説明

耐衝撃性質が改善された構造ポリオレフィンを提供するための共沈水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエン及びエラストマー性ポリマーのブレンド

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【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本出願は2007年6月1日に提出されたUSSN11/809,573に基づく優先権を主張する。エラストマーポリマー修飾剤と水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコモノマーの共沈されたブレンドを含むポリマー組成物の調製を開示する。そのような組成物は所望の熱、構造、及び衝撃耐性性質を有する構造ポリオレフィンを形成することができる。
【背景技術】
【0002】
αオレフィンは、各種重合触媒を用いて、5−エチリデン−2−ノルボルネン及びジシクロぺンタジエン等の剛性環状オレフィンと共に共重合することができる。これらのコポリマーが30重量%より多くの環状オレフィンを含む場合、それらは通常アモルファスで透明であり(90%より多い光透過性)、室温以上のガラス転移温度を有する(50℃より高い)。環状オレフィンの含量が高いと、それらは非常に高い弾性率(2900MPaより高い)、熱歪み温度(60psiで130℃より高い)、及びロックウェル硬度(100より高い)を有する。しかしながら、それらはノッチアイゾッド衝撃の性質に乏しく(室温で、<0.5ft−lb/in)、室温以下での機械計測強度試験において脆性破壊を示す(脆性破壊はポリマーを可塑的に変形させることなく生じる亀裂である)。
【0003】
従って、環状オレフィンコポリマー(COC)を改質をしないと、自動車部品等の大部分の構造的製品に用いるには、衝撃耐性が乏しすぎる。自動車製品及び他の構造製品について、理想的な化合物は可能な限り、曲げ、引張、及びヤング弾性率を維持しつつ、良好な衝撃耐性、及び良好な熱破壊温度を有しているものである。
【0004】
これらの衝撃耐性を改善するために、環状オレフィンコポリマーを各種エラストマーとブレンドする。多くのこのようなタイプの物質のブレンドの多くが当分野で知られている。例えば、米国特許第4,918,133号は優れた熱耐性、化学的耐性、剛性を有し、幾つかのタイプのコポリマー物質のブレンドである、シクロオレフィンタイプのランダムコポリマー組成物を開示する。この‘133特許のコポリマー組成物は(A)エチレン成分及びシクロオレフィン成分を含み、特定の固有粘度性質及び70℃より高い軟化点(TMA)を有する、ランダムコポリマーと(B)1つ以上の非剛性コポリマーとを含む。このブレンドは溶融ブレンド及び少なくとも2つのブレンド成分の共沈、乾燥ブレンド、又は溶融ブレンドにより調製される。
【0005】
‘133特許のそのような組成物のコポリマー(A)のシクロオレフィン成分は、多くの他のなかでも、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エン(ノルボルネン)及びトリシクロ[4,3,0,12.5]−3−デセン等の1つの二重結合を有する1−乃至4−環架橋されたシクロオレフィンの数多くのいずれでも良い。非架橋コポリマー(B)は(i)エチレン成分、少なくとも1つの他のαオレフィン成分、及びシクロオレフィン成分を含み、特定の固有念組成物及び70℃以下の軟化点(TMA)を有するランダムコポリマー、(ii)少なくとも2つのαオレフィンと少なくとも1つの非共役ジエンから形成された、非結晶性乃至低結晶性αオレフィンタイプエラストマー成分、及び/又は(iii)芳香族ビニルタイプの炭化水素−非共役ジエンコポリマー又はこれらの水素化生成物、から選択することができる。
【0006】
同様に、米国特許第4,992,511号は優れた熱耐性、耐熱老化性、化学薬品耐性、耐天候性、溶媒耐性、誘電性質、剛性、耐衝撃性、流動性を有すると言われており、幾つかのタイプのコポリマー物質のブレンドである、シクロオレフィンランダムコポリマー組成物を開示する。これらの組成物は(A)‘133特許において開示されたシクロオレフィンランダムコポリマーと同様のタイプのポリマーであって、エチレン成分及び/又はシクロオレフィン成分(環状ジエンでもよい)を含むコポリマー、(B)0℃より高いガラス転移温度、Tg、を有する少なくとも1つの柔軟性ポリマー、及び(C)ポリマー成分の架橋を促進するための有機過酸化物を含む。このブレンドは溶液ブレンド及び/又は少なくとも2つのブレンド成分の共沈、又は溶融混合により調製される。
【0007】
‘511に開示の組成物の柔軟性ポリマー成分は(a)エチレン成分、シクロジエンを含んでいてもよいシクロオレフィン成分、及び3乃至20炭素原子を含むαオレフィン成分を含む柔軟性シクロオレフィンランダムコポリマー、(b)エチレン成分及び3乃至20炭素原子を含むαオレフィン成分から選択される少なくとも2つの成分を含むアモルファス又は低結晶性柔軟オレフィン成分、(c)非共役ジエン成分及びエチレン成分及び/又は3乃至20炭素原子から選択される少なくとも2つの成分を含む柔軟性オレフィン/非共役ジエンコポリマー、及び(d)それぞれが芳香族ビニル水素化成分、及び/又は共役ジエン成分、及びこれらのコポリマーの水素化生成物を含むランダムコポリマー及びブロックコポリマーから選択される柔軟性芳香族ビニルコポリマー、から選択することができる。シクロオレフィンランダムコポリマー又はエラストマー性コポリマー成分におけるペンダントオレフィン単位はこのブレンド調製方法において、水素化されていない。
【0008】
欧特許出願第0726291A1号はエチレン/シクロオレフィンランダムコポリマー及び芳香族ビニル/共役ジエンブロックコポリマー、又はこれらの水素化生成物を含むシクロオレフィン樹脂組成物を開示する。これらの組成物は溶液ブレンドにより調製され、次いで、溶媒エバポレーション、又は2つのブレンド組成物の共沈、又は溶融混合により調製される。このシクロオレフィンランダムコポリマー又はエラストマーコポリマー組成物のペンダントオレフィン単位は、このブレンド調製方法において水素化されていない。
【0009】
COC/エラストマーブレンドについての追加的な文献としては、欧州特許公報0566988Bl;欧州特許公報0597119Bl;欧州特許公報0608903Bl;欧州特許公報0647676Bl;米国特許第5,087,677号;米国特許第5,359,001号;米国特許第5,574,100号;米国特許第5,753,755号;米国特許第5,854,349号;米国特許第5,863,986号;米国特許第6,090,888号;米国特許第6,225,407号;米国特許第6,255,396号;米国特許第6,342,549号;米国特許第6,590,033号;米国特許第6,596,810号;米国特許第6,696,524号;米国特許公開公報2003/0096898号;米国特許公開公報2003/0125464号;米国特許公開公報2004/0236024号;米国特許公開公報2005/0014898号;特許公開公報05−320267;特許公開公報05―320268;特許公開公報07−247386;特許公開公報07−292181;特許公開公報10−095881;特許公開公報03−255145;特許公開公報01−318054;特許公開公報03−079611;特許公開公報04−170453;特許公開公報04−170454;特許公開公報05−009351 及び特許公開公報2004/156048を含む。
【0010】
例示的な従来技術の前述の議論により説明されているように、環状オレフィンコポリマー組成物を含む多くの研究がノルボルネンと他の1つの二重結合を有する他の環状オレフィン成分のコポリマーに焦点を当ててきている。ジシクロペンタジエン(DCPD)等の環状ジエンも用いられている。DCPDは低コストで容易に利用可能であることから、特に好ましい環オレフィンコモノマーである。従って、DCPDとエチレン及び他のαオレフィンのターポリマー、及び/又は他の環状オレフィンターポリマーを含むコポリマーである、DCPDとエチレン又は他のαオレフィンのコポリマー(以下本明細書において、包括的にDCPDベースコポリマーという)は、共重合の後に環状オレフィン部分に二重結合残基を有している。
【0011】
DCPDベースコポリマー内の不飽和残基が存在するとコポリマーが不安的になる。例えば、エチレン−ジシクロペンタジエン(E/DCPD)コポリマーの中の二重結合残基はこれらの物質が処理及び使用されている間に、架橋、酸化、及び他の好ましくない副作用を生じさせやすくする。エラストマー組成物の耐衝撃性を改善するために、そのようなコポリマー組成物にE/DCPDと組合わせて生成された組成物も、用いたコポリマーの性質に応じた二重結合残基を含む。したがって、経済的に好ましいDCPDベース物質が構造ポリオレフィン調製物のためのベースとして用いられるならば、そのようなコポリマー内の不飽和残基は、部分的又は完全な水素化により、又はそのようなコポリマー構造内の二重結合残基の他の誘導体化により排除又は減らされる必要がある。
【0012】
構造製品に用いるための安定化されたDCPDシクロオレフィンコポリマーの1つのアプローチはDCPD自信の代わりに、共重合に水素化されたDCPDをコモノマーとして用いることを含む。特に好適な水素化されたDCPD(本明細書において、以降HDCPDという)において、DCPDシクロペンテニルオレフィン(通常のDCPDの共重合後ペンダント側鎖になる)が選択的に飽和される。このDCPDノルボレニルオレフィン(共重合された単位)はそのまま保持される。このストラテジーは追加的な調製工程、選択的水素化の困難性(例えば、DCPDからHDCPDの分離、完全なDCPDの飽和、及び異性体の存在)、及びメタロセン重合触媒に適したレベルのHDCPDを精製する必要性からHDCPDのコストが高額になるので、好ましくない。従って、DCPD自体をエチレン及び/又はαオレフィンで共重合し、次いでポリマー生成物中のオレフィン残基を水素化して、DCPDベース環状オレフィンコポリマー中のオレフィン残基を排除することは有効である。このことは、環状オレフィンコポリマーの調製工程に追加的な工程を追加する(経済的にコスト減少を伴う)。従って、少なくとも部分的に水素化されたDCPDベース環状オレフィンを含む最終生成物を調製するために、水素化工程と他の処理工程を組み合わせること等により、コスト及び水素化工程の困難性を最小化する方法を見つけることは、更に好ましい。
【0013】
耐衝撃性を改善するエラストマーと組み合わせてDCPD含有コポリマーの基づく構造ポリオレフィンを調製することにおける他の障害は、これらの物質をブレンドするときに生じる。エラストマーと例えば、DCPDベースコポリマー等の環状オレフィンベースコポリマーとのブレンドは通常、これらの2つのタイプのポリマーを溶融混合し、次いで押出成形することにより行われる。しかしながら、DCPDベース環状オレフィンコポリマーベース物質が高いTg(160℃)を有しているので、実施される溶融混合及び/又は押し出し成形を高温(230℃より高い)でおこなわなければならない。従って、ベースコポリマーと衝撃改善剤として用いるエラストマーとの両方が分解することを避けるために、溶融混合の時間と温度とを最小限にし、ベース物質とエラストマーとの間の混合を確実に行うための条件を提供する必要がある。
【0014】
これらのことを考慮すると、経済的に魅力的な成分を用いて、耐衝撃性を含む熱及び構造性質の好ましい組み合わせを有する構造ポリオレフィン物質にすることができるポリマー混合物を製造するための方法を開発することには意義がある。そのような方法は、そのような物質の製造又は使用のいずれかの間の化学的安定性に悪い影響を与える、不飽和等の部分が部分的及び/又は完全に存在しない、ポリマー混合物を得るような方法を含む。そのような調製方法は、処理されるポリマーを分解することができる温度条件下でおこなわなければならない溶融混合等の技術の必要性を避ける又は最小化するものであり、更に重合及びブレンドに関するコスト及び複雑性を最小限にするものでもある。そのようなポリマー混合物の遊離な性質が維持される。
【発明の概要】
【0015】
1つの側面において、本発明は構造ポリオレフィン物質に成形するのに適したポリマー組成物を調製するための方法を提供する。そのような方法はA)特定のタイプのエチレン−ジシクロペンタジエン(E/DCPD)コポリマー成分を液体反応媒体に溶解する工程、B)この液体反応媒体に特定のタイプのエラストマー製ポリマー成分を共溶解する工程、C)エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分内の二重結合残基を少なくとも部分的に水素化するのに効果的な水素化条件に、ポリマー成分を含む液体反応媒体を曝す工程、及びD)得られた少なくとも部分的に水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分とエラストマー性ポリマー成分をこの液体反応媒体から、共沈されたポリマー組成物として共沈させる工程、を含む。
【0016】
液体反応媒体中に溶解されているエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分は二重結合残基部分をその中に有するジシクロペンタジエン由来コモノマーを25モル%乃至65モル%含むものである。このエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分は50,000乃至1,000,000g/molの重量平均分子量、Mw及び85℃乃至190℃のガラス転移温度、Tg、を有する。この液体反応媒体中に共溶解されているエラストマー性ポリマー成分は−80℃乃至0℃の範囲のガラス転移温度、Tgを有するものである。
【0017】
他の側面において、本明細書は構造ポリオレフィン生成物に成形するのに適したポリマー組成物に関する。そのような組成物は(ターポリマーであり、及び/又は官能化されたDCPD由来単位を含むコポリマーを含む)少なくとも部分的に水素化されたE/DCPDコポリマー成分の特定のタイプ及び特定のタイプのエラストマー性ポリマー成分を含む。本明細書におけるポリマー組成物において、これらの両タイプの成分は液体反応媒体に共融解され、次いで共沈される。
