説明

群ロボット制御システム、群ロボット制御装置、及び群ロボット制御方法

【課題】労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができる群ロボット制御システムを提供する。
【解決手段】群ロボット制御システム100は、自走によって移動可能な複数のロボット101〜109と、線分を描くことで複数のロボット101〜109の整列パターンを入力するためのタッチパネル20と、タッチパネル20に入力された整列パターンに基づいて、複数のロボット101〜109の移動を制御するための制御信号を生成する制御信号生成部と、制御信号生成部にて生成された制御信号を複数のロボット101〜109に対して送信する制御信号送信部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走によって移動可能な複数のロボット(以下、「群ロボット」ともいう。)が整列パターンに従って整列するようにそれらのロボットの移動を制御する群ロボット制御システム、群ロボット制御装置、及び群ロボット制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自走によって移動可能な複数のロボットを任意の整列パターンに整列させる群ロボット制御装置が知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2を参照)。この群ロボット制御装置によれば、例えば、工場や倉庫において、複数の移動車両ロボットを所望の位置に整列させることができる。また、群ロボット制御装置を用いることで、災害救助において複数の救助ロボットを所望の位置に移動させることも可能になる。さらに、天体の画像撮影を行なう車両ロボットやアンテナ車両ロボットを所望の位置に移動させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−55415号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Luciano C. A. Pimenta, Miguel L. Mendes, Renato C. Mesquita, and Guilherme A. S. Pereira (2007) "Fluids in Electrostatic Fields: An Analogy for Multirobot Control," IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS, VOL. 43, NO. 4, APRIL 2007, pp. 1765-1768
【非特許文献2】Mong-ying A. Hsieh and Vijay Kumar, (2006 ) "Pattern Generation with Multiple Robots," Proceedings of the 2006 IEEE International Conference on Robotics and Automation, Orlando, Florida - May 2006, pp. 2442-2447
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の群ロボット制御装置では、複数のロボットの各々を所望のパターンに整列させる場合には、ユーザが複雑な指示を入力しなければならない。また、各ロボットの移動方向が異なるので、各ロボットに対する指示が異なり、それぞれのロボットを直接操作するのは非常に複雑である。
【0006】
このように、従来の群ロボット制御装置では、複数のロボットを所望のパターンに整列させるために操作者の労力や訓練が必要となり、どのようなユーザでも簡単に複数のロボットを制御するインターフェースは提供されていなかった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができる群ロボット制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の群ロボット制御システムは、フィールドに置かれ、自走によって移動可能な複数のロボットと、前記フィールドに対応する領域を画面に表示するとともに、前記複数のロボットの整列パターンを当該領域内に入力するための座標入力部と、前記座標入力部に入力された前記整列パターンに基づいて、前記複数のロボットの移動を制御するための制御信号を生成する制御信号生成部と、前記制御信号生成部にて生成された前記制御信号を前記複数のロボットに対して送信する制御信号送信部とを備えた構成を有している。
【0009】
