説明

脂肪物質、増粘剤および酸化染料前駆体を含む、ケラチン繊維の酸化染色のための組成物

【課題】本発明の目的は、従来技術の欠点を有さない、ケラチン繊維の酸化染色のための新規な組成物を得ることである。
【解決手段】本発明は、
A)少なくとも25%の、1種または複数の脂肪物質と、
B)1種または複数のポリマー増粘剤と、
C)1種または複数の染料前駆体と、
D)1種または複数の酸化剤と、
E)1種または複数のアルカリ剤と
を含む、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維の酸化染色のための組成物に関する。本発明による組成物は、改善された染色特性によって特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ケラチン繊維の酸化染色のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、特にヒト毛髪を、酸化染料、特に酸化染料の前駆体と、色調整剤とを含有する染色組成物によって染色することは公知である。
【0003】
一般に酸化ベースと称される酸化染料の前駆体は、当初無色またはかすかに色のついた化合物であり、これが酸化生成物と組み合わさると、酸化縮合のプロセスによって、被着性および着色性化合物を生じさせることができる。これらは一般に、オルト-またはパラ-フェニレンジアミン、オルト-またはパラ-アミノフェノールおよび複素環式塩基などの化合物である。
【0004】
これらの酸化ベースによって得られる色合いは、それらをカップラーまたは色調整剤(後者は一般に、メタ-ジアミノベンゼン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノールおよびインドール化合物などの特定の複素環化合物から選択される)と合わせることによって変化させることができることもまた公知である。
【0005】
酸化ベースおよびカップラーのために用いられる各種の分子は、豊富な色彩を得ることを可能にする。
【0006】
酸化着色ともまた称される、これらの酸化染料を使用して得られるいわゆる「永久」呈色は、さらに一定の必要条件を満足させなければならない。したがって、それは毒物学的観点から無害でなくてはならず、所望の明暗度の色合いを得ることを可能にしなくてはならず、光、天候、洗浄、パーマネント、汗および摩擦などの外部の攻撃的要因に対して良好な耐性を有さなくてはならない。
【0007】
染料はまた、白髪をカバーすることができなくてはならず、最終的に最小の選択性を有さなくてはならない、すなわちその先端からその根元まで様々な程度に感作される(すなわち損傷を受ける)部分を一般に有する同一のケラチン繊維に沿って呈色の差異ができるだけ少なくてはならない。
【0008】
髪染めの分野において例えば添加剤によって染色特性を改善する多数の試みがあった。しかし、前記組成物の他の特性に悪影響を与えることなく染色組成物の染色特性を改善しなければならないため、これらの添加剤の選択は困難である。特に、これらの添加剤は、ケラチン繊維の明色化の特性および呈色を示す特性に対して悪影響を有してはいけない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US5,455,340
【特許文献2】US4,017,460
【特許文献3】EP815828
【特許文献4】EP503853
【特許文献5】FR2416723
【特許文献6】US2798053
【特許文献7】US2923692
【特許文献8】EP-0216479
【特許文献9】US3915921
【特許文献10】US4509949
【特許文献11】EP-A-0173109
【特許文献12】WO00/31154
【特許文献13】EP-A-750899
【特許文献14】US5089578
【特許文献15】仏国特許出願第0009609号
【特許文献16】WO-00/68282
【特許文献17】WO9844012
【特許文献18】US-A-5,156,911
【特許文献19】US-A-5,736,125
【特許文献20】WO-A-01/19333
【特許文献21】US-A-5,519,063
【特許文献22】EP-A-0550745
【特許文献23】US-A-5,783,657
【特許文献24】US-A-3,645,705
【特許文献25】US-A-3,148,125
【特許文献26】USA-5500209
【特許文献27】FR2281162
【特許文献28】EP0497144
【特許文献29】WO98/42298
【特許文献30】US6225690
【特許文献31】US6174968
【特許文献32】US6225390
【特許文献33】US5468477
【特許文献34】US5725882
【特許文献35】GB1026978
【特許文献36】GB1153196
【特許文献37】独国特許第DE2359399号
【特許文献38】日本特許第JP88-169571号
【特許文献39】JP91-10659
【特許文献40】WO96/15765
【特許文献41】FR-A-2750048
【特許文献42】DE3843892
【特許文献43】DE4133957
【特許文献44】WO94/08969
【特許文献45】WO94/08970
【特許文献46】FR-A-2733749
【特許文献47】DE19543988
【特許文献48】FR-A-2886136
【特許文献49】FR-A-2766177
【特許文献50】FR-A-2766178
【特許文献51】FR-A-2782718
【特許文献52】FR-A-2782716
【特許文献53】FR-A-2782719
【特許文献54】FR-A-2766179
【特許文献55】EP-A-1348695
【特許文献56】FR-A-2586913
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Walter NOLL「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、第91巻、Jan.76、27〜32頁-TODD BYERS「Volatile Silicone fluids for cosmetics」
【非特許文献3】Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures-Chinese Journal of Polymer Science、第18巻、第40号、(2000)、323〜336頁
【非特許文献4】Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a non-ionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering-Macromolecules、2000、第33巻、第10号、3694〜3704頁
【非特許文献5】Solution properties of micelle networks formed by non-ionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte:salt effects on rheological behavior-Langmuir、2000、第16巻、第12号、5324〜5332頁
【非特許文献6】Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers-Polym.Preprint、Div.Polym.Chem.1999、40(2)、220〜221頁
【非特許文献7】G.Fonnum、J.BakkeおよびFk.Hansen-Colloid Polym.Sci、271、380〜389頁(1993)
【非特許文献8】「Melting behavior of poly(δ-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、S.Nojima、Macromolecules、32、3727〜3734頁(1999)
【非特許文献9】「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、B.Boutevinら、Polymer Bulletin、34、117〜123頁(1995)
【非特許文献10】「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、P.Rangarajanら、Macromolecules、26、4640〜4645頁(1993)
【非特許文献11】「Polymer aggregates with crystalline cores:the system poly(ethylene)-poly(ethylenepropylene)」、P.Richterら、Macromolecules、30、1053〜1068頁、25(1997)
【非特許文献12】「Crystallization in block copolymers」、I.W.Hamley、Advances in Polymer Science、第148巻、113〜137頁(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の欠点を有さない、ケラチン繊維の酸化染色のための新規な組成物を得ることである。より特定すると、本発明の目的は、所望の明色化を得ることを可能にし、混合および塗布することが容易であり、特に流れず、塗布した部分に留まっている改善された染色特性を示す、ケラチン繊維の酸化着色のための組成物を得ることである。「改善された染色特性」とは、特に染色の強度/明暗度および/または均一性に関しての改善を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、この目的は、
A)少なくとも25%の、1種または複数の脂肪物質と、
B)1種または複数のポリマー増粘剤と、
C)1種または複数の染料前駆体と、
D)1種または複数の酸化剤と、
E)1種または複数のアルカリ剤と
を含む、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維の酸化染色のための組成物に関する本発明によって達成される。
【0013】
本発明による組成物は、その改善された染色特性によって特徴付けられる。特に、本発明の組成物は、毛髪の先端および根元の間の繊維に沿って、色の良好な強度および/または明暗度および/または良好な均一性(着色の選択性ともまた称される)および/または良好な色度の着色を実現する。本発明の組成物は、流れることなくケラチン繊維上に困難なく塗布することができる。この組成物はまた、着色工程の間のケラチン繊維分解の減少をもたらす。
【0014】
最後に、本発明の組成物によって得られる着色は耐久性があり、ケラチン繊維が曝されうる様々な外部の攻撃的要因に対して耐性である。
【0015】
本発明はまた、本発明による組成物を使用したケラチン繊維の染色方法に関する。
【0016】
本発明はまた、本発明の組成物の塗布のためのいくつかの区画を有するキットに関する。
【0017】
本発明は、ケラチン繊維の酸化染色のための本発明による組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
すでに述べたように、本発明の組成物は、1種または複数の脂肪物質を含む。
【0019】
「脂肪物質」は、通常の温度(25℃)および大気圧(760mmHg)で水不溶性(5%未満、好ましくは1%未満、よりさらに好ましくは0.1%未満の溶解度)の有機化合物を意味する。脂肪物質は、それらの構造中に、少なくとも2個のシロキサン基を有する鎖、または少なくとも6個の炭素原子を有する少なくとも1つの炭化水素鎖を有する。さらに、脂肪物質は一般に、同じ条件の温度および圧力において有機溶媒に可溶性である(例えば、クロロホルム、エタノール、ベンゼンまたはデカメチルシクロペンタシロキサン)。
【0020】
本発明によれば、組成物は、少なくとも25%の脂肪物質を含む、これらの物質は、脂肪酸以外である。
【0021】
脂肪物質は、特に低級アルカン、脂肪アルコール、脂肪酸のエステル、脂肪アルコールのエステル、油、特に鉱物、野菜、動物または合成の非シリコーン油、非シリコーンワックスおよびシリコーンから選択される。
【0022】
本発明の意味において、アルコールおよびエステルは、より特定すると、特に1個または複数のヒドロキシル基(特に1〜4個)で任意選択で置換されている、6〜30個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状、飽和または不飽和炭化水素基を1個または複数有することを想起すべきである。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1〜3個の共役または非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0023】
低級アルカンに関して、これらは、好ましくは6〜16個の炭素原子を有し、直鎖状または分岐状、任意選択で環状である。例として、アルカンは、ヘキサンおよびドデカン、イソパラフィン(イソヘキサデカンおよびイソデカンなど)から選択することができる。
【0024】
本発明の組成物中で使用可能な非シリコーン油として、例えば、
- 動物由来の炭化水素油(ペルヒドロスクアレンなど)、
- 6〜30個の炭素原子を有する脂肪酸の液体トリグリセリドなどの野菜由来の炭化水素油(ヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリド、または例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、ヒョウタン油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミア油、アララ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド(Stearineries Dubois社によって販売されているもの、またはMiglyol(登録商標)810、812および818という名称でDynamit Nobel社によって販売されているものなど)、ホホバ油、シアバター油など)、
- 鉱物または合成由来の16個超の炭素原子を有する直鎖状または分岐状炭化水素(パラフィン油、石油ゼリー、流動パラフィン、ポリデセン、Parleam(登録商標)などの水添ポリイソブテンなど)、
- 部分フッ素化炭化水素油(フッ素化油として、「FLUTEC(登録商標)PC1」および「FLUTEC(登録商標)PC3」という名称でBNFL Fluorochemicals社によって販売されているパーフルオロメチルシクロペンタンおよびパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、パーフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン、パーフルオロアルカン(「PF5050(登録商標)」および「PF5060(登録商標)」という名称で3M Companyによって販売されているドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサン、または「FORALKYL(登録商標)」という名称でAtochem社によって販売されているブロモパーフルオロオクチルなど)、ノナフルオロ-メトキシブタンおよびノナフルオロエトキシイソブタン、パーフルオロモルホリンの誘導体(「PF5052(登録商標)」という名称で3M Companyによって販売されている4-トリフルオロメチルパーフルオロモルホリンなど)についてまた言及することができる)
について言及することができる。
【0025】
本発明の組成物中で脂肪物質として使用可能な脂肪アルコールは、非アルコキシル化、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状で、6〜30個の炭素原子、より特定すると8〜30個の炭素原子を有し、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイン酸アルコールまたはリノール酸アルコールについて言及することができる。
【0026】
本発明の組成物中で使用することができる非シリコーンワックスまたはワックス(複数)は、特にカルナウバワックス、カンデリラワックス、およびアルファワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、野菜ワックス(オリーブワックスなど)、コメワックス、水添ホホバワックス、または花の無水ワックス(BERTIN社(フランス)によって販売されているクロフサスグリの花のエッセンシャルワックスなど)、動物蝋(蜜蝋もしくは変性した蜜蝋(セラベリナ)など)から選択される。本発明によって使用可能な他のワックスまたはワックス様原料は、特に海洋性ワックス(SOPHIM社によってM82という参照名で販売されているものなど)、一般にポリエチレンまたはポリオレフィンのワックスである。
【0027】
エステルは、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状C1〜C26脂肪族モノまたはポリ酸のエステル、および飽和または不飽和、直鎖状または分岐状C1〜C26脂肪族一価または多価アルコールのエステルであり、エステルの炭素の総数はより特定すると、10以上である。
【0028】
モノエステルの中で、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸セチル、C12〜C15乳酸アルキル、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸(イソ)ステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、アセチルリシノール酸メチル、ステアリン酸ミリスチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸オクチル、ペラルゴン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチルおよびイソプロピル、パルミチン酸エチル-2-ヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル(ミリスチン酸イソプロピル、ブチル、セチル、2-オクチルドデシル、ミリスチル、ステアリルなど)、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルについて言及することができる。
【0029】
さらにこの変形形態の範囲内で、C4〜C22ジまたはトリカルボン酸とC1〜C22アルコールとのエステル、およびモノ、ジまたはトリカルボン酸とC2〜C26ジ、トリ、テトラまたはペンタヒドロキシアルコールとのエステルをまた使用することができる。
【0030】
セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ジオクチル、ウンデシレン酸グリセリル、ステアリン酸オクチルドデシルステアロイル、モノリシノール酸ペンタエリトリチル、テトライソノナン酸ペンタエリトリチル、テトラペラルゴン酸ペンタエリトリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリチル、テトラオクタン酸ペンタエリトリチル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、エルカ酸トリデシル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソステアリル、三酢酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール、およびジステアリン酸ポリエチレングリコールについて特に言及することができる。
【0031】
上記のエステルの中で、パルミチン酸エチル、イソプロピル、ミリスチル、セチル、ステアリル、パルミチン酸エチル-2-ヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル(ミリスチン酸イソプロピル、ブチル、セチル、2-オクチルドデシルなど)、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、リンゴ酸ジオクチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシルおよびイソノナン酸イソノニル、オクタン酸セチルを使用することが好ましい。
【0032】
組成物はまた、脂肪エステルとして、C6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸の糖のエステルおよびジエステルを含むことができる。「糖」とは、アルデヒドまたはケトン官能基を伴うまたは伴わないいくつかのアルコール官能基を有し、少なくとも4個の炭素原子を有する酸素含有炭化水素化合物を意味することが想起されるであろう。これらの糖は、単糖類、オリゴ糖または多糖類でよい。
【0033】
適切な糖として、例えば、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、ラクトース、およびそれらの誘導体、特にメチル化などのアルキル化誘導体(メチルグルコースなど)について言及することができる。
【0034】
糖と脂肪酸とのエステルは、特に上記の糖と、直鎖状または分岐状、飽和または不飽和C6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸とのエステルまたはエステルの混合物を含む群から選択することができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1〜3個の共役または非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0035】
この変形形態によるエステルはまた、モノ-、ジ-、トリ-およびテトラ-エステル、ポリエステルならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0036】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、アラキドン酸エステル、またはそれらの混合物(特に、オレオパルミチン酸エステル、オレオステアリン酸エステル、パルミトステアリン酸混合エステルなど)でよい。
【0037】
より特定すると、モノエステルおよびジエステル、特にスクロース、グルコースまたはメチルグルコースのモノ-またはジ-オレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸塩、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、オレオステアリン酸エステルが使用される。
【0038】
一例として、Glucate(登録商標)DOという名称でAmerchol社によって販売されている製品(メチルグルコースのジオレイン酸エステルである)について言及することができる。
【0039】
脂肪酸の糖エステルまたはエステルの混合物の例として、
- F160、F140、F110、F90、F70、SL40という名称でCrodesta社によって販売されている製品(各々、73%のモノエステルおよび27%のジ-およびトリ-エステルから、61%のモノエステルおよび39%のジ-、トリ-、およびテトラ-エステルから、52%のモノエステルおよび48%のジ-、トリ-、およびテトラ-エステルから、45%のモノエステルおよび55%のジ-、トリ-、およびテトラ-エステルから、39%のモノエステルおよび61%のジ-、トリ-、およびテトラ-エステルから形成されるスクロースのパルミトステアリン酸エステル、ならびにスクロースのモノ-ラウリン酸エステルを表す)、
- Ryoto Sugar Estersという名称(例えば、参照名B370を有する)で販売されており、20%のモノエステルおよび80%のジ-トリエステル-ポリエステルから形成されるスクロースのベヘン酸エステルに相当する製品、
- Goldschrnidt社によってTegosoft(登録商標)PSEという名称で市販されているモノ-ジ-パルミトステアリン酸スクロース
についてまた言及することができる。
【0040】
本発明の組成物中で使用可能なシリコーンは、25℃で5.10-6〜2.5m2/s、好ましくは1.10-5〜1m2/sの粘度を有する、揮発性または不揮発性、環状、直鎖状または分岐状シリコーン(有機基で変性されている、またはされていない)である。
【0041】
本発明によって使用可能なシリコーンは、油、ワックス、樹脂またはガムの形態でよい。
【0042】
好ましくは、シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、ならびにポリ(アルコキシル化)基、アミン基およびアルコキシ基から選択される少なくとも1個の官能基を有する有機変性ポリシロキサンから選択される。
【0043】
有機ポリシロキサンは、Walter NOLL「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Pressの研究においてより詳細に定義されている。それらは、揮発性または不揮発性でよい。
【0044】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より特定すると、60℃〜260℃の沸点を有するものから、さらにより特定すると、3〜7個、好ましくは4〜5個のケイ素原子を有する環状ポリジアルキルシロキサンから選択される。それは、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(特にVOLATILE SILICONE(登録商標)7207という名称でUNION CARBIDEによって、またはSILBIONE(登録商標)70045V2という名称でRHODIAによって市販されている)、デカメチルシクロペンタシロキサン(VOLATILE SILICONE(登録商標)7158という名称でUNION CARBIDEによって、およびSILBIONE(登録商標)70045V5という名称でRHODIAによって市販されている)、ならびにこれらの混合物でよい。
【0045】