【0018】
本明細書における少なくとも部分的に水素化されたE/DCPDコポリマー成分は水素化の前に、それらの中に二重結合残基部分を有しているジシクロペンタジエン由来コモノマーを少なくとも5%含むジシクロペンタエラストマージエン由来コモノマーを25モル%乃至65モル%含む。この少なくとも部分的に水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分は50,000乃至1,000,000g/molの重量平均分子量、Mw及び85℃乃至190℃のTgを有する。この組成物のエラストマー性ポリマー成分は−80℃乃至0℃の範囲のガラス転移温度、Tg、を有する。
【0019】
開示された方法及び組成物及び本発明明細書で開示されたポリマー物質を含む方法及びそれらの好適な適用及び使用は以下の発明の詳細な説明にて詳述する。この発明の詳細な説明及び前述の発明の概要及び以下の特許請求の半において、数値範囲は、「約」の語により修飾されているものとする。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本明細書に記載のように調製及び使用されるポリマー性物質はホモポリマー又は少なくとも1つのαオレフィンコモノマー(頻繁にはエチレン)及び少なくとも1つの他の別のタイプのモノオレフィン又はジエンコモノマー(頻繁には環状)を含むコポリマーのいずれかである。本明細書の方法について、「コポリマー」又は「コポリマー成分」は本明細書に記載の特定のコモノマーが通常存在することを含む、少なくとも2つの別のタイプのコモノマーの共重合により調製される任意の物質を意味する。
【0021】
本明細書のポリマー性物質の幾つかのような、3つの異なるタイプのコモノマーを含むポリマー性物質は「コポリマー」又は「コモノマー成分」の語に包含されるが、本明細書においては「ターポリマー」と記載する。本明細書で記載するように、3つのコモノマー成分から調製されるポリマーは、そのようなターポリマーは更に第四の又は更なる追加的なコモノマータイプをわずかな量含んでいたとしても、本明細書の目的のために「ターポリマー」と定義するのが好ましい。同じタイプの幾つかのコモノマーが同じ化学構造(例えば、置換されたノルボルネン)、ミクロ構造(例えば、タクチシティー)、又は立体化学構造で又はこれらの構造内のポリマー鎖に存在しなくても、そのような物質も本明細書のために「ターポリマー」と定義する。
【0022】
前述のように、ポリマー成分の2つの異なるタイプを本明細書の開示の方法に用いて、本明細書で開示するポリマー性組成物を調製することができる。これらの2つのポリマー成分タイプのほか、それらの調製方法、及びそれらを用いたポリマー組成物も以下で詳述する。
A)エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分
【0023】
本明細書で開示するポリマー組成物を形成するための本明細書における方法に用いる1つの成分はエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマーを含む。そのような物質はエチレン(E)とジエンジシクロペンタジエン(DCPD)から誘導されたモノマー単位からなるポリオレフィンである。そのようなE/DCPDコポリマーの形成において、DCPDは以下の反応スキームに従い、ごく一般的な概念におけるDCPD構造中にノルボルネン環を鎖として取り入れることにより選択的に重合される。
【式1】
【0024】

スキーム1.メタロセン触媒を用いてエチレンとジシクロペンタジエンからなるコポリマーの合成
【0025】
前述の反応スキームから見ることができるように、本明細書で用いるエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマーは添加コポリマーである、開環コポリマーではない(即ち、ROMPポリマーではない)。これらのコポリマー物質は環状オレフィンコモノマーのビニル添加(非開環)により形成される。
【0026】
エチレンとジシクロペンタジエンの1つのコモノマーは容易に利用することができる原料である。エチレンは炭化水素のスチームクラッキング又は触媒クラッキングにより石油工業において生成される。エチレンはモレキュラーシーブ触媒を用いた、オキシジェネート原料の触媒転換により生成する。ジシクロペンタジエン、C1012、は油層中に見られる炭化水素である。これは室温で無色透明である。ジシクロペンタジエンはナフサ及びガスオイルをエチレンへ蒸気分解するときに大量に生成される。
【0027】
本方法において及び最終的には水素化の後に本明細書のポリマー組成物中に用いられるエチレンジシクロペンタジエン成分は通常、25モル%乃至65モル%のDCPD由来モノマー単位を含む。又はこれらのE/DCPDコポリマー成分は27.5モル%乃至60モル%のDCPD由来単位を含む。代替的に、本明細書で用いるE/DCPDコポリマー成分のDCPD含量は30モル%乃至55モル%の範囲である。
【0028】
本明細書で用いるE/DCPDコポリマーは、前述のスキーム1で定義される共重合反応に示されるようなDCPD由来モノマー単位の中のペンダント多環部分を含むポリマー主鎖を含む。これらのペンダント多環部分はコポリマー内の1つの二重結合残基を含み、これは得られたE/DCPDコポリマーを不安定にする二重結合残基である。例えば、不飽和は、物質を架橋、不均一な酸化、及び他の望まれない副反応を、加工及び使用の間に生じさせやすくする。
【0029】
ペンダント多環部分における二重結合残基の存在は、しかしながら、下で説明するような、例えば、本明細書で開示する方法に従って少なくとも部分的に水素化される、又は本明細書で開示する方法の前に部分的に官能化される、等の容易に誘導体化することができる、反応「フック」として、本明細書のE/DCPDコポリマー成分のコポリマーに提供される。水素化はE/DCPDコポリマー成分内のコポリマーのペンダント多環二重結合含有単位を飽和脂肪族多環単位に転換する。そのような部分的に水素化されたコポリマー成分は不飽和又はあまり飽和されていないE/DCPDコポリマー成分よりも安定であり、従ってエンジニアリングプラスチック又はそれらの前駆体として特に好適な性質をこれらを含むポリマー組成物に与える。
【0030】
エチレン及び/又はDCPDコモノマーの共重合の後、得られたコポリマー物質はそのようなE/DCPDコポリマーの100%のDCPD由来単位中に二重結合残基を含む。本明細書で開示する方法に従って少なくとも部分的に水素化する代わりに、DCPD由来コモノマーのこれらの二重結合残基のいくつかを以下で詳述する他の反応手段を用いて官能化してもよい。もしそのような官能化が、E/DCPDポリマー成分が本明細書の方法に用いる前に行われる場合、E/DCPDコポリマー成分のDCPD由来コモノマー単位の100%未満が水素化に用いられる二重結合を含む。
【0031】
本明細書の方法に従って、E/DCPDコポリマー成分の少なくとも5%のDCPD由来コモノマー単位が水素化に利用可能な二重結合残基を含む。代替的に、E/DCPDコポリマー成分の7.5%乃至100%、更に10%乃至100%のDCPD由来コモノマー単位が水素化可能な二重結合残基を有している。
【0032】
本発明の方法に従って水素化する前に、E/DCPDコポリマー成分内の二重結合残基の含量を低めるために用いる官能化反応の1つとして、E/DCPDコポリマー成分をエポキシ化又はヒドロキシル化する酸化反応が含まれる。例えば、DCPD由来モノマー単位の二重結合の95%までをオキシラン基及び/又はジヒドロキシル(ジオール)基へ転換して酸化を行う。エポキシ化及び/又はヒドロキシル化は本明細書におけるE/DCPDコポリマー成分を、所望の酸化官能化のタイプ及び程度がえられるような好適な反応条件において、過酸化物又は過酸と、酸化触媒を使用又は使用しないで、接触させることにより行うことができる。
【0033】
従来のE/DCPDコポリマー酸化技術は、例えば、過酸化水素、過ギ酸、又は過塩化安息香酸等の過酸酸化剤を用いる。そのような従来の酸化技術は、例えば、Maratheらの、Macromolecules 1994, 27, 1083;Sarazinらの、Macromol. Rapid Commun. 2005, 26, 83;Songらの、J. Polym. Sd., Polym. Chem. Ed. 2002, 40, 1484;Shigenobuらの、特許公開公報JP2001/031716A;Suzukiらの、J. Appl Polym. ScL 1999, 72, 103;及びLiらの、Macromolecules 2005, 38, 6767に記載されている。
【0034】
通常、本明細書のE/DCPDコポリマー成分を官能化して、所望であれば、0.1モル%モル乃至95%モルのDCPD由来コモノマー単位の二重結合残基をオキシラン又及び/又はジオール及び/又は他の含酸素、含窒素官能基へ、本明細書の方法に従って残りの幾つか又はすべての二重結合を水素化する前、又は後に、官能化することができる。代替的に、2.5モル%乃至92.5モル%のDCPD由来コモノマーの二重結合残基が官能基へ転換される。又は5.0%乃至95%の二重結合残基を転換することができる。幾つかの好適な態様において、E/DCPDコポリマー成分をエポキシ化して、含まれる二重結合残基の5.0%乃至90.0%を、このコポリマー成分を官能化する前に、オキシラン部分に転換する。
【0035】
本発明の方法に用いるE/DCPDコポリマー成分及び組成物が官能化ると、E/DCPDコポリマー成分を、水素化の前又は後のいずれかに、ゲルろ過クロマトグラフを用いて、ポリスチレン標準物質に対して測定される、重量平均分子量、Mwが50,000乃至1,000,000g/molの範囲にある。代替的にこのE/DCPDコポリマ−成分は75,000乃至900,000g/molのMw、更には100,000乃至800,000g/molのMwを有していてもよい。前述のように、E/DCPDコポリマー物質の重量平均分子量は以下の試験方法のセクションで説明するように、ゲルろ過クロマトグラフ法を用いた標準的な方法で決定することができる。
【0036】
本発明の方法及び本発明の組成物に用いるE/DCPDコポリマー成分は高度にアモルファスな物質を任意で含んでいてもよい。本明細書用いるように、アモルファスポリマーは、示差走査熱量計(DSC)の2次加熱スペクトルにおいて認識できる融点(Tm)がないことにより証明される、ほとんど結晶性ではない、又全く結晶性ではないポリマー物質、又は0.50J/g未満の溶解熱(Tg)を有する二次加熱DSCTmを示す結晶成分を有するポリマー物質である。
【0037】
高度にアモルファスである本明細書に有用なE/DCPDコポリマー成分は通常、長鎖結晶性ポリエチレンセグメントをそのような成分内のポリマー鎖中に含まないか、又はわずかにのみ含む。更に、そのような高度にアモルファスな物質は同様にコポリマー中に混合されているポリエチレンホモポリマーを有意な量で含まない。
【0038】
両タイプのポリエチレン含有物質の存在又は不存在は、熱遷移温度について、本明細書に有用な各種コポリマーの試験における標準的な示差操作熱量計(DSC)を用いることにより、以下で説明するようにして決定することができる。この開示の目的のために、コポリマー組成物が示差走査熱量計(DSC)の2次加熱スペクトルにおいて認識できる融点(Tm)がない又は0.50J/g未満の溶解熱(Tg)を有する二次加熱DSCTmを示す結晶成分を有する場合に、長鎖結晶可能ポリエチレンポリマーセグメント及びポリエチレンホモポリマーが存在しないといえる。これらの好ましくない、従って、しばしば排除されるポリエチレンベース部分の存在又は不存在は、標準的な結晶解析分画化(CRYSTAF)試験によっても決定することができる。代替的に、本明細書で有用なE/DCPD成分のCRYSTAF試験はCRYSTAF測定が完了した後に、少なくとも90%、又は少なくとも29%、又は少なくとも94%の可溶性を示す。
【0039】
本明細書で用いるE/CDPDコポリマー成分は特定のガラス転移温度、Tgを示す物質である。ポリマー物質のガラス転移温度の概略は、分子が非常に僅かに流動する温度以下の温度であると言える。大きいスケールにおいて、ポリマーはガラス転移温度以下で剛性であり脆く、並びに可塑的に変形させることができる。Tgは本発明のE/DCPDコポリマー成分のような、アモルファス相において用いられる。
【0040】
本発明の方法及び本発明のポリマー組成物に有用なポリマー成分の各種タイプのガラス転移温度はΗ. S. Kaufman及びJ. Falcettaによる、Introduction to Polymer Science and Technology: An SPE Textbook,John Wiley & Sons, 1977及び Polymer Handbook, 第3版 J. Brandup及び E. Η. Immergut編 John Wiley & Sons, 1989に記載の各種方法により測定することができる。本発明と関係して用いられるこのDSC技術は当分野で知られており、以下の試験方法のセクションで詳述する。
【0041】
本明細書で用いるE/DCPDコポリマー成分は、水素化の前又は後のいずれかで、85℃乃至190℃のガラス転移温度、Tgを示す。そのようなTgの値において、これらの物質はエンジニアリング熱可塑性物質として、又はその中に用いるのに好適な物質である。代替的に、本明細書に有用なE/DCPDコポリマー成分のTgは95℃乃至180℃の範囲、又は更に105℃乃至170℃の範囲である。
【0042】
飽和ポリオレフィン主鎖を有するポリマーへ環状オレフィン、特に縮合環オレフィンを導入することは、ポリマーのガラス転移温度、Tgを高める。これらの変化は、飽和ポリマー主鎖にペンダントとしての炭素原子の連結鎖の導入により生じる。従って、一般的にDCPD由来コモノマーを多く含むE/DCPDコポリマー成分は高いTgを有する。そのようなE/DCPDコポリマー物質は、もちろん多くのDCPD由来コモノマーを導入する不飽和残基の量が多くなる。
【0043】
