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署名ペプチドおよび質量分析による混合物中の個々の組換えタンパク質の多重定量化
説明

署名ペプチドおよび質量分析による混合物中の個々の組換えタンパク質の多重定量化

本発明は、複雑なマトリックス中の選択された複数の組換えタンパク質、例えば血清中の組換えポリクローナル抗体または培養上清中に発現される組換えポリクローナル抗体の定量化のための分析方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願において引用される全ての特許および非特許文献は、その全体が参照により本願明細書に取り込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、複雑なサンプル中における選択された複数の組換えタンパク質、例えば血清中の組換えポリクローナル抗体または培養上清中に発現される組換えポリクローナル抗体の定量化のための分析方法に関する。該方法には、質量分析によるペプチドの高感度な定量化を含む。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
様々な複雑なタンパク質サンプル中、例えばヒトの血清または血漿中における組換えタンパク質の定量的アッセイが必要とされている。従来、これらのアッセイは、標的タンパク質に対する特定の抗体を特異性および検出の試薬として利用するイムノアッセイ、例えば ELISA として行われてきた。
【0004】
新たな方法、特に同位体で標識されたペプチドまたはタンパク質の内部標準を含む方法は、質量分析によってかかる定量的ペプチドおよびタンパク質アッセイを提供することを可能にする。内部基準(internal reference)ペプチドの使用による質量分析による定量化は、当該技術分野においてよく記載されている。しかし、非常に複雑な混合物、例えば全血漿タンパク質のペプチドへの消化によって作成される混合物に適用する場合には、MS アッセイのダイナミックレンジおよび感度の問題が残っている。ダイナミックレンジおよび感度に関する問題はこれまで、内在性バイオマーカーの定量的解析のための MS と組み合わせた免疫親和性手順の開発によって対処されてきた[1-5]。
【0005】
本発明は、複雑なサンプル、例えば血清もしくは血漿または培養上清からの組換えポリクローナルタンパク質、例えば組換えポリクローナル抗体の親和性精製と、内部基準ペプチドの使用による質量分析による定量化との組合せである。本発明は、親和性精製工程の実行によって感度の改善をもたらす。
【0006】
本発明によって対処される別の問題は、分析物の完全性(integrity)である。これまでのところ、ペプチドに基づくタンパク質の定量には、インタクトなタンパク質に加えて部分的に分解したタンパク質が定量される可能性が残っている。この事は、例えば薬物動態プロファイルの生成のために生物学的医薬を定量する場合に特に問題となる。本発明の好ましい態様において、最初のプロテインA 精製工程が、抗体混合物の定量化のために行われる。プロテインA は免疫グロブリンの Fc 部分と結合し、その後の定量化は CDR 領域に由来する特定のマーカーペプチドに基づくため、定量されるのは実際にインタクトな抗体であると推定される。
【0007】
本発明の方法は、例えば ELISA におけるような特定の抗イディオタイプ抗体を必要とすることなく血清中の抗体の検出および定量化を可能にする。さらに、本発明において開示される方法は包括的(generic)なものである。MS による定量化のためには、適切な署名(signature)ペプチドのみが同定され、検証される必要がある。さらに高い感度のために、署名ペプチドに対して産生された抗体を用いて免疫親和性工程を行うことが可能である。本発明の方法は質量分析によるユニークなペプチドの検出を含むため、抗署名ペプチド抗体の高い特異性は要求されず、求められるのは高い親和性だけである。
【0008】
ELISA と比較した本発明の方法の別の利点は、質量分析によって増強されたダイナミックレンジがもたらされることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
本発明は、薬物動態研究におけるポリクローナル性(polyclonality)の特徴決定およびハイスループット解析のための方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、サンプル中における1以上の組換えタンパク質の定量化のための方法であって、以下の工程
i) 第1の画分を得るための、親和性精製による該1以上の組換えタンパク質の濃縮(up-concentration)
ii) 該組換えタンパク質の各々についての1以上の特定の署名ペプチドを第2の画分の中へ放出させるための、該第1の画分の消化
iii) 該署名ペプチドの各々についての1以上の内部基準ペプチドの、該第1の画分および/または該第2の画分への添加
iv) 所望により、第3の画分を得るための、抗署名ペプチド抗体と結合した樹脂を用いる該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの濃縮ならびにその後の該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの放出、および/または所望により、サンプルを分画し、それによって対象のペプチドを濃縮することができる化学(chemistry)を有する樹脂を用いる該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの濃縮
v) 質量分析による該署名ペプチドの定量化
を含む方法に関する。
【0011】
該方法は、サンプル中における1以上のタンパク質の定量化のために用いることができる。好ましい態様において、該方法は、サンプル中における2以上のタンパク質、例えば組換えポリクローナル抗体の定量化のために用いられる。サンプルは、血清もしくは血漿サンプル、細胞培養もしくはバイオリアクターの上清、または製造中の(in-process)組換えポリクローナル抗体のサンプルであり得る。該方法は、薬物動態試験中における個々の抗体のインビボのクリアランスの測定のために用いることができる。別の態様において、該方法は、組換えポリクローナル抗体サンプルの原体におけるポリクローナル性の特徴決定のために用いられる。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、組換えポリクローナル抗体の製造に関連する、本発明の1以上の組換えタンパク質の定量化のための方法の使用に関する。該定量化は、製剤および/または原体について、上流および/または下流の過程において行うことができる。
【0013】
本発明の重要な特徴は、本発明が1以上のサンプルの未知の構成成分の全てを互いに比較するという課題よりも、事前に選択された特定の組換えタンパク質についての定量的アッセイを確立することに向けられているという事である。本発明の方法は、他の相同なタンパク質のバックグラウンドを含む血清サンプル中における、1以上の相同な組換えタンパク質の分析のために用いることができる。
【0014】
本発明の方法は、例えば薬物動態試験のために、例えば ELISA に基づく手法において必要とされる抗イディオタイプ抗体を必要とすることなく、血清中のポリクローナル抗体組成物の個々の抗体の分析を促進することができる。したがって、例えば薬物動態において、例えば投与の後経時的に、必要としている個体において組換えポリクローナル抗体の濃度を決定および/またはモニターすることができる。一つの態様において、精製はプロテインA または同様の Fc 結合分子によって行われ、その後の定量化は、好ましくは抗体の可変ドメインの一つにおけるペプチドの測定によって行われる。これにより、測定された分析物が分解産物でないことが保証される。なぜならそれは Fc および Fab の両方の存在に依存するためである。
【0015】
定義および略語
‘署名ペプチド’の用語は、サンプル中における所与のタンパク質のモニター断片/ペプチドとして選択された1以上の異なるペプチドを意味する。
【0016】
‘内部基準ペプチド’の用語は、署名ペプチドと同じアミノ酸配列を有する同位体標識されたペプチドを意味する。‘内部基準ペプチド’は、1) 適当な結合物質によって署名ペプチドと等価であると認められるか又は生物物理学的性質によって化学的に等価であると認められ、かつ、2) 分子量の直接測定もしくは断片の質量測定(例えば MS/MS 解析)を介して質量分析計によって区別できるか又は別の等価な手段によって区別できるように異なっている、それぞれの署名ペプチドのいかなる変更されたバージョンであってもよい。
【0017】
‘抗体’の用語は、いずれかの種のいずれかのクラスの免疫グロブリン分子、またはそれに由来するいずれかの分子、または分析物もしくはモニター断片、例えば組換えタンパク質および/または署名ペプチドに特異的に結合するよう保存された分子足場(molecular scaffold)のバリエーションによって構築される他の特異的結合物質をいう。
【0018】
‘抗ペプチド抗体’の用語は‘抗署名ペプチド抗体’と同義に用いられるものであり、該抗体は、サンプルまたは処理されたサンプルからの濃縮の目的でペプチド、例えば署名ペプチドおよび内部基準ペプチドと結合するいかなるタイプの抗体であってもよい(上述の一般的意味において)。通常、本明細書におけるいずれかの抗体の使用は、別の結合物質、例えばアフィボディー(affibody)または抗体模倣物によっても果たすことが可能なことを目的とするものであると理解される。一つの態様において、ペプチドへの抗ペプチド抗体の結合は、さほど特異的なものである必要はない − 即ち、一つの態様においては、高い親和性および/またはアビディティーがより重要である。
【0019】
‘結合物質’の用語は、多数の異なる分子、生物学的細胞または凝集体(aggregate)のいずれであってもよい。かかる文脈において、結合物質は、検出する分析物を検出前に濃縮するために該分析物と結合し、特異的に結合することにより、1以上の分析物が結合および濃縮される。タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸(オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド)、抗体、リガンド、多糖、微生物、受容体、抗生物質、試験化合物(特にコンビナトリアルケミストリーによって生産されるもの)は各々が結合物質であり得る。
【0020】
‘結合’の用語は、永久的なものでも一時的なものでもよいあらゆる物理的付着または近接結合(close association)を含む。一般的に、可逆的結合は、対象の分子と測定される分析物との間の物理的付着を促進する電荷相互作用、水素結合、疎水性力、ファンデルワールス力等の態様を含む。
【0021】
“タンパク質”の用語は、長さまたは翻訳後修飾に関わらずあらゆるアミノ酸の鎖をいう。タンパク質は、2以上の集合したポリペプチド鎖を含む単量体もしくは多量体、タンパク質の断片、ポリペプチド、オリゴペプチド、またはペプチドとして存在し得る。
【0022】
“組換えポリクローナル抗体”の用語は、組換え技術を用いて作成される、慎重に選択された組換え抗体分子の組成物をいう。本発明は、特に、組換え抗体の商業生産のために通常用いられる細胞株、例えば上述のヒトまたは他の哺乳類の細胞株の一つを用いて抗体を発現させる、組換えポリクローナル抗体組成物の特徴決定に向けられている。本発明において、抗体は、そのコード配列が既知である場合、換言すれば、それがハイブリドーマまたは不死化した B細胞から発現される場合に、組換えのものであるとみなされる。本発明において、“組換えタンパク質”の用語には“組換えポリクローナル抗体”が含まれる。
【0023】
組換えポリクローナル抗体とは、同一の抗原または異なる抗原上のいくつかの異なる特異的抗原決定基と結合または反応することができる様々な抗体分子の組成物をいう。ポリクローナル抗体は、“モノクローナル抗体の混合物”とみなすこともできる。ポリクローナル抗体の可変性は、ポリクローナル抗体を構成する個々の抗体のいわゆる可変領域の中、特に相補性決定領域 CDR1、CDR2 および CDR3 領域の中に位置している。本発明の方法によって特徴決定し得るポリクローナル抗体は、あらゆる起源のものであり得、例えばキメラ、ヒト化または完全にヒトのものであってもよい。本発明の組換えポリクローナル抗体は、好ましくは少なくとも2つの異なる抗体の集団を含むものである。
【0024】
“ポリクローナル性”の用語は、組換えポリクローナルタンパク質が特定数のタンパク質を含み、それ故通常の組換えタンパク質またはモノクローナル抗体とは対照的にポリクローナルであることをいう。かかる用語は、遺伝子およびタンパク質の両方のレベルにおいてポリクローナル性を表すために用い得る。組換えポリクローナルタンパク質の可変性は、該組換えポリクローナルタンパク質の個々のメンバーのアミノ酸配列の差異によって特徴付けられる。
【0025】
“組成物の可変性”の用語は、最終バッチ間における実際の量に関して測定された個々の組換えタンパク質または抗体の可変性をいう。
【0026】
“免疫グロブリン”の用語は、血液または血清中に見出される抗体の混合物の総称として一般的に用いられる。したがって、血清由来のポリクローナル抗体は、しばしば免疫グロブリンまたはガンマグロブリンと称される。しかし、“免疫グロブリン”は、他の源に由来する抗体の混合物、例えば組換え免疫グロブリンをいうためにも用いられ得る。全ての免疫グロブリンは、その特異性とは関係なく、4つのポリペプチド鎖を伴う共通の構造を有している: 2つの同一の重鎖、ここで、その各々は発現条件によって共有結合したオリゴ糖基を保持している可能性がある; および通常はグリコシル化されていない2つの同一の軽鎖。ジスルフィド結合が、重鎖と軽鎖を連結している。重鎖はまた、ジスルフィド結合によって互いに連結している。4つ全てのポリペプチド鎖が、それぞれカルボキシおよびアミノ末端に見出される定常および可変領域を含んでいる。