この構成によれば、複数のロボットが置かれたフィールドに対応する領域が画面に表示され、ユーザは、画面の当該領域内に複数のロボットの整列パターンを入力することができるので、労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができる。
【0010】
また、本発明の群ロボット制御システムは、前記複数のロボットが置かれたフィールドを撮影してカメラ画像を生成するカメラをさらに含んでよく、前記制御信号生成部は、前記カメラ画像に基づいて、フィードバック制御を行うことで前記制御信号を生成してよい。
【0011】
この構成によれば、複数のロボットが置かれたフィールドを撮影したカメラ画像の用いたフィードバック制御により、複数のロボットを所望のパターンに整列させることができる。
【0012】
また、本発明の群ロボット制御システムにおいて、前記座標入力部の画面中の前記領域に線分を描くことで前記整列パターンを入力可能であってよい。
【0013】
この構成によれば、座標入力部の画面に表示された、フィールドに対応する領域に線分を描くという直感的な操作で整列パターンを入力できる。
【0014】
また、本発明の群ロボット制御システムにおいて、前記座標入力部の画面には、ユーザが描いた線分が表示されてよい。
【0015】
この構成によれば、ユーザは、自分が整列パターンとして座標入力部に描いた線分の形状を座標入力部上で確認できる。
【0016】
また、本発明の群ロボット制御システムにおいて、前記座標入力部の画面には、障害物によってロボットが位置できない障害物領域を表示してよい。
【0017】
この構成によれば、ユーザは、障害物によってロボットが移動できない障害物領域を避けて、整列パターンとしての線分を座標入力部に描くことができる。
【0018】
また、本発明の群ロボット制御システムにおいて、前記座標入力部は、ユーザが描いた線分が前記障害物領域に掛かるときは、前記障害物領域には前記線分を表示しないようにしてよい。
【0019】
この構成によれば、ユーザは、実際にロボットを配置可能な線分を確認することができる。
【0020】
また、本発明の群ロボット制御システムにおいて、前記座標入力部は、ユーザが描いた線分が前記障害物領域に掛かるときは、警告を出力してよい。
【0021】
この構成によれば、ユーザは、自分が整列パターンとして座標入力部に描いた線分が障害物領域に掛かることを認識することができる。
【0022】
また、本発明の群ロボット制御システムにおいて、前記座標入力部の画面には、前記カメラ画像が表示され、前記カメラ画像に線分を描くことで前記整列パターンを入力可能であってよい。
【0023】
この構成によれば、ユーザは、座標入力部において実写の画像上に直接整列パターンとして線分を描くことができる。
【0024】
また、本発明の群ロボット制御システムにおいて、前記カメラ画像は、前記フィールドを真上からみた視点に視点補正された正面画像であってよい。
【0025】
この構成によれば、ユーザは、座標入力部において実写の画像上に直接整列パターンとして線分を描くにあたって、実際に整列されるパターンを正確に認識しながら、線分を描くことができる。
【0026】
また、本発明の別の態様は、自走によって移動可能な複数のロボットがフィールド上で整列パターンに従って整列するように、前記複数のロボットの移動を制御する群ロボット制御装置であって、前記フィールドに対応する領域を画面に表示するとともに、前記複数のロボットの整列パターンを当該領域内に入力するための座標入力部と、前記座標入力部に入力された前記整列パターンに基づいて、前記複数のロボットの移動を制御するための制御信号を生成する制御信号生成部と、前記制御信号生成部にて生成された前記制御信号を前記複数のロボットに対して送信する制御信号送信部とを備えた構成を有している。
【0027】
この構成によっても、複数のロボットが置かれたフィールドに対応する領域が画面に表示され、ユーザは、画面の当該領域内に複数のロボットの整列パターンを入力することができるので、労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができる。
【0028】
また、本発明の別の態様は、フィールドに置かれ、自走によって移動可能な複数のロボットの移動を制御する群ロボット制御方法であって、前記フィールドに対応する領域を画面に表示するステップと、前記領域内に入力された前記複数のロボットの整列パターンを受け付ける入力受付ステップと、前記複数のロボットのすべてが前記整列パターン上にあるか否かを判断する判断ステップと、前記複数のロボットのうちの少なくとも1つが前記整列パターン上にない場合に、前記複数のロボットの移動を制御するための制御信号を生成する制御信号生成ステップと、前記制御信号を送信する送信ステップとを含む構成を有している。
