説明

自動分析装置

【課題】ラックの取り扱いが安全で検査を迅速に行うことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】反応容器3内の混合液を所定の温度に設定するために恒温に保たれた熱媒体51を保持する恒温槽50と、恒温槽50の外側に配置され、恒温槽50に設けた第1の開口部を閉塞する第1の透過窓504及び熱媒体51を透過して恒温槽51内に配置された反応容器3に光を照射し、その反応容器3内の混合液、熱媒体51、及び恒温槽50に設けた第2の開口部を閉塞する第2の透過窓505を透過した光を検出して測定を行う測定部13と、恒温槽50の第1の透過窓504及び第2の透過窓505の近傍に配置された洗浄部60とを備え、洗浄部60は、第1の透過窓504及び第2の透過窓505に超音波を照射して洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置に係り、特に、洗浄機能を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の測光部で光学的に測定することにより、被検試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、多数の検査項目の中から検査対象となる項目を設定した被検試料の分析が行われる。そして、被検試料はサンプル分注プローブで試料容器から反応容器に分注され、試薬は試薬分注プローブで試薬容器から反応容器に分注される。次いで、反応容器に分注された被検試料及び試薬の混合液は、撹拌子で撹拌された後、測光部で測定される。更に被検試料及び試薬に接触したサンプル及び試薬分注プローブ、並びに混合液に接触した反応容器及び撹拌子は洗浄された後、繰り返して測定に使用される。
【0004】
そこで、被検試料間及び試薬間のクロスコンタミネーションを防ぐために、サンプル分注プローブは被検試料の分注毎に洗浄が行われ、試薬分注プローブは試薬の分注毎に洗浄が行われる。また、混合液間のクロスコンタミネーションを防ぐために、撹拌子は混合液の撹拌毎に洗浄が行われ、反応容器内は混合液の測定毎に洗浄が行われる。
【0005】
ところで、自動分析装置では、混合液の反応を一定の温度で行わせる必要があるため、反応容器は恒温に保たれた液体を保持する恒温槽内に配置されている。そして、被検試料及び試薬が分注され、光学ユニットとして取り扱われる反応容器に光を照射し、反応容器内の混合液を透過した光を検出して測定する直接測光方式では、恒温槽の外側から光を照射して、恒温槽内を透過した光を検出する。このため、恒温槽には測光部からの光を透過する光学ユニットとして透過窓が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この恒温槽内の液体に接触している透過窓等の光学ユニットは、長期間使用していると汚れが蓄積する。そして、透過窓の場合、汚れやこの汚れた部分へ付着した気泡が測光部からの光の一部を遮って光学的な測定に悪影響を与える問題がある。この問題を解決するために、定期的に洗浄が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−107096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、光学ユニットの洗浄では、例えば透過窓の場合、恒温槽に配置された反応容器を取り外してから、透過窓を清掃し、清掃後に取り外した反応容器を取り付ける一連の作業を手作業で行う必要があるため、作業に手間を要し作業者に多大なる負担がかかっている。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、恒温槽の液体に接触している光学ユニットの洗浄の手間を低減することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の自動分析装置は、試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記反応容器内の前記混合液を所定の温度に設定するために恒温に保たれた液体を保持する恒温槽と、前記恒温槽の外側に配置され、前記恒温槽に設けた第1の開口部を閉塞する第1の透過窓及び前記液体を透過して前記恒温槽内に配置された前記反応容器に光を照射し、その反応容器内の前記混合液、前記液体、及び前記恒温槽に設けた第2の開口部を閉塞する第2の透過窓を透過した光を検出して測定を行う測定手段と、前記恒温槽内の前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓の近傍に配置され、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に超音波を照射して洗浄を行う超音波洗浄手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の本発明の自動分析装置は、試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記反応容器内の前記混合液を所定の温度に設定するために恒温に保たれた液体を保持する恒温槽と、前記