【0027】
免疫グロブリンは、その重鎖の構成要素によって5つの主要なクラスに分けられる: IgG、IgA、IgM、IgD および IgE。2つのタイプの軽鎖、K (カッパ) および λ (ラムダ)が存在する。個々の分子はカッパまたはラムダを含み得るが、両方を含むことはない。IgG および IgA は、各クラス内において、アミノ酸配列のわずかな差異によるサブクラスへさらに分けられる。ヒトにおいては、4つの IgG サブクラス、IgG1、IgG2、IgG3、および IgG4 が見出される。マウスにおいても、4つの IgG サブクラスが見出される: IgG1、IgG2a、IgG2b および IgG3。ヒトにおいて、3つの IgA サブクラス、IgA1、IgA2、および IgA3 が存在する。
【0028】
アフィボディー: アフィボディー分子は、多数の標的タンパク質に特異的に結合するよう操作し得る、小さく且つ頑強な高親和性タンパク質分子である。
【0029】
MS とは、質量分析である。
【0030】
MS/MS とは、タンデム質量分析である。
【0031】
MRM とは、多重反応モニタリング(multi reaction monitoring)、またはこれと等価な技法、例えば SRM (単一/選択反応モニタリング(single/selected reaction monitoring))である。
【0032】
B細胞受容体とは、B細胞の外表面上に存在する膜貫通受容体タンパク質である。該受容体の結合部分は、全ての抗体と同様にランダムに決定されるユニークな抗原結合部位を有する膜結合型抗体によって構成されている。
【0033】
T細胞受容体または TCR とは、T リンパ球(または T細胞)の表面上に見出される、一般に主要組織適合性複合体(MHC)分子と結合した抗原の認識に関与している分子である。それは 95% の T細胞においてはアルファおよびベータ鎖からなるヘテロダイマーであるが、5% の T細胞はガンマおよびデルタ鎖からなる TCR を有している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】AQUA ペプチドに対する A992 署名ペプチドのピーク面積の比をブランクのカニクイザル血漿のプール中にスパイク(spike)された A992 の濃度と相関させる検量線。各サンプルにつき、1 pmol の A992 AQUA ペプチドを添加した。各濃度における比を3連(in triplicates)で決定した。データを線形回帰に適合させ、点線は最も適合した線形回帰の 95% 信頼帯を示す。
【図2】AQUA ペプチドに対する A1024 署名ペプチドのピーク面積の比をブランクのカニクイザル血漿のプール中にスパイクされた A1024 の濃度と相関させる検量線。各サンプルにつき、1pmol の A1024 AQUA ペプチドを添加した。各濃度における比を3連で決定した。データを線形回帰に適合させ、点線は最も適合した線形回帰の 95% 信頼帯を示す。
【図3】8mg/kg の薬物リード(drug lead)を投与したカニクイザルにおける A992 および A1024 の血漿濃度−時間曲線。A992 および A1024 の濃度を、薬物リードの投与後 0.5 から 48 時間において測定した。
【図4】3連の(1つは外れ値)、0.2μg/ml-100μg/ml の範囲の検量線。直線性曲線(Linearity curve)は、スパイクされた血清サンプル中の抗体濃度と署名ペプチド/基準ペプチドの相対感度(relative response)との関連を示す。2つの抗体を同時に測定する。上のパネルは A992 についての検量線を表し、下のパネルは A1024 についての検量線を表す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の詳細な説明
本発明は、複雑なサンプル中の選択された複数の組換えタンパク質、例えば血清中の組換えポリクローナル抗体または細胞または組織培養上清中に発現される組換えポリクローナル抗体の定量化のための方法に関する。該方法は、質量分析によるペプチドの高感度定量化を含む。
【0036】
本発明は、以下の工程を含む、サンプル中の1以上の組換えタンパク質の定量化のための方法に関する:
i) 第1の画分を得るための、親和性精製による該1以上の組換えタンパク質の濃縮
ii) 該組換えタンパク質の各々についての1以上の特定の署名ペプチドを第2の画分の中へ放出させるための、該第1の画分の消化。該消化の前に該第1の画分の還元および/またはアルキル化を行ってもよい。
iii) 該署名ペプチドの各々についての1以上の内部基準ペプチドの、該第1の画分および/または該第2の画分への添加
iv) 所望により、第3の画分を得るための、抗署名ペプチド抗体と結合した樹脂を用いる該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの濃縮ならびにその後の該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの放出、および/または所望により、サンプルを分画し、それによって対象のペプチドを濃縮することができる化学を有する樹脂を用いる該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの濃縮
v) 質量分析による該署名ペプチドの定量化
vi) 所望により、サンプル中にスパイクされた既知濃度の対応するタンパク質調製物を用いて工程 i) から v) までを繰り返してタンパク質検量線を得る
vi) 工程 v) において得られた該署名ペプチドの定量化を工程 vi) において得られたタンパク質検量線と比較し、該サンプル中における該1以上の組換えタンパク質の定量化を得る。一つの態様において、該方法は、該サンプル中の該1以上の組換えタンパク質の絶対的な定量化をもたらす。
【0037】
好ましい態様において、本発明は、上記と同じ工程 i) から vi) を含む、サンプル中の2以上の組換えタンパク質の定量化のための方法に関する。
【0038】
特定の応用において有益である場合には、工程 ii) と iii) を逆にしてもよい。
【0039】
組換えタンパク質の濃縮に関する工程 i)
上記工程 i) は、1以上の組換えタンパク質の濃縮/富化のための当該技術分野において記載されるあらゆる方法を含み得る − 富化された画分を第1の画分と称する。一つの態様において、該濃縮/富化は、インタクトなタンパク質、例えばインタクトな組換えタンパク質、例えばインタクトな組換えポリクローナル抗体を捕獲する。
【0040】
親和性クロマトグラフィーによる分離は、ある特定の結合分子に対する親和性の差異に基づく。該結合分子または複数の結合分子(以下において、これら異なる選択肢を単に結合分子と称する)をクロマトグラフィー媒体上に固定化し、組換えタンパク質を含むサンプルを、個々のメンバーと固定化された結合分子との間の相互作用を支持する条件下で親和性カラムにアプライする。固定化された結合分子に対して親和性を示さないタンパク質はカラムフロースルー(flow-through)に回収され、固定化された結合分子に対して親和性を示すタンパク質はその後、結合に対抗する条件(例えば、低いpH、高い塩濃度または高いリガンド濃度)の下でカラムから溶出される。
【0041】
濃縮/富化は、プロテインA によって行うことができる。プロテインA は、支持体上に固定化し、未精製のタンパク質混合物、例えば血清からの全 IgG の精製のために用いることができる。プロテインA は、高い親和性でヒト IgG1 および IgG2 ならびにマウス IgG2a および IgG2b に結合する。プロテインA は、中程度の親和性でヒト IgM、IgA および IgE ならびにマウス IgG3 および IgG1 に結合する。プロテインA は、サルを含む他の動物からの抗体の精製のためにも用いることができる。プロテインA の一つの組換え形態は、MabSelect SuRe と称される。一つの態様において、アガロースビーズに固定化されたブドウ球菌のプロテインA からなるマトリックス上における親和性クロマトグラフィーが、工程 i) において用いられる。代替物としては、プロテインA-セファロース(SEPHAROSE)、アガロースに固定化されたプロテインA、活性化アルギニン-アガロースと結合したプロテインA、および磁性、ラテックスおよびアガロースビーズ、ポリマービーズ、ポリスチレンビーズおよび PEG ビーズと結合したプロテインA が挙げられる。
【0042】
プロテインA に加えて、他の免疫グロブリン結合タンパク質、例えば免疫グロブリン結合細菌タンパク質、例えばプロテインG、プロテインA/G およびプロテインL を上記工程 i) において用いることができる。これらの免疫グロブリン結合タンパク質の各々は、認識される抗体の部分ならびに結合する抗体の種および型に関して異なる抗体結合特性を有する。本発明はまた、他の種において生成される他の免疫グロブリン結合タンパク質、例えば連鎖球菌のプロテインG、ウサギの抗マウス IgG 免疫グロブリン、抗ヒト IgG 免疫グロブリンおよび抗サル IgG 免疫グロブリンの使用にも関する。
【0043】
本発明はまた、工程 i) における他の親和性に基づく精製方法の使用にも関する。これらは、あらゆる抗体の標的、Fc 受容体、Con A (例えばタチナタマメ(Canavalia ensiformis)(Jack bean)のコンカナバリン A; 糖タンパク質を認識する)、他の型のレクチン親和性クロマトグラフィー、抗体の可変部分に対する抗体、または抗体の定常部分、例えば FC 部分に対する抗体を含む。磁性ビーズ上の抗体を工程 i) において用いることもできる。別の態様においては、免疫親和性の再生利用が工程 i) において用いられる。
【0044】
別の態様において、工程 i) は、1以上の組換えタンパク質、例えば1以上の組換えポリクローナル抗体によって認識される1以上のペプチドまたは標的抗原と結合した樹脂および/またはカラムの使用による、1以上の抗体の精製を含み得る。一つの態様において、1以上のタンパク質の精製は、結合した標的抗原との相互作用によるものであり得る 。
【0045】
最初の濃縮工程、例えば工程 i) におけるプロテインA による富化は、バッチ形式、例えば 96 ウェル形式で、または多次元 LC-MS システムの部分として行うことができる。あるいは、それは非直結型バッチ法(off line batch wise)で行うことができる。
【0046】
還元、アルキル化および消化に関する工程 ii)
工程 i) における最初の濃縮の後、定量化しようとする各々のタンパク質から1以上の特定の署名ペプチドを第2の画分中へ放出させるため、選択されたプロテアーゼを用いて第1の画分を消化する。一つの態様において、第1の画分は消化の前に還元およびアルキル化される。第2の画分は、プロテアーゼによって放出される署名ペプチドおよび他のペプチドを含む。該第1のおよび/または第2の画分の還元、アルキル化および消化は、当該技術分野において公知のあらゆる方法によって行うことができる。ペプチドは、例えばジチオスレイトール(DTT)を用いて還元することができ、その後、例えば 4-ビニルピリジン、ヨードアセトアミドまたはヨード酢酸を用いてアルキル化することができる。
【0047】
その中で1以上の選択された組換えタンパク質を測定することを望む第1の画分は、ペプチド(選択された署名ペプチドを含む)を生成するのに適したプロテアーゼ、例えばトリプシンを用いて、好ましくは本質的に完全に消化され、あるいは再現性のある様式で行うことができる場合には部分的に消化される。その配列が組換えタンパク質の配列中に1回現れる署名ペプチドについては、この消化によって、理想的には第1の画分中に存在していた組換えタンパク質分子と同じ数の署名ペプチド分子が生成されるはずである。
【0048】
消化は、まずタンパク質サンプルを変性させ(例えば尿素またはグアニジンHClを用いて)、タンパク質中のジスルフィド結合を還元し(例えばジチオスレイトールまたはメルカプトエタノールを用いて)、システインをアルキル化し(例えばヨードアセトアミドの添加によって)、最後に(変性物の除去または希釈の後に)選択されたタンパク質分解酵素、例えばトリプシンを添加し、インキュベートして消化を可能にすることによって行うことができる。一つの好ましい態様において、変性はタンパク質の化学的修飾をもたらさないものである。変性は、MS に適合する1以上の界面活性剤の使用によって行うことができる。一つの態様において、タンパク質の酵素的消化を増強するために、および還元およびアルキル化の間の変性剤としての尿素またはグアニジンHCLの代替として、RapiGest(商標) SF 界面活性剤(Waters)が用いられる。
【0049】
インキュベーションの後、化学的阻害剤(例えば DFP または PMSF)の添加、変性(熱もしくは変性剤の添加またはその両方による)、酸性化、またはプロテアーゼ、例えばトリプシンの除去(プロテアーゼ、例えばトリプシンが固体の支持体上にある場合)のいずれかによって、プロテアーゼ(例えばトリプシン)の作用を終了させる。プロテアーゼ活性の破壊は、サンプル中に残存するタンパク質分解活性による抗体へのその後の損傷を避けるために重要である。
【0050】
消化は、トリプシン、キモトリプシン、Asp-N、Glu-C、Lys-C、lys-N および Arg-C (以下の表におけるプロテアーゼの特異性を参照)を含むあらゆるプロテアーゼによって行う事ができる。1以上のプロテアーゼ、例えば 2、3、4、5、6、7、8、9、10 または 10 以上のプロテアーゼを用いることができる。
【0051】
一つの態様において、消化は、化学的分解によって行うことができる。
【0052】
【表1】