【0046】
【化1】

【0047】
のUNION CARBIDE社から市販されているSILICONE VOLATILE(登録商標)FZ3109などの、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンタイプのシクロコポリマーについてまた言及することができる。
【0048】
環状ポリジアルキルシロキサンとケイ素由来の有機化合物との混合物(オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリトリトールとの混合物(50/50)、ならびにオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビス-ネオペンタンとの混合物など)、
(ii)2〜9個のケイ素原子を有し、25℃で5.10-6m2/s以下の粘度である直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサンについてまた言及することができる。一例は、特に「SH200」という名称でTORAY SILICONE社によって市販されているデカメチルテトラシロキサンである。このクラスに含まれるシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、Jan.76、27〜32頁-TODD BYERS「Volatile Silicone fluids for cosmetics」において公表された論文に記載されている。
【0049】
不揮発性ポリジアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサンのガムおよび樹脂、上記の有機官能基で変性されたポリオルガノシロキサン、ならびにこれらの混合物の使用が好ましい。
【0050】
これらのシリコーンは、より特定するとポリジアルキルシロキサンから選択され、これらの中でトリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンについて主に言及することができる。シリコーンの粘度は、規格ASTM445アペンディックスCによって25℃で測定する。
【0051】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、網羅的ではないが、下記の商品
- RHODIAによって市販されているシリーズ47および70 047のSILBIONE(登録商標)油、またはMIRASIL(登録商標)油、例えば、油70 047V500 000、
- RHODIA社によって市販されているMIRASIL(登録商標)シリーズの油、
- DOW CORNING社からの200シリーズの油(DC200など)(60000mm2/sの粘度を有する)、
- GENERAL ELECTRICからのVISCASIL(登録商標)油、およびGENERAL ELECTRICからのSFシリーズ(SF96、SF18)の特定の油
について言及することができる。
【0052】
RHODIA社からの48シリーズの油などの、ジメチコノール(CTFA)の名称で知られているジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサンについてまた言及することができる。
【0053】
このクラスのポリジアルキルシロキサンの中で、ポリジアルキル(C1〜C20)シロキサンである「ABIL WAX(登録商標)9800および9801」という名称でGOLDSCHMIDT社によって市販されている製品についてまた言及することができる。
【0054】
本発明によって使用可能なシリコーンゴムは、特にポリジアルキルシロキサン、好ましくは単独で使用または溶媒中で混合される高い数平均分子量200000〜1000000を有するポリジメチルシロキサンである。この溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン、トリデカンまたはそれらの混合物から選択することができる。
【0055】
本発明によってより特に使用可能な生成物は、下記などの混合物である。
- 鎖末端水酸化ポリジメチルシロキサンまたはジメチコノール(CTFA)、およびシクロメチコン(CTFA)ともまた称される環状ポリジメチルシロキサン(DOW CORNING社によって市販されている製品Q2 1401など)から形成される混合物、
- GENERAL ELECTRIC社からの製品SF1214Silicone Fluidなどのポリジメチルシロキサンガムおよび環状シリコーンの混合物(前記製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに相当する油SF1202Silicone Fluidに溶解する500000の数平均分子量を有する、ジメチコンに相当するガムSF30である)、
- 異なる粘度の2種のPDMS、より特定すると、PDMSガムとPDMS油との混合物(GENERAL ELECTRIC社からの製品SF1236など)。製品SF1236は、20m2/sの粘度を有する上記定義のようなガムSE30と5.10-6m2/sの粘度を有する油SF96との混合物である。この製品は、好ましくは15%のガムSE30および85%の油SF96を有する。
【0056】
本発明によって使用可能な有機ポリシロキサン樹脂は、単位
R2SiO2/2、R3SiO1/2、RSiO3/2およびSiO4/2
を含有する架橋シロキサン系であり、
式中、Rは、1〜16個の炭素原子を有するアルキルを表す。これらの製品の中で特に好ましいのは、RがC1〜C4低級アルキル基、より特定するとメチルを表すものである。
【0057】
これらの樹脂の中で、「DOW CORNING593」という名称または「SILICONE FLUID SS4230およびSS4267」という名称でGENERAL ELECTRIC社によって市販されている製品(ジメチル/トリメチルシロキサン構造のシリコーンである)について言及することができる。
【0058】
特にX22-4914、X21-5034およびX21-5037という名称でSHIN-ETSU社によって市販されている、トリメチルシロキシシリケートタイプの樹脂についてまた言及することができる。
【0059】
本発明によって使用可能な有機変性シリコーンは、それらの構造中に炭酸水素基によって固定されている1個または複数の有機官能基を有する前に定義したようなシリコーンである。
【0060】
上記のシリコーンに加えて、有機変性シリコーンは、上記の有機官能基によって官能化されているポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン、およびポリアルキル-アリールシロキサンでよい。
【0061】
ポリアルカリールシロキサンは、特にポリジメチル/メチルフェニルシロキサン、ポリジメチル/ジフェニルシロキサン(直鎖状および/または分岐状、25℃で1.10-5〜5.102m2/sの範囲の粘度を有する)から選択される。
【0062】
これらのポリアルカリールシロキサンの中で、例えば、下記の名称で市販されている製品
- RHODIAからのシリーズ70 641のSILBIONE(登録商標)油、
- RHODIAからのシリーズRHODORSIL(登録商標)70 633および763の油、
- DOW CORNINGからの油DOW CORNING556COSMETIC GRADE FLUID、
- BAYERからのPKシリーズのシリコーン(製品PK20など)、
- BAYERからのシリーズPN、PHのシリコーン(製品PN1000およびPH1000など)、
- GENERAL ELECTRICからのSFシリーズの特定の油(SF1023、SF1154、SF1250、SF1265など)
について言及することができる。
【0063】
有機変性シリコーンの中で、
- C6〜C24アルキル基を任意選択で有するポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン基(DOW CORNING社によってDC1248という名称で市販されているジメチコンコポリオールと称される製品、またはUNION CARBIDE社からの油SILWET(登録商標)L722、L7500、L77、L711、およびDOW CORNING社によってQ2 5200という名称で市販されているアルキル(C12)-メチコンコポリオールなど)、
- 置換されているまたは置換されていないアミン基(GP4Silicone FluidおよびGP7100という名称でGENESEE社によって市販されている製品、またはQ2 8220、およびDOW CORNING929もしくは939という名称でDOW CORNING社によって市販されている製品など)(置換されているアミン基は、特にC1〜C4アミノアルキル基である)、
- アルコキシル化基(「SILICONE COPOLYMER F-755」という名称でSWS SILICONESによって、ならびにABIL WAX(登録商標)2428、2434および2440という名称でGOLDSCHMIDT社によって市販されている製品など)
を有する、ポリオルガノシロキサンについて言及することができる。
【0064】
好ましくは、脂肪物質は、アルコキシル化されておらず、グリセロール化されていない。
【0065】
より特定すると、脂肪物質は、室温および大気圧で液体またはペースト状である化合物から選択される。
【0066】
好ましくは、脂肪物質は、25℃の温度および大気圧で液体である化合物である。
【0067】
脂肪物質は、好ましくは低級アルカン、脂肪アルコール、脂肪酸のエステル、脂肪アルコールのエステル、油、特に非シリコーンの鉱物、野菜油または合成油、シリコーンから選択される。
【0068】
一実施形態によれば、脂肪物質は、流動パラフィン、ポリデセン、脂肪酸もしくは脂肪アルコールの液体エステル、またはそれらの混合物から選択され、特に、本発明による組成物の脂肪物質は、非シリコーンである。
【0069】
アルカンまたは炭化水素およびシリコーンが、好ましくは選択される。
【0070】
本発明による組成物は、少なくとも25%の脂肪物質を含む。好ましくは、脂肪物質の濃度は、組成物の総重量に対して25〜80%、さらに好ましくは25〜65%、よりさらに好ましくは30〜55%である。
【0071】
組成物は、1種または複数のポリマー増粘剤を含有する。
【0072】
本発明の意味において、ポリマー増粘剤は、1重量%で水溶液もしくは含水アルコール溶液(30%のエタノール)(pH=7で)に、または流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピルまたはシクロペンタジメチルシロキサンから選択される油に加えた場合、25℃にて1s-1の剪断速度で100cP以上、好ましくは少なくとも500cPの粘度を生じるポリマーを意味する。この粘度は、円錐平板粘度計(レオメーターHaake R600または同様のもの)を使用して測定することができる。
【0073】
ポリマー増粘剤は、水相および/または油相の増粘をもたらすことができる。
【0074】
ポリマー増粘剤は、イオン性または非イオン性、会合性または非会合性ポリマーでよい。
【0075】
非会合性ポリマー増粘剤に関して、本発明の意味において、非会合性ポリマー増粘剤は、C10〜C30脂肪鎖を含有しないポリマー増粘剤であることを最初に念頭に置くべきである。
【0076】
水相の増粘剤
水相ポリマー増粘剤として、糖単位を有するポリマー増粘剤について言及することができる。
【0077】
「糖単位」とは、本発明の意味において、置換、および/または酸化および/または脱水によって任意選択で修飾することができる、式Cn(H2O)n-1または(CH2O)nの炭水化物に由来する単位を意味する。
【0078】
本発明のポリマー増粘剤の組成物中に含むことができる糖単位は、好ましくは下記の糖:グルコース、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、マンノース、キシロース、フコース、アンヒドロガラクトース、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、硫酸ガラクトース、硫酸アンヒドロガラクトースに由来する。
【0079】
本発明のポリマー増粘剤として、
- 以下などの天然ガム、
a)下記を含めた木または潅木からの浸出物、
・ アラビアゴム(ガラクトース、アラビノース、ラムノースおよびグルクロン酸の分岐ポリマー)
・ガッティガム(アラビノース、ガラクトース、マンノース、キシロースおよびグルクロン酸由来のポリマー)
・ カラヤガム(ガラクツロン酸、ガラクトース、ラムノースおよびグルクロン酸由来のポリマー)
・ トラガカントガム(ガラクツロン酸、ガラクトース、フコース、キシロースおよびアラビノースのポリマー)
b)下記を含めた藻類に由来するガム、
・ 寒天(ガラクトースおよびアンヒドロガラクトースに由来するポリマー)
・ アルギン酸(マンヌロン酸およびグルクロン酸のポリマー)
・ カラギーナンおよびフルセレラン(硫酸ガラクトースおよび硫酸アンヒドロガラクトースのポリマー)
c)下記を含めた種または塊茎に由来するガム、
・ グアーガム(マンノースおよびガラクトースのポリマー)
- カロブガム(マンノースおよびガラクトースのポリマー)
- コロハガム(マンノースおよびガラクトースのポリマー)
- タマリンドガム(ガラクトース、キシロースおよびグルコースのポリマー)
・ コンニャクガム(グルコースおよびマンノースのポリマー)
d)下記を含めた微生物ガム、
・ キサンタンガム(グルコース、酢酸マンノース、マンノース/ピルビン酸およびグルクロン酸のポリマー)
・ ジェランガム(部分アシル化グルコース、ラムノースおよびグルクロン酸のポリマー)
・ スクレログルカンガム(グルコースのポリマー)
e)下記を含めた植物抽出エキス、
・ セルロース(グルコースのポリマー)
・ デンプン(グルコースのポリマー)
について特に言及することができる。
【0080】
これらのポリマーは、物理的または化学的に変性させることができる。物理的処理として、温度について特に言及することができる。
【0081】
化学的処理として、エステル化、エーテル化、アミド化、酸化の反応について言及することができる。これらの処理によって、特に非イオン性、アニオン性または両性でもよいポリマーを生じさせることができる。
【0082】
好ましくはこれらの化学的または物理的処理を、グアーガム、カロブガム、デンプンおよびセルロースに行う。
【0083】
本発明によって使用可能な非イオン性グアーガムは、C1〜C6ヒドロキシアルキル基によって変性させることができる。
【0084】
ヒドロキシアルキル基の中で、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチル基について言及することができる。
【0085】
これらのグアーガムは、従来技術から周知であり、例えば、相当するアルケンの酸化物、例えば、酸化プロピレンを、グアーガムと反応させることによって調製することができ、ヒドロキシプロピル基によって変性されたグアーガムが得られる。
【0086】
ヒドロキシアルキル化の割合は、好ましくは0.4〜1.2で変化し、グアーガム上に存在する遊離ヒドロキシル官能基の数によって消費されるアルキレンオキシドの分子数に相当する。
【0087】
ヒドロキシアルキル基で任意選択で変性されている前記非イオン性グアーガムは、例えば、商品名JAGUAR HP8、JAGUAR HP60およびJAGUAR HP120でRHODIA CHIMIE社によって販売されている。
【0088】
本発明中に使用されるデンプン分子は、植物由来として、穀類または塊茎を有することができる。したがって、デンプンは、例えば、トウモロコシデンプン、コメデンプン、マニオクデンプン、オオムギデンプン、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、モロコシデンプン、エンドウマメデンプンから選択される。
【0089】
デンプンは、化学的または物理的に、特に下記の反応の1つまたは複数(プレゼラチン化、酸化、架橋、エステル化、エーテル化、アミド化、熱処理)によって変性させることができる。
【0090】
より特定すると、これらの反応は、下記のように行うことができる。
- デンプン粒を破裂させることによるプレゼラチン化(例えば、乾燥ドラム中での乾燥および加熱)、
- デンプン分子中へのカルボキシル基の導入、および(例えば、デンプンの水溶液を次亜塩素酸ナトリウムで処理することによる)デンプン分子の解重合をもたらす強力な酸化剤による酸化、
- デンプン分子のヒドロキシル基と反応することができる官能化剤による架橋(デンプン分子は、このように(例えば、グリセリルおよび/またはリン酸基と)一緒に結合するであろう)、
- 官能基、特にC1〜C6アシル(アセチル)、C1〜C6ヒドロキシアルキル(ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)、カルボキシメチル、オクテニルコハク酸のグラフト化のためのアルカリ性媒体中でのエステル化。
【0091】
特に、リン含有化合物との架橋によって、(St-O-PO-(OX)2タイプの)リン酸化デンプン、(St-O-PO-(OX)-O-Stタイプの)リン酸架橋デンプン、またはさらに(St-O-PO-(O-St)2タイプの)トリスターチホスフェート、またはそれらの混合物を得ることができる(Stはデンプンを示す)。
【0092】
Xは、特にアルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム)、アンモニアの塩、アミンの塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノ-3-プロパンジオール-1,2の塩など)、塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン、サルコシン、オルニチン、シトルリンなど)に由来するアンモニウム塩を表す。
【0093】
リン含有化合物は、例えば、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム、オキシ塩化リンまたはトリメタリン酸ナトリウムでよい。
【0094】
参照名PREJEL VA-70-T AGGL(ゼラチン化ヒドロキシプロピル化マニオク架橋デンプンのリン酸エステル)もしくはPREJEL TK1(ゼラチン化マニオク架橋デンプンのリン酸エステル)もしくはPREJEL200(ゼラチン化アセチル化マニオク架橋デンプンのリン酸エステル)でAVEBE社によって提供されている製品、またはNATIONAL STARCHからのSTRUCTURE ZEA(ゼラチン化トウモロコシ架橋デンプンのリン酸エステル)などの、リン酸架橋デンプンまたはリン酸架橋デンプンが豊富な化合物が好ましくは使用されるであろう。
【0095】
好ましいデンプンは、少なくとも1つのエステル化などの少なくとも1つの化学修飾を受けたデンプンである。
【0096】
本発明によれば、両性デンプンを使用することもまた可能である(前記両性デンプンは、1個または複数のアニオン基および1個または複数のカチオン基を含む)。アニオンおよびカチオン基は、デンプン分子の同じ反応部位または異なる反応部位に結合することができる。好ましくは、それらは同じ反応部位に結合する。アニオン基は、カルボキシル、ホスフェートまたはスルフェートタイプのもの、好ましくはカルボキシルでよい。カチオン基は、第一級、第二級、第三級または第四級アミンタイプのものでよい。
【0097】
両性デンプンは、特に下記の式の化合物から選択される。
【0098】
【化2】

【0099】
上記の式において、
St-Oは、デンプン分子を表し、
Rは、同一または異なり、水素原子またはメチル基を表し、
R'は、同一または異なり、水素原子、メチル基または-COOH基を表し、
nは、2または3と等しい整数であり、
Mは、同一または異なり、水素原子、アルカリもしくはアルカリ土類金属(Na、K、Li、NH4など)、第四級アンモニウムまたは有機アミンを表し、
R''は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0100】
これらの化合物は、特に参照により組み込まれている特許US5,455,340およびUS4,017,460に記載されている。
【0101】
デンプン分子は、特にトウモロコシ、ジャガイモ、カラスムギ、コメ、タピオカ、モロコシ、オオムギまたはコムギなどのデンプン全ての野菜源から得ることができる。上記のデンプンの水解物もまた使用することができる。デンプンは、好ましくはジャガイモから得る。
【0102】
特に、式(II)または(III)のデンプンを使用する。より特定すると、2-クロロエチルアミノジプロピオン酸によって変性されているデンプン、すなわち式(II)または(III)のデンプン(式中、R、R'、R''およびMは、水素原子を表し、nは、2と等しい)が使用される。好ましい両性デンプンは、デンプンクロロエチルアミドジプロピオネートである。
【0103】
上記のように、セルロースの誘導体は、特にアニオン性、両性または非イオン性であってよい。
【0104】
これらの誘導体の中で、セルロースのエーテル、セルロースのエステル、およびセルロースのエステル-エーテルについて特に言及することができる。
【0105】
セルロースのエステルには、セルロースの無機エステル(セルロースニトレート、スルフェートまたはホスフェートなど)、セルロースの有機エステル(セルロースモノアセテート、トリアセテート、アミドプロピオネート、アセテートブチレート、アセテートプロピオネートまたはアセテートトリメリテートなど)およびセルロースの有機/無機混合エステル(セルロースアセテートブチレートスルフェートおよびセルロースアセテートプロピオネートスルフェートなど)が挙げられる。セルロースのエステル-エーテル中で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびエチルセルローススルフェートについて言及することができる。
【0106】
非イオン性セルロースエーテルの中で、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのアルキルセルロース(例えば、DOW CHEMICALからのEthocel standard100Premium)、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース(例えば、AQUALONによって提供されるNatrosol250HHR)およびヒドロキシプロピルセルロース(例えば、AQUALONからのKlucel EF)、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースなどの混合ヒドロキシアルキル-アルキルセルロース(例えば、DOW CHEMICALからのMethocel E4M)、ヒドロキシエチル-メチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース(例えば、AKZO NOBELからのBermocoll E481FQ)およびヒドロキシブチル-メチルセルロースについて言及することができる。
【0107】
アニオン性セルロースエーテルの中で、カルボキシアルキルセルロースおよびそれらの塩について言及することができる。例として、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース(例えば、AQUALON社からのBlanose 7M)、およびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらのナトリウム塩について言及することができる。
【0108】
使用することができる、糖単位を有さない非会合性ポリマー増粘剤の中で、アクリル酸またはメタクリル酸の架橋ホモポリマーまたはコポリマー、2-アクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホン酸の架橋ホモポリマー、およびそれらの架橋アクリルアミドコポリマー、アクリル酸アンモニウムのホモポリマーまたはアクリル酸アンモニウムのコポリマー、およびアクリルアミド(単独または混合)について言及することができる。
【0109】
適切な第1のクラスの非会合性ポリマー増粘剤は、アクリル酸の架橋ホモポリマーによって表される。
【0110】
このタイプのホモポリマーの中で、糖系のアリルアルコールエーテルによって架橋されたもの、例えば、CARBOPOLS980、981、954、2984および5984という名称でNOVEON社によって販売されている製品、またはSYNTHALEN MおよびSYNTHALEN Kという名称で3VSA社によって販売されている製品について言及することができる。
【0111】
非会合性ポリマー増粘剤はまた、AQUA SF1という名称でNOVEON社によって販売されているポリマーなどの(メタ)アクリル酸の架橋コポリマーでよい。
【0112】
非会合性ポリマー増粘剤は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の架橋ホモポリマーおよびそれらの架橋アクリルアミドコポリマーから選択することができる。
【0113】
部分的または完全に中和されていてもよいこれらのホモポリマーおよびコポリマーに関して、ポリマーの総重量に対して90〜99.9重量%の下記の式(j)の単位を含むポリマーについて言及してもよく、
【0114】
【化3】

