説明

自動倉庫への入庫制御装置、自動倉庫からの出庫制御装置及び自動倉庫システム

【課題】自動倉庫からの搬出の効率化を図る。
【解決手段】倉庫に設置され、搬出口に近い位置からスキッドを保管する優先順位が割り付けられた棚の使用状況を管理する倉庫情報管理部55と、棚の使用状況及び各棚に割り付けられた優先順位を参照して倉庫の搬入口まで搬送されてきたスキッドの保管場所とする棚を決定し、スタッククレーンにその棚に格納させる搬入処理部52と、生産の進度状況に応じて送信されてくる切替情報の受信タイミングで、搬出計画情報を参照して倉庫から搬出すべきスキッドを特定し、その特定したスキッドを搬出計画情報により特定できるセットレーンまで搬出させる搬出処理部58と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システム、特に1又は複数の部品が収容された収容物の入出庫に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の組立工場内においては、搬入された部品を組立ライン側へ搬送する物流(構内物流)が存在する。部品はパレットに積載され、スキッドとして納品される場合がある。納品されたスキッドは、フォークリフトを用いて生産ライン側へ搬入される。
【0003】
従来では、部品の納品業者からの搬入と組立ラインへの搬出との進度の差異に伴う構内での部品あふれを防止するために、部品受入側と組立ラインとの間に進度吸収分割レーンを設置している。従って、納品されたスキッドは、フォークリフトを用いて進度吸収分割レーンまで搬送され、組立ライン側へ搬出されるまでの間、進度吸収分割レーンでいったん保管できるようにしている。そして、ライン進度に合わせてスキッドが進度吸収分割レーンから組立ラインへ搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−175625号公報
【特許文献2】特開2000−339015号公報
【特許文献3】特開平5−143116号公報
【特許文献4】特開平10−113850号公報
【特許文献5】特開平5−270611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
納品されたスキッドの保管に関する効率化等を考慮して、スキッドの入出庫を自動的に行う自動倉庫が採用される場合がある。ただ、自動倉庫を用いた場合でも、倉庫の空いている場所を探し出してスキッドを単に保管すればよいというのではなく、スキッドを倉庫からの搬出を行うのに都合の良い位置に保管でき、また適切なタイミングで搬出できるようにするのが望ましい。
【0006】
本発明は、自動倉庫からの搬出の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自動倉庫への入庫制御装置は、倉庫に設置され、搬入されてきた1又は複数の部品が収容された収容物が保管される棚であって、搬出口に近い位置から収容物を保管する優先順位が割り付けられた棚の使用状況を管理する倉庫管理手段と、搬入手段に、搬入されてきた収容物を搬送単位として前記倉庫の搬入口まで搬送させる搬入制御手段と、前記棚の使用状況及び前記棚それぞれに割り付けられた優先順位を参照して前記倉庫の搬入口まで搬送されてきた収容物の保管場所とする棚を決定する保管場所決定手段と、運搬手段に、前記収容物保管手段の搬入口まで搬送された収容物を、前記保管場所決定手段により保管場所として決定された棚まで運搬させる運搬制御手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記保管場所決定手段は、前記倉庫が複数のブロックに分割されている場合、使用状況の最も低いブロックの中から当該収容物の保管する棚を決定することを特徴とする。
【0009】
また、前記搬入手段により搬送される収容物に関する収容物情報を取得する収容物情報取得手段を有し、前記保管場所決定手段は、使用状況の最も低いブロックが複数存在する場合、収容物情報に設定された当該収容物固有の情報を参照して当該複数のブロックの中から当該収容物の保管する棚を決定することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る自動倉庫からの出庫制御装置は、倉庫に設置され、1又は複数の部品が収容された収容物が保管される棚の使用状況を管理する倉庫管理手段と、前記倉庫からの収容物の搬出計画情報を取得する搬出計画情報取得手段と、前記部品を使用する生産工程から生産の進度状況に応じて送信されてくる切替情報を受信する受信手段と、前記切替情報の受信タイミングで、前記搬出計画情報を参照して前記倉庫から搬出すべき収容物を特定する特定手段