【0053】
内部基準ペプチドに関する工程 iii)
MS 解析によって標識されたペプチドを通常のペプチド(天然に存在する量の各元素の同位体を含む)と区別できるよう、化学構造は維持されているが1以上の原子が同位体によって置換されている、安定な同位体で標識された選択された署名ペプチドのバージョンを合成する。これらの同位体標識されたペプチドを、内部基準ペプチドと称する。
【0054】
還元、アルキル化および消化の前および/または後に、安定な同位体で標識された、署名ペプチドの各々についての内部基準ペプチドを、定量化のために前記第1および/または第2の画分へ添加し、その後の絶対的定量化を可能にする。標識されたペプチドは既知の濃度で添加されるため、最終の MS 解析によって検出される天然の署名ペプチドと標識された内部基準ペプチドの量の比によって、サンプル混合物中における署名ペプチドの濃度を算出することが可能になる。
【0055】
少なくとも3つの適切な同位体(13C、15N、18O)が、適切な高度に濃縮された形態(>98atom%)で市販されている。これらを、13C-標識、15N-標識または18O-標識された内部基準ペプチドの生成のために用いることができる。
【0056】
安定な同位体標識は、当該技術分野において記載されているあらゆる方法、例えば‘ポストハーベスト(post-harvest)’によって、化学的アプローチによって、または代謝的取り込みを介して生細胞において、取り込むことができる。かかる同位体処理は、質量スペクトル[6]からのまたは MRM による直接的定量化を促進する。好ましくは、安定な同位体標識は、1つの重いアミノ酸を含む内部基準ペプチドの生成をもたらす化学合成によって行われる。
【0057】
好ましい態様において、内部基準ペプチド中の1つのアミノ酸が標識される。好ましくは、該1つの標識されるアミノ酸はリジンまたはアルギニンであり、標識されるアミノ酸は MRM 定量化のために適切な遷移フラグメントイオン中に現れるべきである。内部基準ペプチドは、好ましくは、良く特徴決定された均質なペプチドの調製物である。
【0058】
一つの態様において、一定分注量(measured aliquot)の同位体標識された内部基準ペプチドが、固定された量で、一定分注量の消化されたサンプルペプチド混合物に添加される。かかる添加の後、選択されたペプチドは、サンプル中において2つの形態(天然の署名ペプチドおよび同位体標識された内部基準ペプチド)で存在することになる。同位体標識されたバージョンの濃度は、添加された量および既知の分注容量に基づいて正確に分かる。該分注量の同位体標識された内部基準ペプチドは、サンプルの消化の前に添加することもできる。
【0059】
一つの態様において、1つの濃度の同位体標識された内部基準ペプチドが選択され、異なる量の署名ペプチドの解析によって検量線が生成される − 即ち、同位体標識された内部基準ペプチドの濃度は全てのサンプル中で同じである一方、署名ペプチドの濃度は、分析するサンプルによって異なると予測されるため、検量線中において変化する。同位体標識された内部基準ペプチドの濃度は、好ましくは、期待される測定面積の中間にある − 即ち、同位体標識された内部基準ペプチドの濃度は、好ましくは、様々なサンプル中の署名ペプチドの測定される最小濃度および最大濃度のほぼ平均である。
【0060】
署名および内部基準ペプチドの濃縮に関する工程 iv)
署名ペプチドおよび内部基準ペプチドのプールは、その後に、例えばウサギにおいて産生された抗署名ペプチド抗体と結合した樹脂の使用によって濃縮し得る。署名ペプチドのプールはその後に放出される(かかる画分を第3の画分と称する)。あるいは、署名および基準ペプチドは、選択幅の広い既知の分離手法のいずれか、例えば陰イオン交換、陽イオン交換、疎水性相互作用、逆相、親水性相互作用、サイズ排除および他の分離原理を用いる粗分画(crude fractionation)によって濃縮することができる。工程 iv) は任意選択である。
【0061】
抗署名ペプチド抗体の使用に関して、抗署名ペプチド抗体(ポリクローナルもしくはモノクローナル、または等価な特異的結合物質)の調製物は、特定の署名ペプチド(複雑なタンパク質サンプルのタンパク質分解産物中の定量化しようとするタンパク質の特定のペプチド断片)および内部基準ペプチド(化学的構造は同じであるが安定な同位体標識を含む)を捕獲し、濃縮するために用いられる。
【0062】
工程 iv) における濃縮工程は、96 ウェル方式で、または多次元 LC-MS システムの部分として行うことができる。該ペプチドの濃縮は、非直結型(offline)で行うことができ、溶出物は濃縮され、次いで C18 キャピラリーカラムにアプライされ、該カラムから ESI ソースへ溶出される。あるいは、ペプチドの濃縮からの溶出物は、ESI ソースへ直接溶出させることもできる。
【0063】
濃縮は、選択した分離特異性に対応する化学を担持するかまたは抗署名ペプチド抗体と結合した磁性ビーズによって行うことができる。別の態様において、免疫親和性の再生利用 − 即ち、抗署名ペプチド抗体樹脂の再生利用 − を用いることができる。
【0064】
本発明はまた、署名ペプチドの富化のための、抗体以外のペプチド結合物質、例えば RNA アプタマー、ペプチドアプタマー、アフィボディー等の使用に関する。
【0065】
ペプチド混合物は、署名ペプチドの生物物理学的特性に適合する分離手法を用いて粗く分画される。該分離は、同じ化学を共有する署名ペプチドおよび基準ペプチドを含む画分の結合を含むか、あるいは、フロースルーが署名ペプチドおよび基準ペプチドを含む。樹脂上に維持される署名および基準ペプチドの場合、それらは選択されたマトリックスおよびペプチドの化学に適した溶出剤によって溶出される。
【0066】
あるいは、ペプチド混合物は、選択されたペプチドと選択的に結合するが、標識された形態と非標識の形態を区別しない(同位体置換は抗体結合親和性に影響を与えないと期待されるため)ペプチド特異的親和性捕獲試薬に曝露される。該ペプチド特異的親和性捕獲は、以下のように行うことができる。MS 解析のため、洗浄工程(例えばリン酸緩衝生理食塩水を用いる)の後、結合しているペプチドを溶出させる(例えば 10% 酢酸、または水とアセトニトリルの混合物を用いて)。親和性支持体は、所望により、別のサンプルの調製において再生利用することができる。想定されるハイスループットアッセイ応用においては、固定化された抗体結合を、数千回とはいかないまでも、数百回再生利用することが有利である。
【0067】
富化工程は、例えばサンプル中の存在量の少ないタンパク質に由来する例えば存在量の少ないペプチドの富化および濃縮を可能にする。一つの態様において、かかる富化工程は、モニターペプチド(即ち、署名ペプチドおよび内部基準ペプチド)のみを MS へ送達し、全サンプル消化物中に潜在的にずっと多い量で存在する他の多くのペプチドのバックグラウンドに対して、モニターペプチドを検出することよりもむしろその検出を絶対的な MS 感度のものとする。かかるアプローチは、サンプルおよびその消化物中の存在量の多い他のタンパク質およびペプチドの存在下において、MS 検出器の検出感度およびダイナミックレンジを効果的に拡張する。好ましい態様において − 例えば MS 法が MRM または抽出イオンクロマトグラムを含む場合 − 富化工程は、モニターペプチドのみが MS に送達されるという結果を必ずしももたらすものではなく、ペプチドの混合物が送達される(ここで、モニターペプチドの濃度は、富化工程前のモニターペプチドの濃度と比較して増大する)。一つの態様において、富化工程は、モニターペプチドの濃度の、5 倍から 100 倍、例えば 5-10倍、例えば 10-15倍、例えば 15-20倍、例えば 20-25倍、例えば 25-30倍、例えば 30-35倍、例えば 35-40倍、例えば 40-45倍、例えば 45-50倍、例えば 50-55倍、例えば 55-60倍、例えば 60-65倍、例えば 65-70倍、例えば 70-75倍、例えば 75-80倍、例えば 80-85倍、例えば 85-90倍、例えば 90-95倍、例えば 95-100倍の増大をもたらす。
【0068】
定量的質量分析に関する工程 v)
質量分析(MS)は、タンパク質の構造的特徴決定に必須のツールである。質量分析測定は、気相中において、イオン化された分析物について行われる。定義として、質量分析計は、イオン源、イオン化された分析物の質量対電荷比(m/z)を測定する質量分析器、および各 m/z 値におけるイオンの数を記録する検出器からなる。エレクトロスプレーオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)が、MS 解析用にタンパク質またはペプチドを揮発およびイオン化させるために最も一般的に用いられる2つの手法である。ESI は、溶液から分析物をイオン化するものであり、そのため、液体に基づく(例えばクロマトグラフィーおよび電気泳動)分離ツールと容易に連結することができる。MALDI は、レーザーパルスによって、乾燥した結晶性マトリックスからサンプルを昇華させ、イオン化する。MALDI-MS は通常、比較的単純なペプチド混合物を解析するために用いられ、一方、統合された液体クロマトグラフィー ESI-MS システム(LC-MS)は、複雑なサンプルの解析にとって好ましい。質量分析器は、当該技術の中核をなすものであり、その重要なパラメータは、感度、分解能、質量精度、およびペプチド断片から情報に富んだイオン質量スペクトル(MS/MSスペクトル)を生成する能力である。少なくとも4つの基本的な型の質量分析器が存在する。これらは、イオントラップ型、飛行時間(TOF)型、四重極型およびフーリエ変換イオンサイクロトロン(FT-MS)型分析器である。それらは設計および性能において非常に異なっており、各々が独自の長所および短所を有している。これらの分析器は、単独であっても良く、場合によっては各々の長所を活かすために直列に組み合わせることもできる(より詳細には、[8-9]を参照されたい)。MALDI-および ESI-MS の両方において、存在する分析物の量と測定されるシグナル強度との関係は複雑であり、完全には理解されていない。したがって、質量分析計は本質的には貧弱な定量装置である。定量的 MS データを得るために、プロテオミクスの分野において、安定な同位体タンパク質標識法が開発された。これらの方法は、異なる安定な同位体組成を有する化学的に同一のペプチドのペアをそれらの質量の差異によって質量分析計において区別できること、およびかかるペプチドのペアについてのシグナル強度の比が該2つのペプチドの存在比を正確に示すことを利用している。ESI-MS において、ペプチドは、LC-MS のランにおいて共溶出する他の分析物によるイオン抑制を受ける。したがって、定量化は、基準ペプチドが署名ペプチド/分析物と共溶出し、同じ度合いのイオン抑制を受ける場合にのみ確実なものとなる。同一の化学組成を有し、同位体の取り込みによって質量のみが異なる基準ペプチドを用いることで、基準および署名ペプチドの共溶出が保証される。かくして、元のサンプル中における対応するタンパク質の相対的存在量は、署名ペプチド対内部基準の比を署名ペプチドの絶対濃度と相関させる検量線の使用によって決定することができる。安定な同位体タグは、i) 代謝標識によって、ii) 酵素的に、または iii) 化学反応によってタンパク質に導入することができる。現在では、タンパク質またはペプチドの化学的同位体タギングが最もよく用いられる方法である(より詳細には、[8]を参照されたい)。一つの態様において、1つの詳細に明らかにされた純粋な重いアミノ酸を含む合成ペプチド、例えば Sigma Aldrich の AQUA ペプチドを用いることができる。
【0069】
