説明

脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム及び反射板

【課題】使用により経時的に黄変したり、反射率が低下することがなく、かつ、デッドフォールド性に優れ、しかも、焼却処理した場合に発熱量が小さく、埋め立て処理した場合には微生物等による分解が可能で、廃棄上の問題が生じない反射フィルムを提供する。
【解決手段】反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂および微粉状充填剤を含有し、80℃で3時間保存した後のフィルムの収縮率が、縦方向で0%より大きく、0.7%未満であり、横方向で、−0.1%以上、0.5%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムに関し、特に、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の反射板等に使用されるポリエステル系樹脂反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイの反射板等に使用される反射フィルムとして、特開平4−239540号公報には、芳香族ポリエステル系樹脂からなるフィルムが開示されているが、その分子鎖中に含まれる芳香環が紫外線を吸収するため、紫外線に晒されると反射フィルムが劣化し黄変して、反射フィルムの反射率が低下するという欠点があった。また、特開平11−174213号公報には、反射フィルムとして、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムが開示されているが、廃棄処分に付される場合に、ポリプロピレン系樹脂は焼却処理されると焼却発熱量が大きいので焼却炉を傷めるという問題があった。また、ポリプロピレン系樹脂等のプラスチックは自然環境中で長期にわたって安定であるので、廃棄に際し埋め立て処理されると、長期にわたって土壌中に残存し、廃棄物埋め立て処理用地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なう等の問題があった。
【0003】
さらに、無機充填剤を60質量%以上添加したポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは十分なフィルム強度を確保することができないので、延伸時にフィルムが破断しやすく、フィルム生産の安定性が低下する恐れがあった。
【0004】
液晶ディスプレイの反射板等に使用される反射フィルムは、折りたたみ加工等を施した時にその形状を保持することができる形状保持性が求められているが、従来の反射フィルムは「デッドフォールド性」が低いという欠点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平4−239540号公報
【特許文献2】特開平11−174213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、使用により経時的に黄変したり、反射率が低下することがなく、かつ、デッドフォールド性に優れ、しかも、焼却処理した場合に発熱量が小さく、埋め立て処理した場合には微生物等による分解が可能で、廃棄上の問題が生じない反射フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、微粉状充填剤を含有し、かつ、内部に、空隙のフィルム中に占める割合が50%以下(空隙を有しない場合を含む)となるように空隙を有することを特徴とする。
ここで、前記微粉状充填剤が、少なくとも酸化チタンを含むことが好ましい。
また、前記酸化チタンは、バナジウムの含有量が5ppm以下であることが好ましい。
本発明においては、前記微粉状充填剤を微粉状充填剤および脂肪族ポリエステル系樹脂を含む脂肪族ポリエステル系樹脂組成物中、10質量%以上、60質量%以下の範囲で含有することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムが空隙を有する場合には、空隙率が5%以上、50%以下であることが好ましい。
本発明において、前記脂肪族ポリエステル系樹脂の屈折率が1.50未満であることが好ましい。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂の屈折率と、微粉状充填剤の屈折率との差が0.15以上であることが好ましい。
また、前記脂肪族ポリエステル系樹脂が乳酸系樹脂であることができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂及び微粉状充填剤を含む樹脂組成物を溶融製膜したフィルムを、面積倍率が5倍以上になるように、少なくとも1軸方向に延伸したフィルムであることができる。
また、80℃で3時間保存した後のフィルムの収縮率が、縦方向で0%より大きく、0.7%未満であり、横方向で、−0.1%以上、0.5%以下であることが好ましい。
本発明の反射板は、上記いずれかの脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを備えていることを特徴とする。例えば、金属板もしくは樹脂板に貼り合わせることにより形成することができ、液晶表示用反射板、照明器具用反射板、照明看板用反射板等として利用することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、従来の反射フィルムまたはシートの機能を十分に発揮し、かつ、使用により黄変したり、反射率が低下することがなく、デッドフォールド性に優れ、しかも、焼却処理した場合に発熱量が小さく、埋め立て処理した場合には微生物等による分解が可能(生分解性)で、廃棄上の問題が生じない、液晶ディスプレイの反射板等に使用される反射フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について説明する。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、内部に微粉状充填剤を有する。
【0010】
本発明に用いられる微粉状充填剤としては、有機質微粉体、無機質微粉体等が挙げられる。有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等から選ばれた少なくとも1種が用いられることが好ましい。
【0011】
無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも1種が用いられることが好ましい。得られるフィルムの光反射性を勘案すれば、フィルムを構成するベース樹脂との屈折率差が大きいものが好ましく、すなわち、無機質微粉体としては屈折率が大きいものが好ましい。具体的には、屈折率が1.6以上である炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることが更に好ましく、これらの中でも酸化チタンを用いることが特に好ましい。酸化チタンを用いることにより、より少ない充填量でフィルムに高い反射性能を付与することができ、また、薄肉でも高い反射性能のフィルムを得ることができる。
【0012】
本発明においては、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いることが特に好ましい。本発明において高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタンであり、バナジウム、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素の含有量が少ないものをいう。本発明においては、酸化チタンに含まれるバナジウムの含有量が5ppm以下である酸化チタンを高純度酸化チタンと称すことにする。高純度酸化チタンは、光吸収能を小さくするという観点からは、酸化チタンに含まれる、鉄、ニオブ、銅、マンガン等の着色元素も少なくすることが好ましい。
【0013】
本発明に用いられる酸化チタンとしては、例えば、アナタース型酸化チタン及びルチル型酸化チタンのような結晶形の酸化チタンが挙げられる。ベース樹脂との屈折率差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型酸化チタンの結晶形のものを用いることが好ましい。
【0014】
バナジウムの含有量が5ppm以下の酸化チタンとしては、例えば塩素法プロセスにより製造されるものが挙げられる。塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1,000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、まず、四塩化チタンを生成させる。次いで、この四塩化チタンを酸素で燃焼することにより、高純度酸化チタンを得ることができる。なお、酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガン、ニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。したがって、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
【0015】
本発明においては、微粉状充填剤として、無機質微粉体と有機質微粉体とを組み合わせて使用してもよい。また、微粉状充填剤同士を併用することができ、例えば、酸化チタンと他の微粉状充填剤、高純度酸化チタンと他の微粉状充填剤とを併用してもよい。
【0016】
また、微粉状充填剤の樹脂への分散性を向上させるために、微粉状充填剤の表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル等で表面処理を施したものを使用してもよい。例えば、酸化チタンの脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性を向上させるために、及び、酸化チタンの光触媒活性を抑制するために、酸化チタンの表面に表面処理を施しても良い。
【0017】
表面処理剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア等からなる群から選ばれた少なくとも1種の無機化合物、シロキサン化合物、シランカップリング剤、ポリオール及びポリエチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の有機化合物等を用いることができる。また、これらの無機化合物と有機化合物とを組み合わせて用いてもよい。
【0018】
本発明に用いられる微粉状充填剤は、粒径が0.05μm以上、15μm以下であることが好ましく、より好ましくは粒径が0.1μm以上、10μm以下である。微粉状充填剤の粒径が0.05μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性が低下することがないので、均質なフィルムが得られる。また粒径が15μm以下であれば、形成される空隙が粗くなることはなく、高い反射率のフィルムが得られる。
