説明

自動分析装置

【課題】試料及び試薬の浪費を低減することができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料と試薬の混合液を収容する反応容器3と、反応容器3に光を照射する光源71と、光源71を格納するランプハウス82と、ランプハウス82に配置された光源71から照射される光を検出する第2の光検出器80とを備え、第2の光検出器80により検出された検出信号に基づいて、光源71が点灯している間、光源71の状態を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置に係り、特に、光を照射する光源を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等を有する測光部で光学的に測定することにより、被検試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置の測光部には、様々な検査項目の分析が可能なように近紫外から近赤外領域に亘って高い出力安定性が得られる例えばハロゲンランプなどの光源が用いられている。そして、ハロゲンランプなどの光源は、高い出力安定性が得られる反面、長時間点灯していると発光源であるフィラメントが劣化するため、測定前に光源からの光の強度変化を判定し、光源が安定していると判定されたときに、測定を開始させる自動分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−127583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、測定中に光源が不安定になると、測定終了後に出力される分析データを見て始めて分析データの異常に気付くことになる。このため、再測定することになり、試料及び試薬を浪費してしまう問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、試料及び試薬の浪費を低減することができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、試料と試薬の混合液を収容する反応容器に光源からの光を照射し、前記反応容器内を透過した光を検出して測定を行う自動分析装置において、前記反応容器を透過した光が通過する範囲外に配置され、前記光源からの光を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された検出信号に基づいて、前記光源の状態を判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光源から照射され、反応容器を透過した光が通過する範囲外からの光を検出し、その検出した検出信号に基づいて光源の状態を判定することにより、試料及び試薬の浪費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る測光部の構成の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る図3に示した第2の光検出器のA―A線矢視断面及び監視部の構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
以下、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図4を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料や被検試料等の試料と各検査項目の試薬との混合液に光を照射して測定する分析部22と、分析部22の照射光を監視する監視部23と、分析部22の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部27とを備えている。
【0013】
また、自動分析装置100は、分析部22での測定により生成される標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部50と、監視部23、分析制御部27、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部60とを備えている。
【0014】
図2は、分析部22の構成を示した斜視図である。この分析部22は、標準試料や被検試料等の試料を収容する試料容器17と、この試料容器17を保持するサンプルディスク5と、円周上に配置された複数の反応容器3と、この反応容器3を所定の温度に恒温可能に収容する恒温槽11と、恒温槽11に収容された反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。
【0015】
また、試料に含まれる検査項目の成分と反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、この試薬容器6を格納する試薬庫1と、この試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aとを備えている。また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、この第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0016】
また、反応容器3に分注された試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20とを備えている。また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を格納する試薬庫2と、この試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aとを備えている。また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、この第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。
【0017】
また、反応容器3に分注された試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21とを備えている。また、反応容器3内の混合液に光を照射して光学的に測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄部12とを備えている。
【0018】
