説明

義歯接着剤組成物

本発明は、安全且つ有効な接着性量の義歯接着剤成分と、非水溶性熱可塑性成分、非水溶性液体成分、水溶性熱可塑性成分、水溶性液体成分、及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の成分を含む義歯接着剤組成物であって、該組成物が、約0.108〜1.18MPa(1100〜12,000g/cm)の正規化除去力、及び/又は約1.1〜約10の除去力比を有する、義歯接着剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯接着剤組成物に関し、特に、約0.108〜1.18MPa(1100〜12,000g/cm)の正規化除去力、又は約1.1〜約10の除去力比を有する、改良された義歯接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の取り外し可能な義歯、歯板などは、好適な義歯床又はベースに取り付けられた歯を含む。義歯は、従来より個人のユーザーに適合されているが、その適合性は時間とともに変化する場合があり、その結果滑り又は不快感を生じることがある。義歯接着剤は、義歯を口腔の表面、特に口粘膜に一時的に接着するために使用される。義歯接着剤は、一般的に、義歯が口腔内に取り付けられる一日の始まりに、義歯又は口表面のいずれかに適用され、接着剤は一日が経過する間に唾液及び咀嚼の作用により生体内分解される傾向がある。
【0003】
改良された義歯接着剤製品を開発するために、何年もの間多大な努力がなされてきた。合成及び天然ポリマー類及びゴム類は、保持力改良及び接着剤の歯板下からの漏出低減のため、並びに使用後の乱雑状態防止及び口及び義歯からの接着剤残留物除去困難性を防止するための試みにおいて、単独で及び種々の接着剤及びその他の材料と組み合わせて使用されてきた。例えば、アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマー類及びその塩類は、義歯接着剤組成物の保持力を提供することで知られている。そのような開示には、次のものがある:米国特許第3,003,988号(ゲルマン(Germann)ら、1961年10月10日発行);米国特許第4,980,391号(クマ−(Kumar)ら、1990年12月25日発行);米国特許第5,073,604号(ホレバ(Holeva)ら、1991年12月17日発行);米国特許第5,525,652号(クラーク(Clarke)、1996年6月11日発行);米国特許第5,340,918号(キトレル(Kittrell)ら、1994年8月23日発行);米国特許第5,830,933号(シノディス(Synodis)ら、1998年11月3日発行)。
【0004】
接着に加え、漏出を低減すること又は消費者が経験する漏出の不愉快な美観を低減することが望ましい。漏出は、低粘度の義歯接着剤、過剰な義歯接着剤の使用、歯板上への義歯接着剤の不適切な適用などの種々の要因によって引き起こされる口腔内での歯板下からの義歯接着剤の浸出によって起こる場合がある。漏出が口腔で生じたとき、義歯接着剤組成物は口腔に暴露される。したがって、義歯接着剤組成物に関連するいかなる不愉快な味、不愉快な口当たり、又はいかなるその他の不愉快な美観も、消費者にとってより顕著で不快な場合がある。このような不愉快な感覚の発生源は、義歯接着剤ポリマー自体又は亜鉛塩類と架橋したものを包含する義歯接着剤ポリマーの塩類を包含してもよい。義歯接着剤組成物は、口腔内で6〜7時間又はそれ以上使用されることから、味の検討は重要である。さらに、消費者は、漏出の不愉快な感覚を経験した場合、次回は接着剤の使用を止める場合があり、又はより少ない接着剤を適用しがちになる場合がある。これは、義歯保持力の低下又は義歯性能の低下を招く場合がある。この性能低下は、義歯安定性、義歯定着がより少ないこと、又は歯科補綴物下で食物のひっかかり自体が増大することを意味しうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によると、本明細書の義歯接着剤組成物は、様々な口腔条件下で、改良された保持力、適合性、取扱いやすさ、適用容易性、低減された漏出、及び/又は改良された浄化を包含するこれらの改良された義歯接着剤特性を提供するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、義歯接着剤組成物であって、安全且つ有効な接着性量の義歯接着剤成分と、非水溶性熱可塑性成分、非水溶性液体成分及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の非水溶性成分と、を含む義歯接着剤組成物であって、該組成物が、約0.108〜1.18MPa(1100〜12,000g/cm)の正規化除去力(dislodgement force)、又は約1.1〜約10の除去力比を有する、前記義歯接着剤組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の必須及び任意成分の詳細を下記に示す。
【0008】
定義
略語「cm」は、本明細書で使用するとき、センチメートルを意味する。略語「mm」は、本明細書で使用するとき、ミリメートルを意味する。略語「g」は、本明細書で使用するとき、グラムを意味する。
【0009】
用語「義歯」及び/又は「歯科補綴物」は、本明細書で使用するとき、上側若しくは下側の義歯、又はその両方を指す。
【0010】
用語「義歯接着剤物品」及び/又は「物品」は、本明細書で使用するとき、義歯、並びに歯肉又は口蓋のような曲線状の表面に適合、合致又は接着するよう設計された物品を指す。本明細書の物品は、使用前に実質的に固体であり、そして実質的に一体状で、手で持ち上げ、義歯上に置くことができる。
【0011】
用語「可撓性」又は「可撓性物品」は、本明細書で使用するとき、0.67mm厚の物品片を、直径1cmの中実の円筒の周囲180度に、目視観測で亀裂を生じることなく巻き付けることができることを意味する。
【0012】
用語「安全且つ有効な接着性量」は、本明細書で使用するとき、ユーザーへの毒性又は口組織への損傷なく、口腔への付着を提供する及び/又は義歯の口腔への付着を提供するのに十分な量を意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「安全且つ有効な量」とは、健全な医学/歯学的判断の範囲内で、治療すべき状態を著しく(よい方向に)改変するのに、又は要求される利益をよい方向に改変するのに十分に高いが、重篤な副作用を回避できるほど低い(妥当な利益/危険比で)、剤の量を意味する。剤の安全且つ有効な量は、治療される特別な症状、治療される患者の年齢及び身体状態、症状の重篤さ、治療期間、併用療法の性質、使用する物質の特定の形態、及び該剤が適用される特定の溶媒など、によって変化してもよい。
【0014】
用語「AVE/MA」は、本明細書で使用するとき、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸コポリマーを指す。用語「混合ポリマー塩類」又は「混合塩類」は、本明細書で使用するとき、少なくとも2つの異なるカチオン類が、互いの又は他の塩類と共に同じポリマー上に混在するAVE/MAの塩類を指す。
【0015】
用語「遊離酸」又は「FA」成分は、本明細書で使用するとき、AVE/MAコポリマーの未反応のカルボキシル基(−COOH)に、前記ポリマーのカルボキシル基のいかなるその他の一価カチオン類(例えば、COONa)も加えたものを指す。一価カチオン類には、ナトリウム、カリウム、水素などのようなIA族のカチオン類が挙げられる。1つの実施形態では、用語「遊離酸」は、AVE/MAの未反応のカルボキシル基(−COOH)に、ナトリウム及びカリウムカチオン類を加えたものを指す。別の実施形態では、用語「遊離酸」は、AVE/MAの未反応のカルボキシル基(−COOH)のみを指す。
【0016】
用語「毒物学的に許容されうる」は、本明細書で使用する時、毒性特性が、ヒト及び/又は動物に投与するために適している物質を記載するために使用される。
【0017】
「非水性」は、本明細書で使用するとき、該組成物が、製造業者によって市販供給された状態で、添加水を含有しないが、別の成分に包含される水を含有する可能性があることを意味する。
【0018】
用語「非水溶性」は、本明細書で使用するとき、過剰な水に暴露したときに、溶解しないが様々な程度で分散してもよい材料を指す。いくつかの実施形態では、用語「非水溶性」は、水に約10%、5%、2%、又は1%未満可溶性の材料を指す。
【0019】
用語「熱可塑性」は、本明細書で使用するとき、熱に暴露したときに溶融する、軟化する、及び可撓性、押出性、変形性、造形性、成形性、流動性、加工性がより大きくなる、及び/又はレオロジーが変化する材料を指す。1つの実施形態では、前記材料は、一般に、その後冷却されたときに固結し、硬化し、及び/又は実質的に元の状態に戻る。
【0020】
用語「生体内分解性」は、本明細書で使用するとき、該組成物が、過剰の水又は唾液に暴露したとき、物理的及び/又は化学的作用により時間の経過とともに侵食されることを意味する。組成物を侵食するのに必要な時間は、瞬時から5日間までのいかなる長さであることもでき、1つの実施形態では、侵食するのに要する時間は約1〜約3日である。組成物は、完全に又は実質的に侵食されてもよいが、最終的に、該組成物は元の形状及び/又は一体性を失うであろう。例えば、該組成物は、口腔内での適用及び少なくとも約24時間の使用の後に、義歯又は口表面から、その当初の形状で、容易に分離する又は引き剥がすのに十分な製品一体性を持たないであろう。1つの実施形態では、該組成物は、組成物が口腔内で約24時間使用された後に、義歯又は口に組成物のいかなる部分も残らないように生体内分解される。別の実施形態では、義歯を口腔から取り除いた後に組成物の一部又は残留物が義歯又は口表面上に残る;ただし、この組成物の一部又は残留物は、歯ブラシで払うことによって浄化できるが、義歯から容易に分離しない。
