説明

耐光性の改善された紫外線吸収剤組成物及びこれを含有してなる合成樹脂組成物

【課題】耐光着色性の改善されたトリアジン系化合物含有合成樹脂組成物並びに該合成樹脂組成物を用いた光学フィルム及び光学シートを提供すること。
【解決手段】合成樹脂に対して、下記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物と下記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物とを含む紫外線吸収剤組成物を配合する。


(式(2)中、R6は1〜4価の有機カルボン酸残基等を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のトリアジン系化合物及び特定のヒンダードアミン系化合物を含有してなる合成樹脂組成物に関するものであり、特に光学フィルム及び光学シート等の光学材料用途や塗料用途に有用であり、光学材料用途では液晶表示装置等に用いられる偏光板用の保護フィルム及び保護シート、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルム及び光拡散シート、レンズフィルム及びレンズシート、防曇フィルム、帯電防止フィルムや導光板の他、各種基板、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム等の各種機能フィルム、並びに有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルム等にも利用する事が出来る。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の合成樹脂や有機顔料又は染料は光の作用により劣化し、着色或いは機械的強度の低下等を引き起こして長期の使用に耐えないことが知られている。
【0003】
これら有機材料の劣化を防止したり、透過光の波長をコントロールしたりするために、従来から種々の紫外線吸収剤が用いられ、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、2,4,6−トリアリールトリアジン系及びシアノアクリレート系の紫外線吸収剤が知られている。
【0004】
例えば、光学材料用途においては、下記特許文献1にベンゾトリアゾール系化合物やトリアジン系化合物のような紫外線吸収剤が用いられる技術が開示され、下記特許文献2には紫外線吸収剤を含有してなるノルボルネン系樹脂フィルムが報告されている。
しかし、従来の紫外線吸収剤は光学用途に必要な吸収能を与える量を配合するとブリードアウトや色調の変化を生じる。
【0005】
本発明で用いるトリアジン系化合物からなる紫外線吸収剤は、下記特許文献3に耐候性及び耐熱性が優れる紫外線吸収剤として開示され、更に下記特許文献4には光学フィルム用途に適した紫外線吸収能を有し、且つ、該紫外線吸収剤のブリードアウトが少ない紫外線吸収剤として報告されている。
【0006】
しかし、前記紫外線吸収剤は、ブリードアウトが少なく、光学材料用途に適する優れた紫外線吸収能を有するものの、トリアジン系化合物自体の着色による合成樹脂の耐光着色性に関して課題を残していた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の紫外線吸収剤組成物、合成樹脂組成物並びに該合成樹脂組成物からなる光学フィルム及び光学シートについて、好ましい実施形態に基づき具体的に説明する。
先ず、本発明の紫外線吸収剤組成物について説明する。
本発明の紫外線吸収剤組成物は、下記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物及び下記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物を含有する。
【0033】
前記一般式(1)のR1で表される炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
【0034】
前記一般式(1)のR1で表される炭素原子数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
【0035】
前記一般式(1)のR1で表される炭素原子数6〜18のアリール基又は炭素原子7〜18のアルキルアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−第三ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ第三ブチルフェニル、2,5−ジ第三ブチルフェニル、2,6−ジ−第三ブチルフェニル、2,4−ジ第三ペンチルフェニル、2,5−ジ第三アミルフェニル、2,5−ジ第三オクチルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル等が挙げられ、炭素数7〜18のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル等が挙げられる。
【0036】
前記一般式(1)において、R1及びR2で表される炭素原子数3〜8のアルケニル基としては、例えば、直鎖及び分岐のプロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルが不飽和結合の位置によらず挙げられる。
【0037】
前記一般式(1)において、R2で表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、第三アミル、オクチル、第三オクチル等が挙げられ、中でもメチル基が、紫外線吸収能力に優れるため好ましい。
【0038】
前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物としては、例えば、下記の化合物No.1〜No.8等の化合物が挙げられる。
【0039】
【化4】

