説明

自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置

【課題】 筐体内で発生する騒音が筐体外に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 ADF4は、本体4aと、本体4aに設けられた原稿の給紙口25および排紙口26と、給紙口25および排紙口26にそれぞれ設けられたピックアップローラ6および排紙ローラ対13と、本体4aに設けられた通気孔と、本体4aを開閉する外装カバーと、本体4a内を気密状態に維持するシール部材とを備え、給紙口25および排紙口26に設けられたピックアップローラ6および排紙ローラ対13と給紙口25および排紙口26との間に形成される隙間にシール部材27、28が設けられるとともに、通気孔と、外装カバーと本体4aの間とにシール部材が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置に関し、例えば、自動原稿搬送装置の筐体から騒音が漏出するのを防止するようにした自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置に搭載された自動原稿搬送装置にあっては、複数枚の原稿を給紙トレイに積載して給紙動作を開始すると、原稿がピックアップローラにより送り出された後、搬送分離機能を持つ給紙ローラによって一枚一枚分離されながら送られ、次いで、原稿は装置内部の幾つかのローラによって搬送されながらイメージセンサによって原稿面が読取られた後、排紙ローラによって排紙トレイに排紙される。
【0003】
ところが、原稿の搬送中にあっては、自動原稿搬送装置の内部で「ウィーン」という高周波な制御音や「ガラガラ」といった幾つかのローラの駆動音、「シュルシュル」という原稿同士、あるいは原稿と原稿を案内するガイド等との摺動音が発生し、これらの音は、自動原稿搬送装置の隙間、通気孔等から装置外に漏洩し、騒音として環境負荷の要因となってしまう。
【0004】
このような騒音の漏出を防止するものとしては、原稿にエアを吹き付けて分離するエア噴射装置からのエアと、分離された原稿を吸引して搬送するバキューム給送装置のエアを原稿の積載量により調節し、そのエアにより発生する騒音を自動原稿搬送装置内に設けた共鳴空間および共鳴通路を有する共鳴器により共鳴させ、かつ共鳴器の形状を調節手段により周波数に対応させて調整することにより、エアの低騒音化を図るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−50152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の自動原稿搬送装置にあっては、ヘルムホルツ型共鳴管を設けることにより自動原稿搬送装置の内部で騒音を低減させるようにしたものであるが、自動原稿搬送装置の内部で発生する騒音を自動原稿搬送装置の隙間、通気孔等から装置外に漏洩するのを十分に防止することができず、未だ改善の余地がある。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、筐体内で発生する騒音が筐体外に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の自動原稿搬送装置は、給紙した原稿を読取位置に搬送した後、排紙する自動原稿搬送装置において、筐体と、前記筐体に設けられた原稿の給紙口および排紙口と、前記給紙口および排紙口にそれぞれ設けられた搬送部材と、前記筐体に設けられた通気孔と、前記筐体を開閉する外装カバーと、前記筐体内を気密状態に維持するシール部材とを備え、前記シール部材は、前記搬送部材と前記給紙口および排紙口との間に形成される隙間と、前記通気孔と、前記外装カバーと前記筐体の間とに設けられるものから構成される。
【0009】
この構成により、自動原稿搬送装置の筐体に形成された給紙口および排紙口と搬送部材の隙間、通気孔、外装カバーと筐体との間をシール部材によってシールすることにより、筐体内を気密状態に維持することができ、筐体内で発生する騒音が筐体外に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる。
【0010】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、前記給紙口に連通するとともに原稿が載置される給紙トレイと、前記排紙口から排紙される原稿が載置される排紙トレイと、前記給紙口、前記排紙口、前記給紙トレイおよび前記排紙トレイを覆うカバーとを備えたものから構成される。
【0011】
この構成により、給紙口、排紙口、給紙トレイおよび排紙トレイをカバーで覆うので、筐体内で発生する騒音が筐体外に漏出するのをより一層防止することができ、環境負荷をより一層低減することができる。
【0012】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、前記筐体内と外部との間で熱交換を行う熱交換手段を備えたものから構成される。
この構成により、筐体内がシール部材により気密化されることで筐体内が高温になり、筐体内に熱がこもった場合であっても、熱交換手段により熱を筐体外に排出することができ、自動原稿搬送装置を構成する機器が高温になるのを回避することができる。
【0013】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、前記筐体の少なくとも一部を放熱鋼板から構成したものから構成される。
