−ベンジル−3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール
ジエチルエーテル(100mL)に溶解した1−ブロモ−4−フルオロ−ベンゼン(22.7g)を、−35℃に冷却したジエチルエーテル(200mL)中のn−ブチルリチウム(ペンタン中1.7mol/L、86.8mL)の溶液に加えた。合わせた溶液を、−35〜−40℃で1時間撹拌し、その後ジエチルエーテル(150mL)に溶解した8−ベンジル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン(22.5g)を素早く加えた。溶液を1時間以内に−10℃に温め、次に反応物をNHCl水溶液を加えてクエンチした。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物を、ブラインで洗浄し、4M塩酸を有機相に加えた。有機相を水相から分離すると、添加の後、油状沈殿物が形成された。油相及び水相を合わせ、4M NaOH水溶液で塩基性化し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を蒸発させて、標記化合物を得た。
収量:21.0g(理論値の75%)
質量スペクトル(ESI):m/z=312[M+H]
【0185】
実施例II
【0186】
【化15】

【0187】
8−ベンジル−3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
濃塩酸水溶液(80mL)中の8−ベンジル−3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール(21.0g)の溶液を、還流温度で1時間撹拌した。周囲温度に冷却した後、4M NaOH水溶液を加えて、溶液を塩基性化した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させた(NaSO)。溶媒を蒸発させ、残留物をジエチルエーテルに溶解した。メタンスルホン酸(4.3mL)を加え、溶媒を減圧下で除去して、標記化合物のメタンスルホン酸塩を得た。
収量:19.1g(理論値の73%)
【0188】
実施例III
【0189】
【化16】

【0190】
endo−3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
メタノール(170mL)中の8−ベンジル−3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン(実施例IIより;19.1g)のメタンスルホン酸塩と5%パラジウム担持炭素(2g)の混合物を、水素雰囲気(5bar)下、55℃で一晩振とうした。次に、触媒を濾過により分離し、濾液を濃縮した。残留物を酢酸エチルに取り、飽和KCO水溶液で洗浄した。有機相を濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 99:1->9:1)により精製した。
収量:3.5g(理論値の35%)
LC(方法1):t=1.82分;質量スペクトル(ESI):m/z=206[M+H]
【0191】
実施例IV
【0192】
【化17】

【0193】
トリフルオロ−メタンスルホン酸8−ベンジル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−3−イルエステル
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(テトラヒドロフラン中1mol/L、51.5mL)を、−78℃に冷却したテトラヒドロフラン(200mL)中の8−ベンジル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン(10.6g)の溶液に加えた。溶液を−78℃で1時間撹拌し、その後テトラヒドロフラン(200mL)に溶解した2−(N,N−(ビストリフルオロメチルスルホニル)アミノ)−5−クロロピリジン(20.8g)を滴下した。得られた溶液をこの温度で更に0.5時間撹拌し、次に冷却浴を取り外して室温に暖めた。次に、NaHCO水溶液を加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で除去した後、残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0->1:1)により精製した。
収量:10.5g(理論値の62%)
質量スペクトル(ESI):m/z=348[M+H]
代替的には、標記化合物を、塩基としてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドを、スルホニル化剤としてN,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリンを使用し、上述の手順と同様にして得た。
【0194】
以下の化合物を、実施例IVと同様にして得た:
【0195】
(1)トリフルオロ−メタンスルホン酸8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−3−イルエステル
【0196】
【化18】


質量スペクトル(ESI):m/z=272[M+H]
【0197】
カリウムビス(トリメチルシリル)アミド及びN,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アニリンを、それぞれ、上述の試薬の代わりに、塩基及びスルホニル化剤として使用してもよい。
【0198】
実施例V
【0199】
【化19】

【0200】
8−ベンジル−3−(4−メトキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
4−メトキシフェニルボロン酸(0.50g)、塩化リチウム(0.26g)、Pd(PPh(0.17g)、そして最後に2M NaCO水溶液(3.2mL)を、アルゴン雰囲気下、攪拌子、トリフルオロメタンスルホン酸8−ベンジル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−3−イルエステル(1.0g)、水(5mL)、及び1,2−ジメトキシエタン(25mL)を入れたフラスコに、順に加えた。得られた混合物を還流温度で5時間撹拌した。周囲温度に冷却後、ブラインを加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0−>1:1)により精製した。
収量:0.62g(理論値の71%)
【0201】
以下の化合物を、実施例Vと同様にして得た:
【0202】
(1)3−(4−フルオロ−フェニル)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0203】
【化20】


質量スペクトル(ESI):m/z=218[M+H]
【0204】
(2)8−ベンジル−3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0205】
【化21】


質量スペクトル(ESI):m/z=312[M+H]
【0206】
(3)8−ベンジル−3−(3−メトキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0207】
【化22】

【0208】
(4)8−ベンジル−3−p−トリル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0209】
【化23】