【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
【化10】

【0046】
【化11】

【0047】
前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物の中でも、前記一般式(3)で表わされるものが、紫外線吸収能及び合成樹脂物性面における耐光性等の観点から好ましい。
【0048】
前記一般式(3)において、R7で表される炭素原子数1〜12のアルキル基としては、前記R1で例示の基が挙げられる。
【0049】
前記一般式(1)又は(3)で表されるトリアジン系化合物の合成方法は、特に制限を受けることはなく、通常用いられる合成方法のいずれでもよい。例えば、塩化シアヌルにフェノール誘導体又はレゾルシノール誘導体を三塩化アルミニウムを用いて付加反応させる方法が挙げられる。R1(R7)、R2、R3及びR4で表される置換基は、トリアジン構造を形成した後に導入してもよく、トリアジン構造を形成する前に、フェノール化合物又はレゾルシノール誘導体に導入してもよい。
【0050】
前記一般式(1)又は(3)で表されるトリアジン系化合物の含有量は、本発明の紫外線吸収剤組成物中、0.1〜99.9質量%、好ましくは2〜98質量%である。0.1質量%未満では充分な紫外線吸収能が発揮できない場合があり、99.9質量%を超えると本発明の耐光着色性効果が劣る。
【0051】
前記一般式(2)において、R5で表される炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては、前記R1で例示の基が挙げられる。
【0052】
前記一般式(2)において、R5で表される炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルコキシ基としては、例えば、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2−メチルヘキシルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、イソノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ等が挙げられる。
【0053】
前記一般式(2)において、R6は、カーボネート基、又は、1〜4価の有機カルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基を表し、該1〜4価のカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ネオデカン酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アクリル酸、ニトリロトリ酢酸、チオグリコール酸、オクチルメチルカプトプロピオン酸、安息香酸、トルイル酸、第三ブチル安息香酸、サリチル酸、3.5−ジ第三ブチル−ヒドロキシフェニル安息香酸、3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、チオジプロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ブタントリカルボン酸、ブテントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,6,8,10−テトラデカンヘキシルカルボン酸等が挙げられる。前記一般式(2)におけるR6で表わされる基の中でも、コスト面、製造容易性及び耐光性改善効果の面から、カーボネート基、或いは、デカンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸又は、ブタンテトラカルボン酸等のカルボキシル基から水素原子を除いた残基が好ましく、カーボネート基、或いは、セバシン酸、デカンジカルボン酸又はブタンテトラカルボン酸等のカルボキシル基から水素原子を除いた残基がより好ましい。
【0054】
前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物の合成方法としては、特に制限されず、通常の有機合成における手法により合成可能である。また、精製方法としては、蒸留、再結晶、再沈、ろ過剤・吸着剤を用いる方法等を適宜使用することができる。更に、通常市販される安価に入手可能なものは混合物であることが多く、単独で用いても混合物で用いてもよく、製造方法、組成、融点、酸価等によらず利用できる。
【0055】
前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物としては、例えば、下記の化合物No.9〜No.13等の化合物が挙げられる。
【0056】
【化12】

【0057】
【化13】

【0058】
【化14】

【0059】
【化15】

【0060】
【化16】

【0061】
前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物の含有量は、本発明の紫外線吸収剤組成物中、0.1〜99.9質量%、好ましくは2〜98質量%である。0.1質量%未満では充分な紫外線吸収能が発揮できない場合があり、99.9質量%を超えると本発明の耐光着色性効果が劣る。
【0062】
以上説明した本発明の紫外線吸収剤組成物は、以下に説明するように合成樹脂に配合され、合成樹脂組成物として用いられる他、紫外線吸収剤成分として光学材料や塗料材料に直接配合されてもよい。

