説明

置換4−アリール−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジンアミドおよびそれらの使用

本発明は、新規4−アリール−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド類、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患、特に心血管疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規の置換4−アリール−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド類、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患、特に心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルドステロンは、遠位ネフロンの上皮において、ナトリウム貯留およびカリウム排泄を促進することにより、体液および電解質の恒常性維持において鍵となる役割を果たし、かくして細胞外体積を一定に維持することに貢献し、かくして血圧の調節に貢献する。これに加えて、アルドステロンは、心臓および血管系の構造と機能に対する直接的作用を示すが、その根底にあるメカニズムは、未だ完全には説明されていない [R.E. Booth, J.P. Johnson, J.D. Stockand, Adv. Physiol. Educ. 26 (1), 8-20 (2002)]。
【0003】
アルドステロンは、副腎皮質で形成されるステロイドホルモンである。その産生は、間接的に、まさに実質的に、腎血流に依存して調節される。腎血流のいかなる減少も、腎臓における酵素レニンの循環血への放出を導く。これは、次いで、アンジオテンシンIIの形成を活性化し、それは一方で動脈血管に対する収縮作用を有するが、他方では、副腎皮質におけるアルドステロンの形成も刺激する。かくして、腎臓は、循環血において、血圧のセンサーとして、従って間接的な体積センサーとして作用し、そして、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系を介して、一方で血圧を高めることにより(アンジオテンシンII効果)、他方で、腎臓におけるナトリウムおよび水の再吸収の増加によって血管系の充填状態の均衡を再び保つことにより(アルドステロン効果)、決定的な体積の喪失に対抗する。
【0004】
この制御システムは、様々な方法で病的に損なわれ得る。かくして、腎血流の慢性的低下(例えば、心不全およびそれに起因する静脈系における鬱血の結果として)は、慢性的なアルドステロンの過剰放出を導く。次いで、これに続いて血液量の拡大が起こり、それにより、心臓への過剰量の供給を介して、心臓を弱くする。息切れを伴う肺における鬱血および四肢における浮腫形成、並びに、腹水および胸水貯留が起こり得て、腎血流はさらに低下する。加えて、過剰なアルドステロン効果は、血液中および細胞外液中のカリウム濃度の低下を導く。以前に別の要因で損傷を受けた心筋において、決定的最低レベルを下回る逸脱があるならば、致死的結果を伴う心不整脈が誘導され得る。これは、心不全患者で頻発する心臓性突然死の主原因の一つと見込まれる。
【0005】
加えて、アルドステロンはまた、典型的には心不全において観察される数々の心筋再構築過程を担うと考えられる。従って、高アルドステロン症は、例えば心筋梗塞、心筋の炎症または高血圧などの様々なタイプの損傷により元々は誘導され得る心不全の病理および予後において、重大な構成要素である。この仮説は、慢性心不全を有する患者および急性心筋梗塞後の患者の群に対する広範囲の臨床研究において、アルドステロンアンタゴニストの使用により、全体的な死亡率の顕著な減少があったという事実により支持される[B. Pitt, F. Zannad, W.J. Remme et al., N. Engl. J. Med. 341, 709-717 (1999); B. Pitt, W. Remme, F. Zannad et al., N. Engl. J. Med. 348, 1309-1321 (2003)]。とりわけ、心臓性突然死の発生率の低下により、これを達成することが可能であった。
【0006】
最近の研究によると、本態性高血圧症に罹患している少なからぬ数の患者が、原発性高アルドステロン症のいわゆる正常カリウム血性異型を有することも見出されている[全ての高血圧患者の11%に上る罹患率:L. Seiler and M. Reincke, Der Aldosteron-Renin-Quotient bei sekundaerer Hypertonie, Herz 28, 686-691 (2003)]。正常カリウム血性高アルドステロン症の最良の診断方法は、レニン血漿濃度に対するアルドステロンの相対的上昇も診断し最終的に処置できるように、対応する血漿濃度のアルドステロン/レニンの比率である。この理由で、本態性高血圧に関連して診断される高アルドステロン症は、原因的および予防的に有意義な治療のための出発点である。
【0007】
上記で詳述した高アルドステロン症のタイプよりもかなり一般性が低いのは、欠陥が副腎自体のホルモン産生細胞に見出されるか、または、その数または量が過形成または増殖により増大している、いずれかの病状である。副腎皮質の腺腫または瀰漫性過形成は、コン症候群と呼ばれる原発性高アルドステロン症の最も一般的な原因であり、その主症状は、高血圧と低カリウム血性アルカローシスである。ここでの優先事項も、罹患組織の外科的除去に加えて、アルドステロンアンタゴニストによる薬物療法である[H.A. Kuehn and J. Schirmeister (Editors), Innere Medizin, 4th edition, Springer Verlag, Berlin, 1982]。
【0008】
典型的に血漿アルドステロン濃度の上昇を伴う他の病状は、進行した肝硬変である。この場合のアルドステロン上昇の原因は、主に、肝機能の欠陥に起因する、限られたアルドステロン分解である。体液量過剰、浮腫および低カリウム血症は、典型的な結果であり、それは、アルドステロンアンタゴニストによる臨床的実施で成功裏に緩和できる。
【0009】
アルドステロンの作用は、標的細胞の細胞内に局在する鉱質コルチコイド受容体により媒介される。今日までに利用可能なアルドステロンアンタゴニストは、アルドステロン自体と同様に、基本的ステロイド構造を有する。そのようなステロイド性アンタゴニストの有用性は、女性化乳房および不能などのかなりの副作用および治療の中止を導く場合がある他のステロイドホルモンの受容体とそれらの相互作用により制限される[M.A. Zaman, S. Oparil, D.A. Calhoun, Nature Rev. Drug Disc. 1, 621-636 (2002)]。
【0010】
鉱質コルチコイド受容体に対してより選択的である強力な非ステロイド性アンタゴニストの使用は、この副作用のプロフィールを回避し、かくして顕著な治療的利点を達成する可能性をもたらす。
【0011】
本発明の目的は、障害、特に心血管障害の処置用の、選択的鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストとして使用できる新規化合物を提供することである。
【0012】
EP0133530−A、EP0173933−A、EP0189898−AおよびEP0234516−Aは、血管障害の処置にカルシウム−アンタゴニスト的な効果を有する4−アリール−置換1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン類および−ナフチリジノン類を開示している。これらの化合物の薬学的プロフィールは、とりわけ、G. Werner et al., Naunyn-Schmiedeberg's Arch. Pharmacol. 344 (3), 337-344 (1991) で報告されている。加えて、1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体は、WO02/10164において、様々な(特に泌尿器の)障害の処置のための、カリウムチャネル開口薬として特許請求されている。4−フルオレノニル−および4−クロメノニル−1,4−ジヒドロピリジン誘導体は、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストとして、WO2005/087740およびWO2007/009670に記載されている。WO2006/066011は、4−アリール−3−シアノ−1,4−ジヒドロピリジン−5−カルボン酸エステル類およびカルボキサミド類を、いくつかの場合ではステロイドホルモン受容体およびL型カルシウムチャネルのデュアルモジュレーターとして開示しており、WO2005/097118は、4−アリール−1,4−ジヒドロピリジンコア構造を有する化合物を、アルドステロン受容体アンタゴニストとして特許請求している。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、一般式(I)
【化1】

[式中、
DはNまたはC−Rであり
{ここで、Rは、水素、フッ素、トリフルオロメチルまたは(C−C)−アルキルである}、
Arは、式
【化2】

{式中、
*は、結合点であり、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルまたは(C−C)−アルキルであり、
は、水素またはフッ素であり、
は、ハロゲン、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシであり、
は、シアノまたはニトロであり、
は、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルチオまたはジ−(C−C)−アルキルアミノであり、該(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルキルチオラジカル中のアルキル基は、各場合で、3個までのフッ素により置換されていてもよいか、または、
は、フェニルであり、これは、ハロゲン、(C−C)−アルキルまたはトリフルオロメチルにより置換されていてもよく、
10は、水素、ハロゲンまたは(C−C)−アルキルであり、
Eは、CH、C−RまたはNであり、
そして、
nは、0、1または2の数であり、
置換基Rが1個より多く存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよい}
の基であり、
は、3個までのフッ素により置換されていてもよい(C−C)−アルキルであり、
は、(C−C)−アルキルであり、これは、(C−C)−シクロアルキルにより、または、3個までのフッ素により置換されていてもよいか、または、Rは、式−SO−R11の基であり
{ここで、R11は、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、フェニルまたはN、Oおよび/またはSの群から2個までのヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールであり、
フェニルおよびヘテロアリールは、各々、1個または2個の同一であるかまたは異なるハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシおよび/またはトリフルオロメトキシにより置換されていてもよい}、
そして、
は、水素、フッ素、トリフルオロメチルまたは(C−C)−アルキルである]
の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物;式(I)に包含される後述の式の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、および、式(I)に包含される例示的実施態様として後述する化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(式(I)に包含される後述の化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合に)である。
【0015】
本発明の化合物は、それらの構造次第で、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物に関する。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、立体異性的に純粋な構成分を、既知方法で単離できる。
本発明の化合物が互変異性体で存在し得る場合、本発明は、全ての互変異性体を包含する。
【0016】
本発明の目的上、好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容し得る塩である。それら自体は医薬的使用に適さないが、例えば本発明の化合物の単離または精製に使用できる塩も包含される。
【0017】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、無機酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0018】
本発明の化合物の生理的に許容し得る塩には、常套の塩基の塩、例えば、そして、好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0019】
本発明の目的上、溶媒和物は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明の化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。水和物は、本発明に関して好ましい溶媒和物である。
【0020】
加えて、本発明は、本発明の化合物のプロドラッグを包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に(例えば、代謝または加水分解により)本発明の化合物に変換される化合物を包含する。
【0021】
本発明に関して、置換基は、断りの無い限り、以下の意味を有する:
(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、本発明に関して、各々1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを表す。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルが好ましい。例えば、そして好ましくは、以下のものに言及し得る:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチル、イソ−ペンチルおよびn−ヘキシル。
【0022】
(C−C)−シクロアルキルは、本発明に関して、3個ないし7個の炭素原子を有する飽和単環式シクロアルキル基を表す。好ましいのは、3個ないし6個の炭素原子を有するシクロアルキルラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のものに言及し得る:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチル。
【0023】
(C−C)−アルコキシは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルを表す。例えば、そして好ましくは、以下のものに言及し得る:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびtert−ブトキシ。
【0024】
(C−C)−アルキルチオは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルチオラジカルを表す。例えば、そして好ましくは、以下のものに言及し得る:メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオおよびtert−ブチルチオ。
【0025】
ジ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、各々1個ないし4個の炭素原子を有する2個の同一であるかまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。例えば、そして好ましくは、以下のものに言及し得る:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノ。
【0026】
5員または6員のヘテロアリールは、本発明に関して、N、Oおよび/またはSの群からの1個または2個の環内原子を含む5個または6個の環内原子を有し、環内炭素原子を介して結合している、芳香族性複素環(複素芳香族)を表す。例えば、そして好ましくは、以下のものに言及し得る:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびピラジニル。
【0027】
ハロゲンには、本発明に関して、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。フッ素または塩素が好ましい。
【0028】
本発明の化合物中のラジカルが置換されているならば、そのラジカルは、断りのない限り、一置換または多置換されていてよい。本発明に関して、1個より多く存在する全てのラジカルは、相互に独立した意味を有する。1個、2個または3個の同一かまたは異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がことさら特に好ましい。
【0029】
本発明に関して好ましいのは、式中、
Dが、C−Rであり
{ここで、Rは、水素、メチルまたはトリフルオロメチルである}、
Arが式
【化3】

{式中、
*は、結合点であり、
は、水素、フッ素、塩素またはシアノであり、
は、シアノまたはニトロであり、
そして、
は、塩素、臭素、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルチオまたはトリフルオロメチルチオである}
の基であり、
が、メチルまたはトリフルオロメチルであり、
が、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチルまたは式−SO−R11の基であり
{ここで、R11は、(C−C)−アルキルまたはトリフルオロメチルである}、
そして、
は、水素、メチルまたはトリフルオロメチルである、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0030】
本発明に関して、特に好ましいのは、式中、
Dが、C−Rであり
{ここで、Rは、水素またはメチルである}、
Arが、式
【化4】

{式中、
*は、結合点であり、そして、
は、エチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシである}
の基であり、
が、メチルまたはトリフルオロメチルであり、
が、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルであり、
そして、
が水素またはメチルである、
式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0031】
ことさら特に好ましいのは、以下の構造:
【化5】

を有する式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0032】
特に好ましいのは、以下の構造:
【化6】

を有するエナンチオマー化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0033】
ラジカルの各々の組合せまたは好ましい組合せで特別に示されるラジカルの定義は、それらのラジカルについて示される特定の組合せに関係なく、所望により他の組合せのラジカルの定義によっても置き換えられる。
上述の好ましい範囲の2つまたはそれ以上の組合せがことさら特に好ましい。
【0034】
本発明は、さらに、本発明の式(I)の化合物の製造方法に関し、それは、式(II)
【化7】

(式中、Arは上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、必要に応じて酸、酸/塩基の組合せおよび/または脱水剤の存在下、式(III)
【化8】

(式中、Rは、上記の意味を有し、そして、
Tは、アリルまたは2−シアノエチルである)
の化合物と反応させ、式(IV)
【化9】

(式中、Ar、TおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、
【0035】
次いで、後者を、不活性溶媒中で、式(V)
【化10】

(式中、DおよびRは上記の意味を有する)
の化合物と縮合し、式(VI)
【化11】

(式中、Ar、D、T、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、
【0036】
次いで、式(VI)の化合物を、不活性溶媒中、必要に応じて塩基の存在下、式(VII)の化合物または式(VIII)のトリアルキルオキソニウム塩
【化12】

