説明

脱ハロゲン化処理反応における温度制御方法及びそれに用いられる反応装置

【課題】特に発熱量の変化が大きい脱ハロゲン化処理反応に好適で槽内温度をより的確かつ迅速に制御できるようにする。
【解決手段】反応槽1がジャケット10を有し、槽内に貯留したアルカリ金属分散体に対し有機ハロゲン化合物を含有した被処理油を滴下し反応させることで有機ハロゲン化合物を分解処理する脱ハロゲン化処理反応であり、ジャケット10内に出入りされる熱媒又は冷熱媒により槽内の温度を所定温度に維持する温度制御方法において、ジャケット10内に熱媒を通過させて槽内温度を予め設定した第1基準温度まで加熱する第1加熱工程と、第1基準温度に達した後、ジャケット内の熱媒を抜き出し、被処理油の一部を1次滴下する1次滴下工程と、1次滴下した後、槽内温度が予め設定した第2基準温度に達した段階から、ジャケット内に冷熱媒を通過させて第2基準温度をほぼ維持しながら被処理油の2次滴下を行う2次滴下工程とを経る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に発熱量の変化が大きい脱ハロゲン化処理反応における温度制御方法及びそれに好適な反応装置に関するものである。
【0002】
ポリ塩化ビフェニル(PCB)等の有機ハロゲン化合物と金属ナトリウム等のアルカリ金属分散体とを反応させて有機ハロゲン化合物を分解処理する方法(以下、SD法という)が知られている。このSD法では、槽内液を所定の温度範囲に保って反応させることが重要となるが、高発熱反応であり、反応温度を制御することは容易ではない。これは、特に、被処理液として、例えばPCB濃度が高い(含有率1%以上のもの)被処理油を処理する場合、反応温度が反応速度を高めるために140℃以上、また、溶媒として使用する油の劣化防止のために200℃以下の温度範囲に維持する必要がある。また、高濃度処理では、通常、反応の初期付近において発熱量が急激に変化することからも温度制御が難しくなる。
【0003】
以上の温度制御方法としては、反応槽がジャケットを有し、該ジャケット内に通過される熱媒又は冷熱媒により槽内の温度を所定温度に維持する温度制御方法が広く採用されている。ところが、従来構成では、発熱反応における急激な温度上昇に対して即座に冷熱媒を供給して冷却を開始したり、急激な温度下降に対して熱媒を供給して加熱を開始しても、ジャケットに対する冷熱媒や熱媒の供給や排出、ジャケット内の冷熱媒や熱媒から槽内液への熱伝達の時間遅れ、つまりタイムラグが生じて槽内液の温度を迅速かつ的確に制御することは困難である。
【0004】
以上のような背景から、本出願人らはジャケット内に通過される熱媒又は冷熱媒により反応槽内の温度を制御する構成として、特許文献1の方法及び装置を開発した。この構成では、槽内液の反応温度を測定し、ジャケットに設けられた複数のバルブを開閉することにより、熱媒量又は冷熱媒量を変化させて反応温度を的確に制御しようとするものである。
【特許文献1】特開2004−209432
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の構成では、ジャケット内の熱媒量又は冷熱媒量を変化させることにより槽内温度を制御するため目標温度に対応させるべく比較的敏速に加熱又は冷却することができ、また、熱媒や冷熱媒を用いる場合の欠点である反応槽自体の熱疲労も抑えられる。ところが、この構成では、槽内に貯留したアルカリ金属分散体に対し有機ハロゲン化合物を含有した被処理油を滴下し反応させることにより有機ハロゲン化合物を分解処理する脱ハロゲン化処理反応に適用した場合、槽内液の急激な温度の変動に対してより的確かつ迅速に目標温度に維持する上でタイムラグ等により限界があり、例えば、被処理油の滴下する流量(cc/sec)を抑えなくてはならず効率的な処理が不可能となる。