【0210】
(5)8−ベンジル−3−(4−イソプロピル−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0211】
【化24】


質量スペクトル(ESI):m/z=318[M+H]
【0212】
(6)8−ベンジル−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0213】
【化25】


質量スペクトル(ESI):m/z=360[M+H]
【0214】
(7)8−ベンジル−3−(4−フェノキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0215】
【化26】

【0216】
(8)8−ベンジル−3−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0217】
【化27】

【0218】
(9)4−(8−ベンジル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン−3−イル)−安息香酸メチルエステル
【0219】
【化28】

【0220】
(10)8−ベンジル−3−(4−メトキシメチル−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0221】
【化29】

【0222】
(11)8−ベンジル−3−チオフェン−2−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0223】
【化30】

【0224】
(12)8−ベンジル−3−チオフェン−3−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0225】
【化31】

【0226】
(13)8−ベンジル−3−ピリジン−3−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0227】
【化32】

【0228】
(14)8−ベンジル−3−ピリジン−3−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0229】
【化33】

【0230】
(15)8−ベンジル−3−o−トリル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0231】
【化34】


質量スペクトル(ESI):m/z=290[M+H]
【0232】
(16)8−ベンジル−3−(2−メトキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0233】
【化35】


質量スペクトル(ESI):m/z=306[M+H]
【0234】
(17)8−ベンジル−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0235】
【化36】


質量スペクトル(ESI):m/z=312[M+H]
【0236】
(18)8−ベンジル−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0237】
【化37】


質量スペクトル(ESI):m/z=312[M+H]
【0238】
(19)8−ベンジル−3−(4−ナフタレン−2−イル−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0239】
【化38】


質量スペクトル(ESI):m/z=326[M+H]
【0240】
(20)8−ベンジル−3−ピリミジン−5−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0241】
【化39】


質量スペクトル(ESI):m/z=278[M+H]
【0242】
(21)8−ベンジル−3−フラン−3−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0243】
【化40】


質量スペクトル(ESI):m/z=266[M+H]
【0244】
(22)8−ベンジル−3−ピリジン−4−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン
【0245】
【化41】

【0246】
実施例VI
【0247】
【化42】

【0248】
endo−3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
酢酸(0.15mL)を含有するエタノール(5mL)中の8−ベンジル−3−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−エン(0.30g)と5%パラジウム担持炭素(40mg)の混合物を、水素雰囲気(5bar)下、60℃で一晩振とうした。次に、触媒を濾過により分離し、濾液を濃縮した。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 99:1->9:1)により精製した。
収量:0.16g(理論値の74%)
【0249】
代替的には、酸なしか、又は1当量の酸のみ、及び触媒として水酸化パラジウム(II)を用いて実施した。
【0250】
以下の化合物を、実施例VIと同様にして得た:
【0251】
(1)endo−3−(4−メトキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0252】
【化43】

【0253】
(2)endo−3−p−トリル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0254】
【化44】

【0255】
(3)endo−3−(3−メトキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0256】
【化45】

【0257】
(4)endo−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0258】
【化46】

【0259】
(5)endo−3−(4−イソプロピル−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0260】
【化47】

【0261】
(6)endo−3−(4−フェノキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0262】
【化48】

【0263】
(7)endo−3−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0264】
【化49】

【0265】
(8)endo−4−(8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−安息香酸メチルエステル
【0266】
【化50】

【0267】
(9)endo−3−(4−メトキシメチル−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0268】
【化51】

【0269】
(10)endo−3−ピリジン−3−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0270】
【化52】

【0271】
(11)endo−3−(3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0272】
【化53】

【0273】
(12)endo−3−(2−メトキシ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0274】
【化54】


質量スペクトル(ESI):m/z=218[M+H]
【0275】
(13)endo−3−o−トリル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0276】
【化55】

【0277】
(14)endo−3−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0278】
【化56】


質量スペクトル(ESI):m/z=224[M+H]
【0279】
(15)endo−3−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0280】
【化57】


質量スペクトル(ESI):m/z=224[M+H]
【0281】
(16)endo−3−ナフタレン−2−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0282】
【化58】


質量スペクトル(ESI):m/z=238[M+H]
【0283】
注釈:上述の手順と同様にして得られた生成物は、大部分が高い異性体純度を有する
(ほとんどの場合、エンド/エキソ>9:1)。
【0284】
以下の化合物を、実施例Vの下で記載された各前駆体から、実施例VIと同様にして得てもよい。
【0285】
(17)endo−3−チオフェン−2−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0286】
【化59】

【0287】
(18)endo−3−チオフェン−3−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0288】
【化60】

【0289】
(19)endo−3−ピリミジン−5−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0290】
【化61】

【0291】
(20)endo−3−フラン−3−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0292】
【化62】

【0293】
(21)endo−3−ピリジン−4−イル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
【0294】
【化63】

