説明

肥満およびCNS障害の処置のための選択的D1/D5レセプターアンタゴニスト

本発明は、D/Dレセプターについての新規アンタゴニストである化合物ならびに、そのような化合物を調製するための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、そのようなD/Dレセプターアンタゴニストを含有する薬学的組成物ならびに、それらを使用してCNS障害(例えば、強迫性障害、身体表現性障害、解離性障害、摂食障害、衝動調節障害、抜毛癖、自閉症)、肥満、代謝障害、摂食障害(例えば、食欲異常亢進)、糖尿病を処置する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2002年8月29日に出願された米国仮特許出願第60/406,856号から優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、D/Dレセプターアンタゴニストとして有用な生物学的等価な複素環、これらの化合物を含む薬学的に受容可能な組成物および肥満、代謝障害およびCNS障害を処置するためにこれらの化合物及び組成物を使用する処置の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
多くの研究が、肥満、ニコチン依存症および物質の乱用に指向されている。肥満および依存症に関連した健康コストが原因で社会へのコストは非常に高い。従って、病気にかかりやすい患者において、食物および他の物質に対する渇望を抑制する物質を提供することが望ましい。
【0004】
渇望を減少させるために投与される物質は、有意な生理的効果(例えば、気分の刺激あるいは血圧または心拍数の上昇)を生じない。この結果、乱用される物質を別の物質と置き換え得る。乱用される物質に対する渇望を抑制する化合物はまた、個人的な再発および乱用される物質の取得の場合に、乱用される物質の生理学的徴候を悪化させるべきではない。渇望を減少させるために投与される物質はまた、有意な有害な効果(例えば、精神不安、不穏状態、硬直)を生成するべきではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の肥満及び障害に加えて、中枢神経系(CNS)障害(例えば、強迫性障害、身体表現性障害(somatoform disorder)、解離性障害、摂食障害、衝動調節障害、抜毛癖、自閉症)を効果的に処置し得、改善し得、そして予防し得る薬物療法が、強く必要とされる。強迫性障害(「OCD」)(あらゆる精神医学的な障害のうち最もよく知られるものと認識される)は、米国人口の2〜3%で生じる。OCDは、不安を生じさせる状況、立ち入った思考(例えば、汚染および病原体の怖れ、疑い、将来の危害への不安、調和の必要性など)により特徴付けられる。これらは、儀式的な/理不尽な挙動(例えば、絶え間ない点検、絶え間ない洗濯、絶え間ない接触、絶え間ないカウントなど)に至る。Hollander,etal.,J.Clin.Psychiatry 57(Suppl.8),pp.3−6(1996)を参照のこと。
【0006】
身体表現性障害(例えば、身体醜形障害および心気症)は、外見または身体的な状態の異常な先入観によって特徴付けられる。例えば、身体醜形障害は、外見の欠陥の想像または軽蔑による先入観である。身体醜形障害の多くの患者は、社会、組織または日常生活の他の重要な局面において有意に欠損した、彼らの異常な先入観によって、重篤に衰弱する。
Philips,J.Clin.Psychiatry 57(suppl.8),pp.61−64(1996)を参照のこと。
【0007】
心気症は、病気であるか、または病気になりやすい持続的観念によって、特徴化づけられる。多くの心気症者は、病気による先入観のために、仕事または普通の活動に従事することができない。解離性障害(例えば、離人症)は、正常に統合された記憶または個性の一部を隔離する自己同一性、記憶または意識における突然の一時的な変化によって、特徴付けられる。
【0008】
摂食障害(例えば、拒食症、過食症および食欲異常亢進)は、接触を避ける異常な強迫感または大量の食物を異常に消費する抑制不可能な衝動によって特徴づけられる。これらの障害は、患者の社会的な幸福だけでなく物質的な幸福に影響する。
【0009】
衝動調節障害(例えば、病的賭博(pathological gambling)、買物依存症(compulsive buying)、性的衝動および窃盗癖)は、社会的な標準に受容不可能かまたは、異常なほど過剰であるかのいずれかである種々の挙動に繰り返し従事することによる先入観、およびその抑制不能さによって特徴付けられる。
【0010】
抜毛癖は、通常子供に見られる習慣的な毛髪牽引である。MerckIndex,15tEdition(1987);Christenson,Gary;O’Sullivan,Richard,Trichotillomania:Rational treatment options,CNS Drugs(1996),6(1),23−34;Tukel R; Keser V;Karali N t;Olgunt O;Calikusu C.Comparison of clinical characteristics in trichotillomania and obsessive−compulsive disorder, JOURNAL OF ANXIETY DISORDERS (2001 Sep−Oct), 15 (5),433−41 ; du Toit P ; van Kradenburg J; Niehaus D J; Stein D J, Characteristics and phenomenology of hair−pulling : an exploration of subtypes, COMPREHENSIVE PSYCHIATRY(2001 May−Jun),42(3),247−56を参考のこと。
【0011】
自閉症は、自分自身による先入観および外部の刺激に感知または反応する能力の重度な欠陥によって、特徴付けられる。多くの自閉症患者は、他人とコミュニケーションさえできない。
【0012】
これらの障害の悲劇的で衰弱させるような影響のことを考慮すると、そのような障害を効果的に処置し得る薬物療法が、強く必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
多くの実施形態において、本発明は、D/Dレセプターアンタゴニストとして生物学的に等価な複素環の新規分類、そのような化合物、そのような化合物を1つ以上含む薬学的に受容可能な組成物を調製する方法、そのような化合物を1つ以上含む薬学的に受容可能な組成物または処方物を調製する方法、ならびに肥満、代謝障害、CNS障害、または肥満に関連した1つ以上の疾患を、そのような化合物または薬学的に受容可能な組成物を使用して、処置、予防、阻害または改善する方法を提供する。
【0014】
1つの局面において、本発明は、式Iに示される一般構造を有する前記化合物の化合物、薬学的に受容可能な塩または薬学的に受容可能な溶媒和物を提供する
【0015】
【化7】

【0016】
ここで、
pは、0、1または2であり、pが0であるとき、(V)が結合する炭素は、互いに結合するのではなく、水素と結合し;
Gは、水素、ハロ、アルキル、アルキルチオ、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり;
Vは、−CH−であり;
Xは、CH、C(アルキル)、CCFおよびNであり;
Yは、CH、C(アルキル)、CCFおよびNであり;
は、水素、アルキル、アリル、シクロアルキルまたはシクロアルキル(アルキル)であり;
は、水素であるか、または、同一かまたは異なる1〜4つの置換基であり、各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、−CH=O、−NO、−NR1112、CN、R10置換アリール、ヘテロアリール、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−C(R)NR、−C(R)=NORおよび−C(R)ORからなる群より選択され;
は、アリール、R10置換アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アルキルまたはハロゲンであり;
は、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリール、アルキルまたは水素であり、あるいは、R、Rおよび−NRのNが共に結合して、アゼンチジン、R置換アゼンチジン、ピロリジン、R置換ピロリジン、ピペリジン、R置換ピペリジン、ピペラジン、R置換ピペラジン、モルホリンおよびR置換モルホリンからなる群から選択される環を形成し;
は、アルキル、アリールアルキル、−C(O)NR、−S(O)NR、−S(O)、−C(O)R、−C(O)ORまたは−RO−アルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルであり、あるいは、R、Rおよび−NRのNが共に結合して、アゼンチジン、R置換アゼンチジン、ピロリジン、R置換ピロリジン、ピペリジン、R置換ピペリジン、ピペラジン、R置換ピペラジン、モルホリンおよびR置換モルホリンからなる群から選択される環を形成し;
は、水素、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
は、水素、アリール、アルキル、アリールアルキルまたはヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルであり;
10は、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、複素環式、YN−、YN−アルキル−、YN−C(O)−およびYN−NSO−からなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同じかまたは異なり得て、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から独立して選択される;
11は、水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;
12は、−C(O)R13、−S(O)13、−C(O)NRまたは−C(O)OR13であり;
ならびに
13は、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルである。
【0017】
別の局面において、本願は、式IIに示される一般構造を有する前記化合物の化合物、薬学的に受容可能な塩または薬学的に受容可能な溶媒和物を提供する
【0018】
【化8】