次に、本発明の合成樹脂組成物について説明する。
【0063】
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂100質量部に対して、前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物0.001〜10質量部と前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物0.001〜10質量部とを配合したものである。
【0064】
本発明に用いる合成樹脂としては、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、オレフィン−マレイミド共重合体等のポリオレフィン系樹脂及びこれらの重合体を与えるモノマーの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、塩素化ポリエチレンアクリロニトリルスチレン(ACS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルブチルアクリレートスチレン(AAS)、ブタジエンスチレン、スチレンマレイン酸、スチレンマレイミド、エチレンプロピレンアクリロニトリルスチレン(AES)、ブタジエンメタクリル酸メチルスチレン(MBS)等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂;ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ナイロン6T等の芳香族ジカルボン酸や脂環式ジカルボン酸を使用したポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂;変性ポリフェニレンオキシド樹脂;ポリフェニレンサルフィド(PPS)樹脂;ポリアセタール(POM);変性ポリアセタール;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン;石油樹脂;クマロン樹脂;ノルボルネン樹脂等のシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィン−オレフィン共重合樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネートとスチレン系樹脂とのポリマーアロイ;ポリビニルアルコール樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂;液晶ポリマー(LCP);シリコン樹脂;ウレタン樹脂;脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ヒドロキシカルボン酸もしくはその環状化合物からの脂肪族ポリエステル、更にはこれらがジイソシアネート等により分子量が増加した脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂;及びこれらのリサイクル樹脂等が挙げられる。更にフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。更に天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム等のゴム系高分子化合物であってもよく、光学材料用としては、可視光の透過率に優れる、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、セルローストリアセテートやセルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル系樹脂、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノルボルネン系樹脂等が、透明性、耐久性、偏光特性、電気絶縁性に優れるため好適である。
【0065】
本発明に用いられる前記一般式(1)又は(3)で表されるトリアジン系化合物、前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物については、本発明の紫外線吸収剤組成物における説明が随時適用される。
【0066】
前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物の合成樹脂への配合量は、合成樹脂100質量部に対し、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。0.001質量部未満では十分な安定化効果が得られず、一方、10質量部を超えると合成樹脂物性の低下や、ブルームにより合成樹脂組成物の美観を損なう等の問題が生じる。
【0067】
前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物の合成樹脂への配合量は、合成樹脂100質量部に対し、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部である。0.001質量部未満では十分な安定化効果が得られず、一方、10質量部を超えると合成樹脂物性の低下や、ブルームにより合成樹脂組成物の美観を損なう等の問題が生じる。
【0068】
本発明の合成樹脂組成物には、用いる合成樹脂の種類に応じて通常用いられる酸化防止剤(フェノール系、リン系又はチオエーテル系等)、他の紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、前記一般式(1)で表わされる化合物以外のトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等)、前記一般式(2)で表わされる化合物以外のヒンダードアミン系光安定剤、可塑剤、加工助剤等の添加剤を配合することができる。
【0069】
前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾー
ル、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ
第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(
3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4'−チ
オビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6
−第三ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェ
ノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−
エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−
第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3
−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,
5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(
3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、
2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メ
チルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−
第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル
)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1
−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、
トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル
)プロピオネート〕等が挙げられ、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部用いられる。
【0070】
前記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス
〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)
−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホ
スファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリ
トールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビ
ス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ビス(2
,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イ
ソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−n−ブ
チリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリ
デシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル
)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレン
ジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−
10−オキサイド、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチ
ルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オ
クタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)
フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベ
ンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミ
ン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノ
ールのホスファイト等が挙げられる。
【0071】
前記チオエーテル系酸化防止剤としては、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロ
ピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオ
ネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等
のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0072】
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ第三ブチ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブ
チル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキ
シ−5'−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'
,5'−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三
ブチル−5'−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス(4
−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2'−ヒドロキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール類が挙げられる。
【0073】
前記一般式(1)で表わされる化合物以外のトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類等が挙げられる。
【0074】
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾ
フェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等
の2−ヒドロキシベンゾフェノン類が挙げられる。
【0075】
これら他の紫外線吸収剤は、成分の揮散しやすいフィルム状に成形された合成樹脂中に配合されることになるので基材樹脂への溶解性に優れた構造が好ましく、また、加工時や使用時の熱で揮散しにくい高分子量の構造のものが好ましく、分子量500以上、より好ましくは分子量700以上であり、重合性基や反応性基を導入して高分子量化したり、合成樹脂に組み込んだものでもよい。これら他の紫外線吸収剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
【0076】
前記一般式(2)で表わされる化合物以外のヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0077】
前記一般式(2)で表わされる化合物以外のヒンダードアミン系光安定剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。
【0078】
前記可塑剤としては、特に限定されないが、例えばリン酸エステル系可塑剤やポリエス
テル系可塑剤が挙げられ、これらは、単独或いは2種以上混合して用いることができる。
【0079】
前記リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホス
フェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェ
ニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が
挙げられる。
【0080】
前記ポリエステル系可塑剤としては、脂肪族二塩基酸や芳香族二塩基酸とジオール化合
物からなる鎖状ポリエステルやヒドロキシカルボン酸の鎖状ポリエステルが挙げられる。
【0081】
前記脂肪族二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、
スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、
2,5−ノルボルネンジカルボン酸等。芳香族二塩基酸としてはフタル酸、1,5−ナフ
タレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、アン
トラセンジカルボン酸、ターフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
【0082】
前記ジオール化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−
プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、2−メチルプロパンジオール、1,3−ジメチルプロパンジオール、1,5−
ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2,4
−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、チオジエチ
レングリコール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、3,9−ビス
(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
【0083】
前記ヒドロキシカルボン酸としては、4−ヒドロキシルメチルシクロヘキサンカルボン
酸、ヒドロキシトリメチル酢酸、6−ヒドロキシカプロン酸、グリコール酸、乳酸等が挙
げられる。
【0084】
他のポリエステル系可塑剤としては、3価以上のポリオールとモノカルボン酸化合物の
ポリエステルが挙げられる。3価以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールやその縮合物であるジペンタエリスリ
トール、トリペンタエリスリトール等が挙げられる。また、これらポリオールにエチレン
オキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールでもよい。
【0085】
前記モノカルボン酸としては、安息香酸、p−メチル安息香酸、m−メチル安息香酸、
ジメチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−クロロ
安息香酸、ナフチル酸、ビフェニルカルボン酸等の芳香族カルボン酸;シクロヘキサンカ
ルボン酸等の脂環式カルボン酸;酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸等の脂肪族
酸が挙げられる。モノカルボン酸は単独でも混合でもよい。
【0086】
これら可塑剤の使用量は、合成樹脂性能、加工性等の点で、合成樹脂中、0〜20質量%が好ましい。液晶表示部材用としては、寸法安定性の観点から1〜15質量%が更に好ましく、特に好ましくは、2〜10質量%であり、加水分解の面でポリエステル系可塑剤が好ましい。
【0087】
本発明の合成樹脂組成物において、合成樹脂、前記一般式(1)〜(3)で表わされる、トリアジン系化合物/ヒンダードアミン系化合物及び上述の添加剤の混合の順序は特に制限されず、全ての成分を同時に混合してもよいし、予め紫外線吸収剤組成物を調製してから、これと合成樹脂を混合してしてもよいし、予め調製しておいた複数の成分を他の成分と混合してもよいし、或いは予め調製しておいた複数の成分同士をさらに混合してもよい。
【0088】
本発明の合成樹脂組成物の製造において、予め紫外線吸収剤組成物を調製してから、これと合成樹脂を混合する場合、その配合量は、合成樹脂100質量部に対し、前記紫外線吸収剤組成物を好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
【0089】
以上説明した本発明の合成樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物及び前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物が、前記合成樹脂、特に光学材料用として好適な、アクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、セルロースエステル系樹脂又はノルボルネン系樹脂等に対して優れた溶解性を有するので、偏光板等の基材との接着性に優れることやフィルムの物性が安定であること、他の部材を汚染しないこと等の効果が期待できる。
【0090】
本発明の合成樹脂組成物は、特に制限されないが、シートやフィルム等に成形して、光学フィルムや光学シート等の光学材料として好適に使用できる他、塗料用材料としても使用できる。光学材料としては例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置に用いる光学フィルム又は光学シートとして有用であり、特に表示素子に紫外線耐性の劣る有機材料を用いる液晶表示装置や有機ELディスプレイの光学補正フィルム、発光体保護フィルム等の光学フィルムとして有用である。液晶表示装置用途としては、偏光板保護フィルム又は保護シート、位相差フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルム及び光拡散シート、レンズフィルム及びレンズシート、防曇フィルム、帯電防止フィルム、光学補正フィルム、反射防止フィルム、色調調整フィルムや導光板等が挙げられ、特に液晶表示素子に接している偏光板の外表面側に設置される光学フィルム若しくは光学シート、又は、偏光板保護フィルム若しくは光学シートに好適に使用できる。

