説明

耐震壁、建築物、及び耐震壁の施工方法

【課題】鋼板にせん断座屈が起き難い耐震壁、この耐震壁を有する建築物、及びこの耐震壁の施工方法を提供する。
【解決手段】周辺部材16に取り付けられた波形鋼板20に、固定部材30によって補剛部材34が固定されている。補剛部材34は、波形鋼板20に形成された折り筋と材軸とが交差するようにこの波形鋼板20の表面側に配置されている。よって、補剛部材34により波形鋼板20に剛性を付与することによって、波形鋼板20に生じる面外変形を低減し、波形鋼板20にせん断座屈が起き難くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板からなる耐震壁、この耐震壁を有する建築物、及びこの耐震壁の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物に設けられる耐震壁は、建築物を構成する柱と、梁や床スラブ等の水平部材とで囲まれた架構の構面内に設置され、地震等により作用する水平力を負担して建築物の保有耐力を高めている。
【0003】
一般に、耐震壁は、鉄筋コンクリートによって形成されているが、耐震壁の製作には煩雑なコンクリート打設作業が必要となり、また、鉄筋コンクリート製の耐震壁は重いので、この耐震壁を支持する柱や水平部材の構造断面を大きくしなければならない。
【0004】
これらの解決策の1つとして、鋼板からなる耐震壁が提案されている。例えば、図34に示すように、特許文献1の耐震壁の構築方法では、柱300又は梁302に埋設されたスタッド材304に接合されたプレート306が、柱・梁架構312の内周面に設置されている。
また、鋼板としての波形鋼板310の外周辺に接合用フレーム枠308が取り付けられている。そして、プレート306と接合用フレーム枠308とが、応力の伝達可能に接合されている。
【0005】
よって、特許文献1の耐震壁では、壁部材(波形鋼板310)の形成にコンクリート打設を必要とせず、また、鉄筋コンクリートによって形成されたものよりも軽い壁部材によって、所定の剛性を得ることができる。
【0006】
しかし、例えば、大きな面積の構面を形成する柱・梁架構312に耐震壁を設置するような場合などにおいては、波形鋼板310が十分な面外剛性を有していないと、耐震壁に作用する水平力が過大になったときに波形鋼板310にせん断応力による面外変形が生じてせん断座屈を起こしてしまう。
このような問題は、波形鋼板310を他の形状の鋼板とした耐震壁に対しても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−45776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は係る事実を考慮し、鋼板にせん断座屈が起き難い耐震壁、この耐震壁を有する建築物、及びこの耐震壁の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、架構を構成する周辺部材に取り付けられる鋼板と、前記鋼板の表面側に配置される補剛部材と、前記鋼板に前記補剛部材を固定し前記鋼板に剛性を付与する固定部材と、を有する。
【0010】
請求項1に記載の発明では、架構を構成する周辺部材に鋼板が取り付けられている。鋼板には、固定部材によって補剛部材が固定されている。また、補剛部材は、鋼板の表面側に配置されている。そして、補剛部材を鋼板に固定することにより、鋼板に剛性が付与される。
【0011】
よって、補剛部材により鋼板に剛性を付与することによって、鋼板に生じる面外変形を低減し、鋼板にせん断座屈が起き難くすることができる。
また、固定部材により鋼板と補剛部材とを一体化したサンドイッチ構造(以下、「壁構造」とする)によって、この壁構造の断面2次モーメントを、鋼板と補剛部材との単体の断面2次モーメントを単純に足し合わせた値よりも大きくすることができる。これにより、鋼板に生じる面外変形をより低減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記固定部材は、ボルトである。
【0013】
請求項2に記載の発明では、固定部材をボルトとすることにより、溶接を用いないで鋼板に補剛部材を固定することができるので、鋼板に剛性を容易に付与することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記固定部材は、溶接材である。
【0015】
請求項3に記載の発明では、溶接により鋼板に補剛部材を固定することによって、鋼板や補剛部材に施す加工(例えば、ボルト穴の形成)を不要にできる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記補剛部材は、前記鋼板の表面両側に配置されている。
【0017】
請求項4に記載の発明では、鋼板の表面両側に補剛部材が配置されている。
よって、鋼板を補剛部材で挟み込むことによって鋼板の表面両側から鋼板の面外変形を拘束することにより、鋼板に生じる面外変形をより低減することができる。
また、複数の補剛部材を設けることにより、壁構造の断面2次モーメントを大きくすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記補剛部材は、前記鋼板の表面片側に配置されている。
【0019】
請求項5に記載の発明では、鋼板の表面片側に補剛部材が配置されている。
よって、少ない部材(補剛部材)によって耐震壁を構成することにより、耐震壁の製作手間を少なくすることができ、厚さの薄い耐震壁を構築することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記補剛部材は、平板又はアングルである。
【0021】
請求項6に記載の発明では、補剛部材を平板又はアングルとすることにより、簡単な部材によって鋼板に剛性を付与することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、前記補剛部材は、既成形鋼である。
【0023】
請求項7に記載の発明では、補剛部材を既製品である既成形鋼とすることにより、容易に鋼板に剛性を付与することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、前記補剛部材の端部は、前記鋼板の周縁部に取り付けられた枠部材に接合されている。
【0025】
請求項8に記載の発明では、鋼板の周縁部に枠部材が取り付けられている。そして、この枠部材に補剛部材の端部が接合されている。
よって、補剛部材の端部を枠部材に接合して固定することにより、補剛部材の剛性を向上させることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、前記補剛部材の端部は、前記周辺部材に埋設されている。
【0027】
請求項9に記載の発明では、周辺部材に補剛部材の端部が埋設されている。
よって、補剛部材の端部に生じる曲げを効果的に拘束することにより、補剛部材の剛性をより向上させることができる。
【0028】
請求項10に記載の発明は、前記鋼板の周縁部に取り付けられた枠部材と前記補剛部材の端部との間に隙間が形成されている。
【0029】
請求項10に記載の発明では、鋼板の周縁部に枠部材が取り付けられている。そして、この枠部材と補剛部材の端部との間に隙間が形成されている。
よって、補剛部材の端部を枠部材に固定する作業を省くことにより、施工性を向上させることができる。
【0030】
請求項11に記載の発明は、前記鋼板は、平板鋼板である。
【0031】
請求項11に記載の発明では、鋼板を平板鋼板とすることにより、鋼板を平板鋼板とした耐震壁において請求項1と同様の効果を得ることができる。
【0032】
請求項12に記載の発明は、前記鋼板は波形鋼板であり、前記補剛部材は前記波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように配置される。
【0033】
