説明

自動原稿搬送装置及び原稿読取装置

【課題】原稿の落下を防止するための落下防止部材を簡単な構成で提供する。
【解決手段】自動原稿搬送装置100bは、原稿搬送部5と、排紙トレイ4と、原稿トレイ6と、を備えている。排紙トレイ4は原稿搬送部5に設けられている。原稿トレイ6は、排紙トレイ4と対向して原稿搬送部5に設けられており、排紙トレイ4との対向面である裏面に排紙トレイ4にある原稿の落下を防止するための落下防止部材10(10a、10b・・・)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送装置及び原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷等が可能な複合機は、用紙を格納するための用紙トレイと、用紙トレイの上方の原稿読取装置と、を含む。原稿読取装置は、原稿の画像を読み取るための原稿読取部と、原稿台と、原稿カバーと、自動原稿搬送装置と、を含む。原稿台は原稿が載置される台である。原稿カバーは、原稿台の上部に設けられており、原稿台に載置された原稿を押さえる。ユーザが原稿台に原稿を載置して原稿カバーを閉じ、次に所定のボタンを操作することで、原稿読取部により原稿の画像を読み取ることができる。
また、自動原稿搬送装置は、原稿を自動搬送するための原稿搬送部と、原稿搬送部に原稿を供給するための原稿トレイと、排紙トレイと、を含む。原稿読取装部で原稿の読み取りを行う別の方法としては、ユーザが読み取りを行うべき原稿を原稿トレイに載置して所定のボタンを操作する。これにより、原稿搬送部は原稿を原稿読取部に搬送し、原稿読取部が原稿の画像を読み取る。その後、原稿は、原稿カバー上部の排紙トレイに排出される。
【0003】
排紙トレイに原稿が残されたまま原稿カバーが開かれると、排紙トレイにある原稿は、排紙トレイと原稿トレイとの隙間から落下することがある。特許文献1には、原稿カバーの開閉に応じて動作する原稿押圧部材が原稿カバーに設けられており、原稿カバーが開かれれば、原稿押圧部材の突起により原稿が押圧される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−65029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成では、原稿押圧部材は、原稿カバーに連動して動作することが可能なように原稿カバーに設けられる必要がある。そのためには、原稿カバーの構造の変更、原稿押圧部材と原稿カバーとの連動動作の調整などが必要であり、製造工程が増加し、またその構造も複雑となっている。
【0006】
本発明の課題は、原稿の落下の防止を簡単な構成で実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0008】
本発明の一見地に係る自動原稿搬送装置は、原稿搬送部と、排紙トレイと、原稿トレイと、を備えている。排紙トレイは原稿搬送部に設けられている。原稿トレイは、排紙トレイと対向して原稿搬送部に設けられており、排紙トレイとの対向面である裏面に排紙トレイにある原稿の落下を防止するための落下防止部材を含む。
【0009】
ユーザが原稿トレイに原稿を載置して所定のボタンを押せば、原稿搬送部は、原稿トレイから原稿を取り込み、排紙トレイに原稿を排出する。排紙トレイに原稿を載置したままで排紙トレイを傾ければ、排紙トレイにある原稿には、その自重によって、排紙トレイと原稿トレイとの間の隙間から落下する方向に力が作用する。上記原稿トレイには裏面に落下防止部材が設けられているので、このときに排紙トレイの原稿が落下防止部材により支持される。そのため、排紙トレイと原稿トレイとの隙間から原稿が落下するのを防止できる。
なお、落下防止部材は、例えば、落下防止部材そのものも例えば板状のプレートなどの簡易な構成であり、また、原稿トレイの裏面に取り付けるだけでよい。したがって、簡単な構成を用いて原稿の落下を防止できる。
【0010】