【0021】
アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸コポリマーのカチオン性の塩機能を記述するために本明細書で使用される百分率は、ポリマーで反応した最初の全カルボキシル基の化学量論的百分率として定義される。
【0022】
本明細書で使用される他の全ての百分率は、他に指示がない限り組成物の重量による。
【0023】
本明細書で言及される全ての測定は、特に明記されない限り25℃で行なわれる。
【0024】
本明細書で言及される成分の百分率、比率及び濃度は、特に指示がない限り、全て成分の実際の量に基づき、市販製品として成分と組み合わされている可能性がある溶媒、充填剤、又はその他の物質を包含しない。
【0025】
本明細書に記載された全ての出版物、特許出願、及び発行された特許は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求した発明の従来技術としての有用性についての限定に関する容認ではない。
【0026】
この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0027】
義歯接着剤組成物
本発明は、義歯、並びに歯肉又は口蓋のような曲線状の表面に適合、合致又は接着するよう設計された義歯接着剤組成物に関する。
【0028】
1つの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、物品、クリーム、ペースト、ゲル、液体、ウェハ、ストリップ、及びこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態では、組成物は、チューブ、ポンプ及び/又は注射器のような容器のノズルから押出すことができる。さらに別の実施形態では、本明細書の組成物は物品である。1つの実施形態では、本明細書の物品は、義歯への該物品の適用中に早期付着の問題を最小化又は防止する。すなわち、いくつかの先行技術の義歯接着剤物品では、物品を義歯上の標的面に正しく位置付ける前に、物品と義歯との故意の接触により、義歯上の1つ以上の位置で早期付着が生じる場合がある。これは、物品の適切な位置付けを阻害する場合がある。早期付着は、義歯上での最終的な位置付けの前に、物品の汚染又は劣化も引き起こす場合がある。
【0029】
1つの実施形態では、用語「ドライタック」は、本明細書で使用するとき、本物品が、ユーザーによって加えられる圧力によって活性化されるまでの乾燥状態において、接着又は固着特性がきわめて小さい及び/又はないことを意味する。1つの実施形態では、この特徴により、本物品は、本物品自体への早期固着又は接着の問題に遭遇することなしに、そして剥離シート、ライナー、スペーサ等の必要なしに、いかなる所望の方式でも貯蔵及び分配できる。同時に、1つの実施形態では、所望の位置で及び所望の時に圧力活性化されたときに、該物品は、乾燥状態で、義歯表面を包含する大部分の塑性体表面への接合を形成するのに十分な接着特性を示し、この接合は、義歯の取扱いに接合不良なく耐えるのに十分な強度である。したがって、1つの実施形態では、本明細書の物品は、乾燥状態において、それに対して加圧されたときのみ標的義歯表面に接着し、それによって、義歯表面上での位置付け中の不注意による接着の問題を最小化又は防止する。1つの実施形態では、続いて、本明細書の物品は義歯への適用前に加湿又は湿潤する必要がなく、それゆえ、義歯に物品を適用する単純で容易な方法を提供する。
【0030】
1つの実施形態では、用語「ドライタック」は、本明細書で使用するとき、潜在的に物品を義歯表面に適用する過程において、本物品がユーザーの手によって温められた後にユーザーによって加えられる圧力によって活性化されるまで、本物品が、接着又は固着特性がきわめて小さい及び/又はないことを意味する。
【0031】
別の実施形態では、本明細書の物品は、義歯への適用前に触れてもねばねばしない。
【0032】
別の実施形態では、用語「ドライタック」は、本明細書で使用するとき、本明細書の物品が乾燥及び非湿潤状態において、物品に圧力を加えることで、乾燥した塑性体、ポリメチルメタクリレート、及び/又はその他の歯科補綴物(denture prothesis)基材への表面付着による即時接合が可能であることを意味する。1つの実施形態では、該乾燥物品は、それによって義歯が自重下に接合状態を維持する指圧を加えることで乾燥歯科補綴物基材への表面付着による接合を示し、本明細書の物品は、物品を基材に適用するための指圧を用いなければ自重下でこの乾燥基材への接合を維持しないであろう。1つの実施形態では、力又は圧力は、1本以上の指によって生じてもよい。この力又は指圧は、1つの実施形態では、1〜10秒又はそれ以上適用されてもよい。別の実施形態では、基材への物品の接合は、約10秒〜約3分又はそれ以上維持され、別の実施形態では約30秒〜約1分又はそれ以上維持される。
【0033】
1つの実施形態では、物品のドライタックは、約0.0002、0.0009、0.009、0.09、0.98、9.81N/cm(0.025、0.1、1、10、100、1000グラム重量/cm2)〜約0.09、0.98、9.81、98.1、490.3、980.7N/cm(10、100、1000、10,000、50,000、100,000グラム重量/cm)及びこれらのいかなる組み合わせでもある。
【0034】
1つの実施形態では、再位置付けが可能な物品のドライタックは約0.0002N/cm(0.025グラム重量/cm)〜約0.003N/cm(0.30グラム重量/cm)であり、別の実施形態では約0.0002N/cm(0.025グラム重量/cm)〜約0.002N/cm(0.25グラム重量/cm)である。
【0035】
いかなる粘着性接着剤も、1Hzの周波数で測定したとき、室温弾性率が0.3MPa(3×10ダイン/cm)未満であると報告されている。この発見は、粘着性の基準であり、「ダルキストの粘着性基準(Dahlquist criterion for tack)」と名づけられている(接着と接着剤技術(Adhesion and Adhesives Technology)、アルフォンス・ポシウス(Alphonsus Pocius)著、第2版、2002年、カール・ハンサー出版(Carl Hanser Verlag)、ミュンヘン)。
【0036】
本発明の1つの実施形態では、物品は、約0.3MPa(3×10ダイン/cm)を超える『ダルキストの粘着性基準(Dahlquist criterion for tack)』の弾性率を有する。別の実施形態では、該物品は、剪断貯蔵弾性率G’(周波数約1Hz及び約25℃にて、MPa(ダイン/cm)単位で測定)が約0.5(5×10)を超え;別の実施形態では約1(1×10)を超え;別の実施形態では約5(5×10)を超え;別の実施形態では約8(8×10)を超える。
【0037】
1つの実施形態では、該組成物は、剪断貯蔵弾性率G’(周波数約1Hz及び約25℃にて、ダイン/cm単位で測定)が約0.1(1×10)、0.3(3×10)、0.5(5×10)、1(1×10)、5(5×10)、及び8(8×10)〜約50(5×10)、5(5×10)、10(1×10)、500(5×10)、100(1×10)、及び1000(1×1010)及び/又はこれらのいかなる組み合わせでもある。
【0038】
1つの実施形態では、該組成物は物品であり、曲げ剛性が約10g/cm未満であり、別の実施形態では約5g/cm未満であり、別の実施形態では約3g/cm未満であり、別の実施形態では約2g/cm未満であり、さらに別の実施形態では約0.1、0.5、1、〜約2、3、5、10g/cmであり、いかなる組み合わせでも、曲げ剛性は、ペンシルバニア州フィラデルフィアのトゥイング・アルバート・インスツルメント・カンパニー(Thwing-Albert Instrument Company)より入手可能なハンドル−O−メーター(Handle-O-Meter)、型番211−300で、試験方法ASTM D2923−95に従って測定される。
【0039】
1つの実施形態では、本明細書の組成物は、正規化除去力が約0.108〜約1.18MPa(1100〜12,000g/cm)であり、別の実施形態では約0.127〜約0.981MPa(1300g/cm〜10,000g/cm)であり、別の実施形態では約0.118〜約0.490MPa(1200〜5000g/cm)であり、別の実施形態では約0.14〜約0.490MPa(1400〜5000g/cm)であり、別の実施形態では約0.127〜約0.245MPa(1300〜2500g/cm)であり、別の実施形態では約0.172〜約0.245MPa(1750〜2500g/cm)である。別の実施形態では、正規化除去力は約0.108MPa(1100g/cm)、約0.118MPa(1200g/cm)、約0.127MPa(1300g/cm)、約0.14MPa(1400g/cm)、約0.147MPa(1500g/cm)、約0.172MPa(1750g/cm)〜約1.18MPa(12,000g/cm)、約0.981MPa(10,000g/cm)、約0.74MPa(7500g/cm)、約0.490MPa(5000g/cm)、約0.245MPa(2500g/cm)、約0.22MPa(2250g/cm)、及びこれらのいかなる組み合わせでもある。1つの実施形態では、除去力比は約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0〜約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、3、4、5、6、8、10、及び/又はこれらのいかなる組み合わせでもある。1つの実施形態では、除去力比は約1.1〜約10、約1.1〜約8、約1.3〜約4、及び/又は約1.3〜約2.5である。