と、運搬手段に、前記特定手段により特定された収容物を、当該収容物が保管された棚から前記倉庫の搬出口まで運搬させる運搬制御手段と、搬出手段に、前記倉庫の搬出口まで運搬されてきた収容物を、前記生産工程まで搬出させる搬出制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記倉庫の搬出口まで運搬されてきた収容物に関する収容物情報を取得する収容物情報取得手段を有し、前記運搬制御手段は、前記生産工程に複数のラインが形成されている場合、前記収容物情報取得手段により取得された収容物情報から特定されるラインの投入口まで当該収容物を搬出させることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る自動倉庫システムは、搬入されてきた1又は複数の部品が収容された収容物が保管される棚であって、搬出口に近い位置から収容物を保管する優先順位が割り付けられた棚が設けられた倉庫と、搬入されてきた収容物を搬送単位として前記倉庫の搬入口まで搬送する搬入手段と、前記倉庫内において前記収容物を運搬する運搬手段と、前記収容物を前記倉庫の搬出口から、前記部品を使用する生産工程まで搬送する搬出手段と、前記倉庫の棚の使用状況を管理する倉庫管理手段と、前記棚の使用状況及び前記棚それぞれに割り付けられた優先順位を参照して前記倉庫の搬入口まで搬送されてきた収容物の保管場所とする棚を決定する保管場所決定手段と、前記倉庫からの収容物の搬出計画情報を取得する搬出計画情報取得手段と、前記生産工程から生産進度状況に応じて送信されてくる切替情報を受信する受信手段と、前記切替情報の受信タイミングで、前記搬出計画情報を参照して前記倉庫から搬出すべき収容物を特定する特定手段と、前記運搬手段に、前記収容物保管手段の搬入口まで搬送された収容物を前記保管場所決定手段により保管場所として決定された棚まで運搬させると共に、前記特定手段により特定された収容物を当該収容物が保管された棚から前記倉庫の搬出口まで運搬させる運搬制御手段と、前記搬出手段に、前記倉庫の搬出口まで運搬されてきた収容物を、前記生産工程まで搬出させる搬出制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬入されてきた収容物を、倉庫から搬出するのに都合の良い位置の棚に優先して保管することができる。
【0014】
また、倉庫が複数のブロックに分割されている場合、収容物の保管場所として占有率の低いブロックを優先的に選択することができる。
【0015】
また、本発明によれば、進度状況に連動して、収容物を倉庫から搬出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自動倉庫システムが適用された組立工場における物流のうち倉庫の入出庫部分を示した全体構成図である。
【図2】本実施の形態における自動倉庫制御装置13を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【図3】本実施の形態における自動倉庫システムのブロック構成図である。
【図4】本実施の形態におけるオーダ切替計画情報のデータ構成例を示した図である。
【図5】本実施の形態における搬出計画情報のデータ構成例を示した図である。
【図6】本実施の形態におけるスキッド情報のデータ構成例を示した図である。
【図7】本実施の形態において倉庫を構成するブロックに含まれる各棚に割り付けた優先順位を示した図である。
【図8】本実施の形態における倉庫情報のデータ構成例を示した図である。
【図9】本実施の形態におけるスキッドの搬入処理を示したフローチャートである。
【図10】本実施の形態におけるスキッドの搬出処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、本実施の形態では、車両の組立工場における組立ラインの受入側部分に適用した場合を例にして説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る自動倉庫システムが適用された組立工場における物流のうち倉庫の入出庫部分を示した全体構成図である。
【0019】
図1には、納品業者のトラック1と、倉庫2と、組立ラインの搬入口に設置されたセットレーン3と、トラック1から荷卸しされたスキッド4を搬送単位として、つまりスキッド4から部品を取り出すことなくスキッド4のまま倉庫2の搬入口まで搬送する搬入手段としての搬入側コンベア5と、倉庫2に保管されていたスキッド4を搬送単位として倉庫2の搬出口からセットレーン3まで搬送する搬出手段としての搬出側コンベア6と、対応するセットレーン3に載置されたスキッド4を所定の運搬コースを通って所定の工程まで搬送する台車7と、が示されている。