自動原稿搬送装置では、落下防止部材は、原稿トレイの裏面から、排紙トレイ側に向かって突出して形成されていてもよい。
落下防止部材は、突出して形成されているので、排紙トレイから原稿トレイ側に撓んで倒れてきた原稿を支持できる。
【0011】
自動原稿搬送装置では、落下防止部材は、原稿トレイの裏面のうち、前記原稿搬送部が載置される原稿カバーを開閉するための回転軸側に設けられていてもよい。
原稿カバーが回転軸を中心に回転して開けられれば、排紙トレイ上の原稿は撓みながら原稿トレイに倒れかかる。このとき、原稿には、原稿カバーの回転軸に遠い側よりも近い側により大きな自重が作用する。よって、落下防止部材が、より大きな自重が作用する回転軸側に設けられることで、排紙トレイから落下しようとする原稿を効率よく支持できる。つまり、落下防止部材の数が少なくても、確実に原稿の落下を防止できる。
【0012】
自動原稿搬送装置では、排紙トレイは、原稿の移動を阻止する規制部材含んでいてもよい。
原稿カバーが回転軸を中心に回転して開けられれば、排紙トレイ上の原稿は、回転軸側に近い第1辺が規制部材により支持される。このとき、原稿の第1辺と第1辺と対向する第2辺との間の紙面は、撓んだ状態となり、撓みの概ね頂点付近が落下防止部材により支持される。このように、規制部材は、落下防止部材とともに、原稿の落下を阻止する。
【0013】
原稿読取装置は、原稿台と、原稿カバーと、前述のいずれかに記載の自動原稿搬送装置と、を備えている。原稿台には原稿が載置される。原稿カバーは、原稿台に対して開閉可能である。自動原稿搬送装置は原稿カバー上に載置されている。
【0014】
ユーザが原稿トレイに原稿を載置して所定のボタンを押せば、原稿搬送部は、原稿トレイの原稿を取り込み、原稿読取装置内の原稿読取部に搬送する。原稿読取部により読み取りが終わった原稿は、排紙トレイに排出される。排紙トレイに原稿を載置したままで原稿カバーを開けば、排紙トレイは原稿カバーに設けられているので、排紙トレイは原稿カバーと同様に原稿台に対して傾斜する。このとき、排紙トレイにある原稿には、その自重によって、排紙トレイと原稿トレイとの間の隙間から落下する方向に力が作用する。上記原稿トレイには裏面に落下防止部材が設けられているので、このときに排紙トレイの原稿が落下防止部材により支持される。そのため、排紙トレイと原稿トレイとの隙間から原稿が落下するのを防止できる。
なお、落下防止部材は、例えば、落下防止部材そのものも例えば板状のプレートなどの簡易な構成であり、また、原稿トレイの裏面に取り付けるだけでよい。したがって、簡単な構成を用いて原稿の落下を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自動原稿搬送装置及び原稿読取装置は、原稿の落下の防止を簡単な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】複合機の外観構成を示す斜視図である。
【図2】ユーザの立ち位置側から見た複合機上部の正面図である。
【図3】原稿トレイの裏面の構成図である。
【図4】原稿の排出方向から見た複合機上部の側面図である。
【図5】原稿カバーが開いた状態となっている複合機の斜視図である。
【図6】原稿が落下防止部材により支持される様子を複合機の側面から見た説明図である。
【図7】原稿が規制部材により支持される様子を複合機の側面から見た説明図である。
【図8】原稿トレイの裏面を示す別の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)複合機の全体構成
図1は、複合機の外観構成を示す斜視図である。
複合機100は、例えば印刷、ファクシミリ通信及び原稿読取機能など複数の機能を有する装置である。複合機100は、上部に原稿読取装置100aを含み、下部に用紙トレイ9を含む。また、原稿読取装置100aは、例えば原稿読取部1、原稿台2、原稿カバー3、操作パネル8及び自動原稿搬送装置100bなどを含む。さらに、自動原稿搬送装置100bは、例えば排紙トレイ4、原稿搬送部5、原稿トレイ6及びガイド7などを含む。これらの構成について以下に説明する。