恒温槽の外側に配置され、前記恒温槽に設けた第1の開口部を閉塞する第1の透過窓及び前記液体を透過して前記恒温槽内に配置された前記反応容器に光を照射し、その反応容器内の前記混合液、前記液体、及び前記恒温槽に設けた第2の開口部を閉塞する第2の透過窓を透過した光を検出して測定を行う測定手段と、前記恒温槽内に配置された前記反応容器を分析サイクル毎に移動させた後、停止させる反応容器移動手段と、前記恒温槽内に配置され、前記反応容器の移動中に前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に接触して洗浄を行うワイパとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、恒温槽内に洗浄部を設け、その洗浄部を用いて反応容器の移動中又は停止中に洗浄することにより、恒温槽内の恒温に保つ液体に接触する光学ユニットを洗浄する手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例1に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例1に係る分析部の恒温槽、測光部、及び超音波洗浄部の構成を示す平面図。
【図4】図3における恒温槽及び洗浄部のA―A線矢視断面図。
【図5】本発明の実施例1に係る分析モードにおける自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施例2に係る自動分析装置の分析部の構成を示す平面図。
【図7】図6における分析部の洗浄部及び恒温槽のB―B線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明による自動分析装置の実施例1を、図1乃至図5を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施例1に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料と各検査項目に該当する試薬との混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25とを備えている。
【0017】
また、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データの生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部80と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部90とを備えている。
【0018】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の各試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持するサンプルディスク5と、各試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを有する試薬庫1と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを有する試薬庫2と、恒温に保たれた液体を保持する恒温槽50と、恒温槽50内の円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0019】
また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の各試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、このサンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、各試料の分注終了毎にサンプル分注プローブ16を例えば洗浄水で洗浄する洗浄槽16aとを備えている。
【0020】
また、試薬庫1に収納された試薬容器6内の第1試薬を吸引して各試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬の分注終了毎に第1試薬分注プローブ14を洗浄水で洗浄する洗浄槽14aと、反応容器3内に吐出された各試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を洗浄水で洗浄する洗浄槽18aとを備えている。
【0021】
また、試薬庫2に収納された試薬容器7内の第2試薬を吸引して各試料及び第1試薬が吐出された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬の分注終了毎に第2試薬分注プローブ15を洗浄水で洗浄する洗浄槽15aと、反応容器3内の各試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄水で洗浄する洗浄槽19aとを備えている。
【0022】
また、恒温槽50内で所定の温度に設定された反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13からの光が通る恒温槽50の一部を洗浄する超音波洗浄部60と、測光部13で測定を終了した反応容器3内に例えば酸性洗浄液、アルカリ性洗浄液等の洗浄水よりも強力な洗浄液及び洗浄水を供給した後に排液して洗浄を行う洗浄ユニット12とを備えている。
