説明

脳マラリアの治療のためのS1P受容体作動薬

脳マラリアを治療、管理及び/又は予防するための組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本願は脳マラリアを治療、管理及び/又は予防する方法、並びにそれに有用な組成物に関する。
【0002】
本願は、2008年10月31日付けで出願された米国仮特許出願第61/109,991号及び2009年7月30日付けで出願された米国仮特許出願第61/229,970号(それらの全体が参照により本明細書中に援用される)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
2. 背景
2.1. 脳マラリア
200万人を超える人々(その多くはアフリカの子供たちである)が、毎年マラリアで亡くなっている(非特許文献1)。この疾患の根絶は、「現在利用可能な抗マラリア薬に抵抗性のあるマラリア原虫(Plasmodium)(とりわけ最も多く、危険な原因種である熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum))の発生によって阻まれている」(非特許文献1)。
【0004】
熱帯熱マラリア原虫感染の最も重篤な合併症の一つは、熱帯熱マラリア原虫によるマラリアの症例の約7%で発現される脳マラリア(CM)である。CMは昏睡(ブランタイヤー昏睡尺度≦2、又はグラスゴー昏睡尺度≦8)、血液塗抹標本での熱帯熱マラリア原虫として現れ、他に知られる昏睡の原因はない(非特許文献2)。サハラ以南のアフリカでは、毎年およそ785000人の子供たちがCMに罹患しており、平均死亡率は18.6%である(非特許文献1の586頁、非特許文献2のe93頁)。最近の研究から、CMから生還した子供たちの4人に1人が長期の認識障害を患っていることが分かった(非特許文献2)。
【0005】
CMの病因は不確かであるが、簡単に説明すると、「脳毛細血管において寄生赤血球及び免疫細胞が内皮細胞へと付着し閉塞すること(sequestration)が、炎症過程及び他の神経毒性分子の放出を引き起こしている」(非特許文献1の584頁)。一部のCM症例は抗マラリア薬を用いて治療することが可能である(非特許文献1の586頁)。しかし、「強力な抗寄生虫治療にもかかわらず、その後に患者が死亡する回復不能な(irreversible)段階」がある(非特許文献1)。このため、多数の補助的治療が提案されており、その一部は有望視されているが、多くはそうではない。非特許文献1の586頁〜591頁を参照されたい。
【0006】
2.2. S1P経路
スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)は、複数の器官系に対して強力な効果を有する生物活性分子である(非特許文献3)。この化合物は、5種の関連Gタンパク質共役受容体(S1P1〜S1P5;以前はそれぞれ内皮分化遺伝子(EDG)受容体−1、−5、−3、−6及び−8と称されていた)と低親和性で結合する(非特許文献4)。受容体サブタイプS1P1、S1P2及びS1P3は、心臓血管系において広く発現されている(非特許文献4の85頁〜86頁)。S1P1はリンパ球上で主要な受容体であり、二次リンパ器官からのリンパ球の放出(egress)を制御する(非特許文献4)。
【0007】
S1P受容体の数多くの作動薬が、移植片対宿主病(host-versus-graft disease)、関節リウマチ及び多発性硬化症(MS)を含む疾患における有力な治療薬として報告及び提案されている。特に、S1P1作動薬FTY720(フィンゴリモド)は広く研究されており、現在MSの治療に対する臨床試験中である(非特許文献4の95頁〜100頁)。
【0008】
S1P経路の他の部分に影響を与えることによって、同様に幾つかの疾患を治療することが可能であると考えられる。例えば、エタノールアミンリン酸及び長鎖アルデヒドへのS1Pの切断を触媒する酵素S1Pリアーゼの阻害剤は、関節リウマチモデルにおいて効果的であり、現在臨床試験中である(非特許文献5、非特許文献6)。特許文献1、特許文献2も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0208063号
【特許文献2】米国特許出願第12/038,872号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Golenser, J., et al., Int. J. Parasitology 36:583-593, 583 (2006)
【非特許文献2】John, C.C., et al., Pediatrics 122:e92-e99 (2008)
【非特許文献3】Saba, J.D. and Hla, T. Circ. Res. 94:724-734 (2004)
【非特許文献4】Brinkmann, V., Pharmacol. & Therapeutics 115:84-105, 85 (2007)
【非特許文献5】Oravecz, T. et al., "Sphingosine-1-Phosphate Lyase is a Potential Therapeutic Target in Autoimmune Diseases Including Rheumatoid Arthritis," Presentation 1833, American Collegeof Rheumatology Scientific Meeting (San Francisco, October 28, 2008)
【非特許文献6】Pappas, C., et al., "LX2931: A Potential Small Molecule Treatment for Autoimmune Disorders," Presentation 351, American College of Rheumatology Scientific Meeting (San Francisco, October 26, 2008)
【発明の概要】
【0011】
3. 発明の概要
本発明は、治療的又は予防的有効量のS1P受容体拮抗薬を、それを必要とする患者に投与することを含む、脳マラリアを治療、管理及び/又は予防する方法を包含する。一部の方法では、S1P受容体拮抗薬は1つ又は複数のさらなる活性薬剤と併用して投与される。
【0012】
本発明は、CMの治療、管理及び/又は予防に有用な医薬組成物も包含する。
【0013】
4. 図面の簡単な説明
本発明の或る特定の態様は、添付の図面を参照して理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】下記実施例に記載の脳マラリアモデルにおける、ビヒクル対照と比較した、マウスの生存に対するFTY720の効果を示す図である。
【図2】投与の6時間後に測定したマウスの白血球、好中球及びリンパ球の数に対するFTY720の局所投与及び経皮投与の効果を示す図である。ビヒクル対照と比較したP値(スチューデントt検定)は各々のヒストグラムの上部に示した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
5. 詳細な説明
本発明は、脳マラリア(CM)の治療、管理及び/又は予防へのS1P受容体作動薬の使用に関する。本発明は、S1P経路を調節することによってCMが治療され得るという出願人の発見に一部基づく。例えば、出願人は、S1P受容体を作動させること及びS1Pリアーゼを阻害することの両方が、十分に確立した上記疾患のマウスモデルにおいてCMに対する防御を与え得ることを発見した。例えば、2008年10月31日付けで出願された米国仮特許出願第61/109,991号、2009年7月30日付けで出願された米国仮特許出願第61/229,970号、及び2009年10月31日付けで出願された米国仮特許出願第61/109,982号を参照されたい。
【0016】
5.1. 定義
特に明示のない限り、「管理する(manage)」、「管理すること(managing)」及び「管理(management)」という用語は、既に疾患又は障害を罹患している患者において、特定の疾患若しくは障害の再発を予防すること及び/又は疾患若しくは障害を罹患している患者が寛解を保つ時間を長期化することを包含する。これらの用語は、疾患若しくは障害の閾値、発症及び/又は継続期間を調節すること、又は患者の疾患若しくは障害に対する応答の仕方を変化させることを包含する。
【0017】
特に明示のない限り、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」及び「予防(prevention)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に起こる行為を意図するものであり、疾患又は障害の重症度を抑制又は軽減させる。すなわち、これらの用語は予防法を包含する。
【0018】
特に明示のない限り、化合物の「予防的有効量」は、疾患若しくは病態又は疾患若しくは病態に関連する1つ若しくは複数の症状を予防する、又はその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的有効量は、単独又は他の薬物との組合せで、疾患の予防において予防的利点を提供する治療剤の量を意味する。「予防的有効量」という用語は、予防法全体を改善する又は別の予防剤の予防効率を高める量を包含し得る。
【0019】
特に明示のない限り、化合物の「治療的有効量」は、疾患若しくは病態の治療若しくは管理において治療的利点を提供するか、又は疾患若しくは病態に関連した1つ若しくは複数の症状を遅延若しくは最小化するのに十分な量である。化合物の治療的有効量は、単独又は他の治療法との組合せで、疾患又は病態の治療又は管理において治療的利点を提供する、治療剤の量を意味する。「治療的有効量」という用語は、治療法全体を改善する、疾患若しくは病態の症状若しくは原因を軽減若しくは回避する、又は別の治療剤の治療効率を高める量を包含し得る。
【0020】
特に明示のない限り、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害を患っている間に起こる行為を意図するものであり、疾患若しくは障害の重症度を軽減させるか又は疾患若しくは障害の進行を遅延若しくは減速させる。
【0021】
特に明示のない限り、「挙げられる(include)」という用語は、「挙げられるが、これらに限定されない」と同一の意味を有し、「挙げられる(includes)」という用語は、「挙げられるが、これらに限定されない」と同一の意味を有する。同様に、「等(such as)」という用語は、「等(これらに限定されない)」と同一の意味を有する。
【0022】
特に明示のない限り、別の引用される特許又は特許出願から取り上げた化学種(chemical genus)の説明に使用される用語は、他の特許又は特許出願における場合と同じように解釈される。
【0023】
より大きな化合物の一部を形成する化学的部分は、単一分子として存在する場合に一般的に与えられる名称又はその基に一般的に与えられる名称を用いて本明細書中に記載され得ることに留意すべきである。例えば、「ピリジン」及び「ピリジル」という用語には、他の化学的部分と結合した部分を記載するのに使用する場合に、同一の意味が与えられる。したがって、「XOH(式中、Xはピリジルである)」及び「XOH(式中、Xはピリジンである)」という2つの語句には同一の意味が与えられ、化合物である、ピリジン−2−オール、ピリジン−3−オール及びピリジン−4−オールを包含する。
【0024】
構造の立体化学又は構造の一部分が、例えば、太線又は破線で示されない場合、構造又は構造の一部分は、そのすべての立体異性体を包含すると解釈されるものとすることにも留意するべきである。さらに、図に示した原子価が満たされていない任意の原子は、原子価を満たすのに十分な水素原子と結合すると推測される。また、一本の破線と平行な一本の実線で描かれた化学結合は、原子価が許容される場合、単結合及び二重結合(例えば、芳香族)の両方を包含する。
【0025】
5.2. S1P受容体作動薬
本発明は、S1P受容体作動薬を含む組成物及びS1P受容体作動薬を使用する方法を包含する。S1P受容体作動薬は、1つ又は複数のスフィンゴシン−1−リン酸受容体を作動させる化合物である。好ましい化合物はS1P1受容体の作動薬である。
【0026】
特定のS1P受容体作動薬には、Fujita et alに対する米国特許第5,604,229号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0027】
【化1】

