説明

肺疾患を処置する方法

【課題】患者において、肺の血管収縮を低減するため、または肺の血行力学を改善するために有用な方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、肺の血管収縮を低減するため、および肺の血行力学を改善するために、Aアデノシンレセプターアンタゴニストを投与することに関する。患者において、肺の血管収縮を低減するためまたは肺の血行力学を改善するための方法であって、該患者に、薬学的有効量のAアデノシンレセプターアンタゴニストを投与する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓病学、医薬品化学および薬理学に関する。より詳細には、本発明は、Aアデノシンレセプターアンタゴニストおよび肺血管収縮の減少または肺血行力学の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
肺疾患は、生命を脅かし得る。肺水腫および肺高血圧は、2つのこのような疾患である。肺水腫は、種々の物理的状態、例えば、変化した肺胞−毛細血管膜透過性、急性呼吸困難症候群、上昇した肺毛細血管圧、下降した膨張圧、およびリンパ性不全によってもたらされ得る。肺高血圧の原因として、低酸素血症、呼吸系障害、心臓疾患、血栓疾患および塞栓疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
これらの肺疾患の従来の処置として、カルシウムチャネルブロッカー、利尿薬、硫酸モルヒネ、硝酸塩のような血管拡張薬、強心薬、プロスタサイクリンおよび抗血液凝固剤のような薬物が挙げられる。
【0004】
アデノシンは、身体内の全ての細胞によって発生される細胞内および細胞外のメッセンジャーである。アデノシンはまた、酵素変換によって細胞外で発生される。アデノシンレセプターは、種々のアデノシンレセプターリガンドに対するそれらの相対的親和力に基づいて、そしてこれらのレセプターをコードする遺伝子の配列分析によって、4つの公知のサブタイプ(すなわち、A、A2a、A2bおよびA)に分けられる。このサブタイプの各々の活性化は、独特で時折反対の効果を誘発する。アデノシンは、冠動脈血管拡張および全身性血管拡張に関連する。肺血管系におけるアデノシンレセプターの存在およびこれらのレセプターの機能は、ヒトを含む幾つかの種において証明されてきている(例えば、Kucukhuseyinら,J.Basic C1in.Physiol.Pharmacol.,8(4),287−299頁(1997);Hong,J.L.ら,J.Physiol.,508(Ptl),109−118頁(1998)参照)。これらの研究は、AサブタイプレセプターおよびAサブタイプレセプターの両方とも、肺血管系に存在することを示す。Aレセプターの活性化は、これらの血管の拡張および緩和を導く(例えば,McCormackら,Am.J.Physiol.,256(1Pt2),H41−H46頁(1989);Szentmiklosiら,Naunyn Schmiedebergs Arch.Pharmacol.,351(4),417−425頁(1995);Chengら,Am.J.Physiol.,270(1Pt2),H00−H07頁(1996);Neelyら,Am.J.Physiol.,270(2Pt2),H610−H619(1996)を参照のこと)。対照的に、これらの研究は、Aレセプターの活性化が、これらの血管の狭窄および収縮を導き、血流に対する抵抗が増加する(Neelyら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,258(3),753−761頁(1991);Broadlyら,J.Auton.Pharmacol.,16(6),363−366頁(1996)を参照のこと;Szentmiklosi(1995),Cheng(1996)およびNeely(1996),前出もまた参照のこと)。
【0005】
肺水腫および肺高血圧のような肺疾患を処置するための多くの薬物の有効性にもかかわらず、一次肺高血圧の診断後の生き残る持続時間中央値は、2.8年である(D’Alonzoら,Ann.Intern.Med.,115,343−349頁(1991))。現在の治療のほとんどは、非特異的血管拡張および末梢(全身性)血管抵抗の減少に関する。身体の他の部分における血管音(blood vessel tone)におけるこれらの減少は、組織の不十分な灌流を引き起こすことによって臨床状態を悪化する血圧の低下を生じ得る。従って、肺水腫および肺高血圧に苦しむ患者における血管収縮を減少し、肺血行力学を改善するための新規な薬学的に受容可能な化合物および組成物および改善された方法が要求されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本出願人は、末梢血管抵抗の付随する減少を伴うことなく、Aアデノシンレセプターアンタゴニストが肺血管収縮を減少し得、そして肺血行力学を改善し得ることを発見することによって上記課題を解決した。本発明は、Aアデノシンレセプターアンタゴニストを使用して、肺血管収縮を減少するか、または肺血行力学を改善する方法に関する。本発明の方法において有用な化合物は、Aアデノシンレセプターを特異的に拮抗またはブロックすることを通して、所望される効果を発揮する。
【0007】
本発明は、以下を提供する。
(項目1)
患者において、肺の血管収縮を低減するためまたは肺の血行力学を改善するための方法であって、該方法は、該患者に、薬学的有効量のAアデノシンレセプターアンタゴニストを投与する工程を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、前記アデノシンAレセプターアンタゴニストが、以下のa、bおよびc:
a.式I
【化1】


を含む化合物であって、
ここで、RおよびRは、以下の1)〜3)からなる群より独立して選択され:
1)水素;
2)アルキル、3炭素以上のアルケニルまたは3炭素以上のアルキニル;ここで、該アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、非置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アシルアミノ、アルキルスルホニルアミノおよびヘテロシクリルカルボニルアミノ、からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されているかのいずれかである;ならびに
3)アリールまたは置換アリール;
は、以下の1)〜3)からなる群より選択される:
1)以下:
【化2】


からなる群より選択される、二環式基、三環式基または五環式基であって、ここで、これらの二環式基または三環式基は、非置換であるか、または1つ以上の置換基で官能基化されており、該置換基は、以下のa)およびb)からなる群より選択される:
a)アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ここで、各アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基は、非置換であるか、または以下からなる群より選択される1つ以上の置換基によって官能基化されているかのいずれかである:(アミノ)(R)アシルヒドラジニルカルボニル、(アミノ)(R)アシルオキシカルボキシ、(ヒドロキシ)(カルボアルコキシ)アルキルカルバモイル、アシルオキシ、アルデヒド、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルホスホノ、アルキルスルホニルアミノ、カルバモイル、R、R−アルコキシ、R−アルキルアミノ、シアノ、シアノアルキルカルバモイル、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルホスホノ、ハロアルキルスルホニルアミノ、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルカルバモイル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルスルホニルアミノ、オキシミノ、ホスホノ、置換アラルキルアミノ、置換アリールカルボキシアルコキシカルボニル、置換ヘテロアリールスルホニルアミノ、置換ヘテロシクリル、チオカルバモイルおよびトリフルオロメチル;ならびに
b)(アルコキシカルボニル)アラルキルカルバモイル、アルデヒド、アルケンオキシ、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルバモイル、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アミノ、アミノアルキルアラルキルカルバモイル、アミノアルキルカルバモイル、アミノアルキルヘテロシクリルアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルアルキルシクロアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルカルバモイル、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、アリールスルホニルオキシ、カルバモイル、カルボニル、−R、R−アルコキシ、R−アルキル(アルキル)アミノ、R−アルキルアルキルカルバモイル、R−アルキルアミノ、R−アルキルカルバモイル、R−アルキルスルホニル、R−アルキルスルホニルアミノ、R−アルキルチオ、R−ヘテロシクリルカルボニル、シアノ、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルカルバモイル、ハロゲン、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヒドロキシ、オキシミノ、ホスフェート、置換アラルキルアミノ、置換ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルスルホニルアミノ、スルホキシアシルアミノおよびチオカルバモイル;ならびに
2)三環式基:
【化3】


ここで、該三環式基は、以下のa)およびb)からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されており:
a)アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ここで、各アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基は、非置換であるか、または以下からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されているかのいずれかである:(アミノ)(R)アシルヒドラジニルカルボニル、(アミノ)(R)アシルオキシカルボキシ、(ヒドロキシ)(カルボアルコキシ)アルキルカルバモイル、アシルオキシ、アルデヒド、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルホスホノ、アルキルスルホニルアミノ、カルバモイル、R、R−アルコキシ、R−アルキルアミノ、シアノ、シアノアルキルカルバモイル、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルホスホノ、ハロアルキルスルホニルアミノ、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルカルバモイル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルスルホニルアミノ、オキシミノ、ホスホノ、置換アラルキルアミノ、置換アリールカルボキシアルコキシカルボニル、置換ヘテロアリールスルホニルアミノ、置換ヘテロシクリル、チオカルバモイルおよびトリフルオロメチル;ならびに
b)(アルコキシカルボニル)アラルキルカルバモイル、アルデヒド、アルケンオキシ、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルバモイル、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アミノ、アミノアルキルアラルキルカルバモイル、アミノアルキルカルバモイル、アミノアルキルヘテロシクリルアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルアルキルシクロアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルカルバモイル、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、アリールスルホニルオキシ、カルバモイル、カルボニル、−R、R−アルコキシ、R−アルキル(アルキル)アミノ、R−アルキルアルキルカルバモイル、R−アルキルアミノ、R−アルキルカルバモイル、R−アルキルスルホニル、R−アルキルスルホニルアミノ、R−アルキルチオ、R−ヘテロシクリルカルボニル、シアノ、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルカルバモイル、ハロゲン、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、オキシミノ、ホスフェート、置換アラルキルアミノ、置換ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルスルホニルアミノ、スルホキシアシルアミノおよびチオカルバモイル;
3)以下からなる群より選択される二環式基または三環式基:
【化4】


ここで、該二環式基または三環式基は、非置換であるか、または以下のa)およびb)からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されているかのいずれかである:
a)アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、非置換であるか、または以下からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されているかのいずれかである:アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、アラルコキシカルボニル、−R、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヒドロキシ、置換アリールスルホニルアミノアルキルアミノおよび置換ヘテロシクリルアミノアルキルアミノ;
b)アシルアミノアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルコキシカルボニルアミノアシルオキシ、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、アルキルアミノ、アミノ、アミノアシルオキシ、カルボニル、−R、R−アルコキシ、R−アルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヒドロキシ、ホスフェート、置換アリールスルホニルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロシクリルおよび置換ヘテロシクリルアミノアルキルアミノ;
は、以下からなる群より選択され:水素、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルキル−COHおよびフェニル、ここで該C1〜4−アルキル基、C1〜4−アルキル−COH基およびフェニル基は、非置換であるか、または以下からなる群より選択される1〜3個の置換基で官能基化されているかのいずれかであり:ハロゲン、−OH、−OMe、−NH、NO、ベンジル、ならびにハロゲン、−OH、−OMe、−NHおよび−NOからなる群より選択される1〜3個の置換基で官能基化されたベンジル;
は、以下からなる群より選択され:−CHCOOH、−C(CFOH、−CONHNHSOCF、−CONHOR、−CONHSO、−CONHSONHR、−C(OH)RPO、−NHCOCF、−NHCONHSO、−NHPO、−NHSO、−NHSONHCOR、−OPO、−OSOH、−PO(OH)R、−PO、−SOH、−SONHR、−SONHCOR、−SONHCONHCOおよび以下:
【化5】


