肩掛式刈払機
【課題】刈払作業中に作業者が、傾斜地等で滑ったり転んだり身体のバランスを失ったりしてハンドルから手を離すと切削刃が縦になって地面を削ったり木等に跳ね返ったりして作業部が操作不能となり作業者本人や近くの者に対して危険が及ぶ恐れがあるが、この危険発生を防止できる肩掛式刈払機を提供する。
【解決手段】肩掛バンド5が刈払機本体の重心より回転駆動部1側において、棹部3に取り付けられており肩掛バンド5の取付位置より回転駆動部1側の棹部3の部分30Aが一方向に向けて湾曲しており、該一方向は刈払機本体を作業可能となるように肩に掛けた状態において、棹部3と切削刃21の回転軸22とを含む垂直面300内における下向きに構成する。
【解決手段】肩掛バンド5が刈払機本体の重心より回転駆動部1側において、棹部3に取り付けられており肩掛バンド5の取付位置より回転駆動部1側の棹部3の部分30Aが一方向に向けて湾曲しており、該一方向は刈払機本体を作業可能となるように肩に掛けた状態において、棹部3と切削刃21の回転軸22とを含む垂直面300内における下向きに構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩に掛けた状態で使用する可搬式の刈払機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般の肩掛式刈払機10は、図12に示されるように、刈払機本体100を肩掛バンド5によって肩に掛けて使用するようになっている。刈払機本体100は、回転駆動部1と、切削刃21を有する作業部2と、両者を連結する棹部3と、ハンドル4と、からなっている。棹部3は、回転駆動部1から作業部2まで、一直線状の形態を有している。また、作業者は、ハンドル4を掴んで、刈払機本体100を操作して、作業部2の高さや角度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−142072号公報
【特許文献2】特開2006−340628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の肩掛式刈払機10では、作業者がハンドル4から手を離すと、ハンドル4自体の重心位置が棹部3よりも下方に位置しようとするために、ハンドル4によって棹部3に軸回りの回転モーメントが働いて、刈払機本体100が、棹部3を軸として、図13に示されるように90度回転したり、図14に示されるように180度回転したりする恐れがあった。それ故、作業者が、作業中に、傾斜地等で、滑ったり転んだり身体のバランスを失ったりして、ハンドル4から手を離すと、切削刃21が、縦になって地面を削ったり木等に跳ね返ったりして、作業部2が操作不能となり、作業者本人や近くの者に対して危険が及ぶ恐れがあった。そこで、従来から、その対策が種々考えられてきた。
【0005】
本発明は、上記のような危険の発生を防止できる肩掛式刈払機を、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、刈払機本体と、刈払機本体を肩に掛けるために支持する肩掛バンドと、からなる肩掛式刈払機において、刈払機本体が、回転力を発生する回転駆動部と、回転力を受けて回転する切削刃によって切削作業を行う作業部と、回転駆動部と作業部とを連結するとともに、回転駆動部で発生した回転力を作業部に伝達する、棹部と、棹部に固定されたハンドルと、からなっており、肩掛バンドが、刈払機本体の重心より回転駆動部側において、且つ、ハンドルより回転駆動部側において、棹部に、取り付けられており、ハンドルより回転駆動部側の、棹部の部分が、一方向に向けて湾曲しており、上記一方向は、刈払機本体を作業可能となるように肩に掛けた状態において、棹部と切削刃の回転軸とを含む垂直面内における下向きである、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、肩掛バンドの取付位置を支点として棹部が「やじろべえ」のように釣り合っているので、作業者が作業中にハンドルから手を離しても、ハンドルによる棹部の軸回りの回転モーメントを抑制でき、棹部の軸回りの回転を抑制できる。したがって、棹部が勝手に回転してしまうのを防止して危険の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の肩掛式刈払機の使用状態を示す側面図である。
【図2】両持ちタイプのハンドルの斜視図である。
【図3】棹部の縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】刈払機の側面図であり、作業部の拡大断面図を含む図である。
【図6】別の例の棹部の内部を示す分解斜視図である。