【0019】
本発明に用いられる高純度酸化チタンは、粒径が0.1μm以上、1μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、0.5μm以下であることが更に好ましい。高純度酸化チタンの粒径が0.1μm以上であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂への分散性が良好であり、均質なフィルムを得ることができる。また、高純度酸化チタンの粒径が1μm以下であれば、脂肪族ポリエステル系樹脂と酸化チタンとの界面が緻密に形成されるので、反射フィルムに高い光反射性を付与することができる。
【0020】
微粉状充填剤は脂肪族ポリエステル系樹脂に分散配合されることが好ましい。本発明の反射フィルムに含まれる微粉状充填剤の含有量は、フィルムの光反射性、機械的物性、生産性等を考慮すると、反射フィルムを形成するための脂肪族ポリエステル系樹脂組成物中、10質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上、55質量%未満であることが更に好ましく、20質量%以上、50質量%以下であることが特に好ましい。微粉状充填剤の含有量が10質量%以上であれば、樹脂と微粉状充填剤との界面の面積を充分に確保することができて、フィルムに高い光反射性を付与することができる。また、微粉状充填剤の含有量が60質量%以下であれば、フィルムに必要な機械的性質を確保することができる。
【0021】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、内部に、空隙率(空隙がフィルム中に占める割合)が50%以下となるように空隙を有する。ここでいう空隙とは貫通孔ではなく、閉じた空孔を意味する。ただし、空隙の大半が閉じた空孔であればよく、貫通孔や開放孔の存在を全く認めないというものでもない。本発明においてはフィルム内部に効果的に分散状態で微粉状充填剤を含むことによって、優れた反射率を実現することができる。
【0022】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムが、フィルム内に空隙を有する場合には、その空隙がフィルム中に占める割合(空隙率)が5%以上、50%以下の範囲内であることが好ましい。また、空隙率は20%以上であることが更に好ましく、特に好ましくは30%以上である。空隙率が50%を超えると、フィルムの機械的強度が低下してフィルム製造中にフィルムが破断したり、使用時に耐熱性等の耐久性が不足することがある。例えば微粉状充填剤を添加して延伸することにより、フィルム中に空隙を形成することができる。
【0023】
微粉状充填剤として酸化チタンを用いれば、フィルム内部に存在する空隙率が少なくても高い光反射性を達成することができるので、例えば、15%以下の空隙率でも充分に高い光反射性を達成することができる。これは、酸化チタンの屈折率が高く、隠蔽力が高いことに起因すると推察される。また、充填剤の使用量を少なくすることができるならば、延伸により形成される空隙の数も少なくなるので、高い反射性能を維持しつつフィルムの機械的性質を向上させることができる。さらに、充填剤の使用量が多くても、延伸量を少なくして空隙を少なくすることにより、同様に機械的性質を向上させることができる。これらはフィルムの寸法安定性の向上の点においても有利な点である。また、薄肉でも高い反射性能が確保されれば、例えば、ノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ用の反射フィルム等として使用することができる。
【0024】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、内部に空隙を有していなくても、フィルム内にバナジウム含量が5ppm以下の高純度酸化チタンを有していれば、高い光反射性を実現することができる。また、高純度酸化チタンを含有させ、かつ、空隙を有していれば、特に高い反射性が実現できる。
本発明の反射フィルムを構成するベース樹脂は、屈折率(n)が1.50未満であることが好ましく、本発明においては、屈折率(n)が1.50未満の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
【0025】
屈折率(n)が1.50未満である樹脂は、芳香環を含まない脂肪族系樹脂であることが好ましく、ポリ乳酸系重合体であることが更に好ましい。芳香環を含むもの、例えば芳香族系樹脂は、屈折率が約1.55以上である。フィルム内に微粉状充填剤を含有する反射フィルムは、フィルム内での界面における屈折散乱を利用して光反射性を付与している。そのため、フィルムを構成する樹脂と微粉状充填剤との屈折率の差が大きいほうが、高い光反射性を容易に付与することができる。本発明においては、この屈折率の差が0.15以上であることが好ましく、0.20以上であることが更に好ましい。フィルムを構成する樹脂の屈折率が1.5未満であれば、微粉状充填剤の屈折率との差が0.15以上の条件を確保することが容易になる。例えば、ポリ乳酸系重合体は屈折率が1.45程度であるので、微粉状充填剤等との差が0.15以上の条件を容易に達成することができ、組み合わせられる微粉状充填剤の種類も豊富になる。ところが、芳香環を含む樹脂は屈折率が約1.55以上であるので、微粉状充填剤との屈折率の差が小さくなってしまうことが多い。
【0026】
脂肪族ポリエステル系樹脂は、分子鎖中に芳香環を含まないので紫外線吸収を起こさない。したがって、液晶表示装置等の光源から発せられる紫外線によってフィルムが劣化、黄変することがなく、光反射性が低下することがない。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、化学合成されたもの、微生物により発酵合成されたもの、及び、これらの混合物を用いることができる。化学合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ラクトンを開環重合して得られるポリε−カプロラクタム等、二塩酸とジオールとを重合して得られるポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリテトラメチレンサクシネート、シクロヘキサンジカルボン酸/シクロヘキサンジメタノール縮合体等、ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるポリ乳酸、ポリグリコール等や、上記した脂肪族ポリエステルのエステル結合の一部、例えば50%以下がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等に置き換えられた脂肪族ポリエステル等が挙げられる。また、微生物により発酵合成された脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバリレートとの共重合体等が挙げられる。
【0027】
本発明において、ポリ乳酸系重合体とは、D−乳酸またはL−乳酸の単独重合体またはそれらの共重合体をいい、具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、更にはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、またこれらの混合体も含まれる。
【0028】
ポリ乳酸系重合体をはじめとする脂肪族ポリエステル系樹脂は、分子鎖中に芳香環を含まないので紫外線吸収を起こさない。したがって、紫外線に晒されて反射フィルムが劣化したり、黄変したりすることがないので、フィルムの反射率が低下することがない。
【0029】
ポリ乳酸系重合体は、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法で製造することが出来る。例えば、縮合重合法では、D−乳酸、L−乳酸、または、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。
【0030】
本発明に用いられるポリ乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との構成比が、D−乳酸:L−乳酸=100:0〜85:15であるか、またはD−乳酸:L−乳酸=0:100〜15:85であることが好ましく、さらに好ましくは、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、または、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95である。D−乳酸とL−乳酸との構成比が100:0もしくは0:100であるポリ乳酸系重合体は非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。すなわち、フィルムを延伸したり熱処理したりする際に、樹脂が結晶化して耐熱性及び機械的物性が向上するので好ましい。一方、D−乳酸とL−乳酸とで構成されたポリ乳酸系重合体は、柔軟性が付与され、フィルムの成形安定性及び延伸安定性が向上するので好ましい。したがって、得られる反射フィルムの耐熱性と、成形安定性及び延伸安定性とのバランスを勘案すると、本発明に用いられるポリ乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との構成比が、D−乳酸:L−乳酸=99.5:0.5〜95:5、又は、D−乳酸:L−乳酸=0.5:99.5〜5:95であることが、より好ましい。
【0031】
本発明においては、D−乳酸とL−乳酸との共重合比が異なるポリ乳酸系重合体をブレンドしてもよい。この場合には、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。D−乳酸とL−乳酸のホモポリマーと、共重合体とをブレンドすることにより、ブリードのし難さと耐熱性の発現とのバランスをとることができる。
【0032】
本発明に用いられるポリ乳酸系重合体は高分子量であることが好ましく、例えば、重量平均分子量が1万以上であることが好ましく、6万以上、40万以下であることが更に好ましく、10万以上、30万以下であることが特に好ましい。ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量が1万以下であると、得られたフィルムが機械的物性に劣る場合がある。
【0033】
ところで、近年、液晶ディスプレイはパソコン用ディスプレイの他、自動車用カーナビゲーションシステムや車載用小型テレビ等にも使用されるようになり、高温度、高湿度に耐えるものが必要となってきている。そのため、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムには、耐久性を付与する目的で、加水分解防止剤を添加することが好ましい。
【0034】
本発明に好ましく用いられる加水分解防止剤としては、カルボジイミド化合物等が挙げられる。カルボジイミド化合物としては、例えば、下記一般式の基本構造を有するものが好ましいものとして挙げられる。
【0035】
―(N=C=N−R−)

