説明

脱水汚泥の含水率の低下方法

【課題】 従来の標準型の遠心脱水機を用いて、高効率型遠心脱水機なみの性能、すなわち脱水汚泥の含水率82%を達成しうる脱水汚泥の含水率を低下させる方法を提供すること。
【解決手段】 差速の設計値が3.0〜6.0rpmである従来の標準型の遠心脱水機を用いて、汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与え、差動機電流値を0.4〜0.5Aに制御して差速1.5〜2.0rpmで遠心脱水すると、脱水汚泥の含水率を約83%まで低下させることが可能となり、また、液状タイプの高分子凝集剤の添加率を1.3〜2.0%とすることで、脱水汚泥の含水率を約82%まで低下させ、SS回収率95%以上を達成しうることを見い出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱水汚泥の含水率を低下させることができる汚泥の脱水方法、より詳しくは、差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機を用い、差速1.5〜2.0rpmで遠心脱水し、脱水汚泥の含水率を低下させることを特徴とする汚泥の脱水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図1に示すような、回転可能な外胴ボウルと、該外胴ボウル内に同軸上に回転可能に配設された内胴スクリューコンベアと、該内胴スクリューコンベアと前記外胴ボウルとの間に形成されるプールと、前記内胴スクリュー内に設けられた汚泥供給室と、該汚泥供給室に原汚泥を供給する汚泥供給管と、前記汚泥供給室と前記プールとを連通する連通口と、前記汚泥供給室内に薬品を注入する薬品注入手段とを有する薬品注入手段を備え、差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機を用いて、3.0rpmなど設計値内の差速で遠心脱水機を稼動して、汚泥の脱水処理が行われている。このような外胴ボウルと内胴スクリューコンベアからなる遠心脱水機においては、回転軸中心に固定した供給管の端部から汚泥と凝集剤が別々に、あるいは混合状態で供給され、加速・回転され、固形物と水の比重差に働く重力の数千倍の遠心力により、汚泥ケーキと清澄水に分離され、清澄水は、外胴ボウル末端より排出され、一方、外胴ボウル内壁に沈降した固形物は外胴ボウルよりやや遅い速度で、回転するスクリューコンベアで脱水されながら搬送され機外に排出されていた。
【0003】
また、このような遠心脱水機では、外胴ボウルと内胴スクリューコンベアとの回転差である差速が小さいほど、汚泥の滞留時間が長くなるため、脱水汚泥の含水率を下げることができるものの、懸濁物質(SS)回収率が悪化するが、一方、差速が大きいほど、汚泥の滞留時間が短くなるため、逆にSS回収率が良くなる反面、脱水汚泥の含水率が上がることも知られていた。
【0004】
他方、従来のスクリューデカンタの標準的な差速 (10〜20rpm )を用いて、差速調節用の制御設備等の設置を必要とせず、しかも非常に簡単な構造でありながら、脱水度を高めるため、スクリュー羽根の原液分配口からケーキ排出口間にスクリュー羽根の流路を横断して、上流端がスクリュー胴に揺動自在に取り付けられ、下流部が遠心力により回転ボウルの半径方向外向きに付勢されて汚泥を圧密化するプレスセグメントを具備した汚泥脱水用デカンタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、回転可能な円筒体とこの円筒体内で回転可能なスクリューコンベアとを含み、円筒体内に供給された混合液を円筒体の回転運動を利用して液と固形物とに分離するとともに基準とする円筒体の回転速度とスクリューコンベアの回転速度との差速を利用して分離された固形物を円筒体内に移送させつつ外部へ排出可能に形成された遠心分離機において、前記円筒体および前記スクリューコンベアのそれぞれに専用のモータで回転動力を付与可能かつ出力周波数可変型のインバータを用いてスクリューコンベア用モータの回転速度を切換可能に形成し、スクリューコンベアの負荷を検出可能かつ検出された負荷信号に対応する回転速度信号をインバータに入力してスクリューコンベア用モータの回転速度を切換制御可能に形成し、前記スクリューコンベアの負荷の増大に対応させて前記差速を増大させることにより前記混合液の固形物含有率が増大変化しても前記固形物の前記円筒体外への円滑排出を保持可能に形成した遠心分離機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、活性汚泥法による汚水処理において、余剰汚泥に凝集剤を添加して脱水装置で脱水するに際し、凝集