【0029】
この構成によっても、複数のロボットが置かれたフィールドに対応する領域が画面に表示され、ユーザは、画面の当該領域内に複数のロボットの整列パターンを入力することができるので、労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数のロボットが置かれたフィールドに対応する領域が画面に表示され、ユーザは、画面の当該領域内に複数のロボットの整列パターンを入力することができるので、労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車両の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるタッチパネルの画面の例を示す図
【図3】本発明の第1の実施の形態における制御信号生成装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の第1の実施の形態における群ロボット制御方法のフロー図
【図5】本発明の第2の実施の形態における制御信号生成装置の構成を示すブロック図
【図6】(a)本発明の第2の実施の形態におけるカメラ画像入力部にて入力したカメラ画像を示す図 (b)本発明の第2の実施の形態におけるタッチパネルの画面の例を示す図
【図7】本発明の第2の実施の形態における群ロボット制御方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態の群ロボット制御システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0033】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の群ロボット制御システム100の構成を示す図である。群ロボット制御システム100は、フィールドFに置かれた複数のロボット101〜109と、カメラ110と、制御信号生成装置10と、タッチパネル20とからなる。制御信号生成装置10とタッチパネル20とで群ロボット制御装置120が構成される。
【0034】
各ロボット101〜109は、概略直方体の車体を有する。車体の上には、識別標識が付された天板が設けられ、車体の四方にはそれぞれ球形のローラが設けられている。この構成により、各ロボット101〜109は、四方のどの方向に対しても進行可能であり、また、その場で方向を転換することも可能である。なお、図1の例では、識別標識は、各ロボットに重複しないように与えられた番号である。識別標識は番号に限らず、任意の模様であってよく、例えば2次元バーコードのような模様であってよい。各ロボット101〜109は、制御信号生成装置10から無線送信される制御信号に従って移動する。
【0035】
ロボット101〜109は、フィールドFに置かれる。フィールドFには基準線が描かれていてもよい。なお、図1では、フィールドが正方形で描かれているが、ロボット制御システム100が実用される場合には、フィールドFは、例えば工場の内部や災害現場であり、所定の領域が線等によって区画されているとは限らない。カメラ110は、フィールドF及びフィールドにあるロボット101〜109を撮影できるように設置される。ロボット101〜109は、自走することで、フィールドF内を自由に移動することができる。
【0036】
制御信号生成装置10は、カメラ110にて撮影された画像(以下、「カメラ画像」という。)及びタッチパネル20から入力した整列パターンに基づいて、ロボット101〜109がフィールドF上で整列パターンに従って整列するように、ロボット101〜109に対する制御信号を生成する。制御信号生成装置10は、ロボット101〜109に対して無線で制御信号を送信する。
【0037】
図2は、本発明の第1の実施の形態のタッチパネル20の画面の例を示す図である。タッチパネル20は、画面にフィールドFに対応する矩形領域を表示する。フィールドFに障害物がある場合には、画面の矩形領域に、障害物によってロボットが位置できない領域(障害物領域)をロボットが位置できる領域(移動可能領域)と区別して示してもよい。
【0038】
ユーザは、タッチパネル20の画面に表示された矩形領域に対して指で線分を描くことで、整列パターンを入力する。図2の例では、整列パターンは、一本の連続した線分として入力されるが、線分は複数に分かれていてもよい。タッチパネル20には、ユーザの指が辿った軌跡、即ちユーザが描いた線分が表示される。ユーザは、この軌跡を確認することで、自らが入力した整列パターンを確認することができる。
【0039】