およびXは、独立して、OおよびSからなる群より選択され;
Zは、単結合、−O−、−(CH1〜3−、−O(CH1〜2−、−CHOCH−、−(CH1〜2O−、−CH=CHCH−、−CH=CH−および−CHCH=CH−からなる群より選択され;そして
は、水素、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、アラルキル、置換アラルキル、置換アルキルおよび複素環からなる群より選択される;ならびに
b.式IIまたはIIIの化合物:
【化6】


ここで、RおよびRは、独立して、以下の1)〜3)からなる群より選択され:
1)水素;
2)アルキル、アルケニルまたはアルキニル、ここで、該アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、非置換であるか、または以下からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されているかのいずれかであり:ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アシルアミノ、アルキルスルホニルアミノおよびヘテロシクリルカルボニルアミノ;ならびに
3)アリールまたは置換アリール;
は、以下からなる群より選択され:
1)以下:
【化7】


からなる群より選択される二環式基、三環式基または五環式基、ここで、該二環式基、三環式基または五環式基は、非置換であるか、または以下のi)およびii)からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されているかのいずれかであり:
i)アルキル、アルケニルおよびアルキニル;ここで、各アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基は、非置換であるか、または以下からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されているかのいずれかであり:(アルコキシカルボニル)アラルキルカルバモイル、(アミノ)(R)アシルヒドラジニルカルボニル、(アミノ)(R)アシルオキシカルボキシ、(ヒドロキシ)(カルボアルコキシ)アルキルカルバモイル、アシルアミノアルキルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルケンオキシ、アルケニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノアシルオキシ、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルカルバモイル、アルキルホスホノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アミノ、アミノアシルオキシ、アミノアルキルアラルキルカルバモイル、アミノアルキルカルバモイル、アミノアルキルヘテロシクリルアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルアルキルシクロアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルカルバモイル、アラルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、アリールスルホニルオキシ、カルバモイル、カルボニル、シアノ、シアノアルキルカルバモイル、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルカルバモイル、ジアルキルホスホノ、ハロアルキルスルホニルアミノ、ハロゲン、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルカルバモイル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルスルホニルアミノ、オキシミノ、ホスフェート、ホスホノ、−R、R−アルコキシ、R−アルキル(アルキル)アミノ、R−アルキルアルキルカルバモイル、R−アルキルアミノ、R−アルキルカルバモイル、R−アルキルスルホニル、R−アルキルスルホニルアミノ、R−アルキルチオ、R−ヘテロシクリルカルボニル、置換アラルキルアミノ、置換アリールカルボキシアルコキシカルボニル、置換アリールスルホニルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロアリールスルホニルアミノ、置換ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロシクリルスルホニルアミノ、スルホキシアシルアミノ、チオカルバモイル、トリフルオロメチル;および
ii)(アルコキシカルボニル)アラルキルカルバモイル、(アミノ)(R)アシルヒドラジニルカルボニル、(アミノ)(R)アシルオキシカルボキシ、(ヒドロキシ)(カルボアルコキシ)アルキルカルバモイル、アシルアミノアルキルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルケンオキシ、アルケニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノアシルオキシ、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルカルバモイル、アルキルホスホノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アミノ、アミノアシルオキシ、アミノアルキルアラルキルカルバモイル、アミノアルキルカルバモイル、アミノアルキルヘテロシクリルアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルアルキルシクロアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルカルバモイル、アラルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、アリールスルホニルオキシ、カルバモイル、カルボニル、シアノ、シアノアルキルカルバモイル、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルカルバモイル、ジアルキルホスホノ、ハロアルキルスルホニルアミノ、ハロゲン、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルカルバモイル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルスルホニルアミノ、オキシミノ、ホスフェート、ホスホノ、−R、R−アルコキシ、R−アルキル(アルキル)アミノ、R−アルキルアルキルカルバモイル、R−アルキルアミノ、R−アルキルカルバモイル、R−アルキルスルホニル、R−アルキルスルホニルアミノ、R−アルキルチオ、R−ヘテロシクリルカルボニル、置換アラルキルアミノ、置換アリールカルボキシアルコキシカルボニル、置換アリールスルホニルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロアリールスルホニルアミノ、置換ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロシクリルスルホニルアミノ、スルホキシアシルアミノ、チオカルバモイル、トリフルオロメチル;
は、以下からなる群より選択され:水素、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルキル−COHおよびフェニル,ここで、該C1〜4−アルキル基、C1〜4−アルキル−COH基およびフェニル基は、非置換であるか、または以下からなる群より選択される1〜3個の置換基で官能基化されているかのいずれかであり:ハロゲン、−OH、−OMe、−NH、NO、ベンジル、ならびにハロゲン、−OH、−OMe、−NHおよび−NOからなる群より選択される1〜3個の置換基で官能基化されたベンジル;
は、以下からなる群より選択され:−(CRCOOH、−C(CFOH、−CONHNHSOCF、−CONHOR、−CONHSO、−CONHSONHR、−C(OH)RPO、−NHCOCF、−NHCONHSO、−NHPO、−NHSO、−NHSONHCOR、−OPO、−OSOH、−PO(OH)R、−PO、−SOH、−SONHR、−SONHCOR、−SONHCONHCOおよび以下:
【化8】


nは、0、1、2または3であり;
Aは、以下からなる群より選択され:−CH=CH、−(CH)−(CH)、CH=CH−CHおよび−CH−CH=CH;
mは、1または2であり;
Xは、OまたはSであり;
Zは、以下からなる群より選択され:単結合、−O−、−(CH−、−O(CH1〜2−、−CHOCH−、−(CH1〜2O−、−CH=CHCH−,−CH=CH−および−CHCH=CH−;そして
は、以下からなる群より選択され:水素、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、アラルキル、置換アラルキル、置換アルキルおよびヘテロシクリル;そして
は、以下の1)、2)および5)からなる群より選択され:
1)水素;
2)アルキル、3炭素以上のアルケニル、または3炭素以上のアルキニル;ここで、該アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、非置換であるか、または以下からなる群より選択される1つ以上の置換基で官能基化されているかのいずれかであり:ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アシルアミノ、アルキルスルホニルアミノおよびヘテロシクリルカルボニルアミノ;ならびに
5)アリールまたは置換アリール;
アルキルアリールまたはアルキル置換アリール;
c.8−(3−オキサ−トリシクロ[3.2.1.02,4]オクト−6−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2−イル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(3−ノルアダマンチル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−I]プリン−5−(4H)−オン;
8−(7−ヒドロキシ−3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−(3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
5−[8−(イソプロピル−メチル−アミノ)−9−メチル−9H−プリン−6−イルアミノ]−ビシクロ[2.2.1]へプタン−2−オール;
1−[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−イル]−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−プロペノン;
4−[6−オキソ−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸;
6−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル]−2H−ピリダジン−3−オン;
8−シクロペンチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(DPCPX);
8−(3−オキソ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(Apaxifylline);
8−(1−アミノ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−ジシクロプロピルメチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン、
からなる群より選択される、方法。
(項目3)
項目1に記載の方法であって、前記Aアデノシンレセプターアンタゴニストが、以下:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
8−(3−オキサ−トリシクロ[3.2.1.02,4]オクト−6−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸;
8−(1−ヒドロキシ−トリシクロ[2.2.1.02,6]へプト−3−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(3−ノルアダマンチル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−I]プリン−5−(4H)−オン;
8−(7−ヒドロキシ−3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−(3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
5−[8−(イソプロピル−メチル−アミノ)−9−メチル−9H−プリン−6−イルアミノ]−ビシクロ[2.2.1]へプタン−2−オール;
1−[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−イル]−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−プロペノン;
4−[6−オキソ−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸;
6−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル]−2H−ピリダジン−3−オン;
8−シクロペンチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(DPCPX);
8−(3−オキソ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(Apaxifylline);
8−(1−アミノ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−ジシクロプロピルメチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン、
からなる群より選択される、方法。
(項目4)
項目1に記載の方法であって、前記Aアデノシンレセプターアンタゴニストが、以下:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸;
8−(1−ヒドロキシ−トリシクロ[2.2.1.02,6]へプト−3−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−(3−オキサ−トリシクロ[3.2.1.02,4]オクト−6−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2−イル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン、
からなる群より選択される、方法。
(項目5)
項目1に記載の方法であって、前記Aアデノシンレセプターアンタゴニストが、以下:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸;
8−(1−ヒドロキシ−トリシクロ[2.2.1.02,6]へプト−3−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン、
からなる群より選択される、方法。
(項目6)
項目1に記載の方法であって、前記Aアデノシンレセプターアンタゴニストが、以下:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;および
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸、
からなる群より選択される、方法。
(項目7)
項目1に記載の方法であって、前記Aアデノシンレセプターアンタゴニストが、3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸である、方法。
(項目8)
前記Aアデノシンレセプターアンタゴニストが抗体である、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記患者がヒトである、項目1または2に記載の方法。
(項目10)
項目1または2に記載の方法であって、前記Aアデノシンレセプターアンタゴニストが、薬学的に適切なキャリアと共に、薬学的に受容可能な組成物へと処方される、方法。
(項目11)
前記患者がヒトである、項目10に記載の方法。
(項目12)
項目10に記載の方法であって、前記患者が、肺疾患の徴候または症状を示す、方法。
(項目13)
項目10に記載の方法であって、前記肺疾患が、肺水腫、肺高血圧およびこれらの組み合わせから選択される、方法。
(項目14)
項目13に記載の方法であって、前記肺水腫が、Starling力の不均衡、変化した肺胞−毛細血管膜透過性、リンパ機能不全からなる群より選択される状態によって達成される、方法。
(項目15)
項目13に記載の方法であって、前記肺高血圧が、肺動脈高血圧,呼吸器系の障害もしくは低酸素血症に関連する肺高血圧、肺静脈高血圧、慢性の血栓疾患もしくは塞栓疾患に起因する肺高血圧、肺の血管系に直接影響する障害に起因する肺高血圧からなる群より選択される状態を伴う、方法。
(項目16)
項目10に記載の方法であって、前記患者が、肺疾患の徴候または症状を示し、該肺疾患が、全体的な肺の低酸素症、局所的な肺の低酸素症、肺水腫、上昇した肺動脈圧、上昇した肺血管抵抗、上昇した中心静脈圧、低下した動脈酸素飽和度、息切れ、「ラ音」および「パチパチ音」からなる群より選択される少なくとも1つの状態によって特徴づけられる、方法。
(項目17)
前記患者が、肺疾患の徴候または症状を示す。項目1または2に記載の方法。
(項目18)
前記肺疾患が、水腫および肺高血圧から選択される、項目17に記載の方法。
(項目19)
項目18に記載の方法であって、前記肺水腫が、Starling力の不均衡、変化した肺胞−毛細血管膜透過性、リンパ機能不全からなる群より選択される状態を伴う、方法。
(項目20)
項目18に記載の方法であって、前記肺高血圧が、肺動脈高血圧、呼吸器系の障害もしくは低酸素血症に関連する肺高血圧、肺静脈高血圧、慢性の血栓疾患もしくは塞栓疾患に起因する肺高血圧、肺の血管系に直接影響する障害に起因する肺高血圧からなる群より選択される状態を伴う、方法。
(項目21)
項目1または2に記載の方法であって、前記患者が、肺疾患の徴候または症状を示し、該肺疾患が、全体的な肺の低酸素症、局所的な肺の低酸素症、肺水腫、上昇した肺動脈圧、上昇した肺血管抵抗、上昇した中心静脈圧、低下した動脈酸素飽和度、息切れ、「ラ音」および「パチパチ音」からなる群より選択される少なくとも1つの状態によって特徴づけられる、方法。
(項目22)
肺疾患を処置する方法であって、該方法は、Aアデノシンアンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的有効量の薬学的組成物を該患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目23)
項目22に記載の方法であって、前記肺疾患が、肺水腫、肺高血圧およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
(項目24)
項目23に記載の方法であって、前記肺水腫が、Starling力の不均衡、変化した肺胞−毛細血管膜透過性、リンパ機能不全からなる群より選択される状態を伴う、方法。
(項目25)
項目23に記載の方法であって、前記肺高血圧が、肺動脈高血圧、呼吸器系の障害もしくは低酸素血症に関連する肺高血圧、肺静脈高血圧、慢性の血栓疾患もしくは塞栓疾患に起因する肺高血圧、肺の血管系に直接影響する障害に起因する肺高血圧からなる群より選択される状態を伴う、方法。
(項目26)
項目22に記載の方法であって、前記患者が、肺疾患の徴候または症状を示し、該肺疾患が、全体的な肺の低酸素症、局所的な肺の低酸素症、肺水腫、上昇した肺動脈圧、上昇した肺血管抵抗、上昇した中心静脈圧、低下した動脈酸素飽和度、息切れ、「ラ音」および「パチパチ音」からなる群より選択される少なくとも1つの状態によって特徴づけられる、方法。
【0008】
幾つかの実施形態において、本発明の方法は、患者に薬学的に有効な量のAアデノシンレセプターアンタゴニストを投与する工程を包含する。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態において、使用されるAアデノシンレセプターアンタゴニストは、以下からなる群より選択される:
a.式Iの化合物:
【0010】
【化9】

