説明

肥満およびCNS障害の処置のためのピペリジン系MCHアンタゴニスト

【課題】メラニン濃縮ホルモン(MCH)のアンタゴニスト、および肥満、摂食障害および糖尿病の処置におけるこれらの使用、これらの化合物を含む薬学的組成物、ならびにこれらの化合物を使用する処置方法を提供すること。
【解決手段】本明細書中に示される特定の式によって表される新規のメラニン濃縮ホルモン(MCH)のアンタゴニスト、および肥満、摂食障害および糖尿病の処置におけるこれらの使用、これらの化合物を含む薬学的組成物、ならびにこれらの化合物を使用する処置方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2001年11月26日に出願された米国仮出願60/333,367の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、メラニン濃縮ホルモン(MCH)のアンタゴニスト、および肥満、摂食障害および糖尿病の処置におけるこれらの使用、これらの化合物を含む薬学的組成物、ならびにこれらの化合物を使用する処置方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
MCH(環状ペプチド)は、色変化を調節すると考えられる硬骨魚において10年以上前に同定された。より最近では、MCHは、哺乳動物における摂食挙動の調節因子としてのその可能な役割についての研究の対象となっている。非特許文献1により報告されるように、MCH欠乏マウスは、低摂食(hypophagia)(減少した摂食)に起因して、減少した体重および痩せ(leanness)を有する。これらの知見に関して、MCHのアンタゴニストは、肥満の処置に有効であり得ることが提唱された。特許文献1は、糖尿病または肥満の処置のための組合せ治療を開示し、これは、代謝速度増加剤および摂食挙動改変剤の投与を包含し、後者の例は、MCHアンタゴニストである。さらに、MCHレセプターアンタゴニストはまた、鬱病および/または不安の処置において有用であり得る。非特許文献2
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,908,830号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Shimadaら,Nature,第396巻(1998年12月17日)、pp.670−673
【非特許文献2】Borowksyら、Nature Medicine,8,pp.825−830(2002年8月1日)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、以下の構造式によって表される化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物に関し:
【0007】
【化29】

ここで、
Arは、アリール、ヘテロアリール、(R−置換アリールまたは(R−置換ヘテロアリールであり、ここで、pは、1〜5の数であり、そしてpが1より大きい場合、各Rは、同じかまたは異なり得、そして各Rは、水素であるか、またはOH、アルコキシ、CN、ハロゲン、NR、C(O)NR、N(R)C(O)R、N(R)S(O)R、S(O)NR、C(O)OR、OCF、CF、S(O)RおよびC(O)Rからなる群から独立して選択されるか、あるいは2つの隣接するRが一緒になって、以下:
【0008】
【化30】

から選択されるアルキレンジオキシを形成し得るか、
あるいは、Arが(R−置換アリールである場合、Rおよび式IにおいてこのRが結合して示されるフェニル環は、以下により示されるように、架橋され得:
【0009】
【化31】

は、H、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロアリール、(スチレニル)メチル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルであり、ここで、このアルキル、アラルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルの各々は、非置換であり得るか、または1つ以上のR部分によって必要に応じて置換され得、このR部分は、同じかまたは異なり得、−S(O)NR、S(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)NR、(R−置換アリールまたは(R−置換ヘテロアリールであり、ここで、pは、1〜5の数であり、pが1より大きい場合、各Rは、同じかまたは異なり得、そして各Rは、水素であるか、またはアルキル、シクロアルキル、OH、アルコキシ、CN、ハロゲン、ヘテロアリール、OC(O)OH;アリールオキシ、NR、C(O)NR、N(R)C(O)R、N(R)S(O)R、S(O)NR、C(O)OR、OCF、CF、SR、S(O)RおよびC(O)Rからなる群から独立して選択されるか、あるいは2つの隣接するRが一緒になって、以下:
【0010】
【化32】

から選択されるアルキレンジオキシを形成し得;
、R、RおよびRは、各々、同じかまたは異なり得、そして各々独立して、Hまたはアルキルであるか;あるいは
およびRが共にアルキレンであり、そしてこれらが結合している炭素と一緒になって、3〜7員環を形成し;
は、H、アルキル、アラルキル、RC(O)、RS(O)または
【0011】
【化33】

であり;
は、アルキルまたはアリールであり;
は、アルキル、アラルキル、または(R−置換アラルキルであり、ここで、pは、1〜5の数であり、pが1より大きい場合、各Rは、同じかまたは異なり得、そして各Rは、水素であるか、またはOH、アルコキシ、CN、ハロゲン、NR、C(O)NR、N(R)C(O)R、N(R)S(O)R、S(O)NR、C(O)OR、OCF、CF、S(O)RおよびC(O)Rからなる群から独立して選択され;
10は、アリール、ヘテロアリール、(R−置換アリールまたは(R−置換ヘテロアリールであり、ここで、pは、1〜5の数であり、そしてpが1より大きい場合、各Rは、同じかまたは異なり得、そして各Rは、水素であるか、またはOH、アルコキシ、CN、ハロゲン、NR、C(O)NR、N(R)C(O)R、N(R)S(O)R、S(O)NR、C(O)OR、OCF、CF、S(O)R、C(O)Rおよびヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、あるいは、R10は、アルキレンまたはヘテロアルキレンであり、ここでこのアルキレンまたはヘテロアルキレンは、NR10のNに結合して、以下:
【0012】
【化34】

からなる群から選択されるヘテロシクリル環を形成し;
Xは、N(R)、O、S、S→O、S(O)、C(O)またはCHであり;
Yは、O、CH、C(O)、N(H)、N(R)またはSであり;
kは、0、1または2であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0または2であり;
そしてここで、このアルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルは、非置換であり得るか、または1つ以上のR部分で必要に応じて置換され得、このR部分は、同じかまたは異なり得る。
【0013】
本発明はまた、代謝障害(例えば、肥満)および摂食障害(例えば、過食症)の処置のための薬学的組成物に関する。1つの局面において、本発明はまた、肥満の処置のための薬学的組成物に関し、この組成物は、肥満処置量の式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。
好ましい実施形態によれば、例えば、以下の化合物、薬学的組成物、方法などが提供される:
(項目1)
式Iの化合物:
【化1】


または該化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物であって、ここで:
Arは、アリール、ヘテロアリール、(R−置換アリールまたは(R−置換ヘテロアリールであり、ここで、pは、1〜5の数であり、そしてpが1より大きい場合、各々のRは同じかまたは異なり得、そして各々のRは、水素であるか、もしくは以下からなる群より独立して選択されるか:OH、アルコキシ、CN、ハロゲン、NR、C(O)NR、N(R)C(O)R、N(R)S(O)R、S(O)NR、C(O)O(R)、OCF、CF、S(O)RおよびC(O)R、または2つの隣接するRが一緒に結合して、以下から選択されるアルキレンジオキシを形成し得るか:
【化2】


、またはArが(R−置換アリールである場合、Rおよび式IにおいてArが結合していることが示されているフェニル環が、
【化3】


により示されるようにYにより架橋され得、
は、H、アルキル、アリール、アラルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロアリール、(スチレニル)メチル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルであり、ここで、該アルキル、アラルキル、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルの各々は、非置換であり得るかまたは1つ以上のR部分で必要に応じて置換され得、該1つ以上のR部分は、同じかまたは異なり得る、−S(O)NR、S(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)NR、(R−置換アリールまたは(R−置換ヘテロアリールであり得、ここで、pは、1〜5の数であり、そしてpが1より大きい場合、各々のRは同じか異なり得、そして各々のRは、水素であるか、もしくは以下からなる群より独立して選択されるか:アルキル、シクロアルキル、OH、アルコキシ、CN、ハロゲン、ヘテロアリール、OC(O)OH;アリールオキシ、NR、C(O)NR、N(R)C(O)R、N(R)S(O)R、S(O)NR、C(O)O(R)、OCF、CF、SR、S(O)RおよびC(O)R、または2つの隣接するRが一緒に結合して、以下から選択されるアルキレンジオキシを形成し得:
【化4】


、R、RおよびRは、各々、同じかもしくは異なり得、そして各々独立して、Hまたはアルキルであるか、またはRおよびRが一緒になって、アルキレンであり、そしてそれらが結合している炭素と共に、3〜7員環を形成し;
は、H、アルキル、アラルキル、RC(O)、RS(O)または
【化5】