【0023】
そして、測光部13は、恒温槽50内の測光部13の光路を通過する反応容器3に光を照射し、その反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液を透過した各検査項目の波長光を検出する検出信号に基づいて、例えば吸光度データで表される標準データや被検データを生成する。そして、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
【0024】
分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部26と、分析部24の超音波洗浄部60を駆動する駆動部27と、機構部26の各機構及び駆動部27を制御する制御部28とを備えている。そして、機構部26は分析サイクル毎に、サンプルディスク5、試薬庫1の試薬ラック1a、及び試薬庫2の試薬ラック2aを夫々回動した後に停止する機構、並びに反応ディスク45を回転した後に停止する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動する機構等を備えている。
【0025】
図1に示したデータ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0026】
演算部31は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に予め設定された標準値から、各検査項目成分の濃度や活性と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0027】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。更に、演算部31から出力された各検査項目の管理分析データを管理試料毎に保存する。
【0028】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0029】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で検査可能な各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、各検査項目に該当する試薬の試薬情報を設定するための試薬情報設定画面、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の識別情報及び検査項目を設定するための被検試料情報設定画面等を表示する。
【0030】
操作部80は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータの設定、試薬情報の設定、被検試料の識別情報及び検査項目の設定、試料の測定を行うための分析モードの指定、分析部24の洗浄を行うための洗浄モードの指定等の操作を行う。
【0031】
システム制御部90は、CPU及び記憶回路を備え、操作部80からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータの情報、試薬情報、被検試料の識別情報及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0032】
次に、図1乃至図4を参照して、分析部24における恒温槽50、測光部13、及び超音波洗浄部60の構成の詳細を説明する。図3は、分析部24の恒温槽50、測光部13、及び超音波洗浄部60の構成を示す平面図である。図4は、図3における恒温槽50及び超音波洗浄部60のA―A線矢視断面図である。
【0033】
図3において、恒温槽50は、ドーナツ盤状の底板501と、この底板501の外周側の縁辺上に一端部が接合された円筒状の外周側板502と、底板501の内周側の縁辺上に一端部が接合された円筒状の内周側板503と、外周側板502の一部に設けた第1の開口部を測光部13からの光を透過可能に閉塞する第1の透過窓504と、内周側板503の一部に設けた第2の開口部を測光部13からの光を透過可能に閉塞する第2の透過窓505とにより構成される。
【0034】
そして、反応ディスク4の回転により回転移動する反応容器3の円軌道に合わせて上側が開口した円形の流路を形成し、その流路に恒温に保たれた液体である熱媒体51を保持している。この熱媒体51により、前記流路に配置された反応容器3内の混合液が所定の温度に設定される。
【0035】
第1の透過窓504、第2の透過窓505、及び反応容器3には、測光部13で検出可能な例えば340nm〜804nmにおける光の透過率が高く、長期的に安定で耐薬品性に優れた例えばガラス材が用いられる。また、熱媒体51には、測光部13で検出する波長範囲の光の透過率が高く、且つ熱容量の大きい水等が用いられる。
【0036】
測光部13は、恒温槽50の外側の第1の透過窓504の近傍に配置された光を発生する例えばハロゲンランプ等を有する光源部131と、恒温槽50の外側の第2の透過窓505の近傍に配置された光源部131からの光を検出する例えばフォトダイオードアレイ等を有する検出部132により構成される。