【0040】
1つの実施形態では、本明細書の物品は、使用前に実質的に固体であり、実質的に一体であり、手で持ち上げ、義歯上に置くことができる。さらに、1つの実施形態では、該物品は手で持ち上げ、義歯上に位置付けることができ、その結果指に残留物をほとんど又はまったく生じない。別の実施形態では、該物品は一層を含む。さらに別の実施形態では、該物品は、積層体、及び/又は複合物である。1つの実施形態では、該物品は、予め造形され及び/又は予め成形される。別の実施形態では、本明細書の物品は、1回用量包装、複数用量包装、ポンプ、サッシェ、注射器、又はチューブを介して消費者によって分配され、そして消費者によって造形されてもよく、さらに別の実施形態では、該物品は手に多量の残留物を残すことなく消費者によって造形されてもよい。
【0041】
1つの実施形態では、義歯接着剤物品は、チューブから適用し、その後持ち上げて義歯上に位置付けることができるほど十分に流動可能である。1つの実施形態では、義歯接着剤物品は、チューブから適用し、その後持ち上げて義歯上に位置付けることができるほど十分に流動可能であり、指に残留物がほとんど/まったくない。別の実施形態では、義歯接着剤物品は、チューブから適用できる十分に流動可能な物品を得る溶媒を含む。前記溶媒は、その後、蒸発、生体吸収、分散、溶解等によって消散されてもよい。別の実施形態では、上記の任意選択の溶媒は、非水溶性成分と混和可能でもある。1つの実施形態では、義歯接着剤組成物は、チューブから適用できるほど十分に流動可能であり、そして義歯下からごくわずかしか漏出しない。1つの実施形態では、義歯接着剤組成物は「正規化漏出量」が約0%、0.00001%、0.001%、5%、10%、15%、20%、25%、30%〜約15%、20%、25%、30%、40%、50%及び/又はこれらのいかなる組み合わせでもある。1つの実施形態では、義歯接着剤組成物は「漏出率」が約0、0.00001、0.001、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6〜約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、及び/又はこれらのいかなる組み合わせでもある。
【0042】
予め適量に計量されたすぐに使用できる物品及び/又はチューブからのような分配される物品を包含するがこれらに限定されない、物品を分配する形態にかかわらず、該物品は使用前に実質的に固体であり、手で持ち上げることができる。チューブから分配できる義歯接着剤物品は、次の方法によって物品として識別できる:
試験を開始する前に、すべての工程を読んでください。
1.製品を直径0.41cm(0.16”)のチューブに充填する。
2.ノズルを義歯タイル(義歯塑性体で出来た3.8cm×3.8cm(1.5”×1.5”)の正方形タイル)の約0.32cm(1/8”)上方に保つよう注意して、長さ2.5cm(1”)の製品ストリップを義歯タイルの上に出す。製品を押出す間、義歯タイルにノズルが触れないこと。
3.約2.5cm(1”)の製品が押出された後、ノズルを義歯タイルの約0.32cm(1/8”)上方に保持し、ヘラを使用して、ストリップをノズルから切断する。ストリップの切断中、ノズルが義歯タイルに触れない又はこすらないこと。
4.親指と人差し指を使って、ストリップの中央を保持し、それを義歯タイルから垂直に持ち上げる。義歯タイルから指でぬぐいとる動作を用いないこと。
5.組成物は、それを実質的に一体で持ち上げることができた場合に、物品である。
【0043】
いくつかの義歯接着剤物品は、予め適量が計量され及び/又はすぐに使用できる状態である。これらの品目はたいてい、包装内に収容されたストリップの形態であることから、ユーザーは、それを目視的に義歯接着剤物品として識別できてもよい。ただし、これらの義歯接着剤製品が物品であることが明白でない場合、義歯接着剤物品を次の方法によって物品として識別することができる。
1.組成物を、厚さ約0.67mm×幅約8mm×長さ約44mmのシートに造形する。
2.前記シートを義歯タイルの上に置く。
3.指を使って、シートを持ち上げる
4.組成物は、それを実質的に一体で持ち上げることができた場合に、物品である。
【0044】
実質的に一体とは、本明細書で使用するとき、義歯表面から手で持ち上げたときに義歯接着剤組成物の約75、80、85、90%〜約100、90、85、80、75、70%及び/又はこれらのいかなる組み合わせでも、一体のままであることを意味する。
【0045】
上記の試験方法に加え、義歯接着剤物品を、(本明細書で定義される)漏出法によって測定したときの漏出量によって物品として識別することもできる。手で持ち上げて実質的に一体で移動できることに加え、義歯接着剤物品は、正規化漏出量が全組成物の約0、3、5、10、15、20、25%〜全組成物の約30、25、20、15、10、5、3%及び/又はこれらのいかなる組み合わせでもあり、及び/又は漏出率が約0、00001、0.001、0.01、0.1、0.2、0.25、0.3〜約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5及び/又はこれらのいかなる組み合わせでもある。
【0046】
1つの実施形態では、本明細書の組成物は天然由来の成分を含む。
【0047】
1つの実施形態では、本明細書の組成物は義歯接着剤組成物の均質混合物及び非水溶性熱可塑性成分を含む。
【0048】
義歯接着剤物品は、対称又は非対称のいずれかの、凹形を包含するがこれに限定されない様々な形状及び大きさを持つことができる。図1は、対称な凹形義歯接着剤物品10を示す。図2は、非対称の凹形義歯接着剤物品20を示し、特に図2は腎臓形の義歯接着剤物品20を示す。
【0049】
義歯接着剤成分
本発明は、安全且つ有効な接着性量の義歯接着剤成分を、一般的には組成物の約10%〜約90%、別の実施形態では約15%〜約70%、別の実施形態では約20%〜約70%、さらに別の実施形態では約25重量%〜約65重量%、さらに別の実施形態では約30重量%〜約65重量%の濃度で含む。1つの実施形態では、本発明の組成物は、組成物の少なくとも20重量%、別の実施形態では少なくとも30重量%の義歯接着剤成分を含む。
【0050】
1つの実施形態では、本明細書の義歯接着剤成分は、粘膜付着性、親水性、水溶性であり、水分に暴露した時に膨潤する特性を持ち、及び/又は水分と結合したときに粘液性物体を形成する。1つの実施形態では、義歯接着剤成分は、天然ゴム類、合成高分子ゴム類、AVE/MA、AVE/MAの塩類、AVE/MA/IB、AVE/MA/IBの塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とエチレンとのコポリマー及びその塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とスチレンとのコポリマー及びその塩類、マレイン酸又は無水マレイン酸とイソブチレンとのコポリマー及びその塩類、ポリアクリル酸及びそのポリアクリレート類、ポリイタコン酸及びその塩類、粘膜付着性ポリマー類、水溶性親水性コロイド類、糖誘導体、セルロース誘導体、及びこれらの混合物から成る群から選択される。そのような物質の例としては、カラヤゴム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、アクリルアミドポリマー類、カーボポール(carbopol)、ポリビニルアルコール、ポリアミン類、ポリ第四級組成物、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアクリルアミドポリマー類、AVE/MA、AVE/MA/IB、AVE/MAの混合塩類、AVE/MA/IBの混合塩類、高分子酸類、高分子塩類、ポリヒドロキシ化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
1つの実施形態では、義歯接着剤成分は、AVE/MAの塩類、AVE/MAの混合塩類、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物)、ポリエチレングリコール、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウム、キトサン、トウモロコシデンプン、及びこれらの混合物から成る群から選択される。さらに別の実施態様では、接着剤成分は、AVE/MAの混合塩類、セルロース誘導体及びこれらの混合物からなる群より選択される。
【0052】
1つの実施形態では、義歯接着剤成分は熱可塑性でなく及び/又はわずかな濃度のみの水溶性熱可塑性ポリマー類を含み、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリエチレングリコールのような水溶性熱可塑性樹脂を約0.01〜約5%含み、別の実施形態では約0.01〜約1%の水溶性熱可塑性ポリマーを含み、又は水溶性熱可塑性ポリマーを本質的に含まない。
【0053】
アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマー
