説明

能動チューブ

【課題】自在に屈曲可能であり、かつ応答速度、屈曲角度の制御性が向上した能動チューブを提供する。
【解決手段】能動的に屈曲される屈曲部10a〜10eを有する能動チューブ1であって、前記屈曲部に対応する部位に配置され、それぞれの光応答波長が異なる複数の光応答部材12a〜12eと、前記光応答部材に光を照射する光ファイバ部4と、前記光ファイバ部へ、前記光応答部材の光応答波長に対応する少なくとも1波長の光を選択的に入射させることができる光出射部6と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動チューブに関し、特に、光により能動的に駆動されて人体の血管や器官等に入り診断や治療に利用される能動チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チューブの屈曲させたい部位に高分子ゲル等からなる光応答性物質を配置し、この光応答性物質に光ファイバによって光を照射することにより、屈曲を制御する能動チューブが知られている(例えば、特許文献1参照)。このように光により駆動される能動チューブは、チューブ本体の内部に電気が流れないため、挿入される生体に対して安全性が高いという利点を有している。
【0003】
その一方で、光駆動の能動チューブは制御光が1波長であるため、光応答性物質に吸収される光も1波長のみであり屈曲部が限定され、また応答速度、屈曲角度の制御が非常に困難である。
【特許文献1】特開平8−215316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、自在に屈曲可能であり、かつ応答速度、屈曲角度の制御性が向上した能動チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、下記(1)〜(9)に記載の発明により達成される。
【0006】
(1)能動的に屈曲される屈曲部を有する能動チューブであって、前記屈曲部に対応する部位に配置され、それぞれの光応答波長が異なる複数の光応答部材と、前記光応答部材に光を照射する光ファイバ部と、前記光ファイバ部へ、前記光応答部材の光応答波長に対応する少なくとも1波長の光を選択的に入射させることができる光出射部と、を有することを特徴とする能動チューブである。
【0007】
(2)前記光応答部材は、前記光ファイバ部のコアが露出された露出部に配置されることを特徴とする上記(1)に記載の能動チューブである。
【0008】
(3)前記光応答部材は、前記光ファイバ部の外側に設けられるチューブ外側部に、前記光ファイバ部のコアが露出された露出部に対応して配置されることを特徴とする上記(1)に記載の能動チューブである。
【0009】
(4)前記光ファイバ部には、前記光ファイバ部内を進行する光を散乱させて前記光応答部材に光を照射させる分散体が設けられることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の能動チューブである。
【0010】
(5)前記複数の光応答部材は、吸収波長の異なる色素を含む感温性ゲルであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の能動チューブである。
【0011】
(6)前記複数の光応答部材は、吸収波長の異なる光応答性高分子であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の能動チューブである。
【0012】
(7)前記複数の光応答部材は、光が照射される面に吸収波長の異なる色素を含む形状記憶材料であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の能動チューブである。
【0013】
(8)前記光応答部材の外側が、水分透過性を有する被覆部で覆われていることを特徴とする上記(5)に記載の能動チューブである。
【0014】
(9)前記光ファイバ部は、前記光出射部から当該光ファイバ部へ入射される作用光を先端部から照射することができることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の能動チューブである。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)に記載の発明によれば、屈曲部に対応して設けられるそれぞれの光応答部材が異なる光応答波長を有しており、光出射部が光応答部材の光応答波長に対応する少なくとも1波長の光を選択的に入射させることができるため、それぞれの屈曲部を独立して自在に屈曲させることができ、かつ応答速度および屈曲角度の制御性も向上できる。
【0016】
また、上記(2)に記載の発明によれば、光応答部材が光ファイバ部のコアが露出された露出部に配置されるため、光ファイバ自体を能動チューブの本体として形成することができる。
【0017】