本発明に開示される方法の前記第2または第3の画分における署名ペプチドは、定量的質量分析によって定量化される。適切な質量分析計への溶出後、署名ペプチド(サンプルに由来する)および基準(同位体標識された)ペプチドを定量化し、その測定された存在比を用いて最初のサンプル中における署名ペプチドおよびその親タンパク質の存在量を算出する。正確な定量化を行うための一つの方法は、フルスペクトルを得、次いで基準ペプチドを含む測定対象のペプチドからイオン電流を抽出し、得られた抽出イオン電流をピークの積分による定量尺度として用いることである。かかる手法のために、ペプチドを分析し得るあらゆるエレクトロスプレー質量分析計を用いることができる。あるいは、そして好ましくは、多重反応モニタリング(MRM)を用いることができる。他の装置によって MRM様の特性を有する実験を行うことはできるが、多重反応モニタリングの手法は通常、三重の四重極または等価な装置を必要とする。
【0070】
三重の四重極(/線形イオントラップ)装置を用いる多重反応モニタリング(MRM)において、四重極 1 (Q1) は衝突チャンバーに入る個別の前駆体質量に向けられている。全ての断片が第3の四重極(Q3)によってスキャンされるプロダクトイオンスキャンとは対照的に、Q3 は常に1以上の個別の断片質量に向けられている。かかる方式で、遷移 Q1−Q3 がモニターされる。シグナルは特異性の高いものであり、それ故、非常に複雑な混合物中における個別のタンパク質/ペプチドを検出するために用いられる。さらに、その強度は通常、5桁以上にわたってサンプルの量に比例する。したがって、かかる手法は、広いダイナミックレンジにわたる非常に特異的かつ高感度の多重定量方法を可能にする。本発明は、一つの態様において、三重の四重極装置等を用いる MRM に基づく MS 方法の使用に関する。
【0071】
一般的アプローチとしては、タンパク質を(例えばトリプシンを用いて)、質量分析計においてさらに断片化(MS/MS)され得るペプチドへと消化して、配列に基づく同定をもたらすことが挙げられる。該アプローチは、例えばエレクトロスプレーオン化(ESI)と共に用いることができ、また、質量分析計に導入されるペプチドの複雑性を減少させるための1次元以上のクロマトグラフィー分画の後に適用することができる。質量分析の構成(set up)は、質量分析と組み合わされた単次元 LC 分離、例えば極めて分解能の高いフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)型 MS と組み合わされた LC 分離であり得る。代替的 MS 構成は、ESI-MS/MS または MALDI-MS/MS の前の単一の LC 分離である。2つのクロマトグラフィー分離を、MS、例えば ESI-MS/MS または MALDI-MS/MS と組み合わせることもできる。第2または第3の画分は、逆相に基づく LC-MS によって分離し、適切な MS 手法、例えば抽出イオンクロマトグラムまたは多重反応モニタリング(MRM)を用いて定量化することもできる。他の MS に基づく方法、例えば MALDI-PSD またはイオントラップに基づく方法も、絶対的定量化のために用いることができる。
【0072】
一つの態様において、上記の工程において富化された選択されたペプチド(署名ペプチドおよび同位体標識された内部基準ペプチドを含む)は、好ましくはエレクトロスプレーオン化によって、質量分析計の入口(inlet)に送達される。一つの態様において、該ペプチドは、溶出バッファー(例えば 10% 酢酸)中において質量分析計へ直接導入される。好ましくは、該ペプチドは、逆相カラム(例えば C-18 または等価物)にアプライされ、(例えば水におけるアセトニトリル/トリフルオロ酢酸の)勾配によって質量分析計のエレクトロスプレー源へ溶出される(即ち LC/MS)。
【0073】
質量分析計は、イオントラップ型、三重四重極型、ESI-TOF型、TOF型、Q-TOF型もしくはオービトラップ(Orbitrap)型の装置、または適切な質量分解能および感度を有する他のあらゆる装置であり得る。好ましくは、三重四重極に基づく装置が用いられる。
【0074】
比は、標識されたペプチドと未標識のペプチドの量の間で計算され、即ち、署名ペプチドが内部基準ペプチドと比較される。添加された標識されたペプチドの量は既知であるため、サンプル消化物に由来する署名ペプチドの量を検量線から算出することができる。
【0075】
タンパク質検量線の生成およびタンパク質の定量化に関する工程 vi)
タンパク質検量線、例えば抗体検量線(例えば組換えポリクローナル抗体検量線)は、ブランクのサンプル、例えば血清サンプル中にスパイクされた既知濃度の対応するタンパク質(抗体/組換えポリクローナル抗体)調製物から得ることができる。該タンパク質(抗体/組換えポリクローナル抗体)は、スパイクされたサンプルから精製され、本物のサンプルと同じ手順を用いて − 即ち、全てのサンプルに添加される固定された量の基準ペプチドを含む上記工程 i) から v) を用いて分析される。したがって、検量線は、相対的シグナル(基準ペプチドに対する署名ペプチド)を署名ペプチドの濃度と関連付ける。
【0076】
署名ペプチドの選択
本発明の重要な特徴は、本発明が、2以上のサンプルの未知の構成成分の全てを互いに比較するという課題よりも、事前に選択された特定の組換えタンパク質についての定量的アッセイを確立することに向けられているという事である。
【0077】
既知の配列の組換えタンパク質を用い、その中の1以上のペプチドセグメントを‘署名ペプチド’として選択する。所望の酵素を用いる切断によって生じるいずれかのペプチドも可能な選択肢であるが、良好な署名ペプチドは、好ましくは高収量で化学的に合成でき、適切な質量分析計において定量的に検出でき、かつ、抗原として用いた場合に抗体を誘発するペプチドを選択するために設計された一連の判断基準によって定義することができる。一つの態様において、以下の基準のうちの1つ以上を、署名ペプチドの選択のために用いることができる:
【0078】
a) 該ペプチドが、所望のタンパク質分解酵素(例えばトリプシン)を用いるタンパク質の切断によって生じる配列を有するものであること。全ての候補トリプシンペプチドは、一般的に利用可能なソフトウェアの適用によってタンパク質配列から容易に計算することができる。
【0079】
b) 該ペプチドは、好ましくは、中間の疎水性を有し、酵素的消化および親和性クロマトグラフィーにおいて用いられる常套の溶媒に可溶性であるが、脱塩用の C-18 または等価なカラム上に保持されるのに十分な疎水性を有するべきである。
【0080】
c) 該ペプチドは、好ましくは、エレクトロスプレー(ESI)または別の型のイオン化によって十分にイオン化するものであるべきである。この特徴は、ソフトウェアプログラムによって推定するか、またはどのペプチドが最も高い相対的存在量で検出されるかを知るために問題となっているタンパク質の消化物の MS 解析によって実験的に決定することができる。MRM に基づく解析を用いる場合には、別の判断基準は MRM における良好な遷移である。
【0081】
d) 抗署名ペプチド抗体を用いる場合、該ペプチドは、好ましくは、該抗署名ペプチド抗体が産生される種において免疫原性のものであるべきである。一般的に免疫原性がより良好なのは、親水性であり; 二次構造予測ソフトウェアによって予測される屈曲を含み; グリコシル化部位を含まず; かつ、長さが 10-20 アミノ酸、例えば好ましくは 10-15 アミノ酸であるペプチドである。
【0082】
e) アッセイを PK のために発展させる場合、該ペプチドは、好ましくは、標的生物、例えばヒトである標的生物のいかなる他のタンパク質ともさほど相同性を有さないものであるべきである(例えば BLAST 配列比較プログラムによって決定される)。この特徴は、抗体捕獲工程における標的以外のタンパク質に由来するペプチドによる干渉を低減させる。干渉ペプチドの存在も、実験的に試験すべきである。
【0083】
f) 該ペプチドは、好ましくは、化学的反応性残基(トリプトファン、メチオニン、システイン)も、化学的に不安定な配列(Asp-Gly、N-末端 Gln、N-末端 Asn)も含まないものである。
【0084】
g) 該ペプチドは、好ましくは、化学的に安定なものである。
【0085】
h) 該ペプチドは、好ましくは凝集しないものであり、かつ/または、好ましくは実験の間に1以上の望まない表面に接着しないものである。
【0086】
標的タンパク質に由来するすべての可能性のあるペプチドは、これらの判断基準に従って容易に評価することができ、該方法の要求について最良の釣り合いをとる1以上のペプチドが選択される。
【0087】
好ましくは、該ペプチドは実験データに基づいて − 例えばペプチドマップの解析によって、選択される。
【0088】
抗ペプチド抗体の生成
抗ペプチド抗体の産生用の動物を免疫化するために、ペプチドを、キャリアタンパク質(例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH); ヒトのタンパク質と相同でない)と結合させ、抗ペプチド抗体を効率的に生成させる既知のプロトコールの一つによって動物(例えばウサギ、ニワトリ、ヤギまたはヒツジ)を免疫化するために用いる。便宜のため、免疫化および抗体精製のために用いるペプチドは、好ましくは、署名ペプチドの配列(ここでは SIGNATURE と省略する)に付加される追加的 c末端残基を含むものであり、例えば: n末端-SIGNATURE-lys-gly-ser-gly-cys-c末端である。得られる伸長された署名ペプチドは、複数の SH-反応性の基が付加されるよう事前にヘテロ二官能性試薬と反応させたキャリア KLH と都合良く結合させることができる。ペプチド(ここではキャリアタンパク質上のハプテンとしての)を用いる古典的な免疫化において、ペプチド、キャリアおよび他の非特異的エピトープに向けられた抗体を含むポリクローナル抗血清が生産される。また、伸長または修飾の有無に関わらず、ペプチドを抗体産生用のキャリアと結合させるための当該技術分野において公知の多くの方法が存在しており、これらのいずれかを用いることができる。
【0089】
同様に、キャリア上のペプチドを用いて動物を免疫化する以外の手段によって抗ペプチド抗体を産生させるための既知の方法が存在する。署名ペプチドに対して適した特異的可逆的結合物質が生成される限り、該代替手段のいずれをも用いることができる。
【0090】
次いで、強固に結合したペプチドを含むカラムにおける親和性精製によって、この抗血清から特異的抗ペプチド抗体が調製される。かかるカラムは、分注された伸長した署名ペプチドをチオール反応性の固体支持体、例えば市販のチオプロピルセファロースと反応させることによって、容易に調製することができる。未精製の抗血清をこのカラムにアプライすることができ、次いで該カラムを洗浄し、最後に 10% 酢酸(または他の低 pH、高 pH もしくは高カオトロープ濃度の溶出バッファー)に曝露して抗ペプチド抗体を特異的に溶出する。これらの抗体は中和されるかまたは溶出バッファーから分離され(変性を防止するため)、必要であれば、カラムはさらなる抗血清の適用のための生理学的条件へと再生される。
【0091】
ペプチド特異的抗体は、最後に、ペプチド特異的親和性捕獲試薬として使用するために、カラム、ビーズまたは他の表面上に固定化される。好ましい態様において、抗ペプチド抗体は、市販のプロテインAで誘導体化された POROS クロマトグラフィー媒体(Applied Biosystems)上に固定化され、製造者の説明書に従ってジメチルピメリミダート(dimethyl pimelimidate)を用いる共有結合性架橋によってこの支持体上に共有結合により固定される。こうして得られる固相媒体は、ペプチド混合物から署名ペプチドと特異的に結合し、洗浄工程の後、穏やかな溶出条件(例えば 10% 酢酸)の下でモニターペプチドを放出することができる。中性の pH までカラムを回復させ、別のサンプルについての再使用のために該カラムを再生させることは、数百回繰り返し可能であることが当該技術分野において周知となっている工程である。
