説明

腫瘍壊死因子αの調節のための組成物及び方法

【課題】腫瘍壊死因子α誘導因子(TAIF)またはインターロイキン32(IL−32)と称されるインターロイキン18誘導サイトカインに関する組成物及び方法に関する。特に、部分的に腫瘍壊死因子α発現を調節することにより自己免疫疾患及び癌を治療するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】自己免疫疾患を有している、自己免疫疾患を有していると疑われる、または自己免疫疾患を有する恐れがある被験者及びIL−32に結合する抗体を用意し、被験者に前記抗体を投与することを含む被験者の治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍壊死因子α誘導因子(TAIF)またはインターロイキン32(IL−32)と称されるインターロイキン18誘導サイトカインに関する組成物及び方法に関する。特に、本発明は、部分的に腫瘍壊死因子α発現を調節することにより自己免疫疾患及び癌を治療するための組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
関節リウマチ(RA)は、世界中の成人の約1%を襲っている一般的な慢性炎症性関節炎であり、女性が多く、ピーク発病は30歳代である(Firestein,“Rheumatoid Arthritis”,Scientific American Medicine(2000);及びCohen,“Systemic Autoimmunity”,Paul編,Fundamental Immunology,フィラデルフィアに所在のLippincott−Raven Publishers(1999年)発行,p.1067−1088参照)。滑膜性の連結で強い炎症が起こり、滑膜に単核食細胞、リンパ球及び好中球が浸潤しているために強い関節痛が生じている。加えて、RA患者は通常関節の周りの軟膏及び硬骨が損失して、可動性が失われる。
【0003】
RAの原因は正確に定義されていないが、病気の諸特徴がRA病因に対する自己免疫成分を示している。特に、関節リウマチではマクロファージ及び線維芽細胞誘導サイトカインが大量に発現している(Firesteinら,J.Immunol.,144:3347(1994))。腫瘍壊死因子α(TNFα)及びインターロイキン(IL−1)は、過剰発現は動物モデルにおいて関節炎を誘発させ得るが、いずれも滑膜細胞増殖、コラゲナーゼ産生及びプロスタグランジン放出を誘導できる点で主要な病原因子であるようである(上掲のFirestein(2000))。IL−18はRA関節中にも存在し、炎症誘発性サイトカインを産生するようにマクロファージを直接活性化できる(Gracieら,J.Clin.Invest.,104:1393(1999))。
【0004】
現在のRA治療は鎮痛、炎症のコントロール及び病気経過の変更に向けられている。より攻撃的な治療アプローチが最近しばしば採用されており、RA患者は直ぐに非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)から第2系統物質(例えば、メトトレキセート)への変更を要求している。残念ながら、多くの患者でメトトレキセート単独ではRAを十分にコントロールできず、医者は追加治療または一連の単一物質、例えばレフルノミド、スルファサラジンまたはTNF阻害剤のいずれかを選択している(上掲のFirestein(2000))。RAを治療するために使用してある程度成功したTNF阻害剤にはTNF反応性モノクローナル抗体(インフリキシマブ/REMICADE及びアダリムマブ/HUMIA)及び可溶性TNF受容体/免疫グロブリン融合タンパク質(エタネルセプト/ENBREL)が含まれる。しかしながら、この衰弱させる病気の進行を停止させるべく単独でまたは組み合わせて使用するために追加治療を医者に提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Firestein,“Rheumatoid Arthritis”,Scientific American Medicine(2000)
【非特許文献2】Cohen,“Systemic Autoimmunity”,Paul編,Fundamental Immunology,フィラデルフィアに所在のLippincott−Raven Publishers(1999年)発行,p.1067−1088
【非特許文献3】Firesteinら,J.Immunol.,144:3347(1994)
【非特許文献4】Gracieら,J.Clin.Invest.,104:1393(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、腫瘍壊死因子α誘導因子(TAIF)またはインターロイキン32(IL−32)と称されるインターロイキン18誘導サイトカインに関する組成物及び方法に関する。特に、本発明は、部分的に腫瘍壊死因子α発現を調節することにより自己免疫疾患及び癌を治療するための組成物及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、配列番号15と少なくとも80%同一であり、インターロイキン32(IL−32)をコードし、IL−32のエキソン3及びエキソン4を実質的に隣接関係で含む配列を含む精製核酸を提供する。幾つかの好ましい実施態様では、IL−32は配列番号7のアミノ酸配列を含むα−イソ型、配列番号8のアミノ酸配列を含むβ−イソ型または配列番号10のアミノ酸配列を含むδ−イソ型である。他の実施態様では、上記配列はIL−32のイントロン4を欠き、特に好ましい実施態様では上記配列は配列番号15と少なくとも90%同一である。配列番号3、配列番号4及び配列番号6からなる群から選択される配列を含む精製核酸も提供される。幾つかの実施態様では、配列は異種プロモーターに対して機能し得る形で連結されている。好ましい実施態様では、核酸はベクター内に含まれている。更に、ベクターを含む宿主細胞が提供される。
【0008】
加えて、本発明は、配列番号15と少なくとも80%同一であり、インターロイキン32(IL−32)をコードし、IL−32のエキソン3及びエキソン4を実質的に隣接関係で含む配列を含む核酸によりコードされる精製タンパク質を提供する。幾つかの好ましい実施態様では、IL−32は配列番号7のアミノ酸配列を含むα−イソ型、配列番号8のアミノ酸配列を含むβ−イソ型または配列番号10のアミノ酸配列を含むδ−イソ型である。他の実施態様ではIL−32はγ−イソ型ではなく、好ましい実施態様ではIL−32は配列番号14のアミノ酸配列を含まない。幾つかの好ましい実施態様では、IL−32は細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び哺乳動物細胞からなる群から選択される細胞において発現される組換えタンパク質である。これらの実施態様のサブセットでは、組換えタンパク質は融合タンパク質である。
【0009】
本発明はまた、IL−32に結合する抗体も提供する。幾つかの好ましい実施態様では抗体はモノクローナル抗体であり、他の実施態様ではモノクローナル抗体のFab断片が提供される。幾つかの実施態様では、モノクローナル抗体(mAb)は32−4及び32−9から選択されるが、これらに限定されない。32−4 mAbを産生するハイブリドーマ細胞はバージニア州マナサスに所在のBoulevard大学のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託されている。32−9 mAbを産生するハイブリドーマ細胞もATCCに寄託されている。更に、幾つかの好ましい実施態様では、モノクローナル抗体はキメラモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体及びヒトモノクローナル抗体から選択されるが、これらに限定されない。これらの実施態様のサブセットでは、モノクローナル抗体は標的細胞によるIL−32誘導TNFα産生を抑制し、標的細胞におけるIL−32誘導IκB分解を抑制し及び/または標的細胞における迅速なIL−32誘導p38 MAPKリン酸化を抑制する。
【0010】
更に、本発明は、少なくとも1つの細胞とIL−32タンパク質をTNFα産生を誘導するのに適した条件下で接触させることを含むTNFα産生の誘導方法を提供する。好ましい実施態様では、IL−32タンパク質はα−イソ型、β−イソ型、γ−イソ型及びδ−イソ型からなる群から選択される。幾つかの実施態様では、少なくとも1つの細胞は白血球を含む。これらの実施態様のサブセットでは、白血球は単球及びマクロファージからなる群から選択される。
【0011】
本発明はまた、被験者及びIL−32を結合する抗体を用意し、前記被験者に前記抗体を投与することを含む被験者の治療方法も提供する。好ましい実施態様では、IL−32はα−イソ型、β−イソ型、γ−イソ型及びδ−イソ型からなる群から選択される。特に好ましい実施態様では、被験者は自己免疫疾患を有している、自己免疫疾患を有していると疑われている、または自己免疫疾患を有する恐れのある者である。幾つかの実施態様では、自己免疫疾患は多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性神経障害、自己免疫性ぶどう膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、1型糖尿病、グレーブス病、橋本病、自己免疫性卵巣炎及び睾丸炎、側頭動脈炎、抗リン脂質症候群、脈管炎、ベーチェット病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、脊椎関節症、シェーグレン症候群、乾せん、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡及び白斑から選択されるが、これらに限定されない。本発明はヒトモノクローナル抗体及びヒト化マウスモノクローナル抗体から選択される抗体を提供するが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、投与は自己免疫疾患の少なくとも1つの症状を緩和するのに適した条件下でなされる。
【0012】
更に、本発明は、IL−32タンパク質及び少なくとも1つの薬物候補を用意し、前記薬物候補のIL−32タンパク質の少なくとも1つの活性に対する効果を分析することを含むIL−32阻害剤のスクリーニング方法も提供する。幾つかの実施態様では、IL−32タンパク質はα−イソ型、β−イソ型、γ−イソ型及びδ−イソ型からなる群から選択され組換えタンパク質である。好ましい実施態様では、薬物候補はIL−32反応性モノクローナル抗体及びドミナントネガティブIL−32バリアントから選択されるが、これらに限定されない。特に好ましい実施態様では、IL−32タンパク質の少なくとも1つの活性はTNFα発現の上方制御を含む。
【0013】
本発明はまた、被験者及びIL−32タンパク質を用意し、前記被験者に前記IL−32タンパク質を投与することを含む被験者の治療方法も提供する。好ましい実施態様では、IL−32タンパク質はα−イソ型、β−イソ型、γ−イソ型及びδ−イソ型からなる群から選択される組換えタンパク質である。特に好ましい実施態様では、被験者は癌にかかっている、癌にかかっていると疑われる、または癌にかかる恐れのある者である。
【0014】
本発明はまた、被験者由来の血清及びIL−32反応性抗体を用意し、前記血清を前記抗体を用いてIL−32を定量するのに適した条件下でスクリーニングすることを含む被験者の血清中のIL−32濃度を測定するための方法及びキットも提供する。幾つかの実施態様では被験者は自己免疫疾患患者であり、他の実施態様では被験者は敗血症患者である。幾つかの好ましい実施態様ではスクリーニングは電気化学ルミネッセンスアッセイにより実施され、他の実施態様ではスクリーニングは酵素結合免疫検定法により実施される。幾つかの実施態様では、IL−32反応性抗体はポリクローナル家兎及びヒト−IL−32抗体及びモノクローナルマウス抗ヒトIL−32抗体から選択されるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ヒトA549肺癌細胞における機能性IL−18Rβ鎖の発現及び活性を示す。パネルAは、トランスフェクトA549細胞及び野生型A549細胞におけるIL−18Rβ発現のRT−PCR分析の結果を示す。パネルB及びCはそれぞれ、野生型及びトランスフェントA549細胞におけるIL−18(50ng/ml)刺激に応答した16時間後のIL−6及びIL−8分泌を示すグラフ(N=7)である。パネルDは、IL−18の存在下及び非存在下でのトランスフェクト細胞におけるNK4(IL−32)RNA発現の誘導を示す。
【図2】マウスRaw264.7マクロファージ細胞をポリミキシンBの存在下で組換えIL−32α(TAIF)で処理したときのTNFα発現の誘導をグラフで示す。パネルAは、イオン交換クロマトグラフィー分画中の組換えIL−32αのレベルが処理細胞が分泌したTNFαのレベルと相関していたことを示している。各イオン交換クロマトグラフィー分画は10% SDS−PAGEし、クーマシーブルー染色した後に示されている。パネルBは、細菌において発現させた組換えIL−32αは用量依存的にTNFα発現を誘導したことを示している。パネルCは、哺乳動物細胞において発現させた組換えIL−32αもTNFαの発現を誘導したことを示している。組換えIL−32αの量はイムノブロットにより推定した。
【図3A】4つのIL−32スプライスバリアント(IL−32αは配列番号3として;IL−32βは配列番号4として;IL−32γは配列番号5として;IL−32δは配列番号6として開示されている)のオープンリーディングフレームのDNA配列のアラインメントを示す。アラインメントをEMBnetのSwissノードのウェブサイト上で入手可能なClustalWプログラムを用いて実施し、手動で補正した。Myr及びGlyはそれぞれ可能性あるN−ミリストイル化またはN−グリコシル化部位を示す。
【図3B】4つのIL−32スプライスバリアント(IL−32αは配列番号3として;IL−32βは配列番号4として;IL−32γは配列番号5として;IL−32δは配列番号6として開示されている)のオープンリーディングフレームのDNA配列のアラインメントを示す。アラインメントをEMBnetのSwissノードのウェブサイト上で入手可能なClustalWプログラムを用いて実施し、手動で補正した。Myr及びGlyはそれぞれ可能性あるN−ミリストイル化またはN−グリコシル化部位を示す。
【図4】パネルAには、4つのヒトIL−32スプライスバリアント(IL−32αは配列番号7として;IL−32βは配列番号8として;IL−32γは配列番号9として;IL−32δを配列番号10として開示されている)のアラインメント及び幾つかの哺乳動物種からのIL−32βタンパク質配列(ヒト配列は配列番号8として;ウマ配列は配列番号16として;ウシ配列は配列番号17として開示されている)のアラインメントを示す。アラインメントをEMBnetのSwissノードのウェブサイト上で入手可能なプログラムを用いて実施し、手動で補正した。
【図5】染色体16p13.3上のヒトIL−32遺伝子の構造を示す。エキソンは点刻ボックスで示されている。IL−32遺伝子の図の上及び下の数字は8個のエキソンを表し、この5kbゲノム断片の配列は配列番号11として本明細書中に示す。4つのIL−32バリアント(α、β、γ及びδ)のスプライシングも示す。
【図6】rIL−32がマクロファージ細胞(Raw)及び単球(THP−1)において炎症誘発性サイトカインを誘導することを示している。パネルAは、大腸菌で産生したrIL−32αは用量依存的にMIP−2及びTNFαの両方の分泌を誘導することを示している。IL−32濃度をx軸に単位/mlで示す。パネルBは、IL−32α(10U/ml)及びIL−32β(10U/ml)バリアントはマウスRaw264.7マクロファージ細胞を活性化することを示している。パネルCは、IL−32βの各種ソースにより誘導されたヒト及びマウスTNFαのグラフである。Raw細胞及びPMA分化THP−1細胞を1U/mlのAnjou65及びCos−7S、または2U/mlのCos7−Tで処理した。大腸菌中で産生したIL−32α及び哺乳動物細胞中で産生したIL−32βはPMA分化THP−1細胞において用量依存的にTNFα発現を誘導した。パネルEは、高濃度の大腸菌rIL−32(20U/ml)または哺乳動物rIL−32β(Anjou65,10U/ml)は未分化THP−1細胞においてIL−8分泌を誘導することを示している。
【図7】大腸菌rIL−32及び哺乳動物rIL−32活性が抗IL−32Fab(32−4)処理により中和されることを示している(3つの別々の実験の平均値±SEM)。パネルAは、大腸菌rIL−32α(3U/ml)及び抗IL−32 Fabの存在下で培養したマウスRaw細胞によるTNFα分泌の用量依存的減少を示している。パネルBは、哺乳動物(Cos7−S)rIL−32β(2U/ml)誘導mTNFα分泌が抗IL−32 Fab(40ng/ml)により抑制されたことを示している。
【図8】mRNA6レベル及びタンパク質レベルでのIL−32の内因性発現を示す。パネルAは、ノーザンブロットにより測定した各種ヒト組織におけるIL−32 mRNAの発現を示す。左側の数字はmRNAのサイズを示す。パネルBは、可溶性IL−32がウェスタンブロットにより測定して細胞培養上清中に存在していることを示している。安定なA549−RβクローンをIL−18(50ng/ml)またはIL−1β(10ng/ml)の存在下、図示するようにFCSの非存在下で48時間刺激した。上清を収集し、アフィニテイー精製抗IL−32α抗体でプローブした。