(式中、
12は、(C−C)−アルキルであり、これは、(C−C)−シクロアルキルにより、または、3個までのフッ素により置換されていてもよく、
12Aは、メチルまたはエチルであり、
Xは、例えば、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの脱離基であり、
そして、
は、非求核性陰イオン、例えば、テトラフルオロボレートである)
を用いて、または、酸の存在下、式(IX)
【化13】

(式中、R12Aは、上記の意味を有する)
のトリアルキルオルトホルメートを用いて、アルキル化し、式(X−A)
【化14】

(式中、Ar、D、T、R、RおよびR12は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
【0037】
または、式(VI)の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(XI)
【化15】

(式中、R11は上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(X−B)
【化16】

(式中、Ar、D、T、R、RおよびR11は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、
【0038】
次いで、式(X−A)または(X−B)の化合物中のエステル基Tを、それ自体知られている方法により除去し、式(XII)
【化17】

(式中、Ar、D、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
のカルボン酸を得、次いで、1,1'−カルボニルジイミダゾールを用いて、式(XIII)
【化18】

(式中、Ar、D、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
のイミダゾリドに変換し、次いで、後者を、不活性溶媒中、必要に応じて補助塩基の存在下、アンモニアと反応させ、式(I)のアミドを得、
必要に応じて、式(I)の化合物を当業者に既知の方法で、それらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離し、および/または、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基または酸で、溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする。
【0039】
連続工程(II)+(III)→(IV)および(IV)+(V)→(VI)は、中間体(IV)を単離せずに、1工程で3成分反応(II)+(III)+(V)→(VI)として実施することもできる。
【0040】
工程(II)+(III)→(IV)および(IV)+(V)→(VI)または(II)+(III)+(V)→(VI)は、一般的に、不活性溶媒中、+20℃ないし溶媒の沸点の温度範囲で、大気圧下で、実施する。
【0041】
この目的に適する不活性溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロエタンまたは1,2−ジクロロエタンなどのハロ炭化水素類、または、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ピリジンまたは氷酢酸などの他の溶媒である。反応は、好ましくは、ジクロロメタン、トルエン、エタノールまたはイソプロパノール中、各々の還流温度で、大気圧下で実施する。
【0042】
該反応は、必要に応じて、酸、酸/塩基の組合せ、および/または、脱水剤、例えば、モレキュラー・シーブの存在下で、有利に行うことができる。適する酸の例は、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸である;適する塩基は、特に、ピペリジンまたはピリジンである[1,4−ジヒドロピリジンの合成には、D.M. Stout, A.I. Meyers, Chem. Rev. 1982, 82, 223-243; H. Meier et al., Liebigs Ann. Chem. 1977, 1888; H. Meier et al., ibid. 1977, 1895; H. Meier et al., ibid. 1976, 1762; F. Bossert et al., Angew. Chem. 1981, 93, 755 も参照]。
【0043】
工程(VI)+(VII)→(X−A)、(VI)+(VIII)→(X−A)および(VI)+(XI)→(X−B)のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油留分などの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼンまたはクロロトルエンなどのハロ炭化水素類、または、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N−メチルピロリドン(NMP)、ピリジンまたはアセトニトリルなどの他の溶媒である。該溶媒の混合物を使用することも同様に可能である。好ましいのは、工程(VI)+(VII)→(X−A)におけるテトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドの使用、工程(VI)+(VIII)→(X−A)におけるジクロロメタンの使用、そして、工程(VI)+(XI)→(X−B)におけるピリジンの使用である。
【0044】
工程(VI)+(IX)→(X−A)は、好ましくは、ジメチルホルムアミド中の大過剰のオルトギ酸エステルを用いて、または、さらなる溶媒を添加せずに、実施する;例えば硫酸などの強い無機酸は、反応触媒として有利である[例えば、I.I. Barabanov et al., Russ. Chem. Bl. 47 (11), 2256-2261 (1998)参照]。
【0045】
工程(VI)+(VII)→(X−A)に適する塩基は、特に、炭酸リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはセシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、水素化ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属水素化物、リチウム、ナトリウムまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド類、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、例えば、P2−t−BuまたはP4−t−Buなどのホスファゼン塩基[いわゆる「シュベジンガー塩基(Schwesinger bases)」", R. Schwesinger, H. Schlemper, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 26, 1167 (1987); T. Pietzonka, D. Seebach, Chem. Ber. 124, 1837 (1991)参照] である。水素化ナトリウムまたはホスファゼン塩基P4−t−Buを好ましくは使用する。
【0046】
工程(VI)+(XI)→(X−B)に適する塩基は、特に、例えば、炭酸リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムまたはセシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、水素化ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属水素化物、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO(登録商標)などの有機アミン類である。好ましくはピリジンを使用し、これは、同時に溶媒として役立つ。
【0047】
工程(VI)+(VIII)→(X−A)は、一般的に、塩基を添加せずに実施する。
反応(VI)+(VII)→(X−A)、(VI)+(VIII)→(X−A)および(VI)+(XI)→(X−B)は、一般的に、−20℃ないし+100℃の温度範囲で、好ましくは0℃ないし+60℃で行う;方法の変形(VI)+(IX)→(X−A)は、通常、+100℃ないし+150℃の温度範囲で実施する。これらの反応は、大気圧、加圧または減圧下で(例えば、0.5ないし5barで)実施できる;それらは、一般的に、大気圧下で実施する。
【0048】
工程(X−A)または(X−B)→(XII)におけるアリルまたは2−シアノエチルエステルの除去は、文献で通例の既知方法により行う。2−シアノエチルエステルの場合、この目的で、アルカリ金属水酸化物の水性溶液、例えば水酸化ナトリウムまたはカリウム溶液を好ましくは用いる。この反応は、一般的に、水混和性不活性共溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたは1,2−ジメトキシエタンを使用して、0℃ないし+40℃の温度範囲で実施する。アリルエステルの場合、この除去は、好ましくは、ウィルキンソン触媒[トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド]を利用して、水/アルコール/酢酸混合物中、+50℃ないし+100℃の温度で行う[例えば、Moseley, J.D., Tetrahedron Lett. 46, 3179-3181 (2005) を参照]。
【0049】
工程(XII)→(XIII)に適する不活性溶媒の例は、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンまたはクロロトルエンなどのハロ炭化水素類、または、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトン、アセトニトリルまたは酢酸エチルなどの他の溶媒である。該溶媒の混合物を使用することも同様に可能である。テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたは酢酸エチルを好ましくは用いる。この反応は、通常、0°ないし+40℃の温度範囲で実施する。
【0050】
工程(XIII)→(I)に適する不活性溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、または、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトニトリルまたは水などの他の溶媒である。これらの溶媒の混合物を使用することも同様に可能である。テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドを好ましくは用いる。
【0051】
この反応のアンモニア源として適するのは、上述の溶媒の1種の中の、特に水中の、気体状アンモニアの溶液である。この反応は、必要に応じて、補助塩基としての第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたは4−N,N−ジメチルアミノピリジンの存在下で、有利に実施できる。この反応は、一般的に、+20℃ないし+120℃の温度範囲で、好ましくは+50℃ないし+100℃で行う。
【0052】
式(II)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献から知られている方法と同様に製造できる(後述の反応スキーム1−7参照)。式(III)、(VII)、(VIII)、(IX)および(XI)の化合物は、多くの場合、購入できるか、文献から知られているか、または、文献から知られている方法により製造できる。
【0053】
式(V)の化合物は、文献に記載されているか、または、文献から知れられている方法と同様に得ることができる[例えば T. Searls, L.W. McLaughlin, Tetrahedron 55, 11985-11996 (1999); D. McNamara, P.D. Cook, J. Med. Chem. 30, 340-347 (1987); S. Nesnow, C. Heidelberger, J. Heterocycl. Chem. 12, 941-944 (1975); N.C. Hung, E. Bisagni, Synthesis 1984, 765-766; Z. Foeldi et al., Chem. Ber. 75 (7), 755-763 (1942); G.W. Kenner et al., J. Chem. Soc., 388 (1943) 参照]。
【0054】
必要に応じて、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの分離を中間体(VI)、(X−A)、(X−B)または(XII)の段階で行い、次いで、それを、別々に後続の反応に付すことも可能である。
【0055】
本発明の化合物の製造は、以下の合成スキームにより例示説明できる:
スキーム1
【化19】

[a):臭化アリル、炭酸カリウム、触媒のヨウ化カリウム、アセトン、還流;b):230℃、4時間;c):ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム(II)、トルエン、120℃、16時間;d):塩化アセチル、水素化ナトリウム、THF、10−25℃、16時間;e):1. オゾン、ジクロロメタン、−60℃、30分間;2. 硫化ジメチル]。
【0056】
スキーム2
【化20】

[a):n−ブチルリチウム、THF、60℃、3時間;b):無水酢酸、ピリジン、還流、6時間;c):濃HSO、HNO、0℃、1時間;d):N−ブロモスクシンイミド、AIBN、テトラクロロメタン、還流;e):N−メチルモルホリンN−オキシド、アセトニトリル、還流]。
【0057】
スキーム3
【化21】

[a):塩化スズ(II)二水和物、酢酸エチル、70℃;b):1. 亜硝酸ナトリウム、硫酸、0℃、1.5時間;2. シアン化銅(I)、シアン化ナトリウム、水/酢酸エチル、0℃、45分;c):N−ブロモスクシンイミド、AIBN、テトラクロロメタン、還流;d):N−メチルモルホリンN−オキシド、アセトニトリル、還流]。
【0058】
スキーム4
【化22】

[a):トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ピリジン、0℃→室温、30分;b):tert−ブチルアクリレート、ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II)、DMF、120℃、24時間;c):触媒の四酸化オスミウム、触媒のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、過ヨウ素酸ナトリウム、THF/水、20−25℃、2時間]。
【0059】
スキーム5
【化23】

[a):n−ブチルリチウム、THF、−78℃、次いでN−ホルミルモルホリン;b):シアン化亜鉛、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、DMF、マイクロ波250℃/5分]。
【0060】
スキーム6
【化24】

[a):N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、DMF、140−180℃;b):過ヨウ素酸ナトリウム、THF/水]。
【0061】
スキーム7
【化25】

[a):N−ブロモスクシンイミド、AIBN、テトラクロロメタン、還流;b):N−メチルモルホリンN−オキシド、アセトニトリル、3Åモレキュラー・シーブ]。
【0062】
スキーム8
【化26】