請求項12に記載の発明では、鋼板を波形鋼板とし、この波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように補剛部材を配置することにより、鋼板を波形鋼板とした耐震壁において請求項1と同様の効果を得ることができる。
【0034】
請求項13に記載の発明は、前記波形鋼板を正面視したときに前側に凸となる該波形鋼板の山部と前記補剛部材との間にスペーサ部材が設けられている。
【0035】
請求項13に記載の発明では、波形鋼板を正面視したときに前側に凸となるこの波形鋼板の山部と補剛部材との間にスペーサ部材を設けることにより、波形鋼板と補剛部材との間の距離を大きくすることができる、すなわち、波形鋼板の中立軸から補剛部材までの距離を大きくすることができる。よって、壁構造の断面2次モーメントを効率よく大きくすることができる。
【0036】
請求項14に記載の発明は、前記波形鋼板を正面視したときに後側に凹となる該波形鋼板の谷部に、前記波形鋼板及び前記補剛部材と一体となる補強部材が設けられている。
【0037】
請求項14に記載の発明では、波形鋼板を正面視したときに後側に凹となるこの波形鋼板の谷部に補強部材が設けられている。そして、補強部材が波形鋼板に設けられた状態で、この補強部材と、波形鋼板及び補剛部材とは、一体となっている。
【0038】
よって、波形鋼板及び補剛部材と一体となるように補強部材を設けることにより、波形鋼板の面外変形を拘束する部分を増やすことができる。これによって、波形鋼板に生じる面外変形をより低減することができる。
【0039】
請求項15に記載の発明は、前記補剛部材は、前記波形鋼板に沿って取り付けられた波板部材である。
【0040】
請求項15に記載の発明では、補剛部材を波板部材としている。また、この波板部材は、波形鋼板に沿って取り付けられている。
よって、波形鋼板の波形の傾斜部に生じる面外変形を拘束することにより、波形鋼板に生じる面外変形をより低減することができる。
【0041】
請求項16に記載の発明は、前記波形鋼板は端部同士が重なり合って連結された複数の波板によって構成され、前記複数の波板の端部同士が重なり合う接合部に前記補剛部材が設けられている。
【0042】
請求項16に記載の発明では、波形鋼板が複数の波板によって構成されている。これらの波板は、端部同士が重なり合って連結されている。そして、波板の端部同士が重なり合う接合部に補剛部材が設けられている。
【0043】
よって、波板の端部同士を重なり合わせることにより、波板同士の間でせん断応力を確実に伝達することができる。
また、複数の波板により波形鋼板を形成することができるので、大きな波形鋼板を製造する必要がなくなる。また、波板単位で現場へ搬送すればよいので、波形鋼板の搬送性がよくなる。
【0044】
請求項17に記載の発明は、架構を構成する周辺部材に取り付けられ対向して複数配置される鋼板と、前記複数配置される鋼板の少なくとも1つの表面側に配置される補剛部材と、前記鋼板に前記補剛部材を固定し前記鋼板に剛性を付与する固定部材と、を有する。
【0045】
請求項17に記載の発明では、架構を構成する周辺部材に、鋼板が取り付けられている。鋼板は対向して複数配置されている。また、複数配置される鋼板の少なくとも1つの表面側に補剛部材が配置されている。補剛部材は、固定部材によって鋼板に固定されている。そして、補剛部材を鋼板に固定することにより、鋼板に剛性が付与される。
よって、複数の鋼板を有する耐震壁において、請求項1と同様の効果を発揮することができる。
【0046】
請求項18に記載の発明は、前記固定部材は、ボルトである。
【0047】
請求項18に記載の発明では、固定部材をボルトとすることにより、溶接を用いないで鋼板に補剛部材を固定することができるので、鋼板に剛性を容易に付与することができる。
【0048】
請求項19に記載の発明は、前記固定部材は、溶接材である。
【0049】
請求項19に記載の発明では、溶接により鋼板に補剛部材を固定することによって、鋼板や補剛部材に施す加工(例えば、ボルト穴の形成)を不要にできる。
【0050】
請求項20に記載の発明は、前記鋼板は、平板鋼板である。
【0051】
請求項20に記載の発明では、鋼板を平板鋼板とすることにより、鋼板を平板鋼板とした耐震壁において請求項17と同様の効果を得ることができる。
【0052】
請求項21に記載の発明は、前記鋼板は波形鋼板であり、前記補剛部材は前記波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように配置される。
【0053】
請求項21に記載の発明では、鋼板を波形鋼板とし、この波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように補剛部材を配置することにより、鋼板を波形鋼板とした耐震壁において請求項17と同様の効果を得ることができる。
【0054】
請求項22に記載の発明は、請求項1〜21の何れか1項に記載の耐震壁を有する建築物である。
【0055】
請求項22に記載の発明では、鋼板にせん断座屈が起き難くい耐震壁を有する建築物を構築することができる。
【0056】
請求項23に記載の発明は、架構を構成する周辺部材に取り付けられる波形鋼板に形成された折り筋に材軸が交差するように該波形鋼板の表面側に補剛部材を配置する補剛部材配置工程と、前記波形鋼板に前記補剛部材をボルトにより固定して該波形鋼板に剛性を付与する補剛部材固定工程と、を有する。
【0057】
請求項23に記載の発明では、耐震壁の施工方法が、補剛部材配置工程と補剛部材固定工程とを有している。
補剛部材配置工程では、架構を構成する周辺部材に取り付けられる波形鋼板の表面側に、補剛部材を配置する。このとき、波形鋼板に形成された折り筋に補剛部材の材軸が交差するように、補剛部材を配置する。
補剛部材固定工程では、補剛部材を波形鋼板にボルトにより固定する。これによって、波形鋼板に剛性を付与する。
【0058】
よって、補剛部材により波形鋼板に剛性を付与することによって、波形鋼板に生じる面外変形を低減し、波形鋼板にせん断座屈が起き難くすることができる。
また、壁構造の断面2次モーメントを、波形鋼板と補剛部材との単体の断面2次モーメントを単純に足し合わせた値よりも大きくすることができる。これにより、波形鋼板に生じる面外変形をより低減することができる。
さらに、固定部材をボルトとすることにより、溶接を用いないで波形鋼板に補剛部材を固定することができるので、波形鋼板に剛性を容易に付与することができる。
【0059】
請求項24に記載の発明は、対向して複数配置される波形鋼板を、架構を構成する周辺部材に取り付ける波形鋼板設置工程と、前記対向して複数配置される波形鋼板の少なくとも1つの表面側に、該波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように補剛部材を配置する補剛部材配置工程と、前記波形鋼板に前記補剛部材を固定部材によって固定し前記波形鋼板に剛性を付与する補剛部材固定工程と、を有する。
【0060】
請求項24に記載の発明では、耐震壁の施工方法が、波形鋼板設置工程、補剛部材配置工程、及び補剛部材固定工程を有している。
【0061】
波形鋼板設置工程では、架構を構成する周辺部材に、対向して複数配置される波形鋼板を取り付ける。
補剛部材配置工程では、対向して複数配置される波形鋼板の少なくとも1つの表面側に補剛部材を配置する。このとき、補剛部材は、波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように配置する。
補剛部材固定工程では、波形鋼板に補剛部材を固定部材によって固定し、波形鋼板に剛性を付与する。
よって、複数の波形鋼板を有する耐震壁において、請求項17と同様の効果を発揮することができる。
【発明の効果】
【0062】