画面の矩形領域に障害物領域が示されている場合において、ユーザが入力した整列パターンの線分が障害物領域に掛かるときは、障害物領域には軌跡を表示しないようにしてよい。この場合には、タッチパネル20から制御信号生成装置10に無線送信される整列パターンについても、障害物領域にかかる部分は除かれる。よって、制御信号生成装置10においても、障害物領域を除いて目標位置(後述)が求められる。また、タッチパネル20は、ユーザが入力した整列パターンの線分が障害物領域に掛かるときに、警告音や警告表示を出力してもよい。
【0040】
このタッチパネル20にて入力された整列パターンの座標情報は、無線で制御信号生成装置10に送信される。
【0041】
図3は、制御信号生成装置10の構成を示すブロック図である。制御信号生成装置10は、カメラ画像入力部11と、整列パターン入力部12と、制御信号生成部13と、制御信号送信部14を備えている。カメラ画像入力部11は、カメラ110に接続されて、カメラ110からカメラ画像を入力する。本実施の形態では、制御信号生成装置10とカメラ110とは有線で接続されており、カメラ画像入力部11は、カメラ110にて撮影されて生成された時々刻々と変化するカメラ画像を入力する。
【0042】
整列パターン入力部12は、タッチパネル20から送信されてきた整列パターンを入力する。制御信号生成部13は、カメラ画像入力部11にて入力したカメラ画像及び整列パターン入力部12にて入力した整列パターンに基づいて、ロボット101〜109に対する制御信号を生成する。
【0043】
制御信号生成部13は、タッチパネル20から送信された整列パターンの情報に基づいて、ロボット101〜109がその整列パターンに従って整列するように制御信号を生成する。具体的には、制御信号生成部13は、タッチパネル20にて指で入力された整列パターンの線分上にロボット101〜109が等間隔に並ぶようにロボット101〜109の移動先となるカメラ画像上の目標位置を決定する。制御信号生成部13は、次々に入力されるカメラ画像における各ロボットの位置と各ロボットの目標位置との差分が小さくなるようにフィードバック制御を行い、制御信号を更新する。
【0044】
制御信号送信部14は、制御信号生成部13が制御信号を更新するたびに、更新された制御信号をロボット101〜109に向けて無線で送信する。
【0045】
図4は、第1の実施の形態の群ロボット制御方法のフロー図である。群ロボット制御方法は、群ロボット制御装置120にて実行される。まず、タッチパネル20がユーザによる整列パターンの入力を受ける(ステップS41)。次に、タッチパネル20は、ユーザの指示に基づいて、整列パターンの座標情報を制御信号生成装置10に送信する(ステップS42)。
【0046】
次に、制御信号生成装置10の整列パターン入力部12がタッチパネル20から入力した整列パターンを制御信号生成部13に出力することで、制御信号生成部13に、整列パターンが入力される(ステップS43)。制御信号生成部13は、カメラ画像入力部11から入力したカメラ画像及び整列パターン入力部12から入力した整列パターンに基づいて、ロボット101〜109のすべてが目標位置にあるか否かを判断する(ステップS44)。
【0047】
ロボット101〜109の少なくとも一つが目標位置にない場合には、ロボット101〜109を移動させるための制御信号を生成する(ステップS45)。なお、ロボット101〜109の一部がすでに目標位置にある場合には、当該目標位置にあるロボットについて移動量がゼロになる制御信号を生成する。
【0048】
制御信号生成部13にて制御信号が生成されると、制御信号送信部14は、制御信号をロボット101〜109に対して無線送信して(ステップS46)、ステップS44に戻る。ステップS44からステップS46を繰り返して、ステップS44にて、ロボット101〜109のすべてが目標位置に達したと判断されると、処理を終了し、それ以降は、次の整列の指示があるまで、制御信号生成部13は制御信号を生成せず、制御信号送信部14も制御信号を送信しない。
【0049】
以上のように、第1の実施の形態の群ロボット制御システム100によれば、ユーザは、群ロボットの整列パターンをタッチパネル20に線分として入力することができるので、労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができる。
【0050】
また、フィールドFに障害物がある場合に、それをタッチパネル20の画面に障害物領域として表示することで、ユーザは、ロボットが位置し得ない領域を認識することができ、その領域を避けてロボットの整列パターンを入力できる。
【0051】