【0115】
式中、X+は、カチオンまたはカチオンの混合物、またはプロトンを表す。
【0116】
より特定すると、カチオンは、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)、アンモニウムイオン(置換されていない、または1〜6個の炭素原子を含み、任意選択で少なくとも1個のヒドロキシル基を担持している、同一でもまたは異なっていてもよい1〜3個のアルキル基で置換されている)、N-メチル-グルカミン由来のカチオン、塩基性アミノ酸(アルギニンおよびリシンなど)から選択される。好ましくは、カチオンは、アンモニウムまたはナトリウムイオンである。
【0117】
さらに、ポリマーは、ポリマーの総重量に対して0.01〜10重量%の、少なくとも2つのエチレン性不飽和(炭素-炭素二重結合)を有する少なくとも1種のモノマーから得られる架橋単位を含む。
【0118】
少なくとも2つのエチレン性不飽和を有する架橋モノマーは、例えば、ジアリルエーテル、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール-ジアリルエーテル、ポリグリコール-ジアリルエーテル、トリエチレングリコール-ジビニルエーテル、ヒドロキノン-ジアリル-エーテル、テトラアリル-オキセタノイル、テトラ-またはジ-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、トリメチロールプロパン-ジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレン-ビス(メタ)アクリルアミドまたはジビニルベンゼン、糖系のアリルアルコールエーテル、または多官能性アルコールの他のアリルもしくはビニルエーテル、ならびにリン酸および/またはビニルホスホン酸の誘導体のアリルエステル、あるいは前記化合物の混合物から選択される。
【0119】
これらのポリマーについてのさらなる詳細について、文献EP815828を参照することができる。
【0120】
部分的または完全に中和された2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とアクリルアミドとの架橋コポリマーの中で、特に文献EP503853の実施例1において記載されている生成物について言及してもよく、これらのポリマーに関してこの文献を参照することができる。
【0121】
組成物はまた、非会合性ポリマー増粘剤として、アクリル酸アンモニウムのホモポリマー、またはアクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマーを含むことができる。
【0122】
アクリル酸アンモニウムホモポリマーの例として、MICROSAP PAS5193という名称でHOECHST社によって販売されている製品について言及することができる。アクリル酸アンモニウムとアクリルアミドとのコポリマーの中で、BOZEPOL C NOUVEAUという名称で販売されている製品または製品PAS5193(両方ともHOECHST社によって販売されている)について言及することができる。前記化合物の説明および調製に関しては、特に文献FR2416723、US2798053およびUS2923692に言及することができる。
【0123】
増粘剤の中で、当業者に周知であり、特に非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性特性の会合性ポリマーをベースとする増粘系についてまた言及することができる。
【0124】
会合性ポリマーは、水性媒体中で、互いにまたは他の分子と可逆的会合を形成することのできるポリマーであることが想起されるであろう。
【0125】
それらの化学構造は、より特定すると、少なくとも1つの親水性ゾーンおよび少なくとも1つの疎水性ゾーンを含む。
【0126】
「疎水基」とは、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10〜30個の炭素原子、特に12〜30個の炭素原子、さらに好ましくは18〜30個の炭素原子を含む飽和または不飽和の直鎖状または分岐状炭化水素鎖を有する基またはポリマーを意味する。
【0127】
好ましくは、炭酸水素基は、単官能化合物由来である。例えば、疎水基は、脂肪アルコール(ステアリルアルコール、ドデシルアルコール、デシルアルコールなど)に由来してもよい。それはまた、炭化水素ポリマー、例えば、ポリブタジエンを表すことができる。
【0128】
アニオン性タイプの会合性ポリマーの中で、下記について言及することができる。
- (I)少なくとも1つの親水性単位と、少なくとも1つの脂肪鎖アリルエーテル単位とを有するもの、より特定すると、その親水性単位がエチレン系不飽和アニオン性モノマーで構成されるもの、さらにより特定すると、ビニルカルボン酸、および非常に特にアクリル酸またはメタクリル酸またはそれらの混合物、およびその脂肪鎖アリルエーテル単位が下記の式(V)
CH2=CR'CH2OBnR(V)
(式中、R'は、HまたはCH3を表し、Bは、オキシエチレン基を表し、nは0であり、または1〜100の範囲の整数を表し、Rは、8〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個、さらにより特定すると、12〜18個の炭素原子を含むアルキル、アラルキル、アリール、アルカリール、シクロアルキル基から選択される炭化水素基を表す)のモノマーに相当するもの。より特に好ましい式(V)の単位は、R'がHを表し、nが10と等しく、Rがステアリル(C18)基を表す単位である。
【0129】
このタイプのアニオン性会合性ポリマーは、乳化重合の方法によって特許EP-0216479において記載され、調製されている。
【0130】
これらのアニオン性会合性ポリマーの中で、下記が、本発明によって特に好ましい。20〜60重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸、5〜60重量%の低級アルキルの(メタ)アクリレート、2〜50重量%の式(V)の脂肪鎖アリルエーテル、および0〜1重量%の架橋剤(フタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール、およびメチレン-ビス-アクリルアミドなどの周知の共重合性不飽和ポリエチレンモノマーである)から形成されるポリマー。
【0131】
後者の中で、メタクリル酸と、アクリル酸エチルと、ステアリルアルコールのポリエチレングリコール(10EO)エーテル(ステアレス10)との架橋ターポリマー、特にCIBA社によってSALCARE SC80(登録商標)およびSALCARE SC90(登録商標)という名称で販売されているもの(メタクリル酸と、アクリル酸エチルと、ステアレス-10-アリルエーテルとの架橋ターポリマー(40/50/10)の水性エマルジョン(30%)である)が、非常に特に好ましい。
【0132】
- (II)少なくとも1つの不飽和オレフィンカルボン酸タイプの親水性単位と、少なくとも1つのカルボン酸タイプの不飽和アルキル(C10〜C30)エステルの疎水性単位とを有するもの。
【0133】
好ましくは、これらのポリマーは、不飽和オレフィンカルボン酸タイプのその親水性単位が下記の式(VI)のモノマーに相当するもの
【0134】
【化4】

【0135】
(式中、R1は、HまたはCH3またはC2H5(すなわち、アクリル酸、メタクリル酸またはエタクリル酸単位)を表す)、および不飽和カルボン酸タイプのアルキル(C10〜C30)エステルのその疎水性単位が下記の式(VII)のモノマーに相当するもの
【0136】
【化5】

【0137】
(式中、R2は、HまたはCH3またはC2H5(すなわち、アクリレート、メタクリレートまたはエタクリレート単位)、好ましくはH(アクリレート単位)またはCH3(メタクリレート単位)を表し、R3は、C10〜C30、好ましくはC12〜C22アルキル基を表す)から選択される。
【0138】
本発明による不飽和カルボン酸の(C10〜C30)アルキルのエステルは、例えば、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ドデシル、および相当するメタクリル酸エステルであるメタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、およびメタクリル酸ドデシルを含む。
【0139】
このタイプのアニオン性ポリマーは、例えば特許US3915921およびUS4509949に記載されており、それにより調製される。
【0140】
このタイプのアニオン性会合性ポリマーの中で、より特定すると、
本質的にアクリル酸と、
上記の式(VII)のエステル(R2は、HまたはCH3を表し、R3は、12〜22個の炭素原子を有するアルキル基を表す)と、
(iii)フタル酸ジアリル、アルキル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール、およびメチレン-ビス-アクリルアミドなどの周知の共重合性ポリエチレン性不飽和モノマーである架橋剤と
を含むモノマーの混合物から形成されるポリマーが使用されるであろう。
【0141】
このタイプのアニオン性会合性ポリマーの中で、より特定すると、95〜60重量%のアクリル酸(親水性単位)、4〜40重量%のC10〜C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)、および0〜6重量%の重合可能な架橋モノマーで構成されるもの、または代わりに98〜96重量%のアクリル酸(親水性単位)、1〜4重量%のC10〜C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)、および0.1〜0.6重量%の重合可能な架橋モノマー(前に記載されているものなど)で構成されるものが使用されるであろう。
【0142】
上記のポリマーの中で、GOODRICH社によって商品名PEMULEN TR1(登録商標)、PEMULEN TR2(登録商標)、CARBOPOL1382(登録商標)、よりさらに好ましくはPEMULEN TR1(登録商標)で販売されている製品、およびS.E.P.P.I.C.社によってCOATEX SX(登録商標)という名称で販売されている製品が、本発明により非常に特に好ましい。
【0143】
式(VI)および式(VII)のモノマーに加えて、1種または複数の他のモノマーを含有するポリマーについてまた言及することができる。前記さらなるモノマーは、特にビニルラクタムおよび特にビニルピロリドンでもよい。
【0144】
ポリマーの一例として、Acrylidone LMという名称でISP社によって市販されているアクリル酸/メタクリル酸ラウリル/ビニルピロリドンターポリマーについて言及することができる。
【0145】
- (III)無水マレイン酸/C30〜C38α-オレフィン/マレイン酸アルキルターポリマー(PERFORMA V1608(登録商標)という名称でNEWPHASE TECHNOLOGIES社によって販売されている製品(無水マレイン酸/C30〜C38α-オレフィン/マレイン酸イソプロピルコポリマー)など)。
【0146】
- (IV)(a)約20〜70重量%のα,β-モノエチレン性不飽和を有するカルボン酸と、
(b)約20〜80重量%の、(a)とは異なるα,β-モノエチレン性不飽和を有する非界面活性剤モノマーと、
(c)約0.5〜60重量%の一水酸基を有する界面活性剤とモノエチレン性不飽和を有するモノイソシアネートとの反応の生成物である非イオン性モノ-ウレタンと
を含むアクリル酸ターポリマー(特許出願EP-A-0173109において記載されているもの、より特定すると、実施例3において記載されているもの、すなわち、水性分散液中のメタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシ化ベヘニルアルコールのジメチルメタイソプロペニルベンジルイソシアネート(40EO)ターポリマー(25%)など)。
【0147】
- (V)それらのモノマーの中に、α,β-モノエチレン性不飽和を有するカルボン酸、およびα,β-モノエチレン性不飽和を有するカルボン酸とアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルを有するコポリマー。
【0148】
好ましくは、これらの化合物はまた、モノマーとして、α,β-モノエチレン性不飽和を有するカルボン酸とC1〜C4アルコールとのエステルを含む。
【0149】
このタイプの化合物の例として、ROHM社によって販売されているACULYN22(登録商標)、およびメタクリル酸/アクリル酸エチル/アルコキシル化メタクリル酸ステアリルターポリマーであるHAASについて言及することができる。
【0150】
- (VI)遊離形態または部分的または完全に中和されているスルホン酸基を有するエチレン性不飽和を有する少なくとも1種のモノマーを有し、少なくとも1つの疎水性部分を含む両親媒性ポリマー。これらのポリマーは、架橋または非架橋でよい。それらは、好ましくは架橋である。
【0151】
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和を有するモノマーは、特にビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C1〜C22)アルキルスルホン酸、N-(C1〜C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1〜C22)アルキルスルホン酸(ウンデシル-アクリルアミド-メタン-スルホン酸など)、ならびにそれらの部分的または完全に中和された形態から選択される。
【0152】
さらに好ましくは、(メタ)アクリルアミド(C1〜C22)アルキルスルホン酸、例えば、アクリルアミド-メタン-スルホン酸、アクリルアミド-エタン-スルホン酸、アクリルアミド-プロパン-スルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸、メタクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタン-スルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタン-スルホン酸、2-メタクリルアミドドデシル-スルホン酸、2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタン-スルホン酸、ならびにそれらの部分的または完全に中和された形態が使用されるであろう。
【0153】
より特定すると、2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸(AMPS)、ならびに部分的または完全に中和された形態が使用されるであろう。
【0154】
このクラスのポリマーは、特にn-モノアルキルアミンまたはC6〜C22ジ-n-アルキルアミンとの反応によって変性されたAMPSのランダム両親媒性ポリマー、および特許出願WO00/31154において記載されているものなど(記載内容の不可欠な部分を形成する)から選択することができる。これらのポリマーはまた、例えば、(メタ)アクリル酸、βにおいて置換されているそれらのアルキル誘導体、または一価アルコールによって得られるそれらのエステル、またはモノもしくはポリアルキレングリコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸またはマレイン酸またはこれらの化合物の混合物から選択される他のエチレン系不飽和親水性モノマーを含有することができる。
【0155】
このクラスの好ましいポリマーは、AMPSの、およびエチレン性不飽和を有する少なくとも1種の疎水性モノマーの両親媒性コポリマーから選択される。
【0156】
これらの同一のコポリマーは、(メタ)アクリル酸、βにおいて置換されているそれらのアルキル誘導体、または一価アルコールによって得られるそれらのエステル、またはモノ-もしくはポリ-アルキレングリコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸またはマレイン酸またはこれらの化合物の混合物などの、脂肪鎖を有さない1種または複数のエチレン系不飽和モノマーをさらに含有することができる。
【0157】
これらのコポリマーは、特許出願EP-A-750899、特許US5089578、およびYotaro Morishimaの下記の公開資料:
- 「Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures-Chinese Journal of Polymer Science、第18巻、第40号、(2000)、323〜336頁」、
- 「Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a non-ionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering-Macromolecules、2000、第33巻、第10号、3694〜3704頁」、
- 「Solution properties of micelle networks formed by non-ionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte:salt effects on rheological behavior-Langmuir、2000、第16巻、第12号、5324〜5332頁」、
- 「Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers-Polym.Preprint、Div.Polym.Chem.1999、40(2)、220〜221頁」において特に記載されている。
【0158】
これらの特定のコポリマーのエチレン性不飽和を有する疎水性モノマーは、好ましくは下記の式(VIII)のアクリレートまたはアクリルアミドから選択され、
【0159】
【化6】

【0160】
式中、同一でもまたは異なっていてもよいR1およびR3は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状C1〜C6アルキル基(好ましくはメチル)を表し、Yは、OまたはNHを表し、R2は、少なくとも8個、さらに好ましくは8〜22個の炭素原子、よりさらに好ましくは8〜18個の炭素原子、より特定すると、12〜18個の炭素原子を有する疎水性炭化水素基を表し、xは、アルキレンオキシドのモル数を表し、0〜100で変化する。
【0161】
基R2は、好ましくは直鎖状C8〜C18アルキル基(例えば、n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-ドデシル)、分岐状または環状(例えば、シクロドデカン(C12)またはアダマンタン(C10))、C6〜C18アルキルパーフルオロ基(例えば、式-(CH2)2-(CF2)9-CF3の基)、コレステリル(C27)基またはコレステロールエステル残基(オキシヘキサン酸コレステリル基など)、ナフタレンまたはピレンなどの多環式芳香族基から選択される。これらの基の中で、より特定すると、直鎖状アルキル基、より特定すると、n-ドデシル基が好ましい。
【0162】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、式(VIII)のモノマーは、少なくとも1つのアルキレンオキシド単位(x≧1)、好ましくはポリアルコキシル化鎖を有する。ポリアルコキシル化鎖は、好ましくはエチレンオキシド単位および/または酸化プロピレン単位で構成され、さらにより特定すると、エチレンオキシド単位で構成される。アルコキシル化単位の数は一般に、3〜100、さらに好ましくは3〜50、よりさらに好ましくは8〜25で変化する。
【0163】
これらのポリマーの中で、
- 出願EP-A750899において記載されているような、ポリマーに対して15〜60重量%のAMPS単位および40〜85重量%の(C8〜C16)アルキル(メタ)アクリルアミド単位または(C8〜C16)(メタ)アクリル酸アルキル単位を有する、架橋または非架橋の中和されたまたは中和されていないコポリマー、
- 特許US-5089578において記載されているような、10〜90モル%のアクリルアミド単位、0.1〜10モル%のAMPS単位、および5〜80モル%のn-(C6〜C18)アルキルアクリルアミド単位を有するターポリマー
について言及することができる。
【0164】
上記で引用したMorishimaによる論文において記載されているような、完全に中和されたAMPSとメタクリル酸ドデシルとのコポリマー、ならびにAMPSとn-ドデシルメタクリルアミドとの非架橋および架橋コポリマーについてまた言及することができる。
【0165】
より特定すると、下記の式(IX)
【0166】
【化7】

【0167】
(式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類カチオンまたはアンモニウムイオンである)の2-アクリルアミド-2-メチルプロパン-スルホン酸(AMPS)単位と、
下記の式(X)
【0168】
【化8】