【図7】図6の例の縦断面図である。
【図8】ハンドルの別の例を示す斜視図である。
【図9】ハンドルの更に別の例を示す斜視図である。
【図10】ハンドルの他の例を示す斜視図である。
【図11】棹部の別の湾曲形態を示す側面図である。
【図12】従来の肩掛式刈払機の使用状態を示す側面図である。
【図13】図12の刈払機が棹部の軸回りに90度回転した状態を示す側面図である。
【図14】図12の刈払機が棹部の軸回りに180度回転した状態を示す側面図である。
【図15】図12の刈払機の棹部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の肩掛式刈払機10の使用状態を示す側面図である。この刈払機10は、刈払機本体100と肩掛バンド5とからなっている。肩掛バンド5は、刈払機本体100を肩に掛けるために支持するように設けられている。
【0010】
刈払機本体100は、回転駆動部1と作業部2と棹部3とハンドル4とからなっている。回転駆動部1は、回転力を発生する。作業部2は、回転駆動部1で発生した回転力を受けることによって切削刃21が回転して切削作業を行う。棹部3は、回転駆動部1と作業部2とを連結するとともに、回転駆動部1で発生した回転力を作業部2に伝達する。ハンドル4は、棹部3に固定されている。図2は、両持ちタイプのハンドル4の斜視図である。このハンドル4は、両端部に握り部41を有している。作業者は、ハンドル4を掴んで、刈払機本体100を操作して、作業部2の高さや角度を調整する。
【0011】
肩掛バンド5は、刈払機本体100の重心より回転駆動部2側に、且つ、ハンドル4より回転駆動部2側に、取り付けられている。
【0012】
肩掛バンド5は、棹部3の軸回りに回動自在に、棹部3に、取り付けられている。これにより、作業者は、ハンドル4を掴んで、刈払機本体100を棹部3の軸回りに回動操作できる。すなわち、作業者は、地面の傾斜に合わせるように、切削刃21の傾きを任意に変えることができる。
【0013】
図3は、棹部3の縦断面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。棹部3は、外管31とフレキシブルシャフトライナー32とフレキシブルシャフト33とからなる三重構造を有しており、フレキシブルシャフト33が回転することにより回転力を伝達するようになっている。フレキシブルシャフト33は、フレキシブルシャフトライナー32内に回転自在に挿入されている。フレキシブルシャフトライナー32は、樹脂製であり、外表面に、5個の凸部321を有している。なお、凸部321の数は、5個に限らず、3個以上であればよい。これらの凸部321は、円周方向に均等に位置しており、且つ、同じ高さだけ突出している。そして、フレキシブルシャフトライナー32は、凸部321の先端が外管31の内壁に当接することにより、外管31に内嵌している。フレキシブルシャフト33は、一端が回転駆動部1の出力軸(図示せず)に連結されており、他端が作業部2に連結されている。
【0014】
図5は、刈払機10の側面図であり、作業部2の拡大断面図を含んでいる。切削刃21の回転軸22は、切削刃21の面211が水平状態にある場合に、垂直状態となっている。回転軸22の上端にはベベルギヤ221が固定されている。一方、フレキシブルシャフト33の上記他端には、ベベルギヤ331が固定されている。そして、ベベルギヤ331とベベルギヤ221とが噛合しており、これにより、フレキシブルシャフト33の回転が切削刃21に伝達するようになっている。ベベルギヤ331の中心軸Aとベベルギヤ221の中心軸Bとが成す角度αは、120度である。
【0015】
そして、本発明では、肩掛バンド5の取付位置Xより回転駆動部1側の、棹部3の部分30Aが、一方向(矢印Y方向)に向けて湾曲している。肩掛バンド5の取付位置Xより作業部2側の、棹部3の部分30Bは、一直線状の形態を有している。上記一方向は、刈払機本体100を作業可能となるように肩に掛けた状態において、棹部3と切削刃21の回転軸22とを含む垂直面300内における下向きである。そして、部分30Bに対する部分30Aの湾曲角度βは、30度である。これにより、部分30Aと部分30Bとは、肩掛バンド5の取付位置Xを支点として、垂直面300内で、且つ、図5の状態で、「やじろべえ」のように釣り合っている。なお、角度αと角度βとは、関連しており、角度βが30度であることにより、角度αが120度であり、これにより、ベベルギヤ221、331として、一般的なベベルギヤを使用できる。なお、角度βは、30度に限らず、10〜90度であればよい。10〜90度であれば、部分30Aと部分30Bとが、取付位置Xを支点として、垂直面300内で、「やじろべえ」のように釣り合うことができるからである。