【0019】
ここで、
pは、0、1または2であり、pが0であるとき、(V)が結合する炭素は、互いに結合するのではなく、水素と結合し;
Gは、水素、ハロ、アルキル、アルキルチオ、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり;
Vは、−CH−であり;
Wは、O、S、NHおよびN(アルキル)であり;
Zは、NH、N(アルキル)、SおよびOであり;
は、水素、アルキル、アリル、シクロアルキルまたはシクロアルキル(アルキル)であるり;
は、水素または、同一または異なり得る1〜4つの置換基であり、各Rが、独立して、ハロゲン、アルキル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、−CH=O、−NO、−NR1112、CN、R10置換アリール、ヘテロアリール、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−C(R)NR、−C(R)=NORおよび−C(R)ORからなる群から独立して選択され;
は、アリール、R10置換アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アルキルまたは水素であり;
は、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリール、アルキルまたは水素であり、あるいは、R、Rおよび−NRのNが共に結合して、アゼンチジン、R置換アゼンチジン、ピロリジン、R置換ピロリジン、ピペリジン、R置換ピペリジン、ピペラジン、R置換ピペラジン、モルホリンおよびR置換モルホリンからなる群から選択される環を形成し;
は、アルキル、アリールアルキル、−C(O)NR、−S(O)NR、−S(O)、−C(O)R、−C(O)ORまたは−RO−アルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルであり、あるいは、R、Rおよび−NRのNが共に結合して、アゼンチジン、R置換アゼンチジン、ピロリジン、R置換ピロリジン、ピペリジン、R置換ピペリジン、ピペラジン、R置換ピペラジン、モルホリンおよびR置換モルホリンからなる群から選択される環を形成し;
は、水素、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;;
は、水素、アリール、アルキル、アリールアルキルまたはヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルであり;
10は、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、複素環式、YN−、YN−アルキル−、YN−C(O)−およびYN−NSO−からなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同じかまたは異なり得て、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から独立して選択される;
11は、水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;
12は、−C(O)R13、−S(O)13、−C(O)NRまたは−C(O)OR13であり;
ならびに
13は、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルである。
【0020】
式IおよびIIの化合物は、D/Dレセプターアンタゴニストとして有用であり得、CNS障害、代謝障害(例えば、肥満)および摂食障害(例えば、食欲異常亢進)の処置に有用であり得る。本発明の別の実施形態は、肥満処置量の式IまたはIIあるいは、該化合物の薬学的に受容可能な塩、およびその薬学的に受容可能なキャリアを含む、肥満処置のための薬学的に受容可能さ組成物に指向される。
【0021】
(発明の詳細な説明)
1つの実施形態において、本発明は、構造式IおよびIIあるいはその薬学的に受容可能な塩または溶媒和により代表される。ここで、種々の部分は、上に記載した通りである。
【0022】
式IおよびIIの好ましい実施形態において、Gは、ハロであり、Rは、水素、アルキル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルであり、Rは、水素である。
【0023】
式IおよびIIの別の好ましい実施形態において、Gは、クロロである。
【0024】
式IおよびIIの別の好ましい実施形態において、Rは、水素またはメチルである。
【0025】
化合物の好ましい群は、以下の表1に示される。
【0026】
式IおよびIIの化合物は、ラセミ混合物または鏡像異性体的純粋な化合物として投与され得る。
【0027】
上で使用したように、また、本明細書全体を通じて、以下の用語は、他に指示がなければ、以下の意味を有すると理解すべきである:
「患者」は、ヒトおよび動物の両方を含む。
【0028】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を包含する。
【0029】
「アルキル」とは、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、約1個〜約20個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約12個の炭素原子を含有する。さらに好ましいアルキル基は、その鎖の中に、約1個〜約6個の炭素原子を含有する。分枝とは、直鎖状のアルキル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。「低級アルキル」とは、その鎖内に、約1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、直鎖または分枝であり得る。「置換アルキル」との用語は、このアルキル基が、1個またはそれ以上の置換基(これらは、同一または異なり得る)で置換され得ることを意味し、各置換基は、独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から選択される。適切なアルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0030】
「アリール」とは、芳香族の一環式または多環式の環系を意味し、これは、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含有する。このアリール基は、必要に応じて、独立して、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これらの置換基は、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである。適切なアリール基の非限定的な例には、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0031】
「ヘテロアリール」とは、芳香族の一環式または多環式の環系を意味し、これは、約5個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含有し、ここで、その環原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含有する。この「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これは、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである。このヘテロアリール根本名称の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子が存在していることを意味している。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化できる。適切なヘテロアリールの非限定的な例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1、2、4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1、2−a]ピリジニル、イミダゾ[2、1−b]チアゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1、2、4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0032】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリール−アルキル基を意味し、ここで、このアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適切なアラルキル基の非限定的な例には、ベンジル、2−フェネチルおよびナフテニルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介している。
【0033】
「アルキルアリール」とは、アルキル−アリール基を意味し、そのアルキルおよびそのアリールは以前に記載されたものである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例は、トリルである。この親部分への結合は、アリールを介する。
【0034】
「シクロアルキル」とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含む。好ましいシクロアルキル環は、約3個〜約7個の環原子を含有する。このシクロアルキルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これは、同一または異なり得、上で定義したとおりである。適切な一環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルネニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0035】
「シクロアルキルアルキル」とは、シクロアルキルアルキル基を意味する。適切なシクロアルキルアルキル基の非限定的な例には、シクロプロピルメチルおよびシクロプロピルエチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキル基を介する。
【0036】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素または臭素が好ましく、フッ素および塩素がさらに好ましい。
【0037】
「ハロ」とは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード基を意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがさらに好ましい。
【0038】
「環系置換基」とは、芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、これは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同一または異なり得、各々は、独立して、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同一または異なり得、各々は、独立して、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択される;2個の隣接環系置換基は、共に結合して、メチレンジオキシ基またはエチレンジオキシ基を形成し得る。
【0039】
「ヘテロシクリル」とは、非芳香族の一環式または多環式環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含み、ここで、その環系内の原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。この環系には、隣接した酸素原子および/またはイオウ原子は存在しない。好ましいヘテロシクリル環は、約5個〜約6個の環原子を含有する。そのヘテロシクリル基礎名称の前のアザ、オキサまたはチアとの接頭語とは、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子がそれぞれ存在していることを意味する。このヘテロシクリルは、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これは、同一または異なり得、上で定義したとおりである。このヘテロシクリルの窒素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化できる。適切な一環式ヘテロシクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1、4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、ピロリドニル、テトラヒドロチオフェニルなどが挙げられる。
【0040】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル基を意味し、ここで、このヘテロアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適切なヘテロアラルキル基の非限定的な例には、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介している。
【0041】
「ヒドロキシアルキル」とは、HO−アルキル基を意味し、ここで、アルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含有する。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例には、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0042】
「アシル」とは、H−C(O)−基、アルキル−C(O)−基またはシクロアルキルC(O)−基を意味し、ここで、これらの種々の基は、先に記述したとおりである。その親部分への結合は、カルボニルを介している。好ましいアシルは、低級アルキルを含有する。適切なアシル基の非限定的な例には、ホルミル、アセチルおよびプロパノールが挙げられる。
【0043】
「アロイル」とは、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、そのアリール基は、先に記述したとおりである。その親部分への結合は、カルボニルを介している。適切な基の非限定的な例には、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが挙げられる。
【0044】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記述したとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが挙げられる。このアルキル基は、そのエーテル酸素を介して、隣接部分に結合している。
【0045】
「アリールオキシ」とは、アリール−O−基であり、ここで、そのアリール基は、先に記述したとおりである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例には、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。その親部分への結合は、エーテル酸素を介している。
【0046】
「アルキルチオ」とは、アルキル−S−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記述したとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例には、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。その親部分への結合は、イオウを介している。
【0047】
「アリールチオ」とは、アリール−S−基を意味し、ここで、そのアリール基は、先に記述したとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例には、フエニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。その親部分への結合は、イオウを介している。
【0048】
「アラルキルチオ」とは、アラルキル−S−基を意味し、ここで、そのアラルキル基は、先に記述したとおりである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例には、ベンジルチオが挙げられる。その親部分への結合は、イオウを介している。
【0049】
「アルコキシカルボニル」とは、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0050】
「アリールオキシカルボニル」とは、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例には、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0051】
「アラルコキシカルボニル」とは、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例には、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。その親部分への結合は、カルボニルを介している。
【0052】
「アルキルスルホニル」とは、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基には、そのアルキル基が低級アルキルであるものがある。その親部分への結合は、スルホニルを介している。
【0053】
「アリールスルホニル」とは、アリール−S(O)−基を意味する。その親部分への結合は、スルホニルを介している。
【0054】
「置換された」との用語とは、指定原子上の1個またはそれ以上の水素が指示された基からの選択で置き換えられたことを意味するが、但し、既存状況下での指定原子の通常の原子価を超えず、その置換は、安定な化合物を生じる。置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ、許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な純度までの単離および有効な治療剤への処方に耐えるのに十分に頑丈であることを意味する。
【0055】
「必要に応じて置換された」との用語は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意の置換を意味する。
【0056】
本明細書中の教本、スキーム、実施例および表における満たされていない原子価を有するヘテロ原子は、それらの原子価を満たす水素原子を有すると想定されることもまた、留意すべきである。
【0057】
ある化合物中の官能基が「保護」と呼ばれるとき、このことは、その化合物を反応にかけたとき、その保護部位で望ましくない副反応を防止するために、変性形態である。適切な保護基は、当業者に知られているだけでなく、標準的な教本(例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991),Wiley,New York.)から分かる。
【0058】
任意の変数(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の成分または式Iにおいて、1回より多く現れるとき、各出現例でのその定義は、いずれの他の出現例でのその定義とも無関係である。
【0059】
本明細書中で使用する「組成物」との用語は、特定量で特定の成分を含有する生成物だけでなく、特定量の特定成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含すると解釈される。
【0060】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で考慮される。「プロドラッグ」との用語は、本明細書中で使用するとき、薬剤前駆体である化合物を意味し、これは、被験体に投与すると、代謝または化学プロセスにより化学変換を受けて、式Iの化合物またはその塩および/または溶媒和物を生じる。プロドラッグの論述は、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987) 14 of the A.C.S.Symposium Seriesおよびin Bioreversible.Carriers in Drug Design,(1987) Edward B.Roche著、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressで提供されており、両文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0061】
「溶媒和物」とは、1種またはそれ以上の溶媒分子による本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合には、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含めて)が関与している。ある場合には、この溶媒和物は、例えば、1種またはそれ以上の溶媒分子を結晶性固形物の結晶格子に取り込むとき、単離できる。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能溶媒の両方を包含する。適切な溶媒和物の非限定的な例には、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」とは、その溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0062】
「有効量」または「治療有効量」とは、ドーパミンレセプタをアンタゴナイズするのに有効な(それにより、所望の治療効果、改善効果または予防効果を生じる)本発明の化合物の量を意味する。
【0063】
式IおよびIIの化合物は、本発明の範囲内である塩を形成する。本明細書中での式Iの化合物の言及は、他に指示がなければ、その塩の言及を含むことが分かる。「塩」との用語は、本明細書中で使用するとき、無機酸および/または有機酸で形成された酸性塩だけでなく、無機塩基および/または有機塩基で形成された塩基性塩基を意味する。それに加えて、式IおよびIIの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾール(これらに限定されないが))または酸性部分(例えば、カルボン酸(これに限定されないが))の両方を含有するとき、両性イオン(「内部塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する「塩」との用語に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で生理学的に受容可能な)塩が好ましいものの、他の塩もまた、有用である。式IおよびIIの化合物の塩は、例えば、式IおよびIIの化合物を、この塩が沈殿する媒体または水性媒体中にて、一定量(例えば、当量)の酸または塩基と反応させることに続いて、凍結乾燥することにより、形成され得る。
【0064】