【0169】
(式中、xは、3〜100、好ましくは3〜80、さらに好ましくは87〜25の範囲の整数を表し、R1は、式(I)において上述したのと同じ意味を有し、R4は、直鎖状または分岐状C6〜C22アルキル、さらに好ましくはC12〜C18、C10〜C22を表す)の単位とから構成されているコポリマーについて言及することができる。
【0170】
特に好ましいポリマーは、x=25であり、R1がメチルを表し、R4が、n-ドデシルを表すものであり、それらは上記のMorishimaによる論文において記載されている。
【0171】
式(IX)の単位および式(X)の単位のモル%の濃度は、所望の化粧品としての用途および配合物の必要とされる流体力学的特性によって変化するであろう。それは、好ましくはコポリマーに対して70〜99モル%のAMPS単位および1〜30モル%の式(X)の単位、より特定すると、70〜90モル%のAMPS単位および10〜30モル%の式(X)の単位で変化する。
【0172】
X+がナトリウムまたはアンモニウムを表すポリマーがより特に好ましい。
【0173】
カチオン性タイプの会合性ポリマーの中で、下記について言及することができる。
- (I)そのクラスが本出願人によって仏国特許出願第0009609号において記載されているカチオン性会合性ポリウレタン。それは、下記の一般式(XI)
R-X-(P)n-[L-(Y)m]r-L'-(P')p-X'-R' (XI)
によって表すことができ、式中、
RおよびR'は、同一でもまたは異なっていてもよく、疎水基または水素原子を表し、
XおよびX'は、同一でもまたは異なっていてもよく、疎水基を有するまたは有さないアミン官能基を担持する基、またはそうでなければ基L''を表し、
L、L'およびL''は、同一でもまたは異なっていてもよく、ジイソシアネートに由来する基を表し、
PおよびP'は、同一でもまたは異なっていてもよく、疎水基を有するまたは有さないアミン官能基を担持する基を表し、
Yは、親水基を表し、
rは、1〜100、好ましくは1〜50、特に1〜25の整数であり、
n、m、およびpは、各々互いに独立に、値0〜1000を有し、
この分子は、少なくとも1個のプロトン化または四級化されたアミン官能基と、少なくとも1個の疎水基とを含有する。
【0174】
これらのポリウレタンの好ましい実施形態では、唯一の疎水基は、鎖末端での基RおよびR'である。
【0175】
カチオン性会合性ポリウレタンの好ましいクラスは、上記の式(XI)に相当するものであり、式中、
RおよびR'は、両方とも独立に、疎水基を表し、
X、X'は各々、基L''を表し、
nおよびpは、1〜1000の値を有し、
L、L'、L''、P、P'、Yおよびmは、上記で示した意味を有する。
【0176】
他の好ましいクラスのカチオン性会合性ポリウレタンは、上記の式(XI)に相当するものであり、式中、
RおよびR'は、両方とも独立に、疎水基を表し、X、X'は各々、基L''を表し、nおよびpは、値0を有し、L、L'、L''、Yおよびmは、上記で示した意味を有する。
【0177】
nおよびpが値0を有するということは、これらのポリマーが、重縮合の間にポリマー中に組み込まれているアミン官能基を有するモノマーに由来する単位を有さないことを示す。これらのポリウレタンのプロトン化アミン官能基は、鎖末端での過剰なイソシアネート官能基の加水分解、それに続く、疎水基を有するアルキル化剤、すなわち、タイプRQまたはR'Qの化合物(式中、RおよびR'は、前に定義した通りであり、Qは、ハロゲン化物、スルフェートなどの脱離基を表す)によって形成される第一級アミン官能基のアルキル化によってもたらされる。
【0178】
また他の好ましいクラスのカチオン性会合性ポリウレタンは、上記の式(XI)に相当するものであり、式中、
RおよびR'は、両方とも独立に、疎水基を表し、
XおよびX'は、両方とも独立に、第四級アミンを有する基を表し、
nおよびpは、値0を有し、
L、U、Yおよびmは、上記で示した意味を有する。
【0179】
カチオン性会合性ポリウレタンの数平均分子量は、好ましくは400〜500000、特に1000〜400000、理想的には1000〜300000である。
【0180】
「疎水基」とは、炭化水素鎖(飽和または不飽和の直鎖状または分岐状、P、O、N、Sなどの1個または複数のヘテロ原子、またはパーフルオロ鎖またはシリコーン化鎖を有する基を含有することができる)を有する基またはポリマーを意味する。それが炭化水素基を表す場合、疎水基は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10〜30個の炭素原子、特に12〜30個の炭素原子、さらに好ましくは18〜30個の炭素原子を有する。
【0181】
好ましくは、炭酸水素基は、単官能化合物からである。
【0182】
例えば、疎水基は、ステアリルアルコール、ドデシルアルコール、デシルアルコールなどの脂肪アルコールに由来しよもよい。それはまた、炭化水素ポリマー、例えば、ポリブタジエンを表すことができる。
【0183】
Xおよび/またはX'が、第三級または第四級アミンを担持している基を表す場合、Xおよび/またはX'は、下記の式の1つを表すことができ、
【0184】
【化9】

【0185】
式中、
R2は、1〜20個の炭素原子を有するアルキレン基(直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和環を有するもしくは有さない)、またはアリーレン基を表し、炭素原子の1個または複数は、N、S、O、Pから選択されるヘテロ原子で置き換えることができ、
R1およびR3は、同一でもまたは異なっていてもよく、直鎖状または分岐状C1〜C30アルキルまたはアルケニル基、アリール基を表し、炭素原子の少なくとも1つは、N、S、O、Pから選択されるヘテロ原子で置き換えることができ、
A-は、生理学的に許容できる対イオンである。
【0186】
基L、L'およびL''は、式の基を表し、
【0187】
【化10】

【0188】
式中、
Zは、-O-、-S-または-NH-を表し、
R4は、1〜20個の炭素原子を有するアルキレン基(直鎖状もしくは分岐状、飽和もしくは不飽和環を有するもしくは有さない)、アリーレン基を表し、炭素原子の1個または複数は、N、S、OおよびPから選択されるヘテロ原子で置き換えることができる。
【0189】
アミン官能基を含む基PおよびP'は、下記の式の少なくとも1つを表すことができ、
【0190】
【化11】

【0191】
式中、
R5およびR7は、前に定義したR2と同じ意味を有し、
R6、R8およびR9は、前に定義したR1およびR3と同じ意味を有し、
R10は、N、O、SおよびPから選択される1個または複数のヘテロ原子を含有することができるアルキレン基(直鎖状または分岐状、任意選択で不飽和である)を表し、
A-は、生理学的に許容できる対イオンである。
【0192】
Yの意味に関しては、親水基は、水溶性、ポリマー性または非ポリマー性基を意味する。
【0193】
例として、それらがポリマーでない場合、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールについて言及することができる。
【0194】
好ましい一実施形態によれば、それが親水性ポリマーである場合、例として、ポリエーテル、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアミド、またはこれらのポリマーの混合物について言及することができる。好ましくは、親水性化合物は、ポリエーテル、特にポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)である。
【0195】
本発明によって使用可能な式(XI)のカチオン性会合性ポリウレタンは、ジイソシアネートおよび不安定水素を有する官能基を持つ様々な化合物から形成される。不安定水素を有する官能基は、ジイソシアネート官能基との反応の後、各々、ポリウレタン、ポリ尿素およびポリチオ尿素を生じさせる、アルコール、第一級もしくは第二級アミンまたはチオール官能基でよい。本発明によって使用可能な「ポリウレタン」という用語は、これらの3つのタイプのポリマー、すなわち、ポリウレタンプロパー、ポリ尿素およびポリチオ尿素、ならびに後者のコポリマーを包含する。
【0196】
式(V)のポリウレタンの調製に関与する第1のタイプの化合物は、アミン官能基を有する単位を少なくとも1つ有する化合物である。この化合物は、多官能性でよいが、好ましくはこの化合物は、二官能性である。すなわち好ましい一実施形態によれば、この化合物は、例えばヒドロキシル、第一級アミン、第二級アミンまたはチオール官能基によって担持されている2個の不安定水素原子を有する。多官能化合物の割合が低い多官能性および二官能性化合物の混合物もまた使用することができる。
【0197】
上記のように、この化合物は、アミン官能基を有する複数の単位を有することができる。それは、したがってアミン官能基を有する単位の反復を有するポリマーである。
【0198】
このタイプの化合物は、下記の式、
HZ-(P)n-ZH、
または
HZ-(P')p-ZH
の1つによって表すことができ、式中、Z、P、P'、nおよびpは、前に定義した通りである。
【0199】
アミン官能基を有する化合物の例として、N-メチルジエタノールアミン、N-tert-ブチル-ジエタノールアミン、N-スルホエチルジエタノールアミンについて言及することができる。
【0200】
式(XI)のポリウレタンの調製において関与する第2の化合物は、式に相当するジイソシアネートであり、
O=C=N-R4-N=C=O
式中、R4は上記で定義されている。
【0201】
例として、メチレンジフェニル-ジイソシアネート、メチレンシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロン-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネートについて言及することができる。
【0202】
式(XI)のポリウレタンの調製において関与する第3の化合物は、式(XI)のポリマーの疎水性末端基を形成することが意図されている疎水性化合物である。
【0203】
この化合物は、疎水基および不安定水素を有する官能基(例えば、ヒドロキシル、第一級もしくは第二級アミン、またはチオール官能基)で構成されている。
【0204】
例として、この化合物は、特にステアリルアルコール、ドデシルアルコール、デシルアルコールなどの脂肪アルコールでよい。この化合物がポリマー鎖を有する場合、それは例えば、水素化α-ヒドロキシルポリブタジエンでよい。
【0205】
式(XI)のポリウレタンの疎水基はまた、少なくとも1つの第三級アミン単位を有する化合物の第三級アミンの四級化の反応から得ることができる。したがって、疎水基は、四級化剤によって導入される。この四級化剤は、RQまたはR'Q型(式中、RおよびR'は、前に定義した通りであり、Qは、ハロゲン化物、スルフェートなどの脱離基を表す)の化合物である。
【0206】
カチオン性会合性ポリウレタンは、さらに親水性配列を含むことができる。この配列は、ポリマーの調製に関与する第4のタイプの化合物によって供給される。この化合物は、多官能性でよい。それは好ましくは二官能性である。それはまた、低い割合の多官能化合物を有する混合物でよい。
【0207】
不安定水素を有する官能基は、アルコール、第一級もしくは第二級アミン、またはチオール官能基である。この化合物は、不安定水素を有するこれらの官能基の1つによって鎖末端で終結しているポリマーでよい。
【0208】
例として、それらがポリマーでない場合、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールについて言及することができる。
【0209】
それが親水性ポリマーである場合、例えば、ポリエーテル、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアミド、またはこれらのポリマーの混合物について言及することができる。好ましくは、親水性化合物は、ポリエーテル、特にポリ(エチレンオキシド)またはポリ(酸化プロピレン)である。
【0210】
式(XI)においてYで示される親水基は、任意選択である。実際は、第四級アミンまたはプロトン化官能基を有する単位は、水溶液中でのこのタイプのポリマーに必要な水中での溶解性または分散性をもたらすのに十分であってよい。
【0211】
親水基Yの存在は任意選択であるが、このような基を有するカチオン性会合性ポリウレタンが、それにも関わらず好ましい。
【0212】
- (III)1個または複数のアミノ基で置換されている1種または複数のビニルモノマー、1種または複数の非イオン性疎水性ビニルモノマー、および1種または複数の会合性ビニルモノマーを含む、モノマーの混合物の重合によって得られるカチオン性ポリマーまたはポリマー(複数)。
【0213】
特に、これらのカチオン性ポリマーの中で、INCI名ポリアクリレート-1クロスポリマーに相当するNOVEON社によってAQUA CCという名称で市販されている化合物について特に言及することができる。
【0214】
ポリアクリレート-1クロスポリマーは、
- ジ(C1〜C4アルキル)アミノ(C1〜C6アルキル)メタクリレートと、
- C1〜C30アルキルおよび(メタ)アクリル酸の1つまたは複数のエステルと、
- ポリエトキシ化C10〜C30メタクリル酸アルキル(20〜25モルのエチレンオキシド単位)と、
- ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール(30/5)のアリルエーテルと、
- ヒドロキシ(C2〜C6アルキル)メタクリレートと、
- エチレングリコールジメタクリレートと
を含む、モノマーの混合物の重合からの生成物である。
【0215】
(IV)四級化された(カチオン性)アルキルヒドロキシエチルセルロース(AMERCHOL社によって販売されている製品QUATRISOFT LM200、QUATRISOFT LM-X529-18-A、QUATRISOFT LM-X529-18-B(C12アルキル)およびQUATRISOFT LM-X529-8(C18アルキル)、CRODA社によって販売されている製品CRODACEL QM、CRODACEL QL(C12アルキル)およびCRODACEL QS(C18アルキル)、ならびにAMERCHOL社によって販売されている製品SOFTCAT SL100など)。
【0216】
(V)本発明によるカチオン性ポリビニルラクタムポリマー
本発明によるカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーは、
- a)ビニルラクタムまたはアルキルビニルラクタムタイプの少なくとも1種のモノマーと、
- b)下記の構造(XII)または(XIII)
【0217】
【化12】

【0218】
(式中、
Xは、酸素原子または基NR6を表し、
R1およびR6は、互いに独立に、水素原子または直鎖状もしくは分岐状C1〜C5アルキル基を表し、
R2は、直鎖状または分岐状C1〜C4アルキル基を表し、
R3、R4およびR5は、互いに独立に、水素原子、直鎖状または分岐状C1〜C30アルキル基または式(XIV)の基を表し、
-(Y2)r-(CH2-CH(R7)-O)X-R8 (XVI)
Y、Y1およびY2は、互いに独立に、直鎖状または分岐状C2〜C16アルキレン基を表し、
R7は、水素原子、または直鎖状もしくは分岐状C1〜C4アルキル基、または直鎖状もしくは分岐状C1〜C4ヒドロキシアルキル基を表し、
R8は、水素原子、または直鎖状もしくは分岐状C1〜C30アルキル基を表し、
p、qおよびrは、互いに独立に、値0、または値1を表し、
mおよびnは、互いに独立に、0〜100の範囲の整数を表し、
xは、1〜100の範囲の整数を表し、
Zは、有機酸または鉱酸のアニオンを表し、
ただし、
- 置換基R3、R4、R5またはR8の少なくとも1つは、直鎖状または分岐状C9〜C30アルキル基を表し、
- mまたはnが0とは異なる場合、qは1と等しく、
- mまたはnが0と等しい場合、pまたはqは0と等しい)を有する少なくとも1種のモノマーとを含む。
【0219】
本発明によるカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーは、架橋もしくは非架橋でよく、またブロックポリマーでもよい。
【0220】
好ましくは、式(XII)のモノマーのZ-対イオンは、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、メト硫酸イオン、トシル酸イオンから選択される。
【0221】
好ましくは、R3、R4およびR5は、互いに独立に、水素原子または直鎖状もしくは分岐状C1〜C30アルキル基を表す。
【0222】
さらに好ましくは、モノマーb)は、式(XII)のモノマーであり、これについてよりさらに好ましくは、mおよびnは、ゼロに等しい。
【0223】
ビニルラクタムまたはアルキルビニルラクタムモノマーは、好ましくは構造(XV)の化合物であり、
【0224】
【化13】

【0225】
式中、
sは、3〜6の範囲の整数を表し、
R9は、水素原子またはC1〜C5アルキル基を表し、
R10は、水素原子またはC1〜C5アルキル基を表し、
ただし、基R9およびR10の少なくとも1つは、水素原子を表す。
【0226】
よりさらに好ましくは、モノマー(XV)は、ビニルピロリドンである。
【0227】
本発明によるカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーはまた、1種または複数のさらなるモノマー、好ましくはカチオン性または非イオン性を含有することができる。
【0228】
本発明によってより特に好ましい化合物として、少なくとも
a)式(XV)のモノマーと、
b)式(XII)のモノマー(式中、p=1、q=0であり、R3およびR4は、互いに独立に、水素原子またはC1〜C5アルキル基を表し、R5は、C9〜C24アルキル基を表す)と、
c)式(XIII)のモノマー(式中、R3およびR4は、互いに独立に、水素原子またはC1〜C5アルキル基を表す)と
を含む下記のターポリマーについて言及することができる。
【0229】
よりさらに好ましくは、ターポリマーは、40〜95重量%のモノマー(a)、0.1〜55重量%のモノマー(c)および0.25〜50重量%のモノマー(b)を有するものが使用されるであろう。
【0230】
前記ポリマーは、その内容が本発明の不可欠な部分を形成する特許出願WO-00/68282において記載されている。
【0231】
特に、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ドデシルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ココイルジメチル-メタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートまたはクロリドターポリマーが、本発明によるカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーとして使用される。
【0232】
両性会合性ポリマーは、好ましくは少なくとも1つの非環状カチオン性単位を有するものから選択される。さらにより特定すると、モノマーの総モル数に対して1〜20モル%、好ましくは1,5〜15モル%、さらにより特定すると、1.5〜6モル%の脂肪鎖モノマーから調製される、または含むものが好ましい。
【0233】
本発明により好ましい両性会合性ポリマーは、式(XVI)または(XVII)の少なくとも1種のモノマーと
【0234】
【化14】

【0235】
(式中、R1およびR2は、同一でもまたは異なっていてもよく、水素原子またはメチル基を表し、R3、R4およびR5は、同一でもまたは異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基を表し、
Zは、基NHまたは酸素原子を表し、
Nは、整数2〜5であり、
A-は、有機酸または鉱酸由来のアニオン(メト硫酸アニオン)、またはハロゲン化物(塩化物もしくは臭化物など)である)、
2)式(XVIII)の少なくとも1種のモノマーと
【0236】
【化15】

【0237】
(式中、R6およびR7は、同一でもまたは異なっていてもよく、水素原子またはメチル基を表す)と、
3)式(XIX)の少なくとも1種のモノマー
【0238】
【化16】