【0028】
(式中、Reは、アルキル部分が6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であるフェニルアルキル;ハロゲンによって必要に応じて置換された直鎖又は分岐鎖C6〜C20アルキル、ハロゲンによって必要に応じて置換された直鎖又は分岐鎖C6〜C20アルコキシ、直鎖又は分岐鎖C6〜C20アルケニルオキシ、フェニルアルコキシ、ハロフェニルアルコキシ、フェニルアルコキシアルキル、フェノキシアルコキシ又はフェノキシアルキルによって置換されていてもよいフェニルアルキル;アルキル部分が6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であるシクロアルキルアルキル;6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルによって置換されたシクロアルキルアルキル;アルキル部分が6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であるヘテロアリールアルキル;6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルによって置換されたヘテロアリールアルキル;アルキル部分が6個〜20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖である複素環アルキル、又は6個〜20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキルによって置換された複素環アルキルであり、ここで、上記アルキル部分は、炭素鎖中に二重結合、三重結合、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、−N(R)−(式中、Rは水素、アルキル、アラルキル、アシル又はアルコキシカルボニルである)、及びカルボニルからなる群から選択される結合又はヘテロ原子(heretoatom)を有していてもよく、置換基としてアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ又はカルボキシを有していてもよい)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。米国特許第5,604,229号の第279欄44行目〜第280欄13行目を参照されたい。
【0029】
これらの作動薬としては、式:
【0030】
【化2】

【0031】
(式中、Rfは、炭素鎖中に1個又は2個の酸素原子を有していてもよい、アルキル部分が6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であるフェニルアルキル;ハロゲンによって必要に応じて置換された直鎖又は分岐鎖C6〜C20アルキル、ハロゲンによって必要に応じて置換された直鎖又は分岐鎖C6〜C20アルコキシ、直鎖又は分岐鎖C6〜C20アルケニルオキシ、フェニルアルコキシ、ハロフェニルアルコキシ、フェニルアルコキシアルキル、フェノキシアルコキシ又はフェノキシアルキルによって置換されていてもよいフェニルアルキル;炭素鎖中に1個又は2個の酸素原子を有していてもよい、アルキル部分が6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であるシクロアルキルアルキル;6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルによって置換されたシクロアルキルアルキル;炭素鎖中に1個又は2個の酸素原子を有していてもよい、アルキル部分が6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であるヘテロアリールアルキル;6個〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルによって置換されたヘテロアリールアルキル;炭素鎖中に1個若しくは2個の酸素原子を有していてもよい、アルキル部分が6個〜20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖である複素環アルキル、又は6個〜20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキルによって置換された複素環アルキルであり、ここで、上記アルキル部分は、炭素鎖中にアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ及びカルボキシからなる群から選択される置換基を有していてもよい)の化合物及びその薬学的に許容される塩も挙げられる。米国特許第5,604,229号の第280欄13行目〜52行目を参照されたい。
【0032】
これらの作動薬としては、式:
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、RpはC6〜C18アルキルによって置換されたフェニル、シクロアルキル、ヘテロアリール又は複素環である)の化合物及びその薬学的に許容される塩も挙げられる。米国特許第5,604,229号の第285欄5行目〜15行目を参照されたい。
【0035】
これらの作動薬としては、式:
【0036】
【化4】