であり、;
は、アルキルまたはアリールであり;
は、アルキル、アラルキル、または(R−置換アラルキルであり、ここで、pは、1〜5の数であり、そしてpが1より大きい場合、各々のRは同じか異なり得、そして各々のRは、水素であるか、もしくは以下からなる群より独立して選択され:OH、アルコキシ、CN、ハロゲン、NR、C(O)NR、N(R)C(O)R、N(R)S(O)R、S(O)NR、C(O)OR、OCF、CF、S(O)R、およびC(O)R
10は、アリール、ヘテロアリール、(R−置換アリールまたは(R−置換ヘテロアリールであり、ここで、pは、1〜5の数であり、pが1より大きい場合、各々のRは、同じまたは異なり得、そして各々のRは、水素であるか、またはOH、アルコキシ、CN、ハロゲン、NR、C(O)NR、N(R)C(O)R、N(R)S(O)R、S(O)NR、C(O)OR、OCF、CF、S(O)R、C(O)Rおよびヘテロシクロアルキルからなる群より独立して選択されるか、またはR10は、アルキレンもしくはヘテロアルキレンであり、ここで、該アルキレンもしくはヘテロアルキレンは、NR10のNに結合して、以下からなる群より選択される複素環式環を形成し:
【化6】


Xは、N(R)、O、S、S→O、S(O)、C(O)またはCHであり;
Yは、O、CH、C(O)、N(H)、N(R)またはSであり;
kは、0、1または2であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0または2であり;
そして
ここで、該アルキル、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルの各々は、非置換であり得るかまたは同じかもしくは異なり得る1つ以上のR部分で必要に応じて置換され得る、化合物。
(項目2)
式Iaの項目1に記載の化合物:
【化7】


または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで:
qは1または2であり;
は、H、アルキルまたはシクロアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;
そして
Zは、1つまたは2つの置換基であり、該置換基は、同じかまたは異なり得、そしてハロゲン、CFおよびOCFからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目3)
式Ibの項目1に記載の化合物:
【化8】


または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで:
qは1または2であり;
Zは、1つまたは2つの置換基であり、該置換基は、同じかまたは異なり得、そしてハロゲン、CFおよびOCFからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目4)
式Icの項目1に記載の化合物:
【化9】


または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで:
qは1または2であり;
Rは、H、アルキルまたはシクロアルキルであり;
そして
Zは、1つまたは2つの置換基であり、該置換基は、同じかまたは異なり得、そしてハロゲン、CFおよびOCFからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目5)
式Idの項目1に記載の化合物:
【化10】


または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで:
qは1または2であり;
は、H、アルキルまたはシクロアルキルからなる群より独立して選択され;
そして
Zは、1つまたは2つの置換基であり、該置換基は、同じかまたは異なり得、そしてハロゲン、CFおよびOCFからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目6)
式Ieの項目1に記載の化合物:
【化11】


または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで:
qは1または2であり;
Zは、Cl、CFおよびFからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目7)
式Ifの項目1に記載の化合物:
【化12】


または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで:
Rは、CHC(O)、CHS(O)、CHCHOC(O)、(CHCHNC(O)、(CHNS(O)、CHCHNHS(O)およびシクロプロピルメチルからなる群より選択される、化合物。
(項目8)
以下:
【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

からなる群より選択される、項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
(項目9)
大うつ病、躁うつ病、不安、精神分裂病および睡眠障害を処置する方法であって、該方法は、そのような処置を必要とする哺乳動物に治療有効量の少なくとも1つの項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する、方法。
(項目10)
大うつ病、躁うつ病、不安、精神分裂病および睡眠障害を処置する方法であって、該方法は、そのような処置を必要とする哺乳動物に治療有効量の少なくとも1つの項目8に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する、方法。
(項目11)
代謝障害、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、該方法は、そのような処置を必要とする患者に有効量の少なくとも1つの項目1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目12)
代謝障害、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、該方法は、そのような処置を必要とする患者に有効量の少なくとも1つの項目8に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
(項目13)
前記摂食障害が過食症である、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記摂食障害が過食症である、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記代謝障害が、糖尿病である、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記代謝障害が、糖尿病である、項目12に記載の方法。
(項目17)
肥満に関連する障害を処置する方法であって、該方法は、そのような処置を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つの項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
(項目18)
肥満に関連する障害を処置する方法であって、該方法は、そのような処置を必要とする患者に治療有効量の少なくとも1つの項目8に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
(項目19)
前記肥満に関連する障害が、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、および高血圧である、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記肥満に関連する障害が、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症、および高血圧である、項目18に記載の方法。
(項目21)
摂食障害を処置する方法であって、該方法は、そのような処置を必要とする患者に、
一定量の第一の化合物であって、該第一の化合物が、項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩である、第一の化合物;
一定量の少なくとも1つの追加の化合物であって、該追加の化合物(b)は、抗肥満剤および/または食欲抑制剤(例えば、βアゴニスト、甲状腺ホルモン様作用(thyromimetic)剤、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニスト)から選択される、追加の化合物、
を投与する工程を包含し;
ここで、(a)および(b)の化合物の量が、治療効果を生じる、方法。
(項目22)
摂食障害を処置する方法であって、該方法は、そのような処置を必要とする患者に、
一定量の第一の化合物であって、該第一の化合物が、項目8に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩である、第一の化合物;
一定量の少なくとも1つの追加の化合物であって、該追加の化合物(b)は、抗肥満剤および/または食欲抑制剤(例えば、βアゴニスト、甲状腺ホルモン様作用(thyromimetic)剤、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニスト)から選択される、追加の化合物、
を投与する工程を包含し;
ここで、(a)および(b)の化合物の量が、治療効果を生じる、方法。
(項目23)
以下:
第一の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩であって、該第一の化合物は、項目1に記載の化合物である、化合物;
一定量の少なくとも1つの追加の化合物であって、該追加の化合物(b)は、抗肥満剤および/または食欲抑制剤(例えば、βアゴニスト、甲状腺ホルモン様作用(thyromimetic)剤、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニスト)からなる群より選択される、化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア、
を含む治療有効量の組成物を含む、薬学的組成物。
(項目24)
以下:
第一の化合物であって、該第一の化合物は、項目8に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩である、第一の化合物;
一定量の少なくとも1つの追加の化合物であって、該追加の化合物(b)は、抗肥満剤および/または食欲抑制剤(例えば、βアゴニスト、甲状腺ホルモン様作用(thyromimetic)剤、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニスト)からなる群より選択される、追加の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア、
を含む治療有効量の組成物を含む、薬学的組成物。
(項目25)
以下:
第一の化合物であって、該第一の化合物は、項目1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩である、第一の化合物;
少なくとも1つの追加の化合物であって、該追加の化合物は、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、プロテインチロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口でバイオアベイラブルであるインスリン調製物を含む)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロザグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニルウレア、グリパジド、グリブリド、およびクロルプロパミドからなる群より選択される、追加の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア、
を含む治療有効量の組成物を含む、薬学的組成物。
(項目26)
以下:
第一の化合物であって、該第一の化合物は、項目8に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩である、第一の化合物;
少なくとも1つの追加の化合物であって、該追加の化合物は、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、プロテインチロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口でバイオアベイラブルであるインスリン調製物を含む)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロザグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニルウレア、グリパジド、グリブリド、およびクロルプロパミドからなる群より選択される、追加の化合物;ならびに
薬学的に受容可能なキャリア、
を含む治療有効量の組成物を含む、薬学的組成物。
(項目27)
少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた、治療有効量の少なくとも1つの項目1に記載の化合物を含む薬学的組成物。
(項目28)
少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた、治療有効量の少なくとも1つの項目8に記載の化合物を含む薬学的組成物。
(項目29)
薬学的組成物を作製するためのプロセスであって、該プロセスは、少なくとも1つの項目1に記載の化合物と少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアとを合わせる工程を包含する、プロセス。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
本発明は、構造式Iによって表される化合物、または薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物に関し、ここで、種々の部分は、上記の通りである。
【0015】
式Iの化合物は、ラセミ混合物または鏡像異性的に純粋な化合物として投与され得る。
【0016】
好ましい群の化合物は、式Iaの化合物:
【0017】
【化35】

またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり、ここで、
qは、1または2であり;
は、H、アルキルまたはシクロアルキルであり;
は、Hまたはアルキルであり;そして
Zは、1または2個の置換基であり、この置換基は、同じかまたは異なり得、そして、ハロゲン、CFおよびOCFからなる群から独立して選択され得る。
【0018】
別の好ましい実施形態は、式Ibの化合物:
【0019】
【化36】

またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり、ここで、
qは、1または2であり;
Zは、1または2個の置換基であり、この置換基は、同じかまたは異なり得、そして、ハロゲン、CFおよびOCFからなる群から独立して選択され得る。
【0020】
さらに好ましい実施形態は、式Icの化合物:
【0021】
【化37】

またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり、ここで、
qは、1または2であり;
Rは、H、アルキルまたはシクロアルキルであり;そして
Zは、1または2個の置換基であり、この置換基は、同じかまたは異なり得、そして、ハロゲン、CFおよびOCFからなる群から独立して選択され得る。
【0022】
さらに好ましい実施形態は、式Idの化合物:
【0023】
【化38】

またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり、ここで、
qは、1または2であり;
は、H、アルキルおよびシクロアルキルからなる群から独立して選択され;そして
Zは、1または2個の置換基であり、この置換基は、同じかまたは異なり得、そして、ハロゲン、CFおよびOCFからなる群から独立して選択され得る。
【0024】
さらに好ましい実施形態は、式Ieの化合物:
【0025】
【化39】

またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり、ここで、
qは、1または2であり;
Zは、1または2個の置換基であり、この置換基は、同じかまたは異なり得、そして、Cl、CFおよびOCFからなる群から独立して選択され得る。
【0026】
さらに好ましい実施形態は、式Ifの化合物:
【0027】
【化40】

またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり、ここで、
Rは、CHC(O)、CHS(O)、CHCHOC(O)、(CHCHNC(O)、(CHNS(O)、CHCHNHS(O)およびシクロプロピルメチルからなる群から選択される。
【0028】
一連の好ましい化合物は、以下の表1に列挙される。
【0029】
他に記載されない限り、以下の定義は、本明細書および特許請求の範囲全体にわたって適用される。これらの定義は、用語が単独で使用されるか他の用語と共に使用されるかにかかわらず、適用される。従って、「アルキル」の定義は、「アルキル」および「アルコキシ」、「アルキルアミノ」などの「アルキル」部分に適用される。
【0030】
上で、および本明細書全体にわたって使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0031】
「患者」とは、ヒトおよび他の動物の両方を含む。
【0032】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0033】
「アルキル」とは、脂肪族炭化水素基であって、直鎖または分枝鎖であり得、そして鎖中に約1〜約20個の炭素原子を含む基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直線状アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が、1つ以上の置換基(これは同じであっても異なっていてもよい)により置換され得ることを意味し、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、−シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立して選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0034】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有し;より好ましくは鎖中に、約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直線状アルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」とは、鎖中に、約2〜約6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。用語「置換アルケニル」とは、アルケニル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、−シクロアルキル、シアノおよびアルコキシからなる群から独立して選択される。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、および3−メチルブト−2−エニルが挙げられる。
【0035】
「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルキニル基は、鎖中に、約2〜約12個の炭素原子を有し;そしてより好ましくは、鎖中に、約2〜約4個の炭素原子を有する。分枝とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直線状アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」とは、鎖中に、約2〜約6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味し、これは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニルおよび2−ブチニルが挙げられる。用語「置換アルキニル」とは、アルキニル基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から独立して選択される。
【0036】
「アルキレン」とは、2個の炭素原子に遊離原子価を共有して有するアルカンジイルを意味する。非限定的な例としては、メチレン、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。「置換アルキレン」とは、アルキレン基が、1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、−シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立して選択される。
【0037】
「アリール」とは、約6〜約14個の炭素原子、好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含む単環式環系または多環式環系を意味する。アリール基は、非置換であり得るか、または環上で、1つ以上の置換基で置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、アルキル、アリール、−OCF、−OCOアルキル、−OCOアリール、−CF、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、アルキルへテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、−シクロアルキルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。「アリール」基はまた、その芳香族環上の2つの隣接する炭素原子を、1つ以上の炭素原子と1つ以上の酸素原子の結合(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなど)を介して連結することによって置換され得る。
【0038】
「アリーレン」とは、2つの環炭素原子から水素原子を除去することによって、芳香族炭化水素から誘導される二価の基を意味する。非限定的な例としては、フェニレンなどが挙げられる。
【0039】
「アルキレンジオキシ」とは、1つ以上の炭素原子と1つ以上の酸素原子との結合(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなどを含む、以下の非限定的な例)を意味する。
【0040】
「ヘテロアルキル」とは、約5〜約14個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含むアルキル基を意味し、ここで、炭素原子の1つ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄(単独でまたは組合せで))である。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の炭素原子を含む。
【0041】
「ヘテロアリール」とは、約5〜約14個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む、芳香族単環式環系または多環式環系(結合によって縮合および連結される)を意味し、ここで、環原子の1つ以上が、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄(単独でまたは組合せで))である。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、環上で、その環上の利用可能な水素を1つ以上の置換基で置換することによって必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、この置換基は、各々独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルへテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、−シクロアルキル、シクロアルキニルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される。ヘテロアリールの基名(root name)の前の接頭語のアザ、オキサまたはチアは、それぞれ少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在していることを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて酸化されて、対応するN−オキシドになり得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、トリアゾリル、イミダゾリルなどが挙げられる。
【0042】
「ヘテロアルキレン」とは、上で定義されるヘテロアルキル基から水素原子を除去することによって得られる二官能性の基を意味する。
【0043】
「ヘテロアリーレン」とは、2つの環炭素原子から水素原子を除去することによって、複素環式芳香族化合物から誘導される二価の基(例えば、ピリジン、ピロールなどから誘導される二価の基)を意味する。
【0044】
「アラルキル」とは、アリール−アルキル基(ここで、アリールおよびアルキルは、前で記載された通りである)を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフチレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。用語「置換アラルキル」とは、アラルキル基が、1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、−シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立して選択される。
【0045】
「アルキルアリール」とは、アルキル−アリール基(ここで、アルキルおよびアリールは、前で記載された通りである)を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介する。
【0046】
「シクロアルキル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族単環式環系または多環式環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、環上の利用可能な水素を1つ以上の置換基で置換することによって、環上で必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルへテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリニル、テトラヒドロナフタレニル、インダニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0047】
「ハロ」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード記を意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがより好ましい。
【0048】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素または臭素が好ましく、フッ素および塩素がより好ましい。
【0049】
「ハロアルキル」とは、アルキルの1つ以上の水素原子が、上で定義されるハロ基で置換されている、上で定義されるアルキルを意味する。
【0050】
「シクロアルケニル」とは、約3〜約10個の炭素原子、好ましくは約5〜約10個の炭素原子を含み、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、非芳香族単環式環系または多環式環系を意味する。好ましいシクロアルケニル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルケニルは、環の利用可能な水素を1つ以上の置換基で置換することによって、環上で必要に応じて置換され得、この置換基は、同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルへテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルキニルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される。適切な単環式シクロアルケニルの非限定的な例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例は、ノルボルニレニルである。
【0051】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」とは、約3〜約10個の環原子、好ましくは約5〜約10個の環原子を含む非芳香族飽和単環式環系または多環式環系を意味し、ここで、環系中の原子の1つ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄(単独でまたは組み合わせて))である。この環系中には、隣接酸素原子および/または隣接硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの基名の前の接頭語のアザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリルは、環の利用可能な水素を1つ以上の置換基で置換することによって、環上で必要に応じて置換され得、この置換基は同じであっても異なっていてもよく、各々独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルへテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルキニルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される。ヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて酸化されて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−オキシドになる。適切な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピラニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホリニルなどが挙げられる。
【0052】
「アラルケニル」とは、アリール−アルケニル基(ここで、アリールおよびアルケニルが前で記載された通りである)を意味する。好ましいアラルケニルは、低級アルケニル基を含む。適切なアラルケニル基の非限定的な例としては、2−フェネテニル(2−phenethenyl)および2−ナフチルエテニルが挙げられる。親部分への結合は、アルケニルを介する。
【0053】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル基(ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは前で記載された通りである)を意味する。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。「ヘテロアラルキル」は、環の利用可能な水素を1つ以上の置換基で置換することによって、環上で必要に応じて置換され得、この置換基は同じ合っても異なっていてもよく、各々独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルへテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルキニルおよびヘテロシクリルからなる群から選択される。
【0054】
「ヘテロアラルケニル」とは、ヘテロアリール−アルケニル基(ここで、ヘテロアリールおよびアルケニルは、前で記載された通りである)を意味する。好ましいヘテロアラルケニルは、低級アルケニル基を含む。適切なヘテロアラルケニル基の非限定的な例としては、2−(ピリド−3−イル)エテニルおよび2−(キノリン−3−イル)エテニルが挙げられる。親部分への結合は、アルケニルを介する。
【0055】
「アルコキシアルキル」とは、アルコキシ−アルキル基(ここで、アルキルおよびアルコキシは前で定義された通りである)を意味する。適切なアルコキシアルキル基の非限定的な例としては、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチルおよびエトキシエチルが挙げられる。
【0056】
「アリールオキシアルキル」とは、アリールオキシ−アルキル基(ここで、アルキルおよびアリールオキシは前で定義された通りである)を意味する。適切なアリールオキシアルキル基の非限定的な例としては、フェニルオキシメチル、フェニルオキシメチルおよびベンジルオキシメチルが挙げられる。
【0057】
「ヒドロキシアルキル」とは、HO−アルキル基(ここで、アルキルは前出定義された通りである)を意味する。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0058】
「アシル」は、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−、またはシクロアルキニル−C(O)−基を意味し、ここで種々の基が、以前に記載されたとおりである。親部分への結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、およびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0059】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここでこのアリール基は、以前に記載されたとおりである。親部分への結合は、カルボニルを介する。適切な基の非限定的例としては、ベンゾイルならびに1−ナフトイルおよび2−ナフトイルが挙げられる。