【0037】
そして、光源部131は恒温槽50の第1の透過窓504及び熱媒体51を透過した光を、回転移動して第1の透過窓504と第2の透過窓505の間を通過する反応容器3に照射する。検出部132は、光源部131から照射され、反応容器3内の混合液、熱媒体51、及び恒温槽50の第2の透過窓505を透過した光を検出する。
【0038】
図4は、図3における恒温槽50及び超音波洗浄部60のA―A線矢視断面である。超音波洗浄部60は、恒温槽50内の第1の透過窓504及び第2の透過窓505の近傍に配置され、底板501に設けた開口部を閉塞する振動板61及びこの振動板61を超音波振動させる振動子部62により構成される。
【0039】
振動子部62は振動板61に接合され、駆動部27からの駆動により、第1の透過窓504、第2の透過窓505、及び反応容器3の各光学ユニットを破壊することなく超音波洗浄可能な周波数で振動する振動子、及びこの振動子を覆う絶縁体等により構成される。ここでは、各光学ユニットにガラスを用いた場合、例えば20kHz〜500kHzの範囲で振動子を振動させる。
【0040】
そして、振動子部62が振動板61を振動させることにより、第1の透過窓504及び第2の透過窓505に超音波を照射して、熱媒体51に接している第1の透過窓504及び第2の透過窓505の内面を洗浄する。また、第1の透過窓504及び第2の透過窓505近傍の反応容器3に超音波を照射して、熱媒体51に接しているその反応容器3の外面を洗浄する。更に、第1の透過窓504及び第2の透過窓505近傍の洗浄液を収容した反応容器3に超音波を照射して、その反応容器3の内面を洗浄する。
【0041】
なお、超音波洗浄部60を洗浄ユニット12の下方の恒温槽50の底板501に追加配置するように実施してもよい。そして、洗浄ユニット12から洗浄液や洗浄水が供給された反応容器3内面を超音波洗浄することにより、洗浄ユニット12のみで洗浄するよりも強力に反応容器3内面の洗浄を行うことができる。
【0042】
以下、図1乃至図5を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。
図5は、分析モードにおける自動分析装置100の動作を示したフローチャートである。データ処理部30のデータ記憶部32には、各検査項目の検量データが保存されている。また、表示部42の分析パラメータ設定画面で設定された各検査項目の分析パラメータ、試薬情報設定画面で設定された各検査項目に該当する試薬の試薬情報、被検試料情報設定画面で設定された測定対象の被検試料の識別情報及び検査項目の情報がシステム制御部90の記憶回路に保存されている。
【0043】
そして、測定対象の被検試料を収容する試料容器17が分析部24のディスクサンプラ5に置かれた後、操作部80から分析モードを指定する操作が行われると、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0044】
システム制御部90は記憶回路に保存した入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40に、測定対象の被検試料の分析を指示する。分析制御部25の制御部28は、ディスクサンプラ5に保持された試料容器17内の測定対象の被検試料を測定するために、機構部26を制御して分析部24の各分析ユニットを作動させる。また、制御部28は、駆動部27を制御して分析部24の超音波洗浄部60を作動させる。
【0045】
そして、m回目の分析サイクル(m=1)において、分析部24の反応ディスク4は、反応容器3を回転移動した後に停止する。超音波洗浄部60の振動子部62は、反応容器3の停止中に駆動部27から供給される駆動信号により、振動板61を振動させて恒温槽50の第1の透過窓504及び第2の透過窓505の内面、並びに第1の透過窓504及び第2の透過窓505の近傍に停止した反応容器3の外面を超音波洗浄する(ステップS2)。
【0046】
なお、分析モードでは、混合液を収容した反応容器3が第1の透過窓504と第2の透過窓505の間を通過するとき、測光部13により測定が行われる。しかしながら、混合液が反応している反応容器3に超音波を照射すると、その反応に影響を与えて、測光部13で検出される検出信号が変動する恐れがある。このため、反応容器3の停止中に超音波洗浄が行われる。
【0047】
このように、分析モードでは、反応容器3の停止中に第1の透過窓504及び第2の透過窓505の内面を洗浄することができる。また、第1の透過窓504及び第2の透過窓505近傍に停止した反応容器3の外面を洗浄することができる。これにより、定期的に行われる第1の透過窓504及び第2の透過窓505内面や反応容器3の外面を洗浄する手間を低減し、定期点検する作業者の負担を軽減することができる。
【0048】
超音波洗浄が行われた後、測定対象の被検試料の分析データがデータ処理部30から出力部40に出力されていない場合(ステップS3のいいえ)、測定対象の被検試料の測定が分析部24で行われているのでステップS2へ戻る。また、出力部40に出力されている場合(ステップS3のはい)、測定対象の被検試料の分析が終了しているのでステップS4へ移行する。