追加的な不飽和を導入せずに、本明細書に有用なE/DCPDコポリマー成分のTgを変更、例えば、上昇させる1つの方法は、コポリマー構造内に任意の二重結合残基を生ずることなく、Tgを上げるように作用する環状コモノマーをコポリマーへ導入することである。このような環状コモノマーの1つのタイプとしては、ノルボルネン又はその誘導体のような環状モノオレフィンがある。従って、1つの態様において、本明細書のE/DCPDコポリマー成分は、例えば、エチレン及びDCPD由来のコモノマーのほかにノルボルネンベースコモノマーを含むターポリマー物質である。
【0044】
ノルボルネン、C10、はDCPDと同様に架橋された環状炭化水素である。その分子はパラの位置でメチレン基に架橋されたシクロヘキセン環からなる。ノルボルネンはシクロペンタジエン及びエチレンのDiels−Alder反応により作ることができる。
【0045】
ノルボルネン(NB)は通常シクロヘキセン環のメチレン架橋とは関係しない、2つの炭素原子間のにオレフィン二重結合を有する。すなわち、この物質はその二重結合の位置を示す、2−ノルボルネンのように呼ばれている。
【0046】
この2−ノルボルネン分子はシクロヘキセン環の周りの各種位置において置換される。典型的な置換ノルボルネンは5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、7−メチル−2−ノルボルネン、5−イソブチル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、及び5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネンを含む。これらの置換ノルボルネンは、本明細書で用いるE/DCPDコポリマー成分のターポリマー態様に用いることができるノルボルネン由来コモノマーを形成するためにも用いられる。本明細書の目的のために、「ノルボルネン」及びその略語の「NB」は2−ノルボルネン自体のほかにその誘導体も含む。
【0047】
本発明の方法及び組成物の態様において、E/DCPDコポリマー成分はノルボルネンを含むターポリマーを含み、そのようなE/DCPDコポリマー成分は通常0.5モル%乃至64.5モル%のNB由来コモノマー単位を含む。代替的に、ターポリマーを含んでいるE/DCPDコポリマー成分は1.0モル%乃至64.0モル%のNB由来コモノマー単位を含む。又はそれらは1.0モル%乃至63.5モル%のNB由来コモノマー単位を含む。
【0048】
本明細書のE/DCPDコポリマー成分はDCPD及び任意の工程なコモノマーを含む重合混合物とエチレンを接触させることにより生じる重合反応を介して生成することができる。この重合反応は、通常選択された触媒又は触媒システムにより促進され、選択された重合反応条件下で行われる。
【0049】
多くの場合、希釈剤又は溶媒でコモノマー又は触媒又は触媒システムが添加された後の重合混合物に添加してバランスをとる。ヘキサン、ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の脂肪族又は芳香族炭化水素が重合混合物への希釈剤又は溶剤として用いるのに適している。この重合混合物は、通常、重合反応が実施されている間は、液体又は液体/固体である。
【0050】
重合プロセスの従来のタイプは、本明細書におけるE/DCPDコポリマー成分に用いることができる。重合方法は高圧、スラリー、バルク、懸濁、臨界超過、又は溶液相、又はこれらの組み合わせを含む。望ましくは、溶液相又はバルク相法が用いられる。
【0051】
重合は、好ましくは以下で詳述する、一部位触媒又は触媒システムを用いて実施する。この触媒は均質な溶液でもよく、担持されていてもよく、これらの組み合わせでもよい。重合は連続、準連続、又はバッチ法により行われ、鎖転移剤、スカベンジャー、又は好適な他の添加剤の使用を含む。連続法とは阻害又は中断をしないで操作される(又は操作を意図する)システムを意味する。例えば、ポリマーを製造する連続法は反応物が連続的に1つ以上の反応器に導入され、ポリマー生成物が連続的に取り出されるものである。
【0052】
各種遷移金属化合物、例えば、メタロセンは好適な活性剤で活性化されると、オレフィンモノマーを選択的に重合して、結晶性コポリマー又は本明細書の方法及び組成物については、アモルファスコポリマーを生成することは本分野において知られている。典型的な化合物は、例えば、2004年6月3日に公開された国際公開公報WO2004/046214に記載されている。この開示の全ての内容を参照により本明細書に援用する。
【0053】
本開示のE/DCPDコポリマー成分の生成に用いるのに有利な触媒は活性化されたときに架橋されているメタロセン物質を含み、本明細書の特定のタイプのコモノマーを共重合して、所望のDCPD、適したコモノマー含量、Tg値、及び分子量を有する、通常アモルファスコポリマーを生成する。そのようなタイプのメタロセン触媒は、架橋された、置換又は未置換のシクロペンタジエニル−フルオレニル(Cp−フルオレニル)遷移金属化合物を含む。
【0054】
本明細書に有用なE/DCPDコポリマー成分を生成する重合の実施において用いる装置について、この重合方法は連続撹拌タンク反応器、バッチ反応器、又はプラグフロー反応器、又は連続又は平行に操作される1つ以上の反応器内で行われる。これらの反応器の内部クーラー又はヒーター有無、モノマーの加熱又は冷却の有無は問わない。
【0055】
重合混合物内で形成されるE/DCPDコポリマー物質は本明細書のE/DCPDコポリマー成分を得るのに適した従来の分離方法を用いて反応混合物から回収される。例えば、形成されたコポリマー物質はメタノール等の好適な試薬を用いて反応混合物から沈殿され、その後のろ過により回収される。回収された物質を更に、洗浄、再沈殿、再ろ過し、乾燥して、本明細書において用いることができる形態のコポリマー成分を提供する。
B)エラストマーポリマー成分
【0056】
ポリマー組成物を形成するための本発明の方法に用いる第二の成分は、エラストマー性ポリマー物質を含む成分である。そのような物質は、各種源由来のモノマー単位からなる、アモルファスポリオレフィン又はポリジエンである。これらのエラストマー性物質を用いると、これらを含むポリマー組成物に好ましい耐衝撃性を付与することができる。
【0057】
本明細書の方法及びポリマー組成物に用いるエラストマー性(又は別の言葉では「柔軟性」)ポリマーは−80℃乃至0℃のガラス転移温度を有していることが好ましい。代替的に、本明細書で用いるエラストマー性ポリマー成分のTgは−75℃乃至−2.5℃、又は−70℃又は−5.0℃の範囲でよい。本明細書で用いるエラストマー性ポリマー物質は、それが実際に前述の特定の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有するならば、本明細書の目的のために、「柔軟性」又は「エラストマー性」であると定義される。
【0058】
本明細書の方法及びポリマー組成物における成分として用いるエラストマー性ポリマー物質は、幅広い範囲のオレフィンコモノマーから生成することができる。それらは、例えば、αオレフィン由来のモノマー単位、他の直鎖又は非直鎖、非環式、脂肪族、又は芳香族オレフィン、環状又は多環式モノオレフィンから、共役又は非共役、直鎖又は非直鎖、非環式、単環式、多環式、ジエンから、又はこれらのモノマータイプの組み合わせのいずれかから成るものでよい。これらのエラストマー性物質はホモポリマーでも、ランダム又はブロックコポリマーでもよく、他のタイプの有機部分にグラフトされていてもよい。本明細書で有用なタイプのエラストマー性ポリマー物質の多くが、米国特許第4,918,133号に開示されている。該特許を参照により本明細書に援用する。
【0059】
本明細書で用いることができる有用なエラストマー性ポリマーの1つのクラスはエチレン成分とシクロオレフィン成分と、3乃至20炭素原子を含むαオレフィン成分とを含む柔軟なシクロオレフィンランダムコポリマーである。そのようなランダムコポリマー中のこのエチレン由来単位はこのコポリマーの40モル%乃至99モル%である。
【0060】
そのようなコポリマーを形成するために用いるシクロオレフィンは、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エン、5,10ジメチルテトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]−3−ドデセン、ヘキサシクロ[6,6,1,13.6,110.13,02.7,09.14]−4−ヘプタデセン、ペンタシクロ[6,5,1,13.6,02.7,09.13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[6,5,1,13.6,02.7,09.13]−4−ヘキサデセン、トリシクロ[4,3,0,12.5]−3−デセン、及びこれらの置換誘導体からなる群から選択される。これらのシクロオレフィン物質からのランダム繰り返し単位はこのタイプのエラストマー性ポリマー成分を1モル%乃至40モル%含む。
【0061】
そのようなコポリマーを形成するために用いるC3乃至C20αオレフィンは例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサセン、及びこれらの混合物から選択される。これらのC乃至C20αオレフィン物質由来のランダム繰り返し単位はこのタイプのエラストマーポリマー成分の1モル%乃至45モル%に相当する。
【0062】
本明細書の方法及びポリマー組成物に用いることができる有用なエラストマーポリマーの他のクラスは、エチレン成分、プロピレン成分、及び4乃至20炭素原子を含むαオレフィン成分からなる群より選択される少なくとも2つの成分を含む、アモルファス又は低結晶性柔軟オレフィンコポリマーである。そのようなコポリマーは、通常、エチレン−プロピレン−コポリマーゴム(EPR)、エチレン−αオレフィンコモノマーゴム、及びプロピレン−αオレフィン−コポリマーゴムである。そのようなコポリマーゴムの中のαオレフィンは、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、及び1−デセンからなる群より選択することができる。
【0063】
エチレン−αオレフィンコモノマーゴム内のエチレン対αオレフィンのモル比はαオレフィンのタイプにより変動するが、通常、30/70乃至95/5、更には50/50乃至95/5の範囲内である。αオレフィンがプロピレンである場合、このモル比は50/50乃至90/10の範囲内であり、αオレフィンが4以上の炭素原子を有するものである場合、このモル比は80/20乃至95/5の範囲内である。
【0064】
プロピレン−αオレフィンコモノマーゴム内のプロピレン対αオレフィンのモル比はαオレフィンのタイプにより変動するが、通常、50/50乃至95/5の範囲内である。αオレフィンが1−ブテンである場合、このモル比は50/50乃至90/10の範囲内であり、αオレフィンが5以上の炭素原子を有するものである場合、このモル比は80/20乃至95/5の範囲内である。
【0065】
前述のエチレン、プロピレン、及びαオレフィンコポリマーゴムは、例えば、0.01重量%乃至5重量%、更には0.1重量%乃至4重量%の、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体から選択されるグラフトモノマーで、従来技術によりグラフト修飾することもできる。本明細書のエチレン−プロピレン−αオレフィンゴムの修飾に用いることができる不飽和カルボン酸及びそれらの誘導体の例は、アクリル酸、メタククリル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、及びナディック(nadic)酸(商標)(エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプタ(hept)−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸、並びにそれらの酸ハライド、アミド、イミド、及びエステル等の誘導体を含む。これらの酸誘導体の特定の例としては、マレニルクロライド(malenyl chloride)、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、モノメチルマレエート、及びグリシジルマレエートを含む。これらの物質の中で、不飽和カルボン酸及びこれらの無水酸誘導体が特に有用である。マレイン酸、ナディク酸(商標)及びこれらの無水物がこのタイプの酸物質の特定の例である。
【0066】
本明細書における方法及びポリマー組成物に用いることができる他のクラスの有用なエラストマー性ポリマーは、非共役ジエン成分と、エチレン成分、プロピレン成分、及び4乃至20炭素原子を含むαオレフィン成分から選択される少なくとも2つの成分とを含む柔軟性オレフィン/非共役ジエンコポリマーに代表される。そのようなコポリマーは通常、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)コポリマーゴム、エチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、及びプロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴムである。これらのオレフィン−ジエンコポリマー中に用いられるαオレフィンの例としては、エチレン及びプロピレンコポリマーゴムについての説明で列挙されたものと同じ物質を含む。
【0067】
エチレン−プロピレン−ジエンコポリマーゴム、エチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、又はプロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴムのジエン成分の例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、及び7−メチル−1,6−オクタジエン等の非環式直鎖又は分岐鎖非共役ジエン、並びに1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、メチルテチラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クリリメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、及び2−プロペニル−2,2−ノルボルネン等の環状非共役ジエンを含む。これらの物質の中で、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,4−ヘキサジエン、1.6−オクタジエン、並びに5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、及び4−ビニル−1−シクロヘキセン等の環状非共役ジエンが特に有用である。