【0092】
本発明はさらに、1より多くの異なる抗署名ペプチド抗体、例えば 2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20 または 20 より多い異なる抗署名ペプチド抗体と結合した樹脂またはカラムに関する。
【0093】
分析される組換えタンパク質
本発明は、サンプル中の選択された組換えタンパク質の定量化のための分析方法に関する。好ましい態様において、本発明は、サンプル、即ち複雑なマトリックス中の選択された複数の組換えタンパク質の定量化のための分析方法に関する。該選択された複数の組換えタンパク質とは、一つの態様において、2 以上の選択された組換えタンパク質、例えば 3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100 または 100 より多い選択された組換えタンパク質をいう。
【0094】
選択された複数の組換えタンパク質は、組換えポリクローナル抗体を含むものであってもよく、または組換えポリクローナル抗体からなるものであってもよい。
【0095】
本発明の組換えポリクローナルタンパク質は、一つの態様において、天然に可変性の、異なっているが相同であるタンパク質分子を含むタンパク質組成物を包含することを意図しており、好ましい態様において、変異体(variant)核酸のライブラリーが天然に生じる多様性を含むことを意味する。したがって、各々のタンパク質分子は、組成物の他の分子と相同であるが、ポリクローナルタンパク質の個々のメンバー間におけるアミノ酸配列の差異によって特徴付けられる可変性ポリペプチド配列の1以上のストレッチを含むものである。可変性ポリペプチド配列を構成するアミノ酸配列の差異は、たった1つのアミノ酸であってもよい。好ましくは、アミノ酸配列の差異は、1より多くのアミノ酸を構成する。
【0096】
通常、ポリクローナル抗体または TcR の天然の可変性は、ポリペプチド鎖のいわゆる可変領域または V-領域に存在すると考えられる。本発明の一つの側面において、ポリクローナルタンパク質の個々のメンバーは、およそ 80 から 120 アミノ酸長の可変領域を含むものである。可変領域は、超可変ドメイン、例えば相補性決定領域(CDR)を含み得る。
【0097】
天然に生じる TcR 中には、各可変領域内に4つの CDR が存在する。天然に生じる抗体には、重鎖中の3つの CDR および軽鎖中の3つの CDR が存在する。
【0098】
本発明のさらなる側面において、ポリクローナルタンパク質の個々のメンバーの可変領域は、1 から 26 アミノ酸長、好ましくは 4 から 16 アミノ酸長の、少なくとも1つの超可変ドメインを含む。この超可変ドメインは、CDR3 領域に相当し得る。抗体に関しては、各々の可変領域が、好ましくは3つの超可変ドメインを構成する。これらは CDRl、CDR2 および CDR3 に相当し得る。TcR に関しては、各々の可変領域が、好ましくは4つの超可変ドメインを構成する。これらは CDRl、CDR2、CDR3 および CDR4 に相当し得る。超可変ドメインは、本発明の組換えポリクローナルタンパク質の可変領域内の可変配列を単独で構成し得る。
【0099】
本発明に関して、ポリペプチド配列の可変性(ポリクローナル性)は、例えば2以上の異なる抗体アイソタイプ、例えばヒトのアイソタイプ IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD および IgE、またはマウスのアイソタイプ IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM および IgA を含む抗体混合物における場合のように、抗体ポリペプチド鎖のいわゆる定常領域または C 領域に存在する個々の抗体分子間の差異を表わすものとしても理解することができる。したがって、組換えポリクローナル抗体は、可変領域(V領域)もしくは定常領域(C領域)またはその両方における個々の抗体分子間の配列の差異によって特徴づけられる抗体分子を含み得る。好ましくは、該抗体は、同じアイソタイプのものであり、これはその後の精製が相当容易になるためである。例えばアイソタイプ IgG1、IgG2 および IgG4 の抗体を組み合わせることも考えられ、これは、プロテインA 親和性クロマトグラフィーを用いてこれらの抗体を全て一緒に精製することが可能なためである。好ましい態様においては、精製をさらに促進するため、ポリクローナル抗体を構成する全ての抗体が同じ定常領域を有するものである。より好ましくは、抗体は同じ重鎖定常領域を有するものである。軽鎖の定常領域も、個々の抗体に亘って同じものであり得る。別の態様においては、定常領域において可変性が存在し得る。
【0100】
対象とする組換えポリクローナルタンパク質の組成物は、共通の性質、例えば所望の標的抗原に対するポリクローナル抗体の場合における例えば所望の標的に対する共通の結合活性によって規定される、規定されたタンパク質のサブセットを含むものである。通常、ポリクローナルタンパク質組成物は、少なくとも 2、3、4、5、10、20、50 または 100 の別個の変異体メンバー、例えば 2 から 5、2 から 8 または 2 から 10 の別個のメンバーを有する。組換えポリクローナルタンパク質組成物において必要とされる別個のメンバーの数は、標的の複雑度に依存し得る。抗体の場合、標的とされる抗原の複雑度が、組換えポリクローナル抗体組成物中に必要な別個の変異体メンバーの数に影響を与える。小さいか又はあまり複雑でない標的、例えば小さなプロテインA については、2 もしくは 3 から 100 までの別個の変異体メンバーを含むポリクローナル抗体組成物は十分であり得、変異体の数が 90 を超えないこと、または 80 もしくは 70 をも超えないことが好ましい。多くの場合、別個の変異体の数は 60 または 50 を超えず、変異体の数は 2 から 40 までの範囲、例えば 2 から 30 までの範囲内であることが好ましい。
【0101】
哺乳類においては、血液中を自由に循環する天然のポリクローナルタンパク質、例えば抗体もしくは免疫グロブリン分子、または細胞表面上に存在する天然のポリクローナルタンパク質、例えば T細胞受容体および B細胞受容体のいくつかの既知の例がある。これら天然のポリクローナルタンパク質の多様性は、いくつかの哺乳類において、これらのタンパク質の可変領域をコードする遺伝子の遺伝的組換えによって達成される。抗体はさらに、体細胞突然変異によってその多様性を増大させることが知られている。2つの独立した遺伝子セグメントにコードされるタンパク質、例えば抗体の可変重鎖および可変軽鎖、TcRa鎖およびβ鎖または TcRδ鎖およびy鎖に関しては、ライブラリー中の各ベクターが、これらの可変領域をコードする配列のペアを構成する。
【0102】
タンパク質の多様性は、人工的な方法、例えば合成または突然変異によっても作ることができる。突然変異は、単一のタンパク質をコードする核酸配列のランダムな突然変異であっても点突然変異であってもよく、それによって該単一のタンパク質のポリクローナル集団が生成される。本発明の好ましい態様において、組換えポリクローナルタンパク質は、組換えポリクローナル抗体または抗体断片である。
【0103】
本発明の別の好ましい態様において、組換えポリクローナルタンパク質は、組換えポリクローナル TcR または TcR 断片である。
【0104】
したがって、本発明の組換えポリクローナルタンパク質は、異なるアイソタイプから構成され得、または、より好ましくは、異なるサブクラスから構成され得る。免疫グロブリンのポリクローナル性は、免疫グロブリン分子の定常部分もしくは可変ドメインにおいて、または該定常部分および可変ドメインの両方において生じ得る。
【0105】
抗体の治療適用に関しては、いわゆる定常領域、特に抗体の重鎖におけるポリクローナル性が興味の対象となる。多様な免疫グロブリンアイソタイプは様々な生物学的機能を有しており、異なるアイソタイプの免疫グロブリンは自然免疫応答の異なる側面に関与し得るため、抗体を処置のために利用する場合に該アイソタイプを組み合わせることが望まれ得る。
【0106】
工程 iii) において用いられる1以上の内部基準ペプチドは、組換えタンパク質内、例えば組換えポリクローナル抗体および/または TcR 内の配列と同一の配列を有するあらゆるペプチドであり得る。内部基準ペプチドは、該組換えポリクローナル抗体のいずれかの領域内、例えば定常領域、可変領域、軽鎖、重鎖、フレームワーク、超可変ドメイン、相補性決定領域(CDR)、例えば CDR1、CDR2 および CDR3 内の配列と同じ配列を有し得る。内部基準ペプチドは、これら異なる領域からの内部基準ペプチドのいずれかの組合せであってもよい。
【0107】
工程 iii) において用いられる1以上の内部基準ペプチドは、組換えタンパク質、例えばヒトの疾患の治療および/または予防のための組換えポリクローナル抗体内の配列と同一の配列を有するあらゆるペプチドであり得る。組換えポリクローナル抗体は、広範囲の治療適用 − 即ち、血漿由来免疫グロブリンの代替、感染症の予防または治療、および癌の処置に関するものに有望である。
【0108】
一つの態様において、分析される組換えタンパク質は、以下のうちの1以上であり得る:
a) 1以上の感染症の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体
b) 1以上の細菌感染の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体
c) 1以上のウイルス感染の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体
d) 1以上の癌の形態の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体
e) 1以上のアミロイド関連疾患、例えばアルツハイマー病の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体
f) Sym001 - 25 の異なる組換えポリクローナル抗 Rhesus D (RhD) 抗体からなる組換えポリクローナル抗体(WO 2006/007850)
g) 既存の抗ワクシニア過免疫イムノグロブリン(VIG)を置換する組換えポリクローナル抗ワクシニアウイルス抗体により構成される Sym002 (WO 2007/065433)
h) Sym003 - 抗呼吸器多核体ウイルス(RSV)を標的とする組換えポリクローナル製品候補(WO 2008/106980 および WO 2007/101441)
i) Sym004 は、ヒトの癌抗原である上皮増殖因子受容体を標的とする組換えポリクローナル抗体製品候補である(WO 2008/104183)
j) ヒトの癌抗原を標的とする組換えポリクローナル抗体製品候補
j) 細菌性病原体に対して開発された組換えポリクローナル抗体
k) 感染症標的を標的とする組換えポリクローナル抗体
【0109】
本発明の方法はさらに、1以上の異なる抗体、例えばヘビ毒に対する抗体を含むサンプルにおける1以上の組換えタンパク質の定量化に関する。
【0110】
分析されるサンプル