【0295】
実施例VII
【0296】
【化64】

【0297】
endo−3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニルクロリド
無水トルエン(30mL)中の3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(2.50g)及びトリエチルアミン(2.0mL)の溶液を、0℃に冷やした無水トルエン(15mL)中のホスゲン(トルエン中20重量%、6.7mL)の溶液に滴下した。生じた懸濁液を室温まで温まるにまかせ、2時間撹拌した。次に、混合物を0℃に冷却し、半飽和NaHCO水溶液をゆっくりと加えた。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を蒸発させて、生成物を淡黄色の固体として得て、それを更に精製しないで使用した。
収量:3.25g(理論値の99%)
【0298】
実施例VIII
【0299】
【化65】

【0300】
(6,7−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]ピリジン−5−イル)−イミダゾール−1−イル−メタノン
テトラヒドロフラン(20mL)中の4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[3,2−c]ピリジン(0.50g)及びN,N’−カルボニルジイミダゾール(0.64g)の溶液を、60℃で24時間攪拌した。室温に冷却後、溶液を濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 90:10→20:80)に付して、標記化合物を得た。
収量:0.10g(理論値の12%)
【0301】
実施例IX
【0302】
【化66】

【0303】
3−(6,7−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]ピリジン−5−カルボニル)−1−メチル−3H−イミダゾール−1−イウムヨージド
ヨウ化メチル(50μL)を、室温で、アセトニトリル(5mL)中の(6,7−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]ピリジン−5−イル)−イミダゾール−1−イル−メタノン(100mg)の溶液に加えた。溶液を5時間撹拌し、その後更なるヨウ化メチル(100μL)を加えた。溶液を更に10時間攪拌した後、溶液を濃縮して、粗標記化合物を得て、それを更に精製しないで使用した。
収量:0.15g
【0304】
最終化合物の調製:
手順A(実施例1について記載、表3)
【0305】
【化67】

【0306】
endo−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン
ピペリジン−1−カルボニルクロリド(80μL)を、ジクロロメタン(2mL)中の3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(0.10g)及びエチルジイソプロピルアミン(0.25mL)の溶液に加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。次に、NaHCO水溶液を加え、混合物をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を蒸発させた。残留物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル 2:1)により精製して、標記化合物白色の固体として得た。
収量:0.14g(理論値の93%)
質量スペクトル(ESI):m/z=317[M+H]
【0307】
手順B(実施例13について記載、表3)
【0308】
【化68】

【0309】
endo−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イル)−メタノン
ジクロロメタン(2mL)中のトリエチルアミン(57μL)及び3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(60mg)の溶液を、氷浴中で冷やしたジクロロメタン(2mL)中のホスゲン(トルエン中20%、0.18mL)の溶液に加えた。4−メトキシ−ピペリジン(52mg)を加える前に、得られた溶液を冷却浴中で0.5時間、室温で0.5時間攪拌した(塩化カルバモイルへの変換は、中間体のサンプルをジメチルアミンで補足し、TLC又はHPLCにより、ジメチル尿素誘導体を検出することにより監視した)。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。次に、ジクロロメタンを加え、得られた混合物をNaHCO水溶液で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 1:0→9:1)に付して、標記化合物を得た。
収量:37mg(理論値の37%)
LC(方法1):t=3.97分;質量スペクトル(ESI):m/z=347[M+H]
【0310】
注釈:2種のアミノ化合物のホスゲンへの添加の順序を逆にして、ホスゲンの代わりにトリホスゲン又はジホスゲンを同様に使用してもよい。
【0311】
手順C(実施例4について記載、表3)
【0312】
【化69】

【0313】
endo−N−{1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−イル}−アセトアミド
エチルジイソプロピルアミン(0.25mL)及び4−アセチルアミノピペリジン(104mg)を、0℃に冷やした無水ジクロロメタン(3mL)中のendo−3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニルクロリド(135mg)の溶液に順に加えた。混合物を数分間攪拌した後、冷却浴を取り外し、混合物を室温で一晩撹拌した。NaHCO水溶液を加え、混合物をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を蒸発させた。残留物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(エタノール/酢酸エチル 1:10→1:4)により精製して、標記化合物を白色の固体として得た。
収量:165mg(理論値の91%)
質量スペクトル(ESI):m/z=374[M+H]
【0314】
手順D(実施例11について記載、表3)
【0315】
【化70】

【0316】
endo−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸
2N LiOH水溶液(1.5mL)を、氷浴中で冷やしたテトラヒドロフランと水の混合物(2:1、3mL)中のendo−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(0.29g)の溶液にゆっくりと加えた。30分間攪拌した後、冷却浴を取り外し、混合物を室温で2時間撹拌した。溶液を再び0℃に冷却し、1N塩酸をゆっくりと加えて、溶液のpH値を3に調整した。生じた沈殿物を濾過により分離し、水及びジエチルエーテルで連続して洗浄して、標記化合物を白色の固体として得た。
収量:205mg(理論値の76%)
質量スペクトル(ESI):m/z=361[M+H]
【0317】
手順E(実施例12について記載、表3)
【0318】
【化71】