次に、本発明の合成樹脂組成物を光学フィルム又は光学シートに用いた場合について説明する。
【0091】
本発明の光学フィルム及び光学シートは、本発明の合成樹脂組成物をフィルム又はシートに成形して得られるものであり、その成形方法としては、溶液流延法でも射出成形法でも溶融押出し法でもよく、従来と同様の方法によって成形することができる。またその厚さも特に限定されるものではないが、例えばフィルムに成形する場合には、好ましくは5〜300μmであり、より好ましくは5〜150μmであり、シートに成形する場合には、好ましくは200μm〜10mmであり、より好ましくは300μm〜5mmである。
【0092】
本発明の光学フィルム及び光学シートは、前記合成樹脂組成物に含まれる前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物及び前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物が耐揮散性にも優れるので溶液流延法、射出成形法及び溶融押出し法の加工条件として生産性の高い高温条件(200〜350℃)での製造にも適している。
【0093】
本発明の光学フィルム又は光学シートを用いた液晶表示装置は、偏光能の持続に優れるもので、適用される液晶表示装置は特に制限されず、TN、STN、TFT等の駆動方式、バックライトが蛍光灯かLEDか等の光源の種類、反射型か透過型か等の光源として太陽光等の外部光を利用するか否か、タッチパネル機能の有無等表示装置としての機能の付加、向上のための施策の有無や程度によらず好適に用いることができる。
【実施例】
【0094】
実施例等により本発明を詳細に示す。ただし、本発明は以下の実施例等によりなんら制
限されるものではない。
【0095】
[実施例1〜4及び比較例1〜4]
<試験片作製>
下記表1に記載のフィルム作製条件、下記表2〜5に記載の配合に基づき、合成樹脂100質量部に対して、表中記載の如く添加剤種を配合し、表中記載の条件に基づき溶液流延法によりフィルムを作製し、1辺2cmの正方形のフィルム試験片を得た。
【0096】
【表1】