式中、nは1以上の整数を示し、Rは有機系結合単位を示す。例えば、Rは脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかであることができる。また、nは、通常、1〜50の間で適当な整数が選択される。
【0036】
具体的には、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、および、これらの単量体が、カルボジイミド化合物として挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独で使用しても、あるいは、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0037】
本発明においては、フィルムを構成する脂肪族ポリエステル系樹脂100質量部に対してカルボジイミド化合物を0.1〜3.0質量部添加することが好ましい。カルボジイミド化合物の添加量が0.1質量部以上であれば、得られるフィルムに耐加水分解性の改良効果が十分に発現される。また、カルボジイミド化合物の添加量が3.0質量部以下であれば、得られるフィルムの着色が少なく、高い光反射性が得られる。
【0038】
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤、および、その他の添加剤を添加することができる。
【0039】
脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、420nm〜700nmの光の波長域において、90%以上であることが好ましく、95%以上であることが更に好ましい。フィルム表面の平均反射率が90%以上であれば、良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面も十分な明るさを実現することができる。このようにして得られた反射フィルムは、反射フィルムとして十分機能する所定の反射率を有するものとなる。また、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、波長が550nmの光に対する表面の平均反射率が95%以上であることが好ましく、98%以上であることが更に好ましい。かかる平均反射率が95%以上であれば、良好な反射特性を示し、液晶ディスプレイ等の画面に充分な明るさを与えることができる。
【0040】
なお、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは紫外線に晒された後でも優れた平均反射率を保持することができる。
【0041】
ところで、夏場の炎天下に駐車中の車内では、自動車用カーナビゲーションシステム、車載用小型テレビ等は高温にさらされることになる。また、液晶表示装置が長時間使用されると光源ランプ周辺は高温にさらされることになる。したがって、カーナビゲーションシステム、液晶表示装置等の液晶ディスプレイに使用される反射フィルムには110℃程度の耐熱性が要求される。すなわち、反射フィルムが120℃の温度下で5分間放置されたときのフィルムの熱収縮率は10%以下であることが好ましく、5%以下であることが更に好ましい。フィルムの熱収縮率が10%より大きいと、高温で使用すると経時的に収縮を起こすことがあり、反射フィルムが鋼板等に積層されている場合には、フィルムのみが変形してしまうことがある。大きな収縮が生じたフィルムは、反射を促す表面が小さくなったり、フィルム内部の空隙が小さくなるので、反射率が低下する。
【0042】
熱収縮を防ぐためにはフィルムの結晶化を完全に進行させることが望ましい。脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、2軸延伸のみで完全に結晶化を進行させることは困難なので、本発明においては、延伸後、熱固定処理を行うことが好ましい。フィルムの結晶化を促進させることによって、フィルムに耐熱性を付与すると共に、耐加水分解性も向上させることができる。
【0043】
近年、液晶ディスプレイ等の大型化のニーズが高まっており、反射シートにも大型化が要求されるようになった。例えば大画面の液晶テレビ等の反射シートとして組み込まれる場合には、光源にさらされた状態で長時間使用されるので、長時間使用における寸法変化の小さい反射フィルムであることが求められる。また、中型、小型のエッジライトタイプのディスプレイでも、端部を規制されて使用する場合には、寸法変化が小さいものが求められる。例えば、80℃で180分間保持した後の熱収縮率が、縦方向の収縮率が0%より大きく、0.7%未満であり、横方向の収縮率が−0.1%〜0.5%であることが好ましい。横方向の収縮率は、0.001%〜0.3%であるが更に好ましい。ここで、縦方向とはフィルムの流れ方向(引取り方向)と同一の方向であり、横方向とはフィルムの流れ方向に直角な方向を言う。
【0044】
従って、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、80℃で180分間保持した後の熱収縮率が上記範囲内であることが好ましい。反射フィルムの熱収縮率をかかる範囲内にすることができれば、大型の液晶テレビ等の裏に使用しても経時変化による変形を防止し、フィルムの平面性を保つことができる。例えば、フィルムを延伸した後、引き続き、テンター出口で弛緩処理を行い、所定量の弛緩を付与することにより、フィルムの熱収縮率を上記範囲内に設定することができる。
【0045】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは、埋め立て処理した場合に微生物等による分解が可能で、廃棄上の問題が生じない。脂肪族ポリエステル系樹脂を埋め立て処理すると、エステル結合部が加水分解することによって分子量が1,000程度に低下し、引き続き土壌中の微生物等により生分解される。
【0046】
一方、芳香族ポリエステル系樹脂は分子内の結合安定性が高く、エステル結合部の加水分解が起こりにくい。また、ポリプロピレン系樹脂は加水分解そのものが起こりえない。したがって、芳香族ポリエステル系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を埋め立て処理しても、分子量は低下せず、微生物等による生分解も起こらない。その結果、長期にわたって土壌中に残存して、廃棄物埋め立て処理用地の短命化を促進したり、自然の景観や野生動植物の生活環境を損なう等の問題が生じる。
【0047】
以下に、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムの製造方法について一例を挙げて説明するが、下記製造法に何等限定されるものではない。
【0048】
まず、脂肪族ポリエステル系樹脂に、微粉状充填剤及び/又は高純度酸化チタン、加水分解防止剤、その他の添加剤等を必要に応じて配合した脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製する。具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂に微粉状充填剤又は高純度酸化チタン、加水分解防止剤等を必要に応じて加えて、リボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、バンバリーミキサー、1軸または2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度(例えばポリ乳酸の場合には170℃〜230℃)で混練することにより脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を得ることができる。または、脂肪族ポリエステル系樹脂、微粉状充填剤又は高純度酸化チタン、加水分解防止剤等を別々のフィーダー等により所定量を添加することにより脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を得ることができる。あるいは、予め、微粉状充填剤又は高純度酸化チタン、加水分解防止剤等を脂肪族ポリエステル系樹脂に高濃度に配合した、いわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと脂肪族ポリエステル系樹脂とを混合して所望の濃度の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物とすることもできる。
【0049】
次に、このようにして得られた脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を溶融し、フィルム状に形成する。例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を乾燥した後、押出機に供給し、樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。あるいは、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を乾燥させずに押出機に供給しても良いが、乾燥させない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。押出温度等の条件は、分解によって分子量が低下すること等を考慮して設定されることが必要であるが、例えば、押出し温度はポリ乳酸の場合であれば170℃〜230℃の範囲が好ましい。その後、溶融した脂肪族ポリエステル系樹脂組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
【0050】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムは少なくとも1軸方向に延伸されていることが好ましく、2軸方向に延伸されていることが更に好ましい。延伸条件によっては反射フィルムの機能を付与することが困難となる場合があり、また十分な耐熱性を付与できなくなることがあるので、延伸条件は重要である。
【0051】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムが空隙を有する場合には、得られたキャストシートを面積倍率において5倍以上に延伸することが好ましく、7倍以上に延伸することが更に好ましい。面積倍率において5倍以上に延伸することにより5%以上の空隙率を実現することができ、7倍以上に延伸することにより20%以上の空隙率を実現することができ、7.5倍以上に延伸することにより、30%以上の空隙率も実現することができる。例えば微粉状充填剤として酸化チタンを使用し、面積倍率において5倍以上に延伸することにより5%以上の空隙率を有するフィルムを得ることができ、フィルムの白化が進行して十分なフィルム反射率が得られる。なお、微粉状充填剤として酸化チタン以外の充填剤を使用する場合には、空隙率が20%以上となるようにすることが好ましい。
【0052】
1軸延伸のみで5倍以上の面積倍率を実現することが困難な場合には、2軸延伸することにより、容易に5倍以上の面積倍率を達成することができる。すなわち、2軸延伸することにより、より高い空隙率を有するフィルムが安定して得られ、その結果、フィルムの反射率を向上させることができる。また、フィルムを2軸延伸させることによりフィルムの機械的強度を増加させることができるので、フィルムの機械物性の面からも、2軸延伸することが好ましい。また、反射フィルムに耐熱性が要求される場合には、2軸延伸するとフィルムの収縮方向に異方性がなくなるので好ましい。
【0053】
ところで、高純度酸化チタンを使用する場合には、少なくとも一軸方向に1.1倍以上延伸することが好ましく、二軸方向に延伸することが更に好ましい。但し空隙の存在は必須ではないので、空隙を形成しても、形成しなくても良い。
キャストシートを延伸する際の延伸温度は、例えばポリ乳酸の場合には50℃以上、90℃以下であることが好ましい。延伸温度が50℃以上であれば、延伸時にフィルムが破断することがなく、90℃以下であれば延伸配向が低くなって空隙率が小さくなることもない。
【0054】
例えば、延伸倍率等を適宜選択し、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂フィルムを延伸することによって、フィルム内部に空隙が形成されるが、これは、延伸時に脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤の延伸挙動が異なるからである。つまり脂肪族ポリエステル系樹脂に適した延伸温度で延伸を行えば、マトリックスとなる脂肪族ポリエステル系樹脂は延伸されるが、微粉状充填剤はそのままの状態でとどまろうとするため、脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉状充填剤との界面が剥離して、空隙が形成される。フィルムを1軸延伸したのみでは、形成される空隙は一方向に伸びた繊維状形態にしかならないが、2軸延伸することによって、その空隙は縦横両方向に伸ばされたものとなり円盤状形態になる。換言すれば、2軸延伸することによって、脂肪族ポリエステル系樹脂と微粉末状充填剤との界面の剥離面積が増大し、フィルムの白化が進行し、その結果、反射フィルムとして良好な反射率が得られるのである。
【0055】
2軸延伸の延伸順序は特に制限されることはなく、例えば、同時2軸延伸でも逐次延伸でも構わない。延伸設備を用いて、溶融製膜した後、ロール延伸によってMD方向に延伸した後、テンター延伸によってTD方向に延伸しても良いし、チューブラー延伸等によって2軸延伸を行ってもよい。
【0056】
本発明においては、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムに耐熱性および寸法安定性を付与するために、延伸後に熱固定を行うことが好ましい。
【0057】
フィルムを熱固定するための処理温度は90〜160℃であることが好ましく、110〜140℃であることが更に好ましい。熱固定に要する処理時間は、好ましくは1秒〜5分である。また、延伸設備等については特に限定はないが、延伸後に熱固定処理を行うことができるテンター延伸を行うことが好ましい。
【0058】
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムの厚みは、特に限定されないが、通常は30μm〜500μmであり、実用面における取り扱い性を考慮すると50μm〜500μm程度の範囲内であることが好ましい。特に、小型、薄型の反射板用途の反射フィルムとしては、厚みが30μm〜100μmであることが好ましい。かかる厚みの反射フィルムを用いれば、例えばノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ等にも使用することができる。
【0059】
また、本発明の反射フィルムは、単層構成でもよいが、2層以上積層した多層構成としてもよい。
【0060】
また、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを用いて液晶ディスプレイ等に用いられる反射板を形成することができる。例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆して反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。以下に、このような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
【0061】
反射フィルムを金属板もしくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等があり、特に限定されるものではない。例えば、金属板もしくは樹脂板の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射フィルムを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射フィルムを貼り合わせる金属板等の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、板の表面を所定の温度に保持しつつ、直にロールラミネーターを用いて、反射フィルムを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。この場合、金属板等の表面を210℃以下に保持すると、反射板の光反射性を高く維持できて好ましい。
【0062】
なお、本発明においてシートとは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。ところで、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K 6900)。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かでなく、明確には区別しにくいので、本願においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【実施例】
【0063】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、実施例に示す測定値および評価は以下に示すようにして行った。ここで、フィルムの引取り(流れ)方向をMD、その直交方向をTDと表示する。
【0064】
(測定および評価方法)
(1)平均粒径
(株)島津製作所製の型式「SS−100」の粉体比表面測定器(透過法)を用い、断面積2cm、高さ1cmの試料筒に試料3gを充填して、500mm水柱で20ccの空気透過の時間より算出した。
【0065】
(2)熱収縮率
熱収縮率a:
フィルムのMDおよびTDのそれぞれに100mm幅の標線を入れ、サンプルとして切り出した。この切り出したサンプルフィルムを、温度120℃の熱風循環オーブンの中に入れて5分間保持した後、フィルムが収縮した収縮量を測定した。オーブンに入れる前のサンプルフィルムの原寸(100mm)に対する収縮量の比率を%値で表示し、これを熱収縮率(%)とした。
【0066】
熱収縮率b:
フィルムのMDおよびTDのそれぞれに200mm幅の標線を入れ、サンプルとして切り出した。この切り出したサンプルフィルムを、温度80℃の熱風循環オーブンの中に入れて3時間保持した後、フィルムが収縮した収縮量を測定した。オーブンに入れる前のサンプルフィルムの原寸(200mm)に対する収縮量の比率を%値で表示し、これを熱収縮率(%)とした。
【0067】
(3)空隙率(%)
延伸前のフィルムの密度(「未延伸フィルム密度」と表記する)と、延伸後のフィルムの密度(「延伸フィルム密度」と表記する)を測定し、下記式に代入してフィルムの空隙率を求めた。