代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ塩、ショウノウスルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(これはまた、トシレートとしても知られている)などが挙げられる。さらに、塩基性医薬品化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適切と一般に考えられている酸は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1) 1〜19;P.Gould,Intemational J.of Pharmaceutics(1986)33 201〜217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびin The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.on their website)で論述されている。これらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0065】
代表的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)を備えた塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン)、およびアミノ酸を備えた塩(例えば、アルギニン、リシンなど))が挙げられる。塩基性窒素含有基は、以下のような試薬で四級化され得る:低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチルおよびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチルおよびジブチルおよび)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)など。
【0066】
このような酸塩および塩基塩の全ては、本発明の範囲内で、薬学的に受容可能な塩であると解釈され、全ての酸塩および塩基塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であると考えられる。
【0067】
式IおよびIIの化合物、その塩、溶媒和物およびプロドラッグは、それらの互変異性形態(例えば、アミドまたはイミノエーテル)の形態で存在し得る。このような互変異性形態の全ては、本明細書中では、本発明の一部であると考慮される。
【0068】
本発明の化合物(これらの化合物の塩および溶媒和物を含めて)の全ての立体異性体(例えば、種々の置換基上の非対称炭素が原因で存在し得るもの)は、鏡像異性体(これは、非対称炭素なしで存在し得る)、回転異性体、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含めて、本発明の範囲内であると考慮される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含み得ないか、例えば、ラセミ体として混合され得るか、他の全ての立体異性体または他の選択した立体異性体であり得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsにより定義されるSまたはR立体配置を有し得る。「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体またはラセミ体の塩、溶媒和物およびプロドラッグにも、同様に適用すると解釈される。
【0069】
式IおよびIIの化合物は、シトクロムP450 2D6レセプターの効力を減少させ得、それゆえ他の薬物の代謝に影響する効力を減少させ得る。
【0070】
式IおよびIIの化合物は、肥満の処置に有効な、非常に選択的である、高D1/D2レセプターアンタゴニストである。
【0071】
本発明の他の局面は、疾患または病気に罹った患者(例えば、ヒト)に、治療有効量の式IまたはIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩を投与することにより、該患者を処置する方法である。
【0072】
式IまたはIIの化合物の好ましい投薬量は、約0.001〜100mg/kg/日である。式Iの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩の特に好ましい投薬量は、約0.01〜25mg/kg/日である。
【0073】
本発明の他の局面は、肥満を処置する方法に関し、該方法は、このような処置が必要な患者に、治療有効量の式IまたはIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0074】
本発明の他の局面は、摂食障害および代謝障害(例えば、食欲異常亢進および拒食症)を処置する方法に関し、該方法は、患者に、治療有効量の式IまたはIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0075】
本発明の他の局面は、高脂血症を処置する方法に関し、該方法は、患者に、治療有効量の式IまたはIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0076】
本発明の他の局面は、セルライトおよび脂肪の蓄積を処置する方法に関し、該方法は、患者に、治療有効量の式IまたはIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0077】
本発明の他の局面は、II型糖尿病を処置する方法に関し、該方法は、患者に、治療有効量の式IまたはIIの少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0078】
本発明の化合物のD/Dレセプターへの「直接的」効果に従って、体重減少により有利になり得る疾患または状態(例えば、インスリン抵抗性、欠陥グルコース耐性、II型糖尿病、高血圧、高脂血症、心疾患、胆石、特定の癌および睡眠時無呼吸)がある。
【0079】
式IおよびIIの化合物は、式IまたはIIの化合物またはその塩もしくは溶媒和の有効量を投与することによって、強迫性障害、身体表現性障害、解離性障害、摂食障害、衝動調節障害、または自閉症)に苦しむ患者の処置において有用であると期待される。
【0080】
さらに詳細には、式IまたはIIの化合物は、種々の摂食障害(例えば、拒食症、過食症および食欲異常亢進が挙げられるが、これらに限定されない)の処置に有用であり得る。
【0081】
式IおよびIIの化合物は、衝動調節障害(例えば、病的賭博、買物依存症、性的衝動および窃盗癖が挙げられるが、これらに限定されない)の処置に有用であり得る。
【0082】
本発明の化合物(すなわち、式IおよびII)はまた、以下に記載する他の化合物組み合わせて使用され得る。従って、本発明の別の局面は、肥満を処置するための方法であり、該方法は、患者(例えば、男性または女性ヒト)に投与する工程を包含する。
【0083】
a.一定量の第1化合物であって、該第1化合物は、本発明の化合物または該化合物の溶媒和、該化合物または該溶媒和の薬学的に受容可能な塩であり;
b.一定量の第2の化合物であって、該第2化合物(b)は、肥満抑制薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニスト)であり、ここで、該(a)および(b)の量は、治療効果を生じる。
【0084】
本発明はまた、以下を含有する薬学的に受容可能な組合せ組成物に関する:治療有効量の組成物であって、以下を含有する:
a.第1化合物であって、該第1化合物は、本発明の化合物または該化合物の溶媒和、該化合物または該溶媒和の薬学的に受容可能な塩であり;そして
b.第2化合物であって、該第2の化合物は、肥満抑制薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニスト)から選択される;および/または必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアである。
【0085】
本発明の他の局面は、以下のa、bおよびcを含有するキットである:
a.第1投薬形態での、一定量の式IまたはIIのまたは該化合物の薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;
b.第2投薬形態での、一定量の少なくとも1種の肥満抑制薬および/または食欲抑制薬(例えば、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニスト)、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;および
c.該第一および第二投薬形態を含有させる手段であって、ここで、該第一および第二化合物の量は、治療効果を生じる。
【0086】
上記組み合わせ方法、組み合わせ組成物および組み合わせキットにおいて、好ましい抗肥満剤および/または食欲抑制剤(単一かまたはその組み合わせて用いられる)としては、以下が挙げられる:フェニルプロパノールアミン、エフェドリン偽エフェドリン、フェンテルミン、コレストキニン−A(以後、CCK−2と呼ぶ)アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤(例えば、シブトラミン)交感神経様作用薬、セロトニン作用薬(例えば、デクスフェンフルアミン(dexfenfluramine)またはフェンフルアミン)、ドパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン刺激ホルモンレセプターアゴニスト、または模倣メラニン刺激ホルモンレセプター類似体、カンナビノイドレセプターアンタゴニスト、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、OBタンパク質(以後、「レプチン」と呼ぶ)、レプチン類似体、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニンアンタゴニストまたはGlリパーゼ阻害剤またはデクリラーゼ(例えば、オルリスタット)。
他の食欲抑制剤としては、ボンベシン、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、糖質コルチコイドレセプターアゴニストおよびアンタゴニスト、オレキシンレセプターアンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1レセプターのアゴニスト(例えば、エキセンジン(Exendin))、毛様体神経栄養性因子(例えば、アキソキン)が挙げられる。
【0087】
本発明の他の局面は、患者(例えば、ヒトの女性または男性)に、以下のaおよびbを投与する工程を包含する、糖尿病を処置する方法である:
a.一定量の第1化合物であって、該第1化合物は、式IまたはIIの化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩であり;そして
b一定量の第2化合物であって、該第2化合物は、アルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、ジペプチジルプロテアーゼ阻害剤、インシュリン(経口生物利用可能なインシュリン製剤を含めて)、インシュリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−ガンマ配位子(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリバジド、グリブリドまたはクロルプロパミドであり;ここで、該(a)および(b)の量は、治療効果を生じる。
【0088】
本発明の別の局面は、キットであって、該キットは以下を含有する:
a.第1投薬形態での、一定量の本発明の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤;
b.第2投薬形態での、一定量のアルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、ジペプチジルプロテアーゼ阻害剤、インシュリン(経口生物利用可能なインシュリン製剤を含めて)、インシュリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、PPAR−ガンマ配位子(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンまたはGW−1929)、スルホニル尿素、グリバジド、グリブリドまたはクロルプロパミド;ならびに必要に応じて薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクル、または希釈剤;ならびに
c.第1投薬形態および第2投薬形態の平均量であり、ここで、一定量の第1および第2の化合物は、治療効果を生じる。
【0089】
1つ以上の活性物質(ここで、該活性物質は、別個の投薬量である)を用いる組み合わせ処置について、該活性物質は、別々に投与され得るか、または組合せ投与され得る。さらに、1つの成分の投与は、別の活性物質の投与の前か、同時か、またはその後に行われ得る。
【0090】
活性成分を含む薬学的組成物は、経口投与に適した形態(例えば、錠剤、トローチ剤、口腔錠、水性または油状懸濁剤、分散剤または顆粒剤、乳剤、硬質または軟質カプセル剤またはシロップ剤またはエリキシル剤)であり得る。経口使用に意図される組成物は、薬学的組成物の製造について当該分野に公知の任意の方法に従って調製される。そのような組成物は、甘味剤、香料添加剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1つ以上の物質を含み得る。錠剤は、錠剤の製造に適切である、無毒な薬学的に受容可能な賦形剤を有する添加物中に活性成分を含む。これらの賦形剤としては、不活性賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳酸、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);顆粒剤および分解剤(例えば、コーンスターチまたはアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム)、ならびに潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)が挙げられるが、これらに限定されない。錠剤は、コーティングされないか、または、消化管における遅い分解および吸収によって、長い期間にわたって作用を維持するために、公知技術によってコーティングされ得る。例えば、時間延長物質(例えば、モノステアリン酸グリセリン、ジアステリン酸グリセリン)が使用され得る。これらは、徐放のための浸透性治療錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;同第4,166,45号及び同第4,265,874号に記載される技術によってコーティングされ得る。
【0091】
経口使用のための処方物はまた、活性成分が、不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカロチン)と共に混合される堅いゼラチンカプセルとして;あるいは、活性成分が、水または油状溶剤(例えば、ピーナッツ油、流動パレフィンまたはオリーブ油)と共に混合される柔らかいゼラチンカプセル存在し得る
水性懸濁剤は、そのような懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合した活性物質を含む。そのような懸濁剤は、懸濁化剤(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジノン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム)である。分散剤または湿潤剤はまた、天然に存在するリン脂質(例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)または、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、へプタデカエチレン−オキシセタノール(heptadecaethylene−oxycetanol))または、脂肪酸から誘導される部分エステルを有するエチレンオキシドとヘキシトールとの縮合物(例えば、ソルビトールモノオレイン酸ポリオキシエチレン)または、脂肪酸から誘導される部分エステルを有するエチレンオキシドとヘキシトール無水物との縮合体(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)であり得る。水性懸濁剤はまた、1つ以上の懸濁剤(例えば、エチル安息香酸またはn−プロピル安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸)、1つ以上の着色剤、1つ以上の香料剤ならびに1つ以上の甘味剤(例えば、サッカロース、サッカリン、アスパラテーム等)を含み得る。
【0092】
油状懸濁剤は、植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油)中活性成分または鉱物油(例えば、流動パラフィン)中の活性成分を懸濁することによって処方され得る。油状懸濁剤はまた、増粘剤(例えば、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコール)を含み得る。上に記載したような甘味剤および香料剤を添加して、味のよい経口調製物を提供し得る。これらの組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)の添加によって、保存され得る。
【0093】
水の添加による水性懸濁剤の調製に適した分散可能な粉末または顆粒は、分散剤もしくは湿潤剤、懸濁剤および1つ以上の保存剤を混合した活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、上記に記載したものが、例に挙げられる。さらなる賦形剤(例えば、甘味剤、香料剤および着色剤)がまた存在する。
【0094】
本発明の薬学的組成物はまた、油中水乳濁液の形状であり得る。油状相は、植物油(例えば、オリーブ油またはラッカセイ油)あるいは鉱物油(例えば、流動パラフィン)あるいはそれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するリン脂質(例えば、大豆、レシチン)、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、ならびに上記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)であり得る。この乳濁液はまた、甘味剤および香料剤を含み得る。
【0095】
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤(例えば、グリセロール、ポリピレングリコール、ソルビトールまたはサッカロース)と共に処方され得る。そのような処方物はまた、粘滑薬、保存剤、香料剤および着色剤)を含み得る。
【0096】
薬学的組成物は、滅菌した注射可能な水溶性または油脂性懸濁剤の処方形態であり得る。この懸濁剤は、上記に記載した分散剤、湿潤剤および懸濁剤を使用して公知技術に従って処方され得る。この滅菌した注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶液(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)の滅菌した注射可能なようえきまたは懸濁剤であり得る。使用され得るこの受容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌した不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として慣習的に使用される。
このために、無菌性の不揮発性油は、合成モノグリセリドまたはジグリセリド含んで使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射可能な調製物に使用される。
【0097】
式IおよびIIまたはそれらの薬学的組成物はまた、薬物の直腸投与のために坐剤の投薬形態で投与され得る。これらの組成物はまた、薬物と適切な非刺激性の賦形剤(これは、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、それゆえ、直腸中で融解して薬物を放出する)との混合によって調製され得る。そのような物質は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0098】
局所的な使用のために、式IおよびIIまたはそれらの薬学的組成物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液等が使用される(この適用のために、局所適用は、口洗剤または嗽薬を含み得る)。
【0099】
式IおよびIIまたはそれらの薬学的組成物は、適切な鼻腔内ビヒクルの局所使用を介する鼻腔内処方形態で投与され得るか、または、当業分野に周知の経皮スキンパッチの処方形態で使用する経皮経路で投与され得る。経皮送達システムの処方形態で投与するために、薬物投与は、もちろん、薬物処方計画の間中、断続的ではなく継続的である。本発明の化合物または薬学的な組成物はまた、基材(例えば、ココアバター、グリセリンゼラチン、水素化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとの混合物)を使用する坐剤として送達され得る。
【0100】
本発明の式IおよびIIまたはそれらの薬学的組成物を使用する薬物処方計画は、患者の体型、種族、年齢、体重、性別および病状;処置されるべき症状の重篤度;投薬経路;患者の腎臓および肝臓機能;ならびにその使用される特定の化合物を含む種々の因子に従って選択される。普通の技術を有する医師または獣医師は、必要とされる薬物の有効量を簡単に決定し、処方して、病状の進行を防ぐか、対向するか、阻止するか、または後進させる。毒性無しに効力を与える範囲内の薬物濃度達成する際の最適な正確さには、標的部位に対する薬物のアベイラビリティの動力学に基づいた処方計画が必要である。これは、薬物の分配、平衡および消失の検討に関する。好ましくは、本発明の方法において構造式IおよびIIの化合物の用量は、1人大人あたり1日あたり0.01〜1000mgの範囲である。最も好ましくは、用量は、0.1〜500mg/日の範囲である。経口投与について、組成物は、処置されるべき患者に対する投薬量の病状調整のために、好ましくは、0.01〜1000mgの活性成分、詳細には、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100および500mgの活性成分を含む錠剤の処方形態で提供される。薬物の有効量は、体重の約0.01mg/kg〜500mg/kgの投薬レベルで、通常、供給される。この範囲は、さらに詳細には、1日あたり体重の約0.01mg/kg〜150mg/kg、最も詳細には、0.01mg/kg〜10mg/kgである。
【0101】
有利に、本発明の活性剤は、単一の1日量で投与され得るか、または合計の1日量が、1日に2回、3回、または4回に分けた用量で投与され得る。
【0102】
単一の投薬形態を製造するためにキャリア物質と合わせ得る活性成分の量は、処置される受容者および投与の特定な様式に依存して変わる。
【0103】
しかしながら、特定の患者に対する特定の用量レベルは、種々の因子(例えば、年齢、体重、身体全体の健康、性別、食習慣、投与時間、投与経路、排出速度、薬物の組み合わせおよび治療を受ける特定の疾患の重篤度)に依存する。
【0104】
好ましい薬物群を以下の表に記載する。
【0105】
(表1)
【0106】
【表1−1】