【0319】
endo−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボニトリル
トリフルオロ酢酸無水物(47μL)を、氷浴中で冷やしたジクロロメタン(3mL)中のendo−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸アミド(95mg)及びトリエチルアミン(84μL)の溶液に加えた。冷却浴を取り外し、溶液を室温で一晩撹拌した。溶液をジクロロメタンで希釈し、得られた溶液をNaHCO水溶液で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)に付して、標記化合物を得た。
収量:60mg(理論値の66%)
LC(方法1):t=3.88分;質量スペクトル(ESI):m/z=342[M+H]
【0320】
手順F(実施例15について記載、表3)
【0321】
【化72】

【0322】
endo−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸メチルエステル
塩化チオニル(83μL)を、氷浴中で冷やしたメタノール(2mL)中のendo−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸(200mg)の溶液に加えた。冷却浴中で室温に温めながら、溶液を2時間撹拌した。次に、溶液を濃縮し、残留物を酢酸エチルに取った。得られた溶液をNaHCO水溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して、標記化合物を得た。
収量:190mg(理論値の91%)
LC(方法1):t=4.08分;質量スペクトル(ESI):m/z=375[M+H]
【0323】
手順G(実施例21について記載、表3)
【0324】
【化73】

【0325】
endo−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−(4−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
水素化アルミニウムリチウム(テトラヒドロフラン中1mol/L、68μL)を、−20℃に冷やしたテトラヒドロフラン(4mL)中のendo−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸メチルエステル(50mg)の溶液に加えた。溶液を−20℃で1時間攪拌した後、更に別の水素化アルミニウムリチウム(50μL)を加えた。溶液を更に1時間撹拌し、次に氷冷水に注いだ。1M NaOH水溶液を混合物に加え、それを、次に、酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を蒸発させて、標記化合物を得た。
収量:30mg(理論値の65%)
LC(方法1):t=3.48分;質量スペクトル(ESI):m/z=347[M+H]
【0326】
手順H(実施例21について記載、表3)
【0327】
【化74】

【0328】
endo−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
メチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6mol/L、106μL)を、−78℃に冷却したテトラヒドロフラン(4mL)中のendo−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸メチルエステル(30mg)の溶液に加えた。NHCl水溶液を加える前に、溶液を−78℃で1時間撹拌した。得られた混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮して、標記化合物を得た。
収量:30mg(理論値の100%)
LC(方法1):t=3.80分;質量スペクトル(ESI):m/z=375[M+H]
【0329】
手順I(実施例7について記載、表3)
【0330】
【化75】

【0331】
endo−(6,7−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]ピリジン−5−イル)−[3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−8−イル]−メタノン
3−(4−フルオロ−フェニル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(88mg)及びトリエチルアミン(65μL)を、室温で、ジクロロメタン(5mL)中の3−(6,7−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]ピリジン−5−カルボニル)−1−メチル−3H−イミダゾール−1−イウムヨージド(150mg、実施例IXからの粗化合物)の溶液に加えた。得られた溶液を室温で16時間撹拌した。次に、ジクロロメタンを加え、得られた溶液を水及びブラインで洗浄した。溶媒を蒸発させ、残留物を、逆相HPLC(MeCN/水)により精製して、標記化合物を得た。
収量:35mg(理論値の22%)
質量スペクトル(ESI):m/z=371[M+H]
【0332】
【表4】











【0333】
以下の化合物もまた、実施例VIの下で記載された各前駆体から出発して、上記実施例及び文献から既知の他の方法と同様にして調製する。
【0334】
【表5】