原稿読取部1の上面に原稿を載置するための原稿台2が設けられている。原稿台2は例えばガラス面から形成されており、原稿読取部1は原稿台2を介して原稿に光を照射して走査することにより画像の読み取りを行う。あるいは、原稿読取部1は、後述の原稿搬送部5から搬送される原稿に光を照射することにより画像の読み取りを行う。
【0018】
原稿台2上には、原稿台2に載置された原稿を押さえるための原稿カバー3が設けられている。原稿カバー3は、回転軸を中心として開閉可能に形成されており、ユーザは原稿カバー3を開いて原稿台2に原稿を載置し、原稿台2上の原稿を押さえるために原稿カバー3を閉じる。また、原稿の読み取りが終了した後には、ユーザは原稿カバー3を開いて原稿台2から原稿を除去可能である。原稿カバー3は、例えば矩形状であり、回転軸となる機構は、ユーザの立ち位置側の辺と対向する辺の側に設けられている。よって、ユーザは、立ち位置側から回転軸を中心として原稿カバー3を奥側に向かって持ち上げるようにして原稿カバー3を開くことができる。
【0019】
原稿カバー3上には、原稿搬送部5と、原稿搬送部5に原稿を供給するための原稿トレイ6と、が設けられている。原稿搬送部5は、ユーザが原稿トレイ6に原稿を載置して所定のボタンを押せば、原稿トレイ6から原稿読取部1に原稿を搬送する。原稿読取部1は、搬送された原稿の画像を読み取る。原稿トレイ6には、ガイド7が設けられており、ユーザがガイド7を調整することにより原稿を位置決めすることが可能である。また、図1では図示されていないが、原稿トレイ6の裏面には、原稿トレイ6から排紙トレイ4側に突出している落下防止部材10aが設けられている。
【0020】
原稿トレイ6と原稿カバー3との間には、さらに、原稿搬送部5から排出された原稿が載置される排紙トレイ4が設けられている。図1では、原稿カバー3の上面が排紙トレイ4を成しているが、原稿カバー3とは別に排紙トレイを設けてもよい。
これらの原稿搬送部5、原稿トレイ6及び排紙トレイ4等は、原稿カバー3とともに動くように取り付けられている。例えば、それぞれ別の構成物である原稿搬送部5、原稿トレイ6及び排紙トレイ4が、互いに係合し合うことで固定されている。あるいは、原稿搬送部5、原稿トレイ6及び排紙トレイ4等の少なくとも2つ以上の構成物が一体不可分に形成されていてもよい。例えば、原稿トレイ6及び原稿搬送部5が一体不可分に形成されていてもよい。このような構成により、原稿搬送部5、原稿トレイ6及び排紙トレイ4等は、原稿カバー3の開閉時には原稿カバー3と一体に動く。
【0021】
複合機100のユーザの立ち位置側には操作パネル8が設けられており、ユーザは操作パネル8内の操作ボタン及び液晶パネル等を操作することにより、所望の動作を複合機100に実行させる。また、複合機100の下部には、用紙を格納するための用紙トレイ9が備えられており、各種サイズの用紙が格納される。
【0022】
(2)落下防止部材
(2−1)落下防止部材の概要
図2はユーザの立ち位置側から見た複合機の正面図であり、図3は原稿トレイの裏面の構成図であり、図4は原稿の排出方向から見た複合機上部の側面図である。
【0023】
原稿トレイ6の原稿が載置される面とは反対側の裏面である底部6cには、底部6cから突出する落下防止部材10aが設けられている。つまり、落下防止部材10aは、原稿トレイ6から排紙トレイ4に向かって所定の高さで突出して形成されている。また、落下防止部材10aは、原稿トレイ6からの原稿の取込方向、あるいは、原稿搬送部5からの原稿の排出方向に沿って延在する板状の部材により形成されている。図3の構成では、特に、落下防止部材10aは、原稿トレイ6の長手方向に沿って形成されている。また、落下防止部材10aは、その板状の面部分が原稿トレイ6の面部分と概ね直交するように取り付けられている。
【0024】