【0020】
1又は複数の部品が収容された収容物、本実施の形態では、スキッドがこの収容物に該当するが、自動倉庫とは、このスキッドや製品等の物品の入出庫を自動的に行うことのできる倉庫のことをいう。本実施の形態においては、倉庫2を、複数のブロックA〜Dに分割して運用する。各ブロックには、スキッド4を保管する棚14が設けられている。1つのスキッド4は、1つの棚14にて保管される。各ブロックには、倉庫2の当該ブロック内においてスキッド4を運搬する運搬手段としてスタッククレーン8が設けられている。本実施の形態におけるスキッドには、スキッド梱包仕様により梱包した部品あるいは部品が載置されたパレットが積載される。また、スキッド4には、スキッド情報タグ(図示せず)が貼り付けられている。更に、図1には、トラック1から荷卸しされたスキッド4のスキッド情報タグを読み取ることでスキッド情報を取得するスキャナ9と、倉庫2から搬出されセットレーン3へ搬送されるスキッド4のスキッド情報タグを読み取ることでスキッド情報を取得するスキャナ10と、が示されている。
【0021】
生産管理システム11は、組立工場における生産管理全般を行う。構内物流支援システム12は、組立工程における物流を支援するシステムである。自動倉庫制御装置13は、これらの構成を含む自動倉庫システムの中核を成し、生産管理システム11及び構内物流支援システム12と連係し、また搬入側コンベア5、搬出側コンベア6、スタッククレーン8及びスキャナ9,10の動作制御を行いながら倉庫2の入出庫の制御、管理を行う。
【0022】
図2は、本実施の形態における自動倉庫制御装置13を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において自動倉庫制御装置13を形成するコンピュータは、図2に示したようにCPU16、ROM17、RAM18、ハードディスクドライブ(HDD)19を接続したHDDコントローラ20、入力手段として設けられたマウス21とキーボード22、及び表示装置として設けられたディスプレイ23、更に図1に示したスキャナ9,10をそれぞれ接続する入出力コントローラ24、通信手段として設けられたネットワークコントローラ25、図1に示した搬入側コンベア5及び搬出側コンベア6の動作制御を行うコンベアコントローラ26、スタッククレーン8の動作制御を行うクレーンコントローラ27、を内部バス28に接続して構成される。
【0023】
なお、性能的に差異はあるかもしれないが、生産管理システム11及び構内物流支援システム12もコンピュータであることから、そのハードウェア構成は、コンベアコントローラ26及びクレーンコントローラ27を除き、図2と同じように図示することができる。
【0024】
図3は、本実施の形態における自動倉庫システムのブロック構成図である。図3には、図1に示した生産管理システム11、構内物流支援システム12及び自動倉庫制御装置13が示されている。
【0025】
生産管理システム11は、ラインオフ信号受信部31、切替情報送信部32及びオーダ切替計画情報記憶部33を有している。ラインオフ信号受信部31は、組立ラインから送られてくるラインオフ信号を受信する。ラインオフ信号は、車両が組立ラインから下ろされるたびに送信されてくる。切替情報送信部32は、一オーダ数分の車両が組立ラインから下ろされたことを知らせるために切替情報を自動倉庫制御装置13へ送信する。
【0026】
図4は、本実施の形態におけるオーダ切替計画情報のデータ構成例を示した図である。オーダ切替計画情報は、注文を識別するオーダ番号、当該オーダにより生産する車両の台数を示す輪切り台数及び組立ラインから下ろされた台数を示すラインオフ台数で構成される。本実施の形態においては、オーダ番号をオーダした日付を示す8桁の数字列と当該日において当該オーダを識別する数字列との組合せで決定するようにした。従って、図4に示したオーダ切替計画情報は、1日(図4の例では、2009年7月7日)に4オーダし、各オーダにおいてそれぞれ20台分の組立の使用する部品をオーダし、当該日には合計80台を生産する場合のオーダ切替計画情報の例である。
【0027】
構内物流支援システム12は、情報提供部41及び搬出計画情報記憶部42を有している。情報提供部41は、搬出計画情報を搬出計画情報記憶部42から読み出し、自動倉庫制御装置13へ送信することで提供する。
【0028】
図5は、本実施の形態における搬出計画情報のデータ構成例を示した図である。搬出計画情報は、注文を識別するオーダ番号、組立ラインにおいて台車7によりスキッド4が搬送される際に通るべき通路を指定した運搬コース、スキッド4の搬送に用いる台車7を識別する運搬台車番号及びオーダ番号により特定されるスキッド4を倉庫2から搬出する順番を示す搬出順で構成される。
