説明

自動センタリング装置

【課題】本発明は物品の大きさによらずに簡略に物品の中心線と基本位置を合わせてこ
れを停止させることができる自動センタリング装置を提供する。
【解決手段】本発明の自動センタリング装置は、前端と後端とを有する物品を搬送方向
へ向けて一定速度で搬送し、搬送方向の途中に設定される基本位置に、前端と後端との中
心線を合致させて物品を位置決めする自動センタリング装置である。物品を搬送方向へ搬
送する搬送装置と、物品が搬送装置により搬送される工程で、物品の前端乃至後端を検知
して検知信号を送出する検知センサと、基本位置に配置され、物品の前端を位置決めでき
る可動ストッパと、検知信号に基づき可動ストッパを、物品が搬送される速度の半分の速
度で搬送方向へ移動させる移動手段とを備え、検知センサが物品の後端を検知すると同時
に、移動手段は可動ストッパの搬送方向への移動を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ等の搬送装置上を搬送する物品を簡易にセンタリングする装置及び
簡易なセンタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を倉庫に格納したりする際に、しばしばコンベヤ等の搬送装置により所定の位置ま
で搬送した物品を、更に続けて、フォークリフトやスタッカークレーン、ロール状の物品
を両側から挟んで移動させるロール搬送装置などを用いて他所へ搬送することがある。
【0003】
このような場合、上記フォークリフト等からみてピックアップに最適な位置に確実に搬
送装置上の物品が停止するのが好ましい。搬送装置の搬送方向において、物品の前端と後
端との中心線を合致させて停止させるべき搬送装置上の位置を、以下本明細書において「
基本位置」といい、例えばフォークリフト前方の2本のフォークのセンターライン(2等
分線)上に存する。また上記物品の前端と後端との間を2等分する中心線(前端と後端の
2等分線)を「物品の中心線」といい、物品の「前端と後端の中心線」と同義とする。
【0004】
従来、搬送装置の基本位置に物品の中心線を合わせてこの物品を停止しようとする場合
、一般に次のような方法がとられていた(図9参照)。以下、簡単のため、搬送装置とし
て図9に示すようなベルトコンベヤを用いて説明する。
【0005】
(1)物品30を測定端140に当てることにより停止させる。(2)図示しない測長装
置を用いて物品30の長さを測定する。(3)(2)の測定値から計算して、基本位置に
物品の中心線が一致して停止するように停止端141を移動させる。(4)物品30を停
止端141に当てることにより停止させる。
【0006】
尚、図9において、コンベヤ1001は、始端部ローラ20及び終端部ローラ21と、
両ローラ20,21間に張設されたエンドレスベルト10とから構成され、ベルト10の
上方に測定端140及び停止端141が配設される。物品30はその前端を終端部ローラ
21に向けて、ベルト10上を始端部ローラ20側から終端部ローラ21の方向へ搬送さ
れる。なお、以下、当該方向を搬送方向として説明する。
【0007】
従来、例えば上記方法により物品30の中心をコンベヤ1001上の基本位置に合わせ
て停止させていたが、上記方法を採用すると測定端140や測長装置などの測長に関する
装置に費用がかかる。
【0008】
また、物品30の測長をするため、測定端140により物品30を、及び物品30を載
せたコンベヤ1001を一度停止する必要がある。このため、上記物品30の測長に時間
がロスとなり、物品30を搬送するサイクルタイムが長くなる。
【0009】
【特許文献1】実開昭54−84784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような不都合を解決するために、上記特許文献1は次のような考案を開示している
。即ち、特許文献1の考案は、特定長さ(Lmin)の物品の中心線を基本位置に合わせて停
止する装置に関し、搬送される物品の長さが特定長さ(Lmin)より長い場合にも、自動的
に物品の中心線を基本位置に合わせて停止し得る自動位置決め装置である。この自動位置