本発明の1つの実施形態では、義歯接着剤成分は、AVE/MA又はAVE/MAの塩類である。アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマーは、次の繰返し構造単位を含むか又は次の繰返し構造単位から本質的に成る。
【化1】

式中Rはアルキルラジカル、1つの実施形態ではC〜Cアルキルラジカルを表し、nはポリマーの一分子内の構造単位の繰り返し数を表す1を超える整数である。
【0054】
1つの実施形態では、接着剤成分は、AVE/MA及びその塩類、好ましくはAVE/MAの混合塩類であり、その際該コポリマーは、周期表のIA族及び2A族のカチオン、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性の塩機能を有する。別の実施形態では、接着剤成分は、ストロンチウム、亜鉛、鉄、ホウ素、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、イットリウム、チタン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性の塩機能を含有するAVE/MAの混合塩であり、さらに別の実施形態では、前記カチオンは、ストロンチウム、亜鉛、銅、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0055】
AVE/MAは、1つの実施形態において、亜鉛カチオンを(反応した最初の全カルボキシル基の)約5%〜約50%、別の実施形態では、約10%〜約40%、さらに別の実施形態では、約10%〜約35%含むカチオン性の塩機能である。これらの亜鉛カチオンは、約5%〜約65%、好ましくは約10%〜約60%のストロンチウムカチオン;約0.001%〜約2.5%、好ましくは約0.01%〜約2%の鉄、ホウ素、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、銅、イットリウム、及び/又はチタンカチオン;約5%〜約65%、好ましくは約15%〜約50%のカルシウム及び/又はマグネシウムカチオン及び/又はナトリウムカチオンから成る群から選択される他のカチオンと混合されることができる。
【0056】
AVE/MA及びその塩類は、米国特許第5,073,604号(ホレバ(Holeva)ら、1991年12月17日発行);第5,525,652号(クラーク(Clarke)ら、1996年6月11日発行);第6,025,411号(ウォン(Wong)ら、2000年2月15日発行);第4,758,630号(シャー(Shah)ら、1988年7月19日発行);第5,304,616号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1994年4月19日発行);第5,424,058号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1995年6月13日発行);第5,424,058号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1995年6月13日発行);第4,758,630号(シャー(Shah)ら、1988年7月19日発行);第5,830,933号(シノディス(Synodis)ら、1998年11月3日発行);第2,047,398号(ボス(Voss)ら、1936年7月14日発行);第3,003,988号(ゲルマン(Germann)ら、1961年10月10日発行);第5,880,172号(ラジャイア(Rajaiah)ら、1999年3月9日発行);第5,900,470号(プロシス(Prosise)ら、1999年5月4日発行);第5,037,924号(タジ(Tazi)ら、1991年8月6日発行);第5,082,913号(タジ(Tazi)ら、1992年1月21日発行)にも記載されており;このすべてを、その全体を参照として本明細書に組み込む。AVE/MAの塩類は、P&Gの同時係属出願米国特許第6,355,706号(ラジャイア(Rajaiah)ら、2002年3月12日発行);第6,617,374号(ラジャイア(Rajaiah)ら、2003年9月9日発行)にも記載されている。
【0057】
1つの実施形態では、AVE/MA又はAVE/MA/IBの塩類における遊離酸の濃度は、コポリマーにおける最初の全カルボキシル基の少なくとも約36%であり、別の実施形態では約36%〜約60%であり、さらに別の実施形態では約40%〜約55%である。
【0058】
1つの実施形態では、出発コポリマー酸又はコポリマー無水物の比粘度は、好ましくはMEK(メチルエチルケトン)の1%重量/体積溶液の溶液中、25℃で測定した場合、約1.2〜約14である。DMF(ジメチルホルムアミド)の1%重量/体積の溶液で25℃及び2−ブタノンの1%重量/体積の溶液で25℃のような他の方法及び溶媒を使用して比粘度を測定することができる。
【0059】
好適なAVE/MA類コポリマー類は、周知の先行技術の方法によって調製されてもよい;例えば、US2,782,182及びUS2,047,398参照。
【0060】
AVE/MAポリマーの混合塩類の作製方法は、さらに、米国特許第5,073,604号(ホレバ(Holeva)ら、1991年12月17日発行)及び第5,872,161号(リャン(Liang)ら、1999年2月16日発行)に開示されている。
【0061】
非水溶性成分
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の非水溶性成分を含む。1つの実施形態では、この成分は濃度が組成物の約2、5、10、20、25、30、35重量%〜約45、50、60、70、90重量%、及び/又は範囲を形成するこれらのいかなる組み合わせでもあり、別の実施形態では、非水溶性成分濃度は組成物の約20重量%〜約70重量%、約25重量%〜約60重量%、又は約35重量%〜約60重量%である。さらに別の実施形態では、非水溶性成分は、非水溶性且つ実質的に水中で非膨潤性である。
【0062】
1つの実施形態では、非水溶性成分は、鉱物油、天然及び合成油類、脂肪類、シリコーン、シリコーン誘導体、ジメチコン、シリコーン樹脂類、炭化水素類、炭化水素誘導体、精油類、植物油類、ポリブテン類、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トウモロコシ、大豆、綿実、ヒマ、パーム油、ココヤシ油、動物油類、魚油、オレイン酸及びこれらの混合物から成る群から選択される非水溶性液体成分である。別の実施形態では、非水溶性成分はPDMSゴム、又はPDMSゴムと揮発性イソパラフィンのような溶媒から流延されたMQ樹脂との混合物である(米国特許第6,074,654号参照)。
【0063】
1つの実施形態では、非水溶性成分は、ゴム、エラストマー、プラストマー、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース樹脂類、アクリル樹脂類、ペトロラタム及びこれらの混合物から成る群から選択される非水溶性熱可塑性成分である。別の実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、天然ワックス、合成ワックス、ペトロラタム、ポリエチレン及びこれらの混合物から成る群から選択される。さらに別の実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、ポリエチレン、ペトロラタム、パラフィンワックス、微晶性ワックス、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択され;別の実施形態ではポリエチレン、微晶性ワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0064】
1つの実施形態では、非水溶性熱可塑性成分はエチレン−エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−エチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンゴム、及びこれらの組み合わせのようなエラストマー類を含み;これらは任意にさらにワックスと組み合わされてもよい。
【0065】
1つの実施形態では、本明細書の組成物は、非水溶性熱可塑性成分は、浸透性が約25〜約350であり、別の実施形態では約27〜約250、別の実施形態では約30〜約150、別の実施形態では40〜約150、別の実施形態では約50〜約80、さらに別の実施形態では約60〜約80である。浸透性の値はASTM D1321の方法を用いて測定したときに約25〜約250であり、ASTM D937の方法を用いて測定したときに約25〜約350であり、いずれも当該技術分野において既知の既存方法である。ASTM D937及びASTM D1321はいずれも、一般に、それぞれペトロラタム又は石油蝋の測定に使用されるが、これらの方法は、適切な修正を加えて石油又はその他の種類の非水溶性熱可塑性成分から誘導されたワックス類の測定に用いてもよく、例えば、これらその他の成分は、当業者には明らかであろうと思われる、より高い温度で溶融する必要があってもよい。
【0066】
上記の浸透性の値を得る際、これらの浸透性の値から外れる非水溶性熱可塑性成分を、熱可塑性成分の浸透性を修正する別の成分と混合してもよい。したがって、非水溶性熱可塑性成分は、単一成分でもよく、又は複数成分の混合物でもよい。例えば、浸透性の値が約15〜約20のウィトコ(Witco)(クロンプトン(Crompton)、ソンボーン(Sonneborn))製のマルチワックス(Multiwax)W180を、ペトロラタムと混合(1:1の比で)して、浸透性の値を25よりも高くしてもよい。