【0107】
【表1−2】

【0108】
【表1−3】

【0109】
【表1−4】

【0110】
式1、2、3、4および5のような化合物を、以下(スキーム1)に示されるように化合物III:
【0111】
【化9】

【0112】
から、手順A、B、CおよびDによって調製し得る。
【0113】
(スキーム1)
【0114】
【化10】

【0115】
式6、7および8に代表される化合物を、以下(スキーム2)に示すように手順E、FおよびGから調製し得る。
【0116】
(スキーム2)
【0117】
【化11】

【0118】
式9A、10A、11A、12A、13A、14A、15A、16A、17Aおよび18Aに代表される化合物を、スキーム3に従って手順H、I、J、K、L、M、N、O、PおよびQによって調製し得る。
【0119】
(スキーム3)
【0120】
【化12】

【0121】
式9B、10B、11B、12B、13B、14B、15B、16B、17Bおよび18Bを、以下のスキーム4に記載されるように手順H、I、J、K、M、O、PおよびQによって合成し得る。
【0122】
(スキーム4)
【0123】
【化13】

【0124】
手順R、S、T、U、V、W、XおよびYを使用して式19A、20A、21A、22A、23A、24A、25Aおよび26Aのような化合物の合成経路を、スキーム5に記載する。
【0125】
(スキーム5)
【0126】
【化14】

【0127】
式19B、20B、21B、22B、23B、24B、25Bおよび26Bのような化合物の合成経路を、手順R、S、T、U、V、W、XおよびYを使用してスキーム6に記載する。
【0128】
(スキーム6)
【0129】
【化15】

【0130】
9C1012C14C16C18Cおよび27Cのような化合物の合成経路を、手順H、I、J、K、L、O、QおよびZを使用してスキーム7に記載する。
【0131】
(スキーム7)
【0132】
【化16】