剤の使用量を節減するため、脱水装置からの排水の濁度を測定し、その測定結果に基づいて活性汚泥への凝集剤の添加量を調節する自動制御機構により、凝集剤の添加量を制御する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、回転可能な外胴ボウルと、該外胴ボウル内に同軸上に回転可能に配設された内胴スクリューと、該内胴スクリューと前記外胴ボウルとの間に形成されるプールと、前記該内胴スクリュー内に設けられた汚泥供給室と、該汚泥供給室に原汚泥を供給する汚泥供給管と、前記汚泥供給室と前記プールとを連通する連通口と、前記汚泥供給室内に薬品を注入する薬品注入手段とを有する薬品注入手段を備えた遠心分離機において、前記薬品注入手段は、前記汚泥供給室内に配設された薬品注入管と、該薬品注入管の円周に設けられかつ前記汚泥供給室内へ薬品を放出する複数の薬品放出孔とを有する、薬品注入率の低減化が可能な薬品注入手段を備えた遠心分離機が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平7−858号公報
【特許文献2】特開平10−128158号公報
【特許文献3】特開2000−93990号公報
【特許文献4】特開2000−254549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、脱水汚泥の含水率を低下させる目的で、薬品(凝集剤)の選定、遠心脱水機の運転調整等の各種の調整が行われていたが、年間を通して含水率85%以下の脱水汚泥を得ることはできなかった。本発明の課題は、従来の標準型の遠心脱水機を用いて、高効率型遠心脱水機なみの性能、すなわち脱水汚泥の含水率82%を達成しうる脱水汚泥の含水率を低下させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、差速の設計値が3.0〜6.0rpmである従来の標準型の遠心脱水機(巴工業株式会社製「TOMOEデカンタ脱水機」型式:PM−20000型)を用いて、汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与え、差動機電流値を0.4〜0.5Aに制御して差速1.5〜2.0rpmで遠心脱水すると、脱水汚泥の含水率を約83%まで低下させることが可能となり、また、液状タイプの高分子凝集剤の添加率を1.3〜2.0%とすることで、脱水汚泥の含水率を約82%まで低下させ、SS回収率95%以上を達成しうることを見い出した。また、差速1.5rpmを維持するには、薬品添加率1.3〜1.5%、差動機電流値0.46〜0.50A、汚泥の供給量35〜47kg/hr(固形物量換算)、供給汚泥濃度を0.8〜1.0%、薬品溶解濃度0.2〜0.25%の条件で運用することが好ましいことがわかった。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0011】
すなわち本発明は、(1)回転可能な外胴ボウルと、該外胴ボウル内に同軸上に回転可能に配設された内胴スクリューコンベアと、該内胴スクリューコンベアと前記外胴ボウルとの間に形成されるプールと、前記該内胴スクリュー内に設けられた汚泥供給室と、該汚泥供給室に原汚泥を供給する汚泥供給管と、前記汚泥供給室と前記プールとを連通する連通口と、前記汚泥供給室内に薬品を注入する薬品注入手段とを備え、差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機を用いる汚泥の脱水方法であって、汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与え、差速1.5〜2.0rpmで遠心脱水し、脱水汚泥の含水率を低下させることを特徴とする汚泥の脱水方法や、(2)差速が1.5〜2.0rpmになるように、差動機電流値を0.4〜0.5Aに制御して遠心脱水することを特徴とする上記(1)記載の汚泥の脱水方法や、(3)差動機電流値が0.5Aとなるように汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与え、差速1.5rpmで遠心脱水することを特徴とする上記(2)記載の汚泥の脱水方法や、(4)薬品として、高分子凝集剤を用いることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の汚泥の脱水方法や、(5)高分子凝集剤として、液状タイプの凝集剤を用いることを特徴とする上記(4)記載の汚泥の脱水方法や、(6)高分子凝集剤として、逆相エマルジョン型カチオン性ポリアクリルアミドを用いることを特徴とする上記(4)又は(5)記載の汚泥の脱水方法や、(7)高分子凝集剤の添加率を1