であって、
ここで、RおよびRは、以下の1)、2)および3)からなる群から独立して選択される:
1)水素;
2)アルキル、3個以上の炭素のアルケニル、または3個以上の炭素のアルキニルであって、ここで、上記アルキル、アルケニル、またはアルキニルは、無置換であるか、またはヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、およびヘテロシクリルカルボニルアミノからなる群から選択される1個以上の置換基で官能基化されるかのいずれかである;および
3)アリールまたは置換されたアリール;
は、以下の1)、2)および3)からなる群から選択される:
1)以下:
【0011】
【化10】

からなる群から選択される二環式基、三環式基または五環式基であって、ここで、上記二環式基または三環式基は、無置換であるか、または以下のa)およびb)からなる群から選択される1個以上の置換基で官能基化されている:
a)アルキル、アルケニル、およびアルキニルであって、ここで、各アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基は、無置換であるか、または(アミノ)(R)アシルヒドラジニルカルボニル、(アミノ)(R)アシルオキシカルボキシ、(ヒドロキシ)(カルボアルコキシ)アルキルカルバモイル、アシルオキシ、アルデヒド、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルホスホノ、アルキルスルホニルアミノ、カルバモイル、R,R−アルコキシ、R−アルキルアミノ、シアノ、シアノアルキルカルバモイル、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルホスホノ、ハロアルキルスルホニルアミノ、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルカルバモイル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルスルホニルアミノ、オキシイミノ、ホスホノ、置換されたアラルキルアミノ、置換されたアリールカルボキシアルコキシカルボニル、置換されたヘテロアリールスルホニルアミノ、置換されたヘテロシクリル、チオカルバモイル、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される1個以上の置換基で官能基化されている;および
b)(アルコキシカルボニル)アラルキルカルバモイル、アルデヒド、アルケノキシ、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルバモイル、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アミノ、アミノアルキルアラルキルカルバモイル、アミノアルキルカルバモイル、アミノアルキルヘテロシクリルアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルアルキルシクロアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルカルバモイル、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、アリールスルホニルオキシ、カルバモイル、カルボニル、−R,R−アルコキシ、R−アルキル(アルキル)アミノ、R−アルキルアルキルカルバモイル、R−アルキルアミノ、R−アルキルカルバモイル、R−アルキルスルホニル、R−アルキルスルホニルアミノ、R−アルキルチオ、R−ヘテロシクリルカルボニル、シアノ、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルカルバモイル、ハロゲン、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヒドロキシ、オキシミノ、ホスフェート、置換されたアラルキルアミノ、置換されたヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリルスルホニルアミノ、スルホキシアシルアミノ、およびチオカルバモイル;ならびに
2)以下の三環式基:
【0012】
【化11】

であって、ここで、上記三環式基は、以下のa)およびb)からなる群から選択される1個以上の置換基で官能基化されている:
a)アルキル、アルケニル、およびアルキニルであって、ここで、各アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基は、無置換であるか、または(アミノ)(R)アシルヒドラジニルカルボニル、(アミノ)(R)アシルオキシカルボキシ、(ヒドロキシ)(カルボアルコキシ)アルキルカルバモイル、アシルオキシ、アルデヒド、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルホスホノ、アルキルスルホニルアミノ、カルバモイル、R,R−アルコキシ、R−アルキルアミノ、シアノ、シアノアルキルカルバモイル、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルホスホノ、ハロアルキルスルホニルアミノ、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルカルバモイル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルスルホニルアミノ、オキシミノ、ホスホノ、置換されたアラルキルアミノ、置換されたアリールカルボキシアルコキシカルボニル、置換されたヘテロアリールスルホニルアミノ、置換されたヘテロシクリル、チオカルバモイル、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される1個以上の置換基で官能基化されている;および
b)(アルコキシカルボニル)アラルキルカルバモイル、アルデヒド、アルケノキシ、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルバモイル、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アミノ、アミノアルキルアラルキルカルバモイル、アミノアルキルカルバモイル、アミノアルキルヘテロシクリルアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルアルキルシクロアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルカルバモイル、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、アリールスルホニルオキシ、カルバモイル、カルボニル、−R,R−アルコキシ、R−アルキル(アルキル)アミノ、R−アルキルアルキルカルバモイル、R−アルキルアミノ、R−アルキルカルバモイル、R−アルキルスルホニル、R−アルキルスルホニルアミノ、R−アルキルチオ、R−ヘテロシクリルカルボニル、シアノ、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルカルバモイル、ハロゲン、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、オキシミノ、ホスフェート、置換されたアラルキルアミノ、置換されたヘテロシクリル、置換されたヘテロシクリルスルホニルアミノ、スルホキシアシルアミノ、およびチオカルバモイル;
3)以下:
【0013】
【化12】

からなる群から選択される二環式基または三環式基であって、ここで、上記二環式基または三環式基は、無置換であるか、または以下のa)およびb)からなる群から選択される1個以上の置換基で官能基化されているかのいずれかである:
a)アルキル、アルケニル、およびアルキニルであって、ここで、上記アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、無置換であるか、またはアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、アラルコキシカルボニル、−R,ジアルキルアミノ、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヒドロキシ、置換されたアリールスルホニルアミノアルキルアミノ、および置換されたヘテロシクリルアミノアルキルアミノからなる群から選択された1個以上の置換基で官能基化されている;
b)アシルアミノアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルコキシカルボニルアミノアシルオキシ、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、アルキルアミノ、アミノ、アミノアシルオキシ、カルボニル、−R,R−アルコキシ、R−アルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヒドロキシ、ホスフェート、置換されたアリールスルホニルアミノアルキルアミノ、置換されたヘテロシクリル、および置換されたヘテロシクリルアミノアルキルアミノ;
は、水素、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルキル−COH、およびフェニルからなる群から選択され、ここで、上記C1〜4−アルキル基、C1〜4−アルキル−COH基、およびフェニル基は、無置換であるか、またはハロゲン、−OH、−OMe、−NH、NO、ベンジル、ならびにハロゲン、−OH、−OMe、−NH、および−NOからなる群から選択される1〜3個の置換基で官能基化されたベンジルからなる群から選択された1〜3個の置換基で官能基化されているかのいずれかであり;
は、−CHCOOH、−C(CFOH、−CONHNHSOCF、−CONHOR、−CONHSO、−CONHSONHR、−C(OH)RPO、−NHCOCF、−NHCONHSO、−NHPO、−NHSO、−NHSONHCOR、−OPO、−OSOH、−PO(OH)R、−PO、−SOH、−SONHR、−SONHCOR、−SONHCONHCO、および以下:
【0014】
【化13】

からなる群から選択され、
およびXは、OおよびSからなる群から独立して選択され;
Zは、単結合、−O−、−(CH1〜3−、−O(CH1〜2−、−CHOCH−、−(CH1〜2O−、−CH=CHCH−、−CH=CH−、および−CHCH=CH−からなる群から選択され、および
は、水素、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、アラルキル、置換されたアラルキル、置換されたアルキル、および複素環からなる群から選択される;ならびに
b.式IIまたはIIIの化合物:
【0015】
【化14】

であって、ここで、RおよびRは、独立して、以下からなる群より選択される:
1)水素;
2)アルキル、アルケニルまたはアルキニルであって、ここで、これらのアルキル、アルケニル、またはアルキニルは、非置換であるか、または1つ以上の置換基で官能基化されており、この置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、およびヘテロシクリルカルボニルアミノからなる群より選択される;ならびに
3)アリールまたは置換アリール;
は、以下からなる群より選択される:
1)以下:
【0016】
【化15】