この構成により、筐体内の熱を筐体外に効率良く排出することができ、自動原稿搬送装置を構成する機器が高温になるのをより一層回避することができる。
【0014】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、除湿手段を有するものから構成される。
この構成により、結露によって自動原稿搬送装置を構成する機器が故障してしまうのを防止することができるとともに、原稿の給紙時に調湿された原稿間の密着力が低減して原稿が重送されてしまうのを防止することができる。
【0015】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、前記除湿手段がゼオライトフィルターからなるものから構成される。
この構成により、ゼオライトフィルターを用いることにより、高い除湿効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明の自動原稿搬送装置の前記カバーは、前記給紙口および給紙トレイと、前記排紙口および排紙トレイとにおいて独立して設けられるものから構成される。
この構成により、遮蔽による静音化を図ることができるとともに、原稿の搬送中であっても、原稿の補充および排紙原稿の取出しを独立して行うことができ、ユーザによる作業効率を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、前記カバーが透明部材からなるものから構成される。
この構成により、カバーを通して原稿の給紙状態および排紙状態を確認することができるので、次工程作業等に速やかに移行することができるとともに、原稿のジャムや機器の故障が発生した場合でも速やかに対処することができる。
【0018】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、前記カバーを開閉するときの補助動作を行う補助手段を有するものから構成される。
この構成により、ユーザによりカバーの開閉を少ない労力で行うことができる。
【0019】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、前記カバーを自動的に開閉する自動開閉手段を備えたものから構成される。
この構成により、ユーザによるカバーの開閉を負荷無しで行うことができ、原稿のセットと取出し性能を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の自動原稿搬送装置は、認証手段を有し、前記認証手段によって認証を行った後、前記カバーを開放するものから構成される。
この構成により、認証を行わなければカバーを開放することができないので、第三者に見られたくない原稿の搬送をカバー内で行った後にカバーを開放して原稿を取り出すことができ、原稿の安全性を確保することができる。
【0021】
また、本発明の画像読取装置は、上述した自動原稿搬送装置を搭載するとともに原稿を読取る画像読取手段を備えたものから構成される。
この構成により、自動原稿搬送装置の筐体内を気密状態に維持することができ、筐体内で発生する騒音が筐体外に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる。
【0022】
また、本発明の画像読取装置は、前記自動原稿搬送装置との連結部分にシール部材が設けられたものから構成される。
この構成により、気密状態に維持された自動原稿搬送装置と画像読取装置との連結部分の気密状態を確保することができるので、自動原稿搬送装置と画像読取装置との連結部分で発生する騒音が外部に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる。
【0023】
また、本発明の画像形成装置は、上述した画像読取装置を搭載するとともに、記録媒体に画像を形成する画像形成手段を備えたものから構成される。
この構成により、自動原稿搬送装置の筐体内を気密状態に維持することができ、筐体内で発生する騒音が筐体外に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明は、筐体内で発生する騒音が筐体外に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図3は本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第1の実施の形態を示す図である。なお、本発明は、画像読取装置として、スキャナー装置、ファクシミリ装置等に適用可能であり、画像形成装置として、複写機、レーザープリンタ、マルチファンクションプリンタ、インクジェットプリンタ、印刷機等に適用可能である。本実施の形態では、画像形成装置として複写機を例に説明を行う。
【0026】
まず、構成を説明する。図1、図2において、複写機1の本体1aの上面にはコンタクトガラス2が設けられており、このコンタクトガラス2に隣接する本体1aの上面にはコンタクトガラス2よりも小面積のスリットガラス3が設けられている。
【0027】
また、本体1aの上部には自動原稿搬送装置としてのADF4が設けられており、このADF4は図示しないヒンジ機構を介してコンタクトガラス2およびスリットガラス3を開放および閉塞するように開閉自在になっている。
【0028】
また、コンタクトガラス2とスリットガラス3の下方には画像読取手段を構成する走査光学系としての露光ランプ29a、ミラー29b〜29d、レンズ29eおよびCCD等のイメージセンサ29fが設けられている。なお、この画像読取手段とADF4によって画像読取装置が構成されており、この画像読取装置としてはスキャナー装置を構成するものである。