.3〜2.0%とすることを特徴とする上記(4)〜(6)のいずれか記載の汚泥の脱水方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、差速の設計値が3.0〜6.0rpmである従来の標準型の遠心脱水機(例えば、巴工業株式会社製「TOMOEデカンタ脱水機」型式:PM−20000型)を用いて、高効率型遠心脱水機なみの性能、すなわち脱水汚泥の含水率82%、SS回収率95%以上を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の汚泥の脱水方法としては、回転可能な外胴ボウルと、該外胴ボウル内に同軸上に回転可能に配設された内胴スクリューコンベアと、該内胴スクリューコンベアと前記外胴ボウルとの間に形成されるプールと、前記該内胴スクリュー内に設けられた汚泥供給室と、該汚泥供給室に原汚泥を供給する汚泥供給管と、前記汚泥供給室と前記プールとを連通する連通口と、前記汚泥供給室内に薬品を注入する薬品注入手段とを備え、差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機において、汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与え、差速1.5〜2.0rpmで遠心脱水し、脱水汚泥の含水率を低下させる方法であれば特に制限されず、差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機としては、巴工業株式会社製「TOMOEデカンタ脱水機(型式:PM−20000型)」を具体的に例示することができる。
【0014】
上記差速とは、外胴ボウルの回転数と内胴スクリューコンベアの回転差をギヤボックス比で割った値として求めることができ、例えば、外胴ボウルの回転数3000rpm、差動機回転数2500rpm、ギヤボックス比165の場合、差速は3.0rpmとなる。また、差速3.0rpmとは、外胴ボウルの回転数が3000rpmのとき内胴スクリューコンベアは2997rpmで回転していることになる。
【0015】
汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与えるには、上記TOMOEデカンタ脱水機(型式:PM−20000型)の場合、図2に示すように、固形物量換算で35〜47kg/hrの汚泥を供給し、内胴スクリューコンベアに負荷を与え、内胴スクリューコンベアの回転にブレーキをかけて、遠心脱水機の処理能力を下げることで、差速1.5〜2.0rpmに調節することができるが、一般に負荷の状態は差動機電流値で確認しうることから、図3に示すように、差動機電流値を0.4〜0.5A、好ましくは0.46〜0.5、特に0.5Aに制御して負荷の状態を確認することにより、差速1.5〜2.0rpmに調節することができる。その際、供給汚泥濃度を1%以下にすることで、調節のハンドリングが容易となる。
【0016】
薬品注入手段から注入される凝集剤としては、有機高分子凝集剤が好ましく、かかる有機高分子凝集剤としては、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、及び両性高分子凝集剤を例示することができ、株式会社荏原製作所社製「エバグロースLEC−504(液状の逆相エマルジョン型カチオン性ポリアクリルアミド)」、株式会社クボタ「クボックスCP9012(顆粒状のポリアミジン系)」、三井サイテック株式会社製「スーパーフロックSF3580(ポリアクリル酸エステル系)」等の市販品を簡便に使用することができる。市販品を含め、これら高分子凝集剤には、粉末・顆粒タイプと液状タイプがあるが、液状タイプが好ましく、中でも逆相エマルジョン型カチオン性ポリアクリルアミドが好ましい。また一般に高分子凝集剤の添加率は、凝集剤の種類や汚泥の性状にも夜よる、1.3〜2.0%、中でも1.3〜1.5%が好ましい。
特に、液状の逆相エマルジョン型カチオン性ポリアクリルアミドの添加率は、1.3%以上が好ましく、図4に示されるように、1.3%以上、特に1.4%添加すると、差動機電流値が0.42〜0.48Aに制御され、差速1.5rpmが可能となる。添加量が1.3%未満の場合、完全なフロックが形成されず、SSの一部がろ液側に流出する可能性がある。さらに、高分子凝集剤の溶解濃度は、0.2〜0.25%が好ましい。
【0017】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
[現状分析]