本発明は上記構成としたので、鋼板にせん断座屈が起き難い耐震壁、この耐震壁を有する建築物、及びこの耐震壁の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す正面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す側面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す側面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す側面図及び正面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る波形鋼板耐震壁を示す正面図である。
【図8】図7のC−C矢視図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す正面図である。
【図10】図9のD−D矢視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る補剛部材の変形例を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。
【図16】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。
【図17】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す側面図である。
【図18】本発明の実施形態に係る波形鋼板の変形例を示す側面図である。
【図19】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す平面図及び正面図である。
【図20】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す正面図である。
【図21】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す正面図である。
【図22】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す正面図である。
【図23】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す正面図である。
【図24】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す正面図である。
【図25】本発明の実施例に係る試験体1を示す説明図である。
【図26】本発明の実施例に係る試験体2を示す説明図である。
【図27】本発明の実施例に係る載荷実験の実験装置を示す説明図である。
【図28】本発明の実施例に係る載荷実験の結果を示す線図である。
【図29】本発明の実施例に係る載荷実験の結果を示す線図である。
【図30】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す正面図及び側面図である。
【図31】本発明の実施形態に係る波形鋼板耐震壁の変形例を示す正面図及び側面図である。
【図32】本発明の実施形態に係る鋼板耐震壁を示す正面図である。
【図33】図32のM−M矢視図である。
【図34】従来の耐震壁を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図面を参照しながら、本発明の耐震壁、建築物、及び耐震壁の施工方法を説明する。なお、本実施形態では、鉄筋コンクリート造の建築物に本発明を適用した例を示すが、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete-Filled Steel Tube:充填形鋼管コンクリート構造)、それらの混合構造など、さまざまな構造や規模の建築物に対して適用することができる。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0065】
図1の正面図に示すように、鉄筋コンクリート造の建築物10の架構を構成する鉄筋コンクリート製の柱12A、12B、及び梁14A、14Bによって、周辺部材16が形成されている。そして、周辺部材16に波形鋼板耐震壁18が取り付けられている。
【0066】
波形鋼板耐震壁18は、波形鋼板20、鋼製の水平プレート22A、22B、及び鋼製の鉛直プレート24A、24Bによって構成されている。波形鋼板20の断面形状は、凹凸が交互になるように台形を上下に連続して配置した波形状となっている(図2を参照のこと)。すなわち、周辺部材16に波形鋼板耐震壁18が取り付けられた状態において、波形鋼板20の折り筋は略水平に形成されている。
【0067】
水平プレート22A、22Bは、波形鋼板20の上下端辺に沿って配置され、波形鋼板20の上下端辺に溶接等によって固定されている。鉛直プレート24A、24Bは、波形鋼板20の左右端辺に沿って配置され、波形鋼板20の左右端辺に溶接等によって固定されている。水平プレート22A、22Bの端部と、鉛直プレート24A、24Bの端部とは溶接等によって接合され、水平プレート22A、22B、及び鉛直プレート24A、24Bが一体となって枠部材26を形成している。すなわち、波形鋼板20の周縁部に枠部材26が取り付けられている。
【0068】
枠部材26には、頭付きスタッド28が波形鋼板20の周縁部に沿って等間隔に複数配置され、溶接によって枠部材26に取り付けられている。頭付きスタッド28は、柱12A、12B、及び梁14A、14Bの内部に埋め込まれており、これによって周辺部材16と波形鋼板20とが一体化されている。そして、枠部材26及び頭付きスタッド28からなる取り付け構造により、周辺部材16と波形鋼板20との間で力が伝達される。
【0069】
図1、及び図1のA−A矢視図である図2に示すように、波形鋼板20には、固定部材としてのボルト30及びナット32によって補剛部材としてのアングル34が固定されている。
【0070】
また、アングル34は、波形鋼板20に固定された状態で、波形鋼板20に略水平に形成された折り筋と材軸とが交差するようにこの波形鋼板20の表面両側に配置されている。そして、アングル34を波形鋼板20に固定することにより、波形鋼板20に剛性が付与される。
【0071】
ここで、表面側とは、波形鋼板20を正面視した(例えば、図2に示した波形鋼板20の左側から波形鋼板20を見た)ときの、この波形鋼板20表面の前方側又は後方側の位置を意味する。
また、図2に示すように、アングル34の上端部は水平プレート22Aに溶接によって接合され、アングル34の下端部は水平プレート22B(不図示)に溶接によって接合されている。
【0072】
波形鋼板耐震壁18は、例えば、波形鋼板形成工程、プレート接合工程、補剛部材配置工程、及び補剛部材固定工程を有する波形鋼板耐震壁の施工方法によって製作することができる。
【0073】
波形鋼板形成工程では、所定の保有耐力を有するように鋼板を波形状に折り曲げて、波形鋼板20を形成する。
プレート接合工程では、波形鋼板20の上下端辺に水平プレート22A、22Bを溶接等によって接合し、波形鋼板20の左右端辺に鉛直プレート24A、24Bを溶接等によって接合する。さらに、水平プレート22A、22Bの端部と、鉛直プレート24A、24Bの端部とを溶接等によって接合し、枠26を形成する。
【0074】
補剛部材配置工程では、波形鋼板20の表面両側にアングル34を配置する。このとき、波形鋼板20に略水平に形成された折り筋にアングル34の材軸が交差するように、アングル34を配置する。
【0075】
補剛部材固定工程では、アングル34を波形鋼板20にボルト30及びナット32により固定する。これによって、波形鋼板20に剛性を付与する。そして、アングル34の上下端部を水平プレート22A、22Bに溶接によって接合する。
【0076】
次に、本発明の第1の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0077】