【0037】
(式中、Rは、鎖中に二重結合、三重結合、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、−N(R)−(式中、Rは水素、アルキル、アラルキル、アシル又はアルコキシカルボニルである)、及びカルボニル、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたシクロアルキレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン及びその脂環(alicyclic)からなる群から選択される結合、ヘテロ原子又は基を有していてもよく、その鎖末端(ω位)で、二重結合、三重結合、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール又はその脂環、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール又はその脂環によって置換されていてもよい、必要に応じて置換された直鎖又は分岐炭素鎖であり、Ra、Ra、Ra及びRaは同じであるか、又は異なり、各々が水素、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルであり、ここで、上記必要に応じて置換された直鎖又は分岐炭素鎖は、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アルキレンジオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシイミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリールオキシ、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール及びその脂環からなる群から選択される置換基を有していてもよく、上述の必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたシクロアルキレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、その脂環、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリールオキシ、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール及びその脂環は、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アルキレンジオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ及びカルボキシからなる群から選択される置換基を有していてもよい)の化合物及びその薬学的に許容される塩も挙げられる。米国特許第5,604,229号の第285欄33行目〜第286欄11行目を参照されたい。
【0038】
これらの作動薬としては、式:
【0039】
【化5】

【0040】
(式中、Rtは、鎖中に二重結合、三重結合、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、−N(R)−(式中、Rは水素、アルキル、アラルキル、アシル又はアルコキシカルボニルである)、カルボニル、必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたシクロアルキレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン及びその脂環、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール又はその脂環からなる群から選択される結合、ヘテロ原子又は基を有していてもよい、必要に応じて置換された直鎖又は分岐炭素鎖であり、Ra、Ra、Ra及びRaは同じであるか、又は異なり、各々が水素、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルであり、ここで、上記必要に応じて置換された直鎖又は分岐炭素鎖は、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アルキレンジオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリールオキシ、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール及びその脂環からなる群から選択される置換基を有していてもよく、上述の必要に応じて置換されたアリーレン、必要に応じて置換されたシクロアルキレン、必要に応じて置換されたヘテロアリーレン、その脂環、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリールオキシ、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール及びその脂環は、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アルキレンジオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ及びカルボキシからなる群から選択される置換基を有していてもよい)の化合物及びその薬学的に許容される塩も挙げられる。米国特許第5,604,229号の第287欄1行目〜47行目を参照されたい。
【0041】
これらの作動薬としては、式:
【0042】
【化6】

【0043】
(式中、Rvは必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール又はその脂環であり、Ra、Ra、Ra及びRaは同じであるか、又は異なり、各々が水素、アルキル、アシル又はアルコキシカルボニルであり、Xは酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、−N(R)−(式中、Rは水素、アルキル、アラルキル、アシル又はアルコキシカルボニルである)であり、α及びβは0、又は1〜20の整数であるが、ただしα+β=5〜20であり、ここで、上記必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール及びその脂環は、アルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アルキレンジオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ及びカルボキシからなる群から選択される置換基を有していてもよい)の化合物及びその薬学的に許容される塩も挙げられる。米国特許第5,604,229号の第288欄1行目〜28行目を参照されたい。
【0044】
S1P受容体作動薬には、Fujita et alに対する米国特許第5,719,176号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0045】
【化7】

【0046】
(式中、Raは、鎖中に二重結合、三重結合、酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、−N(R)−(式中、Rは水素、アルキル、アラルキル、アシル又はアルコキシカルボニルである)、及びカルボニルからなる群から選択される結合又はヘテロ原子を有していてもよく、置換基としてアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシイミノ、ヒドロキシ又はカルボキシを有していてもよい、12個〜22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルであり、Rb、Rb、Rb及びRbは同じであるか、又は異なり、各々が水素、アルキル又はアシルである)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。米国特許第5,719,176号の第274欄48行目〜第275欄3行目を参照されたい。
【0047】
S1P受容体作動薬には、Fujita et alに対する米国特許第5,948,820号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0048】
【化8】

【0049】
(式中、Wは水素;1個〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル;2個〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルケニル;2個〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキニル;又はハロゲン、シクロアルキル及びフェニル(ヒドロキシによって置換されていてもよい)からなる群から選択される1つ〜3つの置換基によって置換された直鎖又は分岐鎖C1〜C6アルキルであり、Xはp個の炭素原子を有する直鎖アルキル、又は(p−1)個の炭素原子を有する直鎖アルコキシであり、ここで、上記p個の炭素原子を有する直鎖アルキル及び(p−1)個の炭素原子を有する直鎖アルコキシは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、オキソ、ハロアルキル、ハロゲン及びフェニル(アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ハロアルキル及びハロゲンからなる群から選択される1つ〜3つの置換基を有していてもよい)からなる群から選択される1つ〜3つの置換基を有していてもよく、Yは水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ハロアルキル又はハロゲンであり、Zはq個の炭素原子を有する直鎖アルキレンであり、p及びqは同じであるか、又は異なり、各々が1〜20の整数であるが、ただし6≦p+q≦23であり、mは1、2又は3であり、nは2又は3であり、R及びRは同じであるか、又は異なり、各々が水素、アルキル又はアシルであり、Rは水素又はアシルである)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。米国特許第5,948,820号の第164欄14行目〜56行目を参照されたい。
【0050】
S1P受容体作動薬には、Kunitomo et alに対する米国特許第6,214,873号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0051】
【化9】

【0052】
(式中、R、R、R及びRは同じであるか、又は異なり、各々が水素又はアシルである)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。米国特許第6,214,873号の第54欄50行目〜63行目を参照されたい。
【0053】
S1P受容体作動薬には、Mandala et alに対する米国特許第6,437,165号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0054】
【化10】

