説明

自動サンプル分析

工業プロセスで用いられる物質のサンプルが分析されて所定物質の濃度が求められる。滴定などの手動による方法を行う必要なく、これらの物質についてサンプルの定量的分析が行われる。蛍光の強度が所定物質の濃度を示す蛍光染料などの指示薬が用いられる。光源により染料は蛍光を発せられ、得られた蛍光は、光電子増倍管や光強度を測定できる他の検出器で検出される。サンプル中の蛍光の強度が、既知の濃度の所定物質を有するサンプルにより生成される蛍光の強度と比較され、サンプルにおける所定物質の濃度が求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料分析の分野、並びにそのための方法及び装置に関する。特に、本発明は、工業上、農業上の鉱物の探査並びに同様のプロセス及び操作を監視し制御するための試料分析の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工業工程においては、操作又はプロセスを監視又は制御する必要が生じる。この工業工程としては、商品の製造、並びに鉱物の探査及び生産が挙げられる。しばしば、操作又はプロセスを監視又は制御するのに必要なデータは、特定の物質の存在又は量を決める化学分析により生成される。これらの物質は、プロセスで使用できるかもしれないし、望ましくない汚染物質かもしれない。例えば、製造環境において使用されるいくつかの流体は、工場全体を通して循環され、その中の複数の場所で使用される。これらの流体の有効性は、その中の複数の添加剤の存在に依存する場合があり、この添加剤は、使用する間に使い尽くされるので、補充しなければならない。添加剤をいつ、どのくらいの量を補充するか決めるのは、しばしば、専門家にゆだねられ、この専門家が、流体のサンプルを取り、手動の視覚的な滴定技術を用いてそれを分析し、存在する様々な添加剤物質の量を求める。各サンプルは、流体中に存在するのが望ましい1以上の特定の物質の存在又は不存在について分析され、サンプル中のその量が、添加剤を流体に加えるか否かを指示し、もし加えるのなら、その意図する組成に復元すべく流体に加える添加剤の量を指示する。この分析に固有の誤りは、サンプル中の添加剤の量を測定する専門家の判断に依存しており、添加剤の不適当又は不適切な添加を生じ、その意図した目的に対する流体の性能を低下させる場合がある。同様に、製造プロセスで使用されるいくつかの流体は、望ましくない物質により汚染され得る。例えば、流体が一定レベルの有害な物質を含んでいる場合にそれらの流体を工業的、化学的な鉱物の探査現場及び他の現場から排出することは違法となり得る。したがって、排出される流体は、それらの有害な物質の存在及び量について分析されなければならない。多くの工業環境では、この分析は手動にて一般に視覚的な滴定技術で行われるので、分析における誤りが、有害な物質の望ましくない排出を引き起こすか、又は適切に排出できる流体流を排出する能力を不能にし得る。
【0003】
マイクロ流体デバイスは、生体物質の分析では広く使用されているが、工業プロセスからのサンプルを分析するのには広く使用されてこなかった。マイクロ流体デバイスは、約0.1μm〜約500μmの範囲の少なくとも1つの製造寸法を有する流体要素を含んだデバイスである。この流体要素は、通路、チャネル、チャンバー又は導管などの流体が流れることができる構造体である。よって、マイクロ流体デバイス内の流体要素は、一般に、約0.1μm〜約500μmの少なくとも1つの内部断面寸法(例えば深さ、幅、長さ、直径など)を有する。マイクロ流体デバイスは、生体物質の分析において広範囲の用途が見出されている。例えば、マイクロ流体デバイスは、RNAやDNAなどの核酸について様々な分析を行うため、生物サンプルを治療特性についてスクリーニングするため、及び細胞内の特定イオンの濃度を測定するために用いられてきた。マイクロ流体デバイスの使用は、ほぼ生体物質の分析のみに大部分が限定されていた。というのは、生物サンプル内の対象とする成分の濃度、及びそれらのサンプルのpHは、相対的に狭く予想可能な範囲内にあるからである。対象とする成分の濃度が狭く予想可能な範囲内にあるので、分析中に用いられる試薬の濃度を分析の実行前に予め決めることができる。例えば、分析中に所定の成分にラベル付けするのに使用される多くの蛍光染料は、染料が検出する物質の一定の濃度範囲に対してのみ有効である。一般に、これらの染料は、ほんのわずかな濃度の所定物質にのみ有効である。特に、蛍光染料は、染料の蛍光強度がラベル付けされた物質の濃度によって予想どうりに変化するとき、染料により検出される物質の濃度を定量化するのに使用できる。しかしながら、蛍光染料は限定されたダイナミックレンジしかもたず、このことは、蛍光のレベルが、狭い範囲の濃度に対して物質の濃度を示していることを意味する。同様に、これらの蛍光染料の多くは、一定範囲のpH内でのみ有効である。よって、一般に工業工程からの流体のサンプルの場合のように、所定の物質のpHと濃度が全く知られていないサンプルを分析するのに蛍光染料を用いるのは非常に難しい。それにも関わらず、マイクロ流体デバイスにおいて実施される分析は迅速で正確で容易に自動化されるので、それらの流体を分析するのにマイクロ流体デバイスを用いることが望ましい。工業上の流体の分析へのマイクロ流体デバイスの適用を制限している別の要因は、サンプルにより生成される蛍光レベルが個々のマイクロ流体デバイス間で変わり得ることである。よって、個々のデバイスは、デバイスが正確なデータを生成するよう較正しなければならない。
【0004】
したがって、分析結果についての人間の判断や熟練に依存せず高い再現性をもった、工業プロセスで使用される流体を分析するための方法及び装置のニーズが当該技術において存在する。このニーズは、マイクロ流体デバイスの適用により満たすことができる。
【特許文献1】米国特許第5,965,001号
【特許文献2】米国特許第5,858,195号
【特許文献3】国際公開第WO 01/63270号
【特許文献4】米国出願公開第2002/0019059号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の概要
本発明は、工業工程からの流体サンプルの分析方法及び装置を提供し、この分析は、オペレータの解釈を必要とせず定量的かつ定性的な結果を与える。一態様では、多くのウェルをその中に備えたマイクロ流体デバイスが提示され、そのウェル中に若干量の対照サンプル、被分析サンプル、指示薬、緩衝剤及び他に必要な任意の分析消耗品が与えられる。ウェルは、その中に入れられたサンプルがチャネル中で指示薬又は他の分析物質と混合されるように、デバイス内で特定のチャネルと流体連通しており、得られた混合物が分析されてサンプルにおける選ばれた成分の存在及び量を示す結果が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、指示薬としては蛍光を発する化合物又は物質が挙げられ、これは、所望の範囲内の濃度又は量にてサンプル中に存在する特定の物質にさらされると蛍光を発し、それによって分析されているサンプル中の特定物質の量だけでなく存在も示す信号を与える。好ましくは、マイクロ流体デバイスは、スタンドアロン機器、すなわち、すべての制御及び報告用の周辺装置とソフトウエアとをその中に備えた機器とインターフェースをとり、それにより、一旦サンプルの分析の準備が整うと、スタンドアロン機器が、オペレータ又は専門家の更なる介在なしに分析を可能にするのに必要な任意の更なる希釈やサンプル、指示薬及び緩衝剤の混合を指示する。一態様では、このスタンドアロン機器とマイクロ流体デバイスは共同して、サンプルデータを所定成分の濃度の分かっている1以上の基準サンプルと比較することにより自動較正できる。別の態様では、マイクロ流体デバイス内の流体要素の小寸法ゆえに、少量のサンプル、指示薬及び他の試薬を用いてサンプルの所定の特性を求めることが可能になる。さらに別の態様では、分析によりサンプル中の無機物質のイオン濃度が求められる。