【0016】
上記構成の刈払機10は、図1に示されるように、刈払機本体100を肩掛バンド5によって作業者の肩に掛けた状態で、回転駆動部1を始動すると、その回転力がフレキシブルシャフト33によって切削刃21に伝達され、切削刃21による切削作業を行う。その際、作業者は、ハンドル4を掴み、棹部3を軸回りに回動させることにより、切削刃21の面211を地面の傾斜に合わせるように操作できる。
【0017】
そして、上記構成の刈払機10においては、棹部3の部分30Aと部分30Bとが取付位置Xを支点として垂直面300内で「やじろべえ」のように釣り合っているので、作業者が作業中にハンドル4から手を離しても、ハンドル4による棹部3の軸回りの回転モーメントが、抑制され、棹部3の軸回りの回転が抑制される。それ故、上記構成の刈払機10によれば、作業者が作業中にハンドル4から手を離した場合でも、刈払機本体100が、棹部3を軸として、図13に示されるように90度回転したり、図14に示されるように180度回転したりするのを、防止でき、したがって、作業者本人や近くの者に対する危険の発生を防止できる。
【0018】
更に、上記構成の刈払機10においては、特別な構成を設けなくても、フレキシブルシャフトライナー32がフレキシブルシャフト33に連れられて回転してしまうのを、防止できる。すなわち、図12に示されるような棹部3の全部が一直線状の形態を有している刈払機10においては、フレキシブルシャフトライナー32がフレキシブルシャフト33に連れられて回転してしまうのを防止するために、図15に示されるように、外管31の内壁に、フレキシブルシャフトライナー32の凸部321の先端部が円周方向から当接する凸部311が、形成されている。しかしながら、上記構成の刈払機10においては、棹部3が湾曲しているため、フレキシブルシャフトライナー32の回転が抑制される。よって、上記構成の刈払機10においては、特別な構成を設けなくても、フレキシブルシャフトライナー32がフレキシブルシャフト33に連れられて回転してしまうのを、防止できる。
【0019】
なお、棹部3は、図6及び図7に示される内部構造を有してもよい。この例では、フレキシブルシャフトライナー32が、フレキシブルシャフトライナー32に外嵌したゴムブッシュ35、36を介して外管31に内嵌している。ゴムブッシュ35、36は、フレキシブルシャフト33の回転により発生する振動を緩衝するように機能する。凸部321は、4個設けられており、円周方向に均等に位置しており、同じ高さだけ突出している。その高さは、外管31の内壁に当接しない寸法である。対向する一対の凸部321には、長手方向の所定間隔置きに、切欠き322が形成されている。ゴムブッシュ35、36は、切欠き322の位置に外嵌している。その際、切欠き322が形成されていない一対の凸部321は、ゴムブッシュ35、36の内面の溝351、361に嵌っている。なお、ゴムブッシュ35は、外面に、溝352で隔てられた周面部353を有しており、周面部353が外管31の内壁に当接することにより、外管31に内嵌している。ゴムブッシュ36は、外面に、円周方向の一方向に傾斜して突出した凸部362を複数個(ここでは8個)有しており、ゴムブッシュ36は、凸部362の先端が外管31の内壁に当接することにより、外管31に内嵌している。この棹部3の場合でも、棹部3が湾曲しているため、フレキシブルシャフトライナー32の回転が抑制される。よって、この棹部3を用いた刈払機10においても、特別な構成を設けなくても、フレキシブルシャフトライナー32がフレキシブルシャフト33に連れられて回転してしまうのを、防止できる。
【0020】
また、上記構成の刈払機10は、例えば、図8に示されるようなループタイプのハンドル4、又は、図9に示されるようなU字タイプのハンドル4、又は、図10に示されるような片持ちタイプのハンドル4を、採用してもよい。
【0021】
また、上記構成の刈払機10では、肩掛バンド5の取付位置Xより回転駆動部1側の、棹部3の部分30Aが、湾曲しているが、図11に示されるように、ハンドル4より回転駆動部1側の、棹部3の部分30Cが、湾曲してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の肩掛式刈払機は、棹部が勝手に回転してしまうのを防止して危険の発生を防止できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0023】