【0133】
以下の溶媒および試薬は、括弧内のそれらの略語で呼ぶ場合がある:
ジ−第三級ブチルジカルボネート:(Boc)
第三級ブトキシカルボニル:−Boc
三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート:BF・OEt
2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル:BINAP
酢酸エチル;AcOEtまたはEtOAc
薄層クロマトグラフィ:TLC
分取薄層クロマトグラフィ:PTLC
4−ジメチルアミノピリジン:DMAP
ミリリットル:mL
ミリモル:mmol
ミリグラム:mg
グラム:g
室温(常温)約25℃(rt)
【実施例】
【0134】
(実験手順)
(手順A)
2.88g(10mmol)の式IIIの化合物、1.4g(10mmol)のヘキサメチレンテトラミンのTFA混合物(60mL)を、42時間加熱還流した。この溶媒をエバポレートして;残渣を、200mLの飽和NaHCOでクエンチした。150mLのEtOAcで3回抽出した。合わせた有機相、をブライン(80mL)で洗浄して濃縮した。残渣を、0.5〜3%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、1.02gの化合物1を得た。C1818ClNOHについての理論値m/z=316.1;実測値m/z=316.1.
(手順B)
1.0g(3.2mmol)の化合物1、0.63g(6.3mmol)のトリエチルアミン(EtN)および0.01gのDMAPの攪拌されたCHCl溶液(20mL)に、0.44g(3.8mmol)のメタンスルホニルクロライドを0℃にて加えた。混合物を室温まで温めて18時間攪拌した。200mLの酢酸エチルで希釈して、80mLの飽和NaHCOおよび50mLのブラインで洗浄した。有機相を濃縮して、1.26gの粗生成物2を得た。C2020ClNOSHについての理論値m/z=394.1;実測値m/z=394.1.
(手順C)
0.8g(2mmol)の化合物2、0.19g(4mmol)のメチルヒドラジンおよび0.39g(5mmol)の酢酸アンモニウムのm−キシレン混合物(60mL)を、135℃にて15分間攪拌し、次いで、ディーンスタルク装置を使用して水の共沸除去をしながら3日間150℃にて攪拌した。溶媒を除去して;残渣を150mLの飽和NaHCOで希釈した。これを、100mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を80mLのブラインで洗浄して濃縮した。残渣を、1〜2%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、0.53gの化合物3を得た。C1920ClNについての理論値m/z=326.1;実測値m/z=326.1.
(手順D):
8.5gのピリジンおよび10mLの濃HClの混合物を、225℃にて蒸留した。この溶液に、0.33g(1mmol)の化合物3を加えた。混合物を2時間225℃にて攪拌して、次いで、室温まで冷ました。この固体を希釈NHOHに溶解した。この水溶液を、100mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を50mLのブラインで洗浄して濃縮した。残渣を、10%メタノールのCHClで溶出する分取TLCで精製して、0.083gの化合物4および0.067gの化合物5を得た。化合物4:C1818ClNについての理論値m/z=312.1;実測値m/z=312.1.化合物5:C1716ClNについての理論値m/z=298.1;実測値m/z=298.1。
【0135】
(手順E):
2.2g(7mmol)のエコピパムの攪拌されたCHCl懸濁液(40mL)に、2.1g(20mmol)のEtNおよび3g(10.5mmol)のトリフリック無水物を、−20℃にて加えた。この混合物を、3時間かけて攪拌しながら室温まで温めた。これを、60mLの飽和NaHCOでクエンチして、60mLの酢酸エチルで2回抽出した。残渣を、1〜2%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、1.86gの化合物6を得た。C1920ClFOHについての理論値m/z=446.1;実測値m/z=446.1.
(実施例F):
0.89g(2mmol)の化合物6、0.04g(0.18mmol)のPd(OAc)、0.17g(0.27mmol)のBINAP、0.22g(3.8mmol)のアリールアミンおよび0.91gのCsCOのトルエン混合物(5mL)を室温にて30分間攪拌した。この反応物を、100℃にて10時間攪拌して、次いで、室温まで冷却して濾過した。この濾液を濃縮した。この残基を、10%メタノールのCHClで溶出する分取TLCで精製して、0.09gの化合物7を得た。C2225ClNについての理論値m/z=353.18;実測値m/z=353.1。
【0136】
(手順G):
0.05g(0.14mmol)の化合物7A、0.1mLのBF・OEtのスルホラン混合物(2mL)を215℃にて6時間攪拌した。室温まで冷まして、25mLの飽和NaHCOでクエンチした。水溶液を、20mLの酢酸エチルで2回抽出した。10%メタノールのCHClで溶出する分取TLCで精製して、0.01gの化合物8を得た。C2223ClNについての理論値m/z=351.6;実測値m/z=351.16。
【0137】
(手順H):
3.14g(10mmol)のエコピパンの攪拌された蟻酸溶液(25mL)に、1.3mL(19.5mmol)の濃硝酸を0℃にて加えた。この混合物を、3時間かけて室温まで温めて、18時間攪拌した。溶媒をエバポレートして、この残渣をゆっくりと300mLのNaHCOに加えた;黄色沈殿物を、ろ過により集めて、化合物9Aを得た。C1919ClNについての理論値m/z=359.1;実測値m/z=359.1。
【0138】
化合物9Bおよび9Cをまた、同様に調製した。9B:C1717ClNについての理論値m/z=333.1;実測値m/z=333.1。9C:C1918BrClNについての理論値m/z=437.03;実測値m/z=437.1。
【0139】
(手順I):
5.38g(15mmol)の化合物9A、2.28g(16.5mmol)のブロモアセトアミドおよび5g(36mmol)のKCOのアセトン混合物(150mL)を、70時間加熱還流した。溶媒をエバポレートした。この残渣を150mLも水で希釈して、150mLの酢酸エチルで4回抽出した。この合わせた有機抽出液を、100mLのブラインで洗浄して濃縮した。1〜4%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、5.66gの化合物10Aを得た。C2122ClNについての理論値m/z=416.1;実測値m/z=416.1。
【0140】
化合物10Bおよび10Cをまた、同様に調製した。10B:C1920ClNについての理論値m/z=390.1;実測値m/z=333.1。10C:C2121BrClNについての理論値m/z=494.05;実測値m/z=494.1。
【0141】
(手順J):
0.42g(1mmol)の化合物10A、0.2g(5mmol)のNaOHのDMF混合物(5mL)を、窒素雰囲気下室温にて2時間攪拌した。50mLの飽和NaHCOでクエンチして、50mLのEtOAcで3回抽出した。合わせた有機相、をブライン(30mL)で洗浄して濃縮して、0.41gの化合物11Aを得た。C2122ClNについての理論値m/z=416.1;実測値m/z=416.1。
【0142】
化合物11Bを、同様に調製し得る。11B:C1920ClNについての理論値m/z=390.1;実測値m/z=390.1。
【0143】
(手順K):
0.41g(1mmol)の化合物11Aの濃塩酸(3mL)および1,4−ジオキサン(3mL)溶液を、2時間加熱還流した。冷やした後、50mLの飽和NaHCOでクエンチして、50mLのEtOAcで2回抽出した。合わせた有機相、をブライン(30mL)で洗浄して濃縮した。この残渣を、1〜3%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、0.32gの化合物12Aを得た。C1920ClNについての理論値m/z=358.1;実測値m/z=358.1。
【0144】
化合物12Bおよび12Cをまた、同様に調製した。12B:C1718ClNについての理論値m/z=332.1;実測値m/z=332.1。12C:C1919BrClNについての理論値m/z=436.04;実測値m/z=436.1。
【0145】
(手順L):
0.18g(0.5mmol)の化合物12A、0.5gの鉄粉末のHCOOH(2mL)および水(2mL)混合物に、2mLの濃塩酸を加えた。混合物を、2時間還流した。室温まで冷やした後、これを、80mLの飽和NaHCOでクエンチして、60mLのEtOAcで2回抽出した。合わせた有機相をブライン(30mL)で洗浄して濃縮した。この残渣を、1〜3%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、0.16gの化合物13Aを得た。C2020ClNについての理論値m/z=338.1;実測値m/z=338.1。
【0146】
(手順M):
0.6g(1.68mmol)の化合物12A、1gの鉄粉末の水混合物(10mL)に、10mLの濃塩酸を加えた。室温まで冷やした後、これを、飽和NaHCOでクエンチして、100mLのEtOAcで3回抽出した。合わせた有機相をブライン(30mL)で洗浄して濃縮して、0.56gの化合物14Aを得た。C1921ClNについての理論値m/z=328.1;実測値m/z=328.1。
【0147】
化合物14Bおよび14Cをまた、同様に調製した。14B:C1720ClNについての理論値m/z=302.1;実測値m/z=302.1。14C:C1921BrClNについての理論値m/z=406.07;実測値m/z=406.1。
【0148】
(手順N):
0.055g(0.17mmol)の化合物14Aの攪拌された濃塩酸溶液(2mL)に、0.014g(0.2mmol)のNaNOの水溶液(1.2mL)にゆっくりと加えた。3時間攪拌し、これを30mLの飽和NaHCOでクエンチして、40mLのEtOAcで2回抽出した。合わせた有機相を、ブライン(20mL)で洗浄して濃縮した。残渣を、10%メタノールのCHClで溶出する分取TLCで精製して、0.048gの化合物15Aを得た。C1919ClNについての理論値m/z=339.1;実測値m/z=339.1。
【0149】
(手順O):
0.064g(0.2mmol)の化合物14Aおよび0.025g(0.2mmol)のDMAPのアセトニトリル(CHCN)溶液(2mL)に、0.048g(0.22mmol)の(Boc)Oのアセトニトリル溶液(1mL)を加えた。混合物を室温で1時間攪拌して、次いで、濃縮した。残渣を、10%メタノールのCHClで溶出する分取TLCで精製して、0.048gの化合物16Aを得た。C2020ClNOHについての理論値m/z=354.1;実測値m/z=354.1。
【0150】
化合物16Bおよび16Cをまた、同様に調製し得る。16B:C1818ClNOHについての理論値m/z=328.1;実測値m/z=328.1。16C:C2019BrClNOHについての理論値m/z=432.05;実測値m/z=432.1。
【0151】
(手順P):
0.05g(0.15mmol)の化合物14Aおよび0.02g(0.16mmol)のDMAPのアセトニトリル溶液(3mL)に、0.081g(0.46mmol)のチオカルボニルジイミダゾールのアセトニトリル溶液(2mL)に加えた。この混合物を室温で5時間攪拌して、次いで、濃縮した。残渣を、10%メタノールのCHClで溶出する分取TLCで精製して、0.04gの化合物17Aを得た。C2020ClNSHについての理論値m/z=370.1;実測値m/z=370.1。
【0152】
化合物17Bを、同様に調製し得る。17B:C1818lNSHについての理論値m/z=344.1;実測値m/z=344.1。
【0153】
(手順Q):
8.5gのピリジンおよび10mLの濃HClの混合物を、225℃で蒸留した。この溶液に、0.14g(0.39mmol)の化合物16A−HCl塩を加えた。この混合物を、225℃で6時間攪拌して、室温まで冷やした。この固体を、希釈NHOHに溶解した。この水溶液を、100mLのEtOAcで3回抽出した。合わせた有機相を、ブライン(80mL)で洗浄して濃縮した。残渣を、10%メタノールのCHClで溶出する分取TLCで精製して、0.082gの化合物18Aを得た。C1918ClNOHについての理論値m/z=340.1;実測値m/z=340.1。
【0154】
化合物18Bおよび18Cを、同様に調製し得る。18B:C1716lNOHについての理論値m/z=344.1;実測値m/z=344.1。18C:C1917lNBrClNOHについての理論値m/z=418.03;実測値m/z=418.1。
【0155】
(手順R):