【0029】
自動倉庫制御装置13は、搬入側スキッド情報読取部51、ブロック決定部71と搬入棚決定部72とを有する搬入処理部52、搬入コンベア制御部53、スタッククレーン制御部54、倉庫情報管理部55、搬出側スキッド情報読取部56、セットレーン情報管理部57、情報取得部73と切替情報受信部74と搬出棚特定部75とを有する搬出処理部58及び搬出コンベア制御部59を有している。また、記憶手段として、スキッド情報記憶部61、倉庫情報記憶部62、セットレーン情報記憶部63及び搬出計画情報記憶部64を有している。
【0030】
搬入側スキッド情報読取部51は、納品業者から納品され搬入コンベア5にて搬送されるスキッド4に貼り付けられたスキッド情報タグをスキャナ9により読み取り、取得する。搬入処理部52は、倉庫2への搬入に関する処理を実施する。搬入コンベア制御部53は、搬入側コンベア5の動作制御を行う。スタッククレーン制御部54は、各ブロックに配設されたスタッククレーン8の動作制御を行う。倉庫情報管理部55は、倉庫情報記憶部62を用いて倉庫2の棚の使用状況を管理する。搬出側スキッド情報読取部56は、倉庫2から搬出され搬出側コンベア6にて搬送されるスキッド4に貼り付けられたスキッド情報タグをスキャナ10により読み取り、取得する。セットレーン情報管理部57は、セットレーン情報記憶部63を用いて各セットレーン3の使用状況を管理する。搬出処理部58は、倉庫2からの搬出に関する処理を実施する。搬出コンベア制御部59は、搬出側コンベア6の動作制御を行う。
【0031】
図6は、本実施の形態におけるスキッド情報記憶部61に記憶されるスキッド情報のデータ構成例を示した図である。
【0032】
スキッド情報は、スキッドを識別するスキッド番号、スキッドに収容された部品に関する部品情報、注文を識別するオーダ番号、組立ラインにおいて台車7によりスキッド4が搬送される際に通るべき通路を指定した運搬コース及びスキッド4の搬送に用いる台車7を識別する運搬台車番号で構成される。部品情報は、受け入れ先を特定する受入、仕入れ先、すなわち部品を納品してくる納品業者を識別する仕入先コード及び部品を識別する品番で構成される。
【0033】
ここで、倉庫情報について説明する前に、本実施の形態において用いる倉庫2の構造について説明する。図7は、本実施の形態における倉庫2におけるブロックの概念図である。前述したように、本実施の形態では、倉庫2を複数のブロックA〜Dに分割している。図7は、これらのブロックのうち1つを横から見たときの概念図であって、当該ブロックに含まれる各棚に割り付けた優先順位を示した図である。本実施の形態においては、各ブロックにおいて棚を4段で構築した。また、各段に1列22個の棚14を設けた。なお、これは一例であって、各ブロックにおける列数や各列における棚の数、段の数はこれに限るものではない。また、各ブロックとも同じ内部構成とする必要はなく、スキッドの大きさ等によって棚の大きさや段の数を他と異ならしてもよい。また、分割するブロック数も一例であり、更に必ずしもブロック分割する必要はない。
【0034】
そして、本実施の形態では、図7に示したように、各棚に優先順位を割り付ける。優先順位は、基本的にスキッド4の搬出の便宜を考慮して、搬出口に近い位置から順に高い優先順位を割り付けるようにしている。このために、本実施の形態では、次の優先順位を割り付ける規則に従って各棚に優先順位を割り付けるようにした。まず、第1に、ブロックを搬出口に近いグループ(グループY)とそうでないグループ(グループX)とに分割し、搬出口に近いグループ(グループY)を優先し、グループYの棚14から使用されるようにした。つまり、グループYに含まれる棚14の占有率が100%になったらグループXに含まれる棚14が使用されるようにする。なお、分割するグループ数はこの例のように2グループに限定する必要はない。第2に、各ブロックにおいては、下の段から使用されるように優先順位を割り付ける。第3に、各段においては、搬出口に近い棚から使用されるように優先順位を割り付ける。このような優先順位の割付規則に従い各棚に優先順位を割り付ける。なお、この優先順位の割付規則は、搬出口に近い位置から順に高い優先順位を割り付ける規則の一例であって、これに限定する必要はない。
【0035】
図8は、本実施の形態における倉庫情報記憶部62に記憶される倉庫情報のデータ構成例を示した図である。倉庫情報は、ブロック毎に、当該ブロックに含まれる棚を識別する棚番号、当該棚が属するグループを識別するグループ番号、当該棚に割り付けられた優先順、当該棚の大きさやブロック内における位置を特定する情報等を含む属性情報及び当該棚にて保管されているスキッドのスキッド番号で構成される。倉庫情報は、スキッド番号以外、倉庫2が使用される開始前に事前に設定されている。