[a):触媒のピペリジン/酢酸、ジクロロメタン、還流、24時間;b):イソプロパノール、還流、12−72時間;c):アルキルトリフレートまたはヨージド、塩基、THFまたはDMF、室温;または、トリアルキルオキソニウムテトラフルオロボレート、ジクロロメタン、室温;または、トリアルキルオルトホルメート、触媒の硫酸、100−130℃;または、R11−SO−Cl、ピリジン、室温;d):T=2−シアノエチル:水性NaOH、DME/水、室温;T=アリル:(PPhRhCl、水/エタノール/酢酸、75℃;e):1,1'−カルボニルジイミダゾール、酢酸エチル、室温、12時間;f):水性アンモニア、DMF、50−100℃、0.5−12時間]。
【0063】
本発明の化合物は、鉱質コルチコイド受容体のアンタゴニストとして作用し、予想し得なかった価値ある範囲の薬理効果を示す。従って、それらは、ヒトおよび動物の疾患の処置および/または予防用の医薬としての使用に適する。
【0064】
本発明の化合物は、様々な障害および疾患関連症状、特に、血漿アルドステロン濃度の上昇または血漿レニン濃度に対する血漿アルドステロン濃度の変化を特徴とするか、またはこれらの変化に関連する障害の予防および/または処置に適する。言及し得る例は:特発性原発性高アルドステロン症、副腎の過形成、副腎腺腫および/または副腎癌に関連する高アルドステロン症、肝硬変に関連する高アルドステロン症、心不全に関連する高アルドステロン症、および本態性高血圧に関連する(相対的)高アルドステロン症である。
【0065】
本発明の化合物は、また、それらの作用メカニズムのために、心臓性突然死による死亡のリスクが高い患者における心臓性突然死の予防にも適する。これらは、特に、例えば以下の障害の1つに罹患している患者である:原発性または二次性高血圧、うっ血性心不全を伴うか、または伴わない高血圧性心臓病、治療耐性(therapy-resistant)高血圧、急性および慢性心不全、冠動脈心疾患、安定および不安定狭心症、心筋虚血、心筋梗塞、拡張型心筋症、先天性原発性心筋症、例えば、ブルガダ症候群、シャーガス病により誘起される心筋症、ショック、動脈硬化症、心房性および心室性不整脈、一過性および虚血性発作、卒中、炎症性心血管障害、末梢および心臓血管障害、末梢血流の障害、動脈閉塞性疾患、例えば、間欠性跛行、無症候性左室機能不全、心筋炎、心臓の肥大性変化、肺高血圧、冠動脈および末梢動脈の攣縮、血栓症、血栓塞栓性障害および血管炎。
【0066】
加えて、本発明の化合物は、浮腫形成、例えば、肺浮腫、腎性浮腫または心不全に関連する浮腫、および、例えば血栓溶解治療、経皮経管的血管形成術(PTA)および冠動脈形成術(PTCA)、心臓移植およびバイパス術後の再狭窄の予防および/または処置に使用できる。
【0067】
本発明の化合物は、さらに、カリウム保持性利尿剤としての使用、および、例えば高カルシウム血症、高ナトリウム血症または低カリウム血症などの電解質異常のための使用に適する。
【0068】
本発明の化合物は、同様に、腎障害、例えば、急性および慢性腎不全、高血圧性腎臓病、動脈硬化性腎炎(慢性および間質性)、腎硬化症、慢性腎不全および嚢胞性腎障害の処置に、例えば臓器移植に関するシクロスポリンAなどの免疫抑制剤に起因し得る腎臓の損傷の予防に、そして、腎臓癌に適する。
【0069】
本発明の化合物は、さらに、真性糖尿病および糖尿病性続発症、例えば、神経障害および腎障害の予防および/または処置に用いることができる。
【0070】
本発明の化合物は、さらに、例えば真性糖尿病または高血圧に起因する微量アルブミン尿症、および、タンパク尿症の予防および/または処置に使用できる。
【0071】
本発明の化合物は、また、血漿グルココルチコイド濃度の上昇を伴うか、または、組織(例えば、心臓の)におけるグルココルチコイド濃度の局所的上昇を伴う障害の予防および/または処置にも適する。言及し得る例は、グルココルチコイドの過剰産生に至る副腎の機能不全(クッシング症候群)、グルココルチコイドの過剰産生をもたらす副腎皮質の腫瘍、および、自主的にACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を産生し、かくしてクッシング病をもたらす副腎の過形成を導く、下垂体腫瘍である。
【0072】
本発明の化合物は、さらに、肥満、代謝症候群および閉塞型睡眠時無呼吸の予防および/または処置に用いることができる。
【0073】
本発明の化合物は、さらに、例えばウイルス、スピロヘータ、真菌、細菌またはマイコバクテリアに起因する炎症性障害、並びに、多発性関節炎、エリテマトーデス、動脈周囲炎または多発性動脈炎、皮膚筋炎、強皮症およびサルコイドーシスなどの病因未詳の炎症性障害の予防および/または処置に使用できる。
【0074】
本発明の化合物は、さらに、抑うつ、不安状態および慢性疼痛、特に偏頭痛などの中枢神経の障害、並びに、アルツハイマー病およびパーキンソン症候群などの神経変性障害の処置に用いることができる。
【0075】
本発明の化合物は、また、例えば経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、ステント移植、冠動脈顕微法などの処置後の血管の損傷、バイパス術後の再閉塞または再狭窄の予防および/または処置に、並びに、内皮細胞機能不全に、レイノー病に、血栓性閉塞性血管炎(バージャー病)に、そして、耳鳴りの症候群に適する。
【0076】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明の化合物の使用に関する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための本発明の化合物の使用に関する。
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明の化合物の有効量を使用することによる、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法に関する。
【0077】
本発明の化合物は、単独で、または、必要であれば、他の有効成分と組み合わせて用いることができる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明の化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬に関する。組合せに適する有効成分は、例えば、そして好ましくは、以下のものである:
・例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断薬、ベータ−受容体遮断薬およびRhoキナーゼ阻害剤の群からの、血圧を下げる有効成分;
・利尿剤、特に、ループ利尿剤、並びに、チアジド類およびチアジド様利尿剤;
・例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの、抗血栓作用を有する物質;
・例えば、そして好ましくは、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、ポリマー性胆汁吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの、脂質代謝を改変する有効成分;
・有機硝酸塩およびNO供給源、例えば、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1および吸入NO;
・陽性変力作用を有する化合物、例えば、強心配糖体(ジゴキシン)、ベータ−アドレナリンおよびドーパミンアゴニスト、例えば、イソプロテレノール、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンおよびドブタミン;
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害剤、特にPDE5阻害剤、例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル、および、PDE3阻害剤、例えば、アムリノンおよびミルリノン;
・ナトリウム利尿ペプチド、例えば、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、アナリチド(anaritide))、B型ナトリウム利尿ペプチドまたは脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP、ネシリチド)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)およびウロジラチン(urodilatin);
・カルシウム感受性増強薬、例えば、そして好ましくは、レボシメンダン;
・NOに依存しないが、ヘムに依存するグアニル酸シクラーゼの刺激剤、例えば、特に、WO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載の化合物;
・NOおよびヘムに依存しないグアニル酸シクラーゼの活性化剤、例えば、特に、WO01/19355、WO01/19776、WO01/19778、WO01/19780、WO02/070462およびWO02/070510に記載の化合物;
・ヒト好中球エラスターゼ(HNE)の阻害剤、例えば、シベレスタットまたはDX−890(レルトラン(reltran));
・シグナル伝達カスケードを阻害する化合物、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、特に、ソラフェニブ、イマチニブ、ゲフィチニブおよびエルロチニブ;および/または、
・心臓のエネルギー代謝に影響を与える化合物、例えば、そして好ましくは、エトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンまたはトリメタジジン。
【0078】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、利尿剤、例えば、そして好ましくは、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタゾラミド、ジクロロフェナミド(dichlorophenamide)、メタゾラミド、グリセロール、イソソルビド、マンニトール、アミロライドまたはトリアムテレンと組み合わせて投与する。
【0079】
血圧を下げる物質は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ受容体遮断薬、ベータ受容体遮断薬、Rhoキナーゼ阻害剤および利尿剤の群からの化合物を意味する。
【0080】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、カルシウム拮抗薬、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与する。
【0081】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブサルタン(embusartan)と組み合わせて投与する。
【0082】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ACE阻害剤、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)と組み合わせて投与する。
【0083】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、エンドセリンアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ボセンタン、ダルセンタン(darusentan)、アンブリセンタンまたはシタキセンタン(sitaxsentan)と組み合わせて投与する。
【0084】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、レニン阻害剤、例えば、そして好ましくは、アリスキレン、SPP−600、SPP−635、SPP−676、SPP−800またはSPP−1148と組み合わせて投与する。
【0085】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、アルファ−1受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プラゾシンと組み合わせて投与する。
【0086】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ベータ−受容体遮断薬、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール(adaprolol)、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与する。
【0087】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、Rhoキナーゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、ファスジル、Y−27632、SLx−2119、BF−66851、BF−66852、BF−66853、KI−23095またはBA−1049と組み合わせて投与する。
【0088】
抗血栓作用を有する物質(抗血栓剤)は、好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群からの化合物を意味する。
【0089】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、血小板凝集阻害剤、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールと組み合わせて投与する。
【0090】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、トロンビン阻害剤、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサン(clexane)と組み合わせて投与する。
【0091】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、GPIIb/IIIaアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブと組み合わせて投与する。
【0092】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、Xa因子阻害剤、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン(BAY59−7939)、DU−176b、アピキサバン、オタミキサバン(otamixaban)、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリナックス、イドラパリナックス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428と組み合わせて投与する。
【0093】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与する。
【0094】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ビタミンKアンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、クマリンと組み合わせて投与する。
【0095】
脂質代謝を改変する物質は、好ましくは、CETP阻害剤、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群からの化合物を意味する。
【0096】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、CETP阻害剤、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ(CP−529414)、JJT−705、BAY60−5521、BAY78−7499またはCETPワクチン(Avant)と組み合わせて投与する。
【0097】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、甲状腺受容体アゴニスト、例えば、そして好ましくは、D−チロキシン、3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)、CGS23425またはアキシチロム(axitirome)(CGS26214)と組み合わせて投与する。
【0098】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、スタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与する。
【0099】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、スクアレン合成阻害剤、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475と組み合わせて投与する。
【0100】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ACAT阻害剤、例えば、そして好ましくは、アバシミブ(avasimibe)、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797と組み合わせて投与する。
【0101】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、MTP阻害剤、例えば、そして好ましくは、インプリタピド(implitapide)、BMS−201038、R−103757またはJTT−130と組み合わせて投与する。
【0102】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、PPAR−ガンマアゴニスト、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与する。
【0103】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、PPAR−デルタアゴニスト、例えば、そして好ましくは、GW−501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与する。
【0104】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、コレステロール吸収阻害剤、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドと組み合わせて投与する。
【0105】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、リパーゼ阻害剤、例えば、そして好ましくは、オーリスタットと組み合わせて投与する。
【0106】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、ポリマー性胆汁吸着剤、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、コレスタゲル(CholestaGel)またはコレスチミドと組み合わせて投与する。
【0107】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、胆汁酸再吸収阻害剤、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635と組み合わせて投与する。
【0108】
本発明の好ましい実施態様では、本発明の化合物を、リポタンパク質(a)アンタゴニスト、例えば、そして好ましくは、ゲンカベン(gemcabene)カルシウム(CI−1027)またはニコチン酸と組み合わせて投与する。
【0109】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明の化合物を、通常は1種またはそれ以上の、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0110】
本発明の化合物は、全身的および/または局所的作用を有し得る。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜もしくは耳の経路で、または、インプラントもしくはステントとして、投与できる。
本発明の化合物を、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
【0111】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明の化合物を迅速に、かつ/または、改変された方法で送達し、本発明の化合物を結晶形および/または無定形および/または溶解形態で含有するものであり、例えば、錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば、胃液耐性であるか、または、不溶であるかもしくは遅延して溶解し、本発明の化合物の放出を制御する被覆を有する錠剤)、口中で迅速に崩壊する錠剤、または、フィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0112】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤形態の注射および点滴用製剤である。
【0113】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形態(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液、スプレー;舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳および眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
経口または非経腸投与、特に経口および静脈内投与が好ましい。
【0114】
本発明の化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0115】
一般に、非経腸投与で1日に約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると明らかになった。経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0116】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤のタイプおよび投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方、上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらを1日に亘る複数の個別用量に分配するのが望ましいことがある。
【0117】
下記の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0118】
A. 実施例
略号および頭字語:
【表1】

【0119】
LC−MSおよびGC−MSの方法:
方法1(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0120】
方法2(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0121】
方法3(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0122】
方法4(LC−MS):
装置: HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0123】
方法5(GC−MS):
装置:Micromass GCT, GC 6890;カラム:Restek RTX-35MS, 30 m x 250 μm x 0.25 μm;ヘリウムの一定流速:0.88ml/分;オーブン:60℃;入口:250℃;グラジエント:60℃(0.30分間保持)、50℃/分→120℃、16℃/分→250℃、30℃/分→300℃(1.7分間保持)。
【0124】
方法6(LC−MS):
MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0125】
方法7(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm。
【0126】
方法8(LC−MS):
装置タイプ:Micromass ZQ; 装置タイプ: Waters Alliance 2795:カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm
【0127】
方法9(LC−MS):
装置:Waters UPLC Acquity を備えた Micromass Quattro Premier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50 mn x 1 mn;溶離剤A:水11+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル11+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→1.5分10%A→2.2分10%A;流速0.33ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0128】
出発化合物および中間体:
実施例1A
1−[2−(アリルオキシ)フェニル]エタノン
【化27】

2−ヒドロキシアセトフェノン542g(3.9mol)を、臭化アリル592g(4.9mol)、炭酸カリウム1000g(7.2mol)およびヨウ化カリウム13.2g(79mmol)と共に、アセトン2.4l中、24時間、還流に加熱する。室温に冷却し、続いて濾過し、溶媒を真空で除去する。残渣をトルエンに溶解し、10%濃度水酸化ナトリウム溶液および水で洗浄する。濃縮し、表題化合物689g(理論値の98%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 2.68 (s, 3H), 4.68 (dd, 2H), 5.89 (dd, 2H), 6.09 (m, 1H), 6.99 (dd, 2H), 7.44 (m, 1H), 7.71 (d, 1H).
【0129】
実施例2A
1−(3−アリル−2−ヒドロキシフェニル)エタノン
【化28】

1−[2−(アリルオキシ)フェニル]エタノン160g(0.9mol)を、金属浴中、230−240℃で4時間撹拌する。室温に冷却後、生成物を、薄膜蒸発器で、140℃で、0.4mbarで蒸留する。表題化合物155g(理論値の97%)を得る。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 2.68 (s, 3H), 3.44 (d, 2H), 5.09 (m, 2H), 6.01 (m, 1H), 6.85 (t, 1H), 7.38 (dd, 1H), 7.62 (dd, 1H), 12.61 (s, 1H).
【0130】
実施例3A
1−{2−ヒドロキシ−3−[(1E)−プロプ−1−エン−1−イル]フェニル}エタノン
【化29】

1−(3−アリル−2−ヒドロキシフェニル)エタノン40g(227mmol)をトルエン120mlに溶解し、ビス(ベンゾニトリル)ジクロロパラジウム(II)2.17g(5.6mmol)を添加する。反応混合物を120℃で終夜加熱する。室温に冷却し、続いて珪藻土で濾過し、溶媒を真空で除去する。表題化合物20.9g(理論値の95%)を得、さらに精製せずに次の工程で反応させる。
LC-MS (方法 1): Rt = 2.36 分; [M+H]+ = 177
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.91 (dd, 3H), 2.63 (s, 3H), 6.32 (m, 1H), 6.73 (dd, 1H), 6.85 (t, 1H), 7.59 (m, 2H), 12.74 (s, 1H).
【0131】
実施例4A
2−メチル−8−[(1E)−プロプ−1−エン−1−イル]−4H−クロメン−4−オン
【化30】

60%水素化ナトリウム(ミネラルオイル中の懸濁液)12.52g(313.2mmol)を、無水THF300mlに、アルゴン下、10℃で導入する。1−{2−ヒドロキシ−3−[(1E)−プロプ−1−エン−1−イル]フェニル}エタノン18.4g(104.4mmol)を懸濁液にゆっくりと滴下して添加する。15分後、塩化アセチル9g(114.9mmol)を添加する。反応混合物を室温で終夜撹拌する。水300mlで加水分解を実施し、混合物を酢酸エチルで数回抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、続いて硫酸ナトリウムで乾燥させる。次いで、溶媒を真空で除去する。残渣をメタノール200mlに取り、20%濃度塩酸50mlと共に、80℃で30分間加熱する。次いで、溶媒を真空で除去し、残渣を水400mlと混合する。ジクロロメタンでの数回の抽出を実施する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を真空で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン/メタノール98:2)で精製する。表題化合物10.5g(理論値の50.2%)を黄色の油状物として得る。
LC-MS (方法 2): Rt = 2.07 分; [M+H]+ = 201
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.98 (dd, 3H), 2.43 (s, 3H), 6.18 (s, 1H), 6.40 (m, 1H), 6.85 (dd, 1H), 7.31 (t, 1H), 7.72 (dd, 1H), 8.05 (dd, 1H).
【0132】
実施例5A
2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−カルボアルデヒド
【化31】