第1の実施形態では、図1、2に示すように、アングル34により波形鋼板20に剛性を付与することによって、波形鋼板20に生じる面外変形を低減し、波形鋼板20にせん断座屈が起き難くすることができる。
【0078】
また、ボルト30及びナット32により波形鋼板20とアングル34とを一体化したサンドイッチ構造(以下、「壁構造」とする)36によって、この壁構造36の断面2次モーメントを、波形鋼板20とアングル34との単体の断面2次モーメントを単純に足し合わせた値よりも大きくすることができる。これにより、波形鋼板20に生じる面外変形をより低減することができる。
【0079】
また、補剛部材をアングル34とすることにより、簡単な部材によって波形鋼板20に剛性を付与することができる。
また、複数のアングル34を設けることにより、壁構造36の断面2次モーメントを大きくすることができる。
【0080】
また、波形鋼板20をアングル34で挟み込むことによって波形鋼板20の表面両側から波形鋼板20の面外変形を拘束することにより、波形鋼板20に生じる面外変形をより低減することができる。
【0081】
ここで、隅肉溶接によって、耐震壁に設けられる波形鋼板に平鋼等の補剛部材を接合する補剛方法を考えた場合、波形鋼板の板厚が薄いと溶接入熱が小さくても波形鋼板に残留歪が生じ易くなる。また、溶接不良による亀裂のスターター形成も危惧される。
【0082】
よって、このような残留歪や溶接不良の不具合により耐震壁の品質が低下しないように、補剛部材の接合作業の際には、厳格な品質管理を行う必要があった。
また、溶接長が長くなると面倒な溶接作業を多く行わなければならないので、作業手間が増えて製作コストが高くなってしまう。
【0083】
これに対して、第1の実施形態では、ボルト30及びナット32によってアングル34を波形鋼板20に固定するので、溶接を用いないで波形鋼板20に剛性を容易に付与することができる。すなわち、溶接作業による波形鋼板耐震壁の品質の低下を防ぎ、製作コストを低く抑えることが可能となり、さらには、溶接不良による不具合を危惧せずに済む。
【0084】
また、ボルト30及びナット32によって補剛部材(アングル34)を波形鋼板20に固定するので、木材、プラスチック等の溶接による接合が難しい材料で補剛部材を形成することができる。さらに、波形鋼板が、アルミニウム、チタン、亜鉛アルミニウムなどのような、溶接が難しい材料で構成されている場合でも、補剛部材と接合することができる。
【0085】
また、アングル34の上端部は、溶接接合により水平プレート22Aに固定され、アングル34の下端部は、溶接接合により水平プレート22Bに固定されているので、補剛部材としてのアングル34の剛性を向上させることができる。
【0086】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0087】
なお、第1の実施形態では、柱12A、12B、及び梁14A、14Bによって周辺部材16を構成した例を示したが、周辺部材は、柱と床スラブとによって構成されていてもよい。また、周辺部材は、柱のみ、梁のみ、又は床スラブのみであってもよい。例えば、周辺部材を梁のみとした場合には、上下の梁の間に波形鋼板耐震壁18が配置され(上下の梁の間に波形鋼板耐震壁18が取り付けられ)、波形鋼板耐震壁18の左右には隙間や空間が形成されていることになる。
【0088】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0089】
第2の実施形態は、第1の実施形態の波形鋼板20とアングル34との間にスペーサ部材を設けたものである。したがって、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0090】
図3の側面拡大図に示すように、波形鋼板20を正面視したときに前側に凸となるこの波形鋼板20の山部38とアングル34との間にスペーサ部材40が設けられている。
スペーザ部材40は、材軸方向に貫通孔46が形成された鋼製の円筒部材であり、この貫通孔46を貫通するボルト42とナット44とによって、波形鋼板20にアングル34を固定している。
【0091】
次に、本発明の第2の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0092】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、図3に示すように、波形鋼板20の山部38とアングル34との間にスペーサ部材40を設けることにより、図2において0であった波形鋼板20とアングル34との間の距離を、距離Lにすることが可能になる。すなわち、スペーサ部材40によって波形鋼板20とアングル34との間の距離を大きくすることができる(波形鋼板20の中立軸からアングル34までの距離を大きくすることができる)ので、ボルト42及びナット44により波形鋼板20とアングル34とを一体化した壁構造48の断面2次モーメントを効率よく大きくすることができる。
【0093】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0094】
なお、第2の実施形態では、スペーサ部材40を鋼製の円筒部材とした例を示したが、波形鋼板20とアングル34との間の距離を大きくすることができ、波形鋼板20とアングル34とを一体化できる部材であれば、どのような材料で形成されていてもよいし、どのような形状としてもよい。
例えば、プラスチック製やコンクリート製のブロックとしてもよいし、鋼製の長ナットとしてもよい。スペーサ部材40を、波形鋼板20やアングル34とスペーサ部材40との接触面積が大きくなるような形状にすれば、波形鋼板20とアングル34との間で力を効果的に伝達することができ、波形鋼板20とアングル34との一体化の度合いを強くできるので好ましい。
【0095】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0096】
第3の実施形態は、第1の実施形態の波形鋼板20とアングル34との間に補強部材を設けたものである。したがって、第3の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0097】
図4の側面拡大図に示すように、波形鋼板20を正面視したときに後側に凹となるこの波形鋼板20の谷部50に補強部材52が設けられている。
補強部材52は、材軸方向に貫通孔54が形成された鋼製の円筒部材であり、この貫通孔54を貫通するボルト56とナット58とによって、波形鋼板20にアングル34を固定している。
そして、補強部材52が波形鋼板20に設けられた状態で、この補強部材52と、波形鋼板20及びアングル34とは、一体となっている。
【0098】
次に、本発明の第3の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0099】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、図4に示すように、波形鋼板20及びアングル34と一体となるように補強部材52を設けることにより、波形鋼板20の面外変形を拘束する部分を増やすことができる。これによって、波形鋼板20に生じる面外変形をより低減することができる。
【0100】
以上、本発明の第3の実施形態について説明した。
【0101】
なお、第3の実施形態では、補強部材52を鋼製の円筒部材とした例を示したが、波形鋼板20及びアングル34と一体となり、波形鋼板20とアングル34とを一体化できる部材であれば、どのような材料で形成されていてもよいし、どのような形状としてもよい。例えば、プラスチック製やコンクリート製のブロックとしてもよいし、鋼製の長ナットとしてもよい。また、波形鋼板20の谷部50とアングル34との間にグラウト材を充填して硬化させてもよい。
【0102】