本発明の方法によって分析されるサンプルは、1以上の組換えタンパク質を含むあらゆるサンプルであり得る。一つの態様において、該サンプルは、1以上の組換えタンパク質、例えば1以上の組換えポリクローナル抗体を含む血清または血漿 − 例えばヒトの血清または血漿である。本発明は、単一の個々の源からのサンプルの分析のため、あるいは集団における特定のタンパク質のレベルを評価するために用いることができ、標的集団からのプールされたサンプルを分析するために用いることができる。
【0111】
本発明の別の側面は、細胞培養上清またはバイオリアクター中において発現される1以上の基準組換えタンパク質の定量的分析である。好ましい態様において、本発明は、1以上の組換え抗体、例えば細胞培養上清または細胞培養バイオリアクター中において発現される1以上の組換えポリクローナル抗体の定量化に関する。
【0112】
ポリクローナルタンパク質は、例えばポリクローナル細胞培養上清から得られる細胞培養上清に由来するものであり得る。ポリクローナルタンパク質は、例えばプロテインA 親和性精製、免疫沈降またはゲル濾過によって、該上清から精製または富化することができる。しかし、これらの前精製工程は、組成物中の異なる相同なタンパク質の分離を必ずしももたらすものではないため、組換えポリクローナルタンパク質の特徴決定の一部ではない。好ましくは、本発明の特徴決定方法に供されるサンプルは、既に少なくとも1つの精製工程に供されたものである。
【0113】
ポリクローナルタンパク質を構成する異なる相同なタンパク質は、培養中の様々な時点において単一のポリクローナル細胞培養から得られたサンプルにおいて定量することができ、それにより、生産ラン全体を通じて個々のポリクローナルタンパク質メンバーの相対的割合をモニターし、培養中におけるその組成物の可変性を評価することができる。あるいは、ポリクローナルタンパク質を構成する異なる相同なタンパク質は、異なる製造ランから得られたサンプルにおいて定量することができ、それにより、異なるバッチにおける組成物の可変性をモニターし、バッチ間の一貫性を評価することができる。
【0114】
発明の方法によって特徴決定されるサンプルは、一つの態様において、異なる可変領域タンパク質、特に異なる組換えタンパク質を有する異なる相同なタンパク質の規定されたサブセットを含む。通常、ポリクローナルタンパク質の個々のメンバーは、例えば抗体の場合、共通の特徴、例えば所望の標的に対する共通の結合活性によって規定されている。通常、本発明の特徴決定プラットフォームによって分析されるポリクローナルタンパク質組成物は、少なくとも 2、3、4、5、10 または 20 の別個の変異体メンバー(異なる相同なタンパク質)を含む。したがって、ポリクローナルタンパク質組成物は通常、(少なくとも)2つの異なる相同なタンパク質、例えば(少なくとも)3つ、(少なくとも)4つ、(少なくとも)5つ、(少なくとも)6つ、(少なくとも)7つ、(少なくとも)8つ、(少なくとも)9つ、(少なくとも)10、(少なくとも)11、(少なくとも)12、(少なくとも)13、(少なくとも)14、(少なくとも)15、(少なくとも)16、(少なくとも)17、(少なくとも)18、(少なくとも)19、(少なくとも)20、(少なくとも)21、(少なくとも)22、(少なくとも)23、(少なくとも)24または(少なくとも)25の異なる相同なタンパク質、例えば 2 から 30 の異なる相同なタンパク質、例えば 2 から 5、6 から 10、11 から 15、16 から 20、21 から 25 または 26 から 30 の異なる相同なタンパク質を含む。いくつかの場合において、ポリクローナルタンパク質組成物は、より多くの数の別個の変異体メンバー、例えば少なくとも 50 または 100 の異なる相同なタンパク質を含み得る。一つの態様においては、単一の変異体メンバーがポリクローナルタンパク質組成物中の個々のメンバーの総数の 75% より多くを構成することがなく、例えば最終ポリクローナル組成物中の個々のメンバーの総数のわずか 50%、または例えばわずか 25% または例えばわずか 10%、または例えばわずか 1% である。
【0115】
本発明の好ましい態様において、異なる可変領域を有する異なる相同なタンパク質を含むサンプルは、ポリクローナル抗体である。ポリクローナル抗体は、1以上の異なる抗体サブクラスまたはアイソタイプ、例えばヒトのアイソタイプ IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1 および IgA2、またはマウスのアイソタイプ IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3 および IgA によって構成され得る。
【0116】
本発明はさらに、組換えポリクローナル抗体組成物中の異なる抗体の種の集団の特徴決定のための方法に関する。該方法は、定量的分析に有用であり、例えば、バッチ間の一貫性を解析するため、ならびに製造ラン中における組成物の安定性を評価するためおよび所与のバッチがあらかじめ規定された一定の出荷規格(release specification)を満たすかどうかを決定するために用いることができる。別の態様において、本発明は、ポリクローナル細胞バンクについてのクローンの選択 − 即ち、生産中において所望の抗体組成物をもたらすクローンの選択のために用いることができる。
【0117】
本発明はまた、組換えポリクローナル抗体組成物中の抗体の集団間の変動(variance)を検出するための方法を提供する。
【0118】
一つの態様において、組換えポリクローナル抗体組成物は、単一のポリクローナル細胞培養から、培養中の異なる時点において得られる。第2の態様において、組換えポリクローナル抗体組成物は、異なるポリクローナル細胞培養から特定の時点において得られる。第3の態様において、変動は、組換えポリクローナル抗体組成物に存在する少なくとも3つの、例えば少なくとも 5つまたは少なくとも 10 の抗体の相対的割合を比較することによって検出される。
【0119】
本発明の方法は、例えば薬物動態試験のための、個体、例えばヒトの血清中における組換えポリクローナル抗体組成物/製品を構成する個々の抗体のインビボのクリアランスの同時解析のために実施することもできる。一つの態様において、少なくとも2つの組換えタンパク質、例えば少なくとも2つの組換えポリクローナル抗体が個体に投与される。
【0120】
本発明はまた、原体/製品におけるポリクローナル性の特徴決定に関する。プロセス開発および原体の特徴決定における使用に関して、本発明の方法は、合理的なスループット、例えばハイスループットで実行され得る抗体の相対濃度および絶対濃度の測定を提供する。別の態様において、本発明は、工程中の(in-process)サンプルにおける1以上の組換え抗体の定量化に関する。
【0121】
組換えポリクローナル組成物/製品の個々の抗体を同定および定量化するためには、全ての抗体において、同じプロテアーゼまたはプロテアーゼの組合せによって放出される可変領域からのユニークな署名ペプチドが存在しなければならない。
【0122】
一つの態様において、分析される組換えタンパク質は、1以上の組換えB細胞受容体を含むものである。
【0123】
別の態様において、分析される組換えタンパク質は、1以上の組換えT細胞受容体を含むものである。
【0124】
本発明に開示される方法によって分析されるサンプルは、例えば個体から得られる血清または血漿サンプルであり得る。該個体は、ヒトまたは実験/試験動物を含む動物であり得る。該動物は、ウサギ、ハムスター、マウス、げっ歯類、ラット、サル、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ニワトリ、魚または実験に用いられる他のあらゆる動物であり得る。
【0125】
分析されるサンプルは、ヒト、男性、女性、閉経後の女性、妊婦、授乳中の女性、乳児、小児または成人からなる群より選択される1以上の個体から得ることができる。個体、例えばヒトは、あらゆる年齢、例えば新生児から 120 歳まで、例えば 0 ヶ月から 6 ヶ月まで、例えば 6 ヶ月から 12 ヶ月まで、例えば 1 歳から 5 歳まで、例えば 5 歳から 10 歳まで、例えば 10 歳から 15 歳まで、例えば 15 歳から 20 歳まで、例えば 20 歳から 25 歳まで、例えば 25 歳から 30 歳まで、例えば 30 歳から 35 歳まで、例えば 35 歳から 40 歳まで、例えば 40 歳から 45 歳まで、例えば 45 歳から 50 歳まで、例えば 50 歳から 60 歳まで、例えば 60 歳から 70 歳まで、例えば 70 歳から 80 歳まで、例えば 80 歳から 90 歳まで、例えば 90 歳から 100 歳まで、例えば 100 歳から 110 歳まで、例えば 110 歳から 120 歳までの者であり得る。個体は、あらゆる人種、例えばコーカサス人、黒人、東アジア人、モンゴロイド人種、エチオピア人種、ネグロイド人種、アメリカインディアン人種、またはマレー人種の者であり得る。
【0126】
該ヒトまたは動物は、健康であってもよく、または1以上の疾患を有していてもよい。該ヒトまたは動物は、1以上の疾患について診断および/または処置され得る。一つの態様において、該個体は、遺伝的に1以上の疾患を有しているものである。
【0127】
組換えポリクローナル抗体を製造する方法
本発明はさらに、サンプル中の組換えタンパク質の定量化のための本発明の方法を用いる工程を含む、組換えポリクローナル抗体を製造する方法に関する。したがって、該方法によって定量化し得るポリクローナル抗体は、ポリクローナル抗体のプールから選択することができる。
【実施例】
【0128】
実施例 1
本実施例は、上皮増殖因子受容体(EGFR)に対する2つの抗体 A992 および A1024 (WO 2008/104183) の 1:1 の混合物からなる組換えポリクローナル抗体組成物の多重定量化について記載する。薬物リードの投与後の血漿中において個々の抗体 A992 および A1024 を測定した、カニクイザルにおける前臨床薬物動態(PK)測定を示した。
【0129】
単一のカニクイザルへの1回量の薬物リード(18 mg)、即ち 9 mg の A992 および 9 mg の A1024 の投与後に収集されたサンプルについて、PK 特性を血漿において測定した。これらの PK サンプルを、異なる濃度の薬物リードがスパイクされた3つの対象からのブランクのカニクイザル血漿のプールを含むサンプルと共に分析した。該分析は、2つの部分からなる:
・プロテインA 親和性クロマトグラフィーによる A992 および A1024 の濃縮
・AQUA ペプチド(Sigma)を用いる液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)。
【0130】
プロテインA 親和性クロマトグラフィーによる濃縮
3つの対象からの 25 μl のプールされたブランクのカニクイザル血漿を含むサンプルに、薬物リードを以下の濃度でスパイクした: 0、5、10、20、50、100、150 および 200 μg/ml。pH 7.2 の PBS (Gibco) を、総容積 100 μlまで添加した。25 μlの血漿を pH 7.2 の PBS (Gibco)に添加して総容量 100 μlとすることにより、PK サンプルを調製した。該サンプルを、96 ウェルのプロテインA HP MultiTrap プレート(GE Healthcare)上にロードした。モデル番号 5804R のエッペンドルフ遠心機を用いた工程 6 を除き、全ての工程において、ウェル中の液体は Univac マニフォールド(Whatman)を用いる排出(evacuation)によって除去した。以下の手順を適用した:
【0131】
クエン酸リン酸バッファーの調製:
クエン酸 0.1M:
19.21 g のクエン酸 (Sigma) を水に溶解させて 1000 mlとする、1L のメスフラスコ中で調製する。