決め装置は、コンベヤの基本位置より始端部ローラ側の所定の位置に検知器を、基本位置
より終端部ローラ側の最接近位置(Lmin/2)にストッパをそれぞれ配置し、検知器がロ
ーラ上の物品の前端を検知してからタイムアップ時間(特定長さLminに依存する特定の時
間)経過するとストッパを物品の搬送速度の半分の速度で後退させ、検知器がローラ上の
物品の後端を検知すると同時に上記ストッパが、物品の中心線を基本位置に合わせて停止
し得る位置に移動完了する自動位置決め装置を開示している。尚、「検知器がローラ上の
物品の後端を検知」するとは、物品が検知可能から検知不可能になることと同義であり、
以下本明細書において同様とする。
【0011】
しかし、上記特許文献1の自動位置決め装置は特定長さLminの物品の搬送を前提として
おり、長さLminを基準に、より長い物品が搬送された場合にストッパを移動させて適所に
上記物品を停止させるのみである。従って搬送を予定する基準となる物品の特定長さLmin
によってタイムアップ時間や最接近位置(Lmin/2)を設定しなおす必要が生じる。
【0012】
また、上記特許文献1のストッパは、当初よりコンベヤの基本位置より搬送方向側に所
定距離(Lmin/2)離して配置されるため、当該所定距離に比べ小さい物品は、所望の位
置で停止させることができない。即ち特定長さ(Lmin)以下の長さの物品には対応できな
い。
【0013】
そこで本発明は上記問題に鑑み、物品の大きさによらずに簡略な方法により、物品の中
心線とコンベヤの基本位置を合わせて(以下「センタリング」という。)上記物品を停止
させることができる、物品の自動センタリング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の自動センタリング装置は、前端と後端とを有する物品を、前記前端を搬送方向
へ向けて一定速度で搬送し、前記搬送方向の途中に設定される基本位置に、前記前端と後
端との中心線を合致させて前記物品を位置決めする自動センタリング装置であって、前記
物品を前記搬送方向へ搬送する搬送装置と、前記物品が前記搬送装置により搬送される工
程で、前記物品の前端乃至後端を検知して検知信号を送出する検知センサと、前記基本位
置に配置され、前記物品の前端を位置決めできる可動ストッパと、前記検知信号に基づき
前記可動ストッパを、前記物品が搬送される速度の半分の速度で前記搬送方向へ移動させ
る移動手段とを備え、前記移動手段は、前記検知センサが前記物品の前端を検知すると同
時に、前記可動ストッパの前記搬送方向への移動を開始させ、前記検知センサが前記物品
の後端を検知すると同時に、前記可動ストッパの前記搬送方向への移動を停止させ得る。
【0015】
本発明の自動センタリング装置は、前記可動ストッパが前記物品の前端に接触すると同
時に、前記搬送装置は搬送を停止してもよい。
【0016】
本発明の自動センタリング装置は、前記搬送装置の搬送速度を検知する第1エンコーダ
を備える上記の自動センタリング装置であって、前記移動手段は、前記第1エンコーダが
検知した搬送速度の半分の速度で前記可動ストッパを前記搬送方向へ移動させてもよい。

【発明の効果】
【0017】
本発明の自動センタリング装置は、測長装置を用いないで、搬送する物品を搬送装置の
所望の位置で停止させることができる。そのため本発明は、上記センタリングを行なえる
搬送装置を安価なシステムとして提供することができる。
【0018】
本発明の自動センタリング方法を用いれば、従来のセンタリング方法と異なり、測定端
により物品を、及び物品を載せた搬送装置を一度停止する必要がなくなり、測長にかかる
時間を省くことができる。そのため、本発明は搬送のサイクルタイムを縮小させたスムー
ズなシステムを提供することができる。
【0019】
また、本発明の自動センタリング装置は、上記特許文献1のセンタリング装置のように
可動ストッパが搬送装置の基本位置より所定距離離して配置されず、基本位置直上に配置
される。そのため小さい物品であっても基本位置を超えて可動ストッパに接触することは
なく、物品の大きさによらずに簡略な方法により物品の中心線と基本位置を合わせて上記