【0239】
(式中、R6およびR7は、同一でもまたは異なっていてもよく、水素原子またはメチル基を表し、Xは、酸素または窒素原子を表し、R8は、1〜30個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基を表す)と
を含み、それらを共重合することによって調製され、
式(XVI)、(XVII)または(XIX)のモノマーの少なくとも1つは、少なくとも1種の脂肪鎖を有する。
【0240】
式(XVI)および(XVII)のモノマーは、好ましくは
- メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、
- メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミエチル、
- メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、
- ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを含む群から選択され、
これらのモノマーは、例えば、C1〜C4ハロゲン化アルキルまたはC1〜C4ジアルキルスルフェートによって任意選択で四級化されている。
【0241】
より特定すると、式(XVI)のモノマーは、塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムおよび塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムから選択される。
【0242】
本発明の式(XVIII)のモノマーは、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびメチル-2クロトン酸を含む群から選択される。より特定すると、式(XVIII)のモノマーは、アクリル酸である。
【0243】
本発明の式(XIX)のモノマーは、好ましくはC12〜C22、より特定すると、C16〜C13アクリル酸またはメタクリル酸アルキルを含む群から選択される。
【0244】
本発明の両性脂肪鎖ポリマーを構成するモノマーは、好ましくはすでに中和および/または四級化されている。
【0245】
カチオン電荷/アニオン電荷の数の比は、好ましくは約1と等しい。
【0246】
このクラスの両性会合性ポリマーは、好ましくは1〜10モル%、好ましくは1.5〜6モル%の脂肪鎖モノマー(式(XVI)、(XVII)または(XIX)のモノマー)を含む。
【0247】
このクラスの両性会合性ポリマーはまた、非イオン性モノマーなどの他のモノマー、特にC1〜C4アクリル酸またはメタクリル酸アルキルなどを含有することができる。
【0248】
本発明による両性会合性ポリマーは、例えば特許出願WO9844012において記載されており、調製されている。
【0249】
本発明による両性会合性ポリマーの中で、アクリル酸/塩化(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム/メタクリル酸ステアリルターポリマーが好ましい。
【0250】
本発明によって使用することができる非イオンタイプの会合性ポリマーは、好ましくは
- (a)ビニルピロリドンと疎水性脂肪鎖モノマーとのコポリマー(その例として、
- I.S.P.社によって販売されている製品ANTARON V216(登録商標)またはGANEX V216(登録商標)(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)、
- I.S.P.社によって販売されている製品ANTARON V220(登録商標)またはGANEX V220(登録商標)(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)について言及することができる)、
- (b)C1〜C6メタクリル酸またはアクリル酸アルキルと少なくとも1つの脂肪鎖を有する両親媒性モノマーとのコポリマー、例えば、GOLDSCHMIDT社によってANTIL208(登録商標)という名称で販売されているアクリル酸メチル/エトキシ化アクリル酸ステアリルコポリマー、
- (c)親水性メタクリレートまたはアクリレートと少なくとも1つの脂肪鎖を有する疎水性モノマーとのコポリマー、例えば、メタクリル酸ポリエチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマー、
- (d)それらの鎖中に、殆どの場合ポリエトキシ化の性質の親水性配列と、脂肪族鎖単独および/または脂環式鎖および/または芳香族鎖でよい疎水性配列とを同時に有するポリエーテルポリウレタン、
- (e)少なくとも1つの脂肪鎖を有するアミノプラストエーテル骨格を有するポリマー(SUD-CHEMIE社によって提供されるPURE THIX(登録商標)化合物など)、
- (f)アルキル、アラルキル、アルカリール基またはそれらの混合物などの少なくとも1つの脂肪鎖を有する基によって変性されているセルロースまたはそれらの誘導体(アルキル基はC8〜であり、特に、
* 非イオン性アルキルヒドロキシエチルセルロース(AQUALON社によって販売されている製品NATROSOL PLUS GRADE330CSおよびPOLYSURF67(C16アルキル)など)、
* 非イオン性ノンオキシニルヒドロキシエチルセルロース(AMERCHOL社によって販売されている製品AMERCELL HM-1500など)、
* 非イオン性アルキルセルロース(BEROL NOBEL社によって販売されている製品BERMOCOLL EHM100など)である)、
- (g)脂肪鎖によって修飾されているヒドロキシプロピルグアーなどの会合性グアー誘導体(LAMBERTI社によって販売されている製品ESAFLOR HM22(C22アルキル鎖によって修飾されている)、RHODIA CHIMIEによって販売されている製品MIRACARE XC95-3(C14アルキル鎖によって修飾されている)および製品RE205-146(C20アルキル鎖によって修飾されている)など)
から選択される。
【0251】
好ましくは、ポリエーテルポリウレタンは、親水性配列で分離された6〜30個の炭素原子を有する少なくとも2つの親油性炭化水素鎖を有し、炭化水素鎖は、ペンダント鎖または親水性配列の末端の鎖でよい。特に、1つまたは複数のペンダント鎖を想定することが可能である。さらに、ポリマーは、親水性配列の一方の末端または両方の末端に炭化水素鎖を有することができる。
【0252】
ポリエーテルポリウレタンは、マルチブロック、特にトリブロックの形態でよい。疎水性配列は、鎖の各末端にあってもよく(例えば、親水性の中央配列を有するトリブロックコポリマー)、または末端および鎖中の両方に分布していてもよい(例えば、マルチブロックコポリマー)。これらの同一のポリマーはまた、グラフトまたは星型形態でよい。
【0253】
非イオン性脂肪鎖ポリエーテルポリウレタンは、その親水性配列が50〜1000個のエトキシ化基を有するポリエトキシ化鎖であるトリブロックコポリマーでよい。非イオン性ポリエーテルポリウレタンは、親水性配列の間にウレタン結合を有し、これがその名称の由来である。
【0254】
ひいては、非イオン性脂肪鎖ポリエーテルポリウレタンはまた、その親水性配列が他の化学結合によって親油性配列に結合しているものを含む。
【0255】
本発明において使用可能な非イオン性脂肪鎖ポリエーテルポリウレタンの例として、RHEOX社によって販売されている尿素官能基を有するRheolate205(登録商標)、またはRheolates(登録商標)208、204もしくは212、およびAcrysol RM184(登録商標)もまた使用することができる。
【0256】
AKZOからのC1214アルキル鎖を有する製品ELFACOS T210(登録商標)、およびC18アルキル鎖を有する製品ELFACOS T212(登録商標)についてまた言及することができる。
【0257】
C20アルキル鎖およびウレタン結合を有する、水中の20%の乾物で提供されるROHM & HAASからの製品DW1206B(登録商標)もまた使用することができる。
【0258】
特に水中または含水アルコール媒体中のこれらのポリマーの溶液または分散液もまた使用することができる。このようなポリマーの例として、RHEOX社によって販売されているRHEOLATE(登録商標)255、RHEOLATE(登録商標)278およびRHEOLATE(登録商標)244について言及することができる。ROHM & HAAS社によって提供されている製品DW1206FおよびDW1206Jもまた使用することができる。
【0259】
本発明による使用可能なポリエーテルポリウレタンは、特にG.Fonnum、J.BakkeおよびFk.Hansen-Colloid Polym.Sci、271、380〜389頁(1993)の論文において記載されているものである。
【0260】
さらにより特定すると、(i)150〜180モルのエチレンオキシドを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコールまたはデシルアルコールと、(iii)少なくとも1種のジイソシアネートとを含む少なくとも3種の化合物の重縮合によって得ることができるポリエーテルポリウレタンを使用することが好ましい。
【0261】
前記ポリエーテルポリウレタンは、特にROHM & HAAS社によってACULYN46(登録商標)およびACULYN44(登録商標)という名称で販売されている[ACULYN46(登録商標)は、ポリエチレングリコール(150または180モルのエチレンオキシド)と、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4-シクロヘキシル-イソシアネート)(SMDI)との重縮合物(マルトデキストリン(4%)および水(81%)のマトリックス中15重量%)であり、ACULYN44(登録商標)は、ポリエチレングリコール(150または180モルのエチレンオキシド)と、デシルアルコールと、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物(プロピレングリコール(39%)および水(26%)の混合物中35重量%)である]。
【0262】
よりさらに好ましくは、本発明の水相のためのポリマー増粘剤またはポリマー増粘剤(複数)は、糖単位を有する会合性または非会合性ポリマー、会合性または非会合性アクリル酸またはメタクリル酸アニオン性ポリマー、会合性または非会合性ポリウレタンから選択される。
【0263】
油相の増粘剤
好ましくは、物理的相互作用によって油性相を構成するポリマーは、ポリアミド、シリコーン化ポリアミド、糖類または多糖類モノ-もしくはポリ-アルキルエステル、N-アシル化アミノ酸のアミド誘導体、アルキレンもしくはスチレンブロックを含むコポリマーから選択され、前記コポリマーは、ジブロック、トリブロック、マルチ-ブロック、ラジアルブロックポリマー(星型コポリマーとも称される)、または代わりに櫛型ポリマーでよい。
【0264】
1)それらの骨格中に少なくとも1種の結晶化可能配列を有するポリマー
それらの融点を超えて加熱することによって、油または油性相中で可溶性または分散性であるポリマーがまたある。これらのポリマーは、特に異なる化学的性質の少なくとも2種のブロック(それらの1つは結晶化可能である)から構成されるブロックコポリマーである。
【0265】
本発明の適用に適切な、それらの骨格中に少なくとも1種の結晶化可能ブロックを有するポリマーとして、
i)文献US-A-5,156,911において定義されているポリマー、
ii)- シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン(すなわち、ビシクロ(2,2,1)ヘプテン-2)、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5,6-ジメチル-ノルボルネン、5,5,6-トリメチルノルボルネン、5-エチリデン-ノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、1,4,5,8-ジメタン-1,2,3,4,4a,5,8a-オクタヒドロナフタレン、ジシクロペンタジエン、およびこれらの混合物と、
- エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-エイコセンまたはそれらの混合物とのブロック重合から得られるものなどの、結晶化可能鎖を有するオレフィンまたはシクロオレフィンのブロックコポリマーについて言及することができる。これらのブロックコポリマーは、特に(エチレン/ノルボルネン)ブロックコポリマーおよび(エチレン/プロピレン/エチリデン-ノルボルネン)ブロックターポリマーでよい。
【0266】
上記のものなどの、少なくとも2種のC2〜C16、さらに良好にはC2〜C12α-オレフィンのブロック共重合から得られるもの、特にエチレンと1-オクテンとのジブロックポリマーを使用することもまた可能である。
【0267】
コポリマーは、少なくとも1つの結晶化可能ブロックを有し、コポリマーの残部は、(室温で)アモルファスである。これらのコポリマーは、さらに、異なる化学的性質の2つの結晶化可能ブロックを有することができる。好ましいコポリマーは、結晶化可能ブロックおよびアモルファスブロック(両方とも疎水性および親油性であり、順次に分布している)を室温で同時に有するものである。例えば、下記の結晶化可能配列の1つと下記のアモルファス配列の1つとを有するポリマーについて言及することができる。
- 天然で結晶化可能である配列:a)ポリ(アルキレンテレフタレート)などのポリエステル、b)ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン。
- アモルファスおよび親油性である配列(アモルファスポリオレフィンまたはコポリ(オレフィン)(ポリ(イソブチレン)、水素化ポリブタジエン、水素化ポリ(イソプレン)など)など)。
【0268】
結晶化可能配列およびアモルファス配列を有する前記コポリマーの例として、
a)好ましくは水素化形態で使用されるポリ(δ-カプロラクトン)-b-ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマー(論文「Melting behavior of poly(δ-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、S.Nojima、Macromolecules、32、3727〜3734頁(1999)において記載されているものなど)、
b)水素化ポリ(ブチレンテレフタレート)-b-ポリ(イソプレン)ブロックまたはマルチブロックコポリマー(論文「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、B.Boutevinら、Polymer Bulletin、34、117〜123頁(1995)において記載されている)、
c)ポリ(エチレン)-b-コポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー(論文「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、P.Rangarajanら、Macromolecules、26、4640〜4645頁(1993)、および「Polymer aggregates with crystalline cores:the system poly(ethylene)-poly(ethylenepropylene)」、P.Richterら、Macromolecules、30、1053〜1068頁、25(1997)において記載されている)、
d)ポリ(エチレン)-b-ポリ(エチルエチレン)ブロックコポリマー(一般論文「Crystallization in block copolymers」、I.W.Hamley、Advances in Polymer Science、第148巻、113〜137頁(1999)において記載されている)
について言及することができる。
【0269】
本発明の範囲内で使用可能な半結晶性ポリマーは、それらの融点を超えて加熱することによって、架橋度による液体油性相中のそれらの溶解または分散を妨げないため、非架橋または部分的に架橋でよい。したがって、それは重合の間に多官能性モノマーとの反応による化学的架橋でよい。それはまた物理的架橋でもよく、それはこの場合、ポリマーによって担持されている基の間の水素または双極性タイプの結合の確立、例えば、カルボキシレートアイオノマーの間の双極性相互作用(前記相互作用は、少量であり、ポリマーの骨格によって担持されている)による場合があるか、またはポリマーによって担持されている結晶化可能ブロックおよびアモルファスブロックの間の相分離による場合がある。
【0270】
好ましくは、本発明のために適切な半結晶性ポリマーは、非架橋である。
【0271】
本発明による組成物中に使用可能な半結晶性ポリマーの特定の例として、パンフレット「Intelimer(登録商標)ポリマー」において記載されているLandec社からの製品Intelimer(登録商標)について言及することができる。これらのポリマーは、室温(25℃)で固形である。それらは、結晶化可能側鎖を担持し、前述の式Xにおいて定義されているようなモノマーを有する。室温で粘性であり、不浸透性、非粘着性の製品である、56℃の融点を有する「Landec IP22(登録商標)」について特に言及することができる。
【0272】
文献US-A-5,156,911の実施例3、4、5、7、9に記載されている、
- 1/16/3の割合のアクリル酸、ヘキサデシルアクリレートおよびイソデシルアクリレート、
- 1/19の割合のアクリル酸およびペンタデシルアクリレート、
- 2.5/76.5/20の割合のアクリル酸、ヘキサデシルアクリレートおよびエチルアクリレート、
- 5/85/10の割合のアクリル酸、ヘキサデシルアクリレートおよびメチルアクリレート、
- 2.5/97.5の割合のアクリル酸およびオクタデシルメタクリレート
の共重合からもたらされるものなどの、アクリル酸およびC5〜C16(メタ)アクリル酸アルキルの共重合からもたらされる半結晶性ポリマーを使用することもまた可能である。
【0273】
文献US-A-5,736,125において記載されているものなどのNational Starch社によって市販されている融点44℃のポリマー「Structure O」、ならびに文献WO-A-01/19333の実施例1、4、6、7および8において記載されているようなフッ素化基を有するペンダント鎖を有する結晶化可能半結晶性ポリマーを使用することもまた可能である。
【0274】
文献US-A-5,519,063またはEP-A-0550745において記載されているような、アクリル酸ステアリルおよびアクリル酸またはNVPの共重合によって、あるいはアクリル酸ベヘニルおよびアクリル酸またはNVPの共重合によって得られる半結晶性ポリマーを使用することもまた可能である。
【0275】
特定の実施形態によれば、本発明の適用のために適切な半結晶性ポリマーは、特にアルキル化アクリレートであり、その中でも、LANDECからのコポリマーである、
- Doresco IPA13-1(登録商標):ポリ(アクリル酸ステアリル)(49℃の融点および145000のMW)、
- Doresco IPA13-3(登録商標):ポリ(アクリレート/メタクリル酸)(65℃の融点および114000のMW)、
- Doresco IPA13-4(登録商標):ポリ(アクリレート/ビニルピロリドン)(44℃の融点および387000のMW)、
- Doresco IPA13-5(登録商標):ポリ(アクリル酸ヒドロキシエチル/メタクリレート)(47℃の融点および397600のMW)、
- Doresco IPA13-6(登録商標):ポリ(アクリル酸ベヘニル)(66℃の融点)について言及することができる。
【0276】
2)非シリコーン化ポリアミド
本発明による組成物において使用される特定のポリアミドは、好ましくはUNION CAMP社の文献US-A-5,783,657において記載されているものである。これらのポリマーを論じているUS-A-5,783,657の項は、参照により組み込まれている。
【0277】
これらのポリアミドの各々は、特に下記の式を満たし、
【0278】
【化17】

【0279】
式中、nは、エステル基の数がエステルおよびアミド基の総数の10〜50%を表すような、アミド単位の自然数を表し、R1は、独立に出現するごとに、少なくとも4個の炭素原子、特に4〜24個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり、R2は、独立に出現するごとに、C4〜C55炭酸水素基を表し(ただし、基R2の少なくとも50%は、C30〜C55炭酸水素基を表す)、R3は、独立に出現するごとに、少なくとも2個の炭素原子、水素原子、および任意選択で1個または複数の酸素または窒素原子を有する有機基を表し、R4は、独立に出現するごとに、水素原子、C3〜C10アルキル基、またはR3もしくは他のR4への直接結合(R3およびR4が結合している窒素原子が、R4-N-R3(R4の少なくとも50%は、水素原子を表す)によって定義されるヘテロ環状構造の一部を同時に形成するように)を表す。特に、このポリアミドのエステル基は、エステルおよびアミド基の総数の15〜40%、好ましくは20〜35%を表す。さらに、nは、有利には1〜10、好ましくは1〜5(1と5を含む)の範囲の整数を表す。
【0280】
好ましくは、R1は、C12〜C22、好ましくはC16〜C22アルキル基である。有利には、R2は、C10〜C42炭酸水素基(アルキレン)でよい。好ましくは、少なくとも50%、さらに良好には少なくとも75%のR2は、30〜42個の炭素原子を有する基である。他のR2は、C4〜C19、好ましくはC4〜C12水素化基である。好ましくは、R3は、C2〜C36炭酸水素基またはポリアルコキシル化基を表し、R4は、水素原子を表す。好ましくは、R3は、C2〜C12炭酸水素基を表す。炭酸水素基は、直鎖状、環状または分岐状、飽和または不飽和の基でよい。さらに、アルキルおよびアルキレン基は、直鎖状または分岐状、飽和または不飽和の基でよい。
【0281】
液体油相の増粘は、上記定義のような1種または複数のポリアミドによって行うことができる。一般に、これらのポリアミドは、混合物の形態であり、これらの混合物はまた、nが値0を有する上記定義のようなポリアミドに相当する合成生成物(すなわちジエステル)を含有することができる。
【0282】
本発明において使用可能な構造化ポリアミドとして、脂肪族ジカルボン酸およびジアミンの縮合からもたらされるポリアミド樹脂(2個超のカルボニル基および2個のアミン基を有する化合物を含めた)(隣接する単一の単位のカルボニルおよびアミン基は、アミド結合によって縮合している)についてまた言及することができる。これらのポリアミド樹脂は、特にVersamid(登録商標)のブランドでGeneral Mills,Inc.によって、およびOnamid(登録商標)のブランド、特にOnamid SまたはCでHenkel Corp.社によって市販されているものである。これらの樹脂は、6000〜9000の範囲の数平均分子量を有する。これらのポリアミドについてのさらなる情報については、文献US-A-3,645,705およびUS-A-3,148,125を参照してもよい。より特定すると、Versamid(登録商標)30または744が使用される。
【0283】
Arizona社によってUni-Rez(2658、2931、2970、2621、2613、2624、2665、1554、2623、2662)という参照名で販売または製造されているポリアミド、およびMacromelt6212という参照名でHenkel社によって販売されている製品を使用することもまた可能である。これらのポリアミドについてのさらなる情報については、文献USA-5500209を参照すべきである。
【0284】
本発明による組成物中で使用可能な構造化ポリアミドの例として、Arizona Chemical社によってUniclear80およびUniclear100という名称で販売または製造されている商品についてまた言及することができる。それらは、各々、鉱油中の(作用物質の)80%および(作用物質の)100%でのゲルの形態で販売されている。それらは88〜105℃の軟化点を有する。これらの商品は、約6000の平均分子量を有するエチレンジアミン上で縮合したC36二酸のポリマーの混合物である。エステル末端基は、セチルアルコール、ステアリルアルコールまたはそれらの混合物(セチルステアリルアルコールとも称される)による残りの酸末端のエステル化によってもたらされる。
【0285】
3)シリコーン化ポリアミド
本発明の適用のために適切なシリコーン化ポリアミドタイプのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)は、500〜500000の範囲の平均分子量を有し、
- 基の鎖中またはグラフトの形態中の1〜1000つのオルガノシロキサン単位を有する少なくとも1個のポリオルガノシロキサン基と、
- エステル、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、オキサミド、グアニジノ、ビグアニジノ基、およびこれらの組合せから選択される、水素相互作用を確立することができる少なくとも2個の基(ただし、これらの基の少なくとも1つはエステル基とは異なる)と、
- 室温で固体であり、25〜120℃の範囲の温度にて油性相中で可溶性であるポリマーと
を含む少なくとも1種の基を有する。
【0286】
本発明の適用のために適切であり、油構造化剤として使用されるシリコーン化ポリアミドタイプのポリマーは、下記の2つのクラス
- 水素相互作用を確立することができる少なくとも2個の基を含むポリオルガノシロキサン(これらの2個の基は、ポリマー鎖中に配列されている)、および/または、
- 水素相互作用を確立することができる少なくとも2個の基を含むポリオルガノシロキサン(これらの2個の基は、グラフトまたは分岐上に配列されている)
に属することができる。
【0287】
ポリマー鎖中に水素相互作用を確立することができる2個の基を有するシリコーン化ポリアミドタイプのポリマーは、下記の第1の式に相当する少なくとも1つの単位を含むポリマーでよく、
【0288】
【化18】