【0007】
別の態様では、分析用のサンプルが、工業上、製造上、精製上の鉱物探査、並びに関連のプロセス及び操作から与えられ、分析されているその成分が、プロセスの状況又は流体の状態を示す。分析結果に応じて、分析結果がそのようにする必要性を示している場合にはそのプロセス又は操作を変更でき、又は流体の該成分の濃度を変えることができる。
【0008】
本発明の上述した特徴を詳しく理解できるように、上記概説した本発明の更に詳しい説明を実施態様を参照して行う。実施態様のいくつかは添付図面に示す。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施態様のみを描いており、よって本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は他の均等の実施態様にも及ぶことに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、物質のサンプルに対してその選択された特性についての化学分析などの分析の方法及び装置を提供し、特に、非生物サンプル中の化学物質の相対的に速く正確な定量的分析を可能にし、その得られた量は、工業プロセスの相対的ステータス若しくは正しさ、又はサンプルを取った物質の状態を示している。この方法及び装置は、従来の実験分析技術に代わり得るのもであり、サイズがコンパクトで、相対的に使用し易く、サンプル中に存在する物質又は成分の量を測定するのにオペレータの解釈を挟まないという格別の利点を有する。一態様では、この分析は、特定の波長範囲内の光にさらされると蛍光を発する染料とサンプル中に存在し得る所定の物質との反応に基づいている。得られた蛍光の大きさの分析により、サンプル中の所定物質の量を計算でき、この量は好ましくは分析装置又は機器に設けられた論理素子により与えられる。別の態様では、既知の基準又は対照サンプルの分析と共にサンプルの分析を行い、該サンプルの蛍光を用いて被分析サンプルすべてについての分析を較正し、それにより、分析に用いられるマイクロ流体デバイス間の変動のみならず、機器にけるプロセスドリフト又は機器ドリフトの問題を除くことができる。この分析は、流体回路をその上にもったマイクロ流体デバイス上で行うのが好ましく、該デバイス上ならばサンプルの混合及び検出は完全に自動化され、よってオペレータの誤りに影響されない。
【0010】
本発明の実施態様における指示薬の役割は、所定の物質の存在の検出可能な兆候を与えることである。種々の実施態様において、このような検出可能な兆候は、指示薬により生成される検出可能な信号を変える指示薬と所定物質との反応により与えられ得る。例えば、この指示薬は、所定の物質と反応すると蛍光を発する蛍光染料とし得るか、又はこの指示薬は、所定物質により蛍光が消される蛍光染料とし得る。別の実施態様では、指示薬と所定の物質との反応により、化学ルミネセンス生成物を生成し、指示薬の化学ルミネセンスを消し、又は指示薬の色を変え得る。蛍光染料を用いる実施態様では、この蛍光染料は、蛍光を発する染料の量が所定の物質の濃度と相関する場合には定量的な結果を与えることができる。例えば、この染料が所定の物質に選択的に結合する場合、又は所定の物質が染料の蛍光発光を生じさせるような選択的な反応を該染料との間で行う場合に、このような相関が生じ得る。このような蛍光染料を用いると、サンプル中の所定物質の量は、適当な波長のレーザー又は他の光源が染料を照射した際に染料により生成される蛍光の強度により示される。本発明の実施態様に適合する蛍光染料の例は、Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR)から入手可能なルシゲニン(lucigenin)であり、これは、約505nmの波長の蛍光をそれより短波長の光により励起された際に発する。ルシゲニンの蛍光は塩化物イオンの存在下で消され、よって、ルシゲニン蛍光の減少は塩化物イオン濃度の増大に対応する。ルシゲニンに加え、Molecular Probes社は、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ヨウ化物イオン、シアン化物、硫化物、硫酸塩、亜硫酸塩、亜硝酸塩、燐酸塩、ピロ燐酸塩、セレン、及びセシウムの指示薬として機能し得る化合物を市販している。たいていの指示薬では、指示薬により生成される検出可能な信号レベルから所定の物質の濃度の定量的な測定値を得るためには、所定の物質の濃度は、指示薬のダイナミックレンジ内になければならない。換言すれば、たいていの指示薬は限定されたダイナミックレンジを有するので、所定物質の一定濃度を超えた濃度のさらなる増大によっては検出可能な信号における識別可能な変化が得られない。加えて、多くの指示薬では、検出可能な信号のレベルは、所定物質の濃度によって直線的に変化しない。例えば、図1に示されるように、ルシゲニンからの蛍光のレベル(x軸に沿ってプロット)は、塩化物濃度の一次関数ではない。本発明の実施態様では、このような非線形の挙動は、サンプルにより生成される蛍光を既知の様々な濃度を有する基準サンプルにより生成される蛍光と比較することにより補償できる。この既知の濃度の範囲は、サンプル中の所定物質のとり得る濃度に亘るように、かつ染料のダイナミックレンジ内になるように選択される。図1では、ルシゲニンからの蛍光レベルは、塩化物濃度が増すにつれて単調減少しており、よって、塩化物濃度の範囲はルシゲニンのダイナミックレンジ内にある。ある実施態様では、分析を行うマイクロ流体デバイスは、1つの基準サンプルを複数の希釈レベルに希釈できるように構成される。これは、1つのソースから複数の基準サンプルを得る可能性を与える。同様に、ある実施態様では、分析を行うマイクロ流体デバイスは、被分析サンプルを希釈できるように構成される。被分析サンプルを希釈する能力により、高すぎる濃度の所定物質を含んだサンプルを希釈し、所定物質の濃度を染料のダイナミックレンジ内にすることが可能となる。別の実施態様では、機器がサンプルをマイクロ流体デバイス中に配置する前に、機器内でサンプルの希釈を行うことができる。さらに別の実施態様では、サンプルは機器内に配置される前に希釈できる。
【0011】
I.マルチポート流体制御システムとインターフェースをとるマイクロ流体デバイス
図2は、本発明の実施態様に有効なマイクロ流体デバイス10の例を示す。後に詳細に説明するように、デバイス10などのマイクロ流体デバイスは一般に図6及び8に示されるような機器と共に使用される。マイクロ流体デバイス10は、マイクロ流体デバイスのチャネルに流体を導入するためや、マイクロ流体デバイスのチャネルから廃液を回収するために使用できる複数のレザバーを備える。図2のレザバーとして、既知の濃度の所定物質を有する基準サンプルを含んだ基準サンプルウェル12;供給用の緩衝剤を含んだ第1緩衝剤ウェル14;未知の濃度の所定物質を有するサンプルを含んだサンプルウェル16;第2緩衝剤ウェル18;各々が指示薬を含んだ溶液を含む第1及び第2指示薬ウェル20、22、及び流出液を蓄える廃棄ウェル24が挙げられる。別のウェル26を設けることもできるが、本発明のこの実施態様では不要である。