物品を停止させることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図1を用いて説明する。
【0021】
本発明の自動センタリング装置1は、前端と後端を有する物品30を、物品30の前端
を搬送方向の前途へ向けて一定速度で搬送し、この搬送方向の途中に設定した基本位置に
、物品30の前端及び後端の間を2等分する中心線を合致させた状態で、物品30を位置
決めする装置である。
【0022】
そして、本発明の自動センタリング装置1は、物品30を上記搬送方向へ搬送する搬送
装置5と、物品30が搬送装置5により搬送される工程で物品30の前端及び後端の間を
検知して検知信号を送出する検知センサ50と、上記基本位置に配置されて物品30の前
端を位置決めできる可動ストッパ40と、を含む。さらに自動センタリング装置1は、検
知センサ50が送出する検知信号に基づいて可動ストッパ40を、物品30が搬送される
速度の半分の速度で上記搬送方向へ移動させる移動手段41を備える。
【0023】
本実施形態において、搬送装置5はベルト式のコンベヤであって、始端部ローラ20及
び終端部ローラ21と、ローラ20と21間に張設されたベルト10と、図示しないロー
ラ駆動装置から構成される。ローラ駆動装置は始端部ローラ20及び/又は終端部ローラ
21を駆動し、ベルト10を始端部ローラ20から終端部ローラ21の方向へ駆動させる
。当該方向を以後、「搬送方向」と定義する。なお、本発明において搬送装置はベルト式
のコンベヤに限定されず、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤなどすべてのコンベヤ式搬
送装置5が本発明の自動センタリング装置に含まれる。また、搬送装置5は図1のように
複数の搬送装置5を直列に、あるいは並列に連結して使用してもよい。
【0024】
物品30は、例えば紙のロール等であり、その前端を終端部ローラ21に向けて、ベル
ト10上を上記搬送方向へ搬送される。本実施形態において、物品30の搬送方向の長さ
をl、始端部ローラ20と終端部ローラ21間の距離をLとする。
【0025】
基本位置とは、搬送装置5の搬送方向において、物品30の前端と後端の間を2等分す
る中心線を合致させて停止するべき搬送装置5上の仮想位置をいい、図1において点線が
搬送装置5のベルト10と交わる位置である。本実施形態において、基本位置は始端部ロ
ーラ20から搬送方向にd離れた位置とする。
【0026】
検知センサ50は、本実施形態において始端部ローラ20の位置に設置され、ベルト1
0上を搬送される物品30を検知する。検知センサ50は、天井、床、あるいはステー等
に設置され、搬送方向に直角にセットされるのが好ましい。検知センサ50は、近接セン
サ、赤外線センサ、超音波センサ等、物品を検知しうるセンサであればよく、特に限定さ
れない。
【0027】
可動ストッパ40は、ベルト10の上方に配設され、物品30を停止させる可動ストッ
パ40の前面であるストップ面401が基本位置直上となるようにセットされる。本実施
形態において可動ストッパ40は、移動手段41により進退可能であり、また、物品30
と接触の有無を検知する圧力センサ42を備える。
【0028】
移動手段41は、例えば搬送装置5にシリンダ本体が固定された油圧シリンダであり、
シリンダ本体から伸張する可動ロッドの先端に可動ストッパ40を取り付ける。移動手段
41は特に油圧シリンダに限定されるものではなく、可動ストッパ40の正確な位置決め
を必要とする場合には電動アクチュエータを用いるのがより好ましい。その他、移動手段
41には可動ストッパ40を搬送方向に対して進退させられるすべての手段が含まれる。
【0029】
次に、本発明の自動センタリング装置1の動作について、図2及び図3を用いて説明す
る。
【0030】
(1)図2(a)において、搬送装置5は物品30を上記搬送方向へ向けて一定速度vで
搬送する。可動ストッパ40は物品30を停止させるストップ面401が基本位置直上と
なるように配設される。図2(a)の状態で、検知センサ50は物品30を検知していな
いので、可動ストッパ40は上記位置で静止している。尚、図2(a)〜(e)において