2−メチル−8−[(1E)−プロプ−1−エン−1−イル]−4H−クロメン−4−オン18.5g(62.8mmol)をジクロロメタン400mlに溶解し、−60℃に冷却する。オゾンを反応溶液に30分間通気する。次いで、硫化ジメチルを反応混合物に添加する。室温に温めた後、溶媒を真空で除去し、残渣を少量のメタノール中でスラリー化する。濾過後に残っている固体をジエチルエーテルから再結晶する。表題化合物9.1g(理論値の77.4%)を得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.31 分; [M+H]+ = 189
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 2.48 (s, 3H), 6.27 (s, 1H), 7.51 (m, 1H), 8.21 (dd, 1H), 8.46 (dd, 1H), 10.67 (s, 1H).
【0133】
実施例6A
4−ブロモ−2−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド
【化32】

4−ブロモ−2−(トリフルオロメトキシ)ヨードベンゼン20.00g(54.51mmol)をTHF200mlに溶解し、−78℃に冷却する。次いで、ヘキサン中の2.5Mn−ブチルリチウム溶液26.16ml(65.41mmol)を滴下して添加する。混合物を30分間撹拌し、次いでN−ホルミルモルホリン14.43g(125.37mmol)を量り入れる。完全な変換が検出された後(TLC調査)、加溶媒分解を、−78℃で、イソプロパノールにより実施する。室温に温め、続いて水を添加し、ジクロロメタンで2回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸留する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)により精製する。表題化合物11.43g(理論値の78%)を得る。
GC-MS (方法 5): Rt = 4.24 分; MS (EIpos): m/z = 270 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 7.85-7.92 (m, 3H), 10.20 (s, 1H).
【0134】
実施例7A
4−ホルミル−3−(トリフルオロメトキシ)ベンゾニトリル
【化33】

4−ブロモ−2−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド10.63g(39.51mmol)、シアン化亜鉛3.43g(29.24mmol)、および、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.37g(1.19mmol)を、DMF80mlに溶解する。次いで、反応混合物を数回に分けて、シングルモードのマイクロ波中で反応させる(Emrys Optimizer、5分間、220℃)。合わせた混合物を水と混合し、トルエンで2回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製する。表題化合物3.32g(理論値の78%)を、純度80%(LC−MSによる)で得る。
MS (EIpos): m/z = 215 [M]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 7.85-7.91 (m, 3H), 10.20 (s, 1H).
【0135】
実施例8A
4−シアノ−2−メトキシフェニルトリフルオロメタンスルホネート
【化34】

トリフルオロメタンスルホン酸無水物24ml(141mmol)を、氷浴を利用して反応温度を25℃より低く維持しながら、ピリジン(80ml)中の4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾニトリル20g(134mmol)の溶液にゆっくりと滴下して添加する。次いで、懸濁液を室温で1時間撹拌する。氷水(400ml)を添加し、室温に達するまで懸濁液をさらに撹拌する。それを次いで濾過し、固体を酢酸エチルに溶解し、溶液を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。表題化合物37.13g(理論値の92%)を白色固体として得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.54 分; MS (EIpos): m/z = 282 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 3.97 (s, 3H), 7.60 (dd, 1H), 7.71 (d, 1H), 7.92 (d, 1H).
【0136】
実施例9A
tert−ブチル(2E)−3−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)アクリレート
【化35】

ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド4g(5.7mmol)を、DMF(250ml)中の4−シアノ−2−メトキシフェニルトリフルオロメタンスルホネート37.13g(132mmol)、tert−ブチルアクリレート35ml(245mmol)およびトリエチルアミン90ml(645mmol)の脱気した溶液に添加する。溶液を100℃で、保護気体雰囲気下で、24時間撹拌する。次いで、氷水(1000ml)を添加し、懸濁液を酢酸エチル(3x100ml)で抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製する。表題化合物24.6g(理論値の72%)を白色固体として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 2.59 分; MS (EIpos): m/z = 260 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.48 (s, 9H), 3.93 (s, 3H), 6.65 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.89 (d, 1H).
【0137】
実施例10A
4−ホルミル−3−メトキシベンゾニトリル
【化36】

メタ過ヨウ素酸ナトリウム79g(370mmol)を、反応温度を30℃より低く維持しながら、水/THF(2:1)750ml中のtert−ブチル(2E)−3−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)アクリレート48g(185mmol)、四酸化オスミウム207mg(0.81mmol)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.4g(6.14mmol)の激しく撹拌した溶液に少しずつ添加する。溶液を室温でさらに1時間撹拌する。水(2000ml)を添加し、次いで、混合物を濾過する。残っている固体を酢酸エチルに溶解し、溶液を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。残渣を石油エーテルと共に撹拌する。表題化合物21.18g(理論値の71%)を白色固体として得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.87 分; MS (EIpos): m/z = 162 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 3.98 (s, 3H), 7.53 (d, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.81 (d, 1H), 10.37 (s, 1H).
【0138】
実施例11A
4−ホルミル−3−ヒドロキシベンゾニトリル
【化37】

ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の溶液100ml(1M、100mmol)を、無水ジクロロメタン80ml中の4−ホルミル−3−メトキシベンゾニトリル8g(49.64mmol)の溶液に、−78℃で、アルゴン雰囲気下で、滴下して添加する。前駆物質が完全に反応するまで(約5日間)、反応混合物を室温で撹拌する。次いで、反応溶液を、0℃で、飽和重炭酸ナトリウム溶液で中和する。相を分離し、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル3:1)。表題化合物4.5g(理論値の61%)を黄色固体として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.38 分; [M-H]- = 146
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.38 (d, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.77 (d, 1H), 10.33 (s, 1H), 11.38 (s, 1H).
【0139】
実施例12A
5−シアノ−2−ホルミルフェニルトリフルオロメタンスルホネート
【化38】

トリフルオロメタンスルホン酸無水物2.4ml(14.27mmol)を、無水ジクロロメタン37ml中の4−ホルミル−3−ヒドロキシベンゾニトリル2g(13.59mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン2.5ml(14.27mmol)の溶液に、0℃で、アルゴン雰囲気下で滴下して添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いでジクロロメタン70mlで希釈し、1M塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄する。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製する(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル7:1)。表題化合物2.36g(理論値の62%)を白色固体として得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.34 分; [M+H]+ = 280
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 8.27 (m, 2H), 8.33 (s, 1H), 10.13 (s, 1H).
【0140】
実施例13A
4−ホルミル−3−ビニルベンゾニトリル
【化39】

ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド125mg(0.18mmol)を、無水および脱気DMF6ml中の5−シアノ−2−ホルミルフェニルトリフルオロメタンスルホネート1g(3.58mmol)およびトリ−n−ブチルビニルスタナン1.15ml(3.94mmol)の溶液に、アルゴン雰囲気下で添加する。次いで、反応混合物を80℃で90分間撹拌する。続いて、10%濃度フッ化カリウム溶液100mlを添加し、混合物を室温で1時間撹拌する。懸濁液を酢酸エチル各20mlで3回抽出し、合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄する。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。残渣(0.6g)をさらに精製せずに次の工程で用いる。
GC-MS (方法 5): Rt = 5.02 分; [M]+ = 157
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 5.62 (d, 1H), 6.05 (d, 1H), 7.58 (dd, 1H), 7.95 (d, 1H), 8.00 (d, 1H), 8.24 (s, 1H), 10.32 (s, 1H).
【0141】
実施例14A
3−エチル−4−ホルミルベンゾニトリル
【化40】

エタノール35ml中の4−ホルミル−3−ビニルベンゾニトリル1.3g(8.27mmol)の溶液を、10%パラジウム/炭素880mgと混合し、水素雰囲気下で2時間激しく撹拌する。珪藻土層を通して懸濁液を濾過し、残渣をエタノールで洗浄し、濾液を濃縮する。残渣(890mg)をさらに精製せずに次の工程に用いる。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 1.2 (t, 1H), 3.07 (q, 2H), 7.88 (d, 1H), 7.90 (s, 1H), 7.97 (d, 1H), 10.32 (s, 1H).
【0142】
実施例15A
メチル4−シアノ−2−フルオロベンゾエート
【化41】

4−シアノ−2−フルオロ安息香酸13.20g(79.9mmol)をアセトン300mlに溶解する。次いで、炭酸カリウム22.10g(159.9mmol)および硫酸ジメチル9.08ml(95.9mmol)を連続的に添加する。混合物を還流温度で20時間撹拌する。次いで、反応混合物を水300mlと混合し、アセトンをロータリーエバポレーターで除去する。ジクロロメタンによる数回の抽出を実施する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。次いで、溶媒を真空で除去する。残っている固体をこれ以上精製せずにさらに使用する。表題化合物16.1g(理論値の84%)を無色固体として得る。
GC-MS (方法 5): Rt = 6.23 分; [M]+ (EIpos): m/z = 179
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 3.90 (s, 3H), 7.83 (dd, 1H), 8.01-8.08 (m, 2H).
【0143】
実施例16A
3−フルオロ−4−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリル
【化42】

メチル4−シアノ−2−フルオロベンゾエート16.10g(89.9mmol)をメタノール150mlに溶解する。次いで、水素化ホウ素ナトリウム3.40g(89.9mmol)を少しずつ添加する。反応が起こった後(TLC調査)、混合物を希塩酸でpH3に調節し、ジクロロメタンで数回抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。次いで、溶媒を真空で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル15:1→3:7)により精製する。表題化合物3.70g(理論値の27.2%)を得る。
GC-MS (方法 5): Rt = 6.51 分; [M]+ (EIpos): m/z = 151
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 4.61 (s, 2H), 5.53 (s, 1H), 7.61-7.74 (m, 2H), 7.79 (dd, 1H).
【0144】
実施例17A
3−フルオロ−4−ホルミルベンゾニトリル
【化43】

3−フルオロ−4−(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリル1.00g(6.62mmol)を、ジクロロメタン50mlに溶解し、酸化マンガン(IV)9.20g(105.9mmol)を添加する。混合物を室温で終夜撹拌し、次いで短い珪藻土カラムを通して濾過する。溶媒を減圧下で留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、移動相:ジクロロメタン)により精製する。表題化合物120mg(理論値の12.1%)を得る。
GC-MS (方法 5): Rt = 5.11 分; [M]+ (EIpos): m/z = 149
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 7.89 (d, 1H), 8.00 (t, 1H), 8.11 (d, 1H), 10.24 (d, 1H).
【0145】
実施例18A
3−クロロ−4−ホルミルベンゾニトリル
【化44】

3−クロロ−4−メチルベンゾニトリル25.0g(164.91mmol)をDMF150mlに溶解し、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール25.55g(214.39mmol)を添加する。混合物を油浴中、140℃の温度で20時間、次いで180℃で4時間撹拌する。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、残っている残渣をさらに直接反応させる。
【0146】
かくして得られる粗製3−クロロ−4−[2−(ジメチルアミノ)ビニル]ベンゾニトリルを、THF/水(1:1)500mlに取り、過ヨウ素酸ナトリウム77.6g(362.9mmol)を添加する。混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、析出した沈殿を濾過により除去する。濾液を飽和重炭酸ナトリウム溶液と混合し、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル7:3)により精製する。表題化合物3.0g(理論値の15%)を得る。
GC-MS (方法 5): Rt = 6.64 分; [M]+ (EIpos): m/z = 165
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 7.97-8.03 (m, 2H), 8.27 (s, 1H), 10.34 (d, 1H).
【0147】
実施例19A
4−ホルミル−1−ナフトニトリル
【化45】

4−メチル−1−ナフトニトリル2.50g(14.95mmol)を、テトラクロロメタン40mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド3.19g(17.94mmol)および2,2'−アゾビス−2−メチルプロパンニトリル245mg(1.50mmol)を添加する。混合物を還流温度で終夜撹拌する。冷却後、生成物を濾過する。4−(ブロモメチル)−1−ナフトニトリル2.75g(理論値の74.7%)を、純度90%で得、これ以上精製せずに反応させる。
【0148】
かくして得られる臭化物2.75g(11.17mmol)を、アセトニトリル60mlに溶解し、モレキュラー・シーブ(3Å)2gを添加する。次いで、N−メチルモルホリンN−オキシド1.44g(12.29mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。次いで、混合物をシリカゲルで濾過し、濾液を濃縮する。残渣を Biotage カートリッジ(40M)で精製する(溶離剤:イソヘキサン/酢酸エチル3:1)。生成物画分を合わせ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、次いで、残渣をジエチルエーテルと撹拌し、その際に結晶化が起こる。生成物を少量のジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。表題化合物254mg(理論値の12.6%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.27 分; [M+H]+ (EIpos): m/z = 182
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 7.79-7.87 (m, 2H), 8.05 (d, 1H), 8.09 (d, 1H), 8.37 (m, 1H), 9.27 (m, 1H), 10.51 (s, 1H).
【0149】
実施例20A
2−シアノエチル4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化46】