図3に示すように、原稿トレイ6には係止部6a、6bが設けられており、係止部6a、6bを介して原稿トレイ6が原稿搬送部5に取り付けられる。係止部6bは係止部6aよりも原稿カバー3の回転軸側に設けられており、落下防止部材10aは、係止部6aよりも係止部6b側に設けられている。
【0025】
(2−2)落下防止部材の使用状態
図5は原稿カバーが開いた状態となっている複合機の斜視図であり、図6は原稿が落下防止部材により支持される様子を複合機の側面から見た説明図である。
【0026】
ユーザが原稿トレイ6に原稿を載置して操作パネル8の所定のボタンを押せば、原稿搬送部5は、原稿トレイ6から原稿読取部1に原稿を搬送する。原稿読取部1により読み取りが終わった原稿は排紙トレイ4に排出される。ここで、排紙トレイ4に原稿を載置したままで、図5に示すように原稿カバー3を開けば、排紙トレイ4は原稿カバー3と同様に原稿台2に対して傾斜し、排紙トレイ4上の原稿は落下する方向に動く。つまり、図6に示すように、排紙トレイ4上の原稿20には、その自重によって排紙トレイ4と原稿トレイ6との間の隙間から落下する方向に力が作用し、原稿20は撓みつつ原稿トレイ6側に倒れかかるようになる。
【0027】
本実施形態の原稿トレイ6の裏面である底部6cには、落下防止部材10aが設けられているので、原稿トレイ6側に撓んできた原稿20を落下防止部材10aが支持する。よって、原稿カバー3を開いた場合であっても、排紙トレイ4の原稿20が、排紙トレイ4と原稿トレイ6との隙間から落下するのを防止できる。
なお、原稿20は、落下防止部材10aによって支持されるだけでなく、排紙トレイ4及び原稿トレイ6によっても支持されてよい。つまり、図6に示すように、原稿20のうち回転軸に近い第1辺20aが排紙トレイ4の上面に支持され、原稿20の第1辺20aと対向する第2辺20bが原稿トレイ6の裏面に支持され、原稿20のうち撓みの大きな部分20cが落下防止部材10aにより支持され得る。
【0028】
このような落下防止部材10は、落下防止部材10そのものも例えば板状のプレートなどの簡易な構成であり、また、原稿トレイ6の裏面に取り付けるだけでよい。したがって、簡単な構成で原稿の落下を防止できる。
【0029】
(2−3)落下防止部材の位置及び大きさ
落下防止部材10aは、前述のように排紙トレイ4に原稿が載置されたままで原稿カバー3が開いた場合に、排紙トレイ4から原稿トレイ6に撓んで倒れかかってくる原稿20を支持可能な位置及び大きさで設けられている。
【0030】
例えば、図3、図4に示すように、落下防止部材10aは、原稿トレイ6の裏面のうち中央部よりも原稿カバー3の回転軸側に設けられている。なお、図3において、係止部6bは係止部6aよりも原稿カバー3の回転軸側に設けられており、落下防止部材10aは、係止部6aよりも係止部6b側に設けられている。このような位置に落下防止部材10aを設けることで、図6に示すように排紙トレイ4と原稿トレイ6との間から落下しようとする原稿20を、その撓みの概ね頂点で支持できる。原稿20の撓みの頂点とは、例えば、原稿20に、その自重により落下しようとする力が最も作用する地点である。この撓みの頂点を落下防止部材10aにより支持することにより、効率よく原稿20の落下を防止できる。つまり、より大きな自重が作用する地点に落下防止部材10aを設けることで、落下防止部材10aの数が少なくても確実に原稿20の落下を防止できる。
【0031】
より具体的には、図4に示すように、落下防止部材10aは、排紙トレイ4の開口幅W2に対して、原稿カバー3の回転軸側からW1の位置に設けられる。ここで、排紙トレイ4の開口幅W2は、例えば排紙トレイ4の側壁4b、4cの端面により定義される。開口幅W2及び位置W1の始点が回転軸側の側壁4cの端面により定義され“0”であれば、対向する側壁4bの端面の位置がW2となる。ここで、位置W1が、排紙トレイ4の開口幅W2に対して、回転軸側から10〜60%の範囲に入るようにすれば、効率よく原稿20の落下を防止することができ好ましい。なお、開口幅W2に対して回転軸側から50%の位置とは、排紙トレイ4の中心を意味する。なお、原稿カバー3の回転軸側とは、図4において排紙トレイ4の側壁4c側である。