空隙率(%)=
{(未延伸フィルム密度−延伸フィルム密度)/未延伸フィルム密度}×100
【0068】
(4)平均反射率(%)
平均反射率a(波長400〜700nm):
分光光度計(「U―4000」、日立計測器サービス(株)製)に積分球を取付け、硫酸バリウム白板を100%とした時の反射率を、波長400nm〜700nmにわたって20nm間隔で測定する。得られた測定値の平均値を計算し、この値を波長400〜700nmの平均反射率とした。
【0069】
平均反射率b(波長420〜700nm):
上記平均反射率aと同様にして測定し、得られた測定値のうち、波長420〜700nmの測定値を用い、この数値の平均値を計算し、この値を波長420〜700nmの平均反射率とした。
【0070】
(5)反射率(%)
分光光度計(「U―4000」、日立計測器サービス(株)製)に積分球を取付け、波長550nmの光に対する反射率を測定した。ただし、硫酸バリウム白板を100%とした。
【0071】
(6)耐加水分解性
温度60℃、相対湿度95%RHに保持した恒温恒湿槽内で、フィルムを300時間又は1,000時間放置した後、フィルムを構成する脂肪族ポリエステル系樹脂の重量平均分子量を測定した。測定値を下記式に代入し、分子量保持率(%)を求め、下記評価基準に基づいて耐加水分解性の評価を行った。ただし、記号「○」および「△」は実用レベル以上である。