【0055】
(式中、XはO、S、NR又は(CH1〜2であり、1つ〜4つのハロ基で必要に応じて置換され、RはH、C1〜4アルキル又はハロC1〜4アルキルであり、R1aはH、OH、C1〜4アルキル、又はOC1〜4アルキルであり、そのアルキル及びアルキル部分が1つ〜3つのハロ基で必要に応じて置換され、R1bはH、OH、C1〜4アルキル又はハロC1〜4アルキルを表し、RはH、C1〜4アルキル又はハロC1〜4アルキルであり、RはH、OH、ハロ、OC1〜4アルキル又はO−ハロC1〜4アルキルである)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。米国特許第6,437,165号の第25欄42行目〜63行目を参照されたい。
【0056】
S1P受容体作動薬には、Nishi et alに対する米国特許第6,723,745号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0057】
【化11】

【0058】
(式中、R及びRは同じであるか、又は異なり、各々が水素原子又はアミノ保護基を表し、Rは水素原子又はヒドロキシ保護基を表し、Rは低級アルキル基を表し、nは1〜6の整数を表し、Xはエチレン基、ビニレン基、エチニレン基、式−D−CH−((式中、Dはカルボニル基、式−CH(OH)−の基、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表す)の基、アリール基、又は置換基群aから選択される1つ〜3つの置換基で置換されたアリール基を表し、Yは単結合、C〜C10アルキレン基、置換基群a及びbから選択される1つ〜3つの置換基で置換されたC〜C10アルキレン基、その炭素鎖中又はその炭素鎖の末端に酸素原子又は硫黄原子を有するC〜C10アルキレン基、又は置換基群a及びbから選択される1つ〜3つの置換基で置換され、その炭素鎖中又はその炭素鎖の末端に酸素原子又は硫黄原子を有するC〜C10アルキレン基を表し、Rは水素原子、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、置換基群a及びbから選択される1つ〜3つの置換基で置換されたシクロアルキル基、置換基群a及びbから選択される1つ〜3つの置換基で置換されたアリール基、又は置換基群a及びbから選択される1つ〜3つの置換基で置換された複素環基を表し、R及びRは同じであるか、又は異なり、各々が水素原子又は置換基群aから選択される基を表すが、ただし、Rが水素原子である場合、Yは単結合又は直鎖C〜C10アルキレン基ではなく、置換基群aはハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、低級脂肪族アシル基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、低級脂肪族アシルアミノ基、シアノ基及びニトロ基からなり、置換基群bはシクロアルキル基、アリール基、複素環基、置換基群aから選択される1つ〜3つの置換基で置換されたシクロアルキル基、置換基群aから選択される1つ〜3つの置換基で置換されたアリール基、及び置換基群aから選択される1つ〜3つの置換基で置換された複素環基からなる)の化合物が挙げられる。米国特許第6,723,745号の第222欄41行目〜第223欄34行目を参照されたい。
【0059】
S1P受容体作動薬には、Kohno et alに対する米国特許第6,963,012号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0060】
【化12】

【0061】
(式中、Rはハロゲン、トリハロメチル、ヒドロキシ、1個〜7個の炭素原子を有する低級アルキル、フェニル、アラルキル、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシ、トリフルオロメチルオキシ、置換若しくは非置換のフェノキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、置換若しくは非置換のアラルキルオキシ、ピリジルメチルオキシ、シンナミルオキシ、ナフチルメチルオキシ、フェノキシメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルキルチオ、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルキルスルホニル、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルキルスルホニル、ベンジルチオ、アセチル、ニトロ又はシアノであり、Rは水素、ハロゲン、トリハロメチル、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシ、1個〜7個の炭素原子を有する低級アルキル、フェネチル又はベンジルオキシであり、Rは水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシ、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、1個〜7個の炭素原子を有する低級アルキル、フェニル、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシメチル又は1個〜4個の炭素原子を有する低級アルキルチオであり、Xは−(CH−(nは1〜4の整数である)、−OCHCH−又は−CH=CHCH−である)の化合物が挙げられる。米国特許第6,963,012号の第60欄36行目〜65行目を参照されたい。
【0062】
S1P受容体作動薬には、Saha et alに対する米国特許第7,241,812号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0063】
【化13】

【0064】
(式中、Lはアルコキシ、共有結合、置換若しくは非置換のアルキル、アルキルカルボニル、チオエーテル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、Z及びAは各々独立して置換若しくは非置換のアリール(ここで、Z及びAは共有結合によって結合していてもよい)、置換若しくは非置換のアルキル、NH、アルキルオキシ、O、チオエーテル、S、アミノカルボニル、カルボニルアミノ、カルボニルオキシ又はオキシカルボニルであり、R、R、R及びR12は各々独立して、水素、ハロゲン、シアノ、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C〜C−アルキル、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C〜C−アルコキシ、直鎖若しくは分岐ハロ−C〜C−アルキル、直鎖若しくは分岐ハロ−C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、ヒドロキシル−C〜C−アルキル、カルボキシ−C〜C−アルキル、C〜C−アルキル−SO又はN(R)R’(式中、R及びR’は各々独立して、水素、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C〜C−アルキル、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C〜C−アルコキシ、直鎖若しくは分岐ハロ−C〜C−アルキル、直鎖若しくは分岐ハロ−C〜C−アルコキシ、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、ヒドロキシル−C〜C−アルキル、カルボキシ−C〜C−アルキル又はC〜C−アルキル−SOである)からなる群から選択され、Qは−NH(CO)−であり、Rは−OPO1011(式中、R10及びR11は各々独立して、H、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C〜C−アルキル、置換若しくは非置換のアリール基である)であるか、又は下記に挙げるプロドラッグから選択され:
【0065】
【化14】

【0066】
はH、置換若しくは非置換のC〜C−アルキル、ヒドロキシ−C〜C−アルキル、アリールであるか、又はRと共にC〜C−アルキレン基又はC〜C−アルケニレン基を形成し、RはH又は置換若しくは非置換のC〜C−アルキルであり、m及びnは各々独立して、0〜3の整数である)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。米国特許第7,241,812号の第169欄2行目〜第170欄37行目を参照されたい。
【0067】
S1P受容体作動薬には、Albert et alに対する米国特許第7,326,801号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0068】
【化15】

【0069】
(式中、mは1、2又は3であり、XはOであり、RはH;OH、アシル、ハロゲン、シクロアルキル、フェニル若しくはヒドロキシフェニレンによって必要に応じて置換されたC1〜6アルキル;C2〜6アルケニル;C2〜6アルキニル;又はOHによって必要に応じて置換されたフェニルであり、Rは:
【0070】
【化16】