さらに、タッチパネル20の画面に障害物領域が表示される場合に、ユーザが入力した整列パターンの線分が障害物領域に掛かるときに、警告を出力するようにすれば、ユーザは自らが入力した整列パターンの通りにロボットを位置させることができないことを知ることができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の群ロボット制御システムは、図1に示した群ロボット制御システム100と同一の構成を有する。図5は、第2の実施の形態の制御信号生成装置10’の構成を示すブロック図である。制御信号生成装置10’は、第1の実施の形態の制御信号生成装置10と同様に、カメラ画像入力部11と、整列パターン入力部12と、制御信号生成部13と、制御信号送信部14とを備えている。制御信号生成部10’は、更に、正面画像生成部15と、正面画像送信部16とを備えている。
【0053】
正面画像生成部15には、カメラ画像入力部11にて入力したカメラ110で撮影された画像が入力される。図6(a)は、カメラ画像入力部11にて入力したカメラ画像を示す図である。カメラ110は、フィールドFの斜め上方からフィールドFを撮影するので、カメラ画像中のフィールドF及び各ロボット101〜109の画像は歪んでいる。
【0054】
そこで、正面画像生成部15は、カメラ画像において歪んだフィールドFを真上から見た形状になるように視点補正を行って、正面画像を生成する。このために、フィールドFには正方形の4つの角に基準マーク201〜204が付されている。正面画像生成部15には、カメラ110を固定した後に、基準マーク201〜204が隠れないように、フィールドFにロボット101〜109を配置しない状態で撮影されたカメラ画像に基づいて、カメラ画像を変換するための変換行列を求める。
【0055】
この変換行列は、それを用いてカメラ画像を視点補正することで基準マーク201〜204を結んで形成される形状が正方形になるような行列として求められる。正面画像生成部15にはこの変換行列が保存されている。正面画像生成部15は、カメラ画像入力部11がカメラ画像を入力すると、保存されている変換行列によって、そのカメラ画像を射影変換して、正面画像を生成する。
【0056】
正面画像生成部15は、生成した正面画像を正面画像送信部16及び制御信号生成部13に出力する。正面画像送信部16は、正面画像をタッチパネル20に無線で送信する。タッチパネル20は、正面画像を受信して、これを画面に表示する。
【0057】
図6(b)は、第2の実施の形態のタッチパネルの画面の例を示す図である。本実施の形態では、タッチパネル20において正面画像を表示した画面が、ユーザが整列パターンを入力するための画面となる。即ち、ユーザは、実写のフィールドF及びそこにあるロボット101〜109の画像の上に直接整列パターンを入力することができる。なお、フィールドFに障害物がある場合には、タッチパネル20における整列パターンの入力画面で障害物も表示されるので、ユーザはこれを避けるように整列パターンを入力することができる。
【0058】
制御信号生成装置10’のカメラ画像入力部11、整列パターン入力部12、制御信号生成部13、及び制御信号送信部14における処理は、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0059】
図7は、第2の実施の形態の群ロボット制御方法のフロー図である。群ロボット制御方法は、制御信号生成装置10’を含む群ロボット制御装置120にて実行される。図7のフロー図において、第1の実施の形態の群ロボット制御方法と同一の処理を行うステップには、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0060】
本実施の形態の群ロボット制御方法では、処理を開始する前に、予め変換行列を求めて正面画像生成部15に保存しておく。具体的には、カメラ110を固定した後に、基準マーク201〜204が付されたフィールドFを撮影したにカメラ画像に基づいて、基準マークが所定の位置関係になるような変換行列を求める。
【0061】
群ロボット制御装置120は、この状態において図7に示すフローを開始するが、ユーザから整列パターンの入力を受け付けて制御信号生成部13に整列パターンを入力するまでの処理(ステップS41〜ステップS43)は、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、制御信号生成部13にてロボット101〜109のすべてが目標位置まで移動したか否かを判断する前に、正面画像生成部15がカメラ110から入力したカメラ画像を視点補正して、正面画像を生成する(ステップS71)。
【0062】