分子量保持率(%)=
(放置後重量平均分子量/放置前重量平均分子量)×100

評価基準:
○ 分子量保持率が90%以上の場合
△ 分子量保持率が60%以上、90%未満の場合
× 分子量保持率が60%未満の場合
【0072】
(7)黄変防止性
サンシャインウェザーメーター試験器内でフィルムに紫外線を1,000時間、又は、キセノンウェザーメーター試験機内でフィルムに紫外線を180時間照射する。その後、フィルムの表面を肉眼で観察し、視覚判断によりフィルム表面の色目が白色であるものを「白」、黄味がかかっているものを「黄」と表示した。
また、紫外線照射後のフィルムについても、上記(4)の測定方法にしたがって平均反射率(%)を求め、上記(5)の測定方法にしたがって反射率(%)を求めた。
【0073】
(8)生分解性
下記の評価基準に基づいて行った。

評価基準:
× 埋め立て処理で生分解が可能なフィルムの場合
○ 埋め立て処理では生分解が不可能なフィルムの場合
【0074】
(9)デッドフォールド性
フィルムの長手方向を幅方向、その直交方向を長さ方向として、幅20mm、長さ150mmのサンプルフィルムを切出す。このサンプルフィルムの一方の短辺側を保持し、保持していないもう一方の短辺(他端)側を、他端から30mmの位置で、この位置の直線が折り山(又は折り谷)となるように180度折り曲げて、0.15MPaの荷重をかける。0.15MPaの荷重を0.5秒間かけた後、即座に荷重を取り除き、折った部分を開き他端を手でもとの位置まで戻した後、手を離し、折り曲げにより保持している角度を測定する。すなわち、手を離したときに他端がもとの位置から離れた角度を分度器で測定する。この数値は最大で180度、最小で0度であり、この数値が大きいほど、デッドフォールド性に優れている。
【0075】
(10)樹脂の屈折率と微粉状充填剤の屈折率との差
樹脂の屈折率(n1)を、JIS K−7142のA法に基づいて測定し、微粉状充填剤の屈折率(n2)を、JIS K−7142のB法に基づいて測定した。ただし、比較例1における樹脂成分としてのポリエチレンテレフタレート、及び、充填剤成分としてのポリメチルペンテンは、フィルム形状に製膜してからJIS K−7142のA法に基づいて求め、また、充填剤成分としての炭酸カルシウムは、JIS K−7142のB法に基づいて求めた。
【0076】
(11)製膜性
フィルム状に製膜する際に、フィルムが破断する等のトラブルが発生するか等について評価を行った。ただし、評価基準は以下のとおりである。

評価基準:
○ 安定して製膜を行うことができ、良好な製膜性を有する。
× 時々フィルムの破断が生じるか、フィルムの破断が多発し、製膜性に劣っている。
【0077】
(12)酸化チタン中のバナジウム濃度(ppm)
酸化チタン0.6gに硝酸10mLを加えて、マイクロウェーブ式灰化装置内で80分間分解させて、得られた溶液について、ICP発光分光分析装置を用いて測定を行った。
【0078】
(13)反射板加工性
直角曲げ(R=0mm)、スクリュー密着曲げ、及び、井型エリクセン(5mm)の3項目について、下記評価基準に基づいて評価を行った。

評価基準:
〇 フィルム剥がれが生じない
× フィルム剥がれが生じる
【0079】
(14)反射板反射性
反射板について、上記(5)反射率と同様の測定方法を用いて、反射率(%)を測定した。
【0080】
(15)実用評価試験
(株)日立製作所製の21インチ液晶テレビのバックライトに組み込まれている反射シートの固定枠を用いた。この固定枠に、液晶テレビに実際に取り付けられているのと同様にして取り付け、80℃で3時間加熱した後、シートの外観を肉眼で観察し、下記基準に基づき評価を行った。