【0029】
また、露光ランプ29aおよびミラー29b〜29dは、コンタクトガラス2に載置された原稿を読取る際には、コンタクトガラス2の下方で図1中、左右方向に移動し、また、スリットガラス3上で原稿を読取る際には、スリットガラス3の下方で停止するようになっており、露光ランプ29aによって読取られた画情報はミラー29b、29c、29dで反射された後、レンズ29eで集光されてイメージセンサ29fに結像される。このイメージセンサ29fによって読み込まれた画情報は光電変換された後、図示しない画像処理部によって画像処理が施され、後述する感光体ドラム上に出力される。
【0030】
また、ADF4の上部には給紙トレイ5が設けられており、この給紙トレイ5には複数の原稿からなる原稿束P1が載置されるようになっている。この給紙トレイ5に載置された原稿束P1はこの原稿束P1に当接・離隔可能なピックアップローラ6によって給紙された後、時計回転方向に周回移動する給紙ベルト7および時計回転方向に回転するリバースローラ8によって最上位に位置する原稿が分離されるようになっている。
【0031】
給紙ベルト7およびリバースローラ8によって分離された原稿は搬送駆動ローラ対9によって反転経路10に沿って反転された後、レジストローラ対11によって原稿の読取速度と同期を取られながらスリットガラス3上に搬送されるようになっている。
【0032】
このとき、読取りが終了した原稿は搬送ローラ12によってスリットガラス3から搬出されるようになっており、両面原稿の場合には、露光ランプ29aの読取面と反対側の原稿の読取面側に設けられたイメージセンサ30によって原稿が読取られるようになっている。
このイメージセンサ30によって読み込まれた画情報は光電変換された後、図示しない画像処理部によって画像処理が施され、後述する感光体ドラム上に出力される。
【0033】
また、読取りの終了した原稿は排紙ローラ対13によって排紙トレイ14上に排紙される。この排紙トレイ14は給紙トレイ5の下方に設けられており、このように給紙トレイ5と排紙トレイ14が2層構造に構成されることにより、ADF4が小型化される。
【0034】
本実施の形態では、上述したピックアップローラ6、給紙ベルト7、リバースローラ8、搬送ローラ対9、レジストローラ対11、搬送ローラ12、排紙ローラ対13がADF4の本体(筐体)4a内に設けられている。また、給紙トレイ5が本体4aから突出しており、排紙トレイ14は本体4aの一部から構成されている。
【0035】
一方、複写機1の本体1a内には画像形成手段を構成する感光体ドラム15、現像器16、帯電器17、クリーニング部18、転写部19、定着装置20が設けられている。
【0036】
帯電器17は感光体ドラム15の表面を帯電するようになっており、この感光体ドラム15上には画像データに書き込む書き込み部21により静電潜像が形成される。
【0037】
現像器16は感光体ドラム15上の静電潜像にトナーを付着して可視像化するようになっており、このトナー像は、記録紙に転写される。具体的には、感光体ドラム15の下方には複数の記録紙カセット22a〜22eが設けられており、この記録紙カセット22a〜22eに収納された記録紙はローラ対23a〜23eに案内されることによって搬送経路に沿って搬送される。
【0038】
この記録紙はレジストローラ対24によりトナー像の形成と同期が取られた後、感光体ドラム15と転写部19間に搬送される。転写部19は、感光体ドラム15上のトナー像を記録紙に転写するようになっており、クリーニング部18は感光体ドラム15上に付着する不要なトナーを感光体ドラム15上から除去する。定着装置20は、加熱ローラ20aおよび加圧ローラ20bから構成されており、トナー像が転写された記録紙にトナー像に加圧定着するようになっている。
【0039】
また、ADF4の本体4aには給紙口25および排紙口26が設けられており、この給紙口25および排紙口26にはそれぞれピックアップローラ(搬送部材)6および排紙ローラ対(搬送部材)13が設けられている。
【0040】
また、給紙口25とピックアップローラ6の間の隙間にはシール部材27が設けられており、給紙口25とピックアップローラ6の間の隙間はシール部材27によって密閉されている(図3(a)参照)。
【0041】
また、排紙口26と排紙ローラ対13の間の隙間にはシール部材28が設けられており、排紙口26と排紙ローラ対13の間の隙間はシール部材28によって密閉されている(図3(b)参照)。
【0042】
このシール部材27、28としては、ゴム、ウレタンといった樹脂製品や遮音材といった比重の高いものまでの幅広い材料を用いることが可能であり、これらの複合材料であっても良い。
【0043】
また、図示していないが、給紙口25および排紙口26以外に本体4aに設けられた通気孔にもシール部材が設けられており、この通気孔もシール部材によって密閉されている。
【0044】
また、本体4aには図示しない外装カバーが設けられており、この外装カバーは本体4aに対して開閉自在に設けられ、搬送経路上で原稿のジャムが発生した場合に、外装カバーを開放してジャム原稿を除去することができるようになっている。また、この外装カバーと本体4aが接触する稜線または接触面にシール部材が設けられており、本体4aが外装カバーによって閉塞されたときに、シール部材によって本体4aと外装カバーの間が密閉される。
【0045】
本実施の形態では、給紙トレイ5上の原稿束P1の給紙動作が開始されると、原稿束Pはピックアップローラ6により送り出され、給紙ベルト7およびリバースローラ8によって原稿束P1から最上位に位置する原稿が分離された後、搬送ローラ対9およびレジストローラ対11によって反転経路10上を反転しながらスリットガラス3に向かって搬送される。