からなる群より選択される、二環式基、三環式基または五環式基であって、ここで、これらの二環式基、三環式基または五環式基は、非置換であるか、または1つ以上の置換基で官能基化されており、この置換基は、以下:
i)アルキル、アルケニルおよびアルキニルであって;ここで、各アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基は、非置換であるか、または1つ以上の置換基で官能基化されており、該置換基は、以下:
(アルコキシカルボニル)アラルキルカルバモイル、(アミノ)(R)アシルヒドラジニルカルボニル、(アミノ)(R)アシルオキシカルボキシ、(ヒドロキシ)(カルボアルコキシ)アルキルカルバモイル、アシルアミノアルキルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルケンオキシ、アルケニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノアシルオキシ、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルカルバモイル、アルキルホスホノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アミノ、アミノアシルオキシ、アミノアルキルアラルキルカルバモイル、アミノアルキルカルバモイル、アミノアルキルヘテロシクリルアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルアルキルシクロアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルカルバモイル、アラルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、アリールスルホニルオキシ、カルバモイル、カルボニル、シアノ、シアノアルキルカルバモイル、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルカルバモイル、ジアルキルホスホノ、ハロアルキルスルホニルアミノ、ハロゲン、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルカルバモイル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルスルホニルアミノ、オキシミノ、ホスフェート、ホスホノ、−R、R−アルコキシ、R−アルキル(アルキル)アミノ、R−アルキルアルキルカルバモイル、R−アルキルアミノ、R−アルキルカルバモイル、R−アルキルスルホニル、R−アルキルスルホニルアミノ、R−アルキルチオ、R−ヘテロシクリルカルボニル、置換アラルキルアミノ、置換アリールカルボキシアルコキシカルボニル、置換アリールスルホニルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロアリールスルホニルアミノ、置換ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロシクリルスルホニルアミノ、スルホキシアシルアミノ、チオカルバモイル、トリフルオロメチルからなる群より選択される;および
ii)(アルコキシカルボニル)アラルキルカルバモイル、(アミノ)(R)アシルヒドラジニルカルボニル、(アミノ)(R)アシルオキシカルボキシ、(ヒドロキシ)(カルボアルコキシ)アルキルカルバモイル、アシルアミノアルキルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルケンオキシ、アルケニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノアシルオキシ、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキルアミノ、アルキルカルバモイル、アルキルホスホノ、アルキルスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アミノ、アミノアシルオキシ、アミノアルキルアラルキルカルバモイル、アミノアルキルカルバモイル、アミノアルキルヘテロシクリルアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルアルキルシクロアルキルカルバモイル、アミノシクロアルキルカルバモイル、アラルコキシカルボニル、アラルコキシカルボニルアミノ、アリールヘテロシクリル、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、アリールスルホニルオキシ、カルバモイル、カルボニル、シアノ、シアノアルキルカルバモイル、シクロアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキルカルバモイル、ジアルキルホスホノ、ハロアルキルスルホニルアミノ、ハロゲン、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルカルバモイル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルスルホニルアミノ、オキシミノ、ホスフェート、ホスホノ、−R、R−アルコキシ、R−アルキル(アルキル)アミノ、R−アルキルアルキルカルバモイル、R−アルキルアミノ、R−アルキルカルバモイル、R−アルキルスルホニル、R−アルキルスルホニルアミノ、R−アルキルチオ、R−ヘテロシクリルカルボニル、置換アラルキルアミノ、置換アリールカルボキシアルコキシカルボニル、置換アリールスルホニルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロアリールスルホニルアミノ、置換ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルアミノアルキルアミノ、置換ヘテロシクリルスルホニルアミノ、スルホキシアシルアミノ、チオカルバモイル、トリフルオロメチル;
からなる群より選択される;
は、水素、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルキル−COH、およびフェニルからなる群より選択され、ここで、これらのC1〜4−アルキル基、C1〜4−アルキル−COH基、およびフェニル基は、非置換であるか、または1〜3個の置換基で官能基化されており、これらの置換基は、ハロゲン、−OH、−OMe、−NH、NO、ベンジル、ならびにハロゲン、−OH、−OMe、−NH、および−NOからなる群より選択される1〜3個の置換基で官能基化されたベンジルからなる群より選択される;
は、−(CRCOOH、−C(CFOH、−CONHNHSOCF、−CONHOR、−CONHSO、−CONHSONHR、−C(OH)RPO、−NHCOCF、−NHCONHSO、−NHPO、−NHSO、−NHSONHCOR、−OPO、−OSOH、−PO(OH)R、−PO、−SOH、−SONHR、−SONHCOR、−SONHCONHCO、ならびに
【0017】
【化16】

