説明

自動ドア開閉制御用センサ

【課題】光学式の自動ドア開閉制御用センサにおいて、所定面積の監視エリアを構成するのに必要とされる素子数をより少なくする。
【解決手段】自動ドアADの出入り口付近に設定される監視エリアに向けて第1レンズ12を介して光を照射する発光素子11を有する発光部10と、監視エリアからの反射光を第2レンズ22を介して受光する受光素子21を有する受光部20とを含み、発光素子11からの出射光を第1レンズ12によりスポット光として監視エリアに向けて照射し、その反射光を第2レンズ22を介して受光素子21で受光し、その受光量に基づいて自動ドアADに開閉信号を出力する自動ドア開閉制御用センサにおいて、例えば第1レンズ12の光出射面側に、第1レンズ12によるスポット光を異なる2方向に屈折させて2つのスポット光とするプリズム13を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子と受光素子との組み合わせからなる光学式の自動ドア開閉制御用センサに関し、さらに詳しく言えば、所定面積の監視エリアを構成するのに必要とされる素子数をより少なくし得るコストパフォーマンスのよい自動ドア開閉制御用センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動ドアの開閉制御用センサには、超音波式や踏圧マット式、赤外線の照射による光学式(反射式)、また、レーダー方式等があるが、比較的安価で設置が容易である光学式センサが一般的に採用されている。
【0003】
図5に示すように、光学式センサ1は、自動ドアADの無目Tに取り付けられ、自動ドアADの出入り口通路の床面Fに赤外線のスポット光SPの集合体からなる監視エリアSAを設定する。光学式センサ1は、無目Tの上の天井面に取り付けられこともある。
【0004】
この場合、スポット光SPは、自動ドアADの開閉方向(図5の矢印A方向)に沿った監視列L内に含まれ、通常、監視エリアSAは、複数の監視列Lにより構成される。
【0005】
図5に示す例では、一つの監視列L内に12個のスポット光SPが含まれ、6つの監視列L1〜L6が、自動ドアADに対する踏み込み方向(図5の矢印B方向)に多列に配置されている。
【0006】
図6を参照して、光学式センサ1は、発光部2と受光部3とを備えている。1監視列Lあたり12個のスポット光SPを得るため、この例では、発光部2には、1監視列Lにつき3つの発光素子2a〜2cが設けられ、そのレンズ系には、4分割レンズ2dが用いられている。
【0007】
なお、図6には、1監視列L分の発光素子2a〜2cしか示されていないが、図5に示すように、監視列Lを6列(L1〜L6)とする場合には、図6の紙面と直交する方向に発光素子2a〜2cが6列に並べられ、発光部2には、合計18個の発光素子が用いられることになる。
【0008】
これに対して、受光部3には、発光部2により照射される1監視列あたり12個のスポット光SPの反射光を受光するため、1監視列Lにつき3つの受光素子3a〜3cが設けられ、そのレンズ系には、4分割レンズ3dが用いられている。
【0009】
上記発光部2側と同様に、図6には、1監視列L分の3つの受光素子3a〜3cしか示されていないが、図5に示すように、監視列Lを6列(L1〜L6)とする場合には、図6の紙面と直交する方向に受光素子3a〜3cが6列に並べられ、受光部3には、合計18個の受光素子が用いられることになる。
【0010】
なお、通常においては、発光素子2a〜2cには、赤外線発光ダイオードが用いられ、受光素子3a〜3cには、フォトダイオードが用いられる。また、4分割レンズ2d,3dは、4つの凸レンズを接合することにより得られる。
【0011】
この光学式センサ1によれば、発光部2の各発光素子より監視エリアSAに向けて赤外線のスポット光SPが照射されるとともに、その反射光が受光部3側の対応する受光素子により受光され、その受光量の変化により、監視エリアSA内に存在する物体を検知することができ、また、監視列L単位での監視も可能であることから、例えば物体の移動方向をも検知することができる。
【0012】
ところで、設置現場において、ドアの開閉幅や光学式センサの設置高さもしくは監視エリア付近に配置されている光反射物等に応じて監視列Lの幅を調整する場合、上記従来の光学式センサ1では、電気的に調整することができない。なお、光学式センサ1の設置高さにもよって異なるが、通常、一つのスポット光SPの径は約20〜30cm程度である。
【0013】
図6を参照して、3発光素子,4分割レンズの場合、発光素子2aによるスポット光を2ap,発光素子2bによるスポット光を2bp,発光素子2cによるスポット光を2cpとして、一つの監視列L内には、右から順に「2ap,2bp,2cp」のスポット光群が4群含まれることになる。
【0014】