実施例10Aの化合物14.63g(90.81mmol)、4−アミノピリジン−2(1H)−オン[Searls, T., McLaughlin, L.W., Tetrahedron 55, 11985-11996 (1999)]10.00g(90.81mmol)および2−シアノエチル3−オキソブタノエート[Yamamoto, T., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16, 798-802 (2006)]15.65g(90.81mmol)を、イソプロパノール300mlに溶解し、還流温度で、アルゴン下で3日間撹拌する。次いで、混合物を濃縮し、続いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:最初に酢酸エチル、次いでジクロロメタン/メタノール10:1)により精製する。得られる生成物画分を濃縮し、次いで少量の酢酸エチルに取る。沈殿した生成物を濾過し、40℃で、真空で終夜乾燥させる。表題化合物10.11g(理論値の27%)を得る。
LC-MS (方法 6): Rt = 1.83 分; MS (EIpos): m/z = 391 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 2.27 (s, 3H), 2.79 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.96-4.14 (m, 2H), 5.19 (s, 1H), 5.87 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.23 (dd, 1H), 7.30-7.35 (m, 2H), 9.30 (s, 1H), 10.83 (s, 1H).
【0150】
実施例21A
2−シアノエチル4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2−メチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化47】

実施例20Aの化合物10.00g(25.62mmol)をトリエチルオルトホルメート250mlに懸濁し、130℃に加熱する。次いで、全部で8時間かけて、15滴の濃硫酸を1時間毎に反応混合物に添加する。次いで、それを同じ温度で終夜撹拌する。冷却後、過剰のオルトエステルをロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)により精製する。表題化合物7.20g(理論値の65%)を得る。
LC-MS (方法 6): Rt = 2.82 分; MS (EIpos): m/z = 419 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.12 (t, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.77 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.99-4.13 (m, 4H), 5.37 (s, 1H), 6.48 (d, 1H), 7.25 (dd, 1H), 7.29-7.35 (m, 2H), 7.73 (d, 1H), 9.53 (s, 1H).
【0151】
実施例22A
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2−メチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
【化48】

実施例21Aの化合物7.20g(17.21mmol)を、1,2−ジメトキシエタン/水(3:1v/v)200mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液34.42ml(34.42mmol)と混合し、室温で終夜撹拌する。次いで、混合物をジエチルエーテル100mlおよび水100mlと混合し、有機相を分離し、水相を1N塩酸でpH4−5に調節する。得られる懸濁液を1時間撹拌し、次いで、沈殿した固体を濾過により除去する。沈殿を水および少量のジエチルエーテルで洗浄する。真空で、40℃で乾燥させ、表題化合物3.57g(理論値の57%)を得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 2.32 分; MS (EIpos): m/z = 366 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.12 (t, 3H), 2.28 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 4.07 (m, 2H), 5.33 (s, 1H), 6.44 (d, 1H), 7.23-7.29 (m, 2H), 7.32 (s, 1H), 7.70 (d, 1H), 9.25 (s, 1H), 11.34 (s, 1H).
【0152】
実施例23A
4−[5−エトキシ−3−(1H−イミダゾール−1−イルカルボニル)−2−メチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−4−イル]−3−メトキシベンゾニトリル
【化49】

実施例22Aの化合物1.20g(3.28mmol)を、酢酸エチル25mlに導入し、1,1'−カルボニルジイミダゾール0.666g(4.11mmol)の添加後、室温で終夜撹拌する。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、かくして得られる粗生成物を精製せずにさらなる反応に用いる。
MS (EIpos): m/z = 416 [M+H]+.
【0153】
実施例24A
2−シアノエチル2−(4−シアノ−2−メトキシベンジリデン)−3−オキソブタノエート
【化50】

実施例10Aの化合物3.00g(18.62mmol)、2−シアノエチル3−オキソブタノエート[Yamamoto, T., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16, 798-802 (2006)]3.18g(20.48mmol)、酢酸213μl(3.72mmol)およびピペリジン368μl(3.72mmol)を無水ジクロロメタン50mlに溶解し、水トラップを用いて、還流下、終夜撹拌する。次いで、揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:グラジエントシクロヘキサン/酢酸エチル7:3→1:1)により精製する。表題化合物2.77g(理論値の48%)を、E/Z異性体の混合物として得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 2.89 および 3.00 分; MS (EIpos): m/z = 299 [M+H]+.
【0154】
実施例25A
2−シアノエチル4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−2,7−ジメチル−5−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化51】

実施例24Aの化合物1.49g(5.00mmol)を、2−プロパノール30mlに導入し、4−アミノ−6−メチルピリジン−2(1H)−オン[Bisagni, E., Hung, N.C., Synthesis, 765-766 (1984)]620mg(5.00mmol)と混合し、次いで還流温度で終夜撹拌する。冷却後、沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。表題化合物1.53g(理論値の76%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.73 分; MS (EIpos): m/z = 405 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 2.05 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 2.78 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.96-4.13 (m, 2H), 5.14 (s, 1H), 5.64 (d, 1H), 7.23 (dd, 1H), 7.28-7.33 (m, 2H), 9.22 (s, 1H), 10.82 (s, 1H).
【0155】
実施例26A
2−シアノエチル4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,7−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化52】

実施例25Aの化合物1.52g(3.76mmol)をトリエチルオルトホルメート40mlに懸濁し、130℃に加熱する。次いで、全部で8時間かけて、10滴の濃硫酸を1時間毎に反応混合物に添加する。次いで、それを同じ温度で終夜撹拌する。冷却後、過剰のオルトエステルをロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)により精製する。生成物画分を合わせ、溶媒を除去し、残渣を少量のメタノールに取る。結晶化する生成物を濾過する。高真空下で乾燥させ、表題化合物1.09g(理論値の67%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.23 分; MS (EIpos): m/z = 433 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.11 (t, 3H), 2.20 (s, 3H), 2.32 (s, 3H), 2.76 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.97-4.12 (m, 4H), 5.32 (s, 1H), 6.30 (s, 1H), 7.24 (d, 1H), 7.27-7.32 (m, 2H), 9.43 (s, 1H).
【0156】
実施例27A
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,7−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
【化53】

実施例26Aの化合物642mg(2.52mmol)を、1,2−ジメトキシエタン/水(3:1v/v)40mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液5.04ml(5.04mmol)と混合し、室温で終夜撹拌する。次いで、混合物をジエチルエーテル30mlおよび水30mlと混合し、有機相を分離し、水相を1N塩酸でpH4−5に調節する。得られる懸濁液を1時間撹拌し、次いで、沈殿した固体を濾過により除去する。沈殿を水および少量のジエチルエーテルで洗浄する。40℃で、真空で乾燥させ、表題化合物642mg(理論値の67%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.87 分; MS (EIpos): m/z = 380 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.11 (t, 3H), 2.19 (s, 3H), 2.28 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 4.05 (m, 2H), 5.28 (s, 1H), 6.27 (s, 1H), 7.20-7.28 (m, 2H), 7.31 (s, 1H), 9.17 (s, 1H), 11.31 (s, 1H).
【0157】
実施例28A
2−シアノエチル4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−2,8−ジメチル−5−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化54】

実施例24Aの化合物2.69g(9.00mmol)を、2−プロパノール45mlに導入し、4−アミノ−5−メチルピリジン−2(1H)−オン[Bisagni, E., Hung, N.C., Synthesis, 765-766 (1984)]1.17g(9.00mmol)と混合し、次いで還流温度で終夜撹拌する。冷却後、沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。表題化合物2.22g(理論値の61%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.75 分; MS (EIpos): m/z = 405 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 2.03 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 2.80 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 4.04 (m, 1H), 4.11 (m, 1H), 5.20 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 7.23 (dd, 1H), 7.28-7.33 (m, 2H), 8.18 (s, 1H), 10.76 (s, 1H).
【0158】
実施例29A
2−シアノエチル4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化55】

実施例28Aの化合物2.22g(5.44mmol)を、トリエチルオルトホルメート100mlに懸濁し、130℃に加熱する。次いで、全部で8時間かけて、濃硫酸10滴を1時間毎に反応混合物に添加する。次いでそれを同じ温度で終夜撹拌する。冷却後、過剰のオルトエステルをロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:最初にジクロロメタン、次いでイソヘキサン/酢酸エチル1:1)により精製する。生成物画分を合わせ、溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル/ジエチルエーテルから結晶化する。沈殿を濾過し、高真空下で乾燥させる。表題化合物1.80g(理論値の77%)を得る。
LC-MS (方法 6): Rt = 3.02 分; MS (EIpos): m/z = 433 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.11 (t, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.78 (m, 2H), 3.77 (s, 3H), 4.01-4.13 (m, 4H), 5.37 (s, 1H), 7.25 (d, 1H), 7.28-7.33 (m, 2H), 7.60 (s, 1H), 8.35 (s, 1H).
【0159】
実施例30A
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
【化56】

実施例29Aの化合物1.75g(4.05mmol)を1,2−ジメトキシエタン/水(2:1v/v)60mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液8.09ml(8.09mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌する。次いで、ジエチルエーテル30mlを混合物に添加し、水相を6N塩酸で酸性化する。得られる沈殿を濾過し、水および少量のジエチルエーテルで洗浄する。真空乾燥オーブン中、40℃で乾燥させ、表題化合物1.47g(理論値の96%)を得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 2.50 分; MS (EIpos): m/z = 380 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.14 (t, 3H), 2.14 (s, 3H), 2.37 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 4.04 (m, 2H), 5.33 (s, 1H), 7.26 (m, 2H), 7.32 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 8.16 (s, 1H), 11.43 (br. s, 1H).
【0160】
実施例31A
2−シアノエチル2−メチル−4−(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)−5−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化57】

実施例5Aの化合物3.00g(15.94mmol)、4−アミノピリジン−2(1H)−オン[Searls, T., McLaughlin, L.W., Tetrahedron 55, 11985-11996 (1999)]1.75g(15.94mmol)および2−シアノエチル3−オキソブタノエート[Yamamoto, T., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16, 798-802 (2006)]2.47g(15.94mmol)を、エタノール60mlに溶解し、還流温度で、アルゴン下で終夜撹拌する。次いで、沈殿した生成物を濾過し、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。表題化合物2.30g(理論値の35%)をベージュ色の結晶の形態で得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 1.59 分; MS (EIpos): m/z = 418 [M+H]+.
【0161】
実施例32A
2−シアノエチル5−エトキシ−2−メチル−4−(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化58】

実施例31Aの化合物2.20g(5.27mmol)を、トリエチルオルトホルメート80mlに懸濁し、130℃に加熱する。次いで、全部で8時間かけて、濃硫酸5滴を1時間毎に反応混合物に添加する。次いで、それを同じ温度で終夜撹拌する。冷却後、過剰のオルトエステルをロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:最初にジクロロメタン、次いで酢酸エチル、最後に酢酸エチル/メタノール20:1)により精製する。生成物画分を約5mlの体積に濃縮する。沈殿した生成物を濾過し、酢酸エチルおよびジエチルエーテルで洗浄した後、高真空下で乾燥させる。表題化合物282mg(理論値の12%)を茶色結晶の形態で得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.96 分; MS (EIpos): m/z = 446 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.01 (t, 3H), 2.38 (s, 6H), 2.74 (m, 2H), 3.96-4.13 (m, 4H), 5.54 (s, 1H), 6.19 (s, 1H), 6.53 (d, 1H), 7.31 (t, 1H), 7.67 (dd, 1H), 7.76 (d, 1H), 7.80 (dd, 1H), 9.69 (s, 1H).
【0162】
実施例33A
5−エトキシ−2−メチル−4−(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
【化59】

実施例32Aの化合物270mg(0.61mmol)を、1,2−ジメトキシエタン/水(2:1v/v)15mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液1.21ml(1.21mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌する。次いで、ジエチルエーテル30mlを反応混合物に添加する。水相を分離し、1N塩酸で酸性化する。得られる沈殿を濾過し、水および少量のジエチルエーテルで洗浄する。真空で、40℃で乾燥させ、表題化合物167mg(理論値の70%)を得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 2.01 分; MS (EIpos): m/z = 393 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.02 (t, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 3.97 (m, 1H), 4.08 (m, 1H), 5.52 (s, 1H), 6.18 (s, 1H), 6.50 (d, 1H), 7.31 (t, 1H), 7.60 (dd, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.79 (dd, 1H), 9.42 (s, 1H), 11.45 (br. s, 1H).
【0163】
実施例34A
2−シアノエチル4−[4−ブロモ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2−メチル−5−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化60】

実施例6Aの化合物10.00g(31.17mmol)および2−シアノエチル3−オキソブタノエート[Yamamoto, T., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16, 798-802 (2006)]6.41g(31.17mmol)を、2−プロパノール100mlに導入し、4−アミノピリジン−2(1H)−オン[Searls, T., McLaughlin, L.W., Tetrahedron 55, 11985-11996 (1999)]4.09g(37.17mmol)の添加後、還流温度で3日間撹拌する。冷却後、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:ジクロロメタン/メタノール10:1)により精製する。表題化合物7.38g(理論値の36%)を得る。
LC-MS (方法 6): Rt = 2.84 分; MS (EIpos): m/z = 499 [M+H]+.
【0164】
実施例35A
2−シアノエチル4−[4−ブロモ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−5−エトキシ−2−メチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化61】

実施例34Aの化合物7.30g(13.19mmol)を、トリエチルオルトホルメート150mlに懸濁し、130℃に加熱する。次いで、全部で7時間かけて、濃硫酸15滴を1時間毎に反応混合物に添加する。次いで、それを同じ温度で終夜撹拌する。冷却後、過剰のオルトエステルをロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)により精製する。表題化合物4.59g(理論値の64%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.74 分; MS (EIpos): m/z = 527 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.17 (t, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.81 (m, 2H), 3.99-4.21 (m, 4H), 5.29 (s, 1H), 6.50 (d, 1H), 7.31 (t, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.44 (dd, 1H), 7.78 (d, 1H), 9.63 (s, 1H).
【0165】
実施例36A
2−シアノエチル4−[4−シアノ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−5−エトキシ−2−メチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化62】