また、上記(3)に記載の発明によれば、光応答部材が、光ファイバ部の外側に設けられるチューブ外側部に、光ファイバ部のコアが露出された露出部に対応して配置されるため、露出部から光を受けた光応答部材が、チューブ外側部を屈曲させることができる。
【0018】
また、上記(4)に記載の発明によれば、光ファイバ部に、光応答部材に光を照射させる分散体が設けられるため、光応答部材へ光が入射しやすくなり、効率的に屈曲部を屈曲させることができる。
【0019】
また、上記(5)に記載の発明によれば、複数の光応答部材が、吸収波長の異なる色素を含む感温性ゲルであるため、それぞれの吸収波長に対応する光を受けた色素により感温性ゲルの温度が上昇し、感温性ゲルが温度に反応して駆動される。これにより、入射される光の波長に対応する吸収波長の色素を含む感温性ゲルのみが反応するため、それぞれの屈曲部を独立して屈曲させることができる。
【0020】
また、上記(6)に記載の発明によれば、複数の光応答部材が、吸収波長の異なる光応答性高分子であるため、それぞれの吸収波長に対応する光を受けた光応答性高分子が反応して駆動される。これにより、入射される光の波長に対応する光応答性高分子のみが反応するため、それぞれの屈曲部を独立して屈曲させることができる。
【0021】
また、上記(7)に記載の発明によれば、複数の光応答部材が、光が照射される面に吸収波長の異なる色素を含む形状記憶材料であるため、それぞれの吸収波長に対応する光を受けた色素により形状記憶材料の温度が上昇し、形状記憶材料が温度に応じて駆動される。これにより、入射される光の波長に対応する吸収波長の色素を含む形状記憶材料のみが反応するため、それぞれの屈曲部を独立して屈曲させることができる。
【0022】
また、上記(8)に記載の発明によれば、光応答部材の外側が、水分透過性を有する被覆部で覆われているため、光応答部材である感温性ゲルの膨潤に必要な水分を、外部から得ることができる。
【0023】
また、上記(9)に記載の発明によれば、光ファイバ部が、光出射部から光ファイバ部へ入射される作用光を先端部から照射することができるため、自在に屈曲可能な能動チューブを実現しつつ、共通の光ファイバ部を用いて作用光による作業が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る能動チューブを部分的に断面で示す構成図、図2は、図1のII−II線に沿う断面図、図3は、同能動チューブの先端部を示す斜視図である。
【0026】
第1の実施形態に係る能動チューブ1は、能動的に駆動されるチューブであり、例えば、人体の血管や器官等に入り込み、診断や治療に利用される医療用のカテーテルである。
【0027】
能動チューブ1は、図1〜3に示すように、光ファイバ部4を備える長尺なチューブ本体2と、チューブ本体2が連結され、光ファイバ部4にレーザ光を供給するレーザ光出射部6(光出射部)を備える基体部5と、レーザ光出射部6を制御する制御部3とを有している。
【0028】
基体部5のレーザ光出射部6で発生したレーザ光は、図示していない光学系に導かれて光ファイバ部4に供給される。
【0029】
レーザ光出射部6は、たとえば、複数の半導体レーザ素子を備え、これらのレーザ素子から複数種類の波長のレーザ光を発生させ、これらのレーザ光を多波長多重接合機により重ね合わせて光ファイバに入射できるものである。また、レーザ光出射部6に、例えば固体レーザ素子を用いることも可能である。なお、本実施の形態と異なり、レーザ光出射部6を基体部5の外部、たとえば制御部3内に配置する構成を採用してもよい。
【0030】
レーザ光が進行する光ファイバ部4は硬質性の光ファイバであり、たとえば、SiO2(石英ガラス)系光ファイバまたはプラスチック光ファイバを用いて構成される。光ファイバ部4は、たとえば、中心軸に位置してレーザ光が通過するコア7と、それを取り囲むクラッド8と、を含む二層構造で成り立っている。さらに、クラッド8の外側には、柔軟な被覆部9が設けられている。
【0031】
チューブ本体2には、使用時に能動的に屈曲される複数の屈曲部10a〜10eが形成される。光ファイバ部4は、この屈曲部10a〜10eに対応する位置の中心軸から偏った部位に、中心軸方向に配列されてコア7が露出した露出部11a〜11eが複数形成され、それぞれの露出部11a〜11eに、それぞれ光応答波長の異なる光応答部材12a〜12eが充填されている。
【0032】
また、光ファイバ部4内には、光ファイバ部4の軸方向に沿って配列されており、光ファイバ内を進むレーザ光を分散させつつ透過させる複数の分散体13a〜13eが設けられる。複数の分散体13a〜13eは、光ファイバ部4内において、光応答部材12a〜12eの中心軸方向位置に対応して設けられ、かつ光応答部材12a〜12eと略対向する周方向位置に設けられる。なお、本実施形態では、分散体13a〜13eは光応答部材12a〜12eと一対一で対応するように設けられるが、必ずしも一対一で対応する必要はなく、分散体13により分散されたレーザ光を光応答部材12に入射させることができれば、例えば複数の光応答部材12に対して1つの分散体13が設けられても、また分散体13が光応答部材12より多くてもよい。ただし、分散体13により、光ファイバの先端側へ到達するレーザ光が減少するため、適切な分散体13を設定することが望ましい。