また、例えば、図5に示すように、谷部50に密着する形状を有するプラスチック製のブロック60と、このブロック60とアングル34との間に設けられたゴム部材62とによって補強部材64を構成するようにしてもよい。このようにすれば、ブロック60が波形鋼板20に押し付けられるので、波形鋼板20及びアングル34と補強部材64との一体化の度合いを強くすることができる。
【0103】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0104】
第4の実施形態は、第1の実施形態の補剛部材としてのアングル34を波板部材にしたものである。したがって、第4の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0105】
図6(a)の側面拡大図、及び図6(a)のB−B矢視図である図6(b)に示すように、波形鋼板20に沿って、補剛部材としての鋼製の波板部材66が配置されている。波板部材66は、ボルト68及びナット70によって波形鋼板20に固定することにより取り付けられている。波形鋼板20に対向する波板部材66の面の全ては、波形鋼板20に接触している。波形鋼板20に対する波板部材66の密着度は、より高い方が好ましい。
【0106】
波板部材66は、波形鋼板20に固定された状態で、波形鋼板20に略水平に形成された折り筋と材軸とが交差するようにこの波形鋼板20の表面両側に配置されている。そして、波板部材66を波形鋼板20に固定することにより、波形鋼板20に剛性が付与される。
波板部材66の上端部は水平プレート22Aに溶接によって接合され(不図示)、波板部材66の下端部は水平プレート22Bに溶接によって接合されている(不図示)。
【0107】
次に、本発明の第4の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0108】
第4の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、図6に示すように、波形鋼板20に全ての面を接触させて波板部材66を取り付けることにより、波形鋼板20の波形の傾斜部に生じる面外変形を拘束することができ、波形鋼板20に生じる面外変形をより低減することが可能となる。
【0109】
以上、本発明の第4の実施形態について説明した。
【0110】
なお、第4の実施形態では、補剛部材を波板部材66とした例を示したが、波形鋼板20に全ての面を接触させることができる形状の部材であればよい。例えば、角材の1つの面のみに波形状を形成したものとしてもよい。
【0111】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0112】
第5の実施形態は、第1の実施形態の波形鋼板20を複数の波板によって構成したものである。したがって、第5の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0113】
図7の正面図に示すように、波形鋼板耐震壁78では、横方向に並べられた2つの波板72、74によって波形鋼板が構成されている。波板72、74の断面形状は、凹凸が交互になるように台形を上下に連続して配置した波形状となっている。
【0114】
これらの波板72、74は、端部同士が重なり合って連結されている。ここで、波板72の端部は、波板72の右側端辺付近の領域を意味し、波板74の端部は、波板74の左側端辺付近の領域を意味する。そして、波板の端部同士が重なり合う接合部76に補剛部材としてのアングル34が設けられている。
【0115】
図7、及び図7のC−C矢視図である図8に示すように、波板72、74には、固定部材としてのボルト30及びナット32によって補剛部材としてのアングル34が固定されている。
【0116】
また、アングル34は、波板72、74に固定された状態で、波板72、74に略水平に形成された折り筋と材軸とが交差するようにこの波板72、74の表面両側に配置されている。そして、アングル34を波板72、74に固定することにより、波板72、74に剛性が付与される。
【0117】
接合部76の左右に配置されたアングル34の固定方法は、図1、2で示したアングル34の固定方法と同様なので説明を省略する。
【0118】
次に、本発明の第5の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0119】
第5の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、図7、8に示すように、波板72、74の端部同士を重なり合わせることにより、波板72、74同士の間でせん断応力を確実に伝達することができる。さらに、重なり合う部分の摩擦係数を高める処理を行って、せん断応力の伝達をより確実にすることも可能である。摩擦係数を高める処理としては、重なり合って接触する部分の波板72、74の表面に、自然発錆、リン酸等の薬品処理、高摩擦材料の接着などを行うことができる。
【0120】
また、複数の波板72、74により波形鋼板を形成することができるので、大きな波形鋼板を製造する必要がなくなる。また、波板単位で現場へ搬送すればよいので、波形鋼板の搬送性がよくなる。
【0121】
以上、本発明の第5の実施形態について説明した。
【0122】
なお、第5の実施形態では、2つの波板72、74によって波形鋼板を構成した例を示したが、3つ以上の波板によって波形鋼板を構成してもよいし、波板の大きさが同じでなくてもよい。
【0123】
また、2つの波板72、74を横方向に並べて配置した例を示したが、複数の波板を横方向に並べて配置してもよいし、複数の波板を上下方向に並べて配置してもよい。また、複数の波板を横方向と上下方向とに並べて配置してもよい。
【0124】
また、例えば、図9の正面図、及び図9のD−D矢視図である図10に示すように、2つの波板72、74を重ね合わさないで、波板80によって波板72、74を連結してもよい。
【0125】
図9、10では、波板72、74の端面同士を接触させて又は端面同士の間に隙間を空けて、波板72、74を左右に配置している。そして、波板72、74の端部と重なり合うように連結用の波板80が設けられている。
【0126】
以上、本発明の第1〜第5の実施形態について説明した。
【0127】
なお、第1〜第5の実施形態では、補剛部材としてのアングル34又は波板部材66を、波形鋼板20又は波板72、74の表面両側に配置した例を示したが、必要とする剛性を波形鋼板20又は波板72、74に付与できるのであれば、波形鋼板20又は波板72、74の表面片側にのみアングル34又は波板部材66を配置するようにしてもよい。例えば、第3の実施形態で説明した図4の構成を、図11の側面拡大図のような構成にしてもよい。
【0128】
このように、波形鋼板の表面片側にのみ補剛部材を配置するようにすれば、少ない部材(補剛部材)によって波形鋼板耐震壁を構成することが可能になるので、波形鋼板耐震壁の製作手間を少なくすることができ、厚さの薄い波形鋼板耐震壁を構築することができる。
【0129】
また、第1〜第5の実施形態をさまざまに組み合わせて用いてもよい。例えば、第2の実施形態で説明した図3のスペーサ部材40と、第3の実施形態で説明した図4の補強部材52とを用いて、図12の側面拡大図に示すように、波形鋼板20の山部38とアングル34との間にスペーサ部材40を設け、波形鋼板20の谷部50に補強部材52を設けるようにしてもよい。
【0130】
また、第1〜第5の実施形態では、補剛部材をアングル34又は波板部材66とした例を示したが、必要な剛性を有する部材であればどのような形状としてもよい。
例えば、平板としてもよいし、図13(a)〜(g)に示すような断面形状を有する部材としてもよい。図14には、図12で示したアングル34を平板82にした変形例が示されている。
補剛部材を平板又はアングルとすれば、簡単な部材によって波形鋼板に剛性を付与することができるので好ましい。
【0131】