TOMOEデカンタ脱水機(型式:PM−20000型)を使用する場合における脱水汚泥含水率に影響する要因を確認するため、まず現状分析を行った。結果を表1に示す。なお、表1中、()は汚泥の性状や季節により変化することを表している。その結果、差速は小さくするに従い含水率が低下する傾向にある点、現状の汚泥と凝集剤との適合性が未検討である点に注目し、含水率に大きな影響を与える上記2点について改善の余地があるかどうかの検討に入った。
【0019】
【表1】

【0020】
表1中、固形物量(kg/H)の現状36が設計値75の約50%と負荷が小さいことと、グレードの高い差速制御装置が備えられていることから、差速を小さくすることができると考えたが、設計値の範囲を逸脱するため、メーカーの協力が必要であった。
【実施例2】
【0021】
[差速の変更1]
差速を2.0rpmで運転できるように差速制御装置の設定を変え、差速を小さくすることで、どこまで含水率が低下するか調査した。TOMOEデカンタ脱水機のメーカー立ち会いのもと、汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与え、差速を3.0〜1.8rpmまで下げた。この範囲では、回転数に乱れもなく安定した状態であった。差速3.0〜1.8rpmで遠心脱水し、脱水汚泥の含水率及びSS回収率を測定した。結果を表2に示す。
【0022】
【表2】

【0023】
その結果、差速2.0rpmのとき含水率83.2%と最も低く、SS回収率も97%と良好な結果が得られた。他方、差速1.8rpmにすると、ろ液が濁り、SS回収率と含水率が悪化した。差速2.0rpmで平成14年6月〜12月の6ヶ月間運用したところ、平均含水率84.0%と試験当初より若干高く推移し、6ヶ月平均の含水率は84%になることがわかった。例年、9月から12月は季節的に含水率が高い傾向であるものの、平均含水率84.0%では一応の効果が認められるものの、十分満足できるものではなかった。そこで、更に差速を小さくし、含水率を下げることとし検討を行ったが、表2に示されるように、差速を2.0rpm以下にすると、含水率が高く、ろ液が濁るという問題がある。
【実施例3】
【0024】
[凝集剤の選定]
差速を小さくすると、筒内での汚泥滞留時間が長くなるため、強固なフロックが必要となる。そこで、表3に示される性状を有する汚泥200mLを用い、1000rpm×10分の攪拌条件下、薬品の予備選定試験(机上試験)を実施した。結果を表4に示す。その結果、株式会社クボタ社製のポリアミジン系凝集剤クボックスCP9012や、株式会社荏原製作所社製のエバグロースB034B(アクリルアミド・アクリル酸・ジメチルアミノエチルメタクリレート硫酸塩共重合体)、エバグロースB−134(アクリルアミド・アクリル酸・ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩共重合体)、エバグロースB−200(アクリルアミド・アクリル酸・ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩・ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩共重合体)の粉末・顆粒状品は、株式会社荏原製作所社製のエバグロースLEB−208(アクリルアミド・アクリル酸・ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩・ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩共重合体;逆相エマルション型カチオン性ポリアクリルアミド)、エバグロースLEC−504(アクリルアミド・ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩共重合体;逆相エマルション型カチオン性ポリアクリルアミド、コロイド荷電量4.3meq/g)、エバグロースLEC−508(アクリルアミド・ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩共重合体;逆相エマルション型カチオン性ポリアクリルアミド、コロイド荷電量3.9meq/g)の液状品が含水率で約1ポイント程度減少することがわかった。液状品は粉末・顆粒品に比べ溶解性が良く、汚泥との浸透性に優れ、強固なフロックが生成されると考えられる。
【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【実施例4】
【0027】
[差速の変更2]