1 回転駆動部 2 作業部 21 切削刃 3 棹部 30A、30B、30C 部分 31 外管 32 フレキシブルシャフトライナー 33 フレキシブルシャフト 321 凸部 4 ハンドル 5 肩掛バンド 10 肩掛式刈払機 100 刈払機本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩に掛けた状態で使用する可搬式の刈払機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般の肩掛式刈払機10は、図12に示されるように、刈払機本体100を肩掛バンド5によって肩に掛けて使用するようになっている。刈払機本体100は、回転駆動部1と、切削刃21を有する作業部2と、両者を連結する棹部3と、ハンドル4と、からなっている。棹部3は、回転駆動部1から作業部2まで、一直線状の形態を有している。また、作業者は、ハンドル4を掴んで、刈払機本体100を操作して、作業部2の高さや角度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−142072号公報
【特許文献2】特開2006−340628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の肩掛式刈払機10では、作業者がハンドル4から手を離すと、ハンドル4自体の重心位置が棹部3よりも下方に位置しようとするために、ハンドル4によって棹部3に軸回りの回転モーメントが働いて、刈払機本体100が、棹部3を軸として、図13に示されるように90度回転したり、図14に示されるように180度回転したりする恐れがあった。それ故、作業者が、作業中に、傾斜地等で、滑ったり転んだり身体のバランスを失ったりして、ハンドル4から手を離すと、切削刃21が、縦になって地面を削ったり木等に跳ね返ったりして、作業部2が操作不能となり、作業者本人や近くの者に対して危険が及ぶ恐れがあった。そこで、従来から、その対策が種々考えられてきた。
【0005】
本発明は、上記のような危険の発生を防止できる肩掛式刈払機を、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、刈払機本体と、刈払機本体を肩に掛けるために支持する肩掛バンドと、からなる肩掛式刈払機において、刈払機本体が、回転力を発生する回転駆動部と、回転力を受けて回転する切削刃によって切削作業を行う作業部と、回転駆動部と作業部とを連結するとともに、回転駆動部で発生した回転力を作業部に伝達する、棹部と、棹部に固定されたハンドルと、からなっており、肩掛バンドが、刈払機本体の重心より回転駆動部側において、且つ、ハンドルより回転駆動部側において、棹部に、取り付けられており、ハンドルより回転駆動部側の、棹部の部分が、一方向に向けて湾曲しており、上記一方向は、刈払機本体を作業可能となるように肩に掛けた状態において、棹部と切削刃の回転軸とを含む垂直面内における下向きである、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、肩掛バンドの取付位置を支点として棹部が「やじろべえ」のように釣り合っているので、作業者が作業中にハンドルから手を離しても、ハンドルによる棹部の軸回りの回転モーメントを抑制でき、棹部の軸回りの回転を抑制できる。したがって、棹部が勝手に回転してしまうのを防止して危険の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の肩掛式刈払機の使用状態を示す側面図である。
【図2】両持ちタイプのハンドルの斜視図である。
【図3】棹部の縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】刈払機の側面図であり、作業部の拡大断面図を含む図である。
【図6】別の例の棹部の内部を示す分解斜視図である。
【図7】図6の例の縦断面図である。
【図8】ハンドルの別の例を示す斜視図である。
【図9】ハンドルの更に別の例を示す斜視図である。
【図10】ハンドルの他の例を示す斜視図である。
【図11】棹部の別の湾曲形態を示す側面図である。
【図12】従来の肩掛式刈払機の使用状態を示す側面図である。
【図13】図12の刈払機が棹部の軸回りに90度回転した状態を示す側面図である。
【図14】図12の刈払機が棹部の軸回りに180度回転した状態を示す側面図である。
【図15】図12の刈払機の棹部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の肩掛式刈払機10の使用状態を示す側面図である。この刈払機10は、刈払機本体100と肩掛バンド5とからなっている。肩掛バンド5は、刈払機本体100を肩に掛けるために支持するように設けられている。
【0010】