【0012】
様々なレザバー又はウェルが、デバイス10内のチャネル30〜40を通って流動連結されている。基準サンプルウェル12と第1緩衝剤ウェル14は、対照サンプルチャネル30を通って連結される。同様にサンプルウェル16と第2緩衝剤ウェル18は、サンプルチャネル34を通って連結される。対照サンプルチャネル30は、主チャネル32に直接連結されるが、サンプルチャネル34はサンプル供給チャネル36を介して主チャネル32に連結される。デバイス10の動作中、サンプルウェル12及び16からのサンプルは、主チャネル32を通って廃棄ウェル24に向けて輸送される。サンプル供給チャネル36と主チャネル32の交差点は、対照サンプルチャネル30と主チャネル32の交差点と廃棄ウェル24との中間に位置する。指示薬ウェル20及び22は、指示薬チャネル38及び指示薬供給チャネル40を介して主チャネル32に連結される。指示薬供給チャネル40は、サンプル供給チャネル36と主チャネル32の交差点と廃棄ウェル24との中間にて主チャネル32と交差し、このことは、サンプルが主チャネルに導入される場所の下流にて1以上の指示薬が主チャネル32に導入されることを意味する。サンプルが1以上の指示薬と混合された後、得られた混合物は主チャネルを通って検出領域28を流れ過ぎて廃棄ウェル24に入る。
【0013】
サンプルチャネル30及び34内で、サンプルウェル12及び16からのサンプルは、サンプルが主チャネル32に流れ入る前に(それぞれ)緩衝剤ウェル14及び18からの緩衝剤で希釈され得る。緩衝剤で希釈された又はされなかったサンプルは、次に、指示薬ウェル20、22からの1以上の指示薬と混合される。1つの指示薬を用いる実施態様では、指示薬は指示薬ウェル20、22の1つから流れる。2つの指示薬ウェル20、22の存在により2つの異なる指示薬が利用できるので、デバイス10は1より多い所定物質についてサンプルをアッセイすることができる。たいていの場合、2つの異なる指示薬を用いるアッセイは別々に行われる。もし各々の指示薬が他方の指示薬とその所定物質との反応を妨害せず、指示薬が別々に検出でき、かつ、各々の所定物質の定量的分析が望まれる場合に指示薬のダイナミックレンジが重なるならば、これら2つのアッセイは同時に実施できる。この1以上の指示薬と一旦混合したなら、サンプルは主チャネル32を通って検出領域28に流れ、そこでこの1以上の指示薬から発する信号(1又は複数)が検出器(図示せず)により検出できる。
【0014】
マイクロ流体デバイス10は、特に、サンプルウェル12及び16からのサンプルの様々なレベルの希釈を与えることができる。様々な希釈の基準サンプルを基準サンプルウェル12に与えることにより、デバイス10は、図1に示されるような応答曲線を生成するのに使用できる。このような応答曲線は、検出可能な信号(例えば蛍光)と所定物質の濃度との相関を与え、これは、未知の濃度のサンプル中の所定物質の濃度を求めるのに必要とされる。様々に希釈された未知濃度のサンプルをサンプルウェル16に与えることにより、デバイス10は、希釈されたサンプル中の所定物質の濃度が指示薬のダイナミックレンジ内に存在するように十分に未知の濃度のサンプルを希釈するのに使用できる。
【0015】
サンプルの希釈、希釈された又は希釈されてないサンプルと1以上の指示薬との混合、及び検出領域28を通るサンプル/指示薬混合物の移動は、デバイス10のチャネル30〜40を通る流体の流れを制御することにより実現される。個々のチャネル30〜40を通る流体の流れは、レザバー12〜24の各々に制御可能な駆動力を別々に加えることにより制御される。マイクロ流体デバイスの各レザバーに制御可能な駆動力を別々に加えることができる流体制御システムは、マルチポート制御システムと称すことができる。マルチポート制御システムは種々の駆動力を用いることができる。例えば、マルチポート制御システムは、レザバー12〜24の各々に電極を浸し、各電極に制御された電圧を別々に加えることにより、動電学的力を用いてチャネル30〜40を通る流体の流れを開始させることができる。動電学的力を用いるマルチポート制御システムの例は、米国特許第5,965,001号及び第5,858,195号に記載されている。しかしながら、工業プロセスの多くのサンプルでは、サンプルへの電場の印加は、分析結果に悪影響を与え得る。例えば、種々の帯電した種を含んだサンプルは、電場中では歪み得る。というのは、その電場が種々に帯電した種を電気泳動的に分離する傾向にあるからである。したがって、多くの場合、本発明の実施態様において圧力ベースの流体制御システムを用いるのが好ましい。図2の実施態様の圧力ベースのマルチポート制御システムは、デバイスのチャネル30〜40と流体連通する各レザバー12〜24に加えられる相対圧力を別々に制御する。このような圧力ベースの制御システムの例は、国際公開第WO01/63270号に記載されている。図2のデバイス10の圧力ベースのマルチポート制御システムは、別々に制御された圧力をレザバー12、14、16、18、20、22、及び24の各々に空気圧で加えることができる。これは、圧力供給源(図示せず)に連結された圧力伝達管腔(図示せず)にこれらのレザバーの各々をインターフェースすることにより実現できる。次に、圧力は、管腔内の流体(一般には空気)を介して圧力供給源からレザバー中の流体の表面に伝達される。図2に示されるマイクロ流体デバイスでは、レザバーに加える圧力を基準レベルからプラス又はマイナス5psiだけ変えることのできる圧力供給源で十分である。レザバー12〜24に個別の相対圧力を選択的に加えることにより、個々の各チャネル30〜40を通る流速が制御できる。多くの実施態様では、基準圧力より大きい圧力を第1組のレザバーに加えることにより、流体はそれらのレザバーから基準より小さい圧力が加わった第2組のレザバーに向けて流される。これらの実施態様では、基準圧力を第3組のレザバーに加えることにより、第3組のレザバーへの流れ込み又は第3組のレザバーからの流れ出しが防がれる。したがって、例えば、図2の実施態様ではサンプルウェル16、第2緩衝剤ウェル18及び第2指示薬ウェル22の各々に加えられる基準圧力;基準サンプルウェル12、第1緩衝剤ウェル14及び第1指示薬ウェル20に加えられる基準より大きい圧力;並びに廃棄ウェル24に加えられる基準より小さい圧力の組み合わせにより、基準サンプルウェル12からの基準サンプルと第1緩衝剤ウェル14からの緩衝剤の混合物が主チャネル32に流入させられ、第1指示薬ウェル20から流れてきた指示薬と混合させられる。次に、希釈されたサンプルと指示薬の混合物は、検出領域28を流れ過ぎて廃棄ウェル24に入る。主チャネル32に流入するレザバー12からの基準サンプルとレザバー14からの緩衝剤との相対量は、基準サンプルウェル12及び第1緩衝剤ウェル14に加えられる基準より大きい圧力の相対的な大きさを変えることにより変更できる。したがって、基準サンプルの希釈レベルを制御し、所定の物質が既知の濃度をもった種々のサンプルを作ることができる。
【0016】