【0036】
本実施の形態では、例として5つのセットレーン1〜5を設けているが、セットレーン情報記憶部63には、セットレーン毎に当該セットレーンに収容可能なスキッド4の数量、収容されているスキッド4の並びがわかるようにスキッド番号が設定されている。搬出計画情報記憶部64には、搬出計画情報記憶部42と同じデータが記憶される。
【0037】
生産管理システム11におけるラインオフ信号受信部31と切替情報送信部32、構内物流支援システム12における情報提供部41及び自動倉庫制御装置13における構成要素51〜59は、各コンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU16で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部33,42,61〜64は、HDD19またはRAM18にて実現される。
【0038】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがインストールプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0039】
次に、本実施の形態における動作について説明する。まず、スキッド4の搬入処理について図9に示したフローチャートを用いて説明する。
【0040】
スキッド4がトラック1から下ろされて搬入側コンベア5に載せられると、搬入側スキッド情報読取部51は、読取位置に到達したスキッド4に貼り付けられたスキッド情報タグを、スキャナ9を用いて自動的に読み取り、スキッド情報を取得する(ステップ101)。そして、取得したスキッド情報をスキッド情報記憶部61に登録する(ステップ102)。続いて、搬入処理部52は、倉庫情報記憶部62に記憶されている倉庫情報を倉庫情報管理部55から取得し、ブロック決定部71により、次のようにしてスキッド情報が読み取られたスキッド4の搬入先とする倉庫2のブロックを決定する(ステップ103)。
【0041】
まず、ブロック決定部71は、ブロック毎に占有率を計算する。占有率は、当該ブロックにて保管しているスキッド4の数を当該ブロックに設けられている棚の数で除算することで算出できる。当該ブロックにて保管しているスキッド4の数は、倉庫情報の当該ブロックにおいてスキッド番号が設定されている数の総数を求めることで得られる。ブロック決定部71は、以上の計算により各ブロックにおける占有率を求めると、その中で占有率が最小値となるブロックを当該スキッドの保管先として決定する。
【0042】
なお、最小値となるブロックが複数存在した場合、その複数のブロックにおいてスキッド4が偏ることなく割り振られるような決定方法にて当該スキッドの保管先を決定する。例えば、2ブロックの占有率が最小であった場合、オーダ番号の奇数/偶数によりいずれかに割り振ればよい。3ブロックの占有率が最小であった場合、オーダ番号の値を3で割ったときの余りによりいずれかに割り振ればよい。このように、何らかの条件によってスキッド4が割り振られるブロックが決定されるようにする。
【0043】
以上のようにしてスキッド4を保管すべきブロックを決定すると、搬入処理部52は、搬入コンベア制御部53に指示を出すことにより、搬入側コンベア5を駆動させ、トラック1から下ろされたスキッド4を、決定されたブロックの前まで搬送する(ステップ104)。そして、搬入処理部52は、次のようにして搬入棚決定部72により当該ブロックにおいてスキッド4を保管すべき棚を決定する(ステップ105)。なお、ステップ104と105は同時並行して処理してもよいし、棚の決定処理を先に実行するようにしてもよい。
【0044】
まず、搬入棚決定部72は、倉庫情報においてスキッド4を保管するブロックのスキッド番号が空白である棚を探し出す。この棚を探し出す順番は、倉庫情報に設定されている優先順に従う。図8に示した倉庫情報の設定例によると、ブロックAの場合はA6が、ブロックBの場合はB4が、ブロックCの場合はC2が、ブロックDの場合はD1が、それぞれ選択されることになる。
【0045】
以上のようにして棚が決定されると、搬入処理部52は、スタッククレーン制御部54に指示を出すことにより、当該ブロックのスタッククレーン8を駆動させ、選択した棚14までスキッド4を運ばせる(ステップ106)。
【0046】
以上のようにして、納品されたスキッド4が棚14に格納されると、搬入処理部52は、倉庫情報管理部55を介して、倉庫情報記憶部62に記憶されている倉庫情報における当該棚番号に対応するスキッド番号のフィールドに、当該スキッドのスキッド番号を設定することで倉庫情報を更新する(ステップ107)。