そこで、TOMOEデカンタ脱水機を用い、高分子凝集剤として液状タイプのエバグロースLEC−504を1.4%使用し、差速を2.0rpmより小さくし、どこまで含水率が低下するか調査した。差速設定1.4rpmでは運転中に差速異常(1.0rpm)の警報が発生し脱水機がトリップする。差速を2.0〜1.5rpmまで下げて遠心脱水し、脱水汚泥の含水率及びSS回収率を測定した。結果を表5に示す。差速を小さくすると汚泥を掻き出すスクリューコンベアの回転が速くなり、汚泥の滞留時間が長くなり含水率が低下するが、反対にろ液(SS回収率)は悪い傾向となる。しかし、差速の下限値1.5rpmで含水率が82.2%まで低下し、SS回収率も97%と良好な結果が得られた。同様に、TOMOEデカンタ脱水機を用い、高分子凝集剤として液状タイプのエバグロースLEC−504を1.4%使用し、差速を3.0〜1.5rpmの範囲で遠心脱水し、脱水汚泥の含水率及びSS回収率を測定した結果を図5に示す。差速1.5rpmで平成15年2月〜8月の6ヶ月間運用したところ、平均含水率82.3%を達成することができた。この運用結果も含め、平成13年4月から平成15年8月までの実機を使用した脱水汚泥の含水率の推移を図6に示す。
【0028】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来の標準型の差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機の概略図である。
【図2】従来の標準型の差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機における汚泥の固形量の供給量と差速との関係を示す図である。
【図3】従来の標準型の差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機における差動機電流値と差速との関係を示す図である。
【図4】従来の標準型の差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機における液状高分子凝縮剤の添加率と差速/差動機電流値との関係を示す図である。
【図5】従来の標準型の差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機における差速と脱水汚泥含水率/SS回収率との関係を示す図である。
【図6】従来の標準型の差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機を用いた、平成13年4月から平成15年8月までの実機を使用した脱水汚泥の含水率の推移を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な外胴ボウルと、該外胴ボウル内に同軸上に回転可能に配設された内胴スクリューコンベアと、該内胴スクリューコンベアと前記外胴ボウルとの間に形成されるプールと、前記該内胴スクリュー内に設けられた汚泥供給室と、該汚泥供給室に原汚泥を供給する汚泥供給管と、前記汚泥供給室と前記プールとを連通する連通口と、前記汚泥供給室内に薬品を注入する薬品注入手段とを備え、差速の設計値が3.0〜6.0rpmである遠心脱水機を用いる汚泥の脱水方法であって、汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与え、差速1.5〜2.0rpmで遠心脱水し、脱水汚泥の含水率を低下させることを特徴とする汚泥の脱水方法。
【請求項2】
差速が1.5〜2.0rpmになるように、差動機電流値を0.4〜0.5Aに制御して遠心脱水することを特徴とする請求項1記載の汚泥の脱水方法。
【請求項3】
差動機電流値が0.5Aとなるように汚泥の固形量の供給量を増加させて内胴スクリューコンベアに負荷を与え、差速1.5rpmで遠心脱水することを特徴とする請求項2記載の汚泥の脱水方法。
【請求項4】
薬品として、高分子凝集剤を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の汚泥の脱水方法。
【請求項5】
高分子凝集剤として、液状タイプの凝集剤を用いることを特徴とする請求項4記載の汚泥の脱水方法。
【請求項6】
高分子凝集剤として、逆相エマルジョン型カチオン性ポリアクリルアミドを用いることを特徴とする請求項4又は5記載の汚泥の脱水方法。
【請求項7】
高分子凝集剤の添加率を1.3〜2.0%とすることを特徴とする請求項4〜6のいずれか記載の汚泥の脱水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−192403(P2006−192403A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9007(P2005−9007)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(591130319)東電環境エンジニアリング株式会社 (27)
【Fターム(参考)】