したがって、監視列L内の例えば最右側に位置する白丸で示すスポット光2apをなくして、監視列Lの幅を狭めるため、発光素子2aを電気的に消灯させると、同じく白丸で示す右から4番目,7番目,10番目のスポット光2apもなくなり、いわゆる歯抜け状態となるため、検知精度上好ましくない。これは、発光素子2aに対応する受光素子3a側の受光信号を例えば電気的に無効としても同じである。
【0015】
そのため、従来では、図6に示すように、例えば発光部2側の4分割レンズ2dの所定部分にマスクとしての遮光プレートや遮光シール等の遮光体4を設けて、監視列Lの列方向の幅を調整するようにしている。
【0016】
しかしながら、光が漏れないように正確に遮光体4を配置するには、細心の注意と労力を要する。また、外観上好ましくないばかりでなく、特に遮光体4を貼着する場合には、それに使用する接着剤や粘着剤の経年劣化等により剥がれが生ずることもあり得る、という問題がある。
【0017】
そこで、この点を解決するため、本出願人は、特許文献1において、監視列に含まれる複数のスポット光のうち、隣接する2つのスポット光が同じ発光素子からのものとすることにより、電気的に監視列の幅を調整できるようにした発明を提案しており、これについて図7により説明する。
【0018】
特許文献1に記載の発明では、基本的にレンズ系として2分割レンズを用いる。図7(a)に、2素子(2つの発光素子2a,2b)と、2分割レンズ2eとの配置関係を示す。2分割レンズ2eには、2つの凸レンズとして、左側の凸レンズ2eLと右側の凸レンズ2eRとが含まれ、その各レンズ中心をCL,CRとする。
【0019】
監視列Lを二等分する仮想の中心線Xに対して、発光素子2a,2bが左右対称に配置され、また、凸レンズ2eL,2eRも左右対称に配置される。ここで、発光素子2a,2bの素子間ピッチをW1、各レンズの中心CL,CR間の距離をW2として、W1>W2の関係となるように発光素子2a,2bを配置する。
【0020】
2素子,2分割レンズであるから、監視列L内には4つのスポット光が照射されるが、特許文献1に記載の発明によれば、左側の発光素子2aから出射される光は、隣接する2つ並びのスポット光2ap,2apとして監視列Lの右側に照射される。
【0021】
これに対して、右側の発光素子2bから出射される光は、同じく隣接する2つ並びのスポット光2bp,2bpとして監視列Lの右側に照射される。したがって、発光素子2a,2bのいずれか一方を電気的に消灯状態とすることにより、監視列Lの幅を半分にすることができる。
【0022】
図7(b)に、3素子(3つの発光素子2a〜2c),2分割レンズの組み合わせ例を示す。この例においては、中央の発光素子2bが監視列Lを二等分する仮想の中心線X上に配置され、他の2個の発光素子2a,2cが素子間ピッチW1をもって左右対称に配置される。2分割レンズ2eについては、図7(a)と同様の配置とする。
【0023】
この場合には、中央の発光素子2bから出射される光は、2分割レンズ2eにより2つのスポット光2bp,2bpとされ、その各々が隣接する横並びとして監視列Lの左側と右側とに照射される。
【0024】
これに対して、左側の発光素子2aから出射される光は、一方のスポット光2bpの右側に隣接する2つ並びのスポット光2ap,2apとして照射され、右側の発光素子2cから出射される光は、他方のスポット光2bpの左側に隣接する2つ並びのスポット光2cp,2cpとして照射される。
【0025】
したがって、発光素子2a,2bのいずれか一方を電気的に消灯状態とすることにより、監視列Lの幅を左右2スポット光分だけ狭めることができ、発光素子2a,2bの双方を電気的に消灯状態とすることにより、監視列Lの幅を中央の2スポット光2bp,2bpのみを含む幅とすることができる。上記図7(a),(b)の例において、素子を発光素子としているが、素子は受光素子であってもよい。
【0026】
なお、上記図7(a),(b)の特許文献1による各例では、監視列Lの調整幅が2スポット光分であるが、本出願人が提案している別の特許文献2によれば、上記2分割レンズ2eを上記各発光素子の並び方向に沿って、そのレンズの中心CL,CR間距離W2だけ移動させる技術を併用することにより、監視列Lの調整幅を1スポット光分ずつとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特許第4011785号公報
【特許文献2】特開2010−276511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、上記特許文献1,2のように、レンズ系に2分割レンズを使用する場合には、素子数を増やさなければならないことがある。例えば、図6に示したように、1監視列Lあたり12スポット光とする場合、4分割レンズであれば3素子で済むが、2分割レンズを使用する場合には、6素子が必要となる。
【0029】
また、上記特許文献1,2における2分割レンズの場合、図7に示したように、各レンズ中心CL,CRを2分割レンズの中心に近づける必要があるため、レンズの面積を有効に使えなくなることがある。