【0068】
エチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム中のエチレン対αオレフィンのモル比は、αオレフィンのタイプに依存して変化するが、通常50/50乃至95/5の範囲内である。αオレフィンがプロピレンである場合、このモル比は50/50乃至90/10の範囲内である。αオレフィンが4以上の炭素原子を含むものである場合、このモル比は80/20乃至95/5の範囲内である。エチレン−プロピレン−ジエン又はエチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム中のジエン含量は0.5乃至10モル%、更には0.5乃至5モル%の範囲内である。
【0069】
プロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム中のプロピレン対αオレフィンのモル比はαオレフィンのタイプに依存して変動するが、通常、50/50乃至95/5の範囲内である。αオレフィンが1−ブテンの場合、このモル比は50/50乃至90/10の範囲内である。αオレフィンが5以上の炭素原子を含むものである場合、このモル比は80/20乃至95/5の範囲内である。プロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム中のジエン成分の含量は0.5乃至10モル%、更には、0.5乃至5モル%の範囲内である。
【0070】
本明細書における方法及びポリマー組成物に用いることができる他のクラスのエラストマー性ポリマーは、それぞれが共役ジエン成分、芳香族ビニル炭化水素成分を含むランダムコポリマー及びブロックコポリマーからなる群から選択される柔軟性ジエン/芳香族ビニルコポリマー、並びにこれらのコポリマーの水素化生成物に代表される。そのようなコポリマーの最も一般的なものは、スチレン−ブタジエン−ブロックコポリマーゴムであり、(b)スチレン−ブタジエン−ブロック−コポリマーゴム、(e)スチレン−イソプレンブロックコポリマーゴム、(f)スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴム、水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴム、(h)水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴム、及び(i)そのようなコポリマーゴムの他の官能化及び/又はグラフト誘導体により代表される。
【0071】
スチレン−ブタジエン−ブロックコポリマーゴム中のスチレン対ブタジエンのモル比は1/99乃至60/40の範囲内である。スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴム中のスチレン対ブタジエンのモル比は、通常、1/99乃至60/40の範囲内である。各ブロック中のスチレンの重合の程度は通常、10乃至5,000の範囲内であり、各ブロック中のブタジエンの重合の程度は通常10乃至20,000の範囲内である。
【0072】
スチレン−イソプレンブロックコポリマーゴムに置けるスチレン対イソプレンのモル比は1/99乃至60/40の範囲内である。スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴム中のスチレン対イソプレンのモル比は、通常、1/99乃至60/40である。各ブロック中のスチレンの重合の程度は1乃至5,000の範囲内であり、各ブロック中のイソプレンの重合の程度は10乃至20,000の範囲内である。
【0073】
水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴムは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴム中にある二重結合が部分的に水素化されており、スチレン対ブタジエン由来成分の重量比が、通常1/99乃至50/50の範囲内にあるポリマーゴムである。水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴムはスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー中に存在する二重結合が部分的に水素化されており、スチレン対イソプレン誘導単位の重量比が、通常1/99乃至50/50の範囲内にある、コポリマーゴムである。
【0074】
本明細書で有用な芳香族ビニル炭化水素−共役ジエンブロックコポリマーは500g/mol乃至2,000,000g/mol、更には10,000g/mol乃至1,000,000g/molの範囲のGCPにより測定される、重量平均分子量、Mwを有している。これらのブロックコポリマーの密度は0.80乃至1.10g/cm、更には0.88乃至0.9g/molの範囲である。
【0075】
本明細書の方法及びポリマー組成物に用いることができる有用なエラストマー性ポリマーの他のクラスは、アモルファス低結晶性ホモポリマー、並びにこれらのホモポリマーの水素化生成物に代表される。そのようなホモポリマー及び水素化ホモポリマーは、例えば、実質的にアタクチックなポリプロピレン、ポリイソブタジエン、ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン、及び水素化ポリイソプレンを含む。本明細書で有用なこれらのホモポリマー及び水素化ホモポリマーは、500g/mol乃至2,000,000g/mol、更には10,000g/mol乃至1,000,000g/molの範囲のGCPにより測定される、重量平均分子量、Mwを有している。
【0076】
芳香族ビニル/非共役ジエンコポリマー及び前述のエラストマー性ホモポリマーは、エチレン、プロピレン、及びαオレフィンコモノマーゴムと同様に、0.01重量%並びに5重量%、更には0.1重量%乃至4重量%の例えば、不飽和カルボン酸又はそれらの誘導体から選択されるグラフトモノマーを用いて従来技術によりグラフト修飾されていてもよい。そのようなグラフト修飾に好適な酸及び酸誘導体はエチレン、プロピレン、及びαオレフィンコポリマーゴムの修飾において説明したものと同様である。
【0077】
本明細書の方法及びポリマー組成物に有用なエラストマー性ポリマーの各種前述のタイプは全て既知の物質である。それらは標準的な重合技術を用いて、好適なタイプの及び量の成分コモノマーを、従来の方法で重合することができる。これらのエラストマー性物質の多くが販売されており。本明細書の方法及び組成物に用いるために容易に入手することができる。本明細書で特に有用なエラストマーは、例えば、Vistalon(商標)(エチレン/プロピレン/5−メチリデン−2−ノルボルネンターポリマー)、Vector(商標)(スチレン−ブタジエントリブロックコポリマー9、Kraton(商標)(スチレン−水素化ブタジエンジブロックコポリマー)、及びExxelor(商標)(マレイン化エチレン−プロピレンコポリマー)の商標で販売されているものである。
【0078】
C)液体反応媒体
所望のポリマー組成物の調製方法を実施するために、少なくとも1つのエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分と少なくとも1つのエラストマー性ポリマー成分(両方とも前述のもの)を共通の液体反応媒体内に置く。そのような液体反応媒体は、通常、1つ以上の適した水素化触媒の存在下で、水素と接触したときに(ポリマー成分を)水素化されやすくするものである。以下で詳述するが、水素と水素化触媒の両方は共通の液体反応媒体へ添加され、この中で接触する。従って、共通の形態反応媒体は通常、反応物及び触媒等の他の添加物を溶解、懸濁、又は分散させることができる好適な希釈剤(例えば、反応溶媒)を含む。(本明細書の目的のために、反応物として反応中に沈殿せず、共通の液体反応媒体を形成する液体を、反応媒体中の全ての物質がそのような液体中に完全に溶解又は混和する必要はないが、「希釈剤」又は「反応媒体」と定義する。)
【0079】
好適な希釈剤は反応溶媒は反応混合物中で不活性である有機液体を含む。希釈剤又は反応溶媒に関して用いる「不活性」とは、希釈剤又は溶媒が、それがない場合と比較して、水素化反応に有害な作用を与えず、非水素化反応生成物の形成を高めないことを意味する。
【0080】
そのような好適な不活性有機溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、ベンゾニトリル、ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニソール、及びフェニルノナン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の6乃至20炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素;塩化メチル、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;及び特にE/DCPDコポリマー誘導体の官能化を含む場合には、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテルを含む。希釈剤又は溶媒の混合物又はブレンドも共通の液体反応媒体を形成するために用いることができる。本明細書で用いるのに特に好ましい有機溶媒はo−ジクロロベンゼン、トルエン、シクロへキサン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、及びこれらの混合物を含む。
D)ポリマー組成物調製方法
【0081】
本明細書に記載の方法は、本明細書の所望のポリマー組成物を、前述の2つのタイプのオレフィンポリマー成分から調製することができるものである。そのような方法の第一工程において、E/DCPDコポリマー成分とエラストマー性ポリマー成分両方が前述の共通の液体反応媒体内で共融解される。2つのポリマー成分が溶解されているこの液体反応媒体を水素化条件に曝して、この反応媒体内に存在する幾つか又は全ての不飽和物質を水素化する。水素化工程が完了すると、得られた水素化ポリマー物質を本明細書の所望のポリマー組成物の形態で、液体反応媒体から共沈する。
【0082】
E/DCPDコポリマー成分とエラストマー性成分が、最終的に液体反応媒体から共沈される水素化されたポリマー組成物の所望の性質及び用途に応じて、お互いに相対的な量で、共通の液体反応媒体内に、本発明の方法に従って添加される。耐衝撃性改善構造ポリオレフィンとして、又は該ポリオレフィンに用いるために有用な、水素化された共沈ポリマー組成物に関して、共通の液体反応媒体内にある、E/DCPDコポリマー成分対エラストマー性ポリマー成分の重量比は99:1乃至50:50の範囲内である。代替的に、共通の液体反応媒体内にある、E/DCPDコポリマー成分対エラストマー性ポリマー成分の重量比は95:5乃至60:40の範囲内でもよい。
【0083】
その場で水素化されるE/DCPDとエラストマー性ポリマーの総量対共通液体反応媒体(例えば、有機反応希釈剤又は溶媒)の総量は大きく変動することができる。有機反応媒体の十分量は例えば、反応媒体内のポリマー成分を完全に溶解、又は均一に懸濁又は分散させる場合に用いる。しばしば、官能化されるE/DCPD及びエラストマー性ポリマー成分は、共通液体反応媒体の総量の0.1重量%乃至20.0重量%を構成する。代替的に、官能化されるE/DCPD及びエラストマー性ポリマー成分は、共通液体反応媒体の総量の0.25重量%乃至15.0重量%を構成する。又は、それらは、共通液体反応媒体の総量の0.50重量%乃至10.0重量%を構成する。
【0084】
一旦、両ポリマー成分が共通の液体反応媒体内に融解されると、解体が、本明細書の方法に従って、E/DCPDコポリマー成分内の二重結合残基部分を少なくとも部分的に水素化するのに十分な水素化条件に曝される。代替的に、2つのタイプのポリマー成分が溶解されているこの液体反応媒体はE/DCPDコポリマー成分内の二重結合残基を完全に水素化する水素化条件に曝される。
【0085】
通常、E/DCPDコポリマーの部分的な水素化は水素化前の二重結合残基を有するコポリマー中の少なくとも5%、少なくとも25%、少なくとも75%、のDCPD由来コモノマー(コモノマー単位)の水素化を含む。E/DCPDの完全な水素化は、もちろん、水素化前の二重結合残基を有するコポリマー内のすべての、即ち100%のDCPD由来コモノマー単位の水素化を含む。
【0086】
本明細書の方法についての他の態様において、液体反応媒体内のエラストマー性成分も二重結合残基を含む。例えば、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネンターポリマー(例えば、Vistalon(商標)7001)又はエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロへキサンエラストマーは、通常、E/DCPDコポリマー成分と同様に、二重結合残基を含む。この場合、このエラストマー性成分は部分的に又はさらには完全に、水素化される(E/DCPDコポリマーを部分的に又は完全に水素化する際に、エラストマー性成分の不飽和残基が排除される)。
【0087】
一旦、2つの必須成分が共通の液体反応媒体に溶解されると、この媒体は反応媒体内のポリマー成分の所望のタイプ及び水素化の程度をもたらすために提供される水素化条件に曝される。用いる水素化条件は通常、好適な水素化条件の温度及び水素圧の下で、好適な水素化触媒又は化学両論的な水素化試薬の存在下で、反応媒体内のポリマー成分を水素と接触させる工程を含む。
【0088】