からなる群より選択される;
nは、0、1、2または3である;
Aは、−CH=CH、−(CH)−(CH)、CH=CH−CH、および−CH−CH=CHからなる群より選択される;
mは、1または2である;
Xは、OまたはSである;
Zは、単結合、−O−、−(CH−、−O(CH1〜2−、−CHOCH−、−(CH1〜2O−、−CH=CHCH−、−CH=CH−、および−CHCH=CH−からなる群より選択される;そして
は、水素、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、アラルキル、置換アラルキル、置換アルキル、およびヘテロシクリルからなる群より選択される;そして
は、以下からなる群より選択される:
1)水素;
2)アルキル、3個以下の炭素のアルケニル、または3個以下の炭素のアルキニルであって;これらのアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、非置換であるか、または1つ以上の置換基で官能基化されており、これらの置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アシルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、およびヘテロシクリルカルボニルアミノからなる群より選択される;
3)アリールまたは置換アリール;
4)アルキルアリールまたはアルキル置換アリール;
c. 8−(3−オキサ−トリシクロ[3.2.1.02,4]オクト−6−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(3−ノルアダマンチル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−I]プリン−5−(4H)−オン;
8−(7−ヒドロキシ−3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−(3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
5−[8−(イソプロピル−メチル−アミノ)−9−メチル−9H−プリン−6−イルアミノ]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール;
1−[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−イル]−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−プロペノン;
4−[6−オキソ−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸;
6−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[2−(1H−テトラゾル−5−イル)−エチル]−2H−ピリダジン−3−オン;
8−シクロペンチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(DPCPX);
8−(3−オキソ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(アパキシフィリン(Apaxifylline));
8−(1−アミノ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−ジシクロプロピルメチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、式Iの化合物は、以下から選択される:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸;
8−(1−ヒドロキシ−トリシクロ[2.2.2.1.02,6]ヘプト−3−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、式IIまたはIIIの化合物は、以下から選択される:
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;および
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン。
【0020】
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるAアデノシンレセプターアンタゴニストは、以下からなる群より選択される:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
8−(3−オキサ−トリシクロ[3.2.1.02,4]オクト−6−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸;
8−(1−ヒドロキシ−トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプト−3−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(3−ノルアダマンチル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,2−I]プリン−5−(4H)−オン;
8−(7−ヒドロキシ−3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−(3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
5−[8−(イソプロピル−メチル−アミノ)−9−メチル−9H−プリン−6−イルアミノ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール;
1−[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−イル]−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−プロペノン;
4−[6−オキソ−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸;
6−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[2−(1H−テトラゾル−5−イル)−エチル]−2H−ピリダジン−3−オン;
8−シクロペンチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(DPCPX);
8−(3−オキソ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(アパキシフィリン);
8−(1−アミノ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−ジシクロプロピルメチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン。
【0021】
より好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるAアデノシンレセプターアンタゴニストは、以下からなる群より選択される:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
8−(3−オキサ−トリシクロ[3.2.1.02,4]オクト−6−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
8−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸;
8−(1−ヒドロキシ−トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプト−3−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン。
【0022】
他のより好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるAアデノシンレセプターアンタゴニストは、以下から選択される:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸;
8−(1−ヒドロキシ−トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプト−3−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン;および
8−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン。
【0023】
なお他の、さらに好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるAアデノシンレセプターアンタゴニストは、以下から選択される:
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸;
7,8−ジヒドロ−8−イソプロピル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(4−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−i]プリン−5−(4H)−オン;
3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イルオキシ]−プロピオン酸。
【0024】
最も好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるAアデノシンレセプターアンタゴニストは、3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸である。
【0025】
幾つかの実施形態において、本発明の方法において使用されるAアデノシンレセプターアンタゴニストは、抗体である。好ましくは、抗体は、Aアデノシンレセプターのリガンド結合ドメインへと指向される。
【0026】
幾つかの実施形態において、Aアデノシンレセプターは、ヒトに投与される。
【0027】
幾つかの実施形態において、本発明の方法において使用されるAアデノシンレセプターアンタゴニストは、薬学的に適切なキャリアと一緒に薬学的に受容可能な組成物に処方される。
【0028】
本発明は、肺疾患の兆候または症状を示す患者の処置において有用である。本発明の方法によって処置され得る肺疾患の例としては、肺水腫、肺高血圧およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態において、この方法は、肺水腫の処置に使用され、この肺水腫はStarling力の不均衡、変化した肺胞−毛細血管膜透過性、リンパ機能不全からなる群より選択される状態を伴う。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態において、この方法は、肺高血圧の処置において使用され、この肺高血圧は、肺動脈高血圧、呼吸器系の障害または低酸素血に関連する肺高血圧、肺静脈高血圧、慢性の血栓疾患または塞栓疾患から生じる肺高血圧、肺血管に直接影響する疾患から生じる肺高血圧からなる群より選択される状態を伴う。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態において、この方法は、以下の状態の少なくとも1つによって特徴付けられる肺疾患の兆候または症状を示す患者の処置において使用される:全体的な肺低酸素、局所的な肺低酸素、肺水腫、上昇した肺動脈圧、上昇した肺血管抵抗、上昇した中心静脈圧、減少した動脈酸素飽和度、息切れ、「ラ音」および「パチパチ音」。
【0032】
本発明はまた、Aアデノシンアンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的な組成物の薬学的に有効な量を患者に投与する工程を包含する、肺疾患の兆候または症状を示す患者を処置する方法に関する。
【0033】
幾つかの実施形態において、本発明は、肺水腫、肺高血圧およびそれらの組み合わせからなる群より選択される肺疾患の兆候または症状を示す患者を処置する方法を提供する。
【0034】
幾つかの実施形態において、本発明は、肺水腫の兆候または症状を示す患者を処置する方法を提供し、ここで、肺水腫は、Starling力の不均衡、変化した肺胞−毛細血管膜透過性、リンパ機能不全からなる群より選択される状態を伴う。
【0035】
幾つかの実施形態において、本発明は、肺高血圧の兆候または症状を示す患者を処置する方法を提供し、ここで、肺高血圧は、肺動脈高血圧、呼吸器系の障害または低酸素血に関連する肺高血圧、肺静脈高血圧、慢性の血栓疾患または塞栓疾患から生じる肺高血圧、肺血管に直接影響する疾患から生じる肺高血圧からなる群より選択される状態を伴う。
【0036】
幾つかの実施形態において、本発明は、肺疾患の兆候または症状を示す患者を処置する方法を提供し、ここで、肺疾患は、以下の状態の少なくとも1つによって特徴付けられる:全体的な肺低酸素、局所的な肺低酸素、肺水腫、上昇した肺動脈圧、上昇した肺血管抵抗、上昇した中心静脈圧、減少した動脈酸素飽和度、息切れ、「ラ音」および「パチパチ音」。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、平均動脈圧(MAP)および心拍数(HR)に対するAアデノシンレセプターアンタゴニスト(BG9719、1mg/kg)の効果を示す。心拍数または平均動脈圧においては、BG9719を用いた処置の後に全く変化しなかった。
【図2】図2は、心拍出量(CO)、肺動脈圧(PAP)、および肺毛細血管楔圧(PCWP)に対するAアデノシンレセプターアンタゴニスト(BG9719、1mg/kg)の効果を示す。心拍出量においては、BG9719を用いた処置の後に全く変化しなかった。BG9719を用いた処置後30分で、肺動脈圧は低下し、そして低下したままであった。肺毛細血管楔圧は、BG9719を用いた処置後90分で、低下した。
【図3】図3は、Aアデノシンレセプターアンタゴニスト(BG9719、1mg/kg)の静脈内注入後の心不全標本のペーシングにおける、肺血管抵抗(PVR)の測定を示す。PVRは、ベースラインから38%低下し、そしてベースラインレベルにまで回復する。(+p<0.05 対 ベースライン)
【図4】図4において、全身血管抵抗(SVR)および肺血管抵抗が、ベースラインでのHF標本のペーシング、および、Aアデノシンレセプターアゴニスト(3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル]−プロピオン酸(BG9928)、1mg/kg)の静脈内注入後のHFのペーシングにおいて測定された。結果は、ベースラインからの%変化として表わされる。BG9928を用いた処置後10分で、PVRは、ベースラインから18%下落し、一方、SVRにおいては全く変化がなかった(+p<0.05 対 ベースライン)。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味である。矛盾する場合において、定義を含む本願が規制する。本明細書で言及される全ての出版物(特許および他の参照)は、参照として援用される。
【0039】
本明細書に記載されるものと類似または等価の方法および物質が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および物質は、以下に記載される。物質、方法および実施例は、例示的であるというだけで、これらに限定されることは意図されない。本発明の他の特徴および利点は、発明の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
【0040】
本発明をさらに規定するために、以下の用語および定義が、本明細書で提供される。
【0041】
本明細書で使用されるように、「アルキル」基は、飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、直鎖または分岐鎖であり得、そして、例えば、鎖中に1〜6個の炭素原子を有し得る。直鎖アルキル基の例としては、以下に限定されないが、エチルおよびブチルが挙げられる。分岐アルキル基の例としては、以下に限定されないが、イソブチルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用されるように、「アルケニル」基は、少なくとも1つの二重結合を有する脂肪族炭素基を意味する。アルケニル基は、直鎖または分岐鎖であり得、そして、例えば、鎖中に3〜6個の炭素原子を有し得、かつ1または2個の二重結合を有し得る。アルケニル基の例としては、以下に限定されないが、アリルおよびイソプレニルが挙げられる。
【0043】
本明細書で使用されるように、「アルキニル」基は、少なくとも1つの三重結合を有する脂肪族炭素基を意味する。アルキニル基は、直鎖または分岐鎖であり得、そして、例えば、鎖中に3〜6個の炭素原子を有し得、かつ1または2個の三重結合を有し得る。アルキニル基の例としては、以下に限定されないが、プロパルギルおよびブチニルが挙げられる。
【0044】
本明細書で使用されるように、「アリール」基は、フェニル基またはナフチル基、あるいはその誘導体を意味する。「置換アリール」基は、1以上の以下のような置換基で置換されたアリール基である:アルキル、アルコキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、カルボアルコキシ、シアノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メルカプチル、アルキルメルカプチル、トリハロアルキル、カルボキシアルキル、スルホキシ、またはカルバモイル。
【0045】
本明細書で使用されるように、「アラルキル」基は、1つのアリール基で置換されたアルキル基を意味する。アラルキル基の例は、ベンジルである。
【0046】
本明細書で使用されるように、「シクロアルキル」基は、例えば、3〜8個の炭素原子の脂肪族環を意味する。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0047】
本明細書で使用されるように、「アシル」基は、直鎖または分岐鎖アルキル−C(=O)−基あるいはホルミル基を意味する。アシル基の例としては、アルカノイル基(例えば、アルキル基中に1〜6個の炭素原子を有する)が挙げられる。アセチルおよびピバロイルは、アシル基の例である。アシル基は、置換され得るか、または非置換であり得る。
【0048】
本明細書で使用されるように、「カルバモイル」基は、HN−CO−構造を有する基を意味する。「アルキルカルバモイル」および「ジアルキルカルバモイル」は、窒素が、水素の代わりにそれぞれ結合する1または2個のアルキル基を有するカルバモイル基をいう。類推によって、「アリールカルバモイル」基および「アリールアルキルカルバモイル」基は、1つの水素原子の代わりにアリール基を含み、そして後者では、第2の水素の代わりにアルキル基を含む。
【0049】
本明細書で使用されるように、「カルボキシル」基は、−COOH基を意味する。
【0050】
本明細書で使用されるように、「アルコキシ」基は、「アルキル」が前述の通りであるアルキル−O−基を意味する。
【0051】
本明細書で使用されるように、「アルコキシアルキル」基は、前述の通りのアルコキシ基によって水素が置換される前述の通りのアルキル基を意味する。
【0052】
本明細書で使用されるように、「ハロゲン」基または「ハロ」基は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0053】
本明細書で使用されるように、「ヘテロシクリル」基は、5員環〜10員環構造を意味し、ここで、環中の1以上の原子は、炭素ではない(例えば、N、O、S)元素である。ヘテロシクリル基は、芳香族または非芳香族であり得、すなわち、飽和であり得るか、または部分的にもしくは完全に不飽和であり得る。ヘテロシクリル基の例としては、ピリジル、イミダゾイル、フラニル、チエニル、チアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、インドリル、インドリニル、イソインドリニル、ピペリジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、テトラゾリル、およびベンゾイミダゾリルが挙げられる。
【0054】
本明細書で使用されるように、「置換ヘテロシクリル」基は、1以上の水素が、以下のような置換基で置換されるヘテロシクリル基を意味する:アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボアルコキシ、カルバモイル、シアノ、ハロ、トリハロメチル、ヒドロキシ、カルボニル、チオカルボニル、ヒドロキシアルキルまたはニトロ。
【0055】
本明細書で使用されるように、「ヒドロキシアルキル」基は、ヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を意味する。
【0056】