3.14g(10mmol)のエコピパンの攪拌されたジオキサン溶液(50mL)に、0.6g(60%、15mmol)の水素化ナトリウムを加えた。1時間室温にて攪拌した後、2−ブロモ−2−メチルプロパンアミド(1.66g、10mmol)を、0℃にてゆっくりと加えた。得られる反応物を、一晩還流攪拌した。これを冷やして、50mLのCHClと50mLの水との間で分配させた。水相を、25mLのCHClで4回抽出した。合わせた有機相を、ブライン(100mL)で洗浄して濃縮して、60:40の比で所望の化合物19Aとエコピパンとの混合物を得た。C2327ClNについての理論値m/z=399.18;実測値m/z=399.1。
【0156】
化合物19Bを、同様に調製し得る。19B:。C2125ClNについての理論値m/z=373.17;実測値m/z=373.1。
【0157】
(手順S):
3.58gの化合物19Aとエコピパンとの上記混合物の攪拌されたDMF溶液(60mL)に、1.08g(60%、27mmol)の水素化ナトリウムを、0℃にて加えた。この混合物を、一晩50°にて攪拌した。これを室温まで冷やして、100mLの水と100mLのエーテルの間で分配させた。この水相を、50mLのエーテルで抽出して、50mLのEtOAcで5回抽出した。合わせた有機相を、ブラインで洗浄して濃縮した。残渣を、2〜3%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、1.91gの化合物20Aを得た。C2327ClNについての理論値m/z=399.18;実測値m/z=399.1。
【0158】
化合物20Bを、同様に調製し得る。20B:C2125ClNについての理論値m/z=373.17;実測値m/z=373.1。
【0159】
(手順T):
2.07g(5.2mmol)の化合物20Aの攪拌されたジオキサン溶液(25mL)に、25mLの6N HClを加えた。溶液を一晩加熱還流した。これを、室温まで冷やして、飽和NaHCOを用いて塩基性にして、酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄して、次いで、濃縮した。残渣を、10%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、1.66gの化合物21Aを得た。C1921ClNについての理論値m/z=313.15;実測値m/z=313.1。
【0160】
化合物21Bを、同様に調製し得る。21B:C1719ClNについての理論値m/z=287.1;実測値m/z=287.1。
【0161】
(手順U):
化合物20Aの攪拌されたHCOOH溶液(40mL)に、13mLの1M BrのCOOHを0℃にて滴下した。この混合物を、0〜5℃で1.5時間攪拌して、次いで、濃縮した。残渣を、100mLの飽和NaHCOで希釈して、120mLの酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄して、次いで、濃縮した。残渣を、1〜2%メタノールのCHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、3.23gの化合物22Aを得た。C1920BrClNについての理論値m/z=391.1;実測値m/z=391.1。
【0162】
化合物22Bを、同様に調製し得る。22B:C1718BrClNについての理論値m/z=365.04;実測値m/z=365.1。
【0163】
(手順V):
0.098g(0.25mmol)の化合物22Aおよび0.08g(0.5mmol)のキサントゲン酸カリウムのDMF混合物(2mL)を、160℃にて16時間加熱した。これを冷まして、60mLの飽和NaHCOでクエンチして、50mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を、ブラインで洗浄して、濃縮して、粗化合物23Aを得た。
2019ClNについての理論値m/z=387.1;実測値m/z=387.1。
【0164】
化合物23Bを、同様に調製し得る。23B:C1817ClNについての理論値m/z=361.1;実測値m/z=361.1。
【0165】
(手順W):
0.079g(0.2mmol)の化合物23A、0.05g(0.3mmol)のジエチルクロロホスフェートおよび0.07g(0.5mmol)のKCOのアセトン混合物を、15時間加熱還流した。これを濃縮して、残渣を30mLの水で希釈して、40mLの酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄して、濃縮した。残渣を、8%メタノールのCHCl+1%NHOHで溶出する分取TLCによって精製して、0.074gの化合物24Aを得た。C2223ClNについての理論値m/z=415.1;実測値m/z=415.1。
【0166】
化合物24Bを、同様に調製し得る。24B:C2021ClNについての理論値m/z=389.1;実測値m/z=389.1。
【0167】
(手順X):
0.017g(0.04mmol)の化合物24Aおよび0.02g(0.4mmol)のナトリウムメトキシドのDMF混合物(1mL)を、室温で64時間攪拌した。これを25mLの水でクエンチして、25mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を、ブラインで洗浄して、濃縮した。この残渣を、8%メタノールのCHCl+1%NHOHで溶出する分取TLCによって精製して、0.010gの化合物25Aを得た。C2019ClNOSHについての理論値m/z=415.1;実測値m/z=415.1。
【0168】
化合物25Bを、同様に調製し得る。25B:C1817ClNOSHについての理論値m/z=345.1;実測値m/z=345.1。
【0169】
(手順Y):
0.037g(0.1mmol)の化合物25Aおよび3gのピリジン−HCl塩を、225℃で16時間加熱した。これを、室温まで冷まして、30mLの水でクエンチして、NaOHで塩基性にした。この水溶液を、30mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄して、濃縮した。この残渣を、10%メタノールのCHClで溶出する分取TLCによって精製して、0.017gの化合物26Aを得た。C1917ClNOSHについての理論値m/z=357.1;実測値m/z=357.1。
【0170】
化合物26Bを、同様に調製し得る。26B:C1715ClNOSHについての理論値m/z=331.1;実測値m/z=331.1。
【0171】
(手順Z):
0.05g(0.115mmol)の化合物16Cおよび0.02g(0.164mol)のフェニルボロン酸のメタノール/トルエン(1:1)混合物(2mL)に、0.5mLの炭酸ナトリウム水溶液および0.001gのテトラキストリフェニルホスフェンを加えた。この反応混合物を、90℃にて4時間加熱した。この内容物を、セルライトのショートパッドに通して、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を、減圧下で除去して、生成物を5%メタノールのCHClで溶出する分取TLCによって単離して、化合物27Aを得た。
2624ClNOHについての理論値m/z=430.17;実測値m/z=430.1。
【0172】
本発明の化合物は、D/Dレセプターアンタゴニスト活性を示し、これは、CNS障害(例えば、OCD)、抜毛癖、代謝障害(例えば、肥満)、摂食障害(例えば、食欲異常亢進)および糖尿病を処置するための薬学的活性と相関している。この有用性は、以下のアッセイにおける活性によって明らかである。
【0173】
(アッセイ)
化合物のヒトDおよびDレセプターにおける親和値(Ki)は、放射性リガンド結合競合アッセイを使用して確認された。Ltk−細胞発現DおよびD(長変異体)レセプタ−を、膜調製のために低浸透圧性緩衝液に溶解した。DおよびDアッセイのために、種々の濃度の試験化合物および1nM[3H]の式IIIの化合物および0.2nM[3H]のメチルスピペロンを用いて膜を、それぞれインキュベートした。Dアッセイについて、非特異的結合を式3の化合物の10ミクロモルの存在下の結合として規定した。平衡状態に(室温で1時間)インキュベートした後、結合した放射性リガンドを、急速ろ過によって3つに分離した。乾燥したフィルタ上の結合した放射性リガンドを、液体シンチレーション計数器によって定量化した。
【0174】
およびDアッセイについて、この瞬時の化合物のKi値を、表1に示す。本発明の化合物について、約5nM〜約2000nMの範囲のDレセプター結合活性(Ki値)が、観察された。約200nM〜約10000nMの範囲のDレセプター結合活性(Ki値)が、観察された。本発明の化合物は、好ましくは、約5nM〜約100nMの範囲、さらに好ましくは、約5nM〜約50nMの範囲、そして最も好ましくは、約5nM〜約20nMの範囲のD結合活性を有する。
【0175】
本発明は、上に記載した特定の実施形態と組み合わせて記載しているが、これらの多くの代替物、多くの改変体、他の変異体は、当業者に明らかである。そのような全ての代替物、改変体および変異体は、本発明の意図および範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物
ここで、
pは、0、1または2であり、pが0であるとき、(V)が結合する炭素は、互いに結合するのではなく、水素と結合し;
Gは、水素、ハロ、アルキル、アルキルチオ、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり;
Vは、−CH−であり;
Xは、CH、C(アルキル)、CCFおよびNからなる群より選択され;
Yは、CH、C(アルキル)、CCFおよびNからなる群より選択され;
は、水素、アルキル、アリル、シクロアルキルまたはシクロアルキル(アルキル)であり;
は、水素であるか同一であるかまたは異なり得る1〜4の置換基であり、該Rの各々は、独立して、ハロゲン、アルキル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、−CH=O、−NO、−NR1112、CN、R10置換アリール、ヘテロアリール、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−C(R)NR、−C(R)=NORおよび−C(R)ORからなる群より選択され;
は、アリール、R10置換アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アルキルまたは水素であり;
は、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリール、アルキルまたは水素であるか、あるいは、R、Rおよび−NRのNが共に結合して、アゼンチジン、R置換アゼンチジン、ピロリジン、R置換ピロリジン、ピペリジン、R置換ピペリジン、ピペラジン、R置換ピペラジン、モルホリンおよびR置換モルホリンからなる群から選択される環を形成し;
は、アルキル、アリールアルキル、−C(O)NR、−S(O)NR、−S(O)、−C(O)R、−C(O)ORまたは−RO−アルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルであり、あるいは、R、Rおよび−NRのNが共に結合して、アゼンチジン、R置換アゼンチジン、ピロリジン、R置換ピロリジン、ピペリジン、R置換ピペリジン、ピペラジン、R置換ピペラジン、モルホリンおよびR置換モルホリンからなる群から選択される環を形成し;
は、水素、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
は、水素、アリール、アルキル、アリールアルキルまたはヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルであり;
10は、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、複素環式、YN−、YN−アルキル−、YN−C(O)−およびYN−NSO−からなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同じかまたは異なり得て、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から独立して選択され;
11は、水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;
12は、−C(O)R13、−S(O)13、−C(O)NRまたは−C(O)OR13であり;
そして
13は、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルである、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
Gは、ハロであり;
は、水素、アルキル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルであり;そして
は、水素である、
化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、Gがクロロである、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、Rが水素またはメチルである、化合物。
【請求項5】
式II:
【化2】