任意の従来の水素化触媒又は化学量論的試薬が水素化工程に用いられる。そのような触媒は、例えば、RuCl(CO)(PPh、Co(acac)/BuAl、ニッケルシリカアルミナ、ニッケル/タングステンスルフィド、Co−オクタノエート/EtAl、プラチナ/パラジウム、Pd/C、Rh(PPhCl等を含む。(これらの式においてRhはフェニルであり、acacはアセチルアセトノエートであり、Buはブチルであり、Etはエチルである。)そのような水素化触媒は均一でも不均一(例えば、シリカ又はアルミナ酸化物に担持)でもよい。好適な水素化触媒、触媒システム、及び触媒担体は、米国特許第6,191,243号及び6,476,153号に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。そのような化学量論的水素化試薬は、例えば、Nagaらの、Polymer 2006、47、520に記載のpara−トルエンスルホンヒドラジドを含む。該文献を参照により本明細書に援用する。
【0089】
水素化条件は従来の水素化温度及び水素圧を含む。水素化温度は例えば、45℃乃至180℃又は80℃乃至140℃の範囲である。水素圧は200psig(1379.0kPa)乃至1600psig(11,031.6kPa)又は600psig(4136.0kPa)乃至1000psig(6894.8kPa)の範囲内で用いられる。反応媒体内の両ポリマー成分の水素化のレベルは、水素化前の2つのタイプのポリマー物質内に存在している二重結合残基の完全(100%)又は部分的(例えば、少なくとも5%、又は5%乃至99.9%)のいずれかである。
【0090】
一旦、水素化が所望の範囲まで影響されると、液体反応媒体内の2つのタイプのポリマー成分を共沈させて、液体反応媒体から単一のポリマー組成物として回収することができる。そのような水素化後共沈は反応液体媒体を、得られた液体/試薬の組み合わせ内で、両ポリマー成分を不溶化する沈殿誘発剤と接触させることにより行うことができる。好適な共沈誘発剤は、メタノール、イソプロパノール、アセトン、ヘキサン、又はこれらの混合物等の有機液体を含む。水及び/又は水溶性無機酸又は有機酸を共沈誘発剤又は反応媒体に添加して、所望のポリマーの組み合わせを共沈させることもできる。共沈され回収された物質は更に洗浄、再共沈、再ろ過され、乾燥されて、利用可能な形態の所望のポリマー組成物が得られる。
【0091】
DCPDベースコポリマーとエラストマー性ポリマーとのブレンドを調製するための簡単な方法において、プレカーサーE/DCPD物質と所望のエラストマーが有利にはE/DCPDコポリマーの水素化の前に溶媒内に共溶解される。E/DCPDコポリマーはその後、エラストマーの存在中で(又は続く、エラストマーの中に存在する任意のオレフィン単位の幾つか又は全てと一緒に)水素化され、溶液ブレンドと同じように2つの物質が効果的に共沈される。これらの水素化方法に加えてこの溶液ブレンド法には、追加的な溶解又は沈殿工程は必要とされない。対照的に、従来の溶液ブレンド法はE/DCPDコポリマーの水素化物の分離工程と、得られた水素化E/DCPD(H−E/DCPD)コポリマーとエラストマー性ポリマーの溶液ブレンド工程が別々に行われていた。
【0092】
E)その場でのポリマー組成物形成
この組成物の側面において、本開示は,(a)少なくとも部分的に水素化されたエチレンジシクロペンタジエンコポリマー成分と(b)エラストマー性成分の組み合わせである、組成物、即ち、混合物に関する。そのようなポリマーの組み合わせは、それらの全てのバリエーションにおける前述の2つのタイプのポリマー成分又はこれらのプレカーサーを共通の液体反応媒体に溶解し、これらの両方の物質をこの媒体から共沈させ、本明細書の所望の水素化されたポリマーが得られる。
【0093】
通常、部分的に水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分は液体反応媒体内でその場で形成される。このことは、二重結合残基を有する不飽和E/DCPDコポリマー成分を含む液体反応媒体をE/DCPD物質の所望の少なくとも部分的な水素化に影響する水素化条件に曝すことにより行われる。また、更なる組成物の態様において、このエラストマー性ポリマー成分も、このポリマー成分が反応媒体中に溶解されているときに、不飽和の存在を排除すために、液体反応媒体中でその場で少なくとも部分的に水素化される。本明細書で述べるタンデム水素化/溶液ブレンド法を用いて調製されたポリマーは、エラストマー成分内に存在する任意のオレフィン単位の部分的な又は完全な水素化に起因する、形態、安定性、及び性質を示す、新規な組成物である。
【0094】
E/DCPDコポリマー成分対エラストマー性ポリマー成分の好適な比を有する組成物は所望の熱及び耐衝撃性を有する構造ポリオレフィン物質様の有用な物質へ成形するのに好適である。そのようなポリマーの混合物は、通常、2つのガラス転移温度を有する。例えば、そのような組成物は−80℃乃至0℃の第一のTg及び85℃乃至190℃の範囲の第二のTgを有する。幾つかのケースでは、弱さに起因してDSC技術ではこれらの分離したTgを実験的に観察することはできないかもしれない。そのような組成物内のE/DCPDコポリマー成分対エラストマー性ポリマー成分の重量比は通常99:1乃至50:50の範囲にある。代替的に、このポリマー組成物内のこれらの2つの成分の重量比は95:5乃至60:40の範囲内である。
F)熱可塑性ポリオレフィン生成物及び使用
【0095】
本明細書の共沈ポリマー組成物は、構造的製品に用いるのに有用な熱可塑性ポリオレフィン生成物として、または該生成物の中に用いることができる。そのようなポリマー組成物はそのような熱可塑性ポリオレフィン生成物における唯一の成分である。
【0096】
代替的に、本明細書のポリマー組成物はそのようなポリオレフィン生成物内の他の成分と組み合わせることもできる。そのような他の成分は、例えば、αオレフィンホモポリマー、αオレフィンコポリマー、及びαオレフィン及びシクロオレフィンの他のコポリマーを含む。そのような他のポリオレフィン生成物成分は衝撃改質剤として提供することができる又は、構造又は他の製品への適正を高める目的で、熱可塑性ポリオレフィン性生成物の他の性質を変更及び改善するために提供される、幅広い各種ポリマー物質を含んでいてもよい。これらのポリオレフィン生成物は、任意で幅広い種類の、タルク、ガラス繊維、又は他の無機物質等の各種充填剤、相溶化ポリマー;オリゴマー又は低分子化合物;カーボンブラック;及びブレンドを調製するため及びブレンドを充填するための他の追加的な成分を含んでいてもよい。
【0097】
通常、本明細書の共沈ポリマー組成物は少なくとも40%のそのような熱可塑性ポリオレフィン生成物を含む。代替的に、本発明の共沈ポリマーは、少なくとも50重量%、又は更には少なくとも60重量%のそのような熱可塑性ポリオレフィン生成物を含む。
試験方法及び解析方法
【0098】
本明細書で説明されるポリマー物質を特徴づけるのに用いる各種パラメータ及び性質は従来の又は良く知られた解析又は試験方法、及び装置を用いて決定することができる。本明細書のポリマー性物質に提供されるパラメータ及び特徴を決定する目的のために、以下の試験方法及び手順を用いる。
【0099】
溶液H核磁気共鳴(NMR)ポリマーのスペクトルを5mmブロードバンドを備えたJERO Delta 400スペクトロメーター又は5mmスイッチ可能プローブを備えた500MHzVarian UnityPlus上で収集した。スペクトルは120℃のd−テトラクロロエタン(d−TCE)又はd4−o−ジクロロベンゼン(d−ODCB)中で収集した。E/DCPDコポリマーに対する成分解析はオレフィン共鳴(5.6及び5.5ppm、合計2H)及び任意でアリル基橋頭堡共鳴(3.1ppm、1H)、及び非アリル基橋頭堡共鳴(2.5ppm、1H)、及びシクロペンテニルCH及び鎖CH共鳴(2.2−1.9ppm、合計4H、溶解時)の積分により行われる。DCPD含量について脂肪族領域のレストの補正の後、脂肪族積分の残りをエチレン(E)に割り当てた。水素化E/DCPD(H−E/DCPD)コポリマーの成分解析は水素化されたDCPD単位(HDCPD)橋頭堡メチン共鳴(2.4ppm、合計2H)の積分により行った。HDCPD含量の脂肪族領域の補正の後、脂肪族積分の残りのをエチレンに割り当てた。ポリ(エチレン−co−プロピレン−co−5−エチリデン−2−ノルボルネン)(E/P/ENB)コポリマーの成分解析は、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)エチリデン共鳴(5.25及び5.03ppmにおける2d、置換オレフィンCH、1H)及びプロピレン(P)CH共鳴(0.9ppm、tr、3H)を用いて同様に行った。H及び13CNMRの平均値を報告する。ポリ(エチレン−co−1−オクテン−co−4−ビニル−1−シクロヘキセン)コポリマーの成分解析はビニル−1−シクロヘキサン(VCH)オレフィン共鳴(5.8−5.6ppm、br s、2H)及び1−オクテン(O)CH共鳴(1.0−0.8ppm、tr、3H)を用いて同様に行った。H及び13CNMRの平均値が報告される。
【0100】
ポリマーの溶液13CMNRスペクトルは、120℃のd−TCE又はd−ODCB中に10mmブロードバンドプローブを備えた、Varian Inova 300MHz又はVarian UnityPlus500MHz上で収集された。Cr(acac)(~15mg/mL)を弛緩剤として用いた。ポリ(エチレン−co−プロピレン−co−5−エチリデン−2−ノルボルネン)コポリマーの成分解析は5−エチリデン−2−ノルボルネンエチリデン共鳴(148及び112ppmにおける2d、オレフィン、2C;及び15ppmにおけるs、 1C)及びプロピレンCH共鳴(20.5ppm、s、1C)を用いて同様に行った。H及び13CNMRの平均値を報告する。ポリ(エチレン−co−1−オクテン−co−4−ビニル−1−シクロへキセン)コポリマーの成分解析はビニル−1−シクロヘキセンオレフィン共鳴(128ppm、2ピーク、2C)及び1−オクテンCH共鳴(14ppm、s、1C)を用いて同様に行った。H及び13CNMRの平均値を報告する。
【0101】
1,2,4−トリクロロベンゼン中のポリスチレン(PS)又はポリエチレン(PE)対する、全てのコポリマーのGPC分子量は、(1)スリーポリマーラボラトリーズ(three Polymer Llaboratories)混合床高細孔性タイプLS Bカラム(10μmの粒子サイズ、7.8mmの内径、300mmの長さ)、ウォーターズの内部示差屈折率(DRI)検出器、Wyatt MiniDawn EOS 3−アングルLS検出器(流速0.54mL/分;通常のサンプル濃度2mg/mL;300μLインジェクションループ)及びを備えた、Waters Associates2000GPC(135℃で測定)又は(2)スリーポリマーラボラトリーズ(three Polymer Laboratories)混合床高細孔性タイプBカラム(同様の寸法)及び内部DRI検出器を備えた、ウォーターズアソシエイト150C高温GPC(流速0.5又は1.0mL/分;通常のサンプル濃度1−2mg/mL)のいずれかを用いて報告した。ポリスチレン(PS)標準(合計17点)を用いて装置のキャリブレーションを行い、適切な場合には、一般的にキャリブレーションソフトウェアプログラムを(Sun.Tら、Macrololecules、2001、34、6812)によりPS及びPEに対するMArk−Houwink係数を用いて、ポリエチレン(PE)キャリブレーションカーブを用いる。幾つかの場合、PEに対して最初に報告されたデータは以下の式を用いてPSキャリブレーション値に変換した:
ポリスチレンベース分子量(kg/mol)=[(ポリエチレンベース分子量(kg/mol))−(3.1692kg/mol)]/(0.3914kg/mol)。E/DCPD物質はPEと逆の単一の極性を示した。
【0102】
コポリマーに対するゲルろ過クロマトグラフ−3次元光散乱(GPC−3DLS)分子量を、スリーポリマーラボラトリーズ(three Polymer Laboratories)混合床タイプBカラム(10μm粒子サイズ、1.9mmの内径、300mm長さ)、及びウォーターズの内部DRI検出器、717WiSPオートサンプラー、ウォーターズ410外部屈折率検出器、Viscotek 150R+粘度計、及びPrecision Detectors90o光散乱検出器を備えた、ウォーターズアソシエイト150C GPCを用いて決定した。移動相は、30℃の無水酢酸(AA)を2v/v%含むテトラヒドロフランであった(流速0.49mL/分;典型的なサンプル濃度3mg/mL;100mLインジェクションループ)。この装置を分子量の分かっているポリスチレン標準(アメリカンスタンダード“105,000”)でキャリブレーションし、Trisec3.0ソフトウェアを用いてパラメータ生成及び解析をおこなった。
【0103】
DSCデータは室温又は低温(−125℃乃−25℃)乃至160℃−250℃で、10℃/分のスキャン速度を用いてTAインスツルメンツ2920カロリーメーター上で得た(正確な温度範囲はポリマー密度に依存する)。第二加熱から、ガラス転移温度(Tg)中央値及び融解転移(Tm)最大値が得られる。大気中、25乃至600℃、10℃/分でスキャニングする、熱重量分析(TGA)データはTAインスツルメンツ2950High−ResTGAを用いて得た。分解開始値(温度)が推定される。
【0104】
化学組成分布(CCD)解析はモデル200PolymerCharS.A.結晶解析分画(CRYSTAF)装置を用いて測定した。ポリマーサンプル(20−30mg)を160℃の30mlODCB(0.125g/Lの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)に60分で溶解して、100℃で45分平衡化して、次いで、0.2K/分の速度で30℃で 冷却した(解析時間から9時間)。2つの赤外線波長検出器を結晶化の間(3.5μm、2853cm−1、sym.strech)のポリマー濃度の測定及び解析の間のベースラインドリフトを安定化(3.6μm)させるために用いた。この溶液ポリマー濃度は積算濃度曲線を生成する間隔でモニターした。温度に対するこの曲線の導関数は、各温度に置ける結晶化ポリマーの重量分率を表している(CRYSTAFにより溶解される%)。
【実施例】
【0105】
以下の実施例は例示的に開示されたポリマー組成物及び調製方法の態様、及びこれらにより提供される利益を示す。本発明の範囲を以下の実施例に限定することは意図しない。