【0032】
また、落下防止部材10aは、排紙トレイ4から原稿トレイ6側に撓んで倒れてきた原稿20を支持可能な高さに形成されている。例えば、図2、図4に示すように、落下防止部材10aの高さH1が、原稿トレイ6の底部6cと排紙トレイ4の上面4aとの開口幅H2の10〜90%に設計されると好ましい。ここで、落下防止部材10aの高さH1は、例えば図2に示すように、複合機100の正面から見た原稿トレイ6の底部6cから落下防止部材10aが突出している高さである。また、開口幅H2は、複合機100の正面から見て、原稿トレイ6の底部6cと、排紙トレイ4の上面4aと、により定義される幅である。なお、落下防止部材10aの高さは、排紙トレイ4から原稿が排出されるのを妨げない高さが好ましく、更には、ユーザが排紙トレイ4から原稿を取り出すのに邪魔にならない程度の高さであるのが好ましい。
【0033】
落下防止部材10aの高さH1は、それぞれが同一であってもよいが、原稿20の落下を防止できればよく、同一である必要はない。例えば、原稿トレイ6の傾斜に応じて高さH1が変化してもよい。図2の場合には、原稿トレイ6は、原稿搬送部5から離れるほど開口幅H2が大きくなるように傾斜している。落下防止部材10aは、原稿トレイ6の底部6cから突出し始める地点Bから、頂点Aまでは、その高さH1が徐々に大きくなるように形成されている。なお、排紙トレイ4からの原稿20の取り出しを容易にし、かつ、安全にするために、頂点Aから原稿搬送部5から離れる側に向かって、高さH1は徐々に小さくなるように形成されている。結局、地点Bから頂点Aまでは、落下防止部材10aと排紙トレイ4との距離(H2−H1)は概ね一定に設計され得る。これにより、排紙トレイ4から原稿トレイ6に撓んで倒れかかってくる原稿20を、落下防止部材10aの一点により支持するのではなく、落下防止部材10aの地点Bから頂点Aまでの直線ラインによって支持できる。そのため、より確実に原稿の落下を防止できる。
【0034】
(3)実施形態の作用効果
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0035】
(A)自動原稿搬送装置100bは、原稿搬送部5と、排紙トレイ4と、原稿トレイ6と、を備えている。排紙トレイ4は原稿搬送部5に設けられている。原稿トレイ6は、排紙トレイ4と対向して原稿搬送部5に設けられており、排紙トレイ4との対向面である裏面に排紙トレイ4にある原稿の落下を防止するための落下防止部材10(10a、10b・・・)を含む。
ユーザが原稿トレイ6に原稿を載置して所定のボタンを押せば、原稿搬送部5は、原稿トレイ6から原稿を取り込み、排紙トレイ4に原稿を排出する。排紙トレイ4に原稿を載置したままで排紙トレイ4を傾ければ、排紙トレイ4にある原稿には、その自重によって、排紙トレイ4と原稿トレイ6との間の隙間から落下する方向に力が作用する。上記自動原稿搬送装置100bの原稿トレイ6には裏面に落下防止部材10(10a、10b・・・)が設けられているので、このときに排紙トレイ4の原稿が落下防止部材10(10a、10b・・・)により支持される。そのため、排紙トレイ4と原稿トレイ6との隙間から原稿が落下するのを防止できる。
なお、落下防止部材10(10a、10b・・・)は、例えば、落下防止部材10(10a、10b・・・)そのものも例えば板状のプレートなどの簡易な構成であり、また、原稿トレイ6の裏面に取り付けるだけでよい。したがって、簡単な構成を用いて原稿の落下を防止できる。
【0036】
(B)自動原稿搬送装置100bでは、落下防止部材10(10a、10b・・・)は、原稿トレイ6の裏面から、排紙トレイ4側に向かって突出して形成されている。