【0060】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここでこのアルキル基は、以前に記載したとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、およびイソプロポキシが挙げられる。このアルキル基は、エーテル酸素を解して隣接部分に連結される。用語「置換(された)アルコキシ」は、アルコキシ基のアルキル部分が、同じかまたは異なり得る1つ以上の置換基で置換され得ることを意味し、各置換基は、以下からなる群より独立して選択される:ハロ、アルキル、アリール、−シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキル。適切なアルキル基の非限定的例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0061】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここでこのアリール基は、以前に記載されたとおりである。適切なアリールオキシ基の非限定的例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0062】
「アルキルアミノ」は、−NH基または−NH基を意味し、ここで窒素上の1つ以上の水素原子は、上記で定義されるとおりのアルキル基で置換される。
【0063】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキルアルキル基を意味し、ここでこのシクロアルキル基およびアルキル基は、以前に記載されたとおりである。親部分への結合は、アルキル基を介する。
【0064】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここでこのアルキル基は、以前に記載されたとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオおよびヘプチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0065】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここでこのアリール基は、以前に記載されたとおりである。適切なアリールチオ基の非限定的例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0066】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここでアラルキル基は、以前に記載されたとおりである。適切なアラルキルチオ基の非限定的例は、ベンジルチオである。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0067】
「アルコキシカルボニル」は、カルボニルを介して隣接部分に連結された先に規定されたアルコキシ基を意味する。アルコキシカルボニル基の非限定的例としては、−C(O)−CH、−C(O)−CHCHなどが挙げられる。
【0068】
「アラルコキシ(aralkoxy)カルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0069】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合は、スルホニルを介する。
【0070】
「アルキルスルフィニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキル基である基である。親部分への結合は、スルフィニルを介する。
【0071】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルホニルを介する。
【0072】
「アリールスルフィニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルフィニルを介する。
【0073】
用語「必要に応じて置換された」は、特定の基、ラジカル、または部分による任意の置換を意味する。
【0074】
本明細書中で使用される場合、用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含む製品、および特定の量の特定の成分の組合せから、直接的または間接的に生じる任意の製品を含むことを意図する。
【0075】
本発明の化合物の溶媒和物もまた本明細書中に企図される。「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、種々の程度のイオン性結合、共有結合を含み、水素結合を含む。特定の例において、この溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子中に取り込まれた場合に単離し得る。「溶媒和物」は、溶液相の溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0076】
「有効量」または「治療的有効量」は、MCHにより媒介される疾患または状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置するために有効な、従って所望の治療効果を生じる、本発明の化合物の量を記載することを意味する。
【0077】
式Iの化合物は、塩を形成し、これもまた本発明の範囲内である。式Iの化合物に対する言及は、本明細書中において、他に示さなければその塩に対する言及を含むと理解される。用語「塩(単数または複数)」は、本明細書中で使用される場合、無機酸および/または有機酸と共に形成された酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基と共に形成された塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が、塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるがこれらに限定されない)および酸性部分(例えば、カルボン酸であるがこれに限定されない)を含む場合、双性イオン(「内部塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用される場合の用語「塩(単数または複数)」内に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で、生理学的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を、ある量の酸または塩基(例えば、当量)と、媒体(例えば、その媒体中で塩が沈殿するもの、または水性媒体(次いで凍結乾燥する))中で反応させることにより形成され得る。
【0078】
例示的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(benzenesulforiate)、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(例えば、本明細書中で言及されるもの)、酒石酸塩、チオシアネート、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても知られる)、ウンデカン酸塩などが挙げられる。さらに、一般的に、薬学的に有用な塩を塩基性薬学的化合物から形成するのに適切と考えられる酸は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice
of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;により考察され、そしてThe Orange Book(そのウェブサイトにおいてFood & Drug Administration,Washington,D.C.)において考察される。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0079】
例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えば、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(hydrabamine)(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンと共に形成される)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミン、およびアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、ジアルキル硫酸(例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジブチル硫酸およびジアミル硫酸)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物臭化物およびヨウ化物)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)などのような試薬を用いて4級化され得る。
【0080】
このような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であることを意図され、そして全ての酸塩および塩基塩は、本発明の目的に関して対応する化合物の遊離形態と等価であるとみなされる。
【0081】
式Iの化合物、ならびにその塩および溶媒和物は、その互変異性体形態(例えば、アミドまたはイミノエーテル)で存在し得る。全てのこのような互変異性体形態は、本明細書中で本発明の一部として企図される。
【0082】
本発明の化合物(その化合物の塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の不斉炭素に起因して存在し得る立体異性体)としては、エナンチオマー形態(不斉炭素が存在しなくても存在し得る)、回転異性体形態、アトロプ異性体、およびジアステレオマー形態が挙げられ、これは、本発明の範囲内に企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まないかもしれないか、あるいは例えば、ラセミ体として、または他の全ての立体異性体もしくは他の選択された異性体と混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974勧告により定義されるS配置またはR配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」などの使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体またはラセミ体の塩および溶媒和物に等しく適用されることを意図される。
【0083】
任意の可変基(variable)(例えば、アリール、複素環、Rなど)は、任意の構成中または式Iにおいて1回より多く出現する場合、各出現におけるその定義は、それぞれ他の出現におけるその定義と独立している。また、置換基および/または可変基の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。
【0084】
本明細書中ならびに本出願における詳細な説明、実施例およびスキームに添付される全ての表に対する一般的注記として、化学構造中の満たされていない原子価を有する任意のオープンエンド(open−end)窒素原子は、本明細書においてNHを指すか、あるいは末端窒素の場合は、−NHを指す。同様に、化学構造中の満たされていない原子価を有する任意のオープンエンド酸素は、本明細書において−OHを指し、そして満たされていない原子価を有する任意のオープンエンド炭素は、適切には−Hで満たされる。
【0085】
式Iの化合物は、肥満の処置に有用な、高度に選択的で高度に親和性のメラニン濃縮ホルモン(Melanin Concentrating Hormone)(MCH)レセプターアンタゴニストであり得る。
【0086】
本発明の別の局面は、MCHにより媒介される疾患または状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を、治療的有効量の、少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を、この哺乳動物に投与することにより処置する方法である。
【0087】
好ましい投薬量は、式Iの化合物の約0.001〜100mg/体重1kg/日である。特に好ましい投薬量は、式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の約0.01〜25mg/体重1kg/日である。
【0088】
本発明の別の局面は、肥満を処置する方法に関し、この方法は、このような処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の、少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0089】
本発明の別の局面は、摂食障害および代謝障害(例えば、過食症および食欲不振)を処置するための方法に関し、この方法は、哺乳動物に、治療有効量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0090】
本発明の別の局面は、高脂血症を処置する方法に関し、この方法は、哺乳動物に治療有効量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0091】
本発明の別の局面は、セルライト(cellulite)および脂肪蓄積を処置する方法に関し、この方法は、哺乳動物に治療有効量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0092】
本発明の別の局面は、II型糖尿病を処置する方法に関し、この方法は、哺乳動物に治療有効量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0093】
MCHサブタイプに対する本発明の化合物の「直接的」効果に加えて、体重減少により利益を受ける疾患および状態が存在する(例えば、インスリン抵抗性、グルコース寛容減損、II型糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管疾患、胆石、特定の癌、および睡眠時無呼吸)。
【0094】
本発明の別の局面は、精神障害(例えば、大うつ病、躁うつ病、不安、精神分裂病および睡眠障害)を処置する方法に関し、この方法は、哺乳動物に、治療有効量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する。
【0095】
本発明はまた、少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物に関する。
【0096】
本発明はまた、肥満の処置のための薬学的組成物に関し、この組成物は、肥満処置量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを含む。
【0097】
式Iの化合物は、以下の反応スキーム、以下の調製および実施例に示されるように、溶液相合成または固相合成のいずれかを使用して、当業者に公知のプロセスにより製造され得る。
【0098】
化合物の好ましい群は、以下の表1に列挙される化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である。
【0099】
本発明の別の局面は、MCHにより媒介される疾患または状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を、治療有効量の式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩を、その哺乳動物に投与することにより処置する方法である。
【0100】
好ましい投薬量は、式Iの化合物の約0.001〜100mg/kg/日である。特に好ましい投薬量は、式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩の約0.01〜25mg/kg/日である。
【0101】
本発明の別の局面は、肥満を処置する方法に関し、この方法は、このような処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0102】
本発明の別の局面は、代謝障害(例えば、肥満)および摂食障害(例えば、過食症および食欲不振)を処置するための方法に関し、この方法は、哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0103】
本発明の別の局面は、高脂血症を処置するための方法に関し、この方法は、哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0104】
本発明の別の局面は、セルライトおよび脂肪蓄積を処置するための方法に関し、この方法は、哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0105】
本発明の別の局面は、II型糖尿病を処置するための方法に関し、この方法は、哺乳動物に、治療有効量の、式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0106】
MCHサブタイプに対する本発明の化合物の「直接的」効果に加えて、体重減少により利益を受ける疾患および状態が存在する(例えば、インスリン抵抗性、グルコース寛容減損、II型糖尿病、高血圧、高脂血症、心血管疾患、胆石、特定の癌、および睡眠時無呼吸)。
【0107】
本発明はまた、ある量の式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物に関する。
【0108】
本発明はまた、肥満の処置のための薬学的組成物に関し、この組成物は、肥満処置量の、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。
【0109】
式Iの化合物は、以下の反応スキーム、以下の調製および実施例において示されるように、溶液相合成または固相合成のいずれかを使用して当業者に公知のプロセスにより製造され得る。
【0110】
式Ia、IbおよびIcの化合物は、スキーム1に記載される方法に従って調製される:
これらの新規化合物は、強力なMCHアンタゴニストであり、そしてまた他のレセプター(例えば、Mレセプター、h−HTトランスポーター)に対して選択的である。
【0111】
これらの化合物の全ての立体異性体形態および互変異性体形態が企図される。式Ia、IbおよびIcの化合物は、4−(4−ブロモフェニル)ピペリジノールから調製され得る(スキーム1)。
【0112】
【化41】