比較例C1 38.8モル%水素化されたDCPD(HDCPD)を含む水素化されたポリ(エチレン−co−ジシクロペンタジエン)(H−E/DCPD)コポリマーの合成
【0106】
HNMRにより40.0モル%のDCPDを含むE/DCPDコポリマーの10g(57.4モルDCPD単位;表1に詳細な特徴を記載)をガラスを内張りしてある300mlのペア反応器内で一晩室温で140mlの無水o−ジクロロベンゼン(ODCB)内に溶解した。別に、Rh(PPhCl(Wilkinsos’s 触媒、95mg、0.103mmol,560:1エジン:Rh)及びpPPh(928mg、3.54mmol、34.5:1P:Rh)をそれぞれ5mlのODCBに溶解し、ポリマー溶液に添加した。この反応器を素早く組み立て、800psig(5515.8kPa)Hをチャージし、撹拌しながら、105℃で22時間、加熱した。次いで、この反応器を通気し、冷却し、大気中で開いた。ライナーの内容物に過剰量のメタノールを添加し、ポリマーを沈殿させた。この水素化工程を、5回、10gのE/DCPDコポリマーを追加して、5回行い、5回の水素化反応で生成された生成物を合せたものを、80乃至85℃のテトラクロロホルム(TEC、ca.ODCBのオリジナル容量の3/5)に再溶解し、ろ過して、分解された触媒を取り除き、温かいメタノール中で再沈殿を行い、ついで、Waring ブレンダー中で沈殿したポリマー/メタノール混合物をかき混ぜた。DCPDオレフィン残基の共鳴はHNMRでは観察されなかった。この白色の水素ポリマーを60℃の真空乾燥で、60時間乾燥させた(58.3g、96%)。E/DCPD前駆体及び水素化されたH−E/DCPD生成物の完全評価を表1に示す。
【表1】

比較例C2.水素化前のH−DCPDコポリマーを溶融混合することによりH−E/DCPD/エラストマーブレンドの調製
【0107】
比較例C1で調製したH−E/DCPD物質を0.1重量%のIrganox(商標)XP60及び0.1重量%のIrgafos(商標)168を添加して安定化させた。(これらは粉末であり、2つの固形物をオービタルシェーカーで撹拌して、ポリマーに添加した。)このポリマーをその後、80:20の重量比でVector(商標)8508スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)トリブロック(表2で評価)と混合した。この混合物をDSM 5cc MicroExtruder(100ppmフィードアウト/2分、押出し温度260−265℃、輸送温度220−224℃、成形温度61℃)を備えたDSMリサーチB.V.モデル2002−16−16射出成形マシーンを用いて、63×12×3mmの寸法の長方形の衝撃試験片に成形した。この試験片は茶色で不透明であり、幾つかの試験片は解析の後で内部に間隙が生じていた。純粋なH−E/DCPDの試験片を比較例と同様に調製した。この試験片は灰色で不透明であり、解析の後に内部にいくつかの間隙が生じていた。270℃の押出し温度で成形された純粋なH−E/DCPDの追加的な試験片は、成形の間に残余溶媒が気化したことによる、有意な間隙形成(及び低い重量)を示した。全ての試験片はそれぞれ重量を測定し、追加的な相対的性質の特徴付けを行った(重量が多いことは、間隙がより少ないことを示す)。
【表2】

比較例C3.溶融混合によりブレンドされたH−E/DCPD/SBSゴムブレンド及びH−E/DCPDの射出成形サンプルの間の性質比較
【0108】
比較例C2で調製した試験片で、InstronシリーズIXテスター(4500シリーズインターフェイス、システム1.15、200lbs又は1125lbs、1%割線歪み、10.000pst/秒サンプル速度、0.0500in/分クロスヘッド速度)を用いた、3点曲げ弾性率試験(室温、50%湿度)を行った。ft−lb単位のノッチイゾッド衝撃試験をマニュアル1−10目盛り読み及びStanderd Enviromental Systems cryogenic低温アタッチメントを有するTinius Olsen model TI/0.2Hプラスチック衝撃試験(0−25インチ−lbキャパシティー)を用いて行った。ft−lb/in単位のノッチイゾッド衝撃試験はTMIイゾッドインパクトテスター(ASTM D256;45℃ノッチ;2.028ft−lbペンヂュラム)を用いて行った。全ての試験片は衝撃に対して完全に破壊した。結果を表3にまとめる。
【0109】
表3のデータは、一般的には、エラストマーは溶融混合の標準的技術によりH−E/DCPDの衝撃性質を改善するのに用いることができることを示している。このデータはft−lb/inにおいて測定される純粋なH−E/DCPD/SBSゴムブレンドの室温でのノッチインパクトは純粋なH−E/DCPDと比較して高められた(1.158ft−lb/in対≦0.243ft−lb/in)ことを示している。H−E/DCPDが強化されたゴムであるならば、曲げ弾性率試験の間に不合格となることはない。マニュアル衝撃試験からのft−lb単位のデータ(1乃至10ダイアルスケールから読む)はASTM D256ft−lb/in測定ほど正確ではないが、これらのデータはゴム修飾されたH−E/DCPDが純粋なH−E/DCPDよりも室温及び−29℃のイゾッド衝撃が高いことを示している(全ての試験サンプルの平均値を比較)。
【表3】

実施例1.E/DCPDコポリマーとエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネンターポリマーゴムの小スケールその場でのタンデム溶液ブレンド
【0110】
この実施例はE/DCPDコポリマー中のオレフィン基がエチレン/プロピレン/5−エチリデン−ノルボルネンエラストマー、の存在下でうまく水素化することができ、エラストマー中のオレフィン基も同時に水素化することができることを証明する。
【0111】
300ccのHasteloy C Parr反応器のガラスライナーに、35mlのODCB、撹拌棒、2.4gの比較例C1に記載のE/DCPDコポリマー(13.77mmol DCPD単位)、及び0.6gのE/P/ENBエラストマー(完全評価は表4に示す)を入れた。この溶液を室温で一晩撹拌し、ポリマーを溶解しやすくした。撹拌棒を取り出し、このライナーをペア反応器に挿入した。別に、23mg(PhP)RhCl(0.0249mmol、561:1トータルオレフィン:Rh)及び227mgのPhP(0.865mmol,43.7:1P:Ph)を5mlODCBに溶解した。両溶液をこのポリマー溶液に添加し(最終ポリマー濃度は、6.67重量/容量%)、反応器を組み立てた。機械的撹拌が始まった後、この反応器を200psig(1739.0kPa)のH2で加圧し、3回、通気し、次いで800psig(5515.8kPa)(1回チャージ)で加圧した。温度を105℃に上げ、反応器の内容物を105℃で一晩(20乃至22時間)撹拌した。この反応器を冷却し、通気し、内容物を200mLのメタノールで通気した。手動で大きな塊を小さく切断した後、全体のポリマー溶液(小片+溶媒)をWaring ブレンダーで撹拌した。切断されたポリマーをろ過で収集し、メタノールですすぎ、室温で133mlTCE(2.25重量/容量%ポリマー)に溶解し、470mlのメタノールで再沈殿し、Waringブレンダーで再度撹拌した。ろ過により収集した後、白く柔軟な粘着力のある塊を60℃で一晩乾燥した(3.043g;両成分の理論的生成量、3.030g;測定値)。
【0112】
この生成物のH及び13CNMR解析は共沈に成功した両ブレンド成分(対プロピレンCH共鳴)の存在を示し、DCPDと5−エチレン−2−ノルボルネンオレフィン単位を完全に水素化して、H−E/DCPD(比較例C1において同様に生成されたH−E/DCPDに類似)及びエチレン/プロピレン/5−エチル−2−ノルボルネンコポリマーのブレンドを生成することを示している。DSC解析は第二加熱において、136.3℃のTg(H−E/DCPD);43.3℃のTm、br(水素化されたE/P/ENB);122.1℃のTm、スモール(△Hf0.27J/g;E/DCPD内のマイナーホモポリエチレンの存在)の性質を示した。転移が弱いことに起因する、−40℃までの水素化されたE/P/ENBについてのTg以外は観察されなかった。このブレンドの薄膜を、PHIカンパニーQL−433−6−M2プレスを用いて2つのアルミニウムプレートの間で3分間245℃で加圧し、このプレスの冷却部分で7℃で3分間加圧した。この非最適化好適から得られたフィルムを不均一であるが柔軟性を有していた。
【表4】

実施例2.E/DCPDコポリマーとエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセン(E/O/VCH)ターポリマーゴムの小スケールその場でのタンデム溶液ブレンド
【0113】
この実施例はE/DCPDコポリマー中のオレフィン基がエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセン(E/O/VCH)ターポリマー、の存在下でうまく水素化することができ、エラストマー中のオレフィン基も同時に水素化することができることを証明する。
【0114】
300ccのHasteloy C Parr反応器のガラスライナーに、35mlのODCB、撹拌棒、2.4gの比較例1に記載のE/DCPDコポリマー(13.77mmol DCPD単位)、及び0.6gの12.2モル%の4−ビニル−1−シクロヘキサン、22.7モル%の1−オクテン、及び65.1モル%のエチレン(1.29mmolVHC単位;特徴は評価していない)を含むE/O/VCHターポリマーを入れた。この溶液を室温で一晩撹拌し、ポリマーを溶解しやすくした。撹拌棒を取り出し、このライナーをペア反応器に挿入した。別に、25mg(PhP)RhCl(0.027mmol、558:1トータルオレフィン:Rh)及び245mgのPhP(0.934mmol、34.6:1P:Ph)を5mlODCBに溶解した。両溶液をこのポリマー溶液に添加し(最終ポリマー濃度は、6.67重量/容量%)、反応器を組み立てた。機械的撹拌が始まった後、この反応器を200psig(1739.0kPa)のHで加圧し、3回、通気し、次いで800psig(5515.8kPa)(1回チャージ)で加圧した。温度を105℃に上げ、反応器の内容物を105℃で一晩(20乃至22時間)撹拌した。この反応器を冷却し、通気し、内容物を200mLのメタノールで通気した。手動で大きな塊を小さく切断した後、全体のポリマー溶液(小片+溶媒)をWaringブレンダーで撹拌した。切断されたポリマーをろ過で収集し、メタノールですすぎ、室温で133mlTCE(2.25重量/容量%ポリマー)に溶解し、470mlのメタノールで再沈殿し、Waringブレンダーで再度撹拌した。ろ過により収集した後、白く柔軟な粘着力のある塊を60℃で一晩乾燥した(3.047g;両成分の理論的生成量、3.031g;測定値)。
【0115】
この生成物のH及び13CNMR解析は共沈に成功した両ブレンド成分(対1−オクテンCH共鳴)の存在を示し、DCPDと4−ビニル−1−シクロヘキサンオレフィン単位を完全に水素化して、H−E/DCPD(比較例C1において同様に生成されたH−E/DCPDに類似)及びエチレン/プロピレン/ビニルシクロヘキサンコポリマーのブレンドを生成することを示している。DSC解析は第二加熱において、−40.4℃のTg(水素化E/O/VCH);137.6℃のTg(H−DCPD);124.5℃のTm、スモール(△Hf0.25J/g;E/DCPD内のマイナーホモポリエチレンの存在)の性質を示した。このブレンドの薄膜を、実施例1と同様に3分間245℃で加圧した。この非最適化工程から得られたフィルムは不均一であるが柔軟性を有していた。(実施例1において調製されたフィルムほどではない)。
比較例C4.43.8モル%水素化されたDCPD(HDCPD)を含む水素化されたポリ(エチレン−co−ジシクロペンタジエン)(H−E/DCPD)コポリマーの合成
【0116】
HNMRにより39.4モル%のDCPDを含むE/DCPDコポリマーの100g(570.3モルDCPD単位;表5に詳細な特徴を記載)を2Lのライナーのないペア反応器内で比較例C1と同様の手順を用いて水素化した。用いた試薬の量は1300mLODCB(コポリマーの溶解のため)、ODCB100ml中942mg(1.02mmol)Rh(PPh)Cl、及びODCB100ml中9.22g(35.13mmol)PhP(最終ポリマー濃度6.7重量/容量%;最終ジエン:Rhは560:1)である。次いで、粗ポリマー及びTCEからの2つの再沈殿、及び乾燥を行い、90.8g(理論値は101.2g、90%)の白色固形物を得た。この固形物はHMNRで、TCE残基を示した。この物質の50gを500mlのトルエンに溶解し、30分間還流させながら加熱し、過剰量の沸騰メタノールを添加して沈殿させ、収集して、80℃で真空乾燥した。トルエン残基を除去するために、この物質を室温でシクロへキサン(2L)に溶解し、アセトン中で再沈殿(7.0L)させ、Waringブレンダー中で沈殿した混合物をかき混ぜた。DCPDオレフィン残基共鳴はHNMRでは観察されなかった。E/DCPD前駆体及び水素化されたH−E/DCPD生成物の完全評価を表1に示す。
【0117】
実施例3及び5において用いられたタンデム溶液ブレンドと同じスケールと条件を正確に模倣して、E/DCPDコポリマー(114.06mmol DCPD単位)の第二の20.0gのバッチを合計300mlのODCB溶媒中の2Lペア反応器中で水素化した。用いた水素化触媒成分は188mgの(PhP)RhCl)(0.203mmol;562:1トータルオレフィン:Rh)及び1.85gPhP(7.−5mmol、34.7:1P:Rh)であり、それぞれ33mlのODCB溶液として反応器に添加された(最終ポリマー濃度、6.7重量/容量%)。水素化の後、ポリマー溶液を1300mlのメタノールに添加して生成物ブレンドを沈殿させた、Waringブレンダーで撹拌した後ろ過して収集し、900mlまでのTCEから3.0Lメタノールで再沈殿し、収集し、60℃の真空乾燥で乾燥させ、次いで再度800mlまでのシクロへキサンから2.0Lのアセトンで再沈殿させ、再収集し、再度乾燥させた。18.04gのH−E/DCPDコポリマーが得られた(89%;理論的生成量20.24g)HNMR解析はオレフィン残基共鳴がないことを示す。更なる特徴づけは行っていない。
【表5】

実施例3.