実施例35Aの化合物4.59g(8.72mmol)、シアン化亜鉛758mg(6.45mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)504mg(0.436mmol)をDMF40mlに溶解し、次いで、3つの混合物に分け、シングルモードのマイクロ波(Emrys Opzimizer)中、220℃で5分間加熱する。次いで、個々の混合物を再度合わせ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。粗生成物を酢酸エチルに取り、珪藻土で濾過する。有機相を水(2x)および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。溶媒を蒸留により除去した後、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル7:3→1:1)により精製する。表題化合物1.40g(理論値の31%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.48 分; MS (EIpos): m/z = 473 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.10 (t, 3H), 2.34 (s, 3H), 2.80 (m, 2H), 4.00-4.21 (m, 4H), 5.36 (s, 1H), 6.51 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.66-7.74 (2H), 7.79 (d, 1H), 9.70 (s, 1H).
【0166】
実施例37A
4−[4−シアノ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−5−エトキシ−2−メチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
【化63】

実施例36Aの化合物1400mg(2.96mmol)を、1,2−ジメトキシエタン/水(2.5:1v/v)35mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液5.93ml(5.93mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、反応混合物をジエチルエーテル50mlおよび水50mlと混合する。水相を分離し、1N塩酸でpH4−5に調節する。次いで、得られる懸濁液を1時間撹拌する。得られる沈殿を濾過し、水および少量のジエチルエーテルで洗浄する。真空で乾燥し、表題化合物850mg(理論値の68%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.19 分; MS (EIpos): m/z = 420 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.11 (t, 3H), 2.31 (s, 3H), 4.06 (m, 1H), 4.13 (m, 1H), 5.37 (s, 1H), 6.49 (d, 1H), 7.51 (d, 1H), 7.65-7.72 (m, 2H), 7.76 (d, 1H), 9.42 (s, 1H), 11.62 (s, 1H).
【0167】
実施例38A
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
【化64】

化学量論的な量の4−ホルミル−3−メトキシベンゾニトリル(実施例10A)、4−アミノピリジン−2(1H)−オン[Searls, T., McLaughlin, L.W., Tetrahedron 55, 11985-11996 (1999)]およびアリル4,4,4−トリフルオロ−3−オキソブタノエート[Moseley, J.D., Tetrahedron Lett. 46, 3179-3181 (2005)]から出発して、表題化合物を得ることができる。これは、先ず、エタノール中で、添加物を添加せずに、還流温度で、終夜、ジヒドロピリジン合成を実施することを必要とする。次いで、最初に得られる中間体アリル4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−5−オキソ−2−(トリフルオロメチル)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレートを、文献に基づく方法で、酢酸を用いて脱水できる[Moseley, J.D., Tetrahedron Lett. 46, 3179-3181 (2005) 参照]。続いて、アリル4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレートを、実施例29Aの合成と同様に、トリエチルオルトホルメートとの反応で得ることができる。ウィルキンソン触媒[トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド]を酢酸中で使用する最終のアリルエステル開裂により、表題化合物を得る[Moseley, J.D., Tetrahedron Lett. 46, 3179-3181 (2005) 参照]。
LC-MS (方法 7): Rt = 2.98 分; MS (EIpos): m/z = 420 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.09 (t, 3H), 3.77 (s, 3H), 3.98-4.16 (m, 2H), 5.37 (s, 1H), 6.73 (d, 1H), 7.19 (d, 1H), 7.34 (dd, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.78 (d, 1H), 9.62 (s, 1H).
【0168】
実施例39A
2−シアノエチル2,8−ジメチル−4−(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)−5−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化65】

実施例5Aの化合物1.50g(7.97mmol)、2−シアノエチル3−オキソブタノエート[Yamamoto, T., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16, 798-802 (2006)]1.86g(9.57mmol)、酢酸91μl(1.59mmol)およびピペリジン158μl(1.59mmol)を無水ジクロロメタン30mlに溶解し、水トラップを用いて、還流下、終夜撹拌する。次いで、混合物を水で洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去する。かくして得られる2−シアノエチル(2Z)−2−[(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)メチリデン]−3−オキソブタノエート粗生成物2.91g(約7.33mmol)を、4−アミノ−5−メチルピリジン−2(1H)−オン[Bisagni, E., Hung, N.C., Synthesis, 765-766 (1984)]0.990g(9.00mmol)と混合し、2−プロパノール40mlに取り、還流温度で終夜撹拌する。冷却後、得られる沈殿を濾過し、少量のジエチルエーテルで洗浄する。高真空下で乾燥させ、表題化合物1.20g(理論値の38%)を得る。
LC-MS (方法 8): Rt = 1.00 分; MS (EIpos): m/z = 432 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 2.06 (s, 3H), 2.34 (s, 3H), 2.44 (s, 3H), 2.77 (m, 2H), 3.98-4.14 (m, 2H), 5.76 (s, 1H), 6.15 (s, 1H), 6.98 (s, 1H), 7.28 (t, 1H), 7.71 (dd, 1H), 7.78 (dd, 1H), 8.29 (s, 1H), 10.78 (br. s, 1H).
【0169】
実施例40A
2−シアノエチル5−エトキシ−2,8−ジメチル−4−(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化66】

実施例39Aの化合物1.20g(2.78mmol)およびトリエチルオルトホルメート9.25ml(55.6mmol)を、乾燥DMF30mlに取り、130℃に加熱し、濃硫酸5滴を添加する。2時間後、HPLC調査は、完全な変換を示す。冷却後、揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、粗生成物をMPLC(Biotage カートリッジ40M、溶離剤:イソヘキサン/酢酸エチル1:2)により精製する。表題化合物640mg(理論値の50%)を得る。
LC-MS (方法 9): Rt = 0.99 分; MS (EIpos): m/z = 460 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.01 (t, 3H), 2.19 (s, 3H), 2.38 (s, 3H), 2.48 (s, 3H), 2.75 (m, 2H), 3.93-4.14 (m, 4H), 5.55 (s, 1H), 6.18 (s, 1H), 7.30 (t, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.67 (dd, 1H), 7.79 (dd, 1H), 8.49 (s, 1H).
【0170】
実施例41A
5−エトキシ−2,8−ジメチル−4−(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
【化67】

実施例40Aの化合物640mg(1.39mmol)を1,2−ジメチルオキシエタン/水(2:1v/v)30mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液2.76ml(2.76mmol)と混合し、室温で30分間撹拌する。次いで、反応混合物をジエチルエーテル20mlと混合する。水相を分離し、1N塩酸でpH4−5に調節し、酢酸エチルで3回抽出する。有機相を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させる。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去する。真空で乾燥し、表題化合物335mg(理論値の56%)を純度94%(LC−MS)で得る。
LC-MS (方法 8): Rt = 1.21 分; MS (EIpos): m/z = 407 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.01 (t, 3H), 2.18 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 3.90-4.10 (m, 2H), 5.54 (s, 1H), 6.18 (s, 1H), 7.31 (t, 1H), 7.58 (dd, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.78 (dd, 1H), 8.25 (s, 1H), 11.52 (br. s, 1H).
【0171】
例示的実施態様:
実施例1
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2−メチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化68】

実施例23Aの化合物100mg(約0.24mmol)を、DMF3mlに導入する。次いで、4−N,N−ジメチルアミノピリジン2.94mg(0.024mmol)およびアンモニア340μl(28重量%の水溶液、2.41mmol)を添加し、混合物を100℃で3時間加熱する。冷却後、粗生成物を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により直接精製する。表題化合物32mg(理論値の37%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.57 分; MS (EIpos): m/z = 365 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.07 (t, 3H), 2.13 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 4.04 (m, 2H), 5.36 (s, 1H), 6.42 (d, 1H), 6.66 (br. s, 2H), 7.18 (d, 1H), 7.29 (dd, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 8.80 (s, 1H).
【0172】
実施例2
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,7−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化69】

実施例27Aの化合物640mg(1.69mmol)を、酢酸エチル30mlに導入し、1,1'−カルボニルジイミダゾール342mg(2.11mmol)の添加後、室温で終夜撹拌する。TLC調査(シリカゲル;移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル1:1またはジクロロメタン/メタノール9:1)は、完全な変換を示す。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をDMF20mlに取る。次いで、アンモニア2.36ml(28重量%水溶液、16.87mmol)を添加し、反応混合物を50℃で8時間加熱する。溶媒を減圧下で蒸留し、残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。表題化合物368mg(理論値の58%)を得る。
LC-MS (方法 7): Rt = 1.91 分; MS (EIpos): m/z = 379 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.05 (t, 3H), 2.13 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 4.02 (q, 2H), 5.32 (s, 1H), 6.25 (s, 1H), 6.62 (br. s, 2H), 7.16 (d, 1H), 7.28 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 8.71 (s, 1H).
【0173】
実施例3
ent−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,7−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド[(−)−エナンチオマーおよび(+)−エナンチオマー]
【化70】

実施例2由来のラセミ体を、製造用のスケールで、キラル相HPLCにより、そのエナンチオマーに分割できる[カラム:Chiralpak IA, 250 mm x 20 mm;溶離剤:メチルtert−ブチルエーテル/メタノール85:15(v/v);流速:15ml/分;温度:30℃;UV検出:220nm]。
【0174】
(−)−エナンチオマー:
HPLC:R=5.28分、ee>98%[カラム:Chiralpak IA, 250 mm x 4.6 mm;溶離剤:メチルtert−ブチルエーテル/メタノール80:20(v/v);流速:1ml/分;温度:25℃;UV検出:220nm];
比旋光度(クロロホルム、589nm、19.8℃、c=0.50500g/100ml):−239.3°
単結晶X線構造解析は、このエナンチオマーについて、C*原子でのS配置を明らかにした。
【0175】
(+)−エナンチオマー:
HPLC:R=4.50分、ee>99%[カラム:Chiralpak IA, 250 mm x 4.6 mm;溶離剤:メチルtert−ブチルエーテル/メタノール80:20(v/v);流速:1ml/分;温度:25℃;UV検出:220nm];
比旋光度(クロロホルム、589nm、20℃、c=0.51000g/100ml):+222.7°
【0176】
実施例4
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化71】

実施例30Aの化合物1.46g(3.84mmol)を、酢酸エチル50mlに導入し、1,1'−カルボニルジイミダゾール777mg(4.79mmol)の添加後、室温で終夜撹拌する。TLC調査(シリカゲル;移動相:酢酸エチル)は、完全な変換を示す。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をDMF20mlに取る。次いで、アンモニア10.74ml(28重量%水溶液、76.8mmol)を添加し、反応混合物を100℃で30分間加熱する。溶媒を減圧下で留去し、残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。生成物画分の濃縮後の残渣をジクロロメタン/メタノール(1:1v/v)40mlに溶解し、酢酸エチル100mlと混合する。溶媒を約20mlの体積に濃縮し、その際、生成物が結晶化する。沈殿を濾過し、少量のジエチルエーテルで洗浄する。40℃で、真空乾燥オーブン中で乾燥させ、表題化合物1.40g(理論値の96%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.64 分; MS (EIpos): m/z = 379 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.05 (t, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.18 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.99-4.07 (m, 2H), 5.37 (s, 1H), 6.60-6.84 (m, 2H), 7.14 (d, 1H), 7.28 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.69 (s, 1H).
【0177】
実施例5
ent−4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2,8−ジメチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド[(−)−エナンチオマーおよび(+)−エナンチオマー]
【化72】

実施例4のラセミ体を、製造的スケールで、キラル相HPLCにより、そのエナンチオマーに分割できる[カラム:680mmx40mm;キラルセレクターポリ(N−メタクリロイル−D−ロイシン−ジシクロプロピルメチルアミドをベースとするシリカゲル相;溶離剤:酢酸エチル;温度:24℃;流速:80ml/分;UV検出:260nm]。
【0178】
(−)−エナンチオマー:
HPLC:R=2.48分、ee=99.6%[カラム:250mmx4.6mm;キラルセレクターポリ(N−メタクリロイル−D−ロイシン−ジシクロプロピルメチルアミドをベースとするシリカゲル相;溶離剤:酢酸エチル;温度:24℃;流速:2ml/分;UV検出:260nm];
比旋光度(クロロホルム、589nm、19.7℃、c=0.38600g/100ml):−148.8°。
単結晶X線構造解析は、このエナンチオマーについて、C*原子でのS配置を明らかにした。
【0179】
(+)−エナンチオマー:
HPLC:R=4.04分、ee=99.3%[カラム:250mmx4.6mm;キラルセレクターポリ(N−メタクリロイル−D−ロイシン−ジシクロプロピルメチルアミドをベースとするシリカゲル相;溶離剤:酢酸エチル;温度:24℃;流速:2ml/分;UV検出:260nm];
比旋光度(クロロホルム、589nm、19.8℃、c=0.36300g/100ml):+153.0°。
【0180】
実施例6
5−エトキシ−2−メチル−4−(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化73】

実施例31Aの化合物155mg(0.395mmol)を、THF10mlに導入し、1,1'−カルボニルジイミダゾール80.1mg(0.494mmol)の添加後、室温で終夜撹拌する。TLC調査(シリカゲル;移動相:酢酸エチルまたはジクロロメタン/メタノール9:1)は、完全な変換を示す。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をDMF3mlに取る。次いで、アンモニア553mg(28重量%水溶液、3.95mmol)を添加し、反応混合物を100℃で10分間加熱する。溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。表題化合物30mg(理論値の19%)を得る。
LC-MS (方法 6): Rt = 1.17 分; MS (EIpos): m/z = 392 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 0.96 (t, 3H), 2.09 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 3.94 (m, 1H), 4.03 (m, 1H), 5.59 (s, 1H), 6.19 (s, 1H), 6.42 (d, 1H), 6.66 (br. s, 1H), 7.00 (br. s, 1H), 7.31 (t, 1H), 7.53 (dd, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.79 (dd, 1H), 8.83 (s, 1H).
【0181】
実施例7
4−[4−シアノ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−5−エトキシ−2−メチル−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化74】