そして、測光部13は、回転移動して光路を横切る反応容器3に光を照射し、この照射により反応容器3内の混合液を透過した光を検査項目の波長毎に検出する。そして、検出した検出信号を処理してデジタル信号で表される標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
【0019】
分析制御部27は、分析部22の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部28と、機構部28の各機構を制御する制御部29とを備えている。そして、機構部28は例えば4.5秒の分析サイクル毎に、サンプルディスク5、試薬ラック1a、及び試薬ラック2aを夫々回動した後に停止する機構、並びに反応ディスク4を回転した後に停止する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、及び第2撹拌アーム21を夫々回動及び上下移動した後に停止する機構を備えている。また、反応容器洗浄部12を上下移動した後に停止する機構を備えている。
【0020】
制御部29は、機構部28のサンプルディスク5、反応ディスク4、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、試薬ラック1a、試薬ラック2a、反応容器洗浄部12等の各分析ユニットを駆動する機構を夫々制御する制御回路を備えている。
【0021】
図1に示したデータ処理部30は、分析部22の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0022】
演算部31は、測光部13から出力された標準データを吸光度データに変換し、変換した吸光度データ及びこの吸光度データの標準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と吸光度データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0023】
また、測光部13から出力された被検データを吸光度データに変換し、変換した吸光度データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出す。そして、読み出した検量データを用いて変換した吸光度データから、濃度値や活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0024】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0025】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0026】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で分析可能な検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、この分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の分析に用いる試薬の情報を設定するための試薬情報設定画面、被検試料毎にこの被検試料を識別する識別情報及び分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の中から検査対象となる検査項目を選択して設定するための検査項目設定画面等を表示する。
【0027】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータ、試薬情報、被検試料の識別情報及び検査項目、被検試料毎に識別情報及び検査対象となる検査項目等を設定するための入力操作等を行う。
システム制御部60は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータの情報、試薬情報、被検試料毎の識別情報及び検査項目等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、監視部23、分析制御部27、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0028】
以下、図1乃至図4を参照して、分析部22における測光部13及び監視部23の構成を説明する。図3は、測光部13の構成の一例を示す図である。また、図4は、図3に示した測光部13における一部のユニットのA―A線矢視断面及び監視部23の構成の一例を示す図である。
先ず、測光部13の構成について説明する。
図3において、測光部13は、光を発する光源71と、光源71からの光を制限するスリット72と、このスリット72を通過した光から熱成分を除去する熱線吸収フィルタ73と、熱線吸収フィルタ73を透過した光をこの光の光路を横切って通過する反応容器3に集光する第1の集光レンズ74と、反応容器3内の混合液を透過した光をスリット76に集光する第2の集光レンズ75と、スリット76を通過した光を分光する回折格子77とを備えている。
【0029】
また、回折格子77により分光されたスペクトルを波長毎に検出して電気信号に変換する複数のフォトダイオードを有する第1の光検出器78と、第1の光検出器78からの検出信号を処理して標準データや被検データを生成する第1の信号処理部79と、光源71から照射された光を検出する第2の光検出器80と、第2の光検出器80からの検出信号を変換して光源71の状態を監視するためのモニタデータを生成する第2の信号処理部81と、光源71及びスリット72を格納するランプハウス82とを備えている。
【0030】
光源71は、様々な検査項目の分析が可能なように近紫外から近赤外領域に亘って高い出力安定性が得られる例えばハロゲンランプであり、光軸70方向に強い光を照射する。そして、操作部50から自動分析装置100に電源を投入する電源ONの操作に応じて点灯する。また、自動分析装置100への電源の供給を停止する電源OFFの操作に応じて消灯する。この電源ONの操作が行われてから電源OFF操作が行われるまでの間、点灯している。なお、LEDを用いて実施するようにしてもよい。
【0031】
スリット72、熱線吸収フィルタ73、第1及び第2の集光レンズ74,75、スリット76、及び回折格子77は、光軸70上に配置される。
【0032】
第2の検出器80は、反応容器3を透過した光が通過する範囲外の例えばランプハウス82に配置される。ここで、第1の光検出器78で検出する検出信号に基づいて、光源71の状態を監視する方法が考えられるが、測定中においては、分析サイクル毎に光路を横切って通過する試料、試薬、混合液等を収容した複数の反応容器3が光を吸収するため障害となって、光源71の状態に基づく検出信号を連続して収集することができない問題がある。この問題に対して、反応容器3内の混合液を透過した光が通過する範囲外の位置であるランプハウス82に第2の光検出器80を配置することにより、光源71が点灯している間、測定中でも反応容器3の影響を受けることなく、光源71から照射された光の検出信号を連続的に収集することができる。