、基本位置は始端部ローラ20から搬送方向にd離れた、2点差線とベルト10とが交叉
する位置である。
【0031】
(2)図2(b)の状態は、検知センサ50が物品30の前端を検知する瞬間を示す。こ
の瞬間検知センサ50は、例えば図3に示すCPU70に検知信号を送出する。検知信号
を受信したCPU70は、直ちに移動手段41に作動開始の信号を送出するが、本状態で
は可動ストッパ40は静止している。
【0032】
(3)図2(c)の状態において、検知センサ50は物品30の前端と後端の間を検知し
ている。上記のように、検知センサ50は、例えば図3に示すCPU70に検知信号を送
出する。検知信号を受信した図3のCPU70は、移動手段41に作動信号を送出し、移
動手段41はv/2の速度で可動ストッパ40を搬送方向に移動させる。
【0033】
(4)図2(d)は、検知センサ50が物品30の前端を検知してからΔt後の、物品3
0の後端を検知する瞬間の状態を示す。この次の瞬間より検知センサ50は物品30を検
知しなくなり、CPU70は物品30の後端を判別する。CPU70は移動手段41に作
動信号を送出しなくなり、あるいは停止信号を送出して、移動手段41は可動ストッパ4
0の移動を停止させる。しかし可動ストッパ40が停止した後も、搬送装置5は、物品3
0を速度vでそのまま搬送し続ける。
【0034】
(5)図2(e)において、搬送装置5により搬送され続けた物品30の前端は可動スト
ッパ40のストップ面401に接触し、以下に説明するように、その前端及び後端の間を
2等分する中心線を基本位置に合致させた状態で停止する。物品30と接触した可動スト
ッパ40の圧力センサ42は、CPU70に接触信号を送出し、CPU70はローラ駆動
装置60を停止させて搬送装置5は搬送を中止する。尚、連設された搬送装置は、搬送を
継続してよい。
【0035】
以下、上記工程(1)〜(5)により、本発明の自動センタリング装置1が物品30の
前端及び後端の間の中心線を基本位置に合致させた状態で停止することができる理由を説
明する。
【0036】
上記工程(2)(図2(b)参照。)で、検知センサ50が物品30の前端を検知する
と、移動手段41はv/2の速度で可動ストッパ40を搬送方向に移動させる。それから
Δt後に、工程(4)(図2(d)参照。)において、検知センサ50は物品30の後端
を検知し、移動手段41は可動ストッパ40の移動を停止させる。従って、可動ストッパ
40は計(v/2)×Δtだけ基本位置から搬送方向に移動する。
【0037】
Δtは上記のように、検知センサ50が物品30の前端を検知してから物品30の後端
を検知するまでの時間であるが、この間工程(3)(図2(c)参照。)に示すように、
物品30は速度vで搬送方向に移動するので、v×Δtだけ移動するが、この距離は物品
30の前端と後端の間の長さlに等しい。従ってv×Δt=lが成り立つ。
【0038】
従って、可動ストッパ40の上記ストップ面401は、(v/2)×Δt=l/2だけ
基本位置から搬送方向に移動した位置で停止している。
【0039】
一方、物品30は上記Δt経過後も、即ち可動ストッパ40が停止後も、速度vで搬送
方向に移動し続け、上記ストップ面401に接触して停止する。従って、物品30の前端
は基本位置から搬送方向にl/2の位置で停止するため、物品30はその前端及び後端の
間の中心線が基本位置に合致した状態で停止することとなる。
【0040】
このように、本発明の自動センタリング装置1は、搬送される物品30を検知センサ5
0が検知している間のみ、可動ストッパ40を上記物品の搬送速度の半分の速度で基本位
置から後退させる。そのため上記特許文献1の装置のように、搬送物品の特定長さによっ
て装置の設定を変える必要なくセンタリングを行なうことができる。
【0041】
しかし、上記説明では、検知センサ50が物品30の前端を検知してから物品30の後
端を検知するまでの時間、即ちΔtの間に、物品30が可動ストッパ40に接触しないで
移動することが前提となっている。そこで以下に、物品30が上記Δtの間に物品30が
可動ストッパ40に接触しない条件を求める。