【0033】
複数の分散体13a〜13eは、光ファイバ部4のコア7内を進むレーザ光を分散させつつ、透過させるものであり、各分散体13をレーザ光が通過するたびに、このレーザ光の一部分が分散し、レーザ光の他部分が通過する。本実施の形態では、分散体13は、レーザ光を散乱させる散乱体である。複数の分散体13a〜13eは、光ファイバ部4の通常の部分(分散体13以外の他の部分)に比べて屈折率が変化しているものであればよく、たとえば、溝部、凸部、グレーティング(格子)、傷部、または切り込み部で構成される。これらの複数の分散体13a〜13eは、半導体微細加工技術などを用いて、クラッド8を加工することによって得られる。また、分散体13の形成のためには、必要に応じて、コア7も加工される。また、分散体13は、必ずしもクラッド8の外面まで形成される必要はなく、コア7とクラッド8の境界部分にのみ設けてもよい。
【0034】
このように、光ファイバ部4の中心軸から偏って分散体13を形成することによって、略対向する位置に配置される光応答部材12に入射される光を増加させることが可能となる。なお、光応答部材12にレーザ光を入射させることができれば、必ずしも分散体13を設けなくてもよい。
【0035】
複数の光応答部材12a〜12eには、吸収波長の異なる色素を含む感温性ゲル、吸収波長の異なる光応答性高分子、光が照射される面に吸収波長の異なる色素を含む形状記憶合金(形状記憶材料)、または熱による変形に対して可逆性を有する他の部材が適用される。
【0036】
感温性ゲルは、温度により体積変化する高分子ゲルであり、例えばメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリメチルビニルエーテル、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド等が用いられる。露出部11a〜11eに充填されるそれぞれの感温性ゲルには、吸収波長の異なる色素が混入される。そのため、それぞれの感温性ゲルに光が入射されると、入射された光の波長に対応する吸収波長の色素が加熱されて、この色素を含む感温性ゲルの温度が上昇し、感温性ゲルが温度に反応して駆動される。したがって、光ファイバ部4に入射させるレーザ光の波長を制御することにより、光応答部材12を選択的に加熱して膨張または収縮させることができる。
【0037】
光応答性高分子は、ポリマー中に配向された異なった配向に吸収性を有するアゾベンゼン等の色素を含む高分子であり、異なった波長の光を光応答性高分子に照射すると、色素はシス−トランス異性化を示し、光応答性高分子が可逆的に屈曲することによって、光ファイバを可逆的に曲げることができる。
【0038】
光応答部材12に感温性ゲルを適用する場合には、被覆部9は、水分透過性を有する部材であることが好ましく、例えば、ゴアテックスのような多孔性高分子材料の他、レーザ加工やイオンビーム加工等によって微細な孔をあけた柔軟高分子材料によるフィルムであっても良い。被覆部9に水分透過性材料を用いることにより、光応答部材12が膨潤する際に、必要な水分を外部から得ることができる。
【0039】
形状記憶合金は、温度に応じて変形する合金であり、本実施形態では、温度による変形が可逆性を有する合金が適用され、二方向性形状記憶処理された形状記憶合金であれば何でもよく、例えばNi−Ti合金等が用いられる。それぞれの露出部11a〜11eに配置される形状記憶合金は、コア7と対向する面にそれぞれ吸収波長の異なる色素が塗布されている。したがって、光ファイバ部4に入射させるレーザ光の波長を制御することにより、対応する吸収波長を有する色素の温度が加熱されて形状記憶合金の温度が上昇し、形状記憶合金が温度に応じて駆動され、光応答部材12を選択的に膨張または収縮させることができる。なお、光応答部材12に形状記憶合金を適用する場合には、被覆部9は水分透過性を有する部材である必要はなく、例えばポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリサルフォンやシリコーンのような柔軟性に優れた高分子材料等で形成される。
【0040】
また、熱による変形に対して可逆性を有する他の部材としては、例えば温度による変形が非可逆性である形状記憶合金や形状記憶樹脂に、可逆性となるように例えばバネ等の機構を付加した部材が挙げられる。このような部材が適用される場合においても、コア7と対向する面にそれぞれ吸収波長の異なる色素が塗布し、または内部に色素が混入することで、光応答部材12として適用することができる。
【0041】