【0046】
次いで、この原稿の一面にはスリットガラス3の下方で停止している露光ランプ29aによって光が照射されるようになっており、原稿から反射された光はミラー29b、29c、29dで反射された後、レンズ29eで集光されてイメージセンサ29fに結像され、このイメージセンサ29fによって読み込まれた画情報は光電変換された後、画像処理部によって画像処理が施され、感光体ドラム15上に出力される。
【0047】
また、両面原稿の場合には原稿の他面がイメージセンサ30で読取られ、イメージセンサ30によって読み込まれた画情報は光電変換された後、画像処理部によって画像処理が施され、感光体ドラム15上に出力される。次いで、読取りが終了した原稿は搬送ローラ12および排紙ローラ対13によって排紙トレイ14上に排紙される。
【0048】
一方、原稿の搬送中には、本体4a内で「ウィーン」という高周波な制御音、「ガラガラ」といった排紙ローラ対13等の幾つかのローラ等の駆動音、「シュルシュル」という原稿同士、あるいは原稿と反転経路10等との摺動音が発生する。
【0049】
本実施の形態では、給紙口25とピックアップローラ6の間の隙間にシール部材27が設けられているとともに、排紙口26と排紙ローラ対13の間の隙間にシール部材28が設けられており、さらに、本体4aに設けられた通気孔および外装カバーと本体4aの間にシール部材が設けられているため、本体4a内をシール部材により密閉することができ、本体4a内で発生する騒音が本体4a外に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる。
【0050】
図4は本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0051】
図4において、ADF4の本体4aにはカバー31が設けられており、このカバー31は本体4aの右側に設けられた回動軸32を中心にして回動することにより、給紙トレイ5、排紙トレイ14、給紙口25および排紙口26を覆うようになっている。
【0052】
本実施の形態では、読取りを行う原稿を給紙トレイ5に載置するときや、読取りが終了した原稿を排紙トレイ14から取り出すときにカバー31を開放し、読取り中にはカバー31を閉じる。
【0053】
このようにすれば、ADF4の本体4aが密閉されていることからADF4内の騒音が漏出するのを防止することができることに加えて、給紙時にピックアップローラ6により搬送される最上位に位置する原稿がその下の原稿と摺動するときの騒音や、排紙ローラ対13によって排紙される原稿が既に排紙トレイ14に積載されている原稿と摺動するときの騒音を遮断して、これらの騒音が本体4a外に漏洩するのを防止することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、カバー31が回動軸32を中心に開閉するようになっているが、これに限らず、例えば、カバー31を本体4aから完全に外せる構造にしても良く、カバー31の一部が開閉する構造であっても良い。
【0055】
また、カバー31を透明部材から構成しても良い。このようにすれば、カバー31を通して原稿の給紙状態および排紙状態を確認することができるので、次工程作業等に速やかに移行することができるとともに、原稿のジャムや機器の故障が発生した場合でも速やかに対処することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、カバー31を開閉するときの補助動作を行う補助手段を設けても良い。この補助手段としては、回動軸32付近にカバー31を開放する方向に付勢するばねを設けることでカバー31を開けるときの動作を補助するようにしたり、回動軸32付近にカバー31を開けるときの動作を補助するダンパー(ショックアブソーバー)を設けるようにしても良い。このようにすれば、カバー31の開閉時のユーザの開閉を少ない労力で行うことができる。
【0057】
また、カバー31を自動的に開閉する自動開閉手段を設けるようにしても良い。この自動開閉手段としては、例えば、スイッチと、このスイッチの操作により作動するモータおよび減速機等とから構成するようにすれば良い。このようにすれば、ユーザによるカバー31の開閉を負荷無しで行うことができ、原稿のセットと取出し性能を向上させることができる。
【0058】
また、ID認証、指紋や虹彩等の身体的な特徴を認証する認証手段を設け、この認証手段によって認証を行った後、カバー31を開放するようにしても良い。このようにすれば、認証を行わなければカバー31を開放することができないので、第三者に見られたくない原稿の搬送をカバー31内で行った後にカバー31を開放して原稿を取り出すことができ、原稿の安全性を確保することができる。
【0059】
図5は本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第3の実施の形態を示す図であり、第2の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0060】
図5において、ADF4の本体4aにはカバー41が設けられており、このカバー41は本体4aの右側に設けられた回動軸42を中心にして回動することにより、排紙トレイ14および排紙口26を覆うようになっている。
【0061】
また、ADF4の本体4aにはカバー43が設けられており、このカバー43は本体4aの左側に設けられた回動軸44を中心にして回動することにより、給紙トレイ5および給紙口25を覆うようになっている。