【0071】
(式中、RはH、又は1個、2個若しくは3個のハロゲン原子によって必要に応じて置換されたC1〜4アルキルであり、RはH、又はハロゲンによって必要に応じて置換されたC1〜4アルキルである)であり、R及びRは各々独立して、H、ハロゲンによって必要に応じて置換されたC1〜4アルキル、又はアシルであり、Rは式:
【0072】
【化17】

【0073】
(式中、RはH、C1〜4アルキル又はC1〜4アルコキシであり、Rは(a)C1〜20アルカノイル、又はシクロアルキル若しくはフェニルで置換されたC1〜14アルコキシ(ここで、シクロアルキル又はフェニル環は、ハロゲン、C1〜4アルキル及び/又はC1〜4アルコキシによって必要に応じて置換される)、(b)フェニルC1〜14アルキル(ここで、C1〜14アルキルは、ハロゲン又はOHによって必要に応じて置換される)、(c)シクロアルキルC1〜14アルコキシ又はフェニルC1〜14アルコキシ(ここで、シクロアルキル又はフェニル環は、ハロゲン、C1〜4アルキル及び/又はC1〜4アルコキシによって必要に応じて置換される)、又は(d)フェニルC1〜4アルコキシC1〜4アルキル、フェノキシC1〜4アルコキシ又はフェノキシC1〜4アルキルである)の残基である)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。米国特許第7,326,801号の第25欄12行目〜第26欄22行目を参照されたい。
【0074】
S1P受容体作動薬には、Bugianesi et alに対する米国特許出願公開第2005/0033055号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0075】
【化18】

【0076】
(式中、Arはフェニル又はナフチルであり、m=0又は1であり、n=0又は1であり、Aは−COH、−PO、−POH、−SOH、−PO(C1〜3アルキル)OH及び1H−テトラゾール−5−イルからなる群から選択され、R及びRは各々独立して、水素、ハロ、ヒドロキシ、−COH、及び1つから置換可能な位置の最大数までハロで必要に応じて置換されたC1〜4アルキルからなる群から選択され、Rは水素、及び独立してハロ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で、1つから置換可能な位置の最大数まで必要に応じて置換されたC1〜4アルキルからなる群から選択され、Rは各々独立して、ハロ、1つから置換可能な位置の最大数までハロで必要に応じて置換されたC1〜4アルキル及びC1〜3アルコキシからなる群から選択され、Cは、(1)フェニルで必要に応じて置換されたC1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、−(C=O)−CC1〜6アルキル又は−CHOH−C1〜6アルキル、並びに(2)各々が独立してハロ、フェニル、C1〜4アルキル及びC1〜4アルコキシ(該C1〜4アルキル及びC1〜4アルコキシは、独立してハロ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で、1つから置換可能な位置の最大数まで必要に応じて置換され、該フェニルは、独立してハロ、及び1つ〜3つのハロ基で必要に応じて置換されたC1〜4アルキルからなる群から選択される1つ〜5つの基で必要に応じて置換される)からなる群から選択される1つ〜3つの置換基で必要に応じて置換された、フェニル又はHETからなる群から選択されるか、又はCは存在せず、Cが存在しない場合、Bはフェニル、C5〜16アルキル、C5〜16アルケニル、C5〜16アルキニル、−CHOH−C4〜15アルキル、−CHOH−C4〜15アルケニル、−CHOH−C4〜15アルキニル、C4〜15アルコキシ、−OC4〜15アルケニル、−OC4〜15アルキニル、C4〜15アルキルチオ、−SC4〜15アルケニル、−SC4〜15アルキニル、−CH3〜14アルコキシ、−CHOC3〜14アルケニル、−CHOC3〜14アルキニル、−(C=O)C4〜15アルキル、−(C=O)C4〜15アルケニル、−(C=O)−C4〜15アルキニル、−(C=O)OC3〜14アルキル、−(C=O)OC3〜14アルケニル、−(C=O)N(R)(R)C3〜14アルキル、−(C=O)N(R)(R)C3〜14アルケニル、−(C=O)N(R)(R)C3〜14アルキニル、−N(R)(R)(C=O)C3〜14アルキル、−N(R)(R)(C=O)C3〜14アルケニル及び−N(R)(R)(C=O)C3〜14アルキニルからなる群から選択され、Cがフェニル又はHETである場合、BはC1〜6アルキル、C1〜5アルコキシ、−(C=O)C1〜5アルキル、−(C=O)OC1〜4アルキル、−(C=O)N(R)(R)C1〜4アルキル、フェニル及びHETからなる群から選択され、CがC1〜8アルキル、C1〜8アルコキシ、−(C=O)C1〜6アルキル又は−CHOHC1〜6アルキルである場合、Bはフェニルであり、R及びRは独立して、水素、C1〜9アルキル及び−(CH)p−フェニル(式中、pは1〜5であり、フェニルは、独立してC1〜3アルキル及びC1〜3アルコキシ(各々が1つ〜3つのハロ基で必要に応じて置換される)からなる群から選択される1つ〜3つの置換基で必要に応じて置換される)からなる群から選択される)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。米国特許出願公開第2005/0033055号の47頁〜48頁を参照されたい。この文脈で、HETという用語は:
【0077】
【化19】

【0078】
からなる群から選択される部分を指す(同上、パラグラフ0041)。
【0079】
S1P受容体作動薬には、Lynch et alに対する国際特許出願の国際公開第2006/088944号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0080】
【化20】

【0081】
(式中、R及びRは独立してCH又はCHであり、RはC、CH又はNであり、RはCH、CH、O、S又はNR(式中、Rは水素又は(C〜C10)アルキル基である)であり、Xはヒドロキシル、ホスフェート、ホスホネート、α−置換ホスホネートから選択され、Rは水素、ハロ、トリフルオロメチル、(C〜C10)アルキル、ハロで置換された(C〜C10)アルキル、ヒドロキシル、(C〜C10)アルコキシ、又はシアノからなる群から選択され、Rは(C〜C20)アルキル、シクロアルキル置換アルキル、(C〜C20)アルケニル、(C〜C20)アルキニル、アリール、アルキル置換アリール、アリールアルキル及びアリール置換アリールアルキルからなる群から選択され、ここで、上記R基中の炭素原子の1つ又は複数は、独立して非過酸化物酸素、硫黄又はNR(式中、Rは水素又は(C〜C10)アルキル基である)で置き換えることができ、ここで、R中のアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、オキソで必要に応じて置換され、nは0、1、2又は3であり、破線の円は1つ、2つ又は3つの任意の二重結合を表す)の化合物及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。国際公開第2006/088944号の45頁を参照されたい。
【0082】
S1P受容体作動薬には、Bolli et alに対する国際特許出願の国際公開第2008/029371号に開示される化合物が含まれる。これらの作動薬としては、式:
【0083】
【化21】