突出して形成された落下防止部材10(10a、10b・・・)によって、排紙トレイ4から原稿トレイ6側に撓んで倒れてきた原稿を支持できる。
【0037】
(C)自動原稿搬送装置100bでは、落下防止部材10(10a、10b・・・)は、原稿トレイ6の裏面のうち、原稿搬送部5が載置される原稿カバー3を開閉するための回転軸側に設けられている。
原稿カバー3が回転軸を中心に回転して開けられれば、排紙トレイ4上の原稿は撓みながら原稿トレイ6に倒れかかる。このとき、原稿には、原稿カバー3の回転軸に遠い側よりも近い側により大きな自重が作用する。よって、落下防止部材10(10a、10b・・・)、より大きな自重が作用する回転軸側に設けられることで、排紙トレイ4から落下しようとする原稿を効率よく支持できる。つまり、少ない落下防止部材10(10a、10b・・・)であっても確実に原稿の落下を防止できる。
【0038】
(D)自動原稿搬送装置100bでは、排紙トレイ4は、原稿の移動を阻止する規制部材12を含む。
原稿カバー3が回転軸を中心に回転して開けられれば、排紙トレイ4上の原稿は、その回転軸側に近い第1辺が規制部材12により支持される。このとき、原稿の第1辺と、第1辺と対向する第2辺と、の間の紙面は、撓んだ状態となり、撓みの概ね頂点付近が落下防止部材10(10a、10b・・・)により支持される。このように、規制部材12は、落下防止部材10(10a、10b・・・)とともに、原稿の落下を阻止する。
【0039】
(E)原稿読取装置100aは、原稿台2と、原稿カバー3と、前述のいずれかに記載の自動原稿搬送装置Fと、を備えている。原稿台2には原稿が載置される。原稿カバー3は、原稿台2に対して開閉可能である。自動原稿搬送装置100bは原稿カバー3上に載置されている。
ユーザが原稿トレイ6に原稿を載置して所定のボタンを押せば、原稿搬送部5は、原稿トレイ6の原稿を取り込み、原稿読取装置100a内の原稿読取部1に搬送する。原稿読取部1により読み取りが終わった原稿は、排紙トレイ4に排出される。排紙トレイ4に原稿を載置したままで原稿カバー3を開けば、排紙トレイ4は原稿カバー3に設けられているので、排紙トレイ4は原稿カバー3と同様に原稿台2に対して傾斜する。このとき、排紙トレイ4にある原稿には、その自重によって、排紙トレイ4と原稿トレイ6との間の隙間から落下する方向に力が作用する。上記自動原稿搬送装置100bの原稿トレイ6には裏面に落下防止部材10(10a、10b・・・)が設けられているので、このときに排紙トレイ4の原稿が落下防止部材10(10a、10b・・・)により支持される。そのため、排紙トレイ4と原稿トレイ6との隙間から原稿が落下するのを防止できる。
なお、落下防止部材10(10a、10b・・・)は、例えば、落下防止部材10(10a、10b・・・)そのものも例えば板状のプレートなどの簡易な構成であり、また、原稿トレイ6の裏面に取り付けるだけでよい。したがって、簡単な構成を用いて原稿の落下を防止できる。
【0040】
(4)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0041】
(a)前記実施形態では、原稿トレイ6の裏面に落下防止部材10aを設けているが、さらに、原稿の落下を防止するための規制部材12が排紙トレイ4の上面に設けられてもよい。
図7は、原稿が規制部材により支持される様子を複合機の側面から見た説明図である。図7に示すように排紙トレイ4の上面に、原稿トレイ6に向かって突出する規制部材12が設けられている。図5に示すように排紙トレイ4に原稿を載置したままで原稿カバー3が開かれれば、原稿20は撓みつつ原稿トレイ6側に倒れかかるようになる。このとき、原稿20の回転軸に近い第1辺20aが排紙トレイ4上の規制部材12により支持され、原稿20の第1辺と対向する第2辺20bが原稿トレイ6の裏面に支持され、原稿20のうち撓みの大きな部分20cが落下防止部材10aにより支持される。よって、規制部材12と落下防止部材10aとの協働により原稿の落下をより確実に阻止できる。