【0047】
本実施の形態によれば、以上のようにして搬入されてきたスキッド4を、ブロックの占有率を考慮して、スキッド4の保管数が均等になるように、納品されたスキッド4を保管するブロックを決定する。そして、倉庫2の搬出口に近い棚14から優先的に使用することによってスキッド4の搬出の際に都合の良い、すなわち保管した棚14から搬出口までの距離が短いため搬出が迅速にできる位置の棚を優先的に使用できるようにスキッド4の搬入を行うようにした。
【0048】
続いて、スキッド4の搬出処理について図10に示したフローチャートを用いて説明する。
【0049】
まず、本システムの運用開始時に、構内物流支援システム12の情報提供部41は、搬出計画情報記憶部42に記憶されている搬出計画情報を自動倉庫制御装置13へ送信することで提供する。自動倉庫制御装置13の搬出処理部58における情報取得部73は、送られてきた搬出計画情報を受信すると、搬出計画情報記憶部64に記憶する。
【0050】
さて、生産管理システム11において、切替情報送信部32は、オーダ切替計画情報記憶部33からオーダ切替計画情報を読み出すことによって当該稼動日におけるオーダ番号に対応するラインオフ台数を取得しておく。
【0051】
組立ラインでは、車両がラインから下ろされるたびにラインオフ信号を生産管理システム11へ送信するが、生産管理システム11におけるラインオフ信号受信部31は、このラインオフ信号を受信する。その受信の度に、切替情報送信部32は、受信したラインオフ信号の数を積算することにより当該稼動日において現時点までのラインオフ台数を求め、この求めたラインオフ台数と、オーダ切替計画情報に設定されているラインオフ台数とを比較する。なお、比較に用いるオーダ切替計画情報のラインオフ台数は、先頭レコードの情報から順に用いる。この比較の結果、組立ラインからラインオフされた車両台数が、計画されたラインオフ台数に達するまで、上記処理を繰り返し行う。
【0052】
組立ラインからラインオフされた車両台数が、計画されたラインオフ台数に達すると、切替情報送信部32は、オーダにより発注された部品を切り替えるタイミングになったことを自動倉庫制御装置13へ通知するために、その旨及び切り替えられたオーダ番号(最初であれば、“2009070701”)を含む切替情報を自動倉庫制御装置13へ送信する。
【0053】
搬出処理部58における切替情報受信部74が生産管理システム11から送信されてきた切替情報を受信すると(ステップ201)、搬出処理部58は、その切替情報を切替情報として次の処理を開始する。すなわち、搬出処理部58は、切替指示の受信に伴い倉庫2から該当するスキッド4を搬出することになる。このために、搬出処理部58における搬出棚特定部75は、まず搬出計画情報記憶部64から搬出計画情報を順番に読み出す(ステップ202)。最初の読み出しの場合、搬出順が“1”の搬出計画情報を読み出すことになる。図5の例によると、この読み出した搬出計画情報の運搬コースには“A”が、運搬台車番号には“1”が、それぞれ設定されている。この項目データをキーにしてスキッド情報記憶部61を検索することで、搬出棚特定部75は、スキッド情報記憶部61の中からスキッド番号が“a”のスキッド情報を特定する(ステップ203)。そして、搬出棚特定部75は、倉庫情報管理部55を介して倉庫情報記憶部62を検索することにより、スキッド番号が“a”のスキッド4が保管されている棚を特定する(ステップ204)。
【0054】
このようにして、スキッド4が保管されている棚14を特定できると、搬出処理部58は、その棚14からスキッド4を搬出することになるが、その際に以下の条件を満たしているかを事前に確認する。
【0055】
まず、第1に、棚14から搬出しようとしているスキッド4の直前に搬出されるべきスキッド4が正しくセットレーン3まで搬出されているかの確認を行う。本実施の形態では、倉庫2から搬出されセットレーン3まで搬送されるスキッド4のスキッド情報は、スキャナ10によって読み取るようにしている。従って、この読み取られたスキッド情報から特定できるスキッド4が、実際に直前に搬出されるべきスキッド4であったかを搬出計画情報を参照することによって確認できる。
【0056】
第2に、倉庫2から搬出しようとするスキッド4のセットされる空きスペースがセットレーン3に存在しているのかを確認する。例えば、スキッド番号が“a”のスキッド4は、スキッド情報の運搬台車番号が“1”なので、台車1により運搬されることになるので、この台車1に対応するセットレーン1に搬送されることになる。従って、搬出処理部58は、セットレーン情報管理部57に問い合わせることでセットレーン1の空きの状態を確認できる。