【0084】
(式中、Aは−CONHCH−、−CO−CH=CH−、−COCHCH−、
【0085】
【化22】

【0086】
(式中、アスタリスクは式(I)のピリジン類と結合する結合を示す)を表し、RはC1〜4−アルキル又はクロロを表し、RはC1〜5−アルキル、C1〜4−アルコキシ又はC3〜6−シクロアルキルを表し、Rは水素、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ又はハロゲンを表し、Rは水素、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し、Rは2,3−ジヒドロキシプロピル、ジ−(ヒドロキシ−C1〜4−アルキル)−C1〜4−アルキル、−CH−(CH−NHSO53、−(CH−CH(OH)CHNHSO53、−CH(CH−NHCOR54、−(CHCH(OH)CH−NHCOR54、−CH−(CH−CONR5152、−CO−NHR51、1−(3−カルボキシ−アゼチジニル)−2−アセチル、1−(2−カルボキシ−ピロリジニル)−2−アセチル、1−(3−カルボキシ−ピロリジニル)−2−アセチル、1−(3−カルボキシ−アゼチジニル)−3−プロピオニル、1−(2−カルボキシ−ピロリジニル)−3−プロピオニル、1−(3−カルボキシ−ピロリジニル)−3−プロピオニル、−(CHCH(OH)−CH−NR5152、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C2〜5−アルコキシ、ジ−(ヒドロキシ−C1〜4−アルキル)−C1〜4−アルコキシ、2,3−ジヒドロキシ−プロポキシ、2−ヒドロキシ−3−メトキシ−プロポキシ、−OCH−(CH−NR5152、2−[((アゼチジン−3−カルボン酸)−1−イル]−エトキシ、2−[(アゼチジン−3−カルボン酸C1〜5−アルキルエステル)−1−イル]−エトキシ、2−[(ピロリジン−3−カルボン酸)−1−イル]−エトキシ、2−[(ピロリジン−3−カルボン酸C1〜5−アルキルエステル)−1−イル]−エトキシ、−OCH−CH(OH)−CH−NR5152、3−[(アゼチジン−3−カルボン酸)−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ、3−[(アゼチジン−3−カルボン酸C1〜5−アルキルエステル)−1−イル]−2−ヒドロキシプロポキシ、2−ヒドロキシ−3−[(ピロリジン−3−カルボン酸)−1−イル]−プロポキシ、2−ヒドロキシ−3−[(ピロリジン−3−カルボン酸C1〜5−アルキルエステル)−1−イル]−プロポキシ、2−ヒドロキシ−3−[(ピロリジン−2−カルボン酸)−1−イル]−プロポキシ、2−ヒドロキシ−3−[(ピロリジン−2−カルボン酸C1〜5−アルキルエステル)−1−[−プロポキシ、−OCH−(CH−NHSO53、−OCH−CH(OH)−CH−NHSO53、−OCH−(CH−NHCOR54、−OCH−CH(OH)−CH−NHCOR54を表し、R51は水素、C1〜3−アルキル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、カルボキシメチル、1−(C1〜5−アルキルカルボキシ)メチル、2−カルボキシエチル又は2−(C1〜5−アルキルカルボキシ)エチルを表し、R52は水素、メチル又はエチルを表し、R53はC1〜3−アルキル、メチルアミノ、エチルアミノ又はジメチルアミノを表し、R54はヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、アミノメチル、メチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、アミノエチル、2−メチルアミノ−エチル又は2−ジメチルアミノ−エチルを表し、kは1、2又は3の整数を表し、mは1又は2の整数を表し、nは0、1又は2を表し、Rは水素、C1〜4−アルキル又はハロゲンを表す)の化合物及びその塩が挙げられる。国際公開第2008/029371号の117頁〜118頁を参照されたい。
【0087】
S1P受容体作動薬には、Bolli et al.に対する国際特許出願の国際公開第2008/035239号、Saha et al.に対する米国特許出願公開第2008/0064662号、及びDeng et alに対する米国特許出願公開第2008/0070866号に開示される化合物も含まれる。
【0088】
具体的なS1P受容体作動薬としては、S1P自体、SEW2871、JTE−013、VPC23019、R−3477(Actelion)、KRP−203(杏林製薬株式会社)、sonepcizumab(Lpath)、BAF−312(Novartis)、ONO−4641(小野薬品工業株式会社)、ES−285(PharmaMar SA)、2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール(FTY720;フィンゴリモド)、ホスホ−FTY720及びその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0089】
5.3. さらなる活性薬剤
本発明の一部の実施形態では、S1P受容体作動薬に加えて1つ又は複数の活性薬剤を利用する。かかるさらなる薬剤の例としては、抗マラリア薬(例えば、キニーネ、キニジン、並びにアルテムエーテル及びアーテスネート等のアルテミシニン誘導体)、浸透圧性利尿薬(例えば、マンニトール及び尿素)、抗痙攣薬(例えば、ジアゼパム、フェニトイン、フェノバルビタール及びフェノバルビトン)、解熱剤(例えば、パラセタモール)、抗酸化剤、並びに抗炎症薬(例えば、NSAIDS、ステロイド、シクロスポリン、サリドマイド、レブリミド、抗TNF抗体(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト)、及びペントキシフィリン)が挙げられる。他の例としては、カードラン硫酸、クルクミン及びLMP−420が挙げられる。
【0090】
5.4. 使用方法
本発明は、患者に治療的又は予防的有効量のS1P受容体作動薬を投与することを含む、CMを予防、管理及び治療する方法を包含する。薬物の量、投薬スケジュール及び投与経路は薬物及び患者によって変化し、当業者であれば容易に決定することができる。一部のCM患者においては薬物の経口投与は困難である場合があるため、好ましい投与経路としては静脈内及び筋肉内が挙げられる。
【0091】
本発明の一部の実施形態では、S1P受容体作動薬を1つ又は複数のさらなる活性薬剤と併用して投与する。2種以上の薬物の投与は同時(例えば、同じ剤形又は別個の剤形でほぼ同時に患者に投与する)であってもよいが、その必要はない。
【0092】
CMを治療及び管理する方法は、昏睡(ブランタイヤー昏睡尺度≦2、又はグラスゴー昏睡尺度≦8)、血液塗抹標本での熱帯熱マラリア原虫を含むCMの1つ又は複数の症状を示し、他に知られる昏睡の原因はない患者に対して好適である。CMを予防する方法は、CMの危険性のある患者、例えば血液塗抹標本で熱帯熱マラリア原虫が見られ、必要に応じて重篤なマラリアの症状(例えば、重篤なマラリア貧血、呼吸困難、ショック、突発性出血、低血糖、反復発作、ヘモグロビン尿、低血糖、衰弱、意識障害、黄疸、高寄生虫血症(hyperparasitemia))を含む、マラリアの1つ又は複数のさらなる症状を示す患者に対して好適である。患者には成人及び小児(例えば、5歳〜12歳)が含まれる。
【0093】
5.5. 医薬製剤
或る特定の医薬組成物は、患者への経口投与、粘膜(例えば、鼻、舌下、膣、口腔若しくは直腸)投与、非経口(例えば、皮下、静脈内、急速静注、筋肉内若しくは動脈内)投与又は経皮投与に好適な単一の単位剤形である。剤形の例としては、錠剤;カプレット;軟ゼラチンカプセル等のカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散液;坐剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末;包帯剤;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば、経鼻スプレー又は吸入剤);ゲル;懸濁液(例えば、水性若しくは非水性の液体懸濁液、水中油型乳濁液又は油中水型乳濁液)、溶液及びエリキシルを含む、患者への経口投与又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;並びに患者への非経口投与に好適な液体剤形を提供するために再構成され得る滅菌固体(例えば、結晶性又は非結晶性の固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
剤形の組成及び種類は、その用途によって異なる。例えば、疾患の急性期治療で使用される剤形は、それが含む活性成分の1つ又は複数を、同一疾患の慢性期治療で使用される剤形よりも多量に含有し得る。同様に、非経口剤形は、それが含む活性成分の1つ又は複数を、同一疾患を治療するために使用される経口剤形よりも少量で含有し得る。本発明によって包含される特定の剤形が互いに異なる、これらの方法及び他の方法は、当業者にはすぐに分かるものである。例えば、「レミントンの薬学」、第18版(Mack Publishing、Easton PA: 1990)を参照されたい。
【0095】
5.5.1. 経口剤形
経口投与に好適な本発明の医薬組成物は、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル及び液体(例えば、フレーバーシロップ)等(これらに限定されない)の別個の剤形として提供され得る。かかる剤形は、所定量の活性成分を含有し、当業者に既知の製薬法によって調製され得る。例えば、「レミントンの薬学」、第18版(Mack Publishing、Easton PA: 1990)を参照されたい。