本発明の一実施態様では、図2のデバイス10は、未知の濃度の所定物質を含んだサンプルの定量的分析を実行できる。定量的分析における第1のステップは、既知の濃度の所定物質を有する複数のサンプルにより生成される検出可能な信号のレベルを測定することである。上述したように、既知の濃度の所定物質を有する複数のサンプルは、第1緩衝剤ウェル14からの緩衝剤と共に基準サンプルウェル12からの希釈基準サンプルにより生成できる。ウェル12及び14に加えられる相対圧力を変えることにより、基準サンプルの希釈量が制御される。既知の濃度を有する前記複数のサンプルの濃度は、検出可能な信号を生成するのに使用される指示薬のダイナミックレンジ内に存在するのが好ましい。既知の濃度の前記複数のサンプルにより生成される検出可能な信号は、これらのサンプルが検出ゾーン28を通過する際に測定される。既知の濃度のサンプルにより作られる検出可能な信号は、未知の濃度のサンプルにより作られる検出可能な信号を濃度測定値に変換するための手段を提供する。一般に、未知の濃縮サンプルは、所定の物質の濃度が指示薬のダイナミックレンジ内になるまで希釈される。デバイス10では、サンプルウェル16中の未知の濃度の所定の物質を有するサンプルは、基準より大きい圧力をサンプルウェル16、第2緩衝剤ウェル18、及び第2指示薬ウェル22に加え;基準より小さい圧力を廃棄ウェル24に加え;基準圧力を基準サンプルウェル12、第1緩衝剤ウェル14、及び第1指示薬ウェル20に加えることにより主チャネル32に導入される。ウェル16及び18に加えられる基準より大きい圧力の相対的な大きさを変えることにより、未知の濃度のサンプルの種々の希釈から検出可能な信号が測定できる。本質的に工業プロセスからの流体のサンプルすべてについて、所定の物質の濃度は指示薬のダイナミックレンジ中の最大濃度を超えるであろう。したがって、このようなサンプルの分析は、一般に、サンプルの希釈における変化が、指示薬のダイナミックレンジ内の濃度を有する検出可能な信号の変化に対応する検出可能な信号の変化を生じるまで、第2緩衝剤ウェル18からの増加する量の緩衝剤でサンプルを連続的に希釈することを伴うであろう。未知の濃度の所定物質を有するサンプルが、希釈されたサンプル中の所定物質の濃度が指示薬のダイナミックレンジ内に存在するように十分に希釈されると、該希釈されたサンプルからの検出可能な信号のレベルは、希釈されたサンプルの濃度と相関するであろう。未知の濃度を有する元のサンプルの濃度は、希釈されたサンプルの測定した濃度、及び元のサンプルを希釈した程度から計算できる。
【0017】
所定の物質の濃度と指示薬のダイナミックレンジ内の検出可能な信号との相関は、基準サンプルの異なる希釈により生成される検出可能な信号を測定することにより求められる。例えば、図1の曲線は、塩化物イオン濃度と蛍光染料ルシゲニンにより生成される検出可能な蛍光との相関を表す。図2のデバイスは、基準サンプルウェル12中の10mMトリス緩衝剤中のNaClの100mM溶液を、様々な量のウェル14中の10mMトリス緩衝剤溶液で希釈することにより、図1の相関を作ることができる。図1の相関を用いると、未知の濃度の塩化物のサンプルの濃度は、希釈したサンプルとルシゲニンの混合物により生成される蛍光が、3000〜6000SFUの蛍光レベルを生じるまでサンプルを希釈し、希釈したサンプルの蛍光レベルに対応する塩化物の濃度の位置を確認し、最後にサンプルの希釈を補償すべく相関により求められた濃度を調節することで元のサンプル中の塩化物の濃度を計算することにより見出すことができる。
【0018】
図2に示されるデバイス10では、サンプルウェル16中のサンプルは、第2の所定物質用の指示薬が第2指示薬ウェル22中に蓄えられ、かつ上述した分析が第1指示薬ウェル20中の指示薬の代わりに第2指示薬ウェル22中の指示薬を用いて実施される場合には、第2の所定物質について分析を行うことができる。特定の実施態様では、サンプルウェル16中のサンプルは、指示薬ウェル20、22中の異なる指示薬の各々がその関連の所定物質ともう一方の指示薬との反応を妨害せず、指示薬が別々に検出できるならば、所定の2つの物質について同時にアッセイを行うことができる。2つの所定物質について同時の定量的分析が望まれる場合には、2つの指示薬のダイナミックレンジは重ならなければならない。
【0019】
適当な機器とインターフェースをとれば、マイクロ流体デバイス10は、工業プロセスからの流体のサンプル中の1以上の所定物質の濃度を定量的に求めるのに使用できる。この定量的な測定は、完全に自動化され、迅速で正確である。マルチポート制御システムを使用することにより、マイクロ流体デバイス10を様々な異なる分析において利用可能にする多大なフレキシビリティが与えられる。あいにく、マルチポート制御システムは、一般に複雑な機械的又は電気的デバイスである。この複雑さにより、コストが増し信頼性が損なわれている。したがって、特定の実施態様ではマルチポート制御システムを必要としないマイクロ流体デバイスを用いることが望まれる。
【0020】
II.簡易流体制御システム用のマイクロ流体デバイス
本発明の特定の実施態様では、分析が実行されるマイクロ流体デバイスのチャネルを通る流体の流れは、単一の真空源をマイクロ流体デバイス上の1つのウェルに適用することにより開始される。単一の駆動力が流動連結された組のチャネルに適用されると、各チャネルを通る流速は、そのチャネルの流れ抵抗により求められる。チャネルの流れ抵抗は、主にチャネルのジオメトリの関数である。例えば、チャネルの流れ抵抗は、チャネルの断面積が増せば減少し、チャネル深さが増せば減少し、チャネル長さが増せば増大する。チャネルジオメトリと流れ抵抗の関係は、当業者にはよく知られている。よって、マイクロ流体デバイスにおいて相互に連結したチャネル網の個々のチャネルを通る流速は、マイクロ流体デバイス内のチャネルのジオメトリを適切に構成することにより、特定の真空レベルに対してプログラムできる。このように流速が制御されるマイクロ流体デバイスは、米国出願公開第2002/0019059号に記載されている。単一の真空源制御システムにより与えられる複雑さの望ましい低減は、フレキシビリティにおける望ましくない増大により実現される。単一の真空源とインターフェースをとるマイクロ流体デバイスのチャネルを通る流速は、それらのチャネルのジオメトリにより決まるので、デバイスは単一の流れパターンに対して本質的に固有的である。対照的に、マルチポート制御システムとインターフェースをとるマイクロ流体デバイス中の流れパターンは、様々なレザバーに加えられる駆動力を変えることにより変更できる。後に詳しく述べるように、図3、4及び5のマイクロ流体デバイスは、単一の真空源制御システムに適合する。
【0021】
A.複数サンプルと対照サンプルの希釈
図3は、単一の真空源制御システムを伴った本発明の実施態様に有効なマイクロ流体デバイス10aを示す。デバイス10aは、未知の濃度の所定物質を有するサンプルを含んだサンプルウェル102、既知の濃度の所定物質を有する基準サンプルを含んだ基準サンプルウェル108、ウェル102からのサンプルを希釈するための緩衝剤を含んだ緩衝剤ウェル104、所定物質の濃度が指示薬のダイナミックレンジ内にある場合に該濃度によって変化する検出可能な信号を生成する指示薬を含む溶液を含有した指示薬ウェル106を備える。
【0022】