本明細書で使用されるように、「スルファモイル」基は、−S(O)NH構造を意味する。「アルキルスルファモイル」および「ジアルキルスルファモイル」は、窒素が、水素の代わりに、1または2個のアルキル基とそれぞれ結合するスルファモイル基をいう。類推によって、「アリールスルファモイル」基および「アリールアルキルスルファモイル」基は、1個の水素の代わりにアリール基を含み、そして、後者では、第2の水素の代わりにアルキル基を含む。
【0057】
本明細書で使用されるように、「アンタゴニスト」は、レセプターを活性化しないか、またはシグナル伝達を誘発しないで、レセプターと結合する分子を意味する。アンタゴニストは、結合部位に対して内因性リガンドと競合し、それによって、内因性リガンドによってレセプターの刺激または誘発を阻害する。アンタゴニストとしては、Aアデノシンレセプターに対して生じる抗体であり、かつアデノシン結合部位を遮断するか、またはアデノシンがレセプターと結合することを防ぐ抗体が挙げられる。
【0058】
本明細書で使用されるように、「選択的アンタゴニスト」は、他のサブタイプより高い親和性でアデノシンレセプターの特異的なサブタイプと結合するアンタゴニストを意味する。例えば、選択的Aレセプターアンタゴニストは、Aレセプターに対する高い親和性を有し、そしてa)Aレセプターサブタイプに対するナノモル結合親和性、b)別のサブタイプよりAレセプターサブタイプに対して、少なくとも10倍、より好ましくは50倍、そして最も好ましくは100倍大きい親和性、を有する。
【0059】
本明細書で使用されるように、「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子、遺伝子、またはそのフラグメントによってコードされるポリペプチドを意味する。免疫グロブリン遺伝子としては、κ定常領域、λ定常領域、α定常領域、γ定常領域、δ定常領域、ε定常領域およびμ定常領域、ならびに、多数の免疫グロブリン可変領域が挙げられる。軽鎖は、κまたはλのいずれかに分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、これらは次に、免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ規定する。
【0060】
抗体は、例えば、(2つの重鎖および2つの軽鎖からなる)インタクトな免疫グロブリンとしてか、または、多数のよく特徴付けられたそのフラグメントとして存在する。フラグメントが抗体へ特異的に結合可能である限りにおいて、このようなフラグメントとしては、以下に限定されないが、種々のプロテアーゼでの消化によって産生されるフラグメント、化学的な開裂および/または化学的な解離によって産生されるフラグメント、ならびに組換えで産生されるフラグメントが挙げられる。これらのフラグメントとしては、Fab、Fab’、F(ab’)、および単鎖Fv(scFv)フラグメントが挙げられる。エピト−プ、抗体および抗体フラグメントの詳細な説明は、Fundamental Immunology、3版、W.E.Paul、編、Raven Press,N.Y.(1993)を参照のこと。このようなFab’フラグメントは、従来の化学合成または組換えDNA技術を使用することで、容易に入手され得る。従って、本明細書で使用されるように、抗体という用語は、抗体全体の改変によって産生される抗体フラグメントまたはデノボで合成される抗体フラグメントを含む。本発明において有用な抗体は、ファージまたは類似のベクターにおける組換え抗体のライブラリーから必要に応じて誘導される(例えば、Huseら、Science、246、p.p.1275〜81、(1989);Wardら、Nature、341、pp.544〜46、(1989);Vaughanら、Nature Biotech.、14、pp.309〜14、(1996)を参照のこと(これらは本明細書で参照として援用される))。
【0061】
本明細書で使用されるように、「薬学的に有効な量(薬学的有効量)」は、幾らかの期間の間、重度の血管収縮を軽減または消失し、そして/または肺の血行力学を改善するのに必要とされる量を意味する。薬学的に有効な量はまた、患者の臨床上の症状を改善するのに必要な量を意味する。
【0062】
本明細書で使用されるように「薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバント」は、本発明の組成物とともに患者へ投与され得る非毒性のキャリアまたはアジュバントを意味し、それは、組成物の薬理学的な活性を破壊しない。
【0063】
本明細書で使用されるように、「肺水腫」は、流体が肺の中に蓄積している状態を意味する。肺水腫の臨床上の兆候および症状は、特定の病理の主要な発現として開始し得るか、または予め存在する疾患の進化として開始し得る。患者は以下が挙げられる種々の症状を呈する:呼吸困難、頻呼吸、起座呼吸、頻拍、高血圧、胸の圧迫、チアノーゼを伴う四肢の冷却感またはチアノーゼを伴わない四肢の冷却感、泡の多い痰またはピンク色の痰を伴うせき、呼吸の補助筋肉の過度の使用、喘鳴音を伴う湿ったラ音または喘鳴音を伴わない湿ったラ音。肺水腫の診断は、当該分野において通常の技術の範囲である。
【0064】
本明細書中で使用される場合、「肺血行力学」とは、肺を通る血液の循環に関する力または機構を意味する。「改善された肺血行力学」または「改善する肺血行力学」としては、肺機能に限定した場合、肺血管抵抗の減少、肺動脈圧の減少、肺毛細血管楔入圧の減少、動脈酸素飽和の増加、「ラ音」の低下、「息切れ」の改善、および運動能力の増大が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書で使用される場合、「肺高血圧」は、肺循環(肺動脈)内の異常に上昇した血圧を意味する。肺高血圧は、別の疾患プロセスに対して二次的であり得るか、または主な肺高血圧として公知の一時疾患プロセスとして起こり得る。肺高血圧の診断は、当業者の範囲内である。
【0066】
本明細書で使用される場合、「肺血管収縮」は、特に血管運動作用の結果として、肺における血管の管腔の狭小化を意味する。肺血管収縮は、肺を通る血流の減少または肺血管を通る血流に対する抵抗の増加を生じる。「肺血管収縮の減少」は、血管収縮の減少または肺血管拡張の増加を含む。「肺血管拡張」は、血管の管腔の拡張化をいう。この肺血管拡張は、血管の壁内の平滑筋の弛緩から生じる血管の内径の増大である。これによって血流の増加が生じ、そして/または肺動脈圧の圧力の減少をもたらす。
【0067】
本発明は、患者における肺血管収縮を減少させる方法または患者における肺血行力学を改善する方法に関する。これらの方法は、薬学的に有効な量のAアデノシンレセプターアンタゴニストを患者に投与する工程を包含する。
【0068】
(アデノシンアンタゴニスト化合物の合成)
本発明において有用な化合物は、当該分野に公知の従来の方法によって調製され得る。例えば、式Iの化合物の合成は、国際公開番号WO01/34604およびWO01/34610に記載される。
【0069】
化合物8−(3−オキサ−トリシクロ[3.2.1.02,4]オクト−6−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオンおよび8−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオンは、米国特許5,446,046号に記載されている。
【0070】
式IIおよびIIIの化合物の合成は、当該分野で公知の従来の方法によって調製され得る。具体的には、これらの化合物は、Suzukiら、J.Med.Chem.,35,3581−3583頁(1992)およびShimadaら、Tetrahedron
Lett.,33,3151−3154頁(1992)に教示された方法によって調製され得る。
【0071】
化合物7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(3−ノルアダマンチル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−I]プリン−5−(4H)−オン;8−(7−ヒドロキシ−3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオンおよび8−(3−ノルアダマンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオンが、国際公開番号WO95/31460およびその欧州対応特許出願EP−619316(1994)に記載される。
【0072】
化合物5−[8−(イソプロピル−メチル−アミノ)−9−メチル−9H−プリン−6−イルアミノ]−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オールの合成は、国際公開番号WO96/06845(1996)に記載される。
【0073】
化合物1−[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−イル]−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−プロペノン;4−[6−オキソ−3−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−6H−ピリダジン−1−イル]−酪酸;および6−(2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル)−2−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)−エチル]−2H−ピリダジン−3−オンは、国際公開番号WO95/18128(1995)、WO96/33715(1996)、およびWO98/41237(1998)に記載される。
【0074】
8−シクロペンチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(DPCPX)は、Research Biochemicals Internationalから市販されている。
【0075】
8−(3−オキソ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(Apaxifylline)の合成は、国際公開番号WO94/09787に記載される。
【0076】
8−(1−アミノ−シクロペンチル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオンの合成は、Ceccarelli,S.ら、Res.Commun.Mol.Pathol.Pharmacol.,87,101−102頁(1995)に記載される。
【0077】
8−ジシクロプロピルメチル−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオンの合成は、Shimada J.;Suzuki F.ら、J.Med.Chem.,34,466−469頁(1991)に記載される。
【0078】
幾つかの実施形態において、この化合物は、アキラルな化合物、光学活性化合物、純粋なジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、それらのプロドラッグまたは薬学的に受容可能な塩の形態であり得る。
【0079】
(Aアデノシンレセプター抗体の産生)
本発明はまた、レセプターのアンタゴニストとしての、Aアデノシンレセプターに対して惹起した抗体の使用を含む。このような抗体は、Aアデノシンレセプター上のリガンド(例えば、アデノシン)結合部位をブロックするか、またはリガンド(例えば、アデノシン)がレセプターに結合するのを防止する。
【0080】
アデノシンレセプターは、当業者に周知の種々の技術を使用して、Aアデノシンレセプターに結合するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を誘発するために使用され得る。あるいは、Aアデノシンレセプターの特異的領域に対応するペプチドが、周知の方法に従って免疫学的試薬を作製するために合成され、使用され得る。
【0081】
ヒトA1アデノシンレセプターはクローン化されており、そのレセプターをコードするDNA配列およびレセプターについてのタンパク質配列が同定されてきている(例えば、Libertら、Biochem Biophys Res Commun,187(2),919〜926頁(1992);Townsend−Nicholsonら、Brain Res Mol Brain Res,16(3−4)、365−370頁(1992)を参照のこと)。
【0082】
本発明のAアデノシンレセプターに対して指向された抗体は、本発明のAアデノシンレセプターと免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子またはその一部分である。より好ましくは、本発明の方法において使用される抗体は、Aアデノシンレセプターのリガンド結合ドメインと免疫学的に反応性である。
【0083】
アデノシンレセプターに対して指向された抗体は、適切な宿主の免疫化によって発生され得る。このような抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。好ましくは、それらはモノクローナルである。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の産生は、当業者の範囲内である。本発明を実施する際に有用な方法の概説については、例えば、Harlow and Lane(1988),Antibodies,A Laboratory Manual,Yelton,D.E.ら(1981);Ann.Rev.of Biochem.,50,657−80頁、およびAusubelら(1989);Current Protocols in Molecular Biology(New York:John Wiley&Sons),毎年更新を参照のこと。Aアデノシンレセプターとの免疫反応性の決定は、例えば、免疫ブロットアッセイおよびELISAを含む当該分野で周知の幾つかの任意の方法によって作製され得る。
【0084】
10−8−1または好ましくは10−9〜10−10−1またはそれより強い親和性を有するモノクローナル抗体は、代表的に、例えば、Harlow and Lane,(1988)前出に記載されるような標準的な手順によって作製される。簡単に述べると、適切な動物が選択され、所望の免疫化プロトコールが行われる。適切な時間の後、このような動物の脾臓が摘出され、個々の脾臓細胞を、代表的に適切な選択条件下で、不死化した骨髄腫細胞と融合する。その後、これら細胞は、クローン的に分離され、各クローンの上清を、抗原の所望の領域に対して特異的な、適切な抗体の産生について試験した。
【0085】
他の適切な技術は、抗原性Aアデノシンレセプターへのリンパ球のインビトロ曝露、あるいはファージまたは同様のベクターにおける抗体の選択ライブラリーへのリンパ球のインビトロ曝露に関する。Huseら、Science,246,1275〜81頁(1989)を参照のこと。本発明において有用な抗体は、改変を伴ってかまたは伴わずに、利用され得る。抗原(この場合、Aアデノシンレセプター)および抗体は、共有結合または非共有結合のいずれかによって、検出可能なシグナルを提供する基質に結合することによって標識され得る。種々の標識および結合体化技術は、当該分野で公知であり、本発明の実施する際に利用され得る。適切な標識としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光試薬、化学発光剤、磁性粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許としては、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号および同第4,366,241号が挙げられる。また、組換え免疫グロブリンが産生され得る(米国特許第4,816,567号を参照のこと)。
【0086】
本発明の抗体はまた、異なる種(例えば、マウスおよびヒト)由来の免疫グロブリン配列、または同じ種由来の免疫グロブリンの軽鎖配列および重鎖配列の一部分から形成されたハイブリッド分子であり得る。抗体は、単鎖抗体またはヒト化抗体であり得る。それは、複数の結合特異性を有する分子であり得、例えば、ハイブリッドハイブリドーマの産生、ジスルフィド交換、化学的架橋、二個のモノクローナル抗体間のペプチドリンカーの付加、二組の免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の特定の細胞株への導入などを含む、当業者に公知の多くの技術のうちのいずれか1つによって調製された二官能性抗体が挙げられる。
【0087】
本発明の抗体はまた、ヒトモノクローナル抗体、例えば不死化ヒト細胞によって産生されたヒトモノクローナル抗体、SIDU−huマウスもしくは「ヒト」抗体を産生し得る他の非ヒト動物によって産生されたヒトモノクローナル抗体、またはクローン化したヒト免疫グロブリン遺伝子の発現によって、産生されたヒトモノクローナル抗体であり得る。ヒト化抗体の調製は、米国特許第5,777,085号および同第5,789,554号によって教示される。
【0088】
要約すれば、本発明の教示を提供された当業者は、所定の抗体分子の安定性、もしくは半減期、免疫原性、毒性、親和性もしくは収率を増加または減少させる方法を包含する本発明の抗体の生物学的特性を変更するために、あるいは、特定の用途に、より適切にし得る任意の他の様式で、本発明の抗体の生物学的特性を変更するために使用され得る種々の方法が利用可能である。
【0089】
(Aアデノシンレセプターアンタゴニストについての使用)
本発明の方法および組成物は、肺疾患を処置するために使用され得る。肺疾患は、例えば、肺水腫または肺高血圧であり得る。これらの疾患は、種々の物理的外傷によって引き起こされ得る。
【0090】
本発明の幾つかの実施形態において、方法および組成物が、全体的な肺の低酸素症、局所的な肺の低酸素症、肺水腫、上昇した肺動脈圧、上昇した肺血管抵抗、上昇した中心静脈圧、減少した動脈酸素飽和、息切れ、「ラ音(rale)」および「パチパチ音(crackle)」からなる群から選択される少なくとも1つの条態によって特徴付けられる肺疾患の処置に使用される。
【0091】
本明細書中で使用される場合、「ラ音」および「パチパチ音」は、胸部の聴診の際の正常な呼吸音を伴って聞こえる異常音を意味する。
【0092】
本発明の方法は、種々の状態によって引き起こされる肺水腫を処置するために使用され得る。これらには、Starling力の不均衡、変化した肺胞−毛細血管膜透過性(急性呼吸窮迫症候群)、リンパ性不全が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、肺水腫は、高度肺水腫、神経肺水腫、麻酔の過剰用量、肺塞栓症、子癇、後電気的除細動(after cardioversion)、後感覚脱失(after anesthesia)、後心肺バイパスを含む多くの他の条態によって引き起こされ得る。
【0093】
本発明の方法は、Starling力の不均衡によって引き起こされる肺水腫を処置するために使用され得る。Straling力の不均衡の原因としては、上昇した肺毛細血管圧、低アルブミン血症に起因する低下した血漿腫脹圧および上昇した陰性の間質圧(increased negativity of interstitial pressure)が挙げられる。上昇した肺毛細血管圧は、心臓性原因および非心臓性原因の両方を有する。この心臓性原因としては、左心室不全、僧帽弁狭窄または亜急性細菌性心内膜炎が挙げられる。非心臓性原因としては、肺静脈線維症、肺静脈の起源の先天性狭窄または肝静脈閉塞病が挙げられる。上昇した肺毛細血管圧はまた、流体の過灌流によって引き起こされ得る。
【0094】
本発明の方法は、間質圧の上昇した陰性度によって引き起こされる肺水腫を処置するために使用され得る。間質圧の上昇した陰性の原因として、大きな適用した負の圧力を伴う気胸症または喘息の急速な除去が挙げられる。
【0095】
本発明の方法は、変化した肺胞−毛細血管膜透過性によって引き起こされる肺水腫を処置するために使用され得る。変化した肺胞−毛細血管膜透過性の原因としては、感染性肺炎(ウイルス性または細菌性)、吸入された毒素、循環する毒素、血管作用性物質(例えば、ヒスタミン、キニン)、汎発性血管内凝固症候群、免疫原性反応、放射線肺炎、尿毒症、溺水(near drowing)、吸引性肺炎、煙吸入、成人呼吸窮迫症候群が挙げられる。
【0096】
本発明の方法は、リンパ機能不全によって引き起こされる肺水腫を処置するために使用され得る。リンパ機能不全の原因としては、肺移植後不全、リンパ管癌腫症または繊維化リンパ管炎が挙げられる。
【0097】
本発明の方法は、種々の条態によって引き起こされる肺高血圧を処置するために使用され得る。これらには、肺動脈高血圧、呼吸系の障害に関連した肺高血圧および/または低酸素症、肺静脈高血圧、慢性の血栓症疾患および/または塞栓症疾患から生じる肺高血圧、肺血管系に直接影響する障害から生じる肺高血圧が挙げられる。
【0098】
本発明の方法は、肺動脈高血圧によって引き起こされる肺高血圧を処置するために使用され得る。原因として、一次肺高血圧(散発性障害および家族性障害);コラーゲン血管疾患のような関連した状態、先天性全身対肺バイパス形成、門脈圧亢進症、およびヒト免疫不全ウイルス感染;薬物および毒素誘発(すなわち、食欲抑制剤(anorectic