そして、正面画像送信部16が、生成された正面画像をタッチパネル20に送信する。ロボット101〜109の少なくとも1つが目標位置にない場合に(ステップS44にてNO)、制御信号生成部13にて制御信号を生成し(ステップS45)、制御信号送信部14が生成された制御信号をロボット101〜109に無線送信する(ステップS46)処理は、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、制御信号をロボット101〜109に送信した後に、ステップS71に戻って、カメラ画像を視点補正して新たな正面画像を生成する。
【0063】
以上のように、第2の実施の形態の群ロボット制御システム100によっても、ユーザは、群ロボットの整列パターンをタッチパネル20に線分として入力することができるので、労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができる。
【0064】
また、第2の実施の形態では、カメラ110によって撮影されたカメラ画像に基づいて、タッチパネル20にて表示する整列パターンの入力画面を表示するので、タッチパネル20に、フィールドFの情報(更に、フィールドFに障害物がある場合には障害物領域の情報)を予め記憶しておく必要がない。従って、災害現場で群ロボット制御システム100を用いる場合のように、予めフィールドFの情報を取得又は作成してタッチパネル20に保存することができない場合にも有用である。
【0065】
なお、上記の説明では、視点補正のための変換行列は、基準マーク201〜204が付されたフィールドFをカメラ110で撮影して、そのカメラ画像に基づいて求められたが、例えば、ユーザがカメラ画像の視点補正パラメータを手動で変更することで、変換行列を決定してもよい。また、フィールドFに対するカメラ110の位置関係及び姿勢が完全に固定されている場合には、カメラ110に予め変換行列が保存されていてもよい。
【0066】
また、上記の説明では、群ロボット制御システム100において、制御信号生成装置10(10’)とタッチパネル20とが無線で接続されていたが、制御信号生成装置10(10’)とタッチパネル20とが有線で接続されていてもよい。また、制御信号生成装置10(10’)とカメラ110とは有線で接続されていたが、制御信号生成装置10(10’)とカメラ110とが無線で接続されてもよい。
【0067】
さらに、制御信号生成装置10(10’)とタッチパネル20とが一体となって、カメラ10と優先又は無線で接続されてよい。また、図2に示した制御信号生成部10の一部の構成がタッチパネル20に備えられていてもよい。
【0068】
また、上記で説明した制御信号生成部13は、入力した整列パターンから各ロボットの目標位置を求めて、各ロボットがその目標位置に到達するようにフィードバック制御を行ったが、この目標位置にポテンシャル場を定義して、各ロボットのポテンシャルが収束するように制御信号を生成してもよい。
【0069】
また、上記で説明した群ロボット制御装置120では、ユーザがタッチパネル20に線分を描くことで整列パターンを入力し、制御信号生成部13は、整列パターンの線分上にロボット101〜109が等間隔に並ぶようにロボット101〜109の目標位置を決定したが、整列パターンは線分に限られない。例えば、ユーザがタッチパネル20に、ロボット101〜109の目標位置を直接指定してもよい。この場合には、ユーザは、タッチパネル20の画面に表示されたフィールドに対応する領域において、ロボット101〜109を配置したい複数の点をタップして、それらの目標位置を指定する。
【0070】
更に、上記で説明した群ロボット制御システム100では、ロボット101〜109が置かれたフィールドFをカメラ110で撮影して、制御信号生成部10(10’)は、カメラ画像に基づいてフィードバック制御を行うことで、ロボット101〜109の移動を制御するための制御信号を生成してロボット101〜109を所望のパターンに整列させたが、ロボット101〜109を所望の整列パターンに整列させる制御方法はこれに限られない。例えば、ロボット101〜109が、フィールドF上の基準物に対する相対位置を検知できるのであれば、当該相対位置をフィードバック制御することでもロボット101〜109を所望のパターンに整列させることができる。また、ロボット同士が互いの相対位置を検知できる場合にも、当該相対位置をフィードバック制御することで、ロボット101〜109を所望のパターンに整列させることができる。
【0071】
また、上記で説明した群ロボット制御システム100において、タッチパネル20は、本発明の座標入力部に該当するが、本発明の座標入力部は、タッチパネルに限られない。本発明の座標入力部は、例えば表示パネルとマウスであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、労力や訓練を必要とせずに、直感的に複数のロボットの整列制御を行うことができるという効果を有し、複数のロボットからなる群ロボットが整列パターンに従って整列するようにそれらの移動を制御する群ロボット制御システム等として有用である。