【0097】
<耐光性試験方法>
前記で作製したフィルム試験片を、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製;83℃、雨なし、光源カーボンアーク)にて、120時間毎の黄色度(イエローインデックス:Y.I)を多光源分光測色計(スガ試験機株式会社製)により測定し、透過による黄色度の差(ΔY.I)で耐光着色性を評価した。結果を表2〜5に併せて記す。
【0098】
【表2】

【0099】
【化17】

【0100】
【化18】

【0101】
【化19】

【0102】
【化20】

【0103】
【化21】

【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
【表5】

【0107】
表2〜5の結果から、本発明における特定の構造を有するトリアジン系化合物は、本発明における特定の構造を有するヒンダードアミン系化合物との併用系のみにおいて、耐光着色性(ΔY.I)が顕著に良好であることが分かる。表2のアクリル樹脂での参考例(樹脂単独系)と比較例2−2との比較においてトリアジン系化合物を添加することによって
該トリアジン系化合物自体が着色していることがわかり、特定のヒンダードアミン化合物を配合すること(実施例2−2)によって、トリアジン系化合物自体の着色が抑えられていることが分かる。更に、これらの結果から様々な合成樹脂において、本発明における特定のヒンダードアミン系化合物が、耐光着色性改善に顕著な効果を示していることが分かる。
【0108】
従って、本発明における特定のヒンダードアミン系化合物は、本発明におけるトリアジン系化合物含有合成樹脂の耐光着色性の改善に顕著な効果を示し、耐光着色性に優れた合成樹脂組成物を提供することが可能で、特に、光学フィルム及び光学シートや塗料の耐光着色性の改善に非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物及び下記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物を含有してなる紫外線吸収組成物。
【化1】