【0067】
1つの実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は天然又は合成ワックスである。これらのワックスは、動物性、植物性、鉱物性ワックスのような天然ワックスを包含する。動物性ワックスとしては、蜜蝋、ラノリン、セラックワックス、中国蝋等が挙げられる。植物性ワックスとしては、カルナウバ、キャンデリラ、ヤマモモ、サトウキビ等が挙げられ、鉱物性ワックスとしては、臭蝋又は土蝋(オゾセライト、セレシン、モンタン)、及びパラフィン、微晶性のような石油蝋が挙げられる。1つの実施形態では、本明細書のワックスは、蜜蝋、キャンデリラ、カンデラ(candela)、カルナウバ、パラフィン、微晶性ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0068】
別の実施形態ではワックスは、クロンプトン(Crompton)、ソンボーン(Sonneborn)(ウィトコ(Witco))によって製造され、マルチワックス(Mutiwax)W−835の商標で照会及び販売されている微晶性ワックスである。このワックスは、融点が約73.9℃〜約79.4℃(ASTM D127)の範囲であり、浸透性が25℃で約60〜約80(ASTM D1321)、運動粘度が98.9℃で約75〜約90(ASTM D2161)、引火点、COCが最低約246℃(ASTM D92)、凝固点が約77℃(ASTM D938)である。
【0069】
1つの実施形態では、本明細書で有用なパラフィンワックスは、一般に融点範囲が約65℃〜約80℃、別の実施形態では約70℃〜約75℃であることができ;本明細書で有用な微晶性ワックスは、融点が約65℃〜約90℃であることができ、別の実施形態では融点が約80℃〜約90℃であることができ;本明細書で有用な蜜蝋は、融点が約62℃〜約65℃、引火点が242℃であることができ;本明細書で有用なキャンデリラワックスは、融点が約68℃〜約72℃であることができ;本明細書で有用なカルバウナワックスは、融点が約83℃〜約86℃であることができ;本明細書で有用なフィッシャー・トロプシュワックスは、融点が約95℃〜約120℃であることができる。蜜蝋、キャンデリラ及びカルナウバワックスの合成等級についても天然の等級と類似の特性で使用できる。
【0070】
別の実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、ハネウェル(Honeywell)製のA−C1702及びA−C6702のようなポリエチレンであり、これはそれぞれASTM D1321による浸透性の値が98.5及び90.0である。
【0071】
1つの実施形態では、組成物がポリエチレンオキシドを含有する場合、非水溶性成分が熱可塑性であるか、又は該物品が繊維性紙ウェブ又は紙積層体を包含しないかのいずれかである。
【0072】
1つの実施形態では、本明細書の組成物はアルコールと混合された蜂蜜を実質的に含まない。別の実施形態では、該物品は、エチルアルコール中のポリビニルアセテート樹脂を実質的に含まない。
【0073】
種々の任意成分
可塑剤
本発明の組成物は、任意に、安全且つ有効な量の1つ以上の毒性学的に許容可能な可塑剤も含んでもよい。1つの実施形態では、可塑剤の濃度は組成物の約0.0重量%〜約40重量%、1つの実施形態では約0.01重量%〜約40重量%、別の実施形態では約1重量%〜約10重量%、別の実施形態では約2重量%〜約5重量%の範囲である。さらに別の実施形態では、義歯接着剤組成物は可塑剤を含まない。
【0074】
本発明の好適な可塑剤としては、これらに限定されるものではないが、ポリオール類(ソルビトールのような);グリセリン;プロピレングリコール;アセチル化モノグリセリド;水素添加デンプン加水分解産物;コーンシロップ;及びこれらの誘導体;キシリトール、グリセロールの脂肪酸類とのモノエステル類;トリアセチン;ジアセチン;及びモノアセチン;フタル酸ジメチル;フタル酸ジエチル;フタル酸ジオクチル;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;リン酸トリクレシル;セバシン酸ジメチル;エチルグリコレート;エチルフタリルエチルグリコレート;o−及びp−トルレンエチルスルホンアミド;フタル酸誘導体、グリセロールトリアセテート、クエン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール、グリコール誘導体、パラフィンワックス、脂肪酸のペンタエリスリトールエステル、ステアリン酸誘導体、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、リン酸トリフェニル、ジエチレングリコール、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/カプレート及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
別の実施形態では、可塑剤は非水溶性である。
【0076】
1つの実施形態では、義歯接着剤組成物は、熱可塑的に押出されたときに、可塑剤成分の作用の結果、架橋及び硬化しない。別の実施形態では、可塑剤成分は、非水溶性成分又は義歯接着剤組成物を固結しない。別の実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、架橋及び硬化しない。
【0077】
あるいは、1つの実施形態では、義歯接着剤組成物は実質的に可塑剤を含まなくてもよい。1つの実施形態では、義歯接着剤組成物は、ポリエチルメタクリレート、トリアセチン、フタル酸誘導体、グリセロールトリアセテート、クエン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール、グリコール誘導体、パラフィンワックス、脂肪酸のペンタエリスリトールエステル、ステアリン酸誘導体、グリセロールモノステアレート、ポリエチレングリコール、ブチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、トリアセチン、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、リン酸トリフェニル、ジエチレングリコール、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、プロピレングリコールジカプリレート/カプレート及び/又はこれらの組み合わせを実質的に含まないことができる。
【0078】
ゲル化剤
本発明の組成物は、任意に、安全且つ有効な量の1つ以上の毒性学的に許容可能なゲル化剤を含んでもよい。1つの実施形態では、ゲル化剤の濃度は、組成物の約0.01重量%〜約40重量%、別の実施形態では約1重量%〜約10重量%、別の実施形態では約2重量%〜約5重量%の範囲である。
【0079】
本発明の好適なゲル化剤としては、これらに限定されるものではないが、ガネックス(Ganex)V−220Fの商標名でISPより販売されているポリビニルピロリドン/エイコセンコポリマー;ガネックス(Ganex)WP−660の商標名でISPより販売されているトリコンタニルポリビニルピロリドン;すべてアリゾナ・ケミカル(Arizona Chemical)より入手可能なシルバクリアー(Sylvaclear)、シルバコート(Sylvacote)、シルバゲル(Sylvagel)、ユニクリアー(Uniclear)を包含するポリアミドゲル化剤、例えばシルバクリアー・ライトワックス(Sylvaclear Lightwax);シルバクリアー(Sylvaclear)PA20;シルバクリアー(Sylvaclear)PA30;シルバクリアー(Sylvaclear)PA50;シルバコート(Sylvacote)2228;シルバコート(Sylvacote)2228E;シルバゲル(Sylvagel)5000;シルバゲル(Sylvagel)6000;ユニクリアー(Uniclear)100;ユニクリアー(Uniclear)100VG;ユニクリアー(Uniclear)80;ユニクリアー(Uniclear)80V;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0080】
風味剤、芳香剤、感覚剤
本発明の組成物は、風味、芳香、及び/又は知覚効果を提供する1つ以上の成分(暖気剤又は涼気剤)を含んでもよい。好適な成分には、メントール、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、リーフアルコール、クローブ芽油、アネトール、サルチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、1〜8メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、シナモン、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られるシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物、並びに冷却剤が挙げられる。冷却剤は、多種多様な物質のいずれかであることができる。このような物質に包含されるものは、カルボキサミド類、メントール、ケタール類、ジオール類、及びこれらの混合物である。一つの実施形態において、本発明の組成物における冷却剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物のようなパラメンタンカルボキサミド剤から成る群から選択される。追加の好ましい冷却剤は、メントール、高砂(Takasago)製のTK−10として既知である3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のMGAとして既知であるメントングリセロールアセタール及びハーマン・アンド・ライマー製のフレスコラト(Frescolat)(登録商標)として既知であるメンチルラクテートから成る群から選択される。本明細書で使用する時、メントール及びメンチルという用語は、これらの化合物の右旋性及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物を包含する。TK−10は、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日発行)で記載されている。WS−3及び他の剤類は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載されている。これらの剤類は、組成物の約0重量%〜約40重量%、別の実施形態では約0.05重量%〜約5重量%、さらに別の実施形態では約0.1〜約2重量%の濃度で存在してもよい。