【0062】
本実施の形態では、カバー41、43によって給紙トレイ5、排紙トレイ14、給紙口25および排紙口26を覆うことができるので、第2の実施の形態と同様に遮蔽による静音化を図ることができることに加えて、カバー41、43を別々に開放することにより原稿の搬送中であっても、原稿の補充および排紙原稿の取出しを独立して行うことができ、ユーザによる作業効率を向上させることができる。
【0063】
図6は本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第4の実施の形態を示す図であり、第2の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0064】
図6において、本体4aの右端部に放熱フィン51が設けられており、この放熱フィン51にはヒートパイプ52の一端部が取付けられている。このヒートパイプ52の他端部はプレート53に取付けられており、このプレート53は排紙トレイ14の下面に設けられている。なお、放熱フィン51、ヒートパイプ52およびプレート53は熱交換手段を構成している。
【0065】
本実施の形態では、第2の実施の形態の効果に加え、原稿が搬送されているときに温度の高い露光ランプ29aやイメージセンサ30に読取られるとともに、搬送ローラ対9等の各種ローラや反転経路10等と接触することで熱量を授受して排紙トレイ14上に排紙される原稿がカールを引き起こす場合があっても、この原稿の熱がプレート53からヒートパイプ52を介して放熱フィン51に移動することにより、放熱フィン51から外気に放出されるため、原稿の温度が低下して上記カールが発生するのを回避することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、原稿自動送り装置の外装を放熱鋼板にし、ヒートパイプ52に繋げるようにしても良い。このようにすれば、大きい放熱面積と高い熱伝達係数のヒートシンクを構成することができ、原稿の温度を効率良く下げることができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、熱交換手段としてヒートパイプ52を用いたが、他の方式であっても構わない。例えば、同じヒートパイプであるが、自励式ヒートパイプを利用することで、設置方向の自由度を高めた熱交換手段を達成しても良い。また、液冷方式を採用すれば、熱容量を高くすることができるとともに、流速を高めることにより高い熱輸送量が達成して原稿の低温化を効率良く行うことができる。
【0068】
また、プレート53は熱伝導率の高い材料のものが望ましい。例えば、アルミ自体でも熱伝導率は良いが、銅にできれば2倍もの高い熱伝導率が期待でき、速やかな温度低下が期待できる。
【0069】
また、本実施の形態では、プレート53を排紙トレイ14の下面に設けて原稿の温度を下げるようにしているが、これに限らず、ADF4を構成する機器の中で高温の機器(イメージセンサ30等)の近傍にプレート53を設けて熱交換を行うようにしても良い。このようにすれば、機器が高温になるのを防止することができる。
【0070】
図7は本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第5の実施の形態を示す図であり、第2の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0071】
図7において、カバー31の内側には除湿手段としてのメンテナンスフリーなゼオライトフィルター61が設けられている。本実施の形態では、このゼオライトフィルター61によってカバー31内の環境湿度を低減することができ、給紙時に、原稿が高湿度により原稿間が密着して連送りするのを回避することができる。なお、ゼオライトフィルター61の設置位置はカバー31の内側に限らず、本体4aでも良い。
【0072】
図8は本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第6の実施の形態を示す図であり、第2の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0073】
図6において、ADF4は複写機1の本体1aの上部に対して開閉自在になっており、このADF4と本体1aの上部の間、すなわち、ADF4と本体1aの連結部分にはシール部材71が設けられている。このため、ADF4が本体1aの上部を閉じたときに、ADF4と本体1aの上部はシール部材71によって密閉される。
【0074】
このため、本実施の形態では、ADF4の密閉による騒音の漏出に加えて、ADF4と複写機1の連結部分で騒音が外部に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置は、筐体内で発生する騒音が筐体外に漏出するのを防止して環境負荷を低減することができるという効果を有し、自動原稿搬送装置の筐体から騒音が漏出するのを防止するようにした自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第1の実施の形態を示す図であり、画像形成装置としての複写機の概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態の自動原稿搬送装置の概略構成図である。
【図3】(a)は図2のA方向矢視図、(b)は図2のB方向矢視図である。
【図4】本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第2の実施の形態を示す図であり、画像形成装置としての複写機の概略構成図である。