【0033】
ランプハウス82は、反応容器3から離間して配置され、光源71から照射された光が通過する2つの第1及び第2の開口部を有する。そして、反応容器3に照射する光源71からの光が通過する第1の開口部に熱線吸収フィルタ73が配置され、第2の光検出器80に照射する光源71からの光が通過する第2の開口部に第2の光検出器80が配置される。
【0034】
ここで、光源71の発光源が例えばハロゲンランプのフィラメントであり、スリット72を通過する光がその発光源の一部からの光である場合、そのスリット72を通過する光の強度及び安定性が正常であっても、発光源の一部以外の部分が劣化していると、その発光源は異常の兆候を示していることになる。従って、ランプハウス82の第1及び第2開口部を中心が光軸70上に位置するように配置し、スリット72よりも大きな開口面積を有する第2の開口部を設けるように実施する。これにより、第2の光検出器80では、光源71における発光源の反応容器3に照射する部分よりも広範囲の部分からの光の検出ができ、より多くの光の情報を得ることができる。そして、発光源の異常の兆候を捉えやすくなる。
【0035】
図4は、図3に示した第2の光検出器80のA―A線矢視断面及び監視部23の構成の一例を示した図である。この第2の光検出器80はランプハウス82に支持され、入射した光の熱成分を除去する熱線吸収フィルタ801、入射した光を減光するND(Neutral Density)フィルタ802、及び入射した光を検出するフォトダイオード803により構成される。また、熱線吸収フィルタ801、NDフィルタ802、及びフォトダイオード803を保持するホルダ804及びこのホルダ804に係合するキャップ805,806により構成される。
【0036】
熱線吸収フィルタ801は、長波長領域の赤外線を吸収するフィルタであり、点灯して高熱になっている光源71の影響でフォトダイオード803が動作温度を超えるのを防ぐために設けられている。そして、光源71により照射された光から長波長領域の光を低減して、NDフィルタ802に出射する。
【0037】
NDフィルタ802は、光の強度を広範囲な波長域に亘って低減するフィルタであり、フォトダイオード803に入射する光を許容範囲の強度に減光するために設けられている。そして、熱線吸収フィルタ801を透過した光を減光して出射する。
【0038】
フォトダイオード803は、入射した光を電気信号に変換する。そして、NDフィルタ802を透過した光を検出して電気信号に変換し、その検出した電気信号である検出信号をモニタデータとして第2の信号処理部81に出力する。
【0039】
なお、光学的な誤差要因の占める割合が大きい検査項目の分析に用いる特定の波長を選択的に透過するフィルタをフォトダイオード803の検出面に設け、その波長の光を検出するように実施してもよい。
【0040】
ホルダ804及びキャップ805,806は、ランプハウス82内の発熱した光源71からの熱がフォトダイオード803に伝わるのを低減するために断熱性に優れた例えばプラスチック材から成る。そして、ホルダ804は貫通孔を有し、貫通孔の一端部に熱線吸収フィルタ801及びNDフィルタ802が互いに隣接して配置される。また、貫通孔の他端部にフォトダイオード803が配置される。
【0041】
キャップ805は、ランプハウス82の第2の開口部を含む大きさの開口部を有する。そして、キャップ805は、着脱自在にホルダ804の一端部に螺嵌され、ホルダ804の貫通孔の一端部に配置された熱線吸収フィルタ801及びNDフィルタ802をホルダ804に押し付けて固定する。また、キャップ806は、着脱自在にホルダ804の他端部に螺嵌され、貫通孔の他端部に配置されたフォトダイオード803をホルダ804に押し付けて固定する。
【0042】
このように、着脱自在にキャップ805,806を設けることにより、長期間の使用により劣化する熱線吸収フィルタ801及びNDフィルタ802を容易に交換することができる。
【0043】
第2の信号処理部81は、光源71が点灯している間、第2の光検出器80のフォトダイオード803から連続的に出力される検出信号を電圧信号に変換するI/V変換回路及びこのI/V変換回路で変換された信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を有し、フォトダイオード803からの検出信号をデジタル信号に変換して光源71を監視するためのモニタデータとして生成する。そして、生成したモニタデータを連続して監視部23に出力する。
【0044】
このように、ランプハウス82に第2の光検出器80を配置することにより、点灯している間の光源71から照射される光を絶えず第2の光検出器80で検出することができる。
【0045】
次に、監視部23の構成について説明する。
監視部23は、分析部22における測光部13の第2の信号処理部81から出力されたモニタデータを収集して吸光度データに変換する収集部24と、収集部24で変換された吸光度データを順次保存する吸光度データ記憶部25と、吸光度データ記憶部25に保存された吸光度データを読み出して測光部13の光源71の状態を判定する判定部26とにより構成される。なお、モニタデータを用いて光源71の状態を判定するように実施してもよい。
【0046】
収集部24は、電源ONの操作が行われると、第2の信号処理部81から出力されるモニタデータの収集を開始し、電源OFFの操作が行われるまでの間、連続して収集する。そして、第2の信号処理部81から出力されたモニタデータを、分析サイクルよりも短い例えば1秒間に複数回の所定の間隔で収集する。次いで、収集した各モニタデータを分析サイクルよりも長い例えば3分間を一区間とする各区間の最初のモニタデータを透過率100%とする吸光度データに変換し、変換した吸光度データを吸光度データ記憶部25に出力する。
【0047】
判定部26は、吸光度データ記憶部25に保存された吸光度データを時系列的に読み出し、読み出した吸光度データに基づいて、光源71の状態を判定する。ここでは、光源71は、点灯してからランプハウス82内の温度が上昇して略一定の温度になり、光の強度が安定するまでの安定化時間を必要とする。このため、光源71が点灯してから安定時間経過後、消灯するまでの間を連続して判定する。
【0048】
ここで、光源71の特徴を生かした判定基準を設ける。そして、光源71がハロゲンランプである場合、このランプの寿命となる交換時期に差し迫ると、照射された光の強度に不規則な変動が生じる特徴がある。従って、光源71から照射される光を、反応容器3等の障害物の影響を受けることなく検出し、検出した信号を短い間隔で連続して収集することにより、不規則な変動を見逃すことなく捉えることができる。