E/DCPDコポリマーとエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネンターポリマーゴムの大スケールでのその場での溶液ブレンド
【0118】
比較例C4での繰返し(20gスケール)水素化方法に似た方法を比較例C4で説明したE/DCPDコポリマー(91.25mmolDCPD単位)の16.0gと実施例1に記載のE/P/ENBターポリマーの4.0gを用いて、ライナーのない2Lペア反応器中で行った。このポリマーを最初に、200mLODCB中で一晩溶解し、濃い溶液(ゲル様)を調製し、次いで、152mg(PhP)RhCl(0.14mmol;565:1トータルオレフィン:Rh)及び1.494mgPhP(5.69mmol、34.7:1P:Ph)をそれぞれ33mLODCB中に溶解し、ポリマー溶液に添加した、最終的な量を300mLに希釈した(最終ポリマー濃度6.7重量/容量%)。水素化の後、ポリマー溶液を1300mlのメタノールへ添加して、生成ブレンドを沈殿し、Waringブレンダーで撹拌した後、ろ過により収集し、3.0Lメタノール中900mLTCEで沈殿し、再収集し、60℃の真空オーブンで乾燥させた(19.36g)。HNMR解析は残余TCE溶媒の存在を示した。このブレンド物質を2.0Lアセトン内の800mlシクロヘキサンから沈殿させ、再収集し、再度乾燥させ、18.33gの軽量の柔軟な白色塊を得た(91%;理論的生成量20.196g)。このブレンドのHNMRスペクトルは微量のオレフィンが存在することを示し、このことは、実施例1と同様の方法で量ポリマー成分の存在を示している。SDC解析は、二次加熱において、147.5℃のTg(H−E/DCPD);44.0℃のTm、br(水素化E/P/ENB);−40.3℃のTg(水素化E/P/ENB)の性質を示した。
実施例4.タンデム溶液ブレンド/水素化により生成されたH−E/DCPD/E/P/ENBブレンドの圧縮成形サンプルの調製
【0119】
実施例3の精製ブレンド物質を室温及び0℃でのイゾッド衝撃耐性試験の試験片へ圧縮成形した。圧縮成形は耐衝撃性修飾物質におけるタンデム溶液/水素化技術の成功を最も明確に証明することから、サンプル調製のために選択された。(射出成形サンプルはプレ混合を行わなければならないので、圧縮成形は、通常射出成形よりも好ましくない試験片を形成することができる。)
このブレンド物質を、別個の加熱及び冷却プラットフォーム及びステンレスモールドを備えたPMIカンパニーQL−433−6−M2モデル水圧プレスを用いて、265℃で、63×12×3mmの寸法の長方形試験片を生成した。上部及び下部の圧縮プレートはTeflon(商標)コートアルミニウム箔で覆われ、ハイドロカーボンエアロゾルモールドリリース剤(Miller−Stephenson MS−122DF)をモールド及びプレートの上に、圧縮成形の前にスプレーした。プレスプレートを265℃に予備過熱した後、以下の手順を用いた。(1)この温度で、わずかな加圧(2トン)を5分間行い、ついでリリースする。(2)この温度で、10トン、60秒加圧し、ついでリリースする。(3)この温度で、20トン、60秒加圧し、ついでリリースする。(4)この温度で、30トン、60秒加圧し、ついでリリースする。(5)7℃(冷却プレス)で、30トンで3分加圧し、ついでリリースする。8分間の初期条件(2トン/250℃)及び任意で最終圧縮工程(30トン/250℃)を用いて、この試験片の第二セットを250℃で行った。棒はそれぞれ重量を測り、追加的な量について特徴付けを行った(多い重量は間隙が少ないことを示す)。棒の重量と耐衝撃性との間に関連性は見られなかった。
実施例5.E/DCPDコポリマーとエチレン/1−オクテン/4−ビニル−1−シクロヘキセン(E/O/VCH)ターポリマーゴムの大容量のその場でのタンデム溶液ブレンド/水素化
【0120】
実施例3と同様の方法を、ライナーのない2Lのペア反応器内で、16.0gの比較例C4のE/DCPDコポリマー(91.25mmol DCPD単位)と4.0gの実施例2のE/O/VCHターポリマー(8.572mmolVCH単位)、及び1.630gのPhP(6.21mmol、34.7:1P:Rh)を用いて、行った。18.74gの粗生成物が得られ、シクロヘキサン/アセトンからの再沈殿により17.89gの綿毛のような白い顆粒上のパッド/小片としてブレンド物質が得られた(89%;理論的生成量20.208g)。このブレンドのHNMR解析は微量のオレフィンの存在を示し、実施例2と同様に量ポリマー成分の存在を示した。DSC解析は以下の性質を示した。145.1℃のTg(H−E/DCPD)。水素化されたE/O/VCHターポリマーは第二加熱において観察されなかった。しかしながら、第一加熱において非常に弱い−41.6℃におけるTgが観察されこれが水素化されたE/O/VCHターポリマーにアサインされた。
実施例6.タンデム溶液ブレンド/水素化により生成されたH−E/DCPD/E/P/ENBブレンドの圧縮成形サンプルの調製
【0121】
実施例5の精製されたブレンド物質を実施例4と同様の方法で、265℃で63×12×3mmの寸法の長方形耐衝撃性試験片に圧縮成形した。この試験片は不透明で、明るいベージュ色をしており、内部にいくつかの大きな間隙があった(〜1mm直径)。この試験片の第二セットを300℃で調製した。幾つかの試験片を積み重ね、第二圧縮工程を行い、よく融合させた。これらの試験片を265℃で調製した試験片よりもわずかに濃い色をしていた。この二重圧縮試験片は、300℃で調製した1つの試験片の色よりも濃い色をしており、視認可能な間隙が少なくなっていた。
【0122】
比較例C5.純粋なH−E/DCPDの圧縮成形サンプルの調製
比較例C4の20gスケールの水素化手順で調製し、精製したH−E/DCPD物質を実施例4及び6の同様の方法で300℃で63×12×3mmの長方形の耐衝撃性試験片に圧縮成形した。得られた試験片は濃い茶色で、半透明で、脆く、内部に多くの間隙を含んでいた。これらの試験片の圧縮は実施例4及び6においてその場で調製されたブレンド試験片の圧縮よりも困難であり、(同一のTgを有する)同じ水素化E/DCPD物質であるにも関わらず、高い温度を必要とした。この場合、2つの試験片を重ねて、第二圧縮工程を経てよりよく融合させた。この試験片は最も色が濃く、より少ない間隙を有していた。
【0123】
実施例7.純粋なH−E/DCPD及び溶液ブレンド/タンデム水素化により生成されたH−E/DCPD及びE/P/ENB又はE/O/VCHのブレンドの圧縮成形サンプルの性質の比較
実施例4、6、及び比較例C5で調製されたサンプルを、TMIイゾッドインパクトテスター(ASTM D265;45ノッチ;2.028ft−lbペンヂュラム)を用いて、室温及び0℃におけるノッチイゾッド衝撃試験を行った。0℃の試験に用いた試験片は0℃で1時間馴化させた。全ての試験片は衝撃を加えると完全に破損した。結果を表6にまとめる。純粋なH−E/DCPDは脆すぎてデータが収集できなかった(表6において、0ft−dlと記載する)。第二の比較において、比較例C3における室温での衝撃試験のデータを純粋なH−E/DCPD試験片の室温での衝撃試験のデータとして表6に記載する。
【0124】
表6のデータはH−E/DCPDコポリマーとタンデム溶液ブレンド/水素化により調製されたエラストマーとのブレンドは、極端な場合、溶融混合を行わなくても、改善された耐衝撃性を有しすることを証明している。H−E/DCPD/E/P/ENB及びH−E/DCPD/E/O/VCHブレンドの圧縮成形サンプルの室温及び0℃におけるイゾッドインパクトは純粋なH−E/DCPDよりも優れていた。実際に、これらのサンプルのイゾッドインパクトの値は純粋なH−E/DCPDの射出成形モールドサンプル対する室温での衝撃耐性よりも優れていた。E/P/ENBエラストマーは室温及び0℃の両方において、より高い耐衝撃性を提供した。
【表6】

【0125】
先行技術文献及び/又は試験方法を含む全ての文献は、本明細書の記載事項に矛盾しない範囲で、参照により本明細書に援用される。前述の一般的な説明及び特定の態様から明らかなように、本発明を図示説明してきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに各種変更をすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造ポリオレフィンに成形するのに好適なポリオレフィン組成物を調製するための方法であって、
A)
i)二重結合残基部分をその中に有するジシクロペンタジエン由来コモノマーを少なくとも5%有するジシクロペンタジエン由来モノマーを25モル%乃至65%モル含み、
ii)50,000乃至1,000,000g/molの重量平均分子量、Mwと、
iii)58℃乃至190℃のガラス転移温度、Tgとを有する、エチレンジシクロペンタジエンコポリマー成分を、液体反応媒体に溶解する工程、
B)前記液体反応媒体に、エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分と共に、−80℃乃至0℃のガラス転移温度、Tg、を有するエラストマー性ポリマー成分を共溶解する工程、
C)エチレンジシクロペンタジエンコポリマー成分とエラストマー性ポリマー成分を有する液体反応媒体を、エチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分内の二重結合残基を少なくとも部分的に水素化するのに効果的な水素化条件に曝す工程、及び
D)生成された少なくとも部分的に水素化されたエチレン−ジシクロペンタジコポリマー成分とエラストマー性ポリマー成分を、液体反応媒体から、共沈されたポリマー組成物として共沈する工程、を含む方法。
【請求項2】
前記エラストマー−ジシクロペンタジエンコポリマーが更にノルボルネンに基づく第三のコモノマーを含み、それ故、このエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分をターポリマーにする、請求項1の方法。
【請求項3】
このエチレンジシクロペンタジエン由来コモノマーの二重結合残基の0.1%乃至95%が、このエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分が少なくとも部分的に水素化される前に、官能化されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1、2、又は3の方法であって、
エラストマー性ポリマー成分が、
(A)エチレン成分、シクロオレフィン成分、及び3乃至20炭素原子を有するαオレフィン成分を含む柔軟性シクロオレフィンランダムコポリマー、
(B)エチレン成分、プロピレン成分、及び4乃至20炭素原子を含むαオレフィン成分からなる群より選択される少なくとも2つの成分を含むアモルファス又は低結晶性柔軟性オレフィンコポリマー、
(C)非共役ジエン成分及びエチレン成分、プロピレン成分、及び4乃至20炭素原子を有するαオレフィン成分からなる群より選択される少なくとも2つの成分を含む柔軟性オレフィン/非共役ジエンコポリマー、
(D)ランダムコポリマー及びブロックコポリマーからなる群より選択される柔軟性ジエン/芳香族ビニルコポリマーであって、それぞれのコポリマーが共役ジエン成分及び芳香族ビニル炭化水素成分、及びジエン/芳香族ビニルコポリマーの炭化水素生成物を含む、コポリマー、及び
(E)実質的にアタクチックポリプロピレン、ポリブタジエン、及びポリイソプレンからなる群より選択される柔軟性ホモポリマー及びポリブタジエン及びポリイソプレンの水素化生成物、
から選択される、方法。
【請求項5】
前記エラストマー性ポリマー成分が、
(a)エチレン成分、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコサデセン、及びこれらの混合物からなる群より選択されるαオレフィン成分、及びビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エン、5,10ジメチルテトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]−3−ドデセン、ヘキサシクロ[6,6,1,13.6,110.13,02.7,09.14]−4−ヘプタデセン、ペンタシクロ[6,5,1,13.6,02.7,09.13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[6,5,1,13.6,02.7,09.13]−4−ヘキサデセン、トリシクロ[4,3,0,12.5]−3−デセン、及びこれらの置換誘導体からなる群から選択されるシクロオレフィン成分を含む柔軟異性シクロオレフィンランダムコポリマー、
(b)プロピレンホモポリマーゴム、
(c)エチレン−プロピレンコポリマーゴム、
(d)エチレン−αオレフィンコポリマーゴム及びプロピレンαオレフィンコポリマーゴム、ここで、これらのコポリマーゴムのαオレフィンは1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、及び1−デセンから選択される、
(e)(b)、(c)、及び(d)のゴムであって、これらのホモポリマー又はコポリマーゴムはアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イロクロトン酸、ナド酸(エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸)、及び酸ハライド、アミド、イミド、無水物、及びこれらのエステル誘導体からなる群から選択される不飽和カルボン酸ベースグラフトコモノマーでグラフト共重合又は官能化されている、