【0049】
ステップS3の「はい」の後に、システム制御部90が分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40に被検試料の分析の停止を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS4)。
【0050】
次に、洗浄モードにおける自動分析装置100の動作を説明する。毎日の分析部24の測光部13による測定が停止された後に行われる洗浄モードを指定した洗浄では、分析部24のサンプル分注プローブ16、第1及び第2試薬分注プローブ14,15、第1及び第2撹拌子18,19、反応容器3、並びに恒温槽50の第1の透過窓504及び第2の透過窓505を、測定中よりも強力に洗浄する。
【0051】
サンプル分注プローブ16用の洗浄液を収容した試料容器17がディスクサンプラ5に置かれ、また第1及び第2試薬分注プローブ14,15並びに第1及び第2撹拌子18,19用の洗浄液を収容した試薬容器6,7が試薬庫1,2に収納される。そして、操作部80から洗浄モードを指定する操作が行われると、自動分析装置100は動作を開始する。
【0052】
サンプル分注プローブ16は、ディスクサンプラ5に保持された試料容器17内の洗浄液を吸引して洗浄槽16a内に吐出する。また、第1及び第2試薬分注プローブ14,15は、試薬庫1,2に収納された試薬容器6,7内の洗浄液を吸引して反応容器3に吐出する。このサンプル分注プローブ16並びに第1及び第2試薬分注プローブ14,15の一連の動作を所定回数繰り返して、各分注プローブの内外面の洗浄液を用いた洗浄を終了する。
【0053】
第1及び第2撹拌子18,19は、第1及び第2試薬分注プローブ14,15により吐出された所定数の反応容器3内の洗浄液に浸漬される。この所定数の反応容器3内の洗浄液に浸漬する一連の動作を繰り返して、第1及び第2撹拌子18,19の洗浄液を用いた洗浄を終了する。
【0054】
超音波洗浄部60は、洗浄モードで分析部24の洗浄が行われている間の分析サイクル毎に回転移動した後に停止する反応容器3の回転移動中及び停止中に、第1の透過窓504及び第2の透過窓505の内面を超音波洗浄する。また、第1の透過窓504及び第2の透過窓505の近傍の反応容器3の外面を超音波洗浄する。
【0055】
更に、超音波洗浄部60は、全ての反応容器3内に洗浄液が吐出され、洗浄液を収容した全ての反応容器3が回転移動して第1の透過窓504及び第2の透過窓505の近傍に達したとき、全ての反応容器3の内外面の超音波洗浄を終了する。
【0056】
このように、洗浄モードでは、分析モードとは異なり、反応容器3の停止中だけでなく回転移動中にも第1の透過窓504及び第2の透過窓505内面を洗浄することができる。また、全ての反応容器3の外面を超音波洗浄すると共に、反応容器3の内面を洗浄液を用いて超音波洗浄することがきる。これにより、定期的に行われる第1の透過窓504及び第2の透過窓505内面や反応容器3の外面を洗浄する手間を低減し、定期点検する作業者の負担を軽減することができる。
【0057】
なお、洗浄モードにおいては、分析部24の洗浄を行うときに、例えば第1及び第2試薬分注プローブ14,15により洗浄液を恒温槽50内に吐出させて、熱媒体51に混入させた後、超音波洗浄部60で超音波洗浄を行うことにより、第1の透過窓504及び第2の透過窓505の内面、反応容器3の外面をより強力に洗浄することができる。
【0058】
以上述べた本発明の実施例によれば、測光部13からの光が透過する恒温槽50の第1の透過窓504及び第2の透過窓505の近傍に超音波洗浄部60を配置することにより、第1の透過窓504及び第2の透過窓505内面を超音波洗浄することができる。また、第1の透過窓504及び第2の透過窓505近傍の反応容器3の外面を超音波洗浄することができる。
【0059】
そして、分析モードでは、反応容器3の停止中に、第1の透過窓504及び第2の透過窓505内面を洗浄することができる。また、第1の透過窓504及び第2の透過窓505近傍に停止した反応容器3の外面を超音波洗浄することができる。
【0060】
また、洗浄モードでは、反応容器3の回転移動中及び停止中に、第1の透過窓504及び第2の透過窓505内面を洗浄することができる。また、第1の透過窓504及び第2の透過窓505近傍の反応容器3の外面を超音波洗浄することができる。更に、反応容器3の内面を、洗浄液を用いてより強力に超音波洗浄することができる。
【0061】
以上により、定期的に行われる第1の透過窓504及び第2の透過窓505内面を洗浄する手間を低減し、定期点検する作業者の負担を軽減することができる。また、定期的に行われる反応容器3の外面を洗浄する手間を低減し、定期点検する作業者の負担を軽減することができる。
【実施例2】
【0062】
以下、本発明による自動分析装置の実施例2を、図6及び図7を参照して説明する。図6は、実施例2に係る自動分析装置の分析部の構成を示す平面図である。また、図7は、図6における分析部の洗浄部及び恒温槽のB―B線矢視断面図である。
【0063】