刈払機本体100は、回転駆動部1と作業部2と棹部3とハンドル4とからなっている。回転駆動部1は、回転力を発生する。作業部2は、回転駆動部1で発生した回転力を受けることによって切削刃21が回転して切削作業を行う。棹部3は、回転駆動部1と作業部2とを連結するとともに、回転駆動部1で発生した回転力を作業部2に伝達する。ハンドル4は、棹部3に固定されている。図2は、両持ちタイプのハンドル4の斜視図である。このハンドル4は、両端部に握り部41を有している。作業者は、ハンドル4を掴んで、刈払機本体100を操作して、作業部2の高さや角度を調整する。
【0011】
肩掛バンド5は、刈払機本体100の重心より回転駆動部2側に、且つ、ハンドル4より回転駆動部2側に、取り付けられている。
【0012】
肩掛バンド5は、棹部3の軸回りに回動自在に、棹部3に、取り付けられている。これにより、作業者は、ハンドル4を掴んで、刈払機本体100を棹部3の軸回りに回動操作できる。すなわち、作業者は、地面の傾斜に合わせるように、切削刃21の傾きを任意に変えることができる。
【0013】
図3は、棹部3の縦断面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。棹部3は、外管31とフレキシブルシャフトライナー32とフレキシブルシャフト33とからなる三重構造を有しており、フレキシブルシャフト33が回転することにより回転力を伝達するようになっている。フレキシブルシャフト33は、フレキシブルシャフトライナー32内に回転自在に挿入されている。フレキシブルシャフトライナー32は、樹脂製であり、外表面に、5個の凸部321を有している。なお、凸部321の数は、5個に限らず、3個以上であればよい。これらの凸部321は、円周方向に均等に位置しており、且つ、同じ高さだけ突出している。そして、フレキシブルシャフトライナー32は、凸部321の先端が外管31の内壁に当接することにより、外管31に内嵌している。フレキシブルシャフト33は、一端が回転駆動部1の出力軸(図示せず)に連結されており、他端が作業部2に連結されている。
【0014】
図5は、刈払機10の側面図であり、作業部2の拡大断面図を含んでいる。切削刃21の回転軸22は、切削刃21の面211が水平状態にある場合に、垂直状態となっている。回転軸22の上端にはベベルギヤ221が固定されている。一方、フレキシブルシャフト33の上記他端には、ベベルギヤ331が固定されている。そして、ベベルギヤ331とベベルギヤ221とが噛合しており、これにより、フレキシブルシャフト33の回転が切削刃21に伝達するようになっている。ベベルギヤ331の中心軸Aとベベルギヤ221の中心軸Bとが成す角度αは、120度である。
【0015】
そして、本発明では、肩掛バンド5の取付位置Xより回転駆動部1側の、棹部3の部分30Aが、一方向(矢印Y方向)に向けて湾曲している。肩掛バンド5の取付位置Xより作業部2側の、棹部3の部分30Bは、一直線状の形態を有している。上記一方向は、刈払機本体100を作業可能となるように肩に掛けた状態において、棹部3と切削刃21の回転軸22とを含む垂直面300内における下向きである。そして、部分30Bに対する部分30Aの湾曲角度βは、30度である。これにより、部分30Aと部分30Bとは、肩掛バンド5の取付位置Xを支点として、垂直面300内で、且つ、図5の状態で、「やじろべえ」のように釣り合っている。なお、角度αと角度βとは、関連しており、角度βが30度であることにより、角度αが120度であり、これにより、ベベルギヤ221、331として、一般的なベベルギヤを使用できる。なお、角度βは、30度に限らず、10〜90度であればよい。10〜90度であれば、部分30Aと部分30Bとが、取付位置Xを支点として、垂直面300内で、「やじろべえ」のように釣り合うことができるからである。
【0016】
上記構成の刈払機10は、図1に示されるように、刈払機本体100を肩掛バンド5によって作業者の肩に掛けた状態で、回転駆動部1を始動すると、その回転力がフレキシブルシャフト33によって切削刃21に伝達され、切削刃21による切削作業を行う。その際、作業者は、ハンドル4を掴み、棹部3を軸回りに回動させることにより、切削刃21の面211を地面の傾斜に合わせるように操作できる。
【0017】
そして、上記構成の刈払機10においては、棹部3の部分30Aと部分30Bとが取付位置Xを支点として垂直面300内で「やじろべえ」のように釣り合っているので、作業者が作業中にハンドル4から手を離しても、ハンドル4による棹部3の軸回りの回転モーメントが、抑制され、棹部3の軸回りの回転が抑制される。それ故、上記構成の刈払機10によれば、作業者が作業中にハンドル4から手を離した場合でも、刈払機本体100が、棹部3を軸として、図13に示されるように90度回転したり、図14に示されるように180度回転したりするのを、防止でき、したがって、作業者本人や近くの者に対する危険の発生を防止できる。