【0049】
そして、不規則な変動を捉えるために、一区間毎に、その区間の吸光度データの中から予め設定された閾値を外れる吸光度データの数を求める。求めた数がL個以上ある区間を不安定区間とする。そして、光源71が点灯している間の不安定区間の出現回数が許容範囲内である場合、光源71が正常な状態であると判定する。また、光源71が点灯している間の不安定区間の出現回数が許容範囲よりも多い警告範囲である場合、使用可能であるものの劣化して交換時期であると判定し、その判定結果である警告情報をシステム制御部60に出力する。更に、光源71が点灯している間の不安定区間の出現回数が警告範囲よりも多い異常範囲である場合、光源71が劣化してこれ以上使用すると分析データが悪化する異常な状態であると判定し、その判定結果である異常情報をシステム制御部60に出力する。
【0050】
システム制御部60では、判定部26から出力された警告情報を出力部40の表示部42に表示させる。このように、警告情報を表示部42に表示させることにより、交換時期を通知して光源71の交換を促すことができる。これにより、光源71による異常な分析データの生成を未然に防ぐことが可能となり、誤診を防ぐことができる。また、試料、試薬、及び作業時間の浪費を防ぐことができる。
【0051】
また、判定部26から出力された異常情報を表示部42に表示させると共に、分析制御部27の制御部29に出力する。制御部29は、システム制御部60から出力された異常情報に基づいて、操作部50から分析部22の測定動作を開始させる操作が行われても各分析ユニットの始動を不可能にし、また分析部22が測定中である場合には、各分析ユニットの動作を停止させる。
【0052】
このように、異常情報を表示部42に表示させることにより、劣化していることを通知して光源71の交換を促すことができる。また、分析部22の各分析ユニットの始動を不可能にする、及び測定中の各分析ユニットの動作を停止させることにより、異常な分析データの生成を未然に防ぐことができる。これにより、誤診を防ぐことができる。また、試料、試薬、及び作業時間の浪費を低減することができる。
【0053】
以上述べた本発明の実施例によれば、光源71が格納されたランプハウス82に第2の光検出器80を配置することにより、点灯している間の光源71から照射される光を絶えず第2の検出器80により検出することができる。そして、光源71が点灯している間の第2の光検出器80から出力される検出信号に基づいて、光源71の状態を判定することができる。
【0054】
そして、不安定区間の出現回数が許容範囲内である場合、光源71が正常な状態であると判定することができる。また、不安定区間の出現回数が許容範囲よりも多い警告範囲である場合、その判定結果である警告情報を表示部42に表示させて、光源71の交換時期を通知することができる。これにより、光源71の交換を促すことができる。
【0055】
更に、不安定区間の出現回数が警告範囲よりも多い異常範囲である場合、光源71が異常な状態であると判定し、その判定結果である異常情報を表示部42に表示させて、光源71が劣化していることを通知することができる。これにより、光源71の交換を促すことができる。また、分析部22の各分析ユニットの始動を不可能にすることができる。また、測定中の各分析ユニットの動作を停止させることができる。
【0056】
以上により、異常な分析データの生成を未然に防ぐことが可能となり、誤診を防ぐことができる。また、試料、試薬、及び作業時間の浪費を低減することができる。
【符号の説明】
【0057】
3 反応容器
70 光軸
71 光源
72 スリット
80 第2の光検出器
81 第2の信号処理部
82 ランプハウス
801 熱線吸収フィルタ
802 NDフィルタ
803 フォトダイオード
804 ホルダ
805,806 キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬の混合液を収容する反応容器に光源からの光を照射し、前記反応容器内を透過した光を検出して測定を行う自動分析装置において、
前記反応容器を透過した光が通過する範囲外に配置され、前記光源からの光を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された検出信号に基づいて、前記光源の状態を判定する判定手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記光源を格納する前記反応容器から離間して配置されたランプハウスを有し、
前記検出手段は、前記ランプハウスに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記ランプハウスは、前記反応容器に照射するための前記光源からの光が通過する第1の開口部及び前記検出手段が配置される第2の開口部を有することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記反応容器は、分析サイクル毎に移動した後に停止し、
前記判定手段は、前記検出手段により検出された前記分析サイクルよりも長い時間の検出信号に基づいて、判定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記光源が点灯してから安定時間経過後、消灯するまでの間、連続して判定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記判定手段により交換時期であると判定された警告情報及び異常な状態であると判定された異常情報を出力する出力手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記試料及び前記試薬を前記反応容器に分注する分注プローブを有し、
前記分注プローブは、前記判定手段により異常な状態であると判定された場合、測定中における分注動作を停止するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記光源は、ハロゲンランプであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−185728(P2011−185728A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51101(P2010−51101)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】