【図5】本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第3の実施の形態を示す図であり、画像形成装置としての複写機の概略構成図である。
【図6】本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第4の実施の形態を示す図であり、画像形成装置としての複写機の概略構成図である。
【図7】本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第5の実施の形態を示す図であり、画像形成装置としての複写機の概略構成図である。
【図8】本発明に係る自動原稿搬送装置、画像読取装置および画像形成装置の第6の実施の形態を示す図であり、画像形成装置としての複写機の概略構成図である。
【符号の説明】
【0077】
1 複写機(画像形成装置)
4 ADF
4a 本体(筐体)
5 給紙トレイ
6 ピックアップローラ(搬送部材)
13 排紙ローラ対(搬送部材)
15 感光体ドラム(画像形成手段)
16 現像器(画像形成手段)
17 帯電器(画像形成手段)
18 クリーニング部(画像形成手段)
19 転写部(画像形成手段)
20 定着装置
25 給紙口
26 排紙口
27、28 シール部材
29a 露光ランプ(画像読取手段)
29b〜29d ミラー(画像読取手段)
29e レンズ(画像読取手段)
29f イメージセンサ(画像読取手段)
31、41、43 カバー
51 放熱フィン(熱交換手段)
52 ヒートパイプ(熱交換手段)
53 プレート(熱交換手段)
61 ゼオライトフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙した原稿を読取位置に搬送した後、排紙する自動原稿搬送装置において、
筐体と、
前記筐体に設けられた原稿の給紙口および排紙口と、
前記給紙口および排紙口にそれぞれ設けられた搬送部材と、
前記筐体に設けられた通気孔と、
前記筐体を開閉する外装カバーと、
前記筐体内を気密状態に維持するシール部材とを備え、
前記シール部材は、前記搬送部材と前記給紙口および排紙口との間に形成される隙間と、前記通気孔と、前記外装カバーと前記筐体の間とに設けられることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記給紙口に連通するとともに原稿が載置される給紙トレイと、
前記排紙口から排紙される原稿が載置される排紙トレイと、前記給紙口、前記排紙口、前記給紙トレイおよび前記排紙トレイを覆うカバーとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記筐体内と外部との間で熱交換を行う熱交換手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記筐体の少なくとも一部を放熱鋼板から構成したことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
除湿手段を有することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項6】
前記除湿手段がゼオライトフィルターからなることを特徴とする請求項5に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項7】
前記カバーは、前記給紙口および給紙トレイと、前記排紙口および排紙トレイとにおいて独立して設けられることを特徴とする請求項2〜請求項6の何れか1項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項8】
前記カバーが透明部材からなることを特徴とする請求項2〜請求項7の何れか1項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項9】
前記カバーを開閉するときの補助動作を行う補助手段を有することを特徴とする請求項2〜請求項8の何れか1項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項10】
前記カバーを自動的に開閉する自動開閉手段を備えたことを特徴とする請求項2〜請求項8の何れか1項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項11】
認証手段を有し、前記認証手段によって認証を行った後、前記カバーを開放することを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れか1項に記載の自動原稿搬送装置を搭載するとともに、原稿を読取る画像読取手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
前記自動原稿搬送装置との連結部分にシール部材が設けられたことを特徴とする請求項12に記載の画像読取装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の画像読取装置を搭載するとともに、記録媒体に画像を形成する画像形成手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−193289(P2006−193289A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7522(P2005−7522)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】