agent(appetite suppressant)));ならびに新生児の持続性肺高血圧が挙げられる。
【0099】
本発明の方法は、呼吸系の障害に関連した肺高血圧および/または低酸素血症によって引き起こされる肺高血圧を処置するために使用され得る。呼吸系の障害に関連した肺高血圧および/または低酸素血症の原因として、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、睡眠障害呼吸、肺胞換気過少障害、高度な標高に対する長期曝露、新生児肺疾患および肺胞−毛細血管形成異常が挙げられる。
【0100】
本発明の方法は、肺静脈高血圧によって引き起こされる肺高血圧を処置するために使用され得る。肺静脈高血圧の原因としては、左心房または左心室の心臓疾患、左心房心臓疾患、中央肺静脈の外因性圧縮(例えば、線維形成性縦隔炎、アデノパシーおよび/または腫瘍)および肺肝静脈閉塞病が挙げられる。
【0101】
本発明の方法は、慢性的な血栓症および/または塞栓症によって引き起こされる肺高血圧を処置するために使用され得る。慢性的な血栓症および/または塞栓症から生じる肺高血圧の原因としては、近位肺動脈の血栓塞栓性閉塞症、遠位肺動脈の閉塞症(例えば、肺塞栓症(血栓、腫瘍、卵および/または寄生体、外来物質)、インサイチュ血栓症、鎌状赤血球症)が挙げられる。
【0102】
本発明の方法は、肺血管系に直接影響を及ぼす障害により引き起こされる肺高血圧を処置するために使用され得る。肺血管系に直接影響を及ぼす障害から生じる肺高血圧の原因としては、炎症状態(例えば、住血吸虫症、サルコイドーシス)および肺毛細血管性血管腫症(pulmonary capillary hemangiomatosis)が挙げられる。
【0103】
(薬学的組成物)
アデノシンレセプターアンタゴニストは、動物(ヒトを含む)への投与のための薬学的組成物に処方され得る。これらの薬学的組成物は、好ましくは、血管収縮を低下させるかまたは肺血行力学を増大させるに有効な量のAアデノシンレセプターアンタゴニスト、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。
【0104】
これらの薬学的組成物において有用な薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0105】
本発明の組成物は、非経口的に、経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、鼻に、口内に、膣に、または移植レザバを介して、投与され得る。用語「非経口」とは、本明細書中で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内への注射または注入技術を含む。好ましくは、この組成物は、経口投与されるか、腹腔内投与されるか、または静脈内投与される。
【0106】
本発明の組成物の滅菌注射可能形態は、水性であってもよいし、油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、当該分野で公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて処方され得る。滅菌注射可能調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油が、従来通り、溶媒または懸濁媒体として使用される。この目的のために、任意の刺激の少ない不揮発性油が、使用され得、これらの不揮発性油としては、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化形態において)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈液または分散液(例えば、エマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に受容可能な投薬形態の処方にて一般的に使用されるカルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤)を含み得る。他の一般的に使用される界面活性剤(例えば、Tween、Span)、および薬学的に受容可能な固体、液体もしくは他の投薬形態の製造において一般的に使用される他の乳化剤もしくはバイオアベイラビリティー増強剤はまた、処方目的で使用され得る。
【0107】
非経口処方物は、維持用量が持続する単一ボーラス用量、注入もしくは装填ボーラス用量であり得る。これらの組成物は、1日1回または「必要時」ベースで投与され得る。
【0108】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態にて経口投与され得る。これらの投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液または溶液が挙げられる。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的には添加される。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口使用に必要な場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わせられる。所望であれば、特定の甘味剤、矯味矯臭剤または着色剤もまた添加され得る。
【0109】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための坐剤の形態にて投与され得る。これらは、薬剤と、室温にて固体であるが、直腸温度にて液体であり、従って、直腸にて融解して、薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製され得る。このような材料としては、ココアバター、蜜蝋、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0110】
本発明の薬学的組成物はまた、局所的に投与され得る。局所的適用は、直腸坐剤処方物(上記を参照のこと)または適切な浣腸処方物にてもたらされ得る。局所的経皮的パッチもまた、使用され得る。
【0111】
局所的適用に関して、この薬学的組成物は、適切な軟膏(1以上のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む)中に処方され得る。本発明の化合物の局所的投与のためのキャリアとしては、鉱油、流動パラフィン、白色鉱油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋(emulsifying wax)および水が挙げられる。あるいは、この薬学的組成物は、適切なローションまたはクリーム(1以上の薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む)中に処方され得る。適切なキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール(cetearyl alcohol)、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
【0112】
眼用用途に関して、薬学的組成物は、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、または好ましくは、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム(bekzylalkonium chloride)ありまたはなしいずれでも等張性のpH調節した滅菌生理食塩水中の溶液として、処方され得る。あるいは、眼用用途に関して、この薬学的組成物は、ワセリンのような軟膏中に処方され得る。
【0113】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻用エアロゾルまたは吸入により投与され得る。このような組成物は、薬剤処方の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0114】
キャリア材料と合わされて、単一の投薬形態を生成し得るAアデノシンレセプターアンタゴニストの量は、処置される宿主および特定の投与様式に依存して変化する。これらの組成物は、0.01〜100mg/kg体重の間のAアデノシンレセプターアンタゴニストの投薬量が、これらの組成物を受容する患者に投与されるように、処方され得る。本発明のいくつかの実施形態において、投薬量は、0.1〜10mg/kg体重である。この組成物は、単一用量として、複数用量として、または確立した期間にわたり注入において投与され得る。
【0115】
任意の特定の患者についての特定の投薬量および処置レジメンは、種々の要因(特定のA1アデノシンレセプターアンタゴニスト、その患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、および食事、ならびに投与時間、排出速度、薬物組み合わせ、および処置される特定の疾患の重篤度が挙げられる)に依存する。医療従事者によるこのような要因の判断は、当該分野の通常の技術範囲内である。アンタゴニストの量はまた、処置される個々の患者、投与経路、処方物の型、使用される化合物の特徴、疾患の重篤度、および所望の効果に依存する。アンタゴニストの量は、当該分野で周知の薬理学的原理および薬物動態学的原理により決定され得る。
【0116】
いくつかの実施形態に従って、本発明は、肺血管収縮を低減するかまたは肺血行力学を改善するための方法を提供し、この方法は、上記の薬学的組成物のうちの1つを患者に投与する工程を包含する。用語「患者」とは、本明細書中で使用される場合、動物(例えば、ヒト)を意味する。
【0117】
本明細書中に記載の発明が、より十分に理解され得るために、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例示目的であるに過ぎず、如何様にも本発明を限定すると解釈されるべきでないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0118】
(実施例1)
(動物モデル)
19頭のヨークシャーブタ(20〜25kg、雄性、Hambone Farms,SC)に、Tomitaら,Circulation,83,pp.635−644(1991)に記載されるように、心不全のペーシング(pacing)を誘導するために、器具を取り付けた。簡潔には、イソフルラン麻酔(酸素の1.5L/分中に3%)下で、左胸開胸によって、遮蔽された刺激電極を、左心房に縫合し、改良型プログラム可能ペースメーカー(modified programmable pacemaker)(8329 Medtronic,Inc.,Minneapolis,MN)に接続し、皮下ポケットに埋め込んだ。外科手順から回復して10〜14日間後、ベースライン心エコー研究を行い、3週間の間、240拍動/分にてペーシングを開始した。7頭の正常なコン
トロール動物のさらなる群を、ペーシングプロトコル以外は、同一の様式にて飼育した。3週間のペーシング期間の終わりに、ペースメーカーの使用を停止し、心エコー研究を行った。これらの研究に関して、動物を、実験室につれてきて、ペースメーカーの使用を停止した。2次元およびMモードの心エコー研究(ATL Ulmark VI,2.25MHz変換器,Bothell,WA)を使用して、右側胸骨傍アプローチにより左心室を画像化した。心エコー研究の後、動物を、急激な機械使用および研究プロトコルの開始のために準備した。
【0119】
(急激な機械使用)
ブタを、サフェタニル2.0μg/kg、エトミデート0.3mg/kg、およびベクロニウム10mgの静脈内ボーラスによって麻酔し、その後、気管切開を行った。ツボクラリン12mgの静脈内ボーラスを、動脈圧を得た後に投与した。硫酸モルヒネ3mg/kg/時間およびツボクラリン2mg/時間の連続静脈内注入により、この手順の間中、麻酔を維持した。エトミデート0.1mg/kg(静脈内)もまた、30分間隔にて与えた。10ml/kg/時間の乳酸添加リンゲル溶液の維持注入を、このプロトコルの間中維持した。この麻酔プロトコルは、6時間までにわたり深い麻酔水準かつ安定な血行力学プロフィールを生じた。複数管腔の熱希釈カテーテル(7.5Fr,Baxter Healthcare Corp.,Irvine,CA)を、右外頸静脈を介して肺動脈中に配置し、大口径のカテーテル(7Fr)を、流体投与のために、左外頸静脈中に配置した。頸動脈を露出させ、カニューレを挿入し、カテーテル(7Fr)を、大動脈血圧測定および血液サンプリングのために大動脈の根部に進めた。
【0120】
(血行力学および腎機能測定)
機器使用および15分間の安定化期間後に、ベースライン血行力学を記録し、デジタル化した。熱希釈に由来する心拍出量および駆出率を、三連にて、肺動脈カテーテルから得た。全ての測定値を、記録に呼吸による人工産物がないように、人工呼吸器を一時的に中断して、同時に記録した。動脈サンプルを電解質アッセイのために採取した。肺血管抵抗および全身血管抵抗を、標準的な公式を用いて、熱希釈心拍出量および圧力測定値から計算した。
【0121】
(実験プロトコル)
機器使用およびベースライン測定値の収集の後、動物を無作為に割り当てて、ビヒクル注入(ポリエチレングリコール、3ml静脈内、n=10)またはAアデノシンレセプターアンタゴニスト(1mg/kg 1,8−(3−オキサ−トリシクロ[3.2.1.02,4]オクト−6−イル)−1,3−ジプロピル−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(BG9719);n=9)のいずれかを与えた。ビヒクルまたはBG9719を注入した後、前節に記載される血行力学測定を、注入して10分後、30分後、60分後、90分後、120分後に反復した。
【0122】
(データ分析)
血行力学の変化を、コントロール群とAアデノシンレセプターアンタゴニスト(BG9719)群との間でANOVAにより最初に試験した。無作為化後のこれらのベースライン値の間の比較を、二元配置ANOVAにより行った。注入後のこれらのパラメーターの比較を、反復測定のために、多元配置ANOVAを使用して比較した。ペアワイズ比較を、Bonferroni修正(adjusted)t検定により行った。全ての統計学的分析を、統計学ソフトウェアプログラム(BMDP Statistical Software Inc. University of California Press,Los Angeles,CA)を用いて行った。結果を、平均±平均値の標準誤差(SEM)として表した。p<0.05の値を、統計学的に有意とみなした。
【0123】
(心不全における全身血行力学および肺血行力学)
心不全群のペーシングにおいて、正常コントロール値と比較して、左心室端部の拡張期の寸法は増大し(5.68±0.15 対 4.09±0.12cm;p<0.05)、駆出率の短縮(fractional shortening)は減少した(24±2 対 42±2%;p,0.05)。心不全群において、正常コントロール値と比較した場合、心拍数、肺動脈圧、および肺毛細血管楔入圧は増大し、心拍出量および平均大動脈圧は減少した。Aアデノシンレセプターアンタゴニストまたはビヒクル注入について無作為に割り当てた動物において、ベースラインパラメーターのいずれかにおいても差異はなかった。血行力学測定値におけるベースラインからの変化は、研究の間中、通常コントロール群において認められなかった。
【0124】
(全身性および肺性の血行力学−心不全におけるAアデノシンレセプターアンタゴニストの効果)
アデノシンレセプターアンタゴニストBG9719を用いた処置後に、心拍数(図1)、平均動脈圧(図1)、心拍出量(図2)、または全身血管抵抗の、ベースラインからの変化は示されなかった。平均肺動脈圧は、BG9719での処置後30分で、ベースラインから下降し、そして低下したままであった(30±1 対 23±3mmHg;p<0.05)(図2)。肺毛細血管楔入圧(PCWP)は、BG9719での処置後90分で低下した(9±2mgHg;p<0.05)(図2)。肺血管抵抗は、BG9719での処置後10分で、ベースラインから38%下降し、そしてベースラインレベルまで戻った(図3)。ビヒクル群において、血行力学における変化は示されなかった。BG9719との選択的Aアデノシンレセプター拮抗作用は、全身血管緊張または血圧を低下させることなく、肺抵抗特性の急激な減少に関連した。
【0125】
(実施例2)
(動物モデル)
4匹のYorkshireブタ(25〜30kg、雄、Hambone Farms,SC)に、ペースメーカー(8329,Medtronic,Inc.,Minneapolis,MN)を移植して、上記のようなペーシングCHFを誘導した。外科手順の治癒から10日〜14日後、ベースラインの心エコー研究(ATL Ultramark VI,2.25MHz トランスデューサ,Bothell,WA)を行い、そしてペーシングを、3週間にわたって240鼓動/分で開始した。さらなる群の6匹の正常なコントロール動物を、ペーシングプロトコルを除いて、同一の様式で治療した。3週間のペーシング期間の結果、ペースメーカーの使用を止め、心エコー研究を使用して、胸骨右縁アプローチからLVを画像化した。心エコー研究後、これらの動物を、急性計測装置(acute instrumentation)および研究プロトコルの開始のために、調製した。
【0126】
(急激な機械使用)
ブタに麻酔をし(静脈内、サフェンタニル 2.0g/kg、エトミデート 0.3mg/kg)、そして麻痺させた(ベクロニウム 10mg、ツボクラリン 12mg)。10ml/kg/時間の乳酸加リンガー溶液の維持注入を、このプロトコル全体を通して維持した。熱希釈カテーテル(7.5Fr,Baxter Healthcare Corp.,Irvine,CA)を、右外側の頸静脈を介して肺動脈内に位置決めし、そして大きい穿孔カテーテル(7Fr)を、流体投与のために左外側の頸静脈に配置した。頸動脈を曝露してカニューレ挿入し、そしてカテーテル(7Fr)を、大動脈血圧測定および排出された血液のサンプリングのために、大動脈根まで前進させた。
【0127】
(血行力学機能測定)
機械使用および10分間の安定期間の後、ベースライン血行力学を、記録およびデジタル化した。熱希釈は心拍出量を誘導し、そして駆出率を、肺動脈カテーテルから三連で得た。肺血管抵抗および全身血管抵抗を、圧力測定および心拍出量から、ならびに標準式を使用して、計算した。
【0128】
(実験プロトコル)
機械使用およびベースライン測定値の収集後、Aレセプターアンタゴニスト(3−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−プリン−8−イル)−ビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル−プロピオン酸(BG9928)、1mg/kg)を、静脈内注入した。前出の節において記載される血行力学測定を、注入から10分後、20分後、30分後、60分後、90分後、および120分後に繰り返した。
【0129】
(データ分析)
コントロールとHF群との間の基底血行力学の比較を、Studentのt検定を使用して行った。Aブロック注入後の血行力学の時間依存性変化を、ANOVAによって試験した。Bonferroniにより調整されたt検定を用いて、一組の(pair−wise)比較を行った。全ての統計学的分析を、統計学的ソフトウエアプログラム(BMDP Statistical Software Inc.University of California Press,Los Angles,CA)を使用して行った。結果を、平均値±平均値の標準誤差(SEM)として表わす。p<0.05の値を、統計学的に有意であるとみなした。
【0130】
(結果)
ペーシング心不全群において、正常なコントロール値と比較して、左心室拡張末期径は増加し(5.8±0.1 対 4.1±0.3cm;p<0.05)、そして画分の短縮は減少した(20±1 対 41±2%;p<0.05)。ベースラインの左心室機能および血行力学を、表1に要約する。心不全群において、正常なコントロール値と比較した場合、心拍数、肺動脈圧、および肺毛細血管楔入圧(PCWP)は増加し、そして一回拍出量は減少した。肺血管抵抗はまた、正常と比較して、HF群において上昇した。血行力学におけるベースラインからの変化は、この研究全体にわたって、正常なコントロール群において示されなかった。
【0131】
(全身性および肺性の血行力学:心不全におけるAアデノシンレセプターアンタゴニストの効果)
アデノシンレセプターアンタゴニストBG9928を用いた処置後に、心拍数、平均動脈圧、または心拍出量の、ベースラインからの変化は示されなかった。肺血管抵抗は、BG9928での処置後10分で、ベースラインから18%下降し(p<0.05)、一方、全身血管抵抗の変化はなかった(図4)。BG9228との選択的Aアデノシンレセプター拮抗作用は、全身血管緊張または血圧を低下させることなく、肺抵抗特性の急激な減少に関連した。
【0132】
(表1.正常調製物 対 CHF調製物におけるベースラインLV機能および血行力学)
【0133】
【表1】