【0030】
そのため、1監視列Lあたり12スポット光とする場合、上記特許文献2に記載された発明によれば、素子の半値角とレンズ効率の関係から、2分割レンズを発光側,受光側でそれぞれ2枚、合計4枚のレンズが必要になる(特許文献2の図1参照)。
【0031】
したがって、本発明の課題は、発光素子と受光素子との組み合わせからなる光学式の自動ドア開閉制御用センサにおいて、所定面積の監視エリアを構成するのに必要とされる素子数をより少なくし得るコストパフォーマンスのよい自動ドア開閉制御用センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題を解決するため、本発明は、自動ドアの出入り口付近を監視エリアとし、上記監視エリアに向けて第1レンズを介して光を照射する発光素子を有する発光部と、上記監視エリアからの反射光を第2レンズを介して受光する受光素子を有する受光部とを含み、上記発光素子からの出射光を上記第1レンズによりスポット光として上記監視エリアに向けて照射し、上記監視エリア内で反射された上記スポット光を上記第2レンズを介して上記受光素子で受光し、その受光量に基づいて上記自動ドアに開閉信号を出力する自動ドア開閉制御用センサにおいて、上記発光部の第1レンズの光出射面側もしくは上記受光部の第2レンズの反射光受光面側のいずれか一方には、一方の面に上記スポット光を異なる2方向に屈折させて2つのスポット光とする断面三角波状に形成されたプリズム面を有し、他方の面が平滑であるプリズムが配置されていることを特徴としている。
【0033】
本発明において、上記プリズムが上記発光部の第1レンズの光出射面側に配置され、上記第1レンズが単眼の凸レンズであり、上記発光部はn個(nは1以上の整数)の発光素子を備えている態様では、上記プリズムにより上記監視エリアに2n個のスポット光が照射される。
【0034】
また、上記プリズムが上記発光部の第1レンズの光出射面側に配置され、上記第1レンズにm個(mは2以上の整数)の凸レンズを含む分割レンズが用いられ、上記発光部はn個(nは1以上の整数)の発光素子を備えている態様では、上記分割レンズおよび上記プリズムにより、上記監視エリアに2(m×n)個のスポット光が照射される。
【0035】
このように、上記プリズムが上記発光部の第1レンズの光出射面側に配置されている態様においては、上記受光部側の上記第2レンズに2つの凸レンズを含む2分割レンズが用いられ、上記受光部が備える受光素子が複数個であり、上記各受光素子の素子間ピッチをW1とし、上記2分割レンズのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2の関係が成立するように、2分割レンズに対して各受光素子が配置されることが好ましい。
【0036】
これに対して、上記プリズムが上記受光部の第2レンズの反射光受光面側に配置されている態様においては、上記発光部側の上記第1レンズに2つの凸レンズを含む2分割レンズが用いられ、上記発光部が備える発光素子が複数個であり、上記各発光素子の素子間ピッチをW1とし、上記2分割レンズのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2の関係が成立するように、2分割レンズに対して各発光素子が配置されることが好ましい。
【0037】
また、上記プリズムが上記発光部の第1レンズの光出射面側に配置されている態様において、上記発光部側の上記第1レンズに2つの凸レンズを含む2分割レンズが用いられ、上記発光部が備える発光素子が複数個であり、上記各発光素子の素子間ピッチをW1とし、上記2分割レンズのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2の関係が成立するように、2分割レンズに対して各発光素子が配置されてもよい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、発光部が備える第1レンズの光出射面側に、一方の面にスポット光を異なる2方向に屈折させて2つのスポット光とする断面三角波状に形成されたプリズム面を有し、他方の面が平滑であるプリズムを配置したことにより、発光部側の素子数を減らすことができる。同様に、受光部が備える第2レンズの反射光受光面側にプリズムを配置することにより、受光部側の素子数を減らすことができる。
【0039】
また、第1レンズを通ったスポット光がプリズムにより2方向に向けられるため、第1レンズに2分割レンズを使用する場合、そのレンズ中心間距離が離れていてもよいため、レンズ面積をより有効に活用することができる。
【0040】