【図9】細胞ライゼートにおけるIL−32の検出を示す。IFNγ(100U/ml)、IL−18(50ng/ml)またはIL−1β(10ng/ml)で刺激したときのWish細胞(パネルA)、A549−Rβ細胞(パネルB)及びA549−WT細胞(パネルC)によるIL−32産生を示す。データは4つの独立した実験の1つを示す。Cos7細胞をIL−32α及びIL−32β cDNAで一過性トランスフェクトしたときのIL−32発現をイムノブロットにより細胞培養上清(パネルD)及び細胞ライゼート(パネルE)において検出した。パネルFは、ECLにより測定した上清及びライゼート中のIL−32濃度の比較を示す。データは5つの別々の実験の平均値±SEMを示す。
【図10】内因性IL−32の電気化学ルミネッセンス(ECL)による測定を示す。パネルAでは、図9Bにおいてイムノブロットのために用いた同一サンプル中でECLアッセイによりIL−32が検出された。パネルBでは、IL−12、IL−18またはIL−12+IL−18で処理した後のヒトNK細胞系の上清中でIL−32が検出された。データは4つの別々の実験の平均値±SEMを示す。パネルCでは、ConA誘導IL−32がヒトPBMCの上清及びライゼートの両方で検出された(N=7)。
【図11】マウスRaw264.7マクロファージ細胞をIL−32α(20U/ml)で処理後のIL−32α誘導IκB分解(パネルA)及びp38 MAPKリン酸化(パネルB)を示す。正規化目的で、膜をヤギ抗アクチンまたは家兎抗p38 MAPKでプローブした。
【図12】パネルA及びCにはそれぞれウマIL−32αのアミノ酸配列(配列番号18)及びウマIL−32βのアミノ酸配列(配列番号16)を示し、パネルB及びDにはそれぞれウマIL−32αのcDNA配列(配列番号19)及びウマIL−32βのcDNA配列(配列番号20)を示す。
【図13】パネルA及びCにはそれぞれウシIL−32βのアミノ酸配列(配列番号17)及びウシIL−32γのアミノ酸配列(配列番号22)を示し、パネルB及びDにはそれぞれウマIL−32βのcDNA配列(配列番号21)及びウシIL−32γのcDNA配列(配列番号23)を示す。
【図14】パネルA及びBにはそれぞれヒツジIL−32αのアミノ酸配列(配列番号24)及びcDNA配列(配列番号25)を示す。パネルC及びDにはそれぞれブタIL−32αのアミノ酸配列(配列番号26)及びcDNA配列(配列番号27)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本発明の理解を助けるために、多数の用語及び成句は以下のように定義される。
【0017】
用語「遺伝子」は、ポリペプチド、前駆体またはRNA(例えば、tRNA、siRNA、rRNA等)の産生に必要なコード配列を含む核酸(例えば、DNA)配列を指す。前記ポリペプチドは、完全長または断片の所望活性または機能性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達等)が維持される限り完全長コード配列またはコード配列の一部によりコードされ得る。この用語は、構造遺伝子のコード領域及び遺伝子が完全長mRNAの長さに相当するように5’及び3’の両末端のコード領域に隣接して位置している配列も包含する。コード領域の5’に位置し、mRNA上に存在する配列は5’非翻訳配列と称される。コード領域の3’、すなわち下流に位置し、mRNA上に存在する配列は3’非翻訳配列と称される。用語「遺伝子」は遺伝子のcDNA形態及びゲノム形態を包含する。遺伝子のゲノム形態またはクローンは、「イントロン」、「介在領域」または「介在配列」と称される非コード領域で中断され得るコード領域を含む。イントロンは核または一次転写産物から除去または“スプライシング”され、従ってメッセンジャーRNA(mRNA)転写産物中には存在しない。mRNAは翻訳中新生ポリペプチド中のアミノ酸の配列または順序を特定するように機能する。
【0018】
特に、用語「TAIF遺伝子」及び「IL−32遺伝子」は、完全長IL−32ヌクレオチド配列を指す。しかしながら、この用語はIL−32ヌクレオチド配列の断片及び完全長IL−32ヌクレオチド配列内の他のドメイン(例えば、機能ドメイン)を包含すると意図される。更に、用語「IL−32遺伝子」、「IL−32ヌクレオチド配列」及び「IL−32ポリヌクレオチド配列」はDNA、cDNA及びRNA配列を包含する。
【0019】
本明細書中で使用する場合、用語「プラスミド」は、DNAの小さい独立的に複製する片を指す。また、用語「裸プラスミド」は、通常トランスフェクションに影響を及ぼすために使用される外来材料が欠けているプラスミドDNAを指す。本明細書中で使用する場合、「裸プラスミド」はカルシウム−ホスフェート、DEAE−デキストラン、リポソーム及び/またはポリアミンを実質的に含まないプラスミドを指す。
【0020】
本明細書中で使用する場合、用語「精製された」は、自然環境から取り出された、単離または分離された分子(ポリヌクレオチドまたはポリペプチド)を指す。「実質的に精製された」分子は、天然に結合している他の成分を少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%含まない。
【0021】
用語「組換えDNA」は、分子生物学的技術により一緒に連結されているDNAセグメントからなるDNA分子を指す。また、用語「組換えタンパク質」は、組換えDNAから発現されるタンパク質分子を指す。
【0022】
本明細書中で使用する場合、用語「融合タンパク質」は、2つの遺伝子配列を組み合わせることにより作成されるハイブリッド遺伝子の発現により形成されるタンパク質を指す。通常、これはcDNAを既存遺伝子とインフレームで発現ベクターにクローン化することにより実施される。融合パートナーは、レポーター(例えば、βgal)として作用し得、単離目的のための道具を提供し得(例えば、GST)、またはインビボでタンパク質の半減期を向上させ得る(例えば、IgG Fc)。
【0023】
組換えタンパク質を産生するための適当な系には、原核生物(例えば、大腸菌(Escherichia coli))、酵母(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae))、昆虫(例えば、バキュロウイルス)、哺乳動物(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)、植物(例えば、サフラワー)及び無細胞系(例えば、家兎網状赤血球)が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書中で使用する場合、用語「コード領域」は、mRNA分子の翻訳の結果として新生ポリペプチド中に存在するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を指す。コード領域は真核生物において5’側では開始メチオニンをコードするヌクレオチドトリプレット“ATG”、3’側では終止コドンを特定する3トリプレット(すなわち、TAA、TAG及びTGA)と接している。
【0025】
天然に存在するタンパク質分子に関連してアミノ酸配列を本明細書中に示すとき、用語「アミノ酸配列」及び類似用語、例えば「ポリペプチド」または「タンパク質」はアミノ酸配列が当該タンパク質分子に関連する完全な天然アミノ酸配列に限定されるとは意味しない。
【0026】
用語「野生型」は、天然起源から単離したとき遺伝子または遺伝子産物の特性を有する遺伝子または遺伝子産物を指す。野生型遺伝子は最も頻繁に集団中に見られるものであり、よって任意に遺伝子の「通常」すなわち「野生型」形態を指す。
【0027】
本明細書中で使用する場合、遺伝子または遺伝子産物に関して用語「ミュータント」、「多形」及び「バリアント」は、野生型遺伝子または親遺伝子産物と比較して配列及び/または機能性(すなわち、各種特性)の点での変化を指す。幾つかの好ましい実施態様では、用語「ミュータント」は突然変異の結果として親遺伝子または遺伝子産物とは異なる遺伝子または遺伝子産物を指す。天然及び誘導ミュータントは単離され得ることに注目されたい。これらは、野生型遺伝子または親遺伝子産物と比較して変化した特性を有しているという事実により同定される。加えて、ミュータント遺伝子は実験室において人工的(例えば、部位特異的変異)または合成的に作成され得る。
【0028】
本明細書中で使用する場合、用語「インターロイキン−32」、「IL−32」、「TAIF」、「腫瘍壊死因子α誘導因子」、「NK4」及び「ナチュラルキラー細胞転写物4」は、ヒトIL−32遺伝子(例えば、配列番号11のホモサピエンス)及びその遺伝子産物(例えば、野生型α、β、γ及びδイソ型、並びにそのバリアント)を指す。残基の20%以下(好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、最も好ましくは1%以下)が野生型IL−32配列と異なるIL−32バリアントも本発明の方法及び組成物において使用するのに適している(これには配列番号12として開示されているマウスcDNA断片に対応する遺伝子産物が含まれるが、これに限定されない)。対照的に、本明細書中で使用する場合、用語「NK4」、「TAIF」及び「IL−32」は、肝細胞増殖因子(HGF)の特定アンタゴニスト(Dateら,FEBS Lett.,420:1−6(1997))であるHGF/NK4と称される(または、N末端ヘパリンドメイン及びその後の4つのクリングルドメインについて単にNK4と称される)HGFの内部断片を指さない。
【0029】
本明細書中で使用する場合、用語「ハイブリダイゼーション」は相補的核酸の対形成を指す。ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の結合力)は、核酸間の相補性の程度、関与する条件のストリンジェンシー、形成されるハイブリッドのT及び核酸内のG:C比のような諸因子により影響される。
【0030】
本明細書中で使用する場合、用語「T」は「融点」に関して使用される。融点は、二本鎖核酸分子の集団が一本鎖に半分解離するようになる温度である。核酸のTを計算する式は当業界で公知である。一般的文献に記載されているように、核酸が1M NaClで水溶液中にあるときにはT値の簡単な推定値は式:T=81.5+0.41(%G+C)により計算され得る(例えば、Anderson及びYoung,“Quantitative Filter Hybridization”,Nucleic Acid Hybridization(1985))。他の文献には、Tを算出するために構造及び配列特徴を考慮するより高性能な計算が含まれている。
【0031】
本明細書中で使用する場合、用語「ストリンジェンシー」は、核酸ハイブリダイゼーションを実施する温度、イオン強度及び他の化合物(例えば、有機溶媒)の存在の条件に関して使用される。当業者は「ストリンジェンシー」条件が個別にまたはまとめて記載されているパラメーターを変化させることにより変更され得ることを認識している。「高ストリンジェンシー」条件では、核酸対形成は高頻度の相補的塩基配列を有している核酸断片間でのみ生ずる(例えば、「高ストリンジェンシー」条件下でのハイブリダイゼーションは約85〜100%の同一性、好ましくは約70〜100%の同一性を有するホモログ間で起こり得る)。「中ストリンジェンシー」条件では、核酸対形成は中頻度の相補的塩基配列を有している核酸間で生ずる(例えば、「中ストリンジェンシー」条件下でのハイブリダイゼーションは約50〜70%の同一性を有するホモログ間で起こり得る)。よって、“弱”または“低”ストリンジェンシーの条件は、相補配列の頻度が通常低いので遺伝的に異なる生物から誘導される核酸の場合にしばしば必要である。
【0032】
核酸ハイブリダイゼーションに関して使用される場合、用語「高ストリンジェンシー条件」及び「ストリンジェントな条件」は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いるとき、5×SSPE(43.8g/lのNaCl,6.9g/lのNaHPO・HO及び1.85g/lのEDTA、NaOHでpH7.4に調節)、0.5% SDS、5×デンハート試薬及び100μg/ml 変性サケ精子DNAからなる溶液中での42℃での結合またはハイブリダイゼーション及びその後の0.1×SSPE、1.0% SDSを含む溶液中での42℃での洗浄に等しい条件を含む。
【0033】
核酸ハイブリダイゼーションに関して使用される場合、用語「中ストリンジェンシー条件」は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いるとき、5×SSPE(43.8g/lのNaCl,6.9g/lのNaHPO・HO及び1.85g/lのEDTA、NaOHでpH7.4に調節)、0.5% SDS、5×デンハート試薬及び100μg/ml 変性サケ精子DNAからなる溶液中での42℃での結合またはハイブリダイゼーション及びその後の1.0×SSPE、1.0% SDSを含む溶液中での42℃での洗浄に等しい条件を含む。
【0034】
核酸ハイブリダイゼーションに関して使用される場合、用語「低ストリンジェンシー条件」は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いるとき、5×SSPE(43.8g/lのNaCl,6.9g/lのNaHPO・HO及び1.85g/lのEDTA、NaOHでpH7.4に調節)、0.1% SDS、5×デンハート試薬[50×デンハートは500mlあたり5g Ficoll(タイプ400,Pharmacia)、5g BSA(フラクションV,Sigma)]及び100μg/ml 変性サケ精子DNAからなる溶液中での42℃での結合またはハイブリダイゼーション及びその後の5×SSPE、1.0% SDSを含む溶液中での42℃での洗浄に等しい条件を含む。
【0035】
本明細書中で使用する場合、用語「ノーザンブロット」は、その後のハイブリダイゼーションアッセイで使用するために変性RNAを固体支持体上へ移す方法を指す。通常、全RNAまたはポリA富化RNAをアガロースゲルで電気泳動し、膜に移し、放射性標識したDNAまたはRNA断片を用いてプローブすると、特定のRNA配列が検出される。ノーザンブロットは当業界でルーチンに使用されている(例えば、Thomas,Proc.Natl.Acad.Si.USA,77:5201−5205(1980);及びAusubelら編,Current Protocols in Molecular Biology,ニューヨークに所在のJohn Wiley & Sons,Inc.(1994年)発行参照)。
【0036】
本明細書中で使用する場合、用語「サザンブロット」は、その後のハイブリダイゼーションアッセイで使用するためにアガロース電気泳動により分画した変性DNAを固体支持体に移す方法を指す。この方法は、通常アガロース電気泳動前にゲノムDNAを適当な制限酵素で消化し、このDNAを膜に移し、特定のDNA配列を検出するために放射性標識したDNAまたはRNA断片とインキュベーションすることを含む。サザンブロットは当業界でルーチンに使用されている(Southern,J.Mol.Biol.,98:503−517(1975);及び上掲のAusubel(1994年)参照)。
【0037】
本明細書中で使用する場合、用語「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」は、クローニングまたは精製することなくDNA混合物中の標的配列のセグメントの濃度を高める方法を指す(例えば、参照により本明細書に含まれるとする米国特許第4,683,195号明細書、同第4,683,202号明細書及び同第4,965,188号明細書参照)。この標的配列の増幅方法は、大過剰の2つのオリゴヌクレオチドプライマーを所望標的細胞を含むDNA混合物に導入した後DNAポリメラーゼの存在下で熱サイクルを正確に繰り返すことを含む。前記した2つのプライマーは2本鎖標的配列の各鎖に対して相補性である。増幅を実施するためには、混合物を変性し、その後プライマーを標的分子内の相補性配列にアニーリングする。アリーリング後、プライマーをポリメラーゼを用いて延長させて新しい対の相補鎖を形成する。この変性、プライマーアニーリング及びポリメラーゼ延長のステップ(すなわち、変性、アニーリング及び延長が1“サイクル”を構成する)を複数回繰り返すと、所望標的配列の増幅セグメントが高濃度で得られ得る。所望標的配列の増幅セグメントの長さは、プライマーの相互の相対位置により決められ、従ってこの長さは制御可能なパラメーターである。前記プロセスの反復性により、この方法は「ポリメラーゼ連鎖反応(以下、“PCR”)」と称される。標的配列の所望増幅セグメントは(濃度の点で)混合物中の優勢な配列となるので、これらのセグメントは“PCR増幅される”ものである。鋳型がRNAの場合、逆転写(RT)ステップは増幅サイクル前に意図される。よって、この変法は“RT−PCR”と称される。
【0038】
用語「抗体」はポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を指す。当該タンパク質またはその断片に対する免疫反応の結果として動物において形成されるポリクローナル抗体は、その後公知方法を用いて血液から容易に単離され、例えばカラムクロマトグラフィーにより精製され得る。モノクローナル抗体も公知方法(例えば、Winter及びMilstein,Nature,349:293−299(1991)参照)により作成され得る。本明細書中で使用する場合、用語「抗体」は、組換え技術で作成し、修飾された抗体及びその抗原結合断片、例えばキメラ抗体、ヒト化抗体、多機能抗体、二重特異性またはオリゴ特異性抗体、一本鎖抗体及びF(ab)またはF(ab)断片を包含する。抗体に関して使用される用語「反応性」は、抗体が当該抗原に結合できることを意味する。例えば、IL−32反応性抗体は、IL−32またはIL−32断片に結合する抗体である。