式Idの化合物は、4−(4−ブロモフェニル)ピペリジノールから調製され得る(スキーム2)。
【0113】
【化42】

Xがアルキレンである多数の化合物が、スキーム3および4に示されるように合成される。
【0114】
【化43】

【0115】
【化44】

他の関連する経路/化学もまた企図される。
【0116】
本発明のなお別の局面は、少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物と、以下に例示される化合物からの少なくとも1つの化合物との併用である。
【0117】
従って、本発明の別の局面は、肥満を処置するための方法であり、この方法は、哺乳動物(例えば、女性ヒトまたは男性ヒト)に、以下:
a.ある量の第1の化合物であって、この第1の化合物は、式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、第1の化合物;および
b.ある量の第2の化合物であって、この第2の化合物は、抗肥満薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、甲状腺様作用薬(thyromimetic agent)、食欲抑制薬、またはNPYアンタゴニスト)である、第2の化合物、
を投与する工程を包含し、ここで第1の化合物および第2の化合物の量は、治療的効果を生じる。
【0118】
本発明はまた、薬学的併用組成物に関し、この併用組成物は、以下:
少なくとも1つの第1の化合物を含む治療有効量の組成物であって、この第1の化合物が、式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、組成物、
第2の化合物であって、抗肥満薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、甲状腺様作用薬、食欲抑制薬、またはNPYアンタゴニスト)である、第2の化合物;ならびに/または
必要に応じて薬学的キャリア、ビヒクル、または希釈剤、
を含む。
【0119】
本発明の別の局面は、以下:
a.第1の単位投薬形態中の、ある量の式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および薬学的に受容可能なキャリア、ヒビクルまたは希釈剤;
b.第2の単位投薬形態中の、ある量の抗肥満薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、甲状腺様作用薬、食欲抑制薬、またはNPYアンタゴニスト)、ならびに薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;ならびに
c.この第1の投薬形態および第2の投薬形態を収容するための手段、
を備えるキットであり、ここでこの量の第1の化合物およびこの量の第2の化合物が、治療効果を生じる。
【0120】
上記の併用方法、併用組成物および併用キットにおいて好ましい抗肥満薬および/または食欲抑制薬(単一またはその任意の組み合わせで考慮される)は、以下である:
フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミン、フェンテルミン、コレシストキニン−A(本明細書以下においてCCK−Aと呼ぶ)アゴニスト、モノアミン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン)、交感神経様作用薬、セロトニン様作用薬(例えば、デキスフェンフルラミン(dexfenfluramine)またはフェンフルラミン)、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモンレセプターアゴニストもしくは模倣物、メラニン細胞刺激ホルモンアナログ、カンナビノイドレセプターアンタゴニスト、メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、OBタンパク質(本明細書中以下で「レプチン」と呼ぶ)、レプチンアナログ、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニン(galanin)アンタゴニスト、またはGIリパーゼインヒビターもしくは低下因子(decreaser)(例えば、オルリスタット(orlistat))。他の食欲抑制薬としては、ボンベシンアゴニスト、デヒドロエピアンドロステロンもしくはそのアナログ、グルココルチコイドレセプターアゴニストおよびアンタゴニスト、オレキシン(orexin)レセプターアンタゴニスト、ウロコルチン(urocortin)結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1レセプターのアゴニスト(例えば、Exendin)および毛様体神経栄養因子(例えば、Axokine)が挙げられる。
【0121】
本発明の別の局面は、糖尿病を処置する方法であり、この方法は、哺乳動物(例えば、女性ヒトまたは男性ヒト)に、
a.ある量の第1の化合物であって、この第1の化合物は、式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、第1の化合物;ならびに
b.ある量の第2の化合物であって、この第2の化合物は、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口で生物学的に利用可能なインスリン調製物を含む)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン(troglitazone)、ロサグリタゾン(rosaglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)またはGW−1929)、スルホニルウレア、グリパジド(glipazide)、グリブリド、またはクロルプロパミドである、第2の化合物、を投与する工程を包含し、ここでこの量の第1の化合物および第2の化合物が、治療効果を生じる。
【0122】
本発明はまた、薬学的併用組成物に関し、この併用組成物は、以下を含む治療有効量の組成物を含む:
第1の化合物であって、式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、第1の化合物;
第2の化合物であって、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口で生物学的に利用可能なインスリン調製物を含む)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニルウレア、グリパジド、グリブリド、またはクロルプロパミドである、第2の化合物;ならびに
必要に応じて薬学的キャリア、ビヒクル、または希釈剤。
【0123】
本発明の別の局面は、以下:
a.第1の単位投薬形態中の、ある量の式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;
b.第2の単位投薬形態中の、ある量の、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口で生物学的に利用可能なインスリン調製物を含む)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−γリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニルウレア、グリパジド、グリブリド、またはクロルプロパミド、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;ならびに
c.この第1の投薬形態および第2の投薬形態を収容するための手段、
を含むキットであり、ここでこの量の第1の化合物およびこの量の第2の化合物が、治療効果を生じる。
【0124】
好ましくは、薬学的調製物は、単位投薬形態である。このような形態において、調製物は、適切なサイズの単位用量に小分けされ、そしてこの単位用量は、適切な量の活性成分(例えば、所望の目的を達成するための有効量)を含有する。
【0125】
調製物の単位用量中の活性化合物の量は、特定の適用に従って、約1mg〜約100mg、好ましくは約1mg〜約50mg、より好ましくは約1mg〜約25mgで変動され得るかまたは調節され得る。
【0126】
使用される実際の投薬量は、患者の要件および処置される状態の重篤度に依存して変動し得る。特定の状況に対する適切な投薬レジメンの決定は、当該分野の技術範囲内である。便宜上、合計日投薬量は分割され得、そして必要な場合その日の間に分けて投与され得る。
【0127】
本発明の化合物および/またはその薬学的に受容可能な塩の投与の量および頻度は、患者の年齢、状態および大きさ、ならびに処置される症状の重篤度を考慮して担当医の判断に従って調節される。代表的な経口投与のための推奨日投薬レジメンは、2〜4回に分けた用量で約1mg/日〜約300mg/日、好ましくは1mg/日〜50mg/日の範囲にわたり得る。
【0128】
本発明はまた、肥満症のような代謝障害、および過食症のような摂食障害を処置するための、薬学的組成物に関する。
【0129】
本発明によって記載される化合物から薬学的組成物を調製するための、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固体または液体のいずれかであり得る。固体形体の調製物としては、散剤、錠剤、分散可能な顆粒、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が挙げられる。散剤および錠剤は、約5〜約95%の活性成分を含有し得る。適切な固体キャリアは、当該分野において公知であるであり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースである。錠剤、散剤、カシェ剤、およびカプセル剤は、経口投与に適切な固体投薬形態として使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアおよび種々の組成物を製造する方法の例は、A.Gennaro(編)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版、(1990)、Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvaniaに見出され得る。
【0130】
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。例として、非経口注射のための水または水/プロピレングリコール溶液、あるいは経口液剤、懸濁剤、および乳剤のための、甘味料および乳白剤の添加が言及され得る。液体形態の調製物としてはまた、鼻孔内投与のための溶液が挙げられ得る。
【0131】
吸入のために適切なエアロゾル調製物は、溶液および粉末形態の固体を含有し得、これらは、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性圧縮ガス(例えば、窒素))と組み合わせられ得る。
【0132】
使用の直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのための液体形態調製物に転換されることが意図される、固体形態の調製物もまた、含まれる。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤、および乳濁剤が挙げられる。
【0133】
本発明の化合物はまた、経皮送達可能であり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル、および/または乳剤の形態をとり得、そしてこの目的で当該分野において通常であるような、マトリックスまたはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0134】
本発明の化合物はまた、皮下送達され得る。
【0135】
好ましくは、この化合物は、経口投与される。
【0136】
本明細書中に開示される本発明は、以下の調製および実施例によって例示され、これらは、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。代替の機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかである。
【0137】
NMRが提示される場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz、H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかで得、そしてMeSiからのppm低磁場として、プロトンの数、多重度、および挿入的に、ヘルツでの結合定数を用いて報告される。LC/MSデータが提示される場合、分析は、Applied Biosystems API−100質量分光計、およびShimadzu SCL−10A LCカラム:Altech白金C18,3ミクロン、33mm×7mmID;勾配フロー:0分−10%CHCN、5分−95%CHCN、7分−95%CHCN、7.5分−10%CHCN、9分−停止を使用して実施した。保持時間および観察された親イオンが与えられる。
【0138】
以下の溶媒および試薬は、括弧内のこれらの略号によって表され得る:
薄層クロマトグラフィー(TLC);
酢酸エチル(AcOEtまたはEtOAc);
炭酸ジ−t−ブチル(BOCO);
トリフルオロアセテート(TFA);
チタンテトライソプロポキシド(titanium tetraisoproposice)(Ti(O−iPr));
N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(iPrNEt);
トリエチルアミン(EtNまたはTEA);
ブトキシカルボニル(n−BocまたはBoc);
1,2−ジメトキシエタン(DME);
1,2−ジクロロエタン(DCE);
酢酸(AcOH);
無水トリフルオロ酢酸(TFAA);
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt);
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCl);m−クロロ過安息香酸(MCPBA);
トリエチルアミン(EtN);
4−ジメチルアミノピリジン(DMAP);
tert−ブトキシカルボニル(Boc);
トリエチルアミン(TEA);
核磁気共鳴分光法(H NMR);
液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS);
高分解能質量分析(HRMS);
ヘキサン(hex);
ミリリットル(mL);
ミリモル(mmol);
マイクロリットル(μl);
グラム(g);
ミリグラム(mg);
室温(周囲)約25℃(rt)。
【実施例】
【0139】
本発明において有用な化合物は、以下の調製例によって例示され、これらは、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。代替の本発明の範囲内である、機械的経路および類所の構造は、当業者に明らかである。
【0140】
出発物質を、公知の方法および/または調製例に記載される方法によって、調製する。以下の実施例は、本発明の化合物のいくつかの調製を記載し、そして本明細書中に開示される本発明を限定するとは解釈されない。
【0141】
【化45】

化合物6A〜6E(式Ib)および7A〜7G(式Ic)を、以下に記載される実験手順に従って調製する。
【0142】
【化46】

(手順A:)
2.61g(10mmol)の4−(4−ブロモフェニル)−4−ピペリジノール、0.925g(11mmol)のシクロペンタノンおよび0.6mL(10mmol)の酢酸の、30mLのジクロロメタン中の攪拌溶液に、2.9g(13mmol)のNaBH(OAc)を、室温で少しずつ添加した。攪拌を65時間続けた。これを、120mLの飽和NaHCO溶液でクエンチし、次いで、ジクロロメタン(150mL)で3回抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(80mL)で洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜3%のMeOHで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離して、2.36gの化合物1Aを得た。C1623BrNOについての計算値m/z=324;実測値m/z=324。
【0143】
(手順B:)
0.32g(1.0mmol)の化合物1Aの、1mLのアセトニトリル中の攪拌溶液に、0.3mL(4.8mmol)の濃HSOを0℃で添加した。この混合物を室温まで温め、そして40時間攪拌した。これを、40mLの飽和NaHCOでクエンチし、酢酸エチル(40mL)で3回抽出した。合わせた有機抽出物を、30mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜3%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離して、0.33gの化合物2Aを得た。C1826BrNOについての計算値m/z=365;実測値m/z=365。
【0144】
(手順C:)
0.3g(0.82mmol)の化合物2Aの、10mLの2N HCl中の懸濁液を、110時間還流した。これを、40mLの希NHOH溶液で塩基性化し、次いで、CHCl(40mL)で3回抽出した。合わせた有機抽出物を、30mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜3%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離して、0.2gの化合物3Aを得た。C1624BrNについての計算値m/z=323;実測値m/z=323。
【0145】
(手順D:)
1.46g(4mmol)の化合物3A、0.88g(6.0mmol)の3−シアノフェニルボロン酸、0.46g(0.4mmol)のPd(PPhの、5mLの2N NaCOおよび20mLのトルエン−MeOH(1:1)溶液中の混合物を、N雰囲気下で18時間還流した。これを室温まで冷却し、そしてセライトのパッドに通し、そして酢酸エチルで洗浄した。その濾液を濃縮し、その残渣を、CHCl中1〜3%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離して、1.32gの化合物4Aを得た。C2328についての計算値m/z=346;実測値m/z=346。
【0146】
(手順E:)
1.62g(10mmol)の3,5−ジクロロアニリンおよび2gのトリエチルアミンの、20mLのCHCl中の攪拌溶液に、2−ブロモアセチルブロミドを0℃で添加した。この混合物を、0℃で2時間撹拌し、100mLの酢酸エチルで希釈した。この溶液を、50mLの希NaOHで洗浄した;その水層を、50mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を、50mLのブラインで洗浄し、濃縮して、2.95gの化合物5Aを得た。1H NMR(CDCl、400MHz)δ8.15(br、1H)、7.51(s、2H)、7.16(s、1H)、4.02(s、2H)。
【0147】
化合物5B、5C、5Dおよび5Eを、同様に調製し得る。
【0148】
(手順F:)
0.17g(0.5mmol)の化合物4A、0.85g(0.3mmol)の化合物5Aおよび0.083g(0.6mmol)のKCOの、3mLのCHCN中の混合物を、60℃で16時間攪拌した。これを、25mLのHOで希釈し、そして酢酸エチル(30mL)で3回抽出した。合わせた有機抽出物を、25mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中10%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出する分取TLCによって精製して、0.089gの化合物6Aを得た。C3133ClOについての計算値m/z=548;実測値m/z=547。
【0149】
以下の化合物を、同様に調製し得る。
化合物6B:C3233Oについての計算値m/z=565;実測値m/z=565。
化合物6C:C3133ClFNOについての計算値m/z=531;実測値m/z=531。
化合物6D:C3233ClFOについての計算値m/z=581;実測値m/z=581。
化合物6E:C3133Oについての計算値m/z=515;実測値m/z=515。
【0150】
(手順G:)
0.023g(0.004mmol)の化合物6A、0.01mLの水性HCHO(37%)およびNaBH(OAc)の、2mLのCHCl中の混合物を、室温で90時間攪拌した。CHCl中10%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出する直接分取TLCは、0.022gの化合物7Aを与えた。C3235ClOについての計算値m/z=561;実測値m/z=561。
【0151】
以下の化合物を、同様に調製し得る。
化合物7B:C3335Oについての計算値m/z=579;実測値m/z=579。
化合物7C:C3235ClFNOについての計算値m/z=545;実測値m/z=545。
化合物7D:C3335ClFOについての計算値m/z=595;実測値m/z=595。
化合物7E:C3639ClFOについての計算値m/z=635;実測値m/z=635。
化合物7F:C3235Oについての計算値m/z=529;実測値m/z=529。
化合物7G:C3539Oについての計算値m/z=569;実測値m/z=569。
【0152】
化合物13A〜13D(式Id)を、以下に記載される実験手順に従って調製する。
【0153】
【化47】