【0018】
更に、上記構成の刈払機10においては、特別な構成を設けなくても、フレキシブルシャフトライナー32がフレキシブルシャフト33に連れられて回転してしまうのを、防止できる。すなわち、図12に示されるような棹部3の全部が一直線状の形態を有している刈払機10においては、フレキシブルシャフトライナー32がフレキシブルシャフト33に連れられて回転してしまうのを防止するために、図15に示されるように、外管31の内壁に、フレキシブルシャフトライナー32の凸部321の先端部が円周方向から当接する凸部311が、形成されている。しかしながら、上記構成の刈払機10においては、棹部3が湾曲しているため、フレキシブルシャフトライナー32の回転が抑制される。よって、上記構成の刈払機10においては、特別な構成を設けなくても、フレキシブルシャフトライナー32がフレキシブルシャフト33に連れられて回転してしまうのを、防止できる。
【0019】
なお、棹部3は、図6及び図7に示される内部構造を有してもよい。この例では、フレキシブルシャフトライナー32が、フレキシブルシャフトライナー32に外嵌したゴムブッシュ35、36を介して外管31に内嵌している。ゴムブッシュ35、36は、フレキシブルシャフト33の回転により発生する振動を緩衝するように機能する。凸部321は、4個設けられており、円周方向に均等に位置しており、同じ高さだけ突出している。その高さは、外管31の内壁に当接しない寸法である。対向する一対の凸部321には、長手方向の所定間隔置きに、切欠き322が形成されている。ゴムブッシュ35、36は、切欠き322の位置に外嵌している。その際、切欠き322が形成されていない一対の凸部321は、ゴムブッシュ35、36の内面の溝351、361に嵌っている。なお、ゴムブッシュ35は、外面に、溝352で隔てられた周面部353を有しており、周面部353が外管31の内壁に当接することにより、外管31に内嵌している。ゴムブッシュ36は、外面に、円周方向の一方向に傾斜して突出した凸部362を複数個(ここでは8個)有しており、ゴムブッシュ36は、凸部362の先端が外管31の内壁に当接することにより、外管31に内嵌している。この棹部3の場合でも、棹部3が湾曲しているため、フレキシブルシャフトライナー32の回転が抑制される。よって、この棹部3を用いた刈払機10においても、特別な構成を設けなくても、フレキシブルシャフトライナー32がフレキシブルシャフト33に連れられて回転してしまうのを、防止できる。
【0020】
また、上記構成の刈払機10は、例えば、図8に示されるようなループタイプのハンドル4、又は、図9に示されるようなU字タイプのハンドル4、又は、図10に示されるような片持ちタイプのハンドル4を、採用してもよい。
【0021】
また、上記構成の刈払機10では、肩掛バンド5の取付位置Xより回転駆動部1側の、棹部3の部分30Aが、湾曲しているが、図11に示されるように、ハンドル4より回転駆動部1側の、棹部3の部分30Cが、湾曲してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の肩掛式刈払機は、棹部が勝手に回転してしまうのを防止して危険の発生を防止できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0023】
1 回転駆動部 2 作業部 21 切削刃 3 棹部 30A、30B、30C 部分 31 外管 32 フレキシブルシャフトライナー 33 フレキシブルシャフト 321 凸部 4 ハンドル 5 肩掛バンド 10 肩掛式刈払機 100 刈払機本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払機本体と、刈払機本体を肩に掛けるために支持する肩掛バンドと、からなる肩掛式刈払機において、
刈払機本体が、回転力を発生する回転駆動部と、回転力を受けて回転する切削刃によって切削作業を行う作業部と、回転駆動部と作業部とを連結するとともに、回転駆動部で発生した回転力を作業部に伝達する、棹部と、棹部に固定されたハンドルと、からなっており、
肩掛バンドが、刈払機本体の重心より回転駆動部側において、且つ、ハンドルより回転駆動部側において、棹部に、取り付けられており、
ハンドルより回転駆動部側の、棹部の部分が、一方向に向けて湾曲しており、
上記一方向は、刈払機本体を作業可能となるように肩に掛けた状態において、棹部と切削刃の回転軸とを含む垂直面内における下向きである、
ことを特徴とする肩掛式刈払機。
【請求項2】
肩掛バンドの取付位置より回転駆動部側の、棹部の部分が、上記一方向に向けて湾曲している、