また、第1〜第5の実施形態では、補剛部材を鋼製のアングル34又は波板部材66とした例を示したが、必要な剛性を有することができれば、どのような材料によって形成してもよい。例えば、木材、プラスチック材、仕上げ材等によって補剛部材を形成してもよい。
【0132】
また、補剛部材は、山形鋼、I形鋼、溝形鋼、T形鋼、H形鋼などの既成形鋼としてもよいし、既成形鋼を溶接等により接続して形成してもよい。
補剛部材を既製品である既成形鋼とすることにより、容易に波形鋼板に剛性を付与することができる。
【0133】
また、第1〜第5の実施形態では、補剛部材をボルト及びナットによって固定した例を示したが、リベットによって固定してもよい。高力ボルトによって固定すれば、より確実に固定でき、壁構造の一体化の度合いを強くできるので好ましい。
【0134】
また、固定部材を溶接材とし、溶接によって補剛部材を波形鋼板20及び波板72、74に固定してもよい。例えば、図30(a)の正面図、及び図30(a)のK−K矢視図である図30(b)に示すように、アングル34の外側の面34Aが波形鋼板20の山部の表面と接触するようにアングル34を配置し、隅肉溶接により波形鋼板20にアングル34を接合してもよい。
図30(a)、(b)では、隅肉溶接部(溶接材200)が、アングル34の長辺端部及び角部に形成されている。
【0135】
また、例えば、図31(a)の正面図、及び図31(a)のL−L矢視図である図31(b)に示すように、アングル34の外側の面34Aが波形鋼板20の山部の表面と接触するようにアングル34を配置し、アングル34に設けられた穴202の内側にスポット溶接を施して、波形鋼板20にアングル34を接合してもよい。
図31(a)、(b)では、スポット溶接部(溶接材200)が、アングル34に設けられた穴202の内壁面に形成されている。
【0136】
また、例えば、図30(a)、(b)と同様に、アングル34の外側の面34Aが波形鋼板20の山部の表面と接触するようにアングル34を配置し、波形鋼板20の裏側(波形鋼板20を介してアングル34の反対側)から焼き抜き栓溶接を施して、波形鋼板20にアングル34を接合してもよい。
【0137】
このように、溶接によって補剛部材を波形鋼板に固定すれば、波形鋼板、波板、及び補剛部材に施す加工(例えば、ボルト穴の形成)を不要にできる。
【0138】
また、第1〜第5の実施形態では、1つの波形鋼板20、又は波板72、74からなる1つの波形鋼板が取り付けられた波形鋼板耐震壁18、78の例を示したが、波形鋼板が対向して複数配置されるマルチタイプの波形鋼板耐震壁に、第1〜第5の実施形態や第1〜第5の実施形態を組み合わせた実施形態を適用することができる。
【0139】
例えば、図11で示した実施形態を応用して、図15〜17の側面図に示すような波形鋼板耐震壁84、86、88の構造にしてもよい。
図15では、波形鋼板耐震壁84を側面視したときの波形鋼板耐震壁84の中心線(不図示)に対して線対称となるように波形鋼板20を対向して配置する。
そして、これらの波形鋼板20を横方向に挟み込むようにアングル34を配置し、ボルト56及びナット58によってアングル34を波形鋼板20にそれぞれ固定している。
【0140】
図16では、補剛部材としてのH形鋼90の表面両側に波形鋼板20を対向して配置し、ボルト56及びナット58によって波形鋼板20をH形鋼90に固定している。
図17では、3つの波形鋼板20を重ね合わせて配置し、これらの波形鋼板20を横方向に挟み込むようにアングル34を配置し、ボルト56及びナット58によってアングル34を波形鋼板20にそれぞれ固定している。
【0141】
図15〜17で示したように、本発明をマルチタイプの波形鋼板耐震壁に適用する場合には、複数配置される波形鋼板の少なくとも1つの表面側に補剛部材を配置し、補剛部材を波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように配置すると共に、固定部材によって波形鋼板に固定すればよい。このようにして、補剛部材を波形鋼板に固定することにより、波形鋼板に剛性が付与される。
よって、複数の波形鋼板を有する耐震壁において、第1〜第5の実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0142】
なお、これらのようなマルチタイプの波形鋼板耐震壁は、例えば、波形鋼板設置工程、補剛部材配置工程、及び補剛部材固定工程を有する耐震壁の施工方法によって建築物に設ければよい。
【0143】
波形鋼板設置工程では、架構を構成する周辺部材16に、対向して複数配置される波形鋼板20を取り付ける。
補剛部材配置工程では、対向して複数配置される波形鋼板20の少なくとも1つの表面側に補剛部材(アングル34、H形鋼90)を配置する。このとき、補剛部材は、波形鋼板20に形成された折り筋と材軸とが交差するように配置する。
補剛部材固定工程では、波形鋼板20に補剛部材を固定部材(ボルト56)によって固定し、波形鋼板20に剛性を付与する。
【0144】
また、第1〜第5の実施形態では、波形鋼板20及び波板72、74の断面形状を、凹凸が交互になるように台形を上下に連続して配置した波形状とした例を示したが、図18(a)〜(d)に示すように、波形鋼板20及び波板72、74の断面形状は波形であればよく、凹凸が交互になるように、矩形、山形、円弧等を上下に連続して配置した波形状としてもよい。
【0145】
また、第1〜第5の実施形態では、波形鋼板20又は波板72、74の表面両側に設けた2つのアングル34同士または2つの波板部材66同士が、波形鋼板20又は波板72、74に対する正面視において重なり合うように配置された例を示したが、図19(b)の正面図、及び図19(b)のE−E矢視図である図19(a)に示すように、2つのアングル34同士または2つの波板部材66同士を横方向にずらしてもよい。このようにすれば、ボルトを締め付ける作業が行い易くなる。さらに、波形鋼板20の表裏面で補剛部材34の配置を完全に対称とすることができる。
【0146】
また、第1〜第5の実施形態では、アングル34又は波板部材66の上下端部を、水平プレート22A、22Bに溶接によって接合した例を示したが、図20の正面拡大図に示すように、枠部材26としての水平プレート22A、22Bに溶接等によって固定されたプレート92にアングル34又は波板部材66の上下端部をボルト接合してもよい(図20には、ボルト132及びナット134によって、水平プレート22Aに固定されたプレート92にアングル34の上端部を接合した例が示されている)。
【0147】
また、図21の正面拡大図に示すように、周辺部材16としての梁14A、14B(不図示)に補剛部材としてのアングル34や波板部材66(不図示)の端部を埋設するようにしてもよい。このようにすれば、補剛部材の端部に生じる曲げを効果的に拘束することにより、補剛部材の剛性をより向上させることができる。
【0148】
また、必要とする補剛部材の剛性が得られれば、図22の正面拡大図に示すように、枠部材26としての水平部材22A、22B(不図示)と、補剛部材としてのアングル34や波板部材66(不図示)の端部との間に隙間を形成してもよい。
【0149】
また、図23の正面拡大図に示すように、枠部材26としての水平部材22A、22B(不図示)によって拘束された波形鋼板20に、アングル34の端部をボルト30によって接合し、波形鋼板20の拘束度合をさらに高めるために、リブ136を波形鋼板20に接合してもよい。
図22、23のようにすれば、補剛部材の端部を枠部材に固定する作業を省くことにより、施工性を向上させることができる。
【0150】
また、第1〜第5の実施形態では、周辺部材16に波形鋼板耐震壁18が取り付けられた状態において、波形鋼板20の折り筋が略水平に形成されている例を示したが、周辺部材16に波形鋼板耐震壁18が取り付けられた状態において、波形鋼板20の折り筋が略鉛直に形成されていても、第1〜第5の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。例えば、図24に示すように、波形鋼板20に固定された状態で、波形鋼板20に略鉛直に形成された折り筋と材軸とが交差するようにこの波形鋼板20の表面両側にアングル34を配置した波形鋼板耐震壁94としてもよい。