【0096】
典型的な経口剤形は、従来の薬学的配合技法に従い、活性成分(複数可)を少なくとも1つの賦形剤と密に混合して組み合わせることによって調製する。賦形剤は、投与に望ましい製剤の形態に応じて広範な形態をとり得る。液体経口剤形が、CMを罹患している大抵の患者にとって好ましい。
【0097】
5.5.2. 非経口剤形
非経口剤形は、皮下、静脈内(急速静注を含む)、筋肉内及び動脈内を含む(これらに限定されない)各種経路によって患者に投与され得る。典型的には異物に対する患者の自然防御を回避して投与されるため、非経口剤形は具体的には滅菌されているか又は患者に投与する前に滅菌可能である。非経口剤形の例としては、すぐに注射できる溶液、注射用の薬学的に許容されるビヒクルにすぐに溶解又は懸濁できる乾燥品、すぐに注射できる懸濁液及び乳濁液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明の非経口剤形を提供するために使用することのできる好適なビヒクルは、当業者に既知である。例としては、注射用水USP;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース/塩化ナトリウム注射液及び乳酸加リンゲル注射液等(これらに限定されない)の水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等(これらに限定されない)の水混和性ビヒクル;並びにトウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジル等(これらに限定されない)の非水性ビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
5.5.3. 経皮剤形、局所剤形及び粘膜剤形
経皮剤形、局所剤形及び粘膜剤形としては、点眼液、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、乳濁液、懸濁液又は当業者に既知の他の形態が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、「レミントンの薬学」、第16版及び第18版、(Mack Publishing, Easton PA (1980 & 1990))及び「医薬剤形序論(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」、第4版、(Lea & Febiger, Philadelphia (1985))を参照されたい。経皮剤形としては、皮膚に貼付し、所定時間装用することにより、所望量の活性成分の透過が可能となり得る、「リザーバ型」パッチ又は「マトリクス型」パッチが挙げられる。
【0100】
経皮剤形、局所剤形及び粘膜剤形を提供するために使用され得る好適な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)並びに他の材料は、薬学の当業者に既知であり、所定の医薬組成物又は剤形を適用する特定の組織に依存する。
【0101】
治療する特定組織に応じて、本発明の活性成分による治療前に、治療と同時に又は治療に続いて、さらなる構成成分を用いてもよい。例えば、透過亢進剤を用いて、組織への活性成分の送達を補助してもよい。
【0102】
また、医薬組成物若しくは医薬剤形のpH又は医薬組成物若しくは医薬剤形が適用される組織のpHを調整して、1つ又は複数の活性成分の送達を改善してもよい。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度又は張性を調整して、送達を改善してもよい。また、送達が改善するように、ステアリン酸塩等の化合物を医薬組成物又は医薬剤形に加え、1つ又は複数の活性成分の親水性又は親油性を有利に変化させてもよい。この点に関して、ステアリン酸塩は、製剤用の脂質ビヒクル、乳化剤又は界面活性剤及び送達亢進剤又は透過亢進剤として作用し得る。活性成分の異なる塩、水和物、溶媒和物を用いて、得られた組成物の性質をさらに調整してもよい。
【実施例】
【0103】
6. 実施例
本発明の態様は、以下の実施例から理解することができるが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0104】
6.1. S1P受容体結合親和性
個々のヒトS1P受容体に対するS1P受容体作動薬の結合親和性は、既知のアッセイを用いて求めることができる。例えば、化合物は、ヒトS1P受容体S1P、S1P、S1P、S1P及びS1Pを用いて、適切なヒトS1P受容体を安定発現するトランスフェクトCHO又はRH7777細胞から調製された膜タンパク質に対する、化合物によって誘導されるGTP[γ−35S]結合を定量化することによって試験することができる。好適なアッセイ技術はSPA(シンチレーション近接アッセイ)である。簡潔に述べると、DMSOに溶解させた化合物を段階希釈し、50mM Hepes、100mM NaCl、10mM MgCl、10μM GDP、0.1%無脂肪BSA及び0.2nM GTP[γ−35S](1200Ci/mmol)の存在下で、SPAビーズ(Amersham-Pharmacia)に固定化したS1P受容体発現膜タンパク質(10〜20μg/ウェル)に添加する。96ウェルマイクロタイタープレートにおいて室温で120分間インキュベートした後、非結合GTP[γ−35S]を遠心分離工程によって分離する。膜に結合したGTP[γ−35S]によって引き起こされるSPAビーズの発光を、TOPカウントプレートリーダー(Packard)を用いて定量化する。EC50を標準曲線適合ソフトウェアを用いて算出する。
【0105】
S1P受容体の内在化及び脱感作は、例えばmycタグ付きヒトS1P受容体をトランスフェクトしたCHO細胞を用いて測定することができる。作動薬による刺激による受容体の内在化(Internationalization)は、蛍光標識抗myc抗体を用いたFACS分析によって測定する。
【0106】
6.2. 脳マラリアモデル
十分に特徴付けられ、広く使用されているCMの動物モデルを使用して、化合物の有効性を試験した。例えば、非特許文献1の585頁を参照されたい。各々の実験において、C56B1/6マウスの2つの群に、500μlの媒体中の1万の原虫(parasites)(マウスマラリア原虫(P. berghei ANKA))を腹腔内感染させた。第1の群は対照群であり、第2の群は毎日FTY720(0.3mg/kg/日)での強制栄養によって処理した。
【0107】
少なくとも2回薬物を投与した後、マウスから尾静脈血を採取し、フローサイトメトリー分析を使用して、CD3、CD4、CD8及びCD19に対する抗体を用いてB細胞及びT細胞のレベルを評価した。動物を毎日体重及び寄生虫血症についてモニタリングし、1日2回生存についてモニタリングした。
【0108】
図1に示されるように、FTY720はマラリア感染の1日前に投与した場合、有意な延命効果をもたらした(2回の独立実験、n=1つの群当たり最低10匹、ログランク検定、p=0.0002)。
【0109】
6.3. 経皮パッチ
FTY720を含有する薬物溶解型接着剤経皮パッチを、FTY720を接着剤(Duro−Tak 87−2196、National Starch & Chemical Co.)中に、接着剤10部に対して化合物1部の比率(重量:重量)で溶解させることによって作製した。FTY720を含有する接着剤を、50〜200ミクロンギャップのバードアプリケータを用いて剥離ライナー(Scotchpak 1022 PETフィルム、3M Corporation)上に重層した。100℃で15分間加熱乾燥する(baking)ことによって、有機溶剤をフィルムから除去した。次いで、乾燥させた接着剤を裏打ち(backing)膜(CoTran 9720ポリエチレンフィルム、3M Corporation)上に積層した。
【0110】
6.4. 局所投与及び経皮投与
FTY720の局所剤形及び経皮剤形を、F1ハイブリッドマウス(n=1つの群当たり5匹のマウス)に投与した。CBC分析及びPK分析のために、マウスの血液を様々な時点で採取した。
【0111】
FTY720の局所投与は、70%のエタノール、29.9%の水及び0.1%のDMSOからなる1mg/mL溶液200μLを用いて行った。
【0112】
経皮投与は、上記のように作製したパッチを用いて行った。パッチを積層体から切り取り、マウスの肩前部(front shoulder)の上部の素肌に貼付した。投与量は、剥離ライナーに塗布した化合物/接着剤の厚さ、及びパッチの数又は大きさを調節することによって調整した。貼付部位から毛を刈り取った後、剃毛して素肌を露出させた。接着力を高めるために、パッチを貼り付ける前に皮膚を70%エタノールで拭いた後、空気乾燥させることによってさらに前処理した(prepped)。
【0113】
図2に示されるように、FTY720は、投与の6時間後に測定したマウスの白血球、好中球及びリンパ球の数に影響を与えた。
【0114】
上記で引用したすべての参考文献(例えば、特許及び特許出願)は、その全体が参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳マラリアの治療、管理又は予防のための薬剤の製造のためのS1P受容体作動薬の使用。
【請求項2】
前記薬剤が患者への局所投与又は経皮投与に好適である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記薬剤が患者への静脈内投与に好適である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記S1P受容体作動薬が、式:
【化1】