【0335】
ここで製剤の幾つかの例を記載するが、用語「活性物質」は、塩を含む本発明の1個以上の化合物を示す。1つの又は更なる前述の活性物質との組み合わせの1つの場合、用語「活性物質」はまた、更なる活性物質を含む。
【0336】
実施例A
活性物質100mgを含有する錠剤
組成
1個の錠剤は、以下を含有する:
活性物質 100.0mg
乳糖 80.0mg
トウモロコシデンプン 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
220.0mg
【0337】
調製方法:
活性物質、乳糖及びデンプンを一緒に混合し、ポリビニルピロリドンの水溶液で均一に湿らせる。湿った組成物を篩(メッシュサイズ2.0mm)にかけ、ラック型乾燥機(rack-type drier)内で50℃にて乾燥させた後、それを再び篩(メッシュサイズ1.5mm)にかけ、潤滑剤を加える。工程の終了した混合物を圧縮して、錠剤を形成する。
錠剤重量: 220mg
直径: 10mm、2平面で、両側面に切子面があり、かつ一側面に切り欠きがある。
【0338】
実施例B
活性物質150mgを含有する錠剤
組成:
1個の錠剤は、以下を含有する:
活性物質 150.0mg
粉末乳糖 89.0mg
トウモロコシデンプン 40.0mg
コロイド性シリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
300.0mg
【0339】
調製:
乳糖、トウモロコシデンプン及びシリカと混合した活性物質を20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、メッシュサイズ1.5mmの篩に通す。45℃で乾燥させた顆粒を再び同じ篩に通し、規定量のステアリン酸マグネシウムと混合する。錠剤を混合物より圧縮する。
錠剤重量: 300mg
色素: 10mm、平面
【0340】
実施例C
活性物質150mgを含有する硬ゼラチンカプセル剤
組成:
1個のカプセル剤は、以下を含有する:
活性物質 150.0mg
トウモロコシデンプン(乾燥) 約180.0mg
乳糖(粉末) 約87.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
約420.0mg
【0341】
調製:
活性物質を賦形剤と混合し、メッシュサイズ0.75mmの篩に通し、適切な装置を使用して、均一に混合する。工程の終了した混合物をサイズ1の硬ゼラチンカプセルに詰める。
カプセル充填物: 約320mg
カプセルシェル: サイズ1の硬ゼラチンカプセル。
【0342】
実施例D
活性物質150mgを含有する座剤
組成:
1個の座剤は、以下を含有する:
活性物質 150.0mg
ポリエチレングリコール1500 550.0mg
ポリエチレングリコール6000 460.0mg
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 840.0mg
2,000.0mg
【0343】
調製:
座薬用錬剤が溶融した後、活性物質を内部で均一に分散させ、溶融物を冷やした鋳型に注ぐ。
【0344】
実施例E
活性物質10mgを含有するアンプル
組成:
活性物質 10.0mg
0.01N塩酸 適量
再蒸留水 2.0mlになる量
【0345】
調製:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、食塩で等張にし、濾過滅菌し、2mlアンプルに移す。
【0346】
実施例F
活性物質50mgを含有するアンプル剤
組成:
活性物質 50.0mg
0.01N塩酸 適量
再蒸留水 10.0mlになる量
【0347】
調製:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、食塩で等張にし、濾過滅菌し、10mlアンプルに移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化76】