【0039】
用語「ドミナントネガティブミュータント」は、野生型活性を欠くが、基質、受容体等に関して野生型分子と効果的に競合し、よって野生型分子の活性を阻害する分子を指す。好ましい実施態様では、用語「IL−32ドミナントネガティブミュータント」は、IL−32受容体に関して野生型IL−32タンパク質と競合するが、IκBの分解、p38 MAPKのリン酸化及びTNFα産生のような下流効果を誘導できないIL−32ミュータントタンパク質を指す。適当なドミナントネガティブIL−32ミュータントはランダムIL−32ミュータントのライブラリーから選択され得、またはTNF系(Steedら,Science,301:1895−1898(2003))に記載されているように合理的に設計され得る。
【0040】
ヌクレオチド配列に関して使用される場合、用語「一部」は、10ヌクレオチド〜全ヌクレオチド配列−1ヌクレオチドのサイズを有する前記配列の断片を指す。
【0041】
本明細書中で使用する場合、用語「生物学的に活性な」は、野生型IL−32分子の構造、調節及び/または生化学的機能を有する分子を指す。幾つかの例では生物学的に活性な分子は哺乳動物IL−32分子のホモログであり、他の例では生物学的に活性な分子は哺乳動物IL−32分子の一部である。本発明の組成物及び方法に使用される他の生物学的に活性な分子には、ミュータント(例えば、少なくとも1つの欠失、挿入または置換を有するミュータント)哺乳動物IL−32分子が含まれるが、これに限定されない。生物学的活性は、例えば実施例に記載されているインビトロでのTNF−α誘導を測定することにより調べられる。
【0042】
本明細書中で使用する場合、用語「動物」は、細胞壁及びクロロフィルの不在及び自発運動能力の点で植物細胞とは異なる細胞を有する生物を含む動物界のメンバーを指す。本発明の好ましい実施態様は、主に動物界の脊椎動物(脊柱または脊索)メンバーである。
【0043】
用語「患者」及び「被験者」は、医学的治療を受ける候補者である哺乳動物(ヒトまたは動物)を指す。
【0044】
用語「対照」は、実験被験者またはサンプルを比較するための基礎を与える被験者またはサンプルを指す。例えば、対照被験者またはサンプルを用いると、実験手順の有効性が確認できる。幾つかの実施態様では、用語「対照被験者」は偽治療(例えば、PBS単独または食塩液中正常家兎IgG)を受ける動物を指す。
【0045】
用語「サンプル」及び「試料」は広義で使用される。この用語は試料または培養物を含むと意味する一方、この用語は生物学的及び環境サンプルの両方を含むと意味する。この用語にはヒト及び他の動物から得られるあらゆるタイプのサンプルが包含され、体液(例えば、尿、血液、便、脊髄液、精液、唾液及び創傷滲出液)及び固体組織が含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、これらの例は本発明に適用されるサンプルの種類を限定すると解釈されない。
【0046】
本明細書中で使用する場合、用語「白血球」は、身体が感染及び他の疾患と戦うのを助ける白血球と称される細胞を指し、顆粒球(例:好中球、好酸球、好塩基球)、単核食細胞及びリンパ球(例:B細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞)が例示される。
【0047】
本明細書中で使用する場合、用語「単球」は、後に組織に移出し、マクロファージに分化する血液中に循環している単核食細胞を指す。用語「マクロファージ」は、血液単球から誘導される哺乳動物組織の比較的長命の食細胞を指す。異なる部位からのマクロファージは明らかに異なる特性を有する。主タイプは腹腔及び肺胞マクロファージ、組織マクロファージ(組織球)、肝臓のクッパー細胞及び破骨細胞である。マクロファージは、幾つかの細菌、原生細胞及び腫瘍細胞の死滅、免疫系の他の細胞を刺激する物質の放出及びプロセス抗原のTリンパ球への提示において重要な役割を発揮する。
【0048】
本明細書中で使用する場合、用語「炎症」は、血流及び白血球の組織への進入の多さを特徴とし、膨潤、発赤、高い温度及び痛みが生ずることを特徴とする外傷に対する組織応答を指す。
【0049】
本明細書中で使用する場合、用語「症状」は、病気または患者の状態(例えば、幾つかの身体的または精神状態を示す患者の状態の変化)の主観的証拠を指す。
【0050】
例えば、炎症性腸疾患(IBD)の関係における成句「炎症の症状」は、本明細書において腹痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱、食欲不振及び他の重大な合併症(例えば、脱水、貧血及び栄養不良)のような症状が含まれると定義されるが、これらに限定されない。多くの症状は定量分析(例えば、体重減少、発熱、貧血等)を受ける。幾つかの症状は血液検査(例えば、貧血)または血液の存在(例えば、直腸出血)を検出する検査から容易に判明する。
【0051】
また、IBDの関係における成句「症状が軽減する状態で」は、IBDの検出可能な症状が定性的または定量的に軽減する程度を指し、病気からの回復度(例えば、体重増加率)または腹痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱、食欲不振、脱水、貧血、膨張、線維化、炎症腸管及び栄養不良の症状の少なくとも1つの軽減に対する検出可能な影響が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
用語「自己免疫疾患」は、多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性神経障害(例えば、ギラン−バレー)、自己免疫性ぶどう膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、1型糖尿病、グレーブス病、橋本病、自己免疫性卵巣炎及び睾丸炎、側頭動脈炎、抗リン脂質症候群、脈管炎(例えば、ウェグナー肉芽腫症)、ベーチェット病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、脊椎関節症(例えば、強直性脊椎炎)、シェーグレン症候群、乾せん、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡及び白斑が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書中で使用する場合、用語「関節リウマチ」及び「RA」は、関節が破壊している慢性炎症性疾患を指す。RAは、免疫複合体が関節に形成され、炎症性応答(複合体媒介過敏反応)を促す自己免疫疾患と見なされる。細胞媒介(IV型)過敏反応も起こり、その結果マクロファージが蓄積し、滑膜が破壊する。
【0054】
本明細書中で使用する場合、用語「IBD」及び「炎症性腸疾患」は幾つかの病的プロセス、最も一般的には潰瘍性大腸炎及びクローン病を包含する一般的用語である。
【0055】
本明細書中で使用する場合、用語「クローン病」は胃腸管の炎症性疾患を指す。一般的症状には、再発する腹痛、発熱、悪心、嘔吐、体重減少、及び時々血が混じる下痢が含まれる。
【0056】
用語「化合物」及び「薬物候補」は、身体機能の疾患、病気、疾病または障害を治療または予防するために使用され得る化学的または生物学的単位(例えば、医薬品、薬物等を含む)を指す。化合物は公知の治療用化合物及び潜在的な治療用化合物を含む。化合物はスクリーニングにより、例えば本発明のスクリーニング方法を用いて治療用であるかが調べられ得る。「公知の治療用化合物」は、治療または予防において有効であることが(例えば、動物実験によりまたはヒトに投与した今までの経験で)立証されている治療用化合物を指す。
【0057】
本明細書中で使用する場合、用語「アゴニスト」は、「天然」または「自然」化合物の作用に似せた分子または化合物を指す。アゴニストはコンフォメーション、電荷または他の特性に関して天然化合物と相同であり得る。よって、アゴニストは細胞表面で発現する受容体により認識され得る。この認識により、天然化合物が存在していたのと同様に細胞がアゴニストの存在と反応するように細胞内で生理学的及び/または生化学的変化が生じ得る。アゴニストには、IL−32結合タンパク質に結合または相互作用するタンパク質、核酸、炭水化物または他の分子が含まれ得る。
【0058】
本明細書中で使用する場合、用語「アンタゴニスト」及び「阻害剤」は、「天然」または「自然」化合物の作用を抑制する分子または化合物を指す。アンタゴニストはコンフォメーション、電荷または他の特性に関して天然化合物と相同であってもなくてもよい。よって、アンタゴニストは、アゴニストが認識する同一または異なる受容体により認識され得る。アンタゴニストは、アゴニストの作用を防止する(例えば、天然IL−32がIL−32受容体に結合するのを防止する)アロステリック効果を有し得る。アゴニストと対照的に、アンタゴニスト化合物は、あたかも天然化合物が存在していたようにして細胞がアゴニストに対して反応するようには細胞内で生理学的及び/または生化学的変化を生じさせない。アンタゴニスト及び阻害剤には、IL−32結合タンパク質に結合または相互作用するかまたは機能的IL−32マルチマーの形成を防止するタンパク質、核酸、炭水化物または他の分子が含まれ得る。
【0059】
本明細書中で使用する場合、用語「調節する」は生物学的活性の変化または変更を指す。調節はタンパク質活性の上昇または低下、結合特性の変化、またはタンパク質または他の興味深い構造物の活性に関連する生物学的、機能的または免疫学的特性の他の変化であり得る。
【0060】
発明の説明
インターロイキン18(IL−18)は、先天性及び適応免疫応答の両方において役割を有する多機能サイトカインである。IL−18は、広範囲のTh1またはTh2関連自己免疫疾患における効果について研究されてきた(Okamuraら,Nature,378:88−91(1995);Nakanishiら,Cytokine Growth Factor Rev.,12:53−72(2001);Okamuraら,Adv.Immunol.,70:281−312(1998))。IL−1及びIL−18は構造類似性を有するIL−1ファミリーに属し、プロセシングのためにカスパーゼ1を必要とする(Bazanら,Nature,379:591(1996);及びGuら,Science,275:206−209(1997))。IL−18はまた、IL−1受容体関連キナーゼ(IRAK)の補充、腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連因子6とのIRAK複合体の形成及びIκBα/NF−κBのカスケードの活性化を含めた類似のシグナル伝達経路を誘因する(Kojimaら,Biochem.Biophys,Res.Commun.,244:183−186(1998);Matsumotoら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,234:454−457(1997);及びRobinsonら,Immunity,7:571−581(1997))。IL−1サイトカインファミリーのメンバーは自己免疫疾患及び炎症性疾患において病理学的役割を発揮すると考えられている。なぜならば、IL−1及びIL−18活性を阻止すると関節リウマチ及び全身炎症を持っている被験者の病気重篤度を低下させるからである(Arend,Adv.Immunol.,54:167−227(1993);Dinarello,Blood,87:2095−2147(1996);Novickら,Immunity,10:127−136(1999);及びBandaら,J.Immunol.,170:2100−2105(2003))。しかしながら、ヒトNK及びKG−1細胞系のような少数の細胞系しかIL−18に応答しないのでIL−18誘導遺伝子の研究を妨げるものがある。加えて、これらの細胞系はIL−18に応答するが、IL−18応答性を発現させるためには補助刺激因子、例えばIL−2、IL−12またはIL−15を必要とする(Ahnら,J.Immunol.,195:2125−2131(1997);Ohtsukiら,Anticancer Rev.,17:3253−3258(1997);Lauwerysら,J.Immunol.,165:1847−1853(2000);及びHoshinoら,J.Immunol.,162:51−59(1999))。補助刺激因子が必要なことから、遺伝子発現のIL−18誘導の独立評価が妨げられる。
【0061】
IL−18は2つの公知受容体鎖、すなわちリガンド結合IL−18Rα鎖及びシグナル伝達IL−18Rβ鎖を有する。IL−18受容体の両鎖はIL−1受容体ファミリーに属し、細胞外領域中の3つのIg様ドメインから構成されている(Katoら,Nat.Struct.Biol.,10:966−971(2003);及びYamamotoら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,317:181−186(2004))。IL−18調節に関与する追加成分はIL−18結合タンパク質(IL−18BP)である。IL−18BPはIL−18シグナル伝達複合体の一部ではなく、むしろIL−18活性を拮抗させる(Kimら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,97:1190−1195(2000);及びNovickら,Immunity,10:127−136(1999))。IL−18BPは単一Ig様ドメインからなる分泌受容体様分子である。IL−18BPはウイルスタンパク質と高い相同性を有し、ヒトIL−18の生物学的活性を中和する(Xiang及びMoss,Virology,257:297−302(1999);Reading及びSmith,J.Virol.,77:9960−9968(2003);Esteban及びBuller,Virology,323:197−207(2004);及びEstebanら,J.Gen.Virol.,85:1291−1299(2004))。
【0062】
補助刺激剤の非存在下では、IL−18Rβ鎖は全くまたは殆ど発現しないので非免疫細胞はIL−18に応答しない(Thomassenら,J.Interferon Cytokine Res.,18:1077−1088(1998);及びChandrasekarら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,303:1152−1158(2003))。従って、IL−18シグナルの伝達のためにはこの受容体成分が必要であるので、IL−18Rβ鎖を発現する安定なクローンを作成しなければならなかった(上掲のThomassentら(1998);及びKimら,J.Immunol.,166:148−154(2001))。IL−18Rβ鎖の安定な発現はヒト肺癌A549細胞(A549−Rβ)において実現され、前記細胞を補助刺激の非存在下でもIL−18に応答性とする。安定なA549−Rβクローンはマイクロアレー分析によりIL−18誘導遺伝子を同定するために使用された。実施例1に記載されていたマイクロアレー研究で、12年前はナチュラルキラー細胞転写物4または単にNK4として記載されていたサイトカイン様分子のIL−18誘導が分かった(Dahlら,J.Immunol.,148:597−603(1992))。用語「NK4」は現在は肝細胞成長因子のバリアントを表すために使用されていることに留意すべきである(Martinら,J.Cell Physiol.,192:268−275(2002))。肝細胞成長因子バリアントとNK4/IL−32転写物の間に配列相同性はない。より最近では、悪性メラノーマのために高量のIL−12治療を受けている患者からのPBMCで高いNK4発現が報告されている(Panelliら,Genome Biol.,3(7):RESEARCH0035(2002))が、NK4の機能は本発明の開発に至るまで未知のままであった。
【0063】
実施例に詳記するように、インターロイキン32(IL−32)または腫瘍壊死因子α誘導因子(TAIF)と称される新規な炎症性サイトカインがA549−Rβ細胞のマイクロアレー分析から同定された。加えて、IL−32の遺伝子構造、発現パターン及び機能も解明された。本発明が開発されるまで、IL−32の単一イソ型(TAIFγ/NK4)は機能が未知のリンパ球転写物として記載されていた(Dahlら,J.Immunol.,148:597−603(1992))。前記転写物は、家族性地中海熱遺伝子座内またはそれに隣接しているヒト染色体16p13.3から転写された(Bernotら,Genomics,50:147−160(1998))。本明細書中に記載されているように、IL−32は、公知のサイトカインファミリーとの配列相同性を欠いているが、TNFα分泌を誘導し、公知の炎症誘発性サイトカインの古典的経路を介してシグナル伝達する能力により明らかにサイトカインである。更に、IL−32は、IL−32調節における類似性及び明白なシグナルペプチドがない点でIL−1サイトカインファミリーのメンバーであると見なされる(Ghayurら,Nature,386:619−623(1997);Cerrettiら,Science,256:97−100(1992);及びKuidaら,Science,267:2000−2003(1995))。加えて、IL−1及びIL−18のように、IL−32は主に刺激細胞から分泌される。本明細書中で最初に示したように、IL−32は典型的な炎症誘発性サイトカインシグナル伝達経路NFκB及びp38 MAPKを誘因し、それにより炎症誘発性サイトカインTNFαの産生が誘導される。同様に、IL−1β、IL−18及びLPSはIL−32発現を誘導し、活性化NKまたはT細胞におけるNK4の元の記載とは異なり、各種臓器で偏在性IL−32発現が観察された。IL−32発現パターンは各種組織により産生されるIL−15と似ている。これは、専ら活性化T細胞により産生されるIL−2と対照的である(Bamfordら,Proc.Natl.Aad.Sci.USA,93:2897−2902(1996);及びGrabsteinら,Science,264:965−968(1994))。