【0042】
検知センサ50が物品30の前端を検知する時間をt=0、物品30が可動ストッパ4
0に接触する時間をt=t1とすると、t1≧Δtとなる条件を求めればよい。
【0043】
t=t1(≧Δt)のとき、上記のように可動ストッパ40は、基本位置から搬送方向
に(v/2)×Δt=l/2の位置にある。一方、物品30はt1間で、v×t1=d+
l/2だけ搬送されて可動ストッパ40に接触する。ここでdは、上記のように基本位置
と検知センサ50の距離である。
【0044】
上記2式よりt1≧Δtが成立するためには、d≧l/2が必要であることがわかる。
即ち、本発明の自動センタリング装置1による長さlの物品30のセンタリングが奏効す
るには、基本位置と検知センサ50の距離dが物品30の長さlの半分より大きい必要が
ある。ただし、搬送装置5は複数の搬送装置を連結する場合も含めて、通常搬送物品30
より十分長いので、検知センサ50は基本位置から物品30の長さに比べて十分離して設
置することが一般に可能である。
【0045】
また、上記条件を逆に解釈すると、物品30の長さがどんなに短くても、本発明の自動
センタリング装置1による物品30のセンタリング法は有効である。すなわち、本発明の
自動センタリング装置1は、物品30の大きさによらずに簡略な方法により物品の中心線
と基本位置を合わせて物品を停止させることができる。
【0046】
例えば、基本位置と検知センサ50の距離dが物品30の長さlの半分より大きく、か
つ、搬送装置5の長さL(複数の搬送装置を連結する場合も含める。)が距離dより圧倒
的に大きい場合を考える。即ち、本実施例1においては、l/2≦d≪Lが成立する。こ
のような条件の本実施例1の自動センタリング装置1の断面は、模式的に図4のように表
すことができる。符号は上記実施形態と同様の符号を用いる。
【0047】
物品30をピックアップするフォークリフト等の搬送機が当該ピックアップに有利な基
本位置は、図4中搬送装置5と点線の交点で表す。また、図4中、各構成要素の機能及び
動作は上記実施形態と同様である。
【0048】
従って、上記実施形態の工程(1)〜(5)は本実施例の物品30、可動ストッパ40
、検知センサ50及び搬送装置5についてもそのまま成立する。即ち、検知センサ50は
任意の基本位置からd≧l/2である任意の位置に設置することができる。また、搬送装
置5の長さに比べて十分に搬送方向の長さが短い物品30でも、本発明に係る自動センタ
リング装置1は物品30の中心線と基本位置を合わせて物品30を停止させることができ
る。
【0049】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成要素には
同一の符号を用いる。また、各実施例に係る図5以下において、物品の搬送方向は左方向
から右方向とする。
【実施例1】
【0050】
図6(a)、(b)に本実施例の搬送装置5の平面図及び断面図を示す。本実施例にお
いて搬送装置5はローラ式コンベヤ5であり、移動手段41は油圧シリンダ41である。
また、コンベヤ5の全長は、L=2635mmである。
【0051】
基本位置はコンベヤ5の始端部から搬送方向にd=2005mm離れた位置であり、図
6(a)、(b)に示すセンタリングの開始前状態において、可動ストッパ40の前面で
あるストップ面401が直上に位置する。なお、他の構成は上記実施形態と同様であるの
で省略する。
【0052】
図5(a)〜(e)は、搬送方向の長さl=1060mmの物品30を速度v=10(
m/min)で搬送する場合のセンタリングの様子を示す。図5(b)において検知セン
サ50が物品30の前端を検知すると、可動ストッパ40は搬送方向に移動を開始する。
検知センサ50が物品30の前端と後端の間を検知している間、図5(c)に示すように
、油圧シリンダ41は速度v/2=5(m/min)で可動ストッパ40を搬送方向に移
動させる。
【0053】
図5(d)は、検知センサ50が物品30の前端を検知してからΔt=6.36秒後の
、物品30の後端を検知する瞬間の状態である。ストップ面401は基本位置から530
mm(=l/2)で停止するが、搬送装置5は物品30を速度v=10(m/min)で