【0289】
式中、
1. 同一でもまたは異なっていてもよいR1、R2、R3およびR4は、
- 直鎖状、分岐状または環状C1〜C40炭酸水素基(飽和または不飽和であり、それらの鎖中に1個または複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有してもよく、フッ素原子で部分的または完全に置換されてもよい)、
- 1個または複数のC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されているC6〜C10アリール基、
- ポリオルガノシロキサン鎖(1個または複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を含有している、または含有していない)
から選択される基を表し、
2. 同一でもまたは異なっていてもよいXは、その鎖中に1個または複数の酸素および/または窒素原子を含有することができる直鎖状または分岐状C1〜C30、ジ-イルアルキレン基を表し、
3. Yは、1個または複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を有してもよく、かつ/または置換基として下記の原子または原子の基の1つ(フッ素、ヒドロキシル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C40アルキル、C5〜C10アリール、フェニル(1〜3つのC1〜C3アルキル、C1〜C3ヒドロキシアルキルおよびC1〜C6アルキルアミノ基で任意選択で置換されている))を有してもよい、直鎖状または分岐状二価アルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルキルアリーレンまたはアリールアルキレン基(飽和または不飽和のC1〜C50)であり、あるいは
4. Yは、式に相当する基を表し、
【0290】
【化19】

【0291】
式中、
- Tは、ポリオルガノシロキサン鎖で任意選択で置換されており、O、NおよびSから選択される1個または複数の原子を含有することができる、三価または四価の直鎖状または分岐状、飽和または不飽和のC3〜C24炭酸水素基を表し、またはTは、N、PおよびAlから選択される三価原子を表し、
- R5は、直鎖状もしくは分岐状C1〜C50アルキル基、またはポリオルガノシロキサン鎖(1種または複数のエステル、アミド、ウレタン、チオカルバメート、尿素、チオ尿素および/またはスルホンアミド基(ポリマーの他の鎖に結合していても、していなくてもよい)を有してもよい)を表し、
5. 同一でもまたは異なっていてもよいGは、
【0292】
【化20】

【0293】
から選択される二価基を表し、
式中、R6は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状C1〜C20アルキル基を表し、
6. Nは、2〜500、特に2〜200の範囲の整数であり、mは、1〜1000、特に1〜700、さらに良好には6〜200の範囲の整数である。
【0294】
一実施形態によれば、ポリマーのR1、R2、R3およびR4の80%は、特にメチル、エチル、フェニルおよび3,3,3-トリフルオロプロピル基から選択することができる。
【0295】
他の実施形態によれば、Yは、ポリマーまたはコポリマーの他の単位と結合を確立するための1つまたは2つの自由原子価を任意選択でさらに有する様々な二価基を表すことができ、特に、Yは、
a)直鎖状C1〜C20、特にC1〜C10アルキレン基、
b)環および非共役C30〜C56不飽和を有することができる分岐状アルキレン基、
c)C5〜C6シクロアルキレン基、
d)1個または複数のC1〜C40アルキル基で任意選択で置換されているフェニレン基、
e)1〜5個のアミド基を有するC1〜C20アルキレン基、
f)ヒドロキシル基、C3〜C8シクロアルカン、C1〜C3ヒドロキシアルキルおよびC1〜C6アルキルアミンから選択される1個または複数の置換基を有するC1〜C20アルキレン基、
g)式のポリオルガノシロキサン鎖
【0296】
【化21】

【0297】
(式中、R1、R2、R3およびR4、Tおよびmは、上記定義の通りである)、
h)式のポリオルガノシロキサン鎖
【0298】
【化22】

【0299】
から選択される基を表すことができる。
【0300】
第2のクラスのポリオルガノシロキサンは、下記の第2の式に相当する少なくとも1つの単位を含むポリマーでよく、
【0301】
【化23】

【0302】
式中、
- 同一でもまたは異なっていてもよいR1およびR3は、前述の式について上記定義の通りであり、
- R7は、R1およびR3について上記定義のような基を表し、または式-X-G-R9の基(式中、XおよびGは、前述の式について上記定義の通りであり、R9は、水素原子または直鎖状、分岐状もしくは環状で飽和もしくは不飽和のC1〜C50炭酸水素基(その鎖中にO、SおよびNから選択される1個または複数の原子を任意選択で有し、1個または複数のフッ素原子および/または1個または複数のヒドロキシル基、またはフェニル基(1個または複数のC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されている)で任意選択で置換されている)を表す)を表し、
- R8は、式-X-G-R9の基(式中、X、GおよびR9は、上記定義の通りである)を表し、
- m1は、1〜998の範囲の整数であり、
- m2は、2〜500の範囲の整数である。
【0303】
本発明によれば、構造化剤として使用されるシリコーン化ポリアミドは、ホモポリマー、すなわちいくつかの同一の単位、特に前に定義した式による単位を有するポリマーでよい。
【0304】
本発明によれば、上記の第1の式によるいくつかの異なる単位を有するコポリマー、すなわちR1、R2、R3、R4、X、G、Y、mおよびnの少なくとも1つが単位の1つにおいて異なるポリマーで構成されているシリコーン化ポリアミドを使用することもまた可能である。コポリマーはまた、上記の第2の式によるいくつかの単位(R1、R3、R7、R8、m1およびm2の少なくとも1つが単位の少なくとも1つにおいて異なる)から形成することができる。
【0305】
第1の式による少なくとも1つ単位と第2の式による少なくとも1つ単位とを有するコポリマーを使用することもまた可能であり、第1の式による単位および第2の式による単位は、互いに同一または異なってもよい。
【0306】
本発明の変形形態によれば、エステル、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、チオ尿素基およびこれらの組合せから選択される、水素相互作用を確立することができる2個の基を有する少なくとも1つの炭化水素単位を任意選択で含む、コポリマータイプのシリコーン化ポリアミドを使用することもまた可能である。これらのコポリマーは、ブロックコポリマー、配列コポリマーまたはグラフトコポリマーでよい。
【0307】
一実施形態によれば、水素相互作用を確立することができる基は、式-C(O)NH-および-HNC(O)-のアミド基である。この場合は、ゲル化剤は、例えば、下記の第3のまたは第4の式
【0308】
【化24】

【0309】
または
【0310】
【化25】

【0311】
による少なくとも1つの単位を含むポリマーでよく、
式中、R1、R2、R3、R4、X、Y、mおよびnは、前に定義した通りである。
【0312】
上記に示した第3のおよび第4の式によるポリアミドにおいて、
- mは、特に1〜700、またはさらに15〜500、さらに良好には15〜45の範囲であり、
- nは、特に1〜500、特に1〜100、さらに良好には4〜25の範囲であり、
- Xは、特に1〜30個の炭素原子、特に3〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキレン鎖であり、
- Yは、特に直鎖状または分岐状アルキレン鎖であり、または1〜40個の炭素原子、特に1〜20個の炭素原子、さらに良好には2〜6個の炭素原子、特に6個の炭素原子を有する環および/または不飽和を含むことができる。
【0313】
上記に示した第3のおよび第4の式において、XまたはYを表すアルキレン基は、そのアルキレン部分中に下記の要素
1)1〜5個のアミド、尿素またはカルバメート基、
2)C5またはC6シクロアルキル基、および
3)同一でもまたは異なっていてもよい1〜3個のC1〜C3アルキル基で任意選択で置換されているフェニレン基
の少なくとも1つを任意選択で含有することができる。
【0314】
上記に示した第3のおよび第4の式において、アルキレン基はまた、
- ヒドロキシル基、
- C3〜C8シクロアルキル基、
- 1〜3個のC1〜C40アルキル基、
- 1〜3個のC1〜C3アルキル基で任意選択で置換されているフェニル基、
- C1〜C3ヒドロキシアルキル基、および
- C1〜C6アミノアルキル基を含む群から選択される少なくとも1つの要素で置換されていてもよい。上記に示した第3のおよび第4の式において、Yはまた、
【0315】
【化26】

【0316】
を表してもよく、式中、R5は、ポリオルガノシロキサン鎖を表し、Tは、式の基を表し、
【0317】
【化27】

【0318】
式中、a、bおよびcは、独立に、1〜10の範囲の整数であり、R10は、水素原子、またはR1、R2、R3、R4のために定義したものなどの基である。
【0319】
上記に示した第3のおよび第4の式において、R1、R2、R3、R4は特に、独立に、直鎖状または分岐状C1〜C40アルキル基、特にCH3、C2H5、n-C3H7またはイソプロピル基、ポリオルガノシロキサン鎖またはフェニル基(1〜3個のメチルまたはエチル基で任意選択で置換されている)を表す。
【0320】
すでに見てきたように、ポリマーはまた、同一でもまたは異なっていてもよい上記に示した第3または第4の式による単位を含むことができる。
【0321】
したがって、ポリマーは、上記に示した様々な長さの第3または第4の式によるいくつかの単位を含有するシリコーン化ポリアミド、すなわち下記の第5の式に相当するポリアミドでよく、
【0322】
【化28】

【0323】
式中、X、Y、n、R1〜R4は、上記で示した意味を有し、異なるm1およびm2は、1〜1000の範囲で選択され、pは、2〜300の範囲の整数である。
【0324】
この式において、単位は、ブロックコポリマー、またはランダムコポリマー、または交互コポリマーを形成するように構成することができる。このコポリマーにおいて、単位は、異なる長さだけでなく、異なる化学構造、例えば、異なるYを有してもよい。この場合は、コポリマーは、第6の式に相当してもよく、
【0325】
【化29】

【0326】
式中、R1〜R4、X、Y、m1、m2、nおよびpは、上記に示した意味を有し、Y1は、Yとは異なるが、Yについて定義した基から選択される。先述の通り、様々な単位は、ブロックコポリマー、またはランダムコポリマー、または交互コポリマーを形成するように構成することができる。
【0327】
本発明の一実施形態によれば、ゲル化シリコーン化ポリアミドはまた、グラフトコポリマーで構成することができる。したがって、シリコーン単位を有するポリアミドは、アミド基を有するシリコーン鎖によってグラフトし、任意選択で架橋することができる。このようなポリマーは、三官能性アミンで合成することができる。
【0328】
この場合は、コポリマーは、下記の第7の式による少なくとも1つの単位を含むことができ、
【0329】
【化30】

【0330】
式中、同一でもまたは異なっていてもよいX1およびX2は、上記の第1の式においてXについて示した意味を有し、nは、上記の第1の式に記載の通りであり、YおよびTは、上記の第1の式に記載の通りであり、R11〜R18は、R1〜R4と同じ基から選択される基であり、m1およびm2は、1〜1000の範囲の数であり、およびpは、2〜500の範囲の整数である。
【0331】
上記に示した第7の式において、特に、
- pは、1〜25、さらに良好には1〜7の範囲であり、
- R11〜R18は、メチル基であり、
- Tは、下記の式の1つに相当し、
【0332】
【化31】

【0333】
式中、R19は、水素原子またはR1〜R4のために定義した基から選択された基であり、R20、R21およびR22は、独立に、直鎖状または分岐状アルキレン基であり、
Tは、特に好ましくは式に相当し
【0334】
【化32】

【0335】
(式中、特に、R20、R21およびR22は、-CH2-CH2-を表す)、
- m1およびm2は、15〜500、またはさらに15〜45の範囲であり、
- X1およびX2は、-(CH2)10-を表し、
- Yは、-CH2-を表す。
【0336】
上記に示した第7の式によるグラフトされたシリコーン単位を有するこれらのポリアミドは、第2の式によるシリコーンポリアミドと共重合し、ブロックコポリマー、交互コポリマーまたはランダムコポリマーを形成することができる。コポリマー中の第7の式によるグラフトされたシリコーン単位の重量パーセントは、0.5〜30重量%の範囲でよい。
【0337】
一実施形態によれば、シロキサン単位は、ポリマーの主鎖または骨格でよいが、それらはまたグラフト鎖またはペンダント鎖中に存在することができる。主鎖において、シロキサン単位は、上記のようなセグメントの形態でよい。ペンダント鎖またはグラフト鎖において、シロキサン単位は、個々にまたはセグメント中に現れることができる。
【0338】
本発明の一実施形態によれば、シロキサンをベースとするポリアミドは、特に
- 上記に示した第3の式によるポリアミド(mは15〜50である)、
- 2種以上のポリアミドの混合物(少なくとも1種のポリアミドは、15〜50の範囲のmの値を有し、少なくとも1種のポリアミドは、30〜50の範囲のmの値を有する)、上記の第5の式によるポリマー(m1は、15〜50の範囲で選択され、m2は、30〜500の範囲で選択され、m1に相当する部分は、ポリアミドの総重量に対して1〜99重量%を表し、m2に相当する部分は、ポリアミドの総重量に対して1〜99重量%を表す)、
- 1)80〜99重量%のポリアミド(nは、2〜10、特に3〜6と等しい)と、
2)1〜20%のポリアミド(nは、5〜500、特に6〜100の範囲である)と
を合わせた、上記の第3の式によるポリアミド混合物、
- 上記に示した第6の式によるポリアミド(YおよびY1の少なくとも1つは、少なくとも1個のヒドロキシル置換基を含有する)、
- 二酸の代わりに活性化された二酸(二酸の塩化物、二無水物またはジエステル)の少なくとも一部と合成される第3の式によるポリアミド、
- 第3の式によるポリアミド(Xは、-(CH2)3-または-(CH2)10を表す)、ならびに
- 第3の式によるポリアミド(ポリアミドは、単官能性アミン、単官能性酸、単官能性アルコール(脂肪酸、脂肪アルコールおよび脂肪アミン、例えば、オクチルアミン、オクタノール、ステアリン酸およびステアリルアルコールを含めた)を含む群から選択される単官能性鎖で終結している)
でよい。
【0339】
本発明の一実施形態によれば、ポリマーの鎖末端は、
- 合成の間にC1〜C50一価アルコールを導入することにより、C1〜C50アルキルエステル基、
- 停止剤として、シリコーンがα,ω-ジアミン化である場合は一酸、またはシリコーンがα,ω-ジカルボン酸である場合はモノアミンを使用することにより、C1〜C50アルキルアミド基
で終結することができる。
【0340】
本発明の他の実施形態によれば、シリコーンポリアミドと炭化水素ポリアミドとのコポリマー、すなわち、第3または第4の式による単位とポリアミド炭化水素単位とを有するコポリマーを使用することが可能である。この場合は、シリコーンポリアミド単位は、炭化水素ポリアミドの末端に配列することができる。
【0341】
シリコーンを含有するポリアミドをベースとするゲル化剤は、脂肪酸二量体をベースとするポリアミドのシリルアミド化によって生成することができる。このアプローチは、末端部位としてポリアミド上にある遊離酸部位と、オリゴシロキサン-モノアミンおよび/またはオリゴシロキサン-ジアミンとの反応(アミド化反応)、あるいは代わりにオリゴシロキサンアルコールまたはオリゴシロキサンジオールとの反応(エステル化反応)を伴う。エステル化反応は、当業者に公知であるように酸触媒の存在を必要とする。アミド化またはエステル化反応のために使用される遊離酸部位を有するポリアミドは、比較的多い数の酸末端(例えば、高い酸価、例えば、15〜20を有するポリアミド)を有するべきであることが望ましい。
【0342】
炭化水素ポリアミドの遊離酸部位のアミド化のために、1〜300個、より特定すると、2〜50個、さらに良好には2個、6個、9個、5個、12個、13.5個、23個または31個のシロキサン基を有するジアミンシロキサンを、脂肪酸二量体をベースとする炭化水素ポリアミドとの反応のために使用することができる。13.5個のシロキサン基を有するジアミンシロキサンが好ましく、最良の結果は、13.5個のシロキサン基と高いレベルのカルボン酸末端基を含有するポリアミドとを有するシロキサン-ジアミンで得られる。
【0343】
反応は、共沸蒸留によって溶液から生じた水を抽出するためにキシレン中で、または溶媒なしにより高い温度(約180〜200℃)で行うことができる。典型的には、シロキサンジアミンがより長い場合、すなわちシロキサン基の数がより多い場合に、アミド化の有効性および反応の度合いは減少する。遊離アミン部位は、それらを酸シロキサンと、または安息香酸などの有機酸と反応させることによるジアミノシロキサンの最初のアミド化反応後にブロックすることができる。
【0344】
ポリアミド上の遊離酸部位のエステル化のために、触媒として、反応物の総重量に対して約1重量%のパラトルエンスルホン酸を有する沸騰させたキシレン中でこれを行うことができる。
【0345】
ポリアミドのカルボン酸末端基上で行われるこれらの反応は、ポリマー鎖の末端でのみシリコーン単位の組込みをもたらす。
【0346】
例として、Dow CorningからのDC2-8178GellantおよびDC2-8179Gellantについて言及することができる。
【0347】
4)糖類または多糖類のモノまたはポリアルキルエステル
本発明の適用のために適切な糖類または多糖類のモノまたはポリアルキルエステルの中で、デキストリンまたはイヌリンのアルキルまたはポリアルキルエステルについて言及することができる。
【0348】
特にそれは、デキストリンと少なくとも1種の脂肪酸とのモノ-またはポリ-エステル、特に下記の式に相当するものでよく、
【0349】
【化33】