の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物
ここで、
pは、0、1または2であり、pが0であるとき、(V)が結合する炭素は、互いに結合するのではなく、水素と結合し;
Gは、水素、ハロ、アルキル、アルキルチオ、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシであり;
Vは、−CH−であり;
Wは、O、S、NHおよびN(アルキル)からなる群より選択され;
Zは、NH、N(アルキル)、SおよびOからなる群より選択され;
は、水素、アルキル、アリル、シクロアルキルまたはシクロアルキル(アルキル)であり;
は、水素または、同一または異なり得る1〜4つの置換基であり、Rの各々が、ハロゲン、アルキル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アリール、−CH=O、−NO、−NR1112、CN、R10置換アリール、ヘテロアリール、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)NR、−C(R)NR、−C(R)=NORおよび−C(R)ORからなる群から独立して選択され;
は、アリール、R10置換アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アルキルまたは水素であり;
は、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリール、アルキルまたは水素であり、あるいは、R、Rおよび−NRのNが共に結合して、アゼンチジン、R置換アゼンチジン、ピロリジン、R置換ピロリジン、ピペリジン、R置換ピペリジン、ピペラジン、R置換ピペラジン、モルホリンおよびR置換モルホリンからなる群から選択される環を形成し;
は、アルキル、アリールアルキル、−C(O)NR、−S(O)NR、−S(O)、−C(O)R、−C(O)ORまたは−RO−アルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルであり、あるいは、R、Rおよび−NRのNが共に結合して、アゼンチジン、R置換アゼンチジン、ピロリジン、R置換ピロリジン、ピペリジン、R置換ピペリジン、ピペラジン、R置換ピペラジン、モルホリンおよびR置換モルホリンからなる群から選択される環を形成し;
は、水素、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
は、水素、アリール、アルキル、アリールアルキルまたはヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルであり;
10は、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、複素環式、YN−、YN−アルキル−、YN−C(O)−およびYN−NSO−からなる群から選択され、ここで、YおよびYは、同じかまたは異なり得て、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から独立して選択される;
11は、水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;
12は、−C(O)R13、−S(O)13、−C(O)NRまたは−C(O)OR13であり;
ならびに
13は、アルキル、アリール、R10置換アリール、ヘテロアリールまたはアリールアルキルである、
化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物であって、
Gは、ハロであり;
は、水素、アルキル、シクロプロピルまたはシクロプロピルメチルであり;そして
は、水素である、
化合物。
【請求項7】
請求項5に記載の化合物であって、Gがクロロである、化合物。
【請求項8】
請求項5に記載の化合物であって、Rが水素またはメチルである、化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下:
【化3−1】