【0081】
他の任意成分
義歯接着剤組成物はまた、局所投与に適した1つ以上の治療活性物質を含んでもよい。治療活性物質は、組成物の重量で、0%〜約70%の量で、並びにある実施形態では、組成物の重量で、約1%〜約20%の量で存在してもよい。治療活性物質としては、ヨウ素、トリクロサン、過酸化物、サルファ剤、ビスビグアニド(bisbiguanides)、又はフェノール樹脂などの抗菌剤;テトラサイクリン、ネオマイシン、カナマイシン、メトロニダゾール、塩化セチルピリジウム、臭化ドミフェン、又はクリンダマイシンなどの抗生物質;アスピリン、アセトアミノフェン、ナプロキセン及びその塩分、イブプロフェン、ケトロラク、フルルビプロフェン、インドメタシン、オイゲノール、又はハイドロコルチゾンなどの抗炎症剤;硝酸カリウム、ストロンチウムクロライド又はフッ化ナトリウムなどの歯の減感剤;フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、MFPなどのフッ化物;リドカイン又はベンゾカインなどの麻酔剤;カンジダ菌の治療薬などの抗真菌剤;樟脳、ユーカリ油などの芳香剤;ベンズアルデヒドなどのアルデヒド誘導体;インスリン;ステロイド;ハーブ及びその他の植物から抽出される治療薬;及び重曹が挙げられる。治療の特定の形式では、同じデリバリーシステム内においては、最適な効果を得るために、これらの物質の組合せが有用となり得ることが分かる。このように、例えば、抗菌剤及び抗炎症剤は、複合の有効性を提供するために、単一のデリバリーシステム内において複合してもよい。
【0082】
その他の適した成分としては、着色剤、防腐剤(メチル及びプロピルパラベンなど)、二酸化ケイ素及びポリエチレングリコールなどの増粘剤が挙げられる。着色剤、防腐剤、増粘剤は、組成物の約0重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約10重量%の濃度で存在してもよい。
【0083】
さらに、該組成物は1つ以上の溶媒を含んでもよい。これらの任意の溶媒は、非水溶性成分と混和性であってもよく、及び/又はその場で消散されることができてもよい。1つの実施形態では、これらの溶媒は、蒸発、溶解、分散、生体吸収、又はいかなるその他の好適な手段によって、その場で消散されてもよい。別の実施形態では、これらの溶媒は、その場で消散されて義歯接着剤組成物が後に残ってもよい。このような溶媒は、粘度の範囲が20℃で1E−5、0.0001、0.001、0.005Pa.s(0.01、0.1、1、5センチポアズ)〜20℃で0.005、0.01、0.1、1Pa.s(5、10、100、1000センチポアズ)のこれらレベルのいかなる組み合わせでもある材料を包含してもよい。1つの実施形態では、これらの溶媒は、シリコーン類、炭化水素類、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、及び/又はポリイソブテンであってもよい。好適な溶媒の等級としては、パーメチル(Permethyl)97A、99A、101A、102A及びこれらの混合物のような、パーメチル(Permethyl)シリーズ(プレスパース社(Prespers Inc.)(ニュージャージー州))より販売)が挙げられる。
【0084】
組成物の調製方法
1つの実施形態では、該組成物は、本発明に従って利用でき、キャスティング、コーティング、カレンダー工法、押出しのような、該技術分野、例えばフィルム製造業において通常の方法によって形成できる。1つの実施形態では、該物品の別々の成分が溶融され、その後均質な混合物が得られるまで混合槽内で混合される。その後、溶融された混合物は、適切な基材上で、許容可能な厚さに流延されてもよい。このような基材の例としては、マイラー(Mylar)、連続移動ステンレス鋼ベルト(これは必要であれば最終的に乾燥機部分に入ってもよい)、剥離紙等が挙げられる。その後、該物品は冷却される。その後、必要であれば、該物品は、例えば強制空気オーブン内で乾燥されてもよい。使用される溶媒の性質によって決まる乾燥空気の温度及び乾燥時間の長さは、該技術分野において認識される。一般に、乾燥温度としては、約25℃〜140℃、別の実施形態では約60℃〜90℃の温度で、約20分〜約60分間、別の実施形態では約30〜約40分間の持続時間が挙げられる。続いて、該物品は、所望の寸法で所望の形状に切断され、その後積み重ねられ及び/又はその後包装されてもよい。
【0085】
1つの実施形態では、加工後、該物品は所望の形状に打抜きされる。これらの形状は、物品の義歯への適用を容易にしてもよい。
【0086】
1つの実施形態では、特に、該物品は次のように加工される:1.ワックス成分を溶融する;2.AVE/MA塩(類)をその他の接着剤成分と混合する;3.前記接着剤混合物を前記ワックス溶融物に添加する;4.攪拌して均質混合物を作製する;5.前記均質混合物を型内又は好適な面上に注ぐ;6.前記混合物を、固結するまで冷却する;7.基材又は型から取り外すか又は所望の形状に切断する。
【0087】
該技術分野で既知の別の通常のフィルム製造プロセスは押出成形である。この方法は、フィルム形成成分が種々の押出し可能な材料を含むフィルムで可能である。押出成形プロセスの機械的な部分、例えば、利用される特定の装置、押出成形力、オリフィス及び/又はダイの形状及び温度は、当該分野の技術の範囲内であるとみなされ、本明細書に記載される物品の物理特性を達成するために既知の態様で変更することができる。
【0088】
1つの実施形態では、本明細書の物品の厚さは、一般に約0.1mm〜約2.5mmであり、別の実施形態では厚さ約0.4mm〜約1.5mmであり、別の実施形態では厚さ約0.5mm〜約1mmである。該物品は、ユーザー又は着用者が希望する緩衝性の程度に応じて、より厚く又はより薄くてもよい。
【0089】
1つの実施形態では、本明細書の組成物は、任意に多層であってもよく又は外観上別個の複数の層を有してもよい。別の実施形態では、本明細書の物品は、任意に剥離ライナーを有してもよい。別の実施形態では、該組成物は、既知の方法によって形成されるクリーム、ペースト、液体及び/又はゲルである。これらは、義歯接着剤成分を液体及び/又は熱可塑性成分に添加すること並びに均一な製品を形成するまで加熱混合することを包含する。
【0090】
組成物の使用
本発明の組成物は、一般に、歯科補綴物に適用され、その後該義歯が口腔に固定される。1つの実施形態では、義歯は、組成物の適用前に乾燥される。1つの実施形態では、該組成物及び/又は歯科補綴物は、それを歯科補綴物に適用する前に、組成物を歯科補綴物に付着させるために濡らす必要はない。前記組成物は、義歯上のいかなる好適な位置にも適用されてもよい。1つの実施形態では、義歯着用者は一般に、該組成物を約1時間〜約3日間、別の実施形態では約6時間〜約24時間着用する。使用後、前記補綴物は口腔から取り外され、いかなる残留組成物も、例えば水及びブラシでやさしくこすり洗うことによって、補綴物から清掃されてもよい。
【0091】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。実施例は、説明の目的のためのみに提示され、本発明を制限するものと解釈されるべきではない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これらの多くの変更が可能である。
【実施例】
【0092】
(実施例I)
【表1】

1. ウィトコ(Witco)(クロンプトン(Crompton)、ソンボーン(Sonneborn))製のマルチワックス(Multiwax)W835。マルチワックス(Multiwax)W835は、ポリエチレンA−C1702又はポリエチレンA−C6702のいずれかで置換されてもよい。
【0093】
微晶性ワックスW−835(又はポリエチレンAC1702若しくはA−C6702)は溶融され、その他の成分はそれと混合される。前記混合物は、その後、押出し又は圧延のようないかなる好適な手段によっても、0.25mm、0.45mm、0.50mm、0.67mm、0.73mm、又は1.0mmのような好適な厚さのシートに作製される。その後、前記シートは、義歯への適用に好適な形状に切断される。
【0094】