【0064】
IL−32によるTNFαの誘導から、このサイトカインが自己免疫/炎症性疾患病因において重要な役割を有することが分かる。本発明が開発されるまで、(健康人の血清中で観察されたIL−32レベルと比較して)数人の敗血症患者の循環中で高レベルのIL−32が観察されることも示されていなかった。すなわち、IL−32活性を阻止することが、有効なTNFαブロック手法(Davisら,Ann.Rhem.Dis.,59Suppll:141−3(2000);及びShanahan及びStClair,Clin.Immunol.,103:231−242(2002))と同様に各種自己免疫疾患における非常に有効な治療アプローチであると考えられる。IL−32を主成分とする組成物は癌の治療及びTNFα産生を含む細胞死またはアポトーシスの誘導が有効である他の疾患において使用されるであろうとも考えられる。
【0065】
加えて、マウスRaw264.7マクロファージ細胞系はIL−32受容体を発現し、この受容体はIL−32により結合したとき活性化される(細胞外IL−32機能)と考えられている。しかしながら、IL−32が細胞ライゼート中でも検出されたので、IL−32は細胞内機能を有しているとも考えられる。よって、IL−32は、IL−1α(Stevensonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:508−513(1997))及び高易動性グループ1(Wangら,Science,285:248−251(1999))に類似の細胞内及び細胞外タンパク質として活性であると考えられる。
【0066】
明白なシグナルペプチドの非存在下でのIL−32の分泌は幾つかのサイトカインファミリーの特徴である(Cerrettiら,Science,256:97−100(1992);Kuidaら,Science,267:2000−2003(1995);及びGhayurら,Nature,386:619−623(1997))。IL−1β及びIL−18と同様に、IL−32は刺激一次細胞の細胞培地及び細胞系中に可溶性タンパク質として分泌される。IL−32は一次配列分析により可能性あるカスパーゼ1切断部位を持たず、新しいスプライスバリアントが見つかったが、いずれもN末端に典型的な疎水性シグナルペプチドを有していない。
【0067】
複数の種中でのIL−32の存在は、炎症の調節において重要な役割を果たすと考えられる進化的に保存された分子の証である。数少ないIL−32イソ型は他の哺乳動物種で同定されたが、この結果はこれらの種でのESTの相対欠乏を反映し得る。また、マウスIL−32ホモログの広範囲の研究は不成功に終わった。しかしながら、ウマ及びウシIL−32ホモログはヒトIL−32と31.8〜28.1%の配列同一性しか有していないので、推定マウスIL−32遺伝子がヒト遺伝子と非常に低い相同性を有している可能性がある。
【0068】
本発明の幾つかの好ましい実施態様、すなわち(I)IL−32ポリヌクレオチド、(II)IL−32ポリペプチド、(III)IL−32抗体、(IV)IL−32ポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体を含む医薬組成物、及び(V)IL−32阻害剤の同定方法を以下のセクションで記載する。
【0069】
I. IL−32ポリヌクレオチド
本発明は、IL−32タンパク質、ホモログ、バリアント及びミュータント(例えば、配列番号3、4、6)をコードする核酸を提供する。幾つかの実施態様では、本発明は、ハイブリダイズし得るポリヌクケオチド配列が天然IL−32遺伝子のTNFα誘導活性を維持しているタンパク質をコードする限り、高ストリンジェシー条件下で配列番号3、4、6にハイブリダイズし得るポリヌクレオチド配列を提供する。幾つかの実施態様では、天然IL−32遺伝子のTNFα誘導活性を保持しているタンパク質は野生型IL−32と80%相同、好ましくは90%相同、より好ましくは95%相同、最も好ましくは99%相同である。特に好ましい実施態様では、IL−32生物活性を保持しているタンパク質は連続アミノ酸配列LKARMHQAIERFYDKMQNAESGRGQV(配列番号13)をコードし、野生型IL−32(IL−32α、IL−32β、IL−32γ、IL−32δ)と99%相同である核酸配列を含む。幾つかの好ましい実施態様では、核酸配列は配列番号14に記載のアミノ酸配列をコードしない。これらの実施態様のサブセットでは、核酸配列は配列番号15(エキソン4に隣接してエキソン3)に記載されている配列を含む。好ましい実施態様では、ハイブリダイゼーション条件は核酸結合複合体の融点(T)に基づき、定義のセクションで上記した定義「ストリンジェンシー」を与える。
【0070】
本発明の他の実施態様では、IL−32の対立遺伝子を提供する。好ましい実施態様では、対立遺伝子は突然変異(例えば、核酸配列の変化)により生じ、通常構造または機能が変更されているまたは変更されていない変更mRNAまたはポリペプチドを生じる。所与の遺伝子は、対立遺伝子形態を、含まず、1つ含み、多数含み得る。対立遺伝子を生ずる一般的な突然変異変化は、通常核酸の欠失、付加または置換の結果と見なされる。これらの変化の各々は単独でまたは他の変化と組み合わせて、所与の配列で1回以上の割合で生じ得る。
【0071】
本発明の他の実施態様では、本発明のヌクレオチド配列は、いろいろな理由でIL−32コード配列を変化させるように工学操作され得る。前記理由には、遺伝子産物のクローニング、プロセシング及び/または発現を修飾する変更が含まれるが、これに限定されない。例えば、突然変異は当業界で公知の技術(例えば、新しい制限部位の挿入、グリコシル化パターンの変更、コドン優先度の変化等のための部位特異的変異)を用いて導入され得る。
【0072】
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を例えば置換、欠失または付加により変更した修飾ペプチドが産生され得る。幾つかの好ましい実施態様ではこれらの修飾は修飾IL−32(例えば、IL−32アゴニスト)のTNFα誘導活性に大きな影響を与えず、他の好ましい実施態様ではこれらの修飾は修飾IL−32(例えば、IL−32アンタゴニスト)のTNFα誘導活性を除去する。換言すると、所与の構築物は、構造的よりはむしろ機能的に規定される本発明の修飾またはバリアントIL−32の属のメンバーであるかどうかを調べるために評価され得る。好ましい実施態様では、バリアントまたはミュータントIL−32の活性は実施例2に記載されている方法(TNFα誘導)により評価される。
【0073】
更に、上記したように、IL−32のバリアント形態も本明細書に詳記されているペプチド及びDNA分子と均等であると見なされる。例えば、ロイシンをイソロイシンまたはバリンでの分離置換、アスパルテートのグルタメートでの分離置換、スレオニンをセリンでの分離置換、またはアミノ酸を構造的に関連しているアミノ酸での類似置換(すなわち、保存的突然変異)は生じる分子の生物学的活性に大きな影響を及ぼさないと考えられている。従って、本発明の幾つかの実施態様は保存的置換を含む本明細書に記載されているIL−32のバリアントを提供する。保存的置換は側鎖に関連あるアミノ酸のファミリー間で起こるものである。遺伝的にコードされるアミノ酸は4つのファミリー、すなわち(1)酸性(アスパルテート、グルタメート)、(2)塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、(3)非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)及び(4)非帯電性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)に分類され得る。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは時々芳香族アミノ酸としてまとめて分類されている。同様に、アミノ酸レパートリーは、(1)酸性(アスパルテート、グルタメート)、(2)塩基性(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、(3)脂肪族(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン)、セリン及びスレオニンは場合により脂肪族−ヒドロキシとして別に分類される、(4)芳香族(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)、(5)アミド(アスパラギン、グルタミン)及び(6)硫黄含有(システイン及びメチオニン)として分類され得る(例えば、Styer編,Biochemistry,p.17−21,第2版,WH Freeman and Co.(1981年)発行)。ペプチドのアミノ酸配列の変化が機能的ホモログを生ずるかどうかは、バリアントペプチドが野生型タンパク質と同様に機能する能力を評価することにより容易に調べることができる。1つ以上の置換を有するペプチドは同様にして容易に検査することができる。
【0074】
非常にまれに、バリアントは“非保存的”変化(例えば、グリシンのトリプトファンでの置換)を含む。相似のマイナーな変化はアミノ酸欠失及び/または挿入をも含み得る。生物学的活性を無効にすることなくいずれのアミノ酸を置換、挿入または欠失し得るかを決めるガイダンスはコンピュータープログラム(例えば、ウィスコンシン州マディソンに所在のDNASTAR Inc.製LASERGENE)を用いて見つけることができる。
【0075】
II. IL−32ポリペプチド
他の実施態様では、本発明はIL−32ポリペプチド配列をコードするIL−32ポリヌクレオチド配列を提供する。IL−32ポリペプチド(例えば、配列番号7、8、10)は図4に記載されている。本発明の他の実施態様はIL−32タンパク質の断片、融合タンパク質または機能的均等物を提供する。本発明の更に他の実施態様では、各種IL−32ホモログ及びミュータントに相当する核酸配列は適当な宿主細胞においてIL−32ホモログ及びミュータントを発現させる組換えDNA分子を作成するために使用され得る。本発明の幾つかの実施態様ではポリヌクレオチドは天然精製産物であり得、他の実施態様ではポリペプチドは化学合成手順の生成物であり得、更に他の実施態様ではポリペプチドは原核または真核宿主を用いて(例えば、培養されている細菌、酵母、高級植物、昆虫及び哺乳動物により)産生され得る。幾つかの実施態様では、組換え産生法で使用される宿主に応じて、本発明のポリペプチドはグリコシル化されていても、またはグリコシル化されていなくてもよい。他の実施態様では、本発明のポリペプチドは当初のメチオニンアミノ酸残基をも含み得る。
【0076】
本発明の1実施態様では、遺伝コードの固有縮重のために配列番号3、4及び6のポリヌクレオチド配列以外であり、実質的に同一または機能的に均等なアミノ酸配列をコードするDNA配列がIL−32をクローン化し、発現させるために使用され得る。
【0077】
(A) IL−32の産生のためのベクター
本発明のポリヌクレオチドは、ポリペプチドを組換え技術により産生するために使用され得る。例えば、ポリヌクレオチドはポリペプチドを発現させるための各種発現ベクターの1つに組み込まれ得る。本発明の幾つかの実施態様では、ベクターには染色体、非染色体及び合成DNA配列(例えば、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA;バキュロウィルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組み合わせから誘導されるプラスミド、ウイルスDNA(例:ワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス及び仮性狂犬病))が含まれるが、これらに限定されない。宿主において複製可能であり、生存可能である限り、任意のベクターが使用できると考えられる。
【0078】
特に、本発明の幾つかの実施態様は上に広く説明した配列(例えば、配列番号3、4、6)の1つ以上を含む組換え構築物を提供する。本発明の幾つかの実施態様では、構築物はベクター、例えばプラスミドまたはウイルスベクターを含み、このベクターには本発明の配列が順または逆方向に挿入されている。更に別の実施態様では、異種構造配列が翻訳開始及び停止配列と適当な相中で合体されている。本発明の好ましい実施態様では、適当なDNA配列が各種手順を用いてベクターに挿入される。通常、DNA配列は適当な制限エンドヌクレアーゼ中に当業界で公知の手順により挿入される。
【0079】
多数の適当なベクターが当業界で公知であり、市販されている。前記ベクターには、
1)細菌ベクター:pQE70、pQE60、pQE−9(Qiagen)、pBS、pD10、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pBSKS、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene);ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、及び
2)真核ベクター:pWLNEO、pSV12CAT、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)
が含まれるが、これらに限定されない。宿主中で複製可能であり、製造可能である限り、他のプラスミドまたはベクターも使用可能である。本発明の幾つかの実施態様では、哺乳動物発現ベクターは複製起点、適当なプロモーター及びエンハンサー、更に必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、転写終結配列及び5’フランキング非転写配列を含む。他の実施態様では、SV40スプライスに由来するDNA配列及びポリアデニル化部位が必要な非転写遺伝因子を与えるために使用され得る。
【0080】
(B) IL−32産生のための宿主細胞
更なる実施態様で、本発明は上記構築物を含む宿主細胞を提供する。本発明の幾つかの実施態様では、前記宿主細胞は高級真核細胞(例えば、哺乳動物または昆虫細胞)である。本発明の他の実施態様では、宿主細胞は下級真核細胞(例えば、酵母細胞)である。本発明の更に別の実施態様では、宿主細胞は原核細胞(例えば、細菌細胞)であり得る。宿主細胞の具体例には大腸菌、ねずみチフス菌(Salmonella typhimurium)、枯草菌、シュードミナス属、ストレプトミセス属、ストレプトコッカス属及びスタフィロコッカス属中の各種種、並びにサッカロミセス・セレビシエ、分裂酵母(Schizosaccharomycees pombe)、ショウジョウバエS2細胞、ヨトウSf9細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、サル腎臓線維芽細胞のCOS−7株、C127、3T3、293、293T、ヒーラ細胞及びBHK細胞系が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
宿主細胞中の構築物は、組換え配列によりコードされる遺伝子産物を産生するための慣用の方法で使用され得る。幾つかの実施態様では、構築物の宿主細胞への導入はリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクションまたはエレクトロポレーションにより実施され得る。或いは、幾つかの実施態様では、IL−32ポリペプチドは慣用のペプチド合成装置を用いて産生される。
【0082】
(C) IL−32の精製
本発明はまた、組換え細胞培養物からIL−32を回収し、精製するための方法を提供する。これらの方法には硫酸アンモニウムまたはエタノール沈降、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレシチンクロマトグラフィーが含まれるが、これらに限定されない。本発明の他の実施態様では、必要に応じて、成熟タンパク質の立体配置を完成させる際にタンパク質リフォルディングステップを使用し得る。本発明の更に他の実施態様では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が最終精製ステップのために使用され得る。
【0083】
本発明は更に、本発明のポリペプチドを精製できる、コード配列がマーカー配列にインフレームで融合されているポリヌクレオチドを提供する。マーカー配列の非限定例は、ベクター、好ましくはpQE−9ベクターにより供給され得るヘキサヒスチジンタグであり、細菌宿主ではマーカーに融合されているポリペプチドが精製される。または、哺乳動物細胞(例えば、COS−7細胞)を使用するときにはマーカー配列は赤血球凝集素(HA)タグであり得る。
【0084】
(D) IL−32融合タンパク質