Na2HPO4、200 mM :
53.61 g の Na2HPO4・7*H2O (Merck) を水に溶解させて 1000 mlとする、1L メスフラスコ中で調製する。

クエン酸リン酸 pH 6.5 (ストック A):
136 ml の 0.1M クエン酸および 364 ml の 0.2 M Na2HPO4 (Merck)に水を添加して 900 mlとする。水を添加して 1000 ml とする。

クエン酸リン酸 pH 3.5 (ストック B):
359 ml の 0.1M クエン酸 +141 ml の 0.2 M Na2HPO4 に水を添加して 900 mlとする。水を加えて 1000 mlとする。

クエン酸リン酸 pH 5.25:
567 ml のクエン酸リン酸ストック A + 433 ml のクエン酸リン酸ストック B。
【0132】
プロテインA 親和性精製手順:
工程 1: プロテインA HP MultiTrap プレートの調製
製造者の手順に従って、プレートを上下に振ることによって保存溶液を懸濁させ、シールを除去し、保存溶液を排出する。

工程 2: 平衡化
300μl の pH 7.2 の PBS を各ウェルに添加する。

工程 3: 薬物リードの結合
100μl のスパイクされたサンプルまたは PK サンプルを各ウェルに添加し、プレートをエッペンドルフのサーモミキサーコンフォート(thermomixer comfort)中において、室温で 4 分間、800rpm においてインキュベートする。

工程 4: 洗浄 1
a) 250μl の pH 7.2 の PBS を各ウェルに添加し、排出する。
b) 250μl の pH 7.2 の PBS を各ウェルに添加し、排出する。

工程 5: 洗浄 2
a) 250μl の pH 5.25 のクエン酸リン酸洗浄バッファーを各ウェルに添加し、排出する。
b) 250μl の pH 5.25 のクエン酸リン酸洗浄バッファーを各ウェルに添加し、排出する。

工程 6: 薬物リードの溶出
プロテインA HP MultiTrap プレートを、96 ウェルの回収プレート(GE Healthcare)上に置く。
a) 200μl の pH 3.5 のクエン酸リン酸溶出バッファーを各ウェルに添加し、70xg で遠心する。
b) 200μl の pH 3.5 のクエン酸リン酸溶出バッファーを各ウェルに添加し、70xg で遠心する。
【0133】
LC-MS 用のサンプルの調製
プロテインA 親和性クロマトグラフィーによる濃縮の後、内在性 Ig および薬物リードを含むサンプルを LC-MS 解析のために調製した。この工程の間に、AQUA ペプチドをサンプルに添加した。AQUA ペプチドは、A992 および A1024 からのユニークな署名ペプチドと同一であるが、MS 解析を用いてこれらペプチドを署名ペプチドと区別することを可能にする1つの安定な同位体標識されたアミノ酸を含んでいる合成ペプチドである。該標識されたアミノ酸は 98 atom% の 13C および 15N を含んでおり、そのため、A992 および A1024 のネイティブな署名ペプチドと比較して質量が増大していた。絶対的定量化のために選択した AQUA ペプチドを、表 1 に示した。
【0134】
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
LC-MS 用のサンプルの調製には、以下の手順を適用した:
プロテインA HP MultiTrap プレートから溶出した免疫グロブリン(Ig)を、800μl の氷冷アセトン(Merck)を用いて沈殿させた。その後、サンプルを 9μl の 1% Rapigest SF 界面活性剤(Waters)中に溶解させ、エッペンドルフサーモミキサーコンフォート(Thermomixer Comfort)中において 800rpm で混合しながら 100℃で 5 分間加熱した。サンプルに 50mM の NH4HCO3 および 1mM の CaCl2 を添加して最終容積 90μl とし、該サンプルをエッペンドルフサーモミキサーコンフォート中において 800rpm で混合しながら 100℃で 5 分間加熱した。その後、サンプルを 0.1M のジチオスレイトール(DTT)(Sigma)を用いて還元し、0.25M のヨードアセトアミド(Sigma)を用いてアルキル化し、1:20(w/w)の酵素対Ig比でトリプシン(Worthington)を用いて 37℃で 16 時間消化した。終濃度 1% (v/v)までトリフルオロ酢酸(TFA)(Fluka)を添加することにより消化をクエンチし、サンプルを 37℃で 30 分間インキュベートした。2 pmol 総 AQUA/μl の濃度を有する 0.1%(v/v)のギ酸(FA)(Fluka)中の A992 および A1024 AQUA(Sigma)ペプチドの 1:1 の混合物を 10 μl 添加した。即ち、サンプル中の各 AQUA ペプチドの総量は 10 pmol であった。該サンプルを、エッペンドルフ ミニスピンプラス(minispin plus)遠心機において 14100rcf で 10 分間遠心し、HPLC バイアル(Dionex)へ移した。
【0137】
LC-MS による定量化
ペプチドを、Zorbax 300SB-C18 カラム (2.1 x 150mm; Agilent) および RSLC system Ultimate 3000 (Dionex) を用いる逆相 LC によって分離した。溶媒は、溶媒 A: 0.1%(v/v)の FA (Fluka)を有する水、および溶媒 B: 0.1%(v/v)の FA (Fluka) を有するアセトニトリルであり、流速は 200μl/分であった。サンプルを 5% の溶媒 B においてロードし、30 分間の 15% から 40% の溶媒 B の勾配を用いて溶出させた。カラムを 80% の溶媒 B で 20 分間洗浄し、該カラムを 5% の溶媒 B で 14.7 分間再平衡化した。
【0138】
質量分析
ペプチドを、microQTOF装置(Bruker)上で分析した。サンプルの分析のため、400 から 3000 までの m/z 範囲において 表 3 に記載のパラメータを用いて取得(acquisition)を行った。
【0139】
【表4】

【0140】
各ランの開始時において、ダイバートバルブ(divert valve)を介して 20μl の ESI チューニングミックス(tuning mix)(Agilent)が注入されたキャリブレーションセグメントを含めた。MH3+ および MH2+ 荷電状態の署名および AQUA ペプチドの m/z 値の抽出イオンクロマトグラム(EIC)を生成し、抽出される m/z 幅を 0.02 に設定した。EIC(表 4)において検出された特定の署名および AQUA ペプチド化合物の面積から、署名ペプチドと AQUA ペプチドの比を決定した。
【0141】
【表5】

【0142】
結果
EIC における A992 および A1024 についての AQUA ペプチドに対する署名ペプチドのピーク面積の比は、検量線によって薬物リードの濃度と相関させることができる。かかる実験において、検量線の作成のため、A1024 および A992 の両方からなる薬物リードを3頭のカニクイザルからの血漿プール中に8つの濃度: 0、5、10、20、50、100、150 および 200μg/ml でスパイクした。抗体の各々について、その濃度は 0、2.5、5、10、25、50、75 および 100μg/ml に相当する(図 1 および図 2)。
【0143】
検量線は、AQUA ペプチドに対する A992 および A1024 署名ペプチドの比をカニクイザル血漿中にスパイクされた薬物リードの濃度と相関させることが可能であることを示した。該結果はさらに、A992 および A1024 についての AQUA ペプチドに対する署名ペプチドの比を個々の抗体について 10 から 100μg/ml の範囲で決定できることを示す。<10μg/ml の A992 または A1024 をスパイクしたサンプルについては、A992 または A1024 の署名ペプチドのピークは検出されなかった。
【0144】
図 1 および 図 2 における検量線を用いて、カニクイザルにおける薬物リードの前臨床 PK 研究からのサンプルにおける A992 および A1024 の濃度を決定した。A992 および A1024 署名および AQUA ペプチドのピーク面積の比を、8 mg/kg の薬物リードの投与後 0、0.5、1、4、8、24、48 時間ならびに 9、16、23、30、37 および 44 日のサンプリング時点において決定した。A992 および A1024 についての薬物動態曲線を、図 3 に示す。
【0145】
A992 および A1024 の濃度を、8mg/kg の薬物リードの単回投与後 0.5 から 48 時間の時点のサンプルにおいて決定した。該2つの抗体が同じ分解パターンに従うことが観察できる。
【0146】
実施例 2
本実施例は、上皮増殖因子受容体(EGFR)に対する2つの抗体 A992 および A1024 (WO 2008/104183)の 1:1 の混合物からなる組換え抗体組成物の多重定量化について記載する。該抗体をドナー血清プール中にスパイクし、同時に測定した。各抗体につき1つずつ、2つの検量線を作成した。
【0147】
サンプル
該2つの抗体を、各抗体につき 100μg/ml で血清中にスパイクした。次いで、該サンプルを血清中で希釈して検量線用のサンプルを作成した。用いた血清は、10 人の健康なドナーのプールであった。表 5 は、検量線の作成に用いた濃度を示す。
【0148】
【表6】

【0149】
サンプル調製
全 IgG を実施例 1 に記載の 96ウェルのプロテインA プレート上で精製したが、該プレートは 200 μl の pH 3.0 の 0.5M GndHCl/0.1M グリシン中に溶出させた。検量線の各点について、33 μl ずつ分注したものを3つ分析した。溶出液を蒸発させ、次いでウェルあたり 50 μl の 50 mM 重炭酸アンモニウムの添加によって再構成した。タンパク質を DTT (56℃、1h) によって還元し、IAA によって室温で 1 時間アルキル化した。
【0150】
該サンプルを深型ウェルプレートに移し、15 pmol の各 AQUA ペプチドを各ウェルに添加し、該サンプルを 50 mM の重炭酸アンモニウムを用いて希釈した。
【0151】
該サンプルを 4% のリン酸中において 1:1 に希釈し、Waters の Oasis MCX イオン交換プレート上で精製した。
【0152】
該プレートを、各ウェルにつき 30 μl の ACN/MeOH 中の 30% NH4OH を用いて溶出させた。
【0153】
該プレートを蒸発させ、30 μl の 0.1% ギ酸を添加した。
【0154】
LC-MS の構成
サンプル中の抗体濃度を、2つの抗体の CDR 領域からの選択されたペプチドの LC-MS および多重反応モニタリングを用いて定量化した。
【0155】
サンプルを、以下を用いて分析した:
質量分析計: Agilent 6400 Triple Quad LC/MS (QQQ)
HPLC: Agilent 1200 シリーズ
カラム: Waters Acquity UPLC BEH300 C18 1.7 μm、2.1 x 50 mm カラム
流速: 300 μl/分
溶媒 A: 0.1% ギ酸
溶媒 B: 99.9% ACN、0.1% ギ酸
注入量: 30 μl
MS1: 単位(Unit)
MS2: 最広(Widest)
各サンプルにつき 30 μl を LC-MS システムに注入し、表 6 に示す勾配を用いた。
【0156】
【表7】

【0157】
定量化のために2つのペプチドを選択し、AQUA(商標)ペプチド、即ち重い同位体標識されたアミノ酸を含むペプチドとして発注した。かかる実験のために、2つのペプチドを選択した:
【0158】
【表8】

【0159】
結果
各抗体につき1つ、図 4 に示される2つの検量線を作成した。測定は3連で行い、良好な再現性を示し、検量線は非線形適合に適合させる。各抗体につき、両方の曲線の範囲は 0.2 μg/ml-100 μg/ml である。2つの抗体は同時に測定する。
【0160】
略称
【表9】