図6に示した実施例2が図3における実施例1と異なる点は、分析部24の恒温槽50に配置された位置とは異なる超音波洗浄部60を含む洗浄部60aに置き換えた点である。なお、実施例2を構成しているユニットの内、実施例1と同じ機能を有するユニットには同じ符号を付与し説明を省略又は簡略する。
【0064】
図6において、分析部24aの洗浄部60aは、超音波洗浄部60及びワイパ63により構成される。この超音波洗浄部60により図3の実施例1とは異なる恒温槽50aは、ドーナツ盤状の底板501a、この底板501aの外周側及び内周側の縁辺上に一端部が接合された外周側板502及び内周側板503、並びに外周側板502の一部に設けた開口部を測光部13からの光を透過可能に閉塞する第1の透過窓504a及び内周側板503の一部に設けた開口部を測光部13からの光を透過可能に閉塞する第2の透過窓505aにより構成される。底板501aが実施例1の図3に示した恒温槽50の底板501と異なる点は、洗浄ユニット12の下方に設けた開口部に超音波洗浄部60が閉塞されている点である。
【0065】
このように、恒温槽50aの洗浄ユニット12の下方に超音波洗浄部60を配置することにより、洗浄ユニット12の下方の反応容器3の外面を超音波洗浄することができる。また、洗浄ユニット12が反応容器3内に供給する洗浄液や洗浄水により、洗浄ユニット12だけで反応容器3内を洗浄するときよりも強力に洗浄を行うことができる。
【0066】
図7において、恒温槽50aの第1の透過窓504a及び第2の透過窓505aが、実施例1の図4に示した第1の透過窓504及び第2の透過窓505と異なる点は、外周側板502及び内周側板503の内面から内側に突出している点である。
【0067】
洗浄部60aのワイパ63は、反応容器3の外形と同じ形状及び寸法を有するアーム631と、並びにこのアーム631に保持された第1の透過窓504a及び第2の透過窓505aに接触して第1の透過窓504a及び第2の透過窓505aの内面を洗浄する2つのブレード632,633とにより構成される。
【0068】
アーム631は、上端部が反応容器3と同様に反応ディスク4に保持されている。これにより、図6における反応ディスク4に保持された反応容器3の数は、実施例1の図3に示した反応容器3の数よりもワイパ63の数だけ少ない。そして、外周側板502内面に向き合う側面でブレード632を保持し、内周側板503内面に向き合う側面でブレード633を保持している。
【0069】
ブレード632は、第1の透過窓504aよりも柔らかくて第1の透過窓504a内面に密着する弾性材である例えば長方形のシリコーンゴムからなり、一端部がアーム631に保持され、他端部が外周側板502内面から離間して第1の透過窓504a内面に接触する長さに形成されている。
【0070】
ブレード633は、第2の透過窓505aよりも柔らかくて第2の透過窓505a内面に密着する弾性材である例えば長方形のシリコーンゴムにより構成される。そして、一端部がアーム631に保持され、他端部が内周側板503内面から離間して第2の透過窓505a内面に接触する長さに形成されている。
【0071】
このように、第1の透過窓504a及び第2の透過窓505a内面を恒温槽50a内に突出させ、ブレード632,633の他端部が恒温槽50a内面から離間して第1の透過窓504a及び第2の透過窓505a内面に接触する長さに形成することにより、外周側板502及び内周側板503内面に付着した汚れが第1の透過窓504aと第2の透過窓505aに付着するのを防ぐことができる。
【0072】
そして、反応ディスク4の回転により、第1の透過窓504aと第2の透過窓505aの間を通過しているとき、ブレード632,633が移動しながら第1の透過窓504a及び第2の透過窓505a内面に接触して拭き取り洗浄を行う。
【0073】
次に、分析モード及び洗浄モードにおける洗浄部60aの洗浄動作について説明する。 洗浄部60aの洗浄部60は、分析及び洗浄モードにおいて、反応容器3の回転移動中及び停止中に駆動部27から供給される駆動信号により、洗浄ユニット12下方の反応容器3外面を洗浄する。また、洗浄ユニット12で洗浄中の反応容器3の内面を洗浄する。
【0074】
ワイパ63は、分析及び洗浄モードにおいて、反応容器3の回転移動中の第1の透過窓504aと第2の透過窓505a間の通過毎に、第1の透過窓504a及び第2の透過窓505a内面を洗浄する。
【0075】
以上述べた本発明の実施例によれば、恒温槽50aに反応容器3と共に回転移動するワイパ63を配置することにより、反応容器3の回転移動中のワイパ63が第1の透過窓504aと第2の透過窓505aの間を通過するときに、第1の透過窓504aと第2の透過窓505a内面を洗浄することができる。
【0076】
また、洗浄部60を恒温槽50aの洗浄ユニット12の下方に配置することにより、反応容器3の回転移動中及び停止中に、洗浄ユニット12下方の反応容器3の外面を洗浄することができる。また、洗浄ユニット12で洗浄中の反応容器3の内面を、洗浄ユニット12のみで行うよりも強力に洗浄することができる。
【0077】