実施例Iにおいて、Ca/ZnAVE/MA塩のすべて又は一部はMg/Zn/NaAVE/MA塩類及び/又はCa/NaAVE/MAの塩類で置換されてもよく;CMCのすべて又は一部は、カラギーナン、及び/又は好適なセルロース誘導体で置換されてもよく;微晶性ワックスW−835のすべて又は一部はポリエチレンA−C1702(ハネウェル(Honeywell)より入手可能)、及び/又はポリエチレンA−C6702(ハネウェル(Honeywell)より入手可能)で置換されてもよく;及び/又は、各成分の量も約50重量%まで増大又は減少されてもよい。上記の実施例の各々は、物品に作られる前に互いに混合されてもよく、及び/又は互いに組み合わせて使用されて多層物品を形成してもよい。
【0095】
(実施例II)
【表2】

2. ウィトコ(Witco)(クロンプトン(Crompton)、ソンボーン(Sonneborn))製のマルチワックス(Multiwax)W835。マルチワックス(Multiwax)W835は、ポリエチレンA−C1702又はポリエチレンA−C6702のいずれかで置換されてもよい。
【0096】
実施例IIにおいて、微晶性ワックスW−835(又はポリエチレンAC1702若しくはA−C6702)及びペトロラタムは溶融され、その他の成分はそれと混合される。Ca/ZnAVE/MA塩のすべて又は一部はMg/Zn/NaAVE/MA塩類及び/又はCa/NaAVE/MAの塩類で置換されてもよく;CMCのすべて又は一部は、カラギーナン、及び/又は好適なセルロース誘導体で置換されてもよく;微晶性ワックスW−835のすべて又は一部はポリエチレンA−C1702(ハネウェル(Honeywell)より入手可能)、及び/又はポリエチレンA−C6702(ハネウェル(Honeywell)より入手可能)で置換されてもよく;及び/又は、各成分の量も約50重量%まで増大又は減少されてもよい。上記の例の各々は、互いに混合されてもよい。
【0097】
(実施例III)
【表3】

参照処方III−Eは、比較のみを目的とする。
【0098】
上記試作品III−A〜Eを作製するため、ワックスを約95℃(実施例A〜D)で溶融し、その他の成分を、加熱容器内で、約65℃にて真空下で混合する。前記混合された製品は、チューブに充填できる。前記製品を、チューブから義歯に、帯状に絞り出すことができる。前記帯状製品III−A〜Cは、指に残留物がほとんど又はまったくなく、持ち上げ、そして所望の位置に置くことができる。前記帯状製品III−Eは、義歯表面に接着するので、持ち上げて置くことができず、指に多量の残留物を残す。
【0099】
試験方法
本発明の組成物の生体内分解は、次の方法によって測定できる。図1に示すように試験片をワイヤーメッシュ上に置いた状態で、試料試験片の上に水源を約30分間流す。水源は、温度が39±1℃であり、流量が16±1mL/secであるように調節された実験用水栓である。流れの焦点を合わせるため及び水道内の小さな圧力及び温度変動の影響を抑制するのを助けるために漏斗を用いる。ワイヤーメッシュの格子は、約0.22cm×0.22cm(0.09インチ×0.09インチ)の方形開口部を有し、それが支持用の金属環にクランプされている漏斗の先端から6.4cm(2.5インチ)下に置かれる。重量0.025gの試料試験片を、前記メッシュ上に置き、試験片の生体内分解を追跡するために0、10及び30分後に画像を撮影する。30分後、試験片の残りを含有するワイヤーメッシュを取り外し、残留する水をすべて除去するため、真空下で60℃にて1時間加熱する。前記加熱時間の後、生体内分解による重量喪失を計算するため、最終重量を測定する。1つの試料につき3つの試験片の平均を使用して、生体内分解時間及び重量喪失を計算する。組成物は、上記の試験条件下で約30分後に目に見える残留物、フィルム、又はシートを残さない場合、及び/又は上記の試験条件下で約30分後に、手で1つ以上の大きな塊として容易に分離又は引き剥がすことができない場合、及び/又は上記の試験条件下で約30分後に、(組成物の当初の重量の)約2重量%未満、約4重量%未満、約6重量%未満、及び/又は約8重量%未満の残留物を後に残す場合に、生体内分解性である。上記の生体内分解試験は、8時間までの様々な時間でも実施してもよい。
【0100】
ドライタックは、次の方法で測定できる:1.物品を包装材料から取り除く;2.物品を、乾燥したアクリルの上義歯の口蓋部分に、歯を下向きにして置く;3.指で約3〜10秒間圧力を加える;4.その後、指圧を除く;5.続いて、義歯を、歯が上向きになるように逆さにする。1つの実施形態では、物品は次の場合にドライタックを示す:i.物品が、工程1〜2の間に指に付着しない、ii.工程3〜4で指に残留物がほとんど又はまったく残らない、及びiii.工程5で、物品が、逆さにした後少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも1分間、義歯から剥がれ落ちない。
【0101】
別の実施形態では、物品は次の場合にドライタックを示す:i.物品が、工程1〜4の間に指に付着しない、及びii.工程5で、物品が、逆さにした後少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも1分間、義歯から剥がれ落ちない。
【0102】
別の実施形態では、物品は、工程5で、逆さにした後少なくとも約10〜30秒間、又は少なくとも1分間、物品が義歯から剥がれ落ちない場合にドライタックを示す。
【0103】
本発明の物品のドライタックは、次の手順によっても測定できる:
a.該物品の直径5mmの円板状(厚さ0.67mm)試料を、直径2.5cm(1”)の円筒状プローブ(ポリメチルメタクリレート製)とポリメチルメタクリレートの平坦なシートとの間で、19.6N(2000グラム重量)で2秒間圧縮する。
b.前記プローブを、1mm/sで引張り取り、ピーク力を記録する。
c.手順を、前記2つの面の間に試料をはさまずに繰り返す。そして
d.計算:g/cm単位のドライタック=(試料有りのピーク力−試料なしのピーク力)/試料円板の断面積
【0104】
1つの実施形態では、上記手順を、工程aで2.45N(250グラム重量)の印加力で繰返し、工程b〜dで粘着性を測定する;
物品は、2.45N(250グラム重量)の印加力で測定したときの粘着が約2.45、4.90、9.81、19.6、又は49.0kPa(25、50、100、200、又は500g/cm2)未満である場合、及び19.6N(2000グラム重量)の印加力で測定したときの粘着が約19.6、49.0、98.1、196.1、490.3、980.7、又は2451.7kPa(200、500、1000、2000、5000、10000、又は25000g/cm2)を超える場合、及びこれらの水準のいかなる組み合わせでも、ドライタックである。
【0105】
本発明の組成物の弾性率G’は、次の手順によって測定できる:
a.直径8mmで厚さ0.67mmの試料円板を、平行板固定具を用いて圧縮力4.90N(500g)にてARESレオメーターに装填する。試料が流動性である場合、十分な量の材料を用いて直径25mmの平行板固定具上の1mmの間隙を埋める。
b.ひずみを0.02%に設定する。
c.1Hzを包含する周波数の掃引にてG’を測定する。
【0106】
本発明の物品の正規化除去力及び除去力比は、次の方法によって測定できる:
計器:インストロン(Instron)モデル5544を使用する。ロードセルは、製造業者の規定に従って年1回較正する。ロードセルの選択は、接着剤によって生じる力が該ロードセルの推奨動作範囲内に入ることによって決定される。これは、一般に、全能力の10%〜90%である。
【0107】
試験固定具:円筒状プローブ及び平板の形状が、試験固定具として使用される。前記プローブは、PMMAで作られ、表面積が0.2cm2〜10cm2である。基板には、同じPMMA材料が使用されるが、厚さ0.64cm(1/4”)のシート形態である。これを15.2cm×15.2cm(6”×6”)のプレートに切断し、インストロン(Instron)にクランプする。
【0108】
水和液:低濃度の種々の塩を含有する人工唾液を使用して接着剤を水和する。
【表4】

【0109】
接着剤:0.1〜1.0gの接着剤をプローブに適用する。
【0110】
水和:水和液(0.2mLの人工唾液を2.0mLまで)を、接着剤の表面上にピペットで移す。前記組立体は、この後20分以上水和することができる。
【0111】
試験方法:試料が水和された後、該試料をインストロン(Instron)に取りつけ、コンピュータ制御により試験が実施される。試験方法は、次の工程を含む:
(a)7.35N(750gf)〜73.5N(7500gf)への圧縮
(b)圧縮を2分間保持する
(c)圧縮力を1.96N(200gf)に低減する
(d)保持(1分)
(e)1mm/sで引張り取る
(f)ピーク除去力を記録する
(g)「正規化除去力」=(ピーク除去力)/(プローブの表面積)を計算する;グラム重量/cm単位で報告する
(h)市販のフィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)義歯接着剤(P&Gにより製造され市販されている)、又は次の参照処方について、工程A〜Fを繰り返す:Ca(47.5%)/Zn(17.5%) MVE/MA塩33%、ナトリウムカルボキシメチルセルロース20%、鉱物油USP(40℃で6.5E−5〜7.5E−5m/s(65〜75cst))23.93%、ペトロラタムUSP(稠度17〜20mm)21.87%、コロイド状二酸化ケイ素 1.14%、及びオパティント(Opatint)OD1646 0.06%;この参照処方の好適な作製方法は、US5,073,604(ホレバ(Holeva)K).、及びUS6,617,374(ラジャイア(Rajaiah)J.)に開示されている。
(i)「除去力比」=(試作品接着剤のピーク除去力)/(フィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)のピーク除去力)を計算する