評価基準:
A 加熱後のフィルムの外観に全く変化が見られない
B 加熱後のフィルムに、目視では変化が認められるが、0.5mm未満の高さの計測不能な凹凸が見られる
C 加熱後のフィルムに、1mm未満の高さの凹凸が見られる
D 加熱後のフィルムに、1mm以上の高さの凹凸が見られる。
【0081】
なお、弛緩率の定義は以下の通りとした
横弛緩率=(弛緩後のフィルム幅)/(弛緩前のフィルム幅)
縦弛緩率=(弛緩前のフィルム速度)/(弛緩後のフィルム速度)
【0082】
実施例で用いられるポリ乳酸系重合体は以下のようにして製造された。
【0083】
[ポリ乳酸系重合体(PLA)(1)の製造:L体含量99.5%]
ピューラックジャパン社製のL−ラクチド(商品名:PURASORB L)100kgに、オクチル酸スズを15ppm添加したものを、攪拌機と加熱装置とを備えた500Lのバッチ式重合槽に入れた。次いで、窒素置換を行い、温度185℃、攪拌速度100rpmの条件下で60分間重合を行い、溶融物を得た。得られた溶融物を、真空ベントを3段備えた三菱重工(株)製の40mmφ同方向2軸押出機に供し、ベント圧4Torrで脱揮しながら200℃でストランド状に押し出して、ペレット形状のポリ乳酸系重合体を得た。
【0084】
得られたポリ乳酸系重合体の重量平均分子量は20万であり、L体含有量は99.5%、D体含有量は0.5%であった。また、ガラス転移温度(Tg)は65℃であった。
【0085】
実施例I
(実施例I−1)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.15μmの炭酸カルシウムとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して、いわゆるマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを40質量%:60質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を一軸押出機を用いて、230℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、MD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、熱収縮率a、空隙率、紫外線照射前の平均反射率aと紫外線照射後の平均反射率a(波長400〜700nm)、耐加水分解性、黄変防止性(サンシャインウェザーメーターによる紫外線照射時間が1,000時間)、生分解性、デッドフォールド性の測定および評価を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0086】
(実施例I−2)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.7μmの硫酸バリウムとを50質量%/50重量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを50質量%/50質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を一軸押出機を用いて、230℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、MD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例I−1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0087】
(実施例I−3)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径5μmの炭酸カルシウムとを60質量%/40質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを60質量%/40質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を、一軸押出機を用いて、230℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを表3に示すようにMD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて実施例I−1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0088】
(実施例I−4)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.7μmの硫酸バリウムとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物を二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを50質量%/50質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を一軸押出機を用いて、230℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、表1に示すように、MD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例I−1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0089】
(比較例I−1)
ポリエチレンテレフタレートと平均粒径が0.7μmの硫酸バリウムとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物を二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリエチレンテレフタレートとを50質量%/50質量%の割合で混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を一軸押出機を用いて、280℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度100℃で、表1に示すように、MD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、235℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例I−1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0090】
(比較例I−2)
ポリプロピレンと平均粒径が0.7μmの硫酸バリウムとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物を二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリプロピレンとを50質量%/50質量%の割合で混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を一軸押出機を用いて、210℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度135℃で、表1に示すように、MD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸して、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例I−1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1および表2に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
表1および表2から明らかなように、実施例I−1〜I−3の本発明の反射フィルムは空隙率が30%以上であり、熱収縮性、平均反射率、耐加水分解性、黄変防止性、生分解性、デッドフォールド性のすべてにおいて、優れた結果が得られることが分かった。加水分解防止剤を混合しなかった実施例I−4は、耐加水分解性においてやや劣っているが、実用可能レベルであり、これ以外の他の評価においては、全て優れているものである。
【0094】
一方、脂肪族ポリエステル系樹脂以外の樹脂から形成された比較例I−1およびI−2は、デッドフォールド性及び生分解性に劣っていることが分かった。また、芳香環を有する樹脂から形成された
比較例I−1は、紫外線照射により黄変し、初期値より反射率が大きく低下することが確認された。
【0095】
実施例II
(実施例II−1)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径5μmの炭酸カルシウムとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを60質量%/40質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を、一軸押出機を用いて、230℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを表3に示すようにMD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、熱収縮率a、空隙率、紫外線照射前の平均反射率bと紫外線照射後の平均反射率b(波長420〜700nm)、耐加水分解性、黄変防止性(サンシャインウェザーメーターによる紫外線照射時間が1,000時間)、生分解性、デッドフォールド性の測定および評価を行った。その結果を表3および表4に示す。
【0096】
(実施例II−2)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタンとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを40質量%/60質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を、一軸押出機を用いて、230℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを表3に示すようにMD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例II−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表3および表4に示す。
【0097】
(実施例II−3)
実施例II−2において、表3に示すように、フィルムの厚さが250μmとなるようにした以外は実施例II−2と同様にして、反射フィルムを作製した。すなわち、実施例II−2と同様にして、Tダイより押出し、冷却固化してフィルムを形成し、その後、実施例II−2と同様にして延伸、熱処理を行い、厚さ250μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例II−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表3及び表4に示す。
【0098】
(実施例II−4)
実施例II−2において、表3に示すように、フィルムの厚さが80μmとなるようにした以外は実施例II−2と同様にして、反射フィルムを作製した。すなわち、実施例II−2と同様にして、Tダイより押出し、冷却固化してフィルムを形成し、その後、実施例II−2と同様にして延伸、熱処理を行い、厚さ80μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例II−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表3及び表4に示す。
【0099】
(実施例II−5)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタンとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを60質量%/40質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を、一軸押出機を用いて、230℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを表3に示すようにMD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ80μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例II−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表3および表4に示す。
【0100】
【表3】