[式中、
は、アリール又はヘテロアリールを示し
(アリールは、フェニル又はナフチルを意味し、そして
ヘテロアリールは、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、又は
ピロリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、ピリジニル(これらそれぞれにおいて、1又は2個のCH基は、Nにより置き換えられている)、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、もしくはイソキノリニル(これらそれぞれにおいて、1〜3個のCHは、Nにより置き換えられている)を意味し
(ヘテロアリール基を含む上記Nにおいて、1又は2個の−N=CH−基は、−NH−CO−及び/又は−N(C1−4−アルキル)−CO−により場合により置き換えられており、そして
上記多環式アリール及びヘテロアリール基は、場合により部分飽和であるが、式I中のカルボニル基に結合している芳香族又は複素環式芳香族部分構造を保持しており
(部分飽和環において、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NH、N(C1−4−アルキル)、カルボニル、又はスルホニルで場合により置き換えられている)、
ここで、上記アリール、ヘテロアリール、部分飽和アリール及びヘテロアリール基は、1個以上、好ましくは1〜4個の置換基Rで場合により置換されており、
ここで、全てのヘテロアリール基は、炭素原子を介して、式I中のノルトロパン骨格に結合している)、
は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−6−アルケニル、C3−6−アルキニル、C3−6−シクロアルキル、(het)アリール、C1−4−アルキルカルボニル、C1−4−アルキルオキシカルボニル、C1−4−アルキルスルホニル、(het)アリールカルボニル、(het)アリールスルホニル
(ここで、各アルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、更に、フッ素で場合により一又は多置換されており、そしてヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキル−アミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシ−カルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニル、又は(het)アリールで場合により一置換されている)を示し、
は、互いに独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C3−6−シクロアルキル、C3−6−シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1−3−アルキルオキシ、テトラヒドロピラニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール、(het)アリールオキシ、
1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルキルオキシ、C1−6−アルキルアミノを示し(ここで、各基において、1個のCH基は、カルボニル又はスルホニルで場合により置き換えられており、そして、各基は、フッ素で場合により一又は多置換されており、そして、更に、
ヒドロキシ、塩素、C1−3−アルキルオキシ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、シアノ、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル、C1−4−アルキル−カルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−4−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキルスルホニル、C3−6−シクロアルキル、テトラヒドロ−フラニル、テトラヒドロピラニル、(het)アリール、又は(het)アリールオキシ、
アミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C3−6−シクロアルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルスルホニル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、
(het)アリールカルボニルアミノ、C1−4−アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、C1−4−アルキル−アミノカルボニルアミノ、(het)アリールアミノカルボニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニルアミノ、ピロリジン−1−イルカルボニルアミノ、ピペリジン−1−イルカルボニルアミノ、モルホリン−4−イル−カルボニルアミノ、ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、C1−3−アルキルアミノスルホニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−スルホニルアミノ、ピロリジン−1−イルスルホニルアミノ、ピペリジン−1−イルスルホニルアミノ、モルホリン−4−イルスルホニルアミノ、ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、(C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ)カルボニルアミノ、(het)アリールスルホニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−4−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ、N−(アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−(C1−3−アルキルアミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−[ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル]−C1−3−アルキルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、
カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イル−カルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−カルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールアミノカルボニル、(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、(het)アリールカルボニル、
1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、(het)アリールスルホニル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、
アミノスルホニル、C1−3−アルキルアミノスルホニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノスルホニル、ピロリジン−1−イル−スルホニル、ピペリジン−1−イルスルホニル、モルホリン−4−イルスルホニル、ピペラジン−1−イルスルホニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルスルホニルで場合により置換されており、
ここで、全ての上記飽和ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキル環は、フッ素、C1−3−アルキル、C1−3−アルコキシ、C1−3−アルコキシ−C1−3−アルキル、及びヒドロキシより独立して選択される1又は2個の基で場合により置換されている)、
Vは、CY、O、又はNRであり、
Wは存在しないか、CY、又は(CY)−(CY10)であり、
Xは存在しないか、CY1112、又は(CY1112)−(CY1314)であり、
V及びWはまた、組み合わされて、C3−6−シクロアルキル基(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加され、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして場合により部分不飽和であり、互いに独立してRより選択される置換基で場合により一又は多置換、好ましくは一〜四置換されている)を形成してもよく、
V及びWはまた、組み合わされて、(het)アリール基(2個の隣接する炭素原子を介してアザ環に環付加されている)を形成してもよく、
は、ハロゲン、C1−4−アルキル、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、N−C1−3−アルキル−C1−4−アルキル−カルボニルアミノ、及び(het)アリールを示し(ここで、上記各アルキル基は、フッ素で場合により一又は多置換されており、そしてヒドロキシ、C1−4−アルコキシ、C1−4−アルキルスルファニル、C1−4−アルキルスルフィニル、C1−4−アルキルスルホニル、アミノ、C1−4−アルキル−アミノ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノ、C1−4−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、カルボキシ、C1−4−アルコキシ−カルボニル、アミノカルボニル、C1−4−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−4−アルキル)−アミノカルボニル、又は(het)アリールで場合により一置換されている)、
〜Y14(同一でも、及び/又は、異なっていてもよい)は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、C3−6−シクロアルキル、C3−6−シクロアルキルオキシ、テトラヒドロフラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−3−イルオキシ、テトラヒドロピラン−4−イルオキシ、テトラヒドロフラニル−C1−3−アルキルオキシ、テトラヒドロピラニル−C1−3−アルキルオキシ、(het)アリール、(het)アリールオキシ、
1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルキルオキシ、C1−6−アルキルアミノを示し(各基において、1個のCH基は、場合によりカルボニル又はスルホニルにより置き換えられており、ここで、各基は、場合により一又は多フッ素化されており、そして、各基は、更に、
ヒドロキシ、塩素、C1−3−アルキルオキシ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、カルボキシ、C1−3−アルキルオキシ−カルボニル、シアノ、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イルカルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニル、C1−3−アルキルカルボニルアミノ、(het)アリールカルボニルアミノ、C1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、C1−3−アルキル−スルホニル、C3−6−シクロアルキル、(het)アリール、又は(het)アリールオキシで場合により置換されている);
アミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、ピロリジン−1−イル、2−オキソ−ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、2−オキソ−ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、3−オキソ−モルホリン−4−イル、ピペラジン−1−イル、2−オキソ−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C3−6−シクロアルキルカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルオキシカルボニル)−ピペラジン−1−イル、4−(C1−4−アルキルスルホニル)−ピペラジン−1−イル、2−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、3−オキソ−4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル、
(het)アリールカルボニルアミノ、C1−4−アルキルオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルアミノ、C1−4−アルキル−アミノカルボニルアミノ、(het)アリールアミノカルボニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニルアミノ、ピロリジン−1−イルカルボニルアミノ、ピペリジン−1−イルカルボニルアミノ、モルホリン−4−イル−カルボニルアミノ、ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、C1−3−アルキルアミノスルホニルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ−スルホニルアミノ、ピロリジン−1−イルスルホニルアミノ、ピペリジン−1−イルスルホニルアミノ、モルホリン−4−イルスルホニルアミノ、ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルスルホニルアミノ、(C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ)カルボニルアミノ、(het)アリールスルホニルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルカルボニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルオキシカルボニルアミノ、N−(アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−(C1−3−アルキル−アミノカルボニル)−C1−3−アルキルアミノ、N−[ジ−(C1−3−アルキル)アミノカルボニル]−C1−3−アルキルアミノ、
N−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールスルホニルアミノ、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルスルホニルアミノ、
カルボキシ、C1−3−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アゼチジン−1−イルカルボニル、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジン−1−イル−カルボニル、モルホリン−4−イルカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イル−カルボニル、(het)アリールアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリールアミノカルボニル、(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、N−(C1−3−アルキル)−(het)アリール−C1−3−アルキルアミノカルボニル、
(het)アリールカルボニル、
1−3−アルキルスルファニル、C1−3−アルキルスルフィニル、(het)アリールスルホニル、トリフルオロメチルスルファニル、トリフルオロメチルスルフィニル、
アミノスルホニル、C1−3−アルキルアミノスルホニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノスルホニル、ピロリジン−1−イル−スルホニル、ピペリジン−1−イルスルホニル、モルホリン−4−イルスルホニル、ピペラジン−1−イルスルホニル、4−(C1−3−アルキル)−ピペラジン−1−イルスルホニルを示し
(ここで、上記飽和ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキル環は、フッ素、C1−3−アルキル、C1−3−アルコキシ、C1−3−アルコキシ−C1−3−アルキル、又はヒドロキシより独立して選択される1又は2個の基で場合により置換されている)、ならびに
同じ炭素原子に結合している2個の基Y、例えば、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y、Y/Y10、Y11/Y12、Y13/Y14は、それらが結合する炭素原子と組み合わされて、カルボニル基又はC3−6−シクロアルキル基(ここで、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして、場合により部分不飽和であり、場合により、互いに独立してRより選択される置換基で一又は多置換、好ましくは一〜四置換されている)を形成してもよく、ならびに/あるいは
及びY、Y及びY、Y及びY、Y及びY、又はY及びY11の対のうちの1つは、組み合わされて、C1−3−アルキレン架橋(ここで、1又は2個のCH基は、互いに独立して、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により置き換えられており、そして、場合により部分不飽和であり、場合により、互いに独立してRより選択される置換基で一又は多置換、好ましくは一〜四置換されている)を形成してもよく、ならびに/あるいは
残基Y、Y及びYは、場合により結合して、C3−6−アルキレン架橋(ここで、1個のCH基は、O、S、NR、カルボニル、又はスルホニルにより場合により、1個のCH基は、Nにより場合により置き換えられており、そして互いに独立してRより選択される置換基で場合により一又は多置換、好ましくは一〜四置換されている)を形成し、
10は、互いに独立して、ハロゲン、C1−3−アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノ、C1−3−アルキルアミノ、ジ−(C1−3−アルキル)アミノ、アセチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、カルボキシ、C1−4−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、C1−3−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C1−3−アルキル)−アミノカルボニル、アミノスルホニル、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、ヒドロキシ、C1−3−アルキルオキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、又はフェニル(互いに独立して、フッ素、メチル、メトキシ、シアノ、又はヒドロキシより選択される1又は2個の置換基で場合により置換されている)を示す
(上記(het)アリールは、フェニル、ナフチル、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、又は
ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル(ここで、1又は2個のCHは、Nにより置き換えられている)、又は
インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル(ここで、1〜3個のCHは、Nにより置き換えられている)、又は
1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリジニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリジニル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−ピリダジニル、1,2,3,6−テトラヒドロ−3,6−ジオキソ−ピリダジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピリミジニル、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−ピリミジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−ピリミジニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−ピラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−ピラジニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−インドリル、2,3−ジヒドロベンゾ−フラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−ベンゾオキサゾリル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キノリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−イソキノリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−シンノリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソ−キナゾリニル、1,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−キナゾリニル、1,2−ジヒドロ−2−オキソキノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−3−オキソ−キノキサリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,3−ジオキソ−キノキサリニル、1,2−ジヒドロ−1−オキソ−フタラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−ジオキソ−フタラジニル、クロマニル、クマリニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、3,4−ジヒドロ−3−オキソ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジニルであり、
そして、ここで、上記(het)アリール基は、同一でも異なっていてもよい1〜3個のR10で場合により置換されており、
上記アルキル又はアルキレン部分は分岐でも非分岐でもよい)]により示される化合物、その互変異性体、その立体異性体、その混合物、及びその塩。
【請求項2】
一般用語a(ここで、a、b、c、d、e、f、及びgは、表1の上の段落に記載の対応する置換基の特徴的な個々の実施態様を表す)から生成しうる実施態様のいずれか一つにより定義される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
表1中の実施態様E−1、E−2、E−3、E−4、E−5、E−6、E−7、E−8、E−9、E−10、E−11、E−12、E−13、E−14、E−15、E−16、E−17、及びE−18により定義される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
実施態様E−10(表1)により定義される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化77】