(実施例3)
(A選択的アンタゴニストの評価−肺血管のアデノシン媒介性血管収縮の阻害)
多数の化合物を評価するために、モデルを設計した。ここで、げっ歯類(ラット)由来の肺血管を得、そしてこの血管の横行環(transverse ring)を、インビボ組織浴装置に使用する。このモデルは、試験化合物が肺血管収縮を低下させるか否かを決定するための化合物の評価を可能にする。
【0134】
雄のSprague Dawleyラットに、90mg/kgのBrevitalナトリウムをIP麻酔する。麻酔が外科平面に到達した後、この胸郭領域を剃毛し、そして心臓領域および胸部領域を、胸骨正中切開によって曝露する。食道を取り除き、気管を切除し、そして心臓の背面に進入する主要血管を曝露することによって、肺動脈を収集する。この肺動脈を、穏やかに解剖しそして取り除く。単離された血管を、冷Krebs−Henseleit緩衝液(pH7.4)(D−グルコース(2g/l)、MgSO(0.14g/l)、一塩基性硫酸カリウム(0.16g/l)、KCl(0.35g/l)、NaCl(6.9g/l)、CaCl(0.373g/l)、および重炭酸ナトリウム(2.lg/1)を含有する)のオープンコンテナ内に、使用の準備ができるまで保存する。ペトリ皿および実体顕微鏡を使用して、外膜の血管を洗浄し、3mmの環セグメントに切断する。次いで、肺環を、三角形ワイヤに慎重に取り付け、そして予め加熱した37℃の器官浴(organ bath)(95% O/5% COで泡立てた、10mlのKrebs−Henseleit緩衝液を含有する)に配置する。各端部において三角形ワイヤ支持体を有する2種類の長さの3−0蚕糸を使用して、肺環を支持する;このアセンブリの一端は、L字型ガラスロッドにホックで留められており、そして他端は、グラム張力を測定するために、等張力トランスデューサにホックで留められている。手動予荷重張力を、1gに設定し、そして洗浄し、15分毎または必要なように予荷重調整しながら、環を1時間平衡化させる。平衡化させた後、この肺環を、60mMの塩化カリウム(KCl)でチャレンジし、そして5分間水平状態にし、そして洗浄する。
【0135】
血管の反応性を、PGF2a、フェニレフリン、またはカリウムの適用によって試験する。この反応性を確認した後、組織を3回洗浄し、1gの張力下で安定化させる。次いで、濃度−応答曲線を、酸化させながら、A選択的アゴニストN−6シクロペンチルアデノシン(CPA)を用いて得る。次いで、この組織を、3回洗浄し、そして酸化せずに、1gの張力下で平衡化させ、種々の濃度の試験アンタゴニストとともにインキュベーションする。次いで、CPA濃度−応答曲線を、低酸素下での血管収縮性応答を確認して、そのアンタゴニストが、アゴニスト濃度−応答曲線(完全な競合性拮抗作用を示す)において右方向への平行シフトを引き起こすか否かを決定するために、反復する。
【0136】
本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のようなバリエーションは、規定された整数または整数の群を包含するが、他の整数および整数の群を全く排除しないことを意味することが理解される。
【0137】
本発明者らは、上記で、本発明の多くの実施形態を示してきたが、これらの実施形態は、本発明の他の実施形態を提供するように変更され得ることが明らかである。従って、本発明の範囲は、実施例によって示される特定の実施形態に制限されないことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−209156(P2009−209156A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147918(P2009−147918)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【分割の表示】特願2003−526413(P2003−526413)の分割
【原出願日】平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【出願人】(504085945)マスク ファウンデイション フォア リサーチ ディベロップメント (1)
【Fターム(参考)】