真空が廃棄ウェル112に適用され、残りのウェル102、104、106、108が大気に解放されたままだと、得られる圧力駆動力が、これらのウェルからチャネル113、114、118、120、122、124、126、128を通って廃棄ウェル112に向かう流れを開始させる。結果として得られるデバイス10aを通る流れパターンは、サンプルレザバー102、108からの流れを追跡することにより理解できる。真空が廃棄ウェル112に適用されると、基準サンプルウェル108中の基準サンプルは、チャネル124、126及び128を通って流れ始めてチャネル122に入る。チャネル122は、指示薬ウェル106から検出領域110を通って廃棄ウェル112に延びる。指示薬ウェル106からチャネル124との交差点まで延びるチャネル122の部分の流れ抵抗は、指示薬ウェル106から流れる指示薬がチャネル122とチャネル124の交差点に同時に到達するか又は基準サンプルが該交差点に到達する前に到達するように十分に小さく作られる。このようにして、チャネル122に到達する基準サンプルはどれも、指示薬ウェル106からの指示薬と混合される。基準サンプルウェル108から出てくる3つのチャネル124、126、128のうち、チャネル124は、最も小さい流れ抵抗を有し(例えば、より短くし得るので)、チャネル126は、より大きな流れ抵抗を有し、チャネル128は最も大きな流れ抵抗を有する。したがって、チャネル122を通って流れる基準サンプルの量は、最初はチャネル124を通って流れる基準サンプルのみから成る。基準サンプルウェル108からの基準サンプルがより長いチャネル126を通過するのに十分な時間が経過すると、チャネル122を流れる基準サンプルの量は、チャネル124及び126の両方を流れる基準サンプルの増加量から成る。最後には、基準サンプルウェル108からの基準サンプルが最長のチャネル128を通過するのに十分な時間を有するべく十分な時間が経過すると、チャネル122を流れる基準サンプルの量は、3つのチャネル124、126、128を流れる基準サンプルのさらに増した量から成る。1つ、2つ又は3つのチャネルからの累積的な流れを表している基準サンプルの3つの異なる量は、検出領域110を流れ過ぎる所定物質の3つの異なる既知の濃度を生じる。この3つの濃度は既知である。というのは、基準サンプル中の所定物質の濃度は知られており、基準サンプルウェル108から導かれる3つのチャネル124、126、128の各々の流速は、チャネルのジオメトリから求めることができ、チャネル122を通る指示薬溶液の流速は、チャネルジオメトリから求めることができ、指示薬溶液の組成は既知だからである。所定物質の3つの既知の濃度は、図1に示されるような検出信号と濃度の相関が生成できるように、指示薬のダイナミックレンジ内に存在するのが好ましい。
【0023】
真空が廃棄ウェル112に適用されると、未知の濃度の所定の物質を含んだサンプルは、サンプルウェル102からチャネル113及び114を通って流れる。チャネル113を流れるサンプルの部分は、チャネル120を流れる指示薬と混合され、得られた混合物は、検出領域110を流れ過ぎて廃棄ウェル112に入る。チャネル114を流れるサンプルの部分は、緩衝剤ウェル104からチャネル116を通って流れる緩衝剤で希釈される。この希釈されたサンプルは、次に、チャネル118から流れてくる指示薬と混合され、得られた混合物が検出領域110を流れ過ぎて廃棄ウェル112に入る。希釈のレベルは、チャネル114及び116を通る相対的な流速により決められ、これはこれらのチャネルのジオメトリの関数である。サンプルウェル102内のサンプル中の所定物質の濃度は未知であるから、サンプルの2つの異なる希釈をチャネル113及び114に与えることにより、これら2つの希釈の一方の濃度が指示薬のダイナミックレンジ内に存在する可能性が高まる。一般に、工業プロセスからのサンプル中の所定物質の濃度は、これらの物質を検出するのに用いられる指示薬のダイナミックレンジをはるかに超える。したがって、工業プロセスから取られたサンプルは、通常はサンプルウェル102中に配置される前に希釈される。工業プロセスからの元のサンプルは、所定物質の濃度を指示薬のダイナミックレンジ内にする希釈が見つかる前に、いくつかの異なる希釈レベルに手動で希釈しなければならないかもしれない。希釈の追加レベルをデバイス10a上に設けることにより、手動で作らなければならない希釈レベルの数が低減される。デバイス10aは2つだけの希釈レベルを作るが、本発明の他の実施態様では3以上の希釈レベルが与えられ得る。
【0024】
図3の実施態様の1つの有利な特徴は、所定の物質の濃度と指示薬により生成される検出可能な信号のレベルとの相関が、未知の濃度のサンプルを測定する同一のマイクロ流体デバイス10a上で生成されることである。濃度/信号の相関を測定の行われる同一のデバイス上で生成することは、サンプル測定が他の方法又は異なるマイクロ流体デバイスで生成される相関と比較するとき生じうる測定の誤りを排除するのに役立つ。これらの誤りは、機器ドリフトや異なるマイクロ流体デバイス間の変化を含めて様々な源から生じ得る。したがって、マイクロ流体デバイス10aは、固有の較正能力をもったものと考えることができる。
【0025】
マルチポート制御システムの代わりにの単一の真空源制御システムとインターフェースをとるマイクロ流体デバイスを用いるとき、考慮すべき実際的な事柄がいくつかある。例えば、図3、4及び5のマイクロ流体デバイス10a、10b及び10cなどのように単一の真空源とインターフェースするマイクロ流体デバイスは、分析を実施するのに使用可能にする前にプライミングしなければならない。プライミングステップは、ウェル102、104、106、108が分析を実行するのに必要なサンプル、緩衝剤及び指示薬溶液で満たされる前に実行される。一般に、このプライミングステップは、ノズル又は注ぎ口を廃棄ウェル112に設け、緩衝剤がデバイスの他のすべてのウェルから流れ出るまで緩衝剤流体をその中に導入することにより、マイクロ流体デバイスの製造中に実施される。製造中にデバイス10aをプライミングすることにより、マイクロ流体デバイスを用いて分析を行う機器は、デバイスをプライミングする能力を有する必要はない。図3、4及び5のデバイスなどのマイクロ流体デバイスを用いるときに考慮すべき別の事項は、検出領域を通過する複数チャネルの各々からの信号を個別に検出しなければならないことである。例えば、図3のマイクロ流体デバイス10aでは、チャネル122、113及び114の各々からの信号を個別に検出しなければならない。マイクロ流体デバイスとインターフェースする機器は、このことを、例えば、可動の検出器又は複数の検出器により実施できる。ここでは、可動の検出器を有する機器の実施態様を説明する。
【0026】
B.単一サンプル濃度と複数サンプル
図4は、単一の真空源制御システムに適合するマイクロ流体デバイス10bのさらに別の例を示す。マイクロ流体デバイス10bは、図3のデバイス10aを単純化したバージョンである。この単純化バージョンは、サンプル中の所定物質の濃度が指示薬のダイナミックレンジ内に存在するとき使用できる。この場合には、サンプルをさらに希釈する必要はない。したがって、希釈を可能にし、緩衝剤ウェル104並びにチャネル114、116及び118を備えたデバイス10aの特徴を除外できる。これらの特徴の削除を除いて、図4の単純化されたデバイス10bの設計及び操作は、図3のデバイス10aについて上述した設計及び操作と本質的に同じである。
【0027】