【0350】
式中、
- nは、3〜200の範囲、特に20〜150の範囲、特に25〜50の範囲の整数であり、
- 同一でもまたは異なっていてもよい基R1、R2およびR3は、水素またはアシル基(R-CO-)(式中、基Rは、7〜29個、特に7〜21個、特に11〜19個、より特定すると、13〜17個、またはさらに15個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状、飽和または不飽和炭化水素基であり、ただし、前記基R1、R2またはR3の少なくとも1つは水素とは異なる)から選択される。
【0351】
特に、R1、R2およびR3は、水素またはアシル基(R-CO-)(式中、Rは、前に定義したような炭化水素基であり、ただし、前記基R1、R2またはR3の少なくとも2つは、水素と同一および異なる)を表すことができる。
【0352】
基R1、R2およびR3の全ては、同一または異なる、特に同一であるアシル基(R-CO)を表すことができる。
【0353】
特に、上記のnは、本発明において使用可能な糖類エステルの一般式において、有利には25から50で変化し、特に38と等しい。
【0354】
特に、同一でもまたは異なっていてもよい基R1、R2および/またはR3が、アシル基(R-CO)を表す場合、それらは、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、エチル-2酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、エチル-2ヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサン酸、デセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、ゴンドレイン酸、エイコセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、プニカ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ステアロール基、およびこれらの混合物から選択することができる。
【0355】
好ましくは、少なくとも1種のパルミチン酸デキストリンは、デキストリンおよび脂肪酸(複数可)のエステルとして使用される。それは単独で使用、または他のエステルと混合することができる。
【0356】
有利には、デキストリンと脂肪酸とのエステルは、1グルコース単位に基づいて2.5以下の置換度を有し、特に1.5〜2.5、好ましくは2〜2.5で変動する。デキストリンのエステルの重量平均分子量は、特に10000〜150000、特に12000〜100000、特に15000〜80000でよい。
【0357】
デキストリン、特にパルミチン酸デキストリンのエステルは、千葉製粉社からRHEOPEARL TLまたはRHEOPEARL KLという名称で市販されている。
【0358】
5)N-アシル化アミノ酸のアミド誘導体
使用することができるN-アシル化アミノ酸のアミドは、文献FR2281162において記載されているものなどの、例えば、N-アシルアミノ酸と1〜22個の炭素原子を有するアミンとの組合せのジアミドである。それらは、例えば、アルキルグルタミン酸のアミド誘導体(味の素社によって「Gelling agent GP-1」という名称で市販されているラウリルグルタミン酸のジブチルアミド、またはそうでなければ味の素社によって「Gelling agent GA-01」という名称で市販されている2-エチルヘキサノイルグルタミン酸のジブチルアミドなど)である。
【0359】
6)アルキレンまたはスチレンブロックを含むコポリマー
コポリマーは、櫛型、またはジブロック、トリブロック、マルチブロックのブロック構造、および/またはラジアルもしくは星型タイプを有することができ、熱力学的に不適合の少なくとも2つのセグメントを有することができる。
【0360】
構造化剤は、例えば、スチレンセグメントブロック(特許出願EP0497144、WO98/42298、US6225690、US6174968、US6225390において記載されているような)、エチレン/ブチレンセグメント、エチレン/プロピレンセグメント(特許出願US6225690、US6174968、US6225390において記載されているような)、ブタジエンセグメント、イソプレンセグメント、ポリビニルセグメント、例えばアルキルポリ(メタ)アクリレート、またはポリビニルアルコールまたはポリ(酢酸ビニル)、シリコーンセグメント(特許出願US5468477およびUS5725882において記載されているような)、あるいはこれらのセグメントの組合せを含むことができる。
【0361】
ジブロックコポリマーは通常、剛性セグメント(A)の後に可撓性セグメント(B)が続くA-B型であると定義される。
【0362】
トリブロックコポリマーは通常、A-B-A型、または剛性セグメント、可撓性セグメントおよび剛性セグメントの組合せであると定義される。
【0363】
マルチブロックまたはラジアルまたは星型コポリマーは、剛性セグメントおよび可撓性セグメントの特性が保たれるならば、剛性セグメントおよび可撓性セグメントの任意の種類の組合せを含むことができる。
【0364】
ブロックコポリマーの剛性セグメントの例として、スチレンついて言及してもよく、ブロックコポリマーの可撓性セグメントの例として、エチレン、プロピレン、ブチレン、およびこれらの組合せについて言及することができる。
【0365】
トリブロックコポリマー、特に本発明の適用のために適切なポリスチレン/ポリイソプレンまたはポリスチレン/ポリブタジエンタイプのものは、LUVITOL HSBという参照名でBASF社によって市販されているものでよい。ポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)またはポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)タイプのトリブロックコポリマー(KRATONという参照名でSHELL CHEMICAL CO社によって、またはGELLED PERMETHYL99Aという参照名でPENRECO社によって市販されているものなど)についてまた言及することができる。前記トリブロックコポリマーが、本発明によって特に好ましい。
【0366】
本発明の適用のために適切でありうるブロックコポリマーのさらなる例として、VERSAGELという参照名でPENRECO社によって市販されているブロックコポリマー、KRATONという参照名でSHELL社によって市販されているもの、およびGEL BASEという参照名でBROOKS INDUSTRIES社によって市販されているものについてまた言及することができる。
【0367】
脂肪相のためのポリマー増粘剤の中で、骨格中に少なくとも1つの結晶化可能配列を有するポリマーが好ましい。
【0368】
水相または脂肪相のためのポリマー増粘剤は、単独で使用することができ、またはどのような割合でも混合することができる。
【0369】
好ましくは、ポリマー増粘剤またはポリマー増粘剤(複数)は、水相ポリマー増粘剤から選択される。
【0370】
ポリマー増粘剤またはポリマー増粘剤(複数)は、組成物の総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲の含量で、本発明による組成物中に存在する。
【0371】
本発明による組成物は、1種または複数の染料前駆体を含む。
【0372】
これまたはこれらの染料前駆体(複数可)は、酸化ベースおよびカップラーから選択される。
【0373】
本発明の範囲内で使用可能な酸化ベースまたは酸化ベース(複数)は、酸化染色において従来通り公知であるものから選択され、これらの中でオルト-およびパラ-フェニレンジアミン、複塩基、オルト-およびパラ-アミノフェノール、複素環式塩基、ならびにこれらの化合物の酸付加塩について特に言及することができる。
【0374】
これらの酸化ベースは、特にカチオン性でよい。
【0375】
本発明の範囲内で使用可能なパラ-フェニレンジアミンは、特に下記の式(XX)の化合物およびそれらの酸付加塩から選択することができ、
【0376】
【化34】

【0377】
式中、
・ R8は、水素原子、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノヒドロキシアルキル、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル、アルコキシ(C1〜C4)アルキル(C1〜C4)、C1〜C4アルキル基(窒素含有基、フェニル基または4'-アミノフェニル基で置換されている)を表し、
・ R9は、水素原子、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノヒドロキシアルキル、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル、アルコキシ(C1〜C4)アルキル(C1〜C4)またはC1〜C4アルキル基(窒素含有基で置換されている)を表し、
・ R8およびR9はまた、それらを担持している窒素原子と共に、1個または複数のアルキル、ヒドロキシルまたはウレイド基で任意選択で置換されている5または6環員を有する窒素含有複素環を形成することができ、
・ R10は、水素原子、ハロゲン原子(塩素原子など)、C1〜C4アルキル、スルホ、カルボキシ、C1〜C4モノヒドロキシアルキルまたはC1〜C4ヒドロキシアルコキシ、C1〜C4アセチルアミノアルコキシ、C1〜C4メシルアミノアルコキシまたはC1〜C4カルバモイルアミノアルコキシ基を表し、
・R11は、水素原子、ハロゲン原子またはC1〜C4アルキル基を表す。
【0378】
上記の式(XX)の窒素含有基の中で、アミノ、モノアルキル(C1〜C4)アミノ、ジアルキル(C1〜C4)アミノ、トリアルキル(C1〜C4)アミノ、モノヒドロキシアルキル(C1〜C4)アミノ、イミダゾリニウムおよびアンモニウム基について特に言及することができる。
【0379】
上記の式(XX)のパラ-フェニレンジアミンの中で、より特定すると、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチル-アニリン、4-N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチル-アニリン、N,N-ビス-β-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、4-N,N-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-クロロ-アニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-メチル-1-N-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、およびそれらの酸付加塩について言及することができる。
【0380】
上記の式(XX)のパラ-フェニレンジアミンの中で、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス-β-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、およびそれらの酸付加塩が、非常に特に好ましい。
【0381】
非常に特に、パラ-フェニレンジアミンおよびパラ-トルイレンジアミン、N,N-ビス-β-ヒドロキシエチルパラフェニレンジアミン、およびそれらの酸付加塩が使用されるであろう。
【0382】
本発明によれば、複塩基は、アミノおよび/またはヒドロキシル基を担持している少なくとも2個の芳香族核を有する化合物である。
【0383】
本発明による組成物中の酸化ベースとして使用可能な複塩基の中で、下記の式(XXI)に相当する化合物およびそれらの酸付加塩について特に言及してもよく、
【0384】
【化35】

【0385】
式中、
・ Z1およびZ2は、同一でもまたは異なっていてもよく、C1〜C4アルキル基または連鎖Yで置換することができるヒドロキシルまたは-NH2基を表し、
・ 連鎖Yは、1個または複数の窒素含有基によって、および/または酸素、硫黄または窒素原子などの1個または複数のヘテロ原子によって中断または終結されてもよく、1個または複数のヒドロキシルまたはC1〜C6アルコキシ基で任意選択で置換されている、1〜14個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキレン鎖を表し、
・ R12およびR13は、水素またはハロゲン原子、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノヒドロキシアルキル、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル、C1〜C4アルキルアミノ基または連鎖Yを表し、
・ 同一でもまたは異なっていてもよいR14、R15、R16、R17、R18およびR19は、水素原子、連鎖YまたはC1〜C4アルキル基を表し、
・ 式(XXI)の化合物は、1分子当たり単一の連鎖Yのみを有することが理解される。
【0386】
上記の式(XXI)の窒素含有基の中で、アミノ、モノアルキル(C1〜C4)アミノ、ジアルキル(C1〜C4)アミノ、トリアルキル(C1〜C4)アミノ、モノヒドロキシアルキル(C1〜C4)アミノ、イミダゾリニウムおよびアンモニウム基について特に言及することができる。
【0387】
上記の式(XXI)の複塩基の中で、より特定すると、N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)-エチレンジアミン、N,N'-ビス-(4-アミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス-(4-アミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス-(4-メチル-アミノフェニル)-テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス-(エチル)-N,N'-ビス-(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)-エチレンジアミン、1,8-ビス-(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、およびそれらの酸付加塩について言及することができる。
【0388】
式(XXI)のこれらの複塩基の中で、N,N'-ビス-(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス-(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノ-プロパノール、1,8-ビス-(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタンまたはそれらの酸付加塩の1種が、特に好ましい。
【0389】
本発明の範囲内で使用可能なパラ-アミノフェノールは、特に下記の式(XXII)に相当する化合物およびそれらの酸付加塩から選択することができ、
【0390】
【化36】

【0391】
式中、
・ R20は、水素原子、ハロゲン原子(フッ素など)、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノヒドロキシアルキル、アルコキシ(C1〜C4)アルキル(C1〜C4)またはC1〜C4アルキルアミノ、またはC1〜C4ヒドロキシアルキル(C1〜C4)アルキルアミノ基を表し、
・ R21は、水素原子またはハロゲン原子(フッ素など)、C1〜C4アルキル、C1〜C4モノヒドロキシアルキル、C2〜C4ポリヒドロキシアルキル、C1〜C4アルキルアミノ、C1〜4シアノアルキルまたはアルコキシ(C1〜C4)アルキル(C1〜C4)基を表す。
【0392】
上記の式(XXII)のパラ-アミノフェノールの中で、より特定すると、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロ-フェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチル-アミノメチル)-フェノール、およびそれらの酸付加塩について言及することができる。
【0393】
パラ-アミノフェノールおよび4-アミノ-3-メチルフェノールが、さらにより好ましい。
【0394】
本発明の範囲内の酸化ベースとして使用可能なオルト-アミノフェノールは、特に2-アミノフェノール、2-アミノ-1-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン、2-アミノ-1-ヒドロキシ-6-メチルベンゼン、5-アセトアミド-2-アミノフェノール、およびそれらの酸付加塩から選択される。
【0395】
本発明による組成物中の酸化ベースとして使用可能な複素環式塩基の中で、より特定すると、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体、およびそれらの酸付加塩について言及することができる。
【0396】
ピリジン誘導体の中で、より特定すると、例えば、特許GB1026978およびGB1153196において記載されている化合物(2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、3,4-ジアミノピリジン、およびそれらの酸付加塩など)について言及することができる。
【0397】
ピリミジン誘導体の中で、より特定すると、例えば、独国特許第DE2359399号または日本特許第JP88-169571号およびJP91-10659または特許出願WO96/15765において記載されている化合物(2,4,5,6-テトラ-アミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン、2,5,6-トリアミノピリミジンなど)、およびピラゾロ-ピリミジン誘導体(特許出願FR-A-2750048において記載されているものなど)について言及してもよく、それらの中で、ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン; 2,5-ジメチル-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン; ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-3,5-ジアミン; 2,7-ジメチル-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-3,5-ジアミン; 3-アミノ-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-7-オール; 3-アミノ-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-5-オール; 2-(3-アミノピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-7-イルアミノ)-エタノール; 2-(7-アミノ-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-3-イルアミノ)-エタノール; 2-[(3-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)-(2-ヒドロキシ-エチル)-アミノ]-エタノール; 2-[(7-アミノ-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-(2-ヒドロキシ-エチル)-アミノ]-エタノール; 5,6-ジメチル-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン; 2,6-ジメチル-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン; 2,5,N7,N7-テトラメチル-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン-3,7-ジアミン; 3-アミノ-5-メチル-7-イミダゾリルプロピルアミノ-ピラゾロ-[1,5-a]-ピリミジン;それらの付加塩およびそれらの互変異性型(互変異性平衡がある場合)について言及することができる。
【0398】
ピラゾール誘導体の中で、より特定すると、特許DE3843892、DE4133957、ならびに特許出願WO94/08969、WO94/08970、FR-A-2733749およびDE19543988において記載されている化合物(4,5-ジアミノピラゾール、例えば、4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾールおよび4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール; 3,4-ジアミノ-ピラゾール; 4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノ-ピラゾール; 3,4,5-トリアミノピラゾール、例えば、3,4,5-トリアミノ-ピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノ-ピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノ-ピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾールなど)、およびそれらの酸付加塩について言及することができる。
【0399】
好ましくは、4,5-ジアミノピラゾール、よりさらに好ましくは4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-ピラゾールおよび/またはその塩が使用されるであろう。
【0400】
ピラゾール誘導体として、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に出願FR-A-2886136において記載されているもの(下記の化合物およびそれらの付加塩: 2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ-(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロ-ピラゾール-3-オン、2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンなど)についてまた言及することができる。
【0401】
2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンおよび/またはその付加塩の1種を使用することが好ましいであろう。
【0402】
複素環式塩基として、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾールおよび/または2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オンおよび/またはそれらの付加塩の1種が、好ましくは使用されるであろう。
【0403】
本発明による組成物中で使用可能なカチオン性酸化ベースとして、例えば、下記の化合物:特に特許出願FR-A-2766177およびFR-A-2766178において記載されているようなパラ-フェニレンジアミン、例えば、特許出願FR-A-2766177およびFR-A-2766178において記載されているようなパラアミノフェノール、例えば、特許出願FR-A-2782718、FR-A-2782716およびFR-A-2782719において記載されているようなオルト-フェニレンジアミン、特許出願FR-A-2766179において記載されているようなオルト-アミノフェノールまたはビス(アミノフェニル)アルキレンジアミンタイプの誘導体などのカチオン性複塩基、ならびにカチオン性複素環式塩基について言及してもよく、前記化合物は、少なくとも1個の第四級窒素原子を担持している。
【0404】
好ましくは、本発明による組成物中で使用可能なカチオン性酸化ベースは、カチオン性パラフェニレンジアミンである。
【0405】
有利には、1つの変形形態は、パラ-フェニレンジアミン構造のカチオン性酸化ベース(アミン官能基の少なくとも1つが、ピロリジン核を担持する第三級アミンであり、分子が、少なくとも1個の四級化された窒素原子を有する)を用いることからなる。このような塩基は、例えば、文献EP-A-1348695において記載されている。
【0406】
本発明による組成物は好ましくは、組成物の総重量に対して0.0005〜12重量%の範囲の酸化ベースの総量を含む。好ましくは、それは、前記組成物の総重量に対して0.005〜8重量%、さらに良好には0.05〜5重量%の範囲の酸化ベースの総量を含む。
【0407】
本発明による組成物中において使用可能なカップラーまたはカップラー(複数)は、酸化染色のための組成物、すなわち、メタ-アミノフェノール、メタ-フェニレンジアミン、メタジフェノール、ナフトールおよび複素環式カップラー(例えば、インドール誘導体、インドリン誘導体、セサモールおよびその誘導体、ピリジン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体、ピラゾロン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、1,3-ベンゾジオキソール、キノリンなど)、ならびにこれらの化合物の酸付加塩中において通常使用されるものである。
【0408】
これらのカップラーは、より特定すると、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス-(2,4-ジアミノフェノキシ)-プロパン、セサモール、1-アミノ-2-メトキシ-4,5-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシ-インドール、4-ヒドロキシ-インドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシ-インドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチル-ピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3,6-ジメチル-ピラゾロ-[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル-ピラゾロ-[1,5-b]-1,2,4-トリアゾールおよびそれらの酸付加塩から選択される。
【0409】
本発明による組成物は一般に、組成物の総重量に対して0.0001〜15重量%の範囲のカップラーの総量を含む。好ましくは、それは、組成物の総重量に対して0.001〜10重量%、さらに良好には0.01〜8重量%の範囲のカップラーの総量を含む。
【0410】
酸化ベースおよびカップラーは、付加塩の形態で、特に酸付加塩の形態で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0411】
本発明の範囲内で使用可能な酸を有する酸付加塩は、特に、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、酢酸塩、アルキル硫酸塩およびアルキルスルホン酸塩から選択される。
【0412】
酸化ベースまたはカップラーが、1個または複数のカルボン酸またはスルホン酸官能基を含有する場合、塩基付加塩を想定することができる。本発明の染色組成物の範囲内で使用可能な塩基付加塩は、したがって特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアまたはアミンによって得られるものである。
【0413】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、1種または複数の酸化ベースと、1種または複数のカップラーとを含む。
【0414】
変形形態によれば、さらなる酸化ベースは、パラ-アミノフェノール、複素環式塩基、ならびに相当する酸付加塩から選択される。
【0415】
本発明による組成物は、1種または複数の酸化剤を含む。
【0416】
前記酸化剤は、例えば、過酸化物(過酸化水素、過酸化尿素など)、アルカリ金属の臭素酸塩またはフェリシアン化物、過酸塩(過ホウ酸塩、過炭酸塩および過硫酸塩など)から選択される。酸化剤として、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼおよび2個の電子を有するオキシドレダクターゼ(ウリカーゼなど)などの1種または複数の酸化還元酵素を、任意選択でそれらの各々の供与体または補助因子の存在下で使用することもまた可能である。
【0417】
過酸化水素の使用が特に好ましい。この酸化剤は、有利にはその強度が、より特定すると、約1〜40容(すなわち、約0.3〜12%の過酸化水素)、よりさらに好ましくは約5〜40容(すなわち、約1.5〜12%の過酸化水素)で変化することができる過酸化水素の溶液で構成される。
【0418】
本発明の組成物中の酸化剤(複数可)の濃度は、組成物の総重量に対して好ましくは0.1〜20%、さらに好ましくは0.5〜10%である。
【0419】
本発明の組成物は、少なくともそれらの1つが有機アミンである1種または複数のアルカリ剤を含む。これまたはこれらのアルカリ剤(複数可)は、例えば、アンモニア、アルカリ金属、特にナトリウムまたはカリウムの炭酸塩、または炭酸水素塩、アルカノールアミン(モノ、ジおよびトリエタノールアミン、ならびにそれらの誘導体、ヒドロキシアルキルアミンおよびエトキシ化および/またはプロポキシル化エチレンジアミンなど)、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物、アミノ酸、特にアルギニンまたはリシンなどの塩基性アミノ酸、および下記の式(XXIII)の化合物から選択され、
【0420】
【化37】