規制部材12は、原稿20のうち、原稿カバー3の回転軸に近い第1辺20aを支持するために、落下防止部材10aよりも回転軸側に設けられているのが好ましい。
また、規制部材12は、例えば原稿搬送部5からの原稿の排出方向に沿って延在する板状の部材により形成されていてもよいし、原稿20の第1辺20aの一部のみを支持する小片からなる部材により形成されていてもよい。
なお、原稿カバー3が排紙トレイ4も兼ねている場合には、原稿カバー3上に規制部材12を設ける。
【0042】
(b)前記実施形態の画像形成装置では、1つの落下防止部材10aのみが設けられているが、2以上の落下防止部材10aが設けられてもよい。図8は、原稿トレイ6の裏面を示す別の構成図である。図8に示すように、例えば2つの落下防止部材10a及び10bが設けられている。また、図8に示すように、原稿トレイ6の強度を高めるために、落下防止部材10a、10bとは別に、補強部材11a、11b、11c等が設けられてもよい。補強部材11a、11b、11cは原稿トレイ6の裏面から突出していない。
【0043】
(c)前記実施形態では、落下防止部材10aの材質は特に限定されていないが、落下防止部材10aは、原稿トレイ6と同一の材質によって形成されてもよい。あるいは、落下防止部材10aは、原稿トレイ6とは異なる材質によって形成されてもよく、例えば摩擦力の大きなゴム状部材等から形成されていてもよい。落下防止部材10aと原稿20との摩擦力を大きくすることで、原稿20の落下を効率よく防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、画像形成装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 原稿読取装置
2 原稿台
3 原稿カバー
4 排紙トレイ
4a 底面
4b、4c 側壁
5 自動原稿搬送装置
6 原稿トレイ
6a、6b 係止部
6c 底部
7 ガイド
8 操作パネル
9 用紙トレイ
10a、10b 落下防止部材
11a、11b、11c 補強部材
12 規制部材
20 原稿
20a 第1辺
20b 第2辺
20c 撓みの大きな部分
100 複合機
100a 原稿読取装置
100b 自動原稿搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿搬送部と、
前記原稿搬送部に設けられている排紙トレイと、
前記排紙トレイと対向して前記原稿搬送部に設けられており、前記排紙トレイとの対向面である裏面に前記排紙トレイにある原稿の落下を防止するための落下防止部材を含む原稿トレイと、
を備える自動原稿搬送装置。
【請求項2】
前記落下防止部材は、前記原稿トレイの裏面から、前記排紙トレイ側に向かって突出して形成されている、請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記落下防止部材は、前記原稿トレイの裏面のうち、前記原稿搬送部が載置される原稿カバーを開閉するための回転軸側に設けられている請求項1又は2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記排紙トレイは、原稿の移動を阻止する規制部材を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に対して開閉可能である原稿カバーと、
前記原稿カバー上に載置されている請求項1〜4のいずれかに記載の自動原稿搬送装置と、
を備える原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−51483(P2013−51483A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187140(P2011−187140)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】