実施例37Aの化合物200mg(0.477mmol)を、酢酸エチル5mlに導入し、1,1'−カルボニルジイミダゾール96.7mg(0.596mmol)の添加後、室温で終夜撹拌する(TLC調査:不十分な反応)。次いで、DMF1mlを添加し、混合物を室温でさらに一晩撹拌する(TLC調査:完全な変換)。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をDMF4mlに取る。次いでアンモニア663μl(28重量%水溶液、4.77mmol)を添加し、反応混合物を100℃で、密閉容器中、終夜加熱する。冷却後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。表題化合物140mg(理論値の70%)を得る。
LC-MS (方法 6): Rt = 2.26 分; MS (EIpos): m/z = 419 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.04 (t, 3H), 2.04 (s, 3H), 4.06 (m, 2H), 5.42 (s, 1H), 6.41 (d, 1H), 6.80 (br. s, 1H), 6.97 (br. s, 1H), 7.45 (d, 1H), 7.68-7.74 (m, 3H), 8.82 (d, 1H).
【0182】
実施例8
4−(4−シアノ−2−メトキシフェニル)−5−エトキシ−2−(トリフルオロメチル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化75】

実施例38Aの化合物180mg(0.429mmol)を、酢酸エチル5mlに導入し、1,1'−カルボニルジイミダゾール87.0mg(0.537mmol)の添加後、室温で2時間撹拌する。TLC調査により完全な変換を確認する。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をDMF4mlに取る。次いで、アンモニア597μl(28重量%水溶液、4.29mmol)を添加し、反応混合物を、100℃で、密閉容器中、3時間加熱する。冷却後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。表題化合物10mg(理論値の5%)を得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.85 分; MS (EIpos): m/z = 419 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.03 (t, 3H), 3.79 (s, 3H), 3.96-4.11 (m, 2H), 5.37 (s, 1H), 6.62 (d, 1H), 7.08-7.14 (m, 2H), 7.32 (dd, 1H), 7.37-7.46 (m, 2H), 7.73 (d, 1H), 9.18 (s, 1H).
【0183】
実施例9
5−エトキシ−2,8−ジメチル−4−(2−メチル−4−オキソ−4H−クロメン−8−イル)−1,4−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化76】

実施例41Aの化合物335.0mg(0.824mmol)を、酢酸エチル10mlに導入し、1,1'−カルボニルジイミダゾール167.1mg(0.537mmol)を添加する。次いで、懸濁液を室温で終夜撹拌する。澄んだ溶液が産生されないので、DMF2mlを添加し、混合物を室温でさらに2時間撹拌する。次いで、TLC調査により完全な変換を確認する。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去し、残渣をDMF4mlに取る。次いで、アンモニア2.293ml(28重量%水溶液、16.5mmol)および4−N,N−ジメチルアミノピリジン10.1mgを添加する。反応混合物を、100℃で、密閉容器中、30分間加熱する。冷却後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を分取HPLC(溶離剤:アセトニトリル/水、0.1%ギ酸を含む、グラジエント20:80→95:5)により精製する。生成物画分を濃縮し、残渣を少量のジクロロメタンに取り、溶液が濁るまでジイソプロピルエーテルを添加する。沈殿した固体を単離し、真空で乾燥させる。表題化合物207mg(理論値の59%)を得る。
LC-MS (方法 9): Rt = 0.67 分; MS (EIpos): m/z = 406 [M+H]+
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 0.94 (t, 3H), 2.13 (s, 3H), 2.14 (s, 3H), 2.34 (s, 3H), 3.90 (m, 1H), 4.00 (m, 1H), 5.58 (s, 1H), 6.18 (s, 1H), 6.70 (br. s, 1H), 7.06 (br. s, 1H), 7.30 (t, 1H), 7.50 (dd, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.78 (dd, 1H).
【0184】
B. 薬理活性の評価
略号:
【表2】

【0185】
本発明の化合物の有利な薬理特性を、以下のアッセイで示すことができる:
1. 他のステロイドホルモン受容体と比較して阻害性MR活性およびMR選択性を測定するための細胞のインビトロアッセイ
ヒト鉱質コルチコイド受容体(MR)のアンタゴニストは同定されており、組換え細胞株を利用して本明細書に記載の化合物の活性を定量する。この細胞は、元々、ハムスターの卵巣上皮細胞に由来する(Chinese Hamster Ovary, CHO K1, ATCC: American Type Culture Collection, VA 20108, USA)。
【0186】
ヒトステロイドホルモン受容体のリガンド結合ドメインが酵母転写因子GAL4のDNA結合ドメインに融合されている、確立されたキメラ系を、このCHO K1細胞株で使用する。かくして産生されたGAL4−ステロイドホルモン受容体キメラは、CHO細胞中の受容体コンストラクトと同時形質移入され、安定に発現される。
【0187】
クローニング:
GAL4−ステロイドホルモン受容体キメラを生成させるために、ベクターpFC2−dbd(Stratagene より)のGAL4 DNA結合ドメイン(アミノ酸1−147)を、PCRで増幅された鉱質コルチコイド受容体(MR、アミノ酸734−985)、糖質コルチコイド受容体(GR、アミノ酸443−777)、プロゲステロン受容体(PR、アミノ酸680−933)およびアンドロゲン受容体(AR、アミノ酸667−919)のリガンド結合ドメインと共に、ベクターpIRES2(Clontech より)にクローニングする。チミジンキナーゼプロモーターの上流に5コピーのGAL4結合部位を含むレポーターコンストラクトは、各々の特異的アゴニストのアルドステロン(MR)、デキサメタゾン(GR)、プロゲステロン(PR)およびジヒドロテストステロン(AR)によるGAL4−ステロイドホルモン受容体キメラの活性化および結合の後、ホタル−ルシフェラーゼ(フォチナス・フィラリス(Photinus pyralis))の発現を導く。
【0188】
アッセイ方法:
MR、GR、PRおよびAR細胞を、96(または384または1536)ウェルマイクロタイタープレート中の培地(Optimem、2.5%FCS、2mMグルタミン、10mM HEPES)に、アッセイ前日に播き、細胞インキュベーター中で維持する(湿度96%、5%v/vCO、37℃)。アッセイ当日に、被験物質を上述の培地に取り、細胞に添加する。試験物質添加の約10ないし30分後、ステロイドホルモン受容体の各々の特異的アゴニストを添加する。さらに5ないし6時間のインキュベーション時間の後、ビデオカメラを利用してルシフェラーゼ活性を測定する。物質濃度の関数として測定される相対的光量単位は、S字型刺激曲線をもたらす。GraphPad PRISM コンピュータープログラム (Version 3.02) を利用してIC50値を算出する。
【0189】
表Aは、代表的な例示的化合物のIC50値(MR)を示す:
表A
【表3】