(手順A:)
15.46g(59mmol)の4−(4−ブロモフェニル)−4−ピペリジノールの、75mLのメタノール中の攪拌溶液に、15.65g(71mmol)の二炭酸ジ−t−ブチルを少しずつ添加した。攪拌を一晩続けた。これを濃縮し、そして25mLの飽和NaHCOと50mLのCHClとの間で分配した。その有機層を分離し、そしてその水層を、CHCl(50mL)で3回抽出した。合わせた有機抽出物を、ブライン(25mL)で洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、ヘキサン中10%のEtOAcで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離し、20.8gの化合物8を得た。C1623BrNOについての計算値m/z=356;実測値m/z=356。
【0154】
(手順B:)
9.75g(27mmol)の化合物8の、60mLのトルエン/水/エタノール(4:2:1)中の攪拌溶液に、4.91g(32mmol)の3−シアノフェニルボロン酸、11.2g(81mmol)の炭酸カリウムおよび1.56g(1.3mmol)のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを添加した。この混合物を加熱還流し、そして一晩攪拌した。これを、セライトのパッドに通して濾過し、濃縮し、そして20mLのNaHCOと20mLのCHClとの間で分配した。その有機層を分離し、そしてその水層を、CHCl(20mL)で3回抽出した。合わせた有機抽出物を、20mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、ヘキサン中20〜35%のEtOAcで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離し、5.7gの化合物9を得た。C2327についての計算値m/z=379;実測値m/z=379。
【0155】
(手順C:)
15.1g(132mmol)の水素化カリウム(35%)の、20mLのTHF中の攪拌溶液に、8.3g(22mmol)の化合物9の、50mLのTHF中の溶液を、0℃でゆっくりと添加した。1時間攪拌した後6.3g(44mmol)のブロモ酢酸の、20mLのTHF中の溶液を、30分間にわたって0℃で導入した。これを撹拌し、そして一晩室温に温め、次いで、20mLの水でクエンチした。これを濃縮し、25mLの飽和NaHCOで希釈し、そしてCHCl(5mL)で4回抽出した。合わせた有機抽出物を、25mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中2〜5%のMeOHおよび1%のHOAcで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離し、8.7gの化合物10を得た。C2528についての計算値m/z=437;実測値m/z=437。
【0156】
(手順D:)
0.5g(1.14mmol)の化合物10、0.36g(1.7mmol)の1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、0.23g(1.4mmol)の3,5−ジクロロアニリンおよび0.013gのDMAPの、10mLのTHF中の溶液を、室温で72時間攪拌した。これを濃縮し、10mLの飽和NaHCOで希釈し、そしてCHCl(10mL)で5回抽出した。合わせた有機層を、10mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、ヘキサン中5〜35%のEtOAcおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルでのカラムで分離し、0.44gの化合物11を得た。C3132Clについての計算値m/z=580;実測値m/z=580。
【0157】
(手順E:)
0.44g(0.75mmol)の化合物11の、2.5mLのCHCl中の攪拌溶液に、2.5mLのTFAを0℃で添加した。この混合物を0℃で30分間攪拌し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中2〜3%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出してシリカゲルで精製して、0.31gの化合13Dを得た。C2624Clについての計算値m/z=480;実測値m/z=480。
【0158】
(手順F:)
0.035g(0.073mmol)の化合物13D、0.012g(0.15mmol)の水性HCHO(37%)および0.049g(0.22mmol)のNaBH(OAc)の、2mLのCHCl中の溶液を、室温で一晩攪拌した。この混合物をCHCl中5%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出する分取TLCによって精製して、0.03gの化合物13Aを得た。C2726Clについての計算値m/z=494;実測値m/z=494。
【0159】
以下の化合物を、同様に調製し得る。
化合物13B:C3030Clについての計算値m/z=534;実測値m/z=534。
化合物13C:C3132Clについての計算値m/z=548;実測値m/z=548。
【0160】
式Iの化合物は、MCHレセプターアンタゴニスト活性を示すように設計された試験手順において、薬理学的活性を示す。これらの化合物は、薬学的に治療的な用量において、非毒性である。
【0161】
(実験手順−−−スキーム3および4のC結合シリーズ)
(手順A:)
20.20g(91mmol)の4−シアノ−4−フェニルピペリジン塩酸塩および8.94mL(100mmol)のシクロペンタノンの、125mLのCHCl中の懸濁液に、5.25mL(91mmol)の酢酸、26.8g(120mmol)のNaBH(OAc)を添加した。この混合物を、室温で2日間攪拌した。これを、150mLの飽和NaHCOで希釈し、そしてCHClで抽出した。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜3%のMeOHで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離し、20.6gの化合物14を得た。C1723についての計算値m/z=255.19;実測値m/z=255.1。化合物29Gを、同様に調製し得る。C3132Oについての計算値m/z=500.2;実測値m/z=500.1。
【0162】
(手順B:)
8.0g(29mmol)の1−ベンジル−4−シアノ−4−フェニルピペリジンの、100mLのCHCl中の攪拌溶液に、トルエン中の38mL(38mmol)のDIBALを添加した。この混合物を、一晩室温まで温めた。さらに5.5mL(5.5mL)のDIBALを、室温で添加した。15分後、この溶液を−78℃まで冷却した。これを、15mLのMeOHでクエンチし、そして室温まで温めた。これを、セライトのパッドに通して濾過し、そしてその濾液を濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜3%のMeOHで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離し、3.92gの化合物21を得た。C1922NOについての計算値m/z=280.17;実測値m/z=280.3。
化合物15を、同様に調製し得る。C1724NOについての計算値m/z=258.19;実測値m/z=258.1.
(手順C:)
1.8g(45mmol)のNaH(60%)の、250mLのTHF中の懸濁液に、7.28g(40mmol)のトリメチルホスホノアセテートを0℃で添加した。50分間攪拌した後に、8.4g(30mmol)の化合物21の、40mLのTHF中の溶液を、0℃で導入した。これを、室温で18時間攪拌し、次いで、濃縮した。その残渣を、150mLのHOに溶解し、そして4部分の150mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を、60mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜3%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離し、8.7gの化合物22を得た。C2226NOについての計算値m/z=336.2;実測値m/z=336.1。
化合物16を、同様に調製し得る。C2028NOについての計算値m/z=314.2;実測値m/z=314.1。
【0163】
(手順D:)
0.67g(2mmol)の化合物22、3.0g(47mmol)のHCOONHの、30mLのMeOH中の溶液に、0.2gのPd(OH)/Cを添加した。この混合物を60℃で2時間攪拌した。これを濾過し、そしてその濾液を濃縮した。その残渣を、50mLの1N NaOHに溶解し、そして4部分の60mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を、50mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜4%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィーで分離し、0.42gの化合物23を得た。C1522NOについての計算値m/z=248.17;実測値m/z=248.3。
化合物17を、同様に調製し得る。C2030NOについての計算値m/z=316.2;実測値m/z=316.3。
【0164】
(手順E:)
5.4g(21.8mmol)の化合物23の、50mLのCHCl中の溶液に、7.5g(78mmol)のMeSOHを0℃で添加した。10分後、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントインを添加した。この混合物を室温で24時間攪拌し、そして2gのNaでクエンチした。これを、100mLのCHClで希釈し、100mLの1N NaOHで洗浄した。その水層を、2部分の120mLのCHClで抽出した。合わせた有機層を、80mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜4%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルで精製し、3.82gの化合物24を得た。C1521BrNOについての計算値m/z=326.1;実測値m/z=326.1。
化合物18を、同様に調製し得る。C2029BrNOについての計算値m/z=394.1;実測値m/z=394.1。
【0165】
(手順F:)
2.4g(6.1mmol)の化合物18、1.5g(9.3mmol)の3−シアノフェニルボロン酸、および0.67g(0.6mmol)のPd(PPhの、30mLのMeOH−トルエン(1:1)中の溶液に、6mLの2N NaCOを添加した。この混合物を還流下で18時間攪拌し、そして濃縮した。その残渣を、50mLの飽和NaHCOに溶解し、そして3部分の80mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を、50mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中1〜3%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルで精製し、1.42gの化合物19を得た。C2733についての計算値m/z=417.3;実測値m/z=417.4。
化合物27を、同様に調製し得る。C3234についての計算値m/z=546.2;実測値m/z=546.1。
【0166】
(手順G:)
0.05g(0.12mmol)の化合物19の、2mLのトルエン中の溶液に、0.12g(3mmol)のNaH(60%)を添加した。10分間攪拌した後に、0.04g(0.2mmol)の4−クロロ−3−トリフルオロメチルアニリンの、1mLのトルエン中の溶液を添加した。この混合物を還流下で4時間攪拌し、そして室温に冷却した。これを、20gの氷に注ぎ、そして2部分の30mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を、20mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、CHCl中10%のMeOHおよび1%のNHOHで溶出する分取TLCによって精製し、0.018gの化合物20Aを得た。CHNOについての計算値m/z=;実測値m/z=580.3。
【0167】
以下の化合物を、同様に調製し得る。
化合物20B:C3234ClO(M+1)についての計算値m/z=546.2;実測値m/z=546.1。
化合物20C:C3234ClFNO(M+1)についての計算値m/z=530.2;実測値m/z=530.1。
化合物20D:C3234O(M+1)についての計算値m/z=514.2;実測値m/z=514.1。
化合物20E:C3234ClO(M+1)についての計算値m/z=546.2;実測値m/z=546.1。
化合物20F:C3234O(M+1)についての計算値m/z=514.2;実測値m/z=514.1。
【0168】
以下の化合物もまた、類似の化学によって調製し得る:
【0169】
【化48】