【0151】
また、第4の実施形態では、補剛部材を波板部材66とした例を示したが(図6を参照のこと)、波形鋼板20に波板部材66が設けられた状態で、さらに、第1〜第3の実施形態で説明した方法でアングル34等の補剛部材を固定するようにしてもよい。すなわち、波形鋼板20は、波板部材66とアングル34との2種類の補剛部材によって剛性を付与されることになる。
【0152】
また、第1〜第5の実施形態では、波形鋼板耐震壁18、78、84、86、88、94を波形鋼板20や波板72、74によって構成した例を示したが、構造的に可能であれば耐震壁を波形以外の形状の鋼板(例えば、平板鋼板)によって構成してもよい。例えば、図32の正面図、及び図32のM−M矢視図である図33に示すように、周辺部材に平板鋼板を取り付けて、この平板鋼板に補剛部材を固定してもよい。
【0153】
図32では、耐震壁としての鋼板耐震壁204が周辺部材16に取り付けられている。鋼板耐震壁204は、鋼板としての平板鋼板206、水平プレート22A、22B、及び鉛直プレート24A、24Bによって構成されている。
【0154】
水平プレート22A、22Bは、平板鋼板206の上下端辺に沿って配置され、平板鋼板206の上下端辺に溶接等によって固定されている。鉛直プレート24A、24Bは、平板鋼板206の左右端辺に沿って配置され、平板鋼板206の左右端辺に溶接等によって固定されている。水平プレート22A、22B、及び鉛直プレート24A、24Bは、一体となって枠部材26を形成している。すなわち、平板鋼板206の周縁部に枠部材26が取り付けられている。
そして、枠部材26及び頭付きスタッド28からなる取り付け構造により、周辺部材16と平板鋼板206との間で力が伝達される。
【0155】
図32、33に示すように、平板鋼板206の表面両側には補剛部材としてのアングル34が配置され、このアングル34がボルト30及びナット32により平板鋼板206に固定されている。アングル34は、材軸が略鉛直となるように配置されている。そして、アングル34を平板鋼板206に固定することにより、平板鋼板206に剛性が付与される。
ここで、表面側とは、平板鋼板206を正面視した(例えば、図33に示した平板鋼板206の左側から平板鋼板206を見た)ときの、この平板鋼板206表面の前方側又は後方側の位置を意味する。
【0156】
また、第1〜第5の実施形態で示した波形鋼板耐震壁によって、波形鋼板にせん断座屈が起き難くい波形鋼板耐震壁を有する建築物を構築することができる。
【0157】
以上、本発明の第1〜第5の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜第5の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0158】
(実施例)
本実施例では、本発明の実施形態(図19で示した例)を模擬した試験体に対して実施した載荷実験の結果、及びこの実験結果により確認された試験体の耐震性について示す。
【0159】
図25には、後に説明する本発明の波形鋼板耐震壁106(試験体2)の比較例となる試験体1としての波形鋼板耐震壁96及びこの波形鋼板耐震壁96の各部の寸法が示されている。寸法の単位はmmである。図25の略中央には波形鋼板耐震壁96の正面図が示され、正面図の左側には正面図のF−F矢視図が示され、正面図の下側には正面図のG−G矢視図が示されている。
【0160】
波形鋼板耐震壁96では、横方向に隣り合って配置された2つの波形鋼板98の間に厚さ22mmの鋼板100が設けられている。そして、左に配置された波形鋼板98の端部(波形鋼板98の右側の端辺部分)と鋼板100、及び右に配置された波形鋼板98の端部(波形鋼板98の左側の端辺部分)と鋼板100が溶接によって接合されている。
【0161】
波形鋼板98の材料特性は、降伏応力302(N/mm)、ヤング係数18.3(×10N/mm)、引張強さ370(N/mm)、降伏歪み1650(μ)となっている。なお、降伏歪みの値は降伏応力をヤング係数で除した値とした。
【0162】
水平プレート102A、102Bを厚さ25mmの鋼板とし、鉛直プレート104A、104Bを厚さ28mmの鋼板とした。水平プレート102A、102B、及び鉛直プレート104A、104Bと、波形鋼板98とは溶接によって接合されている。
【0163】
図26には、本発明の実施形態(図19で示した例)を模擬した試験体2としての波形鋼板耐震壁106及びこの波形鋼板耐震壁106の各部の寸法が示されている。寸法の単位はmmである。図26の略中央には波形鋼板耐震壁106の正面図が示され、正面図の左側には正面図のH−H矢視図が示され、正面図の右側には正面図のI−I矢視図が示され、正面図の下側には正面図のJ−J矢視図が示されている。
【0164】
波形鋼板耐震壁106の構成は、図19で示した構成と同じなので、同符号を付すると共に、説明を省略する。
波形鋼板20の材料特性は、波形鋼板耐震壁96の波形鋼板98と同様である。
【0165】
波形鋼板耐震壁106に剛性を付与する補剛部材としてのアングル34は、厚さ13mmの鋼製のL形アングル(L−100×100×13)とし、水平プレート22A、22Bを厚さ25mmの鋼板とし、鉛直プレート24A、24Bを厚さ28mmの鋼板とした。水平プレート22A、22B、及び鉛直プレート24A、24Bと、波形鋼板20とは溶接によって接合されている。
【0166】
図27に示すように、載荷実験では、基盤108上に固定された鉄筋コンクリート製の固定部材110と、H形鋼材により構成されたL字状の加力梁114の下面に固定された鉄筋コンクリート製の固定部材112との間に波形鋼板耐震壁96、106(試験体1、2)を設置した。固定部材110と水平プレート102B、22B、及び固定部材112と水平部材102A、22Aとは高力ボルトによって接合されている。
【0167】
波形鋼板耐震壁96、106に加える荷重は、反力壁116と加力梁114の間に設置された油圧ジャッキ118によって略水平方向に正・負交番で与えた。
そして、せん断変形角(=水平変位量/階高)が最大50/1000になるまで、油圧ジャッキ118によって生じさせる加力梁114の揺れの振幅を少しずつ大きくし、このときのせん断変形角に対するせん断力を計測した。
【0168】
油圧ジャッキ118によって加えられる荷重の大きさは、油圧ジャッキ118の先端部に取り付けられたロードセル122を用いて計測し、せん断変形角は、波形鋼板98、20のコーナー部付近に設けられた変位計(不図示)により計測した。また、階高は、この変位計間の距離930mmとした。
【0169】
なお、波形鋼板耐震壁96、106の右側に設けられているリンク機構120は、加力梁114の鉛直位置を保持して、波形鋼板耐震壁96、106にせん断力を作用させるために設けられている。
【0170】
図28及び表1(試験体1の欄)には、波形鋼板耐震壁96(試験体1)に対して行った載荷実験の結果が示されている。図28の値124は、載荷実験によって計測された、せん断変形角(横軸)に対するせん断力(縦軸)の値である。
【0171】
【表1】

【0172】
値124からわかるように、せん断変形角Rs=4.0/1000(rad)加力サイクル時に波形鋼板98がせん断降伏し(せん断降伏点126A)、剛性が大きく低下した。そして、これ以降のサイクルにおいて、紡錘形の履歴性状となった。
【0173】
また、せん断変形角Rs=30/1000(rad)加力サイクル時の正・負載荷1回目に最大耐力に達し(最大耐力点126B、126C)、負載荷2回目で波形鋼板98にせん断座屈が生じた(せん断座屈点126D)。そして、これ以降のサイクルでは、耐力が低下した。
【0174】