本発明の目的は、上記したジャケット内に通過される熱媒又は冷熱媒により槽内の温度を所定温度に維持制御する構成において、特に発熱量の変化が大きい脱ハロゲン化処理反応に好適で槽内温度をより的確かつ迅速に制御できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、反応槽がジャケットを有し、槽内に貯留したアルカリ金属分散体に対し有機ハロゲン化合物を含有した被処理油を滴下し反応させることにより前記有機ハロゲン化合物を分解処理する脱ハロゲン化処理反応であり、前記ジャケット内に出入りされる熱媒又は冷熱媒により槽内の温度を所定温度に維持する温度制御方法において、前記被処理油の一部を1次滴下用として設定しておき、前記反応槽のジャケット内に熱媒を通過させて槽内温度を予め設定した第1基準温度(例えば、110〜150℃の範囲)まで加熱する第1加熱工程と、前記第1基準温度に達した後、前記ジャケット内の熱媒を抜き出し、前記被処理油の一部を1次滴下する1次滴下工程と、前記1次滴下した後、槽内温度が予め設定した第2基準温度(例えば、150〜190℃の範囲)に達した段階から、前記ジャケット内に冷熱媒を通過させて、前記第2基準温度をほぼ維持しながら前記被処理油の2次滴下を行う2次滴下工程とを経ることを特徴としている。
以上の温度制御方法において、前記第1基準温度は前記第2基準温度より少なくとも20℃以上低く設定されること(請求項2)、前記被処理油の一部を1次滴下しても、槽内温度が第2基準温度以下にて収束した場合、前記ジャケット内に熱媒を通過させ第2基準温度まで加温した後、前記ジャケット内の熱媒を抜き出すこと(請求項3)、前記1次滴下及び2次滴下をほぼ同じ滴下流量にて行うこと(請求項4)が好ましい。
【0007】
また、請求項5の発明装置は、請求項1から4の何れかに記載の脱ハロゲン化処理の温度制御方法に用いられて、前記反応槽が、前記被処理油をバルブ等を介して槽内に滴下する被処理油供給部と、槽内の温度を計測する温度検出部と、槽内液を混合する攪拌手段と、前記槽内の雰囲気を置換する不活性ガス供給部と、前記ジャケット内に熱媒や冷熱媒をバルブ等を介して供給する熱媒供給手段及び冷熱媒供給手段とともに、前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記ジャケット内に通過させる前記熱媒もしくは冷熱媒を選択して前記熱媒供給手段及び冷熱媒供給手段のバルブを開閉したり、前記被処理油供給部のバルブを開閉する制御部を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
・請求項1の発明では、まず、被処理油を1次滴下する際はジャケット内が空になっており、槽内温度が反応熱により第2基準温度まで上昇した段階でジャケット内に冷熱媒を直ちに供給して温度上昇を的確に抑制できるようにする。これは、例えば、ジャケット内から熱媒を抜き出してから冷熱媒を注入すると、槽内温度が熱媒を抜き出す間に過剰に上昇する虞を解消する。次に、被処理油を2次滴下する際は槽内温度がジャケット内に通過される冷熱媒によって第2基準温度に保たれており、槽内温度が反応熱により第2基準温度以上に上昇しないよう制御される。換言すると、1次滴下時には反応熱により第1基準温度から第2基準温度まで上昇するため、反応槽を熱媒で初期加熱する時間を短縮して、エネルギーの有効利用を図る。また、2次滴下では、滴下量が1次滴下量だけ少なくなっており、また、ジャケット内に冷熱媒を通過させながら滴下するため脱ハロゲン化処理として槽内温度を一定に維持し易い。
【0009】
・請求項2の発明では、例えば、槽内温度が被処理油の1次滴下に伴う反応熱で第1基準温度から上昇されるが、予備試験などでその上昇分を予め見込んで第1基準温度を第2基準温度より30℃以上低く設定しておくことにより、過剰な温度上昇を防いて槽内温度を所定範囲に保つよう制御する上で簡略化できるようにする。
・請求項3の発明では、1次滴下に伴う反応熱で槽内温度が第2基準温度まで上昇しなかった場合に熱媒を利用して加熱するものである。これは、例えば、被処理油に不純物が含まれていると、1次滴下の開始から初期反応が現れるまで時間的にばらつきがでることなどを想定し、そのような場合でも反応を正常に維持可能にして、槽内温度が低いと反応時間が長くなったり、良好な反応が維持されなくなる虞を解消する。
・請求項4の発明では、被処理油をほぼ同じ流量(量/時間)にて滴下することで、反応熱の変動を抑え、それにより熱媒又は冷熱媒による温度制御を行い易くする。