【0101】
【表4】

【0102】
表3及び表4から明らかなように、実施例I−1,I−2及び実施例II−1〜II−5の反射フィルムは、平均反射率、耐加水分解性、黄変防止性、生分解性、及び、デッドフォールド性の全てにおいて優れた結果が得られることが分かった。特に、微粉状充填剤として酸化チタンを使用した実施例II−2〜II−5は、空隙率が少なくても優れた平均反射率、黄変防止性等を示すことが分かった。
【0103】
耐加水分解防止剤を混合しなかった実施例I−4は、耐加水分解性においてはやや劣っているが実用可能レベル以上であり、また、耐加水分解性以外の全てについて優れた結果を示した。
【0104】
一方、脂肪族ポリエステル系樹脂以外の樹脂からなる比較例I−1及びI−2は、デッドフォールド性、生分解性に劣っており、また、芳香族環を有する樹脂からなる比較例I−1は紫外線照射により黄変することが分かった。
【0105】
実施例III
(実施例III−1)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.15μmの炭酸カルシウムとを50質量%/50質量%の割合で混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して、いわゆるマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを60質量%:40質量%の割合で混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を一軸押出機を用いて、220℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、MD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、空隙率、紫外線照射前の平均反射率bと紫外線照射後の平均反射率b、黄変防止性(紫外線照射時間180時間)、製膜性、の測定及び評価を行った。その結果を表5および表6に示す。
【0106】
(実施例III−2)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.7μmの硫酸バリウムとを50質量%/50重量%の割合で混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを80質量%/20質量%の割合で混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を一軸押出機を用いて、220℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、MD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例III−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表5及び表6に示す。
【0107】
(実施例III−3)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタンとを50質量%/50質量%の割合で混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを40質量%/60質量%の割合で混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を、一軸押出機を用いて、220℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを温度65℃で、表5に示すようにMD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて実施例III−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表5及び表6に示す。
【0108】
(実施例III−4)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(1)(D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.4μmの酸化亜鉛とを50質量%/50質量%の割合で混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(1)とを40質量%/60質量%の割合で混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を、一軸押出機を用いて、220℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを温度65℃で、表5に示すようにMD方向に3倍、TD方向に3倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて実施例III−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表5及び表6に示す。
【0109】
(比較例III−1)
参考のため、市販製品について評価を行った。すなわち、東レ(株)製の厚さ188μmの反射シート「ルミラーE60L」を用意した。この反射シートについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表5及び表6に示す。
【0110】
(比較例III−2)
ポリプロピレンと平均粒径が0.7μmの硫酸バリウムとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物を二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチと上記硫酸バリウムとを硫酸濃度が60質量%となるように混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を一軸押出機を用いて、210℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度135℃で、表5に示すように、MD方向に7倍の一軸延伸して、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例III−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表5及び表6に示す。
【0111】
なお、上述の比較例I−1において得られた反射フィルムについても、実施例III−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表5及び表6に示す。
【0112】
【表5】

【0113】
【表6】

【0114】
表5及び表6から明らかなように、実施例III−1〜III−4の本発明の反射フィルムは主成分となる樹脂の屈折率が1.50未満であり、平均反射率、黄変防止性、製膜性の優れた結果が得られることが分かった。また、実施例III−1〜III−4の反射フィルムは生分解性を有しているものであった。したがって、埋め立て処理した場合には微生物等による分解が可能(生分解性)で、廃棄上の問題が生じないものであった。
【0115】
一方、屈折率が1.50以上の樹脂であるPET又はPPを主成分とする樹脂組成物からなる比較例III−1〜III−2、及び、比較例I−1は、生分解性において劣っているものであった。また、これらは、少なくともいずれかの評価結果が不良であり、例えば比較例III−1及び比較例I−1は、黄変防止性において劣っており、比較例III−2は製膜性に劣っていた。
【0116】
実施例IV
(実施例IV−1)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(カーギル・ダウポリマー社製の「Nature Works 4032D」:D体含有量0.5%、ガラス転移温度65℃)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(石原産業(株)製の「タイペークPF−739」、ルチル型結晶形酸化チタン)とを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。なお、以下、Nature Works 4032Dを「NW4032D」と表記する。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して、いわゆるマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(NW4032D)とを40質量%:60質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を一軸押出機を用いて、220℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、MD方向に2.5倍、TD方向に2.8倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、空隙率、紫外線照射前の波長550nmの光の反射率と紫外線照射後の波長550nmの光の反射率、耐加水分解性、黄変防止性(紫外線照射時間が1,000時間)、生分解性、デッドフォールド性、反射板加工性、反射板反射率の測定および評価を行った。その結果を表7および表8に示す。
【0117】
(実施例IV−2)
実施例IV−1において、酸化チタンを石原産業(株)製の「タイペークPF−739」から平均粒径0.25μmの酸化チタン(石原産業(株)製の「タイペークCR−90−2」、ルチル型結晶形酸化チタン)に変更した以外は実施例IV−1と同様にして、厚さ188μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例IV−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表7及び表8に示す。
【0118】
(実施例IV−3)
実施例IV−1において、酸化チタンを石原産業(株)製の「タイペークPF−739」から平均粒径0.25μmの酸化チタン(石原産業(株)製の「タイペークPF711」、ルチル型結晶形酸化チタン)に変更した以外は実施例IV−1と同様にして、厚さ188μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例IV−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表7及び表8に示す。
【0119】
(実施例IV−4)
実施例IV−1において、フィルムの厚さを250μmに変更した以外は実施例IV−1と同様にして、厚さ250μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例IV−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表7及び表8に示す。
【0120】
(実施例IV−5)
実施例IV−1において、フィルムの延伸倍率を、MD方向に3倍、TD方向に3.2倍延伸するように変更し、フィルムの厚さが80μmとなるように変更した以外は実施例IV−1と同様にして、厚さ80μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例IV−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表7及び表8に示す。
【0121】
(実施例IV−6)
「NW4032D」のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(石原産業(株)製の「タイペークPF−739」)とを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(NW4032D)とを60質量%:40質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を一軸押出機を用いて、220℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度65℃で、MD方向に3倍、TD方向に3.2倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ80μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例IV−1と同様の測定および評価を行った。その結果を表7および表8に示す。
【0122】
(比較例IV−1)
ポリエチレンテレフタレートのペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタン(石原産業(株)製の「タイペークPF−739」)とを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物を二軸押出機を用いてペレット化してマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリエチレンテレフタレートとを40質量%:60質量%の割合で混合し、樹脂組成物を作製した。その後、樹脂組成物を一軸押出機を用いて、280℃でTダイより押し出し、冷却固化してフィルムを形成した。得られたフィルムを、温度90℃で、MD方向に2.5倍、TD方向に2.8倍の二軸延伸した後、140℃で熱処理し、厚さ188μmの反射フィルムを得た。得られた反射フィルムについて、実施例IV−1と同様の測定および評価を行った。その結果を表7および表8に示す。
【0123】
(実施例IV−7)
実施例IV−1において、酸化チタンを石原産業(株)製の「タイペークPF−739」から平均粒径0.25μmの酸化チタン(テイカ社製の「TITANIX JR−805」、ルチル型結晶形酸化チタン)に変更した以外は実施例IV−1と同様にして、厚さ188μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例IV−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表7及び表8に示す。
【0124】
(実施例IV−8)
実施例IV−1において、酸化チタンを石原産業(株)製の「タイペークPF−739」から平均粒径0.25μmの酸化チタン(チタン工業(株)製の「KRONOS KR470」、ルチル型結晶形酸化チタン)に変更した以外は実施例IV−1と同様にして、厚さ188μmの反射フィルムを作製した。得られた反射フィルムについて、実施例IV−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表7及び表8に示す。
【0125】
(実施例IV−9)
実施例IV−1において得られた反射フィルムを、亜鉛メッキ鋼板(厚み0.45mm)に貼り合わせて反射板を作製した。すなわち、まず、鋼板の貼り合わせ面に、ポリエステル系接着剤(市販品)を乾燥後の厚みが2〜4μmとなるように塗布した。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉を用いて塗布面の乾燥及び加熱を行い、鋼板の表面温度を180℃に保持しつつ、直にロールラミネータを用いて、反射フィルムを貼り合わせ、冷却することにより、反射板を作製した。得られた反射板について、反射板の加工性、反射板の反射率を測定し、評価を行った。その結果を表9に示す。
【0126】
(実施例IV−10)
実施例IV−9において、鋼板の表面温度を180℃に保持する替わりに、220℃に保持した以外は実施例IV−9と同様にして、反射板を作製した。得られた反射板について、実施例IV−9と同様の測定及び評価を行った。その結果を表9に示す。
【0127】
【表7】