【0057】
このように、上記2つの条件を満たした場合に(ステップ205でY)、搬出処理部58は、スタッククレーン制御部54に指示を出すことにより、当該ブロックのスタッククレーン8を駆動させ、選択した棚14からスキッド4を取り出させ、搬出側コンベア6まで運ばせる(ステップ206)。続けて、搬出処理部58は、搬出コンベア制御部59に指示を出すことにより、搬出側コンベア6を駆動させ、倉庫2から搬出されたスキッド4を、該当するセットレーン3まで搬送する(ステップ207)。なお、この際、当該スキッド4のスキッド情報は、スキャナ10により読み取られる。
【0058】
以上のようにして、スキッド4が棚14から搬出されると、搬出処理部58は、倉庫情報管理部55を介して、倉庫情報記憶部62に記憶されている倉庫情報における当該棚番号に対応するスキッド番号のフィールドからスキッド番号を消去することで倉庫情報を更新する(ステップ208)。また、セットレーン情報管理部57は、スキッド4が当該セットレーン3に搬送されてくると、そのセットレーン3に対応するセットレーン情報に、そのスキッド4のスキッド番号を登録することによってセットレーン情報記憶部63に記憶されているセットレーン情報を更新する(ステップ209)。
【0059】
なお、セットレーン3に搬送されたスキッド4がセットレーン3から台車7に移され搬出されたときに、セットレーン情報管理部57は、セットレーン情報記憶部63に記憶されている当該セットレーン3に対応するセットレーン情報から、その搬出されたスキッド4のスキッド番号を消去する。
【0060】
オーダ切替計画情報の設定例に従うと、ステップ201における切替情報の受信に応じて ステップ202〜209が繰り返し実行されることにより、“1”から“20”までの搬出順が設定されたオーダ番号“2009070701”の20個のスキッド“a”,“b”,・・・が倉庫2から搬出される。このようにして、当該オーダ番号“2009070701”に関する搬出処理が終了する(ステップ210でY)。
【0061】
続いて、生産管理システム11は、オーダ切替計画情報の設定に従いラインオフ台数の累積台数が40台になった時点で切替情報を送信し、自動倉庫制御装置13は、オーダ番号“2009070702”の20個のスキッドを倉庫2から搬出することになる。
【0062】
本実施の形態によれば、以上のようにしてオーダの切替タイミングに連動して搬出処理を自動的に実行することができる。
【0063】
なお、前述した搬入処理と搬出処理は、同時並行して行うことができる。ただ、スタッククレーン8は、倉庫2への搬入と倉庫2からの搬出に共通しても用いられるので、いずれか一方の処理のために動作することになる。もちろん、各ブロックにおいて搬入と搬出それぞれにスタッククレーン8を用意しておいてもよい。ただ、倉庫情報における棚14の使用状況の更新(スキッド番号の書込(ステップ107)及び消去(ステップ208))は、搬入処理と搬出処理とで排他的に行う必要はある。
【0064】
なお、本実施の形態では、本発明を車両の組立工場における組立ラインの受入側部分に適用した場合を例にして説明したが、これ以外の場所に適用してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 トラック、2 倉庫、3 セットレーン、4 スキッド、5 搬入側コンベア、6 搬出側コンベア、7 台車、8 スタッククレーン、9,10 スキャナ、11 生産管理システム、12 構内物流支援システム、13 自動倉庫制御装置、14 棚、16 CPU、17 ROM、18 RAM、19 ハードディスクドライブ(HDD)、20 HDDコントローラ、21 マウス、22 キーボード、23 ディスプレイ、24 入出力コントローラ、26 コンベアコントローラ、27 クレーンコントローラ、25 ネットワークコントローラ、28 内部バス、31 ラインオフ信号受信部、32 切替情報送信部、33 オーダ切替計画情報記憶部、41 情報提供部、42 搬出計画情報記憶部、51 搬入側スキッド情報読取部、52 搬入処理部、53 搬入コンベア制御部、54 スタッククレーン制御部、55 倉庫情報管理部、56 搬出側スキッド情報読取部、57 セットレーン情報管理部、58 搬出処理部、59 搬出コンベア制御部、61 スキッド情報記憶部、62 倉庫情報記憶部、63 セットレーン情報記憶部、64 搬出計画情報記憶部、71 ブロック決定部、72 搬入棚決定部、73 情報取得部、74 切替情報受信部、75 搬出棚特定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫に設置され、搬入されてきた1又は複数の部品が収容された収容物が保管される棚であって、搬出口に近い位置から収容物を保管する優先順位が割り付けられた棚の使用状況を管理する倉庫管理手段と、