また、発光部側にプリズムを配置する場合には、受光部側に2分割レンズを用いるとともにその素子数を複数とし、受光部側にプリズムを配置する場合には、発光部側に2分割レンズを用いるとともにその素子数を複数とし、その素子間ピッチをW1、2分割レンズのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2とすることにより、1スポット光単位もしくは2スポット光単位で電気的に監視列の幅を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態を示す模式図で、(a)は正面図,(b)は床面上の監視列を示す平面図。
【図2】本発明で使用するプリズムを示す断面図。
【図3】本発明の第2実施形態を示す模式図で、(a)は正面図,(b)は床面上の監視列を示す平面図。
【図4】本発明の第3実施形態を示す模式図で、(a)は正面図,(b)は床面上の監視列を示す平面図。
【図5】自動ドア開閉制御用センサにより設定される自動ドアの出入り口付近の監視エリアの一般的な例を示す斜視図。
【図6】図5の監視エリアを設定する従来例の構成を示す模式図。
【図7】(a)(b)監視エリア幅を電気的に調整可能とする2分割レンズと素子の配置関係の2例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、図1ないし図4により、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明は、これらの実施形態に限定的に解釈されるものではない。
【0043】
まず、図1(a)を参照して、第1実施形態に係る自動ドア開閉制御用センサ(以下、単に「自動ドア用センサ」ということがある。)1Aについて説明するが、第1実施形態では、もっとも簡素な構成例として、発光部10,受光部20ともに、1監視列L(監視列については図1(b)参照)あたり1素子としている。
【0044】
すなわち、発光部10は発光素子11として1つの発光素子11aを備え、また、受光部20は、受光素子21として1つの受光素子21aを備える。発光素子11には赤外線発光ダイオードが用いられ、また、受光素子21には受光ダイオードが用いられてよい。
【0045】
なお、図1(b)に示すように、自動ドアADの踏み込み方向に監視列Lを4列で設定する場合には、発光素子11a,受光素子21aともに、紙面と直交する方向にそれぞれ4つが配置される。
【0046】
発光部10には、発光素子11aから床面Fに向けて出射される光をスポット光とするためのレンズ系として第1レンズ12が設けられるが、この第1実施形態では、第1レンズ12を単眼レンズ(単眼の凸レンズ)12aとしている。
【0047】
1つの発光素子11aと単眼レンズ12aとの組み合わせでは、床面F上には1つのスポット光しか照射されないが、例えば、単眼レンズ12aを用いて床面F上に2つのスポット光を照射する場合には、発光素子11aを2つ必要とする。
【0048】
そこで、この第1実施形態では、1つの発光素子11aと単眼レンズ12aとの組み合わせでありながら、床面F上に2つのスポット光が照射されるようにするため、単眼レンズ12aの光出射面側にプリズム13を配置している。
【0049】
このプリズム13は、図2に示すように、一方の面13aにスポット光を異なる2方向に屈折させて2つのスポット光に分割(振り分け)する断面三角波状に形成されたプリズム面131を有し、他方の面13bが平滑に形成されているプリズムである。
【0050】
なお、図2に示すように、プリズム面131の断面形状を二等辺三角波形状とすることにより、スポット光を左右対称的に異なる2方向に屈折させて2つのスポット光に分割することができるが、左右の屈折角を異ならせる場合には、一方の傾斜面と他方の傾斜面の傾斜角度を異ならせばよい。ただし、他方の平滑面13bと直交もしくはそれ以上の角度を持つ傾斜面は除く。
【0051】
この第1実施形態によれば、1つの発光素子11aと単眼レンズ12aとの組み合わせでありながら、プリズム13により、発光素子11aからの出射光が2つのスポット光に分割されるため、1つの監視列L内に2つのスポット光11a−1,11a−2が照射されることになる。
【0052】
これに対して、受光部20側の第2レンズ22には、2つの凸レンズを接合してなる2分割レンズ22aが用いられ、これにより、床面Fでのスポット光11a−1,11a−2の反射光が2分割レンズ22aを介して1つの受光素子21aに受光される。
【0053】
次に、図3により、第2実施形態に係る自動ドア用センサ1Bについて説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、1つの発光素子11aにより4つのスポット光を得るため、発光部10側の第1レンズ12に2分割レンズ12bが用いられ、受光部20側では、その4つのスポット光を2分割レンズ22aを介して受光するため、受光素子21aのほかにもう一つの受光素子21bが追加される。
【0054】
これによれば、発光素子11aから出射された光は、2分割レンズ12bにより2つのスポット光に分割され、これらのスポット光がさらにプリズム13により2つに分割されるため、床面F上で1つの監視列Lあたり、4つのスポット光11a−1,11a−2,11a−3,11a−4が照射されることになる。