・請求項5の発明では、以上の温度制御方法を簡易な装置構造により実施可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(装置構造)本発明の好適な形態例を図1の模式図を参照しながら説明する。図1の反応装置は、反応槽1がジャケット10を有し、槽内に貯留したアルカリ金属分散体に対し有機ハロゲン化合物を含有した被処理油を滴下し反応させることで有機ハロゲン化合物を分解処理する脱ハロゲン化処理反応に用いられ、ジャケット10内に出入りされる熱媒又は冷熱媒により槽内温度を所定温度に維持する温度制御方法の適用に好適なものである。構造は、反応槽1が、槽内にアルカリ金属分散体を供給する分散体導入部2と、槽内に被処理油を滴下する被処理油供給部3と、槽内の温度を計測する温度検出部4と、槽内液を混合する攪拌手段5と、槽内の雰囲気を置換するガス供給部6と、槽下部に設けられた排出部7と、ジャケット10内に熱媒aや冷熱媒bを供給する熱媒供給手段8及び冷熱媒供給手段9と、温度検出部4の検出結果に基づいて、例えば、ジャケット10内に通過させる熱媒aもしくは冷熱媒bを選択して熱媒供給手段8及び冷熱媒供給手段9を駆動制御する制御部11とを有している。
【0011】
ここで、反応槽1及びジャケット10は、材質として、熱媒や冷熱媒の温度や設備費などに応じて鉄鋼(SS)やステンレス鋼(SUS)を適宜選択し用いられる。
【0012】
分散体導入部2は、反応槽上部に設けられ、不図示の貯め部からアルカリ金属分散体を配管12a及びバルブ13a等を介し槽内に供給可能にする。被処理油供給部3は、反応槽上部に設けられ、貯め部14内の有機ハロゲン化合物を含有した被処理油を配管12b及びバルブ13b等を介し槽内に滴下可能にする。この場合は、バルブ13bが制御部11から配線21等を介して送られる信号により制御されて前記被処理油を目的の流量(cc/sec)で滴下する。
【0013】
温度検出部4は、槽内の液温度を計測するもので、その計測値を配線22等を介して制御部11へ送信するようになっている。温度検出部4の構成は、検出部が反応液中に浸漬されるように設置されるものであるが、反応状態によっては局部的に温度上昇が著しい箇所があることより、数箇所配置して温度上昇をより詳しく確認できる状態にしておくことが好ましい。なお、制御部11では、温度検出部4の計測値に基づいてジャケット10内に通過させる熱媒aもしくは冷熱媒bを選択したり、熱媒aもしくは冷熱媒bを熱媒供給手段8や冷熱媒供給手段9を介してジャケット10内へ供給したりジャケット10内から排出するよう後述するバルブ(三方弁)18,28等へ信号を送信する。
【0014】
攪拌手段5は、槽上壁の略中央部に設置されたモータM及びギア機構等の駆動部に対し軸上端を支持した状態で槽内上下方向に貫通配置されて下端側に攪拌翼を付設した駆動軸を有している。攪拌機構的には、反応溶液を十分攪拌する能力があればよく、攪拌翼形状として、例えばパドル翼やタービン翼が好ましい。
【0015】
ガス供給部6は反応槽上部に設けられ、不図示の窒素やアルゴン等の不活性ガスをタンクから配管12c及びバルブ13c等を介し槽内に供給する。符号15は排ガス部であり、槽内からガスを排出可能にする。排出部7は、例えば、槽内から分解処理後の溶液を配管12d及びバルブ13dを介して排出する。
【0016】
熱媒供給手段8は、蒸気等の気体又は液体(以下、これを熱媒体と略称することもある)を加温機構で目的の温度まで加熱する加熱部16と、加熱部16の熱媒体をポンプ17およびバルブ(三方弁)18を介してジャケット10内に導入可能にする配管19a,19bと、ジャケット10内の熱媒体を加熱部16に循環式に抜き出すための配管20とを有しているとともに、ジャケット10内の熱媒体をバルブ18とジャケット10の下側部分とを接続している配管19bからバルブ18と加熱部16との間を接続している配管を通って加熱部16に抜き出して空にする。すなわち、この構成では、例えば、バルブ18が制御部11から配線23等を介して送られる信号により弁方向を切り換えて、加熱部16の熱媒体を配管19a,19bを介しジャケット10内に導入したり、更にジャケット10から配管20を介して加熱部16に循環したり、ジャケット10内の熱媒体を配管19bからバルブ18などを介して加熱部16に抜き出し可能にする。なお、制御部11は加熱部16の加温機構なども制御可能になっている。
【0017】
冷熱媒供給手段9は、蒸気等の気体又は液体(以下、これを冷熱媒体と略称することもある)を冷却機構で目的の温度まで冷やす冷却部26と、冷却部26の冷熱媒体をポンプ27およびバルブ(三方弁)28を介してジャケット10内に導入可能にする配管29a,29bと、ジャケット10内の冷熱媒体を冷却部26に循環式に抜き出すための配管30とを有しているとともに、ジャケット10内の冷熱媒体をバルブ28とジャケット10の下側部分とを接続している配管29bからバルブ28と冷却部26との間を接続している配管を通って冷却部26に抜き出して空にする。すなわち、この構成では、例えば、バルブ28が制御部11から配線24等を介して送られる信号により弁方向を切り換えて、冷却部26の冷熱媒体を配管29a,29bを介しジャケット10内に導入したり、更にジャケット10から配管30を介して冷却部26に循環したり、ジャケット10内の冷熱媒体を配管29bからバルブ18などを介して加熱部16に抜き出し可能にする。なお、制御部11は冷却部26の冷却機構なども制御可能になっている。