(式中、R1は炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数3〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、前記の置換及び中断は組み合わされてもよい。R2は水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数3〜8のアルケニル基を表わし、R3は水素原子又はヒドロキシ基を表し、R4は水素原子又は−O−R1を表す。)
【化2】

(式中、R5は水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基を表し、R6はカーボネート基、又は、1〜4価の有機カルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物を0.1〜99.9質量%及び前記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物を0.1〜99.9質量%含有してなる請求項1記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物が、下記一般式(3)で表されるトリアジン系化合物である請求項1又は2に記載の紫外線吸収剤組成物。
【化3】

(式中、R7は炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。(但し、これらのアルキル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。))
【請求項4】
前記一般式(2)におけるR6が、カーボネート基、或いは、セバシン酸、デカンジカルボン酸、又はブタンテトラカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基である請求項1〜3の何れかに記載の紫外線吸収剤組成物。
【請求項5】
合成樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物0.001〜10質量部と下記一般式(2)で表されるヒンダードアミン系化合物0.001〜10質量部とを配合してなる合成樹脂組成物。
【化4】

(式中、R1は炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数3〜8のアルケニル基、炭素原子数6〜18のアリール基、炭素原子数7〜18のアルキルアリール基又は炭素原子数7〜18のアリールアルキル基を表す。但し、これらのアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基は、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。また、前記の置換及び中断は組み合わされてもよい。R2は水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数3〜8のアルケニル基を表わし、R3は水素原子又はヒドロキシ基を表し、R4は水素原子又は−O−R1を表す。)
【化5】

(式中、R5は水素原子、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、又は、炭素原子数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基を表し、R6はカーボネート基、又は、1〜4価の有機カルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
【請求項6】
前記一般式(1)で表されるトリアジン系化合物が、下記一般式(3)で表されるトリアジン系化合物である請求項5に記載の合成樹脂組成物。
【化6】

(式中、R7は炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。(但し、これらのアルキル基はヒドロキシ基、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換されていてもよく、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、エステル基、アミド基又はイミノ基で中断されていてもよい。))
【請求項7】
前記一般式(2)におけるR6が、カーボネート基、或いは、セバシン酸、デカンジカルボン酸、又はブタンテトラカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基である請求項5又は6に記載の合成樹脂組成物。
【請求項8】
更に、前記一般式(2)で表わされる化合物以外のヒンダードアミン系化合物を配合してなる請求項5〜7の何れかに記載の合成樹脂組成物。
【請求項9】
更に、前記一般式(1)で表される化合物以外の紫外線吸収剤を配合してなる請求項5〜8の何れかに記載の合成樹脂組成物。
【請求項10】
前記一般式(1)で表される化合物以外の紫外線吸収剤が、前記一般式(1)で表される化合物以外のトリアジン系化合物である請求項5〜9の何れかに記載の合成樹脂組成物。
【請求項11】
更に、可塑剤を配合してなる請求項5〜10の何れかに記載の合成樹脂組成物。
【請求項12】
前記合成樹脂が、アクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂又はノルボルネン系樹脂である請求項5〜11の何れかに記載の合成樹脂組成物。
【請求項13】
請求項5〜12の何れかに記載の合成樹脂組成物からなるフィルム又はシート。
【請求項14】
光学フィルム又は光学シートである請求項13記載のフィルム又はシート。
【請求項15】
液晶表示素子に接している偏光板の外表面側に設置される光学フィルム若しくは光学シート、又は、該偏光板用の保護フィルム若しくは保護シートである請求項13記載のフィルム又はシート。
【請求項16】
偏光板用の保護フィルム又は保護シートである請求項13記載のフィルム又はシート。
【請求項17】
請求項1〜4の何れかに記載の紫外線吸収剤組成物を含有してなる塗料。
【請求項18】
請求項5〜12の何れかに記載の合成樹脂組成物を用いた塗料。

【公開番号】特開2009−167416(P2009−167416A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−35773(P2009−35773)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】