図5は、本発明の実施態様による別のマイクロ流体デバイス10cを示す。デバイス10cは、未知の濃度の同じ所定物質を有する2つのサンプルを分析することができる。未知の濃度の2つのサンプルを分析する能力は、図4の実施態様に、未知の濃度の所定物質を有する第2サンプルを含むためのサンプルウェル130、サンプルウェル130を廃棄ウェル112に流動連結するチャネル132、及び指示薬ウェル106をチャネル132に流動連結するチャネル134を付加することにより与えられる。したがって、真空が廃棄ウェル112に適用されると、第2サンプルウェル130中に入れられた第2サンプル流体と指示薬ウェル106から供給される指示薬溶液とからなる混合物が、検出領域110を通って第2サンプルチャネル132に引き込まれる。この第2サンプルは、第1サンプルとは異なる工業プロセスからのサンプル、第1サンプルと同じ工業プロセスからではあるが異なる場所若しくは時間に取られたサンプル、又はサンプルウェル102に配置されたサンプルの希釈されたバージョンとし得る。したがって、図5のデバイス10cは、その中の所定の1つの物質の濃度について複数のサンプルを分析できる。
【0028】
III.マイクロ流体デバイスとインターフェースをとる機器
未知の濃度のサンプル及び基準サンプルと混合された指示薬により生成された検出可能な信号の検出を可能にするためだけでなく、マイクロ流体デバイス10、10a、10b及び10cのチャネルを流体が通過することを可能にするために、図6に一般に示されたような機器50が設けられる。一般に、機器50は、ベース52を備え、このベース52上に図2のデバイス10などのマイクロ流体デバイスが適当なキャリヤー54内に置かれて評価のために位置決めされる。カバープレート56は、ヒンジ58を中心に閉鎖位置とローディング位置62の間で弧状に動くことができる。この閉鎖位置では、カバープレート56は、デバイス10の表面に実質的に平行に配置され、図6に示されるようなローディング位置62では、カバープレート56はベース52から上方向に開けられ、機器内のマイクロ流体デバイス10の取り出し又は機器内へのマイクロ流体デバイス10の配置を可能にする。マイクロ流体デバイス10を機器50の構造と整列させるために、デバイス10及び/又はキャリヤー54は、ベース52の位置合わせタブ(図示せず)と係合する位置合わせタブ、位置合わせノッチなど(図示せず)を備える。このタブ又はノッチはまた、機器上の1以上のスイッチ又は指示薬と共に、デバイス10に存在するサンプルの種類、よって指示薬の種類についての情報を与えることもできる。その結果、デバイス10の検出領域は、ベース52の窓60(図7参照)と適切に整列し、この窓上にデバイス10が機器50内にて配置される。カバープレート56内には複数の管腔64が配置され、これらの管腔64は、基準圧力に対してプラス又はマイナス約5psiの範囲にある相対圧力をデバイス10のウェルに加えることができる圧力供給源と流動連通している。デバイス10のウェルに加えられる圧力を変えることにより、サンプル、緩衝剤及び指示薬からなる様々な混合物をデバイス10のチャネル内で生成できる。
【0029】
再度図6を参照すると、機器50はまたコントローラセクション72を備え、コントローラセクション72内に、カバープレート56の開放及び閉鎖を感知でき、またGUI74又はキーボード78を介した機器へのユーザー入力に応答可能なシステムコントローラ75が設けられる。好ましくは、コントローラセクション72は分析スクリプトにより事前にプログラムされ、ユーザーは、特定マイクロ流体デバイス上の特定サンプルを分析するために所望のスクリプトを選択する。これらのスクリプトは、事前にプログラムされてコントローラに入れられてもよく、CDドライブに入れることができるCD ROM76などのインターフェース若しくはインターネット接続を介してコントローラに加えてもよく、又は専門家若しくはプログラマなどが直接コントローラ中にプログラミングすることにより与えてもよい。コントローラセクション72は、機器に接続された分離したコンピュータ、キーボード及びマウスとして示されているが、コントローラを機器50内に一体的に設け、機器の出力のみを機器上に物理的に配置された読み取り可能なスクリーン(図示せず)上に与え、該スクリーンにサンプルや機器のステータスについての関連情報を表示させることもできる。マイクロ流体デバイス10を用いて分析するために、このコントローラは、デバイス10内で流体を移動させるのに必要な駆動力を加えるためだけでなく、分析のコントローラへの入力及びマイクロ流体デバイスのコンフィギュレーション(好ましくは事前にプログラムされユーザー選択可能である)に基づいてウェルに加える適切な駆動力を求めるために使用される。
【0030】
次に図7を参照すると、ハウジング84内に保持された光源80と検出器82が概略的に示されている。図7の実施態様は、指示薬により生成された検出可能な信号が蛍光信号である場合に用いることができる。好ましくは、光源80は、レーザー又は半導体レーザーであり、このレーザーは、そこから光を放射してミラー及び光学系86を通ってベース52の窓60のすぐ下に配置可能なレンズ88に送ってそれを通過させる。太線90で示された光ビームは、チャネルの一つ、例えばマイクロ流体デバイス10aの検出領域110中のチャネル113に送られるように配置可能である。指示薬が蛍光を引き起こす波長の光で照射された結果として蛍光信号が指示薬により生成されると、得られた光はレンズ88に入り、ミラー及び光学系86により1以上の検出器82に送られる。好ましくは、検出器(複数も可)82、ミラー及び光学系86、レンズ88並びに光源80はすべて、ハウジング84内に収容され、このハウジングは、複数のサーボモータ及び送りネジ構成(図示せず)を用いることによりx、y及びz方向に移動可能である。したがって、マイクロ流体デバイス10aがベース52上に配置されると、デバイス10aは静止したままであり、ハウジング84がベース52下で動いて、デバイス10aの検出領域110内の分離チャネルを通るべく光ビームを方向付けるようにレンズ88を位置決めする。検出領域110内のただ1つのチャネル上に光ビーム90をフォーカスすることにより、他のチャネルからの蛍光信号によるクロストークが最小限に抑えられる。ハウジング84と光源の位置決め及び制御は、当業者にはよく知られているので、コントローラは、マイクロ流体デバイス10aの検出領域110内のチャネルの既知の場所に基づいて事前にプログラムされたスクリプトに基づき、ハウジングを事前に選択したゼロ地点にもってきて、それからハウジング84を一連の事前選択した位置に移動させるようにプログラムできる。
【0031】
次に図8を参照すると、図6の複数の管腔が1つの真空ポート74で置き換えられた別の機器構造が示されている。図8の実施態様は、1つの真空源制御システムを用いる実施態様に適合するが、図6の実施態様は、マルチポート制御システムを用いた実施態様に適合する。図8のカバー56が閉じられると、1つの真空ポート74がマイクロ流体デバイス10bの廃棄ウェル112に密封係合して受け入れられる。分析を実行するために、真空圧力がデバイス10b上の廃棄ウェルに適用され、残りのウェル中の流体がデバイス10bのチャネル中に流される。
【実施例】
【0032】
III.例
A.図2のマイクロ流体デバイスを用いた分析