【0018】
(温度制御方法)以下、以上のような反応装置を使用して、反応槽1内に貯留したアルカリ金属分散体に対し有機ハロゲン化合物を含有した被処理油を被処理油供給部3から滴下し反応させることにより前記有機ハロゲン化合物を分解処理する脱ハロゲン化処理反応であって、ジャケット10内に出入りされる熱媒a又は冷熱媒bにより槽内の温度を所定温度に維持する温度制御方法について説明する。この温度制御方法では、まず、反応槽1に仕込まれるアルカリ金属分散体の総量に応じ、被処理油供給部3から滴下する被処理油の総量から1次滴下量として反応熱を考慮した量が1次滴下用として設定される。そして、温度制御方法としては、ジャケット10内に熱媒aを通過させて槽内温度を第1基準温度まで加熱する第1加熱工程と、第1基準温度に達した後、ジャケット10内の熱媒aを抜き出し、前記設定された被処理油の1次滴下量分を滴下する1次滴下工程と、槽内温度が予め設定した第2基準温度に達した段階から、ジャケット10内に冷熱媒bを通過させて、第2基準温度をほぼ維持しながら被処理油の2次滴下を行う2次滴下工程とを経る。
【0019】
すなわち、第1加熱工程では、制御部11からの信号によりバルブ18を切り換える等して、加熱部16の熱媒aをジャケット10を循環、つまり配管19b、ジャケット10、配管20を介してジャケット内を循環させることで槽内温度を予め設定した第1基準温度(例えば、110〜150℃の範囲)に加熱する。1次滴下工程では、槽内温度が第1基準温度に達したことを温度検出部4で検出し、それに基づいて制御部11からの信号によりバルブ18を切り換える等して、ジャケット10内の熱媒aを配管19bなどを介して加熱部16に抜き出す。その後、制御部11からの信号によりバルブ13bを切り換える等にして、前記設定された被処理油の1次滴下量分を被処理油供給部3から槽内に滴下する。2次滴下工程では、1次滴下による反応熱で槽内温度が予め設定した第2基準温度(例えば、150〜200℃の範囲)に達した段階から、制御部11からの信号によりバルブ28を切り換える等して、ジャケット10内に冷熱媒bを循環、つまり配管29b、ジャケット10、配管30を介してジャケット内を循環させることで第2基準温度をほぼ維持しながら、制御部11からの信号によりバルブ13bを切り換える等にして、被処理油供給部3から槽内に被処理油の2次滴下を行う。この2次滴下量は、アルカリ金属分散体の総量に対応して算出された被処理油供給部3から滴下する被処理油の総量から1次滴下量分を減じた量である。
【0020】
なお、以上の有機ハロゲン化合物としては、PCB以外にダイオキシン類、ポリ塩素化ジベンゾフラン類、ポリ塩素化ベンゼン、DDT、BHCなどが挙げられる。これら有機ハロゲン化合物は、そのまま用いてもよいが、脂肪族炭化水素などの溶媒に溶解して処理するのに適した濃度に調整した有機ハロゲン化合物溶液としてもよい。また、アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、これらの合金を例示することができる。アルカリ金属は溶媒に分散した分散体の形態で使用される。アルカリ金属分散体中のアルカリ金属濃度は、任意に選択可能であるが、特に1〜50%程度のものが好ましい。金属分散体の平均粒径は20μm以下、好ましくは10μm以下のものが好ましい。
【実施例】
【0021】
この実施例は、図1と実質的に同じ反応装置を用いて、まず、反応槽(容積が500Lの槽)に電気絶縁油を約160kg、電気絶縁油に分散させ15wt%濃度に調整したSDを約110kg仕込んだ。そして、反応槽内の溶液を攪拌すると同時に190℃の熱媒をジャケットに通過させ、反応槽を加温した。反応槽内温度が130℃まで上昇したと同時に、ジャケット内の熱媒をすべて抜き出し、抜き出したことを確認した後、PCB濃度を50wt%に調整した電気絶縁油15kgを一定流量にて1次滴下した。その後、発熱反応によって反応槽内温度が急激に上昇するのを確認し、反応槽内温度が160℃付近でゆるやかな温度上昇となったと同時に、ジャケットに80℃の冷熱媒を通過させ、反応槽内を冷却しながら2次滴下を開始した。2次滴下は1次滴下と同じ滴下流量で行った。2次滴下終了時まで、冷熱媒を通過させながら反応を行った。反応槽内温度の変化はほとんど無く、165℃前後でスムーズな分解処理反応が行われ、2次滴下を終了した。図2は、以上の実施例における時間と温度とをプロットした1次滴下開始から2次滴下による過程の反応槽内温度を表したものである。