【0055】
受光部20側では、これらの各スポット光の反射光が2分割レンズ22aを介して受光素子21a,21bにより受光されることになるが、この場合、監視列Lの幅を電気的に調整可能とするうえで、受光素子21a,21bの素子間ピッチをW1とし、2分割レンズ22aのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2とすることが好ましい。
【0056】
すなわち、W1>W2とすることにより、上記特許文献1に記載されているように、例えば、隣接する2つのスポット光11a−1,11a−2が一方の受光素子21bに入射され、また、隣接する2つのスポット光11a−3,11a−4が他方の受光素子21aに入射されることになる。
【0057】
したがって、受光素子21a,21bのいずれか一方の出力を例えば無効として扱うことにより、監視列Lの幅をほぼ半分に狭めることができる。また、上記特許文献2に記載されている調整方法を適用することにより、監視列Lの幅を1つのスポット光単位で狭めることもできる。
【0058】
また、この第2実施形態によれば、発光部10側の2分割レンズ12bを通ったスポット光はプリズム13によりさらに2分割されることから、2分割レンズ12bのレンズ中心間距離が離れていてもよいため、レンズ面積をより有効に活用することができる。
【0059】
次に、図4により、第3実施形態に係る自動ドア用センサ1Cについて説明する。この第3実施形態では、図4(a)に示すように、1監視列Lあたり12スポット光とするため、発光部10を3素子(3つの発光素子11a〜11c),2分割レンズ12b,プリズム13の組み合わせとしている。
【0060】
すなわち、3つの発光素子11a〜11cからの各出射光を2分割レンズ12bにより6スポット光とし、これらの6スポット光をさらにプリズム13により2分割して12スポット光を得る。
【0061】
なお、2分割レンズ12bにより分割された6スポット光とは、発光素子11aからのスポット光11a−1,11a−2、発光素子11bからのスポット光11b−1,11b−2、発光素子11cからのスポット光11c−1,11c−2である。
【0062】
ここで、図4(a)に示すように、発光部10が監視列Lを左右の領域に2等分する中心線X上に配置されていると、2分割レンズ12bにより分割された6スポット光は、それぞれ同じ並び順として、監視列Lの左側領域LLと右側領域LRとに振り分けられる。
【0063】
この第3実施形態では、発光部10側の発光素子11a,11b,11cの各素子間ピッチをW1、2分割レンズ12bのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2なる配置としている。
【0064】
これにより、2分割レンズ12bによる6スポット光の監視列L内での並び順が、左から例えば11c−1,11c−2;11b−1,11b−2;11a−1,11a−2のように、同じ発光素子からの2つのスポット光が隣接しており、これらの各スポット光が、プリズム13により同じ並び順として、監視列Lの左側領域LLと右側領域LRとに振り分けられる。
【0065】
受光部について、この第3実施形態では、発光部10より監視列Lに照射される12スポット光のうち、監視列Lの左側領域LLに照射される6スポット光の反射光を受光する第1受光部20Lと、監視列Lの右側領域LRに照射される6スポット光の反射光を受光する第2受光部20Rの2つの受光部を備える。
【0066】
第1受光部20L,第2受光部20Rは、ともに3素子(3つの受光素子21a〜21c)と2分割レンズ22aとの組み合わせからなり、発光部10の両側に所定の距離を置いて配置される。
【0067】
この第3実施形態においても、上記第2実施形態と同じく、受光素子21a,21b,21cの各素子間ピッチをW1とし、2分割レンズ22aのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2とすることにより、隣接する2つのスポット光の反射光が受光素子のいずれか一つに受光されるため、その受光素子の出力を例えば無効として扱うことにより、監視列Lの幅を2スポット光単位で狭めることができる。
【0068】
また、上記特許文献2に記載されている調整方法を適用することにより、監視列Lの幅を1つのスポット光単位で狭めることもできる。
【0069】
また、発光部10側にプリズム13を用いたことにより、発光素子の数を半分に減らすことができる。一例として、図4(b)に示すように、自動ドアADの踏み込み方向に6列の監視列Lを形成する場合、2分割レンズを使用するとして、従来では1監視列Lあたり6つの発光素子を必要とするため、合計として6×6=36個の発光素子を用いることになるが、本発明によれば、1監視列Lあたり3つの発光素子でよいため、合計として3×6=18個の発光素子を用いればよく、使用する発光素子を半分で済ませることができる。