(f)ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びこれらの水素化誘導体
(g)エチレン−プロピレン−ジエンコポリマーゴム、エチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、及びプロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、これらのゴムのαオレフィン成分が、存在する場合には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、及び1−デセンからなる群より選択され、これらのゴムの中のジエン成分が、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチルー1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロへキセン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、及び2−プロペニル−2,2−ノルボルネンから選択される、
(h)スチレンブタジエンブロックコポリマーゴム、スチレンーブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴム、水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴム、及びこれらのグラフと修飾誘導体
(i)スチレン−イソプレンブロックコポリマーゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴム、水素化スチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマーゴム、及びこれらのグラフト修飾誘導体、
からなる群より選択される、方法。
【請求項6】
液体反応媒体内に共沈されているエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー成分対エラストマー性ポリマー成分の重量比が99:1乃至50:50である、請求項1、2、3、4、又は5に記載の方法。
【請求項7】
液体反応媒体がベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、シクロへキサン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、及びこれらの混合物からなる群より選択される有機溶媒を含み、エチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー成分エラストマー性ポリマー成分が、0.1重量%乃至20.0重量%の範囲で液体反応媒体中に溶解されていて、及び
共沈されたポリマー成分がメタノール、イソプロパノール、アセトン、ヘキサン、これあらの混合物、及び水、水溶性無機酸及び/又は有機酸とこれらの混合物、からなる群より選択される液体沈殿誘発剤の添加による共沈の後に、液体反応媒体から得られる
請求項1、2、3、4、5、又は6の方法。
【請求項8】
水素化条件が液体反応媒体内のエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー中の少なくとも部分的に水素している二重結合残基に加えてエラストマーポリマー成分の中に少なくとも部分的に水素化された任意の二重結合残基を提供する、請求項1、2、3、4、5、6、又は7の方法。
【請求項9】
水素化条件が、RuClH(CO)(PPh、Co(acac)/BuAl、ニッケルシリカアルミナ、ニッケル/タングステンスルフィド、Co−オクタネート/EtAl、プラチナ/パラジウム、Pb/C、Rh(PPh)3Cl、及びこれらの混合物から選択される水素化触媒の使用、200psig(1379.0kPa)乃至1600psig(11031.6kPa)の反応媒体以上のH2圧力、及び45℃乃至180℃の液体反応媒体温度を含む、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8の方法。
【請求項10】
A)i)水素化の前にその中に二重結合残基を有する、ジシクロペンタジエン由来コモノマーを少なくとも5%含む、ジシクロペンタジエン由来コモノマー含量が25モル%乃至65モル%、
ii)50,000乃至1,000,000g/molの重量平均分子量、Mw、及び
iii)85℃乃至190℃のガラス転移温度を有する少なくとも部分的に水素化されたエチレンジシクロペンタジエンコポリマー成分、
B)−80℃乃至0℃の範囲のガラス転移温度、Tgを有するエラストマー性ポリマー成分、を含む構造ポリオレフィン物質に成形するのに好適なポリマー成分であって、
少なくとも部分的に水素化されたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー成分及びエラストマー性成分が液体反応媒体に共融解され、続いて共沈され、更に少なくとも部分的に水素化されたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー成分が、少なくとも部分的に水素化されたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー成分とエラストマー性ポリマー成分が液体反応媒体から共沈される前に液体反応媒体内で少なくともその場で水素化されたエチレンジシクロペンタジエンコポリマー由来である、組成物。
【請求項11】
少なくとも部分的に水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分が更にノルボルネンに基づく第三のコポリマーを含み、それゆえ、少なくとも部分的に水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分がターポリマーとなる、請求項10の組成物。
【請求項12】
ジシクロペンタジエン由来コモノマーの0.1%乃至95%の二重結合残基が、少なくとも部分的に水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分の水素化の前に官能化されている、請求項10又は11の組成物。
【請求項13】
エラストマー性ポリマー成分が、
(A)エチレン成分、シクロオレフィン成分、及び3乃至20炭素原子を有するアルファオレフィン成分を含む柔軟性シクロオレフィンランダムコポリマー、
(B)エチレン成分、プロピレン成分、及び4乃至20炭素原子からなる群より選択される少なくとも2つの成分を含むアモルファス又は低結晶性柔軟オレフィンコポリマー、
(C)非共役ジエン成分及び、エチレン成分、プロピレン成分、及び4乃至20炭素原子を含むαオレフィン成分から選択さされる少なくとも2つの成分を含む柔軟性オレフィン/非共役ジエンコポリマー
(D)ランダムコポリマー及びブロックコポリマーからなる群より選択される柔軟性ジエン/芳香族ビニルコポリマーであって、それぞれのコポリマーが共役ジエン成分及び芳香族ビニル成分を含み、ジエン/芳香族ビニル成分の水素化生成物である、コポリマー、及び
(E)実質的にアタクチックなポリプロピレン、ポリブタジエン、及びポリイソプレン、並びにポリブタジエン及びポリイソプレンの水素化生成物からなる群より選択される柔軟性ホモポリマー、
からなる群より選択される、請求項10、11、又は12の組成物。
【請求項14】
エラストマー性ポリマー成分が、
(a)エチレン成分と、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルー1−ペンテン、1−オクテン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−おくたでセン、1−エイコサでセン、及びこれらの混合物からなる群より選択されるαオレフィン成分、及びビシクロ[2,2,1]ヘプタ−2−エン、5,10ジメチルテトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]−3−ドデセン、ヘキサシクロ[6,6,1,13.6,110.13,02.7,09.14]−4−ヘプタデセン、ペンタシクロ[6,5,1,13.6,02.7,09.13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[6,5,1,13.6,02.7,09.13]−4−ヘキサデセン、トリシクロ[4,3,0,12.5]−3−デセン、及びこれらの置換誘導体からなる群から選択されるシクロオレフィン成分を含む柔軟異性シクロオレフィンランダムコポリマー、
(b)プロピレンホモポリマーゴム、
(c)エチレン−プロピレンコポリマーゴム、
(d)エチレン−αオレフィンコポリマーゴム及びプロピレンαオレフィンコポリマーゴム、ここで、これらのコポリマーゴムのαオレフィンは1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、及び1−デセンから選択される、
(e)(b)、(c)、及び(d)のゴムであって、これらのホモポリマー又はコポリマーゴムはアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イロクロトン酸、ナド酸(エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸)、及び酸ハライド、アミド、イミド、無水物、及びこれらのエステル誘導体からなる群から線悪される不飽和カルボン酸ベースグラフトコモでグラフと共重合又は官能化されている、
(f)ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びこれらの水素化誘導体
(g)エチレン−プロピレン−ジエンコポリマーゴム、エチレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、及びプロピレン−αオレフィン−ジエンコポリマーゴム、これらのゴムのαオレフィン成分が、存在する場合には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、及び1−デセンからなる群より選択され、これらのゴムの中のジエン成分が、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチルー1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、4−ビニル−1−シクロへキセン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、及び2−プロペニル−2,2−ノルボルネンから選択される、
(h)スチレンブタジエンブロックコポリマーゴム、スチレンーブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴム、水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーゴム、及びこれらのグラフと修飾誘導体
(i)スチレン−イソプレンブロックコポリマーゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴム、水素化スチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマーゴム、及びこれらのグラフト修飾誘導体、
からなる群より選択される、請求項10、11、12、又は13の組成物。
【請求項15】
液体反応媒体内に共沈されているエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー成分対エラストマー性ポリマー成分の重量比が99:1乃至50:50である、請求項10、11,12、13、又は14に記載の組成物。
【請求項16】
液体反応媒体ン視に妖怪されて売る少なくとも部分的に水素化されてエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー成分内の二重結合残基が実質的に完全に水素化されている、請求項10、11、12、13、14、又は15の組成物。
【請求項17】
液体反応媒体中のエラストマー性ポリマー成分内の任意の二重結合残基も実質的に完全に水素化されている請求項10、11、12、13、14、15、又は16の組成物。
【請求項18】
少なくとも部分的に水素化されたエチレン/ジシクロペンタジエンコポリマー成分とエラストマー性ポリマー成分が液体反応媒体から共沈される前に、エラストマー性ポリマー成分内の任意の二重結合残基も少なくとも部分的に水素化されており、好ましくは実質的に完全に水素化されており、好ましくは、液体反応媒体中でその場で水素化されている請求項10、11、12、13、14、15、16又は17の組成物。
【請求項19】
少なくとも部分的に水素化されたエチレン−ジシクロペンタジエンコポリマー成分が液体反応媒体内で溶解及び水素化される前に、ジシクロペンタジエン由来コモノマーがエポキシ化により官能化されている、請求項10、11、12、13、14、15、16、17又は18の組成物。

【公表番号】特表2011−502179(P2011−502179A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510386(P2010−510386)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/060298
【国際公開番号】WO2008/150580
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】