本発明はまた、IL−32の全部または一部を含む融合タンパク質を提供する。従って、本発明の幾つかの実施態様では、ポリペプチドのコード配列は、異なるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む融合遺伝子の一部として導入され得る。このタイプの発現系は、IL−32タンパク質の免疫原性断片を産生したい状況下で使用されると考えられる。
【0085】
免疫原性を高めるために融合タンパク質を使用することに加えて、融合タンパク質はタンパク質(例えば、本発明のIL−32タンパク質)の発現を促進させ得ると広く認められている。従って、本発明の幾つかの実施態様では、IL−32はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(すなわち、GST融合タンパク質)として作成され得る。このGST融合タンパク質により、例えばグルタチオン誘導化マトリックスを用いることによりIL−32を容易に精製できると考えられる。本発明の別の実施態様では、精製リーダー配列をコードする融合遺伝子、例えばIL−32の所望部分のN末端のポリ−(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列により、発現IL−32融合タンパク質をNi2+金属樹脂を用いるアフィニティークロマトグラフィーにより精製できる。本発明の更に別の実施態様では、その後精製リーダー配列はエンテロキナーゼでの処理により除去され得る。
【0086】
(E) IL−32バリアント
本発明の更に他の実施態様はIL−32のミュータントまたはバリアント形態を提供する。治療または予防効果、または安定性(例えば、エキソビボの保存寿命及び/またはインビボでのタンパク質分解に対する耐性)を高めるような目的でIL−32の活性を有するペプチドの構造を修飾させることができる。この修飾ペプチドは本明細書で定義されているIL−32タンパク質の活性を有するペプチドの機能均等物と見なされる。アミノ酸置換、欠失または付加等によりアミノ酸配列が変更されている修飾ペプチドが産生され得る。幾つかの実施態様では好ましいIL−32バリアントにはIL−32アゴニスト(例えば、TNFα誘導活性を有するIL−32バリアント)が含まれ、他の好ましいIL−32バリアントにはIL−32アンタゴニスト(例えば、TNFα誘導活性を持たず、野生型IL−32タンパク質のTNFα誘導活性を阻害するIL−32バリアント)が含まれる。
【0087】
III. IL−32抗体
IL−32タンパク質を検出できるように抗体が作成され得る。前記抗体は各種免疫原を用いて作成され得る。1実施態様では、免疫原は、ヒトIL−32を認識する抗体を作成するためのヒトIL−32ペプチドである。前記抗体にはポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、Fab断片及びFab発現ライブラリーが含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
当業界で公知の各種手順がIL−32に対するポリクローナル抗体を作成するために使用され得る。抗体を作成するためには、各種宿主動物にIL−32エピトープに対応するペプチドを注射することにより前記動物を免疫化し得る。前記動物には家兎、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、ペプチドを免疫原性担体(例えば、ジフテリア毒素、ウシ血清アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシアニン)にコンジュゲート形成する。免疫応答を高めるために、宿主の種類に応じて各種アジュバントが使用され得る。前記アジュバントにはフロイント(完全及び不完全)、無機ゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルーロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、ジニトロフェノール、及び潜在的に有用なヒトアジュバント(例:カルメット−ゲラン桿菌))が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
IL−32に対するモノクローナル抗体を作成するためには、培養されている連続的経代細胞系により抗体分子を産生する技術が本発明で使用されると考えられる(例えば、Harlow及びLane,Antibodies:A Laboratory Manual,ニューヨーク州コールドスプリングハーバーに所在のCold Spring Harbor Laboratory Press発行を参照)。これらにはハイブリドーマ技術(Kohler及びMilstein,Nature,256:495−497(1975))、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えば、Kozborら,Immunol.Today,4:72(1983)参照)及びヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.(1985年)発行,p.77−96)が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
加えて、一本鎖抗体を作成するために記載されている技術(参照により本明細書に含まれるとする米国特許第4,946,778号明細書)がIL−32特異的単鎖抗体を作成する際に使用されると考えられる。本発明の追加実施態様では、IL−32に対して所望の特異性を有するモノクローナルFab断片を迅速且つ簡単に同定するためにFab発現ライブラリーの構築について記載されている技術を用いる(Huseら,Science,246:1275−1281(1989))。
【0091】
抗体断片を作成するのに適した技術が抗体分子のイディオタイプ(抗原結合領域)を含む抗体断片を作成する際に使用されると考えられる。例えば、前記断片には抗体分子をペプシン消化させることにより産生され得るF(ab’)2断片、F(ab’)2断片のジスルフィド架橋を還元させることにより作成され得るFab’断片、及び抗体分子をパパイン及び還元剤で処理することにより作成され得るFab断片が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
抗体を作成する際、所望抗体のスクリーニングは当業界で公知の方法(例えば、ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫検定法)、“サンドイッチ”イムノアッセイ、免疫放射線アッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、(例えば、コロイド状金、酵素、放射性同位元素標識を用いる)in−situイムノアッセイ、ウェスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、赤血球凝集アッセイ等)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、タンパク質Aアッセイ及び免疫電気泳動アッセイ等により実施されると考えられる。
【0093】
1実施態様では、抗体結合は一次抗体上の標識を検出することにより検出される。別の実施態様では、一次抗体はこの一次抗体への二次抗体または試薬の結合を検出することにより検出される。更なる実施態様では、二次抗体を標識する。イムノアッセイにおいて結合を検出するための多くの手段が当業界で公知であり、本発明の範囲に含まれる。当業界で公知のように、免疫原性ペプチドは免疫化プロトコルで使用した担体分子を含むべきではない。例えば、ペプチドがKLHにコンジュゲート形成されていたならば、BSAにコンジュゲート形成しても、または直接スクリーニングアッセイで使用してもよい。
【0094】
上記抗体は、IL−32の局在化及び構造(例えば、ウェスタンブロッティングのため)、適当な生物学的サンプル中のそのレベルを測定する等に関する当業界で公知の方法で使用され得る。前記抗体は個人由来の生物学的サンプル中のIL−32を検出するために使用され得る。前記生物学的サンプルは生物学的流体であり得、この流体の例には細胞を含む血液、血清、血漿、腸液、尿、脳脊髄液等が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
その後、生物学的サンプルは適当な方法(例えば、ELISAまたはラジオイムノアッセイ)及びフォーマット(例えば、マイクロウェル、ディップスティック等)を用いてヒトIL−32の存在について直接検査され得る。或いは、サンプル中のタンパク質は、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在または不在下及び免疫ブロッティング(ウェスタンブロッティング)により検出されるIL−32の存在下でポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によりサイズ分離され得る。免疫ブロット法は通常タンパク質のエピトープに相当するペプチドに対して作成した抗体を用いるとより有効であり、よって本発明に特に適している。
【0096】
本発明の特に好ましい実施態様は、関節リウマチのような自己免疫疾患を治療するためのIL−32抗体を含む。IL−32のTNFα誘導活性を中和するIL−32反応性抗体は、少なくとも1つのRA疾患症状を軽減すると考えられ、特に好ましい実施態様ではRA疾患の進行を遅らすと考えられる。更に、IL−32系に適用され得ると考えられる治療用抗体の作成及び使用に関連する教示は、治療用TNF反応性抗体に関する米国特許第6,277,969号明細書及び同第6,448,380号明細書(いずれも、参照により本明細書に含まれるとする)に記載されている。
【0097】
IV. IL−32核酸、ペプチドまたは抗体を含む医薬組成物
本発明は更に、IL−32ポリヌクレオチド配列の全部または一部、IL−32ポリペプチド、抗体を含めたIL−32生物活性の阻害剤またはアンタゴニストを単独でまたは少なくとも1つの他の物質(例えば、安定化化合物)と組み合わせて含み得、滅菌の生体適合性医薬用担体中の形態で投与され得る医薬組成物を提供する。前記担体には食塩水、緩衝食塩水、デキストロース及び水が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明の方法は、自己免疫疾患及び癌を治療する際に使用される。ペプチドは患者に対して生理食塩水のような医薬的に許容され得る担体中の形態で静脈内に投与され得る。ペプチドを細胞内に送達するための標準的方法(例えば、リポソームを介する送達)が使用され得る。前記方法は当業者に公知である。本発明の組成物は非経口投与、例えば静脈内、皮下、筋肉内及び腹腔内投与のために使用される。治療のためのポリペプチドの細胞内投与は遺伝子治療を用いても実施され得る。
【0099】
医学界で公知のように、一人の患者に対する用量は患者の体格、体表面積、年齢、投与しようとする特定化合物、性別、投与時間及びルート、全身健康状態及び同時に投与される他の薬物との相互作用を含めた諸因子に依存する。
【0100】
従って、本発明の幾つかの実施態様では、IL−32ヌクレオチド及びIL−32アミノ酸配列は患者に対して単独で、または他のヌクレオチド配列、薬物またはホルモンと組み合わせて、または賦形剤または他の医薬的に許容され得る担体が混合されている医薬組成物の形態で投与され得る。本発明の1実施態様では、医薬的に許容され得る担体は医薬的に不活性である。本発明の別の実施態様では、IL−32ヌクレオチド配列及びIL−32アミノ酸配列は単独で病気を患っている個人に投与され得る。
【0101】
他の実施態様では、本発明の医薬組成物は経口投与に適した剤形で当業者に公知の医薬的に許容され得る担体を用いて製剤化され得る。前記担体により、医薬組成物は治療を受ける患者が経口または経鼻摂取するために錠剤、ピル剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液剤等として製剤化され得る。
【0102】
本発明において使用するのに適した医薬組成物には、活性成分が所期目的を達成するのに有効な量含有されている組成物が含まれる。例えば、有効量のIL−32はTNFαの産生を誘導する量であり得る。有効量の決定は当業者の能力の範囲内であり、特に本明細書の開示内容にてらしてなし得る。
【0103】
本発明の方法に使用される化合物の場合、治療有効量はまず細胞培養アッセイから推定され得る。次いで、好ましくは、TNFαレベルを調節する所望の循環濃度範囲を得るために用量を動物モデル(特に、マウスモデル)において決定する。
【0104】
治療有効量は、病的状態(例えば、癌)の少なくとも1つの症状を緩和するIL−32の量または病的状態(例えば、関節リウマチのような自己免疫疾患)の少なくとも1つの症状を緩和するIL−32抗体またはアンタゴニストの量を指す。前記化合物の毒性及び治療効果は、細胞培養または実験動物において一般的な薬学手順により決定され得る(LD50は集団の50%が致死する量であり、ED50は集団の50%において治療上有効な量である)。毒性と治療効果の用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として表され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイ及び追加の動物研究から得たデータはヒトに使用するための用量範囲を決定する際に使用され得る。前記化合物の用量は毒性は全くまたは殆どなく、ED50を含む循環濃度範囲内であることが好ましい。用量は、この範囲内で使用する剤形、患者の感受性及び投与ルートに応じて変更される。通常の用量は、投与ルートに応じて0.1〜100,000μg、最高約1gの全用量の範囲で変更され得る。
【0105】
V. IL−32を用いる薬物スクリーニング
本発明は、炎症誘発性サイトカイン応答(例えば、TNFα産生)を変更できる薬物をスクリーニングするための標的としてIL−32を用いるための方法及び組成物を提供する。
【0106】
薬物スクリーニング方法は、IL−32ペプチドに対して適当な結合アフィニティーを有する化合物の高スループットスクリーニングを提供し、参照により本明細書に含まれるとする国際特許出願公開第84/03564号パンフレットに詳記されている。簡単に説明すると、多数の各種小ペプチド試験化合物を固体基質(例えば、プラスチックピンまたは幾つかの他の表面)上で合成する。次いで、ペプチド試験化合物をIL−32ペプチドと反応させ、洗浄する。次いで、結合したIL−32ペプチドを当業界で公知の方法により検出する。
【0107】
別の方法では、上記したように作成したIL−32抗体を用いている。このIL−32ペプチドに特異的に結合できる抗体はIL−32に対する結合に関して試験化合物と競合する。こうして、前記抗体はIL−32ペプチドの1つ以上の抗原決定基を有するペプチドの存在を検出するために使用され得る。
【0108】
本発明は、化合物をスクリーニングするための多くの他の手段も意図している。上に挙げた例は利用できる方法の範囲を単に例示するために記載されている。当業者は、多くの他のスクリーニング方法が使用可能であることを認識している。
【0109】
特に、本発明は、活性に関して化合物をスクリーニングするための、特にコンビナトリアルライブラリー(例えば、10個以上の化合物を含有するライブラリー)からの化合物の高スループットスクリーニングのためのIL−32及びそのバリアントもしくはミュータントをトランスフェクトした細胞系の使用を考えている。本発明の細胞系は各種スクリーニング方法において使用され得る。幾つかの実施形態では、細胞は細胞表面受容体を活性化後のシグナル伝達をモニターするセカンドメッセンジャーアッセイにおいて使用され得る。他の実施態様では、細胞は転写/翻訳レベルで細胞応答をモニターするレポーター遺伝子アッセイにおいて使用され得る。
【0110】
セカンドメッセンジャーアッセイでは、宿主細胞に上記したようにIL−32またはそのバリアントもしくはミュータントをコードするベクターをトランスフェクトすることが好ましい。その後、宿主細胞を(例えば、コンビナトリアルライブラリーからの)1つまたは複数の化合物で処理し、応答の有無についてアッセイする。コンビナトリアルライブラリー中の少なくとも一部の化合物はベクターによりコードされるタンパク質のアゴニスト、アンタゴニスト、アクチベーターまたは阻害剤として機能し得ると考えられている。また、コンビナトリアルライブラリー中の少なくとも一部の化合物はシグナル伝達経路中のベクターによりコードされるタンパク質の上流または下流で作用するタンパク質のアゴニスト、アンタゴニスト、アクチベーターまたは阻害剤として機能し得ると考えられている。
【0111】
上記細胞はレポーター遺伝子アッセイにおいても有用である。レポーター遺伝子アッセイは、レポーター遺伝子に対するコード配列にスプライスされる標的遺伝子(すなわち、病気標的の生物学的発現及び機能を制御する遺伝子)の転写制御因子を含む核酸をコードするベクターをトランスフェクトした宿主細胞の使用を含む。従って、標的遺伝子を活性化するとレポーター遺伝子産物が活性化される。
【0112】
実験
下記実施例は本発明の特定の好ましい実施態様及び態様を示し、更に説明するために提示するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されない。
【0113】