(手順H:)
3.8g(11.7mmol)の化合物24、および3.0g(13.8mmol)の(Boc)Oの、60mLのMeOH中の溶液を、室温で18時間攪拌し、そして濃縮した。その残渣を、ヘキサン中5〜25%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルで精製して、3.45gの化合物25を得た。C2029BrNOについての計算値m/z=426.1;実測値m/z=426.2。
【0170】
(手順I:)
0.37g(3mmol)の3,4−ジフルオロアニリンの、3mLのトルエン中の溶液に、1.6mL(3.2mmol)の2M AlMe(トルエン中)を添加した。室温で20分間攪拌した後、1g(2.35mmol)の化合物25の、3mLのトルエン中の溶液を導入した。この混合物を還流下で30分間攪拌し、そして室温に冷却した。これを、100mLのエーテルで希釈し、50mLの0.5N HCl、50mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残渣を、ヘキサン中5〜25%の酢酸エチルおよび1%のNHOHで溶出するシリカゲルで精製して、0.64gの化合物26を得た。C2530BrFについての計算値m/z=523.1;実測値m/z=523.1。
【0171】
(手順J:)
0.17g(0.31mmol)の化合物27の、3mLのCHCl中の溶液に、3mLのTFAを添加した。この混合物を室温で40分間攪拌し、そして濃縮した。これを、30mLのCHClで希釈し、20mLの飽和NaHCO、および15mLのブラインで洗浄した。これを濃縮し、0.124gの粗製化合物28を得た。C2726Oについての計算値m/z=446.2;実測値m/z=446.1。
【0172】
(手順K:)
0.02g(0.045mmol)の化合物28の、1.5mLのCHCl中の溶液に、0.05g(0.5mmol)のEtNおよび0.02g(0.2mmol)のAcOを添加した。この混合物を室温で18時間攪拌した。CHCl中10%のMeOHで溶出する直接分取TLC精製により、0.02gの化合物29Aを得た。C2928についての計算値m/z=488.2;実測値m/z=488.1。
【0173】
以下の化合物を、同様に調製し得る。
化合物29B:C2828Sについての計算値m/z=524.2;実測値m/z=524.1。
化合物29C:C3030についての計算値m/z=518.2;実測値m/z=518.1。
化合物29D:C3235についての計算値m/z=545.2;実測値m/z=545.1。
化合物29E:C2931Sについての計算値m/z=553.2;実測値m/z=553.1。
化合物29F:C2831Sについての計算値m/z=553.2;実測値m/z=553.1。
【0174】
(MCHレセプター結合アッセイ:)
MCHレセプターを発現するCHO細胞由来の膜を、5mM HEPESを用いて15分間4℃で細胞を溶解することによって、調製した。細胞溶解物を遠心分離し(12.5000×g、15分間)、そしてペレットを、5mM HEPESに再懸濁させた。各96ウェルプレート(Microlite,Dynex Technologies)に対して、1mgの細胞膜を、10mgのコムギ胚芽凝集素SPAビーズ(Amersham)と共に5分間4℃で、10mlの結合緩衝液(25mM HEPES、10mM MGCl、10mM NaCl、5mM MnCl、0.1% BSA)中でインキュベートした。この膜/ビーズ混合物を遠心分離し、(1500×g、3.5分間)、その上清を吸引し、そしてペレットを、10mlの結合緩衝液中に再懸濁させた。次いで、遠心分離、吸引および再懸濁を、繰り返した。次いで、この膜/ビーズ混合物(100μl)を、50μlの500pM[125I]−MCH(NEN)および50mlの適切な濃度の化合物(所望の最終濃度の4倍)を含む96ウェルプレートに添加した。非特異的結合を、1μMのMCHをこの結合反応物に含めることによって、決定した。この結合反応物を、室温で2時間インキュベートした。次いで、プレートを、TOPCOUNTマイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard)で分析した。データを分析し、そしてKi値を、GraphPad Prismを使用して決定した。
【0175】
本発明の化合物について、MCHレセプター結合活性(Ki値)の、約3nM〜約1500nMの範囲が観察された。本発明の化合物は、約3nM〜約1000nMの範囲の結合活性を有する。
【0176】
【化49】

【0177】
【化50】

【0178】
【化51】

【0179】
【化52】

【0180】
【化53】

【0181】
【化54】

【0182】
【化55】

【0183】
【化56】

【0184】
【化57】

【0185】
【化58】

【0186】
【化59】

【0187】
【化60】

【0188】
【化61】

【0189】
【化62】

【0190】
【化63】

本発明は、上で述べた特定の実施形態に関連して記述されているものの、その多くの代替、改変および他のバリエーションは、当業者に明らかである。このような全ての代替、改変およびバリエーションは、本発明の精神および範囲内に入ると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2009−256390(P2009−256390A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187565(P2009−187565)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【分割の表示】特願2003−547370(P2003−547370)の分割
【原出願日】平成14年11月25日(2002.11.25)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】