なお、光応答部材12は必ずしもコア7と接しなくてもよく、例えば、コア7と光応答部材12の間に隙間や他のレーザ光を透過させる部材が設けられてもよい。また、コア7とクラッド8の間でのレーザ光の反射の際に発生するエバネセント波が光応答部材12を屈曲させるために十分な強度を有するのであれば、分散体を使わずに、コア表面に光応答性部材を付けるだけの配置も可能である。
【0042】
能動チューブ1は、光ファイバ部4の先端から作用光を外部に照射することもできる。作用光は、例えば画像診断のための光や、レーザメスとして使用される赤外線レーザ等である。この作用光も、前述のレーザ光出射部6から光ファイバ部4へ出射される。したがって、自在に屈曲可能な能動チューブ1を実現しつつ、共通の光ファイバ部4を用いた作用光による作業が可能となる。
【0043】
次に、第1の実施形態に係る能動チューブ1の使用方法について説明する。
【0044】
初めに、屈曲させる屈曲部10を選択し、これらの屈曲部10に位置する光応答部材12の光応答波長に対応するレーザ光と、必要に応じて作用光を、制御部3により制御してレーザ光出射部6から出射する。この際に、複数の屈曲部10を屈曲させる場合には、波長の異なる複数のレーザ光を、多波長多重接合機により重ね合わせて出射する。出射されたレーザ光は、光ファイバ部4を通り、分散体13a〜13eにより散乱されて光応答部材12a〜12eに照射される。このとき、入射されたレーザ光の波長を応答波長とする光応答部材12のみが応答し、光応答部材12が膨張または収縮する。この際に、光応答部材12が中心軸から偏って配置されているため、屈曲部10が屈曲される。ここで、屈曲部10の屈曲角度や応答速度は、制御部3によってレーザ光出射部6からのレーザ光の時間密度、照射時間および強度を制御することにより、任意に設定することができる。
【0045】
このように、第1の実施形態に係る能動チューブ1によれば、それぞれの屈曲部10a〜10eに設けられる光応答部材12a〜12eが異なる波長に応答するため、それぞれの屈曲部10a〜10eを独立して自在に屈曲させることができ、これにより制御が容易となるため、応答速度および屈曲角度の制御性が向上される。
【0046】
また、分散体13a〜13eによりレーザ光が散乱されるため、光応答部材12a〜12eへレーザ光が入射しやすくなり、効率的に屈曲部10a〜10eを屈曲させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る能動チューブ1は光で駆動されるため、チューブ内部に電流が流れず、生体への安全性を向上させることが可能である。また、チューブ内部に電流が流れないために磁場に影響を与えず、例えばMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置により生体外から観察しつつ使用することも可能である。
【0048】
<第2実施形態>
図4は、第2の実施形態に係る能動チューブを示す断面図である。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する部位については同一の符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0049】
第2の実施形態に係る能動チューブ20は、図4に示すように、各屈曲部21に、周方向に配列される複数(図4の例では3つ)の光応答部材22a〜22cおよび分散体23a〜23cを有している。この同一屈曲部21に設けられるそれぞれの光応答部材22a〜22cは、異なる光応答波長を有している。これにより、同一屈曲部21のそれぞれの光応答部材22a〜22cを独立して駆動させることができ、各屈曲部21を周方向の任意の角度に屈曲させることが可能となる。この光応答部材22a〜22cが周方向に配置された屈曲部21は、1つ以上で構成することができる。なお、分散体23a〜23cは、第1実施形態と同様に必ずしも設けられなくてもよい。
【0050】
<第3実施形態>
図5は、第3の実施形態に係る能動チューブを部分的に断面で示す構成図である。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する部位については同一の符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
【0051】
第1実施形態に係る能動チューブ1は、光ファイバ部4の内部に直接光応答部材12を配置したが、必ずしも光ファイバ部4に直接光応答部材12を配置しなくてもよい。第3の実施形態に係る能動チューブ30のチューブ本体38には、図5に示すように、光ファイバ部4の外側にチューブ外側部32が設けられ、この外側に被覆部33が設けられる。チューブ外側部32には、光ファイバ部4の露出部11a〜11eに連通する開口部35a〜35eが形成されており、この開口部35a〜35eに光応答部材36a〜36eが充填される。チューブ外側部32は、例えばポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリサルフォンやシリコーンのような柔軟性に優れた高分子材料等で形成される。