【0190】
2. 存在し得るL型カルシウムチャネルへの結合活性を測定するためのインビトロアッセイ
Wistar ラットの大脳皮質の膜調製物を、標準的アッセイとして文献に詳述されている放射能結合アッセイの出発材料として供し [Ehlert, F.J., Roeske, W.R., Itoga E., Yamamura, H.I., Life Sci. 30, 2191-2202 (1982); Gould, R.J., Murphy, K.M.M., Snyder, S.H., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 79, 3656-3660]、商業的なサービス提供業者(例えば、MDS Pharma Services)による受託調査に使用する。この結合アッセイでは、DMSO中の試験化合物の連続希釈物を、膜調製物およびトリチウム標識リガンドのニトレンジピン(0.1nM)と共に、50mM TrisHClバッファー(pH7.7)中、25℃で、典型的には90分間インキュベートし、特異的に置き換えられた放射性標識リガンドを定量することにより、試験化合物の特異的結合を測定する。非線形回帰分析によりIC50値を決定する。
【0191】
このL型カルシウムチャネル結合アッセイで、通常のジヒドロピリジン型のカルシウムアンタゴニスト、例えばニトレンジピンについて測定されるIC50値は0.3nMであり、一方、本明細書に記載の本発明の化合物の調査した実施例のIC50値は、>1μMであり、従って、L型カルシウムチャネルについて示された親和性は、少なくとも3000倍減少している。L型カルシウムチャネルに対してそのような低い残留結合親和性を有する化合物は、もはやL型カルシウムチャネルにより媒介される明白な血行動態的作用をインビボで示さない。
【0192】
3. 心血管効果を検出するためのインビボアッセイ:代謝ケージ中の覚醒ラットに対する利尿調査
Wistar ラット(体重250−350g)を、飼料(Altromin)および飲用水に自由に接近させて飼育する。試験開始の約72時間前から、動物は通常の飼料の代わりに、塩化ナトリウム含有量0.02%の低塩の飼料(ssniff R/M-H、10 mm、0.02% Naを含む、S0602-E081、ssniff Spezialdiaeten GmbH, D-59494 Soest)を専ら受容する。試験中、この体重クラスのラットに適する代謝ケージ(Tecniplast Germany GmbHより, D-82383 Hohenpeissenberg)中で動物を一匹ずつ飼育し、約24時間にわたり低塩飼料および飲料水に自由に接近させる。試験開始時に、胃管栄養法を利用して、0.5ml/体重kgの量の適する溶媒中で、被験物質を胃に投与する。対照動物は、溶媒のみを受容する。対照および物質の試験を、同日に並行して実施する。対照群および物質投与群は、各々3匹ないし6匹の動物からなる。試験中に、動物により排出される尿を、ケージの底のレシーバーに継続的に回収する。単位時間当たりの尿量を、各動物につき個別に測定し、尿中の排出されるナトリウムおよびカリウムイオンの濃度を、炎光光度法の標準的方法により測定する。これらの測定値から、物質の効果の尺度として、ナトリウム/カリウム比を算出する。測定間隔は、典型的には試験開始後8時間までの期間(日中の間隔)および試験開始後8ないし24時間の期間(夜間の間隔)である。改変された試験計画では、日中の間隔の間、2時間の間隔で尿を回収し、測定する。この目的で十分な量の尿を得るために、試験開始時に、次いで2時間の間隔で、動物は所定の量の水を胃管栄養法により受容する。
【0193】
4. DOCA/塩モデル
ラットでの高塩食餌および一側性腎臓除去の組合せにおける酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)の投与は、比較的低いレニンレベルを特徴とする高血圧を誘導する。この内分泌性高血圧(DOCAはアルドステロンの直接の前駆物質である)の結果として、選択されるDOCA濃度に応じて、心肥大およびさらなる末端器官の損傷(例えば腎臓の)があり、それは、とりわけ、タンパク尿および糸球体硬化を特徴とする。従って、このラットモデルで、抗肥大的効果および末端器官保護効果の存在について、試験物質を調査することが可能である。
【0194】
約8週齢(体重250ないし300g)の雄の Sprague-Dawley (SD) ラットが、左の一側性腎摘出を受ける。この目的で、66%NOおよび33%Oの混合物中の1.5−2%イソフルランでラットを麻酔し、側腹部の切開により腎臓を除去する。腎臓が除去されない、いわゆる偽手術された動物は、後で対照動物として役立つ。
【0195】
一側性腎摘出されたSDラットは、飲用水中の1%塩化ナトリウム、および、肩甲骨間に注射される酢酸デオキシコルチコステロン(ゴマ油に溶解;Sigmaより)の皮下注射を週に1回受容する(高用量:100mg/kg/週s.c.;通常用量:30mg/kg/週s.c.)。
【0196】
インビボでの保護効果について調べようとする物質を、胃管栄養法により、または、飼料(Ssniffより)を介して、投与する。試験開始の前日に、動物をランダム化し、同一の動物数(通常n=10)の群に割り当てる。試験を通して、飲用水および飼料は、動物にとって自由に利用可能である。4−8週にわたり、飼料を介して、または、胃管栄養法により1日1回、物質を投与する。プラセボ群として役立つ動物は、同じ方法で処置するが、溶媒のみ、または、試験物質を含まない飼料のいずれかを受容する。
【0197】
血行動態パラメーター[血圧、心拍数、変力作用(dp/dt)、緩和時間(tau)、最大左室圧、左室拡張末期圧(LVEDP)]を測定し、心臓、腎臓および肺の重量を測定し、タンパク質排出を測定し、心臓組織からのRNA単離後に、RT/TaqMan PCR を利用してバイオマーカー(例えば、ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)およびBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド))の遺伝子発現を測定することにより、試験物質の効果を決定する。
【0198】
統計的分析は、均一性についての分散の事前調査後に、スチューデントのt検定を使用して行う。
【0199】
5. 抗鉱質コルチコイド活性を検出するための麻酔したイヌにおけるインビボアッセイ
体重20ないし30kgのオスまたはメスの雑種のイヌ(雑種、Marshall BioResources, USA)を、ペントバルビタールで麻酔する(30mg/kg静脈内;Narcoren(登録商標), Merial, Germany)。加えて、塩化アルクロニウム(3mg/動物、静脈内;Alloferin(登録商標), ICN Pharmaceuticals, Germany)を筋弛緩剤として使用する。イヌに挿管し、酸素/周囲の空気の混合物(40/60Vol.−%)で人工呼吸する(約5−6l/分)。人工呼吸は、Draeger (Sulla 808) により供給される人工呼吸器で行い、CO分析機(Engstroemより)で監視する。ペントバルビタール(50μg/kg/分)またはイソフルラン(1−2Vol.−%)の継続的注入により、麻酔を維持する。フェンタニル(10μg/kg/h)を鎮痛剤として使用する。
【0200】
この試験の主な目的は、抗鉱質コルチコイド受容体活性を有する試験化合物の、アルドステロンに誘導されるナトリウム貯留に対する効果を調べることである。このための方法は、公表された方法と同様である[H.P. Ramjoe, U.M. Bucher, J. Richter und M. De Gasparo, Anti-mineralocorticoid activity of three novel aldosterone antagonists in the conscious dog and in man, in: Diuretics II: Chemistry, Pharmacology, and Clinical Applications, J.B. Puschett und A. Greenberg (Ed.), Elsevier Science Publishing Co., Inc., 1987]。連続的なアルドステロンの注入(0.6μg/kg/h)は、3時間後に、尿のナトリウム/カリウム比の減少を導く(ナトリウムおよびカリウムは、炎光光度法により測定する)。試験物質を、静脈内に、十二指腸内に、または経口で投与し、アルドステロン注入を継続する。スピロノラクトンは、正の対照として使用され、尿中のナトリウム/カリウム比を用量依存的に高める。
【0201】
一定の血行動態を確実にするために、そして、機能的心血管パラメーターを測定するために、イヌは、以下の通りに血行動態の監視および計測手段を受ける:
・尿の流量および尿の組成を測定するための、膀胱カテーテルの導入;
・ECGの取り付けは、ECG測定のために四肢に至る;
・全身的血圧を測定するための、生理食塩水を満たし、圧力センサー(Braun, Melsungen, Germanyより)に連結した Fluidmedic PE 300 チューブの大腿動脈への導入;
・心臓の血行動態を測定するための、左心房を通して、または、頚動脈に固定したポートを通しての、Millar Tip カテーテル (350 PC型、Millar Instruments, Houston, USA) の導入;
・心拍出量、酸素飽和度、肺動脈圧および中心静脈圧を測定するための、頚静脈を介する肺動脈への Swan-Ganz カテーテル (CCOmbo 7.5F, Edwards, Irvine, USA)の導入;
・大動脈の流量を測定するための、下行大動脈への超音波流量測定プローブ(Transsonic Systems, Ithaca, USA)の取り付け;
・冠動脈の流量を測定するための、左冠動脈への超音波流量測定プローブ(Transsonic Systems, Ithaca, USA)の取り付け;
・ペントバルビタールの注入、液体の置換および血液サンプル採取(物質の血漿レベルまたは他の臨床血液パラメーターの測定)のための、頭部の静脈における Braunuele の設置;
・フェンタニルおよびアルドステロン注入および物質の投与のための、伏在静脈における Braunuele の設置。
【0202】
必要であれば主なシグナルを増幅し (Gould 増幅器, Gould Instrument Systems, Valley View, USA または Edwards Vigilance-Monitor, Edwards, Irvine, USA)、続いて分析のために Ponemah システム (DataSciences Inc., Minneapolis, USA) に送る。試験期間にわたりシグナルを継続的に記録し、さらにこのソフトウェアでデジタル処理し、30秒間の平均を取る。
【0203】
6. 覚醒しているラットの慢性心筋梗塞モデル
オスの Wistar ラット(体重280−300g;Harlan-Winkelmann)を、換気ポンプ(ugo basile 7025 齧歯類、50ストローク/分、7ml)に連結し、2%イソフルラン/NO/Oで換気した麻酔用ケージにおいて、5%イソフルランで麻酔する。体温を加熱マットにより37−38℃で維持する。0.05mg/kg Temgesic を鎮痛剤として皮下に与える。胸部を第3肋骨と第4肋骨の間で側方に切開し、心臓を露出させる。左心室の冠動脈(LAD)を、その起点のすぐ下(左心房の下)に渡した閉塞糸(プロレン(prolene)1 metric 5-0 ethicon1H)で持続的に結紮する。心筋梗塞の発生をECG測定(Cardioline, Remco, Italy)により監視する。胸部を再び閉じ、筋肉層を Ethibond excel 1 metric 5/0 6951H で縫合し、表皮を Ethibond excel 3/0 6558H で縫合する。縫合糸をスプレードレッシング(spray dressing)(例えば、スプレードレッシング中の Nebacetin(登録商標)N、有効成分:硫酸ネオマイシン)で湿らせ、次いで麻酔を終了する。
【0204】
LAD閉塞の1週間後、心エコー検査(Sequoia 512, Acuson)により心筋梗塞の大きさを見積もる。動物をランダム化し、個々の処置群および物質による処置を受けない対照群に分ける。手術のみを行ったがLAD閉塞を行わなかった偽の群を、さらなる対照として含める。
【0205】
物質による処置を、8週間にわたり、胃管栄養法により、または、試験化合物を飼料または飲料水に添加することにより行う。動物を毎週秤量し、水および飼料の消費を14日間毎に測定する。
【0206】
8週間にわたる処置の後、動物を再度麻酔し(2%イソフルラン/NO/空気)、圧力カテーテル(Millar SPR-320 2F)を、頚動脈を介して左心室に挿入する。心拍数、左心室圧(LVP)、左室拡張末期圧(LVEDP)、収縮力(dp/dt)および緩和速度(τ)をそこで測定し、Powerlab システム (AD Instruments, ADI-PWLB-4SP) および Chart 5 ソフトウェア (SN 425-0586) を利用して分析する。次いで、血液サンプルを取り、物質および血漿バイオマーカーの血液レベルを測定し、動物を殺す。心臓(心腔、中隔を含む左心室、右心室)、肝臓、肺および腎臓を取り出し、秤量する。
【0207】
7. 発作誘発性自然発症高血圧ラットモデル
いわゆる発作誘発性自然発症高血圧ラット(SP−SHR)への塩化ナトリウムの投与は、このモデルにおいて、逆説的に、生理的塩に誘導されるレニンおよびアンジオテンシン放出の抑圧の消滅を数日後に導く。従って、SP−SHR動物における高血圧は、比較的高いレニンレベルを特徴とする。発症する高血圧の結果、心臓および腎臓への明白な末端器官損傷があり、それは、とりわけ、タンパク尿および糸球体硬化並びに全般的な血管の変化を特徴とする。従って、特に、主として脳血管病変を通して発作が起こり得(「発作誘発性」)、それは、非処置動物の高い死亡率を導く。従って、試験物質を、血圧低下および末端器官保護効果について、このラットモデルで調べることが可能である。
【0208】
約10週齢のオスのSP−SHラット(体重190ないし220g)を、試験開始の前日にランダム化し、等しい動物数(通常n=12−14)の群に割り当てる。試験を通じて、塩化ナトリウム(2%NaCl)を含有する飲料水および飼料は、動物にとって自由に入手可能である。物質を、1日1回、胃管栄養により、または、飼料(Ssniff, Germany)と共に、6−8週間にわたり投与する。同様に処置されるが、溶媒または試験物質を含まない飼料のみを受容する動物は、プラセボ群として役立つ。死亡率の研究に関して、プラセボ処置された動物の約50%が死亡したときに、試験を終了する。
【0209】
収縮期血圧の変化(尾の血圧測定バンド(tail cuff)による)および尿中のタンパク質排出の測定により、試験物質の効果を追跡する。死後の心臓、腎臓および肺の重量測定、並びに、組織学的変化の準定量的点数化による心臓、腎臓および脳の病理組織学的分析を行う。様々なバイオマーカー(例えば、ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)およびBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)、KIM−1、腎臓に誘導される分子1、オステオポンチン−1)を、心臓および腎臓組織または血清もしくは血漿からのRNA単離の後で、RT/TaqMan PCR により測定する。
統計的分析は、均一性の分散の事前調査後に、スチューデントのt検定で実施する。
【0210】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF Co., Ludwigshafen, Germany)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%濃度PVP水溶液(m/m)で造粒する。乾燥後、顆粒をステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を通常の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0211】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMC のキサンタンガム、Pennsylvania, USA)400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。混合物を、Rhodigelの膨潤が完了するまで、約6時間撹拌する。
【0212】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールとポリソルベートの混合物中に撹拌しながら懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで、撹拌過程を継続する。
【0213】
i.v.液剤:
本発明の化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張生理食塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に、飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に充填するのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
DはNまたはC−Rであり
{ここで、Rは、水素、フッ素、トリフルオロメチルまたは(C−C)−アルキルである}、
Arは、式
【化2】

{式中、
*は、結合点であり、
は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルまたは(C−C)−アルキルであり、
は、水素またはフッ素であり、
は、ハロゲン、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシまたはトリフルオロメトキシであり、
は、シアノまたはニトロであり、
は、水素、ハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキルチオまたはジ−(C−C)−アルキルアミノであり、該(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルキルチオラジカル中のアルキル基は、各場合で、3個までのフッ素により置換されていてもよいか、または、
は、フェニルであり、これは、ハロゲン、(C−C)−アルキルまたはトリフルオロメチルにより置換されていてもよく、
10は、水素、ハロゲンまたは(C−C)−アルキルであり、
Eは、CH、C−RまたはNであり、
そして、
nは、0、1または2の数であり、
置換基Rが1個より多く存在する場合、その意味は同一であっても異なっていてもよい}
の基であり、
は、3個までのフッ素により置換されていてもよい(C−C)−アルキルであり、
は、(C−C)−アルキルであり、これは、(C−C)−シクロアルキルにより、または、3個までのフッ素により置換されていてもよいか、または、Rは、式−SO−R11の基であり
{ここで、R11は、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−シクロアルキル、フェニルまたはN、Oおよび/またはSの群から2個までのヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールであり、
フェニルおよびヘテロアリールは、各々、1個または2個の同一であるかまたは異なるハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシおよび/またはトリフルオロメトキシにより置換されていてもよい}、
そして、
は、水素、フッ素、トリフルオロメチルまたは(C−C)−アルキルである]
の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
Dが、C−Rであり
{ここで、Rは、水素、メチルまたはトリフルオロメチルである}、
Arが式
【化3】

{式中、
*は、結合点であり、
は、水素、フッ素、塩素またはシアノであり、
は、シアノまたはニトロであり、
そして、
は、塩素、臭素、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルキルチオまたはトリフルオロメチルチオである}
の基であり、
が、メチルまたはトリフルオロメチルであり、
が、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチルまたは式−SO−R11の基であり
{ここで、R11は、(C−C)−アルキルまたはトリフルオロメチルである}、
そして、
は、水素、メチルまたはトリフルオロメチルである、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
Dが、C−Rであり
{ここで、Rは、水素またはメチルである}、
Arが、式
【化4】

{式中、
*は、結合点であり、そして、
は、エチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシである}
の基であり、
が、メチルまたはトリフルオロメチルであり、
が、メチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルであり、
そして、
が水素またはメチルである、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
以下の構造:
【化5】

のいずれかを有する、請求項1、請求項2または請求項3に記載の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項5】
以下の構造:
【化6】

のいずれかを有する、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化7】

(式中、Arは請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、必要に応じて酸、酸/塩基の組合せおよび/または脱水剤の存在下、式(III)
【化8】

(式中、Rは、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の意味を有し、そして、
Tは、アリルまたは2−シアノエチルである)
の化合物と反応させ、式(IV)
【化9】

(式中、Ar、TおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、後者を、不活性溶媒中で、式(V)
【化10】

(式中、DおよびRは請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物と縮合し、式(VI)
【化11】

(式中、Ar、D、T、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、式(VI)の化合物を、不活性溶媒中、必要に応じて塩基の存在下、式(VII)の化合物または式(VIII)のトリアルキルオキソニウム塩
【化12】

(式中、
12は、(C−C)−アルキルであり、これは、(C−C)−シクロアルキルにより、または、3個までのフッ素により置換されていてもよく、
12Aは、メチルまたはエチルであり、
Xは、ハロゲン、メシレート、トシレートまたはトリフレートなどの脱離基であり、
そして、
は、テトラフルオロボレートなどの非求核性陰イオンである)
を用いて、または、酸の存在下、式(IX)
【化13】

(式中、R12Aは、上記の意味を有する)
のトリアルキルオルトホルメートを用いて、アルキル化し、式(X−A)
【化14】

(式中、Ar、D、T、R、RおよびR12は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、式(VI)の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(XI)
【化15】

(式中、R11は請求項1または請求項2に記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、式(X−B)
【化16】

(式中、Ar、D、T、R、RおよびR11は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、式(X−A)または(X−B)の化合物中のエステル基Tを除去し、式(XII)
【化17】

(式中、Ar、D、R、RおよびRは、各々請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の意味を有する)
のカルボン酸を得、次いで、1,1'−カルボニルジイミダゾールを用いて、式(XIII)
【化18】

(式中、Ar、D、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
のイミダゾリドに変換し、次いで、後者を、不活性溶媒中、必要に応じて補助塩基の存在下、アンモニアと反応させ、式(I)のアミドを得、
必要に応じて、式(I)の化合物を当業者に既知の方法で、それらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離し、かつ/または、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基または酸で、溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
アルドステロン症、高血圧、慢性心不全、心筋梗塞の後遺症、肝硬変、腎不全および卒中の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物を含む、医薬。
【請求項10】
ACE阻害剤、レニン阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ベータ−遮断薬、アセチルサリチル酸、利尿剤、カルシウム拮抗薬、スタチン類、ジギタリス(ジゴキシン)誘導体、カルシウム感受性増強薬、硝酸塩および抗血栓剤からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分と組み合わせて、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物を含む、医薬。
【請求項11】
アルドステロン症、高血圧、慢性心不全、心筋梗塞の後遺症、肝硬変、腎不全および卒中の処置および/または予防用の、請求項9または請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の式(I)の化合物、または、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の医薬を使用することによる、ヒトおよび動物におけるアルドステロン症、高血圧、慢性心不全、心筋梗塞の後遺症、肝硬変、腎不全および卒中の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2010−519232(P2010−519232A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550238(P2009−550238)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001257
【国際公開番号】WO2008/104306
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】