搬入手段に、搬入されてきた収容物を搬送単位として前記倉庫の搬入口まで搬送させる搬入制御手段と、
前記棚の使用状況及び前記棚それぞれに割り付けられた優先順位を参照して前記倉庫の搬入口まで搬送されてきた収容物の保管場所とする棚を決定する保管場所決定手段と、
運搬手段に、前記収容物保管手段の搬入口まで搬送された収容物を、前記保管場所決定手段により保管場所として決定された棚まで運搬させる運搬制御手段と、
を有することを特徴とする自動倉庫への入庫制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動倉庫への入庫制御装置において、
前記保管場所決定手段は、前記倉庫が複数のブロックに分割されている場合、使用状況の最も低いブロックの中から当該収容物の保管する棚を決定することを特徴とする自動倉庫への入庫制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動倉庫への入庫制御装置において、
前記搬入手段により搬送される収容物に関する収容物情報を取得する収容物情報取得手段を有し、
前記保管場所決定手段は、使用状況の最も低いブロックが複数存在する場合、収容物情報に設定された当該収容物固有の情報を参照して当該複数のブロックの中から当該収容物の保管する棚を決定することを特徴とする自動倉庫への入庫制御装置。
【請求項4】
倉庫に設置され、1又は複数の部品が収容された収容物が保管される棚の使用状況を管理する倉庫管理手段と、
前記倉庫からの収容物の搬出計画情報を取得する搬出計画情報取得手段と、
前記部品を使用する生産工程から生産の進度状況に応じて送信されてくる切替情報を受信する受信手段と、
前記切替情報の受信タイミングで、前記搬出計画情報を参照して前記倉庫から搬出すべき収容物を特定する特定手段と、
運搬手段に、前記特定手段により特定された収容物を、当該収容物が保管された棚から前記倉庫の搬出口まで運搬させる運搬制御手段と、
搬出手段に、前記倉庫の搬出口まで運搬されてきた収容物を、前記生産工程まで搬出させる搬出制御手段と、
を有することを特徴とする自動倉庫からの出庫制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の自動倉庫からの出庫制御装置において、
前記倉庫の搬出口まで運搬されてきた収容物に関する収容物情報を取得する収容物情報取得手段を有し、
前記運搬制御手段は、前記生産工程に複数のラインが形成されている場合、前記収容物情報取得手段により取得された収容物情報から特定されるラインの投入口まで当該収容物を搬出させることを特徴とする自動倉庫からの出庫制御装置。
【請求項6】
搬入されてきた1又は複数の部品が収容された収容物が保管される棚であって、搬出口に近い位置から収容物を保管する優先順位が割り付けられた棚が設けられた倉庫と、
搬入されてきた収容物を搬送単位として前記倉庫の搬入口まで搬送する搬入手段と、
前記倉庫内において前記収容物を運搬する運搬手段と、
前記収容物を前記倉庫の搬出口から、前記部品を使用する生産工程まで搬送する搬出手段と、
前記倉庫の棚の使用状況を管理する倉庫管理手段と、
前記棚の使用状況及び前記棚それぞれに割り付けられた優先順位を参照して前記倉庫の搬入口まで搬送されてきた収容物の保管場所とする棚を決定する保管場所決定手段と、
前記倉庫からの収容物の搬出計画情報を取得する搬出計画情報取得手段と、
前記生産工程から生産進度状況に応じて送信されてくる切替情報を受信する受信手段と、
前記切替情報の受信タイミングで、前記搬出計画情報を参照して前記倉庫から搬出すべき収容物を特定する特定手段と、
前記運搬手段に、前記収容物保管手段の搬入口まで搬送された収容物を前記保管場所決定手段により保管場所として決定された棚まで運搬させると共に、前記特定手段により特定された収容物を当該収容物が保管された棚から前記倉庫の搬出口まで運搬させる運搬制御手段と、
前記搬出手段に、前記倉庫の搬出口まで運搬されてきた収容物を、前記生産工程まで搬出させる搬出制御手段と、
を有することを特徴とする自動倉庫システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−280475(P2010−280475A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135102(P2009−135102)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】