本発明の実施態様は、工業プロセスから集められた流体サンプル中の所定の物質の濃度を首尾よく正確に再現性よく求めるのに使用できる。例えば、この流体サンプルは、炭化水素探査サンプル、すなわち掘穿泥水でもよい。図2のマイクロ流体デバイス10で分析すべく掘穿泥水のサンプルを操作するため、サンプルが、地中にボアホールを掘るのに用いられる掘穿泥水から回収され、このサンプルがフィルターを通され、流体サンプルがマイクロ流体デバイスを通って自由に流れるのを妨害するその中の固体を除去する。好ましくは、このフィルターは、0.2μmの範囲の孔径を有し、それにより、最大サンプル粒子サイズは0.2μmより小さくなる。次にこのサンプルは、1部のサンプルと約5部〜200部(体積で)の緩衝剤物質(pH7.5)の希釈比に希釈され、マイクロ流体デバイス10のレザバーに配置する希釈されたサンプルが作成される。サンプルと多量のpH7.5の緩衝剤を組み合わせることにより、得られる希釈サンプルは、その開始pHとは関係なく7.5のpHを有する。したがって、希釈サンプルのpHは既知であり、よって、そのpHで動作する指示薬が分析で使用できる。サンプル中の所定物質の濃度は、分析で用いられる指示薬のダイナミックレンジ内又はその近くに存在すべきである。このことは、所定物質のなお一層近い濃度が知られている場合に実現できる。さもなくば、希釈の適当なレベルを試行錯誤で求めなければならないかもしれない。
【0033】
いったん希釈サンプルが準備されると、マイクロ流体デバイス10には適当なサンプル、指示薬及び緩衝剤が装填される。デバイス10に装填するために、5マイクロリットルの容積の希釈サンプルが、専門家によりピペットで吸い込まれて、サンプルウェル16に入れられる。同様に5マイクロリットルの基準サンプルが基準サンプルウェル12に入れられ、5マイクロリットルの緩衝剤が緩衝剤ウェル14及び18に入れられ、5マイクロリットルの各指示薬が第1及び第2指示薬ウェル20、22に入れられる。例えば、カルシウム及び塩化物の存在についてサンプルを分析するために、ルシゲニンなどの塩化物に感知性の指示薬が指示薬ウェル20に装填され、Fura FF又はMag Furaなどのカルシウムに感知性の指示薬が指示薬ウェル22に装填される。これらの指示薬は、Molecular Probes(Eugene、OR)から入手可能である。次に、デバイス10は、図6の機器50中に配置され、カバープレート56がベース52の閉鎖位置に置かれ、圧力が管腔64を介してウェル12〜22に選択的に加えられ、チャネルを通り検出領域28を通るように流体を押しやる。いったん流体の混合及びデバイス10の検出領域28に到達するこれらのうち第1のものの存在を保証するのに必要な時間が経過すると、光ビームがその中の主チャネル32を照射して検出領域28を通過する物質の蛍光発光及び蛍光強度の検出を可能にする。サンプルと指示薬の組み合わせは、それらが検出領域28に到達する前にチャネル32を進行するにつれて混合されることに留意されたい。個別のウェルに加えられる圧力により、緩衝剤及び指示薬における対照サンプル流体及びサンプル流体の複数の希釈が分析用デバイス上で準備できる。
【0034】
B.図3〜5のデバイスを用いた分析
同様の方法が、図3、4及び5のデバイス10a、10b及び10cなどのように単一の真空源制御システムとインターフェースをとるマイクロ流体デバイスにより使用される。上述した例のように、流体サンプルは、掘穿泥水などの炭化水素探査サンプルでもよい。上述の例のように、未処理のサンプルは、分析用のマイクロ流体デバイス内に配置される前にフィルタリングして希釈しなければならない。所定物質の濃度が指示薬のダイナミックレンジ内に存在するようにサンプルが希釈されるなら、図4の単純なデバイス10bを使用できる。所定物質がカルシウム又は塩化物であるならば、上述の例で説明した適当な指示薬の一つを使用できる。図4のデバイス10bを使用するため、5マイクロリットルの希釈サンプルをピペットでサンプルウェル102に移し、5マイクロリットルの基準サンプルをピペットで基準サンプルウェル108に移し、5マイクロリットルの指示薬溶液をピペットで指示薬ウェル106に移す。上述したように、マイクロ流体デバイス10bは前もってプライミングしておかなければならない。デバイス10bは図8の機器50内に配置し、真空ポート74を介して真空が廃棄ウェル112に適用され、基準サンプル、未知の濃度のサンプル及び指示薬をそれらのそれぞれのチャネルに流入させる。サンプルと指示薬の混合物は検出領域110を通過し、この検出領域110で光を当てられ、検出可能な蛍光を生成する。
【0035】
上記2つの例は、炭化水素の探査からのサンプルを含めているが、当業者なら、本発明の実施態様がよく適する多数のタイプの用途を認識するであろう。一般に、本発明の実施態様は、工業プロセスからの流体中に存在する物質の存在を監視し該物質の濃度を測定するのに有用である。例えば、環境規則は、工業プロセスからの流体を処分する際に存在し得る塩化物、カルシウムなど量を制限する。本発明の実施態様は、このような流体の分析に容易に適用でき、分析の結果により、流体が適切に排出可能であることをオペレータが確認することが可能となる。低温殺菌されたプロセスチーズ食品などの食品が製造される工業処理では、有効な食品の生産を保証するためにしばしば食品の一定の成分が監視される。本発明は、食品の品質又は成分について争いが生じたとき、後の検索用のメモリ中で分析の時間だけでなく分析の結果も検証及び記憶できる能力のみならず、オペレータに依存せず迅速にこのような分析を行い迅速にフィードバックして食品への入力原料を調節する能力を提供する。同様に、流体及びその他の物質が操作中に繰り返し使用され、処分されなければならないか、又は周期的に監視されて必要な物質を補わなければならない工業工程では、本発明は、従来技術の手動による方法に対して大きな利点をもたらす。熱交換用の流体が熱交換器を通して冷却され再循環される化学プラントでは、冷媒の成分を分析し、冷却液の化学的性質の調節を指示して汚れ、錆及びスケール形成などを抑えるのに本発明を使用できる。最後に、本発明はまた、特にある成分がプロセスに有害な場合に、プロセスフロー中での該成分の単なる存在を単に示すために使用することもできる。
【0036】
本出願において引用されたすべての刊行物及び特許文献は、個別の各刊行物又は特許文献が個々に示すのと同程度にて、あらゆる目的のためにその全体を援用する。上記説明は本発明の実施態様に関するものであるが、本発明の他の更なる実施態様も、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく導き出すことができ、本発明の範囲は特許請求の範囲によって決められる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】例示の蛍光染料の応答曲線である。
【図2】本発明の実施に有用なマイクロ流体デバイスの斜視図である。
【図3】本発明を実施するための別のマイクロ流体デバイスの斜視図である。
【図4】本発明を実施するための別のマイクロ流体デバイスの斜視図である。
【図5】本発明を実施するための別のマイクロ流体デバイスの斜視図である。
【図6】図2に示されたデバイスに適合する機器の部分斜視図である。
【図7】図6の機器の部分断面図であり、その上に配置された図2のデバイスに対する光の投射及び検出を示す。
【図8】図3〜5に示されたデバイスと共に本発明を実施するための機器の部分斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 マイクロ流体デバイス
12 基準サンプルウェル
14 第1緩衝剤ウェル
16 サンプルウェル
18 第2緩衝剤ウェル
20 第1指示薬ウェル
22 第2指示薬ウェル
24 廃棄ウェル
28 検出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の所定の無機イオンの未知の濃度を測定する方法であって、
サンプルを提供するステップ;