【0052】
このように、光ファイバ部4と異なる部材に光応答部材36を設けても、第1、第2実施形態と同様に、各屈曲部37a〜37eを独立して屈曲させることができる。
【0053】
また、第3実施形態において、チューブ外側部32および被覆部33が、光ファイバ部4と別体のシースとして形成されてもよい。
【0054】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。例えば、上述の能動チューブ(能動カテーテル)に、ガイドワイヤを通すためのチャネルやバルーンを設置する部位等の、用途によって必要となる他の構成を設けることが可能である。また、上述の実施形態に係る能動チューブは医療用のカテーテルであるが、必ずしも医療用に限られない。また、光出射部には、レーザ光ではなく、全色光(多色光)を出射する例えばランプ等を用いてもよい。この際には、駆動する光応答部材の応答波長に応じて特定の波長の光を出射できるように、フィルターを通して光ファイバ部に光が入射される。また、屈曲部の数は、上述の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施形態に係る能動チューブを部分的に断面で示す構成図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る能動チューブの先端部を示す斜視図である。
【図4】第2の実施形態に係る能動チューブを示す断面図である。
【図5】第3の実施形態に係る能動チューブを部分的に断面で示す構成図である。
【符号の説明】
【0056】
1,20,30 能動チューブ、
2,38 チューブ本体、
3 制御部、
4 光ファイバ部、
5 基体部、
6 レーザ光出射部(光出射部)、
7 コア、
8 クラッド、
9,33 被覆部、
10a〜10e,21a〜21c,37a〜37e 屈曲部、
11a〜11e 露出部、
12a〜12e,22a〜22c,36a〜36e 光応答部材、
13a〜13e,23a〜23c 散乱部、
32 チューブ外側部、
35a〜35e 開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動的に屈曲される屈曲部を有する能動チューブであって、
前記屈曲部に対応する部位に配置され、それぞれの光応答波長が異なる複数の光応答部材と、
前記光応答部材に光を照射する光ファイバ部と、
前記光ファイバ部へ、前記光応答部材の光応答波長に対応する少なくとも1波長の光を選択的に入射させることができる光出射部と、を有することを特徴とする能動チューブ。
【請求項2】
前記光応答部材は、前記光ファイバ部のコアが露出された露出部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の能動チューブ。
【請求項3】
前記光応答部材は、前記光ファイバ部の外側に設けられるチューブ外側部に、前記光ファイバ部のコアが露出された露出部に対応して配置されることを特徴とする請求項1に記載の能動チューブ。
【請求項4】
前記光ファイバ部には、前記光ファイバ部内を進行する光を散乱させて前記光応答部材に光を照射させる分散体が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の能動チューブ。
【請求項5】
前記複数の光応答部材は、吸収波長の異なる色素を含む感温性ゲルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の能動チューブ。
【請求項6】
前記複数の光応答部材は、吸収波長の異なる光応答性高分子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の能動チューブ。
【請求項7】
前記複数の光応答部材は、光が照射される面に吸収波長の異なる色素を含む形状記憶材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の能動チューブ。
【請求項8】
前記光応答部材の外側が、水分透過性を有する被覆部で覆われていることを特徴とする請求項5に記載の能動チューブ。
【請求項9】
前記光ファイバ部は、前記光出射部から当該光ファイバ部へ入射される作用光を先端部から照射することができることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の能動チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−220835(P2008−220835A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−66983(P2007−66983)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】