【化3−2】


からなる群から選択される、化合物。
【請求項10】
請求項5に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下:
【化4】


からなる群から選択される、化合物。
【請求項11】
代謝障害、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、このような処置を必要としている患者に、有効量の請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項12】
代謝障害、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、このような処置を必要としている患者に、有効量の請求項5に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項13】
代謝障害、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、このような処置を必要としている患者に、有効量の請求項9に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項14】
代謝障害、摂食障害または糖尿病を処置する方法であって、このような処置を必要としている患者に、有効量の請求項10に記載の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、前記摂食障害が食欲異常亢進である、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、前記代謝障害が肥満である、方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法であって、前記摂食障害が食欲異常亢進である、方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法であって、前記代謝障害が肥満である、方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、前記代謝障害が食欲異常亢進である、方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、前記代謝障害が肥満である、方法。
【請求項21】
肥満に関連した障害を処置する方法であって、このような処置を必要としている患者に、治療有効量の請求項1に記載の少なくとも1種の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記肥満に関連した障害が、II型糖尿病、インシュリン抵抗、高脂血症および高血圧症である、方法。
【請求項23】
強迫性障害、身体表現性障害、解離性障害、摂食障害、衝動調節障害、抜毛癖、自閉症からなる群から選択される障害に罹患しているヒトを処置する方法であって、該方法が、有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項24】
強迫性障害、身体表現性障害、解離性障害、摂食障害、衝動調節障害、抜毛癖、自閉症からなる群から選択される障害に罹患しているヒトを処置する方法であって、該方法が、有効量の請求項5に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、前記摂食障害が、拒食症、過食症および食欲異常亢進からなる群から選択される、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記摂食障害が、拒食症、過食症および食欲異常亢進からなる群から選択される、方法。
【請求項27】
請求項23に記載の方法であって、前記障害が、病的賭博、買物依存症、性的衝動および窃盗癖からなる群に由来する衝動調節障害である、方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法であって、前記障害が、病的賭博、買物依存症、性的衝動および窃盗癖からなる群に由来する衝動調節障害である、方法。
【請求項29】
摂食障害を処置する方法であって、該方法は、このような処置を必要としている患者に以下:
一定量の第1化合物であって、請求項1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である、化合物;
第2の化合物であって、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニストからなる群から選択される肥満抑制薬および/または食欲抑制薬である、化合物;
を投与する工程を包含し、
ここで、該第1化合物および該第2化合物の量は、治療効果を生じる、
方法。
【請求項30】
治療有効量の第1化合物、第2化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物であって、
該第1化合物は、請求項1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
該第2の化合物は、βアゴニスト、スリオミメティック薬、食欲抑制薬またはNPYアンタゴニストからなる群から選択される肥満抑制薬および/または食欲抑制薬である、
薬学的組成物。
【請求項31】
治療有効量の第1化合物、第2化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物であって、
該第1化合物は、請求項1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩であり;
該第2の化合物は、アルドースレダクターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、ジペプチジルプロテアーゼ阻害剤、インシュリン、インシュリンミメティック、メトホルミン、アカルボース、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾン、GW−1929、スルホニル尿素、グリバジド、グリブリドおよびクロルプロパミドから選択される、薬学的組成物。
【請求項32】
少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療的有効量の請求項1に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項33】
少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療的有効量の請求項5に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項34】
少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療的有効量の請求項9に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項35】
少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、治療的有効量の請求項10に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、薬学的組成物。
【請求項36】
少なくとも1種の請求項1に記載の化合物および少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアを混ぜ合わせる工程を包含する、薬学的組成物を製造するためのプロセス。
【請求項37】
少なくとも1種の請求項5に記載の化合物および少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアを組み合わせる工程を包含する、薬学的組成物を製造するためのプロセス。
【請求項38】
請求項1に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、
以下の式:
【化5】


に示されるような絶対立体化学を有する、化合物。
【請求項39】
請求項5に記載の化合物または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、以下の式:
【化6】


に示されるような絶対立体化学を有する、化合物。

【公表番号】特表2006−501244(P2006−501244A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−531584(P2004−531584)
【出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2003/026878
【国際公開番号】WO2004/020442
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】