以下の実験の開示内容中、次の略号を用いる:eq(当量)、M(モル)、μM(マイクロル)、N(規定)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、μmol(マイクロモル)、nmol(ナノモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、ng(ナノグラム)、lまたはL(リットル)、ml(ミリリットル)、μl(マイクロリットル)、cm(センチメートル)、mm(ミリメートル)、μm(マイクロメートル)、nm(ナノメートル)、℃(セ氏)、U(単位)、mU(ミリ単位)、min(分)、sec(秒)、%(パーセント)、kb(キロベース)、bp(塩基対)、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)。
【0114】
加えて、以下の細胞及びバイオアッセイを用いた。ヒトNK細胞系は、Hans Klingerman博士(イリノイ州シカゴに所在のRush Medical Center)から入手し、10% FCS、IL−2(50pg/ml)及びIL−15(200pg/ml)を含有するRPMI1640培地(ニュージャージ州ロッキーヒルに所在のPeprotech)において培養した。マウスマクロファージRaw 264.7細胞、ヒトA549肺癌細胞、サルCos7腎臓細胞、Anjou65(ヒト線維芽細胞293T株のサブクローン)、ヒト上皮Wish細胞及びヒト単球THP−1細胞系はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手し、与えられた指示に従って維持した。バイオアッセイは96ウェルプレートで実施した。
【0115】
簡単に説明すると、Raw細胞(5×10/ml,0.1ml/ウェル)、A549−Rβ細胞(2×10/ml,0.1ml/ウェル)及びヒトNK細胞(5×10/ml,0.1ml/ウェル)を96ウェルプレートに接種し、細胞がプレートに接着するまで培養した。Raw細胞アッセイの場合には、使い尽くした培地を除去し、細胞を5μg/mlのポリミキシンB(オハイオ州ベッドフォードに所在のBedford Laboratories)の存在下で異なる濃度のrIL−32を含有する新鮮培地(0.2ml)で刺激した。A549−Rβ細胞アッセイの場合には、使い尽くした培地を除去し、細胞を(Kimら,J.Immunol.,166:148−154(2001)に記載されているように産生した)IL−18を含有する新鮮培地(0.2ml)で刺激した。NK細胞アッセイの場合には、細胞をIL−12(Peprotech)、IL−18または両サイトカインで刺激した。THP−1細胞(5×10/ml,0.1ml/ウェル)をFCSの非存在下で96ウェルプレートに接種した後、各種ソースからのrIL−32で刺激した。ホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)THP−1分化アッセイの場合には、THP−1細胞(0.25×10/ml,0.1ml/ウェル)を24ウェルプレートに接種した後、100ng/mlのPMA(ミズーリ州セントルイスに所在のSigma)で48時間刺激し、細胞をFCSを欠く培地で洗浄し、細胞をrIL−32で処理した。プレートを細胞培養インキュベーターに6〜20時間置いた後、培養上清をサイトカイン測定のために収集した。
【0116】
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Combined Colorado Invenstigation Review Boardにより承認されていたHistopaque(Sigma)を用いて健康ドナーの血小板フェレーシスに従って残存白血球から単離した。PBMC(1.5×10)を6ウェルプレート中の10% FCS含有RPMI(3ml)に接種し、ConA(Sigma)(20μg)で刺激した。プレートを細胞培養インキュベーターに60時間置いた後、培養上清及び細胞ライゼートをIL−32測定のために収集した。
【0117】
大腸菌において産生したrIL−32と哺乳動物細胞において産生したrIL−32の間で活性レベルに差があり、バッチ間で活性レベルに差があったので、IL−32を生物学的活性の単位によって評価した。1単位のIL−32は、上記したアッセイ条件下でそれぞれPMA分化THP−1細胞及びマウスRaw細胞においてヒトまたはマウスTNFαの2倍増加をもたらすIL−32の量と定義される。1単位の大腸菌rIL−32のおおよその濃度は20ng/mlになり、1単位の哺乳動物rIL−32のおおよその濃度は0.1ng/mlになる(ECL及びウェスタンブロットにより計算)。
【実施例1】
【0118】
NK4/IL−32を含めたIL−18誘導遺伝子の同定
野生型ヒトA549肺癌細胞(A549−WT)はIL−18Rαを発現するが、IL−18Rβを発現しない。よって、A549細胞において機能性IL−18受容体を発現させるために、A549細胞にIL−18Rβ鎖発現ベクターをトランスフェントした。簡単に説明すると、トランスフェクションの前日に、ヒト肺癌A549細胞(3×10/ウェル)を6ウェルプレートに接種した。次いで、細胞をOpti−MEM(カリフォルニア州カールスバッドに所在のInvitrogen)(2ml)で洗浄し、新鮮培地(1ml)において25分間インキュベートした。各ウェルあたりのトランスフェクション混合物溶液を、Opti−MEM(100μl)中にリポフェクタミン2000(5μl)を混合し、その後組織培養フードにおいて5分間インキュベートすることにより調製した。次いで、プラスミドDNAのpTARGET/huIL−18Rβ(Kimら,J.Immunol.,166:148−154(2001))(2μg)を添加した後、20分間インキュベートした。トランスフェクション混合物溶液をウェルに添加し、プレートを37℃で更に4時間インキュベートした。各ウェルに10% FCSを含有する細胞培地(2ml)を添加することによりトランスフェクションを停止した。翌日、細胞をトリプシン処理し、15cmプレートに移した。細胞がプレートに接着したら、培地を800μg/mlのネオマイシン(G418,Invitrogen)を含有する新鮮培地と交換した。選択培地は3日毎に、個々のコロニーが現れる(〜10〜14日)まで新鮮培地と交換した。円形3MMペーパーの小片を滅菌し、トリプシンで湿らし、その後各コロニーを選ぶために使用した。コロニーを、1ml/ウェルの選択培地を収容している24ウェルプレートに移した。10細胞が得られるまで各コロニーを増殖させ、次いで各コロニーをトランスフェクトした遺伝子の発現についてRT−PCRにより試験し、24時間IL−18刺激後細胞培地中のIL−6及びIL−8を測定するバイオアッセイにおいて試験した。3コロニーはRT−PCR及びバイオアッセイによりポジティブであった。単クローンを得るために限界希釈培養物を作成した。
【0119】
図1のパネルAに図示するように、IL−18Rβ構築物(Kimら,J.Immunol.,166:148−154(2001))をトランスフェクトしたA549細胞(A549−Rβ)は、RT−PCRにより測定してIL−18Rα鎖及びIL−18Rβ鎖を発現した。安定なクローン(A549−Rβ)は、16時間IL−18(100ng/ml)刺激後のIL−8の誘導について試験した。A549細胞においてIL−18Rβを発現させると、A549−Rβ細胞はIL−6及びIL−8を産生させることにより補助刺激物質の非存在下でIL−18に応答し、A549親細胞系(A549−WT)はIL−18に応答しないままであった(図1のパネルB及びC参照、N=7)。
【0120】
その後、A549−Rβ細胞を用いて、マイクロアレーによりIL−18誘導遺伝子発現を研究した。簡単に説明すると、実験の前日にA549−Rβ細胞を9cmプレートに2×10で接種した。次いで、細胞をIL−18(50ng/ml)で6時間刺激し、この時点で処理細胞及び対照を収集した。全RNAをTri−Reagentを用いて単離し、RNeasyキット(カリフォルニア州バレンシアに所在のQiagen)を用いて精製した。次いで、全RNAをAffymetrixの指示に従ってマイクロアレー分析のために使用した。全RNA(10μg/ml)をSuperscript II RT(Invitrogen)を用いて第1鎖cDNAに変換した。第2鎖cDNAはT4 DNAポリメラーゼIを用いて合成した。第2鎖合成後、反応混合物をGeneChipから供給されたキットを用いて清浄した。cRNA合成をRNA転写物標識キットを用いて実施して、ビオチン標識cRNAを作成した。ビオチニル化cRNAはハイブリダイゼーション前に分画した。サンプルをAffymetrix GeneChip HG−U133にハイブリダイズし、データをコロラド健康科学センター大学のマイクロアレーコア実験室で分析した。
【0121】
マイクロアレーデータは、IL−18がIL−6及びIL−8を含めた幾つかのサイトカイン遺伝子を誘導したことを示した。その発現がIL−18誘導性であると既に公知であるインターフェロン−β2及びIL−1βを含めた幾つかのケモカインは、IL−18処理に応答して発現が3倍以上(logベース2)増加することが判明している群にあった(2つの独立実験からのデータを示している表1参照)。興味深いことに、ナチュラルキラー細胞転写物4(NK4)もかなり誘導された(5.3倍)。NK4遺伝子は元々活性化NKまたはT細胞産物として記載されていた(Dahlら,J.Immunol.,148:597−603(1992))が、この遺伝子に関する機能的データは集められていなかった。NK4 mRNAの発現を、マイクロアレー研究のために使用したと同一の全RNAを用いてRT−PCRにより調べた。第1鎖cDNAは、SuperScript II(カリフォルニア州カールスバッドに所在のInvitrogen)を用いて全RNA(約1μg)から合成した。PCR反応は、センスプライマー5’−CTGTCCCGAG TCTGGACTTT−3’(配列番号1)及びアンチセンスプライマー5’−GCAAAGGTGG TGGTCAGTAT C−3’(配列番号2)を用いて、94℃で45秒間、70℃で2分間、59℃で1分間を1サイクルとして30サイクル実施した。NK4転写物はIL−18処理A549−Rβ細胞中で検出されたが、非刺激A549−Rβ細胞中では検出されなかった(図1のパネルD参照)。
【0122】
【表1】

NK4遺伝子発現もNK92細胞系(Hoshinoら,J.Immunol.,162:51−59(1999))において調べた。NK4遺伝子は、IL−2及びIL−15の両方を含有する調整培地に維持したときこの細胞系において構成的及び高度に発現された。調整培地中のIL−2は、NK92細胞系において観察された高レベルのNK4遺伝子に関与すると考えられる。
【実施例2】
【0123】
組換えNK4/IL−32によるTNFα誘導
余り記載されていない遺伝子産物の機能を調べるために、NK4 cDNA(図3のIL−32α参照)をNK92細胞(参照により本明細書に含まれるとする上掲のDahlら(1992))から配列決定するためにpGEMT−Easy(Promega)にクローン化した後、インサートを大腸菌での発現のためにはpPROEX/Hta(Invitrogen)または哺乳動物発現のためにはpTARGET(Promega)に移した。組換えNKを大腸菌で発現させ、組換えタンパク質のN末端にHisタグを導入することによりTALONアフィニティーカラム(Invitrogen)により精製した。TALONアフィニティー精製したタンパク質をサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 75,AKTAFPLC)にかけ、タバコエッチウイルス(Invitrogen)を用いて4℃で16時間消化して、Hisタグを除去した。切断された組換えタンパク質をリン酸緩衝液(20mM,pH9)で透析した。この物質は後にイオン交換クロマトグラフィー(HiTrapQFF,AKTAFPLC)にかけた。3つの連続ステップ(Hisタグアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィー)を用いて精製した組換えNKタンパク質は10% SDS−PAGEゲル中約20kDaの均一バンドとして流れ、その後クーマシーブルーにより染色した(図2のパネルA参照)。
【0124】
その後、3度精製した組換えNK4タンパク質は、ポリミキシンB(100U/ml)の存在下でのマウスRaw 264.7マクロファージ細胞によるTNFα分泌を測定することにより生物学的活性について試験した。マウスRaw 264.7マクロファージ細胞は組換えNK4に応答し、大量のTNFαを産生することによりイオン交換カラムから溶離するタンパク質のピークフラクションと一致していた(図2のパネルA参照)。NK4の新しく発見された生物学的活性を認識する際、前記分子の名前はIL−32/TNFα誘導因子(TAIF)に変えられた。図2のパネルBに示すように、IL−32αは400pg/ml(IL−32αの14.8kDa計算分子量に基づいて27ピコモル)くらい低いIL−32α濃度で大量のTNFαを誘導し、用量依存的にTNFα産生を増加させた。TNFαが多数の炎症性及び自己免疫疾患において原因的役割を発揮する複数の炎症性を有していることは公知である(Beutlerら,Blood Cells Mol.Dis.,24:216−230(1998))。
【0125】
組換えIL−32αは、Cos−7細胞(8×10)にDEAE−デキストラン技術(Sampayracら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78:7575−7578(1981))を用いてpTAGET/IL−32β発現ベクターを一過的にトランスフェントすることにより哺乳動物細胞においても産生された。図2のパネルCに示すように、IL−32αをトランスフェクトした細胞の濃縮上清から得た組換えIL−32α(100pg/ml)はTNFα産生を誘導し、偽トランスフェクト細胞からの濃縮上清はTNFα産生を誘導しなかった。Cos−7上清中の組換えIL−32αの濃度はECL及びイムノブロットにより推定した。更に、哺乳動物細胞において産生したIL−32αは、細菌細胞において産生した組換えIL−32αよりも高いTNFα誘導活性を有していることが判明した。
【実施例3】
【0126】
IL−32ゲノム構造及びスプライスバリアントの同定
IL−32遺伝子の構造及びそのヒトゲノム内での局在化を分析した。IL−32をヒトNK92細胞系からRT−PCRによりクローン化し、IL−2(50pg/ml)及びIL−15(200pg/ml)の存在下で培養した。この目的のために以下のプライマー、すなわちセンス5’−CTGTCCCGAG TCTGGACTT−3’(配列番号1)及びアンチセンス5’−GCAAAGGTGG TGGTCAGTAT C−3’(配列番号2)を用いた。図3及び5に示すように、IL−32の3つのスプライスバリアント(IL−32αは配列番号3及びジェンバンク受託番号AY495331として;IL−32βは配列番号4及びジェンバンク受託番号AY495332として;IL−32δは配列番号5及びジェンバンク受託番号AY495333として開示されている)はNK92細胞から誘導したRNAから同定され、別のスプライスバリアント(IL−32γは配列番号6及びジェンバンク受託番号BK004065として開示されている)は以前はNK4転写物(ジェンバンク受託番号NM_004221)として報告されていた。よって、IL−32は選択的mRNAスプライシングのために少なくとも4つのバリアントとして発現される。
【0127】
NCBIウェブサイトからのBlastプログラムを用いて、IL−32遺伝子が染色体16p13.3にあるかを調べた。IL−32遺伝子(配列番号1及びジェンバンク受託番号AY495334として開示されている)を包囲する約5kbの配列は、ヒト染色体16配列(ジェンバンク受託番号AC108134)の180kb範囲から同定された。スプライスバリアントの配列とゲノム配列を比較することにより、IL−32遺伝子は8個の小エクソンを含み、第2及び第3エクソンはATG開始コドンを有することが判明した。IL−32γは、エクソン3と4の間にスプライシングが存在しないのでN末端に追加の46アミノ酸(配列番号14)を有している。しかしながら、IL−32δでは、第2エクソンは存在せず、よって第2エクソン中のATGの代わりに第3エクソン中にATG開始コドンを使用した。IL−32αは最も豊富なcDNAクローンであり、従ってこのイソ型を本明細書に記載されている多くの実験で使用した。IL−32αは、エクソン7と8の間のスプライシングのためにC末端の57アミノ酸残基が欠失しており、C末端をコードする1つの大きなエクソンを有している他のバリアントと対照的である。IL−32アミノ酸配列の分析から、3つの可能性あるN−ミリストイル化部位及び1つの可能性あるN−グリコシル化部位の存在が明らかとなった(図4A参照)。
【0128】
Blastプログラムを用いて、IL−32のホモログに関するNCBIデータベースを探した。このようにして、ウマ、ウシ、ヒツジ及びブタIL−32の発現配列タグ(EST)クローンを同定した。ウマIL−32βタンパク質配列(ジェンバンク受託番号CD469554及びBI961524)はヒト配列と最高の相同性(31.8%)を有しており、次いでウシ(ジェンバンク受託番号CK834339及びCK832489)、ヒツジ(ジェンバンク受託番号CO202364)及びブタ(ジェンバンク受託番号CB287292)の順であった。ヒト、ウマ及びウシIL−32βタンパク質配列のアラインメントを図4Bに示す。特に、ヒツジ及びブタのイソ型Aは同定されており、イソ型A及びBはウマで同定されており、イソ型B及びCはウシで同定されている。ウマIL−32β及びウシIL−32γの配列はそれぞれ2つのESTクローンから合わされ、オープンリーディングフレームは合わせた配列から推定された。
【実施例4】
【0129】
IL−32発現の分析