【0070】
また、使用するレンズの数にしても、発光部10に1枚の2分割レンズ12b、受光部20L,20Rにそれぞれ1枚の2分割レンズ22aを設ければよく、合計3枚のレンズで済ませることができる。
【0071】
なお、上記第3実施形態では、発光部10側の発光素子11a,11b,11cの各素子間ピッチをW1、2分割レンズ12bのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2なる配置としているが、W1<W2であってもよい。すなわち、プリズム13が配置される側では、必ずしもW1>W2とする必要はない。
【0072】
また、上記第3実施形態において、図4の鎖線枠で示すように、発光部10と受光部20の位置を入れ替えてもよい。すなわち、受光部20を中央に配置し、その両側に発光部10L,10Rを配置してもよく、この場合には、受光部20の受光素子数を半分に減らすことができる。
【符号の説明】
【0073】
1A,1B,1C 自動ドア用センサ
10 発光部
11a,11b,11c 発光素子
12 第1レンズ
12a 単眼レンズ
12b 2分割レンズ
13 プリズム
20 受光部
21a,21b,21c 受光素子
22 第2レンズ
22a 2分割レンズ
AD 自動ドア
L 監視列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ドアの出入り口付近を監視エリアとし、上記監視エリアに向けて第1レンズを介して光を照射する発光素子を有する発光部と、上記監視エリアからの反射光を第2レンズを介して受光する受光素子を有する受光部とを含み、上記発光素子からの出射光を上記第1レンズによりスポット光として上記監視エリアに向けて照射し、上記監視エリア内で反射された上記スポット光を上記第2レンズを介して上記受光素子で受光し、その受光量に基づいて上記自動ドアに開閉信号を出力する自動ドア開閉制御用センサにおいて、
上記発光部の第1レンズの光出射面側もしくは上記受光部の第2レンズの反射光受光面側のいずれか一方には、一方の面に上記スポット光を異なる2方向に屈折させて2つのスポット光とする断面三角波状に形成されたプリズム面を有し、他方の面が平滑であるプリズムが配置されていることを特徴とする自動ドア開閉制御用センサ。
【請求項2】
上記プリズムが上記発光部の第1レンズの光出射面側に配置され、上記第1レンズが単眼の凸レンズであり、上記発光部はn個(nは1以上の整数)の発光素子を備え、上記プリズムにより上記監視エリアに2n個のスポット光が照射されることを特徴とする請求項1に記載の自動ドア開閉制御用センサ。
【請求項3】
上記プリズムが上記発光部の第1レンズの光出射面側に配置され、上記第1レンズにm個(mは2以上の整数)の凸レンズを含む分割レンズが用いられ、上記発光部はn個(nは1以上の整数)の発光素子を備え、上記分割レンズおよび上記プリズムにより、上記監視エリアに2(m×n)個のスポット光が照射されることを特徴とする請求項1に記載の自動ドア開閉制御用センサ。
【請求項4】
上記受光部側の上記第2レンズに2つの凸レンズを含む2分割レンズが用いられ、上記受光部が備える受光素子が複数個であり、上記各受光素子の素子間ピッチをW1とし、上記2分割レンズのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2であることを特徴とする請求項2または3に記載の自動ドア開閉制御用センサ。
【請求項5】
上記プリズムが上記受光部の第2レンズの反射光受光面側に配置され、上記発光部側の上記第1レンズに2つの凸レンズを含む2分割レンズが用いられ、上記発光部が備える発光素子が複数個であり、上記各発光素子の素子間ピッチをW1とし、上記2分割レンズのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2であることを特徴とする請求項1に記載の自動ドア開閉制御用センサ。
【請求項6】
上記発光部側の上記第1レンズに2つの凸レンズを含む2分割レンズが用いられ、上記発光部が備える発光素子が複数個であり、上記各発光素子の素子間ピッチをW1とし、上記2分割レンズのレンズ中心間距離をW2として、W1>W2であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の自動ドア開閉制御用センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−50368(P2013−50368A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188137(P2011−188137)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390002668)株式会社本田電子技研 (13)
【Fターム(参考)】