【0112】
データ:各試料は、少なくとも3回繰り返し、「正規化除去力」及び「除去力比」の平均値を報告する。
【0113】
具体的には、正規化除去力及び除去力比は、手順に次のパラメータを用いることによって測定できる:接着剤0.25g;直径2.5cm(1インチ)のプローブ;水和時間20分;及び圧縮力73.5N(7500g)。
【0114】
本発明の物品の「正規化漏出量」及び「漏出比」は、次の方法によって測定できる:
a.初期試料重量約0.50gをポリメチルメタクリレート製の直径2.5cm(1インチ)の円筒状プローブに装填する。
b.プロ−ブを、同じくポリメチルメタクリレート製の1.2mmの基板に持っていく。
c.7.35N(750グラム重量)を90秒印加する。
d.90秒で、漏出した材料を取り除いて秤量する。
e.「正規化漏出量」=(漏出量/初期試料重量)×100を計算する。
f.P&Gにより製造され市販されている義歯接着剤クリームである市販のフィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)を用いて、又は次の参照処方で、工程a〜eを繰り返す:Ca(47.5%)/Zn(17.5%) MVE/MA塩 33%、ナトリウムカルボキシメチルセルロース 20%、鉱物油USP(40℃で6.5E−5〜7.5E−5m/s(65〜75cst))23.93%、ペトロラタムUSP(稠度17〜20mm)21.87%、コロイド状二酸化ケイ素 1.14%、及びオパティント(Opatint)OD1646 0.06%;この参照処方の好適な作製方法は、US5,073,604(ホレバ(Holeva)K.)、及びUS6,617,374(ラジャイア(Rajaiah)J.)に開示されている。
g.計算「漏出比」=試作品接着剤の正規化漏出量/フィクソデント・オリジナル(Fixodent Original)の正規化漏出量。
h.各試料は、少なくとも3回繰り返し、「正規化漏出量」及び「漏出比」の平均値を報告する。
【0115】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0116】
本発明の特定の実施形態を説明および記述してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更および修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0117】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明は、下記の説明を添付図面と併せ読むことで更に理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】対称寸法を有する凹形義歯接着剤物品の実施形態の上部平面図;
【図2】非対称寸法を有する凹形義歯接着剤物品の実施形態の上部平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)安全且つ有効な接着性量の義歯接着剤成分と、
b)非水溶性熱可塑性成分、非水溶性液体成分、及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の非水溶性成分と
を含む義歯接着剤組成物であって、
前記組成物が、0.108〜1.18MPa(1100〜12,000g/cm)の正規化除去力、又は1.1〜10の除去力比を有する、義歯接着剤組成物。
【請求項2】
前記組成物が少なくとも1つの層を含む物品である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が生体内分解性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、クリーム、ペースト、ゲル、液体、ストリップ、ウェハ、物品又はこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
非水溶性成分の濃度が2重量%〜90重量%であり、好ましくは該濃度が45重量%〜60重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ゴム、天然ワックス、合成ワックス、ポリ塩化ビニル、ナイロン、フルオロカーボン、ポリウレタンプレポリマー、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、セルロース性樹脂類、アクリル樹脂類、ペトロラタム、ポリビニルアセテート類、及びこれらの混合物から成る群から選択される非水溶性熱可塑性成分を含み、好ましくは、前記非水溶性熱可塑性成分が、天然ワックス、合成ワックス、ペトロラタム、ポリエチレン、及びこれらの混合物から成る群から選択され、さらにより好ましくは、前記非水溶性熱可塑性成分が70℃〜90℃の融点を有する微晶性ワックスである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記義歯接着剤成分が、セルロース誘導体、デンプン誘導体、糖誘導体、ポリエチレンオキシド類、ポリエチレングリコール類、ポリビニルアルコール、カラギーナン、アルギネート類、カラヤゴム、キサンタンガム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、トラガカント、キトサン、アクリルアミドポリマー類、カーボポール、ポリアミン類、ポリ四級化合物、ポリビニルピロリドン、AVE/MA、AVE/MAの塩類、AVE/MAの混合塩類、高分子酸類、高分子塩類、ポリヒドロキシ化合物、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記義歯接着剤成分が、AVE/MAの塩又は混合塩であり、好ましくは前記義歯接着剤成分が、AVE/MAの塩又は混合塩から成る群から選択され、該塩が、周期表のIA族及び2A族のカチオン類、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、及びこれらの混合物から成る群から選択されるカチオンを含むカチオン性の塩機能を有する、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記カチオンが、ストロンチウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは前記塩が、AVE/MAのカルシウム/亜鉛塩、AVE/MAのマグネシウム/亜鉛/ナトリウム塩、AVE/MAのカルシウム/ナトリウム塩、AVE/MAの亜鉛塩、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項13に記載の物品。
【請求項11】
前記義歯接着剤成分が、5重量%〜60重量%の濃度で、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、トウモロコシデンプン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるセルロース誘導体を含み、好ましくは、前記セルロース誘導体がカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
鉱物油、天然及び合成油類、脂肪類、シリコーン、シリコーン誘導体、ジメチコン、シリコーン樹脂類、炭化水素類、炭化水素誘導体、精油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トウモロコシ、大豆、綿実、ヒマ、パーム油、ココヤシ油、植物油類、動物油類、魚油、オレイン酸及びこれらの混合物から成る群から選択される非水溶性液体成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記正規化除去力が0.118〜0.981MPa(1200〜10,000g/cm)であり、好ましくは前記正規化除去力が0.127〜0.490MPa(MPa(1300g/cm)5000g/cm)であり、より好ましくは前記正規化除去力が0.147〜0.245MPa(1500〜2500g/cm)であり、さらにより好ましくは正規化除去力が0.172〜0.245MPa(1750〜2500g/cm)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記除去力比が1.8〜10であり、好ましくは前記除去力比が1.2〜6であり、より好ましくは前記除去力比が1.3〜4であり、さらにより好ましくは前記除去力比が1.3〜2.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
義歯接着剤の漏出の低減、保持力の改良、食品封止特性の増大、適用容易性の改良、義歯接着剤残留物の洗浄容易性の改良、及びこれらのいずれかの組み合わせを義歯接着剤を必要とする被験者において行う方法であって、請求項1の物品を歯科補綴物、口腔、又はその両方に適用し、その後前記歯科補綴物を口腔に固定することを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−514648(P2009−514648A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540256(P2008−540256)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/044031
【国際公開番号】WO2007/056608
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】