また、せん断変形角Rs=50/1000(rad)加力サイクル時の正載荷1回目に鉛直プレートが降伏し(鉛直プレート降伏点126E)、せん断変形角Rs=50/1000(rad)加力サイクル時の負載荷2回目に波形鋼板98が破断した(破断点126F)。
【0175】
図29及び表1(試験体2の欄)には、波形鋼板耐震壁106(試験体2)に対して行った載荷実験の結果が示されている。図29の値130は、載荷実験によって計測された、せん断変形角(横軸)に対するせん断力(縦軸)の値である。
【0176】
値130からわかるように、せん断変形角Rs=4.0/1000(rad)加力サイクル時に波形鋼板20がせん断降伏し(せん断降伏点128A)、剛性が大きく低下した。そして、これ以降のサイクルにおいて、紡錘形の履歴性状となった。
【0177】
また、せん断変形角Rs=30/1000(rad)加力サイクル時の負載荷1回目及び正載荷2回目に最大耐力に達し(最大耐力点128B、128C)、負載荷2回目で波形鋼板20にせん断座屈が生じた(せん断座屈点128D)。そして、これ以降のサイクルでは、耐力が低下した。
【0178】
また、せん断変形角Rs=40/1000(rad)加力サイクル時の正載荷1回目にアングルが降伏し(アングル降伏点128G)、せん断変形角Rs=50/1000(rad)加力サイクル時の正載荷1回目に鉛直プレートが降伏した(鉛直プレート降伏点128E)。
【0179】
先に説明した図28、29の実験結果から、以下の(1)、(2)のことがわかった。
(1)値124と値130とによって示される履歴性能は、ほぼ同じになった。これにより、波形鋼板耐震壁96(試験体1)と波形鋼板耐震壁106(試験体2)とは、ほぼ同様のせん断変形能力を有していることが確認できた。
(2)表1に示した、「波形鋼板降伏時、最大耐力到達時、せん断座屈時」の試験体1と試験体2とのせん断力の値は、ほぼ同じになった。これにより、波形鋼板耐震壁96(試験体1)と波形鋼板耐震壁106(試験体2)とは、ほぼ同様のせん断耐力を有していることが確認できた。
【符号の説明】
【0180】
10 建築物
16 周辺部材
18、78、84、86、88、94 波形鋼板耐震壁(耐震壁)
20 波形鋼板(鋼板)
26 枠部材
30、42、56、68 ボルト(固定部材)
34 アングル(補剛部材)
38 山部
40 スペーサ部材
50 谷部
52、64 補強部材
66 波板部材
72、74、80 波板
76 接合部
82 平板(補剛部材)
90 H形鋼(補剛部材)
200 溶接材
204 鋼板耐震壁(耐震壁)
206 平板鋼板(鋼板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架構を構成する周辺部材に取り付けられる鋼板と、
前記鋼板の表面側に配置される補剛部材と、
前記鋼板に前記補剛部材を固定し前記鋼板に剛性を付与する固定部材と、
を有する耐震壁。
【請求項2】
前記固定部材は、ボルトである請求項1に記載の耐震壁。
【請求項3】
前記固定部材は、溶接材である請求項1に記載の耐震壁。
【請求項4】
前記補剛部材は、前記鋼板の表面両側に配置されている請求項1〜3の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項5】
前記補剛部材は、前記鋼板の表面片側に配置されている請求項1〜3の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項6】
前記補剛部材は、平板又はアングルである請求項1〜5の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項7】
前記補剛部材は、既成形鋼である請求項1〜6の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項8】
前記補剛部材の端部は、前記鋼板の周縁部に取り付けられた枠部材に接合されている請求項1〜7の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項9】
前記補剛部材の端部は、前記周辺部材に埋設されている請求項1〜7の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項10】
前記鋼板の周縁部に取り付けられた枠部材と前記補剛部材の端部との間に隙間が形成されている請求項1〜7の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項11】
前記鋼板は、平板鋼板である請求項1〜10の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項12】
前記鋼板は波形鋼板であり、
前記補剛部材は前記波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように配置される請求項1〜10の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項13】
前記波形鋼板を正面視したときに前側に凸となる該波形鋼板の山部と前記補剛部材との間にスペーサ部材が設けられている請求項12に記載の耐震壁。
【請求項14】
前記波形鋼板を正面視したときに後側に凹となる該波形鋼板の谷部に、前記波形鋼板及び前記補剛部材と一体となる補強部材が設けられている請求項12又は13記載の耐震壁。
【請求項15】
前記補剛部材は、前記波形鋼板に沿って取り付けられた波板部材である請求項12に記載の耐震壁。
【請求項16】
前記波形鋼板は端部同士が重なり合って連結された複数の波板によって構成され、前記複数の波板の端部同士が重なり合う接合部に前記補剛部材が設けられている請求項12〜15の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項17】
架構を構成する周辺部材に取り付けられ対向して複数配置される鋼板と、
前記複数配置される鋼板の少なくとも1つの表面側に配置される補剛部材と、
前記鋼板に前記補剛部材を固定し前記鋼板に剛性を付与する固定部材と、
を有する耐震壁。
【請求項18】
前記固定部材は、ボルトである請求項17に記載の耐震壁。
【請求項19】
前記固定部材は、溶接材である請求項17に記載の耐震壁。
【請求項20】
前記鋼板は、平板鋼板である請求項17〜19の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項21】
前記鋼板は波形鋼板であり、
前記補剛部材は前記波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように配置される請求項17〜19の何れか1項に記載の耐震壁。
【請求項22】
請求項1〜21の何れか1項に記載の耐震壁を有する建築物。
【請求項23】
架構を構成する周辺部材に取り付けられる波形鋼板に形成された折り筋に材軸が交差するように該波形鋼板の表面側に補剛部材を配置する補剛部材配置工程と、
前記波形鋼板に前記補剛部材をボルトにより固定して該波形鋼板に剛性を付与する補剛部材固定工程と、
を有する耐震壁の施工方法。
【請求項24】
対向して複数配置される波形鋼板を、架構を構成する周辺部材に取り付ける波形鋼板設置工程と、
前記対向して複数配置される波形鋼板の少なくとも1つの表面側に、該波形鋼板に形成された折り筋と材軸とが交差するように補剛部材を配置する補剛部材配置工程と、
前記波形鋼板に前記補剛部材を固定部材によって固定し前記波形鋼板に剛性を付与する補剛部材固定工程と、
を有する耐震壁の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2010−133229(P2010−133229A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241639(P2009−241639)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】