回収した若干量のサンプルをその中に入れるための少なくともサンプルウェル、既知の量の成分をその中に有した若干量の対照サンプルを入れるための対照ウェル;及び指示薬をその中に入れるための指示薬ウェルを備えたマイクロ流体デバイスを提供するステップ;
前記デバイス上で前記対照サンプルと前記指示薬を混合し、指示薬中の対照サンプルの複数の既知の相対比を与え、該相対比の各々においてその中の所定の成分の濃度を表す信号を得るステップ;
前記信号と指示薬中の対照サンプルの前記相対比とを表すモデルを生成するステップ;
デバイス上で前記サンプルと前記指示薬を混合し、その中の前記成分の濃度を表す信号を得るステップ;及び
前記モデル内のサンプルに対して前記成分を表す前記信号を比較することで、前記サンプル中に存在する成分の濃度を決定するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記成分の濃度を表す前記信号が蛍光の強度であり、前記モデルが前記蛍光強度対前記所定成分の濃度のグラフ表現である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デバイス上で希釈サンプル、緩衝剤及び指示薬の組み合わせを混合し、分析用の検出領域に前記サンプルを通すステップをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプル又は前記希釈サンプル中の前記所定成分の濃度が、前記指示薬のダイナミックレンジ内に存在する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第2サンプルウェルを前記デバイス上に設けるステップ;
前記第2ウェルから第2サンプルを流すステップ;
前記第2サンプルを緩衝剤及び指示薬と混合するステップ;及び
この混合物中の所定成分の濃度を表す信号を得るステップ、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記デバイスの少なくとも1つのウェルに圧力を加えて流体を混合させる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記圧力が真空である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記圧力が大気圧より高い請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイス上のウェルと連通可能なチャネルを設け、このチャネルを検出領域を通って延ばすステップ;
前記検出領域に方向付けられた光源を設けるステップ;及び
前記検出領域内の前記チャネル中の混合物からの蛍光の強度を検出するステップ、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記デバイス上で分析されるべき各サンプル及び各対照サンプルに対して前記デバイス内に独立のチャネルを設けるステップ、
をさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
サンプルにおける無機成分の分析装置であって、マイクロ流体デバイスと機器とコントローラを含み、
前記マイクロ流体デバイスが、複数の流体回路をその上に有し、前記流体回路の各々が、
少なくともサンプルウェル、対照サンプルウェル及び指示薬ウェル;
少なくとも1つの廃棄ウェル;及び
前記サンプルウェル、対照サンプルウェル及び指示薬ウェルの各々を前記廃棄ウェルと相互連結させる複数のチャネル;
を含み、
前記機器が、
前記デバイスをその上に受け入れる位置決め部材;
前記チャネルの少なくとも1つを検出可能に光で照射する光源;
チャネルの内部から放射される光を検出する検出器;及び
前記ウェルの少なくとも1つに選択的に連結可能な圧力供給源;
を含み、
前記コントローラが、前記デバイスのチャネルに対する前記光源及び前記検出器の位置決めを制御し、前記チャネルの各々から放射される光の強度を表す信号を独立に読み取るためにその中に分析セクションを含む、
分析装置。
【請求項12】
第1チャネルが前記指示薬ウェルから前記廃棄ウェルに延び;
複数のチャネルが前記対照サンプルウェルから前記第1チャネルに延び、前記複数のチャネルの各々が、同じ流れ刺激に応じてその中を流れる異なる特徴流量の対照流体を得る特性をもつ、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記流れ刺激が前記廃棄ウェルに加えられる真空圧力である請求項12に記載の装置。
【請求項14】
第1チャネルが前記指示薬ウェルから前記廃棄ウェルに延び;
複数のチャネルが前記対照サンプルウェルから前記第1チャネルに延び、前記複数のチャネルの各々が異なる長さを有する、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記複数のチャネルが、
前記対照ウェルから延びて前記第1チャネルと第1位置で交差する第1長さの第1対照サンプルチャネル;
第2長さの第2対照サンプルチャネルであって、前記第1チャネルと前記第1対照チャネルとの交差位置と前記廃棄ウェルの位置との中間にて前記第1チャネルと交差し、前記第2長さが、前記第1対照サンプルチャネルの長さに、前記第1チャネルに沿って前記第1チャネルと前記第1対照サンプルチャネルとの交差点から前記第1チャネルと前記第2対照サンプルチャネルとの交差点までの距離を足したものより長い前記第2対照サンプルチャネル、
を含む請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1対照サンプルチャネルと前記第2対照サンプルチャネルが同じ断面積をもつ請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記流体回路の少なくとも1つが、
分析すべき物質のサンプルを希釈形態で入れることのできる希釈サンプルウェル;及び
前記希釈サンプルウェルから前記廃棄ウェルに延びる希釈サンプルチャネルと、前記指示薬ウェルと前記希釈サンプルチャネルを連通させる追加の指示薬チャネル、
をさらに含む請求項11に記載の装置。
【請求項18】
分析される前記サンプルが、プロセス又は装置のステータスを示すプロセス成分をその中に有する流体サンプルである請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記プロセスが鉱物の探査プロセスを含む請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセスが、地中の炭化水素を探査し回収を見込んでウェルボアを掘ることである請求項19に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−520461(P2006−520461A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518933(P2005−518933)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014500
【国際公開番号】WO2004/101152
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505319027)カリパー・ライフ・サイエンシズ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】