請求項1記載の肩掛式刈払機。
【請求項3】
上記棹部の部分の湾曲角度が、10〜90度である、請求項1又は2に記載の肩掛式刈払機。
【請求項4】
上記棹部の部分の湾曲角度が、30度である、請求項3記載の肩掛式刈払機。
【請求項5】
棹部が、外管と、外管に内嵌したフレキシブルシャフトライナーと、フレキシブルシャフトライナー内に挿入されたフレキシブルシャフトと、からなる三重構造を有し、フレキシブルシャフトが回転することにより回転力を伝達するようになっており、
フレキシブルシャフトライナーが、樹脂製であり、外表面に、円周方向に均等に位置し且つ同じ高さだけ突出した、3個以上の凸部を、有しており、
フレキシブルシャフトライナーは、上記凸部の先端が外管の内壁に当接することにより、外管に内嵌している、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の肩掛式刈払機。
【請求項6】
棹部が、外管と、外管に内嵌したフレキシブルシャフトライナーと、フレキシブルシャフトライナー内に挿入されたフレキシブルシャフトと、からなる三重構造を有し、フレキシブルシャフトが回転することにより回転力を伝達するようになっており、
フレキシブルシャフトライナーが、フレキシブルシャフトライナーに外嵌したゴムブッシュを介して外管に内嵌している、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の肩掛式刈払機。
【請求項1】
刈払機本体と、刈払機本体を肩に掛けるために支持する肩掛バンドと、からなる肩掛式刈払機において、
刈払機本体が、回転力を発生する回転駆動部と、回転力を受けて回転する切削刃によって切削作業を行う作業部と、回転駆動部と作業部とを連結するとともに、回転駆動部で発生した回転力を作業部に伝達する、棹部と、棹部に固定されたハンドルと、からなっており、
肩掛バンドが、刈払機本体の重心より回転駆動部側において、且つ、ハンドルより回転駆動部側において、棹部に、取り付けられており、
ハンドルより回転駆動部側の、棹部の部分が、一方向に向けて湾曲しており、
上記一方向は、刈払機本体を作業可能となるように肩に掛けた状態において、棹部と切削刃の回転軸とを含む垂直面内における下向きである、
ことを特徴とする肩掛式刈払機。
【請求項2】
肩掛バンドの取付位置より回転駆動部側の、棹部の部分が、上記一方向に向けて湾曲している、
請求項1記載の肩掛式刈払機。
【請求項3】
上記棹部の部分の湾曲角度が、10〜90度である、請求項1又は2に記載の肩掛式刈払機。
【請求項4】
上記棹部の部分の湾曲角度が、30度である、請求項3記載の肩掛式刈払機。
【請求項5】
棹部が、外管と、外管に内嵌したフレキシブルシャフトライナーと、フレキシブルシャフトライナー内に挿入されたフレキシブルシャフトと、からなる三重構造を有し、フレキシブルシャフトが回転することにより回転力を伝達するようになっており、
フレキシブルシャフトライナーが、樹脂製であり、外表面に、円周方向に均等に位置し且つ同じ高さだけ突出した、3個以上の凸部を、有しており、
フレキシブルシャフトライナーは、上記凸部の先端が外管の内壁に当接することにより、外管に内嵌している、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の肩掛式刈払機。
【請求項6】
棹部が、外管と、外管に内嵌したフレキシブルシャフトライナーと、フレキシブルシャフトライナー内に挿入されたフレキシブルシャフトと、からなる三重構造を有し、フレキシブルシャフトが回転することにより回転力を伝達するようになっており、
フレキシブルシャフトライナーが、フレキシブルシャフトライナーに外嵌したゴムブッシュを介して外管に内嵌している、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の肩掛式刈払機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−120450(P2012−120450A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271516(P2010−271516)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(392010924)株式会社大成モナック (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(392010924)株式会社大成モナック (5)
【Fターム(参考)】
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