IL−32の各種ヒト組織における発現をノーザンブロットにより調べた。簡単に説明すると、IL−32α及びアクチンcDNAインサートをプラスミドベクターから適当な制限酵素を用いて切除し、サイズ分画し、GeneClean IIキット(カリフォルニア州カールスバッドに所在のQ−BIO gene)を用いて精製した。cDNAをクレノウ酵素(マサチューセッツ州ビバリーに所在のNew England Biolabs)を用いるランダムプライミングにより32P−dCTP(マサチューセッツ州ボストンに所在のNEN Life Science)で標識した。各種組織からのヒトポリ(A)RNAを含有する膜(ヒトMTNブロットII)をcDNAプローブとインキュベートし、その結合をオートラジオグラフィーにより検出した。図8Aに示すように、1.2kbのIL−32転写物が多くの組織が検出され、他の細胞タイプに比して免疫細胞において高レベルのIL−32が検出された。免疫組織におけるIL−32 mRNAの高い発現は、ブロットをアクチン断片で再プローブすることにより明らかなようにローディングの差に起因しなかった。
【0130】
内因性IL−32発現もタンパク質レベルで検出された。簡単に説明すると、A549−Rβ細胞を6ウェルプレートに10細胞/mlで接種した。細胞がプレートに接着した後、F12K培地を除去し、無血清培地を入れた。数個のウェルでは、無血清培地はIL−18(50ng/ml)、IL−1β(100ng/ml)またはLPS(500ng/ml)を含んでいた。48時間後、上清を収集し、Centricon濃縮装置で10倍に濃縮した。図8Bに示すように、内因性IL−32に対応する約30kDa種をアフィニティー精製した家兎抗ヒトIL−32αポリクローナル抗体を用いるイムノブロットにより検出した。アミノ酸配列の分析から可能性あるN結合グリコシル化及びミリストイル化部位の存在が明らかとなったので、大腸菌由来のrIL−32と内因性IL−32間の分子量の差は内因性分子の翻訳後修飾によるものと考えられる。IL−32はIL−18(100ng/ml)、IL−1β(100ng/ml)またはLPS(500ng/ml)で処理した細胞の細胞培地中に分泌されるが、非刺激細胞(対照)によっては分泌されなかった。IL−32はそのN末端に典型的な疎水性シグナルペプチドを持たないが、IL−32は細胞培地中で分泌分子として検出された。IL−18は、IL−1βやLPSよりも高度にIL−32発現を誘導した。60kDaバンドも観察され(データ示さず)、これはIL−32の二量体化形態であると考えられる。モノマーと同様に、60kDaバンドは処理細胞の上清中で見られたが、非刺激細胞の上清には存在しなかった。
【0131】
Wish細胞は通常抗ウイルスアッセイのため及びIFNγの他の生物学的活性を評価するために使用されているので、IFNγで処理したヒト上皮Wish細胞におけるIL−32の誘導も調べた。IL−32産生の時間経過に関して、Wish細胞、A549−WT細胞及びA549−Rβ細胞を6ウェルプレートに5×10細胞/ウェルで接種し、一晩インキュベートした後、IFNγ(100U/ml)、IL−18(50ng/ml)またはIL−1β(10ng/ml)で刺激した。細胞培地中のIL−32をイムノブロットにより検出するためにアフィニティー精製した家兎抗IL−32αを使用した。ブロットを増強化学ルミネッセンス(NEN Life Science)を用いて展開するためにペルオキシダーゼコンジュゲートした二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories)を用いた。IL−32を電気化学ルミネッセンス(ECL)により検出するために、アフィニティー精製した抗IL−32α抗体のアリコートをビオチンで標識し、別のアリコートを製造業者(メリーランド州ゲーザーズバーグに所在のIgen)の指示に従ってルテニウムで標識した。ビオチン−及びルテニウム−標識抗体を用いて、組換えIL−32αを用いて標準曲線を作成した。液相ECL法を用いて、細胞培地及び血清サンプル中の各種サイトカインを調べた。電気化学ルミネッセンスの量はOrigen Analyzer(Igen)を用いて測定した。
【0132】
図9Aに示すように、IL−32はヒト上皮細胞の細胞ライゼート中で時間依存的に誘導され、46時間後に漸減するが、IL−32は未刺激細胞中では誘導されなかった。また、IL−18及びIL−1βはA549−Rβ細胞のライゼート中での内因性IL−32の発現を時間依存的に増加させた(図9B)が、IL−32はA549−WT細胞ではIL−1βによってしか誘導されなかった(図9C)。加えて、IFNγもA549−WT細胞のライゼート中でIL−32を誘導することが観察された(データ示さず)。
【0133】
哺乳動物細胞においてIL−32α及びβのcDNAから発現させた組換えタンパク質が内因性IL−32と類似しているかどうかを調べるために、Cos7細胞にIL−32α及びβ cDNAを一時的にトランスフェクトした。図9D及び9Eに示すように、組換えIL−32α及びIL−32βはイムノブロットで調べると細胞培地及びトランスフェクト細胞のライゼートの両方中に存在していた。イムノブロットにおける組換え哺乳動物IL−32の分子サイズは、図8Bに示す内因性IL−32の分子サイズと同一であった。IL−32βは主に細胞結合しているIL−32αに比してより効率的に分泌されるようであるが、ECLアッセイは培地及びライゼート中のIL−32α及びIL−32βの類似分泌を示した。
【0134】
ポリクローナル抗ヒトIL−32抗体を、アガロースビーズ(Affi−gel 15)に固定させたIL−32αを含有するカラムを用いてアフィニティー精製した。ペルオキシダーゼコンジュゲートした抗家兎免疫グロブリン二次抗体はJackson ImmunoResearchから入手した。抗ヒトIL−32抗体は内因性トIL−32を特異的に認識するので、ヒト被験者(健康人及び敗血症患者)の血清中のIL−32レベルをECLにより測定した。IL−32は健康人の血清で検出された(42サンプル中5サンプル)が、IL−32レベルは70pg/ml未満であった。対照的に、敗血症患者の血清中の平均IL−32レベルは健康人からの血清より35倍高かった。本発明の開発中に初めて、IL−32は細菌感染に応答して(直接または間接的に)産生される炎症誘発性サイトカインであることが分かった。加えて、IL−32は活動型間接リウマチ患者で検出された。このことから、IL−32が自己免疫においても役割を果たすことが示されれる。
【0135】
IL−32産生の調節を調べるために、IL−32を各種細胞系の細胞培地及びヒトPBMCにおいて調べた。IL−32はIL−18またはIL−1β刺激後のA549−Rβの培地中で検出されたが、対照培地では検出されなかった(図10A)。NK4(IL−32)遺伝子はIL−2活性化NK細胞から単離されたので、ヒトNK細胞系をIL−12+IL−18の組み合わせで刺激した。図10Bに示すように、NK細胞ではIL−12またはIL−18によりIL−32が有意に誘導され、これら2つのサイトカインの組み合わせの効果は相加的のようであった。対照的に、前記細胞系をIL−12またはIL−18により刺激するとIFNγの誘導は全くまたは殆どなかったのに対して、IL−12+IL−18の組み合わせによるIFNγの産生は非常に相乗的である(Kimら,J.Biol.Chem.,277:10998−11003(2002))。NK細胞を中和抗IFNγ抗体の存在下でIL−12及びIL−18で刺激することにより、(IFNγを介する)IL−32の誘導を調べた。この組合せはIL−32誘導に効果はなかった(データ示さず)。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は主にT細胞を含み、単球及びB細胞は少数である。新たに調製したPBMCをLPSまたはConAで刺激し、上清及びライゼートを収集し、IL−32濃度についてアッセイした。60時間後、LPSで刺激したPBMCの上清またはライゼート中にIL−32は検出されなかった(データ示さず)。しかしながら、ConAは常にIL−32を誘導し、これが上清及びライゼート中で検出された。図10Cに示すように、ライゼートは上清よりもIL−32を多く含んでいた。
【実施例5】
【0136】
IL−32応答性シグナル伝達経路の同定
本実施例は、カッパB(IκB)のシグナル伝達分子阻害剤及びp38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)に対するサイトカインIL−32の効果を評価するために実施した実験の詳細を記載する。簡単に説明すると、マウスRAW264.7マクロファージ細胞を5μg/mlのポリミキシンB(オハイオ州ベッドフォードに所在のBedford Lab)の存在下でIL−32α(50ng/ml)で指定時間(分)刺激した。細胞をキナーゼ溶解緩衝液(Hanら,J.Biol.Chem.,277:47167−47174(2002))で溶解した。細胞内容物を10% SDS−PAGEゲルで分離し、ニトロセルロース膜に移し、この膜はその後3% BSAでブロックした。膜を家兎抗IκBでプローブし、ヤギ抗アクチン(カリフォルニア州サンタクルーズに所在のSanta Cruz Biotechnology)で標準化した。図11Aに示すように、IL−32αは時間依存的にIκB分解を誘導し、処理から15分後に始まり、45分で最高レベルに達し、90分後に回復した。
【0137】
膜を家兎抗ホスホ−p38 MAPKでプロープし、家兎抗p38 MAPK(マサチューセッツ州ビバリーに所在のCell Signaling)で標準化した。図10Bに示すように、ホスホ−p38 MAPKはIL−32αによる刺激から5分後に劇的に上昇し、その後15〜30分間低下した。興味深いことに、p38 MAPKリン酸化の第2上昇は45分に見られ、その後よりゆっくり低下した。
【実施例6】
【0138】
IL−32結合タンパク質の同定
組換えIL−32α(または、IL−32β、IL−32δ及びIL−32γ)を大腸において発現させ、実施例2に記載されている3連続ステップを用いて精製する。精製IL−32α(約5mg)をAffi−gel 15アガロースビーズ(カリフォルニア州ヘラクレスに所在のBio−Rad Laboratories)上に固定化する。いろいろな可能性ある受容体源(例えば、ヒト血清、またはIL−32αに応答してTNFαを分泌するRaw264.7細胞のような細胞のライゼート)をIL−32αアフィニティーカラムにかける。IL−32αアフィニティーカラムを十分に洗浄し、その後IL−32受容体を溶離緩衝液(例えば、50mM クエン酸,100mM NaCl,pH2.5)で溶離する。直ちに、溶離フラクションを2M トリス塩基で中和する。このようにして単離したIL−32結合タンパク質を更に化学分析(例えば、エドマン分解によりペプチド配列分析及び/または質量分析)及びバイオアッセイ(例えば、精製または組換え受容体をRaw264.7細胞によるIL−32α誘導TNFα分泌を阻止する能力について調べる)により特性づける。標準IL−32結合タンパク質は(TNFBPで観察されたものと類似の)IL−32生物学的活性を阻害する能力を有していると考えられる。標準IL−32結合タンパク質の他のタイプは(IL−6リガンド結合鎖で観察されたものと同様の)IL−32生物学的活性を強化する能力をも有していると考えられる。
【実施例7】
【0139】
関節炎のマウスモデルにおけるIL−32抗体及びIL−32阻害剤の治療効果
本実施例は、マウスにおいてIL−32抗体及びIL−32アンタゴニスト(例えば、可溶性IL−32受容体、ドミナントネガティブIL−32バリアント、小分子阻害剤等)のコラーゲン誘発関節炎(CIA)を治療するための治療薬としての効果を評価するために実施した実験の詳細を記載する。簡単に説明すると、当業界で公知のように(Bandaら,Arthritis Rheum.,46:3065(2002))、CIAを8〜10週齢のDBA/1Jマウス(メーン州バーハーバーに所在のJackson Laboratories)においてII型ウシコラーゲン(CII)を皮内注射することにより誘発させる。0日目及び21日目に、各マウスに不完全フロイントアジュバント中に200μgのCII及び200μgの不活化結核菌(ミシガン州デトロイトに所在のDifco)を含有する注射液(100μl)を与える。マウスを21〜42日の間3日毎にIP注射として与えた3つの治療、すなわち2mg/マウスの正常家兎IgG;2mg/マウスのHiTrap Protein G HP(スウェデンのウプサラに所在のAmersham Pharmacia Biotech AB)を用いて作成した中和家兎抗IL−32;及び2mg/マウスの組換えIL−32アンタゴニスト(例えば、IL−32受容体−IgG1 Fc融合タンパク質またはドミナントネガティブIL−32バリアント)の1つで治療する。42日目に、マウス(各群5匹と5匹の未処理マウス)を麻酔及び頸椎脱臼により屠殺する。
【0140】
CIAの臨床疾患活動度を21〜42日の間1日おきにブラインド観察者により各肢を3点スケールを用いて評価した。0=関節は正常;1=僅かな炎症及び発赤;2=使用の妨げを伴い、肢全体に影響を及ぼすひどい紅斑及び腫張、及び3=強直、関節の硬直及び機能損失を伴い、肢または関節の変形。臨床疾患活動度の全スコアは四肢全てに基づいており、各動物の最大スコアは12である。屠殺後、42日目に両前肢及び右外肢を外科的に取り出し、当業界で公知のように(Bendeleら,Arthritis Rheum.,43:2648(2000))組織サンプルの作成及び組織学的分析のために10% 緩衝ホルマリンに固定する。(治療に対してブラインドな)経験ある観察者は
肢、足首及び膝の組織学的所見を採点する。データは0〜5のスケールに基づいて炎症、パンヌス、軟膏損傷及び硬骨損傷について平均スコア及び全スコアとして表す。
【0141】
公開されている方法(Bandaら,J.Immunol.,170:2100−2105(2003))を用いて、各種免疫パラメーターを測定した。前記パラメーターには、脾臓及びリンパ節細胞によるCII特異的増殖、抗コラーゲン抗体の産生、脾臓細胞によるCII誘導サイトカイン分泌(例えば、TNFα、IFNγ、IL−1β、IL−1Ra及びIL−10 ELISAを用いる)及び関節における定常状態サイトカインmRNAレベル(例えば、TNFα、IFNγ、IL−1β、IL−1Ra、IL−6、IL−18、MIF、TNFβ、LTβ、TGFβ1、TGFβ2)が含まれるが、これらに限定されない。本発明の幾つかの好ましい実施態様は、臨床疾患活動度スコア及び関節損傷の組織学的スコアを少なくとも50%(より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%)低下させるIL−32抗体またはIL−32アンタゴニストを含む。他の好ましい実施態様は、CII誘導リンパ球増殖及び/またはコラーゲン結合IgG抗体の血清レベルを少なくとも50%(より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%)低下させるIL−32抗体またはIL−32アンタゴニストを含む。特に好ましい実施態様は、単離関節中のTNFα、IFNγ及び/またはIL−1βの定常状態mRNAレベルを少なくとも50%(より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも90%)低下させるIL−32抗体またはIL−32アンタゴニストを含む。重要なことは、本明細書に記載されているIL−32抗体またはIL−32アンタゴニストを含む好ましい実施態様は、TNF反応性抗体(インフリキシマブ/REMICADE及びアダリムマブ/HUMIA)及び可溶性TNF受容体/免疫グロブリン融合タンパク質(エタネルセプト/ENBREL)を投与するために使用される方法と同様の方法を用いてヒト関節リウマチ患者の治療に使用されると考えられる。
【実施例8】
【0142】
組換えIL−32の生物学的活性
IL−32αは大量のTNFα及びMIP−2を誘導し、図6Aに示すように両サイトカインの産生を用量依存的に増加させた。その後、IL−32αの生物学的活性を完全C末端を有するIL−32βの生物学的活性と比較した。IL−32βはマウスマクロファージRaw細胞系においてIL−32αと同等レベルのTNFα及びMIP−2を誘導した(図6B)。実験はすべてポリミキシンB(5μg/ml)の存在下で実施したが、大腸菌で産生させた組換えタンパク質のエンドトキシン汚染の可能性は除外できなかった。
【0143】
エンドトキシン汚染を避けるために、組換えIL−32を哺乳動物系でも産生させた。rIL−32βを哺乳動物細胞の3つの異なる源、すなわちAnjou65安定クローン、Cos7安定クローン(Cos7−S)及びCos7一過性トランスフェクタント(Cos7−T)から産生させた。一過性及び安定なクローン化細胞を0.5% FCS中で4日間培養してから、収集した。哺乳動物rIL−32βの最大収率はたった1ng/mlであり、IL−32αは100pg/ml濃度以下であったので、エンドトキシンを含まない哺乳動物rIL−32βの各々を、精製中の微生物汚染を避けるためにアジ化ナトリウム(0.2%)の存在下でアガロースビーズ(Affi−Gel Hz,Bio−Rad)に抗IL−32β mAbを固定化することにより作成したアフィニティーカラムを用いて精製した。精製したrIL−32をペニシリン/ストレプトマイシン(10μg/ml)を含有するRPMIに対して4℃で一晩透析した後、バイオアッセイのために使用した。3つの哺乳動物rIL−32β調製物はいずれもヒトPMA分化THP−1細胞及びマウスRaw細胞においてTNFαを誘導した(図6C)。大腸菌rIL−32α及び哺乳動物rIL−32βはPMA分化THP−1細胞において用量依存的にヒトTNFα産物を増加させた(図6D)。更に、高単位の大腸菌rIL−32α及び哺乳動物Anjou65 rIL−32IL−32β調製物は非分化THP−1細胞においてヒトIL−8を誘導したが、偽Anjou65トランスフェクタントは誘導しなかった(図6E)。