(式中、RpはC6〜C18アルキルで置換されたフェニル、シクロアルキル、ヘテロアリール又は複素環である)の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記S1P受容体作動薬がFTY720である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
S1P受容体作動薬及びさらなる活性薬剤を含む医薬製剤であって、該さらなる活性薬剤が抗マラリア薬、浸透圧性利尿薬(例えば、マンニトール、尿素)、抗痙攣薬(例えば、ジアゼパム、フェニトイン、フェノバルビタール、フェノバルビトン)、解熱剤(例えば、パラセタモール)、抗酸化剤又は抗炎症薬である、医薬製剤。
【請求項7】
前記抗マラリア薬がキニーネ、キニジン、アルテムエーテル又はアーテスネートである、請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記抗炎症薬がNSAID、ステロイド、シクロスポリン、サリドマイド、レブリミド、抗TNF抗体(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト)又はペントキシフィリン)である、請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記さらなる活性薬剤がカードラン硫酸、クルクミン又はLMP−420である、請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記S1P受容体作動薬が、式:
【化2】

(式中、RpはC6〜C18アルキルで置換されたフェニル、シクロアルキル、ヘテロアリール又は複素環である)の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記S1P受容体作動薬がFTY720である、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
S1P受容体作動薬及び抗マラリア薬を含む単回医薬剤形。
【請求項13】
経皮送達又は局所送達に好適である、請求項12に記載の剤形。
【請求項14】
パッチである、請求項13に記載の剤形。
【請求項15】
前記S1P受容体作動薬が、式:
【化3】

(式中、RpはC6〜C18アルキルで置換されたフェニル、シクロアルキル、ヘテロアリール又は複素環である)の化合物、又はその薬学的に許容される塩である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項16】
前記S1P受容体作動薬がFTY720である、請求項15に記載の単回剤形。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−507546(P2012−507546A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534744(P2011−534744)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/062502
【国際公開番号】WO2010/051349
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(508192566)レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】