【0421】
式中、
・Rは、ヒドロキシル基またはC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン残基であり、
・ R22、R23、R24およびR25は、同一でもまたは異なっていてもよく、水素原子、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表す。
【0422】
好ましい一実施形態によれば、組成物は、アルカリ剤として少なくとも1種の有機アミン、好ましくは少なくとも1種のアルカノールアミンを含む。組成物が、アルカノールアミンおよび水酸化アンモニウムまたはそれらの塩を含めた複数のアルカリ剤を含有する場合、有機アミン(複数可)の量は、好ましくはアンモニウムの量より多い。
【0423】
特定の実施形態によれば、組成物は、少量のアンモニアを含有し、またはさらにアンモニアを含有しない。この実施形態によれば、組成物は、好ましくは1種または複数のアルカノールアミン、特にモノエタノールアミンを含有する。
【0424】
本発明の組成物中のアルカリ剤(複数可)の濃度は、組成物の総重量に対して好ましくは0.01〜30%、よりさらに好ましくは0.1〜20%である。
【0425】
本発明による染色組成物はさらに、特にベンゼンシリーズのニトロ染料、アゾ直接染料、メチン直接染料、およびそれらの付加塩から選択することができる1種または複数の直接染料を含有することができる。これらの直接染料は、非イオン性、アニオン性またはカチオン性のものでよい。
【0426】
組成物はまた、着色媒体を構成する他の化合物を含有することができる。この着色媒体は一般に、水、または水と1種または複数の許容できる有機溶媒(複数可)との混合物(好ましくは化粧品の領域において水溶性である)を含む。
【0427】
有機溶媒の例として、アルコール(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、およびフェニルエチルアルコールなど)、またはグリコールまたはグリコールエーテル(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはそのエーテルのモノメチル、モノエチルおよびモノブチルエーテル(例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテルなど)、ならびにジエチレングリコールのアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールのモノエチルエーテルまたはモノブチルエーテル)など)について特に言及することができる。このようにして、溶媒は、組成物の総重量に対して約0.01〜35重量%、好ましくは約0.1〜25重量%の濃度で存在することができる。
【0428】
好ましくは、本発明の組成物は、水を含有する。よりさらに好ましくは、水の濃度は、組成物の総重量に対して10〜70%、さらに良好には20〜55%の範囲でよい。
【0429】
本発明による組成物はまた、毛髪を染色するために組成物において通常使用される1種または複数の添加剤(複数可)を含有することができる。
【0430】
「添加剤」とは、すでに記載した化合物とは異なる加えられる物質を意味する。
【0431】
使用することができる添加剤の例として、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、双性イオン性界面活性剤またはそれらの混合物;アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、双性イオン性ポリマー、鉱物または有機、非ポリマー増粘剤;抗酸化剤または還元剤;浸透剤;金属イオン封鎖剤;香料;緩衝液;分散剤;例えば、揮発性または不揮発性、変性または未変性シリコーンなどの添加物;皮膜形成剤;セラミド;保存剤;乳白剤;および帯電防止剤について言及することができる。
【0432】
上記の添加剤は一般に、それらの各々について、染色組成物の重量に対して0.01〜20重量%の量で存在する。
【0433】
好ましくは、本発明の組成物は、1種または複数の界面活性剤を含有する。
【0434】
好ましくは、界面活性剤または界面活性剤(複数)は、非イオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤から選択される。
【0435】
アニオン性界面活性剤は、下記の化合物の塩(特に、アルカリ金属、特にナトリウムの塩、アンモニウム塩、アミノアルコールの塩などのアミンの塩、またはマグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩)
- アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルカリール-ポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、
- アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルカリールスルホネート、α-オレフィン-スルホネート、パラフィン-スルホネート、
- アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、
- アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミド-スルホスクシネート、アルキルスルホスクシンアメート、
- アルキルスルホアセテート、
- アシルサルコシネート、アシルイセチオネートおよびN-アシルタウレート、
- オレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、コプラ油または水素化コプラ油の酸などの脂肪酸の塩、
- アルキル-D-ガラクトシド-ウロン酸の塩、
- アシル-ラクチレート、
- ポリアルコキシル化アルキルエーテルカルボン酸、ポリアルコキシル化アルカリールエーテルカルボン酸、ポリアルコキシル化アルキルアミドエーテルカルボン酸、特に2〜50個のエチレンオキシド基を有するものの塩、
ならびにこれらの混合物からさらに特に選択される。
【0436】
これらの様々な化合物のアルキルまたはアシル基は、有利には6〜24個の炭素原子、好ましくは8〜24個の炭素原子を有し、アリール基は、好ましくはフェニルまたはベンジル基を表すことに留意すべきである。
【0437】
非イオン性界面活性剤は、より特定すると、モノ-またはポリ-アルコキシル化、モノ-またはポリ-グリセロール化非イオン性界面活性剤から選択される。アルコキシル化単位は、より特定すると、エトキシ化またはプロポキシル化単位、またはこれらの組合せ、好ましくはエトキシ化である。
【0438】
アルコキシル化非イオン性界面活性剤の例として、
・アルコキシル化アルキル(C8〜C24)フェノール、
・飽和または不飽和の直鎖状または分岐状アルコキシル化C8〜C30アルコール、
・飽和または不飽和の直鎖状または分岐状アルコキシル化C8〜C30アミド、
・飽和または不飽和の直鎖状または分岐状C8〜C30酸とポリエチレングリコールとのエステル、
・飽和または不飽和の直鎖状または分岐状C8〜C30酸とポリエトキシ化ソルビトールとのエステル、
・エトキシ化、飽和または不飽和植物油、
・とりわけ、エチレンオキシドの、および/または酸化プロピレンの縮合物(単独または混合された)
について言及することができる。
【0439】
界面活性剤は、1〜50、好ましくは2〜30のモル数のエチレンオキシドおよび/または酸化プロピレンを有する。有利には、非イオン性界面活性剤は、プロポキシル化単位を含まない。
【0440】
本発明の好ましい実施形態によれば、アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、エトキシ化C8〜C30、好ましくはエトキシ化C18〜C30アルコールから選択される。
【0441】
モノ-またはポリ-グリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、好ましくはモノ-またはポリ-グリセロール化C8〜C40アルコールを使用する。
【0442】
特に、モノ-またはポリ-グリセロール化C8〜C40アルコールは、下記の式に相当し、
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H
式中、Rは、直鎖状または分岐状、C8〜C40、好ましくはC8〜C30アルキルまたはアルケニル基を表し、mは、1〜30、好ましくは1〜10の範囲の数を表す。
【0443】
本発明の範囲内で適切な化合物の例として、4モルのグリセロールを有するラウリン酸アルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを有するラウリン酸アルコール、4モルのグリセロールを有するオレイン酸アルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを有するオレイン酸アルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを有するセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを有するオレオセチルアルコール、および6モルのグリセロールを有するオクタデカノールについて言及することができる。
【0444】
アルコールは、アルコールの混合物を表すことができ、mの値は、統計値を表し、これは商品が、混合物の形態でいくつかの種のポリグリセロール化脂肪アルコールを含むことができることを示す。
【0445】
モノ-またはポリ-グリセロール化アルコールの中で、より特定すると、1モルのグリセロールを有するC8/C10アルコール、1モルのグリセロールを有するC10/C12アルコール、および1.5モルのグリセロールを有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0446】
好ましくは、本発明の組成物中に存在する界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0447】
本発明の組成物中の界面活性剤の含量は、より特定すると、組成物の重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%に相当する。
【0448】
当然ながら、当業者であれば、本発明による組成物に本質的に備わっている有利な特性が、考慮しているその添加(または添加(複数))によって悪影響を受けない、または実質的に受けないような方法で、上記で述べた任意選択の添加剤(複数可)を入念に選択するであろう。
【0449】
本発明による組成物のpHは一般に、約3〜12、好ましくは約5〜11、好ましくは7〜11である。ケラチン繊維の染色において通常用いられる酸性化剤もしくはアルカリ剤によって、またはそうでなければ従来の緩衝系によって、それは所望の値に調整することができる。
【0450】
アルカリ剤は、例えば、前に記載されているものである。
【0451】
酸性化剤の中で、例えば、鉱酸または有機酸(塩酸、オルトリン酸など)、カルボン酸(酒石酸、クエン酸、乳酸など)、またはスルホン酸について言及することができる。
【0452】
本発明による染色組成物は、液体、クリーム、ゲルの形態、またはケラチン繊維、特にヒト毛髪の染色を行うための任意の他の適切な形態などの様々な形態でよい。
【0453】
本発明の方法は、前に定義したような本発明による組成物を繊維上に塗布する方法である。色は、酸性、中性またはアルカリ性pHで発することができ、酸化剤は使用時に加えることができ、または本発明の組成物の他の化合物と同時もしくは順次に使用することができる。
【0454】
一般に約1〜60分、好ましくは約5〜45分の範囲の保持時間後、ケラチン繊維をすすぎ、シャンプーで任意選択で洗浄し、再びすすぎ、次いで乾燥させる。
【0455】
本発明による組成物は、好ましくは少なくとも1種の前に定義したような酸化剤を含む酸化組成物を含めた、少なくとも2種の組成物、好ましくは2種または3種の組成物を混合することから得ることができる。組成物の1つは無水であってよい。
【0456】
本発明はまた、いくつかの区画を有する装置、または染色「キット」に関し、ここでは第1の区画が、1種または複数の脂肪物質を含む組成物を含有し、第2の区画が、1種または複数の染料前駆体および任意選択で1種または複数のアルカリ剤を含み、第3の区画が、1種または複数の酸化剤を含み、この第3の区画は、ある割合の脂肪物質を含有することができ、1種または複数のポリマー増粘剤が、3つの区画の少なくとも1つに含有されている。この実施形態では、脂肪物質を含む組成物は、無水でよい。無水組成物とは、本発明の意味において、前記組成物の重量に対して5重量%未満、好ましくは2重量%未満、よりさらに好ましくは1重量%未満の水分含有率を有する化粧品組成物を意味する。これは、より特定すると、塩の結晶化の水または本発明による組成物の調製において使用される原料によって吸収される微量の水などの結合水を意味することに留意すべきである。好ましくは、ポリマー増粘剤またはポリマー増粘剤(複数)は、第2または第3の区画、よりさらに好ましくは第2の区画中に含有される。
【0457】
第2の実施形態によれば、本発明の装置は、1種または複数の脂肪物質および1種または複数の酸化剤を含む組成物を含有する第1の区画と、1種または複数の染料前駆体および任意選択で1種または複数のアルカリ剤を含む第2の区画とを含み、1種または複数のポリマー増粘剤は、2つの区画の少なくとも1、好ましくは第2の区画中に含有される。
【0458】
第3の実施形態によれば、本発明の装置は、1種または複数の脂肪物質、1種または複数の染料前駆体、任意選択で1種または複数のアルカリ剤を含む組成物を含有する第1の区画と、1種または複数の酸化剤を含有する第2の区画とを含み、1種または複数のポリマー増粘剤は、2つの区画の少なくとも1つ、好ましくは第2の区画中に含有される。
【0459】
これらの装置は、出願人の名で特許FR-A-2586913において記載されている装置などの、所望の混合物の毛髪上への送達のための手段を備えることができる。
【0460】
本発明はまた、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維の酸化染色のための、前に定義したような染色組成物の使用に関する。
【0461】
下記に示した実施例は、本発明を例示することを意図するが、その範囲を限定しない。
【実施例】
【0462】
(実施例)
下記の組成物を調製した(濃度は生成物についてそのままを記載する)。
(実施例1)
【0463】
【表1】

【0464】
【表2】

【0465】
(実施例2)
【0466】
【表3】

【0467】
この実施例において用いられる組成物1'および3'は、各々、実施例1において記載されている組成物1および3と同一である。
【0468】
(実施例3)
【0469】
【表4】

【0470】
この実施例において用いられる組成物2''および3''は、各々、実施例1において記載されている組成物2および3と同一である。
【0471】
実施例の各々の組成物1、2、3または1'、2'および3'または1''、2''、3''を、下記の割合で使用時に混合する。
10gの組成物1(または1'または1'')、4gの組成物2(または2'または2'')および16gの組成物3(または3'または3'')。混合物を、1gの毛髪に対して10gの混合物の割合で天然の灰色毛髪の房(90%の白髪)に塗布する。30分待った後、毛髪をすすぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、乾燥させる。
【0472】
毛髪の着色を、視覚的に評価する。
【0473】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)少なくとも25%の、脂肪酸以外の1種または複数の脂肪物質、B)1種または複数のポリマー増粘剤、C)1種または複数の染料前駆体、D)1種または複数の酸化剤、およびE)1種または複数のアルカリ剤を含み、前記アルカリ剤の少なくとも1つが有機アミンである、ケラチン繊維の酸化染色のための組成物。
【請求項2】
前記脂肪物質が、低級アルカン、脂肪アルコール、脂肪酸のエステル、脂肪アルコールのエステル、非シリコーン油、非シリコーンワックスおよびシリコーンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脂肪物質が非シリコーンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマー増粘剤が水相のためのポリマー増粘剤であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマー増粘剤が、会合性または非会合性糖単位を有するポリマー、会合性または非会合性アクリルまたはメタクリルアニオン性ポリマー、会合性または非会合性ポリウレタンから選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマー増粘剤が油相のためのポリマー増粘剤であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマー増粘剤が、それらの骨格中に少なくとも1つの結晶化可能配列を有するポリマー、非シリコーン化ポリアミド、シリコーン化ポリアミド、糖類または多糖類のモノまたはポリアルキルエステル、N-アシル化アミノ酸のアミド誘導体、およびアルキレンまたはスチレン配列を含むコポリマー、好ましくはそれらの骨格中に少なくとも1つの結晶化可能配列を有するポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリマー増粘剤が本発明に係る組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記染料前駆体が酸化ベースおよびカップラーから選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記染料前駆体が、オルト-およびパラ-フェニレンジアミン酸化ベース、複塩基、オルト-およびパラ-アミノフェノール、複素環式ベースならびにこれらの化合物の酸付加塩、メタ-アミノフェノール、メタ-フェニレンジアミン、メタ-ジフェノール、ナフトールカップラー、複素環式カップラーならびにこれらの化合物の酸付加塩、好ましくは、アミノフェノールおよび/またはメタ-フェニレンジアミンから選択されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記酸化剤が過酸化物、好ましくは過酸化水素であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記アルカリ剤が、アンモニアまたはアルカノールアミン、好ましくはアルカノールアミンであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記アルカリ剤が、モノエタノールアミンであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を、所望の呈色を示すのに十分な時間ケラチン繊維上に適用することを特徴とする、ケラチン繊維の染色方法。
【請求項15】
1種または複数の脂肪物質を含む組成物を含有する第1の区画と、1種または複数の染料前駆体および1種または複数のアルカリ剤を含む第2の区画と、1種または複数の酸化剤を含む第3の区画とを含み、前記第3の区画がある割合の前記脂肪物質を含有してもよく、1種または複数のポリマー増粘剤が3つの区画の少なくとも1つに含有され、前記脂肪物質、前記染料前駆体、前記酸化剤、前記アルカリ剤、および前記ポリマー増粘剤は請求項1から13のいずれか一項によって規定されている、いくつかの区画を有するキット。
【請求項16】
1種または複数の脂肪物質および1種または複数の酸化剤を含む組成物を含有する第1の区画と、1種または複数の染料前駆体および1種または複数のアルカリ剤を含む第2の区画とを含み、1種または複数のポリマー増粘剤が2つの区画の少なくとも1つ、好ましくは前記第2の区画中に含有され、前記脂肪物質、前記染料前駆体、前記酸化剤、前記ポリマー増粘剤、および前記アルカリ剤は請求項1から13のいずれか一項によって規定されている、いくつかの区画を有するキット。
【請求項17】
1種または複数の脂肪物質、1種または複数の染料前駆体、1種または複数のアルカリ剤を含む組成物を含有する第1の区画と、1種または複数の酸化剤を含む第2の区画とを含み、1種または複数のポリマー増粘剤が2つの区画の少なくとも1つ、好ましくは前記第2の区画中に含有され、前記脂肪物質、前記染料前駆体、前記酸化剤、前記ポリマー増粘剤および前記アルカリ剤は請求項1から13のいずれか一項によって規定されている、いくつかの区画を有するキット。
【請求項18】
ケラチン繊維の酸化染色のための請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2010−143910(P2010−143910A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−288199(P2009−288199)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】