そのまま搬送し続ける。
【0054】
検知センサ50が物品30の前端を検知してから15.21秒後、図5(e)にのよう
に物品30の前端がストップ面401に接触し、センタリングが終了する。物品30は、
その前端及び後端の間を2等分する中心線を基本位置に合致させた状態で停止する。
【0055】
他の動作は上記実施形態と同様であるので省略する。
【実施例2】
【0056】
本実施例の自動センタリング装置1は、搬送装置5の搬送速度が変化する場合のセンタ
リングを行なう。
【0057】
図7は、本実施例の搬送装置5の平面図である。本実施例の搬送装置即ちコンベヤ5は
、コンベヤ5本体と移動手段41の側方に速度検出用のエンコーダである、第1エンコー
ダ80と第2エンコーダ82を設置している。第1エンコーダ80はコンベヤ5の速度を
、第2エンコーダ82は移動手段41の速度、即ち可動ストッパ40の速度を検知する。
【0058】
本実施例においては可動ストッパ40の正確な位置決めを必要とするため、移動手段4
1として電動アクチュエータを用いるのがより好ましい。なお、本実施例の自動センタリ
ング装置1の他の構成は、上記実施形態、実施例1と同様である。
【0059】
本実施例の自動センタリング装置1は、上記実施形態及び実施例1と同様に、物品30
が検知センサ50を通過している間、コンベヤ5の動きと同期をとって移動手段41が可
動ストッパ40を引き込む。しかし、このときコンベヤ5の速度をエンコーダ80が検出
し、その半分の速度で移動手段41は可動ストッパ40を引き込む。即ち、本実施例の自
動センタリング装置1は、上記実施形態とは異なり、コンベヤ5(物品30)の速度が変
化しても、この速度変化に対応してセンタリングを行なうことができる。
【0060】
フロー図8を用いて本実施例の自動センタリング装置1の動作を以下に説明する。尚、
コンベヤ5(物品30)の速度をv(t)と、可動ストッパ40(移動手段41)の速度
をv’(t)/2とする。
【0061】
(s1)第1エンコーダ80がコンベヤ5の速度v(t)を検知し、CPU70に送出す
る。
【0062】
(s2)CPU70がv(t)から、可動ストッパ40の標準移動速度v(t)/2を計
算する。
【0063】
(s3)第2エンコーダ82が可動ストッパ40(移動手段41)の現実移動速度v’(
t)/2を検知し、CPU70に送出する。
【0064】
(s4)CPU70が、標準移動速度v(t)/2と現実移動速度v’(t)/2とを比
較し、等しいならs1(可動ストッパ40の速度維持)に、等しくないならs5に進む。
【0065】
(s5)CPU70が、標準移動速度v(t)/2と現実移動速度v’(t)/2とを比
較し、現実移動速度が標準移動速度より大きい場合はs6に、現実移動速度が標準移動速
度より小さい場合はs7に進む。
【0066】
(s6)CPU70は移動手段41に信号を送り、可動ストッパ40の速度をv(t)/
2に減速させる。
【0067】
(s7)CPU70は移動手段41に信号を送り、可動ストッパ40の速度をv(t)/
2にまで加速させる。
【0068】
以上のステップにより、本実施例の自動センタリング装置1は、コンベヤ5(物品30
)の速度v(t)が変化しても、可動ストッパ40の速度v’(t)にフィードバックを
かけてセンタリングを行なうことができる。即ち、物品30が検知センサ30を通過し終
わると、物品30はその前端及び後端の間を2等分する中心線を基本位置に合致させた状
態で停止させることができる。
【0069】
なお、上記ステップでは標準移動速度v(t)/2と現実移動速度v’(t)/2とを
比較したが、第2エンコーダ82が可動ストッパ40の現実移動速度v’(t)/2を検
知するステップを省略してもよい。即ち、第1エンコーダ80がコンベヤ5の速度v(t
)を検知し(s1)、これよりCPU70が可動ストッパ40の標準移動速度v(t)/
2を計算し(s2)、移動手段41に信号を送って可動ストッパ40の速度をv(t)/
2に調節させてもよい(s3’)。
【0070】
以上、本発明に係る自動センタリング装置1について説明したが、本発明の自動センタ