【実施例9】
【0144】
抗IL−32モノクローナル抗体の中和Fab断片の作成
5週齢の雌Balb/cマウスをフロイント完全アジュバント(Sigma)中に乳化させたrIL−32β抗原(20μg)を用いて免疫化した。14日目及び21日目に、マウスにフロイント完全アジュバント(Sigma)中に乳化させた抗原を静脈内及び腹腔内注射した。3回注射した後、マウスを屠殺し、脾臓を無菌的に収集し、脾細胞を融合のために得た。簡単に説明すると、1×10個の脾細胞及び1×10個のNS−1マウスミエローマ細胞(ATCC)をポリエチレングリコール1500(インディアナ州インディアナポリスに所在のRoche Applied Science)を用いて融合した。融合細胞を10% FCS及びHATを含むハイブリドーマ増殖培地において1×10/mlで再懸濁させ、96ウェルにおいて平板培養した。2週間後、ハイブリドーマの培養上清を間接ELISAで滴定した。モノクローナル抗体のクラス及びサブクラスはIMMUNO−TYPEマウスモノクローナル抗体アイソタイピングキット(カリフォルニア州サンジェゴに所在のBD Bioscience)を用いて製造業者の指示に従って決定した。
【0145】
約5×10細胞の2つのハイブリドーマ32−4(IgG)及び32−9(IgG)を8週齢の雌Bab/cマウスに腹腔内注射した。1週間後、腹水を滅菌皮下注射針を用いて収集した。腹水上清由来の抗体をタンパク質Aセファロースカラム(Bio−Rad)を用いて精製し、0.1M グリシン−HCl(pH2.7)で溶離させた。溶離させたmAbをPBSで透析し、精製抗体をCentricon濃縮装置(YM−50,ミシガン州アナーバーに所在のLife Science)を用いて濃縮した。精製抗体の濃度を280nmの吸光度を測定することにより求めた。
【0146】
rIL−32βに対するアフィニティー精製モノクローナル抗体(32−4)は高バックグラウンドレベルのmTNFαを誘導したので、このモノクローナル抗体(mAb)のFab断片を作成した。簡単に説明すると、精製抗IL−32 mAb(32−4)のFab断片は、37℃で固定化ペプシン(イリノイ州ロックフォードに所在のPIERCE)と4時間インキュベートすることにより作成した。Fc断片及び残存非切断mAbをタンパク質Gセファロース(スウェーデンのウプサラに所在のAmersham Bioscience)を用いて除去した。Fab断片をPBSに対して4℃で一晩透析し、切断が完全であることを確認するためにSDS−PAGEにかけた。FC断片を除去後バックグラウンドレベルは劇的に低下し、抗rIL−32β mAbのIL−32中和活性が評価できた。図7Aに示すように、32−4 mAbのFab(50ng/ml)は大腸菌rIL−32αの生物学的活性を70%以上阻害した。図7Bに示すように、同一Fabはアフィニティー精製したCos7−S rIL−32βの生物学的活性を65%以上阻害する。高濃度のFab断片はこれらのアッセイではIL−32誘導TNFα産生を更に阻害しなかった。
【実施例10】
【0147】
炎症性腸疾患のマウスモデルにおけるIL−32抗体及びIL−32阻害剤の治療効果
本実施例は、マウスにおいてデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎を治療するための治療薬としてのIL−32抗体及びIL−32アンタゴニスト(例えば、可溶性IL−32受容体、ドミナントネガティブIL−32バリアント、小分子阻害剤等)の効果を評価するために実施した実験の詳細を説明する。
【0148】
簡単に説明すると、当業界で公知のように(Sivakumarら,Gut,50:812−820(2002))、8〜10週齢の雌C57BL/6マウス(Taconic Laboratories)において0〜7日目まで飲料水中2%(wt/vol)デキストラン硫酸ナトリウム(DSS,分子量40,000,ICN Biochemicals製)を自由に与え、その後通常の水に戻すことにより大腸炎を誘発させる。0日目から毎日マウスの体重を測定し、13日目まで体重変化を記録する。各マウスの体重変化は次のように計算する:体重変化%=(特定日の体重−0日目の体重)/0日目の体重×100。マウス群は、それぞれ1回の注射用量を200μl(エンドトキシン非含有PBS)として、対照タンパク質(50μgまたは500μg)、マウス抗IL−32 mAb(50μgまたは500μg)及び組換えIL−32アンタゴニスト(例えばIL−32受容体−IgG1 Fc融合タンパク質またはドミナントネガティブIL−32バリアント,50μgまたは500μg)で治療する。マウスに0〜7日間IP注射する。DSS治療開始から0、2、4、6または8日目にマウスを麻酔及び頸部脱臼により屠殺し、当業界で公知の方法によりRNA抽出、組織病理検査及びサイトカイン分析するために組織(例えば、大腸、リンパ節)を取り出し、処理する。IL−32アンタゴニストの投与はマウスにおいてDSS誘発大腸炎の炎症を緩和するのに適しており、中和IL−32活性は腸疾患に関連する炎症を緩和するのに有効であると考えられる。
【実施例11】
【0149】
肝炎のマウスモードにおけるIL−32抗体及びIL−32阻害剤の治療効果
本実施例は、熱死滅させた座瘡プロピオニバクテリウム(P.acnes)でプライミングしたマウス(Fas/FasL媒介肝疾患のモデル)においてLPS誘発肝障害を治療するための治療薬としてのIL−32抗体及びIL−32アンタゴニスト(例えば、可溶性IL−32受容体、ドミナントネガティブIL−32バリアント、小分子阻害剤等)の効果を評価するために実施した実験の詳細を説明する。
【0150】
簡単に説明すると、肝炎を8〜10週齢の雌BALB/cマウス(Charles River Laboratories)において500μg/マウスの熱死滅させたP.acnes(Ribi Immuno−Chem Research)をIV投与することにより誘発させ、12日後当業界で公知のように(Faggioniら,J.Immunol.,167:5913−5920(2001))50μg/kgのLPCでIV攻撃する。マウス群は、それぞれ1回の注射用量を200μl(エンドトキシン非含有PBS)として、対照タンパク質(50μgまたは500μg)、マウス抗IL−32 mAb(50μgまたは500μg)及び組換えIL−32アンタゴニスト(例えば、IL−32受容体−IgG1 Fc融合タンパク質またはドミナントネガティブIL−32バリアント,50μgまたは500μg)で治療する。P.acnesの投与時またはLPS攻撃の10分前にマウスにIP注射する。マウスは生存についてモニターするか、または組織学的検査、mRNA及びケモカイン測定のために肝臓、当業界で公知の方法を用いる血清IFNγ及びトランスアミナーゼ測定のために血液を集めるために屠殺する。IL−32アンタゴニストの投与は、P.acnesプライミングしたマウスをLPS攻撃する10分前に投与したときLPS誘発肝障害及びIFNγ及びFasリガンド発現を防止するのに適していると考えられる。加えて、IL−32アンタゴニストの投与はP.acnesのプライミング時に与えたときP.acnes誘発肉芽腫形成、マクロファージ炎症性タンパク質1α及びマクロファージ炎症性タンパク質2産生を低下させるのに適していると考えられる。よって、HCV誘発肝炎、自己免疫性肝炎及び原発性胆汁性肝硬変のような肝疾患の患者はIL−32アンタゴニストを含む臨床レジメンの恩恵を受けるであろうと考えられる。
【実施例12】
【0151】
虚血性疾患のマウスモデルにおけるIL−32抗体及びIL−32阻害剤の治療効果
本実施例は、虚血性損傷に応答して組織血管新生を刺激するための治療薬としてのIL−32抗体及びIL−32アンタゴニスト(例えば、可溶性IL−32受容体、ドミナントネガティブIL−32バリアント、小分子阻害剤等)の効果を評価するために実施した実験の詳細を説明する。
【0152】
簡単に説明すると、雄C57BL/6Jマウスは、当業界で公知の方法(Mallatら,Circ.Res.,91:441−448(2002))を用いて片側後肢に虚血を誘発するための手術を受ける。イソフルラン吸入により動物を麻酔する。伏在動脈と膝窩動脈の分岐から0.5cmの範囲の右大腿動脈を結さつし、通常の条件下で3日間または28日間収容する。マウス群は、それぞれ1回の注射用量を200μl(エンドトキシン非含有PBS)として、対照タンパク質(50μgまたは500μg)、マウス抗IL−32 mAb(50μgまたは500μg)及び組換えIL−32アンタゴニスト(例えば、IL−32受容体−IgG1 Fc融合タンパク質またはドミナントネガティブIL−32バリアント,50μgまたは500μg)で治療した。マウスには0日目及び7日目にIP注射する。血管形成の程度を3日目及び10日目に細血管造影法により血管密度を測定することにより定量し、血管新生における虚血誘発変化はレーザードップラー灌流イメージングによりモニターする。IL−32アンタゴニストの投与が虚血性損傷に応答して組織血管新生を刺激するのに適していると考えられる。
【0153】
本明細書に挙げられている刊行物及び特許文献はすべて参照により本明細書に含まれるとする。発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく本明細書に記載されている本発明の方法及び系をいろいろに修飾及び変更することは当業者に自明である。本発明を特に好ましい実施態様に関連して説明してきたが、本発明はこれらの特定実施態様に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。実際、分子生物学、遺伝学、免疫学または関連分野の当業者に自明である本発明を実施するための本明細書に記載のモードの各種修飾が本発明の範囲内であると解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号15と少なくとも80%同一であり、IL−32をコードし、IL−32のエキソン3及びエキソン4を実質的に隣接関係で含む配列を含む精製核酸。
【請求項2】
IL−32が配列番号7のアミノ酸配列を含むα−イソ型である請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
IL−32が配列番号8のアミノ酸配列を含むβ−イソ型である請求項1に記載の核酸。
【請求項4】
IL−32が配列番号10のアミノ酸配列を含むδ−イソ型である請求項1に記載の核酸。
【請求項5】
配列がIL−32のイントロン4を欠いている請求項1に記載の核酸。
【請求項6】
配列が配列15と少なくとも90%同一である請求項1に記載の核酸。
【請求項7】
配列が配列番号3、配列番号4及び配列番号6からなる群から選択される請求項1に記載の核酸。
【請求項8】
配列が異種プロモーターに機能し得る形で連結されている請求項1に記載の核酸。
【請求項9】
核酸がベクター内に含まれている請求項8に記載の核酸。
【請求項10】
請求項9に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項11】
請求項1の核酸によりコードされる精製タンパク質。
【請求項12】
IL−32が配列番号7のアミノ酸配列を含むα−イソ型である請求項11に記載のタンパク質。
【請求項13】
IL−32が配列番号8のアミノ酸配列を含むβ−イソ型である請求項11に記載のタンパク質。
【請求項14】
IL−32が配列番号10のアミノ酸配列を含むδ−イソ型である請求項1に記載のタンパク質。
【請求項15】
IL−32がγ−イソ型でない請求項11に記載のタンパク質。
【請求項16】
IL−32が配列番号14のアミノ酸配列を含まない請求項11に記載のタンパク質。
【請求項17】
IL−32が細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び哺乳動物細胞からなる群から選択される細胞において発現される組換えタンパク質である請求項11に記載のタンパク質。
【請求項18】
組換えタンパク質が融合タンパク質である請求項17に記載のタンパク質。
【請求項19】
請求項11に記載のタンパク質に結合する抗体。
【請求項20】
抗体がモノクローナル抗体である請求項19に記載の抗体。
【請求項21】
請求項20に記載のモノクローナル抗体のFab断片。
【請求項22】
モノクローナル抗体が32−4及び32−9から選択される請求項20に記載のモノクローナル抗体。
【請求項23】
モノクローナル抗体がヒト化モノクローナル抗体である請求項20に記載のモノクローナル抗体。
【請求項24】
モノクローナル抗体が標的細胞によるIL−32誘導TNFα産生を抑制する請求項20に記載のモノクローナル抗体。
【請求項25】
モノクローナル抗体が標的細胞においてIL−32誘導IκB分解を抑制する請求項20に記載のモノクローナル抗体。
【請求項26】
モノクローナル抗体が標的細胞において迅速なIL−32誘導p38 MAPKリン酸化を抑制する請求項20に記載のモノクローナル抗体。
【請求項27】
少なくとも1つの細胞をTNFα産生を誘導するのに適した条件下でIL−32タンパク質と接触させることを含むTNFα産生の誘導方法。
【請求項28】
IL−32タンパク質をα−イソ型、β−イソ型、γ−イソ型及びδ−イソ型からなる群から選択される請求項27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの細胞が白血球からなる請求項27に記載の方法。
【請求項30】
白血球を単核及びマクロファージからなる群から選択する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
a)被験者及びIL−32に結合する抗体を用意し、b)前記被験者に前記抗体を投与することを含む被験者の治療方法。
【請求項32】
IL−32をα−イソ型、β−イソ型、γ−イソ型及びδ−イソ型からなる群から選択する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
被験者が自己免疫疾患を有している、自己免疫疾患を有していると疑われる、または自己免疫疾患を有する恐れがある請求項31に記載の方法。
【請求項34】
自己免疫疾患が多発性硬化症、重症筋無力症、自己免疫性神経障害、自己免疫性ぶどう膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、1型糖尿病、グレーブス病、橋本病、自己免疫性卵巣炎及び睾丸炎、側頭動脈炎、抗リン脂質症候群、脈管炎、ベーチェット病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、脊椎関節症、シェーグレン症候群、乾せん、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡及び白斑からなる群から選択される請求項33に記載の方法。
【請求項35】
抗体がヒトモノクローナル抗体及びヒト化マウスモノクローナル抗体からなる群から選択される請求項31に記載の方法。
【請求項36】
投与が自己免疫疾患の少なくとも1つの症状を緩和するのに適した条件下で行われる請求項33に記載の方法。
【請求項37】
被験者が敗血症患者である請求項31に記載の方法。
【請求項38】
a)請求項11に記載のIL−32タンパク質及び少なくとも1つの薬物候補を用意すること、
b)前記IL−32タンパク質の少なくとも1つの活性に対する前記薬物候補の効果を分析すること
を含むIL−32阻害剤のスクリーニング方法。
【請求項39】
IL−32がα−イソ型、β−イソ型、γ−イソ型及びδ−イソ型からなる群から選択される組換えタンパク質である請求項38に記載の方法。
【請求項40】
薬物候補がIL−32反応性モノクローナル抗体及びドミナントネガティブIL−32バリアントからなる群から選択される請求項38に記載の方法。
【請求項41】
IL−32タンパク質の少なくとも1つの活性がTNFα発現の上方制御を含む請求項38に記載の方法。
【請求項42】
a)被験者及び請求項11に記載のIL−32タンパク質を用意すること、
b)前記IL−32タンパク質を前記被験者に投与すること
を含む被験者の治療方法。
【請求項43】
IL−32がα−イソ型、β−イソ型、γ−イソ型及びδ−イソ型からなる群から選択される組換えタンパク質である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
被験者が癌を有している、癌を有していると疑われる、または癌を有する恐れがある請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−50446(P2012−50446A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−214349(P2011−214349)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2006−539833(P2006−539833)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(506159297)ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・コロラド、ア・ボデイー・コーポレイト (2)
【Fターム(参考)】