【符号の説明】
【0073】
10 制御信号生成装置
11 カメラ画像入力部
12 整列パターン入力部
13 制御信号生成部
14 制御信号送信部
15 正面画像生成部
16 正面画像送信部
20 タッチパネル
100 群ロボット制御システム
110 カメラ
120 群ロボット制御装置
101〜109 ロボット
201〜204 基準マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールドに置かれ、自走によって移動可能な複数のロボットと、
前記フィールドに対応する領域を画面に表示するとともに、前記複数のロボットの整列パターンを当該領域内に入力するための座標入力部と、
前記座標入力部に入力された前記整列パターンに基づいて、前記複数のロボットの移動を制御するための制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御信号生成部にて生成された前記制御信号を前記複数のロボットに対して送信する制御信号送信部と、
を備えたことを特徴とする群ロボット制御システム。
【請求項2】
前記複数のロボットが置かれたフィールドを撮影してカメラ画像を生成するカメラをさらに含み、
前記制御信号生成部は、前記カメラ画像に基づいて、フィードバック制御を行うことで前記制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の群ロボット制御システム。
【請求項3】
前記座標入力部の画面中の前記領域に線分を描くことで前記整列パターンを入力可能であることを特徴とする請求項2に記載の群ロボット制御システム。
【請求項4】
前記座標入力部の画面には、ユーザが描いた線分が表示されることを特徴とする請求項3に記載の群ロボット制御システム。
【請求項5】
前記座標入力部の画面には、障害物によってロボットが位置できない障害物領域が表示されることを特徴とする請求項3又は4に記載の群ロボット制御システム。
【請求項6】
前記座標入力部は、ユーザが描いた線分が前記障害物領域に掛かるときは、前記障害物領域には前記線分を表示しないことを特徴とする請求項4に記載の群ロボット制御システム。
【請求項7】
前記座標入力部は、ユーザが描いた線分が前記障害物領域に掛かるときは、警告を出力することを特徴とする請求項4に記載の群ロボット制御システム。
【請求項8】
前記座標入力部の画面には、前記カメラ画像が表示され、前記カメラ画像に線分を描くことで前記整列パターンを入力可能であることを特徴とする請求項2に記載の群ロボット制御システム。
【請求項9】
前記カメラ画像は、前記フィールドを真上からみた視点に視点補正された正面画像であることを特徴とする請求項8に記載の群ロボット制御システム。
【請求項10】
自走によって移動可能な複数のロボットがフィールド上で整列パターンに従って整列するように、前記複数のロボットの移動を制御する群ロボット制御装置であって、
前記フィールドに対応する領域を画面に表示するとともに、前記複数のロボットの整列パターンを当該領域内に入力するための座標入力部と、
前記座標入力部に入力された前記整列パターンに基づいて、前記複数のロボットの移動を制御するための制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御信号生成部にて生成された前記制御信号を前記複数のロボットに対して送信する制御信号送信部と、
を備えたことを特徴とする群ロボット制御装置。
【請求項11】
フィールドに置かれ、自走によって移動可能な複数のロボットの移動を制御する群ロボット制御方法であって、
前記フィールドに対応する領域を画面に表示するステップと、
前記領域内に入力された前記複数のロボットの整列パターンを受け付ける入力受付ステップと、
前記複数のロボットのすべてが前記整列パターン上にあるか否かを判断する判断ステップと、
前記複数のロボットのうちの少なくとも1つが前記整列パターン上にない場合に、前記複数のロボットの移動を制御するための制御信号を生成する制御信号生成ステップと、
前記制御信号を送信する送信ステップと、
を含むことを特徴とする群ロボット制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−194948(P2012−194948A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60354(P2011−60354)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】