以上により、定期的に行われる第1の透過窓504a及び第2の透過窓505a内面を洗浄する手間を低減し、定期点検する作業者の負担を軽減することができる。また、定期的に行われる反応容器3の外面を洗浄する手間を低減し、定期点検する作業者の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0078】
3 反応容器
4 反応ディスク
13 測光部
50 恒温槽
51 熱媒体
60 超音波洗浄部
131 光源部
132 検出部
501 底板
502 外周側板
503 内周側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記反応容器内の前記混合液を所定の温度に設定するために恒温に保たれた液体を保持する恒温槽と、
前記恒温槽の外側に配置され、前記恒温槽に設けた第1の開口部を閉塞する第1の透過窓及び前記液体を透過して前記恒温槽内に配置された前記反応容器に光を照射し、その反応容器内の前記混合液、前記液体、及び前記恒温槽に設けた第2の開口部を閉塞する第2の透過窓を透過した光を検出して測定を行う測定手段と、
前記恒温槽内の前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓の近傍に配置され、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に超音波を照射して洗浄を行う超音波洗浄手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記恒温槽内に配置された前記反応容器を分析サイクル毎に移動した後、停止させる反応容器移動手段を有し、
前記測定手段は、前記反応容器移動手段により移動している前記反応容器内の前記混合液を測定し、
前記超音波洗浄手段は、前記測定手段により測定される前記反応容器の停止中に、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に超音波を照射して洗浄するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記超音波洗浄手段は、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓と共に前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓近傍に停止した前記反応容器の外面を洗浄するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記超音波洗浄手段は、前記測定手段による測定が停止されているとき、前記反応容器の移動中及び停止中に、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に超音波を照射して洗浄するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記超音波洗浄手段は、前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓近傍の洗浄液を収容した前記反応容器に超音波を照射して、その反応容器の内面を洗浄するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記反応容器内の前記混合液を所定の温度に設定するために恒温に保たれた液体を保持する恒温槽と、
前記恒温槽の外側に配置され、前記恒温槽に設けた第1の開口部を閉塞する第1の透過窓及び前記液体を透過して前記恒温槽内に配置された前記反応容器に光を照射し、その反応容器内の前記混合液、前記液体、及び前記恒温槽に設けた第2の開口部を閉塞する第2の透過窓を透過した光を検出して測定を行う測定手段と、
前記恒温槽内に配置された前記反応容器を分析サイクル毎に移動させた後、停止させる反応容器移動手段と、
前記恒温槽内に配置され、前記反応容器の移動中に前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓に接触して洗浄を行うワイパとを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓は前記恒温槽50a内に突出され、
前記ワイパは、前記反応容器と共に移動するアームと、このアームに一端部が保持され、他端部が前記恒温槽から離間して前記第1の透過窓及び前記第2の透過窓の突出した内面に接触する弾力性を有する第1及び第2のブレードにより構成されていることを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
下方に停止した前記反応容器内を洗浄する洗浄手段と、
前記恒温槽内の前記洗浄手段の下方に配置され、上方に停止した前記反応容器に超音波を照射してその反応容器の内外面を洗浄する超音波洗浄手段とを有することを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−185797(P2010−185797A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30467(P2009−30467)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】