リング装置1は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。上記実施形態にお
いて基本位置はコンベヤの始端部ローラ20から搬送方向にdの位置としたが、搬送装置
5上の任意の位置が選択され得る。また、検知センサ50の設置位置は始端部ローラ20
の位置に限定されず、上記のように基本位置から搬送方向とは逆方向にl/2以上離れた
任意の搬送装置5の位置に設置されてよい。
【0071】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修
正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る技術は、物品を搬送するすべてのコンベヤに関する自動センタリング方式
に利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の自動センタリング装置の模式断面図。
【図2】(a)(b)(c)(d)(e)本発明の自動センタリング装置の動作を経時的に説明する模式断面図。
【図3】本発明の自動センタリング装置の動作を表す模式平面図。
【図4】本発明の自動センタリング装置の実施形態を表す模式断面図。
【図5】(a)(b)(c)(d)(e)本発明の実施例1の自動センタリング装置の動作を経時的に説明する模式断面図。
【図6】(a)本発明の実施例1の自動センタリング装置の平面図。(b)本発明の実施例1の自動センタリング装置の断面図。
【図7】本発明の実施例2の自動センタリング装置の模式平面図。
【図8】本発明の実施例2の自動センタリング装置の動作を表すフロー図。
【図9】従来の自動センタリング装置の模式断面図。
【符号の説明】
【0074】
1:自動センタリング装置
5:搬送装置(コンベヤ)
10:ベルト
20、21:ローラ
30:物品
40:可動ストッパ
41:移動手段
42:圧力センサ
50:検知センサ
60:ローラ駆動装置
70:CPU
80:第1速度検出用エンコーダ
82:第2速度検出用エンコーダ
140:測定端
141:停止端
401:ストップ面
1001:コンベヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端と後端とを有する物品を、前記前端を搬送方向へ向けて一定速度で搬送し、前記搬送
方向の途中に設定される基本位置に、前記前端と後端との中心線を合致させて前記物品を
位置決めする自動センタリング装置であって、
前記物品を前記搬送方向へ搬送する搬送装置と、
前記物品が前記搬送装置により搬送される工程で、前記物品の前端乃至後端を検知して検
知信号を送出する検知センサと、
前記基本位置に配置され、前記物品の前端を位置決めできる可動ストッパと、
前記検知信号に基づき前記可動ストッパを、前記物品が搬送される速度の半分の速度で前
記搬送方向へ移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記検知センサが前記物品の前端を検知すると同時に、前記可動ストッ
パの前記搬送方向への移動を開始させ、
前記検知センサが前記物品の後端を検知すると同時に、前記可動ストッパの前記搬送方向
への移動を停止させる自動センタリング装置。
【請求項2】
前記可動ストッパが前記物品の前端に接触すると同時に、前記搬送装置は搬送を停止する
、請求項1に記載の自動センタリング装置。
【請求項3】
前記搬送装置の搬送速度を検知する第1エンコーダを備える請求項1または請求項2に記
載の自動センタリング装置であって、
前記移動手段は、前記第1エンコーダが検知した搬送速度の半分の速度で前記可動ストッ
パを前記搬送方向へ移動させる自動センタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−315795(P2006−315795A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138599(P2005−138599)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】