【0128】
【表8】

【0129】
【表9】

【0130】
表7及び表8から明らかなように、実施例IV−1〜実施例IV−8の反射フィルムは、紫外線照射後も反射率が90%以上を維持し、高い光反射性と黄変防止性を有することが分かった。また、耐加水分解防止性、デッドフォールド性(形状保持性)に優れ、かつ、生分解性を有するものであることが分かった。特に、バナジウム含量が5ppm以下の酸化チタンを用いた実施例IV−1〜IV−6は、初期の反射率が98%以上と高いものであって、紫外線照射後の反射率の低下が少なく(2%以下)、紫外線照射後の反射率においても96%以上を維持する優れたものであることが分かった。
【0131】
また、IV−5〜IV−6は80μmと薄いフィルム厚であっても非常に高い反射率を稼ぐことができ、ノート型パソコンや携帯電話等の小型、薄型の液晶ディスプレイ用の反射フィルムとして十分に対応が可能なものであった。
【0132】
一方、PETに酸化チタンを混合してなる比較例IV−1の反射フィルムは、黄変防止性及びデッドフォールド性(形状保持性)に劣っているものであることが分かった。
【0133】
また、表9から明らかなように、実施例IV−9、IV−10の反射板は、加工に必要な密着力と高い光反射性が維持されていることが分かった。
【0134】
なお、実施例IV−10の反射板よりも実施例IV−9の反射板の方が、光反射性の維持は優れたものであることが分かった。近年においては、液晶ディスプレイの反射板は装置の大画面化及び表示性能の高度化の要求から、少しでも多くの光を液晶に供給して、バックライトユニットの性能を向上させるために、高い反射性能が要求されることがある。これらの反射フィルムは、このような高い反射性能を達成することができるものである。
【0135】
実施例V
(実施例V−1)
重量平均分子量20万のポリ乳酸系重合体(カーギル・ダウ社製の「NW4032D」)のペレットと、平均粒径0.25μmの酸化チタンとを50質量%/50質量%の割合で混合して混合物を形成した。この混合物100質量部に対して、加水分解防止剤(ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を3質量部加えて混合した後、二軸押出機を用いてペレット化して、いわゆるマスターバッチを作製した。このマスターバッチとポリ乳酸系重合体(NW4032D)とを40質量%:60質量%の割合で混合し、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を作製した。その後、脂肪族ポリエステル系樹脂組成物を一軸押出機を用いて、230℃でTダイより押し出し、冷却固化して未延伸フィルムを形成した。次いで、得られたフィルムを、縦方向に温度65℃で2.5倍に延伸し、その後、テンター出口の縦弛緩率0.990となるように弛緩処理を行った。さらに、横方向には、70℃で3.0倍に延伸し、その後テンター出口の横弛緩率が0.993となるように弛緩処理を行い、最終的に250μmのフィルムを得た。得られた反射フィルムについて、80℃で3時間保存した後の熱収縮率bを、縦及び横の両方について測定した。また、得られた反射フィルムについて、実装評価を行った。その結果を表10に示す。
【0136】
(実施例V−2〜V−26)
実施例V−1において、縦弛緩率及び横弛緩率を表10〜表14に示すように変更した以外は実施例V−1と同様にして、実施例V−2〜実施例V−26の反射フィルムをそれぞれ作製した。得られた反射フィルムについて、実施例V−1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表10〜表14に示す。
【0137】
【表10】

【0138】
【表11】

【0139】
【表12】

【0140】
【表13】

【0141】
【表14】

【0142】
表10〜表14から明らかなように、弛緩率を、縦弛緩率0.990〜0.996、横弛緩率1.000〜1.014(すなわち横弛緩を行わないか僅かに延伸)とした場合に、80℃で3時間保存した後の収縮率が非常に小さいものを得ることができた。縦の弛緩率を上げていくと(値としては1から小さくしてゆくと)縦の収縮率は小さくなるが、あるところから横方向の膨張が拡大した。横方向の膨張が発生すると、実用試験での評価が低下した。また、横方向に弛緩を行った場合には、横方向に膨張が拡大する傾向があった。そこで、横方向は弛緩を取らないか又は僅かに延伸傾向にすることが良いことが分かった。
【0143】
以上から、上記の範囲で縦弛緩、横弛緩を行うと、80℃で3時間保持した後の縦収縮率が0%より大きく、0.7%より小さくなり、横収縮率が0.001%以上、0.3%以下となって、実用評価試験における評価の中で最も良い結果が得られた。すなわち、適度な縦弛緩及び/又は横弛緩を施すことにより、収縮率の極めて小さいフィルムを実現することができ、例えば大画面の液晶テレビ等の反射フィルムとして長時間使用されて、使用中に温度上昇が生じても、寸法変化がほとんどないフィルムを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、液晶ディスプレイ、照明器具、照明看板等の反射板等に使用される反射フィルムに利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリエステル系樹脂および微粉状充填剤を含有し、80℃で3時間保存した後のフィルムの収縮率が、縦方向で0%より大きく、0.7%未満であり、横方向で、−0.1%以上、0.5%以下であることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
【請求項2】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、少なくともポリ乳酸系重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
【請求項3】
前記微粉状充填剤が、少なくとも酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
【請求項4】
前記微粉状充填剤の含有量が、脂肪族ポリエステル系樹脂および微粉状充填剤を含む脂肪族ポリエステル系樹脂組成物中、10質量%以上、60質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
【請求項5】
液晶ディスプレイ、照明器具、または照明看板に使用されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルム。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂反射フィルムを備えていることを特徴とする反射板。
【請求項7】
液晶ディスプレイ、照明器具、または照明看板に使用されることを特徴とする請求項6に記載の反射板。

【公開番号】特開2006−336022(P2006−336022A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230855(P2006−230855)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【分割の表示】特願2005−506413(P2005−506413)の分割
【原出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】