【0022】
以上のように、本発明は、請求項で特定した要件を充足すればよく、細部は以上の実施形態及び実施例を参照して種々変形したり展開可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】発明形態の反応装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】実施例の時間と温度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0024】
1…反応槽
2…分散体導入部
3…被処理油供給部
4…温度検出部
5…攪拌手段
8…熱媒供給手段
1…冷熱媒供給手段
10…ジャケット
11…制御部
13a〜13d…バルブ(電磁弁等)
18,28…バルブ(三方弁等)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応槽がジャケットを有し、槽内に貯留したアルカリ金属分散体に対し有機ハロゲン化合物を含有した被処理油を滴下し反応させることにより前記有機ハロゲン化合物を分解処理する脱ハロゲン化処理反応であり、前記ジャケット内に出入りされる熱媒又は冷熱媒により槽内の温度を所定温度に維持する温度制御方法において、
前記被処理油の一部を1次滴下用として設定しておき、
前記反応槽のジャケット内に熱媒を通過させて槽内温度を予め設定した第1基準温度まで加熱する第1加熱工程と、
前記第1基準温度に達した後、前記ジャケット内の熱媒を抜き出し、前記被処理油の一部を1次滴下する1次滴下工程と、
前記1次滴下した後、槽内温度が予め設定した第2基準温度に達した段階から、前記ジャケット内に冷熱媒を通過させて、前記第2基準温度をほぼ維持しながら前記被処理油の2次滴下を行う2次滴下工程
とを経ることを特徴とする脱ハロゲン化処理反応における温度制御方法。
【請求項2】
前記第1基準温度は、前記第2基準温度より少なくとも20℃以上低く設定されることを特徴とする請求項1に記載の脱ハロゲン化処理反応における温度制御方法。
【請求項3】
前記被処理油の一部を1次滴下しても、槽内温度が第2基準温度以下にて収束した場合、前記ジャケット内に熱媒を通過させ第2基準温度まで加温した後、前記ジャケット内の熱媒を抜き出すことを特徴とする請求項1又は2に記載の脱ハロゲン化処理反応における温度制御方法。
【請求項4】
前記1次滴下及び2次滴下をほぼ同じ滴下流量にて行うことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の脱ハロゲン化処理反応における温度制御方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の脱ハロゲン化処理における温度制御方法に用いられて、
前記反応槽が、前記被処理油をバルブ等を介して槽内に滴下する被処理油供給部と、槽内の温度を計測する温度検出部と、槽内液を混合する攪拌手段と、前記槽内の雰囲気を置換する不活性ガス供給部と、前記ジャケット内に熱媒や冷熱媒をバルブ等を介して供給する熱媒供給手段及び冷熱媒供給手段とともに、
前記温度検出手段の検出結果に基づいて、前記ジャケット内に通過させる前記熱媒もしくは冷熱媒を選択して前記熱媒供給手段及び冷熱媒供給手段のバルブを開閉したり、前記被処理油供給部のバルブを開閉する制御部を有していることを特徴とする反応装置。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−271431(P2006−271431A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90671(P2005−90671)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【出願人】(000227087)日曹エンジニアリング株式会社 (33)
【Fターム(参考)】