【0161】
参考文献

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【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、サンプル中の1以上の組換えタンパク質の定量化のための方法:
i) 第1の画分を得るための、親和性精製による該1以上の組換えタンパク質の濃縮
ii) 該組換えタンパク質の各々についての1以上の特定の署名ペプチドを第2の画分中へ放出させるための、該第1の画分の消化
iii) 該署名ペプチドの各々についての1以上の内部基準ペプチドの、該第1の画分および/または該第2の画分への添加
iv) 質量分析による該署名ペプチドの定量化。
【請求項2】
以下の工程をさらに含む、請求項1に記載の方法
i) タンパク質検量線を得るための、サンプル中にスパイクされた既知濃度の対応するタンパク質調製物を用いる、請求項1の工程 i) から iv) の反復、および
ii) 請求項1の工程 iv) において得られた該署名ペプチドの定量化を工程 i) において得られたタンパク質検量線と比較し、該サンプル中の該1以上の組換えタンパク質の定量化を得る工程。
【請求項3】
請求項1の工程 ii) における消化の前に還元および/またはアルキル化の工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
サンプルを分画し、それによって対象のペプチドを濃縮することができる化学を有する樹脂を用いる該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの濃縮工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第3の画分を得るための、抗署名ペプチド抗体と結合した樹脂を用いる該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの濃縮工程ならびにその後の該署名ペプチドおよび該内部基準ペプチドの放出をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1の工程 i) における親和性精製が、1以上の免疫グロブリン結合タンパク質との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1の工程 i) における親和性精製が、1以上の細菌の免疫グロブリン結合タンパク質との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
免疫グロブリンがヒトの免疫グロブリンである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ヒトの免疫グロブリンが、ヒト IgG1、ヒト IgG2、ヒト IgM、ヒト IgA またはヒト IgE である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
免疫グロブリンが、マウス、ウサギ、ヤギ、ブタ、ウシ、ラクダ、イヌ、ネコ、ニワトリ、魚またはサルの免疫グロブリンである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
マウスの免疫グロブリンが、マウス IgG2a、マウス IgG2b、マウス IgG3 または マウス IgG1 である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程 i) における親和性精製が、プロテインA との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程 i) における親和性精製が、プロテインG との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程 i) における親和性精製が、プロテインA/G との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程 i) における親和性精製が、プロテインL との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程 i) における親和性精製が、ポリクローナル抗体の定常部分に対する抗体との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
工程 i) における親和性精製が、Fc 受容体との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
工程 i) における親和性精製が、Con A との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
工程 i) における親和性精製が、抗体の標的との結合を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
工程 ii) における消化が、トリプシンを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
工程 ii) における消化が、キモトリプシンを用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
工程 ii) における消化が、Asp-N を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
工程 ii) における消化が、Glu-C を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
工程 ii) における消化が、Lys-C を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
工程 ii) における消化が、lys-N を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
工程 ii) における消化が、Arg-C を用いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
消化が、本質的に完全に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
還元が、ジチオスレイトール(DTT)を用いて行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項29】
還元が、メルカプトエタノールを用いて行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項30】
アルキル化が、4-ビニルピリジンを用いて行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項31】
アルキル化が、ヨードアセトアミドを用いて行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項32】
アルキル化が、ヨードアセトアミドおよび/またはヨード酢酸を用いて行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項33】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、13Cで標識されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、15Nで標識されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、18Oで標識されたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、合成後標識によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、化学合成によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、代謝的取り込みを介して生細胞において作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
細胞が、微生物の部分である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
細胞が、培養中の哺乳類細胞である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、インビトロで作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、第一級アミノ基を標識するための重水素化酢酸を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、n末端特異的試薬を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、ペプチドの カルボキシル基のパーメチルエステル化を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、切断の間のトリプシンペプチドの c末端への2つの 18O 標識の付加を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、N末端ペプチド標識を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、NIT(N末端同位体コードタギング)を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、C末端ペプチド標識を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、N末端および C末端ペプチド標識とは異なる標識を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、アミノ酸に基づく標識を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
工程 iii) における1以上の内部基準ペプチドが、各ペプチド中の1つのアミノ酸のアミノ酸に基づく標識を含む方法によって作成されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
抗署名ペプチド抗体が、ポリクローナル血清に由来する抗体である、請求項4に記載の方法。
【請求項53】
抗署名ペプチド抗体が、モノクローナル抗体である、請求項4に記載の方法。
【請求項54】
内部基準ペプチドが、組換えポリクローナル抗体および/または TcR 内の配列と同一の配列を有するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の定常領域内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の可変領域内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の軽鎖内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の重鎖内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体のフレームワーク内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の超可変ドメイン内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の CDR1 内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の CDR2 内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
組換えポリクローナル抗体内の配列が、該組換えポリクローナル抗体の CDR3 内のものである、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
署名ペプチドが、陰イオン交換に基づく分離を用いて濃縮される、請求項4に記載の方法。
【請求項66】
署名ペプチドが、逆相に基づく分離を用いて濃縮される、請求項4に記載の方法。
【請求項67】
署名ペプチドが、親水性相互作用に基づく分離を用いて濃縮される、請求項4に記載の方法。
【請求項68】
署名ペプチドが、疎水性相互作用に基づく分離を用いて濃縮される、請求項4に記載の方法。
【請求項69】
署名ペプチドが、サイズ排除に基づく分離を用いて濃縮される、請求項4に記載の方法。
【請求項70】
抗署名ペプチド抗体が、ウサギにおいて産生されるものである、請求項5に記載の方法。
【請求項71】
抗署名ペプチド抗体が、ニワトリにおいて産生されるものである、請求項5に記載の方法。
【請求項72】
抗署名ペプチド抗体が、ヤギにおいて産生されるものである、請求項5に記載の方法。
【請求項73】
抗署名ペプチド抗体が、ヒツジにおいて産生されるものである、請求項5に記載の方法。
【請求項74】
バッチ形式で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項75】
96 ウェル形式で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項76】
多次元 LC-MS システムの部分として行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項77】
非直結型で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項78】
該署名および基準ペプチドをイオン源の中へ直接溶出させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項79】
署名および基準ペプチドを ESI ソースへ直接溶出させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項80】
質量分析が、ESI によるイオン化を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項81】
質量分析が、MALDI によるイオン化を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項82】
質量分析が、2次元以上のクロマトグラフィー分画を含む LC-MS 解析を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項83】
質量分析が、多次元クロマトグラフィーを含む LC-MS 解析を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項84】
質量分析が、単次元の LC 分離を含む LC-MS 解析を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項85】
質量分析が、2次元以上の LC 分離を含む LC-MS 解析を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項86】
質量分析が、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)、Q-TOF または三重四重極に基づく方法を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項87】
質量分析が、LC-MS/MS を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項88】
質量分析が、LC-ESI-MS/MS を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項89】
質量分析が、LC-MALDI-MS/MS を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項90】
質量分析が、多重反応モニタリング(MRM)に基づく方法を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項91】
質量分析が、抽出イオンクロマトグラムを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項92】
質量分析が、イオントラップに基づく方法を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項93】
質量分析が、ESI-三重四重極に基づく方法を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項94】
質量分析が、オービトラップに基づく方法を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項95】
質量分析が、ESI-TOF に基づく方法を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項96】
質量分析が、ESI-Q-TOF に基づく方法を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項97】
1以上の組換えタンパク質が、2以上の組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項98】
1以上の組換えタンパク質が、2以上のキメラポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項99】
2以上のキメラポリクローナル抗体が、ヒト部分およびマウス部分を含むものである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
ヒト部分が、ポリクローナル抗体の定常領域である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
ヒト部分が、ポリクローナル抗体の可変領域である、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
マウス部分が、ポリクローナル抗体の定常領域である、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
マウス部分が、ポリクローナル抗体の可変領域である、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
1以上の組換えタンパク質が、1以上の相同なものを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項105】
サンプルが、血清サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項106】
サンプルが、血漿サンプルである、請求項1に記載の方法。
【請求項107】
サンプルが、細胞培養上清である、請求項1に記載の方法。
【請求項108】
サンプルが、バイオリアクターの上清である、請求項1に記載の方法。
【請求項109】
1以上の組換えタンパク質が、2以上の感染症の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項110】
1以上の組換えタンパク質が、2以上の細菌感染の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項111】
1以上の組換えタンパク質が、2以上のウイルス感染の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項112】
1以上の組換えタンパク質が、2以上の癌の形態の治療および/または予防のために用いられる組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項113】
1以上の組換えタンパク質が、異なる組換えポリクローナル抗体からなる組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項114】
1以上の組換えタンパク質が、異なる組換えポリクローナル抗 Rhesus D (RhD) 抗体、例えば Sym001 からなる組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項115】
1以上の組換えタンパク質が、既存の抗ワクシニア過免疫イムノグロブリン(VIG)を置換する組換えポリクローナル抗ワクシニアウイルス抗体、例えば Sym002 を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項116】
1以上の組換えタンパク質が、抗呼吸器多核体ウイルス(RSV)を標的とする組換えポリクローナル抗体、例えば Sym003 を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項117】
1以上の組換えタンパク質が、ヒトの癌抗原を標的とする組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項118】
1以上の組換えタンパク質が、ヒト EGFR を標的とする組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項119】
1以上の組換えタンパク質が、細菌性病原体を標的とする組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項120】
1以上の組換えタンパク質が、ウイルス性病原体を標的とする組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項121】
1以上の組換えタンパク質が、感染症標的を標的とする組換えポリクローナル抗体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項122】
1以上の組換えタンパク質が、1以上の組換えB細胞受容体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項123】
1以上の組換えタンパク質が、1以上の組換えT細胞受容体を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項124】
サンプル中の1以上の組換えタンパク質の定量化のための、請求項1から123のいずれかに記載の方法の使用。
【請求項125】
該方法が、個体からの血清中における組換えポリクローナル抗体組成物を構成する個々の抗体のインビボのクリアランスの決定のために用いられる、請求項124に記載の使用。
【請求項126】
該方法が、個体の薬物動態試験のために用いられる、請求項124に記載の使用。
【請求項127】
個体が、ヒトである、請求項125または126に記載の使用。
【請求項128】
個体が、げっ歯類である、請求項125または126に記載の使用。
【請求項129】
個体が、サルである、請求項125または126に記載の使用。
【請求項130】
該方法が、原体におけるポリクローナル性の特徴決定のために用いられる、請求項124に記載の使用。
【請求項131】
該方法が、製剤におけるポリクローナル性の特徴決定のために用いられる、請求項124に記載の使用。
【請求項132】
該方法が、工程中のサンプルにおける1以上の組換え抗体の定量化のために用いられる、請求項124に記載の使用。
【請求項133】
組換えポリクローナル抗体の製造に関連する、請求項1に記載の方法の使用。
【請求項134】
原体の生産の上流または下流における組換えポリクローナル抗体の製造に関連する、請求項1に記載の方法の使用。
【請求項135】
製剤の生産の上流または下流における組換えポリクローナル抗体の製造に関連する、請求項1に記載の方法の使用。
【請求項136】
ポリクローナル細胞バンクについてのクローンの選択のための、請求項1に記載の方法の使用。
【請求項137】
定量化される組換えタンパク質の数が2以上である、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−507603(P2013−507603A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532458(P2012−532458)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050258
【国際公開番号】WO2011/042027
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(505257682)シムフォゲン・アクティーゼルスカブ (24)
【氏名又は名称原語表記】SYMPHOGEN A/S
【Fターム(参考)】