[式中、エチレン架橋及び残基Rは、ピペリジン環の同じ面上に位置し、そして、基R、Y〜Y、V、W、及びXは、請求項1に定義されるとおりである]で示される化合物。
【請求項6】
一般用語a(ここで、a、b、c、d、e、f、及びgは、表1の上の段落に記載の対応する置換基の特徴的な個々の実施態様を表す)から生成しうる実施態様のいずれか一つにより定義される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
表1中の実施態様E−1、E−2、E−3、E−4、E−5、E−6、E−7、E−8、E−9、E−10、E−11、E−12、E−13、E−14、E−15、E−16、E−17、及びE−18により定義される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
実施態様E−10(表1)により定義される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
無機又は有機の酸又は塩基との、請求項1〜8の少なくとも1項に記載の化合物の生理学的に許容しうる塩。
【請求項10】
請求項1〜8の少なくとも1項に記載の化合物又は請求項9に記載の生理学的に許容しうる塩を、場合により1個以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に含有する医薬組成物。
【請求項11】
代謝障害などの、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を受けうる疾患又は症状の治療又は予防のための、請求項1〜8の少なくとも1項に記載の化合物又は請求項9に記載の生理学的に許容しうる塩。
【請求項12】
代謝障害などの、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)1を阻害することにより影響を受けうる疾患又は症状の治療又は予防に適した医薬組成物を調製するための、請求項1〜8の少なくとも1項に記載の少なくとも1個の化合物又は請求項9に記載の生理学的に許容しうる塩の使用。
【請求項13】
一般式III:
【化78】


[式中、基Rは、本明細書で前述及び後述のとおり定義される]で示されるアミン、又は
一般式IV:
【化79】


[式中、基Y〜Y、V、W、及びXは、本明細書で前述及び後述のとおり定義される]で示されるアミンを、一般式Y−CO−Yで示される炭酸誘導体と反応させて、一般式V又はVI:
【化80】


[式中、
基R、Y〜Y、V、W、及びXは、本明細書で前述及び後述のとおり定義され、そして、
Yは脱離基であり、特に、フッ素、塩素、臭素、シアノ、C1−9−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1−8−アルキルスルファニル、ヘテロアリ−N−イル(heteroar-N-yl)、アリーロトリアゾール−1−イルオキシ、ヘテロアリーロトリアゾール−1−イルオキシ、3−メチル−イミダゾール−1−イル、スクシニル−N−オキシ、ジ−(C1−4−アルキル)アミノカルボニルオキシ、ピロール−1−イルカルボニルオキシ、ピペリジン−1−イル−カルボニルオキシ、モルホリン−4−イルカルボニルオキシ、アリールスルファニル、又はヘテロアリールスルファニルを示し、
上記基の定義において示されたアルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、互いに独立して、フッ素、塩素、C1−3−アルキル、又はC1−3−アルコキシより選択される1個以上の置換基、好ましくは1〜5個の置換基で場合により置換されており、
上記基の定義において示されたアリール基は、フェニル又はナフチルを示し、上記基の定義において示されたヘテロアリール基は、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルを示す一方、アリール及びヘテロアリール基の両方は、互いに独立して、フッ素、塩素、臭素、C1−3−アルキル、C1−3−アルキルオキシ、ニトロ、シアノ、又はジ−(C1−3−アルキル)−アミノより選択される1個以上、好ましくは1〜5個の置換基で場合により置換されており、
Y−CO−Y中の2個のYは、同一でも異なっていてもよく、
置き換えられる第2のYはまた、第1のYが2個のアミンのうちの1つで置き換えられた後に、より反応性の高いYに変換されてもよい]で示される化合物のいずれかを中間体として得て、
ここで、一般式V及びVIの中間体を、場合により単離し、そして場合により精製し、その後、続いて一般式III又はIVの他のアミンと反応させて、一般式Iの化合物を得て;
(反応は、場合により、アミンなどの有機塩基、例えば、エチルジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、イミダゾール、もしくはピリジン、又は無機塩基、例えば、炭酸カリウムもしくは酸化カルシウム、及び/又は添加剤、例えば4−ジメチルアミノピリジンもしくは1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下、好ましくは−10〜120℃で、好ましくはテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、エーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン、ベンゼン、及びヘキサンより選択される溶媒中で行うが、水溶液及びアルコール溶液もまた、上記組み合わせの幾つかでは使用可能であってよい);そして
必要であれば、上記反応に使用する任意の保護基を、同時に又は続いて開裂し;
所望であれば、このようにして得た一般式Iの化合物を、その立体異性体に分割し;
所望であれば、このようにして得た一般式Iの化合物を、その塩、特に、薬学的使用のために、その生理学的に許容しうる塩に変換することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の一般式Iの化合物又は請求項9に記載の生理学的に許容しうる塩の調製方法。

【公表番号】特表2012−506405(P2012−506405A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532637(P2011−532637)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063913
【国際公開番号】WO2010/046445
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】